説明

人体を検知するトイレ装置と人体検出方法

本発明のトイレ装置は、障害物までの距離を測定する測距部と、判定部とを有する。判定部は予め設定されたしきい値と測距部の測定値とを比較し、測距部の測定値がしきい値より小さい時は人体有りと判断する。このしきい値は変更可能である。この構成により広いトイレ室にトイレ装置を設置する場合、判定部のしきい値を変更して大きくすれば、トイレ室に入って来た人をすぐに検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は使用者の存在位置を正しく検知するトイレ装置と人体検出方法に関する。
【背景技術】
従来、この種のトイレ装置は、光センサーによって人体を検出している。
図19は、従来のトイレ装置の第1例を示す。このトイレ装置は、本体81と、本体81に回動自在に接続された便座82と、蓋83とを有する。本体81内には、制御回路(図示せず)と蓋83の開閉装置(図示せず)とセンサーユニット84とが設けられている。蓋83と便座82には、センサーユニット84の投受光する赤外線が通過できるように開口部85が設けられている。センサーユニット84は、人の存在を検出すると、制御回路に信号を送り、蓋83の開閉装置を動作させて蓋83を自動的に開く。またセンサーユニット84は、人がいないことを検出すると、制御回路に信号を送り、開閉装置を動作させて蓋83を自動的に閉じる。このようなトイレ装置は例えば、特開2001−299644号公報に開示されている。
トイレ装置を取り付けるトイレ室の構造や広さはさまざまである。それに対し上記従来の構成では、人が存在すると判断する検出距離が一定である。このため、全ての使用者に使い心地の良い便用感を与えられない。これは以下に述べるとおりである。
トイレ室は建築上の理由等からさまざまな構造や広さがあり、本体から壁やドアまでの距離は便座先端方向について、狭い場合で40cm以下、広い場合では2m以上が想定される。一方、センサーの検出距離は、壁やドアの距離が最も近い場合を想定しなければならない。なぜなら検出距離が壁やドアより遠いと、壁やドアを人体と判断してしまうからである。従って、検出距離は本体から30cm付近に設定する必要がある。しかしこの設定では、広いトイレ室の場合に、トイレ装置にかなり近づかないと人体は検出されない。
人体を検出して作動する機能の一つに蓋83の自動開閉機能がある。この機能により、人体を検出すると蓋83が開き、また一定時間、人体を検出しないと蓋83が閉じる。蓋83が自動で開くことにより、腰をかがめて蓋83を開ける身体的負担が軽減される。あるいは、衛生上の理由から蓋83に触れたくない人の精神的負担が軽減される。また蓋83が自動で閉じることにより、非使用時の見た目の落ち着きや、暖房便座の放熱が抑制され消費電力が低く抑えられる。
使用者にとってはトイレ室に入った時に蓋83が開いて欲しい。しかしながら従来のトイレ装置では、トイレ装置かなり近づかないと人体を検出して蓋83が開かれない。このため、特に広いトイレ室においては使い心地の良い使用感が得られない。
図20は、従来のトイレ装置の第2例を示す。このトイレ装置では光センサ91によって人体を検出し、光センサ96A、96Bにより蓋93の開閉状態を検出する。この両者の検出値により便座92への人体の着座/非着座を判定する。このようなトイレ装置は例えば、実開平05−71281号公報に開示されている。
しかしながら上記従来の構成では、便座92を開閉動作する途中にセンサ91の前方を便座92が通過すると、センサ91は便座92に使用者が着座していると誤判定してしまう。具体的には、男性の小用時や掃除などの際に便座92を開もしくは閉動作させる場合にこのような誤判定が生じる。
便座92に使用者が着座していない状態でこのように誤判定すると、例えばトイレ室内の清掃中にトイレ装置の操作部97に触れて洗浄ノズル(図示せず)から洗浄水が噴出される等の各機能の動作が実行される。これにより洗浄水が顔にかかったり、洗浄水が周りに飛び散ったりする。また、着座検知による脱臭機能のオートスタートや、節電モードの解除等が行われ、電力を浪費する。
このように、使用者が存在しないと誤判定しても、使用者が存在すると誤判定しても不都合が生じる。すなわち使用者の存在位置と状況を正しく判断できないと、トイレ装置の機能が充分に発揮されない。
【発明の開示】
本発明のトイレ装置は、障害物までの距離を測定する測距部と、判定部とを有する。判定部は予め設定されたしきい値と測距部の測定値とを比較し、測距部の測定値がしきい値より小さい時は人体有りと判断する。このしきい値は変更可能である。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の実施の形態1におけるトイレ装置の斜視図である。
図2は本発明の実施の形態1におけるトイレ装置の制御処理動作を示すブロック図である。
図3は本発明の実施の形態1におけるトイレ装置の動作を示すフローチャートである。
図4は本発明の実施の形態2におけるトイレ装置のリモコン装置の構成図である。
図5は本発明の実施の形態3におけるトイレ装置の斜視図である。
図6は本発明の実施の形態3におけるトイレ装置の構成の一部を示すブロック図である。
図7は本発明の実施の形態3におけるトイレ装置の、閉状態における便座状態認識部の電気回路図である。
図8は本発明の実施の形態3におけるトイレ装置の、開状態における便座状態認識部の電気回路図である。
図9は本発明の実施の形態3によるトイレ装置の便座への、使用者の着座/非着座状態における着座検出部の特性を示す図である。
