説明

伝導性高分子重合体、伝導性高分子組成物、伝導性高分子組成物膜およびこれを利用した有機光電素子

本発明は、伝導性高分子重合体、伝導性高分子組成物、伝導性高分子組成物膜およびこれを利用した有機光電素子に関し、前記伝導性高分子重合体は、化学式1で表されるものを提供する。
前記化学式1の定義は、明細書に記載されたとおりである。前記伝導性高分子重合体を利用すると、発光効率および寿命特性に優れた有機光電素子が実現可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝導性高分子重合体、伝導性高分子組成物、伝導性高分子組成物膜およびこれを利用した有機光電素子に関し、より詳しくは、有機光電素子の効率特性および寿命特性を向上させることができる有機イオン塩を含む電気伝導性高分子とこれを利用した有機光電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
光電素子とは、有機発光素子(Organic light emission diode;OLED)、有機太陽電池、有機トランジスタなどのように電気エネルギーを光エネルギーに変換するか、または反対に光エネルギーを電気エネルギーに変換する素子を意味する。
【0003】
このような光電素子の中でも特に有機発光素子は、最近、平板ディスプレイ(Flat−Panel Display、以下、「FPD」という)技術が発展することに伴って大きく注目されている。
【0004】
現在、FPDの最も多くの部分を占めている液晶ディスプレイ(LCD)は、画期的な技術的発展を基盤としてFPD市場の80%以上を占めているが、40インチ以上の大画面で応答速度の低下、狭い視野角などのような決定的短所があり、これを克服するための新たなディスプレイの必要性が台頭した。
【0005】
このような状況で、有機発光素子は、FPDの中でも低電圧駆動、磁気発光、薄膜型、広い視野角、速い応答速度、高いコントラスト、経済性などの多くの長所を有しているディスプレイであり、次世代FPDが備えなければならない全ての条件を備えた唯一のディスプレイ方式として関心を集めている。
【0006】
現在、このような有機発光素子を含め、光電素子分野では、電極で生成される電荷、つまり、正孔および電子を光電素子内へ円滑に輸送して素子の効率を増大させるための目的で伝導性高分子膜の形成に対する多くの研究が行われている。
【0007】
特に、有機発光素子は、蛍光性または燐光性有機化合物薄膜(以下、「有機膜」という)に電流を流すと、電子と正孔が有機膜で結合しながら光が発生する現象を利用した能動発光型表示素子であり、効率向上および駆動電圧低下のために有機層として単一発光層のみを使わず、ここに伝導性高分子を利用した正孔注入層、発光層、電子注入層などのような多層構造を有することが一般的である。
【0008】
なお、このような構造は一層が多数の機能を果たすようにそれぞれの層を除去することによって単純化され得る。最も簡単なOLED構造は、2個の電極とこの電極の間に発光層を含んですべての機能を果たす有機層が位置した場合である。
【0009】
しかし、事実上輝度を増加させるためには、電子注入層または正孔(hole)注入層が電気発光アセンブリーとして導入されなければならない。
【0010】
電荷(ホールまたは電子)を伝達させる多くの有機化合物が文献に記載されており、かかる種類の物質および用途は、例えば、欧州特許出願公開第387715号、米国特許第4,539,507号、米国特許第4,720,432号および米国特許第4,769,292号に概括的に開示されている。
【0011】
特に、電荷を伝達させる代表的な有機化合物として可溶性(soluble)有機エレクトロルミネッセンス(EL)に使用されているものは、バイエル(Bayer AG)社が製造し市販しているバイトロン−P(Baytron−P)という製品であって、PEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン))−PSS(ポリ(4−スチレンスルホン酸塩))水溶液の一種である。
【0012】
このようなPEDOT−PSSは、有機発光素子の製作時に広く利用されており、ITO(インジウムスズ酸化物)電極上にスピンコーティング(spin coating)して正孔注入層を形成する用途で利用されており、下記化学式22の構造を有する。
【0013】
【化1】

【0014】
前記化学式22で表されたPEDOT/PSSは、ポリ(4−スチレンスルホン酸塩)(PSS)のポリ酸(polyacid)とポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)の伝導性高分子の単純イオン複合体で、PEDOTに水溶性ポリ酸がドーピングされている構造である。
【0015】
したがって、劣化により脱ドーピング(dedoping)されたり、PSS部分が電子との反応により分解されてスルフェート(Sulfate)などのような物質を放出するようになり、このような物質が隣接した有機膜、例えば、発光層へ拡散され得るが、このように正孔注入層から由来した物質の発光層への拡散は、エキシトン消滅(exciton quenching)を招いて有機発光素子の効率および寿命低下を招くようになる。
【0016】
したがって、このような短所を補完し得る電気伝導性高分子を利用した有機発光素子を製作して素子の効率および寿命を向上させようとする研究が進行中である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】欧州特許出願公開第387715号明細書
【特許文献2】米国特許第4,539,507号明細書
【特許文献3】米国特許第4,720,432号明細書
【特許文献4】米国特許第4,769,292号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、有機光電素子の効率特性および寿命特性を向上させることができる有機イオン塩を含む伝導性高分子重合体を提供することにある。
【0019】
また、本発明の目的は、前記の伝導性高分子重合体を利用した伝導性高分子組成物、伝導性高分子組成物膜および有機光電素子を提供することにある。
【0020】
本発明が目的とする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていない他の技術的課題は下記記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の一実施形態によれば、伝導性高分子に下記化学式1で表されるポリ酸(多重酸)共重合体がドーピングされている伝導性高分子重合体を提供する。
【0022】
【化2】

【0023】
前記化学式1において、Aは、炭素系であって、置換または非置換のC1〜C30アルキル基;置換または非置換のC1〜C30ヘテロアルキル基;置換または非置換のC1〜C30アルコキシ基;置換または非置換のC1〜C30ヘテロアルコキシ基;置換または非置換のC6〜C30アリール基、置換または非置換のC6〜C30アリールアルキル基、置換または非置換のC6〜C30アリールオキシ基、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリールアルキル基;置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリールオキシ基;置換または非置換のC5〜C20シクロアルキル基;置換または非置換のC2〜C30ヘテロシクロアルキル基;置換または非置換のC1〜C30アルキルエステル基;置換または非置換のC1〜C30ヘテロアルキルエステル基;置換または非置換のC6〜C30アリールエステル基;および置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリールエステル基からなる群より選択され、Bは、イオン基であるか、またはイオン基を含んでもよく、この時、イオン基は、陽イオンと陰イオンの対からなり、陽イオンは、Na、K、Li、Mg2+、Zn2+、Al3+の金属イオン、H、NHまたはCH(−CH−)(nは、1〜50の自然数)の有機イオンであり、陰イオンは、PO、SO、COO、IまたはCHCOOであってもよく、Cは、陰イオンおよび陽イオンを含む有機イオン塩の陽イオンであり、R1〜R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素、置換または非置換のC1〜C10アルキル基、置換または非置換のC6〜C20アリール基および置換または非置換のC3〜C20ヘテロアリール基からなる群より選択され、0<m≦10,000,000であり、0<n<10,000,000であり、0.0001≦m/n≦100である。
【0024】
本発明の一実施例によれば、前記Cは、下記化学式2〜5のうちのいずれか一つであってもよい。
【0025】
【化3】

【0026】
【化4】

【0027】
前記化学式2〜5において、R5〜R8のうちのいずれか一つは、置換または非置換のC1〜C30アルキレン基、置換または非置換のC1〜C30ヘテロアルキレン基、置換または非置換のC1〜C30アルコキシレン基、置換または非置換のC1〜C30ヘテロアルコキシレン基、置換または非置換のC6〜C30アリーレン基、置換または非置換のC6〜C30アリールアルキレン基、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリーレン基、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリールアルキレン基、置換または非置換のC5〜C20シクロアルキレン基および置換または非置換のC2〜C30ヘテロシクロアルキレン基からなる群より選択され、選択された置換基の一端部は主鎖に結合され、残りのR5〜R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素、置換または非置換のC1〜C30アルキル基、置換または非置換のC1〜C30ヘテロアルキル基、置換または非置換のC1〜C30アルコキシ基、置換または非置換のC1〜C30ヘテロアルコキシ基、置換または非置換のC6〜C30アリール基、置換または非置換のC6〜C30アリールアルキル基、置換または非置換のC6〜C30アリールオキシ基、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC5〜C20シクロアルキル基、置換または非置換のC2〜C30ヘテロシクロアルキル基、置換または非置換のC1〜C30アルキルエステル基、置換または非置換のC1〜C30ヘテロアルキルエステル基、置換または非置換のC6〜C30アリールエステル基および置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリールエステル基からなる群より選択され、XのXは、F、Cl、Br、I、BF、PFおよび(C2n+1SON(nは、1〜50の自然数)からなる群より選択され、Yは、−CH−、−CR’R”−、−NH−、−NR’−、−O−、−P−、−P=O−、−S−および−SiR’R”−からなる群より選択されてもよく、ここで、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素、置換または非置換のC1〜C10アルキル基、置換または非置換のC6〜C20アリール基および置換または非置換のC3〜C20ヘテロアリール基からなる群より選択され、hは、1〜3のうちのいずれか一つの整数であり、iは、1〜8のうちのいずれか一つの整数であり、jは、1〜10のうちのいずれか一つの整数であり、kは、1〜4のうちのいずれか一つの整数であり、lは、1〜4のうちのいずれか一つの整数である。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、前記伝導性高分子は、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、下記化学式6で表されるポリアニリンまたはその誘導体である単量体;および下記化学式7で表されるピロール、チオフェンまたはその誘導体である単量体;からなる群より選択された少なくとも一つ以上を重合した高分子であってもよい。
【0029】
【化5】

