説明

位置標定システム

【課題】この発明は、複数の無線マーカを利用して方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せの標定を行なうシステムにおいて、第1の無線マーカのサービスエリアから第2の無線マーカのサービスエリアへのハンドオーバを制御するためのプログラムを有する位置標定システムに関するものである。
【解決手段】無線マーカ1a、1bの3次元の位置69a、69bから携帯端末2の3次元の位置70を標定する際に、無線マーカ1aからの距離67aと、無線マーカ1bからの距離67bを定常的に標定しているので、当該距離67aと67bを比較することで無線マーカ1aのサービスエリアから無線マーカ1bのサービスエリアに移動することが瞬時に判定できることから、ハンドオーバを短時間にしかも簡易なプログラムで制御できるメリットがある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、離散的に配置された複数のマーカを利用して方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せの標定を行なうシステムにおいて、第1のマーカのサービスエリアから第2のマーカのサービスエリアへのハンドオーバさせるよう制御する機能を有する位置標定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、特許文献1に開示される位置検知システムが公知である。このシステムでは、3つの無線局に夫々設けたアンテナから送信される無線信号に基づいて端末の位置を検知している。しかし、このシステムでは、各無線局には1基のアンテナしか塔載されておらず、しかもこれらの無線局の位置が十分に離れていることが条件となっており、屋外あるいは屋内に関わらずマルチパスあるいはハイトパターンなどの影響で、複数の無線局からの信号を同時に受信できない時には位置の検知が不可能となるなどの問題点があった。
また、本出願人の一人は、特願2005−363171号(本願出願時には未公開)において、図8に示すような無線マーカを提案している。図8において、1は無線マーカ、2は携帯端末、11a〜11dは指向性アンテナ、61は指向性アンテナ11aから11bを見た方向、62は無線マーカのアンテナの真下から受信機2を見たときの角度、63は無線マーカ1のアンテナの高さ、64は携帯端末2のアンテナの高さ、65は無線マーカ1のアンテナの真下からの距離である。
無線マーカ1の指向性アンテナ11a〜11dは、発信する高周波信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号あるいは変調信号あるいはベースバンド信号の1波長以下の間隔で水平面あるいは一定の傾斜角を持たせて設置され、周期的に切替えられながら高周波信号を発信しているものとする。
【0003】
当該携帯端末2が当該指向性アンテナ11a〜11dの真下から角度62の方向に存在するとすると、Δd(X)=(H-h)×Tan{ΔΦ(X)}、Δd(Y)=(H-h)×Tan{ΔΦ(Y)}となる。ここで、Δd(X)、Δd(Y)は当該指向性アンテナ11a〜11dの真下からの距離65、Hは当該無線マーカ1のアンテナ11a〜11dの高さ63、hは当該携帯端末2のアンテナの高さ64、ΔΦ(X)、ΔΦ(Y)は当該指向性アンテナの真下からの角度62である。
当該無線マーカ1の指向性アンテナ11a〜11dの真下の位置を(X1、Y1)とすると、当該携帯端末2のアンテナの位置(Xx、Yy)は、Xx=X1+Δd(X) Yy=Y1+Δd(Y)から位置を検知できる。
【特許文献1】特開2004−170114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図8に示す位置検知システムでは、当該無線マーカ1のサービスエリア内では高い位置の標定精度が得られるが、当該無線マーカ1のサービスエリアから外れると位置の標定精度が低下する問題点があった。
また、従来の位置標定システムでは、無線マーカのサービスエリアから逸脱した場合のハンドオーバの制御手順について考慮されておらず、あるいは従来の携帯電話の基地局では、基地局からハンドオーバを起動する場合と携帯端末からハンドオーバを起動する場合があるが、いずれの場合も、複数の基地局からの無線信号を同時あるいは順次に受信して受信入力および/あるいは信号対雑音比を測定し、当該測定結果を比較してハンドオーバをする基地局を選択するため、制御に時間がかかり制御手順が複雑であるなどの問題点があった。
【0005】
この発明は、無線マーカのサービスエリア内では高い標定精度が得られるが、当該無線マーカのサービスエリアから外れると位置の標定精度が低下する問題を解決するために、隣接するマーカのサービスエリアへハンドオーバさせるための機能を有する位置標定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係わる位置標定システムは、一つのマーカに複数の発信手段を設け、当該複数の発信手段を周期的に切替えながら信号を発信させ、当該複数の発信手段からの方向と距離あるいは位置を高精度で標定することにより、第1のマーカのサービスエリアから第2のマーカのサービスエリアにハンドオーバさせるよう制御するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の位置標定システムでは、携帯端末が第1のマーカのサービスエリア内のどの位置に居るかが正確に標定できることから、第1のマーカのサービスエリアから逸脱することが判明した時点で、即座に、第2のマーカのサービスエリアを選択し、当該選択した第2のマーカを利用して位置の標定を継続して行うことができるため、ハンドオーバの制御が簡単であり、ハンドオーバに要する時間を短縮することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
この発明の一実施形態であるハンドオーバ機能を有する位置標定システムは、図1に示すように無線マーカ1a、1bの3次元の位置69a、69bから携帯端末2の3次元の位置70を標定する際に、無線マーカ1aからの距離67aと、無線マーカ1bからの距離67bを同時に標定することが出来るので、無線マーカ1aのサービスエリアから無線マーカ1bのサービスエリアに移動することが即座に判定できることから、当該距離67aと67bを比較することでハンドオーバを短時間に制御できるメリットがある。
図1および図2に示す無線マーカ1a、1bあるいは無線マーカ1には、図3および図4に示すように複数のアンテナ11a〜11eが接続され、アンテナ1a〜1dの任意の組合わせの間隔が無線マーカから発信される高周波信号の搬送波の1波長以内となっている。これらの複数のアンテナの内、アンテナ11a〜11dが周期的に切替えられて高周波信号が発信され、かつ/又は任意の数のアンテナ1eからは高周波信号が複数の周波数の間でホッピングさせながら発信されており、一方、携帯端末2には1基のアンテナが接続されている。