図10は本発明の実施の形態3におけるトイレ装置の便座を開閉させた時の着座検出部の特性を示す図である。
図11は本発明の実施の形態3におけるトイレ装置の動作を示すフローチャートである。
図12は本発明の実施の形態3におけるトイレ装置の、他の便座状態認識部の電気回路図である。
図13は本発明の実施の形態4におけるトイレ装置の斜視図である。
図14は本発明の実施の形態4におけるトイレ装置の構成の一部を示すブロック図である。
図15は本発明の実施の形態4におけるトイレ装置の動作を示すフローチャートである。
図16は本発明の実施の形態5におけるトイレ装置の構成の一部を示すブロック図である。
図17は本発明の実施の形態6におけるトイレ装置の構成の一部を示すブロック図である。
図18は本発明の実施の形態7におけるトイレ装置の構成の一部を示すブロック図である。
図19は従来のトイレ装置の斜視図である。
図20は従来の、他のトイレ装置の斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、各実施の形態において、先行する実施の形態と同様の構成をなすものには同じ符号を付して説明し、詳細な説明を省略する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるトイレ装置の斜視図である。図2は同制御処理動作を示すブロック図である。
本体1は、人体局部に温水を噴出する洗浄水噴出部2を有する。本体1には、便座3と蓋4とが開閉可能に装着されており、また、障害物までの距離を測定する測距部5が装着されている。リモコン装置6はトイレ装置の本来機能(例えば、洗浄機能、乾燥機能、脱臭機能、便座暖房機能)に対応する操作部や表示部を有し本体1に信号を送る。判定部7は、測距部5により測定した障害物までの距離と、予め設定したしきい値とを比較し、以下の場合にトイレ室に人が入室したと判定する。
(障害物までの距離)≦(しきい値)・・・(1)
なお、判定部7のしきい値は変更可能である。
本体1は樹脂等からなる箱体、洗浄水噴出部2は樹脂や金属等からなるノズルである。便座3と蓋4とは樹脂、金属、木材等からなる。測距部5は例えば赤外線等を発光する発光部と、その反射光を受光する光センサからなり、判定部7はマイコンから構成されている。
次に図3のフローチャートを用いて動作、作用について説明する。トイレ室に人が入室すると、測距部5から発せられた光が人に反射して測距部5に入射する。この発光から受光までの時間から測距部5は人までの距離を測定する(S1)。測距部5はその測定値を判定部7に送る。判定部7は、その測定値としきい値とを比較し、上記式(1)に基づいて、トイレ室に人が入室したことを判定する(S2)。なお、人が入室していない状況では、測距部5から発せられた光はトイレ室の壁等に反射されており、式(1)を満たさない。この場合、処理はS1に戻り、測距部5は引き続き距離を測定する。
トイレ室に人が入室したと判定部7が判定すると(S3)、蓋駆動部21が動作して蓋4を開く(S4)。こうすることにより、使用者は腰をかがめて手で蓋4を開く必要がなく、そのままトイレ装置に腰掛けることができる。つまり、腰をかがめて蓋4を開ける身体的負担が軽減される。一方、トイレ室に入るだけで自動的に蓋4が開けば、衛生上の心配から蓋4に触れたくない人の精神的負担が軽減される。また、判定部7が一定時間人を検出しなければ、人が不在であると判定し、蓋駆動部21を動作させて蓋4を閉じるとよい。蓋4を自動で閉じることにより、非使用時の見た目の落ち着きや、暖房便座(便座3の表面を温める機能)の放熱が抑制され消費電力が低く抑えられる。蓋駆動部21は、例えばモータとギアとの組み合わせや、モータによるダイレクト駆動、ポンプとダンパーとの組み合わせにより構成することができる。なお、トイレ室に人が入室したと判定部7が判定すると脱臭部22や暖房部23など他に使用者を快適にする機能を作動させていもよい。
なお上述のように、判定部7のしきい値は予め設定されている。このしきい値は可変にすることが好ましい。トイレ室の大きさや構造はさまざまで、例えばトイレ装置からドアまでが遠いトイレ室(すなわち広いトイレ室)であると、使用者がトイレ室に入り、トイレ装置にかなり近づかないと判定部7は人体を検出しない。すなわち使用者はトイレ室に入ってすぐに蓋4が開いて欲しいが、トイレ装置にかなり近づかないと蓋4が自動で開かない。このような場合に、使用者は使い心地の良い使用感を与えられない。よって、トイレ装置から壁やドアまでが遠いトイレ室に設置する場合は、しきい値を変更して大きくする。これにより使用者がトイレ室に入ってすぐに蓋4が開き、心地の良い使用感がもたらされる。逆に壁やドアが近い場合や測距部5に反応する障害物があるトイレ室では誤動作を防止するためにしきい値を小さくするとよい。
なお、測距部5は、赤外線等の光を照射して物体からの反射光により距離を検出する光センサーで構成することで安価に構成される。また、超音波の反射を利用する超音波センサーで構成することで、衣服による反射率の違いの影響を受けず良好な検出精度を確保することができる。一般に黒っぽい衣服では光の反射率が低く、検出しにくい傾向があるが、このような誤検出が防がれる。焦電センサーで構成することで、室温より温度の高い物体にのみ反応するため、人体の検出精度が向上する。また、図1において測距部5はトイレ装置に対して向かって右側方に設けるように図示しているが、左側方に設けてもよい。特にトイレ室のドアの位置に対応して設けると検出精度が向上する点で好ましく、測距部5自体がトイレ室に応じて位置変更できるとなお好ましい。なお、トイレ室のドアはトイレ装置の正面にある場合が多いので、測距部5はトイレ装置の本体1の略中央に設けてもよい。その場合、蓋4を閉じた状態で測距部5が蓋4を使用者と誤検知しないよう、蓋4に切り欠きを設けて蓋4が閉じた状態では測距部5からの光等が蓋4で反射しないようにする。
