説明

位置検出装置、位置検出システム、位置検出方法およびプログラム

【課題】移動体に測位データを送信する手段を設けることなく、移動体の外部でその位置を精度よく検出する。
【解決手段】無線タグ3から電波で送信される固有のデータを含む信号を受信して、その電波の到来方向を検出する2以上の測位器2から、受信した信号とその到来方向を含むタグ情報31を、ネットワークを介して受信する受信部11と、受信部11で測位器2から受信したタグ情報31ごとに、その到来方向と測位器2の位置の情報から算出される、無線タグ3の位置データ33を取得する位置データ算出部12と、同じ固有のデータを含むタグ情報31について、直近の所定の時間に受信したタグ情報31から算出される位置データ33を、そのタグ情報31を検出した測位器2からそのタグ情報31の位置データ33で表される位置までの距離に応じた係数で重み付けした加重平均を計算して、無線タグ3の位置を算出する位置算出部13と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出装置、位置検出システム、位置検出方法およびプログラムに関する。より詳しくは、無線タグから送信される電波を受信して、その位置を検出する位置検出に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体の位置を検出する技術には、GPS(Global Positioning System)による測位や、携帯電話・PHSなどの端末が発信する電波を、基地局で受信する方位、強度などから測位する方法がある。
【0003】
GPSによる測位は、移動体の位置を外部で知るためには、移動体に位置データを送信する手段が必要である。また、衛星の電波が届かない屋内、地下街ではGPSによる測位ができない。端末が発信する電波による測位は、マルチパスや遮蔽などの影響で誤差を生じる。端末が発信する電波による測位について、例えば以下の技術がある。
【0004】
特許文献1には、受信器と集計ポイントの間が無線であるシステムの受信器に発信器及びMPUを付加した構成で、複数の発信器のうち任意の一つを集計ポイントとできるシステムを提供し、高精度位置検索を可能とする技術が記載されている。特許文献1の技術は、位置検出すべき対象物からの第一の信号をあらかじめ位置確認がなされた複数の位置で無線通信によって受信し、第一の信号の信号強度レベルと複数の既知位置の受信器の属性情報を付加した第二の信号を、第二の信号を集計する集計装置で無線通信によって受信し、集計した第二の信号に含まれる第一の信号の信号強度レベルから対象物の位置を特定する。そして、第二の信号を集計する集計装置の位置を任意に変えられる。
【0005】
特許文献2の技術は、位置を測位する位置測位機能を搭載した携帯端末で行なわれる位置測位処理方法であって、測位処理結果を算出する方法として、複数の測位計算結果を元に、測位完了のたびに少なくとも最新の2つ以上の測位計算結果から重み付き平均値を算出する第一の処理方法と、複数の測位計算結果を元に、測位完了のたびに過去の重み付き測位処理結果平均に最新測位処理結果を計算要素として追加して重み付き平均値を算出する第二の処理方法と、を選択的に用いる。
【0006】
特許文献3の技術は、位置検出すべき対象物からの第1の信号と、あらかじめ位置確認がなされた複数の位置からの第2の信号とを受信する受信器と、受信器が受信した第1の信号と第2の信号を用いて、対象物3の位置を検出する位置検出手段とを具備することを特徴とする。
【0007】
特許文献4の位置検出システムは、移動局の位置を計算して取得した位置検出結果と、前記位置検出結果以前に取得した複数の位置検出結果とを記憶し、前記位置検出結果と前記以前に取得した複数の位置検出結果を比較することで、前記移動局の移動方向を計算し、移動局の複数の移動方向の計算結果から前記移動局の進行方向を推定して得られた進行方向と前記位置検出結果との比較により、異常な位置検出結果を検出する位置検出装置を備える。
【0008】
【特許文献1】特開2006−194735号公報
【特許文献2】特開2004−233071号公報
【特許文献3】特開2002−098749号公報
【特許文献4】特開2001−245335号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の技術は、信号の強度によって対象物の位置を特定するが、マルチパスや遮蔽の影響のため、複数の受信器で受信した信号の強度に応じて平均したのでは、それ以上の精度は得られない。特許文献2の重み付き平均または重み付き移動平均においても、誤差は必ずしもランダムに分散するとは限らないので、正確な位置は分からない。
【0010】
特許文献4の技術では、異常な位置検出結果を知ることはできるが、それだけでは検出した位置が正しいかどうか、または誤差を評価することはできない。
【0011】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたもので、移動体に測位データを送信する手段を設けることなく、移動体の外部でその位置を精度よく検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の観点に係る位置検出装置は、
無線タグから電波で送信される固有のデータを含む信号を受信して、その電波の到来方向を検出する2以上の測位器から、前記受信した信号とその到来方向を含むタグ情報を、ネットワークを介して受信する受信手段と、
前記受信手段で前記測位器から受信したタグ情報ごとに、その到来方向と前記測位器の位置の情報から算出される、前記無線タグの位置データを取得する位置データ取得手段と、
同じ固有のデータを含む前記タグ情報について、直近の所定の時間に受信した前記タグ情報から算出される位置データを、そのタグ情報を検出した測位器からそのタグ情報の位置データで表される位置までの距離に応じた係数で重み付けした加重平均を計算して、前記無線タグの位置を算出する位置算出手段と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の第2の観点に係る位置検出システムは、
本発明の第1の観点に係る位置検出装置と、