【0009】
無線マーカ1a、1bあるいは無線マーカ1、および携帯端末2のアンテナが上記のとおり構成されるため、無線マーカ1aから発信される高周波信号は68aa〜68adの経路を通って携帯端末2のアンテナに到達し、無線マーカ1bから発信される高周波信号は68ba〜68bdの経路を通って携帯端末2のアンテナに到達し、無線マーカ1のアンテナ1eから発信される高周波信号は68eの経路を通って携帯端末2のアンテナに到達する。
携帯端末2において、上記の複数のアンテナを周期的に切替え、あるいは複数の周波数の間でホッピングさせるごとに、到達した高周波信号の搬送波の周波数差および/あるいは位相差を測定することで携帯端末2の方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せが高精度で標定できる。
前記のように、携帯端末2の方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せが高精度で標定できることから、第1の無線マーカのサービスエリアから第2の無線マーカのサービスエリアへ短時間でハンドオーバさせることが容易に行えるメリットが生じる。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態を示す概念図である。図1において、1a、1bは無線マーカ、11aa〜11ad、11ba〜11bdは複数のアンテナ、2は携帯端末、68aa〜68adはアンテナ11aa〜11adと携帯端末2の間の高周波信号の伝送路、68ba〜68bdはアンテナ11ba〜11bdと携帯端末2の間の高周波信号の伝送路、67a、67bは無線マーカ1a、1bの真下から携帯端末2までの距離、69a、69bは無線マーカ1a、1bの3次元の位置、70は携帯端末2の3次元の位置である。
3次元の位置69a、69bに設置された無線マーカ1a、1bの複数のアンテナ11aa〜11ad、11ba〜11bdは、周期的に切替えられながら、報知情報および主に位置を標定するための測定信号を含む高周波信号を間欠的に発信している。
一方、3次元の位置70に居る携帯端末2には1基のアンテナが搭載されており、当該無線マーカ1a、1bから発信される高周波信号を受信し、高周波信号の伝送経路68aa〜68adあるいは68ba〜68bdごとに当該高周波信号の搬送波信号の位相差を求め、自らの3次元の位置70を標定するとともに、無線マーカ1a、1bの真下からの距離67a、67bを求める。
【0011】
当該無線マーカ1aの真下からの距離67aが当該無線マーカ1aのサービスエリア内であれば、当該携帯端末2は当該無線マーカ1aから発信される高周波信号を受信することで、携帯端末2の3次元の位置70が標定できる。
同様に、当該無線マーカ1bの真下からの距離67bが当該無線マーカ1bのサービスエリア内であれば、当該携帯端末2は当該無線マーカ1bから発信される高周波信号を受信することで、携帯端末2の3次元の位置70が標定できる。
当該携帯端末2が無線マーカ1aのエリアから無線マーカ1bのエリアに移動する場合には、無線マーカ1aから発信される高周波信号から無線マーカ1bからの高周波信号へ切替えてハンドオーバさせることによって、継続して携帯端末2は自らの3次元の位置を標定することができる。
【0012】
ここで、当該無線マーカ1aのエリアと1bのエリアは通常重複するように設置されるが、横断歩道などのように、無線マーカ1aと1bを近接して設置できない場合には、両方のエリアの間に隙間が生じる場合が生じる。
当該携帯端末2が無線マーカ1aのエリア外であり同時に無線マーカ1bのエリア外であると、自らの3次元の位置70を標定することができないので、地磁気センサあるいは加速度センサあるいは重力センサあるいはこれらを組合せた慣性航法センサなどを用いて移動した距離と方向などを測定して補完する必要が生じる。
なお、上記では、無線マーカ1a、1bの複数のアンテナ11aa〜11ad、11ba〜11bdを周期的に切替えながら高周波信号を発信する場合について述べたが、無線マーカ1a、1bから発信される高周波信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号あるいは変調信号あるいはベースバンド信号の周波数をホッピングさせることで、無線マーカ1a、1bの真下からの距離67a、67bを直接測定することができる。
また、上記では、無線マーカ1a、1bが送信機であり携帯端末2が受信機である場合であるが、無線マーカ1a、1bが受信機であり携帯端末2が送信機で有る場合にも同様な効果がえられる。なお、前者の場合には各無線マーカ1a、1bは独立していても良いが、後者の場合には各無線マーカ1a、1bの間は通信ネットワークなどで接続しておく必要がある。
【0013】
図2は、本発明の他の実施形態を示す概念図である。図2において、1は無線マーカ、11a〜11eは複数のアンテナ、2は携帯端末、68a〜68eはアンテナ11a〜11eと携帯端末2の間の高周波信号の伝送路、67cは大ゾーンのサービスエリア、67dは小ゾーンのサービスエリア、69は無線マーカ1の3次元の位置、70は携帯端末2の3次元の位置である。
3次元の位置69に設置された無線マーカ1の複数のアンテナ11a〜11eは、周期的に切替えられながら、報知情報および方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せを標定するための測定信号を含む高周波信号を間欠的に発信している。
無線マーカ1の複数のアンテナ11a〜11dは、当該複数のアンテナの高さをほぼ半径とする小ゾーンのサービスエリアを構成し、主に位置を標定するために用いられ、任意の数のアンテナ11eは、当該アンテナからの高周波信号の到達範囲を半径とする大ゾーンのサービスエリアを構成し、主に方向および/あるいは距離を標定するために用いられる。
無線マーカ1の任意の数のアンテナ11eは、直交しあるいは同期した複数の周波数の搬送波信号あるいは副搬送波信号あるいは変調信号あるいはベースバンド信号あるいはこれらの組み合わせの間をホッピングさせながら高周波信号を発信し、携帯端末2が向いている方向および/あるいは無線マーカ1と携帯端末2との間の距離を標定するのに用いられる。
一方、3次元の位置70に居る携帯端末2には1基のアンテナが搭載されており、当該無線マーカ1から発信される高周波信号を受信し、高周波信号の伝送経路68a〜68eごとに当該高周波信号の搬送波信号の位相差を求め、方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せを標定する。
【0014】
当該携帯端末2が当該無線マーカ1の小ゾーンのサービスエリア内であれば、当該携帯端末2は当該無線マーカ1から発信される高周波信号を受信することで、携帯端末2の3次元の位置70が標定できる。
同様に、当該無線マーカ1が当該無線マーカ1の大ゾーンのサービスエリア内であれば、当該携帯端末2は当該無線マーカ1から発信される高周波信号を受信することで、携帯端末2が向かっている方向および/あるいは携帯端末2と無線マーカ1との間の距離が標定できる。
