説明

伝導性調製物とその製造方法

伝導性調製物であって、特に電気伝導性および/または熱伝導性の伝導性調製物であって、少なくとも一時的には液状の第1相と、第1相に加えられた少なくとも1種の、好ましくは少なくとも2種の伝導性添加物とから成る、調製物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は伝導性調製物と、このような伝導性調製物の製造方法に関する。本発明はまた特に合成樹脂の製造方法に関する。さらに本発明は合成樹脂の調製物に関する。
【0002】
合成樹脂の調製物の場合たとえばポリマーの調製物に関するものもある。
本発明は特に電気伝導性および/または熱伝導性の調製物に関する。特に本発明は電気伝導性の調製物に優先的に関する。
【背景技術】
【0003】
現在の電気伝導性ポリマーの調製物は、たとえば黒鉛、カーボンブラック、銀、炭素繊維、金属コーティング層のある伝導性のある、または伝導性のない粒子、あるいはこれらの混合物を含む。
この場合、たとえば1 mS/cmの導電率を達成するには添加物に応じて5―80重量%という高い充填成分が必要なために粘度の劇的な増加が起こる。そのために現在利用できる電気伝導性調製物は加工しにくい。
【0004】
現在の熱伝導性ポリマーの調製物は、銀のような金属、またはAl2O3、AlN、Si3N4、SiO2、BNのようなセラミック、金属コーティング層を付けた伝導性のある、または伝導性のない粒子、あるいはこれらの混合物を含む。この場合、たとえば3W/mKの熱伝導率を達成するには添加物に応じて50 -80重量%という高い充填成分が必要なため粘度の劇的な増加が起こる。そのために現在自由に使える熱伝導性調製物も同様に加工しにくい。
【0005】
加工問題に対して現在一番よく行われている解決法はCNT/樹脂システムに表面活性剤または溶剤を加えることである。しかしこの方法では乾燥や架橋結合の際に別の問題を引き起こし、また架橋した材料の機械的および化学的特性の劣化を引き起こす可能性のあることが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は上記の欠点を示さない伝導性調製物の製造方法ならびに伝導性調製物を作成することである。
【0007】
この課題はそれぞれ独立した特許請求項1と7による特徴を持つ伝導性調製物、ならびにそれぞれ独立した特許請求項8と12による特徴を持つこのような伝導性調製物の製造方法によって解決される。発明のさらなる特徴と詳細は副次的請求項、説明ならびに例により記述する。本発明による製造方法の態様に関連して記述された特徴と詳細は、当然のことながら本発明による調製物の態様に関連して記述された特徴と詳細にも適用され、その逆も同様である。同様に、ある製造方法の態様あるいは調製物の態様に関連して記述された特徴は、当然のことながらそれぞれ他の製造方法の態様ならびに調製物の態様に関連する特徴に適用される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の最初の態様により伝導性調製物、特に電気伝導性および/または熱伝導性の調製物が作成されるが、これは少なくとも一時的には液状である第1相と少なくとも第1相に添加された伝導性添加物とを含む。
【0009】
その際に何時液状の第1相があるかは重要ではない。このことは全体の製造および加工プロセスの間に、あるいは1つのあるいは複数のプロセス段階で起こり得ることであり、たとえば混合過程または応用中に起こるかもしれない。これには粉体コーティング層生成や同様の物もまた含まれる。
【0010】
ここで液状の概念は特に物理的な意味で解釈される必要があり、これによって当然のことながら粘性のあるものあるいは非ニュートン流体ならびに熔融体や同様のものも含まれる。
【0011】
特に本発明による伝導性調製物、特に電気伝導性または熱伝導性の調製物が以下によって得られることが好ましい。
A) 最初の、少なくとも一時的には液状である第1相の作成
B) 少なくとも1種の伝導性添加物の添加、好ましくは第1相で少なくとも2種の伝導性添加物の添加
C) 第1相と少なくとも1種の伝導性添加物との混和および均質化
【0012】
その際に任意の混合順序が可能である。つまりたとえば、まず添加物単独または2種あるいは多数の予め混合した添加物を最初の少なくとも一時的には液状である第1相と混合することができる。さらなる添加物をその後に混合してもよく、これは本発明に必ずしも必要なことではない。
【0013】
このような調製物は多様なやり方で利用できる。このような調製物が加熱できるコーティング層、加熱できる形状として、場合により加熱できるコーティング層または加熱できる形状および同様のものの中に利用できるというのは利点である得る。もちろん本発明はここに述べた例に限定されない。いくつかの利点のある、しかしそれに限定されない適用可能性を以後の説明の過程で記述する。
【0014】
第1相において少なくとも1つのさらなる伝導性添加物が添加できるのは好ましい。
【0015】
特に第1あるいは第2の伝導性添加物が炭素ベースから形成されていることが好ましいことであり得る。ただし本発明は特定の材料に限定されない。いくつかの好ましい、しかしそれに限定されない例を以後の説明の過程で詳しく記述する。
【0016】