(実施の形態2)
図4は本発明の実施の形態2におけるトイレ装置のリモコン装置の構成図である。判定部7は、表示部8、切換部9、キャリブレーション部10、記憶部11を有する。なお、トイレ装置の本来機能(例えば、洗浄機能、乾燥機能、脱臭機能、便座暖房機能)に対応する操作部や表示部は省略している。
次に動作、作用について説明する。判定部7は複数のしきい値を有し、切換部9の操作によってそれらを切り換えることができる。例えば、工場出荷時にしきい値は最も小さい(近い)値に設定されている。つまり初期状態では最も狭いトイレ室でも壁やドアを人と誤検出しない様になっている。トイレ装置を広いトイレ室に設置した場合など、人がトイレ室に入ってきた時にもっと手前から自動で蓋4を開きたい場合には、切換部9により、しきい値をもっと大きな(遠い)値に切り換える。これにより、人体を検出する距離が遠くなり、早い段階で蓋4が開く。この様にしてトイレ室の広さや使用者の好みに応じて、簡単に蓋4の開くタイミングを変更することができる。
表示部8は、複数のしきい値の中で現在有効となっているしきい値を表示する。これにより、使用者は現在の設定を視覚的に確認しながら容易に切換えることができる。図4においては「近」「中」「遠」と3段階のしきい値が、LED等の表示素子を用いて表現されている。ここで、しきい値をもっと多くすれば細やかな設定が可能になるし、LED等の表示素子でなく、液晶等のインジケータを用いてもよい。切換部9への切換指示するためには、押す毎に順次切り換わるボタンやスイッチの複数押し方式を設けても、回転つまみ(回転ボリューム)やスライドボリュームを設けてもよい。これらによりしきい値を簡便に設定することができる。また、ボリューム式の場合は、ボリュームつまみの位置から、現在有効となっているしきい値がおおよそ見当が付く点で好ましい上に、しきい値を多くして体感上無段階にすることも可能となる。
次に、キャリブレーション部10を用いたしきい値の設定方法について述べる。トイレ室にトイレ装置を設置した時点でキャリブレーション部10を動作させると、その時点で測距部5が測定した障害物までの距離を基にしきい値を設定する。通常はトイレ室の壁もしくはドアまでの距離を基にしきい値が設定される。障害物までの距離(測距部5が測定した距離)としきい値との関係は、
(しきい値)=(障害物までの距離)−(余裕値)とすべきであり、具体的には、余裕値は10cm程度が適切であるが、これは測距部5の測定精度に応じて設定することが好ましい。しきい値には、判定部7に複数有するなかから、上記測定値から最も近いものを選択してもよい。
なお、キャリブレーション部10の動作方法としては、専用のボタンやスイッチを設けてもよい。また、本来は他の用途に用いるボタンやスイッチに対して特殊な操作を設定してもよい。例えばボタンやスイッチの複数同時操作などによりキャリブレーション部10を動作させる。以上のように、キャリブレーション部10によって実際のトイレ室に合わせて最適なしきい値を設定することができるため、よりきめ細かく使い勝手の良い検出性能を得ることができる。
現在有効となっているしきい値は不揮発性メモリ等で構成された記憶部11に保持することが好ましい。リモコン装置6側でしきい値を保持している場合は電池消耗時や電池交換時に、本体1側でしきい値を保持している場合は停電時やコンセント引き抜き時に、しきい値が初期化される。記憶部11により現在有効となっているしきい値を保持すれば、使用者がいちいちしきい値を設定し直さなければならなくなる煩雑さが避けられる。
なお上記説明では、表示部8、切換部9、キャリブレーション部10、記憶部11は判定部7に設け、リモコン装置6に配する。これは、しきい値を設定する時に作業者自身が障害物と検出されないように測距部5の検出域から離れる必要があり、そのような場合でも遠隔で設定操作ができる点で好ましい。また、判定部7をトイレ装置に設け、表示部8、切換部9、キャリブレーション部10、記憶部11は判定部7と共にトイレ装置に設けてもよい。表示部8、切換部9、キャリブレーション部10、記憶部11の全部もしくは一部を別な場所(例えばトイレ装置で判定部7とは別な場所や、リモコン装置6)に設けてもよい。特に、表示部8、切換部9、キャリブレーション部10は人による視認や操作が必要なため、リモコン装置6に設けると扱い易い点で好ましい。一方、トイレ室の状況が変化することは、通常はリフォームや引越時のみで頻度は少ないため、トイレ装置の通常は見えにくい場所に設けてもよい。もしくはリモコン装置6の見えにくい場所、例えば裏面や蓋構造を設けた内部に設けると見た目がすっきりする点で好ましい。なお、切換部9とキャリブレーション部10は同時に設けなくてもよく、必要な方のみを設けてもよい。
一方、判定部7の人体検出による蓋4の自動開閉にくわえ、リモコン装置6に手動指示により蓋4を電動開閉させるための蓋開閉スイッチ12を設けてもよい。同様に手動指示により便座3を電動開閉させるための便座開閉スイッチ13を設けてもよい。この際は、蓋開閉スイッチ12により蓋4の閉止指示があった場合は、判定部7が人体を検出していても、蓋4は自動開せず、蓋開閉スイッチ12からの蓋閉止指示を優先させるとよい。これは例えば、トイレ装置の掃除や手入れを行う際に、勝手に蓋4が開いてしまうことを抑制する点で好ましい。ここで、一度あった蓋閉止指示は永久に有効とはせず、一定時間後(例えば5分後)には蓋閉止指示を無効とし、判定部7の人体検出待機状態とする。これにより次の人が用便のためにトイレ室に入って来ても通常通り蓋4が自動的に開く。また、蓋閉止指示の無効化は一定時間経過後に行う方法以外に、蓋閉止指示後の人体の非検出時に行う方法であっても同様に実施することができる。
