説明

付着物除去装置

【課題】噴射ノズルからの気体流や粒体噴射を停止した際に、ブラスト噴射回収装置内方床面に残った粒体を容易に回収することのできる付着物除去装置を提供することを課題とする。
【解決手段】自走しながら床面Yの付着物Fを除去する付着物除去装置において、車体6前方に、噴射ノズル1から気体流2とともに粒体3を噴射する噴射装置4と、該噴射ノズル1から噴射した粒体3及び剥離除去された付着物Fを回収するバキューム回収部5とからなるブラスト噴射回収装置Bを設け、該ブラスト噴射回収装置Bの後部にバキューム回収部5を設けるとともに、噴射ノズル1からの噴射を停止させた際は、所定距離前進させた後、走行を停止させるよう制御してなる付着物除去装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走しながら店舗等の床に塗布されたワックスや床上に付着した汚れ等を剥離乃至除去する付着物除去装置に関し、詳しくは、剥離除去作業中の走行の制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車体腹部にブラスト噴射回収装置を備え、手押し操作によって床面の付着物を除去する付着物除去方法が特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2002−4234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらの付着物除去装置は、ブラスト噴射回収装置の内部で樹脂成形物の破砕片を気体流とともに噴射させて、付着物を除去するドライ方式の付着物除去方法である。従って走行と噴射を同時に停止させるとブラスト噴射回収装置内方の床面に噴射された粒体(破砕片)が回収されないまま残ってしまうという問題があった。
本発明は、噴射ノズルからの気体流や粒体噴射を停止した際に、ブラスト噴射回収装置内方床面に残った粒体を容易に回収することのできる付着物除去装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
自走しながら床面Yの付着物Fを除去する付着物除去装置において、車体6前方に、噴射ノズル1から気体流2とともに粒体3を噴射する噴射装置4と、該噴射ノズル1から噴射した粒体3及び剥離除去された付着物Fを回収するバキューム回収部5とからなるブラスト噴射回収装置Bを設け、該ブラスト噴射回収装置Bの後部にバキューム回収部5を設けるとともに、噴射ノズル1からの噴射を停止させた際は、所定距離前進させた後、走行を停止させるよう制御してなる付着物除去装置。
【0005】
また、ブラスト噴射回収装置B前方の障害物SHを検知する検知手段SKを設け、前進走行中に検知手段SKが作動した場合は、走行停止を行い噴射ノズル1からの噴射を停止させるとともに、一旦所定距離を後進させた後、再び元の後進開始位置まで戻るよう制御してなる付着物除去装置とする。
【0006】
更に、所定距離は、ブラスト噴射回収装置B接地部の前後幅A3の長さと略同じ長さに設定してなる付着物除去装置とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明は、車体6前方に、噴射ノズル1から気体流2とともに粒体3を噴射する噴射装置4と、該噴射ノズル1から噴射した粒体3及び剥離除去された付着物Fを回収するバキューム回収部5とからなるブラスト噴射回収装置Bを設け、該ブラスト噴射回収装置Bの後部にバキューム回収部5を設けるとともに、噴射ノズル1からの気体流2や粒体3の噴射を停止させた際、所定距離前進させた後、走行を停止させるよう制御してあるので、ブラスト噴射回収装置Bが所定距離前進する間に、ブラスト噴射回収装置Bの後部に設けたバキューム回収装置5によって、ブラスト噴射回収装置B内方の床面Yに残った粒体3や剥離除去した付着物Fを回収しながら走行を続け、自動的に走行停止するので、粒体3の回収が容易にできる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、ブラスト噴射回収装置B前方の障害物SHを検知する検地手段Kを設け、前進走行中に検知手段SKが作動した場合は、走行停止を行い噴射ノズル1からの気体流2や粒体3の噴射を停止させるとともに、一旦所定距離を後進させた後、再び元の後進を開始した近傍位置まで戻るよう制御してあるので、検知手段SK作動後は、後進させながらブラスト噴射回収装置B内方の床面Yに残った粒体3や剥離除去した付着物Fを、該ブラスト噴射回収装置B内方の前方側へ一旦集め、その後、再び前進させることで集めた粒体3や付着物Fをバキューム回収部5で回収することができる。