説明

仕掛りカセット搬送制御システム

【課題】カラーフィルタ製造工程、液晶表示パネル製造工程、及び半導体製造工程におけるストッカ設備の容積の増大を抑制し、前記各製造工程に置ける処理装置の基板待ち時間を減らし、設備費用や材料費を削減する仕掛りカセット搬送制御システムを提供する。
【解決手段】液晶表示装置等に用いられる基板を製造する複数の処理ラインにおいて、スタッカ設備に保管されている仕掛りカセットを選択して搬送制御するシステムであって、前記複数の各処理ラインで処理された基板を収納するカセットをスタッカ設備内から選択し基板回収装置に搬送する手段その1と、前記複数の各処理ラインで処理するための基板が収納されているカセットをスタッカ設備内から選択し、各処理ラインの基板投入装置に搬送する手段その2と、を備えたことを特徴とする仕掛りカセット搬送制御システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ製造工程、液晶表示装置製造工程、半導体製造工程において仕掛り中のガラス基板を収納するカセットを搬送制御する仕掛りカセット搬送制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタ製造工程や液晶表示装置製造工程ならびに半導体製造工程において用いられるガラス基板(以下、基板)として、カラーフィルタ基板を例として説明する。
【0003】
図1は基板の一例としてカラー液晶表示装置に用いられるカラーフィルタ基板の断面を示した図である。カラーフィルタ1は、基板2上にブラックマトリックス(以下、BM)3、レッドRの着色画素(以下、R画素)4−1、グリーンGの着色画素(以下、G画素)4−2、ブルーBの着色画素(以下、B画素)4−3、透明電極5、及びフォトスペーサー(Photo Spacer)(以下、PS)6、バーティカルアライメント(Vertical Alignment)(以下、VA)7が順次形成されたものである。
【0004】
上記構造のカラーフィルタの製造方法は、フォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法が知られているが、図2は一般的に用いられているフォトリソグラフィー法の工程を示すフロー図である。カラーフィルタは、先ず、基板上にBMを形成処理する工程(K1)、基板を洗浄処理する工程(K2)、着色フォトレジストを塗布および予備乾燥処理する工程(K3)、着色フォトレジストを乾燥、硬化処理するプリベーク工程(K4)、露光処理する工程(K5)、現像処理する工程(K6)、着色フォトレジストを硬化処理する工程(K7)、透明電極(例えばITO(Indium Tin Oxide))を成膜処理する工程(K8)、PS、VAを形成処理する工程(K9)がこの順に行われ製造される。
【0005】
例えば、R画素、G画素、B画素の順に画素が形成される場合には、カラーフィルタ用基板を洗浄処理する工程(K2)から、着色フォトレジストを硬化処理する工程間(K7)ではレッドR、グリーンG、ブルーBの順に着色レジストを変更して3回繰り返されてR画素、G画素、B画素が形成される。
【0006】
上記各処理工程を例えば、BMを形成処理(K1)する処理ライン、R画素を形成処理(K2〜K7)する処理ライン、G画素を形成処理(K2〜K7)する処理ライン、B画素を形成処理(K2〜K7)する処理ライン、透明電極を成膜処理する(K8)処理ライン、PS/VAを形成処理(K9)形成処理する処理ラインで構成した場合には、各処理ライン間の基板搬送は、次の処理ラインに直接搬送される場合や、仕掛り基板として一時的に保管する設備(以下、ストッカ設備)に保管され場合がある。この場合のストッカ設備は、各処理ラインと連結された構成を有している。
【0007】
図3にカラーフィルタ製造工程におけるストッカ設備と処理ラインの間の基板投入、回収装置の構成の一例を示す。カラーフィルタ製造工程は、BM形成処理ライン(処理ラインA)、R/G/B着色画素形成処理ライン(処理ラインB)、透明電極形成処理ライン(処理ラインC)、PS形成処理ライン(処理ラインD)があり、これらの処理ラインで処理を行うために、処理用基板は各処理ラインに搬送される。
【0008】
図3においてBM形成処理ライン(処理ラインA)に投入される基板は、ストッカ設備11のカセット(図示せず)に保管されている。これらのカセットは、ストッカ設備11