当該携帯端末2が無線マーカ1の小ゾーンのサービスエリアから無線マーカ1の大ゾーンのサービスエリアに移動する場合には、無線マーカ1のから小ゾーンのサービスエリアから無線マーカ1の大ゾーンのサービスエリアへ切替えてハンドオーバすることによって、継続して携帯端末2は自らの方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せを標定することができる。
【0015】
ここで、当該無線マーカ1の大ゾーンのサービスエリアは隣接する他の無線マーカの大ゾーンのサービスエリアと通常重複するように設置されるが、無線マーカ1と他の隣接する無線マーカが近接して設置できない場合には、両方のエリアの間に隙間が生じる場合が生じる。
また、当該小ゾーンのサービスエリアが主に位置の標定を目的とし、当該大ゾーンのサービスエリアが主に方向および/あるいは距離の標定を目的として設置される。
また、複数の無線マーカが離散的に配置され、当該複数の無線マーカの大ゾーンのサービスエリアが重なって配置される場合には、当該複数の無線マーカを利用して得られた方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せの標定結果を組み合わせて採用することができる。
【0016】
また、前記の複数の無線マーカの各々の小ゾーンおよび/あるいは大ゾーンのサービスエリアが重複しないエリアに対しては、地磁気センサあるいは加速度センサあるいは重力センサあるいはこれらを組合せた慣性航法センサによって、前記複数の無線マーカを利用した方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せの標定結果を補完することで標定精度を向上させることができる。
また、前記慣性航法センサによって補完した方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せの標定結果を、前記複数の無線マーカの小ゾーンのサービスエリアにおいて補正しあるいはリセットすることで標定精度を向上させることができる。
また、上記では、無線マーカ1が送信機であり携帯端末2が受信機である場合であるが、無線マーカ1が受信機であり携帯端末2が送信機で有る場合にも同様な効果がえられる。なお、前者の場合には無線マーカ1は独立していても良いが、後者の場合には無線マーカ1は周辺の無線マーカと通信ネットワークなどで接続しておく必要がある。
【0017】
図3は、本発明における無線マーカと携帯端末の実施例を示す構成図であり、1は無線マーカ、11a、11b、11c、11d、11eは複数のアンテナ、12はアンテナスイッチ、13は送信機、14は基準発振器、15は制御器、2は携帯端末、21はアンテナ、22は受信機、23は信号検出器、24は基準発振器、25は制御・表示器である。
無線マーカ1の複数のアンテナ11a〜11dと任意の数のアンテナ11eはアンテナスイッチ12に接続されており、制御器15によって基準発振器14に同期して周期的に切換えられている。送信機13からは少なくとも報知情報と測定信号を含む高周波信号がバースト状に発信され、アンテナスイッチ12により周期的に切換えられ、当該複数のアンテナ11a〜11d、および11eから空間に放射されている。
【0018】
当該複数のアンテナ11a〜11d、および11eから空間に放射された高周波信号は、携帯端末2のアンテナ21で受信され、受信機22により当該高周波信号の搬送波信号が中間周波信号に変換され、信号検出器23により当該中間周波信号の位相が測定される。
当該中間周波信号の位相の測定が前記の無線マーカ1の複数のアンテナ11a〜11d、および11eごとに行われ、各々の位相差から無線マーカ1から携帯端末2を見た方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せを標定することができる。
なお、無線マーカ1の送信機13の発振周波数を基準発振器14に同期させながら段階的に変化させ、いわゆる周波数ホッピングをさせ、携帯端末2の受信機22で基準発振器24に同期した局部発振器の周波数を変化させながら中間周波数に変換し、信号検出器23によって当該中間周波信号の位相差を測定することで、無線マーカ1と携帯端末2との間の距離が測定できる。
【0019】
図4は本発明におけるアンテナの実施例を示す断面図であり、81は複数のアンテナ11a〜11d、および11eを組み立てたアンテナ部、82はアンテナ11aとアンテナ11dの上下方向の間隔、83はアンテナ11cと11dの左右方向の間隔である。
アンテナ部81の各間隔82、83は高周波信号の搬送波信号の1波長以下の間隔で配置され、アンテナ11eは、例えば、アンテナ11a〜11dの中心部でこれらのアンテナに妨害を与えない位置に設けられ、前記アンテナスイッチ12によって周期的に切替えられる。
また、アンテナ部81を、水平面に対して下向き方向あるいは上向き方向、あるいは横向き方向に設置され、あるいは傾斜角を持たせ、あるいはこれらを組合わせて設置することができる。
また、当該小ゾーンのサービスエリアをカバーするための複数のアンテナ11a〜11dが垂直方向に指向性パターンを形成し、当該大ゾーンのサービスエリアをカバーするための任意の数のアンテナ11eが水平方向に無指向性パターンを形成することで位置の標定精度を高めることができる。
【0020】
図5は、上記図1に示す実施形態において実行される制御プログラムの一例のフローチャートである。図5において、101〜111は制御ステップを示す。
プログラムの制御手順は、ステップ101で制御をスタートし、ステップ111で終了する。
ステップ101でスタートすると、ステップ102で現マーカを中心に位置標定プログラムを実行を開始する。
ステップ103で、携帯端末が現在の無線マーカのサービスエリア内か否かの判定を行い、エリア内であればステップ104に進み、エリア外であればステップ105に進む。
携帯端末が現在の無線マーカのエリア内の場合、ステップ104で現在の無線マーカのエリア内の他に隣接する無線マーカのエリア内にも居るかの判定を行い、現在の無線マーカのエリア内のみの場合は、ステップ107で現在のマーカから取得するデータを用いて位置標定を実行し、ステップ110で位置標定の結果をテーブルに入力し、ステップ111で終了する。
【0021】
一方、現在の無線マーカのエリア内の他に隣接する無線マーカのエリア内でもあるときには、ステップ106で現在の無線マーカから得られたデータと隣接する無線マーカから得られたデータの両方を用いて位置標定を行い、ステップ110で位置標定の結果をテーブルに入力し、ステップ111で処理を終了する。
現在の無線マーカのエリア外の時、ステップ105で隣接する無線マーカのエリア内か否かの判定を行い隣接する無線マーカのエリア内の時には、ステップ108に移行して隣接する無線マーカへハンドオーバして引き続き位置の標定を行い、ステップ110で位置標定の結果をテーブルに入力し、ステップ111で処理を終了する。
