説明

位置情報タグの登録方法及び設置補助装置

【課題】本発明は、3次元空間データベース中に対象物を正確に登録することが可能な登録方法及び設置補助装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る位置情報タグの登録方法では、位置情報タグのタグ情報を取得し、位置情報タグ(40)の設置予定情報を示す座標データを取得し、位置情報タグの設置位置情報を示す測位データを取得し、座標データと測位データとの誤差が許容範囲内である場合に位置情報タグを3次元空間データベース中に登録することを特徴とする位置情報タグの登録方法、及びそのような登録方法に利用される設置補助装置(300)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報タグの登録方法及び設置補助装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カーナビゲーション装置の電子地図等において、地図上の地点を特定するために、所定のサイズの単位升目を縦横に配置したメッシュを地図上に定義する手法が知られている。さらに、特定のメッシュに位置する建物の高さコードを、建物のアイコンと関連付けて記憶することによって、地図上で建物の高さに関する情報を表示することが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、携帯電話等に付加されているGPS(Global Positioning System)測位機能を用いて現在位置情報を取得し、インターネット上のサーバ等にアクセスして、取得した現在位置情報に基づいた、現在位置付近の地域に関する情報を取得することができるシステムが知られている(例えば、特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】特開2000−183149号公報(第2図)
【特許文献2】特開平9−319300号公報(第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、地図上における建物の位置や対象物の高さは表現することができるシステムが存在するが、建物の内部を空間検索することなどはできなかった。また、建物の内部構造を示すデータが存在する場合でも、建物の内部構造を定義するデータの種類(例えば、CADデータ)と、地図上における建物の位置を定義するデータの種類(例えば、GIS(Geographic Information System:地理情報システム)データ)とが異なるため、建物の内部と外部とを連続した空間としてデータ上で認識することができなかった。
【0006】
例えば、従来の地図(図8(a)参照)において、現在地点から最短距離のトイレを検索する場合、建物Aのトイレ801の方が、建物Bのトイレ802より近いと判断される。しかしながら、実際上は、図8(b)に示すように、トイレ801は建物Aの4階にあるのに対して、トイレ802は建物Bの1階にあって、現在位置からの距離はトイレ802の方が近い。即ち、建物の屋内と屋外が共通の尺度で定義されていなかったため、このような不具合が生じていた。
【0007】
そこで、本発明は、建物の屋内及び屋外を問わず、連続した空間として認識することができる統一した尺度を有する3次元空間データベース中に対象物を正確に登録することが可能な登録方法を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、前記3次元空間データベース中に登録される対象物に、位置情報タグを設置するための設置補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明に係る位置情報タグの登録方法では、位置情報タグのタグ情報を取得し、位置情報タグの設置予定情報を示す座標データを取得し、位置情報タグの設置位置情報を示す測位データを取得し、座標データと測位データとの誤差が許容範囲内である場合に位置情報タグを3次元空間データベース中に登録する、ことを特徴とする。
【0010】
