説明

伝送装置

【課題】従来は、ヒータの制御を主制御部が行うようにしていたため、低温起動時において、装置内が所定の温度以上に加熱され装置動作に入る前の段階で、装置全体に電力を供給することになり、消費電力が多くなるという課題があった。
【解決手段】伝送装置を、主制御部と、消費電力が主制御部よりも小さい副制御部と、伝送装置外部との間で信号を送受信するインタフェース部と、該インタフェース部で受信した信号を増幅する増幅部と、伝送装置内を所定の温度に加熱する加熱部と、伝送装置内の温度を検出する温度検出部とから構成し、伝送装置の起動時において、まず副制御部が起動され、副制御部が増幅部への電力供給を行うとともに、温度検出部により伝送装置内の温度を検出し、伝送装置内が所定の温度以上である場合は、主制御部の起動を行い、伝送装置内が所定の温度未満である場合は、加熱部を加熱制御し、伝送装置内が所定の温度以上になると主制御部の起動を行うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置を制御する制御部が、消費電力が大きい主制御部と、消費電力が主制御部よりも小さい副制御部を備え、装置起動時において、低温時にヒータを用いて装置内の温度を所定の温度に上げる際に、消費電力を低減することのできる電子機器装置、特に信号伝送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術の伝送装置の構成例について、図3を用いて説明する。図3は、従来技術に係る伝送装置の構成例を示す図である。図3において、31は、消費電力が大きい主制御部である。32は、消費電力が主制御部よりも小さい副制御部である。33は、伝送装置外部との間で信号を送受信するインタフェース部(IF部)である。34は、該インタフェース部で受信した信号を増幅する増幅部である。35は、伝送装置内を所定の温度に加熱する加熱部(ヒータ)である。36は、伝送装置内の温度を検出する温度検出部である。
【0003】
主制御部31は、温度検出部36から温度情報を取得し、該温度情報に基づいてヒータ35を加熱制御し、また、インタフェース部33への電力供給を行う。また、主制御部31は、副制御部32との間でシリアル通信を行い、相互に状態を確認できるようになっている。主制御部31は、メインCPU(Central Processing Unit)、メモリ、LSI(Large Scale Integration)を備えている。主制御部31のメインCPUは、増幅部34以外の伝送装置全体の制御を行うため、演算処理が高速で、16ビットデータバスを使用、メモリ空間は32Mバイト以上のCPUである。
【0004】
副制御部32は、サブCPU、メモリ、LSIを備えている。サブCPUは、増幅部34のみの制御を行うものなので、演算処理がメインCPUより低速で、8ビットデータバスを使用、メモリ空間は1Mバイト以下のCPUである。したがって、主制御部31のメインCPU、メモリ、LSIの消費電力は、副制御部32のサブCPU、メモリ、LSIの消費電力よりも大きくなる。
【0005】
図3の伝送装置における装置起動について、図4を用いて説明する。図4は、従来技術に係る伝送装置起動時の制御シーケンスである。
まず、伝送装置の電源投入後に、副制御部32が起動され、副制御部32は、増幅部34を制御し電力を供給する(S41)。また、主制御部31が起動され、主制御部31は、インタフェース部33に電力を供給する(S42)。次に、主制御部31は、温度検出部36から温度情報を取得し、伝送装置内の温度を確認する(S43)。伝送装置内が所定の温度以上でない場合(S44でYes)は、ヒータ35に通電し(S45)、所定の時間、ヒータ35を加熱制御して(S46)、S43へ戻り、伝送装置内の温度を確認する。
伝送装置内が所定の温度以上である場合(S44でNo)は、ヒータ35に通電していたときはヒータ35の通電を停止し(S47)、主制御部31と副制御部32間のシリアル通信を確立し(S48)、装置動作に入る(S49)。
下記の特許文献1には、温度検出部からの温度データが、予め設定された動作保証温度範囲外であると、温度異常を示す表示を行う光伝送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-244335公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来技術では、ヒータ35の制御を主制御部31が行うようにしていたため、低温起動時においては、伝送装置内が所定の温度以上に加熱され装置動作に入る前の段階で、主制御部31、温度検出部36、ヒータ35、インタフェース部33、副制御部32、増幅部34といった装置全体に電力を供給することになる。したがって、装置動作に入るまで必要のないインタフェース部33等にも電力を供給するので、消費電力が多くなるという課題があった。