更に、隣接する無線マーカのエリアでも無い時には、ステップ109に移行して、慣性航法センサを使って位置の標定を行い、ステップ110で位置標定の結果をテーブルに入力し、ステップ111で処理を終了する。
【0022】
なお、前記の方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せの標定結果が、現在の無線マーカのサービスエリアから逸脱しつつあると判定された場合、当該逸脱しつつある方向に存在する隣接する無線マーカと組合せあるいは当該隣接する無線マーカを優先して選択することができる。
また、前記現在の無線マーカのサービスエリアと隣接する無線マーカのサービスエリアが重複しない場合には、当該重複しないエリアに対しては地磁気センサあるいは加速度センサあるいは重力センサあるいはこれらの組合せた慣性航法センサによって方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せの標定結果を補完することができる。
また、現在の無線マーカのエリア内で得られた位置評定結果を用いて前記の慣性航法センサを較正しあるいはリセットを行うことで、当該慣性航法センサの精度を維持することが可能である。
【0023】
図6は、上記図2に示す実施形態で実行される制御プログラムの一例のフローチャートである。図6において、201〜211は制御ステップを示す。
プログラムの制御手順は、ステップ201で制御をスタートし、ステップ211で終了する。
ステップ201でスタートすると、ステップ202で大ゾーンエリアと小ゾーンエリアを対象に位置標定プログラムの実行を開始する。
ステップ203では、携帯端末が無線マーカ(図示せず)の小ゾーンエリア内であるか否かの判定を行い、小ゾーンエリア内であればステップ204に進み、小ゾーンエリア外であればステップ205に進む。
小ゾーンエリア内である場合、ステップ204で現在の無線マーカの小ゾーンエリアの他に隣接する無線マーカの小ゾーンエリア内にも居るかの判定を行い、現在の無線マーカの小ゾーンエリア内のみである場合は、ステップ207で現在の無線マーカから取得するデータを用いて位置標定を行い、ステップ210で位置標定の結果をテーブルに入力し、ステップ211で処理を終了する。
【0024】
一方、現在の無線マーカの小ゾーンエリア内である他に隣接する無線マーカの小ゾーンエリア内でもあるときには、ステップ206で現在の無線マーカの小ゾーンエリアから得られたデータと隣接する他の無線マーカの小ゾーンエリアから得られたデータの両方を用いて位置標定を行い、ステップ210で位置標定の結果をテーブルに入力し、ステップ211で処理を終了する。
ステップ205では、複数の無線マーカの大ゾーンエリア内であるか否かの判定を行い、複数の無線マーカの大ゾーンエリア内である時には、ステップ208に移行して複数の無線マーカの大ゾーンエリアから得られたデータを用いて方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せの標定を行い、ステップ210で位置標定の結果をテーブルに入力し、ステップ211で処理を終了する。
【0025】
更に、複数の無線マーカの大ゾーンエリア内で無い場合には、ステップ209に移行して、現在の無線マーカの大ゾーンエリア内のみであれば現在の無線マーカから得られたデータと慣性航法センサを合わせて用い方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せの標定を行い、ステップ210で位置標定の結果をテーブルに入力し、ステップ211で処理を終了する。
なお、いずれの無線マーカの大ゾーンのサービスエリアにも居ない場合には、図6には記載されていないが、慣性航法センサのみを利用して方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せの標定を行うことも可能である。
また、現在の無線マーカの小ゾーンエリア内で得られた位置評定結果を用いて前記の慣性航法センサを較正しあるいはリセットを行うことで、当該慣性航法センサの精度を維持することが可能である。
【0026】
図7は、上記図1の実施形態で実行される制御プログラムの別の例を示すフローチャートである。図7において、301〜308は制御ステップを示す。
プログラムの制御手順は、ステップ301で制御をスタートし、ステップ309〜308で終了する。
ステップ301でスタートすると、ステップ302で現在受信中の全マーカを対象に位置標定プログラムの実行を開始する。
続いて、ステップ303では、現在受信中の全マーカの数をカウントし、現在受信中のマーカの数が複数の場合、ステップ304に進み、現在受信中の複数マーカの情報を用いて位置評定を行い、ステップ307で位置標定の結果をテーブルに入力し、ステップ308で処理を終了する。
【0027】
一方、現在受信中のマーカの数が1の場合、ステップ305に進み、現在受信中のマーカの情報と慣性航法センサを用いて位置評定を行い、ステップ307で位置標定の結果をテーブルに入力し、ステップ308で処理を終了する。
更に、現在受信中のマーカの数が0の場合、慣性航法センサを用いて位置評定を行い、ステップ307で位置標定の結果をテーブルに入力し、ステップ308で処理を終了する。
【0028】
以上の説明では無線マーカに搭載した複数のアンテナを周期的に切替えることで携帯端末が位置する方向と距離を測定したが、携帯電話システムのように、アンテナをセクター化したシステムでは、携帯端末の位置する方向を、当該セクターアンテナを用いて検知することができる。
また、当該無線マーカから超音波トランスデューサあるいは超音波送波器を用いて超音波信号を発信し、当該携帯端末において超音波トランスデューサあるいは超音波受波器を用いて超音波信号を受信し、あるいは当該無線マーカにおいて発光ダイオードあるいはレーザーダイオードを用いて光信号を発信し当該携帯端末においてホトダイオードを用いて光信号を受信することでも同様な効果が得られる。
【0029】
なお、本出願では、超音波トランスデューサあるいは超音波送受波器と発光ダイオードあるいはレーザーダイオードあるいはホトダイオードを総称して送受波器と呼称するものとする。また、送受波器の送波器あるいは受波器のみを用いる場合でも送受波器として記載している。
また、上記の説明では、無線マーカから高周波信号を発信し携帯端末で受信する場合について述べたが、逆に、携帯端末から高周波信号を発信し無線マーカで受信することでも当該携帯端末の方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せを標定することができる。
【0030】
図9にゾーンの構成例を示している。同図では、位置標定システムが適用されるサービスエリアとして、周波数F1の小ゾーン911と周波数F2の大ゾーン912とで構成されるエリア1(91)、及び、周波数F3の小ゾーン921と周波数F4の大ゾーン922で構成されるエリア2(92)を例示している。
【0031】
