説明

位置検出装置及びこれを備えたEGRセンサ

【課題】装置を組み立てる際の作業性に優れた位置検出装置及びこれを備えたEGRセンサを提供すること。
【解決手段】軸線方向に直線運動可能な操作軸20と、操作軸20の直線運動を回転運動に変換して回転するロータ40と、ロータ40の回転量を検出する磁気検出回路と、操作軸20を装置外側方向に付勢するコイルスプリング30を収納すると共に、当該コイルスプリング30の付勢力による操作軸20の移動を一定位置で規制するケース10と、を具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出装置及びこれを備えたEGRセンサに関し、特に、自動車などの排出ガス再循環システム(EGR(Exhaust Gas Recirculation)システム)に用いられる位置検出装置及びこれを備えたEGRセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などのエンジンにおいては、排出ガスの一部をシリンダ内に再循環させて新しい吸入空気と混合させることにより、シリンダ内の燃焼温度を下げてNOx(窒素酸化物)排出量を低減するEGRシステムが搭載されている。EGRシステムにおいて、排出ガスの再循環量は、排出ガスの排出経路上のEGRバルブの開閉制御をコンピュータで行うことにより調整される。EGRセンサは、このようなEGRバルブの開閉制御において、当該EGRバルブの位置検出を行う際に用いられる。
【0003】
従来、EGRセンサは、軸線方向に直線的に移動可能な操作軸と、この操作軸と一体となって移動する摺動子及び当該摺動子が接触する抵抗体から成る可変抵抗器と、を具備するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなEGRセンサを組み立てる際においては、一方が開口したケース内に、コイルばねを付勢した状態で各構成部品を収納すると共に、蓋体をケースの開口部にカシメによって取り付ける。
【特許文献1】特開2002−21648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来のEGRセンサにおいては、各構成部品をケース内に収納する際、コイルばねを付勢した状態で作業を行わなければならないため、冶具などを用いてコイルばねを押さえる必要がある。このため、EGRセンサを組み立てる際の作業が煩雑になるという問題がある。
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、装置を組み立てる際の作業性に優れた位置検出装置及びこれを備えたEGRセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の位置検出装置は、軸線方向に直線運動可能な操作軸と、前記操作軸の直線運動を回転運動に変換して回転する回転体と、前記回転体の回転量を検出する磁気検出回路と、前記操作軸を装置外側方向に付勢する第1のばね部材を収納すると共に、当該第1のばね部材の付勢力による前記操作軸の移動を一定位置で規制するケース部材と、を具備することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、第1のばね部材により操作軸を装置外側方向に付勢する一方、ケースにより第1のばね部材の付勢力による操作軸の移動を一定位置で規制するようにしたので、操作軸が取り付けられるケース自体で当該操作軸における装置外側方向への移動が制限される。この結果、従来の位置検出装置のように、ばね部材を付勢した状態で組立作業を行う必要がなくなるので、装置を組み立てる際の作業性に優れた位置検出装置を提供することが可能となる。
【0008】
特に、上記位置検出装置においては、ケース部材に、操作軸に形成された突出部と係合する溝部を設けることが好ましい。この場合には、ケース部材に設けた溝部と操作軸に形成された突出部との係合により、一定位置で操作軸における装置外側方向への移動を制限することが可能となる。
【0009】
なお、上記位置検出装置において、ケース部材に設けられた溝部は、操作軸の装置内側への直線運動を許容することが好ましい。このように操作軸の装置内側への直線運動を許容するように溝部を設けることで、操作軸の直線運動を制限せず、柔軟に検出対象の位置検出を行うことが可能となる。
【0010】
また、上記位置検出装置において、ケース部材は、回転体を回転可能に保持する一方、当該回転体を一定方向に回転させる第2のばね部材を保持するようにしても良い。この場合には、回転体に回転力を付与する第2のばね部材を、操作軸等を保持するケース部材で保持するので、装置自体の小型化を図ることが可能となる。
【0011】
特に、上記位置検出装置において、回転体に磁石を組み込み、前記第2のばね部材で当該回転体を前記磁気検出回路の回路基板から離間する方向に付勢することか好ましい。この場合には、第2のばね部材に、回転体を回転させる機能と、回転体を回路基板から離間させる機能とを持たせることができるため、装置内における部品点数を低減すると共に、装置本体の小型化及び軽量化を図ることが可能となる。
【0012】
なお、これらの位置検出装置を、EGRセンサに適用することも可能である。この場合には、EGRセンサにおいて、上記のような優れた効果を得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、装置を組み立てる際の作業性に優れた位置検出装置及びこれを備えたEGRセンサを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下においては、本発明に係る位置検出装置を、EGRバルブの位置検出を行うEGRセンサに適用した場合について説明するが、本位置検出装置は、これに限定されるものではなく、その他の検出対象の位置検出を行う場合にも適用することが可能である。
【0015】
まず、本発明の一実施の形態に係る位置検出装置が適用されるEGRセンサの内部構造について図1〜図3を用いて説明する。なお、以下においては、適宜、図1における手前側及び奥側を、それぞれEGRセンサの前面側及び背面側と呼ぶものとする。
【0016】
