説明

伝送パワーレベルの推定

【課題】マルチユーザスロット通信システムで使用される無線ネットワークコントローラ(RNC)において、より良い伝送パワー推定値を得ること。
【解決手段】マルチユーザスロット通信システム内の割り当てられたリソースで用いられるノイズ上昇モデルを用意する。選択されたユーザに関する干渉測定値、経路損失、および所望の信号対干渉比(SIR)を決定し、決定された干渉測定値、経路損失、所望のSIR、およびノイズ上昇モデルを使用して選択されたユーザに関するノイズ上昇を決定する。決定されたノイズ上昇を使用して選択されたユーザの伝送パワーレベルを推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ね無線通信システムに関する。詳細に言えば、本発明はこのようなシステムでの伝送パワーレベルの推定に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、無線通信システムの物理的な配置を描写する図である。このシステムは複数の基地局20を有する。各基地局20は、その作動エリア、すなわちセル23内のユーザ機器(UE)22と通信する。基地局20からUE 22に伝送される通信はダウンリンク(下り回線)通信と呼ばれ、UE 22から基地局20に伝送される通信はアップリンク(上り回線)通信と呼ばれる。
【0003】
無線通信システムのネットワーク透視図が、図2に示されている。システム内の各ノードB 24は、関連するUE 22すなわちユーザと通信する。各ノードB 24は、単一または複数のいずれかの基地局20と関連付けられた、単一のサイトコントローラ(SC)34を有する。ノードB 24のグループは、無線ネットワークコントローラ(RNC)28に接続される。RNC 28間の通信を転送するために、RNC(IUR)間のインターフェース26が使用される。各RNC 28は移動交換センタ(MSC)34に接続され、このセンタは次にコアネットワーク32に接続される。
【0004】
符号分割多重アクセス(CDMA)通信システムでは、複数の通信を同じ帯域を介して同時に送信することができる。複数の通信は、それぞれの符号によって区別される。CDMAを使用する時分割二重通信システム(TDD/CDMA)では、帯域は、15タイムスロットなどのタイムスロットを有する反復フレームに時分割される。こうしたシステムでは、通信は、選択された符号を使用して選択されたタイムスロットで送信される。物理チャネルは、1タイムスロット内の1符号として定義される。拡散係数を16として単一タイムスロットで単一符号を使用することを、リソース単位と呼ぶ。システム内のユーザ(UE 22)に提供されているサービスのタイプに基づいて、1つまたは複数の物理チャネルを割り当て、ユーザのアップリンクおよびダウンリンクの通信をサポートすることができる。
【0005】
複数の通信が同じ周波数帯域を介して同時に搬送されるため、1人のユーザの通信が他のユーザの通信と干渉してしまう可能性がある。こうした干渉を削減するために、伝送パワーコントロールが使用されている。伝送パワーコントロールでは、伝送は、信号対干渉比(SIR)、ビット誤り率(BER)、またはブロック誤り率(BLER)などの、所期の受信品質にのみ合致するようなパワーレベルで送信される。
【0006】
伝送パワーコントロール技法の1つが、オープンループパワーコントロールである。オープンループパワーコントロールでは、送信機のパワーレベルは、送信機サイトとその所望の受信機サイトとの間の経路損失推定を使用して決定される。経路損失を推定するために、受信機サイトは、信号と、信号の伝送パワーレベルのインジケータ(指標)とを伝送する。信号の伝送されたパワーレベルから受信したパワーレベルを引くことによって、経路損失が推定される。経路損失推定とターゲットの信号対干渉比(SIR)とを使用して、送信機の伝送パワーレベルが設定される。ターゲットSIRの値は、サービスタイプに基づくものである。もう1つのタイプのパワーコントロールが、クローズド(closed)ループパワーコントロールである。クローズドループパワーコントロールは、受信機サイトからパワーコマンドを送信し、送信機のパワーレベルを調整する。
