説明

低分子量グルカンを含んでなる、改良された食物繊維含有物質

穀物を消化するのに酵素を用いて得た食物繊維物質。本酵素は、穀物中に存在するあらゆるデンプンを小分子に実質的に加水分解するが、β−グルカン分子は部分的にしか加水分解しない。本食物繊維物質は、優れた食物成分特性を有する上に、優れた物理化学的特性、生理学的特性、および官能特性、例えば、小さい分子量、特有の分子量分布、および特有の多分散を有し得る。本物質は、食物成分として、高含量のβ−グルカンを含むことができ、これによって身体に栄養を提供する。本食物繊維物質は中性のマウスフィールを有し得るので、これを用いて、食品の風味またはその他の官能特性に影響を及ぼすことなく、アイスクリーム、ヨーグルト、焼いた食品、バー、飲料またはある種のその他の食品の栄養内容を増強することができる。さらなる利点として、本食物繊維物質を用いてある種の治療上の利益、例えば、抗コレステロール活性を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食物繊維組成物およびかかる組成物の製造方法に関する。本発明はまた、食物繊維組成物を含有する、食品または飲料製品に関する。
【0002】
関連出願の引用
本出願の原出願は2003年4月2日に出願された米国仮出願第60/460,758号に優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
β−グルカンは、穀物中に通常見られる多糖である。それは、種々の割合の(1−>3)および(1−>4)結合によって重合されている、β−グリコシル残基の直鎖ポリマーを含む。単離されたオートムギおよびオオムギβ−グルカンの重量平均分子量は、1,000,000ダルトンのオーダーであると報告されているが、穀物のβ−グルカンの分子量は報告されていない。
【0004】
β−グルカンは、セルロースおよびリグニンなどの他の細胞壁成分と比較して、高度に水溶性である。しかし、摂取されると、可溶性β−グルカンはヒトの消化器系の小腸では加水分解されない。したがって、β−グルカンは、可溶性食物繊維として分類される。多数の研究によって、β−グルカン可溶性繊維は血清コレステロールを低下させ、糖血症応答を調節し、ビフィズス菌の増殖を増強することがわかっている。このような生理学的特性により、健康上の利益、例えば、循環器および腸の疾病の危険の低下、免疫活性の増強、および便通の促進がもたらされる。最近の報告では、少なくとも3g/日または0.75g/一食のオートムギおよびオートムギ製品由来のβ−グルカンを含有する食品は、ヒトにおいて循環器疾患の危険を低下させるという健康上の利益を有する可能性があると結論されている。
【0005】
ヒトの食事中のβ−グルカンの最も豊富な供給源は、穀物である。ほとんどすべての穀草類は、β−グルカンを含むと報告されている。β−グルカンの濃度は、オオムギおよびオートムギ中で最高であり、通常、2〜14%の範囲であるが、その他の穀物中ではより低い(2%未満)。例えば、0.75グラムのβ−グルカンを提供するには、少なくとも一人分12グラムのオートムギのふすまが必要となる。穀物中のβ−グルカンの濃度が低いことが、市販の食品としてのβ−グルカンの魅力を低下させていた。したがって、高濃度のβ−グルカンを含む食物繊維組成物の形成を可能にする方法が必要である。
【発明の開示】
【0006】
本発明はβ−グルカンを含有する食物繊維組成物、かかる組成物、かかる組成物を含有する食品または飲料製品、およびかかる組成物を含有する治療薬の製造方法に関する。本食物繊維組成物は、高含量のβ−グルカンを含み得る。例えば、本食物繊維組成物は、約60重量%以上のβ−グルカン含量を含み得る。単語「約」は、測定法に関連する固有誤差に起因する測定値の不一致を説明するために用いる。単語「約」は、明確に用いなくとも特に断りのない限り、開示されたすべての測定値を修飾すると理解される。その上、本発明の食物繊維組成物は、食品成分として好都合であると考えられる1以上の特性も有し得る。例えば、本食物繊維組成物は、1以上の以下の特性を有し得る:低い重量平均分子量、低い粘度、低いタンパク質含量、低い脂肪含量、水中での高い安定性、無刺激な風味。本発明の食物繊維組成物はまた、中性のマウス・フィールを有し得る。このため、本発明の食物繊維組成物を用いて、食品の風味またはその他の官能特性に影響を及ぼすことなく、またはほとんど影響を与えずに、アイスクリーム、ヨーグルト、焼いた食品、バー(bars)、飲料、またはある種のその他の食品の栄養的な内容を高めることができる。また、食物繊維組成物を用いてある種の治療上の利益を提供することもできる。
【0007】
本発明は、β−グルカンを含有する穀物から単離された食物繊維組成物を提供する。本食物繊維組成物は、成分として、組成物を抽出する穀物のβ−グルカンの改変型であるβ−グルカン化合物を含み得る。改変β−グルカンの重量平均分子量は、約50kDa〜約1000kDaの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、重量平均分子量は、約120kDa〜約170kDaの範囲である。いくつかの実施形態によれば、本食物繊維組成物の粘度は低い。「低い粘度」とは、以下、本明細書では、十分に低く、その結果、食物繊維組成物が広範な製品にわたって食品成分として有用性を有し得ると実施例10に後述したプロトコールに従って測定された粘度を意味すると理解される。例えば、100cps以下の粘度を低いと考えることができる。いくつかの実施形態によれば、本食物繊維組成物は無刺激の風味を有し得る。以下、本明細書で理解される「無刺激の風味」は、約5以下であると標準官能試験により決定される風味強度スコアと関連する(実施例23に記載)。いくつかの実施形態では、食物繊維組成物は、水中で高度に安定である。「水中で高度に安定」とは、食物繊維組成物の1重量%水溶液が、冷蔵温度(40°F)で一晩(16時間)貯蔵した場合に沈殿物をほとんど示さない、ないし全く示さないことを意味する。初期溶液を形成するためのプロトコールは個々の食物繊維に応じて変わり得る。例えば、いくつかの食物繊維は、室温で水にスプーンで攪拌すると溶液を形成できる。しかしながら、その他の食物繊維では、溶液を形成するのに電動ミキサーおよび温水の使用が必要である場合がある。
【0008】
本発明はまた、β−グルカンを含有する、食品および飲料製品、および/または治療薬を提供する。いくつかの実施形態では、本製品は、穀物のβ−グルカンの改変型である、少なくとも1種のβ−グルカン化合物を含む、食物繊維組成物を含む。本製品としては、限定されない例として、焼いた食品、シリアル、押出スナック、肉代用食品、バー、サラダ用ドレッシング、スープ、ソース、ヨーグルト、冷菓デザート、冷蔵および冷凍パン生地、ならびに砂糖菓子が挙げられる。
【0009】
本発明はまた、穀物のβ−グルカンの改変型である、少なくとも1種のβ−グルカン化合物を含む、食物繊維組成物の製造方法を提供する。いくつかの実施形態では、本方法は、酵素または酵素の組合せを用いて、穀物中に見られる、多糖類の非特異的消化を実施することを含む。この多糖類は、β−グルカンおよびデンプンを含み、消化により、β−グルカンの重量平均分子量を低下させ、デンプンを分解する。いくつかの実施形態では、第2の消化を実施して、デンプンをさらに分解する。
【0010】
本発明の一態様は、食物繊維含有物質の獲得方法に関する。本方法は、(1)第1の外来酵素と、第2の外来酵素と、β−グルカンおよびデンプンを含んでなる1種以上の穀物とを含んでなる成分を含む水性混合物を形成すること、(2)第1の外来酵素によって触媒される第1の加水分解反応により、β−グルカンの結合の少なくとも一部を切断し、β−グルカンの平均分子量を低下させること、および第2の外来酵素によって触媒される第2の加水分解反応により、デンプンの結合の少なくとも一部を切断し、少なくとも、第1の加水分解反応の一部分と第2の加水分解反応の一部分が実質的に同時に起こること、(3)水性混合物の温度を、第1の外来酵素を実質的に不活化するのに十分に高いレベルまで上昇させること、および水性混合物に第3の外来酵素を添加すること、(4)少なくとも第3の外来酵素によって触媒される第3の加水分解反応により、デンプンの残存する切断されていない結合の少なくとも一部を切断し、デンプンが実質的に消化されること、かつ、第3の外来酵素が第2の外来酵素と同一であっても異なっていてもよいこと、(5)混合物の一部分を分離および単離し、分離した部分がβ−グルカンの少なくとも一部を含むこと、(6)分離した部分内のβ−グルカンを精製すること、ならびに(7)β−グルカンを40パーセントよりも多くを含み、かつ、食物繊維含有物質内のβ−グルカンの平均分子量が400,000ダルトンよりも小さい、食物繊維組成物含有物質を獲得することを含んでなる。
【0011】
本発明のもう一つの態様は、食物繊維含有物質のもう一つの獲得方法に関する。この方法は、(1)第1の外来酵素と、β−グルカンおよびデンプンを含んでなる1種以上の穀物とを含んでなる成分を含む水性混合物を形成すること、(2)第1の外来酵素によって触媒される第1の加水分解反応により、β−グルカンの結合の少なくとも一部を切断し、β−グルカンの平均分子量を低下させること、(3)水性混合物の温度を、第1の外来酵素を実質的に不活化するのに十分に高いレベルにまで上昇させること、(4)水性混合物に、第2の外来酵素を含んでなるさらなる酵素物質を添加すること、(5)第2の外来酵素によって触媒される第2の加水分解により、デンプンの結合の少なくとも一部を切断すること、(6)混合物の一部分を分離および単離し、分離した部分が、β−グルカンの少なくとも一部を含むこと、(7)分離した部分内のβ−グルカンを精製すること、(8)β−グルカンを40パーセントよりも多く含んでなり、かつ、食物繊維含有物質内のβ−グルカンの平均分子量が400,000ダルトンよりも小さい、食物繊維含有物質を獲得することを含んでなる。
【0012】
本発明の関連態様では、前段に記載した加水分解反応は特定の温度範囲内で起こる。本発明のその他の関連態様では、食物繊維含有物質および治療用組成物は、特定の優れた特性、例えば、中性のマウス・フィール、多量の食物繊維、低い脂肪含量、低いタンパク質含量、高い白色度、高い水溶性、および高い乾燥流動性を有し得る。本発明のさらにその他の関連態様では、食物繊維および治療用組成物は、特有の分子量分布および特有の多分散を有する。
【0013】
本発明のさらなる態様は、平均分子量が400,000未満であるβ−グルカンを含んでなり、中性の、滑らかでないマウス・フィールを有する食品に関する。
【0014】
本発明のよりさらなる態様は、食物繊維物質、治療用組成物、および本明細書に記載された種々の方法によって分子量が改変されたβ−グルカンに関する。
【0015】
本発明のいっそうさらなる態様は、低コレステロール血症適用およびその他の治療適用のための本発明の治療用組成物の使用方法に関する。
【0016】
本発明の具体的な実施形態は、前記または下記の態様のうちの1つ、いくつかまたはすべてならびにその他の態様を対象するものであり得、前記または下記の実施形態のうちの1つ、いくつかまたはすべてならびにその他の実施形態を包含し得る。本発明のかかるその他の態様および適用は、本開示内容を考慮すれば当業者には明らかとなるはずである。
【0017】
略語
cp センチポイズ
degC 摂氏温度
degF 華氏温度
g グラム
kg キログラム
hr 時間
kDa キロダルトン
l リットル
min 分
ml ミリリットル
Mn 分子番号
Mw 分子量
W/W 重量対重量ベースでの2種の物質量の比較
V/V 容積対容積ベースでの2種の物質量の比較
% パーセント、パーセントは、特に断りのない限りW/Wベースで記載する
【0018】
本発明は、β−グルカン内容物を含む食物繊維組成物に関する。本食物繊維組成物は、優れた物理化学的、生理学的、および官能特性を有し得る。例えば、本組成物は、低分子量、特有の分子量分布、および特有の多分散を有し得る。さらに、本組成物は、優れた食品成分特性を有し得る。例えば、本食物繊維組成物は、例えば、約100cps以下、約55cps以下、約5cps以下といった低い粘度を有し得る。いくつかの実施形態では、粘度は約20cps〜約100cpsの範囲であり得る。しかし、本発明はまた、例えば、約1300cps、約1400cps、約1500cpsといったより高い粘度の食物繊維組成物も包含する。本発明の食物繊維組成物はまた、例えば、約3%以下、約2%以下といった低いタンパク質含量を有し得る。いくつかの実施形態では、タンパク質含量は約1%〜約3%の範囲であり得る。しかしながら、本発明はまた、例えば、約7%〜約10%の範囲といった、より高いタンパク質含量の食物繊維組成物も包含する。本発明の食物繊維組成物はまた、例えば、2%以下、1%以下といった低い脂肪含量を有し得る。しかしながら、本発明はまた、より高い脂肪含量の食物繊維組成物も包含する。本物質は、食品成分として、高含量のβ−グルカンを含み、身体に栄養を提供することができる。食物繊維物質はまた、中性のマウス・フィールを有することができるので、これを用いて、食品の風味またはその他の官能特性に影響を及ぼすことなく、またはほとんど影響を与えずに、アイスクリーム、ヨーグルト、焼いた食品、バー、飲料、またはある種のその他の食品の栄養的な内容を増強することができる。さらなる利点として、食物繊維組成物を用いて、ある種の治療上の利益、例えば、抗コレステロール活性を提供することもできる。