無線タグから電波で送信される固有のデータを含む信号を受信して、その電波の到来方向を検出し、前記受信した信号とその到来方向を含むタグ情報をネットワークを介して前記位置検出装置に送信する2以上の測位器と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の第3の観点に係る位置検出方法は、
無線タグから電波で送信される固有のデータを含む信号を受信して、その電波の到来方向を検出する測位器から、前記受信した信号とその到来方向を含むタグ情報を、ネットワークを介して受信する受信ステップと、
前記受信ステップで前記測位器から受信したタグ情報ごとに、その到来方向と前記測位器の位置の情報から算出される、前記無線タグの位置データを取得する位置データ取得ステップと、
同じ固有のデータを含む前記タグ情報について、直近の所定の時間の前記タグ情報から算出される位置データを、そのタグ情報を検出した測位器からそのタグ情報の位置データで表される位置までの距離に応じた係数で重み付けした加重平均を計算して、前記無線タグの位置を算出する位置算出ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の第4の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
無線タグから電波で送信される固有のデータを含む信号を受信して、その電波の到来方向を検出する2以上の測位器から、前記受信した信号とその到来方向を含むタグ情報を、ネットワークを介して受信する受信手段と、
前記受信手段で前記測位器から受信したタグ情報ごとに、その到来方向と前記測位器の位置の情報から算出される、前記無線タグの位置データを取得する位置データ取得手段と、
同じ固有のデータを含む前記タグ情報について、直近の所定の時間の前記タグ情報から算出される位置データを、そのタグ情報を検出した測位器からそのタグ情報の位置データで表される位置までの距離に応じた係数で重み付けした加重平均を計算して、前記無線タグの位置を算出する位置算出手段
として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、移動体が備える無線タグの発信する電波によって、移動体の外部でその位置を精度よく検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る位置検出システムの構成例を示すブロック図である。図1を参照すると、位置検出システム100は、位置検出装置1と、測位器2と、無線タグ3から構成される。位置検出装置1は、ネットワークNを介して測位器2と接続する。また、位置検出装置1は、キーボード等の入力部4と、ディスプレイやプリンタ等の出力部5を備える。
【0018】
位置検出装置1は、記憶部10、受信部11、位置データ算出部12および位置算出部13を備える。記憶部10は、タグ情報31、測位器情報32、位置データ33および位置情報34を記憶する。位置算出部13は、加重平均計算部14および係数計算部15を含む。
【0019】
無線タグ3は、定期的にまたは測位器2が発信する電波に応答して、それぞれ固有の識別符号を含む信号を、電波で送信する。測位器2は、無線タグ3から送信される信号を受信して、その電波の到来方向を検出する。電波の到来方向を検出するには、例えば、複数のアンテナを備えて、各アンテナで受信した信号の位相差から、その位相差を生じる方向を計算する。また、各アンテナで受信する電波の電界強度を考慮してもよい。
【0020】
測位器2は、無線タグ3が送信する信号を受信すると、その到来方向を検出し、無線タグ3に固有の識別符号と、電波の到来方向を含むデータをタグ情報として、位置検出装置1に送信する。測位器2と位置検出装置1を接続するネットワークNは、タグ情報を位置検出システム100に必要な伝送速度で送信できれば特に制限はない。ネットワークNは、例えば、LAN(Local Area Network)である。ネットワークNは、その他、回線交換網、パケット交換網、インターネット、専用線網であってもよい。また、ネットワークNは有線に限らず、例えば無線LANなどの無線通信網でもよい。例えば、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信などを用いることができる。
【0021】
位置検出装置1の受信部11は、測位器2から送信されるタグ情報を受信し、記憶部10にタグ情報31として格納する。位置データ算出部12は、タグ情報31と測位器情報32から、タグ情報を検出した測位器2ごとの座標で表されるその無線タグ3の位置を算出する。
【0022】
図2は、測位器2と無線タグ3の位置関係を表す模式図である。図2(a)は平面図、図2(b)は到来方向の直線を含む平面の側面図である。測位器2は、地表Eから高さHの場所に設置されている。無線タグ3は人が所持している場合、地表面から高さhで地表Eに平行な面F内にあると想定できる。電波の到来方向が方位角θおよび天頂角φで表されるとき、到来方向の直線と高さhの面Fの交わる点を無線タグ3の位置と推定する。測位器2を原点とする座標系x−y−zを想定する。交点を座標系x−y−zで表した局所座標(x、y、z)を、位置データとする。
【0023】
図3は、タグ情報31の例を示す。タグ情報31には、それを検出した測位器2の識別符号(測位器ID)、信号に含まれるタグ固有の識別符号(タグID)、電波の到来方向である方位角と天頂角、および受信時刻を含む。さらに、受信電界強度(RSSI)が含まれる場合がある。方位角は、測位器2に規定されたある方向からの水平面内の角度である。天頂角は、測位器2を通る鉛直線上方からの角度である。天頂角に代えて、水平面からの伏角または仰角としてもよい。また、到来方向は方向余弦で与えられてもよい。
【0024】
図4は、測位器情報32の例を示す。測位器情報32は、測位器ID、測位器2の経度(Lon)、緯度(Lat)、地上高さHおよび測位器2の方位を含む。測位器2が常に一定の方位、例えば基準線が北向き、に設置される場合は、方位は一定なので、測位器情報32から省略してもよい。測位器2が、広域な範囲に分布するのでなく、限られた領域に設置される場合は、経度および緯度の代わりに、その領域内の座標で測位器2の位置を表すこともできる。
【0025】
図1の位置データ算出部12は、図3に示すようなタグ情報31と、図4に示すような測位器情報32から、タグ情報31ごとに、それを検出した測位器2に付随する局所座標で、無線タグ3の位置を算出する。ここでは、理解を容易にするために、局所座標で表される範囲を水平面と想定しているが、測位器2が斜面に設置されるような場合は、斜面から一定の高さhに無線タグ3が位置することを想定して、位置データを計算する。その場合、位置データは高さの座標値を含む。
