説明

位置制御装置および位置制御方法

【課題】距離に依存せずに高い精度で位置制御が可能な位置制御装置を提供する。
【解決手段】位置制御装置100は、第1情報を取得し、前記第1情報から特定される基準位置Bとステージ1との間の距離と所望の距離との差が、所与の範囲に含まれるか否かを判定し、前記所与の範囲に含まれない場合には、前記差が前記所与の範囲に含まれるようにステージ1の位置を制御する第1位置制御処理を行う第1制御手段31と、前記差が前記所与の範囲に含まれる場合には、前記第2情報を取得し、前記第2情報から特定される基準位置1とステージBとの間の距離に基づいて、基準位置Bとステージ1との間の距離が前記所望の距離となるようにステージ1の位置を制御する第2位置制御処理を行う第2制御手段32と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置制御装置および位置制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
静電容量計測式位置センサーを用いた位置制御装置は、すでに多くの商品が市場に存在している。例えば、特許文献1には、ディスクの主面との距離に応じて静電容量が変化する静電容量電極の静電容量の変化に応じて、ディスク主面と光学系の距離を一定に制御する位置制御装置を含むテクスチャ装置が記載されている。
【0003】
静電容量計測式位置センサーでは、例えば、一定電圧を供給する電源に接続された発信電極をステージに固定し、その発信電極と対向するように信号検出電極を配置する。2つの電極間の距離をd、信号検出電極の面積をS、2つの電極間に充填された誘電体の誘電率をεとすると、2つの電極間で形成される静電容量Cは、下記式で与えられる。
【0004】
【数1】

【0005】
すなわち、2つの電極間の距離の変化は、2つの電極間の静電容量の変化として現れる。信号検出電極上には、距離dに依存して下記式に示す電荷が生じる。
【0006】
【数2】

【0007】
この電荷または回路を流れる電流値を測定器で測定することによって距離dに対する知見を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−314370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
静電容量計測式位置センサーは、距離dに対して出力信号の強度が反比例するため、出力信号の感度は、d−2に比例する。したがって、距離dが短い場合には、距離dの変化に対して出力信号が大きく変化し、位置情報の読み取りに関する問題は少ない。しかしながら、距離dが長い場合には、距離dの変化に対して出力信号の変化は小さく、距離dの変化に対する感度は低い。感度改善のために、ステージに固定された発信電極に供給する電圧値を高くするなど、計測に必要とされる摂動を大きくすることも可能であるが、ステージに置かれた試料へ影響を与えてしまう場合があり、また、高電圧印加による放電が発生し制御回路の故障に繋がる懸念もある。
【0010】
このように静電容量計測式位置センサーを用いた位置制御装置では、2つの電極間の距離d、すなわち、基準位置と制御対象との間の距離によっては、高い精度で位置制御ができないという問題があった。特に、電子顕微鏡の試料ステージや集束イオンビームを用いた試料加工装置の試料ステージ等の位置制御を行う位置制御装置では、ミリメートルからナノメートルまでの広い距離範囲にわたり、ナノメートル単位の精度で位置制御できることが望まれている。
【0011】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、距離に依存せずに高い精度で位置制御が可能な位置制御装置を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)本発明に係る位置制御装置は、
基準位置とステージとの間の距離を所望の距離に制御する位置制御装置であって、
前記ステージに形成された第1キャパシター電極と前記第1キャパシター電極と対向し前記基準位置に配置された第2キャパシター電極との間の静電容量に基づいて、前記基準位置と前記ステージとの間の距離を特定するための第1情報を生成する第1情報生成手段と、
レーザー光を前記ステージに形成された反射面に照射し、前記反射面で反射された戻り光を参照光と干渉させて得られる干渉光の強度に基づいて、前記基準位置と前記ステージとの間の距離を特定するための第2情報を生成する第2情報生成手段と、
前記第1情報を取得し、前記第1情報から特定される前記基準位置と前記ステージとの間の距離と前記所望の距離との差が、所与の範囲に含まれるか否かを判定し、前記所与の範囲に含まれない場合には、前記差が前記所与の範囲に含まれるように前記ステージの位置を制御する第1位置制御処理を行う第1制御手段と、
前記差が前記所与の範囲に含まれる場合には、前記第2情報を取得し、前記第2情報から特定される前記基準位置と前記ステージとの間の距離に基づいて、前記基準位置と前記ステージとの間の距離が前記所望の距離となるように前記ステージの位置を制御する第2位置制御処理を行う第2制御手段と、
を含む。
【0013】
このような位置制御装置によれば、基準位置とステージとの間の距離と所望の距離との差が所与の範囲に含まれない場合には、第1位置制御処理を行い、基準位置とステージとの間の距離と所望の距離との差が所与の範囲に含まれる場合には、第2位置制御処理を行う。第1位置制御処理では、基準位置とステージとの間の距離を第2位置制御処理において距離を一義的に特定することが可能な距離範囲(所与の範囲)に含まれるように制御できる。当該距離範囲において、第2位置制御処理では、距離に依存せずに高い精度で基準位置とステージとの間の距離が所望の距離となるようにステージの位置を制御できる。したがって、このような位置制御装置によれば、距離に依存せずに高い精度でステージの位置制御ができる。