【0030】
前記化学式6および7において、Xは、NH;N、O、SまたはPのようなヘテロ原子にC1〜C20アルキル基またはC6〜C20アリール基が結合されたものであり、Ra、Rb、RcおよびRdは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;C1〜C30アルキル基;C1〜C30ヘテロアルキル基;C1〜C30アルコキシ基;C1〜C30ヘテロアルコキシ基;C6〜C30アリール基;C6〜C30アリールアルキル基;C6〜C30アリールオキシ基;C6〜C30アリールアミン基;C6〜C30ピロール基;C6〜C30チオフェン基;C2〜C30ヘテロアリール基;C2〜C30ヘテロアリールアルキル基;C2〜C30ヘテロアリールオキシ基;C5〜C20シクロアルキル基;C2〜C30ヘテロシクロアルキル基;C1〜C30アルキルエステル基;C1〜C30ヘテロアルキルエステル基;C6〜C30アリールエステル基;およびC2〜C30ヘテロアリールエステル基からなる群より選択され、ReおよびRfは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、NH;N、O、SまたはPのようなヘテロ原子にC1〜C20アルキル基またはC6〜C20アリール基が結合されたもの;C1〜C30アルキル基;C6〜C30アリール基;C1〜C30アルコキシ基;C1〜C30ヘテロアルキル基;C1〜C30ヘテロアルコキシ基;C6〜C30アリールアルキル基;C6〜C30アリールオキシ基;C6〜C30アリールアミン基;C6〜C30ピロール基;C6〜C30チオフェン基;C2〜C30ヘテロアリール基;C2〜C30ヘテロアリールアルキル基;C2〜C30ヘテロアリールオキシ基;C5〜C20シクロアルキル基;C2〜C30ヘテロシクロアルキル基;C1〜C30アルキルエステル基;C1〜C30ヘテロアルキルエステル基;C6〜C30アリールエステル基;およびC2〜C30ヘテロアリールエステル基からなる群より選択される。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、前記伝導性高分子は、下記化学式8で表される化合物を単量体として重合したものであってもよい。
【0032】
【化6】

【0033】
前記化学式8において、Xは、NH、N、O、SまたはPのようなヘテロ原子にC1〜C20アルキル基またはC6〜C20アリール基が結合されたものであり、Yは、NH、N、O、SまたはPのようなヘテロ原子にC1〜C20アルキル基またはC6〜C20アリール基が結合されたものであり、mとnは、それぞれ独立して、0〜9の整数であり、Zは、−(CH−CR−(CHであり、RおよびRは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、H、C1〜C20アルキルラジカル、C6〜C14アリールラジカルおよび−CH−ORの中で選択される一つであり、この時、Rは、H、C1〜C6アルキル酸、C1〜C6アルキルエステル、C1〜C6ヘテロアルキル酸およびC1〜C6アルキルスルホン酸からなる群より選択される。
【0034】
本発明の他の実施形態によれば、前述した伝導性高分子重合体および溶媒を含む有機光電素子用伝導性高分子組成物を提供する。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、前記溶媒は、水、アルコール、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド、トルエン、キシレン、およびクロロベンゼンからなる群より選択される一つ以上の溶媒であってもよい。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、前記伝導性高分子組成物は、物理的架橋剤または化学的架橋剤をさらに含むものであってもよい。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、前記物理的架橋剤は、グリセロール、ブタノール、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、およびポリビニルピロリドンからなる群より選択される少なくとも一つであってもよい。
【0038】
本発明の一実施例によれば、前記化学的架橋剤は、テトラエチルオキシシラン、ポリアジリジン、メラミン系高分子、およびエポキシ系高分子からなる群より選択される少なくとも一つであってもよい。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、前記物理的架橋剤は、前記伝導性高分子組成物100重量部に対して0.001〜5重量部が含まれるものであってもよい。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、前記化学的架橋剤は、前記伝導性高分子組成物100重量部に対して0.001〜50重量部が含まれるものであってもよい。
【0041】
本発明の他の実施形態によれば、前述した伝導性高分子組成物により形成される有機光電素子用伝導性高分子組成物膜を提供する。
【0042】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前述した伝導性高分子組成物膜を含む有機光電素子を提供する。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、発光効率および寿命特性に優れた有機光電素子が実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1a】本発明の好ましい実施形態により製造される有機電界発光素子の積層構造を概略的に示す断面図である。
【図1b】本発明の好ましい実施形態により製造される有機電界発光素子の積層構造を概略的に示す断面図である。
【図1c】本発明の好ましい実施形態により製造される有機電界発光素子の積層構造を概略的に示す断面図である。
【図1d】本発明の好ましい実施形態により製造される有機電界発光素子の積層構造を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の例示的な実施形態を詳しく説明する。但し、これらの実施形態は単なる例示であり、これらによって本発明が制限されず、後述する特許請求の範囲の範疇のみによって定義される。
【0046】
本発明の伝導性高分子重合体は、伝導性高分子に下記化学式1で表されるポリ酸(多重酸)共重合体がドーピングされていることを特徴とする。
【0047】
前記他の技術的課題を解決するための本発明の伝導性高分子共重合体組成物は、前記の伝導性高分子重合体が溶媒に分散しており、ここに物理的架橋剤および/または化学的架橋剤が添加されていることを特徴とする。
【0048】
【化7】

【0049】
前記化学式1において、Aは、炭素系であって、置換または非置換のC1〜C30アルキル基;置換または非置換のC1〜C30ヘテロアルキル基;置換または非置換のC1〜C30アルコキシ基;置換または非置換のC1〜C30ヘテロアルコキシ基;置換または非置換のC6〜C30アリール基、置換または非置換のC6〜C30アリールアルキル基、置換または非置換のC6〜C30アリールオキシ基、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリールアルキル基;置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリールオキシ基;置換または非置換のC5〜C20シクロアルキル基;置換または非置換のC2〜C30ヘテロシクロアルキル基;置換または非置換のC1〜C30アルキルエステル基;置換または非置換のC1〜C30ヘテロアルキルエステル基;置換または非置換のC6〜C30アリールエステル基;および置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリールエステル基からなる群より選択され、Bは、イオン基であるか、またはイオン基を含んでもよく、この時、イオン基は、陽イオンと陰イオンの対からなり、陽イオンは、Na、K、Li、Mg2+、Zn2+、Al3+の金属イオン、H、NHまたはCH(−CH−)(nは、1〜50の自然数)の有機イオンであり、陰イオンは、PO、SO、COO、IまたはCHCOOであってもよく、Cは、陰イオンおよび陽イオンを含む有機イオン塩の陽イオンであり、R1〜R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素、置換または非置換のC1〜C10アルキル基、置換または非置換のC6〜C20アリール基および置換または非置換のC3〜C20ヘテロアリール基からなる群より選択され、0<m≦10,000,000であり、0<n<10,000,000であり、0.0001≦m/n≦100である。
【0050】
前記化学式1で表される多重酸共重合体は、伝導性高分子にイオン結合の形態でドーピング(doping)されている。
【0051】
前記Cは、下記化学式2〜5のうちのいずれか一つであってもよい。
【0052】
【化8】