【0008】
本発明は、上記従来技術に鑑みて為されたもので、低温起動時においても、伝送装置内が所定の温度以上になるまで、無駄に電力を消費することを抑え、消費電力を低減することができる伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本願発明では、電子機器を、主制御部と、消費電力が主制御部よりも小さい副制御部と、電子機器内を所定の温度に加熱する加熱部と、電子機器内の温度を検出する温度検出部とから構成し、電子機器の起動時において、まず副制御部が起動され、温度検出部により電子機器内の温度を検出し、電子機器内が所定の温度以上である場合は、主制御部の起動を行い、電子機器内が所定の温度未満である場合は、加熱部を加熱制御し、電子機器内が所定の温度以上になると主制御部の起動を行うようにする。
【0010】
本願発明を伝送装置に適用した場合の代表的な構成は、次のとおりである。すなわち、
伝送装置外部との間で信号を送受信する伝送装置であって、
該伝送装置は、主制御部と、消費電力が主制御部よりも小さい副制御部と、伝送装置外部との間で信号を送受信するインタフェース部と、該インタフェース部で受信した信号を増幅する増幅部と、伝送装置内を所定の温度に加熱する加熱部と、伝送装置内の温度を検出する温度検出部とを備え、
主制御部は、副制御部、インタフェース部と信号接続され、
副制御部は、主制御部、増幅部、加熱部、温度検出部と信号接続され、
伝送装置の起動時において、まず副制御部が起動され、副制御部が増幅部への電力供給を行うとともに、温度検出部により伝送装置内の温度を検出し、伝送装置内が所定の温度以上である場合は、加熱部を加熱制御せずに主制御部の起動を行い、伝送装置内が所定の温度未満である場合は、加熱部を加熱制御し、伝送装置内が所定の温度以上になると主制御部の起動を行い、該起動された主制御部がインタフェース部への電力供給を行うことを特徴とする伝送装置。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成すると、伝送装置の起動時において、伝送装置内が所定の温度以上になるまで、消費電力の大きい主制御部を起動せずに済むので、伝送装置の消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例に係る伝送装置の構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施例に係る伝送装置起動時の制御シーケンスである。
【図3】従来技術に係る伝送装置の構成例を示す図である。
【図4】従来技術に係る伝送装置起動時の制御シーケンスである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態の一例である伝送装置について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施例に係る伝送装置の構成例を示す図である。図1において、11は、消費電力が大きい主制御部である。12は、消費電力が主制御部よりも小さい副制御部である。13は、伝送装置外部との間で信号を送受信するインタフェース部(IF部)である。14は、該インタフェース部で受信した信号を増幅する増幅部である。15は、伝送装置内を所定の温度に加熱する加熱部(ヒータ)である。16は、伝送装置内の温度を検出する温度検出部である。
例えば、光伝送装置の場合は、インタフェース部13は、光多重分離部、E/O(電気/光)変換部、O/E変換部、変復調部を含むものである。
【0014】
主制御部11は、インタフェース部13への電力供給を行うものである。また、主制御部11は、副制御部12との間でシリアル通信を行い、相互に状態を確認できるようになっている。主制御部11は、メインCPU(Central Processing Unit)、メモリ、LSI(Large Scale Integration)を備えている。主制御部11のメインCPUは、増幅部14やヒータ15等以外の伝送装置全体の制御を行うため、演算処理が高速で、16ビットデータバスを使用、メモリ空間は32Mバイト以上のCPUである。
【0015】
副制御部12は、温度検出部16から温度情報を取得し、該温度情報に基づきヒータ15を加熱制御し、また、増幅部14の制御を行う。また、副制御部12は、サブCPU、メモリ、LSIを備えている。サブCPUは、ヒータ15の加熱制御や増幅部14の制御を行うものなので、演算処理がメインCPUより低速で、8ビットデータバスを使用、メモリ空間は1Mバイト以下のCPUである。したがって、主制御部11のメインCPU、メモリ、LSIの消費電力は、副制御部12のサブCPU、メモリ、LSIの消費電力よりも大きくなる。