【0014】
(2)本発明に係る位置制御装置において、
前記第2情報生成手段は、前記レーザー光の波長を変えることが可能な光源を有し、
前記第2制御手段は、前記レーザー光の波長を変化させて得られる前記干渉光の干渉パターンに基づいて、前記所望の距離における前記第2情報生成手段の距離感度を制御してもよい。
【0015】
このような位置制御装置によれば、レーザー光の波長を変化させて得られる干渉光の干渉パターンに基づいて、第2情報生成手段の距離感度を制御することができる。したがって、容易に第2情報生成手段の距離感度を高めることができる。
【0016】
(3)本発明に係る位置制御装置において、
前記第2情報生成手段は、前記光源からの前記レーザー光を伝播させる光ファイバーを有し、
前記光ファイバーは、前記レーザー光を射出しかつ前記戻り光が入射する端面を有し、
前記端面の位置は、前記反射面と前記端面との間の前記戻り光の光路長を変化させるように、移動可能に形成され、
前記第2制御手段は、前記戻り光の光路長を変化させて得られる前記干渉光の干渉パターンに基づいて、前記所望の距離における前記第2情報生成手段の距離感度を制御してもよい。
【0017】
このような位置制御装置によれば、戻り光の光路長を変化させて得られる干渉光の干渉パターンに基づいて、第2情報生成手段の距離感度を制御することができる。したがって、容易に第2情報生成手段の距離感度を高めることができる。
【0018】
(4)本発明に係る位置制御装置において、
前記反射面は、前記第1キャパシター電極の表面に形成され、
前記レーザー光は、前記第2キャパシター電極に形成された貫通孔を通過して前記反射面に照射されてもよい。
【0019】
このような位置制御装置によれば、装置の小型化を図ることができる。
【0020】
(5)本発明に係る位置制御装置において、
前記第1キャパシター電極には、交流電圧が供給されてもよい。
【0021】
これにより、位相検波を行うことができるため、S/Nを向上できる。
【0022】
(6)本発明に係る位置制御方法は、
基準位置とステージとの間の距離を所望の距離に制御する位置制御方法であって、
前記ステージに形成された第1キャパシター電極と前記第1キャパシター電極と対向し前記基準位置に配置された第2キャパシター電極との間の静電容量に基づいて、前記基準位置と前記ステージとの間の距離を特定するための第1情報を生成する第1情報生成工程と、
レーザー光を前記ステージに形成された反射面に照射し、前記反射面で反射された戻り光を参照光と干渉させて得られる干渉光の強度に基づいて、前記基準位置と前記ステージとの間の距離を特定するための第2情報を生成する第2情報生成工程と、
前記第1情報を取得し、前記第1情報から特定される前記基準位置と前記ステージとの間の距離と前記所望の距離との差が、所与の範囲に含まれるか否かを判定し、前記所与の範囲に含まれない場合には、前記差が前記所与の範囲に含まれるように前記ステージの位置を制御する第1位置制御処理を行う第1制御工程と、
前記差が前記所与の範囲に含まれる場合には、前記第2情報を取得し、前記第2情報から特定される前記基準位置と前記ステージとの間の距離に基づいて、前記基準位置と前記ステージとの間の距離が前記所望の距離となるように前記ステージの位置を制御する第2位置制御処理を行う第2制御工程と、
を含む。
【0023】
このような位置制御方法によれば、基準位置とステージとの間の距離と所望の距離との差が所与の範囲に含まれない場合には、第1位置制御処理を行い、基準位置とステージとの間の距離と所望の距離との差が所与の範囲に含まれる場合には、第2位置制御処理を行う。第1位置制御処理では、基準位置とステージとの間の距離を第2位置制御処理において距離を一義的に特定することが可能な距離範囲(所与の範囲)に含まれるように制御できる。当該距離範囲において、第2位置制御処理では、距離に依存せずに高い精度で基準位置とステージとの間の距離が所望の距離となるようにステージの位置を制御できる。したがって、このような位置制御方法によれば、距離に依存せずに高い精度でステージの位置制御ができる。
【0024】
なお、第1情報生成工程と第2情報生成工程を行う順序は、特に限定されず、例えば、同時に行われてもよい。また、第2情報生成工程が、第1制御工程の後に行われてもよい。
【0025】
(7)本発明に係る位置制御方法において、
前記第1情報生成工程の前に、前記レーザー光の波長を変化させて得られる前記干渉光の干渉パターンに基づいて、前記所望の距離における前記第2情報生成工程の距離感度を制御する距離感度制御工程をさらに含んでもよい。
【0026】
このような位置制御方法によれば、レーザー光の波長を変化させて得られる干渉光の干渉パターンに基づいて、第2情報生成工程の距離感度を制御することができる。したがって、容易に第2情報生成工程の距離感度を高めることができる。
【0027】
(8)本発明に係る位置制御方法において、
第1情報生成工程の前に、前記戻り光の光路長を変化させて得られる前記干渉光の干渉パターンに基づいて、前記所望の距離における前記第2情報生成工程の距離感度を制御する感度制御工程をさらに含んでもよい。
【0028】
このような位置制御方法によれば、戻り光の光路長を変化させて得られる干渉光の干渉パターンに基づいて、第2情報生成工程の距離感度を制御することができる。したがって、容易に第2情報生成工程の距離感度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施形態に係る位置制御装置の機能ブロック図。
【図2】本実施形態に係る位置制御装置を模式的に示す斜視図。