調製物が少なくとも1つのバインダおよび少なくとも1つの添加物またはそのいずれかを含むのが好ましいことであり得る。バインダは一般に物質や材料を結びつける結合手段である。本発明は特定のバインダに限定されず、有機あるいは無機物質から形成されていても構わない。形成に応じてさらに添加物を混合するが、その際にこれに関連する本発明は特定の添加物に限定されない。いくつかの好ましい、しかしそれに限定されないバインダと添加物の例を以後の説明の過程で記述する。
【0017】
さらなる加工において調製物は電気的接触部または電気的接触部設置のための手段を有することができる。
【0018】
調製物はコーティング層生成物として形成することもできる。たとえばコーティング層生成物はワニスでもよい。コーティングにより基材を覆うことができる。ワニスはしたがって基材の一番外側のコーティング層となり、このワニスの下には既にもたらされた別のコーティング層があってもよい。もちろんワニスが一種のプライマーとして機能することも考えられる。このことは基材の上に設置されている伝導性調製物を示すワニスの上にさらに、たとえば別のワニスの層のような保護層または同様の層を設置することができることを意味する。本発明による調製物を含む製品はたとえば1つまたは複数のコーティング層を持つことができ、その際に本発明によるコーティング層が最下層、最上層または他の層の中間にある層であってもよい。
【0019】
伝導性調製物は加熱素子としてあるいは加熱素子用として形成することができる。
【0020】
伝導性調製物は基材に設置するかあるいは基材に設置し得るものとして形成することができる。
【0021】
基材に関して本発明は特定の形状あるいは物質に限定しない。たとえば素地は滑らかでも粗くても良く、たとえば以下に記述するプロセスの1つによってコーティングすることができる。その際に必要が有ればたとえばバインダを使用してもよい。同様にたとえば織物、羊毛、糸、天然および合成繊維および同様のものなど、あらゆる種類の布地および繊維を基材として使用することができる。
【0022】
本発明による伝導性調製物はいろいろな目的に使用し、応用することができる。一般的にこの調製物は、いくらか予熱あるいは加熱が必要なところ、たとえば加熱できる鏡、加熱できる防水布、特にトラックの防水シート、壁の表面材、壁紙、床板および同様のもの、機械の結露防止装置、配管、航空機、特に翼部、布地、暖房マット、加熱カバー、加熱シートおよび同様のものに使用できる。その際に適用はその内部であっても外部であってもよい。これに対応する調製物、たとえばワニスはたとえば箔、布地、柔軟な材料および同様のものから形成されている基材の一部として存在してもよい。その際に調製物は基材の上のコーティング層としてでも、また基材の内部の構成材としてあってもよい。本発明の好ましいさらなる応用分野は装置の加熱、特に医療用機器の加熱である。医療機器の場合、例として血圧測定器を考えてみると、血圧測定器は適切な方法で温度管理された状態のみ正しく正確に動作する。このことはたとえば屋外のスポーツ選手にとって意味がある。本発明による伝導性調製物を使えばこのような機器を暖めることが可能である。もちろん血圧計バンドだけ暖めることも可能である。
【0023】
伝導性調製物は基材の上に塗布することも基材の上に取り付けることができるように形成することも可能である。このような形態には特に調製物とそれにより基材が均等に加熱されるという利点がある。特にこのような加熱装置は、これまで必要だった加熱線のコイル、螺旋、引出線、構成した加熱層あるいは同様のものを使わなくて済むので、構造的に簡単に実現できる。
【0024】
基材の上に付けた、あるいは基材中に形成された伝導性調製物が電気的接触を有し、それを通して伝導性調製物に電圧を掛けることができる。これによって調製物に流れる電流が伝導性調製物を所望のように加熱することができる。
【0025】
伝導性調製物は加熱素子として形成することができる。別の形態では伝導性調製物は加熱素子用構成要素として形成することができる。前者の場合、伝導性調製物自体が加熱素子となる。後者の場合、伝導性調製物は加熱素子の一部であり、いわば加熱素子の中にある加熱素子である。
【0026】
さらに伝導性調製物、特に前述の本発明により形成し、少なくとも1つの基本材料、特に合成樹脂材料、と少なくとも2つの混合した添加物を使用し、その際に少なくとも1つの添加物が伝導性添加物を形成することを特徴とする合成樹脂の調製物、は好ましい。
【0027】
特に前述の本発明により形成した伝導性調製物、特に少なくとも1つの基本材料、特に合成樹脂材料と少なくとも2つの添加物を使用し、その際に少なくとも1つの添加物が伝導性添加物を形成し、個々の成分が調製物、特に合成樹脂の調製物のために混合されることで得られる合成樹脂の調製物は好ましい。
【0028】
さらなる態様により伝導性調製物、特に電気伝導性および/または熱伝導性の調製物、特に前述の本発明による伝導性の調製物、の以下のステップを特徴とする製造方法が得られる。
A) 少なくとも一時的には液状である第1相の作成
B) 少なくとも1種の伝導性添加物、好ましくは少なくとも2種の伝導性添加物、の第1相への添加
C) 第1相と少なくとも1種の伝導性添加物とを混和および均質化
【0029】
その際に任意の混合順序が可能である。つまりたとえばまず添加物を単独で、あるいは2種またはそれより多数の事前に混合した添加物を最初の少なくとも一時的は液状である第1相に混合することができる。その後さらなる添加物を混合することもできるが、これは必ずしも本発明に必要ではない。
【0030】