【0053】
【化9】

【0054】
前記化学式2〜5において、R5〜R8のうちのいずれか一つは、置換または非置換のC1〜C30アルキレン基、置換または非置換のC1〜C30ヘテロアルキレン基、置換または非置換のC1〜C30アルコキシレン基、置換または非置換のC1〜C30ヘテロアルコキシレン基、置換または非置換のC6〜C30アリーレン基、置換または非置換のC6〜C30アリールアルキレン基、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリーレン基、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリールアルキレン基、置換または非置換のC5〜C20シクロアルキレン基および置換または非置換のC2〜C30ヘテロシクロアルキレン基からなる群より選択され、選択された置換基の一端部は主鎖に結合され、残りのR5〜R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素、置換または非置換のC1〜C30アルキル基、置換または非置換のC1〜C30ヘテロアルキル基、置換または非置換のC1〜C30アルコキシ基、置換または非置換のC1〜C30ヘテロアルコキシ基、置換または非置換のC6〜C30アリール基、置換または非置換のC6〜C30アリールアルキル基、置換または非置換のC6〜C30アリールオキシ基、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC5〜C20シクロアルキル基、置換または非置換のC2〜C30ヘテロシクロアルキル基、置換または非置換のC1〜C30アルキルエステル基、置換または非置換のC1〜C30ヘテロアルキルエステル基、置換または非置換のC6〜C30アリールエステル基および置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリールエステル基からなる群より選択され、XのXは、F、Cl、Br、I、BF、PFおよび(C2n+1SON(nは、1〜50の自然数)からなる群より選択され、Yは、−CH−、−CR’R”−、−NH−、−NR’−、−O−、−P−、−P=O−、−S−および−SiR’R”−からなる群より選択されてもよく、ここで、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素、置換または非置換のC1〜C10アルキル基、置換または非置換のC6〜C20アリール基および置換または非置換のC3〜C20ヘテロアリール基からなる群より選択され、hは、1〜3のうちのいずれか一つの整数であり、iは、1〜8のうちのいずれか一つの整数であり、jは、1〜10のうちのいずれか一つの整数であり、kは、1〜4のうちのいずれか一つの整数であり、lは、1〜4のうちのいずれか一つの整数である。
【0055】
前記h、i、jおよびkが2以上の整数である場合、R7および/またはR8置換基は複数となり、この時、複数のR7および/またはR8置換基は、互いに同一または異なり、それぞれ独立である。
【0056】
本発明による伝導性高分子重合体に含まれる有機イオン塩置換基の存在によって、後述する伝導性高分子組成物の相分離現象を未然に防止することができ、相分離防止のための別途の溶媒を使用しなくてもいいという長所がある。
【0057】
有機イオン塩置換基は、双極子(dipole moment)を有しており、極性が非常に高く、水を含む極性溶媒に対する溶解度が良好であるため、伝導性高分子組成物と良好に混合させることができる。したがって、これを使用する有機光電素子の場合、長寿命の特性を示すことができるようになる。
【0058】
また、前記有機イオン塩置換基が存在する伝導性高分子重合体を含む伝導性高分子組成物は、極性有機溶媒または水に良好に溶解されるため、これを光電素子に適用する場合、隣接した有機膜、つまり、非極性溶媒を利用して製造される発光層膜の損傷を防止することができるばかりか、他の要因により水を使用することができない場合にも、水以外の他の極性有機溶媒を使用することもできる。
【0059】
この時に使用される伝導性高分子は、通常有機光電素子に使用される伝導性高分子として、具体的にポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、下記化学式6で表されるポリアニリンまたはその誘導体である単量体;および下記化学式7で表されるピロール、チオフェンまたはその誘導体である単量体;からなる群より選択された少なくとも一つ以上を重合した高分子であってもよい。
【0060】
【化10】

【0061】
前記化学式6および7において、Xは、NH;N、O、SまたはPのようなヘテロ原子にC1〜C20アルキル基またはC6〜C20アリール基が結合されたものであり、Ra、Rb、RcおよびRdは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;C1〜C30アルキル基;C1〜C30ヘテロアルキル基;C1〜C30アルコキシ基;C1〜C30ヘテロアルコキシ基;C6〜C30アリール基;C6〜C30アリールアルキル基;C6〜C30アリールオキシ基;C6〜C30アリールアミン基;C6〜C30ピロール基;C6〜C30チオフェン基;C2〜C30ヘテロアリール基;C2〜C30ヘテロアリールアルキル基;C2〜C30ヘテロアリールオキシ基;C5〜C20シクロアルキル基;C2〜C30ヘテロシクロアルキル基;C1〜C30アルキルエステル基;C1〜C30ヘテロアルキルエステル基;C6〜C30アリールエステル基;およびC2〜C30ヘテロアリールエステル基からなる群より選択され、ReおよびRfは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、NH;N、O、SまたはPのようなヘテロ原子にC1〜C20アルキル基またはC6〜C20アリール基が結合されたもの;C1〜C30アルキル基;C6〜C30アリール基;C1〜C30アルコキシ基;C1〜C30ヘテロアルキル基;C1〜C30ヘテロアルコキシ基;C6〜C30アリールアルキル基;C6〜C30アリールオキシ基;C6〜C30アリールアミン基;C6〜C30ピロール基;C6〜C30チオフェン基;C2〜C30ヘテロアリール基;C2〜C30ヘテロアリールアルキル基;C2〜C30ヘテロアリールオキシ基;C5〜C20シクロアルキル基;C2〜C30ヘテロシクロアルキル基;C1〜C30アルキルエステル基;C1〜C30ヘテロアルキルエステル基;C6〜C30アリールエステル基;およびC2〜C30ヘテロアリールエステル基からなる群より選択される。
【0062】
また、前記伝導性高分子は、下記化学式8で表される化合物を単量体として重合したものであってもよい。
【0063】
【化11】