図1は、本発明の一実施の形態に係る位置検出装置が適用されるEGRセンサの内部構造を説明するための断面斜視図である。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態に係るEGRセンサは、EGRセンサの各構成部品を保持するケース10と、軸線方向(同図に示す上下方向)に直線運動可能に構成された操作軸20と、操作軸20を装置外側方向(同図に示す上方向)に付勢するコイルスプリング30と、操作軸20の直線運動に伴って回転するロータ40と、ケース10及びロータ40に取り付けられロータ40に一定方向の回転力を付与するトーションスプリング50と、操作軸20の直線運動をロータ40に伝達すると共にロータ40の回転に応じて操作軸20を牽引する牽引部材60と、上記構成部品を覆いEGRセンサの外壁を為すカバー70と、を含んで構成される。
【0018】
図1に示すEGRセンサにおいて、ロータ40における本EGRセンサの背面側には、ロータ40の回転量を検出する、磁気式回転角検出センサ(以下、単に「磁気検出センサ」という)が配設されている。当該磁気検出センサは、ロータ40の背面側に取り付けられる磁石から一定距離離間した位置で対向配置され、当該磁石から生じる外部磁界を検出する回路基板を備えている。以下、かかる磁気検出センサに関連する構成部品を含む構造について図2及び図3を用いて説明する。
【0019】
図2は、本実施の形態に係るEGRセンサにおけるロータ40の内部構造を説明するための拡大図である。なお、図2においては、図1に示すEGRセンサの背面側から見た場合について示している。
【0020】
図2に示すように、ロータ40における本EGRセンサの背面側内部には、牽引部材60の下端部を収容すると共に、磁気検出センサによる検出対象となる磁石80を収容するスペースが設けられている。当該スペースに牽引部材60の下端部を収容した状態で磁石80が取り付けられる。これにより、磁石80がロータ40と一体的に回転可能となる。
【0021】
牽引部材60は、所定の長さを有する紐状部材601と、この紐状部材601の両端に固定されたボール端子602とを有する。紐状部材601は、例えば、SUS等の金属材料を用いたより線のワイヤで構成される。ボール端子602は、紐状部材601の両端部において、その中心点を紐状部材601が通過するように固定されている。なお、ロータ40の内部には、下方側のボール端子602が収容される。
【0022】
なお、牽引部材60の構成としては、より線に限定されず、単線で構成することも可能である。また、帯状のベルトで構成することも可能である。さらに、ここでは、ボール端子602を端部に保持する構成の牽引部材60を採用するが、操作軸20の直線運動をロータ40に伝達すると共に、ロータ40により操作軸20を牽引する機能を確保できれば、牽引部材60の構成については、適宜変更が可能であり、例えば、プーリなどを有する構成を採用しても良い。
【0023】
磁石80は、ボタン形状を有し、ロータ40の外周面よりも僅かに小さい径を有する周面を有する。当該周面には、後述するロータ40の外周面に形成された係合穴411と係合する係合片801が形成されると共に、後述するスリット408に進入するガイド部802が形成されている。ガイド部802をスリット408に合わせた状態で磁石80をロータ40側に押し込み、係合穴411に係合片801を嵌め込むことで、磁石80がロータ40に固定される。
【0024】
図3は、本実施の形態に係るEGRセンサにおけるカバー70の内部構造を説明するための拡大図である。なお、図3においては、図1に示すEGRセンサの下方側から見た場合について示している。
【0025】
図3に示すように、カバー70の内部には、後述する仕切り壁701が設けられており、当該仕切り壁701における本EGRセンサの背面側に、磁気検出センサの回路基板90を収容するスペースが設けられている。回路基板90は、仕切り壁701と対向する面以外の部分を保護された状態で基板ケース91に組み込まれる。そして、回路基板90を組み込んだ基板ケース91が上記スペースに装着される。このように基板ケース91が上記スペースに装着されることで、回路基板90は外気から遮断された状態となる。なお、回路基板90に取り付けられた端子92は、図1に示す本EGRセンサの上方側から背面側に導出されている。
【0026】
なお、図3に示すように、基板ケース91は、ケース10と別部材として設けられているが、これに限定されるものではなく、ケース10と一体の構成としても良い。なお、基板ケース91をケース10と別部材としたのは、回路基板90を取り付ける際の作業効率を考慮したものである。また、図3においては、基板ケース91をカバー70に装着する場合について示すが、これに限定されるものではなく、ケース10に装着するようにしても良い。
【0027】
ここで、本EGRセンサが有する磁気検出センサについて説明する。本EGRセンサが有する磁気検出センサが有する回路基板90には、巨大磁気抵抗効果を発揮する複数(例えば、4個)のGMR素子(磁気抵抗効果素子)を備えている。一方、磁石80は、回路基板90に対向配置される表面に円弧形状を有し、その円弧形状に沿って等間隔にN極とS極とが交互に着磁されている。
【0028】
磁気検出センサは、この磁石80による外部磁界を磁気抵抗効果素子に作用させる。そして、磁気抵抗効果素子の電気抵抗値の変化を、磁石80による外部磁界の向きにより生じさせ、当該磁気抵抗効果素子の出力信号から磁気抵抗効果素子と磁石80との相対移動量を検出するものである。EGRバルブの位置調整を行うコンピュータは、磁気検出センサで検出される上記相対移動量に基づいて、ロータ40の回転角度を検出することが可能となる。
【0029】
磁気に感応して出力信号を出力する磁気抵抗効果素子(GMR素子)は、基本的構成として、交換バイアス層(反強磁石層)、固定層(ピン止め磁性層)、非磁性層及び自由層(フリー磁性層)を基板上に積層して形成され、巨大磁気抵抗効果を利用したGMR(Giant Magnet Resistance)素子の一種である磁気抵抗効果素子として構成されている。
【0030】
なお、磁気抵抗効果素子が巨大磁気抵抗効果(GMR)を発揮するためには、例えば、交換バイアス層がα−Fe2O3層、固定層がNiFe層、非磁性層がCu層、自由層がNiFe層から形成されることが好ましいが、これらのものに限定されるものではなく、巨大磁気抵抗効果を発揮するものであれば、いずれのものであってもよい。また、磁気抵抗効果素子は、巨大磁気抵抗効果を発揮するものであれば、上記の積層構造のものに限定されるものではない。