(実施の形態3)
図5は本発明の実施の形態3におけるトイレ装置の斜視図であり、図6は着座制御に関する動作のブロック図である。本実施の形態によるトイレ装置は、実施の形態1の構成に加え、本体1に着座検出部(以下、検出部)33、着座判定部(以下、判定部)34、便座状態認識部(以下、認識部)35、着座判定設定部(以下、設定部)36が設けられている。また操作ボックス37が本体1と接するように側面に設置されている。また、操作ボックス37上には設定切換えボタンが配され、洗浄水噴出部2から噴出される洗浄水の温度設定等の様々な設定を行える。これ以外の構成は実施の形態1と同様である。
光センサーや超音波センサー等からなる検出部33は、実施の形態1における測距部と同様の構成で着座/非着座を検出する。すなわち、非着座時は所定距離内に障害物がないので非着座と検出する。着座時は所定距離内に人体が近づくので着座と検出する。
図7、図8は認識部35の構成を示す。認識部35は、スイッチ38、電源39、開閉検知制御部(以下、制御部)40で構成されている。図7は便座3が閉状態である時を示しており、この時スイッチ38は閉じており、電源39により電流が回路上を流れていることを制御部40が検知する。一方、図8に示すように便座3が開状態となった時、スイッチ38が開かれて電流が流れないことを制御部40が検知する。
判定部34は、検出部33と認識部35との検出結果を基に着座/非着座を判定する。設定部36では判定部34の判定結果に応じてのみ着座/非着座の判定を行うか否かを設定する。
図9は便座3への使用者の着座/非着座状態による検出部33の特性図である。図10は便座3を開閉状態させた時の検出部33の特性図である。図11は本実施の形態によるトイレ装置の動作を示すフローチャートである。以下、制御動作を詳述する。
図9に示すように、検出部33に物体が近づくと、検出部33の検出値が大きくなり、検出部33から物体が離れると、検出部33の検出値は小さくなる。使用者が便座3に着座する場合、検出部33は使用者を検出し、近接物があることを検知する(S11、12)。この場合、便座3は閉じられているので、認識部35は便座が閉じていることを検知する(S13、14)。よって判定部34は着座と判定する(S15)。
これに対し、例えば男性の小用時や掃除のため便座3が開けられる時、検出部33は便座3を検出することにより近接物があることを検知する(S11、12)。この様子を、図10を用いて説明する。上記のような場合、便座3が検出部33の前方を横切る時に検出部33の近傍を遮る。このため検出値が大きくなり、検出部33は近接物ありと検知する。一方、認識部35は便座3が閉状態でないことを確認するので便座開と検知する(S13、14)。そして検出部33と認識部35の判定結果はすぐに判定部34に伝達される。このように検出部33と認識部35の検知結果が異なる場合、判定部34は2つの検知結果から非着座と判定する(S16)。これにより、誤判定を解消する。
なお、認識部35の別の構成を、図12の電気回路図を用いて説明する。認識部35は便座3の開閉により連動して動作する磁石41とコイル42と制御部40とを有する。磁石41はコイル42の円状部の内側を通過するように配置されている。また、制御部40はコイル42の両端と接続され、電流の流れと向きを検知する。
便座3の開閉動作中には、磁石41がコイル42内を通過し、電磁誘導により電流が発生する。発生した電流は制御部40により検出され、開閉動作を認識することにより、便座3の開閉を検知する。
制御部40は電流の向きにより開動作であるか閉動作であるかの判別も行える。開あるいは閉動作の認識が可能であると、それぞれの状況に適したサービスを衛生洗浄装置が選択して行えるようになる。例えば、開動作を検出した時、男性の小用時や掃除を想定し、便器の汚れの付着を予防する薬品を流すこと等ができる。また、閉動作を検出した時、便器内の脱臭のために脱臭部22を動作させること等ができる。
なお、認識部35は上記以外に、便座3の回転を認識する角度検出センサによっても同様の効果が得られる。また、便座3が電動により自動開閉動作する場合、自動開閉動作のための駆動電流を検出することにより便座3の開閉を検知する。これらのように認識部を構成しても同様に着座の誤検知を避けることができる。
次に、設定部36について説明する。設定部36により、検出部33の検知結果に応じてのみ着座/非着座の判定を行うか否かが設定される。設定部36の設定は、操作ボックス37上の設定切換えボタン等により行われる。
検出部33と認識部35とにより着座判定する場合、便座3を開状態にすることにより判定部34は非着座と判定するので、掃除や着座判定時にのみ作働する機能の動作確認を行えない。例えば、判定部34が着座と判定した時のみ洗浄水噴出部2から洗浄水が噴出されるが、便座3を開状態にする場合、判定部34は非着座と判定しているため、洗浄水噴出部2の動作確認を行えない。
しかし、設定部36を用いて、認識部35の検知結果に関わらず検出部33の検知結果のみで着座判定するように設定することにより、便座3を開状態とした時、判定部34が着座と判定する。すなわち図11においてS14をスキップする。このため、洗浄水噴出部2から洗浄水が噴出され、動作確認が行える。