からBM形成処理ラインの基板投入装置12に搬送される。基板投入装置12は、搬送されたカセットから基板を一枚ずつ抜き取り、BM膜塗布装置13へと搬送する。BM膜塗布装置13で処理された基板は、露光装置14、現像装置15、及びオーブン16などの処理装置で処理された後、基板回収装置17でカセットに一旦収納される。基板回収装置17は、回収用カセット(図示せず)の基板収納枚数が上限値に達した後、カセットをストッカ設備11に搬送する。ストッカ設備11に搬送されたカセットは、次処理ラインであるR/G/B着色画素形成処理ライン(処理ラインB)の仕掛りカセットとしてストッカ設備11に一時保管される。
【0009】
R/G/B着色画素形成処理ラインの前記仕掛りカセットは、ストッカ設備11からR/G/B着色画素形成処理ライン(処理ラインB)の基板投入装置22に搬送される。基板投入装置22は、搬送されたカセットから基板を一枚ずつ抜き取り、R/G/B膜塗布装置23へ搬送する。R/G/B膜塗布装置23で処理された基板は、露光装置24、現像装置25、及びオーブン26で処理された後、基板回収装置27で回収用カセット(図示せず)に一旦収納される。基板回収装置27は、回収用カセットの基板収納枚数が上限値に達した後、カセットをストッカ設備11に搬送する。ストッカ設備に搬送されたカセットは、次処理ラインである透明電極形成処理ライン(処理ラインC)の仕掛りカセットとしてストッカ設備11で、一時保管される。
【0010】
以降、処理ライン(C)、処理ライン(D)においても同様に、各処理ラインで処理を行うため処理ラインに搬送された仕掛カセットは処理された後、基板回収装置にて回収用カセットに収納され、次の処理ラインへ搬送されるまでの間、ストッカ設備にて一旦保管される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−54014号公報
【特許文献2】特願2010−39915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記スタッカ設備に保管されている仕掛りカセットを次の処理ラインに投入する場合の仕掛りカセットの選択や、各処理ラインで処理された基板を基板回収装置で回収する場合のカセットの選択は、スタッカ設備の効率的な運用と各処理ラインの処理装置の効率的な稼働のためには重要なことであるが、従来から行われている方法は、(1)システム化されたカセット搬送システム、あるいは(2)処理ライン運用者の判断によって行われていた。
【0013】
前記(1)システム化されたカセット搬送システムは、基板が投入される対象処理ラインに対して、現在処理中のロットを選択し、選択ロットに紐付く仕掛りカセットをカセット搬送システムが自動選択し、対象処理ラインへ仕掛りカセットを搬送する方法が一般的に用いられている。その際、工場内の工程管理の考え方として、同一ロットの処理基板は、前工程処理ラインで処理された経過時間が長い基板(より古い基板)ほど次の処理ラインへ早く搬送する(First−In First−Out:フィフォ)が一般的である。
【0014】
前記(2)処理ライン運用者によって判断される場合は、運用者が工程管理システムを用い、搬送したいカセットを選択し、対象処理ラインへ仕掛りカセットを搬送する方法が一般的に用いられている。
【0015】
しかしながら、上記従来行われているカセット搬送シテムや処理ライン運用者による方法では、各処理ライン単位で搬送対象とする仕掛りカセットをシステムならびに運用者にて決定しており、全ての処理ラインの稼動状況及びストッカ設備内のカセット管理状況を取得して仕掛りカセットの搬送制御を行っていないため、「ストッカ設備内に基板回収用空カセットが不足」することに起因する処理ライン停止が発生する。
【0016】
上記処理ライン停止は、(a)処理装置が処理基板を待つ間に発生による稼動率低下や、(b)処理装置が処理基板を待つ間に発生する材料費の消費(待ち時間のメンテナンス処理に消費する)の増加や、(c)仕掛カセット保管のためのストッカ設備容積増加に伴う、設備導入や維持費用の増加といった問題の発生原因となる。
【0017】
上記(b)を更に詳しく述べると、カラーフィルタ並びに半導体製造ラインには、主だった処理装置として基板あるはウエハー上に塗布液を供給する塗布装置が存在する。これらの塗布装置は、上流装置から基板の供給が一定時間以上停止した場合、その塗布液が乾燥し、異物となって塗布部に付着する恐れがある。これを防ぐために、装置停止時には、塗布部に溶剤を吹き付けて乾燥することを防いでいる。(また、装置停止後の基板処理前には、塗布部に浸透した溶剤を取り除くため、塗布液による溶剤の押し出し処理をおこなっている。)一旦、処理装置への基板供給が途絶えると、このようなメンテナンス動作を行う必要があり、(b)処理装置の処理基板待ち発生による溶剤や塗布液の材料消費が増加する問題が発生する。