これらの回収動作は検知手段SKが作動すると自動的に行われるので、粒体3の回収を容易に行うことができるとともに、壁や段差等の障害物SH間際までブラスト噴射回収装置Bを進めることができ、障害物SHの間際までの剥離除去作業が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。図2は、本発明を用いた床ワックス剥離装置の作動原理を示すものであり、図1とともにその構造について説明する。車体6の平面視四角形枠型の下部フレーム12下方に自走駆動用の前輪10と旋回用のキャスター角付後輪11を設け、該下部フレーム12から上方へ立設する4本の支柱13上端には、前記下部フレーム12と略同形状の上部フレーム14を設けて下部フレーム12、支柱13、上部フレーム14とにより箱型の強固な車体6を形成してある。前輪10は下部フレーム12に取着のモータMによりチェーン21を介して駆動される。上部フレーム14後端部には後方へ突出のハンドル44を設けてあり、操縦者がこのハンドル44を握り、車体6後方を歩行しながらワックス剥離作業を行う。
モータMと前輪10との駆動系路には、左右各々の前輪10への駆動を継続できる電磁クラッチを設けてある。この電磁クラッチは、床ワックス剥離装置を旋回させたり方向転換させる場合に、左右各々の前輪10をフリーで転動可能にするためのもので、操縦者がハンドル44を押し引きしてキャスター角付の後輪11の方向を変えることで軽い力で容易に取回しすることが可能である。
車体6前側下方には、床ワックスを剥離除去することのできるブラスト噴射回収装置Bを前方へ突出させて、このブラスト噴射回収装置Bを接地し、内部に設けた噴射ノズル1から粒体3を気体流2とともに噴射させ床面Yに衝突させながら走行させることによって、床ワックスを剥離、乃至除去することができる。
本発明の床面ワックス剥離装置の粒体3は、樹脂性の粗砕片を所定サイズに粒砕した樹脂ビーズJであり、気体流2は、別体のコンプレッサーCからエアホース19により供給される。この気体流2を噴射させることにより、樹脂ビーズJがノズル効果で吸引され、噴射ノズル1から気体流2と樹脂ビーズJとが噴射される構成である。
【0010】
車体6の前部には、粒体タンク15を配設し、この粒体タンク15下部からブラスト噴射回収装置Bの噴射装置4に樹脂ビーズJを供給する。又、ブラスト噴射回収装置Bには噴射した樹脂ビーズJとその噴射衝突により剥離、乃至除去されたワックス粒Wを回収するバキューム回収部5を設けてあり、噴射された樹脂ビーズJや剥離したワックス粒Wは再度粒体タンク15内へ回収される。粒体タンク15には樹脂ビーズJと剥離したワックス粒Wとを分別することのできる網状の分別板16が設けてあり、再利用可能な樹脂ビーズJは分別板16の下方に落下し、粉塵となって再利用できない樹脂ビーズJや剥離したワックス粒Wは該粒体タンク15後方に設けたバキューム装置17に吸引されて、このバキューム装置17下端部に設けた、後方へ引き出し可能のダストボックス18に蓄積される。51はブラスト噴射回収装置Bを覆う前カバー、52は車体6のサイドカバーである。
バキューム装置17上部にはファン22が設けてあり、バキューム室20内の空気をフィルターDを介して吸引し、外部へ排出する。バキューム室20と粒体タンク15は互いに連通してあり、バキューム室20内が負圧になることで、粒体タンク15内も負圧となり、ブラスト噴射回収装置Bから樹脂ビーズJとワックス粒Wを粒体タンク15上方に吸引する。その際、再利用可能な樹脂ビーズJは分別板16により下方へ落下し、再び噴射ノズル1から噴射される。又、再利用できない細粒化した樹脂ビーズJやワックス粒Wは質量が軽いため落下せず、バキューム室20側へ吸引される。
【0011】