また、上記の課題を解決するために、本発明に係る位置情報タグの登録方法では、携帯端末においてサーバから位置情報タグの設置予定情報を示す座標データを取得し、携帯端末において位置情報タグの設置位置情報を示す測位データを取得し、携帯端末において座標データと測位データとの誤差が許容範囲内である場合に位置情報タグのタグ情報及び設置位置情報をサーバに送信し、サーバにおいて位置情報タグのタグ情報及び設置位置情報に基づいて位置情報タグを3次元空間データベース中に登録する、ことを特徴とする。
【0011】
また、上記の課題を解決するために、本発明に係る位置情報タグの設置補助装置では、位置情報タグの座標データを含む設置予定情報を受信するための受信部と、設置予定情報を表示するための表示部と、位置情報タグの設置位置情報を示す測位データを取得するための測位データ取得部と、座標データと測位データとの誤差が許容範囲内か否かの判断を行うための制御部と、誤差が許容範囲以内の場合に位置情報タグのタグ情報と設置位置情報を送信するための送信部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、建物の屋内及び屋外を問わず、連続した空間として認識することができる統一した尺度を有する3次元空間データベース内に、正確に位置情報タグの位置を登録することが可能となった。また、そのような位置情報タグが正確に登録されている3次元空間データベースを利用すれば、現実空間で位置情報タグからのタグ情報を受信したユーザは、正確に現在位置や対象物の位置を把握することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下図面を参照して、位置情報タグの登録方法及びそのための設置補助装置について説明する。
【0014】
図1は、位置情報タグの登録を行うための全体システム10の概要を示した図である。
【0015】
システム10は、位置情報タグ40に記憶されている情報の登録、管理等を行うためのシステムであって、インターネット20に接続されたタグ位置情報管理システム100、タグID変換サーバ200、移動体通信網30を介してインターネット20へ接続可能な設置補助装置として機能する携帯端末300等から構成される。
【0016】
位置情報タグ40は、超小型のICチップ41が埋め込まれた薄いシートであって、紙やプラスチック等によって形成されている。ICチップ41は、少なくとも無線通信機能とROM機能を有しており、ICタグリーダから所定の周波数の信号を受信すると、ROMに記憶されているICチップ41に固有なタグ情報(ID番号)送信することができるように構成されている。通信可能距離は、ICチップの種類、ICチップが内蔵又は接続するアンテナの種類や周辺の電波状況に応じて変化するが、0.03m〜100m位である。
【0017】
タグ位置情報管理システム100は、ルータ101、システムバス102、サーバ103、タグ位置情報DB110、ユーザ管理DB120、3次元メッシュDB130、作業情報DB140、GIS・CAD−DB150、入力用PC160、及びデータ交換用クレードル161等から構成される。
【0018】
サーバ103は、少なくともCPU、ROM、RAM、表示部及び操作入力部を有し、予め記憶されているプログラムに従って、タグ位置情報DB110、ユーザ管理DB120、3次元メッシュDB130、作業情報DB140及びGIS・CAD−DB150と協動しながら、後述するタグ情報の登録作業を実行する。
【0019】
入力用PC160は、少なくともCPU、ROM、RAM、表示部及び操作入力部を有し、オペレータによる各種DBへのデータの入力作業等を行えるように構成されている。また、データ交換用クレードル161は携帯端末300との接続用インターフェイスである。したがって、データ交換用クレードル161に携帯端末300が接続された場合には、入力用PC160は、携帯端末300からの各種データを取り込んで、各種DBへのデータ記憶作業を行えるようにも構成されている。
【0020】
タグID変換サーバ200は、本システムで利用することが可能な全てのタグのタグ情報(ID番号)と、それに関連した所定の情報(例えば、位置情報やタグを設置した企業の製品に関する情報等)を管理するために本システム外部に設けられている。本サーバには所定の情報がタグ情報と紐付けられて登録されており、タグID変換サーバ200に特定のタグのタグ情報を照会することにより、タグ情報に紐付けて登録されている所定の情報を参照することが可能となる。