【0019】
本物質はまた、高いβ−グルカン繊維含量の他に、その他の食物繊維を含むこともできる。したがって、高い総食物繊維含量、β−グルカン単独のものを超える総レベルを有する。食物繊維物質に関連するその他の利点としては、優れた白色度、少ない脂肪、少ないタンパク質、高い水溶性、および高い乾燥流動性のうちの1以上が挙げられる。
【0020】
本発明はまた、食物繊維組成物の製造方法に関する。本方法は、酵素または酵素の組合せを用いて、穀物中に見られる多糖類を非特異的に消化することを含んでなる。本方法は、1種または2種以上の酵素性分解ステップで達成することができる。いくつかの実施形態によれば、2種の酵素性分解ステップを用い、単一のステップの最後で、または少なくともステップ間に温度を上昇させる。その他の実施形態によれば、単一のステップの最後で、または少なくとも2つのステップの間で温度を維持する。いくつかの実施形態によれば、食物繊維組成物は、特定の外来酵素をある条件下で用いて穀物を消化することで得ることができる。この酵素は、穀物中に存在しているどんなデンプンも、小分子に実質的に加水分解するが、β−グルカン分子は部分的にしか加水分解しない。次いで、部分的に消化されたβ−グルカン分子を分離、単離、および精製する。得られたβ−グルカンは、低い分子量、特有の分子量分布、および特有の多分散を有している。
【0021】
本発明はまた、穀物中に存在しているβ−グルカン繊維の改変方法、および得られた改変β−グルカンの抽出方法を提供する。
【0022】
出発穀物は、β−グルカンおよびデンプンを含んでなる。一実施形態では、β−グルカン分子の特徴を、細菌および/または植物起源の外来セルラーゼをデンプンのゼラチン化温度よりも高い温度で用いて、改変する。本発明において、用語セルラーゼおよびセルラーゼ類は、β−グルコース結合から構成されるポリマーを加水分解する酵素を指すよう用いる。かかる酵素としては、β−グルコシダーゼおよびリチナーゼが挙げられる。β−グルカン改変と同時に、デンプンがアミロティック酵素(amylotic enzyme)で少なくとも部分的に加水分解される。
【0023】
β−グルカン分子の特徴を所望の量改変した後、セルラーゼの温度をその不活化レベルよりも高く上昇させることによって、セルラーゼを不活化する。次いで、さらなるアミロティック酵素を添加し、デンプンの加水分解を、消化が実質的に完了するまで継続する。
【0024】
処理の観点から、本発明は以下の利点のうち1以上を提供することができる:
・セルラーゼの用量および条件(pH、温度、時間の長さ)を変更することによって、β−グルカン分子の特徴を制御して改変すること、
・β−グルカンをより有効に抽出し、その結果、β−グルカンをより高く可溶化すること、および最終的により高いβ−グルカン収率をもたらすこと、ならびに
・本方法において出発穀物物質をより多量に組み込むことを可能にし、その結果、処理効率の改善すること。
【0025】
特定の実施形態では、セルラーゼと同時に作用するアミロティック酵素を少量しか含まないこと(または、全く含まないこと)が可能である。かかる実施形態では、セルラーゼにより、β−グルカンを部分的に消化し、次いで、温度を上昇させてセルラーゼを不活化し、アミロティック酵素を加えてデンプンを消化する。
【0026】
特定のその他の実施形態では、十分なアミロティック酵素をセルラーゼとともに存在させることが可能であり、その結果、混合物の温度を上昇させてセルラーゼを不活化させた後に、さらなるアミロティック酵素の添加は必要でない。かかる実施形態では、より低い温度で、セルラーゼがβ−グルカンを部分的に消化し、アミロティック酵素がデンプンを部分的に消化する。次いで、温度を上昇させてセルラーゼを不活化する。アミロティック酵素は、より高い温度で活性のままであり、デンプンが実質的に消化されるまで消化を継続する。前記のように、本発明は、温度上昇が生じる方法に限定されるものではない。
【0027】
本方法によって製造されるβ−グルカン含有食物繊維組成物は、特有の分子特性を有することができ、その結果、ある種の物理的特性、生理学的特性、および官能特性が得られる。理論に拘束されるものではないが、得られる組成物は、幾分かは、デンプンゼラチン化温度よりも高い温度で、ある種の外来セルラーゼが特別に機能するためであると考えられている。したがって、デンプンゼラチン化温度、例えば、オオムギについては約60deg C、オートムギについては約67deg Cよりも高い温度で活性であり得る酵素を選択することが好ましい。
【0028】
外来セルラーゼおよびアミロリティック酵素は、種々の起源の酵素製剤であってもよいし、単一起源の単一製剤であってもよい。
【0029】
SPEZYME(登録商標)LT−75およびSPEZYME(登録商標)LT−300、これらはセルラーゼ活性とアミラーゼ活性の双方を有する酵素製剤であるが、これらをはじめとするある種の外来セルラーゼを試験した。SPEZYME(登録商標)LT−75およびSPEZYME(登録商標)LT−300は、バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)に由来し、ジェネコア・インターナショナル(Genecore International)の製品である。本発明者らは、SPEZYME(登録商標)LT−75またはSPEZYME(登録商標)LT−300に関する文献にはセルラーゼ活性が報告されているのを見出さなかったが、本発明者らは、自身の実験を通して、SPEZYME(登録商標)LT−75およびSPEZYME(登録商標)LT−300の双方ともがセルラーゼ活性を有することを発見した。かかるセルラーゼ活性の発見は実施例14に記載されている。
【0030】
SPEZYME(登録商標)LT−75およびSPEZYME(登録商標)LT−300を試験したが、具体的なセルラーゼが決定的なものではなく、その他の酵素も適している可能性があり、デンプンゼラチン化温度よりも高い温度で活性であり、かつ、多糖類を非特異的に消化できる酵素が好ましいと考えられる。したがって、候補セルラーゼとしては、細菌、例えば、バチルス・アミロリクエファシエンツおよびバチルス・リチェニフォルミス(Bacillus licheniformis)、真菌、例えば、トリコデルマ・ロンギブラチアツム(Tricoderma longibrachiatum)およびトリコデルマ・ハマツム(Tricoderma hamatum)由来のある種の酵素、および酵母、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces serevisiae)およびカンジダ・オロエフィラ(Candida oloephila)由来のある種の酵素が挙げられる。下記実施例17では、適した酵素を同定するための方法論を特定する。
【0031】
同様に、デンプンの消化に用いる具体的な外来アミロリティック酵素も決定的なものではないと考えられる。しかしながら、酵素は、用いる温度範囲内で機能的であるよう選択しなければならない。したがって、本明細書に記載した種々の実施形態を考慮して、候補酵素は、約60deg C〜約110deg Cいう温度範囲の少なくとも一部分の間、機能的でなくてはならない。したがって、候補酵素としては、細菌、例えば、バチルス・アミロリクエファシエンツおよびバチルス・リチェニフォルミス由来のある種の酵素、真菌、例えば、コウジカビ(Aspergillus Oryzae)およびクロカビ(Aspergillus niger)由来のある種の酵素、および酵母、例えば、カンジダ・ツクバエンシス(Candida tsukubaensis)由来のある種の酵素が挙げられる。フレッドL(Fred L)(バチルス・リチェニフォルミスから調製された高温α−アミラーゼ、ジェネンコル・インターナショナル(Genencor International)から入手可能)は、本発明について試験した特定のα−アミラーゼである。
【0032】
β−グルカンの改変された分子特徴の中には、特有の分子量、特有の分子量分布、特有の多分散、水溶液系における特有の分子の形、およびグリコシル単位の(1−>3)/(1−>4)β−結合の特有の比率のうちの1つ以上が含まれ得る。改変された物理化学的特性としては、低粘度、非ゲル化特性、および高い水溶性のうちの1つ以上が挙げられる。生理学的特性の中には、ヒトおよびその他の動物における、コレステロール低下作用、血糖応答調節、ビフィズス菌増殖の増強、ミネラル吸収の改良のうちの1つ以上が含まれ得る。いくつかの食品官能特性としては、中性のマウス・フィール、滑らかさの欠如、無刺激の風味、および最小の粘度形成作用または濃度形成作用のうちの1つ以上が含まれ得る。
【0033】
出発穀物は、β−グルカンを含むあらゆる穀物および/またはその植物原料の微粉砕画分であってよい。典型的な例として、オオムギ、オートムギ、ライムギ、ライコムギ、コムギ、コメ、トウモロコシ、アマランス、キノア、キビ、ソルガム、およびその他の類似の穀物が挙げられる。β−グルカン含有物質は粉末形態または完全形態のいずれであってもよい。
【0034】
β−グルカン改変、抽出およびデンプン加水分解の一般的な方法は、以下を含んでなる。(1)このステップにより、β−グルカン改変、抽出およびデンプンの部分加水分解が可能となる。このステップは、β−グルカン含有物質を、水溶液系においてデンプンゼラチン化温度よりも高い温度(通常、約60〜約90℃)で約15〜約360分間、約3〜約11の範囲のpHで、外来セルラーゼおよびアミロリティック酵素を用いて処理することによって達成する。β−グルカンは部分加水分解を受ける。さらに、β−グルカンは特有の分子特徴、例えば、分子量の低下、特有の分子量分布、および特有の多分散を達成する。(2)前記のステップのβ−グルカンの分子改変の制御が可能となるこのステップ。このステップにより、β−グルカンの分子特徴が所望の特徴に改変された時点で外来セルラーゼの不活化が可能となる。このステップは、二つ以上の方法で達成することができる。例えば、(2a)水溶液系をセルラーゼが不活化される温度に加熱する。この温度は個々のセルラーゼに応じて変わるが、通常、温度は約80〜約120deg Cである。(2b)系のpHを4未満に低下させるか、系のpHを9より高くまで上昇させる。(2c)酵素阻害剤を添加する。一般的な酵素阻害剤としては、セルラーゼ類似体、基質類似体、ある種の塩、およびその他の類似の物質が挙げられる。または(2d)物理的処理、例えば、超音波処理、電気的処理、またはその他の類似の物理的処理を施す。(3)このステップにより、デンプン分子のさらなる加水分解が可能となり、当業者に公知の手段または手段の組合せによってβ−グルカン分子から分離することができる。一般的な手段としては、アルコール沈殿、塩沈殿、限外濾過、凍結−解凍処理、フィルム形成およびその他の類似の分離手段が挙げられる。このステップは、高温、通常、約80〜約120deg Cで、約15〜約360分間、約4〜約10の範囲のpHでアミロ性酵素を組み込むことを含む。β−グルカンのさらなる分子改変を望む場合を除き、このステップの温度が十分に高く、ステップ1のセルラーゼが不活化したままであることが重要である。本ステップは、デンプン分子が十分に消化されて、β−グルカンから分離可能となるまで継続する。デンプン分子がこのステップの始めに十分に消化されれば、このステップが必要でない場合もある。
【0035】
次いで、前記の酵素処理に由来する、可溶化したβ−グルカンおよび加水分解されたデンプンを主として含有する透明な水性抽出物を、当業者に公知の手段または手段の組合せによって不溶性物質と分離することができる。かかる手段としては、通常、濾過、遠心分離、浮遊、デカントおよびその他の類似の分離手段が挙げられる。
【0036】
次いで、清澄化抽出物中に含まれる、分子特徴の改変されたβ−グルカンを、当業者に公知の手段または手段の組合せによって加水分解されたデンプン、可溶性タンパク質、脂質およびその他の微量成分と分離することができる。かかる手段としては、通常、水混和性溶媒、例えば、アルコールおよびアセトンを用いる沈殿、または塩、例えば、硫酸アンモニウムおよび塩化カルシウムを用いる沈殿、限外濾過、凍結−解凍、フィルム形成およびその他の類似の手段が挙げられる。
【0037】
分離したβ−グルカンは、当業者に公知の手段または手段の組合せによって乾燥することができる。乾燥β−グルカンは、通常、乾燥重量ベースで少なくとも約60%純粋である。
【0038】
