説明

伝動装置及びその伝動装置を有する画像形成装置

【課題】支持体に対して回転可能に支持された出力軸と、該出力軸に対して回転可能に組み付けられた入力ギアと、該入力ギアに対して回転可能であり、かつ前記出力軸に対しても回転可能に組み付けられた支持部材と、該支持部材に一体に付設された回り止め部と、前記支持体に固定されていて、前記回り止め部に係合して、前記支持部材が回転することを阻止する位置決め部材を具備し、前記出力軸と入力ギアを連結して、該入力ギアの回転を出力軸に伝達する伝動装置において、回り止め部が位置決め部材に衝突して、衝撃音が発生することを阻止する。
【解決手段】位置決め部材33の係合凸部42にスリット49が形成され、そのスリット49によって分離した係合凸部42の各部分を互いに接近する向きに弾性変形させた状態で、該係合凸部42を係合凹部41に嵌合させ、該係合凸部42の前記各部分を係合凹部41を区画する各面に圧接させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体に対して回転可能に支持された出力軸と、該出力軸に対して回転可能に組み付けられた入力ギアと、該入力ギアに対して回転可能であり、かつ前記出力軸に対しても回転可能に組み付けられた支持部材と、該支持部材に一体に付設された回り止め部と、前記支持体に固定されていて、前記回り止め部に係合して、前記支持部材が回転することを阻止する位置決め部材を具備し、前記出力軸と入力ギアを連結して、該入力ギアの回転を出力軸に伝達する伝動装置と、その伝動装置を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記形式の伝動装置と、その伝動装置を備えた画像形成装置は従来より公知である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−173642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来の伝動装置において発生していた衝撃音の発生を抑え、ないしは阻止して、低騒音化を達成した伝動装置と、その伝動装置を有する画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するため、冒頭に記載した形式の伝動装置において、前記回り止め部と位置決め部材のいずれか一方が係合凹部を有し、その他方が、前記係合凹部に嵌合する係合凸部を有し、該係合凸部にはスリットが形成され、該スリットによって分離した係合凸部の各部分を互いに接近する向きに弾性変形させた状態で、該係合凸部を前記係合凹部に嵌合させ、該係合凸部の前記各部分を係合凹部を区画する各面に圧接させたことを特徴とする伝動装置を提案する(請求項1)。
【0006】
また、本発明は、上記目的を達成するため、請求項1に記載の伝動装置を具備する画像形成装置を提案する(請求項2)。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、回り止め部と位置決め部材との衝突による衝撃音の発生をなくし、ないしは効果的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】画像形成装置の概略断面図である。
【図2】レジスト駆動ローラと、その駆動ローラに回転を伝える伝動装置の平面図である。
【図3】図2に示した伝動装置の斜視図である。
【図4】図3に示した伝動装置を矢印IV方向に見た部分拡大図である。
【図5】リング状の弾性部材が装着された係合凸部を係合凹部に嵌合させる前の状態を説明する図である。
【図6】他の形態の弾性部材を有する伝動装置を示す図である。
【図7】係合凸部と直交部に弾性部材を嵌合する前の様子を示す斜視図である。
【図8】加圧部材を有する伝動装置を示す図である。
【図9】スリットの形成された係合凸部を有する伝動装置を示す図である。
【図10】スリットの形成された係合凸部と、係合凹部を示す斜視図である。
【図11】板ばねを有する伝動装置を示す図である。
【図12】弾性部材の設けられていない伝動装置の不具合を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態例を図面に従って詳細に説明する。
【0010】