【0007】
システムに新規のユーザまたはユーザサービスが追加されると、新規ユーザは、同時に通信している既存のユーザに対して干渉(混信、妨害)を生み出すことになる。彼らの所望の信号品質を維持するために、通常、既存のユーザは自分の伝送パワーレベルを上げる。ただし、送信機の中には、その伝送パワーの限界に近いものもある。結果として、新規ユーザを追加することにより、既存のユーザには受け入れ難いサービス品質(QOS)を作り出させることになる可能性がある。
【0008】
新規ユーザをシステムに追加するべきかどうかを評定するためには、新規ユーザを加入させた後の既存ユーザの伝送パワーレベルを推定することが望ましい。既存ユーザおよび新規ユーザを含むすべてのユーザが、受け入れ可能な伝送パワーレベル内ですべて安全であれば、新規ユーザの加入は認められる。ユーザの伝送パワーレベルが、その伝送パワーレベル能力を超えることになるなどにより受け入れ不可能であれば、新規ユーザの加入は認められない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、より良い伝送パワー推定値を得ることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
干渉測定値、経路損失、および所望の信号対干渉比に対して、ユーザのノイズ上昇(noise rise)に関するモデルが提供される。選択されたユーザについて、経路損失、干渉測定値、および所望の信号対干渉比が決定される。選択されたユーザのノイズ上昇は、決定された干渉測定値、経路損失、所望の信号対干渉比、およびノイズ上昇モデルを使用して決定される。選択されたユーザの伝送パワーレベルは、決定されたノイズ上昇を使用して推定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図3は、伝送パワーレベルの推定で使用するための、簡略化されたRNC 28を示す図である。RNC 28は、RRMデバイス36および測定値収集デバイス38を有する。測定値収集デバイス38は、ノードB 24およびUE 22などのネットワークの他の構成要素から、様々な測定値を集める。これらの測定値には、伝送パワーレベル(アップリンクおよびダウンリンクの両方)、経路損失情報、およびその他の情報が含まれる。RRMデバイス36は、他の構成要素に送信されるリソースの有効な割当てを決定する際に、それら測定値を使用する。RRMデバイスは、推定による伝送パワーレベルの決定で使用するための、伝送パワーレベル推定デバイス37を有する。
【0012】
図4は、伝送パワーレベルの推定で使用するための、簡略化されたノードB 24を示す図である。アンテナ40は、無線チャネルを介して、UE 22から無線周波信号を受け取る。受け取られた信号は、アイソレータまたはスイッチ42を介して、受信機46および測定デバイス48に渡される。RNC 28からチャネル割当てを受け取るチャネル割当て検出デバイス44は、物理チャネルおよびタイムスロットを識別して、伝送されたデータを受信機46が検出できるようにするものである。受信機46は、マルチユーザ検出デバイス(MUD)、RAKE、または異なるタイプの受信機であってよい。受信機46は、UE 22から信号で送られた測定情報などの情報も再生し、これがRNC 28に中継される。
【0013】
測定デバイス48は、ノードB 24での干渉レベルおよび受信パワーレベルなどの様々な測定値を取得する。これらの測定値は、RNC 28にも中継される。送信機50は、チャネル割当ておよびノードB送信機24の伝送パワーレベルなどの、データおよび信号で送られた情報を、UE 22に送信する。チャネル割当てデバイス44は、ノードB送信機50用の伝送パワーレベルを決定する。チャネル割当てデバイス44は、増幅器52の利得を制御することで、伝送パワーレベルを制御する。伝送された信号はアイソレータまたはスイッチ42を通過し、アンテナ40によって放出される。
【0014】