この床ワックス剥離機のバキューム用ファン22や自走用のモータM、及び電気的制御部は、一般家庭用の交流100〜110Vを電源としており、作業操作は上部フレーム14に設けた各操作スイッチ類により行うことができる。23は電源スイッチ、24はモータMを入切する走行スイッチ、25は、樹脂ビーズJの噴射を入切するブラストスイッチ、26はバキューム装置17内のフィルターD内部から圧縮空気Pを噴射させることによってフィルターDの目詰まりを解消することのできる掃除スイッチである。又、27は走行速度調整用のボリューム、28はアワーメーターである。
【0012】
車体6の下部フレームに前方には、内方に左右一対の噴射装置4を備え、底面開放形態のブラストボックス54で覆うとともに、その内部で噴射した気体流2と樹脂ビーズJ及び剥離したワックス粒Wを回収可能に構成したブラスト噴射回収装置Bを配設し、該ブラスト噴射回収装置Bは側面視前方下り傾斜の薄いボックス形状に構成し、車体6左右幅と略同幅のワックス剥離作業が可能である。ブラスト噴射回収装置Bを車体6の前方に配設させると、作業進行方向の壁際までワックス剥離を行うことが可能となり、効率の良いワックス剥離作業ができる。
ブラスト噴射回収装置Bは昇降レバー29を手動で上下操作させることで、昇降支点軸30を中心に上下昇降させることができる。昇降支点軸30は昇降ベース31に設けてあり、この昇降ベース31は、下部フレーム12の左右中央部から前方に向け突設したベース揺動軸に枢支32してある。従って、ブラスト噴射回収装置Bは一体的に上下昇降自在、且つ、左右揺動自在に構成してある。ブラスト噴射回収装置Bは、その自重により下降接地する。ブラスト噴射回収装置Bの接地部には、刷毛状のブラシ45と弾性シート46を取着してあり、床面の細かい凸凹についてはブラシ45や弾性シート46が接地して、噴射された樹脂ビーズJがブラスト噴射回収装置B内から外部へ飛散しない構成である。ブラスト噴射回収装置Bの下部後方には左右一対の転動自在な接地車輪7を設けてある。接地車輪7はボルト33を回すことにより接地車輪7を上下方向に調整可能、すなわち、接地車輪7接地時のブラスト噴射回収装置B底面の接地具合を調整することができる。尚、ボルト34は接地車輪7調整後にその位置が変わらないようにするロックボルトである。
【0013】
このように、ブラスト噴射回収装置Bは、車体6に対して一体的に上下昇降自在、且つ、左右揺動自在であるため、ブラスト噴射回収装置B底面部が床面の歪みや湾曲、凸凹に対し確実に接地追従し、床面Yとの隙間が形成されず、樹脂ビーズJやワックス粒Wがブラスト噴射回収装置Bの外部へ飛散することがない。
又、接地車輪7がブラスト噴射回収装置B底面部と床面との距離を常に一定に保ち、床面形状に応じて忠実にブラスト噴射回収装置B底面部を接地追従させることが可能である。更に、接地車輪7を上下方向に調整可能に構成してあるので、床面状態に応じたブラスト噴射回収装置B底面部での接地圧を調整することが可能である。
【0014】
ブラスト噴射回収装置B上方には、噴射装置4を左右援動させる駆動モータKMをモータベース48に取着し、該駆動モータKMはブラスト噴射回収装置Bの前後幅Aに、側面視において重合させて配設してある。
これにより、ブラスト噴射回収装置B全体の前後幅A1を薄くコンパクトに構成することができ、ブラスト噴射回収装置Bの小型化が可能である。駆動モータKMは出力軸が後方向きに取着され、駆動アーム35、中間アーム36、スライド板37、揺動軸アーム38、揺動軸39の順に駆動伝達され、揺動軸39はブラスト噴射回収装置B内へ突出させてある。この構成は単一の駆動モータKMで左右一対の噴射装置4を揺動させることができる。これら左右一対の噴射装置4は、片方の噴射装置4が右側へ揺動した時には、他方の噴射装置も右側へ揺動するよう連結してある。各々の回転部にはベアリング(図示せず)が設けてあり、軽い駆動力で噴射装置4を左右揺動させることが可能である。揺動軸39前端には、下端に噴射ノズル1を取着したノズルアーム40を固着し、その中間部に柔軟性を有する樹脂材やビニール材を用いた樹脂ビーズJ供給ホース41と気体流2供給ホース42を接続してある。
左右一対の樹脂ビーズJ供給ホース41はブラスト噴射回収装置B上面の、前記揺動軸39近傍の内方位置からブラスト噴射回収装置B内へ挿入し、のの字形態に巻いた後、噴射装置4中間部へ接続してある。この供給ホース41は、樹脂ビーズJが流れていることが見えるよう透明タイプのものを用いてある。