【図3】距離に対する静電容量計測式位置センサーの信号強度を示すグラフ。
【図4】距離に対する光ファイバー干渉計の信号強度を示すグラフ。
【図5】第2キャパシター電極および光ファイバーの端面を模式的に示す斜視図。
【図6】本実施形態に係る位置制御方法の一例を示すフローチャート。
【図7】本実施形態の変形例に係る位置制御装置の機能ブロック図。
【図8】距離に対する静電容量計測式位置センサーの信号強度を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0031】
1. 位置制御装置
まず、本実施形態に係る位置制御装置について説明する。図1は、本実施形態に係る位置制御装置100の機能ブロック図である。図2は、位置制御装置100の静電容量計測式位置センサーおよび光ファイバー干渉計を模式的に示す斜視図である。位置制御装置100は、基準位置Bとステージ1との間の距離を所望の距離に制御するための装置である。本実施形態では、位置制御装置100が電子顕微鏡の試料ステージに適用された場合について説明する。なお、位置制御装置100は、電子顕微鏡の試料ステージに限られず、同様の精度で位置制御される装置に適用が可能である。
【0032】
位置制御装置100は、図1に示すように、静電容量計測式位置センサー(第1情報生成手段)10と、光ファイバー干渉計(第2情報生成手段)20と、制御回路30と、を含む。
【0033】
静電容量計測式位置センサー10は、図1に示すように、信号発生電源11と、第1キャパシター電極12と、第2キャパシター電極14と、測定器16と、を含む。静電容量計測式位置センサー10は、ステージ1に形成された第1キャパシター電極12と第1キャパシター電極12と対向し基準位置Bに配置された第2キャパシター電極14との間の静電容量に基づいて、基準位置Bとステージ1との間の距離dを特定するための第1情報を生成する。ここで、基準位置Bとは、ステージ1の位置制御の基準となる位置である。
【0034】
信号発生電源11は、一定交流電圧を第1キャパシター電極12に供給する。なお、信号発生電源11は、直流電圧を第1キャパシター電極12に供給してもよい。
【0035】
第1キャパシター電極12は、ステージ1の上面に形成(固定)されている。第1キャパシター電極12には、信号発生電源11から一定交流電圧が供給される。
【0036】
第2キャパシター電極14は、第1キャパシター電極12と対向(対面)し、基準位置Bに配置されている。
【0037】
なお、本実施形態では、2つの電極12,14間の距離は、基準位置Bとステージ1との間の距離dと一致しているものとして説明する。
【0038】
2つの電極12,14間の距離をd、第2キャパシター電極14の面積をS、2つの電極12,14間に充填された誘電体の誘電率をεとすると、2つの電極12,14間で形成される静電容量Cは、下記式(1)で与えられる。
【0039】
【数1】

【0040】
すなわち、2つの電極12,14間の距離dの変化は、2つの電極12,14間の静電容量の変化として現れる。第2キャパシター電極14上には、距離dに依存して、下記式(2)に示す電荷Qが生じる。
【0041】
【数2】

【0042】
ここで、Vは、2つの電極12,14間の電位差である。この電荷または回路を流れる電流値を測定器16で測定することによって2つの電極12,14間の距離dに対する知見を得ることができる。
【0043】
測定器16は、電荷または回路を流れる電流値を基づいて距離dを特定するための信号(第1情報)を生成する。
【0044】
図3は、距離dに対する静電容量計測式位置センサー10の信号強度を示すグラフである。図3に示すグラフは、式(2)から算出したものである。図3に示すように、信号強度(第1情報)は、距離dと1対1に対応するため、信号強度(第1情報)から距離dを一義的に特定することができる。
【0045】
光ファイバー干渉計20は、光源22と、光ファイバー24と、光ファイバー方向結合器26と、受光器28と、を含む。光ファイバー干渉計20は、レーザー光をステージ1に形成された反射面27に照射し、反射面27で反射された戻り光を参照光と干渉させて得られる干渉光の強度に基づいて、基準位置Bとステージ1との間の距離を特定するための第2情報を生成する。
【0046】
光源22は、半導体レーザー22aと、レーザー波長制御部22bと、を有する。半導体レーザー22aは、単一波長λを持つレーザー光を発生させる。レーザー波長制御部22bは、半導体レーザー22aが発生させるレーザー光の波長λを任意の波長に変えることができる。レーザー波長制御部22bは、例えば、温度制御用センサーとペルチエ素子とを有しており、これらによって半導体レーザー22aの温度を制御することで、半導体レーザー22aが発生させるレーザー光の波長λを制御することができる。
【0047】
光ファイバー24は、光源22からのレーザー光を伝播させることができる。光ファイバー24は、光源22と結合され、光ファイバー方向結合器(2×1方向結合器)26を介して、端面25から光源22で発生したレーザー光を反射面27に照射する。光ファイバー24の端面25は、反射面27に対して対向(対面)して配置されている。光ファイバー24の端面25は、レーザー光を射出する面であり、かつ反射面27で反射されて光ファイバー24に戻るレーザー光(戻り光)が入射する面である。光ファイバー24の端面25は、図1の例では、基準位置Bに位置している。本実施形態では、光ファイバー24の端面25と反射面27との間の距離は、基準位置Bとステージ1との間の距離dと一致しているものとして説明する。
【0048】