本実施の形態では、使用者が便座3に着座しない場合にも着座と判定することがある検出部33に対して、便座3の開閉状態を検知する認識部35を用いている。その結果、着座/非着座の誤判定が防止される。これにより、トイレの清掃中に衛生洗浄装置の操作部に触れて洗浄水噴出部2から洗浄水が噴出される等の各機能の動作が実行され清掃を妨害することが防止される。また、不使用時に機能が誤動作することによる電力浪費が防止される。また、設定部36を設けることにより、修理や動作確認が効率的に行える。
本実施の形態では、着座判定に関し、非着座状態において着座を誤判定し、それにより生じる不具合を防ぐことを説明したが、実施の形態1と同様の構成も兼ね備えている。よって使用者の入室時直ちに、使用者を快適にする他の機能を作動させることができる。
なお、判定部7、判定部34、設定部36は一体に構成してもよい。また、検出部33と測距部5とを1つのセンサで兼ねてもよい。その場合、両方の機能を果せるように、センサの取り付け位置、方向を適切にする。すなわち、センサを図5のように設ける場合は、ドアが便座3の前方になるようにする。また、センサを便座3の側部に設けてもよく、その場合は、便座3に対し、ドアがセンサを設けた反対側になるようにする。
なお、実施の形態1固有の構成なしに、本実施の形態で説明した作用・効果を発揮させることも可能である。
(実施の形態4)
図13は本発明の実施の形態4におけるトイレ装置の斜視図、図14は同構成の一部を示すブロック図である。本実施の形態によるトイレ装置は、実施の形態1の構成に加え、本体1に着座検出部(以下、検出部)33、着座判定部(以下、判定部)52、蓋閉動作検出部(以下、検出部)54が設けられている。これ以外の構成は実施の形態1と同様である。
検出部33は、実施の形態3と同様の構成で本体1の前方に設けられ、本体1前方の人体の有無を値として検出する。検出部54は、たとえば実施の形態3で図12を用いて説明した便座状態認識部と同様の構成により、便座3に代わって蓋4で磁石41を移動させ、蓋4が閉方向に移動することを検出する。検出部54は、蓋4が閉動作中かどうかを検知する蓋状態検出部である。判定部52はマイコン等からなり、検出部33と検出部54との検出結果を基に、便座3上の人体の有無、すなわち着座/非着座を判定する。蓋駆動部21は判定部52により人体なしと判定されたとき、蓋4を閉じ、人体ありと判定されたとき、蓋4を開ける。なお、蓋4を閉じる動作は、判定部7が入室者ありと判定してから所定時間(使用者が入室してから着座する時間相当)禁止されている。
上記構成のトイレ装置について、以下その動作を説明する。図15は本実施の形態におけるトイレ装置の動作を示すフローチャートである。
まずトイレ装置の使用者が蓋4を開ける(S21)。蓋4の開動作は、手動でもよいし、スイッチ等で蓋駆動部21を駆動させてもよい。実施の形態1で説明した使用者の入室を検知して蓋駆動部21により蓋4を開けてもよい。便座3に使用者が腰掛けると、検出部33は本体1の前方の人体を値として検出する(S22)。この様子は実施の形態3で図9を用いて説明したのと同様である。すなわち検出領域に存在する物体との距離によって検出部33による検出値が変化し、距離が近いと値は大きく、距離が遠いと検出値が小さくなる。検出部33の検出値が所定のしきい値以上であれば近接物有りと検出される(S23)。このとき蓋4は開いたままなので、検出部54は閉動作なしを検出する(S24)。これらにより、判定部52は人体有り(着座)と判定する。判定部52が着座と判断すれば、洗浄水噴出部2や脱臭部22等、使用者を快適にする機能を駆動させる。
そして、使用者がトイレ装置の使用を終え、便座3から立上がった時、蓋4は完全に開いた状態にある。このとき検出部33の検出領域には何ら物体はないため、検出部33の検出値は小さくしきい値以下である。このときの検出部33の検出値が変化する様子は、実施の形態3で図10を用いて説明したのと同様である。すなわち、蓋4が完全に開いている状態では検出部33の検出領域に何ら物体がないため検出部33の検出値は小さい。蓋4が閉動作をし検出部33の検出領域の位置に無い場合も同様に検出部33の検出値は小さい。
しかし、蓋4が閉動作により検出部33の検出領域にはいると、検出部33は蓋4を障害物として認識するため、検出部33の検出値が大きくなる。そして、引き続き蓋4が閉動作し検出部33の検出領域外の位置にある場合は検出部33の検出領域に何ら物体がないため検出部33の検出値は小さくなる。蓋4が完全に閉じている状態でも同様に検出部33の検出値は小さい。
このように、蓋4が閉動作を継続して検出部33の検出領域に入ると、検出部33は蓋4を検知し検出部33の検出値が大きくなる。そして判定部52が検出部33の検出値のみで非着座を判定する場合、検出値がしきい値に達すると、判定部52は着座と判定する。そして判定結果に基づき蓋駆動部21が蓋4を閉動作すると、蓋4は完全に閉まりきることなく開動作が始まる。すなわち、使用者が使用を終えて人体がないにもかかわらず、判定部52は人体ありと誤判定し、蓋4の開動作が始まる。
本実施の形態では、図14に示すように検出部54が蓋4の閉動作を検出する場合は、検出部33の検出値がしきい値を超えても検出部33の検出値に関わらず判定部52は人体無しと判定する。
すなわち、図15において、使用者が立上がると、検出部33は非着座を検知する(S22,23)。これにより判定部52は非着座と判定し(S26)、蓋4を閉じる動作を開始する(S27)。ここで検出部33が蓋4を認識しても(S22,23)、検出部54が蓋4の閉動作を検出する場合、判定部52は非着座と判定する(S24、26)。このため蓋駆動部21は蓋4を閉じ続ける。すなわち検出部54が蓋4の開閉動作中を検知すると、判定部52は検出部33の検出値に関わらず蓋4の開閉動作をそのまま継続する。