このようにして伝導性の、特に導電性の、および加熱できるコーティング層のための混合物またはそのいずれかの混合物をたとえばワニスの形態で製造することができる。
【0031】
まず少なくとも一時的液状であることを特徴とする第1相を投入する。その際に本発明は特定の相に限定されない。たとえば相は水性のベース、たとえば水の形態で形成されていてもよい。もちろん他の型の相も可能で、たとえば水性、溶媒ベースあるいは同様のものから形成される合成樹脂ベースの相でもよい。また第1相は樹脂または同様のものから形成されていてもよい。もちろん記述した例の組合せも可能である。記述した例はあくまで例であって、排他的な列挙ではなく、発明を記述した例に限定するものではない。
【0032】
第1相に少なくとも1つの伝導性添加物を添加する。選択により少なくとももう1つの伝導性添加物を添加することができる。このような種類の伝導性添加物に対する排他的でない例を上に述べたが、説明の過程でさらに詳しく説明する。
【0033】
少なくとも1つのバインダおよび少なくとも1つのさらなる添加物またはそのいずれかを添加してもよい。
【0034】
伝導性調製物を基材に設置することができる。
【0035】
このような方法により伝導性調製物をコーティング層、特にワニスの形態で製造できる。
【0036】
このような方法により伝導性調製物を加熱素子あるいは加熱素子用構成要素として製造することができる。
【0037】
まず溶液を作成し、その中に前述した伝導性添加物の形態の充填物およびバインダまたはそのいずれかとさらなる添加物を添加する。第1相が合成樹脂の場合、合成樹脂をまず溶解することが必要かもしれない。それから均質な状態の混合物または混和物を作成する。ここでさらに添加物によりさらなる希釈を行うことも可能である。
【0038】
こうして生成した伝導性調製物は異なるやり方で基材に塗布することができ、それはたとえば掻き取り、噴霧、筆塗り、ローラー、浸漬、浸透、塗布、鏝塗りなど、あるいはまた直接間接の印刷方法、たとえばスクリーン印刷、マスク印刷、タンボン印刷、凹版印刷などである。
【0039】
さらに特に合成物質製の伝導性調製物、特に前述の本発明による調製物の製造のための、その際に前述の本発明に従って実施される方法であって、少なくとも1種の基本材料、特に合成物質製の材料に少なくとも2種の添加物が投入され、そのうちの少なくとも1種の添加物が伝導性添加物として形成されていること、および前記個別成分が調製物、特に合成物質製調製物に混和される方法が好ましい。
【0040】
さらにまた伝導性添加物の形態を取る、好ましくは炭素をベースとする第1添加物が基本材料に混和されること、好ましくは炭素をベースとする第2添加物、特に伝導性添加物が基本材料に混和されること、および前記の両部分混合物が混和されて調製物、特に合成物質製調製物に仕上られる方法が好ましい。
【0041】
前記の基本材料および/または調製物に、少なくとも1種の別な材料および/または少なくとも1種の別な物質が混合されることが好ましい。
【0042】
伝送性調製物は電気伝導性および/または熱伝導性となるように形成することができる。調製物を電気伝導性となるように形成することが好ましい。このような調製物は少なくとも1つの伝導性添加物を添加することにより低抵抗となり、電気的抵抗が少ないので良好な導電性を示す。これにより均一な加熱性を実現できる。低抵抗性によりさらに良好は加熱を達成するために僅かな電圧を印加するだけでよい。
【0043】
個々の発明の態様の形成を以下にさらに詳しく説明する。
【0044】
第1相または基本材料が合成樹脂で形成されている限り、本発明は電気伝導性および/または熱伝導性のポリマーに関する。本発明は特に優れた電気/熱伝導性を持ち、粘性の少ないポリマーの調製物を提供する。もちろんその他の合成材料も可能である。
【0045】
本発明は特にポリマーの種類(特に反応性樹脂およびそれに対応する硬化剤と促進剤、熱可塑性ポリマーおよびエラストマー)、またさまざまな形態、加工および処理の炭素粒子、またさまざまな形態、加工および処理の金属粒子、さまざまな形態、加工および処理のセラミック粒子、その他の伝導性添加剤に関する。
【0046】
さらに本発明は伝導性調製物、特にポリマーの調製物であって、その際に基本材料たとえばベースポリマーと並んで少なくとも2つの伝導性添加物を含み、そのうち少なくとも1つが炭素から成っているもの、の製造方法と本発明により製造された調製物とその適用とに関する。
【0047】
伝導性調製物はさらに分散剤、溶剤、安定剤などのような補助剤を含むことができるが必ず含まなければならないということではない。
【0048】
本発明に関連して一連の材料および物質について応用および考察を示す。しかしそれに限定されない例を以下の説明の過程でさらに詳しく記述する。
【0049】
伝導性添加物は炭素ベースで形成することができる。以下に好ましい伝導性添加物につきそれに限定されない例を説明するが、これは個別にあるいは任意の組合せで使用することができる。
【0050】
黒鉛
黒鉛はどこにでもある鉱物で、半金属と非金属の分類に属する。黒鉛はダイヤモンドとフラーレンと並んで地下の自然状態で安定な炭素の第3の形態(変形)であり、多くの場合六方晶系の結晶で、ごく稀に三方晶系である。
黒鉛は不透明で、灰色ないし黒色の結晶で。板状、鱗状あるいは円柱状の形をしており、結晶面は金属光沢を示す。