分離したβ−グルカンは、特有の分子の特徴を有する。一特徴として、約5,000〜約5,000,000ダルトンの範囲の分子量、約1.00〜約6.00Mw/Mnの多分散がある。本データは、約120,000〜約170,000の範囲の平均Mwを示す。しかしながら、ある種の変法を加えること、例えば、消化時間を増加させること、酵素濃度を高めること、またはある種のその他の変法を加えることによって、より小さい平均Mwを達成することができることは明らかである。50,000、25,000およびより小さい平均Mwでさえ達成できると考えられる。ある種の変法を加えること、例えば、消化時間を短縮すること、酵素濃度を低下させること、またはある種のその他の変法を加えることによって、より大きな平均Mwを達成することができることもまた明らかである。400,000、1,000,000およびより大きな平均Mwでさえ達成できると考えられる。得られたβ−グルカンは高度に水溶性であり、非粘性溶液を形成する。例えば、本発明のβ−グルカンの1%含有溶液は、25deg Cで約1〜約1000cpsの粘度を有する。
【0039】
食品または食餌に配合すれば、本発明のβ−グルカンは、ある種の治療上の利益を有する。例えば、ヒトまたは動物によって消費されると、コレステロール低下、血糖調節、ビフィズス菌の増殖の増加、およびミネラル吸収が期待される。
【0040】
本発明の好ましい態様の説明
1.β−グルカン含有穀物または植物原料を分解し(粉砕または微粉砕)、次いで、β−グルカンを改変し、抽出する。
【0041】
2.β−グルカン抽出および改変。
a.このステップは、デンプンゼラチン化温度よりも高い温度で、外来セルラーゼと外来アミロリティック酵素とを共存させて、水性スラリー系で実施することが好ましい。このステップにより、β−グルカン分子の改変およびデンプンの少なくとも部分加水分解が達成される。この好ましい実施形態では、β−グルカン分子の改変の少なくとも一部分およびデンプンの加水分解は同時に起こる。
【0042】
b.複数の酵素製剤を使用できるが、セルラーゼおよびアミラーゼ活性の双方を含む単一の酵素製剤を使用することが好ましい。かかる単一の酵素製剤の典型的な例としては、バチルス・アミロリクエファシエンス由来のSPEZYME(登録商標)LT−75およびSPEZYME(登録商標)LT−300(ジェネンコア・インターナショナルの製品)が挙げられる。
【0043】
c.外来β−グルカナーゼがβ−グルカン分子を改変するのを可能にしながら、アミラーゼによるデンプン加水分解を促進するのに好ましい温度は、約60〜約90deg Cの範囲であり、約60〜約80deg Cがより好ましく、約65〜約75deg Cが最も好ましい。
【0044】
d.好ましいpHは、約4〜約10の範囲であり、約5〜約8がより好ましく、約5〜約7が最も好ましい。
【0045】
e.このステップの好ましい時間の長さは、約15〜約120分であり、約30〜約120分がより好ましく、約30〜約60分が最も好ましい。
【0046】
3.セルラーゼによる分子改変度の制御のためには、温度を約80〜約120deg Cに上昇させることによってセルラーゼを不活化することが好ましく、約90〜約120deg Cがより好ましく、約90〜約110deg Cが最も好ましい。このステップの好ましい時間の長さは、約15〜約120分であり、約30〜約120分がより好ましく、約30〜約90分が最も好ましい。
【0047】
4.改変されたβ−グルカンをデンプンからより良好に分離するためには、アミロリティック酵素を約80〜約120deg Cの範囲の温度で用いてデンプン分子をさらに加水分解することが好ましく、約90〜約120deg Cがより好ましく、約90〜約110deg Cが最も好ましい。このステップの好ましい時間の長さは、約15〜約120分であり、約30〜約120分がより好ましく、約30〜約90分が最も好ましい。このステップは前記のステップと同時に起こることが好ましい。好ましいpHは約4〜約10であり、約5〜約9がより好ましく、約5〜約8が最も好ましい。
【0048】
5.可溶化したβ−グルカンは、水混和性(miscible)溶媒を用いて沈殿させることでその他の可溶性成分と分離するが、溶媒と抽出物の比(容積対容積)は約0.2:1〜約2:1が好ましく、約0.5:1〜約2:1がより好ましく、約0.7:1〜約1.2:1が最も好ましい。典型的な好ましい水混和性溶媒としては、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールおよびその他の類似の溶媒が挙げられる。
【0049】
6.得られたβ−グルカンの分子量は、約5,000〜約5,000,0000ダルトンの範囲である。
7.得られたβ−グルカンの分子の多分散は、約1.00〜約6.00の範囲である。
8.得られたβ−グルカンのグリコピラノシル単位の(1−>3)/(1−>4)β−結合の比は、約0.1〜約0.9である。
9.水で溶解すると、得られるβ−グルカン溶液は、25deg Cで約1〜約10,000cpsの範囲の粘度を示す。
10.本発明のβ−グルカンは、食品に配合すると、本質的に、食品の滑らかなまたは粘度のあるマウス・フィールに寄与する特性は何も示さない。
【0050】
11.本発明のβ−グルカンは、それだけには限らないが、食品、栄養補助食品、医薬、飼料、および化粧品をはじめとする適用に使用できる。
12.本発明のβ−グルカンは、ヒトまたは動物によって消費されると、それだけには限らないが、中性のマウス・フィール、滑らかさの欠如、中性の風味、コレステロールを低下させる能力、血糖を調節する能力、ミネラル吸収を改良する能力、およびビフィズス菌の増殖を増強する能力をはじめとする、官能特性および治療特性を有する。
【0051】
改変されたβ−グルカンの分子特徴
本発明の改変されたβ−グルカンは、特有のMw特徴を有し得る。いくつかの特徴を図1に記載し、実施例8に示す。この特徴としては、約5,000〜約5,000,000ダルトンの範囲のMw、約1.00〜約6.00のMw/Mnの多分散がある。前記のように、平均Mwは、50,000より小さいものから1,000,000より大きなものに及び得ると考えられる。
【0052】
改変されたβ−グルカンの食品への組込み−官能作用;治療組成物としての有用性
穀物のβ−グルカン食物繊維、例えば、本発明の食物繊維含有物質は、繊維を豊富にするため、および健康的なコレステロールレベルを促すために食品および飲料に組込むことができる。食品および飲料製品としては、それだけには限らないが、飲料、パンおよび焼いた食品、シリアル、押出スナック、肉代用食品、バー、パスタ、サラダ用ドレッシング、スープ、トーティーヤおよびヨーグルトが挙げられる。例示的に、飲料としては、それだけには限らないが、果実、野菜由来のジュース、ジュース飲料およびブレンドしたもの、フルーツミルク、発酵乳(cultured milk)、発酵乳(fermented milk)およびヨーグルト飲料をはじめとするミルク飲料、ダイエットおよび体重管理飲料などのミール・リプレイスメント飲料、粉末ドリンク・ミックス、それだけには限らないが、シェーク、スムージーおよびジュース/乳成分混合物をはじめとする乳成分ベースの飲料、乳成分を含むクリームおよび乳成分を含まないクリーム、大豆ベースおよび米ベースの飲料、エネルギーおよびスポーツ・ドリンク、ハイプロテイン・ドリンク、炭酸ドリンク、ゲル・ドリンク、水およびニア・ウォーター(near water)、紅茶ベースの飲料、コーヒー・ベースの飲料が挙げられる。例示的なバーとしては、ミール・リプレイスメント・バー、エネルギー・バー、ハイプロテイン・バー、グラノーラ・バー、およびフィリングを含まないか含むシリアル・バーが挙げられる。適用可能なパンの例としては、パン、ロール、丸いパン、トウモロコシパン、無発酵パン、ドーナツ、マフィン、ベーグル、フラットブレッド、パンケーキ、ワッフル、クッキー、ケーキ、ペストリー、クロワッサン、スコーン、ビスケット、クラッカー、プレッツェル、トーティーヤ、タコ・シェル、パスタ、パイクラスト、ピザクラストおよびベーカリーミックスが挙げられる。実施例11および18〜22で、本発明に従って食物繊維組成物を組込んだ食品および飲料製品を示す。
【0053】
このようなβ−グルカンを組込む製品は、β−グルカンのグルコース含量の点で、栄養上の価値を提供するとわかっている。さらに、これらの製品は、ある種の治療上の利益、例えば、健康的なコレステロールレベルを促すこと、血糖レベルを調節すること、ミネラル吸収を改善すること、およびビフィズス菌の増殖を増強することを提供するとわかっている。実施例13および16で、食物繊維治療用組成物として用いられる本発明の食物繊維含有物質の、健康的にコレステロールレベルを促す能力を示す。本発明の食物繊維含有物質は、健康的なコレステロールレベルを促すことの他に、その他の治療上の利益、例えば、直前に列挙したものを提供できると考えられる。
【0054】
β−グルカン食物繊維は、通常、潤滑性、滑りやすさまたは粘液性を含む官能特性を示すために、良好な脂肪模倣物であると考えられることが多いが、本発明のβ−グルカン食物繊維は中性の官能特性を有し得る。例えば、実施例12に示したように、本発明のβ−グルカン食物繊維含有物質を、シリアル・バーおよびヨーグルトに加え、潤滑性−製品のマウス・フィールにとって重要な官能作用についてフォーカス・グループで試験した。実施例12で示したように、本発明のβ−グルカン食物繊維含有物質は、潤滑性に対して中性の作用を本質的に示した。
【実施例】
【0055】
実施例1
実施例1は、本発明の実施形態に従って、二酵素大規模法を提供する。第一に、選択した穀物を洗浄し、石を除去し、次いで、ミリングに付す。穀物を微粉砕して、粒子範囲が約25ミクロン〜約500ミクロンの粉(粉末)にする。粒径は決定的なものではなく、したがって、例えば、より小さな粒径であっても使用できる。粉末を、1週間よりも長期間、熱と湿度に曝露する場合には、粉末を乾燥した、涼しい部屋または冷却した部屋に保存しなくてはならない。空調した(約25℃)環境であれば、短期間の貯蔵には十分であるはずである。あるいは、全形穀物自体は安定である。
【0056】
温水(65℃〜68℃)と「SPEZYME(登録商標)LT−75(ジェネンコル・インターナショナル)」(多糖類を非特異的に消化できる酵素)との溶液を、2250リットルの溶液対500ミリリットルの酵素の割合で作成する。酵素を入れる前に、水(2250kg)に25kgの粉末を入れて水を緩衝し、次いで、酵素を添加する。このバッファー粉末は、総粉末仕込み量に含まれている。したがって、4500リットルの温水容積につき、1.0リットルの「SPEZYME(登録商標)LT−75(ジェネンコル・インターナショナル)」を入れ、混合する。微粉砕した「粉末」を、5kgの粉末対45kg/1リットルの水溶液の割合で入れる。したがって、4500リットルの水仕込み量につき、最終溶液中で約10重量%の固体濃度とするには粉末仕込み量は500kgとなる。(本方法は、約5%〜約25%の範囲の固体濃度で小規模で、および18%までの固体濃度で大規模で試験した。)残存する粉末を仕込んだ後、溶液をミキサーに通して、粉末塊を壊す。シヤーが高いと製品の質が低下するので、最小のシヤーを使用して溶液中の粉末塊を排除することが好ましい。「SPEZYME(登録商標)LT−75(ジェネンコル・インターナショナル)」を添加して溶液のゲル化を防ぐか緩和するのが好ましいが、このゲル化は大規模法に負の影響を及ぼす可能性がある。
【0057】
この溶液を、溶液の温度を65℃±3℃の範囲で維持しながら、さらに90分間混合する。90分保持した直後、バッチ温度を95℃に上昇させる。この加熱ステップは、できる限り迅速に達成することが好ましい。バッチが95℃を超えた後、第2の酵素、「フレッドL(ジェネンコル・インターナショナル)」を添加する。この酵素は、バッチに加えた2250kg/リットルにつき1.25リットルの割合で添加する。4500リットルのバッチサイズには、この酵素仕込み量は2.50リットルである。この溶液を、溶液の温度を95℃±5℃の範囲に維持しながら、さらに90分間混合する。酵素処理後のストリームについての他の方法情報として、6.3のpHおよび20cP以下の粘度がある。
【0058】
2回、90分間保持したのち、遠心分離技術を用いて未溶解の固体を溶液から分離する。このステップは、5000リットルの出発容積で実施するのに平均約4〜6時間であり得る。水平デカンタ遠心分離機と、それに続くスラッジ排出型遠心分離機を用いて清澄化溶液を作製した。デカンタ遠心分離としてウエストファリアセパレーター(Westfalia Separator)AG、モデルCA−225を用いた。スラッジ排出型遠心分離機には、ウエストファリアセパレーターAG、モデルSA14を用いた。試験では、清澄化ストリーム中の固体濃度を、遠沈管中、15ml中0.01〜0.05mlのオーダーとした。清澄化ストリーム中の固体の量を少なくすることも、所望の最終生成物に関して好ましい場合もある。従来、本発明者らは、51バッチについて、2400リットルの出発容積に対し、平均約2177リットルの清澄化溶液を得た。遠心分離によるスラッジ排出間隔の間の時間を延長してストリームの最重部における生成物の損失を最小にすることが好ましい。
【0059】
この溶液は、可能な限り95℃±5℃の温度で維持しなければならない。このような高温によって、溶液の粘度を低く維持することができ、ひいては、固体をより効率的に除去することができる。また、本発明者らは、溶液を冷却すると(70℃〜85℃)、清澄化溶液中にピンク色/赤色がつくことを観察したので、このような高温は、生成物をできるだけ白色にすることにも役立つ。また、高温は、微生物の増殖を阻害することができ、このことは食品に関して関連がある。