光ファイバー24には、光ファイバー24の端面25から射出されずに端面25で反射されて光ファイバー24を戻る光成分(参照光)と、端面25から射出され反射面27で反射されて再び光ファイバー24に戻る光成分(戻り光)と、を有する干渉光が生成される。参照光と戻り光との間には、光ファイバー24の端面25と反射面27との距離dの2倍の距離に相当する位相差4πd/λが生じる。仮に光ファイバー24の端面25で光多重反射が存在しない場合には、受光器28で検出される干渉光の強度Iは、距離dに対して下記式(3)で与えられる。
【0049】
【数3】

【0050】
ここで、Iは、DC成分である。光ファイバー干渉計20は、単一波長であって可干渉性を有するレーザー光を用いているため、高い精度で距離dを測定することができる。
【0051】
受光器28は、干渉光の強度Iに基づいて距離dを特定するための信号(第2情報)を生成する。
【0052】
図4は、距離dに対する光ファイバー干渉計20の信号強度(干渉光の干渉パターン)を示すグラフである。図4に示すグラフは、式(3)から算出したものである。図4に示すように、干渉パターンは、距離dに対してλ/2の周期で変化している。したがって、距離dを一義的に特定する信号(第2情報)を得るためには、信号強度の最大値と最小値を含むλ/4の距離範囲で測定が行わなければならない。
【0053】
制御回路30は、第1制御回路(第1制御手段)31と、第2制御回路(第2制御手段)32と、加算回路34と、を有している。
【0054】
第1制御回路31は、測定器16から出力された第1情報を取得し、第1情報から特定される基準位置Bとステージ1との間の距離と所望の距離との差が、所与の範囲に含まれるか否かを判定し、所与の範囲に含まれない場合には、当該差が所与の範囲に含まれるようにステージ1の位置を制御する。
【0055】
第2制御回路32は、第1情報から特定される距離dと所望の距離との差が所与の範囲に含まれる場合には、受光器28から出力された第2情報を取得し、第2情報から特定される基準位置Bとステージ1との間の距離に基づいて、基準位置Bとステージ1との間の距離が所望の距離となるようにステージ1の位置を制御する。
【0056】
なお、制御回路30(第1制御回路31、第2制御回路32、加算回路34)の詳細については後述する。
【0057】
図2に示すように、静電容量計測式位置センサー10の第1キャパシター電極12は、ステージ1の上面上に形成されている。図示の例では、第1キャパシター電極12の表面が反射面27である。反射面27は、光ファイバー24の端面25と対向していれば、その位置は特に限定されない。位置制御装置100では、ステージ1は、電子顕微鏡の試料ステージとして機能する。
【0058】
静電容量計測式位置センサー10の第2キャパシター電極14および光ファイバー24の端面25は、保護カバー3を介して固定部材2によって基準位置Bに固定されている。第2キャパシター電極14および光ファイバー24は、保護カバー3によって保護されている。保護カバー3は、電気的にアース電位となることが望ましい。また、光ファイバー24の端面25は、帯電を防止するために数nmの厚さの金属膜で金属コートされている。
【0059】
図5は、第2キャパシター電極14および光ファイバー24の端面25を模式的に示す斜視図である。なお、便宜上、保護カバー3は図示しない。図5に示すように、第2キャパシター電極14および光ファイバー24の端面25の周囲には、絶縁部材4が形成されている。これにより、第2キャパシター電極14および光ファイバー24の端面25を保護することができる。絶縁部材4の下面(ステージ1と対向する面)は、第2キャパシター電極14の下面(ステージ1と対向する面)よりも下側(ステージ1側)に位置している。これにより、第2キャパシター電極14が、第1キャパシター電極12と接触することを防ぐことができる。第2キャパシター電極14は、ケーブル15を介して、測定器16に接続されている。また、第2キャパシター電極14には、貫通孔が形成されており、レーザー光は、当該貫通孔を通過して反射面27に照射されてもよい。
【0060】
図示の例では、ステージ1に対して位置制御装置100が1つ設けられているが、ステージ1に対して位置制御装置を3つ設けることで、3軸方向(X方向、Y方向、Z方向)に対してステージ1の位置制御を行ってもよい。
【0061】
2. 位置制御方法
次に、本実施形態に係る位置制御方法について説明する。具体的には、基準位置Bとステージ1との間の距離を所望の距離に制御する制御方法について説明する。以下、図1に示す位置制御装置100を参照しながら説明する。
【0062】
まず、静電容量計測式センサー10の校正について説明する。
【0063】
静電容量計測式位置センサーは、構成部品のバラツキなどによって測定器で取得した電圧に対する距離絶対値がそれぞれのシステムに固有のものとなる可能性がある。そこで、事前に静電容量計測式位置センサー10を校正するための校正表を作成する。一度校正表を作成すればその構成部品を交換しない限り、または、時間経過などによる劣化の影響を考慮しない限り、使用し続けることができる。
【0064】
校正表は測定電圧に対する距離情報を表にした離散的数値の集合である。そのため、測定された電圧が表中の数値と一致しない場合には、補間法による近似式などを採用することとする。具体的には、2つの電極12,14間の距離dcapに対し測定電圧Vcapobsは以下の式(4)で再現できる。
【0065】
【数4】

【0066】
ここで、A、dcapoffset、Vcapoffsetは測定されたデータを式(4)にフィットさせるためのパラメータである。式(4)は下記式(5)に変換可能である。
【0067】
【数5】

【0068】
すなわち、校正を実施することで、測定された電圧Vca pobsから現在の2つの電極12,14間の距離を推測することが可能となる。
【0069】