【0031】
以下、本実施の形態に係るEGRセンサを構成する主要な構成部品であるケース10、操作軸20、ロータ40、トーションスプリング50及びカバー70の構造について図4から図8を用いて説明する。
【0032】
図4は、本実施の形態に係るEGRセンサが有するケース10の構成を説明するための拡大図である。図4(a)は、本EGRセンサの前面側から見た場合のケース10について示し、図4(b)は、本EGRセンサの背面側から見た場合のケース10について示している。
【0033】
図4に示すように、例えば、合成樹脂の成形品から成るケース10は、本EGRセンサの底面を構成する底面部101を有している。底面部101は、コイン形状を有し、その中央部分に一対の軸収容部102が立設されている。軸収容部102は、一定距離離間して設けられ、内部に空間を有する円筒形状を有している。各軸収容部102は、本EGRセンサの上方側に向かって開口しており、当該開口から内部空間にコイルスプリング30を収納可能であると共に、操作軸20の一部を収容可能に構成されている。
【0034】
軸収容部102には、後述する操作軸20の腕部及びコイル付勢片を受け入れる複数のスリット103a〜103cが形成されている。本EGRセンサの前面側及び背面側に形成されたスリット103a、103bは、軸収容部102の中央近傍より上方側に形成され、操作軸20のコイル当接片を受け入れる。同様に、軸収容部102の内側に形成されたスリット103cは、軸収容部102の中央近傍より上方側に形成され、操作軸20の腕部を受け入れる。なお、スリット103cは、後述する2枚のロータ支持壁間に形成される空間と連通している。
【0035】
軸収容部102における本EGRセンサの側面側には、カバー70の内壁に形成されたガイド溝を案内されるガイド面104が形成されている。ガイド面104の上方側であって中央部分には溝部105が形成されている。溝部105は、軸収容部102の内部空間に連通しており、後述する操作軸20の突出片を受け入れて操作軸20の上方側への移動を規制するように構成されている。
【0036】
また、底面部101には、軸収容部102の下方領域で双方の軸収容部102を連結する位置に、ロータ支持壁106が立設されている。ロータ支持壁106は、本EGRセンサの前後方向に一定距離離間した2枚の板状部材で構成されている。双方の板状部材の中央には、ロータ40を回転可能に保持する開口部107が形成されている。また、本EGRセンサの背面側に配置されたロータ支持壁106には、上述した牽引部材60を構成する紐状部材601の通過を許容するスリット108が形成されている。
【0037】
さらに、底面部101におけるEGRセンサの前面側には、ロータ支持壁106から一定距離離間した位置に、トーションスプリング50の一部を支持するスプリング支持台(以下、「支持台」という)109が立設されている。支持台109は、その上方部分にトーションスプリング50の一部を収容する円弧形状を有している。また、その右方側の端部であって本EGRセンサの前面側の位置に、トーションスプリング50の一端を係止するコイル係止片110を有している。
【0038】
底面部101の周面の一定位置には、後述するカバー70の一定位置に形成された係合穴に係合する、複数の係合片111が形成されている。係合片111は、底面部101からに僅かに突出した形状を有すると共に、その上端部が面取りされた形状を有する。係合片111の上端部を面取りすることで、容易にカバー70を取り付けられるように構成されている。なお、本実施の形態においては、係合片111は、本EGRセンサの前面側、背面側及び側方側の4箇所に形成されている。
【0039】
また、底面部101における本EGRセンサの背面側には、後述するカバー70の基板収容スペースに挿入される、一対の挿入片112が立設されている。挿入片112は、上記基板収容スペースの内壁と、当該基板収容スペースに装着された基板ケース91とに対応する形状を有している。それぞれの挿入片112の内側には、上記基板収容スペースに装着されている基板ケース91に形成された係合穴と係合する係合片113が形成されている。
【0040】
図5は、本実施の形態に係るEGRセンサが有する操作軸20の構成を説明するための拡大図である。なお、図5においては、本EGRセンサの前面側から見た場合の操作軸20のみを示し、本EGRセンサの背面側から見た場合の操作軸20については省略している。
【0041】
図5に示すように、例えば、合成樹脂の成形品から成る操作軸20は、胴部201を有し、この胴部201の上方に軸部202が形成されると共に、側方側に腕部203が形成される。軸部202は、本EGRセンサが組み立てられた状態でカバー70から一部露出し、例えば、検出対象となるEGRバルブと当接する。腕部203は、操作軸20の直線運動に応じて軸収容部102の内部空間に収容され、コイルスプリング30を伸縮させる一方、操作軸20がケース10から抜けるのを防止する。
【0042】
腕部203は、胴部201から一定距離進んだ位置で下方側に向けて屈曲した形状を有し、屈曲した先端部近傍に突出片204及びコイル当接片205a〜cが設けられている。突出片204は、本EGRセンサの側方側に向けて突出した形状を為し、下面部204a、上面部204b及び斜面部204cを有する。下面部204aは、コイル当接片205と共にコイルスプリング30の上端部に当接する。上面部204bは、ケース10の溝部105に入り込んだ状態で操作軸20がケース10から抜けるのを防止する。斜面部204cは、本EGRセンサの下方側に向かって操作軸20の内側に傾斜するテーパ面を有し、操作軸20のケース10への挿入を補助する役割を果たす。コイル当接片205a〜cは、それぞれ本EGRセンサの前面側、背面側及び胴部201側に向けて突出した形状を有し、下面でコイルスプリング30の上端部に当接する。
【0043】