【0026】
図5は、位置データ33の例を示す。位置データ33には、タグ情報31を受信した時刻、測位器ID、タグIDに対して、その測位器2に付随する局所座標で表される局所x座標、局所y座標が含まれる。さらに、局所z座標を含む場合がある。
【0027】
図1の位置算出部13は、位置データ33と測位器情報32から無線タグ3のより正確な位置を計算する。位置算出部13のうち、係数計算部15は、位置データ33からタグ情報31ごとに重み付け係数を算出する。タグ情報31ごとの重み付け係数αjkは、次の式で与えられる。
Ljk = SQRT(xjk + yjk)
αjk = Ljk
ただし、SQRTは(正の)平方根を表す。サフィックスjは測位器2の番号を表す。サフィックスkは、同じタグIDを有するタグ情報31の番号を表す。座標(xjk,yjk)は、そのタグ情報31を検出した測位器2を原点とする局所座標における位置を表す。Ljkは、無線タグ3の位置とタグ情報31を検出した測位器2の距離である。
【0028】
ここでは、理解を容易にするために、z座標の値を省略している。z方向の高さが距離Ljkに比べて無視できない場合は、zjkを含めて距離Ljkを計算する。zjkは図2の例では、H−hである。図5の係数は、上の式で示す重み付け係数である。
【0029】
図1の加重平均計算部14は、位置データ33、測位器情報32および重み付け係数を用いて、大域座標における無線タグ3の位置を計算する。測位器2ごとの局所座標の位置(xjk,yjk)を全測位器に共通な大域座標に変換した位置を(Xi,Yi)として、着目する時刻の無線タグ3の位置を
X = Σ(αi・Xi) / Σ(αi)
Y = Σ(αi・Yi) / Σ(αi)
で算出する。同様にZ座標を算出してもよい。ここでΣは、iについて所定の期間における和を表す。iは着目するタグの直近の所定の期間に含まれるタグ情報31の番号を表す。加重平均を算出する所定の期間は、無線タグ3が信号を送信する周期、無線タグ3の移動速度、測位器2の分解能、無線タグ3の信号を同時に受信する測位器2の台数などを考慮して設定する。
【0030】
加重平均の重み付け係数は、無線タグ3の位置データ33で表される位置とそれを検知した測位器2の距離の二乗の逆数である。したがって、加重平均で表される位置情報の座標(X,Y)は、無線タグ3に近い測位器2のタグ情報31をより大きく評価した値になっている。無線タグ3と測位器2の距離が大きくなるにつれて、直接波と反射波(または回折波)の電界の比が小さくなるので、位置データ33の誤差が大きくなる。無線タグ3に近い測位器2のデータをより大きく評価することによって、算出する位置の精度が高くなる。
【0031】
加重平均に算入される位置データ33は、複数の測位器2から受信したタグ情報31の値を含みうる。加重平均は、1つの測位器2から受信した2以上のタグ情報31を含む場合がある。ある測位器2からは該当するタグ情報31がなく、加重平均に含まれない場合がある。あるタグが発信した1つの送信パケットを、複数の測位器2で受信した場合に、(Xi,Yi)はそれらの複数のタグ情報31から計算された位置情報を含む可能性がある。
【0032】
加重平均計算部14は、算出した無線タグ3の位置を、記憶部10に位置情報34として格納する。図6は、位置情報34の例を示す。位置情報34は、時刻、タグID、X座標およびY座標(または経度と緯度)から構成される。
【0033】
位置検出装置1は、入力部4から入力される指令に従って、算出した無線タグ3の位置を出力部5に表示する。例えば、着目する無線タグ3の位置を、地図上に時々刻々表示する。または、ある時刻における無線タグ3の分布を表示することもできる。
【0034】
図7は、実施の形態1に係る位置検出処理の動作の一例を示すフローチャートである。受信部11がタグ情報31を受信すると(ステップS11)、位置データ算出部12は、タグ情報31の電波到来方向と、測位器2の情報から位置データ33を算出する(ステップS12)。
【0035】
係数計算部15は、測位器2と位置データ33で表される位置の距離に応じた重み付け係数を算出する(ステップS13)。位置算出部13は、所定の期間の同一の固有IDを有する位置データ33をリストアップする(ステップS14)。そして、リストアップした位置データ33と測位器情報32からそれぞれ大域座標の位置に変換する(ステップS15)。
【0036】
加重平均計算部14は、大域座標の位置と係数計算部15で計算した重み付け係数を用いて、加重平均を算出する(ステップS16)。そして、算出した無線タグ3の位置を位置情報34として記憶部10に格納する(ステップS17)。位置検出装置1は、タグ情報受信(ステップS11)から以上の動作を繰り返す。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態の位置検出装置によれば、移動体が備える無線タグ3の発信する電波によって、移動体の外部でその位置を精度よく検出することができる。
【0038】
なお、重み付け係数は、位置データ33ごとに計算するのでなく、無線タグ3について所定の期間の測位器2ごとの位置データ33の平均に対して算出し、その値を次の所定の期間に適用する方法でもよい。また、所定の期間の位置データ33の平均を移動平均としてもよい。
【0039】
(実施の形態1の変形例)
実施の形態1では、無線タグ3と測位器2の距離の二乗に反比例する重み付け係数を用いて、直近の所定の期間の位置データ33から加重平均によって、無線タグ3の位置を算出した。簡易には、加重平均に代えて、直近の所定の期間において重み付け係数が最大の位置データ33を採用して、位置情報34を算出してもよい。
【0040】
これは、直近の所定の期間において、重み付け係数が最大の位置データ33について、係数を1に設定し、その他の位置データ33の係数を0に設定して、前述の加重平均を計算することに相当する。
【0041】
重み付け係数最大値の位置データ33を採用する方法では、加重平均に比べて誤差の最大値は大きくなるものの、平均的には加重平均で算出した位置情報34と大差ない値が得られる。実質的には加重平均を計算せず、係数が最大の位置データ33を採用して大域座標に変換するだけなので、計算量を少なくできる。