図1は伝動装置を有する画像形成装置の一例を示す概略断面図である。ここに示した画像形成装置は、画像形成装置本体1内に配置されたドラム状の感光体より成る第1乃至第4の像担持体2Y,2M,2C,2BKと中間転写ベルト3を有し、この中間転写ベルト3は支持ローラ4A,4B,4C,4Dに巻き掛けられて、矢印A方向に回転駆動される。第1乃至第4の各像担持体2Y乃至2BKは、中間転写ベルト3に当接しながら図1における時計方向に回転駆動され、このとき第1の像担持体2Yは帯電ローラ7によって所定の極性に帯電される。次いでその帯電面に光学ユニット8から出射する光変調されたレーザビームLが照射され、これによって像担持体2Yに静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置9によってイエロートナー像として可視像化される。また中間転写ベルト3を挟んで、像担持体2Yと反対側に一次転写ローラ12が配置され、この転写ローラ12に転写電圧が印加されることによって、像担持体2Y上のトナー像が矢印A方向に回転する中間転写ベルト3上に一次転写される。トナー像転写後の像担持体2Y上に付着する転写残トナーはクリーニング装置13によって除去される。
【0011】
全く同様にして、第2乃至第4の像担持体2M,2C,2BK上にマゼンタトナー像、シアントナー像及びブラックトナー像がそれぞれ形成され、これらのトナー像がイエロートナー像の転写された中間転写ベルト3上に順次重ねて一次転写され、中間転写ベルト3上に重ねトナー像が形成される。
【0012】
一方、画像形成装置本体1内の下部には、例えば転写紙又は樹脂フィルムなどから成る記録媒体Pを収容した給紙カセット14と、給紙ローラ15を有する給紙装置16が配置され、給紙ローラ15の回転によって最上位の記録媒体Pが矢印B方向に送り出される。送り出された記録媒体は、中継ローラ対5によって搬送される。次いで、その記録媒体の先端が、停止しているレジストローラ対17に突き当たって、当該記録媒体にたるみができたところで、中継ローラ対5が回転を停止し、記録媒体が止められる。引き続き中継ローラ対5とレジストローラ対17が回転を開始し、これによって記録媒体は、所定のタイミングで中間転写ベルト3と、これに対置された二次転写ローラ18との間に給送される。このとき、二次転写ローラ18に所定の転写電圧が印加されることによって、中間転写ベルト3上の重ねトナー像が記録媒体Pに二次転写される。
【0013】
重ねトナー像を二次転写された記録媒体は、さらに上方に搬送され、定着装置19の定着ローラ20と加圧ローラ21との間を通り、記録媒体上のトナー像が熱と圧力の作用により定着される。定着装置19を通過した記録媒体は画像形成装置本体1の上部の排紙部22に排出される。また、トナー像転写後の中間転写ベルト3上に付着する転写残トナーはクリーニング装置24によって除去される。
【0014】
中継ローラ対5は、中継駆動ローラ25と中継従動ローラ26とから成り、駆動ローラ25が図示していない駆動モータによって矢印方向に回転駆動され、これに伴って従動ローラ26が矢印方向に回転して、記録媒体を前述のように搬送する。
【0015】
同様に、レジストローラ対17も、レジスト駆動ローラ27とレジスト従動ローラ28とから成り、そのレジスト駆動ローラ27が後述するように駆動モータによって矢印C方向に回転駆動され、これに伴って従動ローラ28が矢印D方向に回転し、これらのローラ27,28に挟持された記録媒体が前述の如く搬送される。
【0016】
図2は、上述のレジスト駆動ローラ27に図示していない駆動モータの回転を伝達する伝動装置29を示す平面図であり、図3はこの伝動装置29の斜視図である。また、図4は図3の矢印IV方向に見た部分図である。図2における符号30は、画像形成装置本体1の奥側の後側板を示し、レジスト駆動ローラ27に一体に固定されて、該ローラ27を支持する軸31は、軸受55を介してこの後側板30に回転可能に支持され、該軸31の手前側の端部は、画像形成装置本体1の手前側の前側板(図示せず)に回転可能に支持されている。図3及び図4においては、図2に示した後側板30の図示は省略されている(図6、図8、図9、図11及び図12においても同じ)。
【0017】
図2及び図3に示した伝動装置29は、電磁クラッチ32と、図2には示していない位置決め部材33を有している。電磁クラッチ32は、入力ギア34と出力軸を有しており、図示した電磁クラッチ32においては、この出力軸として上述のレジスト駆動ローラ27を支持する軸31が用いられている。よって、以降、この軸31を出力軸と称することにする。かかる出力軸31は、上述のように、画像形成装置本体1の前側板と後側板30より成る支持体に回転可能に支持されている。
【0018】
入力ギア34は、図示していない電磁石を介して出力軸31に回転可能に支持され、当該出力軸31と入力ギア34は同心状に位置している。入力ギア34には、図示していない駆動モータにより回転駆動される同じく図示していない駆動ギアが噛み合っており、その駆動ギアの回転によって、入力ギア34が回転駆動される。また電磁クラッチ32は支持部材35を有しており、この支持部材35は、図示していない軸受を介して出力軸31に回転可能に支持されていると共に、入力ギア34に対しても回転可能に組み付けられている。支持部材35には、前述の電磁石に電流を供給するためのハーネス(図示せず)などが支持されている。また、支持部材35には、その支持部材35が回転することを阻止するための回り止め部36が一体に接続されている。