以上のように、使用者がトイレ装置の使用を終え判定部52により人体無しと判定されると蓋4は閉動作を始める。そして検出部54が蓋4の閉動作を検出し、判定部52は人体無しと判定するので、検出部33の検出値は変化したとしても、蓋4は閉動作を継続し完全に閉じる。このように、蓋4の誤動作が防止される。
なお本実施の形態では、検出部54により蓋4の閉動作を検出する場合は検出部33により蓋4の存在を値として検出した上で判定部52が非着座と判定するように構成している。また、検出部54により蓋4の閉動作を検出する場合は検出部33がしきい値以上を検出しないようにすることで、判定部52が非着座と判定するように構成してもよい。また検出部33が値を検出したとしてもその値をしきい値以下の値となるように制御することで、判定部52が非着座と判定するように構成してもよい。いずれの構成を用いて検出部33が物体を検出しなければ、判定部52が非着座と判定するように構成しても、蓋4は閉動作を継続し完全に閉じることができ、蓋4の誤動作が防止される。
また、トイレ装置が脱臭部22を有し、蓋4が開いている間は、脱臭部22を駆動させるように構成してもよい。この場合、上記構成によって蓋4の誤動作を防ぐことができるため脱臭部22の誤操作を防ぐことができ電力の浪費を防ぐことができる。
さらに、清掃のために使用者が意図的に蓋4を閉じた場合にも同様に蓋4の誤動作を防ぎ、清掃時の妨害を防ぐことができる。
以上のように、本実施の形態のトイレ装置は、人体が無い状態で蓋4を閉動作したとしても判定部52は蓋4を人体と誤判定することは無く蓋4を確実に閉める。これにより、蓋4の誤動作を防ぎ、電力の浪費を防ぐことができる。
(実施の形態5)
図16は本発明の実施の形態5におけるトイレ装置の構成の一部を示すブロック図である。本実施の形態によるトイレ装置の基本的な構成は実施の形態4のトイレ装置と同様であるが、蓋閉動作検出部54の代わりに蓋位置検出部(以下、検出部)51を有する点が相違する。
検出部51は蓋4の位置を検出する。検出部51は、蓋4が閉動作中かどうかを検知する蓋状態検出部である。これによって蓋4が着座検出部(以下、検出部)33の検出領域内にあるか否かが認識される。蓋4が検出部33の検出領域内にある場合、検出部33の検出値がしきい値を超えても検出部33の検出値に関わらず、着座判定部(以下、判定部)52は人体無し(非着座)と判定する。なお、検出部51としては光センサ、超音波センサや赤外線センサ、角度センサなどが用いられる。図13では、検出部51を角度センサで構成し、蓋4の本体1への取付部分に設けている。検出部51を光センサ等で構成する場合、便座3の横に設けてもよい。
この構成によって、使用者がトイレ装置の使用を終え判定部52により人体無しと判定されると蓋4は閉動作を始める。そして検出部51により蓋4の位置が検出部33の検出領域内にあることを認識すると、判定部52は人体無しと判定する。このため、検出部33の検出値が変化しても、蓋4は閉動作を継続し完全に閉じられ、蓋4の誤動作が防止される。すなわち実施の形態4と同様の効果が得られる。脱臭部22の連動による電力浪費防止や清掃時の不便解消についても同様である。
なお、本実施の形態では、検出部51により蓋4の閉位置が検出部33の検出領域内にある場合は、検出部33が蓋4を値として検出した上で判定部52が非着座と判定する。また、蓋4の閉位置が検出部33の検出領域にある場合、検出部51により検出部33がしきい値以上を検出しないように構成してもよい。また蓋4の閉位置が検出部33の検出領域にある場合、検出部33が値を検出したとしてもその値をしきい値以下となるように制御しても、検出部33が物体を検出しないように制御してもよい。いずれの構成でも、蓋4は閉動作を継続し完全に閉じることができ、蓋4の誤動作が防止される。
また、本実施の形態では、蓋4の開動作中には開動作を優先させる。これにより蓋4の開動作中に判定部52が非着座と判定し、蓋4が閉じられることが防がれる。すなわち、検出部51が蓋4の開閉動作中を検知すると、判定部52は検出部33の検出値に関わらず蓋4の開閉動作をそのまま継続する。
以上のように、本実施の形態のトイレ装置は、人体が無い状態で蓋4を閉動作したとしても判定部52は蓋4を人体と判定することは無く蓋4を確実に閉める。これにより、蓋4の誤動作を防ぎ、電力の浪費を防ぐことができる。
(実施の形態6)
図17は本発明の実施の形態6におけるトイレ装置の構成の一部を示すブロック図である。本実施の形態によるトイレ装置の基本的な構成は実施の形態4のトイレ装置と同様であるが、蓋閉動作検出部54の代わりに蓋駆動部21を用いる点が相違する。
蓋駆動部21は、通電されることで蓋4を自動で開閉する。本実施の形態では蓋駆動部21に通電されていることを判断することよって蓋4が着座検出部(以下、検出部)33の検出領域内にあるか否かを判断する。すなわち蓋駆動部21は、蓋4が閉動作中かどうかを検知する蓋状態検出部としても機能する。蓋4が検出部33の検出領域内にある場合、検出部33の検出値がしきい値を超えても検出部33の検出値に関わらず、着座判定部(以下、判定部)52は人体無し(非着座)と判定する。蓋駆動部21は蓋4と本体1を繋ぐシャフト(図示せず)に取付けられたモータ等からなる電動部(図示せず)である。判定部52は蓋駆動部に通電されていることと、その電流の向きとから蓋4が検出部33の検出領域内にあるか否かを判断するとともに蓋4が閉動作中であることを検出する。