結晶黒鉛には平行して走る「基底面」または「グラフェン層」と呼ばれる平面層がある。1つの層は共有結合の六角形状結晶から成り、その炭素原子はsp2的な混成軌道を持つ。この面内では炭素原子間の結合エネルギーは4.3 eVであり、面間ではこれに対して僅か0.07 eVである。このように極端な結合力の方向依存性から、黒鉛の機械的、電気的、熱的特性の明確な異方性が生じる。つまり、純粋な黒鉛は基底面に沿って容易に劈開し、結晶層に沿って明確に大きい強度を持ち、基底面に直交して熱的、電気的絶縁性を示し、これに対して基底面に沿ってはほとんど金属的な伝導性を示す。
面内での伝導性はπ電子の非局在化により可能となる。面がはっきりした相関を互いに示さない場合は、乱層構造炭素と呼ばれる。
【0051】
カーボンナノチューブ
カーボンナノチューブ(CNT)は円筒形に丸めて閉じたグラフェン層から成る。個々の管は「単層カーボンナノチューブ」(SWCNT)と呼ばれ、より大きな直径に凝縮して積み上がった粒子は「多層カーボンナノチューブ」(MWCNT)と呼ばれる。
CNTはいろいろな方法で作ることができる。最も良く知られているのはアーク法、レーザーアブレーション法および触媒を利用した触媒化学気相法(CCVD)である。最後の方法はCNTの工業生産に適している。この場合にはCNTは金属性の触媒活性基材の上で気相の炭素供給源(炭化水素、アルコール、CO、CO2)から生成する。
商業的に供給できるSWCNTの直径は0.5 - 4 nm、MWCNTの直径は6 - 100 nmである。CNTの長さは数mmまで得られる。
CNTの物理的特性は基底面に沿った黒鉛のそれにかなり対応する。
CNTは現在機械的な補強、ポリマー、セラミックおよび金属へのへの電気的および熱伝導性添加物として使用されている。さらにCNTは良好な分散性や基質への結合性に対する要求を満たすためにしばしばその表面を化学的に少し変化させる。通常CNTは基質に添加される。態様が多岐にわたり、また大きな特殊表面のため、比較的低いCNT含有量の複合体のみ製造可能である。
【0052】
カーボンナノファイバー
カーボンナノファイバー(CNF)はフィラメントの軸に沿って互いに積み上がったグラフェン層から成る。グラフェン面のフィラメント軸に対する角度(向き)がおおまかな識別に使われる。いわゆる「鰊の骨」CNFは90°ではない角度で配置されたグラフェン面を持つ。このCNFは中実でも中空でもあり得る。その直径は50 nm - 1 μmの範囲にあり、長さは数mmまで得られる。グラフェン層がフィラメント軸に対して90°の角度に配列されている場合、「プレートレット」CNFと呼ばれる。その直径は50 - 500 nmの範囲にあり、長さは50 μmまで作ることができる。
このCNFは通常CVDにより製造される。その応用は主に触媒反応における触媒キャリアとリチウムイオン電池あるいはガス貯蔵の際の活性添加物である。
【0053】
カーボンブラック
カーボンブラックは黒色の粉末固体で、品質と適用に応じて炭素が80%まで含まれる。
その応用分野によってカーボンブラックは特別な特性を持ち、これは製造プロセスの種類とプロセスのパラメーターの変化により目的に叶うように作られる。
カーボンブラック、その特性、製造方法、応用その他については既に詳しく書かれているのでここでは関連の専門書を指摘するに止める。
【0054】
第1相ならびに基本材料は合成樹脂ベースで形成することができる。以下にいくつかの、しかしこれに限定されない好ましい例を記述するが、これはそれぞれ単独でもあるいは任意の組合せでも使用することができる。
【0055】
ポリマー
ポリマーとは1つまたは少数の種類の同じ性質を持つもの(モノマー)から成る化学的な結合である。このような分子は多くの場合鎖状または分枝して形成されており、モノマー同士は共有結合している。
【0056】
反応系
添加物を加える基本物質、合成樹脂としてはたとえばエポキシグループを含有するモノマー、オリゴマー、ポリマーがある。これらはたとえばビスフェノール A、ビスフェノール F、ノボラックを基にしている。芳香族の他には脂肪族の誘導体がある。エポキシ樹脂は単、二、三、四および多官能価であってよく、すべての分子量を含む。
さらに単および多官能価の脂環式エポキシ樹脂、たとえば3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス((3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル)アジペートおよび分子量の大きいまたは小さい誘導体がある。
【0057】
基本樹脂の他のグループとしてはシアン酸エステルとイソシアネート、たとえば2,4-ジイソシアナト-1-メチルベンゼン、1-イソシアナト-4-[(4-イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼン、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)エタン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン、オリゴ(3-メチレン-1,5-フェニレンシアナト)および分子量の大きいまたは小さい誘導体がある。
【0058】
基本樹脂の他のグループとしてはあらゆる分子量の直鎖および分枝したジオールおよび多官能価アルコール、オリゴ-およびポリエステル-およびポリエーテル-ポリオールを含む。
【0059】