【0042】
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2に係る位置検出システムの構成例を示すブロック図である。実施の形態2の位置検出装置1は、図1に示す実施の形態1の構成に加えて、RSSIフィルタ17、速度フィルタ18および範囲フィルタ19を備える。また、記憶部10に、電界しきい値35、移動しきい値36および範囲情報37を含む。その他の構成は、実施の形態1と同じである。
【0043】
実施の形態2では、受信電界強度に応じてタグ情報31をふるい分けて、位置計算に算入しないタグ情報31を除外する。また、現実的に発生しえないと推定される位置を表す位置データ33を位置計算から除外する。さらに、測位器2の検出範囲を超えている位置データ33を位置計算から除外する。
【0044】
実施の形態2では、測位器2が送信するタグ情報31に、測位器2で検出した受信電界強度(RSSI)を含む。RSSIフィルタ17は、受信電界強度RSSIが所定の値以下のタグ情報31を位置データ計算から除外する。位置データ算出部12は、RSSIフィルタ17を通過したタグ情報31について、位置データ33を算出する。
【0045】
速度フィルタ18は、無線タグ3ごとに、また測位器2ごとに、最新の位置データ33が直近の位置データ33からの移動速度が所定の範囲内にあるかどうかを判断する。最新の位置データ33で表される位置の移動量をその時間で除した値が、想定される範囲を超えている場合は、その位置データ33を位置計算から除外する。すなわち、位置データ33が、無線タグ3を保持する移動体が通常の速度を大きく超えなければ到達できない位置を示すとき、その位置データ33を除外する。
【0046】
図9は、受信電界強度のしきい値と移動速度のしきい値の例を示す。「電界しきい値」は受信電界強度のしきい値を示す。また、「移動しきい値」は、移動速度のしきい値を示す。図9の例では、それらのしきい値が測位器2の識別符号ごとに設定されている。受信すべき電界強度は測位器2の分布にもよる。また、測位器2の周囲の条件によって、電波の到来方向を正しく検出できる限界の受信電界強度が変わりうる。受信電界強度のしきい値は、位置検出システム100で一律に設定してもよい。
【0047】
移動速度のしきい値についても、図9の例では、測位器2ごとに設定されている。測位器2が設置されている場所によって、移動体の最大速度は変化しうる。例えば、歩行のみか、自転車等での移動があり得るか、はげしい運動が想定されるかなどで、最大速度は変化する。それに応じて、測位器2ごとに移動速度のしきい値を設定してもよい。移動速度のしきい値は、位置検出システム100で一律に設定してもよい。
【0048】
速度フィルタ18は、最新の位置データ33を直前の1つの位置データ33とだけ比較するのではなく、直近の複数の位置データ33と比較することが望ましい。例えば、直近の複数の位置データ33の移動平均と比較する。直前の1つの位置データ33だけでは、いずれが真の位置に近いか判断できない場合がある。ある測位器2について直近の位置データ33が少ないときに、移動量がしきい値を越えている場合は、ふるい分けを保留して、位置データ33が増加してから、まとまった集団を採用し、1点だけ離れたような位置データ33を除外してもよい。
【0049】
図8の範囲フィルタ19は、位置データ33の位置が測位器2ごとに定められた範囲の外にある場合に、その位置データ33を位置計算から除外する。測位器2ごとの範囲は、移動体が到達しうる限界、または、測位器2が検出すべき限界である。例えば、崖や段差などによって限界づけられて、その先には到達できない場合がある。また、無線タグ3を保持する移動体が入れない場所の境界を示す場合がある。
【0050】
測位器2が検出すべき限界は、測位器2が指向性を有する場合や、壁面などに設置されて検出すべき範囲が限定される場合などがある。また、測位器2の分布によって、ある測位器2の検出できる範囲に多数の測位器2が存在する場合に、検出する必要がない範囲を設定して、誤差が大きいと想定される範囲のデータを初めから除外することも考えられる。その場合、境界は測位器2を中心とする所定の半径の円弧を含むことがある。
【0051】
図10は、測位器2ごとの対象範囲を設定するデータの例を示す。上述のとおり、対象範囲は測位器2ごとに設定されている。図10の例では、測位器2を原点とする局所座標系で、x座標の上限Uxと下限Lx、y座標の上限Uyと下限Ly、および境界線が設定されている。境界線は例えば、局所座標の関数で表される。図10の例では、半径r1の円や半径r2の円が設定されている。測位器2ごとの対象範囲に円弧を含む場合、係数計算部15で重み付け係数を計算するときに、距離の二乗を計算するので、そのときに、範囲外の位置データ33を除外することができる。
【0052】
RSSIフィルタ17、速度フィルタ18および範囲フィルタ19を備えることによって、誤差が大きいことが推定されるタグ情報31や位置データ33を、位置の計算から除外することができる。その結果、位置算出部13で算出する無線タグ3の位置として、より精度の高い値が得られる。
【0053】
なお、実施の形態1および2では、全ての測位器2は等価であって、単純に無線タグ3が送信する信号を受信し、その電波の到来方向を検出するだけの構成を想定した。位置検出装置1の機能の一部を測位器2に備える構成も可能である。例えば、RSSIフィルタ17を測位器2に備えて、所定の電界強度以上の信号だけを位置検出装置1に送信するように構成してもよい。また、範囲フィルタ19の機能の一部を測位器2に備えることもできる。電波の到来方向の範囲(方位角と天頂角)を測位器2ごとに設定して、検出した到来方向がその範囲内の信号だけを位置検出装置1に送信するように構成することができる。
【0054】
図11は、実施の形態2に係る位置検出処理の動作の一例を示すフローチャートである。図11の動作は、図7の動作にRSSIフィルタ17、速度フィルタ18および範囲フィルタ19の動作を追加した構成になっている。実施の形態1と同じ処理ステップは、同じ符号を付して示す。
【0055】