【0060】
次いで、「遠沈」試験管によって、微量固体を含むと測定された清澄化溶液を保持タンクに入れる。次いで、清澄化溶液にエタノール(SDA13、カナダ指定)を、92%純粋エタノールについて容積比1.1エタノール対1.0抽出物で入れる。目的は総容積中のエタノール濃度を約50%にすることである。エタノールおよび抽出溶液を混合し、次いで、3時間静置する。この静置時間によって、生成物は綿状となり、タンクの下部に沈む。溶液の温度は40℃〜55℃の範囲であった。本発明者らは、加温機温度によって生成物の質(色、純度)が向上する可能性があるが、40℃を下回る極めて冷えた溶液は、溶液から生成物とともに他の炭水化物が出現する場合があるために、純度が低くなる可能性があると考えている。
【0061】
この時点で、タンクの下部を、上清からの「粘性物質」の遠心分離による分離のために送る。従来、本発明者らは、固体ボウル遠心分離機、「ピーラー」遠心分離機を用いて溶液から粘性物質を回収した。ピーラー遠心分離機は、クラウス・マフェイ・アクチエンゲセルシャフト(Krauss Maffei Aktiengesellschaft)、モデルHZ80/1、3 SiDであった。ボウルが一杯の場合には、粘性物質の損失を避けるためにピーラーへの供給速度を制御しなければならない(そのため、「完全自動」ストリームモニタリングが好ましい)。一実施形態では、材料を24〜48時間保持して粘性物質の第2のバッチを形成させることによって、生成物を「完全自動」ストリームに回収する。しかしながら、このアプローチでは、その他のアプローチを用いて可能なものよりも純度が低くなる(約50%)場合がある。
【0062】
2000リットルの清澄化溶液からの51の沈殿物を平均すると、92%アルコールを用いて沈殿させピーラー遠心分離機で回収した粘性物質の重量は、91kgであった。ボウルに回収した粘性物質はシートゴムの感触を有する傾向がある。しかしながら、この物質は、操作下で容易に破れた。粘性物質は機械的には排出することができる。粘性物質は保存することができるが、酸素に対する曝露を避けるためにエタノール下で維持しなければならない。粘性物質は、週末にかけては、エタノールを用いれば生成物の質に明らかな低下が見られることなく保存することができる。
【0063】
粘性物質を回収し、1kgの粘性物質対3リットルの92%以上のエタノールの割合で高いシヤーを用いながら混合する。従来、本発明者らは、300リットルの小タンクで、ロスミキサー(Ross Mixer)、高速分散剤製造ユニットを用いている。また、タンクのループ付近にさらなるポンプを用いて小タンク中の混合物の垂直の動きを提供し、タンク内で確実に良好に混合させた。エタノールは、最終生成物の色を改善するために、溶液を加温しながら入れる。次いで、この系に粘性物質を迅速に添加し、混合する。新鮮なアルコールとの接触によって、粘性物質が脱水され、生成物が粒子に硬化する。
【0064】
次いで、遠心分離による分離を用いて、この粒子をエタノール溶液から単離する。従来、本発明者らは、バスケット遠心分離機を用い、バスケットを手動で排出している。このバスケットの内側を布で覆い、濾過培地を提供する。粒子は、遠心分離機で分離される間に新鮮エタノール(92%+)で洗浄される。次いで、単離した粒子を乾燥機に移す。再度、洗浄した物質は、窒素下で数日間保存することができる。本発明者らは、酸素が存在する乾燥ステップにおいて色の問題が見られたため、酸素の存在を回避することを望む。本発明者らは、平均して91kgの粘性物質を用いて出発し、バスケット型遠心分離機中に約48kgの湿潤ケーキを回収した。
【0065】
乾燥は、乾燥機中の酸素の存在を最小化するため、真空下で窒素パージを施しながら実施する。乾燥の間の最小酸素量がパラメータであり、これは最終生成物の質に影響を及ぼし得る。空気が存在する乾燥は、生成物の色を著しく暗くすることがある。そのため乾燥に窒素パージを使用してもよい。乾燥は、50℃〜90℃の間で実施すればよい。従来、本発明者らは、リトルフォード(LittleFord)型乾燥機、例えば、乾燥用FMモデルユニット(真空系への生成物の損失を防ぐためにバグハウスユニットを備え、物理的混合をしながらのジャケット加熱)を用いている。この方法によって乾燥が完了したと示されると、生成物を乾燥機から排出し、次いで、必要に応じて微粉砕およびブレンドする。本発明者らは、51kgの湿潤ケーキを用いて出発して、平均して21kgの最終生成物を得た。この生成物の含水率は4%以下であり、平均純度は乾燥重量ベースで70%以上である。
【0066】
本発明者らは、この時点で、生成物を、最大粒径が250ミクロンよりも小さくなるように単純に微粉砕する。この時点で粒径に下限はない。
【0067】
実施例2
実施例2は、出発物質の固体含量が25%である方法を例示する。65℃に予熱した5Lのジャケット付反応器に、2625mlの水道水および2.4gのCaCl2・2H2Oを仕込んだ。200gのアリゾナ・ヒュレス・アゾール(Arizona Hullless Azhoul)オオムギ粉末を添加する間、この液体を攪拌した。1.75mlのジェネンコルLT−75および4.375mlのジェネンコル・フレッドLを添加した。675gのさらなるオオムギ粉末を添加した。65℃で2時間攪拌を継続し、次いで、温度を95℃に上昇させ、10分間保持した。このスラリーを、バケット型遠心分離機で6000Gで30分間遠心分離し、上清をデカントして清澄化シロップを作製した。このシロップの粘度は、ブロックフィード(Brookfield)粘度計で小サンプルアダプターを用いて、25℃、10rpmで118Cpであった。
【0068】
60gのシロップを、25℃連続攪拌下、60mlのエタノールにゆっくりと混合してβ−グルカン粘性物質を沈殿させた。一晩静置した後、上清をデカントし、粘性物質を500Gで5分間遠心分離した。ペレットを回収し、50mlのエタノール中でホモジナイザーを用いてシヤーで粉砕した。脱水した繊維を真空濾過によって回収し、乾燥させた。最終繊維生成物は、乾燥重量ベースで63%β−グルカンであった。
【0069】
60gの最初のシロップを40gの水で希釈することによって作製した60gのシロップを、前記と同一条件下で沈殿させた。得られた繊維生成物は、乾燥重量ベースで70.2%のβ−グルカンであった。
【0070】
実施例3
実施例3は、出発物質の固体含量が10%である方法を例示する。65℃に予熱した5Lのジャケット付反応器に2160mlの水および1.6gのCaCl2・2H2Oを入れた。60gのアリゾナ・ヒュレス・アゾールオオムギ粉末を添加する間、この液体を攪拌した。0.48mlのジェネンコルLT−75および1.2mlのジェネンコル・フレッドLを添加した。180gのさらなるオオムギ粉末を添加した。65℃で1.5時間攪拌を継続し、次いで、温度を95℃に上昇させ、15分間保持した。このスラリーを、バケット型遠心分離機で4000Gで20分間遠心分離し、上清をデカントして清澄化シロップを作製した。
【0071】
60gのシロップを、25℃連続攪拌下で、60mlのエタノールにゆっくりと混合してβ−グルカン粘性物質を沈殿させた。一晩静置した後、上清をデカントし、粘性物質を500Gで5分間遠心分離した。ペレットを回収し、50mlのエタノール中でホモジナイザーを用いてシヤーで粉砕した。脱水した繊維を真空濾過によって回収し、乾燥させた。最終繊維生成物は、乾燥重量ベースで73.43%β−グルカンであった。総質量は0.614gであった。
【0072】
1825mlを、10kDa分子量をカットオフする0.5m2のポリエーテルスルホンカートリッジを用いるミリポア(Millipore)UFユニットでの限外濾過によって975mlに濃縮し、シロップ2を得た。60gのシロップ2を、25℃連続攪拌下で、60mlのエタノールにゆっくりと混合してβ−グルカン粘性物質を沈殿させた。一晩静置した後、上清をデカントし、粘性物質を500Gで5分間遠心分離した。ペレットを回収し、50mlのエタノール中でホモジナイザーを用いてシヤーで粉砕した。脱水した繊維を真空濾過によって回収し、乾燥させた。最終繊維生成物は、乾燥重量ベースで79.05%β−グルカンであった。総質量は0.943gであった。
【0073】
実施例4
実施例4は、β−グルカンの分子の特徴を改変する方法および改変されたβ−グルカンを穀物から分離する方法を例示する。
【0074】
アズール・ヒュレス(Azhul hulless)オオムギを、ハンマーミルで粉砕して5/64’’篩、次いで(1.5)/64’’篩を通した。90kgの水道水を70deg Cに加熱し、15mlのSPEZYME(登録商標)LT75(α−アミラーゼおよびβ−グルカン組成物セルラーゼを含む、バチルス・アミロリクエファシエンス由来の酵素製剤、ジェネンコル・インターナショナルから入手可能)を添加した。激しく攪拌しながら、酵素−水混合物に10kgの粉砕したオオムギ粉末、次いで、200mlの1M NaOHをゆっくりと添加し、混合物をpH5.5〜6.5に調節した。この混合物を70deg Cで30分間攪拌し、15分以内に95deg Cより高温に加熱することが可能である。次いで、15mlのフレッドL(バチルス・リチェニフォルミスから調製した高温α−アミラーゼ、ジェネンコル・インターナショナルから入手可能)を添加した。この混合物を、β−グルカン抽出および完全なデンプン加水分解のために、95〜105deg Cでさらに30分間攪拌してもよい。高温の混合物を、固体ボウル遠心分離機で、約4000グラムの遠心力で2回遠心分離した。5ガロンの容器中に10キログラムの透明な粗抽出物を回収し、60deg Cより低い室温まで放冷した。次いで、4.25%(w/w)酢酸エチル、6%(w/w)の水および差し引いた残りのエタノール(約90%(w/w))を含有する7リットルの変性エタノールを、激しく攪拌しながらゆっくりと添加した。エタノール添加の間に灰白色の沈殿物が観察された。エタノール抽出物混合物を、室温で20時間静置し、ゲル様β−グルカンケーキを形成させた。上清を注意深くデカントし、このケーキを、約4000グラムで遠心分離し、次いで、湿潤重量を記録した。この湿潤ケーキを、ワーリングブレンダー中で約15秒間、エタノール(200グラムの湿潤ケーキに対して600ミリリットルのエタノール)と混合し、濾紙を通して濾過し、90deg Cの空気強制オーブン中で30分間乾燥させた。乾燥重量を記録した。最初の10kgのオオムギ粉末からの収量は、5.4kgの湿潤ケーキβ−グルカン、0.78kg乾燥ケーキβ−グルカンであった。乾燥β−グルカン製品中のβ−グルカン濃度は、ADAC995.16標準法によって分析したところ、約70%であった。室温で水で可溶化すると、このβ−グルカン製品からは、SPEZYME(登録商標)LT−75を用いないで製造したものよりも粘度のかなり低い溶液が得られた。0.5%(そのまま)溶液の典型的な粘度は、25deg Cで約10cpsであった。
【0075】
実施例5
実施例5は、β−グルカンを含んでなる食物繊維含有物質の製造方法を例示する。得られたβ−グルカンの平均Mwは約170,000ダルトンであった。
【0076】
本実施例の170,000ダルトン物質は、5回の連続大規模バッチを実施することによって製造した。5つのバッチは、同一手順のステップをたどることによって製造して、5つのバッチ間で均一なバッチ値およびプラクチスを維持した。
【0077】
各バッチは、25および225キログラム(kg)のオオムギ粉末を計量することで開始した。次いで、原料仕込みタンクに温度約65℃で2250リットルの水を入れた。仕込みタンクに、約65℃の水とともに、計量した25kgの粉末を添加した。水と粉末を5分間混合した後、仕込みタンク中の混合物に、225kgの粉末と750ミリリットル(mL)のSPEZYME(登録商標)LT75(ジェネンコル・インターナショナル)を添加した。次いで、この混合物を、インライン固体−液体ブレンダーを通してジャケット付反応容器に移した。
【0078】
次いで、この混合物を、温度約65℃でジャケット付反応容器中に30分間保持した。30分の最後に、ジャケット付反応容器中の混合物に、さらに500mlのSPEZYME(登録商標)LT75(ジェネンコル・インターナショナル)を入れた。粉末/水混合物を、温度約65℃でジャケット付反応容器中にさらに60分間保持した。1時間の保持が完了した直後に、ジャケット付反応容器に蒸気を適用して混合物温度を約100℃に上昇させた。混合物の温度が約100℃になると、混合物に1.10リットルのSPEZYME(登録商標)・フレッド−L(ジェネンコル・インターナショナル)を入れた。混合物を約100℃にさらに90分間保持した。次いで、90分後に混合物を遠心分離機に送り、反応混合物から固体を除去した。
【0079】