胴部201の内部には、端子収容部206が設けられている。端子収容部206は、牽引部材60を構成するボール端子602を本EGRセンサの前面側から挿入可能に形成されている。ボール端子602は、その中心が操作軸20の軸中心と一致するように端子収容部206に収容される。胴部201の一方(図5に示す右方側)の側面には、端子収容部206に収容されたボール端子602に固定された紐状部材601を案内するガイド溝207が形成されている。ボール端子602が端子収容部206に収容された状態で紐状部材601がガイド溝207に入り込むことで、紐状部材601が本EGRセンサの前面側にずれるのが防止される。
【0044】
図6は、本実施の形態に係るEGRセンサが有するロータ40の構成を説明するための拡大図である。図6(a)は、本EGRセンサの前面側から見た場合のロータ40について示し、図6(b)は、本EGRセンサの背面側から見た場合のロータ40について示している。
【0045】
図6に示すように、例えば、合成樹脂の成形品から成るロータ40は、本EGRセンサの前面側に挿入部401を有し、背面側に挿入部401よりも大径の磁石保持部402を有している。挿入部401は、ロータ支持壁106に形成された開口部107に挿入され、磁石保持部402は、その内側部分で磁石80を保持する。磁石保持部402における本EGRセンサの前面側の端面は、ロータ支持壁106に当接する当接部403を構成し、ロータ40が一定位置以上に開口部107から前面側に進入するのを規制する。
【0046】
挿入部401の先端には、挿入部よりも小径のトーションスプリング係止部(以下、「スプリング係止部」という)404が設けられている。スプリング係止部404は、本EGRセンサの前面側に突出した形状を為し、その中央部分にスプリング係止溝405が形成されている。スプリング係止溝405は、トーションスプリング50の一端を係止する。スプリング係止溝405の内部には、鉤形状を有するトーションスプリング50の端部を保持する保持部405a(図6に不図示)が形成されている。
【0047】
また、挿入部401の周面の中央領域には、牽引部材60を構成する紐状部材601を巻き取って収容する収容溝406が形成されている。収容溝406は、挿入部401よりも僅かに小径とされており、当該小径とされた領域で紐状部材601を収容する。なお、収容溝406の所定位置には、ロータ40の内部から繰り出される紐状部材601を収容溝406に案内する案内部407が形成されている。磁石保持部402の周面の所定位置には、操作軸20の軸線方向と直交する方向にスリット408が形成されている。スリット408は、背面側から収容溝406まで形成されており、紐状部材601を収容溝406まで案内可能に構成されている。
【0048】
図6(b)に示すように、磁石保持部402の内部には、磁石80を収容する空間が設けられると共に、当該空間よりも本EGRセンサの前面側の位置に、端子収容部409が設けられている。端子収容部409は、牽引部材60を構成するボール端子602を本EGRセンサの背面側から挿入可能に形成されている。
【0049】
磁石保持部402の周面であって、本EGRセンサの背面側には、磁石80の周面に形成された係合片801と係合する係合部410が形成されている。係合部410は、上記係合片801と係合する係合穴411を有すると共に、一対の切欠き部412を有している。一対の切欠き部412を設けることで、係合部410に若干の弾性を付与し、容易に磁石80を取り付けられるように構成されている。
【0050】
図7は、本実施の形態に係るEGRセンサが有するトーションスプリング50の構成を説明するための拡大図である。図7(a)は、本EGRセンサの前面側から見た場合のトーションスプリング50について示し、図7(b)は、本EGRセンサの背面側から見た場合のトーションスプリング50について示している。なお、図7においては、説明の便宜上、ケース10及びロータ40に取り付けられた状態(トーションスプリング50のスラスト方向に引き伸ばされた状態)のトーションスプリング50について示している。
【0051】
図7に示すように、例えば、ステンレス鋼線等から成るトーションスプリング50は、ロータ40のスプリング係止部404に係止されるロータ側端部501と、ケース10のコイル係止片110に係止されるケース側端部502とを有する。ロータ側端部501は、同図に示すように、端部において本EGRセンサの下方側に屈曲した鉤形状を有している。一方、ケース側端部502は、同図に示すように、コイル係止片110の端部形状に合わせた形状を有している。
【0052】
図8は、本実施の形態に係るEGRセンサが有するカバー70の構成を説明するための拡大図である。図8(a)は、本EGRセンサの前面側から見た場合のカバー70について示し、図8(b)は、本EGRセンサの背面側から見た場合のカバー70について示している。なお、図8においては、説明の便宜上、本EGRセンサの下方側から見た場合のカバー70について示している。
【0053】
図8に示すように、例えば、合成樹脂の成形品から成るカバー70は、一方(図1に示す本EGRセンサの下方側)が開口した略円筒状の形状を有する。カバー70内部には、カバー70内のスペースを仕切る仕切り壁701が設けられている。この仕切り壁701により、上述のような構成部品を保持した状態のケース10を収容するケース収容スペース702と、上述のように回路基板90を保持した状態の基板ケース91を収容する基板収容スペース703とに仕切られている。なお、ケース収容スペース702は、カバー70の周面と仕切り壁701の壁面とで囲われている。一方、基板収容スペース703に対応するカバー70の周面部分は、一部、本EGRセンサの背面側に開口した状態となっている。
【0054】
ケース収容スペース702におけるカバー70の内壁には、ケース10のガイド面104を案内するガイド溝704が形成されている。このガイド溝704をケース10のガイド面104に合わせた状態でカバー70を押し込むことで、ケース10に対してカバー70が適切な位置に取り付けられることとなる。
【0055】
また、ケース収容部702における本EGRセンサの上方側(図8に示す下方側)には、操作軸20の軸部202が貫通する穴部(図8に不図示)が形成されている。この穴部は、軸部202の径と略同一の寸法に形成されており、軸部202の先端は、この穴部を介してカバー70の外部に露出する。
【0056】
さらに、カバー70の周面の一定位置には、ケース10に形成された係合片111と係合する、複数の係合穴705が形成されている。ケース10の係合片111がこれらの係合穴705に入り込むことで、カバー70がケース10に固定されることとなる。