【0064】
前記化学式8において、Xは、NH、N、O、SまたはPのようなヘテロ原子にC1〜C20アルキル基またはC6〜C20アリール基が結合されたものであり、Yは、NH、N、O、SまたはPのようなヘテロ原子にC1〜C20アルキル基またはC6〜C20アリール基が結合されたものであり、mとnは、それぞれ独立して、0〜9の整数であり、Zは、−(CH−CR−(CHであり、RおよびRは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、H、C1〜C20アルキルラジカル、C6〜C14アリールラジカルおよび−CH−ORの中で選択される一つであり、この時、Rは、H、C1〜C6アルキル酸、C1〜C6アルキルエステル、C1〜C6ヘテロアルキル酸およびC1〜C6アルキルスルホン酸からなる群より選択される。
【0065】
本発明の伝導性高分子共重合体は、電子との反応により分解される残基の含量が少なく、高分子共重合体に含まれた作用基によりモフォロジーの変化が行われることによって電子による分配を防止することができるため、前記高分子共重合体を含む光電素子は高効率および長寿命の特徴を有する。
【0066】
本発明で使用される置換基であるアルキル基の具体的な例としては、直鎖型または分枝型としてメチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、iso−アミル基、ヘキシル基などが挙げられ、前記アルキル基に含まれている一つ以上の水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基(−NH、−NH(R)、−N(R’)(R”)、前記R、R’およびR”は、それぞれ独立して、C1〜C10アルキル基である)、アミジノ基、ヒドラジン基、またはヒドラゾン基で置換されてもよい。
【0067】
本発明で使用される置換基であるヘテロアルキル基は、アルキル基の主鎖中の炭素原子のうちの一つ以上、好ましくは1〜5個の炭素原子が酸素原子(O)、硫黄原子(S)、窒素原子(N)、リン原子(P)などのようなヘテロ原子で置換されたものを意味する。
【0068】
前記本発明で使用される置換基であるアリール基は、一つ以上の芳香族環を含む炭素環式(カーボサイクル)芳香族分子を意味し、前記環はペンダント方法(ペンダント基)で共に結合されるか、または縮合(fused)されてもよい。
【0069】
アリール基の具体的な例としては、フェニル基、ナフチル基、テトラヒドロナフチル基などのような芳香族基が挙げられ、前記アリール基のうちの一つ以上の水素原子は、前記アルキル基の場合と同様に置換可能である。
【0070】
本発明で使用される置換基であるヘテロアリール基は、N、O、PまたはSの中で選択された1〜3個のヘテロ原子を含み、残りの環原子がCである環原子数5〜30の環芳香族化合物を意味し、前記環はペンダント方法(ペンダント基)で共に結合されるか、または縮合(fused)されてもよい。
【0071】
そして、前記ヘテロアリール基のうちの一つ以上の水素原子は、前記アルキル基の場合と同様に置換可能である。
【0072】
本発明で使用される置換基であるアルコキシ基の具体的な例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、iso−アミルオキシ基、ヘキシルオキシ基などが挙げられ、前記アルコキシ基のうちの一つ以上の水素原子は、前記アルキル基の場合と同様に置換可能である。
【0073】
本発明で使用される置換基であるアリールアルキル基は、アリール基で水素原子のうちの一部が低級アルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基などのようなラジカルで置換されたものを意味し、例えばベンジルメチル基、フェニルエチル基などがある。
【0074】
前記アリールアルキル基に含まれている一つ以上の水素原子は、前記アルキル基の場合と同様に置換可能である。
【0075】
本発明で使用される置換基であるヘテロアリールアルキル基は、ヘテロアリール基の水素原子の一部が低級アルキル基で置換されたものを意味し、ヘテロアリールアルキル基のうちヘテロアリールに対する定義は、前記で定義されたとおりである。前記ヘテロアリールアルキル基に含まれている一つ以上の水素原子は、前記アルキル基の場合と同様に置換可能である。
【0076】
本発明で使用される置換基であるアリールオキシ基は、酸素原子が結合されたアリールラジカルを意味し、この時、アリールは前記で定義されたとおりである。具体的な例として、フェノキシ基、ナフトキシ基、アントラセニルオキシ基、ペナントレニルオキシ基、フルオレニルオキシ基、インデニルオキシ基などがあり、アリールオキシ基に含まれている一つ以上の水素原子は、前記アルキル基の場合と同様に置換可能である。
【0077】
本発明で使用される置換基であるヘテロアリールオキシ基は、酸素原子が結合されたヘテロアリールラジカルを意味し、この時、ヘテロアリールは前記で定義されたとおりである。
【0078】
本発明で使用される置換基であるヘテロアリールオキシ基に含まれている一つ以上の水素原子は、前記アルキル基の場合と同様に置換可能である。
【0079】
本発明で使用される置換基であるシクロアルキル基は、C5〜C30の1価のモノサイクリックシステム(単環系)を意味する。
【0080】
前記シクロアルキル基に含まれている一つ以上の水素原子は、前記アルキル基の場合と同様に置換可能である。
【0081】
本発明で使用される置換基であるヘテロシクロアルキル基は、環原子数5〜30の1価のモノサイクリック(単環)化合物として、N、O、PまたはSの中で選択された1〜3個のヘテロ原子を含むシクロアルキル基を意味する。
【0082】
前記シクロアルキル基に含まれている一つ以上の水素原子は、前記アルキル基の場合と同様に置換可能である。
【0083】
本発明で使用される置換基であるアミノ基は、−NH、−NH(R)または−N(R’)(R”)を意味し、この時、R、R’およびR”は、それぞれ独立して、C1〜C10アルキル基である。
【0084】
本発明で使用されるハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨード、またはアスタチンが好ましく、その中でもフッ素が特に好ましい。
【0085】
本発明の実施形態による伝導性高分子重合体は、前記化学式1で表されるポリ酸(多重酸)共重合体が前記で列挙した伝導性高分子にイオン結合の形態でドーピング(doping)されていることを特徴とする。
【0086】
また、前記の伝導性高分子重合体を利用して膜を形成するためには、溶媒に分散されて組成物(composition)の形態で製造されなければならない。
【0087】
これを伝導性高分子共重合体組成物と定義し、このような伝導性高分子共重合体組成物には、溶媒以外に有機イオン塩、物理的架橋剤、化学的架橋剤のような成分が全部または選択的にさらに含まれることもできる。
【0088】
本発明の伝導性高分子共重合体組成物に使用される溶媒は、前記伝導性高分子重合体を溶解させることができるものであれば全て使用可能であるが、水、アルコール類、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド、トルエン、キシレンおよびクロロベンゼンからなる群より選択される一つ以上の溶媒を使用することが好ましい。
【0089】
また、本発明による伝導性高分子組成物の場合、伝導性高分子共重合体の架橋能をより向上させるために、架橋剤(cross−linking agent)をさらに含むことができ、この時、架橋剤としては物理的および/または化学的架橋剤が使用され得る。
【0090】
本発明に使用される物理的架橋剤とは、化学的な結合なしに物理的に高分子鎖間に架橋の役割を果たすものとして、ヒドロキシ基(−OH)を含む低分子または高分子化合物をいう。
【0091】
物理的架橋剤の具体的な例としては、グリセロール、ブタノールの低分子化合物とポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどの高分子化合物があり、その他にもポリエチレンイミン(polyethyleneimine)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrolidone)等も物理的架橋剤として使用され得る。
【0092】
添加される物理的架橋剤の含量は、前記伝導性高分子重合体100重量部に対して0.001〜5重量部が好ましく、0.1〜3重量部であることがより好ましい。
【0093】
物理的架橋剤の含量が前記範囲内である場合、架橋剤の性能が効率的に発揮され、伝導性高分子膜の薄膜モフォロジー(mophology;形態)が効果的に維持され得る。
【0094】
化学的架橋剤とは、化学的に架橋させる役割を果たすものとして、インシチュ重合(in−situ polymerization;その場重合ないし現場重合)が可能であり、IPN(interpenetrating polymer network;相互侵入高分子網目ないし相互貫入(貫通)高分子網目構造)を形成することができる化学物質をいう。
【0095】
化学的架橋剤としては、シラン系物質が多く使用されるが、その具体的な例としてテトラエチルオキシシラン(TEOS)がある。
【0096】
その他にもポリアジリジン(polyaziridine)、メラミン(melamine)系、エポキシ(epoxy)系物質が使用され得る。
【0097】
化学的架橋剤の含量は、有機イオン塩を含む伝導性高分子重合体100重量部に対して0.001〜50重量部が好ましく、1〜10重量部であることがより好ましい。
【0098】
化学的架橋剤の含量が前記範囲内である場合、架橋剤の性能が効果的に発揮され、伝導性高分子重合体に大きい影響を与えず、伝導性も十分に維持され得る。
【0099】
前記では伝導性高分子組成物について説明したが、このような組成物を利用して伝導性高分子膜を製造するようになると、組成物に含まれた溶媒が大部分除去されなければならない。
【0100】
また、本発明は、前記伝導性高分子組成物による伝導性高分子膜およびそれを含む有機光電素子を提供するが、この時、光電素子とは、有機電界発光素子、有機太陽電池、有機トランジスタ、そして有機メモリ素子などのように光電効果を利用した素子全体を意味する。
【0101】
以下、本発明による伝導性高分子組成物が有機電界発光素子に適用される場合について説明する。
【0102】
有機電界発光素子では前記伝導性高分子組成物が電荷、つまり、正孔または電子注入層に使用され、正孔および電子を均衡的かつ効率的に注入することによって有機電界発光素子の発光強度と効率を高める役割を果たすようになる。
【0103】
また、有機太陽電池の場合には、本発明による伝導性高分子膜組成物が電極や電極バッファー層として使用されて量子効率を増加させ、有機トランジスタの場合にはゲート、ソース−ドレイン電極などで電極物質で使用され得る。
【0104】
次に、前記のような有機光電素子のうち、本発明による伝導性高分子膜組成物を利用した有機電界発光素子の構造およびその製造方法を説明する。
【0105】
図1a〜図1dは、本発明の好ましい実施形態により製造される有機電界発光素子の積層構造を概略的に示す断面図である。
【0106】
図1aの有機電界発光素子は、第1電極10上部に発光層12が積層され、前記電極と発光層の間に本発明の伝導性高分子組成物を含む正孔注入層(HIL)(または「バッファー層」ともいう)11が積層され、前記発光層12上部に正孔ブロッキング(阻止)層(HBL)13が積層されており、その上部には第2電極14が形成される。
【0107】
図1bの有機電界発光素子は、発光層12上部に形成された正孔ブロッキング(阻止)層(HBL)13の代わりに電子輸送層(ETL)15が形成されたことを除いては、図1aの場合と同一な積層構造を有する。
【0108】
図1cの有機電界発光素子は、発光層12上部に正孔ブロッキング(阻止)層(HBL)13と電子輸送層15が順次に積層された2層膜が使用されたことを除いては、図1aの場合と同一な積層構造を有する。
【0109】
図1dの有機電界発光素子は、正孔注入層11と発光層12の間に正孔輸送層16がさらに形成されたことを除いては、図1cの有機電界発光素子と同一な構造を有している。この時、正孔輸送層16は正孔注入層11から発光層12への不純物浸透を抑制する役割を果たす。
【0110】
上述した図1a〜図1dの積層構造を有する有機電界発光素子は、一般的な製作方法により形成可能である。
【0111】
つまり、まず、基板(図示せず)上部にパターニングされた第1電極10を形成する。
【0112】
ここで、前記基板は、通常の有機電界発光素子で使用される基板を使用するが、透明性、表面平滑性、取り扱い容易性および防水性に優れたガラス基板または透明プラスチック基板が好ましい。
【0113】
そして、前記基板の厚さは、0.3〜1.1mmであることが好ましい。
【0114】
前記第1電極10の形成材料は特別に制限されない。もし第1電極が陽極である場合には、陽極は正孔注入が容易な伝導性金属またはその酸化物からなり、具体的な例として、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、金(Au)、イリジウム(Ir)等を使用する。
【0115】
前記第1電極10が形成された基板を洗浄した後、UVオゾン処理を施す。
【0116】
この時、洗浄方法としては、イソプロパノール(IPA)、アセトンなどの有機溶媒を利用する。
【0117】
洗浄された基板の第1電極10上部に、本発明による伝導性高分子組成物を含む正孔注入層(バッファー層)11を形成させる。
【0118】
このように正孔注入層11が形成されると、第1電極10と発光層12の接触抵抗を減少させると同時に、発光層12に対する第1電極10の正孔輸送能力が向上し、素子の駆動電圧と寿命特性が全般的に改善される効果を得ることができる。
【0119】
正孔注入層11は、伝導性高分子重合体を溶媒に溶解して製造した本発明の組成物を第1電極10上部にスピンコーティングした後、これを乾燥して形成させる。
【0120】
ここで、前記正孔注入層11の厚さは、5〜200nmであることが好ましく、20〜100nmであることがより好ましい。
【0121】
正孔注入層11の厚さが前記範囲である場合、正孔注入が十分に行われ、光の透過度も良好に維持される。
【0122】
前記正孔注入層11上部には発光層12を形成する。発光層をなす物質は特に制限されない。
【0123】
より具体的に、オキサジアゾールダイマー染料(oxadiazole dimer dyes(Bis−DAPOXP))、スピロ化合物(spiro compounds)(Spiro−DPVBi、Spiro−6P)、トリアリールアミン化合物(triarylamine compounds)、ビス(スチリル)アミン(bis(styryl)amine)(DPVBi、DSA)、Flrpic、CzTT、アントラセン(Anthracene)、TPB、PPCP、DST、TPA、OXD−4、BBOTおよびAZM−Zn(以上、青色)、クマリン6(Coumarin6)、C545T、キナクリドン(Quinacridone)およびIr(ppy)3(以上、緑色)、DCM1、DCM2、Eu(thenoyltrifluoroacetone)3(Eu(TTA)3およびブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン){butyl−6−(1,1,7,7−tetramethyljulolidyl−9−enyl)−4H−pyran:DCJTB}(以上、赤色)等を使用してもよい。
【0124】
また、高分子発光物質としては、フェニレン(phenylene)系、フェニレンビニレン(phenylene vinylene)系、チオフェン(thiophene)系、フルオレン(fluorene)系およびスピロフルオレン(spiro−fluorene)系高分子などのような高分子または窒素を含む芳香族化合物などが含まれ得るが、これに限定されない。
【0125】
前記発光層12の厚さは、10〜500nmであることが好ましく、50〜120nmであることがより好ましい。発光層12の厚さが前記範囲である場合、漏洩電流量および駆動電圧上昇幅が適切に維持されて寿命が効果的に維持され得る。
【0126】
場合によっては前記発光層形成用組成物にドーパント(dopant)をさらに付加することもある。
【0127】
この時、ドーパントの含量は、発光層形成材料により可変的であるが、一般に発光層形成材料(ホストとドーパントの総重量)100重量部を基準にして30〜80重量部であることが好ましい。
【0128】
ドーパントの含量が前記範囲内である場合、EL素子の発光特性が効果的に維持される。前記ドーパントの具体的な例としては、アリールアミン、フェリル系化合物、ピロール系化合物、ヒドラゾン系化合物、カルバゾール系化合物、スチルベン系化合物、スターバースト系化合物、オキサジアゾール系化合物などが挙げられる。
【0129】
前記正孔注入層11と発光層12の間には正孔輸送層16を選択的に形成しもてよい。
【0130】
前記正孔輸送層をなす物質は特に制限されないが、例えば、正孔輸送の役割を果たすカルバゾール基および/またはアリールアミン基を有する化合物、フタロシアニン系化合物およびトリフェニレン誘導体からなる群より選択された一つ以上の物質を含んでもよい。
【0131】
より具体的に、前記正孔輸送層は、1,3,5−トリカルバゾリルベンゼン、4,4’−ビスカルバゾリルビフェニル、ポリビニルカルバゾール、m−ビスカルバゾリルフェニル、4,4’−ビスカルバゾリル−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’,4”−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン、1,3,5−トリ(2−カルバゾリルフェニル)ベンゼン、1,3,5−トリス(2−カルバゾリル−5−メトキシフェニル)ベンゼン、ビス(4−カルバゾリルフェニル)シラン、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1−ビフェニル]−4,4’ジアミン(TPD)、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(1−ナフチル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(NPB)、IDE320(出光社)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−co−N−(4−ブチルフェニル)ジフェニルアミン)(poly(9,9−dioctylfluorene−co−N−(4−butylphenyl)diphenyl−amine)(TFB)およびポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−co−ビス−N,N−フェニル−1,4−フェニレンジアミン(poly(9,9−dioctylfluorene−co−bis−(4−butylphenyl−bis−N,N−phenyl−1,4−phenylene diamin)(PFB)からなる群より選択された一つ以上の物質を含んで構成されてもよいが、これに限定されない。
【0132】
前記正孔輸送層16は、1〜100nm厚さであることが好ましく、5〜50nmであることがより好ましい。
【0133】
正孔輸送層16の厚さが前記範囲である場合、正孔輸送能力が十分に維持され、駆動電圧が適正水準に維持され得る。
【0134】
前記発光層12上部には、蒸着またはスピンコーティング方法を利用して正孔ブロッキング(阻止)層13および/または電子輸送層15が形成されてもよい。ここで、正孔ブロッキング(阻止)層13は、発光物質で形成されるエキシトンが電子輸送層15へ移動することを防いだり正孔が電子輸送層15へ移動することを遮断する役割を果たす。
【0135】
前記正孔ブロッキング(阻止)層13の形成材料としては、下記化学式9で表されるフェナントロリン(phenanthrolines)系化合物(例:UDC社、BCP)、化学式10で表されるイミダゾール系化合物、化学式11で表されるトリアゾール(triazoles)系化合物、化学式12で表されるオキサジアゾール(oxadiazoles)系化合物(例:商品名PBD)、化学式13で表されるアルミニウム錯体(aluminum complex)(UDC社製品)であることが好ましい。
【0136】
このような正孔ブロッキング(阻止)層の厚さは5〜100nm、電子輸送層の厚さは5nm〜100nmであることが好ましい。前記厚さ範囲である場合、電子輸送能力や正孔ブロッキング(阻止)能力が効果的に維持され得る。
【0137】
【化12】