その他の基本樹脂のグループには反応性ポリイミド系がある。これには単官能価モノマー、たとえばN-フェニルマレイミド、2,6-キシリルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドなど、および二官能価のモノマーたとえば4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N-(4-メチル-m-フェニレン)ビスマレイミド、N,N’-m-フェニレンビスマレイミド、ビスフェノール-Aジアリルエーテル、o,o’-ジアリルビスフェノール-A、ポリフェニルメタンビスマレイミド、ポリベンゾイミダゾールを含む。
【0060】
基本樹脂のその他のグループとしてはたとえばノボラックあるいはレゾールをベースにしたフェノール樹脂がある。
【0061】
基本樹脂のその他のグループとしては不飽和ポリエステル樹脂およびビニルエステル樹脂がある。
【0062】
基本樹脂のその他のグループとしてはアルキド樹脂がある。基本樹脂のその他のグループとしてはメラミン樹脂がある。基本樹脂のその他のグループとしてはポリシラン樹脂およびシリコン樹脂がある。基本樹脂のその他のグループとしてはアクリレート樹脂がある。基本樹脂のその他のグループとしてはポリキノキサリンがある。基本樹脂のその他のグループとしてはピッチおよびアスファルトがある。
【0063】
さらに含まれるのは硬化剤物質と促進剤で、小、中、高分子量のアミン、アミド、アミドアミン、アミノアルコール、アミノ酸、酸無水物、イミダゾール、シアナマイド、アルコール、フェノール、ポリオール、シアネート、メルカプタン、カルボン酸、金属錯体などである。さらに水性あるいは溶剤を含む樹脂あるいは硬化剤の分散剤が含まれる。
【0064】
熱可塑性樹脂
基本物質として重要なのはたとえばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリイソブチレンなどのポリオレフィンである。
基本ポリマーのその他のグループとしてはたとえばポリアミド-66、ポリアミド-12、ポリアミド-11、ポリアミド-6などのポリアミドがある。
その他に含まれるものとしてはポリメチルメタクリレート、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸およびその誘導体などのポリアクリルポリマーがある。
【0065】
基本ポリマーのその他のグループとしてはポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフロライドなどのフルオロポリマーがある。
基本ポリマーのその他のグループとしてはたとえばポリグリコール、ポリエチレンテレフタレートなどの脂肪族および芳香族ポリエステルがある。
基本ポリマーのその他のグループとしてはたとえばポリエーテルイミドのようなポリイミドがある。
基本ポリマーのその他のグループとしてはたとえばポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなどのポリ(アリル)エーテルケトンがある。
基本ポリマーのその他のグループとしてはたとえばポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルフルホンなどのポリサルファイドがある。
基本ポリマーのその他のグループとしてはポリアセテートがある。
基本ポリマーのその他のグループとしてはたとえばニトレート、アセテート、アセテートブチレートなどのセルロースとその誘導体がある。
基本ポリマーのその他のグループとしてはたとえばポリビニルクロライド、ポリビニルアセテート、ポロビニルアルコール、ポリビニルブチラル、ポリビニルピロリドンなどのビニルポリマーがある。
さらに水性あるいは溶剤を含む熱可塑性樹脂分散剤が含まれる。
【0066】
エラストマー
基本物質としては例えば塩素、スチロール、ニトリル、硫黄、酸素を含むことができる天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴムその他のゴムが重要である。
基本ポリマーのその他のグループとしてはシリコンエラストマーがある。
本発明により特に電気的および熱的に伝導性のあるポリマー調製物を作成することができる。
【0067】
無機系
石膏、モルタル、砂、セメント調製物、たとえばコンクリート、およびその他の前述した添加物の添加により伝導性にできるものなどに関する。さらにAlO、AlN、SiO、SiC、SiNなどのセラミックもある。
伝導性添加物の添加は水性または溶剤を含む相に適切な有機および無機またはそのいずれかのバインダを加えて行う。
【0068】
前記系は最初に有機的中間段階により生成される特別な状態を取ることもある。その例は、炭素に変換され得るフェノール、シアネートエステル樹脂、ピッチ、アスファルト、およびSiO、SiC、SiN、SiCNに変換され得るポリシラン、ポリシロキサン、ポリシラザンを用いる調製物である。
【0069】
合成樹脂系、たとえばポリマー系、において適切な混合条件の下で、2つの伝導性添加物、そのうち少なくとも1つは炭素(たとえば黒鉛とCNT、または黒鉛/カーボンブラックとCNT、または黒鉛/銀とCNT、または黒鉛/AlNとCNT)、の懸濁状態を作り得るということが判ったが、これは抜群の電気/熱伝導性につながり、ポリマーの機械的、化学的特性の影響を従来の充填ポリマー系よりも著しく少なくすることができる。本発明による充填物組合せのもとで作成したポリマー調製物は比較的小さな粘性を示し、そのために加工が容易である。