小ゾーンは、大ゾーンに比べるとカバーエリアは狭いが、位置標定を高精度で行うことができるという特性を有している。一方、大ゾーンは、小ゾーンに比べて位置標定精度は低いが、カバーエリアが広いという特性を有している。小ゾーンと大ゾーンとを組み合わせてエリアをカバーすることで、無線信号が到達せずに位置標定が不能となるエリア(不感帯)を減らし、かつ、エリア全体としての位置標定精度を向上させることが可能となる。なお、大ゾーン及び小ゾーンは、例えば大ゾーンの中に全ての小ゾーンが含まれるように設定される。
【0032】
無線信号の干渉を避けるため、隣接するゾーンで使用する位置標定のための無線信号の周波数は、異なる周波数に設定されている。ゾーンを跨いで行われる携帯端末2の移動態様としては、同一エリア内で小ゾーン間を移動する場合(例えば図9の矢線931)、同一エリア内で小ゾーンから大ゾーンに移動する場合(例えば図9の矢線932)、エリアを跨いで大ゾーン間を移動する場合(例えば図9の矢線933)、同一エリア内で大ゾーンから小ゾーンに移動する場合(例えば図9の矢線934)等がある。このうち、矢線932、矢線933、及び矢線934のように、携帯端末2が移動する場合には、携帯端末2が使用する周波数の切り替え(ハンドオーバ)が必要となる。
【0033】
携帯端末2が使用する周波数の切り替え(ハンドオーバ)の制御方式には、携帯端末2側が能動的に行う制御方式と、無線マーカが設けられている各基地局に通信可能に接続されたサーバ装置を利用して行う制御方式とがある。
【0034】
図10はこのうち携帯端末2側が能動的に行う制御方式の一例を示すフローチャートである。この制御方式では、まず携帯端末2が、間欠的/定期的等の適宜なタイミングで、自身の周辺に存在する基地局を検出する処理(以下、オープンサーチと称する。)を実行する(S1011)。なお、オープンサーチの具体的な処理については後述する。携帯端末2は、上記オープンサーチによって基地局を検出すると、検出した各基地局から送信される無線信号を利用して、各基地局からの距離/方向等を測定する(S1012)。
【0035】
次に携帯端末2は、オープンサーチによって検出された基地局が1つのみであるのか、それとも複数であるのかを判定する(S1013)。基地局が1つのみ検出されている場合には(S1013:1つ)、携帯端末2は、位置標定に用いる周波数をその基地局の周波数に切り替える(S1014)。但し、その基地局の周波数を当該携帯端末2において既に使用しているような場合は切り替えは行わない。S1013において、オープンサーチによって複数の基地局が検出されている場合には(S1013:複数)、S1015に進む。
【0036】
次に、携帯端末2は、オープンサーチによって検出されている複数の基地局の中に、大ゾーンの基地局と小ゾーンの基地局の双方共が含まれているか否かを判定する(S1015)。大ゾーン及び小ゾーンの双方の基地局が含まれている場合(S1015:混在)、携帯端末2は、位置標定に用いる周波数を、オープンサーチによって検出されている複数の基地局のうち自身の現在位置から最短の距離に存在する小ゾーンの基地局の無線信号の周波数に切り替える(S1016)。このように、携帯端末2から最短の位置に存在する小ゾーン用基地局の無線信号を利用して位置標定を行うようにすることで、位置標定の精度をなるべく高めることができる。
【0037】
なお、オープンサーチにより検出されている基地局が、小ゾーンの基地局、又は大ゾーンの基地局のいずれのゾーンであるかの判定は、例えば、基地局から送信される無線信号に、各基地局が小ゾーン又は大ゾーンのいずれのゾーンを構成しているのかを示す情報を付加し、携帯端末2側でこの情報を参照するようにする。また無線信号の受信強度が、位置標定のために必要とされる受信強度に満たない場合に(受信信号強度が所定の閾値以下の場合)、例えばその基地局の周波数は検出されなかったものとして取り扱うようにしてもよい。
【0038】
S1015において、オープンサーチによって検出されている複数の基地局に大ゾーンの基地局又は小ゾーンの基地局のいずれか一方のみが含まれている場合には(S1015:混在しない)、携帯端末2は、位置標定に用いる周波数を、検出されている複数の基地局のうち自身の現在位置から最短の距離に存在する基地局の無線信号の周波数に切り替える(S1017)。
【0039】
図11A,Bにオープンサーチに際し携帯端末2が行う処理の一例を示している。なお、以下の説明において、時間Tは、携帯端末2がオープンサーチを実行する時間間隔である。t1は、小ゾーン用基地局の信号送信間隔である。またkは、小ゾーン用基地局で用いる周波数の数(チャンネル数)である。l(英字のエル)は、1つのエリアに設置される小ゾーン用基地局の最大数である。t2は、大ゾーン用基地局の信号送信間隔である。mは大ゾーン用基地局で用いる周波数の数(チャンネル数)である。nは1つのエリアに設置する大ゾーン用基地局の最大数である。また基地局から送信される無線信号の周波数には、小ゾーンに大ゾーンよりも高い周波数帯を割り当てている。従って、より短波長の無線信号を用いる小ゾーンの方が大ゾーンよりも位置標定の精度が高いが、小ゾーンの方が回折は起こりにくく、無線信号を受信しにくくなる。
【0040】
図11Aにオープンサーチに関する処理を示している。同図において、オープンサーチの開始時刻が到来すると(S1111:Y)、携帯端末2は、変数aに0をセットし、小ゾーンの基地局を対象としたオープンサーチを開始する(S1112)。次に携帯端末2は、小ゾーン用に割り当てられている周波数(チャンネル)のうち最も高い周波数を選択する(S1113)。
【0041】
S1114では、携帯端末2は、t1×lだけ時間が経過したかどうかを判定している。t1×lの時間が経過している場合は(S1114:Y)、S1117に進む。t1×lの時間が経過していない場合は(S1114:N)、S1115に進み、S1113(又はS1119)で選択した周波数の無線信号を受信できるか否か(予め設定された閾値以上の強度で受信できるかどうか)を判定する。S1113(又はS1119)で選択した周波数の無線信号を受信できた場合(S1115:Y)、S1113(又はS1119)で選択した周波数に対応する基地局を、オープンサーチの結果が管理されているテーブル(以下、オープンサーチテーブル)に受信可として登録する(S1116)。S1117において、携帯端末2は、変数aに1を加算する。S1115において、S1113(又はS1119)で選択した周波数の無線信号を受信できない場合には(S1115:N)S1114に戻る。
【0042】
S1118では、小ゾーン用基地局に用いられる全ての周波数(チャンネル)について検出処理が終了したかどうかを判定している(S1118)。残存する周波数がある場合は(S1118:N)S1119に進み、全ての周波数について検出処理が終了している場合は(S1118:Y)S1120に進む。S1119では、次に高い周波数を選択している。S1119の後はS1114に戻る。
【0043】