一方圧縮空気2の供給ホース42はブラスト噴射回収装置B上面の、前記揺動軸39近傍の外方位置からブラスト噴射回収装置B内へ挿入し、のの字形態に巻いた後、噴射装置4中間部へ接続してある。
【0015】
供給ホース41,42をのの字形態に巻いて配索することにより、揺動軸39を中心としてその下方の噴射ノズル1を左右に揺動させても、供給ホース41,42に負担がかからないので供給ホース41,42の耐久性を向上させることができる。又、左右一対の噴射装置4,4間に向けてのの字形態に巻いた供給ホース41は、各々の供給ホース41,41内方端部を保持具43で連結してある。この保持具43は供給ホース41直径よりも大きい柔軟性を有する部材で構成してあり、噴射装置4の左右揺動に伴い、供給ホース41がブラスト噴射回収装置Bの内部前面、又は内部後面に接触するような配索であったとしても、保持具43が供給ホース41よりも先に接触するので、供給ホース41の摺動摩耗を防止できる。尚、供給ホース41,42は略一回だけ巻くことが好ましく複数回巻く必要はない。
【0016】
図9に示すように、噴射ノズル1の先端部から床面Yまでの中間部には、左右揺動する噴射ノズル1の左右端部域C1で噴射した気体流2及び粒体3の一部を遮蔽する遮蔽部材Sを設けてある。噴射ノズル1の左右揺動速度は、左右端部域C1で最端位置Cmに近づくに従い徐々に遅くなり、一旦停止後、再び加速されることから、左右端部域C1では噴射ノズル1の揺動速度が遅くなる分、床面Yのワックス材Fwを中央揺動域よりも余分に剥離することとなるが、前記遮蔽部材Sを設けることにより、噴射ノズル1が左右端部域C1の最端位置Cmに接近するに従って気体流2及び粒体3の床面Yへの衝突量を徐々に減少させることができ、左右往復揺動域CA全体に渡って均一にワックス材Fwを剥離させることができる。
【0017】
本実施例における遮蔽部材Sは、側面視噴射ノズル1の噴射方向よりも後方に設けてあるが、前方に配置させても同様の効果を得ることができる。
又、噴射ノズル1の左右端部域C1における遮蔽部材Sは、噴射ノズル1が所定位置Cxに揺動するまでの平面視傾斜部55と、所定位置Cxから最端位置Cmに揺動するまでの間の噴射ノズル1揺動方向と平行な平面視平行部56とから形成してある。図10は、噴射ノズル1から床面Yへ向け噴射される気体流2や粒体3の噴射範囲の変化を示した図である。噴射範囲が遮蔽されない図10(a)の状態では、全ての気体流2と粒体3が床面Yに衝突するが、噴射ノズル1が揺動していくと噴射範囲の一部が遮蔽部材Sによって遮蔽される図10(b)の状態となり、遮蔽部材Sの傾斜部55によって噴射ノズル1が最端位置Cmに接近するに従って噴射範囲の遮蔽量が増加する。遮蔽部材Sは図10(C)に示すように、所定位置Cxからは噴射ノズル1の揺動方向と同方向の平行部56が形成してあり、噴射ノズル1が揺動しても噴射範囲の遮蔽量が増減することはない。
【0018】
図11は遮蔽部材Sを使用しない場合と、傾斜部55のみで形成した遮蔽部材S55を使用した場合と、傾斜部55と平行部56とから形成した遮蔽部材S56を使用した場合の各々のワックス材Fwの剥離状態を示すものである。
遮蔽部材Sを使用しない場合には、噴射ノズル1の揺動速度が遅くなる左右端部域C1でのワックス材Fw剥離深さが深くなり、特に、最端位置Cm近傍での未剥離部との段差が大きくなるが、この左右端部域C1に遮蔽部材S55を使用すれば、剥離が均一になる。これらのワックス剥離機における剥離作業は、図12に示すように往復走行しながら行うことが一般的で、一列の剥離作業が終了すると、次列の工程では、前列で剥離したワックス材Fwの範囲に一部重合させて剥離する。その際、遮蔽部材S55を使用した場合には、次列の剥離作業のために剥離範囲を重合させると、ワックス材Fwを過度に剥離することとなるが、傾斜部55と平行部56から形成した遮蔽部材S56を使用すると、一列目の剥離作業では左右端部域C1に若干の剥離不足が発生するものの、次列の剥離作業時に剥離不足となった部分を重合させて剥離作業を行えば、剥離面全体に渡って均一なワックス材Fwの剥離を行うことができる。
【0019】