反応混合物から固体を除去した後、清澄化抽出物を保持タンク(hold tank)に送った。清澄化抽出物を保持タンク中に回収する度に、アルコール(92重量%エタノール)を混合しながら保持タンク抽出物に添加した。遠心分離機によって400リットルの清澄化抽出物を処理し、400リットルのアルコールを保持タンクに添加した。さらに500リットルの清澄化抽出物を処理した後、さらに500リットルのアルコールを保持タンクに添加した。清澄化抽出物のすべてを遠心分離機処理した後、アルコールの最終添加物を保持タンクに添加してアルコールの容積を、処理した清澄化抽出物の容積の1.1倍にした。アルコールを最終添加した後、混合物をさらに5分間攪拌、次いで、この混合物を3時間静置した。
【0080】
3時間保持した後、保持タンク中の透明な上清溶液をデカントした。保持タンクの下部中の濁りのある混合物を、ピーラー遠心分離機に送って生成物粘性物質を単離した。ピーラー遠心分離機によって総量376.1kgの粘性物質を単離した。次いで、固体ボウル遠心分離機から回収した粘性物質を、高速ブレンダーを備えたタンク中で、粘性物質1キログラムにつき3リットルのアルコールとブレンドした。次いで、脱水した粘性物質を、バスケット型遠心分離機に回収し、新鮮アルコールで洗浄した。湿潤固体、総量164.8kgを回収し、真空攪拌乾燥機中で乾燥させた。この固体をブレンドし、微粉砕し、次いで、組成および分子量について解析した。総量約78.1kgの乾燥生成物を単離し、さらなる研究のためにパッケージした。
【0081】
実施例6
実施例6は、β−グルカンを含んでなる食物繊維含有物質の製造方法を例示する。得られたβ−グルカンの平均Mwは、約120,000ダルトンであった。
【0082】
この120,000ダルトンの物質は、5回の連続大規模バッチを実施することによって製造した。5つのバッチは、同一手順のステップをたどることによって製造し、5つのバッチ間で均一なバッチ値およびプラクチスを維持した。
【0083】
各バッチは、25および225キログラム(kg)のオオムギ粉末を計量することによって開始した。原料仕込みタンクに、温度約65℃で、2250リットルの水を入れた。仕込みタンクに、約65℃の水とともに計量した25kgの粉末を添加した。水と粉末を5分間混合した後、仕込みタンク中の混合物に、225kgの粉末と、1250ミリリットル(mL)のSPEZYME(登録商標)LT75(ジェネンコル・インターナショナル)を入れた。次いで、この混合物を、インライン固体−液体ブレンダーを通してジャケット付反応容器に移した。
【0084】
次いで、この混合物を、ジャケット付反応容器中に、温度約65℃で30分間保持した。30分の最後に、ジャケット付反応容器中の混合物に、さらに1250mlのSPEZYME(登録商標)LT75(ジェネンコル・インターナショナル)を入れた。粉末/水混合物を、ジャケット付反応容器中に、温度約65℃でさらに60分間保持した。1時間の保持が完了した直後、ジャケット付反応容器に蒸気を適用して、混合物温度を約100℃に上昇させた。混合物の温度が約100℃になると、混合物に1.10リットルのSPEZYME(登録商標)FRED L(ジェネンコル・インターナショナル)を入れた。この混合物を約100℃でさらに90分間保持した。次いで、90分後、混合物を遠心分離機に送って反応混合物から固体を除去した。
【0085】
反応混合物から固体を除去した後、清澄化抽出物を保持タンクに送った。清澄化抽出物を保持タンク中に回収するごとに、保持タンク抽出物にアルコール(92重量%エタノール)を混合しながら添加した。遠心分離機によって400リットルの清澄化抽出物を処理した後、保持タンクに400リットルのアルコールを添加した。さらに500リットルの清澄化抽出物を処理し、さらに500リットルのアルコールを保持タンクに添加した。すべての清澄化抽出物を遠心分離機処理した後、保持タンクにアルコールの最終添加を行って、アルコールの容積を処理した清澄化抽出物の容積の1.1倍にした。アルコールを最終添加した後、混合物をさらに5分間攪拌し、次いで、混合物を3時間静置した。
【0086】
3時間保持した後、保持タンク中の透明な上清溶液をデカントした。保持タンクの下部中の濁りのある混合物をピーラー遠心分離機に送って生成物粘性物質を単離した。ピーラー遠心分離機によって総量422.2kgの粘性物質を単離した。次いで、固体ボウル遠心分離機から回収した粘性物質を、高速ブレンダーを備えたタンク中で、粘性物質1キログラムにつき3リットルのアルコールとブレンドした。次いで、脱水した粘性物質を、バスケット型遠心分離機に回収し、新鮮アルコールで洗浄した。総量272.1kgの湿潤固体を回収し、真空攪拌乾燥機中で乾燥させた。この固体をブレンドし、微粉砕し、次いで、組成および分子量について解析した。食物繊維含有物質を含んでなる、総量約97.7kgの乾燥生成物を単離し、さらなる研究のためにパッケージした。
【0087】
実施例7
実施例7は、実施例5および実施例6から得られた食物繊維含有物質の解析を提供する。
実施例5および実施例6から得られた食物繊維含有物質を、まず、組成について解析した。具体的には、脂肪含量、食物繊維含量、可溶性繊維含量、不溶性繊維含量、およびタンパク質含量を測定した。組成解析は、標準AOAC法を用いて実施した。測定はシリカー・ラボラトリーズ(Silliker laboratories)およびメダリオン・ラボラトリーズ(Medallion Laboratories)によって行った。
また、食物繊維含有物質内のβ−グルカンの純度も測定した。純度は、AOAC995.16という標準法を用いて測定した。さらに、β−グルカンの平均Mwを、実施例8に記載した方法を用いて測定した。
【0088】
表1に解析結果を列挙する。
【0089】
【表1】

【0090】
実施例8
実施例8は、改変されたβ−グルカンの重量平均分子量および重量平均分子量分布の測定を例示する。
【0091】
細かく微粉砕にしたβ−グルカン(<0.25mm)のサンプル20mgを50mLのガラス試験管に加え、その後100マイクロリットルの95%(v/v)エタノールを添加した。濾過済み(0.2ミクロン)超純水20mLをボルテックス処理しながら試験管へ添加した。このサンプルを時折混合しながら沸騰水中で1時間加熱した。このサンプルを濾過(0.45ミクロン)して液体クロマトグラフ用バイアルの中に入れた後、注入する。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を、多角度レーザー光散乱検出器(MALLS,Dawn EOS,ワイアット・テクノロジーズ社(Wyatt Technologies Inc.))および屈折率検出器(RI、ウォーターズ(Waters) 410)と併用して用いてβ−グルカンの重量平均分子量分布を測定した。100マイクロリットルのサンプルをウォーターズ 2690 HPLCシステムによってSECカラム(ショデックス(Shodex) OH−pak SB−G/805/804/803)に注入した。カラムを40℃で流速1.0mL/分および水中200−ppmのアジ化ナトリウムの移動相(予備濾過済み、0.1ミクロン)に流した。MALLS検出器はアストラ・ソフトウェア(Astra Software)(バージョン4.73.04)を使用し、βグルカンのdn/dc値は0.150であった。デバイプロットを用いて重量平均分子量分布を算出した。
【0092】
実施例9
濃縮βグルカン製品の純度の測定は、AOAC995.16法(修正版)を用いて達成した。サンプルを500umの篩に通し、次いで、微粉砕した。サンプルを20mg計量して50mLスクリューキャップ試験管の中に入れ、200uLの50%(v/v)エタノールを添加した。サンプルを混合してβグルカンを確実に分散させた。20mM(pH6.5)リン酸ナトリウムバッファー5mLおよび水4.7mLを試験管へ加え、次いで、沸騰水中で2分間断続的に混合しながら加熱した。試験管を放冷した後、リケナーゼ(Lichenase)100uLを添加した。サンプルを15分毎にボルテックス処理しながら50℃で1時間インキュベートした。
【0093】
このサンプルを回収し、20mLの水を加えた。次いで、サンプルを試験管の中へ濾過した(0.45umナイロン)。濾過したサンプルのアリコート100uLを別の2本の試験管へ加えた。第1の試験管をブランクとして用いて、βグルカンに起因しない存在するグルコースを明らかにした。この試験管へ50mM(pH4.0)酢酸ナトリウムバッファー100uLを添加した。第2の試験管へB−グルコシダーゼ100uLを添加した。これらのサンプルを40℃で10分間インキュベートした。10分後、3.0mLのGOPOD色素を加えた、次いで、40℃で20分間さらに加熱した。次いで、サンプルをオーブンから取り出し、10分間放冷した後解析した。吸光度は510nmで読み取り、βグルカン純度はメガザイム(Megazyme)の提供する方程式を用いて算出した。
【0094】
実施例10
オオムギβファイバー(BBF)の粘度の測定。粘度はラピッド・ビスコ・アナライザーモデル3(Rapid Visco Analyzer Model 3)(RVA)を用いて1%のBBF濃度で測定した。サンプルを正確に計量し、RVAセル内部の既知量の水の中に入れた。RVAは、プロペラ速度およびセル温度で変わる粘度プロフィールを実行することのできるソフトウェアを用いる。以下のプログラムを用いて粘度を測定した。粘度はグラフ中に生じた最大値とする。
【0095】
【表2】

【0096】
実施例11
実施例11は、食物繊維含有物質の食品への適用を例示する。具体的には、実施例1に従って調製した食物繊維含有物質をバーへ組み込むことを示す。食物繊維含有物質をバーへ適用可能な例としては、ミール・リプレイスメント・バー、エネルギー・バー、ハイプロテイン・バー、グラノーラ・バー、フィリングを含むか含まないシリアル・バーなどが挙げられる。用いた食物繊維原料の一食100gあたりの栄養成分、ならびに用いられるオオムギβファイバー製品のさらなる特性を下の表2に示す。
【0097】
【表3】

【0098】
製品の純度が高いため、僅か1.1gの食物繊維含有物質で0.75gのβ−グルカンが供給される。以下の製法はミール・リプレイスメント・バーのもので、カロリーの40%が炭水化物由来で、タンパク質および脂肪に各30%由来する。各50gのバーに0.75gのβグルカンおよび6.25gの大豆タンパク質が含まれる。
【0099】
ミール・リプレイスメント・バーの製造
成分
カーギル・プロリッセ(Cargill Prolisse)(登録商標)
単離大豆タンパク質 15.7
カゼインカルシウム 8.6
ホエータンパク質濃縮物 7.8
ジャーキンス(Gerkins)ココア 6.6
本発明の食物繊維含有物質 2.7
ビタミンおよびミネラル・プレミックス 1.9
カーギル・ハイグレード(Hi-Grade)(登録商標)塩 0.8
カーギル・イソクリア(Isoclear)(登録商標)
42ハイフルクトース・コーンシロップ 25.1
カーギル・イソクリア(登録商標)
43ハイマルトース・コーンシロップ 12.1
蜂蜜 7.1
ウィルバー(Wilbur)(登録商標)無糖チョコレート 2.3
カーギル・キャノーラ油 1.9
カーギル・大豆油 1.9
水 5.0
調味料 0.5
合計 100.00
【0100】
手順:
1.乾燥材料を全て混ぜる。
2.シロップ、蜂蜜、チョコレートおよび油脂を弱火で混ぜ合わせる。
3.水および調味料をシロップ混合物に加え、直ちに乾燥材料と混ぜ合わせる。
4.混ぜ合わせてパン生地を作る。
5.所望の厚さにシート状に伸ばし、40gのバーに切り分ける。
6.各バーを10gのウィルバー(登録商標)チョコレートS−856コーティングで覆う。
【0101】
実施例12
実施例12は、標準化官能評価試験のプロトコールを提供する。この試験は、本発明に従う食物繊維組成物を含むか含まない、シリアル・バーおよびヨーグルトを用いて実施する。使用した食物繊維組成物は実施例11および表2に記載のものと同一であった。シリアル・バーおよびヨーグルトを、製品のマウス・フィールにとって重要な官能特性である潤滑性について評価した。
【0102】
シリアル・バーを製造するための手順には、以下のステップを含めた。砂糖、シロップ、およびピーナッツバターを共に中〜弱火で滑らかになるまで溶かした。本発明の食物繊維含有物質、次いでシリアルを入れて攪拌する。材料を混合し、次いで油を塗っていない9×9の鍋の中に広げ、冷却し、サンプルに切り分ける。このサンプルをコード化し、フォーカス・グループの中の訓練を受けていない14名によって、粘性のあるマウス・フィールに対して9ポイントの強度段階を用いて評価した。以下の基準となる語を、粘性強度尺度の目盛りとして用いた。粘性がない(1)、僅少(2)、微弱(3)、軽微(4)、軽度(5)、中程度(6)、強い(7)、非常に強い(8)、極度に粘性がある(9)。
【0103】
結果を表3に列挙する。表からわかるように、本発明の食物繊維含有物質を含めても、シリアル・バーの潤滑性についてのマウス・フィールの知覚には実質的に全く影響はなかった。
【0104】
ヨーグルトを製造する手順には、以下のステップを含めた。ヨープレイト(Yoplait)ストロベリーオリジナルヨーグルトと本発明の食物繊維含有物質をハンドブレンダーで滑らかで十分に分散するまで混ぜ合わせた。サンプルを、フォーカス・グループの中の訓練を受けていない14名によって、シリアル・バーについて記載した粘性のあるマウス・フィールと同じ9ポイントの強度尺度を用いて評価した。