【0018】
また、近年の液晶表示装置の大型化に伴い、「仕掛り基板」及び「基板回収用空カセット」を一時的に保管するストッカ設備の容積は著しく増大している。ストッカ設備容積の増大は、導入設備費用や維持費用が増加する原因となる。
【0019】
本発明は係る問題に鑑みて、カラーフィルタ製造工程、液晶表示パネル製造工程、及び半導体製造工程におけるストッカ設備の容積の増大を抑制し、前記各製造工程に置ける処理装置の基板待ち時間を減らし、設備費用や材料費を削減する仕掛りカセット搬送制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の請求項1に係る発明は、液晶表示装置等に用いられる基板を製造する複数の処理ラインにおいて、スタッカ設備に保管されている仕掛りカセットを選択して搬送制御するシステムであって、
前記複数の各処理ラインで処理された基板を収納するカセットをスタッカ設備内から選択し基板回収装置に搬送する手段その1と、
前記複数の各処理ラインで処理するための基板が収納されているカセットをスタッカ設備内から選択し、各処理ラインの基板投入装置に搬送する手段その2と、を備えたことを特徴とする仕掛りカセット搬送制御システムである。
【0021】
本発明の請求項2に係る発明は、
前記手段その1は、ストッカ設備に存在する基板回収用空カセット数その1を算出し、算出した空カセット数その1と、予め設定された空カセット運用数その1と、を比較して空きカセットを選択し、または、
ストッカ設備に存在するカセットの内、各処理ラインで処理されている生産品種の仕掛り基板を収納していないカセットから、空き段数が最大のカセットを選択することを特徴とする請求項1記載の仕掛りカセット搬送制御システムである。
【0022】
本発明の請求項3に係る発明は、
前記手段その2は、ストッカ設備に存在する基板回収用空カセット数その2を算出し、
算出した空カセット数その2と、予め設定された空カセット運用数その2と、を比較して空きカセットを選択し、または、
各処理ラインの基板投入装置に付属する投入ポートのカセットに存在する基板数と、予め設定された基板数と、を比較して空きカセットを選択し、または、
ストッカ設備に存在する処理ラインの仕掛りカセットの内、最も収納基板数が少ないカセットを選択することを特徴とする請求項1記載の仕掛りカセット搬送制御システムである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の仕掛りカセット搬送制御システムによれば、処理装置の稼働率向上が可能となり、また処理装置の処理基板の待ち時間による材料消費のムダを防ぐことができ、更には、仕掛カセット保管のためのストッカ設備容積の増大を防ぎ、その結果、設備費用の増大を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】カラー液晶表示装置に用いられるカラーフィルタの一例を断面で示した図。
【図2】一般的に用いられているフォトリソグラフィー法の処理ラインフロー図。
【図3】カラーフィルタ製造処理ラインにおける処理装置と、ストッカ設備と、処理装置とストッカ設備と処理装置の間の基板投入、回収装置の構成の一例を示す図。
【図4】本発明の仕掛りカセット搬送制御システムが適用されるカラーフィルタ製造工程に設けられる処理装置の構成例を示す図。
【図5】本発明の実施環境例を示す図。
【図6】本発明の仕掛りカセット搬送制御システムにおける回収用カセットを選択し、搬送する全体フローを示す図。
【図7】本発明の仕掛りカセット搬送制御システムにおける対象処理ラインの基板回収装置に搬送するカセットを選択するステップ(R3)を詳細に示したフロー図。
【図8】本発明の仕掛りカセット搬送制御システムにおける対象処理ラインの基板投入装置に搬送する投入用カセットを選択し、搬送する全体フローを示す図。
【図9】本発明の仕掛りカセット搬送制御システムにおける対象処理ラインの基板投入装置に搬送するカセットを選択するステップ(T3)の詳細フローを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の仕掛りカセット搬送制御システムを実施するための形態を説明する。
【0026】