このようにして得られた校正表を制御回路30(第1制御回路31)に記録させておき、ステージ1の制御工程中にその校正表を参照できるようにする。
【0070】
また、制御回路30を用いて制御を行う前に静電容量計測式位置センサー10によって現在の基準位置Bとステージ1の間の距離dの測定を行う。本制御例では、この時点での基準位置Bとステージ1との間の距離dを所望の距離として、ステージ1の位置を維持する制御を行う。ここで、静電容量計測式位置センサー10の出力電圧をVcapobs、基準位置Bとステージ1との間の距離dを所望の距離としたときの静電容量計測式位置センサー10の出力電圧(以下「制御基準電圧」ともいう)をVcaptarget、制御基準電圧Vcaptargetを使って式(5)から算出された制御基準位置をdcaptarget、ステージ1を制御するための制御電圧をVcapregとする。この時点では、Vcapobs=Vcaptargetである。
【0071】
次に、光ファイバー干渉計20の校正(感度制御)について説明する。光ファイバー干渉計20の感度制御は、例えば、光源22のレーザー光の波長を変化させて得られる干渉光の干渉パターン(図4参照)に基づいて、基準位置Bとステージ1との間の距離dが所望の距離であるときに、光ファイバー干渉計20の距離感度が最大となるように行われる(距離感度制御工程)。この距離感度制御工程は、例えば、第2制御回路32によって行われる。
【0072】
具体的には、基準位置Bとステージ1との間の距離dを所望の距離とし、図1のレーザー波長制御部22bに制御コンピューター(図示しない)から指令を送りレーザー光の波長を更新する。その時の受光器28の出力値、具体的には電圧値Voptobsを逐次記録する。この作業を繰り返して図4に示される干渉光の干渉パターンを測定する。図4では2周期の干渉パターンを例として表示しているが、本校正においては干渉パターンに信号強度Iの最小値と最大値がそれぞれ一箇所含まれていればよい。
【0073】
このようにして得られた干渉光の干渉パターンから、基準位置Bとステージ1との間の距離dを所望の距離としたときに、信号強度Iが干渉パターンの節(最小値と最大値の中間地点)の値をとるレーザー光の波長を求める。このレーザー光の波長は、基準位置Bとステージ1との間の距離dを所望の距離としたときに、光ファイバー干渉計20の距離感度が最大となる波長、すなわち、距離dの変化に対して受光器28で検出される信号強度Iの変化量が最大となる波長である。光ファイバー干渉計20では、このようにして得られたレーザー光の波長(距離感度最適波長)を用いて距離dの測定を行う。
【0074】
ここで、距離感度最適波長について詳細に説明する。図4に示す干渉光の干渉パターンにおいて、距離dの変化に対する信号強度Iの変化量が最も大きい場所は、信号強度Iの距離dに対する微分が最大となるところであり、干渉パターンの節の位置(距離感度最適位置)である。一般に、光ファイバー干渉計の距離感度は、図4で示すような干渉光の干渉パターンを測定しておけば、いかなる距離dにおいても下記式(6)で与えられる。
【0075】
【数6】

【0076】
したがって、4πd/λがπ/2の偶数倍の時には感度がゼロになってしまう。これは、図4の干渉パターンにおいて山または谷の位置に相当し、距離dの変化に対する信号強度の変化が小さくなることに起因するが、この問題はレーザー波長を変えることで回避できる。距離dを所望の距離としたときに、信号強度Iが距離感度最適位置と一致していない場合(例えば、4πd/λがπ/2の偶数倍となる場合)には、レーザー光の波長を変えることで信号強度Iを距離感度最適位置と一致させることができ、距離感度を最適化することができる。この基準位置Bとステージ1との間の距離dを所望の距離としたときに距離感度が最大となるレーザー光の波長が距離感度最適波長である。
【0077】
制御回路30の第2制御回路32は、基準位置Bとステージ1との間の距離dが所望の距離であって、レーザー光の波長を距離感度最適波長としたときの受光器28の出力電圧を記録する。この出力電圧を制御基準電圧Vopttargetとする。なお、干渉光の干渉パターンにおいて、光強度Iの最大値と最小値の間隔は、レーザー光の波長をλとしてλ/4となる(図4参照)。したがって、距離感度最適位置を中心に±λ/8離れた位置が光強度Iの最大値と最小値を示す。
【0078】
なお、光ファイバー干渉計20の校正は、可能な限り短時間で完了することが望ましい。仮にユーザーが静電容量計測式位置センサー10を使って設定したステージ位置dcaptargetが光ファイバー干渉計20の校正中に位置が大きくドリフトしてしまうと、光ファイバー干渉計20で評価した干渉光の干渉パターンがレーザー波長だけでなく実際の距離dの変化も含むことになり、ユーザーの希望位置とは異なるステージ位置で制御してしまう可能性が発生する。
【0079】
図6は、本実施形態に係る位置制御方法の一例を示すフローチャートである。以下、図1に示す位置制御装置および図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0080】
まず、第1キャパシター電極12と第2キャパシター電極14との間の静電容量に基づいて、基準位置Bとステージ1との間の距離dを特定するための第1情報を生成する(第1情報生成工程S10)。第1情報生成工程S10は、静電容量計測式位置センサー10によって行われる。第1情報は、測定器16で測定された電圧Vcapobsである。
【0081】
次に、レーザー光を反射面27に照射し、反射面27で反射された戻り光を参照光と干渉させて得られる干渉光の光強度に基づいて、基準位置Bとステージ1との間の距離dを特定するための第2情報を生成する(第2情報生成工程S11)。第2情報生成工程S11は、光ファイバー干渉計20によって行われる。第2情報は、受光器28で検出された電圧Voptobsである。