なお、例えば、タグ情報及びそれに紐付けられた所定の情報を別途情報提供者ごとに用意したコンテンツDB(図示せず)に記憶し、タグID変換サーバ200上に前記コンテンツDBへのリンク情報(例えばURL等)を記憶させておくよう構成することも可能である。
また、タグID変換サーバ200は必ずしも本システム外部に設けられている必要はなく、本システム内部の1サーバとして設けることも可能である。
【0021】
携帯端末300は、内部バス310と接続された、移動体通信網30及びインターネット20を介してデータの送受信が可能な送受信部301、ボタンやタッチパネル等から構成される操作部302、メモリ等から構成される記憶部303、位置情報タグ40からタグ情報を取得するためのタグリーダ304、携帯端末300の現在位置を示す測位データを受信するためのGPS受信部305、CPU、ROM及びRAM等から構成される制御部306、液晶パネル等から構成される表示部307、1次元又は2次元バーコード等を読取ることが可能なCCD受像部等を有するバーコードリーダ308等から構成されている。制御部306は、予め記憶されたプログラムに従って、内部バス310と接続された各種構成要素を制御して、位置情報タグ40の設置時の登録作業等を行えるように構成されている。
【0022】
次に、システム10において使用する、位置情報タグ40の管理のためのデータ構造について説明する。
【0023】
システム10は、連続性を持った3次元単位(メッシュ)で所定の空間領域(例えば、東京都23区内全域、関東地方全域、日本全域等)を区切った、3次元空間データベースを用いて、位置情報タグ40の位置の管理を行う。3次元空間データベースは、タグ位置情報DB110、3次元メッシュDB130及びGIS・GAD−DB150の協働により実現されており、屋内及び屋外で共通であり、更に高さ方向についても共通に設定されている。即ち、システム10では、3次元空間データベース内の各メッシュに付けられている、各々のメッシュを識別可能なID番号である3次元空間コードを用いて、位置情報タグ40の管理を行う。
【0024】
図2を用いて、3次元空間データベースについてさらに説明する。
【0025】
図2(a)は、図8(b)と同様の図であって、現実空間の一例を示した図である。図2(b)は、図2(a)に示す空間領域をメッシュによって区切った場合の一例を示す図である。
【0026】
1つのメッシュ70は、一例として3m×3m×3mの立方体であって、図2(b)に示す空間の全てを、縦(y)、横(x)、高さ(z)方向に渡って、区切っているものとする。ところで、図2(b)では、表示上、全てのメッシュを示さず、建物A、建物B、ポスト等の部分のみをメッシュで区切って表示しているが、実際は全ての空間がメッシュによって区切られているものとする。これによって、建物Aは、縦3×横3×高さ4のメッシュによって表され、メッシュ81に相当する箇所に建物Aのトイレ801が存在することとなる。また、建物Bは、縦6×横5×高さ1のメッシュによって表され、メッシュ82に相当する箇所に建物Bのトイレ802が存在することとなる。さらに、メッシュ80に相当する箇所に現在位置800が存在し、メッシュ83に相当する箇所にポスト803が存在することとなる。
【0027】
なお、図2(b)に示した単位メッシュ70の大きさは一例であって、他のサイズを利用することもできる。さらに、システム10は、全領域において同じ大きさのメッシュのみを利用するのではなく、地域毎に異なるサイズのメッシュを利用するようにしても良い。例えば、都市部では小さいサイズのメッシュ(例えば、3m×3m×3m)を利用し、山間部では大きいサイズのメッシュ(例えば、100m×100m×100m)を利用するようにしても良い。さらに、連続性が担保できれば、メッシュは立方体である必要はなく、他の立体であっても良い。
【0028】
3次元空間データベースは、主に屋外を規定するGISデータ及び主に屋内を規定するCADデータに基づいて生成され、タグ位置情報DBに後述するタグ情報を組み合わせて記憶されている。なお、GISデータ及びCADデータは、GIS・CAD−DB150に予め記憶されており、GIS上での座標とCADの図面上での位置情報とを相互に変換可能に関連付けられている。
【0029】
図3は、携帯端末300における動作手順の一例を示すフロー図である。
【0030】