【0138】
【化13】

【0139】
【化14】

【0140】
【化15】

【0141】
【化16】

【0142】
一方、電子輸送層15の形成材料としては、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、トリアゾール系化合物、イソチアゾール(isothiazole)系化合物、オキサジアゾール系化合物、チアジアゾール(thiadiazole)系化合物、化学式14で表されるペリレン(perylene)系化合物、化学式15で表されるアルミニウム錯体(Alq3(トリス(8−キノリノラト)−アルミニウム(tris(8−quinolinolato)aluminium))、化学式16のBAlq、化学式17のSAlq、化学式18のAlmq3および化学式19のガリウム錯体(Gaq’2OPiv)、化学式20のGaq’2OAc、化学式21の2(Gaq’2)等が好ましい。
【0143】
【化17】

【0144】
【化18】

【0145】
【化19】

【0146】
【化20】

【0147】
【化21】

【0148】
【化22】

【0149】
【化23】

【0150】
【化24】

【0151】
このように製造された積層構造物に第2電極14を積層し、前記結果物を封止して有機電界発光素子を完成する。
【0152】
前記第2電極14の形成材料は特別に制限されないが、その中でも仕事関数が小さい金属、つまり、Li、Cs、Ba、Ca、Ca/Al、LiF/Ca、LiF/Al、BaF/Ca、Mg、Ag、Alまたはその合金あるいはその多重層を利用して形成させることが好ましい。前記第2電極14の厚さは、50〜3000Åであることが好ましい。
【0153】
本発明の有機電界発光素子の製作は特別な装置や方法を必要とせず、通常の伝導性高分子組成物を利用した有機電界発光素子の製造方法により製造され得る。
【実施例】
【0154】
以下、本発明の伝導性高分子重合体によると、水分吸収力を抑制することができ、分子内ポリ酸(多重酸)の濃度を低下することができ、分子間の凝集現象を減少させて薄膜特性および保存安定性に優れているばかりか、有機光電素子の効率特性および寿命特性を向上させることができることを、具体的な実施例を挙げて説明する。ただし、ここに記載されない内容は当該技術分野で熟練した者であれば十分に技術的に類推することができるものであるため、その説明を省略する。
【0155】
〔実施例〕
〔実施例1〕:I−1で表されるイオン塩(ionic salt)の調製
【0156】
【化25】