図4に本発明の仕掛りカセット搬送制御システムが適用されるカラーフィルタ製造工程に設けられる処理装置の構成例を示す。処理ライン(1)には、基板投入装置32と、塗布装置33、露光装置34、現像装置35、オーブン36といった処理装置と、検査装置37と、基板回収装置38と、が配置されている。各装置は連結されて1つの処理ラインを構成している。処理ライン(2)においても処理ライン(1)と同様の装置(42〜48)が配置されている。ストッカ設備31に保管されている処理基板は、基板投入装置32に搬送された仕掛りカセットその1(CS−1)39−1から基板投入装置32によって処理ライン(1)に投入され、各処理装置で処理された後、処理ライン(1)に配置された検査装置37で、基板の良/不良が判定される。良品と判定された基板は、次処理ラインの仕掛りとして基板回収装置38で基板回収用カセットその2(CS−2)40−1に回収され管理される。一方、不良品と判定された基板は、基板回収用カセットその3(CS−3)40−2に回収される。このように基板回収装置38には、良品、不良品、その他の選別目的に応じて使用される複数の基板回収用カセットポートが備えられる。
【0027】
上記良品と判定された基板は、次の処理ラインの仕掛りとして基板回収装置38で基板
回収用カセットその2(CS−2)40−1に回収され管理されるが、次の処理ラインである処理ライン(2)に投入されるか、あるいはストッカ設備31に一時保管される。
【0028】
図4に示されるカラーフィルタ製造工程は処理ラインが2ラインの場合を例示したが、ライン数は適宜設けられる。
【0029】
図5に、本発明の実施環境例を示す。基板投入装置/基板回収装置/各処理装置の各装置が持つコントローラ(即ちPLC:programmable logic controller)と、工程管理システムと、ストッカ設備を管理するストッカ設備管理システムと、がイーサネット(登録商標)により構築されたローカルエリアネットワーク(LAN)を介して接続され、TCP/IPやUDP/IPといった通信規格により各装置/工程管理システム/ストッカ設備管理システム間のデータの送受信が行われる。このようなネットワーク環境下において、各システムと装置は互いに管理する情報を送受信し、物流制御を実現する。上記ストッカ設備管理システム及び工程管理システムは、ネットワークを介した信号を受信、送信することによって、各制御装置に動作指示を与え、また自ら、その履歴情報をデータとしてデータベース(以下、DB)に保持する機能を備えている。
【0030】
本発明の複数の各処理ラインで処理された基板を収納するカセットをスタッカ設備内から選択し基板回収装置に搬送する手段その1である各処理ラインの基板回収装置へ搬送する回収用カセットを選択するフローを、図4に示される処理ライン(1)で処理された基板を回収するためのカセット(CS−2)40−1を選択する場合を例として説明する。
【0031】
図6は回収用カセットを選択し、搬送する全体フローを示す。開始後(R1)、工程管理システムは、基板回収装置(この場合は、基板回収装置38を指す)からカセット搬送要求を受信し(R2)、受信したカセット搬送要求に対して対象処理ライン(この場合は、処理ライン(1))に搬送するカセットを選択し(R3)、選択されたカセットを基板回収装置38へ搬送し(R4)、終了する(R5)。
【0032】
対象処理ラインの基板回収装置に搬送するカセットを選択するステップ(R3)を詳しく説明する。図7は、対象処理ラインの基板回収装置に搬送するカセットを選択するステップ(R3)を詳細に示したフロー図である。
前提として
X:ストッカ設備に存在する基板回収用空カセット数その1
α:任意の設定数(予め設定された空カセット運用数その1)とする。
【0033】
工程管理システムは、上記ステップ(R2)でカセット搬送要求を受信した後、ストッカ設備内に存在する空カセット数Xを算出する(S1)。ここで、算出したストッカ設備内に存在する空カセット数Xが設定値αよりも大きな値であった場合(S2のYES)、ストッカ設備には空カセットが十分に存在すると判断し、ストッカ設備に存在する任意の空カセットを基板回収用カセットとして選択する(S3)。ストッカ設備に存在する空カセット数が設定値α以下であった場合(S2のNO)には、ストッカ設備内には処理ラインを運用する上で十分な空カセットが存在しないと判断し、ステップ(S4)に進む。ステップ(S4)では工程管理システムは、ストッカ設備に存在するカセットのうち、各処理ラインで製造されている処理中の仕掛り基板を収納していないカセットを検索し(S4)、現在の処理ラインで使用されていない/使用されない見込みのカセットを絞り込む。更に、絞り込んだカセットの中から、空き段数の最大のカセットを基板回収用カセットとして選択する(S5)。選択された基板回収用カセットは、対象処理ラインの基板回収装置38に搬送される。この場合の設定値αはストッカ設備に存在する運用上必要な回収用カセット数を設定すれば良い。