受信部11がタグ情報31を受信すると(ステップS11)、RSSIフィルタ17は、タグ情報31に含まれる受信電界強度がしきい値より大きいか否か判断する(ステップS21)。受信電界強度がしきい値より大きい場合は(ステップS21;YES)、位置データ33を算出する(ステップS12)。受信電界強度がしきい値以下の場合は(ステップS21;NO)、そのタグ情報31を位置計算から除外する(ステップS31)。そして、タグ情報受信(ステップS11)に戻って動作を繰り返す。
【0056】
位置データ算出部12は、タグ情報31の電波到来方向と、測位器2の情報から位置データ33を算出する(ステップS12)。範囲フィルタ19は、位置データ33の位置が測位器2に設定された範囲にあるかどうか判断する(ステップS22)。位置が所定の範囲内にあれば(ステップS22;YES)、移動速度を計算する(ステップS23)。位置が所定の範囲を超えている場合は(ステップS22;NO)、そのタグ情報31を位置計算から除外して(ステップS31)、タグ情報受信(ステップS11)に戻る。
【0057】
速度フィルタ18は、無線タグ3ごとに、また測位器2ごとに、最新の位置データ33が直近の位置データ33からの移動速度を計算し(ステップS23)、その値が所定の範囲内にあるかどうかを判断する(ステップS24)。移動速度が規定値未満の場合は(ステップS24;YES)、重み付け係数を計算する(ステップS13)。移動速度が規定値以上の場合は(ステップS24;NO)、そのタグ情報31を位置計算から除外して(ステップS31)、タグ情報受信(ステップS11)に戻る。
【0058】
重み付け係数を計算した(ステップS13)後は、実施の形態1の処理と同様である(ステップS14〜ステップS17)。
【0059】
なお、図11の処理では、速度フィルタ処理(ステップS23、ステップS24)の前に、範囲フィルタ19の処理を行う構成を説明した。前述のように、速度フィルタ18の処理を行ったのちに、範囲フィルタ19の処理を行ってもよい。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態2の位置検出装置によれば、誤差が大きいことが推定されるタグ情報31や位置データ33を、位置の計算から除外することができる。その結果、位置算出部13で算出する無線タグ3の位置として、より精度の高い値が得られる。
【0061】
なお、RSSIフィルタ17、速度フィルタ18および範囲フィルタ19は、全てを同時に備えなくてもかまわない。それぞれは独立の働きをするので、対象の位置検出に合わせて、任意に組み合わせた構成とすることができる。RSSIフィルタ17を備えない構成は、RSSIフィルタのしきい値が0であることに等価である。速度フィルタ18を備えない構成は、移動速度のしきい値が極めて大きいことと同じと見なすことができる。範囲フィルタ19を備えない場合は、対象の範囲が測位器2の検出限界以上であることと同じと見なすことができる。
【0062】
図12は、図1または図8に示す位置検出装置1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。位置検出装置1は、図12に示すように、制御部21、主記憶部22、外部記憶部23、操作部24、表示部25および送受信部26を備える。主記憶部22、外部記憶部23、操作部24、表示部25および送受信部26はいずれも内部バス20を介して制御部21に接続されている。
【0063】
制御部21はCPU(Central Processing Unit)等から構成され、外部記憶部23に記憶されているプログラム30に従って、前述の位置検出装置1の処理を実行する。
【0064】
主記憶部22はRAM(Random-Access Memory)等から構成され、外部記憶部23に記憶されているプログラム30をロードし、制御部21の作業領域として用いられる。
【0065】
外部記憶部23は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD−RAM(Digital Versatile Disc Random-Access Memory)、DVD−RW(Digital Versatile Disc ReWritable)等の不揮発性メモリから構成され、前記の処理を制御部21に行わせるためのプログラム30を予め記憶し、また、制御部21の指示に従って、このプログラムが記憶するデータを制御部21に供給し、制御部21から供給されたデータを記憶する。図1または図8の記憶部10は、外部記憶部23に構成される。位置検出処理を行っているときは、それらのデータの一部は主記憶部22に記憶されて制御部21の作業に用いる。
【0066】
操作部24はキーボード及びマウスなどのポインティングデバイス等と、キーボード及びポインティングデバイス等を内部バス20に接続するインターフェース装置から構成されている。操作部24を介して、位置を検出する無線タグ3の識別符号および測位器2に関する情報が入力され、制御部21に供給される。また、位置検出の結果を表示する指令が入力される。操作部24は、図1または図8の入力部4に相当する。
【0067】
表示部25は、CRT(Cathode Ray Tube)又はLCD(Liquid Crystal Display)などから構成され、測位器2に関する情報と、検出した無線タグ3の位置などを表示する。表示部25は、図1または図8の出力部5の例である。その他、出力部5として、プリンタなどを備えてもよい。
【0068】
送受信部26は、ネットワークNを経由してタグ情報31を測位器2から受信する。また、測位器2の状態を診断する指令を送信する。測位器2に受信電界強度のしきい値などを送信する場合もある。送受信部26は、図1または図8の受信部11を構成する。
【0069】
図1または図8の受信部11、位置データ算出部12、位置算出部13、加重平均計算部14、係数計算部15、RSSIフィルタ17、速度フィルタ18および範囲フィルタ19の処理は、プログラム30が、制御部21、主記憶部22、外部記憶部23、操作部24、表示部25および送受信部26などを資源として用いて処理することによって実行する。
【0070】
(実施例)
図13Aないし図15Dは、ある場所に複数の測位器2を配置して、実際に無線タグ3の位置検出を行った結果を示す。図13Aおよび図13Bは、位置データ33を単純に移動平均した値を示す。移動平均で計算した位置データ33を小さい菱形の点で表す。図13Aは、3点の移動平均データである。実際に歩行した経路を、大きい四角の点で表す。図13Bは、4台の測位器2で検出した、8ポイントの位置データ33の移動平均データである。実際に歩行した経路を、三角の点で表す。