【0057】
次に、上記のような構成を有するEGRセンサを組み立てる方法について図9を用いて説明する。図9は、本実施の形態に係るEGRセンサの組立方法について説明するための組立図である。
【0058】
図9に示すように、本実施の形態に係るEGRセンサを組み立てる場合、まず、本EGRセンサの背面側からロータ40の端子収容部409にボール端子602を挿入すると共に、本EGRセンサの前面側から操作軸20の端子収容部206にボール端子602を挿入する。その際、紐状部材601は、ロータ40に形成されたスリット408を通しておく。そして、ボール端子602を収容した状態のロータ40に、本EGRセンサの背面側から磁石80を取り付ける。この際、磁石80の係合片801がロータ40の係合穴411に係合するように、磁石80がロータ40に取り付けられる。その際、紐状部材601は、ロータ支持壁106に形成されたスリット108を通しておく。
【0059】
このようにボール端子602及び磁石80を取り付けたロータ40を、本EGRセンサの背面側からロータ支持壁106に形成された開口部107に挿入する。そして、開口部107から突出したロータ40のスプリング係止部404に対して、本EGRセンサの前面側からトーションスプリング50の一端を係止させると共に、ケース10の支持台109のコイル係止片110にトーションスプリング50の他端を係止させる。
【0060】
ここで、ケース10及びロータ40に取り付けられたトーションスプリング50の状態について図10及び図11を用いて説明する。図10及び図11は、ケース10及びロータ40に取り付けられたトーションスプリング50の状態について説明するための拡大図である。なお、図10においては、説明の便宜上、ロータ40の上方にて水平にケース10を切断した状態について示している。また、図11は、ロータ40におけるスプリング係止部404の周辺の拡大図を示している。
【0061】
ケース10及びロータ40に取り付けられると、図10に示すように、トーションスプリング50のケース側端部502は、支持台109のコイル係止片110を下方側から収容した状態とされる。一方、トーションスプリング50のロータ側端部501は、図11に示すように、スプリング係止部404のスプリング係止溝405に入り込む。このとき、その鉤形状を有する部分は、保持部405aに上方から入り込んだ状態とされる。このようにトーションスプリング50を取り付けることにより、トーションスプリング50のスラスト方向のバネ力によりロータ40を本EGRセンサの前面側に引っ張る力が付与される一方、トーションスプリング50のラジアル方向のバネ力によりロータ40を図11に示す矢印A方向に回転させる力が付与される。
【0062】
図9に戻り、本EGRセンサの組立方法の説明を続ける。上述のように、ケース40にロータ40が取り付けられた状態で、軸収容部102の内部空間に本EGRセンサの上方からコイルスプリング30を収納する。そして、コイルスプリング30を軸収容部102に収納した状態で、本EGRセンサの上方から操作軸20を押し込む。この際、腕部203及びコイル当接片205を軸収容部102に形成されたスリット103に合わせるように、操作軸20が軸収容部102に押し込まれる。
【0063】
このように操作軸20を軸収容部102に押し込む過程で、腕部203に形成された突出片204の斜面部204cがガイド面104の裏面に当接する。ガイド面104の裏面が斜面部204cに当接した状態で、更に操作軸20が押し下げられると、斜面部204cの傾斜に応じて腕部203が操作軸20の内側に押し込まれる。そして、突出片204の上端部が溝部105に到達する位置まで押し下げられると、突出片204が溝部105から本EGRセンサの側方側に突出する。これにより、コイルスプリング30により操作軸20が上方に押し上げられたとしても、突出片204がストッパの役割を果たすので、操作軸20がケース10から抜けることはない。
【0064】
なお、操作軸20に収容されたボール端子602に取り付けられた紐状部材601は、操作軸20を軸収容部102に押し込む過程において、ロータ40の回転力に応じて収容溝406に巻き取られる。このため、紐状部材601が、操作軸20をケース10に挿入する工程の障害となることはない。
【0065】
ここで、これまでの工程にて各構成部品が取り付けられたケース10の状態について図12を用いて説明する。図12は、操作軸20の挿入工程までに各構成部品が取り付けられたケース10の状態について説明するための拡大図である。なお、図12(a)は、本EGRセンサの左前面側から見た場合のケース10の状態について示し、図12(b)は、本EGRセンサの背面側から見た場合のケース10の状態について示している。
【0066】
軸収容部102に対する操作軸20の挿入工程まで終了すると、ケース10には、図12に示すように、トーションスプリング50により付与されるロータ40の回転力に応じて、牽引部材60により操作軸20が引き下げられる一方、コイルスプリング30により付与されるバネ力に応じて操作軸20が押し上げられた状態となっている。
【0067】
本EGRセンサにおいては、コイルスプリング30により操作軸20を押し上げるバネ力は、トーションスプリング50により付与されるロータ40の回転力よりも大きく設定されている。このため、操作軸20には常に押し上げる力が作用しているものの、突出片204が溝部105の上端面に当接することにより操作軸20がケース10に保持された状態となる。従って、組立てを行う作業者が手を放した場合においても、操作軸20がケース10から脱落することはなく、図12に示す状態が維持される。なお、このとき、ロータ40に組み込まれた磁石80は、図12(b)に示すように、本EGRセンサの背面側に露出した状態で保持されている。
【0068】
なお、牽引部材60においては、操作軸20に取り付けられたボール端子602が押し上げられる一方、ロータ40に取り付けられたボール端子602が引き下げられた状態となるため、これらを連結する紐状部材601には、常に一定のテンションが付与された状態となっている。このような紐状部材601のテンションは、操作軸20が直線移動した場合においても同様に維持される。