【0082】
なお、工程S10と工程S11の順序は特に限定されず、工程S10と工程S11を同時に行ってもよいし、工程S11を工程S10の前に行ってもよい。また、工程S11は、後述する工程S12で所与の範囲に含まれると判定された後(工程S13でYesの場合)、工程S15を行う前に行ってもよい。
【0083】
次に、第1制御回路31によって、第1情報を取得し、第1情報から特定される基準位置Bとステージ1との間の距離dcapobsと所望の距離(制御基準電圧)dcaptargetとの差が所与の範囲に含まれるか否かを判定する(判定工程S12)。具体的には、第1制御回路31は、新たに取得したVcapobsを使って式(5)から距離dcapobsを求め、|dcapobs−dcaptarget|が所与の範囲に含まれるか否かを判定する。ここで、所与の範囲として、例えば、λ/8を用いる。|dcapobs−dcaptarget|がλ/8以下の場合、基準位置Bとステージ1との距離dが、図4に示す干渉光の干渉パターンにおいて、距離感度最適位置を中心とした±λ/8(λ/4)の範囲に含まれる。すなわち、光ファイバー干渉計20で一義的に距離dを決定できる。|dcapobs−dcaptarget|がλ/8より大きい場合、図4に示す干渉光の干渉パターンにおいて、距離感度最適位置を中心とした±λ/8(λ/4)の範囲に含まれない。すなわち、光ファイバー干渉計20で一義的に距離dを決定できない。
【0084】
判定工程S12の結果、基準位置Bとステージ1との間の距離と所望の距離との差が所与の範囲に含まれない場合(工程S13でNoの場合)、すなわち、|dcapobs−dcaptarget|がλ/8より大きい場合、第1制御回路31によって、第1情報から特定される基準位置Bとステージ1との間の距離との差|dcapobs−dcaptarget|が所与の範囲λ/8に含まれるようにステージ1の位置を制御する第1位置制御処理を行う(第1制御工程S14)。
【0085】
具体的には、第1制御回路31は、第1情報から特定される距離dcapobsから(dcapobs−dcaptarget)に比例する制御電圧補正値ΔVcapreg=(dcapobs−dcaptarget)×Acapを計算し、ステージ1に供給される制御電圧Vcapregを、Vcapreg=Vcapreg+ΔVcapregで更新する。更新された制御電圧Vcapregは、加算回路34に供給され、第2制御回路32から供給される制御電圧Voptregと加算され、得られた制御電圧Vreg=Vcapreg+Voptregがステージ1へ供給される。工程S13では、制御電圧Vreg=Vcapreg+Voptregのうち制御電圧Voptregは更新されず、制御電圧Vcapregのみが更新される。
【0086】
ステージ1は、例えば、図示しない駆動装置を有し、駆動装置は供給された制御電圧Vregに応じてステージ1の位置を移動させる。
【0087】
第1制御工程S14の後、工程S10に戻り、基準位置Bとステージ1との間の距離dと所望の距離との差|dcapobs−dcaptarget|が所与の範囲λ/8に含まれるまで、工程S10、工程S11、工程S12、工程S13、工程S14を繰り返す。
【0088】
判定工程S12の結果、基準位置Bとステージ1との間の距離と所望の距離との差が所与の範囲に含まれる場合(工程S13でYesの場合)、すなわち、|dcapobs−dcaptarget|がλ/8以下の場合、第2制御回路32によって、第2情報を取得し、第2情報から特定される基準位置Bとステージ1との間の距離doptobsに基づいて、基準位置Bとステージ1との間の距離が所望の距離となるようにステージ1の位置を制御する第2位置制御処理を行う(第2制御工程S15)。
【0089】
ここで、上述した光ファイバー干渉計20の校正が終了した直後では、例えば、制御電圧Voptreg=0Vであり、dopttarget=0mである。第2制御工程S15では、受光器28の出力電圧Voptobsを取得し、(Voptobs−Vopttarget)に比例する制御電圧補正値ΔVoptreg=sgn(Voptobs−Vopttarget)×Aoptを計算した後に、VoptregをVoptreg=Voptreg+ΔVoptregで更新する。なお、Aoptは、第2制御回路32内の変換係数である。また、sgnは、距離感度制御工程において、干渉パターンの解析を通して決定される。具体的には、干渉パターンには、図4に示すように、1周期に距離感度最適位置が2つあり、この2つの位置では、距離dの変化に対する信号強度の変化の符号(信号強度の増減)が互いに逆である。そのため、距離感度最適位置から距離dを増加させたときに信号強度が増加する場合、sgnをプラスとし、距離感度最適位置から距離dを増加させたときに信号強度が減少する場合、sgnをマイナスとする。更新された制御電圧Voptregは、加算回路34に供給され、第1制御回路31から供給される制御電圧Vcapregと加算され、得られた制御電圧Vreg=Vcapreg+Voptregがステージ1へ供給される。工程S15では、制御電圧Vreg=Vcapreg+Voptregのうち制御電圧Vcapregは更新されず、制御電圧Voptregのみが更新される。ステージ1は、駆動装置によって制御電圧Vregに応じた位置に移動する。
【0090】
なお、光干渉計を使った距離測定における距離感度最適位置での感度Sensitivityoptは、レーザー光の波長λを使って以下の式で与えられる。
【0091】
【数7】

【0092】