次に、バキューム装置17のフィルターDについて説明する。フィルターDは断面波型形状により広い表面積を有する上部が開放された円筒形状であり、その内方の空気をファン22で吸引することでバキューム室20や粒体タンク15内を負圧に維持する。このファイルターDが目詰まりを起こすと吸引力が不足し、ブラスト噴射回収装置Bからの吸引性能が悪化するので、フィルターDは定期的に交換する必要性がある。しかしながら、フィルターDの目詰まりは頻繁に発生する問題であり、発生毎にフィルターDを取り出して掃除することは困難である。
本実施例のバキューム装置17のファン22近傍には、掃除用圧縮空気を噴出する噴出口47を設けてあり、フィルターDの内側から圧縮空気Pを噴出し、フィルターD外周に付着したダストを除去してフィルターD性能を回復させることができる。このフィルターD掃除は掃除スイッチ26をON操作するとフィルター逆洗電磁弁50が解放しコンプレッサーCとからの供給空気の一部をフィルターD内に断続的に噴射可能で、逆洗は一定時間毎に行うか、もしくは、1日の剥離作業終了後に行う。フィルターDはカートリッジ型であり、バキューム装置17後部のフィルターカバー53を開けて容易に交換することが可能である。
【0020】
フィルターD内方には、噴出口47から噴出される圧縮空気Pを拡散させる拡散板8を設けてある。この拡散板8は、圧縮空気PをフィルターD内部で拡散させるためのもので、横長形状の板で形成されてある。拡散板8は上下二段に設けてあり、又、上下の位相を異ならせて配置してある。
図13は、バキューム装置17の内部を示したものであり、図13(a)は剥離作業中(ファン22によるバキューム中)の状態を示し、図13(b)は、噴出口47から圧縮空気Pを噴出させた時の状態を示したものである。圧縮空気Pは、フィルターDの上方から内方へ向け噴出されるが、噴出させるのみではフィルターDの逆洗が不十分となる。特に圧縮空気Pの噴射が直接当たらないフィルターD上部の目詰まりは解消することが困難である。本発明にあっては、フィルターD内方に、横長形状の板体で構成した拡散板8を設けてあり、噴出させる圧縮空気Pを拡散させて、フィルターDの上部の目詰まりも解消することが可能である。拡散板8は上下二段に構成してあり、上下の位相を90°異ならせて配置して、安価、且つ、単純な構成で効率良くフィルターDの逆洗を行うことができる。
【0021】
本発明のブラスト噴射回収装置Bは床面に接地していない場合には噴射ノズル1から気体流2が噴射しないよう規制してある。具体的な構造は、ブラスト噴射回収装置Bの上下昇降状態を検出するリミットスイッチ等の検知手段UKを設け、該検知手段UKがブラスト噴射回収装置Bの上昇を検知すると、気体流2の供給が自動的に遮断される。又、作業開始時にブラスト噴射回収装置Bが上昇しているにもかかわらず、ブラストスイッチ25をON操作した場合にも、このブラストスイッチ25のON操作を無効とし、気体流2は噴射ノズル1から噴射されないよう規制してある。
更に、ブラスト噴射回収装置Bを下降させ、接地させた状態においても、走行スイッチ24をON操作後にブラストスイッチ25をON操作しなければ、気体流2の噴射は開始されないよう規制してある。これは車体6を停止させたまま定位置で剥離作業を行うと、ワックス材Fwが過度に剥離されるばかりか、床面Y自体を傷付けたりする可能性があるからである。
【0022】
ブラスト噴射回収装置Bの後部には、バキューム回収部5が設けてあり、噴射ノズル1から噴射した気体流2や粒体3、及び剥離したワックス粒Wを回収しながらワックス材Fwの剥離作業を行う。剥離作業をしながらの走行中に、噴射ノズル1からの噴射と走行とを同時に停止させると、ブラストボックス54内の前部側床面Y上の粒体3や剥離したワックス粒Wが回収されないまま残るという不都合があることから、本実施例では、前進走行中に噴射ノズル1からの噴射を停止させた場合には、すぐに走行を停止させるのではなく、所定距離を前進走行させた後自動的に走行停止を行うよう制御してある。そうすることにより、所定距離の前進走行を行いながら、床面Y上に残っていたワックス粒Wを回収することができる。
【0023】
しかし、単に所定距離を前進させた後自動停止させるだけでは、前方に壁や段差等の障害物SHが前方にあった場合にも所定距離前進しようとして、ブラストボックス54が障害物SHと衝突するので、ブラストボックス54前面の床面Y近傍には、前方の障害物SHを検知する検知手段SKを設けてある。この検知手段SKが作動した場合には、前進走行と噴射装置4からの噴射を停止し、一旦所定距離を後進させた後、再び元の後進開始位置まで戻るよう制御してある。これにより、前方に障害物SHがあった場合には、一旦後進することで、ブラストボックス54内の床面Y上に残ったワックス粒Wを前側のブラシ45や弾性シート46で掃き集めることができ、再び前進させることによって掃き集めた粒体3やワックス粒Wを回収することができる。