【0019】
前述の電磁石と、入力ギア34と、支持部材35は、一体的なクラッチユニット38として構成され、このクラッチユニット38は出力軸31に着脱可能に嵌合しており、出力軸31に係止された留めリング37(図2)によってクラッチユニット38が出力軸31から抜け出ることが阻止されている。止めリング37を出力軸31から外して、クラッチユニット38を矢印Eで示した軸線方向に引けば、そのクラッチユニット38を出力軸31から抜き出すことができる。
【0020】
一方、図3に示した位置決め部材33は、これに突設された爪39,40が後側板30に形成された孔(図示せず)に嵌合していると共に、図示していないねじによって後側板30に固着されている。図3及び図4に示すように、回り止め部36は係合凹部41を有し、位置決め部材33は係合凸部42を有していて、この係合凸部42が係合凹部41に係合することによって、支持部材35が出力軸31の中心軸線のまわりに回転することが阻止され、その支持部材35が位置決めされる。
【0021】
上述のように、本例の伝動装置29は、画像形成装置本体1の前側板と後側板30より成る支持体に対して回転可能に支持された出力軸31と、その出力軸31に対して回転可能に組み付けられた入力ギア34と、該入力ギア34に対して回転可能であり、かつ出力軸31に対しても回転可能に組み付けられた支持部材35と、その支持部材35に一体に付設された回り止め部36と、電磁石とを有する電磁クラッチを具備すると共に、上記支持体に固定されていて、回り止め部36に係合して、支持部材35が回転することを阻止する位置決め部材を具備している。
【0022】
前述の駆動モータが作動を開始すると、その回転が駆動ギアを介して入力ギア34に伝えられ、その入力ギア34が、出力軸31の中心軸線のまわりに矢印C方向に回転する。このとき、電磁クラッチ32の電磁石に電流を供給すると、その電磁石が付勢され、このとき生じる磁力の作用で、出力軸31と入力ギア34が一体的に連結される。このため入力ギア34の回転が出力軸31に伝達される。一方、電磁石への電流の供給を停止して該電磁石を除勢することにより、出力軸31と入力ギア34の連結が解除される。これにより、入力ギア34の回転が出力軸31に伝達されることが禁止される。このようにして、図1に示したレジスト駆動ローラ27とレジスト従動ローラ28を矢印C,D方向に回転し、又はこれらのローラ27,28の回転を停止させることができ、前述のように所定のタイミングで記録媒体を中間転写ベルト3と二次転写ローラ18との間に送り込むことができる。
【0023】
以上が、後述する各伝動装置の共通する構成である。
【0024】
ここで、図2乃至図4に示した伝動装置29においては、前述の係合凸部42にリング状の弾性部材43が嵌合しているが、この弾性部材43の具体的構成を説明する前に、当該弾性部材43の設けられていない伝動装置の不具合を、図面に即してより具体的に明らかにする。
【0025】
図12に示した伝動装置29は、上述の弾性部材が設けられていない点を除き、図2及び図3に示した伝動装置と変りはない。従って、図12に示した伝動装置においても位置決め部材33に設けられた係合凸部42が、回り止め部36に形成された係合凹部41に嵌合している。その際、この嵌合を容易に行えるように、係合凸部42と係合凹部41の間に隙間Gが存在する。ここで、前述のように入力ギア34が矢印Cで示した方向に回転している状態で、電磁クラッチ32の電磁石への電流の供給が開始されると、入力ギア34が出力軸31に連結され、出力軸31も回転を開始する。このとき、支持部材35は軸受を介して出力軸31に回転可能に支持されているので、出力軸31が回転を開始したとき、支持部材35にも軸受を介してわずかな力が伝えられ、これによって支持部材35も、隙間Gの分、矢印C方向に回転して、係合凹部41と係合凸部42が、図12に示すように衝突する。これによって衝撃音が発生するのである。
【0026】