【0069】
特に、本EGRセンサにおいては、紐状部材601は、操作軸20における直線運動量と、ロータ40における回転量とが同一量になるように保持されている。より具体的には、紐状部材601は、図13に示すように、操作軸20の軸線方向と平行に配置されるように保持されている。図13は、本EGRセンサにおける紐状部材601の配置を説明するための拡大断面図である。なお、図13においては、紐状部材601に沿って形成される断面を、本EGRセンサの前面側から見た場合について示している。
【0070】
図13に示すように、本EGRセンサにおいては、ロータ40の回転中心を、操作軸20の中心線の延長線上に配置している。そして、操作軸20の中心から操作軸20の軸線方向と直交する方向に引き出される紐状部材601の長さLと、ロータ40の中心から同一方向に引き出される紐状部材601の長さL´とを同一の長さに設定している。これにより、紐状部材601が、常に、操作軸20の軸線方向と平行に配置されるように保持している。この結果、操作軸20における直線移動量とロータ40における回転量とを同一値に設定することが可能となる。
【0071】
なお、ここでは、ロータ40の回転中心を、操作軸20の中心線の延長線上に配置する場合について示しているが、これに限定されるものではない。操作軸20における直線運動量と、ロータ40における回転量とを同一量とすることを条件として、ロータ40と操作軸20との位置関係については、適宜変更が可能である。必ずしもロータ40の回転中心を、操作軸20の中心線の延長線上に配置する必要はない。
【0072】
図9に戻り、本EGRセンサの組立方法の説明を続ける。上述のように各構成部品をケース10に保持させた状態で、本EGRセンサの上方からカバー70を被せる。この際、カバー70は、ロータ40に組み込まれた磁石80が仕切り壁701と対向するようにケース10に対して被せられる。また、カバー70は、ケース10に保持された操作軸20の軸部202の先端がカバー70の上面に形成された穴部を貫通するようにケース10に対して被せられる。なお、磁石80と仕切り壁701との対向配置、並びに、軸部202による当該穴部の貫通は、カバー70の内壁に形成されたガイド溝704に、ケース10のガイド面104を合わせた状態で押し込むことで確保される。
【0073】
ここで、回路基板90を収容した基板ケース91をカバー70に装着し、当該カバー70をケース10に被せる際の工程について説明する。図14は、回路基板90を収容した基板ケース91をカバー70に装着し、当該カバー70をケース10に被せる際の工程について説明するための拡大図である。なお、図14においては、説明の便宜上、本EGRセンサを下方側から見た場合の状態について示している。
【0074】
まず、回路基板90を、図14に示すように、露出する回路基板90の一面が仕切り壁701に対向するように基板ケース91に収容する。そして、このように回路基板90を収容した基板ケース91を基板収容スペース703に本EGRセンサの下方側からスライドさせて装着する。なお、基板ケース91の側面には、基板収容スペース703に形成された係合片703aと係合する係合穴91aが形成されている。基板ケース91を基板収容スペース703の所定位置までスライドさせることで、これらが係合した状態となり、基板ケース91がカバー70に装着されることとなる。このように基板ケース91がカバー70に装着されることで、基板ケース91と仕切り壁701とで基板収容スペース703が密閉された状態となる。
【0075】
このように基板ケース91が装着されたカバー70を、各構成部品を保持したケース10に対して被せる。なお、同図に示すように、基板ケース91の側面には、ケース10の挿入片112に形成された係合片113と係合する係合穴91bが形成されている。カバー70をケース10の所定位置まで挿入することで、これらが係合した状態となると共に、ケース10に形成された係合片111がカバー70の係合穴705と係合した状態となり、カバー70がケース10に固定される。このようにカバー70がケース10に固定されることで、本EGRセンサの組立てが完了する。
【0076】
ここで、カバー70をケース10に被せた場合における磁石80と回路基板90との関係について図15及び図16を用いて説明する。図15は、カバー70をケース10に被せた場合における磁石80と回路基板90との関係について説明するための拡大斜視図である。図16(a)及び図16(b)は、それぞれカバー70をケース10に被せた場合における磁石80と回路基板90との関係について説明するための上面図及び側面図である。なお、図15及び図16においては、説明の便宜上、カバー70を省略した状態について示している。
【0077】
基板ケース91を装着したカバー70をケース10に被せた状態において、磁石80と回路基板90とは、図15及び図16に示すように、一定距離を空けて対向した状態とされる。磁石80と回路基板90との間には、不図示のカバー70の仕切り壁701が配置される。磁石80による外部磁界が、この仕切り壁701を介して回路基板90が有する磁気抵抗効果素子に作用するようになっている。なお、仕切り壁701は、合成樹脂等で構成されるため、磁石80による外部磁界に影響を与えることはない。
【0078】
また、上述のように、ロータ40は、トーションバネ50により図16に示す右方側に引っ張られた状態でケース10に保持されている。このため、磁石80が回路基板90側に移動することが防止されている。このため、回路基板90は、磁石80による外部磁界が安定した状態でこれを検出することが可能となる。
【0079】
次に、上記のような構成を有するEGRセンサの動作について説明する。図1のように組み立てられたEGRセンサにおいて、EGRバルブが同図に示す検出方向に移動すると、コイルスプリング30のバネ力に抗して操作軸20が押し下げられる。操作軸20が押し下げられると、これに伴って操作軸20に収容されているボール端子602が下方移動する。当該ボール端子602の下方移動に応じて、トーションスプリング50により付与される回転力に応じてロータ40が回転し、紐状部材601を収容溝406に巻き取る。
【0080】