【0070】
この効果はすべての種類のポリマーで見ることができ、樹脂、熱可塑合成樹脂、エラストマーの場合もそうであり、さらには加工プロセスにほとんど影響されず、電気伝導性、熱伝導性に関して互いにCNTと黒鉛およびカーボンブラックまたはそのいずれか、あるいはセラミック、あるいは金属などとの共同作用が見られる。
【0071】
本発明の特徴は、従来の熱伝導性/電気伝導性の粒子をCNTおよび黒鉛またはそのいずれかと組み合わせることにより、成分の単体濃度を減らすことができ、それによって充填物の全体の濃度も減らし、したがって粘度への影響を減らすことが可能であるという点にある。
【0072】
ここで現れる電気的、熱的、流動学的特性(反応性成分の、熔融、溶解などの)は黒鉛やCNT単体では達成されず、したがってここではこれら2つの粒子の明らかな共同効果があり、さらにはCNT/黒鉛-ハイブリッドとその他の充填物との間の共同効果もある。
【0073】
従来の炭素添加物を使用した場合、変更を加えていないポリマーに5 -20 重量%を添加して約1 mScm-1の導電率を達成できる。金属性の充填物、たとえば銀、を使用した場合、50 -80 重量%を添加して約10 kScm-1程度を達成できる。ここで1 mScm-1の値は約30重量%の添加で達成できる。銀を充填物にした系の熱伝導率は1 -3 W/m.Kの範囲である。BN、Al2O3、SiO2、AlN、BNなどのセラミック粒子を単独で使用した場合、通常1 - 5W/m.Kの範囲の熱伝導率が得られる。もちろん最後の系は電気的に非伝導である。
【0074】
基本材料ならびに第1相、たとえばポリマーが化学的に最適化され、それぞれの充填物質が最適化されている調製物は、特に好ましい。最適化は実際に化学的な変更およびいろいろな成分、たとえばポリマー成分の混合により行う。同様に焼き入れしたあるいは黒鉛化したCNT/黒鉛の適用は特に好ましい。いろいろ黒鉛の混合物およびいろいろなCNTの混合物およびいろいろな金属粒子の混合物、およびいろいろなセラミック粒子またはそのいずれかの適用ならびにその他の伝導性添加物、たとえばカーボンブラック、金属コーティングしたシリケートなどの投入からさらに好ましい結果が得られる。
【0075】
必要に応じて調製物にさらにコーティング層あるいは鋳物または捏ねものといった補助剤を添加できる。これはもちろん必ずしも伝導性の向上に必要なものではなく、またあらゆる場合に望ましいわけでもない。
【0076】
溶剤および反応性希釈剤またはそのいずれかの添加はこのように影響し、特に薄い皮膜においては大きな意味があり、大きな利点がある。
【0077】
シラン、チタネートあるいはジルコネートなどのような粘着促進剤の添加は充填物質と元の物質との間、また調製物と基材との間の粘着を向上させる。
【0078】
粘度は流動学的添加物を使用して所望の値まで高くしてCNTやその他の添加物の沈澱を防止したり、遅らせたりして、たとえば保存安定性を向上させることができる。
【0079】
滑石、雲母、水晶などの粒子により機械的特性をさらに改善し、または特性に影響を及ぼすことができる。
【0080】
反応性樹脂
本発明は1成分系のほかに2成分系および多成分系も含む。これはここに記述した調製物の使用者は、1成分系の場合に架橋を引き起こすために熱を導入する必要があり、2成分および多成分系の場合室温でまたは熱の導入により架橋を引き起こすためにこれらの成分をまず互いに混合する必要があると理解できよう。
【0081】
エラストマー
本発明はどのような種類の調製物の形態をも含む。
【0082】
熱可塑性樹脂
本発明はたとえば顆粒、粉末、分散、マスターバッチなどさまざまな形態の調製物を含む。
【発明の効果】
【0083】
本発明には一連の特別な利点がある。すなわち、たとえば反応性樹脂、融液、溶液などの粘度は充填物質の割合が比較的小さいので基本樹脂あるいは基本硬化剤あるいはポリマー融液などに対して少し上がるだけである。これによって調製物は原則的に充填しないポリマーとまったく同じか同じように取り扱える。このことはそれぞれの調製物の広い分野での応用を可能にする。
【0084】
CNTと黒鉛の使用は、カーボンブラック、銀あるいはAlNの節約により従来の電気的伝導性の調製物に対してかなりのコストの削減を可能にする。
充填物質の濃度が小さいので場合によっては従来の顔料で着色することが可能である。
従来の伝導性添加物に基づく電気伝導性/熱伝導性の調製物から伝導性を減少させることなく添加物の割合を著しく減らしてずっと少ない割合のCNTと黒鉛で置き換えることが可能である。
【0085】
黒鉛、カーボンブラック、銀またはAlNのような従来の伝導性添加物の割合を元の割合から75%、50%、30%、20%減らし、全調製物に対して0.05 - 1.5%のCNTと1 - 1.5%の黒鉛、特に0.3% - 0.6%のCNTと5 - 10%の黒鉛を加えることによりこれを補償することが可能である。
この効果はまた金属コーティング層を付けたシリケート、酸化チタンおよび炭素の組合せや金属の繊維に適用できる。
新しい調製物は全充填物質含有量が少なく、それによって粘度も低いので取扱いも使い方も容易である。
CNTと黒鉛の使用により従来の処方より少ないコストの調製物が可能である。