図11Bは大ゾーンのオープンサーチに関する処理である。この処理は、例えば図11Aに示したフローチャートに連続して実行される。携帯端末2は、変数bに0をセットし、大ゾーンの基地局を対象としたオープンサーチを開始する(S1120)。次に携帯端末2は、大ゾーン用に割り当てられている周波数(チャンネル)のうち最も高い周波数を選択する(S1121)。
【0044】
S1122において、携帯端末2は、t2×nだけ時間が経過したかどうかを判定している。時間が経過している場合は(S1122:Y)、S1125に進む。t2×nの時間が経過していない場合は(S1122:N)、S1123に進み、S1121で選択した周波数の無線信号を受信できるか否か(閾値以上の強度で受信できるかどうか)を判定する。S1121で選択した周波数の無線信号を受信できた場合(S1123:Y)、S1121で選択した周波数に対応する基地局を、オープンサーチの結果が管理されているテーブル(以下、オープンサーチテーブル)に受信可として登録する(S1124)。
【0045】
S1125において、携帯端末2は、変数bに1を加算している。S1123において、S1121(又はS1127)で選択した周波数の無線信号を受信できない場合は(S1123:N)S1122に戻る。S1126では、大ゾーン用基地局に用いられる全ての周波数(チャンネル)について検出処理が終了したかどうかを判定している。残存する周波数がある場合には(S1126:N)、S1127に進み、全ての周波数について検出処理が終了している場合には(S1126:Y)、処理を終了する。S1127では、次に高い周波数を選択している。S1127の後はS1122に戻る。
【0046】
次にサーバ装置を利用して行われる制御方式について説明する。図12にサーバ装置を含んで構成される位置標定システム1の概略的な構成を示している。電柱等の地域各所に設置されている基地局200と、データセンタ等に設置されるサーバ装置100とが、通信網50を介して通信可能に接続している。
【0047】
サーバ装置100は、コンピュータ(情報処理装置)であって、CPU、メモリ、ハードディスク、入力装置、出力装置、基地局と通信するための通信インタフェース等を備える。サーバ装置100には、サーバ装置100の機能を実現するためのプログラムやデータが記憶されている。またサーバ装置100は、緯度/経度情報等により表現された地図上の範囲を特定するための情報を記憶している。
【0048】
図13は、サーバ装置100を利用して行われるハンドオーバ制御方式を説明するフローチャートである。サーバ装置100は、携帯端末2による位置標定の結果を間欠的/定期的等のタイミングで随時基地局200から受信して記憶している(S1311)。サーバ装置100は、記憶している位置標定結果に基づいて、携帯端末2の移動方向(移動ベクトル)を随時求める(S1312)。そして求めた移動方向から、次回携帯端末2から位置標定結果を受信する際(次回のサンプリングタイミング)の携帯端末2の移動先のゾーンを予測する(S1313)。なお、サーバ装置100は、例えば、携帯端末2の移動履歴を直線的に外挿することにより携帯端末2の移動先のゾーンを予測する。
【0049】
次にサーバ装置100は、予測した緯度先のゾーンの識別子とそのゾーンの基地局200から送信される無線信号の周波数を、通信網50及び基地局200を介して携帯端末2に送信し(S1314)、携帯端末2はこれを受信する(S1315)。
【0050】
次に携帯端末2は、受信した周波数に切り替えて位置標定を行い、その基地局200あら携帯端末2までの距離を求める(S1316)。携帯端末2は、その基地局200までの距離が、現在位置標定に使用している基地局200より近距離に存在する場合には(S1317:YES)、位置標定に用いる周波数を、サーバ装置100から受信した周波数に切り替える(S1318)。
【0051】
以上のようにして、サーバ装置100を利用して行われるハンドオーバ制御方式が行われる。なお、ハンドオーバの制御方式はこれらに限られず、例えば、前述した携帯端末2側で行うハンドオーバ制御方式と、サーバ装置100を利用して行われるハンドオーバ制御方式を組み合わせてハンドオーバ制御を行うようにしてもよい。
【0052】
以上に説明したハンドオーバの制御方式は、無線電界強度や信号対雑音比ではなく、位置標定によって求められる、携帯端末2と基地局200との間の距離に基づいて、位置標定に使用する周波数の切り替え(ハンドオーバ)を行っている。このため、スムーズにハンドオーバを行うことができる。また絶対的な距離に基づいてハンドオーバを行っているため、位置的な誤差が少なく高精度でハンドオーバ(周波数の切り替え)を行うこができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、上記のように構成されているため、マーカに複数のアンテナあるいは送受波器を搭載して周期的に切替えながら携帯端末の方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せの標定を行う場合、第1のマーカのエリアから、第2のマーカのサービスエリアへとハンドオーバさせ前記の標定を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施例を示す概念図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す概念図である。
【図3】本発明の無線マーカと携帯端末の実施例を示す構成図である。
【図4】本発明のアンテナの実施例を示す外観図である。
【図5】本発明の制御プログラムのフローチャートである。
【図6】本発明の他の制御プログラムのフローチャートである。
【図7】本発明の他の制御プログラムのフローチャートである。
【図8】従来の実施例を示す概念図である。
【図9】ゾーンの構成例を示す図である。
【図10】携帯端末2側で行う制御方式の一例を示すフローチャートである。
【図11A】オープンサーチに際し携帯端末2が行う処理の一例を示すフローチャートである。
【図11B】オープンサーチに際し携帯端末2が行う処理の一例を示すフローチャートであり、とくに大ゾーンのオープンサーチに関する処理を説明するフローチャートである。
【図12】サーバ装置を含んで構成される位置標定システム1の概略的な構成を示す図である。
【図13】サーバ装置100を利用して行われるハンドオーバ制御方式を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1,1a,1b 無線マーカ
2 携帯端末
11a〜e アンテナ
11aa〜ad 無線マーカAのアンテナ
11ba〜bd 無線マーカBのアンテナ
12 アンテナスイッチ
13 送信機
14 基準発振器
15 制御器
21 アンテナ
22 受信機
23 信号検出器
24 基準発振器
25 制御・表示器
61 アンテナ11a→アンテナ11bの方向
62 無線マーカ1のアンテナの垂直面からの角度
63 無線マーカ1のアンテナの高さ
64 携帯端末2のアンテナの高さ