図3に示すフローが開始される時点において、携帯端末300の電源がONされ、制御部306に予め記憶されたプログラムが既に起動されて、プログラムにしたがって、携帯機器300の各要素が動作可能な状態とされているものとする。また、ユーザ(位置情報タグの設置者)は、予め指定された位置情報タグ40を複数保持しており、各位置情報タグ40には、ID番号が表示されているものとする。
【0031】
最初に、制御部306は、ユーザによる操作部302の所定操作にしたがって、送受信部301を利用し、移動体通信網30及びインターネット20を介して、タグ位置情報管理システム100にログインを行う(S1)。ログインに際しては、操作部302から入力された所定のユーザID番号及びパスワードをタグ位置情報管理システム100へ送信し、送信されたユーザID番号及びパスワードが予めタグ位置情報管理システム100のユーザDB120に登録されていた場合にのみログインが許可されるように設定されている。
【0032】
次に、制御部306は、送受信部301によって、タグ位置情報管理システム100から例えばログインユーザやログイン日時において作業するよう計画された設置作業の一覧を示す作業指示画面を受信し、これを表示部307に表示し(S2)、ユーザが操作部302を利用して作業選択を行う(S3)。なお、制御部306は、選択された作業を示すデータを、タグ位置情報管理システム100に送信する。
【0033】
図5は、作業指示画面の一例を示す図である。
【0034】
図5に示すように、作業指示画面500は、タグ毎にその作業地域を示すデータ501と作業の選択を行うための選択ボタン502とが組みになって表示される。図5では、2つの目のタグの作業地域がユーザによって選択された状態を示している。なお、図5では作業指示画面500として、タグ毎にその作業地域の住所501と作業の選択を行うための選択ボタン502とを対にしてリスト表示しているが、これに限定されるものではない。例えば、作業指示画面500の背景に地図を表示し、該当する作業地域周辺に、タグ1は建物Aのトイレへというように、タグ毎にその作業地域が分かるように表示し、これと合わせて各タグの作業の選択を行うための選択ボタン502を表示することも可能である。
【0035】
次に、制御部306は、送受信部301によって、タグ位置情報管理システム100から受信したデータに基づいて設置場所画面600を表示部307に表示する(S4)。ユーザは、設置場所画面600を利用して、位置情報タグ40を設置すべく指示された場所へ移動する。
【0036】
図6は、設置場所画面600の一例を示す図である。
【0037】
図6に示すように、設置場所画面600は、タグ2を建物Bのトイレへ設置することを指示している。また、設置場所画面600のデータには、設置するタグを指定するデータ(例えば、タグ2)、設置するタグのID番号(例えば、xxxxxx2)、設置する場所を示す属性データ(例えば、トイレ)、及び設置する場所の測位データ(即ち、設置予定データ、緯度、経度及び高さの各データを含む)が添付されている。なお、図6に示す設置場所画面600は、図2に示す例に対応している。なお、設置場所画面に表示するのに必要な設置場所の住所や地図のデータは、タグIDをキーとしてGIS・CAD−DB150から取得する。
【0038】
次に、ユーザは、指定された場所(例えば、トイレ802)へ移動し、操作部302を操作してタグ2を設置することを入力する。また、ユーザは、予め指定されたID番号(xxxxxx2)が、例えば印刷されたタグ2を取り出し、携帯端末300の操作部302を操作して、タグリーダ304を用いて、タグ2のタグ情報(少なくとも、ID番号を含む)を読取る(S5)。読取られたタグのID番号は、タグ2のID番号として、一旦記憶部303に記憶される。なお、タグ2には、ID番号が印刷されているのであるから、再度タグリーダ304によるタグ情報の読み取りを行わない手順としても良い。
【0039】
次に、ユーザは、操作部302を操作して、GPS受信部305を動作させ、その場所の測位データとしてGPSデータを取得する(S6)。なお、ここでは測位データとしてGPSデータを例に説明するが、この他に例えば電子基準点や電波マーカ等を用いることも可能である。
【0040】