この構成によって、実施の形態4と同様の効果が得られる。脱臭部22の連動による電力浪費防止や清掃時の不便解消についても同様である。
なお、本実施の形態では、蓋駆動部21に通電されていることを判断することにより蓋4の閉位置が検出部33の検出領域内にある場合は、検出部33が蓋4を値として検出した上で判定部52が非着座と判定する。また、蓋4が検出部33の検出領域内にある場合は、検出部33がしきい値以上を検出しないように構成してもよい。また検出部33が値を検出したとしてもその値をしきい値以下になるよう制御しても、検出部33が物体を検出しないように制御してもよい。いずれの構成でも、蓋4は閉動作を継続し完全に閉じることができ、蓋4の誤動作が防止される。
以上のように、本実施の形態のトイレ装置は、人体が無い状態で蓋4を閉動作したとしても判定部52は蓋4を人体と判定することは無く蓋4を確実に閉める。これにより、蓋4の誤動作を防ぎ、電力の浪費を防ぐことができる。
(実施の形態7)
図18は本発明の実施の形態7におけるトイレ装置のブロック図である。本実施の形態によるトイレ装置の基本的な構成は実施の形態4のトイレ装置と同様であるが、蓋閉動作検出部54の代わりに蓋閉動作計時部(以下、計時部)71を用いる点が相違する。
計時部71は、蓋4の閉動作を検知するとともに、閉動作が始まってからの時間を計る。蓋4の閉動作が始まってからの時間を計ることで、蓋4が着座検出部(以下、検出部)33の検出領域内にあるか否かが判断される。すなわち計時部71は、蓋4が閉動作中かどうかを検知する蓋状態検出部として機能する。
あらかじめ蓋4の閉動作が始まってから蓋4が検出部33の検出領域に入るまでの時間を計時しておく(所定時間とする)。そして、計時部71により計時された時間が、蓋4の閉動作が始まってから所定時間を超えない時は蓋4が検出部33の検出領域外にある。計時部71により計時された蓋4の時間が、所定時間を超える時は蓋4が検出部33の検出領域内にある。蓋4が検出部33の検出領域内にある場合、検出部33の検出値がしきい値を超えても検出部33の検出値に関わらず、着座判定部(以下、判定部)52は人体無し(非着座)と判定する。
計時部71はたとえば、角度センサをトリガーとして計時を開始するタイマー回路で構成される。図13では蓋4の本体1への取付部分に設けている。トリガーとして光センサ等を用いて蓋4の閉動作開始を検知してもよい。
この構成によって、実施の形態4と同様の効果が得られる。脱臭部22の連動による電力浪費防止や清掃時の不便解消についても同様である。
なお、本実施の形態では、計時部71によって蓋4の閉動作が始まってからの時間を計る。これによって蓋4が検出部33の検出領域内にある場合は検出部33により蓋4を値として検出した上で判定部52が人体無しと判定する。また、蓋4が検出部33の検出領域内にある場合は、検出部33がしきい値以上を検出しないように構成してもよい。また検出部33が値を検出したとしてもその値をしきい値以下になるよう制御制御しても、検出部33が物体を検出しないように制御してもよい。いずれの構成でも、蓋4は閉動作を継続し完全に閉じることができ、蓋4の誤動作が防止される。
以上のように、本実施の形態のトイレ装置は、人体が無い状態で蓋4を閉動作したとしても判定部52は蓋4を人体と判定することは無く蓋4を確実に閉める。これにより、蓋4の誤動作を防ぎ、電力の浪費を防ぐことができる。
なお実施の形態4〜7では、着座判定に関し、非着座状態において着座を誤判定し、それにより生じる不具合を防ぐことを説明したが、実施の形態1と同様の構成も兼ね備えている。よって使用者の入室時直ちに、使用者を快適にする他の機能を作動させることができる。
なお、判定部7、判定部52は一体に構成してもよい。また、検出部33と測距部5とを1つのセンサで兼ねてもよい。その場合、両方の機能を果せるように、センサの取り付け位置、方向を適切にする。すなわち、センサを図13のように設ける場合は、ドアが便座3の前方になるようにする。また、センサを便座3の側部に設けてもよく、その場合は、便座3に対し、ドアがセンサを設けた反対側になるようにする。
さらに、実施の形態3の構成に実施の形態4〜7で追加説明した構成を加えてもよい。このようにすることで、使用者がトイレに入室するとき、便座3に座るとき、便座3から立ち上がって蓋4を閉めるときのいずれのシーンでも使用者は快適になる。このように本実施の形態で述べた構成は可能な範囲で組み合わせることができる。
他方、実施の形態1固有の構成なしに、実施の形態4〜7で説明した作用・効果を発揮させることも可能である。
【産業上の利用可能性】
本発明によれば、トイレ室に人が入ったことを検出して蓋の開閉などの操作を自動的に行うことができる。また測距部による測定距離と比較するしきい値が変更可能であるため、さまざまな広さのトイレ室に対して人体の検出距離を最適化することができる。
図面の参照符号の一覧表
1 本体
2 洗浄水噴出部
3 便座
4 蓋
5 測距部
6 リモコン装置
7 判定部
8 表示部
9 切換部
10 キャリブレーション部
11 記憶部
12 蓋開閉スイッチ
13 便座開閉スイッチ
21 蓋駆動部
22 脱臭部
23 暖房部
33 着座検出部
34 着座判定部
35 便座状態認識部
36 着座判定設定部
37 操作ボックス
38 スイッチ
39 電源
40 開閉検知制御部
51 蓋位置検出部
52 着座判定部
54 蓋閉動作検出部
71 蓋閉動作計時部
81 本体
82,92 便座
83,93 蓋
84 センサーユニット
85 開口部
91,96A,96B 光センサ