【0157】
窒素雰囲気下でアルドリッチ社で購入した臭化エチル10gとイミダゾール6gをTHF100mLに入れた後、8時間撹拌した。前記反応物をジクロロメタンで抽出した後、水で4回洗浄した。このように得られた抽出溶液を無水硫酸マグネシウムを利用して溶液から余分の水分を除去後に濾過し、これをロータリーエバポレーターを利用して溶媒を除去した。これを再びアルミナパウダーに吸着、ジクロロメタンで展開して淡黄色液体状態のN−エチルイミダゾール(N−Ethylimidazle)7gを得た。
【0158】
N−エチルイミダゾール(N−Ethylimidazle)7gを再びTHF60mLに溶かした後、臭化ビニル9gを滴下した。反応温度を60℃にして約8時間撹拌した後、余分の臭化ビニルと溶媒を除去するために減圧濃縮した。これを再びアルミナゲルカラムとジクロロメタンを利用して所望の淡黄色液体であるI−1の13gを得た。
【0159】
元素分析:計算値 C:41.40、H:5.46、N:13.79
実測値 C:41.37、H:5.42、N:13.81
〔実施例2〕:I−2で表されるイオン塩の調製
【0160】
【化26】

【0161】
窒素雰囲気下でアルドリッチ社で購入した臭化エチル10gとイミダゾール6gをTHF100mLに入れた後、8時間撹拌した。前記反応物をジクロロメタンで抽出した後、水で4回洗浄した。このように得られた抽出溶液を無水硫酸マグネシウムを利用して溶液から余分の水分を除去後に濾過し、これをロータリーエバポレーターを利用して溶媒を除去した。これを再びアルミナパウダーに吸着、ジクロロメタンで展開して淡黄色液体状態のN−エチルイミダゾール(N−Ethylimidazle)7gを得た。
【0162】
N−エチルイミダゾール(N−Ethylimidazle)7gを再びTHF60mLに溶かした後、臭化アリル10gを滴下した。反応温度を60℃にして約8時間撹拌した後、余分の臭化アリルと溶媒を除去するために減圧濃縮した。これを再びアルミナゲルカラムとジクロロメタンを利用して所望の淡黄色液体であるI−2の15gを得た。
【0163】
元素分析:計算値 C:44.26、H:6.04、N:12.90
実測値 C:44.30、H:5.99、N:12.88
〔実施例3〕:I−3で表されるイオン塩の調製
【0164】
【化27】

【0165】
窒素雰囲気下でアルドリッチ社で購入した臭化エチル10gとイミダゾール6gをTHF100mLに入れた後、8時間撹拌した。前記反応物をジクロロメタンで抽出した後、水で4回洗浄した。このように得られた抽出溶液を無水硫酸マグネシウムを利用して溶液上の余分の水分を除去後に濾過し、これをロータリーエバポレーターを利用して溶媒を除去した。これを再びアルミナパウダーに吸着、ジクロロメタンで展開して淡黄色液体状態であるN−エチルイミダゾール(N−Ethylimidazle)7gを得た。
【0166】
N−エチルイミダゾール(N−Ethylimidazle)7gを再びTHF60mLに溶かした後、臭化アリル10gを滴加した。反応温度を60℃にして約8時間撹拌した後、余分の臭化アリルと溶媒を除去するために減圧濃縮した。これを再びアルミナゲルカラムとジクロロメタンを利用して所望の淡黄色の粘性の高い液体であるI−3の15gを得た。
【0167】
元素分析:計算値 C:44.26、H:6.04、N:12.90
実測値 C:44.30、H:5.99、N:12.88
〔実施例4〕:I−4で表されるイオン塩の調製
【0168】
【化28】

【0169】
窒素雰囲気下でアルドリッチ社で購入した臭化エチル9.5gと2−メチルイミダゾール6gをTHF100mLに入れた後、8時間撹拌した。前記反応物をジクロロメタンで抽出した後、水で4回洗浄した。このように得られた抽出溶液を無水硫酸マグネシウムを利用して溶液上の余分の水分を除去後に濾過し、これをロータリーエバポレーターを利用して溶媒を除去した。これを再びアルミナパウダーに吸着、ジクロロメタンで展開して淡黄色液体状態の2−メチル−N−エチルイミダゾール(2−methyl−N−Ethylimidazle)7gを得た。
【0170】
N−エチルイミダゾール(N−Ethylimidazle)7gを再びTHF60mLに溶かした後、臭化アリル10gを滴下した。反応温度を60℃にして約8時間撹拌した後、余分の臭化アリルと溶媒を除去するために減圧濃縮した。これを再びアルミナゲルカラムとジクロロメタンを利用して所望の淡黄色の粘性の高い液体であるI−4の15gを得た。
【0171】
元素分析:計算値 C:44.77、H:6.54、N:12.12
実測値 C:44.73、H:6.59、N:12.14
〔実施例5〕:I−5で表されるイオン塩の調製
【0172】
【化29】

【0173】
N−メチルピペリジン5gをTHF60mLに溶かした後、臭化アリル8gを滴下した。反応温度を60℃にして約8時間撹拌した後、余分の臭化アリルと溶媒を除去するために減圧濃縮した。これを再びアルミナゲルカラムとジクロロメタンを利用して所望の淡黄色の粘性の高い液体であるI−5の12gを得た。
【0174】
〔実施例6〕:I−1−Aで表されるイオン塩の調製
実施例1から得られたI−1イオン塩にリチウムビストリフルオロメタンスルホンアミド(lithium bistrifluoromethanesulfonamide)、LiTFSI(LiN(SOCF)を利用してハロゲン陰イオンをN(SOCFに転換した。転換する工程は次の通りである。
【0175】
500mLの丸底フラスコに10mmolに該当するイオン塩をアセトン300mLに溶かした後、Fluorochem社から購入したLiTFSI10mmolを滴下する。約3時間撹拌後に生成された白い粉は濾過を通じて除去し、溶媒に溶けている反応物は減圧濃縮して淡黄色液体を得た。これを再びアルミナゲルカラムとジクロロメタンを利用して陰イオンが置換された淡黄色の粘性の高い液体であるI−1−AからI−4−Aを得た。
【0176】
〔実施例7〕:I−2−Aで表されるイオン塩の調製
実施例1から得られたI−1イオン塩の代わりに実施例2から得られたI−2イオン塩を使用した点を除いては実施例6と同様な方法を通じてI−2−Aで表されるイオン塩を得た。
【0177】
〔実施例8〕:I−3−Aで表されるイオン塩の調製
実施例1から得られたI−1イオン塩の代わりに実施例3から得られたI−3イオン塩を使用した点を除いては実施例6と同様な方法を通じてI−3−Aで表されるイオン塩を得た。
【0178】
〔実施例9〕:I−4−Aで表されるイオン塩の調製
実施例1から得られたI−1イオン塩の代わりに実施例4から得られたI−4イオン塩を使用した点を除いては実施例6と同様な方法を通じてI−4−Aで表されるイオン塩を得た。
【0179】
実施例6〜9から得られたイオン塩は下記化学式23〜26のとおりである。
【0180】
【化30】

【0181】
〔実施例10〕:ドーピング高分子の合成
<1段階:共重合体の合成>
シグマアルドリッチ(Sigma Aldrich)社のスチレンスルホン酸ナトリウム(SSNa)12g、イオン塩I−1−Aの3g(使用量:スチレンスルホン酸ナトリウム(SSNa)に対して12.7mol%に該当)、ジメチルスルホキシド(DMSO)250mLに加熱しながら完全に溶かした。次に、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3gをジメチルスルホキシド(DMSO)に溶かして前記で得られた溶液に滴下した後、48時間以上重合した。
【0182】
得られた反応物をアセトンに沈殿させ、室温で放置した後、形成された沈殿物をろ過して共重合体を得た。この時、共重合体内の高分子重合体モル比は8:1であり、Mn=24,000、Mw=12,100であった。
【0183】
<2段階:酸性化およびNaCl除去および高分子精製>
【0184】
【化31】