図5は、RRMで使用するための簡略化されたUE 22を示す図である。アンテナ56は、無線チャネルを介してノードB 24から無線周波信号を受け取る。受け取った信号は、アイソレータまたはスイッチ58を介して受信機66および測定デバイス68に渡される。チャネル割当て検出デバイス64は、アップリンクおよびダウンリンクの両方のUEのチャネル割当てに関する信号で送られた情報を再生する。受信機66は、マルチユーザ検出デバイス(MUD)、RAKE、または異なるタイプの受信機であってよい。
【0015】
測定デバイス68は、UE 22での干渉レベルおよび受信パワーレベルなどの様々な測定値を取得する。これらの測定値は、ノードB 24に送信することによって、RNC 28にも中継される。送信機70は、測定値、経路損失情報、およびUE送信機70の伝送パワーレベルなどの、データおよび信号で送られた情報を、ノードB 24に送信する。伝送パワーコントローラ(TPC)60は、ノードB送信機60用の伝送パワーレベルを決定する。TPC 60は、増幅器62の利得を制御することで、伝送パワーレベルを制御する。伝送された信号はアイソレータまたはスイッチ58を通過し、アンテナ56によって放出される。
【0016】
次に、新規のユーザまたはユーザサービスの加入を認めた後の、システム内のユーザの新しい伝送パワーレベルを推定する方法を示す。システムのユーザは、オープンループパワーコントロールなどの伝送パワーコントロールを使用して、ユーザ間の干渉を削減する。
【0017】
この方法は、アップリンク伝送とダウンリンク伝送が別々のタイムスロットに割り当てられる、W−CDMA TDD/CDMAシステムに関連して説明される。この方法は、帯域外減衰係数を経路損失に含めることによって、アップリンク伝送とダウンリンク伝送が周波数帯域および他のハイブリッド時分割多重アクセス(TDMA)/CDMAによって分けられるCDMAシステム、ならびにアップリンク通信およびダウンリンク通信に別々のタイムスロットまたは周波数帯域が割り当てられるTDD/CDMAシステムにも適用可能である。
【0018】
分析のため、図1に示されたようなシステムは領域に分割され、この領域では、特定のタイムスロットMでN個の基地局20によってUE 22にサービスが提供される。分析を簡単にするために、アップリンクとダウンリンク両方の受信用にマルチユーザ検出(MUD)受信機が使用されるものと想定するが、この方法は、RAKE受信機などの他の受信機にも拡張可能である。各基地局20には例えばjなどのインデックスが割り当てられ、ここでj=1、2、...、Nである。各基地局jは、これに接続されたセットΩ(j)UE 22を有する。各UE 22には例えばiなどのインデックスが割り当てられ、ここでi=1、2、...、Mである。新規のUE 22またはUEセッション、UE M+1が領域に追加されるべきものとする。UE M+1は、基地局Nに追加するように提案される。
【0019】
アップリンクタイムスロットの伝送パワーレベルの決定での使用において、新規ユーザを追加する前のi番目のUEの初期のアップリンク伝送パワーレベルは、T(i)と定義され、ここで0は初期の伝送パワーレベルを示す。新規ユーザのパワーは、数式5のように決定される。
【0020】
(M+1)=PLM+1,n・ISCPM+1・SIRUL(M+1) 数式5
【0021】
PLM+1,nは、M+1ユーザと基地局との間の経路損失である。この値は、典型的な場合では、UE 22からの信号の受信されたパワーレベルを、その伝送パワーレベルから減算することにより、基地局nで決定される。あるいは経路損失は、基地局20から同じ距離にある他のUE 22から推定される。ISCPM+1は、UE受信機で干渉信号符号パワー(ISCP)を使用して測定される干渉である。この値は、UE 22で測定されるか、または他の同様の状況にあるユーザによりISCP測定値により推定される。ISCPは、分析時に、他のタイプの干渉測定値と置き換えることができる。SIRUL(M+1)は、M+1ユーザに関する、基地局での所望のアップリンクの信号対干渉比である。
【0022】
他のユーザの初期伝送パワーは、典型的には既知であるが、またはT(1)、...、T(M)と推定される。初期パワーベクトルは、以下の数式6のように構築される(72)。
【0023】
【数1】