【0105】
結果を表4に列挙する。表からわかるように、本発明の食物繊維含有物質を含めても、ヨーグルトの潤滑性または粘性のあるマウス・フィールの知覚には実質的に全く影響はなかった。
【0106】
【表4】

【0107】
【表5】

【0108】
実施例13
実施例13は、本発明の食物繊維含有物質の健全なコレステロールレベルを促進する能力を説明する。
8〜10週齢(研究開始時)の40個体のF1雄ハムスターの群を1週間順応させた。次いで全ての動物にリサーチダイエット(Research Diets)社製の高コレステロール血症の食餌(HCD)を与えた。HCDから2週間後(時間=0)、全ての動物から血液サンプルのために採血して総血漿コレステロール、高比重リポタンパクコレステロール(HDL−C)、および非高比重リポタンパクコレステロール(非HDL−C)の血中濃度のベースラインを確立した。非HDL−Cは超低比重、中間比重、および低比重リポタンパク質コレステロールを含む。
【0109】
次いで、全てのハムスターを無作為に4群のうちの1つに割り当て(N=10)、それぞれに指定の食餌を与えた。1群は未処置対照群で、HCD食を継続した。残る3つの群には特別の食餌を割り当てた:1)陽性対照群としてHCDに0.5%コレスチラミンを付加;2)HCDに8%(乾燥重量ベース)の実施例5に従って製造した食物繊維含有物質を付加。この物質は平均Mw170kダルトンおよび粘度55cpsが特徴である;ならびに3)HCDに8%(乾燥重量ベース)の実施例6に従って製造された食物繊維含有物質を付加。この物質は平均Mw120kダルトン、粘度25cpsを特徴とした。使用したこの2種類の食物繊維組成物のさらなる栄養成分を以下の表5に示す。
【0110】
【表6】

【0111】
図2、図3、および図4に表されるグラフは、0.5%コレスチラミンでの薬物処理の成績に対する、動物の食餌中の濃度8%での本発明の食物繊維含有物質の効力を示す。本発明の食物繊維含有物質は、薬物処置と同程度に一貫して非−HDL−C値を低下させた。さらに、本食物繊維含有物質は、本研究の過程で平均HDL−Cレベルを有意に変化させなかった。
【0112】
実施例14
実施例14は、酵素製剤SPEZYME(登録商標)LT−75およびSPEZYME(登録商標)LT−300がセルラーゼ活性とアミラーゼ活性の双方を有することを示す結果を示す。SPEZYME(登録商標)LT−75およびSPEZYME(登録商標)LT−300はジェネンコル・インターナショナルから市販されている。
約90kgの水および約10kgの粉砕オオムギを含む水性混合物を約70deg Cで調製した。このオオムギはβ−グルカンとデンプンを含む。この混合物を完全に混合し、約30分静置した。混合物をさらに約90分静置した。30分間にわたって、またその後の90分間でも粘度の明らかな変化は観察されなかった。ビスコテック(Viscotek)粘度計を用いて粘度を測定した。この試験の条件では、オオムギのβ−グルカン、またはオオムギのデンプンの分解はほとんど起こらなかったと結論付けた。
【0113】
約90kgの水、約10kgの粉砕オオムギ、および約15mLのSPEZYME(登録商標)LT−75を含む第2の水性混合物を約70℃で調製した。このオオムギはβ−グルカンとデンプンを含む。この混合物を完全に混合し、約30分静置した。次いで、混合物をさらに約90分静置した。30分間にわたって、実質的な粘度低下が観察され、その後の90分間でさらに大幅な粘度低下が観察された。β−グルカンの平均Mwを実施例5に記載の方法を用いて90分間の後に測定すると、平均Mwに実質的な減少が生じていた。粘度およびMwの低下を考慮すると、オオムギのβ−グルカンおよびオオムギのデンプンの双方に実質的な分解が起こったと結論付けた。従って、SPEZYME(登録商標)LT−75はセルラーゼ活性およびアミラーゼ活性の双方を有すると結論付けた。ジェネンコル・インターナショナルのSPEZYME(登録商標)LT−75に対する製品仕様書はアミラーゼ活性を示しているが、セルラーゼ活性は示していない。本発明者らはSPEZYME(登録商標)LT−75のセルラーゼ活性について以前の報告を知らない。
【0114】
約90kgの水、約10kgの粉砕オオムギ、ならびに約15mLのSPEZYME(登録商標)LT−300を含む第3の水性混合物を約70℃で調製した。このオオムギはβ−グルカンとデンプンを含む。この混合物を完全に混合し、約30分静置した。次いで、混合物をさらに約90分静置した。30分間にわたって実質的な粘度低下が観察され、その後の90分間でさらに大幅な粘度低下が観察された。β−グルカンの平均Mwを実施例8に記載の方法を用いて90分間の後に測定すると、平均Mwに実質的な減少が生じていた。粘度およびMwの低下を考慮すると、オオムギのβ−グルカンおよびオオムギのデンプンの双方に実質的な分解が起こったと結論付けた。従って、SPEZYME(登録商標)LT−300はセルラーゼ活性およびアミラーゼ活性の双方を有すると結論付けた。ジェネンコル・インターナショナルのSPEZYME(登録商標)LT−300に対する製品仕様書はアミラーゼ活性を示しているが、セルラーゼ活性は示していない。本発明者らはSPEZYME(登録商標)LT−300のセルラーゼ活性についての以前の報告を知らない。
【0115】
本発明の原理を複数の実施形態および実施例で例示および記載したので、本発明をかかる原理から逸脱することなく配列および細部において改変できることは当業者には明らかである。本発明者らは、以下の特許請求の範囲の趣旨および範囲内に付属する全ての改変形態を主張する。
【0116】
実施例15
例示的一酵素法。水道水で満たしたジャケット付きフラスコを65℃まで加熱した。水が温度に達すると、少量のオオムギ粉末(8.61%BG)を加えた。次いで、この水に0.02%酵素(LT−75)を添加した。最後に、粉末を加えて全体として10重量%濃度とした。次いで、この混合物を90分間攪拌した。得られた溶液を反応容器から回収し、10,000rpmで10分間遠心分離した。得られた上清をデカントし、固形物を廃棄した。上清を重量比1:1のエタノールで沈殿させ、一晩静置させた。得られた固体をデカンテーションによって単離した後、遠心分離した。この生成物を5倍重量のエタノールで洗浄し、ホモジナイズし、ワットマン(Whatman)#3で濾過した。得られた粉末を60℃の真空オーブン中で一晩乾燥させた。
【0117】
真空の乾燥生成物の色は非常に明るい白色であった。この最初のテスト生成物の純度は77.4%(DWB)であった。この実験は同じパラメータの下で2回反復し、純度は79.7%および76.0%(DWB)であった。しかし、注目すべきは、これをひと度脱イオン水を用いて実施すると、純度は僅か18%にしか達しなかったことである。今ではα−アミラーゼ酵素活性を誘導するには200ppmのカルシウムを使用しなくてはならないことが知られている。追記として、得られる消化の範囲は64〜80%のβグルカン回収率で変動する。残りの生成物は沈殿で失われ、使った固体の水分中に消化も捕捉もされていない。
【0118】
LT−75のα−アミラーゼおよびβ−グルカナーゼ活性によって、高純度βグルカンを研究所規模で製造することができる。これにより、エネルギーのコストを削減し、タンク保持時間を減少させ、また生産環境での酵素にかかる費用も同様に低減させる。その後の実験によって、この方法は、もし十分な遠心分離設備があるならば、15%の固体消化で実施できることが証明された。
【0119】
実施例16
β−グルカンの既知のレスポンダーである6名の男性および6名の女性を研究のため募集した。これらの個人は全員高コレステロール血症、高血糖性(グルコース不耐性)の男女で、それ以外は全体的に健康である。彼らを無作為に2つの群へ分け、低分子量(LMW)食物繊維組成物を組み込んだシリアル5グラム/日またはLMW食物繊維組成物を混ぜたジュース5グラム/日のいずれかで処置した。ベースライン検査(脂質およびグルコース)ならびに体重およびベースライン副作用の検査を処置の始まる前に行った。次いで患者にジュースまたはシリアルを食べ物とともに21日間毎日消費するよう告げた。21日後、全ての実験を体重などについても繰り返した。患者に処置期間を通して自分たちの「普通の」生活習慣を続けるよう告げ、食事に対する特別な評価は行わなかった。主要結果変数はLDL−Cであった。シリアル摂取群では、LDL−Cは158から135へ減少し(14.5%)、ジュース摂取群では165から144へ減少した(12.5%)。体重は変化しなかった。血糖レベルも処置の間に低下した。GI(胃腸の副作用)は処置によって変化しなかった。参加者に与えられたシリアルおよびジュースへ組み込んだ食物繊維組成物は、実施例13の表5に記載の170kDa物質と同一である。
【0120】
実施例17
代替酵素の試験。以下の実施例は、代替酵素をスクリーニングするための例示的な方法論を提供する。個々の例には、LT−300を純度および分子量の必要条件のベンチマークとして用いた。しかしながら、所望の生成物および費用効率などのその他の要因によっては、その他のベンチマークが適当である場合もある。再検討した因子としては、純度必要条件が合致するしないにかかわらない(単独またはFred−Lと組み合わせて)、机上生産における有用性および分子量プロフィールが挙げられる。
【0121】
材料および方法:
オオムギ粉末をβ−グルカンの供給源として用いた。個々の例には、この供給源またはオオムギ粉末は、どの試験にも不明であるが同一であるロットを用いた。全ての消化は水道水中10%の固体で実施した。消化はグラスライニング反応装置中で実施し、個々の必要条件に加熱し、内部をモニタリングした。反応装置には空気攪拌器および冷水濃縮カラムを装備した。水を所望の温度まで加熱した後、少量の緩衝用粉末(100mL H2Oあたり約1g)を添加した。次いで、酵素を固体ベースで5%加えた。次いで、残りの粉末を加えた。必要であれば、製造業者のpHの指定に応じて6N NaOHまたは1M HClのいずれかを用いてpHを調整した。作動時間は90分であった。
【0122】
酵素 pH 温度C Ca2+(ppm)
テナーゼ(Tenase)
L−1200 6.0 70 200〜400
クララーゼ(Clarase)
L−40000 5.2 50 なし
マルチフレッシュ(Multifresh) 4.2 70 なし
G997 5.7 95 30
【0123】
90分後、全ての消化物を8000rpmで10分間遠心分離した(ベックマン(Beckman) J2−21M r 最大=11300xg)。上清で粘度および溶解した固体測定値をとり、固体を廃棄した。抽出物を1:1(v:v)比の試薬アルコール(5% 2−プロパノール、90〜91% 200プルーフのエタノールおよび4〜5%メタノール)で沈殿させた。サンプルを一晩保持し、遠心分離し、デカントした後、固体画分をサンプル容積の3倍のアルコール試薬で洗浄した。サンプルをWhatman#4ペーパーで濾過し、70℃の真空オーブン中で少なくとも1時間乾燥させた。
【0124】
結果および考察:
粘度:典型的なLT−300消化により15センチポアズに近い粘度の上清が得られた。テナーゼL−1200の粘度測定値はそのレベルをはるかに下回った。クララーゼL−40000は粘度の低下を示したが、なお目標とされた範囲よりも高かった。その他の2種類の酵素、マルチフレッシュおよびG997は測定するには粘度があまりに高かった。この情報から、マルチフレッシュおよびG997のこれ以上の研究を見送ることを決定した。
【0125】
酵素 粘度(cP)
テナーゼ L−1200 2.46
クララーゼ L−40000 25
マルチフレッシュ 該当なし
G997 該当なし
テナーゼおよびフレッド−L 6.09
【0126】
溶解した固体:この測定値から本発明者らは水溶性繊維が消化中に抽出されたとの考えを抱いた。糖類およびその他の炭水化物も抽出された。つまり溶解した固体の約15%だけが純度の合う生成物に沈殿する。参考に、LT−300消化は一般に4.5〜9%DSの間で行われる。見ての通り、テナーゼを用いて抽出された固体の量はベンチマークに近かった。従って、クララーゼをさらに研究しないことを決定した。
【0127】
酵素 DS% DWB純度
テナーゼL−1200 6.36% 42.6%
クララーゼL−40000 2.36
テナーゼL−1200とフレッド−L 7.85% 71.9%
【0128】
純度:上記データを基に、テナーゼL−1200消化物だけを沈殿させ、純度を分析した。単独では、テナーゼL−1200だけが純度42.6%を達成した。しかし、フレッド−Lの消化と組み合わせると純度は72%に達した。全体的なβ−グルカン収量はLT−300ベンチスケールの収量に非常に近く、約85%の回収率であった。
【0129】
分子量:3回のテストを基に、テナーゼL−1200サンプルの重量平均分子量分布はLT−300サンプルで報告されたものより少なかった(それぞれ73,000対100〜150,000)。しかし、MALLSクロマトグラムは2つピークを示し、2つのうちの大きいほうは50,000ダルトンに近かった。もう1つのピークは不純物ピークと考えられる。この研究は、多角度光散乱検出器(MALLS)および屈折率(RI)検出器を併用したサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて実施した。