次に、制御部306は、S6で取得した測位データと、設置場所画面600に添付されたタグ2が設置されるべき座標データとを比較し、許容誤差範囲内か否かの判断を行う(S7)。例えば、誤差が50cm以内であれば、許容誤差範囲内と判断し、タグ2を設置する。しかしながら、データの比較を行った結果、許容誤差範囲以上の誤差がある場合には、制御部306は、設置場所を再度確認する旨をユーザに伝えるための警告表示を行い(S8)、再度S6からやり直すように指示を行う。
【0041】
S7における比較結果が許容範囲内である場合には、制御部306は、少なくともタグリーダ304が読取ったID番号及び上記S6にて取得した測位データをタグ位置情報管理システム100へ送信する(S9)。それによって、サーバ103は、タグ3が、設置場所画面600に指示された測位データの場所に設置されたと判断することができる。なお、設置場所の状況によってはGPS等による測位ができない場合がある。この場合には、設置場所画面に表示された設置場所の地図や設置場所を示す属性データである設置場所情報、階数を元に、操作部302を用いてタグ位置情報DBに入力する。
【0042】
次に、制御部306は、設置場所画面600に指示された全てのタグの設置(例えば、タグ1〜タグ3)の完了を含めて、全ての作業が完了したか否かの判断を行う(S10)。全ての作業が完了したか否かは、ユーザによる操作部302の所定操作に基づいて判断する。全ての作業が完了していない場合には、S3へ戻り、S3〜S10の作業を繰り返す。全ての作業が完了している場合には、全作業が完了した旨の情報をタグ位置情報管理システム100へ送信して、システム10からログアウトし(S11)、一連の作業を終了する。
【0043】
図4は、タグ位置情報管理システム100のサーバ103における動作手順の一例を示すフロー図である。
【0044】
図4に示すフローが開始される時点において、サーバ103の電源がONされ、予め記憶されたプログラムが既に起動されて、プログラムにしたがって、タグ位置情報管理システム100の各要素が動作可能な状態とされているものとする。また、図4に示す動作手順は、図3に示す動作手順に対応したものである。
【0045】
最初に、サーバ103は、携帯端末300のタグ位置情報管理システム100へのログインを許可する(S20)。ログインに際しては、携帯端末300から受信したされた所定のユーザID番号及びパスワードがユーザ管理DB120に登録されているか否かの判断を行い、登録されている場合にのみログインを許可する。
【0046】
次に、サーバ103は、作業指示画面(図5参照)を、携帯端末300へ送信する(S21)。また、サーバ103は、携帯端末300から選択作業情報を受信すると(S22)、選択に応じた設置場所画面(図6参照)及びそれに付随するデータを携帯端末300へ送信する(S23)。作業指示画面、設置場所画面及びそれに付随するデータは、予め入力用PC160を利用して作成され、作業情報DB140に予め記憶されているものとする。
【0047】
次に、サーバ103は、携帯端末300から作業結果情報を受信すると(S24)、受信データをタグ位置情報DB110へ記憶する(S25)。
【0048】
図7(a)にタグ位置情報DB、図7(b)にユーザ管理DB、図7(c)に作業情報DB及び図7(d)に3次元メッシュDBに記憶されるデータの一例を示す。
【0049】
タグ位置情報DB110は設置したタグに関する情報を記憶するDBであり、タグID、タグ設置位置のx、y、z座標(緯度、経度、高さ)、タグの設置場所を示す属性データ(設置場所情報)、タグが設置される階数を示すデータ(階数)、タグが設置された日を示すデータ(設置日)、本DBにデータが登録された日を示すデータ(登録日)、タグ設置の精度に関する情報である精度レベルが記憶されている。ここでx、y座標は、例えばGPS測位によって得られたWGS−84等の測地系座標であり、それぞれ緯度、経度に相当する。またz座標は高さに相当する。設置日及び登録日は、サーバ103が特定のタグの設置に関する作業結果を受信した日に基づいて入力される。精度レベル欄には、例えば使用したGPS機器種別や地図の縮尺等、タグ設置作業の精度を類推させる情報を記入する。また、設置場所情報は現場の状況に応じて、作業担当者が作業情報DBに登録されている内容を修正できるようになっている。
【0050】
ユーザ管理DB120は各種DBに対するユーザ認証に用いるDBであり、ユーザID、パスワード、ユーザの所属組織等が記憶されている。