【0024】
各ユーザパワーレベルは、新規ユーザM+1の導入後、各ユーザが平衡状態に達することになる伝送パワーレベルの推定値を生成するために、繰り返し調整される。
【0025】
ユーザiについて調べる時の各繰り返しでのISCPは、ユーザiの基地局jに対する推定された経路損失によって分けられた、ユーザiのセル内にいない各ユーザの伝送パワーに基づくものである。各セル内には、ごくわずかなチャネル相互の干渉(cross−channel interference)があると想定される。このISCP推定値は、各繰り返しについてユーザiのパワーレベルを決定するために、オープンループタイプの分析で使用されることが好ましい。ユーザIについて各k番目の繰り返しのパワーレベルを計算する方法の1つが、数式7によるものである(74)。
【0026】
【数2】

【0027】
各ユーザの位置がわかっている場合、経路損失はユーザの位置を使用して推定することができる。そうでない場合、経路損失は、そのユーザの基地局への経路損失によって調整された、そのユーザのセルとユーザiの基地局との間の典型的な予測経路損失に基づいて推定される。あるいは、ユーザiの基地局jが、そのユーザの経路損失を計算してもよい。
【0028】
繰り返し分析の実施を容易にするために、各繰り返しを、数式8のようにベクトル乗算とみなすことができる。
【0029】
=A・TK−1 数式8
【0030】
Aは(M+1)×(M+1)行列である。行列Aでは、数式9のように要素Aklが与えられる(ここで、kは行、lは列、および(l≦k,l≦M+1)である)。
【0031】
【数3】

【0032】
繰り返しは、数式10のように、伝送パワーレベルが収束するまで続けられる(76)。
【0033】
【数4】

【0034】
δは収束パラメータであり、1×10−4などの小さな数である。あるいは、繰り返し回数に制限を設定することもできる。
【0035】
収束に合致すると、各UEの推定伝送パワーがその能力に照らしてチェックされる。すべてのユーザが受け入れ可能な伝送パワーレベルを備えていることになった場合には、新規のユーザまたはサービスを追加することができる(78)。ユーザの中に自分の能力を超えているか、または自分の能力の限界に許容できないほど近づいている者がある場合には、その新規のユーザまたはサービスの加入は認められない(78)。
【0036】
ダウンリンクのタイムスロットの場合、初期のダウンリンク伝送パワーレベルを使用して、数式11のように、ダウンリンク伝送パワーベクトルTが生成される(72)。
【0037】
【数5】

【0038】
M+1ユーザには、N番目の基地局への加入が提案される。T(i)、...T(M)の値は既知であるか、またはそのそれぞれの基地局20で測定される。T(M+1)は、数式12のように決定される。
【0039】
(M+1)=PLM+1,n・ISCPM+1・SIRDL(M+1) 数式12
【0040】
PLM+1,nは、基地局nとユーザM+1との間の測定された経路損失であるか、または同様の位置にある他のユーザに基づいて推定された経路損失である。ISCPM+1は、加入前の、測定されたISCPまたはユーザM+1での他の干渉測定値である。この値はまた同様の位置にある他のユーザに基づいて推定できる。SIRDL(M+1)は、ユーザM+1での所望の受信ダウンリンクSIRである。
【0041】
各ユーザのダウンリンクパワーレベルは、新規ユーザM+1が導入された後、繰り返して推定される(74)。i番目のユーザの各K番目の繰り返しを計算する方法の1つが、数式13である。
【0042】
【数6】

【0043】
Lは、i番目のユーザの基地局jのほかにすべての基地局20を表す。実施を容易にするために、各繰り返しKの決定を数式14のようにベクトルの乗算として見ることができる。
【0044】
=B・TK−1 数式14
【0045】
は、決定された伝送パワーレベルである。TK−1は、前の繰り返しで決定されたパワーレベルである。Bは、(M+1)×(M+1)行列である。1≦r、s≦M+1)であるようなBのr番目の行およびs番目の列にある要素の場合、Brsは数式15のように決定される。
【0046】
【数7】