65 無線マーカ1のアンテナの真下からの距離
66 無線マーカ1aと無線マーカ1bの間隔
67a 無線マーカ1aの真下から携帯端末までの距離
67b 無線マーカ1bの真下から携帯端末までの距離
67c 無線マーカ1の大ゾーンのサービスエリア
67d 無線マーカ1の小ゾーンのサービスエリア
68aa〜ad アンテナ11aa〜11adから携帯端末2への伝送経路
68ba〜bd アンテナ11ba〜11bdから携帯端末2への伝送経路
68a〜e アンテナ11a〜11d、および11eから携帯端末2への伝送経路
69a 無線マーカ1aの3次元の位置
69b 無線マーカ1bの3次元の位置
70 携帯端末2の3次元の位置
81 無線マーカのアンテナ
82、83 無線マーカのアンテナ素子の間隔
101〜111、201〜211 制御プログラムの制御ステップ
301〜308 制御プログラムの制御ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号を利用した位置標定システムにおいて、
前記超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号を発信するために離散的に間隔をおいて配置された複数の発信手段と、当該複数の発信手段から発信される超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号を移動しながら受信して方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せを標定するための受信手段から構成され、
前記発信手段が前記超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号あるいは変調信号あるいはベースバンド信号の1波長以下の間隔で配置された複数のアンテナあるいは複数の送受波器を周期的に切替えながら前記超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号を発信し、
かつ/又は前記発信手段が任意の数のアンテナあるいは任意の数の送受波器から前記超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号あるいは変調信号あるいはベースバンド信号を複数の周波数の間でホッピングさせあるいは複数の信号を同期させあるいは直交させながら発信し、
前記受信手段が、前記複数の発信手段から発信される超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号を受信して当該受信手段の方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せを標定し、当該標定結果に基づいて当該複数の発信手段の内から第1の発信手段と第2の発信手段を選択し、当該受信手段の方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せの標定を第1の発信手段から第2の発信手段に移行して継続することを特徴とする位置標定システム。
【請求項2】
超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号を利用した位置標定システムにおいて、
前記超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号を移動しながら発信するための発信手段と、当該発信手段から発信される超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号を受信して方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せを標定するために離散的に間隔を置いて配置された複数の受信手段と、当該複数の受信手段の間を結ぶ通信ネットワークから構成され、
前記受信手段が、前記発信手段から発信される超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号あるいは変調信号あるいはベースバンド信号の1波長以下の間隔で配置された複数のアンテナあるいは複数の送受波器を周期的に切替えながら、前記発信手段から発信される超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号を受信し、
かつ/又は前記受信手段が、任意の数のアンテナあるいは任意の数の送受波器により、前記発信手段から発信される複数の周波数の間でホッピングさせあるいは複数の信号を同期させあるいは直交させた超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号を受信し、
前記複数の受信手段が、前記発信手段から発信される超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号を受信して前記発信手段の方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せを標定し、当該標定結果に基づいて前記複数の受信手段の内から第1の受信手段と第2の受信手段を選択し、前記発信手段の方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せの標定を第1の受信手段から第2の受信手段に移行して継続することを特徴とする位置標定システム。
【請求項3】
前記離散的に配置された発信手段が小ゾーンのサービスエリアをカバーするための複数のアンテナあるいは複数の送受波器と大ゾーンのサービスエリアをカバーするための任意の数のアンテナあるいは任意の数の送受波器を有し、移動している前記受信手段の方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せを標定した結果が、前記離散的に配置された発信手段の小ゾーンのサービスエリア内であると判定されたときは当該小ゾーンの標定結果を単独であるいは加重して採用し、前記離散的に配置された発信手段の小ゾーンのサービスエリア外であり大ゾーンのサービスエリア内であると判定されたときには当該大ゾーンのサービスエリア内での標定結果を単独であるいは加重して採用することを特徴とする請求項第1項に記載の位置標定システム。
【請求項4】
前記離散的に配置された受信手段が小ゾーンのサービスエリアをカバーするための複数のアンテナあるいは複数の送受波器と大ゾーンのサービスエリアをカバーするための任意の数のアンテナあるいは任意の数の送受波器を有し、移動している前記発信手段の方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せを標定した結果が、当該離散的に配置された受信手段の小ゾーンのサービスエリア内であると判定されたときは当該小ゾーンの標定結果を単独であるいは加重して採用し、前記離散的に配置された受信手段の小ゾーンのサービスエリア外であり大ゾーンのサービスエリア内であると判定されたときには当該大ゾーンのサービスエリア内での標定結果を単独であるいは加重して採用することを特徴とする請求項第2項に記載の位置標定システム。