黒鉛/CNTの組合せは電気的、熱的伝導性と加工性に関して他の炭素の組合せよりも優れており、このことがかなりのコスト低減につながる。
【0086】
本発明をいくつかの好ましい、しかしそれに限定されない例を使って説明する。
【実施例1】
【0087】
例:導電性のエポキシ調製物の製造
充填したエポキシ樹脂、特に標準ビスフェノールAをベースにしたもの
黒鉛を基本エポキシと一緒に高濃度のマスターバッチとして混合する。同様にCNTも基本エポキシと高濃度のマスターバッチとして混合する。両方のマスターバッチを互いに、また基本樹脂と、所望の濃度になるように混合する。調製物は粘度<10 Pas (プレート/プレート)、また抵抗は<1 kΩ(電極をマルチメータに差し込む。間隔〜1 cm)である。
充填した硬化剤、特にアミノベースのもの
黒鉛を基本硬化剤と一緒にマスターバッチとして混合する。またCNTを基本硬化剤と一緒にマスターバッチとして混合する。両方のマスターバッチを互いにまた基本硬化剤と一緒に所望の濃度に混合する。この調製物は粘度<10 Pas (プレート/プレート)、また抵抗は<100 Ω(電極をマルチメータに差し込む。間隔〜1 cm)である。
硬化させた試料
樹脂と硬化剤を正しい比率で混合したあと樹脂は架橋する。硬化させた試料(角棒:4x10x80)の相対する最小面に銀の電極を接触させ、抵抗値をマルチメータで測定する。試料の寸法を考慮するとCNT濃度<0.6%で黒鉛濃度<10%の場合、比抵抗<100 Ωcmが得られる。樹脂/硬化剤混合物は容易に注型できる。
【0088】
本発明は特に加熱できるコーティング層や加熱できる形に適している。本発明のその他の好ましい適用および応用としては、たとえば以下のものがある。
導電性コーティング層および接着剤:
静電気防止床材
電磁シールド
電気伝導性/熱伝導性の電子機器用接着剤
などがある。
伝導性の注型および捏ねるのに適した柔らかい素材:
静電気防止成形物
電磁遮蔽したケース
電子機器用の電気伝導性/熱伝導性ケース
導電性の良い構造部品:
CFK(炭素繊維強化樹脂)
GFK(ガラス繊維強化樹脂)
SFK(合成繊維強化樹脂)
プレプレグ
炭素とセラミック複合材の原料
フェノール、シアネートエステル、ポリシラン
マイクロ波および電界またはそのいずれかで加熱し、架橋することができる反応系
熔融接着剤、タイヤ、およびそのようなもの。
【実施例2】
【0089】
例:熱伝導性および電気伝導性のエポキシ調製物の製造
充填したエポキシ樹脂、特に脂環式ベースのもの
黒鉛を基本エポキシ樹脂と一緒に高濃度のマスターバッチとして混合する。またCNTを基本エポキシ樹脂と一緒に高濃度のマスターバッチとして混合する。またAlN粉末を基本エポキシ樹脂と一緒に高濃度のマスターバッチとして混合する。すべてのマスターバッチを互いにまた基本樹脂と一緒に所望の濃度に混合する。この調製物は粘度<25 Pas (プレート/プレート)、また抵抗は<10 k Ω(電極をマルチメータに差し込む。間隔〜1 cm)である。
潜在性硬化剤、特に酸無水物ベースのもの
黒鉛を基本硬化剤と一緒にマスターバッチとして混合する。またCNTを基本硬化剤と一緒にマスターバッチとして混合する。またAlN粉末を基本硬化剤と一緒にマスターバッチとして混合する。すべてのマスターバッチを互いにまた基本硬化剤と一緒に所望の濃度に混合する。この調製物は粘度< 10 Pas (プレート/プレート)、また抵抗は<1 k Ω(電極をマルチメータに差し込む。間隔〜1 cm)である。
硬化させた試料
樹脂、硬化剤、促進剤の成分を正しい比率で混合したあと数週間から数ヶ月室温で保存できる1-K系を得る。樹脂は温度を上げると完全に硬化する。接着層の比抵抗は1 - 10 kΩcmの範囲にあり、熱伝導率は5 - 6 Wm.Kの範囲にある。CNT濃度は< 0.6%、黒鉛濃度は< 10%、AlNの濃度は <40%である。この樹脂/硬化剤混合物(ペースト)は容易に塗布することができる。
【実施例3】
【0090】
例:電気伝導性のポリウレタン調製物の作成
充填したポリオール
黒鉛を基本ポリオールと一緒に高濃度のマスターバッチとして混合する。またCNTを基本ポリオールと一緒に高濃度のマスターバッチとして混合する。両方のマスターバッチを互いにまた基本ポリオールと一緒に所望の濃度に混合する。この調製物は粘度< 10 Pas (プレート/プレート)、また抵抗は<1 k Ω(電極をマルチメータに差し込む。間隔〜1 cm)である。
充填したイソシアネート
黒鉛を基本硬化剤と一緒にマスターバッチとして混合する。またCNTを基本硬化剤と一緒にマスターバッチとして混合する。両方のマスターバッチを互いにまた基本硬化剤と一緒に所望の濃度に混合する。この調製物は粘度< 10 Pas (プレート/プレート)、また抵抗は<1 kΩ(電極をマルチメータに差し込む。間隔〜1 cm)である。
硬化させた試料
樹脂と硬化剤の成分を正しい比率で混合したあと樹脂は架橋し、発泡する。架橋した試料は表面抵抗が1 - 10 kΩ、内部の抵抗が 0.5 - 5 MΩである。
柔らかい弾性あるポリウレタンについて同じ処理をした場合も非常に似た結果を得る。
【実施例4】
【0091】
例:電気伝導性のポリウレタン調製物の作成
充填したシリコーン
黒鉛を基本シリコーンと一緒に高濃度のマスターバッチとして混合する。またCNTを基本シリコーンと一緒に高濃度のマスターバッチとして混合する。両方のマスターバッチを互いにまた基本シリコーンと一緒に所望の濃度に混合する。この調製物は粘度< 50 Pas (プレート/プレート)、また抵抗は<10 Ω(電極をマルチメータに差し込む。間隔〜1 cm)である。