【0071】
図13Aおよび図13Bに示すように、移動平均で計算された位置は、歩行経路に比べて、かなり内側に偏っている。歩行経路の外側の四隅では特に差が大きい。
【0072】
図14Aないし図14Dは、測位器2ごとの位置データ33の移動平均を計算した結果を示す。それぞれ、実際の歩行経路を大きい四角の点で表す。移動平均した値を、小さい菱形の点で表す。図14Aは、図の横軸の負の軸上に配置された測位器2で検出した位置データ33の移動平均である。図14Bは、図の縦軸の負の軸上に配置された測位器2で検出した位置データ33の移動平均である。図14Cは、図の横軸の正の軸上に配置された測位器2で検出した位置データ33の移動平均である。図14Dは、図の縦軸の正の軸上に配置された測位器2で検出した位置データ33の移動平均である。それぞれ、8ポイントの移動平均を計算したものである。
【0073】
図14Aないし図14Dに示すように、測位器2ごとの位置データ33の移動平均で計算した位置はそれぞれ、測位器2の方に偏って現れる。測位器2から遠い歩行ポイントに対しては、誤差が大きい。
【0074】
図15A〜図15Dは、所定の期間の長さを変えて、本発明の方法で位置を計算した結果を示す。測位器2の配置と、歩行経路は、図14Aないし図14Dと同じである。図15Aは、細分化指定区間(加重平均を算出する対象の期間)が100msec、図15Bは、細分化指定区間が300msec、図15Cは、細分化指定区間が500msec、図15Dは、細分化指定区間が1000msecである。無線タグ3から信号を送信する周期は、170msecである。いずれも、計算した結果を小さい菱形の点で、実際の歩行経路を大きい四角の点で表す。
【0075】
図15A〜図15Dに示すように、本発明の方法で計算した位置は、いずれの測位器2の方にも偏ることがなく、実際の歩行経路よりも大幅に小さくなることもない。図13A〜図14Dに比べて、実際の歩行経路に近く、位置検出の精度が高いと言える。これは、加重平均が、無線タグ3に近い測位器2のデータを重視して、遠い測位器2のデータによって変動を補正するように働くからである。
【0076】
その他、本発明の好適な変形として、以下の構成が含まれる。
【0077】
本発明の第1の観点に係る位置検出装置について、
好ましくは、前記位置算出手段は、前記タグ情報を検出した測位器からそのタグ情報の位置データで表される位置までの距離の二乗の逆数を、前記距離に応じた係数として、前記加重平均を計算することを特徴とする。
【0078】
または、前記位置算出手段は、前記距離に応じた係数を、前記直近の所定の時間において、前記タグ情報を検出した測位器からそのタグ情報の位置データで表される位置までの距離が最小のものを1に設定し、その直近の所定の時間のその余のタグ情報については0に設定して、前記加重平均を計算してもよい。
【0079】
好ましくは、最新の前記タグ情報の位置データで表される位置と、直近の所定の個数の同じ固有のデータを有する前記タグ情報の位置データで表される位置との距離が、所定の値を越えた場合に、その最新のタグ情報を、前記位置算出手段の対象から除外する速度フィルタを備え、
前記位置算出手段は、前記速度フィルタで除外された前記タグ情報の位置データを含めずに前記加重平均を計算する。
【0080】
好ましくは、前記タグ情報の位置データで表される位置が、そのタグ情報を検出した測位器から所定の範囲を越えた場合に、その最新のタグ情報を、前記位置算出手段の対象から除外する範囲フィルタを備え、
前記位置算出手段は、前記範囲フィルタで除外された前記タグ情報の位置データを含めずに前記加重平均を計算する。
【0081】
前記範囲フィルタは、前記タグ情報を検出した測位器から一定の距離の部分を、前記位置算出手段の対象から除外する所定の範囲に含んでもよい。
【0082】
好ましくは、前記無線タグから電波で送信される固有のデータを含む信号を受信する受信電界強度を取得し、その受信電界強度が、所定の値以下のタグ情報を前記位置算出手段の対象から除外するRSSIフィルタを備え、
前記位置算出手段は、前記RSSIフィルタで除外された前記タグ情報の位置データを含めずに前記加重平均を計算する。
【0083】
本発明の第3の観点に係る位置検出方法について、
好ましくは、前記位置算出ステップは、前記タグ情報を検出した測位器からそのタグ情報の位置データで表される位置までの距離の二乗の逆数を、前記距離に応じた係数として、前記加重平均を計算することを特徴とする。
【0084】
または、前記位置算出ステップは、前記距離に応じた係数を、直近の所定の時間において、前記タグ情報を検出した測位器からそのタグ情報の位置データで表される位置までの距離が最小のものを1に設定し、その直近の所定の時間のその余のタグ情報については0に設定して、前記加重平均を計算してもよい。
【0085】
好ましくは、最新の前記タグ情報の位置データで表される位置と、直近の所定の個数の同じ固有のデータを有する前記タグ情報の位置データで表される位置との距離が、所定の値を越えた場合に、その最新のタグ情報を、前記位置算出ステップの対象から除外する速度除外ステップを備え、
前記位置算出ステップは、前記速度除外ステップで除外された前記タグ情報の位置データを含めずに前記加重平均を計算する。
【0086】
好ましくは、前記タグ情報の位置データで表される位置が、そのタグ情報を検出した測位器から所定の範囲を越えた場合に、その最新のタグ情報を、前記位置算出ステップの対象から除外する範囲除外ステップを備え、
前記位置算出ステップは、前記範囲除外ステップで除外された前記タグ情報の位置データを含めずに前記加重平均を計算する。
【0087】
前記範囲除外ステップは、前記タグ情報を検出した測位器から一定の距離の部分を、前記位置算出ステップの対象から除外する所定の範囲に含んでもよい。
【0088】
好ましくは、前記無線タグから電波で送信される固有のデータを含む信号を受信する受信電界強度を取得し、その受信電界強度が、所定の値以下のタグ情報を前記位置算出ステップの対象から除外する電界強度除外ステップを備え、
前記位置算出ステップは、前記電界強度除外ステップで除外された前記タグ情報の位置データを含めずに前記加重平均を計算する。
【0089】
その他、前記のハードウエア構成やフローチャートは一例であり、任意に変更及び修正が可能である。