これに対し、図2乃至図4に示した伝動装置29においては、特に図4に明示するように、係合凸部42にリング状の弾性部材43が嵌合しており、この弾性部材43は好ましくはゴム又は軟質な樹脂により構成されている。図5の(a)及び(b)は、弾性部材43の装着された係合凸部42が係合凹部41に嵌合する前の様子を示す図である。この図から明らかなように、係合凸部42の幅W1は、係合凹部41の幅W2よりも狭いが、係合凸部42に装着された弾性部材43の幅W3は、係合凹部41の幅W2よりも大きくなっている。このため、図4に示したように、弾性部材43の装着された係合凸部42を係合凹部41に嵌合すると、弾性部材43は、係合凹部41と係合凸部42との間で圧縮変形する。係合凸部42と係合凹部41との間に弾性部材43を圧入して、係合凸部42と係合凹部41との間に空隙が形成されないようにするのである。これにより、回り止め部36が位置決め部材33に衝突して衝撃音が発生することを阻止することができる。
【0027】
弾性部材43を装着した係合凸部42と係合凹部41とを嵌合するとき、弾性部材43は弾性変形するので、その嵌合を支障なく行うことができる。
【0028】
図3及び図4に示した伝動装置29においては、リング状に形成された弾性部材43を係合凸部42に嵌合して、その弾性部材43を係合凸部42と係合凹部41との間に圧入したが、係合凸部42を溶融したゴム材料にディピングして、該係合凸部42に弾性材料を固着し、或いは図6に示すように、例えばゴム又は軟質樹脂などから成るブロック状の弾性部材43Aを係合凸部42又は係合凹部41に接着して、係合凸部42と係合凹部41との間に弾性部材43Aを圧入することもできる。
【0029】
上述した例では、回り止め部36に係合凹部41を形成し、位置決め部材33に係合凸部42を形成して、これらを互いに嵌合したが、回り止め部36の方に係合凸部を形成し、位置決め部材33に係合凹部を形成して、これらを嵌合することもできる。要は、回り止め部36と位置決め部材33のいずれか一方が係合凹部を有し、その他方が、該係合凹部に嵌合する係合凸部を有し、該係合凸部と係合凹部との間に弾性部材43,43Aが圧入されていればよい。
【0030】
ところで、図3及び図4に示した位置決め部材33に形成された前述の係合凸部42は、図7にも示すように、電磁クラッチ32の出力軸31のほぼ軸線方向に延びている。かかる係合凸部42が弾性部材43と共に係合凹部41に嵌合するのである。また、図4及び図7に示すように、位置決め部材33は、上記係合凸部42に一体に接続されていて、出力軸31の軸線方向に対してほぼ直交する方向に延びている直交部44を有しており、前述のリング状の弾性部材43は、係合凸部42と直交部44とに亘って嵌合している。図7に示したように、リング状の弾性部材43を位置決め部材33に嵌合するとき、先ずその弾性部材43を矢印Hで示すように係合凸部42に嵌合し、引き続きその弾性部材43を矢印Iで示すように直交部44にまで引張って、その直交部44に嵌合するのである。
【0031】
リング状の弾性部材43を係合凸部42に嵌合するだけであっても、衝撃音の発生を防ぐことはできるが、このようにすると、前述の如く、図2に示した留めリング37を出力軸31から外し、クラッチユニット38を図2及び図3に矢印Eで示した方向に引いて、そのユニット38を出力軸31から外すとき、回り止め部36から弾性部材43に作用する摩擦力によって、その弾性部材43が係合凸部42から抜け出てしまうおそれがある。
【0032】
これに対し、図3及び図4に占めした伝動装置29においては、弾性部材43が係合凸部42だけでなく、その係合凸部42に対して直交する方向に延びる直交部44にも嵌合しているので、クラッチユニット38を矢印E方向に引いたとき、弾性部材43が係合凸部42から抜け出ることを阻止することができる。
【0033】
上述した構成は、回り止め部36に係合凸部と直交部を設け、位置決め部材33に係合凹部を設けた場合にも適用できる。要は、回り止め部36と位置決め部材33のいずれか一方が係合凹部41を有し、その他方が、出力軸31のほぼ軸線方向に延びていて、上記係合凹部41に嵌合する係合凸部42と、該係合凸部42に一体に接続されていて、出力軸31の軸線方向に対してほぼ直交する方向に延びている直交部44とを有し、係合凸部42と直交部44とに亘ってリング状の弾性部材43が嵌合しているのである。
【0034】
図8に示す伝動装置29においては、この図には示していない画像形成装置本体の後側板に突設されている一対のガイド45に沿って摺動可能な加圧部材46が設けられ、この加圧部材46と、後側板に突設されたばね受け47との間に圧縮ばね48が圧装され、この圧縮ばね48によって、加圧部材46が加圧され、これによって加圧部材46が回り止め部36を位置決め部材33の係合凸部42に圧接させている。これにより、回り止め部36が係合凸部42に衝突して衝撃音が発生することを阻止できる。
【0035】