この場合において、磁石80は、ロータ40における紐状部材601の巻き取り動作に応じて回転する。回路基板90においては、磁石80の回転に応じて生じる外部磁界の変化に応じて、磁気抵抗効果素子の電気抵抗値の変化を生じさせる。そして、この磁気抵抗効果素子の出力信号から磁気抵抗効果素子と磁石80との相対移動量を検出する。このように検出した相対移動量は、電気信号に変換されてEGRバルブの位置調整を行うコンピュータに出力される。コンピュータでは、この電気信号に基づいて、ロータ40の回転角度を把握し、必要に応じてEGRバルブの位置調整を行う。
【0081】
逆に、上述のように押し下げられた状態から、EGRバルブが同図に示す検出方向と反対方向に移動すると、コイルスプリング30のバネ力に応じて操作軸20が押し上げられる。操作軸20が押し上げられると、これに伴って操作軸20に収容されているボール端子602が上方移動し、このボール端子602に取り付けられた紐状部材601が上方に引っ張られる。この場合、トーションスプリング50により付与される回転力に抗してロータ40が回転し、収容溝406から紐状部材601が引き出される。
【0082】
この場合において、磁石80は、ロータ40から引き出される紐状部材601の長さに応じて回転する。ロータ40が紐状部材601を巻き取る場合と同様に、回路基板90においては、磁石80の回転に応じて生じる外部磁界の変化に応じて、磁気抵抗効果素子の電気抵抗値の変化を生じさせる。そして、この磁気抵抗効果素子の出力信号から磁気抵抗効果素子と磁石80との相対移動量を検出する。EGRバルブの位置調整を行うコンピュータでは、この相対移動量に応じた電気信号に基づいて、ロータ40の回転角度を把握し、必要に応じてEGRバルブの位置調整を行う。
【0083】
このように本実施の形態に係るEGRセンサによれば、コイルスプリング30により操作軸20を装置外側方向に付勢する一方、ケース10によりコイルスプリング30の付勢力による操作軸20の移動を一定位置で規制する。これにより、操作軸20が取り付けられるケース10自体で当該操作軸20における装置外側方向への移動が制限される。この結果、従来のEGRセンサのように、コイルばねを付勢した状態で組立作業を行う必要がなくなるので、装置を組み立てる際の作業性に優れたEGRセンサを提供することが可能となる。
【0084】
特に、本実施の形態に係るEGRセンサにおいては、ケース10に、操作軸20に形成された突出片204と係合する溝部105を設けている。これにより、ケース10に設けた溝部105と、操作軸20に形成された突出片204との係合により、一定位置で操作軸20における装置外側方向への移動を制限することが可能となる。
【0085】
なお、本実施の形態に係るEGRセンサにおいては、ケース10の溝部105を、操作軸20の装置内側への直線運動を許容するように設けている。このように操作軸20の装置内側への直線運動を許容するように溝部105を設けることで、操作軸20の直線運動を制限せず、柔軟に検出対象の位置検出を行うことが可能となる。
【0086】
また、本実施の形態に係るEGRセンサにおいては、ケース10に、ロータ40を回転可能に保持させる一方、当該ロータ40を一定方向に回転させるトーションスプリング50を保持させている。この場合には、ロータ40に回転力を付与するトーションスプリング50を、操作軸20等を保持するケース10で保持するので、装置自体の小型化を図ることが可能となる。
【0087】
特に、本実施の形態に係るEGRセンサにおいては、ロータ40に磁石80を組み込み、トーションスプリング50でロータ40を回路基板90から離間する方向に付勢するようにしている。これにより、トーションスプリング50に、ロータ40を回転させる機能と、ロータ40を回路基板90から離間させる機能とを持たせることができるため、装置内における部品点数を低減すると共に、装置本体の小型化及び軽量化を図ることが可能となる。
【0088】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0089】
例えば、上記実施の形態に係るEGRセンサにおいては、本EGRセンサの検出方向が図1に示す下方向である場合について説明しているが、これに限定されるものではなく、本EGRセンサの設置方向に応じて同図に示す構造を維持した状態で適宜変更が可能である。また、同図に示す構成部品を一部省略して検出方向を反対方向(同図に示す上方向)とすることも可能である。
【0090】
図17は、本実施の形態に係るEGRセンサを変形した場合における内部構造を説明するための斜視図である。図17に示すEGRセンサは、軸収容部102に収容されるコイルスプリング30が省略されている点のみで、図1に示すEGRセンサと相違する。この場合、コイルスプリング30が省略されていることから、操作軸20に作用する力は、牽引部材60を介して伝達されるトーションスプリング50により引き下げる方向の力のみである。このため、組み立てられた状態で操作軸20は、許容される最も下方側の位置まで引き下げられた状態で保持されることとなる。
【0091】
本EGRセンサが検出対象とするEGRバルブの動作に応じて操作軸20が引き上げられると、これに伴って操作軸20に収容されているボール端子602が上方移動し、このボール端子602に取り付けられた紐状部材601が引っ張られる。この場合、トーションスプリング50により付与される回転力に抗してロータ40が回転し、収容溝406から紐状部材601が引き出される。ロータ40に固定された磁石80は、ロータ40から引き出される紐状部材601の長さに応じて回転する。回路基板90においては、磁石80の回転に応じて生じる外部磁界の変化に応じて、磁気抵抗効果素子の電気抵抗値の変化を生じさせる。そして、この磁気抵抗効果素子の出力信号から磁気抵抗効果素子と磁石80との相対移動量を検出する。EGRバルブの位置調整を行うコンピュータでは、この相対移動量に応じた電気信号に基づいて、ロータ40の回転角度を把握し、必要に応じてEGRバルブの位置調整を行う。
【0092】