【0047】
繰り返しは、数式16のように、伝送パワーレベルが収束するまで続けられる(76)。
【0048】
【数8】

【0049】
δは収束パラメータであり、1×10−4などの小さな数である。ダウンリンクの収束パラメータは、アップリンクの収束パラメータと同じであっても、違っていてもよい。
【0050】
収束に合致すると、推定されたダウンリンク伝送パワーが、基地局の伝送能力に照らしてチェックされる。すべての送信機50が受け入れ可能な伝送パワーレベルの範囲内になったならば、新規ユーザの加入を認めることができる(78)。送信機50の中に、その伝送パワーレベルの限界を超えているか、または許容できないほどその限界に近づいているものがある場合には、新規ユーザの加入は認められない(78)。
【0051】
一部のシステムでは、図6の手続きに必要なすべての測定値が使用可能でない場合もある。ノイズ上昇(noise rise)を使用して新しく割り当てた結果としての伝送パワーの増加を決定する方法の1つが、図7である。割当ての結果としてのノイズ上昇は、経路損失、ISCPを使用して測定されたなどの測定された干渉(I)、および当該の送信機に関するSIRターゲットとによって決まる。結果として、ノイズ上昇は経験に基づいて推定することができる。
【0052】
ノイズ上昇は、経路損失、測定された干渉、およびSIRターゲットに依存する変数としてモデル化される。シミュレーションまたはフィールドデータのいずれかを使用して、ノイズ上昇モデルが展開される(80)。そのデータは、システムの通常のオペレーション中に収集および更新することができる。モデル化されたノイズ上昇は、表、あるいは曲線または一組の曲線などの数学的関係として格納することができる(82)。
【0053】
ノイズ上昇を推定するための数式の1つが、以下の数式17である。
【0054】
ノイズ上昇=ΔI(I,経路損失,SIRTARGET) 数式17
【0055】
ノイズ上昇は、測定した干渉(I)における変化、ΔIとしてモデル化される。ΔIは、測定された干渉、経路損失、およびターゲットSIRの関数である。図8および図9は、簡略化するために経路損失だけのシミュレーション結果を使用して、ノイズ上昇に合った曲線を取得することを示す図である。ノイズ上昇推定のためのデータは、システムの通常のオペレーション中を含み、以下の方法で取得することができる。最初に、リソースを割り振るために、高く固定されたマージン(許容値)が使用される。あらゆる割振りの前に、干渉レベルが記録される。割振りの後、パワーコントロールループを調整できるように、再度干渉が測定され、割振り前の値と比較される。その差分が、ユーザへの経路損失、割振り前の干渉、およびユーザの要求されたターゲットSIRの関数として作表される。十分な数が集められた後、平滑化オペレーションを使用して、最終的な表、または公式などの数学的関係が作成される。
【0056】
あるいは、シミュレーションから導出されるなどの、一般的な表または数学的関係が使用される。一般的な表または関係は、通常のシステムオペレーション中にさらに精練化されるかまたは更新される。
【0057】
図8は、ノイズ上昇対経路損失の、シミュレーション結果を示す図である。図9は、ノイズ上昇対平均経路損失を表す曲線を示す図である。結果として、送信機に関するノイズ上昇は、その送信機の経路損失から推定することができる。
【0058】
送信機に関する送信機パワーレベルは、数式18のように、推定されたノイズ上昇を使用して決定される。
【0059】
伝送パワー=干渉測定値+経路損失+SIRTARGET+ノイズ上昇+測定許容誤差
数式18
【0060】
測定許容誤差は、測定誤差を補償するために使用される設計パラメータである。測定許容誤差は、典型的には、適切に誤差が許容できるように控えめに見て高い値に設定される。
【0061】
一定の条件下では、図10に示されるように、送信機の経路損失に関する情報は使用できない場合がある。経路損失情報の欠けは、経路損失の計算にUE伝送パワーレベルが使用できないアップリンクのタイムスロットで生じる可能性がある。こうした状況でのノイズ上昇を推定するために、控えめに見て高く規定された経路損失の値である、
【0062】
【数9】

【0063】
が使用される(84)。高く規定された値を使用すると、ノイズ上昇は、実質上高く見積もりすぎる。したがって、結果として生じる決定された伝送パワーレベルは、典型的には誇張される。ノイズ上昇は、数式19を使用して決定される。
【0064】
ノイズ上昇=ΔI(I,経路損失,SIRTARGET) 数式19
【0065】
【数10】