【0130】
とにかく、テナーゼL−1200からは、LT−300を用いて製造した製品よりも平均分子量の小さい製品が得られるはずである。注目すべきは、製品はベンチスケールで製造されると分子量が低くなり得ることである。例えば、LT−300を用いて製造された製品の重量平均分子量は、ベンチスケールで約100,000〜約150,000ダルトンの範囲であるが、パイロットスケールでは約180,000であった。
【0131】
実施例18
繊維およびカルシウムを強化した白パンを実施例11および表2に記載の食物繊維組成物を用いて製造した。実施例10に示したように、オオムギβファイバーが高純度であるため、僅か1.1gの当製品で一食50gあたり0.75gのβ−グルカンを供給することができる。オオムギβファイバーを含有するパン生地(dough)またはバターは、従来の製法と比較して水と混和時間を僅かに多く必要とし得る。以下の例は、一食50gあたり0.75gのオオムギβファイバー、3gのオリゴファイバー(Oliggo-Fiber)(商標)由来の繊維、および200mgのカルシウムを供給する短時間パン製造のためのものである。
【0132】
繊維およびカルシウム強化白パン
成分
カーギル・アルチザンブレッド用小麦粉 48.72
カーギル・オリゴファイバー(商標)
F−97イヌリン 5.75
グルテン粉 3.08
カーギル・オオムギβファイバー 2.06
カーギル・多目的用ショートニング 1.76
カーギル砂糖 1.64
カーギル・ハイグレード塩 1.19
硫酸カルシウム 1.07
パン生地調整剤 0.82
酵母 2.06
水 31.85
合計 100.00
【0133】
手順:
1.10クオートのボウルを備えたA−100ホーバートミキサーの中で材料を混ぜ合わせてパン生地を作る。パン生地フックを用いて、低速で1分間混合し、2速で10分間またはグルテンが十分発展するまでこねる。パン生地の温度は84〜86°Fでなくてはならない。
2.パン生地を1片510グラムに分割し、丸めて10分寝かせる。
3.シート状に伸ばし、成形し、薄く油をひいた標準的な8インチのパンの焼き型にパン生地を入れる。
4.105°Fおよび相対湿度95%で45分間、またはパンの塊が焼き型の側面から1.5インチせり上がるまで寝かせて膨らませる。
5.400°Fで27分間焼く。
6.焼き型から取り出し、冷ます。
【0134】
実施例19
朝食用シリアルのコーンフレークを、実施例11、表2に記載の食物繊維組成物を用いて製造した。以下の例は押し出されて薄片となった朝食用シリアルのためのもので、乾燥シリアル一食30gあたりにオオムギβ−グルカンを3.0g含むよう製造された。これはたった一食でオーツ麦の栄養機能表示に求められるβ−グルカンの1日のレベルを満たす。
【0135】
朝食用シリアルコーンフレーク
湿潤混合成分
水 96.00
モルトシロップ 4.00
合計 100.00
乾燥混合成分
カーギル・トウモロコシコーン 75.98
カーギル・オオムギβファイバー 13.79
カーギル砂糖 7.48
カーギル・ハイグレード塩 1.76
モノグリセリドおよびジグリセリド 0.88
ビタミンおよびミネラル・プレミックス 0.11
合計 100.00
方法:
重量比80:20の乾燥混合物と湿潤混合物を押し出し、薄片にし、約2%の最終湿度まで焼いた。
【0136】
実施例20
高純度(≧70%)のβ−グルカン組成物、例えば実施例11および表2に記載のオオムギβファイバー組成物は、その機能上および健康上の利点のために種々の飲料への適用に使用できる。予備調査(実施例13および16参照)は、オオムギβファイバーが血清コレステロールレベルを低下させるという利点を持っている可能性があることを示唆している。可溶性食物繊維の高濃縮源として、一食8オンスあたり0.75gのβ−グルカンを供給するのに、僅か0.45%のオオムギβファイバーしか必要でない。繊維強化以外にオオムギβファイバーを用いて、クリーミーなマウス・フィールを与え、濃度を改良し、粘度を与え、固形物を懸濁することもできる。
【0137】
オオムギβファイバーを有効に水和し分散させるため、以下の技術を提案する。
・オオムギβファイバーと、分散中に粒子を分離させるのに役立つその他の乾燥成分、例えば砂糖、マルトデキストリン、またはデンプンとを予め混合する。オオムギβファイバーを植物油、コーンシロップ、または別の非溶媒と予め混合させておくのも有益であり得る。
・水相を90℃まで予熱し、その後オオムギβファイバーを分散させる。
・激しく攪拌した温水のボルテックスの中にオオムギβファイバーをゆっくりと計量しながら入れて完全に分散させる。これは高シヤーミキシングを用いて達成できる。分散用漏斗および混合物排出装置などの吸引装置も有用であり得る。
・溶液を5〜30分間混合する間に水和および可溶化させる。要する混合時間は個々の配合、方法、および使用する装置に応じて変わる。
・残りの飲料成分を加え、分散後にpHを調整すると、最良の可溶性および安定性を目的とするオオムギβファイバーの水和は完成する。
【0138】
オオムギβファイバーを用いて種々の炭酸および非炭酸飲料、濃縮またはそのまま飲める飲料、温飲料または冷飲料を強化できる。このような適用の例として、ジュース,果実および/または野菜ジュース飲料、スムージー、ミールリプレイスメント、ミルク、乳成分ベースおよび大豆ベースの飲料、スポーツおよびエネルギー・ドリンク、紅茶およびコーヒー、クリーム、水、フローズン・ドリンクなどが挙げられる。
【0139】
以下は1杯8オンス(240mL)あたり0.75gのオオムギβファイバーを含む健康的かつ爽やかな果汁飲料の配合である。濃縮果汁および調味料の種々の組み合わせで独自のカスタムブレンドを作り出すことができる。このアプローチを用いて、オオムギβファイバーを強化したその他の飲料を同様に製造できる。
【0140】
オオムギβファイバージュース飲料
成分
水 96.886
カーギル・オオムギβファイバー 0.45
カーギル濃縮果汁 2.00
カーギル強甘味度甘味料 0.22
カーギル酸味料 0.18
調味料 0.15
着色料 0.014
クエン酸カリウム 0.10
合計 100.00
【0141】
手順:
1.水を90℃まで加熱する。
2.高シヤーミキシング装置を用いて水のボルテックスの中へゆっくりオオムギβファイバーを撒く。15分間混合する。
3.濃縮果汁、甘味料、酸味料、調味料、および着色料を加える。5分間混合する。
4.酸味料を用いてpHを3.2に調整する。
5.熱処理し充填する
【0142】
実施例21
本発明に従う高純度(純度≧70%)のβ−グルカン製品、例えば実施例11および表2に記載のオオムギβファイバーは、種々のスープおよびソースへの適用において使用できる。可溶性繊維の高濃縮源として、一食あたり0.75gのβ−グルカンを供給するのに本オオムギβファイバーは僅か1.1gしか必要でない。オオムギβファイバーを用いて、クリーミーなマウス・フィールを与え、粘着性を改善し、粘度を与え、固形物を懸濁することもできる。
【0143】
オオムギβファイバーを効果的に分散および水和させるため、以下の技術を提案する。
・オオムギβファイバーと、分散中に粒子を分離させるのに役立つマルトデキストリンなどのその他の乾燥成分とを予め混合する。オオムギβファイバーを植物油、コーンシロップ、または別の非溶媒と予め混合させておくのも有益であり得る。
・水相を90℃まで予熱し、その後オオムギβファイバーを分散させる。
・オオムギβファイバーを徐々に計量しながら激しく攪拌した湯のボルテックスの中に入れて完全に分散させる。これは高シヤーミキシングを用いて達成できる。分散用漏斗および混合物排出装置などの吸引装置も良好な分散を実現するために有用であり得る。
・溶液を5〜30分間混合する間に水和および可溶化させる。要する混合時間は個々の配合、方法、および使用する装置に応じて変わる。
オオムギβファイバーの適用可能な例としては、クリームスープ、コンソメスープ、ソース、ディップ、ドレッシング、スプレッドなどが挙げられる。
以下は心臓の健康のための濃縮チキンクリームスープの製法である。これは低脂肪および低ナトリウムで、一食8オンスあたり0.75gのオオムギβファイバーを含む(水で1:1希釈後)。
【0144】
心臓の健康のための濃縮スープ
成分
水 76.055
チキンブロス 5.000
カーギル・マルトデキストリン 2.900
チキンスープベース 5.200
カーギル食品用加工デンプン 3.200
調理済みチキンブイヨン 2.000
カーギル・オオムギβファイバー 1.200
濃縮ホエータンパク質 1.000
カーギル・大豆サラダ油 1.000
モノグリセリドおよびジグリセリド 0.500
調味料 0.800
香辛料および調味料 0.970
微晶質セルロース 0.150
着色料 0.025
合計 100.00
【0145】
手順:
1.オオムギβファイバーとマルトデキストリンを予め混合し、その後高シヤーで混合しながらゆっくり水に加える。3分間混ぜ合わせる。
2.セルロースを加える。2分間混ぜ合わせる。
3.大豆油に乳化剤を溶かし、オオムギβファイバー調製物を混合しながら加える。
4.デンプンおよび濃縮ホエータンパク質を混合しながら加える。
5.調味料、香辛料、および着色料を予め混合する。混合しながら加える。
6.チキンベースを加える。
7.混合物を3分間混ぜ合わせて滑らかな濃度にする。
8.鶏肉を入れてよくかき混ぜる。
9.缶または瓶およびレトルト容器に充填する。
【0146】
実施例22
本発明に従う高純度(純度≧70%)のβ−グルカン製品、例えば実施例11および表2に記載のオオムギβファイバーは、その機能上および健康上の利点からヨーグルトおよびその他の乳製品への適用に使用できる。オオムギβファイバーを用いて、粘度を高め、クリーミーなマウス・フィールを与えることができる。オオムギβファイバーは発酵乳相に組み込んでも、またはヨーグルトと混ぜ合わせるフルーツ風味系に組み込んでもよい万能の成分である。
以下は一食あたり170g(6オンス)0.75gのオオムギβ−グルカンを含むヨーグルトの製法である。
【0147】
プレーンヨーグルト
成分
脱脂粉乳 86.35
カーギル砂糖 8.00
無脂乳固形分 3.00
安定剤 1.50
カーギル・オオムギβファイバー 0.65
菌株 0.50
合計 100.00
【0148】
手順:
1.砂糖、無脂乳、安定剤およびオオムギβファイバーを予め混合する。
2.乾燥成分を牛乳の中に入れ十分水和するまで5分間混ぜ合わせる。
3.バッチを蒸気の上で華氏185〜190°で10分間低温殺菌する。
4.華氏112°まで冷却し、種菌を入れてかき混ぜる。
5.pH4.6までインキュベートする。
6.滑らかになるまで混ぜ合わせ、冷蔵して固める。
【0149】
オオムギβファイバーを、ヨーグルトと混ぜ合わせるフルーツ風味系によって提供してもよい。以下のフルーツ風味系をヨーグルト対香味料系80:20で混ぜ合わせると、一食170g(6オンス)あたり0.75gのオオムギβファイバーが提供される。
【0150】
フルーツ風味系
成分
液糖(砂糖67%) 51.91
カーギル・ハイフルクトース コーンシロップ 28.75
果物片 15.00
カーギル・オオムギβファイバー 3.24
着色料 0.50
調味料 0.60
合計 100.00
【0151】
1.甘味料、オオムギβファイバー、着色料および香料を予め混合する。
2.風味系と培養したヨーグルトを20:80の比で混合し、滑らかになるまで混ぜ合わせる。
3.果実片を入れてよくかき混ぜる
4.冷蔵して固める。
【0152】
実施例23
風味の標準官能評価。ベテラン回答者群(n=4)に室温のサンプルの味見をしてもらう。回答者らにサンプルの全体的な風味強度に対して一致した意見を求め、サンプルの風味特性に関する意見も求めた。全体的な風味強度を0から7の尺度で格付けした。0=味気なし、1=閾値、2=ごく僅か、3=軽い、4=軽め、5=適度、6=強め、および7=強い。香料の特徴についての意見には、穀物のような、青臭い、樹木のような、酸化した、苦い、などが挙げられる。
【0153】
具体的な事例では、4名の回答者に1重量%の本発明の繊維組成物溶液を与えた。この繊維組成物は、重量平均分子量約185,000および粘度57cpsであるβ−グルカン繊維の純度が約70%であった(すなわち、組成物に約70%のオオムギβファイバーを含む)。回答者らは室温で製品を味見し、風味強度は4であるとの意見で一致し、調味料の特徴は「青臭い」および「オートミール臭」であったと述べた。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】本発明のβ−グルカンの、平均Mw約120,000および平均Mw約170,000のサンプルについての分子量分布を示す図である。
【図2】本発明の食物繊維含有組成物の、F1雄ハムスターの6週間消費についての平均総コレステロールレベルに対する作用を示す。各群について、n=10。