作業情報DB140はタグの設置計画を記憶しているDBであり、タグID、タグ設置予定位置のx、y、z座標、タグの設置場所を示す属性データ(設置場所情報)、タグが設置される階数を示すデータ(階数)、タグ設置位置の許容誤差を示すデータ(誤差)、設置計画が設定された日を示すデータ(設定日)、設置計画の管理者や作業担当者が記憶されている。なお、座標値の項目は必須ではなく、例えばタグ設置予定位置の座標を事前に把握できない場合は、階数とGIS・CAD−DB150から得られる地図や図面を元に作業するよう作業計画を行うことも可能である。
【0051】
3次元メッシュDB130は各メッシュを識別するためのID番号と座標を対応つけるDBであり、各メッシュのID番号とそれに対応するx、y、z座標の始終点や上下限を記憶している。なお、各メッシュの境界線上に位置する場合には、例えば座標の小さい方のメッシュを割り振る等ルールを設けておく。これらの情報は入力用PC160によって予め登録されている。また、例えばメッシュ毎に壁や通路等といった通行可否に関する情報を属性として記憶しておくことにより、建物内部の空間検索に利用することも可能である。
【0052】
次に、サーバ103は、設置が完了したタグの情報を3次元空間データベースにおける3次元空間コードと紐付けるために、タグ位置情報DB110へ登録する(S26)。これによって、例えば、図2(b)において、メッシュ81にタグ1が、メッシュ82にタグ2が、メッシュ83にタグ3が紐付けられて登録される。
【0053】
次に、サーバ103は、タグID変換サーバ200にアクセスして、設置が完了したタグの情報(例えば、タグ位置情報DB110)に登録されている情報等を、タグID変換サーバ200が管理するDBに登録する(S27)。これによって、タグID変換サーバにアクセスすることができる全てのユーザに、設置が完了したタグに関する情報を公開することとなる。
【0054】
次に、サーバ103は、携帯端末300の全ての作業が完了したか否かを判断する(S28)。全作業が完了したか否かは、携帯端末300からのデータに基づいて判断する。全作業が完了していない場合には、S22に戻って、S22〜S28の作業を繰り返す。全作業が完了した場合には、携帯端末300をタグ位置情報管理システムからログアウトさせて(S29)、一連の作業を終了する。
【0055】
上述したように、図3及び図4に示す作業手順にしたがって、タグの設置を行うことによって、3次元空間データベース中にデータ空間内に所定のID番号を有する位置情報タグが3次元空間コードと関連付けて正確に登録されることとなる。そのような位置情報タグが正確に登録されている3次元空間データベースを利用すれば、現実空間で位置情報タグからのタグ情報を受信したユーザは、正確に現在位置や対象物の位置を把握することが可能となる。
【0056】
なお、位置情報タグ40に、タグのID番号に相当するバーコードを印刷又は添付しておけば、タグリーダ304ではなく、携帯端末300のバーコードリーダ308を用いて、タグのID番号を取得することが可能となる。
【0057】
上記の例では、位置情報タグの設置毎に、サーバ103と通信を行って、位置情報タグの登録を行ったが、予定する全ての位置情報タグの設置終了後に、まとめて位置情報タグの登録を行うことも可能である。その場合、設置した位置情報タグのデータを携帯端末300の記憶部303に一旦記憶し、その後携帯端末300をデータ交換用クレードル161と接続させ、一時期に記憶されているデータを入力用PC160を介してサーバ103へ送信すれば良い。
【0058】
上記の例では、予めID番号が決められた位置情報タグを予め設置位置が決められた場所に設置する方法について説明した(図3及び図4参照)。しかしながら、位置情報タグのID番号が、位置情報タグに印刷等されていたとしても、判別が煩雑である場合がある。特に、多くの位置情報タグ(例えば、100個以上)を一度に設置する場合等ではなおさらである。そこで、予め設置場所(測位データ)のみを設置場所画面600に付随するデータとして決定しておき、位置情報タグのID番号は予め定めないようにしても良い。即ち、ユーザは、予め設置位置が決められた場所に移動して、その場でランダムに選択したタグを設置する。設置に際して、ユーザがタグリーダ304を用いて設置する位置情報タグのタグ情報(ID番号を含む)を取得すれば良く、数多くの位置情報タグの中から、1つの設置すべきタグを探しだすより簡易に作業を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】位置情報タグの登録を行うためのシステム10の概要を示す図である。