【0066】
に関して規定される値は、設定値、またはセル領域および伝播条件に基づくセル依存パラメータであってよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】無線通信システムの物理的な配置構成を示す図である。
【図2】無線通信システムのネットワークの配置構成を示す図である。
【図3】伝送パワーレベル推定用の簡略化された無線ネットワークコントローラを示す図である。
【図4】伝送パワーレベル推定用の簡略化されたノードBを示す図である。
【図5】伝送パワーレベル推定用の簡略化されたユーザ機器を示す図である。
【図6】新規のユーザまたはユーザサービスの加入を認めた後の伝送パワーレベルを決定するための流れ図である。
【図7】ノイズ上昇を使用して伝送パワーレベルを決定する流れ図である。
【図8】ノイズ上昇対経路損失のシミュレーションをプロットした図である。
【図9】ノイズ上昇対平均経路損失のシミュレーションを示すグラフである。
【図10】経路損失情報が欠けている場合の補償を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0068】
20 基地局
22 ユーザ機器UE
23 セル
24 ノードB
26 インターフェース
28 無線ネットワークコントローラ(RNC)
32 コアネットワーク
34 サイトコントローラ(SC)
36 RRMデバイス
37 伝送パワーレベル推定デバイス
38 測定値収集デバイス
40 アンテナ
42 アイソレータまたはスイッチ
44 チャネル割当て検出デバイス
46 受信機
48 測定デバイス
52 増幅器
56 アンテナ
58 アイソレータまたはスイッチ
60 伝送パワーコントローラ(TPC)
62 増幅器
64 チャネル割当て検出デバイス
66 受信機
68 測定デバイス
70 UE送信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチユーザスロット通信システムで使用される無線ネットワークコントローラ(RNC)における方法であって、
前記マルチユーザスロット通信システム内の割り当てられたリソースで用いられるノイズ上昇モデルを用意するステップを含み、該ノイズ上昇モデルは、
選択されたユーザに関する干渉測定値、経路損失、および所望の信号対干渉比(SIR)を決定するステップと、
前記決定された干渉測定値、経路損失、所望のSIR、およびノイズ上昇モデルを使用して前記選択されたユーザに関するノイズ上昇を決定するステップと、
前記決定されたノイズ上昇を使用して前記選択されたユーザの伝送パワーレベルを推定するステップと
から導き出されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記推定するステップは、前記干渉測定値、前記経路損失、および前記選択されたユーザの前記所望のSIRを前記決定されたノイズ上昇に追加することによって、少なくとも部分的に推定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記選択されたユーザの前記干渉測定値は、干渉信号符号パワー(ISCP)であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ISCPの量は、前記選択されたユーザと同様な位置にあるユーザから導き出されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
無線ネットワーク制御装置と複数の基地局を含み、各基地局がそのサービス区域内のユーザ機器(UE)と通信する無線マルチユーザスロット通信システムにおける方法であって、
前記マルチユーザスロット通信システム内の割り当てられたリソースで用いられるノイズ上昇モデルを用意するステップを含み、該ノイズ上昇モデルは、
前記選択されたユーザに関連付けられた第1の伝送パワーレベルの初期推定値を決定するステップと、
前記選択されたユーザ以外の前記システムのユーザの第2の伝送パワーレベルを用意するステップと、
前記第1の伝送パワーレベルおよび前記第2の伝送パワーレベルの推定値を使用して、該第1の伝送パワーレベルおよび該第2の伝送パワーレベルに関する次の推定値を推定するステップと、
前記第1の伝送パワーレベルおよび前記第2の伝送パワーレベルの最新の繰り返しの推定値を用いて次の推定値を推定することを繰り返すステップと
から導き出されることを特徴とする方法。
【請求項6】
前記第1の伝送パワーレベルを推定するステップは、測定誤差マージンを用いるステップを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ノイズ上昇モデルを表として格納するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1または5に記載の方法。
【請求項8】
前記ノイズ上昇モデルを数学的関係として格納するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1または5に記載の方法。
【請求項9】
前記伝送パワーレベルを推定することを繰り返すステップが、前記推定されたパワーレベルが収束するまで繰り返されることを特徴とする請求項1または5に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−104693(P2007−104693A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−282785(P2006−282785)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【分割の表示】特願2002−590533(P2002−590533)の分割
【原出願日】平成14年5月7日(2002.5.7)
【出願人】(594164900)インターディジタル テクノロジー コーポレイション (153)
【氏名又は名称原語表記】InterDigital Technology Corporation
【Fターム(参考)】