【0185】
前記第1段階で得られた共重合体をHに活性化されたレジンである陽イオン系樹脂Amberite(登録商標)IR−120カラムを利用して共重合体を展開して化学式27と28から構成された共重合体を得た。この過程を3回以上施した後、Millipore社のPrep/Scale(登録商標)TFF膜(membrane)を利用して微量残っている生成されたNaCl塩を十分に除去して最終的に純粋な化学式27と28から構成された共重合体を得、この時、得られたドーピング高分子は、1段階のモル比は同一であった。分子量はMn=23,600、Mw=12,700であった。
【0186】
〔実施例11〕:ドーピング高分子の合成
<1段階:共重合体の合成>
シグマアルドリッチ(Sigma Aldrich)社のスチレンスルホン酸ナトリウム(SSNa)12g、イオン塩I−2−Aの3g(使用量:スチレンスルホン酸ナトリウム(SSNa)に対して12.3mol%に該当)、ジメチルスルホキシド(DMSO)250mLに加熱しながら完全に溶かした。次に、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3gをジメチルスルホキシド(DMSO)に溶かして前記得られた溶液に滴下した後、48時間以上重合した。
【0187】
得られた反応物をアセトンに沈殿させ、室温で放置した後、形成された沈殿物をろ過して共重合体を得た。この時、共重合体内の高分子重合体モル比は8:1であり、Mn=23,500、Mw=10,100であった。
【0188】
<2段階:酸性化およびNaCl除去および高分子精製>
【0189】
【化32】

【0190】
前記第1段階で得られた共重合体をHに活性化されたレジンである陽イオン系樹脂Amberite(登録商標)IR−120カラムを利用して共重合体を展開して化学式27と29で構成された共重合体を得た。この過程を3回以上施した後、Millipore社のPrep/Scale(登録商標)TFF膜(membrane)を利用して微量残っている生成されたNaCl塩を十分に除去し、最終的に純粋な化学式27と29で構成された共重合体を得、この時、得られたドーピング高分子は、1段階のモル比は同一であった。分子量はMn=23,600、Mw=11,000であった。
【0191】
〔実施例12〕:ドーピング高分子の合成
<1段階:共重合体の合成>
シグマアルドリッチ(Sigma Aldrich)社のスチレンスルホン酸ナトリウム(SSNa)12g、イオン塩I−3−Aの3g(使用量:スチレンスルホン酸ナトリウム(SSNa)に対して12.3mol%に該当)、ジメチルスルホキシド(DMSO)250mLに加熱しながら完全に溶かした。次に、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3gをジメチルスルホキシド(DMSO)に溶かして前記得られた溶液に滴下した後、48時間以上重合した。
【0192】
得られた反応物をアセトンに沈殿させ、室温で放置した後、形成された沈殿物をろ過して共重合体を得た。この時、共重合体内の高分子重合体モル比は8:1であり、Mn=23,500、Mw=10,100であった。
【0193】
<2段階:酸性化およびNaCl除去および高分子精製>
【0194】
【化33】

【0195】
前記第1段階で得られた共重合体をHに活性化されたレジンである陽イオン系樹脂Amberite(登録商標)IR−120カラムを利用して共重合体を展開して化学式27と30から構成された共重合体を得た。この過程を3回以上施した後、Millipore社のPrep/Scale(登録商標)TFF膜(membrane)を利用して微量残っている生成されたNaCl塩を十分に除去し、最終的に純粋な化学式27と30で構成された共重合体を得、この時、得られたドーピング高分子は、1段階のモル比は同一であった。分子量はMn=23,600、Mw=11,000であった。
【0196】
〔実施例13〕:ドーピング高分子の合成
<1段階:共重合体の合成>
シグマアルドリッチ(Sigma Aldrich)社のスチレンスルホン酸ナトリウム(SSNa)12g、イオン塩I−4−Aの3.1g(使用量:スチレンスルホン酸ナトリウム(SSNa)に対して12.3mol%に該当)、ジメチルスルホキシド(DMSO)250mLに加熱しながら完全に溶かした。次に、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3gをジメチルスルホキシド(DMSO)に溶かして前記得られた溶液に滴下した後、48時間以上重合した。
【0197】
得られた反応物をアセトンに沈殿させ、室温で放置した後、形成された沈殿物をろ過して共重合体を得た。この時、共重合体内の高分子重合体モル比は8:1であり、Mn=22,100、Mw=10,500であった。
【0198】
<2段階:酸性化およびNaCl除去および高分子精製>
【0199】
【化34】

【0200】
前記第1段階で得られた共重合体をHに活性化されたレジンである陽イオン系樹脂Amberite(登録商標)IR−120カラムを利用して共重合体を展開して化学式27と31で構成された共重合体を得た。この過程を3回以上施した後、Millipore社のPrep/Scale(登録商標)TFF膜(membrane)を利用して微量残っている生成されたNaCl塩を十分に除去し、最終的に純粋な化学式27と31で構成された共重合体を得、この時、得られたドーピング高分子は、1段階のモル比は同一であった。分子量はMn=23,500、Mw=12,500であった。
【0201】
〔実施例14〕:有機光電素子の調製
コーニング(Corning)社の15Ψ/cm(1200Å)ITOガラス基板を横×縦×厚50mm×50mm×0.7mmの大きさに切断してイソプロピルアルコールと純水中で各5分間超音波洗浄した後、30分間UV、オゾン洗浄した。
【0202】
このように準備された基板上に実施例10で調製した伝導性高分子化合物組成物をスピンコーティングして50nm厚さの正孔注入層を形成した。
【0203】
形成された正孔注入層上部に赤色発光高分子で70nm厚さの発光層を形成した後、前記発光層上部に第2電極としてLiFの2nm、Alの100nmを形成して有機光電素子を製作した。
【0204】
〔実施例15〕:有機光電素子の製作
実施例10で調製した伝導性高分子化合物の代わりに実施例11で調製した伝導性高分子を使用した点を除いては、前記実施例14と同様な方法で有機光電素子を製作した。
【0205】
〔実施例16〕:有機光電素子の製作
実施例10で調製した伝導性高分子化合物の代わりに実施例12で調製した伝導性高分子を使用した点を除いては、前記実施例14と同様な方法で有機光電素子を製作した。
【0206】
〔実施例17〕:有機光電素子の製作
実施例10で調製した伝導性高分子化合物の代わりに実施例13で調製した伝導性高分子を使用した点を除いては、前記実施例14と同様な方法で有機光電素子を製作した。
【0207】
〔比較例1〕:有機光電素子の製作
実施例10で調製した伝導性高分子化合物の代わりにH.C Storck社のCH8000伝導性高分子を使用した点を除いては、前記実施例14と同様な方法で有機光電素子を製作した。
【0208】
〔実験例〕
<実験方法>
(1)表面の薄膜状態測定
Park system社のXE−100を利用してITO基板上部に15×15μmの領域で前記実施例10〜13それぞれをスピンコーティングしてフィルムを形成した。以降、10×10μm領域のフィルム表面を測定し、この領域の平均粗度を表示した。
【0209】
(2)共重合体および伝導性高分子の水に対するろ過性
ミリポア(Millipore)社PVDF材質の0.45μmシリンジディスク(syringe disk)フィルターを利用して実施例10〜13それぞれを10mlずつろ過してその結果を測定した。
【0210】
(3)有機光電素子の効率特性
前記実施例14〜17で製作した有機光電素子に対し、Keithle社のKeithley 2400およびMinolta社のCS−1000Aを利用してI−V−Lを測定する方法を通じて素子の効率を測定した。
【0211】
<実験結果>
下記表1は、表面の薄膜状態測定および伝導性高分子の水に対するろ過性に対する実験データである。
【0212】
下記表から分かるように、水に対するろ過性は全て優れており、粗度が非常に低いことが分かる。
【0213】
【表1】

【0214】
下記表2は、有機光電素子の効率特性を示す表である。
【0215】
下記表2から分かるように、発光効率の側面から見ても比較例1に比べて良好な数値を示しているが、有機光電素子でより重要な特性である電力効率の観点ですべての実施例の電力効率は低い駆動電圧に起因し、比較例1に比べて優れた数値を示している。
【0216】
【表2】

【0217】
本発明は、前記実施例に限定されなく、互いに異なる多様な形態に製造され得、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態に実施可能なことを理解できるだろう。したがって、上記実施例はすべての面で例示的なものであり、限定的ではないことを理解しなければならない。
【符号の説明】
【0218】
10…第1電極、
11…バッファー層、
12…発光層、
13…正孔抑制層、
14…第2電極、
15…電子輸送層、
16…正孔輸送層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝導性高分子に下記化学式1で表されるポリ酸(多重酸)共重合体がドーピングされている伝導性高分子重合体:
【化1】