【図3】本発明の食物繊維含有組成物の、F1雄ハムスターの6週間消費についての平均HDLコレステロールレベルに対する作用を示す。各群について、n=10。
【図4】本発明の食物繊維含有組成物の、F1雄ハムスターの6週間消費についての平均非HDLコレステロールレベルに対する作用を示す。各群について、n=10。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
β−グルカンを含有する穀物から分離された食物繊維組成物であって、以下の:
穀物のβ−グルカンの改変型である、約50kDa〜約1000kDaの範囲の重量平均分子量をもつβ−グルカン化合物、
を含み、そして上記食物繊維組成物と水との1重量%混合物が安定であり、かつ、約1500cps以下の粘度をもつ前記食物繊維組成物。
【請求項2】
前記β−グルカン組成物が約3重量%未満のタンパク質含量を有する、請求項1に記載の食物繊維組成物。
【請求項3】
前記β−グルカン化合物が前記組成物の少なくとも30重量%を構成する、請求項1に記載の食物繊維組成物。
【請求項4】
前記β−グルカン化合物が前記組成物の少なくとも40重量%を構成する、請求項2に記載の食物繊維組成物。
【請求項5】
前記β−グルカン化合物が前記組成物の少なくとも70重量%を構成する、請求項3に記載の食物繊維組成物。
【請求項6】
前記重量平均分子量が約750kDa未満である、請求項1に記載の食物繊維組成物。
【請求項7】
前記食物繊維組成物が標準官能試験により決定される約5以下の風味強度をもつ、請求項1に記載の食物繊維組成物。
【請求項8】
前記食物繊維組成物が約3以下の風味強度をもつ、請求項7に記載の食物繊維組成物。
【請求項9】
前記食物繊維組成物が約2以下の風味強度をもつ、請求項8に記載の食物繊維組成物。
【請求項10】
重量平均分子量が、約100kDa〜約250kDaの範囲にある、請求項6に記載の食物繊維組成物。
【請求項11】
重量平均分子量が、約120kDa〜約170kDaの範囲にある、請求項10に記載の食物繊維組成物。
【請求項12】
前記粘度が約100cps以下である、請求項1に記載の食物繊維組成物。
【請求項13】
前記粘度が約60cps以下である、請求項12に記載の食物繊維組成物。
【請求項14】
前記粘度が約5以下である、請求項13に記載の食物繊維組成物。
【請求項15】
前記食物繊維組成物が約2%以下の脂肪含量をもつ、請求項1に記載の食物繊維組成物。
【請求項16】
前記組成物が、食品または飲料製品に組み入れられている、請求項1に記載の食物繊維組成物。
【請求項17】
前記食品または飲料製品が、焼いた食品、シリアル、押出スナック、肉代用食品、バー、サラダ用ドレッシング、スープ、ソース、ヨーグルト、冷菓デザート、冷蔵および冷凍パン生地、ならびに砂糖菓子から選択される食品である、請求項16に記載の食物繊維組成物。
【請求項18】
前記食品または飲料製品が、パン、ロール、丸いパン、トウモロコシパン、無発酵パン、ドーナツ、マフィン、ベーグル、フラットブレッド、パンケーキ、ワッフル、クッキー、ケーキ、ペストリー、クロワッサン、スコーン、ビスケット、クラッカー、プレッツェル、トーティーヤ、タコ・シェル、パスタ、パイクラスト、ピザクラストおよびベーカリーミックスから選択される焼いた食品である、請求項17に記載の食物繊維組成物。
【請求項19】
前記焼いた食品が、パン用小麦粉、多目的ショートニング、砂糖、塩、硫酸カルシウム、パン生地調整剤、イースト、水および小麦グルテンをさらに含む白パンである、請求項18に記載の食物繊維組成物。
【請求項20】
前記食品または飲料製品が、ミール・リプレイスメント・バー、エネルギー・バー、ハイプロテイン・バー、グラノーラ・バー、フィリング無添加シリアル・バー、およびフィリング添加シリアル・バーから選択されるバーである、請求項17に記載の食物繊維組成物。
【請求項21】
前記バーが、大豆タンパク質、カゼインカルシウム、ホエータンパク質濃縮物、ビタミンおよびミネラル・プレミックス、塩、ハイフルクース・コーンシロップ、ハイマルトース・コーンシロップ、蜂蜜、キャノーラ油、大豆油、および水をさらに含むミール・リプレイスメント・バーである、請求項20に記載の食物繊維組成物。
【請求項22】
前記食品または飲料製品が、水、チキンブロス、マルトデキストリン、スープベース、食品用加工デンプン、ホエータンパク質濃縮物、大豆サラダ油、モノグリセリドおよびジグリセリド、ならびに水をさらに含むスープである、請求項16に記載の食物繊維組成物。
【請求項23】
前記食品または飲料製品が、液糖およびハイフルクトース・コーンシロップをさらに含むヨーグルトである、請求項16に記載の食物繊維組成物。
【請求項24】
前記食品または飲料製品が、ジュース、ジュース飲料、ミルク、ミルク飲料、ミール・リプレイスメント飲料、ダイエットおよび体重管理飲料、粉末ドリンク・ミックス、乳成分ベースの飲料、乳成分を含むクリームおよび乳成分を含まないクリーム、大豆ベースおよび米ベースの飲料、エネルギーおよびスポーツ・ドリンク、ハイプロテイン・ドリンク、炭酸ドリンク、ゲル・ドリンク、水およびニア・ウォーター、紅茶ベースの飲料、コーヒー・ベースの飲料、果実および野菜ベースの飲料、ならびにスムージーから選択される飲料製品である、請求項16に記載の食物繊維組成物。
【請求項25】
前記食品が、果汁濃縮物、強甘味度甘味料、酸味料および水をさらに含むジュース飲料である、請求項24に記載の食物繊維組成物。
【請求項26】
穀物のβ−グルカンの分子量を低下させる方法であって、以下の:第1の酵素または酵素の第1の組合せを用いて穀物中に見られる多糖類の非特異的消化を実施するステップを含み、ここで、上記多糖類がある重量平均分子量のβ−グルカンおよびデンプンを含み、そして上記非特異的消化によってβ−グルカンの重量平均分子量を低い重量平均分子量にまで低下させ、かつ、デンプンを分解する前記方法。
【請求項27】
前記第1の酵素または酵素の第1の組合せがアミラーゼ、セルラーゼおよびグルカナーゼ活性を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の酵素または酵素の第1の組合せが、SPEZYME(登録商標)LT−75またはSPEZYME(登録商標)LT−300から選択される第1の酵素である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記低い重量平均分子量が約50kDa〜約1000kDaの範囲にある、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記低い重量平均分子量が約120kDa〜約170kDaの範囲にある、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
第2の酵素または酵素の第2の組み合わせを用いて、デンプンをさらに消化することをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
LDL−Cを低下させるのに十分な量のβ−グルカン組成物を含む組成物であって、該β−グルカン組成物が、重量平均分子量が約200kDA以下であるβ−グルカン化合物を含み、かつ、該β−グルカン組成物が100cps以下の粘度をもち、そして前記食物繊維組成物と水との1重量%混合物が安定であり、かつ、その粘度が約1500cps以下である前記組成物。
【請求項33】
食物繊維含有物質の獲得方法であって、以下のステップ:
第1の外来酵素と、第2の外来酵素と、β−グルカンおよびデンプンを含む1種以上の穀物とを含む成分を有する水性混合物を形成し;
第1の外来酵素によって触媒される第1の加水分解反応により、β−グルカンの結合の少なくとも一部を切断し、ここでβ−グルカンの平均分子量を低下させ;および第2の外来酵素によって触媒される第2の加水分解反応により、デンプンの結合の少なくとも一部を切断し;
上記混合物の一部分を分離および単離し、ここで、上記分離した部分がβ−グルカンの少なくとも一部を含み;
分離した部分内のβ−グルカンを精製し;
食物繊維含有物質を獲得する;ここで、上記食物繊維含有物質がβ−グルカンを40パーセントよりも多くを含み、かつ、上記食物繊維含有物質内のβ−グルカンの平均分子量が400,000ダルトンよりも小さい、
を含む前記方法。
【請求項34】
少なくとも、前記第1の加水分解反応の一部分と、前記第2の加水分解反応の一部分が実質的に同時に起こる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第1の外来酵素がデンプン結合も切断する、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記第2の加水分解が前記第1の加水分解後に起こり、上記第1の加水分解中に前記水性混合物がある温度を有し、そして該温度を、前記第1の外来酵素を実質的に不活化するのに十分に高いレベルに上昇させ、次いで、上記第2の加水分解が開始する、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記水性混合物がある温度を有し、上記水性混合物の温度を、前記第1の外来酵素を実質的に不活化するのに十分に高いレベルまで上昇させ;上記水性混合物に第3の外来酵素を添加し;そして、少なくとも上記第3の外来酵素によって触媒される第3の加水分解反応により、デンプンの残存する切断されていない結合の少なくとも一部を切断し、デンプンが実質的に消化されることをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記1種以上の穀物が、オートムギ、オオムギ、ライムギ、およびライコムギからなる群から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記第1の外来酵素がセルラーゼ活性を示す、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記酵素がβ−グルカナーゼ活性をさらに示す、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記β−グルカナーゼが、デンプンのゼラチン化温度よりも高い温度で活性である、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記第2の外来酵素がアミロティック活性を示す、請求項33に記載の方法。
【請求項43】
前記水性混合物が水性スラリーである、請求項33に記載の方法。
【請求項44】
前記第1の外来酵素によって触媒される前記第1の加水分解反応による、β−グルカンの結合の少なくとも一部の切断が、水性混合物の温度が約65℃〜約75℃の間で起こる、請求項33に記載の方法。
【請求項45】
少なくとも前記第3の外来酵素によって触媒される前記第3の加水分解反応による、デンプンの結合の少なくとも一部の切断が、水性混合物の温度が約90℃〜約110℃の間で起こる、請求項33に記載の方法。
【請求項46】
前記第2の外来酵素によって触媒される前記第2の加水分解反応による、デンプンの結合の少なくとも一部の切断が、水性混合物の温度が約90℃〜約110℃の間で起こる、請求項36に記載の方法。
【請求項47】
前記第3の外来酵素が前記第2の外来酵素として第1であり、そして上記第2の外来酵素によって触媒される前記第3の加水分解反応による、デンプンの結合の少なくとも一部の切断が、水性混合物の温度が約90℃〜約110℃の間に起こる、請求項37に記載の方法。
【請求項48】
前記食物繊維含有物質が約1%以下の脂肪を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項49】
前記食物繊維含有物質が約5%以下のタンパク質を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項50】
前記食物繊維含有物質が約75%以上の食物繊維を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項51】
前記β−グルカンが約1.0〜約6.0の範囲の多分散性を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項52】
前記食物繊維含有物質が中性のマウス・フィールを有する、請求項33に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−521828(P2006−521828A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509681(P2006−509681)
【出願日】平成16年4月2日(2004.4.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/010355
【国際公開番号】WO2004/086878
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(505040062)カーギル,インコーポレイティド (23)
【Fターム(参考)】