逆に、上述のように引き出された状態から、EGRバルブが同図に示す検出方向と反対方向に移動すると、これに伴って操作軸20に収容されているボール端子602が下方移動する。当該ボール端子602の下方移動に応じて、トーションスプリング50により付与される回転力に応じてロータ40が回転し、紐状部材601を収容溝406に巻き取る。磁石80は、ロータ40における紐状部材601の巻き取り動作に応じて回転する。回路基板90においては、磁石80の回転に応じて生じる外部磁界の変化に応じて、磁気抵抗効果素子の電気抵抗値の変化を生じさせる。そして、この磁気抵抗効果素子の出力信号から磁気抵抗効果素子と磁石80との相対移動量を検出する。このように検出した相対移動量は、電気信号に変換されてEGRバルブの位置調整を行うコンピュータに出力される。コンピュータでは、この電気信号に基づいて、ロータ40の回転角度を把握し、必要に応じてEGRバルブの位置調整を行う。
【0093】
本実施の形態に係るEGRセンサにおいては、軸線方向に直線運動可能な操作軸20の直線運動をロータ40に伝達すると共に当該ロータ40の回転運動に応じて操作軸20を牽引する牽引部材60を具備すると共に、操作軸20を牽引部材60による牽引方向と反する方向に付勢するコイルスプリング30を具備している。これにより、操作軸20には装置外側に押し出す力が常に作用することとなり、これに抗して移動した検出対象の位置を検出できるため、操作軸20における装置内側方向の位置検出が可能となる。
【0094】
しかし、図17に示すように、コイルスプリング30をケース10から取り外した場合には、牽引部材60のみにより、操作軸20には常に装置内側に引っ張る力が作用する。このため、これに抗して移動した検出対象の位置を検出可能となるので、操作軸20における装置外側方向の位置検出が可能となる。この結果、コイルスプリング30の装着及び非装着を切り替えるだけで、検出対象における相反する検出方向を切り替えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の一実施の形態に係る位置検出装置が適用されるEGRセンサの内部構造を説明するための断面斜視図である。
【図2】上記実施の形態に係るEGRセンサにおけるロータの内部構造を説明するための拡大図である。
【図3】上記実施の形態に係るEGRセンサにおけるカバーの内部構造を説明するための拡大図である。
【図4】上記実施の形態に係るEGRセンサが有するケースの構成を説明するための拡大図である。
【図5】上記実施の形態に係るEGRセンサが有する操作軸の構成を説明するための拡大図である。
【図6】上記実施の形態に係るEGRセンサが有するロータの構成を説明するための拡大図である。
【図7】上記実施の形態に係るEGRセンサが有するトーションスプリングの構成を説明するための拡大図である。
【図8】上記実施の形態に係るEGRセンサが有するカバーの構成を説明するための拡大図である。
【図9】上記実施の形態に係るEGRセンサの組立方法について説明するための組立図である。
【図10】上記実施の形態に係るEGRセンサにおいて、ケース及びロータに取り付けられたトーションスプリングの状態について説明するための拡大図である。
【図11】上記実施の形態に係るEGRセンサにおいて、ケース及びロータに取り付けられたトーションスプリングの状態について説明するための拡大図である。
【図12】上記実施の形態に係るEGRセンサにおいて、操作軸の挿入工程までに各構成部品が取り付けられたケースの状態について説明するための拡大図である。
【図13】上記実施の形態に係るEGRセンサに取り付けられる紐状部材の配置を説明するための拡大断面図である。
【図14】上記実施の形態に係るEGRセンサにおいて、回路基板を装着したカバーをケースに被せる場合のイメージについて説明するための拡大図である。
【図15】上記実施の形態に係るEGRセンサにおける磁石と回路基板との関係について説明するための拡大図である。
【図16】上記実施の形態に係るEGRセンサにおける磁石と回路基板との関係について説明するための上面図及び側面図である。
【図17】上記実施の形態に係るEGRセンサを変形した場合における内部構造を説明するための斜視図である。
【符号の説明】
【0096】
10 ケース
102 軸収容部
105 溝部
20 操作軸
202 軸部
203 腕部
204 突出片
30 コイルスプリング
40 ロータ
50 トーションスプリング
60 牽引部材
601 紐状部材
602 ボール端子
70 カバー
701 仕切り壁
702 ケース収容スペース
703 基板収容スペース
80 磁石
90 回路基板
91 基板ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に直線運動可能な操作軸と、前記操作軸の直線運動を回転運動に変換して回転する回転体と、前記回転体の回転量を検出する磁気検出回路と、前記操作軸を装置外側方向に付勢する第1のばね部材を収納すると共に、当該第1のばね部材の付勢力による前記操作軸の移動を一定位置で規制するケース部材と、を具備することを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記ケース部材は、前記操作軸に形成された突出部と係合する溝部を有することを特徴とする請求項1記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記溝部は、前記操作軸の装置内側への直線運動を許容することを特徴とする請求項2記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記ケース部材は、前記回転体を回転可能に保持する一方、当該回転体を一定方向に回転させる第2のばね部材を保持することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記回転体に磁石を組み込み、前記第2のばね部材で当該回転体を前記磁気検出回路の回路基板から離間する方向に付勢することを特徴とする請求項4記載の位置検出装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の位置検出装置を備えることを特徴とするEGRセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−121213(P2007−121213A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−316790(P2005−316790)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】