【0034】
このように対象処理ラインの基板回収装置に搬送するカセットを選択することによって、ストッカ設備内の回収用空カセット数を増加させることが可能となる。
【0035】
次に、複数の各処理ラインで処理するための基板が収納されているカセットをスタッカ設備内から選択し、各処理ラインの基板投入装置に搬送する手段その2である各対象処理ラインの基板投入装置に搬送するカセットを選択するフローを図4に示される処理ライン(2)の基板投入装置42に搬送するカセットCS−4(49−1)を選択する場合を例として説明する。
【0036】
図8は対象処理ラインの基板投入装置42に搬送する投入用カセットを選択し、搬送する全体フローを示す。開始後(T1)、工程管理システムは、基板投入装置(この場合は、基板投入装置42を指す)からカセット搬送要求を受信し(T2)、受信したカセット搬送要求に対して対象処理ライン(この場合は、処理ライン(2)を指す)の基板投入装置42に搬送するカセットを選択し(T3)、選択されたカセットを基板投入装置42へ搬送し(T4)、終了する(T5)。
【0037】
対象処理ラインの基板投入装置に搬送するカセットを選択するステップ(T3)を詳しく説明する。図9は、対象処理ラインの基板投入装置に搬送するカセットを選択するステップ(T3)の詳細フローを示す図である。
前提として
Y:ストッカ設備内に存在する空カセット数その2
F{Load(n)}:処理ラインnの基板投入装置付属ポートのカセットに存在する基板枚数(nは処理ライン番号を示す(n=1〜n))。
β:任意の設定数(予め設定された空カセット運用数その2)
γ(n):任意の設定数(nは処理ライン番号を示す(n=1〜n))とする。
【0038】
工程管理システムは、上記Y、F{Load(n)}、β、γ(n)の情報をもとに、ストッカ設備及び各処理ラインにおける処理装置の稼働状況を判断し、回収用空カセットが不足しないようカセットの搬送を制御する。尚、本発明では、基板投入装置からカセット搬送要求を受信した際、ストッカ設備にその対象処理ラインの仕掛りカセットが存在する場合を対象とする。
【0039】
ここで、カセット搬送要求を送信した処理ラインの製造品種基板が、前製造処理ライン(この場合は、処理ライン(1)を指す)の基板回収装置(この場合は、基板回収装置38を指す)によって回収された場合、そのカセットも搬送対象に含まれるものとする。
【0040】
工程管理システムは、上記ステップ(T2)でカセット搬送要求を受信した後、ストッカ設備内に存在する空カセット数Yを算出する(U1)。ここで、「ストッカ設備内に存在する空カセット数」が予め設定した設定値βよりも大きな値であった場合((U2)のYES)、ストッカ設備には空カセットが十分に存在すると判断し、ストッカ設備に存在する処理ラインn(この場合は、処理ライン(1)を指す)の処理ラインの仕掛りカセットの内、処理ラインn(この場合は、処理ライン(1)を指す)で処理されてから経過時間が最も長いカセットを選択し基板投入装置(この場合は、基板投入装置42を指す)へ搬送する(U3)。
【0041】
一方、ストッカ設備に存在する空カセット数Yが以下であった場合((U2)のNO)、ストッカ設備内には処理ラインを運用するうえで十分な空カセットが存在しないと判断し、各処理ラインの基板投入装置に存在する基板枚数“F{Load(n)}”を算出する(U4)。ここで、「いずれかの処理ラインの基板投入装置に存在する基板枚数」が設定値γよりも小さな値であった場合((U5のYES)、まもなく、いずれかの処理ラインの基板投入装置に存在する投入中カセットが、基板を全て払い出し、空カセットとしてストッカ設備に戻ると判断し、ステップ(U3)へ進む。この場合の設定値βはストッカ設備に存在する運用上必要な回収用カセット数を設定すれば良く、上記αと同じ設定値としても良い。
【0042】
一方、各処理ラインの基板投入装置に存在する基板枚数F{Load(n)}が設定値γよりも大きな値であった場合((U5)のNO)、ストッカ設備に空カセットが増加しないと判断し、ステップ(U6)に進む。ステップ(U6)では、ストッカ設備に存在する処理ラインn(この場合は、処理ライン(1)を指す)の仕掛りカセットの内、最も収納枚数が少ないカセットを選択し基板投入装置(この場合は、基板投入装置42を指す)へ搬送する(U6)。この場合の設定値γは、1枚の基板の処理速度に基いて基板投入装置に存在する基板を設定すれば良い。