式(7)を使えば、(Voptobs−Vopttarget)から、dopttar getからずれた距離の絶対値を算出することができるので、式(7)で得られて距離情報を基にVoptregを計算してもよい。その場合には、ΔVoptregを計算する式の比例係数Aoptが変更されるが、通常は距離に変換する必要はなく、測定電圧を使った(Voptobs−Vopttarget)を評価するだけでよい。
【0093】
工程S15の後、ステージ1の位置制御を継続する場合(工程S16でNoの場合)、工程S10に戻り、上述した工程S10〜S16を繰り返す。
【0094】
工程S15の後、ステージ1の位置制御を終了する場合(工程S16でYesの場合)、処理は終了する。
【0095】
本実施形態によれば、基準位置Bとステージ1との間の距離と所望の距離との差|dcapobs−dcaptarget|が所与の範囲λ/8に含まれない場合には、第1位置制御処理を行い、基準位置Bとステージ1との間の距離dと所望の距離との差|dcapobs−dcaptarget|が所与の範囲λ/8に含まれる場合には、第2位置制御処理を行うことができる。第1位置制御処理では、基準位置Bとステージ1との間の距離を第2位置制御処理において距離を一義的に特定することが可能な距離範囲λ/8に含まれるように制御できる。当該距離範囲において、第2位置制御処理では、距離に依存せずに高い精度で基準位置Bとステージ1との間の距離が所望の距離となるようにステージ1の位置を制御できる。したがって、本実施形態によれば、距離に依存せずに高い精度でステージの位置制御ができる。そのため、本実施形態に係る位置制御装置は、例えば、ナノメートル単位の精度で位置制御を要求される電子顕微鏡や試料加工装置の試料ステージの位置制御に用いることができる。
【0096】
本実施形態によれば、静電容量計測式位置センサー10は、基準位置Bとステージ1との間の距離を光ファイバー干渉計20が距離を一義的に特定することが可能な距離範囲まで制御すればよいので、高い距離感度を必要としない。したがって、第1キャパシター電極12に高電圧を印加する必要がなく、例えば、第1キャパシター電極12に高電圧を印加することによるステージ1上の試料への影響や、放電により制御回路が故障することを防止することができる。
【0097】
本実施形態によれば、干渉光の干渉パターンに基づいて、光ファイバー干渉計20の距離感度を制御することができる。したがって、容易に光ファイバー干渉計の距離感度を高めることができる。
【0098】
本実施形態に係る位置制御装置によれば、反射面27が、第1キャパシター電極12の表面に形成され、光ファイバー24の端面25から射出されるレーザー光は、第2キャパシター電極14に形成された貫通孔を通過して、反射面27に照射される。これにより、装置の小型化を図ることができる。
【0099】
本実施形態に係る位置制御装置によれば、第1キャパシター電極12には、交流電圧が供給される。これにより、測定器16において位相検波を行うことができるので、S/Nを向上できる。
【0100】
3. 変形例
次に、本実施形態に係る位置制御装置の変形例について説明する。図7は、本実施形態の変形例に係る位置制御装置200の機能ブロック図である。以下、本実施形態の変形例に係る位置制御装置200において、本実施形態に係る位置制御装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0101】
位置制御装置100では、レーザー光の波長を変化させて得られる干渉光の干渉パターンに基づいて、光ファイバー干渉計20の感度制御を行った。これに対し、位置制御装置200では、戻り光の光路長を変化させて得られる干渉光の干渉パターンに基づいて、光ファイバー干渉計20の感度制御を行うことができる。
【0102】
位置制御装置200の光ファイバー干渉計20は、光ファイバー24の端面25の位置を移動させるための光ファイバー駆動装置210を有している。この光ファイバー駆動装置210により光ファイバー24の端面25は、反射面27との対向方向(反射面27の垂線方向)に移動し、光ファイバー24の端面25と反射面27との間の距離を変化させる。これにより、戻り光の光路長を変化させることができるため、戻り光の位相を制御でき、所望の干渉パターンを得ることができる。光ファイバー駆動装置210としては、例えば、ピエゾ素子を含んで構成される。ピエゾ素子は、電圧を印加することで、ナノメートル単位の位置制御が可能である。
【0103】
位置制御装置200における距離感度制御工程について説明する。図8は、距離dに対する光ファイバー干渉計20の信号強度を示すグラフである。
【0104】
ここで、基準位置Bとステージ1との間の距離dがd+λ/2の位置であったと仮定する。この距離は、干渉パターンaの谷の位置であり、光ファイバー干渉計20の距離感度は低い。そこで、光ファイバー24の端面25を、光ファイバー駆動装置210によって、反射面27に向かってλ/8だけ移動させる。これにより、戻り光の位相が変化し干渉パターンaは、λ/8だけシフトして干渉パターンbとなる。干渉パターンbでは、d+λ/2の位置が距離感度最適位置(干渉パターンの節)となり光ファイバー干渉計20の距離感度が最大となる。このように、戻り光の光路長(位相)を制御することにより、光ファイバー干渉計20の距離感度を制御できる。なお、この距離感度制御工程において、第2キャパシター電極14の位置は、固定されている。距離感度制御工程は、例えば、第2制御回路32によって行われる。
【0105】
位置制御装置200によれば、位置制御装置100と同様に、容易に光ファイバー干渉計の距離感度を高めることができる。
【0106】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0107】
1 ステージ、2 固定部材、3 保護カバー、10 静電容量計測式位置センサー、