図9に示した伝動装置29においては、位置決め部材33の係合凸部42にスリット49が形成されている。図10はかかる係合凸部42を回り止め部36の係合凹部41に嵌合させる前の様子を示しているが、この状態でスリット49によって分離された係合凸部42の各部分42A,42Bを、手操作によって、矢印Jで示すように、両部分42A,42Bが接近する向きに弾性変形させて、その係合凸部42を係合凹部41に嵌合させる。その嵌合後、係合凸部42から手を離せば、その各部分42A,42Bが、係合凹部41を区画する各面41A,41Bに圧接する。これにより、回り止め部36が係合凸部42に衝突して衝撃音が発生する不具合を阻止できる。
【0036】
上述した構成も、回り止め部36に係合凸部を形成し、位置決め部材33に係合凹部を形成してこれらを係合させた場合にも適用できる。要は、回り止め部36と位置決め部材33のいずれか一方が係合凹部41を有し、その他方が、係合凹部41に嵌合する係合凸部42を有し、該係合凸部42にはスリット49が形成され、該スリット49によって分離した係合凸部42の各部分42A,42Bを互いに接近する向きに弾性変形させた状態で、該係合凸部42を係合凹部41に嵌合させ、該係合凸部42の前記各部分42A,42Bを係合凹部41を区画する各面41A,41Bに圧接させるのである。
【0037】
スリット49が形成される部材が樹脂により構成されていると、その部材を容易に弾性変形させることができ有利である。
【0038】
図11に示す伝動装置29においては、位置決め部材33が、その本体50と、該本体50に固定された板ばね51とを有し、その板ばね51が弾性変形した状態で回り止め部36の係合凹部41に嵌合している。これにより、板ばね51は、その弾性によって、係合凹部41を区画する各面41A,41Bに圧接する。かかる構成によっても、回り止め部36が位置決め部材33に衝突して衝撃音が発生する不具合を阻止することができる。
【0039】
位置決め部材33に板ばね51を設け、その板ばね51を回り止め部36に形成された係合凹部41に嵌合する代わりに、位置決め部材33に係合凹部を形成し、その係合凹部に回り止め部36に設けた板ばねを嵌合させてもよい。要は、回り止め部36と位置決め部材33のいずれか一方が係合凹部41を有し、その他方が、係合凹部41に嵌合する板ばね51を有し、該板ばね51は、当該板ばね51の弾性によって、係合凹部41を区画する各面41A,41Bに圧接しているのである。
【0040】
以上、駆動モータの回転をレジスト駆動ローラ27に伝達する伝動装置29に本発明を適用した例を説明したが、本発明は、他の要素に回転を伝達する伝動装置にも広く適用できるものである。例えば、図1に示した中継ローラ対5の中継駆動ローラ25に、駆動モータの回転を伝える伝動装置にも、本発明を有利に適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
29 伝動装置
31 出力軸
33 位置決め部材
34 入力ギア
35 支持部材
36 回り止め部
41 係合凹部
41A,41B 面
42 係合凸部
42A,42B 部分
49 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体に対して回転可能に支持された出力軸と、該出力軸に対して回転可能に組み付けられた入力ギアと、該入力ギアに対して回転可能であり、かつ前記出力軸に対しても回転可能に組み付けられた支持部材と、該支持部材に一体に付設された回り止め部と、前記支持体に固定されていて、前記回り止め部に係合して、前記支持部材が回転することを阻止する位置決め部材を具備し、前記出力軸と入力ギアを連結して、該入力ギアの回転を出力軸に伝達する伝動装置において、前記回り止め部と位置決め部材のいずれか一方が係合凹部を有し、その他方が、前記係合凹部に嵌合する係合凸部を有し、該係合凸部にはスリットが形成され、該スリットによって分離した係合凸部の各部分を互いに接近する向きに弾性変形させた状態で、該係合凸部を前記係合凹部に嵌合させ、該係合凸部の前記各部分を係合凹部を区画する各面に圧接させたことを特徴とする伝動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の伝動装置を具備する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−137780(P2012−137780A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−66084(P2012−66084)
【出願日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【分割の表示】特願2006−196956(P2006−196956)の分割
【原出願日】平成18年7月19日(2006.7.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】