架橋剤の添加と架橋
樹脂と硬化剤の成分を正しい比率で混合したあと、シリコーン樹脂は架橋する。架橋した試料は表面抵抗が100 - 1000 Ωである。一般にこの材料は柔軟性を失うが、それでも充分に弾性がある。
【実施例5】
【0092】
例:電気的に伝導性のポリビニルブチラル調製物の作成
熱可塑性プラスチックを溶剤に溶かす。
CNTを適合する溶剤に分散させる
黒鉛を適合する溶剤に分散させる
調製物を所望の比率に混合する
薄膜状に塗布し、乾燥させる
この薄膜の表面抵抗は < 105 Ohmである。
抵抗が1 kΩ程度の調製物は30 -50 Vの電圧印加により発熱させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一時的には液状である第1相および前記第1相に付与された少なくとも1種、好ましくは、少なくとも2種の伝導性添加物を保有する、特に電気伝導性および/または熱伝導性を有する伝導性調製物。
【請求項2】
前記の第1および/または第2の伝導性添加物が炭素ベースで形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の伝導性調製物。
【請求項3】
少なくとも1種のバインダおよび/または少なくとも1種のその他添加物を保有していることを特徴とする、請求項1または2に記載の伝導性調製物。
【請求項4】
電気接触部、または電気接触部設置のための手段を有していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の伝導性調製物。
【請求項5】
コーティング層として、および/または加熱素子として、または加熱素子用として形成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の伝導性調製物。
【請求項6】
基材に設置されている、または基材に設置し得るものとして形成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の伝導性調製物。
【請求項7】
特に合成物質製の少なくとも1種の基本材料を有していて、そこに少なくとも2種の添加物が混和されており、そのうちの少なくとも1種の添加物が伝導性添加物として形成されていることを特徴とする、特に請求項1〜6のいずれか一項に記載された、特に合成物質製の伝導性調製物。
【請求項8】
伝導性調製物、それも特に請求項1〜7のいずれか一項に記載された、特に電気伝導性および/または熱伝導性の調製物の製造のための方法であって、下記の作業過程、すなわち、
A)少なくとも一時的には液状である相の調製、
B)少なくとも1種の伝導性添加物、好ましくは少なくとも2種の伝導性添加物の前記第1相への添加、
C)前記第1相と少なくとも1種の前記伝導性添加物との混和および均質化、という過程を経ることを特徴とする方法。
【請求項9】
少なくとも1種のバインダおよび/または少なくとも1種のその他添加物が投入されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記の伝導性調製物が基材上へ付与されることを特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
伝導性調製物のコーティング層形態での製造のための、および/または加熱素子または加熱素子用構成要素の製造のための、請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
特に合成物質製の伝導性調製物、それも特に請求項1〜7のいずれか一項に記載の調製物の製造のための、好ましくは請求項8〜11のいずれか一項に従って実施される方法であって、少なくとも1種の基本材料、特に合成物質製の材料に少なくとも2種の添加物が投入され、そのうちの少なくとも1種の添加物が伝導性添加物として形成されていること、および前記個別成分が調製物、特に合成物質製調製物に混和されることを特徴とする方法。
【請求項13】
伝導性添加物の形態を取る、好ましくは炭素をベースとする第1添加物が基本材料に混和されること、好ましくは炭素をベースとする第2添加物、特に伝導性添加物が基本材料に混和されること、および前記の両部分混合物が混和されて調製物、特に合成物質製調製物に仕上られることを特徴とする方法。
【請求項14】
前記の基本材料および/または調製物に、少なくとも1種の別な材料および/または少なくとも1種の別な物質が混合されることを特徴とする、請求項8〜13のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2012−511799(P2012−511799A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540054(P2011−540054)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066626
【国際公開番号】WO2010/066730
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(506126211)フューチャー カーボン ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】