【0090】
制御部21、主記憶部22、外部記憶部23、操作部24および内部バス20などから構成される位置検出装置1の処理を行う中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。たとえば、前記の動作を実行するためのプログラム30を、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM等)に格納して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、前記の処理を実行する位置検出装置1を構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に当該コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロード等することで位置検出装置1を構成してもよい。
【0091】
また、位置検出装置1の機能を、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合などには、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
【0092】
また、搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。たとえば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)にプログラム30を掲示し、ネットワークを介してプログラム30を配信してもよい。そして、プログラム30を起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前記の処理を実行できるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施の形態1に係る位置検出システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】測位器と無線タグの位置関係を表す模式図である。
【図3】タグ情報の例を示す図である。
【図4】測位器情報の例を示す図である。
【図5】位置データの例を示す図である。
【図6】位置情報の例を示す図である。
【図7】実施の形態1に係る位置検出処理の動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態2に係る位置検出システムの構成例を示すブロック図である。
【図9】受信電界のしきい値と移動速度のしきい値の例を示す図である。
【図10】測位器ごとの対象範囲を設定するデータの例を示す図である。
【図11】実施の形態2に係る位置検出処理の動作の一例を示すフローチャートである。
【図12】位置検出装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図13A】3点の位置データを移動平均した値を示す図である。
【図13B】8点の位置データを移動平均した値を示す図である。
【図14A】負の横軸上の測位器で検出した位置データの移動平均を計算した結果を示す図である。
【図14B】負の縦軸上の測位器で検出した位置データの移動平均を計算した結果を示す図である。
【図14C】正の横軸上の測位器で検出した位置データの移動平均を計算した結果を示す図である。
【図14D】正の縦軸上の測位器で検出した位置データの移動平均を計算した結果を示す図である。
【図15A】細分化指定区間が100msecの場合の加重平均の例を示す図である。
【図15B】細分化指定区間が300msecの場合の加重平均の例を示す図である。
【図15C】細分化指定区間が500msecの場合の加重平均の例を示す図である。
【図15D】細分化指定区間が1000msecの場合の加重平均の例を示す図である。
【符号の説明】
【0094】
1 位置検出装置
2 測位器
3 無線タグ
4 入力部
5 出力部
10 記憶部
11 受信部
12 位置データ算出部
13 位置算出部
14 加重平均計算部
15 係数計算部
17 RSSIフィルタ
18 速度フィルタ
19 範囲フィルタ
21 制御部
22 主記憶部
23 外部記憶部
24 操作部
25 表示部
26 送受信部
30 プログラム
31 タグ情報
32 測位器情報
33 位置データ
34 位置情報
35 電界しきい値
36 移動しきい値
37 範囲情報
100 位置検出システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグから電波で送信される固有のデータを含む信号を受信して、その電波の到来方向を検出する2以上の測位器から、前記受信した信号とその到来方向を含むタグ情報を、ネットワークを介して受信する受信手段と、
前記受信手段で前記測位器から受信したタグ情報ごとに、その到来方向と前記測位器の位置の情報から算出される、前記無線タグの位置データを取得する位置データ取得手段と、
同じ固有のデータを含む前記タグ情報について、直近の所定の時間に受信した前記タグ情報から算出される位置データを、そのタグ情報を検出した測位器からそのタグ情報の位置データで表される位置までの距離に応じた係数で重み付けした加重平均を計算して、前記無線タグの位置を算出する位置算出手段と、
を備えることを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記位置算出手段は、前記タグ情報を検出した測位器からそのタグ情報の位置データで表される位置までの距離の二乗の逆数を、前記距離に応じた係数として、前記加重平均を計算することを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記位置算出手段は、前記距離に応じた係数を、前記直近の所定の時間において、前記タグ情報を検出した測位器からそのタグ情報の位置データで表される位置までの距離が最小のものを1に設定し、その直近の所定の時間のその余のタグ情報については0に設定して、前記加重平均を計算することを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項4】
最新の前記タグ情報の位置データで表される位置と、直近の所定の個数の同じ固有のデータを有する前記タグ情報の位置データで表される位置との距離が、所定の値を越えた場合に、その最新のタグ情報を、前記位置算出手段の対象から除外する速度フィルタを備え、