【0024】
図9は本実施例の床面ワックス剥離装置における噴射ノズル1からの気体流2及び樹脂ビーズJ噴射条件を規制する制御フロー図である。ステップS1で電源スイッチ23がONであるかを判断し、ONならばバキューム装置17のファン22を回転させてバキューム回収機能を起動する。次に走行スイッチ24をON操作すると、ステップS2でYESの判断を行い、車体6に搭載したモータMが速度設定ボリューム27の設定に従って回転し、車体6が走行を開始する。この状態からステップS3でブラストスイッチ25がONであればステップS4でブラスト噴射回収装置Bが床に接地しているかどうかを判断し、すなわち、検知手段UKが未検知状態であるかどうかを判断し、ステップS3とステップS4との両方がYESと判断されれば、噴射装置4からの気体流2及び樹脂ビーズJの噴射が開始される。尚、本実施例においては、ステップS2とステップS4との両方がYESと判断されなければ噴射が開始されない、すなわち走行中、且つ、ブラスト噴射回収装置Bが床に接地していなければ噴射が開始されないが、少なくとも樹脂ビーズJの飛散を防止できれば良いのであれば、走行中でなければ噴射しないという規制要件を解除させても良い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】一部断面全体側面図。
【図2】全体の作動原理図。
【図3】全体側面図。
【図4】全体正面図。
【図5】全体平面図。
【図6】ブラスト噴射回収装置の断側面図。
【図7】噴射装置駆動部の正面図。
【図8】ブラスト噴射回収装置の内部を示す斜視図。
【図9】噴射ノズルの揺動状態を示す断正面図と断側面図。
【図10】遮蔽部材と噴射範囲を示す平面図。
【図11】遮蔽部材の平面図とワックス剥離状態を示す側面図。
【図12】ワックス剥離作業の工程を示す平面図。
【図13】バキューム装置の断側面図。
【図14】拡散板の斜視図。
【図15】噴射の制御を示すフロー図。
【符号の説明】
【0026】
1 噴射ノズル
2 気体流
3 粒体
4 噴射装置
5 バキューム回収部
6 車体
A3 前後幅
B ブラスト噴射回収装置
F 付着物
SH 障害物
SK 検知手段
Y 床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走しながら床面(Y)の付着物(F)を除去する付着物除去装置において、車体(6)前方に、噴射ノズル(1)から気体流(2)とともに粒体(3)を噴射する噴射装置(4)と、該噴射ノズル(1)から噴射した粒体(3)及び剥離除去された付着物(F)を回収するバキューム回収部(5)とからなるブラスト噴射回収装置(B)を設け、該ブラスト噴射回収装置(B)の後部にバキューム回収部(5)を設けるとともに、噴射ノズル(1)からの噴射を停止させた際は、所定距離前進させた後、走行を停止させるよう制御してなる付着物除去装置。
【請求項2】
ブラスト噴射回収装置(B)前方の障害物(SH)を検知する検知手段(SK)を設け、前進走行中に検知手段(SK)が作動した場合は、走行停止を行い噴射ノズル(1)からの噴射を停止させるとともに、一旦所定距離を後進させた後、再び元の後進開始位置まで戻るよう制御してなる請求項1に記載の付着物除去装置。
【請求項3】
所定距離は、ブラスト噴射回収装置(B)接地部の前後幅(A3)の長さと略同じ長さに設定してなる請求項1又は2に記載の付着物除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−110283(P2008−110283A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−293528(P2006−293528)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(000144980)株式会社アテックス (111)
【Fターム(参考)】