【請求項5】
当該小ゾーンのサービスエリアをカバーするための複数のアンテナあるいは複数の送受波器が主として垂直方向に指向性パターンを形成し、当該大ゾーンのサービスエリアをカバーするための任意の数のアンテナあるいは任意の数の送受波器が主として水平方向に無指向性パターンを形成し、あるいは水平方向に任意の角度の傾斜角をもって指向性パターンを形成し、あるいは水平方向に任意の角度でセクター化されて指向性パターンを形成することを特徴とする請求項第3項又は第4項に記載の位置標定システム。
【請求項6】
当該小ゾーンのサービスエリアが主に位置の標定を目的として設置され、当該大ゾーンのサービスエリアが主に方向および/あるいは距離の標定を目的とすることを特徴とする請求項第3項〜第5項の何れかに記載の位置標定システム。
【請求項7】
当該小ゾーンのサービスエリアが複数のアンテナあるいは送受波器の高さをほぼ半径として構成され、当該大ゾーンのサービスエリアが前記超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号の到達範囲をほぼ半径として構成されることを特徴とする請求項第3項〜第6項の何れかに記載の位置標定システム。
【請求項8】
移動している前記受信手段の方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せの標定結果が、前記離散的に配置された複数の発信手段の第1のサービスエリア内であると判定されたときは当該標定結果を採用し、当該第1のサービスエリアと第2のサービスエリアの重複部分であると判定されたときには当該第1のサービスエリアを利用して得られた標定結果と第2のサービスエリアを利用して得られた標定結果を組み合わせて採用し、当該第2のサービスエリア内に移動したと判定されたときには当該第2のサービスエリアを利用して得られた標定結果に移行することを特徴とする請求項第1項に記載の位置標定システム。
【請求項9】
移動している前記発信手段の方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せの標定結果が、前記離散的に配置された複数の受信手段の第1のサービスエリア内であると判定されたときは当該標定結果を採用し、当該第1のサービスエリアと第2のサービスエリアの重複部分であると判定されたときには当該第1のサービスエリアを利用して得られた標定結果と第2のサービスエリアを利用して得られた標定結果を組み合わせて採用し、当該第2のサービスエリア内に移動したと判定されたときには当該第2のサービスエリアを利用して得られた標定結果に移行することを特徴とする請求項第2項に記載の位置標定システム。
【請求項10】
方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せの前記標定結果が前記第1のサービスエリアから逸脱しつつあると判定された場合、当該逸脱しつつある方向に存在する第2のサービスエリアと組合せあるいは前記第2のサービスエリアを加重して選択することを特徴とする請求項第8項又は第9項に記載の位置標定システム。
【請求項11】
前記離散的に配置された複数の発信手段のサービスエリアが重複しないエリアにおいて、地磁気センサあるいは加速度センサあるいは重力センサあるいはこれらを組合せた慣性航法センサによって得られた情報を用い、前記複数の発信手段を利用して方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せを標定した結果を補完することを特徴とする請求項第3項又は第8項に記載の位置標定システム。
【請求項12】
前記離散的に配置された複数の受信手段のサービスエリアが重複しないエリアにおいて、地磁気センサあるいは加速度センサあるいは重力センサあるいはこれらを組合せた慣性航法センサによって得られた情報を用い、前記複数の受信手段を利用して方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せを標定した結果を補完することを特徴とする請求項第4項又は第9項に記載の位置標定システム。
【請求項13】
前記慣性航法センサを用いる場合に、前記離散的に配置された複数の発信手段の小ゾーンのサービスエリアにおいて、当該慣性航法センサによって得られた情報を用いて方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せを標定した結果を較正しあるいはリセットすることを特徴とする請求項第11項に記載の位置標定システム。
【請求項14】
前記慣性航法センサを用いる場合に、前記離散的に配置された複数の受信手段の小ゾーンのサービスエリアにおいて、当該慣性航法センサによって得られた情報を用いて方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せを標定した結果を較正しあるいはリセットすることを特徴とする請求項第12項に記載の位置標定システム。
【請求項15】
前記離散的に配置された複数の発信手段の大ゾーンのサービスエリアが重なって配置される場合には、双曲線航法によって方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せを標定することを特徴とする請求項第3項に記載の位置標定システム。
【請求項16】
前記離散的に配置された複数の受信手段の大ゾーンのサービスエリアが重なって配置される場合には、双曲線航法によって方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せを標定することを特徴とする請求項第4項に記載の位置標定システム。
【請求項17】
前記離散的に配置された複数の発信手段から超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号が発信され、当該複数の発信手段の内の2つ以上の発信手段から受信する場合には当該2つ以上の発信手段を用い、あるいは当該複数の発信手段の内の1つの発信手段から受信する場合には当該1つの発信手段と慣性航法センサを組合わせて用い、あるいは当該複数の発信手段の内のいずれの発信手段からも受信できない場合には慣性航法センサを用いて方向あるいは距離あるいは位置あるいはこれらの組合せを標定することを特徴とする請求項第1項に記載の位置標定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−199589(P2008−199589A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−3519(P2008−3519)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(395007299)有限会社アール・シー・エス (51)
【出願人】(594032850)三菱電機情報ネットワーク株式会社 (11)
【Fターム(参考)】