前記位置算出手段は、前記速度フィルタで除外された前記タグ情報の位置データを含めずに前記加重平均を計算する、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記タグ情報の位置データで表される位置が、そのタグ情報を検出した測位器から所定の範囲を越えた場合に、その最新のタグ情報を、前記位置算出手段の対象から除外する範囲フィルタを備え、
前記位置算出手段は、前記範囲フィルタで除外された前記タグ情報の位置データを含めずに前記加重平均を計算する、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の位置検出装置。
【請求項6】
前記範囲フィルタは、前記タグ情報を検出した測位器から一定の距離の部分を、前記位置算出手段の対象から除外する所定の範囲に含む、ことを特徴とする請求項5に記載の位置検出装置。
【請求項7】
前記無線タグから電波で送信される固有のデータを含む信号を受信する受信電界強度を取得し、その受信電界強度が、所定の値以下のタグ情報を前記位置算出手段の対象から除外するRSSIフィルタを備え、
前記位置算出手段は、前記RSSIフィルタで除外された前記タグ情報の位置データを含めずに前記加重平均を計算する、
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の位置検出装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の位置検出装置と、
無線タグから電波で送信される固有のデータを含む信号を受信して、その電波の到来方向を検出し、前記受信した信号とその到来方向を含むタグ情報をネットワークを介して前記位置検出装置に送信する2以上の測位器と、
を備えることを特徴とする位置検出システム。
【請求項9】
無線タグから電波で送信される固有のデータを含む信号を受信して、その電波の到来方向を検出する測位器から、前記受信した信号とその到来方向を含むタグ情報を、ネットワークを介して受信する受信ステップと、
前記受信ステップで前記測位器から受信したタグ情報ごとに、その到来方向と前記測位器の位置の情報から算出される、前記無線タグの位置データを取得する位置データ取得ステップと、
同じ固有のデータを含む前記タグ情報について、直近の所定の時間の前記タグ情報から算出される位置データを、そのタグ情報を検出した測位器からそのタグ情報の位置データで表される位置までの距離に応じた係数で重み付けした加重平均を計算して、前記無線タグの位置を算出する位置算出ステップと、
を備えることを特徴とする位置検出方法。
【請求項10】
前記位置算出ステップは、前記タグ情報を検出した測位器からそのタグ情報の位置データで表される位置までの距離の二乗の逆数を、前記距離に応じた係数として、前記加重平均を計算することを特徴とする請求項9に記載の位置検出方法。
【請求項11】
前記位置算出ステップは、前記距離に応じた係数を、直近の所定の時間において、前記タグ情報を検出した測位器からそのタグ情報の位置データで表される位置までの距離が最小のものを1に設定し、その直近の所定の時間のその余のタグ情報については0に設定して、前記加重平均を計算することを特徴とする請求項9に記載の位置検出方法。
【請求項12】
最新の前記タグ情報の位置データで表される位置と、直近の所定の個数の同じ固有のデータを有する前記タグ情報の位置データで表される位置との距離が、所定の値を越えた場合に、その最新のタグ情報を、前記位置算出ステップの対象から除外する速度除外ステップを備え、
前記位置算出ステップは、前記速度除外ステップで除外された前記タグ情報の位置データを含めずに前記加重平均を計算する、
ことを特徴とする請求項9ないし11のいずれか1項に記載の位置検出方法。
【請求項13】
前記タグ情報の位置データで表される位置が、そのタグ情報を検出した測位器から所定の範囲を越えた場合に、その最新のタグ情報を、前記位置算出ステップの対象から除外する範囲除外ステップを備え、
前記位置算出ステップは、前記範囲除外ステップで除外された前記タグ情報の位置データを含めずに前記加重平均を計算する、
ことを特徴とする請求項9ないし12のいずれか1項に記載の位置検出方法。
【請求項14】
前記範囲除外ステップは、前記タグ情報を検出した測位器から一定の距離の部分を、前記位置算出ステップの対象から除外する所定の範囲に含む、ことを特徴とする請求項13に記載の位置検出方法。
【請求項15】
前記無線タグから電波で送信される固有のデータを含む信号を受信する受信電界強度を取得し、その受信電界強度が、所定の値以下のタグ情報を前記位置算出ステップの対象から除外する電界強度除外ステップを備え、
前記位置算出ステップは、前記電界強度除外ステップで除外された前記タグ情報の位置データを含めずに前記加重平均を計算する、
ことを特徴とする請求項9ないし14のいずれか1項に記載の位置検出方法。
【請求項16】
コンピュータを、
無線タグから電波で送信される固有のデータを含む信号を受信して、その電波の到来方向を検出する2以上の測位器から、前記受信した信号とその到来方向を含むタグ情報を、ネットワークを介して受信する受信手段と、
前記受信手段で前記測位器から受信したタグ情報ごとに、その到来方向と前記測位器の位置の情報から算出される、前記無線タグの位置データを取得する位置データ取得手段と、
同じ固有のデータを含む前記タグ情報について、直近の所定の時間の前記タグ情報から算出される位置データを、そのタグ情報を検出した測位器からそのタグ情報の位置データで表される位置までの距離に応じた係数で重み付けした加重平均を計算して、前記無線タグの位置を算出する位置算出手段
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【公開番号】特開2010−85290(P2010−85290A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−255835(P2008−255835)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(303013763)NECエンジニアリング株式会社 (651)
【Fターム(参考)】