11 信号発生電源、12 第1キャパシター電極、14 第2キャパシター電極、
16 測定器、20 光ファイバー干渉計、22 光源、22a 半導体レーザー、
22b レーザー波長制御部、24 光ファイバー、25 端面、27 反射面、
26 光ファイバー方向結合器、28 受光器、30 制御回路、
31 第1制御回路、32 第2制御回路、34 加算回路、
100,200 位置制御装置、210 光ファイバー駆動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準位置とステージとの間の距離を所望の距離に制御する位置制御装置であって、
前記ステージに形成された第1キャパシター電極と前記第1キャパシター電極と対向し前記基準位置に配置された第2キャパシター電極との間の静電容量に基づいて、前記基準位置と前記ステージとの間の距離を特定するための第1情報を生成する第1情報生成手段と、
レーザー光を前記ステージに形成された反射面に照射し、前記反射面で反射された戻り光を参照光と干渉させて得られる干渉光の強度に基づいて、前記基準位置と前記ステージとの間の距離を特定するための第2情報を生成する第2情報生成手段と、
前記第1情報を取得し、前記第1情報から特定される前記基準位置と前記ステージとの間の距離と前記所望の距離との差が、所与の範囲に含まれるか否かを判定し、前記所与の範囲に含まれない場合には、前記差が前記所与の範囲に含まれるように前記ステージの位置を制御する第1位置制御処理を行う第1制御手段と、
前記差が前記所与の範囲に含まれる場合には、前記第2情報を取得し、前記第2情報から特定される前記基準位置と前記ステージとの間の距離に基づいて、前記基準位置と前記ステージとの間の距離が前記所望の距離となるように前記ステージの位置を制御する第2位置制御処理を行う第2制御手段と、
を含む、位置制御装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2情報生成手段は、前記レーザー光の波長を変えることが可能な光源を有し、
前記第2制御手段は、前記レーザー光の波長を変化させて得られる前記干渉光の干渉パターンに基づいて、前記所望の距離における前記第2情報生成手段の距離感度を制御する、位置制御装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第2情報生成手段は、前記光源からの前記レーザー光を伝播させる光ファイバーを有し、
前記光ファイバーは、前記レーザー光を射出しかつ前記戻り光が入射する端面を有し、
前記端面の位置は、前記反射面と前記端面との間の前記戻り光の光路長を変化させるように、移動可能に形成され、
前記第2制御手段は、前記戻り光の光路長を変化させて得られる前記干渉光の干渉パターンに基づいて、前記所望の距離における前記第2情報生成手段の距離感度を制御する、位置制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記反射面は、前記第1キャパシター電極の表面に形成され、
前記レーザー光は、前記第2キャパシター電極に形成された貫通孔を通過して前記反射面に照射される、位置制御装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、
前記第1キャパシター電極には、交流電圧が供給される、位置制御装置。
【請求項6】
基準位置とステージとの間の距離を所望の距離に制御する位置制御方法であって、
前記ステージに形成された第1キャパシター電極と前記第1キャパシター電極と対向し前記基準位置に配置された第2キャパシター電極との間の静電容量に基づいて、前記基準位置と前記ステージとの間の距離を特定するための第1情報を生成する第1情報生成工程と、
レーザー光を前記ステージに形成された反射面に照射し、前記反射面で反射された戻り光を参照光と干渉させて得られる干渉光の強度に基づいて、前記基準位置と前記ステージとの間の距離を特定するための第2情報を生成する第2情報生成工程と、
前記第1情報を取得し、前記第1情報から特定される前記基準位置と前記ステージとの間の距離と前記所望の距離との差が、所与の範囲に含まれるか否かを判定し、前記所与の範囲に含まれない場合には、前記差が前記所与の範囲に含まれるように前記ステージの位置を制御する第1位置制御処理を行う第1制御工程と、
前記差が前記所与の範囲に含まれる場合には、前記第2情報を取得し、前記第2情報から特定される前記基準位置と前記ステージとの間の距離に基づいて、前記基準位置と前記ステージとの間の距離が前記所望の距離となるように前記ステージの位置を制御する第2位置制御処理を行う第2制御工程と、
を含む、位置制御方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記第1情報生成工程の前に、前記レーザー光の波長を変化させて得られる前記干渉光の干渉パターンに基づいて、前記所望の距離における前記第2情報生成工程の距離感度を制御する距離感度制御工程をさらに含む、位置制御方法。
【請求項8】
請求項6または7において、
第1情報生成工程の前に、前記戻り光の光路長を変化させて得られる前記干渉光の干渉パターンに基づいて、前記所望の距離における前記第2情報生成工程の距離感度を制御する感度制御工程をさらに含む、位置制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−38139(P2012−38139A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178527(P2010−178527)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】