【0043】
このように対象処理ラインの基板投入装置に搬送するカセットを選択することによって、処理ラインnに搬送されたカセットが、基板投入設備から基板の投入を終え、空カセットとなってストッカ設備に戻るまでの時間を最短にすることが出来、その結果、ストッカ設備内の回収用空カセット数を増加させることが可能となる。
【0044】
尚、本発明を実施するための形態をカラーフィルタ基板を例示したが、カラーフィルタ基板に限定されず、本発明は広くカラーフィルタ製造ラインや半導体製造ラインにおいて仕掛り中の基板を収納するカセットを選択する場合に適用される。
【0045】
このようにして、本発明による仕掛りカセット搬送制御システムによれば、仕掛カセット保管のためのストッカ設備容積の増大を防ぎ、その結果、設備費用の増大を防ぐことができる。また、処理装置の稼働率を向上させることが可能となり、また処理装置の処理基板の待ち時間による材料消費のムダを防ぐことが可能となる。
【符号の説明】
【0046】
1・・・カラーフィルタ
2・・・基板
3・・・ブラックマトリックス(BM)
4−1・・・レッドRの着色画素(R画素)
4−2・・・グリーンGの着色画素(G画素)
4−3・・・ブルーBの着色画素(B画素)
5・・・透明電極
6・・・フォトスペーサー(PS)
7・・・バーティカルアライメント(VA)
11・・・ストッカ設備
12・・・BM形成処理ラインの基板投入装置
13・・・BM膜塗布装置
14・・・露光装置
15・・・現像装置
16・・・オーブン
17・・・基板回収装置
22・・・処理ラインBの基板投入装置
23・・・R/G/B膜塗布装置
24・・・露光装置
25・・・現像装置
26・・・オーブン
27・・・基板回収装置
31・・・ストッカ設備
32・・・基板投入装置
33・・・塗布装置
34・・・露光装置
35・・・現像装置
36・・・オーブン
37・・・検査装置
38・・・基板回収装置
42〜48・・・基板投入装置〜基板回収装置
39−1・・・仕掛りカセットその1(CS−1)
40−1・・・基板回収用カセットその2(CS−2)
40−2・・・基板回収用カセットその3(CS−3)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示装置等に用いられる基板を製造する複数の処理ラインにおいて、スタッカ設備に保管されている仕掛りカセットを選択して搬送制御するシステムであって、
前記複数の各処理ラインで処理された基板を収納するカセットをスタッカ設備内から選択し基板回収装置に搬送する手段その1と、
前記複数の各処理ラインで処理するための基板が収納されているカセットをスタッカ設備内から選択し、各処理ラインの基板投入装置に搬送する手段その2と、を備えたことを特徴とする仕掛りカセット搬送制御システム。
【請求項2】
前記手段その1は、ストッカ設備に存在する基板回収用空カセット数その1を算出し、算出した空カセット数その1と、予め設定された空カセット運用数その1と、を比較して空きカセットを選択し、または、
ストッカ設備に存在するカセットの内、各処理ラインで処理されている生産品種の仕掛り基板を収納していないカセットから、空き段数が最大のカセットを選択することを特徴とする請求項1記載の仕掛りカセット搬送制御システム。
【請求項3】
前記手段その2は、ストッカ設備に存在する基板回収用空カセット数その2を算出し、算出した空カセット数その2と、予め設定された空カセット運用数その2と、を比較して空きカセットを選択し、または、
各処理ラインの基板投入装置に付属する投入ポートのカセットに存在する基板数と、予め設定された基板数と、を比較して空きカセットを選択し、または、
ストッカ設備に存在する処理ラインの仕掛りカセットの内、最も収納基板数が少ないカセットを選択することを特徴とする請求項1記載の仕掛りカセット搬送制御システム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【公開番号】特開2012−49241(P2012−49241A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188339(P2010−188339)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】