【図2】(a)は、現実空間の一例を示した図であり、(b)は(a)に示す空間をメッシュによって区切った場合の一例を示す図である。
【図3】携帯端末300における動作手順の一例を示すフロー図である。
【図4】サーバ103における動作手順の一例を示すフロー図である。
【図5】作業指示画面500の一例を示す図である。
【図6】設置場所画面600の一例を示す図である。
【図7】(a)はタグ位置情報DB、(b)はユーザ管理DB、(c)は作業情報DB及び(d)は3次元メッシュDBに記憶されるデータの一例を示す。
【図8】(a)は従来の地図を示し、(b)は(a)に対応した現実空間を示した図である。
【符号の説明】
【0060】
10 システム
20 インターネット
100 タグ位置情報管理システム
103 サーバ
110 タグ位置情報DB
200 タグID変換サーバ
300 携帯端末
304 タグリーダ
305 GPS受信部
306 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報タグの登録方法であって、
前記位置情報タグのタグ情報を取得し、
前記位置情報タグの設置予定情報を示す座標データを取得し、
前記位置情報タグの設置位置情報を示す測位データを取得し、
前記座標データと前記測位データとの誤差が、許容範囲内である場合に、前記位置情報タグを3次元空間データベース中に登録する、
ことを特徴とする位置情報タグの登録方法。
【請求項2】
携帯端末とサーバとがネットワークを介して接続されたシステムにおける位置情報タグの登録方法であって、
前記携帯端末において、前記サーバから前記位置情報タグの設置予定情報を示す座標データを取得し、
前記携帯端末において、前記位置情報タグの設置位置情報を示す測位データを取得し、
前記携帯端末において、前記座標データと前記測位データとの誤差が、許容範囲内である場合に、前記位置情報タグのタグ情報及び前記設置位置情報を前記サーバに送信し、
前記サーバにおいて、前記位置情報タグのタグ情報及び前記設置位置情報に基づいて前記位置情報タグを3次元空間データベース中に登録する、
ことを特徴とする位置情報タグの登録方法。
【請求項3】
前記3次元空間データベースは、空間領域を分割した3次元単位を特定する空間コード及び前記測位データを含む、請求項1または2に記載の位置情報タグの登録方法。
【請求項4】
前記位置情報タグのタグ情報は、前記携帯端末が有するタグリーダによって、前記位置情報タグから直接取得される、請求項2に記載の位置情報タグの登録方法。
【請求項5】
前記サーバは、前記位置情報タグの前記タグ情報を予め記憶するデータベースを有し、
前記位置情報タグのタグ情報は、前記サーバから前記携帯端末に送信される、請求項2に記載の位置情報タグの登録方法。
【請求項6】
位置情報タグの設置補助装置であって、
前記位置情報タグの座標データを含む設置予定情報を受信するための受信部と、
前記設置予定情報を表示するための表示部と、
前記位置情報タグの設置位置情報を示す測位データを取得するための測位データ取得部と、
前記座標データと前記測位データとの誤差が、許容範囲内か否かの判断を行うための制御部と、
前記誤差が前記許容範囲以内の場合に、前記位置情報タグのタグ情報と前記設置位置情報を送信するための送信部と、
を有することを特徴とする位置情報タグの設置補助装置。
【請求項7】
前記位置情報タグのタグ情報を取得するためのタグ情報読取部を、更に有する、請求項6に記載の位置情報タグの設置補助装置。
【請求項8】
前記受信部は、前記位置情報タグの前記タグ情報を受信する、請求項6に記載の位置情報タグの設置補助装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−40837(P2008−40837A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−214972(P2006−214972)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【出願人】(000135771)株式会社パスコ (102)
【Fターム(参考)】