【0016】
図1の伝送装置における装置起動について、図2を用いて説明する。図2は、本発明の実施例に係る伝送装置起動時の制御シーケンスである。
まず、伝送装置の電源投入後に、副制御部12が起動され、副制御部12は、増幅部14を制御し電力を供給する(S21)。次に、副制御部12は、温度検出部16から温度情報を取得し、伝送装置内の温度を確認する(S22)。伝送装置内が所定の温度以上でない場合(S23でYes)は、副制御部12は、主制御部11が起動されていたときは主制御部11を停止しインタフェース部13への電力供給を停止する(S24)。次に、ヒータ15に通電し(S25)、所定の時間、ヒータ15を加熱制御して(S26)、S22へ戻り、伝送装置内の温度を確認する。
伝送装置内が所定の温度以上である場合(S23でNo)は、副制御部12は、ヒータ15に通電していたときはヒータ15の通電を停止し(S27)、主制御部11を起動し、主制御部11は、インタフェース部13に電力を供給する(S28)。次に、副制御部12は、主制御部11と副制御部12間のシリアル通信を確立し(S29)、装置動作に入る(S30)。
【0017】
このように、伝送装置の起動時において、伝送装置内が所定の温度以上になるまで、消費電力の大きい主制御部11を起動せずに済むので、伝送装置の消費電力を低減することができる。
【0018】
なお、主制御部11のメインCPUの処理能力が高くて余裕がある場合は、増幅部14の制御を主制御部11が行い、副制御部12は、温度検出部16から温度情報取得と、ヒータ15の加熱制御のみを行うようにすることもできるが、メインCPUの処理能力に余裕が少ない場合は、上記実施例のように、副制御部12が増幅部14の制御を受け持つのが好ましい。
【0019】
また、増幅部14は、インタフェース部13で受信した信号を増幅するものであり、主制御部11が起動されてなく、したがって、インタフェース部13に電力が供給されていないときは、増幅部14は、入力信号がない無入力状態になる。無入力状態において、増幅部14の消費電力は増幅素子のバイアス電流のみとなるので、伝送装置の消費電力を更に低減することができる。
【0020】
また、本発明は、本発明に係る処理を実行する装置としてだけでなく、システム、方法として、或いは、このような方法やシステムを実現するためのプログラムや当該プログラムを記録する記録媒体などとして把握することができる。
また、本発明は、CPUがメモリに格納された制御プログラムを実行することにより制御する構成としてもよく、また、ハードウエア回路として構成してもよい。
【符号の説明】
【0021】
11・・主制御部、12・・副制御部、13・・IF部、14・・増幅部、15・・加熱部(ヒータ)、16・・温度検出部、31・・主制御部、32・・副制御部、33・・IF部、34・・増幅部、35・・加熱部(ヒータ)、36・・温度検出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送装置外部との間で信号を送受信する伝送装置であって、
該伝送装置は、主制御部と、消費電力が主制御部よりも小さい副制御部と、伝送装置外部との間で信号を送受信するインタフェース部と、該インタフェース部で受信した信号を増幅する増幅部と、伝送装置内を所定の温度に加熱する加熱部と、伝送装置内の温度を検出する温度検出部とを備え、
主制御部は、副制御部、インタフェース部と信号接続され、
副制御部は、主制御部、増幅部、加熱部、温度検出部と信号接続され、
伝送装置の起動時において、まず副制御部が起動され、副制御部が増幅部への電力供給を行うとともに、温度検出部により伝送装置内の温度を検出し、伝送装置内が所定の温度以上である場合は、加熱部を加熱制御せずに主制御部の起動を行い、伝送装置内が所定の温度未満である場合は、加熱部を加熱制御し、伝送装置内が所定の温度以上になると主制御部の起動を行い、該起動された主制御部がインタフェース部への電力供給を行うことを特徴とする伝送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−109468(P2011−109468A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263059(P2009−263059)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】