前記化学式1において、
Aは、炭素系であって、置換または非置換のC1〜C30アルキル基;置換または非置換のC1〜C30ヘテロアルキル基;置換または非置換のC1〜C30アルコキシ基;置換または非置換のC1〜C30ヘテロアルコキシ基;置換または非置換のC6〜C30アリール基、置換または非置換のC6〜C30アリールアルキル基、置換または非置換のC6〜C30アリールオキシ基、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリールアルキル基;置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリールオキシ基;置換または非置換のC5〜C20シクロアルキル基;置換または非置換のC2〜C30ヘテロシクロアルキル基;置換または非置換のC1〜C30アルキルエステル基;置換または非置換のC1〜C30ヘテロアルキルエステル基;置換または非置換のC6〜C30アリールエステル基;および置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリールエステル基からなる群より選択され、
Bは、イオン基であるか、またはイオン基を含んでもよく、この時、イオン基は陽イオンと陰イオンの対からなり、陽イオンは、Na、K、Li、Mg2+、Zn2+、Al3+の金属イオン、H、NHまたはCH(−CH−)(nは、1〜50の自然数)の有機イオンであり、陰イオンは、PO、SO、COO、IまたはCHCOOであってもよっく、
Cは、陰イオンおよび陽イオンを含む有機イオン塩の陽イオンであり、
R1〜R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素、置換または非置換のC1〜C10アルキル基、置換または非置換のC6〜C20アリール基および置換または非置換のC3〜C20ヘテロアリール基からなる群より選択され、
0<m≦10,000,000であり、0<n<10,000,000であり、0.0001≦m/n≦100である。
【請求項2】
前記Cは、下記化学式2〜5のうちのいずれか一つである、請求項1に記載の伝導性高分子重合体:
【化2】

【化3】

前記化学式2〜5において、
R5〜R8のうちのいずれか一つは、置換または非置換のC1〜C30アルキレン基、置換または非置換のC1〜C30ヘテロアルキレン基、置換または非置換のC1〜C30アルコキシレン基、置換または非置換のC1〜C30ヘテロアルコキシレン基、置換または非置換のC6〜C30アリーレン基、置換または非置換のC6〜C30アリールアルキレン基、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリーレン基、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリールアルキレン基、置換または非置換のC5〜C20シクロアルキレン基および置換または非置換のC2〜C30ヘテロシクロアルキレン基からなる群より選択され、選択された置換基の一端部は主鎖に結合され、
残りのR5〜R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素、置換または非置換のC1〜C30アルキル基、置換または非置換のC1〜C30ヘテロアルキル基、置換または非置換のC1〜C30アルコキシ基、置換または非置換のC1〜C30ヘテロアルコキシ基、置換または非置換のC6〜C30アリール基、置換または非置換のC6〜C30アリールアルキル基、置換または非置換のC6〜C30アリールオキシ基、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC5〜C20シクロアルキル基、置換または非置換のC2〜C30ヘテロシクロアルキル基、置換または非置換のC1〜C30アルキルエステル基、置換または非置換のC1〜C30ヘテロアルキルエステル基、置換または非置換のC6〜C30アリールエステル基および置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリールエステル基からなる群より選択され、
のXは、F、Cl、Br、I、BF、PFおよび(C2n+1SON(nは、1〜50の自然数)からなる群より選択され、
Yは、−CH−、−CR’R”−、−NH−、−NR’−、−O−、−P−、−P=O−、−S−および−SiR’R”−からなる群より選択されてもよく、ここで、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素、置換または非置換のC1〜C10アルキル基、置換または非置換のC6〜C20アリール基および置換または非置換のC3〜C20ヘテロアリール基からなる群より選択され、
hは、1〜3のうちのいずれか一つの整数であり、
iは、1〜8のうちのいずれか一つの整数であり、
jは、1〜10のうちのいずれか一つの整数であり、
kは、1〜4のうちのいずれか一つの整数であり、
lは、1〜4のうちのいずれか一つの整数である。
【請求項3】
前記伝導性高分子は、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、下記化学式6で表されるポリアニリンまたはその誘導体である単量体;および下記化学式7で表されるピロール、チオフェンまたはその誘導体である単量体;からなる群より選択された少なくとも一つ以上を重合した高分子である、請求項1に記載の伝導性高分子重合体:
【化4】

前記化学式6および7において、
Xは、NH;N、O、SまたはPのようなヘテロ原子にC1〜C20アルキル基またはC6〜C20アリール基が結合されたものであり、
Ra、Rb、RcおよびRdは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;C1〜C30アルキル基;C1〜C30ヘテロアルキル基;C1〜C30アルコキシ基;C1〜C30ヘテロアルコキシ基;C6〜C30アリール基;C6〜C30アリールアルキル基;C6〜C30アリールオキシ基;C6〜C30アリールアミン基;C6〜C30ピロール基;C6〜C30チオフェン基;C2〜C30ヘテロアリール基;C2〜C30ヘテロアリールアルキル基;C2〜C30ヘテロアリールオキシ基;C5〜C20シクロアルキル基;C2〜C30ヘテロシクロアルキル基;C1〜C30アルキルエステル基;C1〜C30ヘテロアルキルエステル基;C6〜C30アリールエステル基;およびC2〜C30ヘテロアリールエステル基からなる群より選択され、
ReおよびRfは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、NH;N、O、SまたはPのようなヘテロ原子にC1〜C20アルキル基またはC6〜C20アリール基が結合されたもの;C1〜C30アルキル基;C6〜C30アリール基;C1〜C30アルコキシ基;C1〜C30ヘテロアルキル基;C1〜C30ヘテロアルコキシ基;C6〜C30アリールアルキル基;C6〜C30アリールオキシ基;C6〜C30アリールアミン基;C6〜C30ピロール基;C6〜C30チオフェン基;C2〜C30ヘテロアリール基;C2〜C30ヘテロアリールアルキル基;C2〜C30ヘテロアリールオキシ基;C5〜C20シクロアルキル基;C2〜C30ヘテロシクロアルキル基;C1〜C30アルキルエステル基;C1〜C30ヘテロアルキルエステル基;C6〜C30アリールエステル基;およびC2〜C30ヘテロアリールエステル基からなる群より選択される。
【請求項4】
前記伝導性高分子は、下記化学式8で表される化合物を単量体として重合したものである、請求項1に記載の伝導性高分子重合体:
【化5】

前記化学式8において、
Xは、NH、N、O、SまたはPのようなヘテロ原子にC1〜C20アルキル基またはC6〜C20アリール基が結合されたものであり、
Yは、NH、N、O、SまたはPのようなヘテロ原子にC1〜C20アルキル基またはC6〜C20アリール基が結合されたものであり、
mとnは、それぞれ独立して、0〜9の整数であり、
Zは、−(CH−CR−(CHであり、RおよびRは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、H、C1〜C20アルキルラジカル、C6〜C14アリールラジカルおよび−CH−ORの中で選択される一つであり、この時、Rは、H、C1〜C6アルキル酸、C1〜C6アルキルエステル、C1〜C6のヘテロアルキル酸およびC1〜C6アルキルスルホン酸からなる群より選択される。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の伝導性高分子重合体および溶媒を含む、有機光電素子用伝導性高分子組成物。
【請求項6】
前記溶媒は、水、アルコール、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド、トルエン、キシレン、およびクロロベンゼンからなる群より選択される一つ以上の溶媒である、請求項5に記載の有機光電素子用伝導性高分子組成物。
【請求項7】
前記伝導性高分子組成物は、物理的架橋剤または化学的架橋剤をさらに含む、請求項5に記載の有機光電素子用伝導性高分子組成物。
【請求項8】
前記物理的架橋剤は、グリセロール、ブタノール、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、およびポリビニルピロリドンからなる群より選択される少なくとも一つである、請求項7に記載の有機光電素子用伝導性高分子組成物。
【請求項9】
前記化学的架橋剤は、テトラエチルオキシシラン、ポリアジリジン、メラミン系高分子、およびエポキシ系高分子からなる群より選択される少なくとも一つである、請求項7に記載の有機光電素子用伝導性高分子組成物。
【請求項10】
前記物理的架橋剤は、請求項5に記載の伝導性高分子組成物100重量部に対して0.001〜5重量部が含まれる、請求項7に記載の有機光電素子用伝導性高分子組成物。
【請求項11】
前記化学的架橋剤は、請求項5に記載の伝導性高分子組成物100重量部に対して0.001〜50重量部が含まれる、請求項7に記載の有機光電素子用伝導性高分子組成物。
【請求項12】
請求項5〜11のいずれか一項に記載の伝導性高分子組成物により形成される、有機光電素子用伝導性高分子組成物膜。
【請求項13】
請求項12に記載の伝導性高分子組成物膜を含む、有機光電素子。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【公表番号】特表2013−515830(P2013−515830A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546988(P2012−546988)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【国際出願番号】PCT/KR2010/008555
【国際公開番号】WO2011/081302
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(500005066)チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド (263)
【Fターム(参考)】