97 操作部
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体を載置する便座と、
障害物までの距離を測定する測距部と、
前記測距部が測定した距離により人体の有無を判定する第1判定部と、を備え、
前記第1判定部は前記測距部が測定した当該障害物までの距離と、予め設定されたしきい値とを比較し、前記測距部が測定した当該障害物までの距離が前記しきい値より小さい時は人体有りと判断し、かつ前記しきい値が変更可能な、
トイレ装置。
【請求項2】
前記しきい値は複数のしきい値の1つであり、
前記複数のしきい値の中から前記第1判定部が比較するしきい値を切換える切換部と、をさらに備えた、
請求項1に記載のトイレ装置。
【請求項3】
前記第1判定部が比較する前記しきい値を表示する表示部と、をさらに備えた、
請求項2に記載のトイレ装置。
【請求項4】
前記切換部と前記表示部とを有するリモコン装置と、を含む、
請求項3に記載のトイレ装置。
【請求項5】
前記第1判定部が比較するしきい値を所定の位置にある障害物までの距離を基に設定するキャリブレーション部と、をさらに備えた、
請求項1記載のトイレ装置。
【請求項6】
前記キャリブレーション部を有するリモコン装置と、をさらに備えた、
請求項5に記載のトイレ装置。
【請求項7】
前記しきい値を非通電時も保持する記憶部と、をさらに備えた、
請求項1記載のトイレ装置。
【請求項8】
前記便座上部を覆う蓋と、前記第1判定部が人体有りと判断すると前記蓋を自動的に開く蓋駆動部と、をさらに備えた、
請求項1記載のトイレ装置。
【請求項9】
前記便座へ当該障害物の近接状態を検知する第1検出部と、
前記便座の開閉状態を検知する認識部と、
前記第1検出部と前記認識部とにより前記便座への人体の着座を判定する第2判定部と、をさらに備え、
前記認識部が、前記便座が開状態であることを検知する場合には、前記第2判定部は前記第1検出部の検知に関わらず非着座と判定する、
請求項1記載のトイレ装置。
【請求項10】
前記認識部の検知に関わらず、前記第2判定部の判定を非着座とするように設定する着座判定設定部と、をさらに備えた、
請求項9記載のトイレ装置。
【請求項11】
前記便座に着座した当該人体を洗浄する洗浄水噴出部と、をさらに備え、
前記第2判定部が着座と判定するときに前記洗浄水噴出部を作動させる、
請求項9記載のトイレ装置。
【請求項12】
前記便座上部を覆う蓋と、
前記便座へ当該障害物の近接状態を検知する第1検出部と、
前記蓋の開閉状態を検出する第2検出部と、
前記第1検出部と前記第2検出部とにより前記便座への人体の着座を判定する第3判定部と、をさらに備え、
前記第2検出部が、前記蓋の閉動作を検出する場合には、前記第3判定部は前記第1検出部の検知に関わらず非着座と判定する、
請求項1記載のトイレ装置。
【請求項13】
前記第2検出部は、前記蓋が閉方向に移動することを検出することで、前記蓋の閉動作を検出する、
請求項12記載のトイレ装置。
【請求項14】
前記第2検出部は、前記蓋の位置を検出することで、前記蓋の閉動作を検出する、
請求項12記載のトイレ装置。
【請求項15】
通電されることで前記蓋を自動で閉じる蓋駆動部と、をさらに備え、
前記第2検出部は、前記蓋駆動部への通電を検出することで、前記蓋の閉動作を検出する、
請求項12記載のトイレ装置。
【請求項16】
前記第2検出部は、蓋が閉動作し始めてからの時間を計時することで、前記便蓋の閉動作を検出する、
請求項12記載のトイレ装置。
【請求項17】
通電されることで前記蓋を自動で閉じる蓋駆動部と、をさらに備え、
前記第3判定部が非着座と判定するときに前記蓋駆動部を作動させる、
請求項12記載のトイレ装置。
【請求項18】
トイレ装置の人体検知方法であって、
A)障害物までの距離を測定するステップと、
B)測定した当該障害物までの距離と、予め設定されたしきい値とを比較するステップと、
C)測定した当該障害物までの距離が前記しきい値より小さい時は人体有りと判断するステップと、を備え、
前記しきい値が変更可能な、
人体検知方法。
【請求項19】
D)便座への当該障害物の近接状態を検出するステップと、
E)前記便座の開閉状態を検知するステップと、
F)前記DステップとEステップとの検出結果により前記便座への人体の着座を判定するステップと、をさらに備え、
前記Eステップで前記便座が開状態であることを検知する場合には、前記Dステップの検知に関わらず前記Fステップにおいて当該人体は非着座と判定する、
請求項18記載の人体検知方法。
【請求項20】
D)便座へ当該障害物の近接状態を検出するステップと、
E)前記便座を覆う蓋の開閉状態を検知するステップと、
F)前記DステップとEステップとの検出結果により前記便座への人体の着座を判定するステップと、をさらに備え、
前記Eステップで前記蓋の閉動作を検出する場合には、前記Dステップの検知に関わらず前記Fステップにおいて当該人体は非着座と判定する、
請求項18記載の人体検知方法。

【国際公開番号】WO2004/049883
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【発行日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−570724(P2004−570724)
【国際出願番号】PCT/JP2003/015126
【国際出願日】平成15年11月27日(2003.11.27)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】