説明

低刺激性アシルイセチオネートトイレットバー組成物

C8−C18のジアシルイセチオネートおよびモノアシルイセチオネートの双方を特定した比で含有し、場合によってはさらに少量のセッケンを含有している低刺激性トイレットバー組成物が記載されている。トイレットバーは、使用中に低刺激洗浄、低マッシュレベルおよび低磨耗率レベルを与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に洗浄用バー(洗浄用固形製品)、より特定的には低マッシュ率および低磨耗率の低刺激洗浄用バーに関する。
【背景技術】
【0002】
低刺激トイレットバー(洗浄用固形製品)には一般に、セッケンのかなりの部分に代替して合成洗剤(シンデット)が配合されている。アシルイセチオネートまたはエステル化脂肪イセチオネートを配合した合成洗剤含有またはシンデット含有トイレットバーが、肌触り、泡立ちおよび滑りなどの優れた特性を示す低刺激洗浄用バーとしてかなり有用であることは知見されている。しかしながらこのようなバーは、加工が難しく、また、セッケンのような構造化剤をかなりのレベルで配合しなければ望ましくないマッシュレベルや高い磨耗率を示すこともある。
【0003】
肌触りがよく、加工し易く、また、構造化剤の高レベル使用を要せずに高マッシュレベルおよび高磨耗率などの欠点が抑えられる低刺激アシルイセチオネート基剤のシンデットバーの製造が切実に要望されている。
【0004】
DEFI(直接エステル化脂肪イセチオネート)テクノロジイ、特にココヤシ脂肪酸との反応体としてナトリウムイセチオネートを用いて製造されたトイレットバーの使用は、例えば、1959年7月14日付けでGeitzに許諾された米国特許第2,894,912号に開示されている。ナトリウムイセチオネート(AIT)に代わり得る代替反応体を組込んだ“DEFI様”低刺激界面活性剤の使用も開示されている。
【0005】
2003年5月13日付けでIlardiらに許諾された米国特許第6,562,874号は、AITを特定アルコールで置換することおよび脂肪酸を代替カルボン酸などで置換することを教示しており、また、低刺激性を強化するためのその他の配合組成の変更を教示している。1968年4月2日付けでHaasおよびLambertiに許諾された米国特許第3,376,229号は、固化剤としてアルカリ金属イセチオネートを使用することを開示している。TokoshおよびCahn(1979年12月25日許諾の米国特許第4,180,470号)は、バーの固化剤としてアルコキシ−ヒドロキシプロパンスルホネートを使用することを教示している。
【0006】
(1種類または複数の)二価金属イセチオネートは、(1種類または複数の)一価のC8−C18イセチオネート(例えばココイルイセチオネート)と共に特定範囲の割合で使用したとき、後述するようにDEFI反応混合物と共に高クラフト点錯体を形成し、従って、一価の金属ココイルイセチオネートだけから成る従来技術のトイレットバーに比べて、溶け難く、耐摩耗性がよく、マッシュになり難いトイレットバーを提供することが意外にも知見された。本発明のバーに使用するDEFI反応混合物は30℃よりも高温のクラフト点を有しているのが好ましい。
【0007】
1つの目的によれば本発明は、非限定的に、
(a)0−約30重量%の脂肪酸セッケンと、
(b)約15−75重量%のC8−C18ジアシル−/モノアシル−イセチオネートブレンドと、
を含み、ジアシルイセチオネート対モノアシルイセチオネートの比が約1:100−1:1の範囲であり、
(c)バーが、25℃、50%RHで約20KPa−400KPaの範囲の降伏応力値を有しているトイレットバーを提供する。
【0008】
添付図面を参照しながら本発明を例示的に説明する。
【0009】
本発明の1つの目的によれば、非限定的に、
(a)約0−30重量%、好ましくは上限が約5、10、15、20または25重量%の脂肪酸セッケンを含み、好ましくは脂肪酸セッケンがC6−C22またはより好ましくはC8−C18の脂肪酸セッケンであり、
(b)約15−75重量%のC8−C18のジアシル−/モノアシル−イセチオネートブレンドを含み、好ましくはC8−C18のジアシル−/モノアシル−イセチオネートブレンドがトイレットバーを基準として少なくとも約30、40、50または56重量%で存在し、
(c)ジアシルイセチオネート対モノアシルイセチオネートの比が約1:100−1:1の範囲であり、ジアシルイセチオネート対モノアシルイセチオネートの比の好ましい上限が約1:30、1:25、1:20または1:15であり、好ましい下限が約1:3、1:5、1:8または1:10であり、
(d)後述の手順で測定してバーが25℃、50%RHで約20KPa−400KPaの範囲の降伏応力値を有しているトイレットバーが提供される。本発明のバーの降伏応力値は好ましくは約100−約300KPaの範囲である。
【0010】
本発明のバーを押出および打抜きによって製造するとき、後述する伸び応力試験によって測定したバーが約0.03秒−1の伸び率で約100KPa超の伸び応力剛性率を有しているのが好ましい。伸び応力剛性率は好ましくは約150、175、200または215Kpa超であろう。
【0011】
バー中に約3−15重量%(好ましくは10%、8%、6%および5%未満)の水、および、約10−40重量%のC8−C18好ましくはC16−C18脂肪酸のブレンドが存在するのが有利である。脂肪酸が少なくとも15、20、25または30重量%の濃度で存在するのが有利である。
【0012】
好ましくは約0.1−15重量%のアルカリ金属イセチオネート塩とアルカリ土類金属イセチオネート塩とのブレンドが存在し、アルカリ土類金属イセチオネート対アルカリ金属イセチオネートの比は約1:100−1:1の範囲である。アルカリ土類金属イセチオネート対アルカリ金属イセチオネートの比の好ましい上限は約1:30、1:25、1:20または1:15であり、好ましい下限は約1:3、1:5、1:8または1:10である。
【0013】
(1種類または複数の)ジアシルイセチオネート対イオンが、マグネシウム、カルシウムまたはそれらのブレンドから選択され、(1種類または複数の)モノアシルイセチオネート対イオンが、ナトリウム、カリウムまたはそれらのブレンドから選択されるのが有利である。(1種類または複数の)ジアシルイセチオネート対イオンがさらに他の二価のカチオンを含んでもよく、(1種類または複数の)モノアシルイセチオネート対イオンがさらに他の一価のカチオンを含んでもよい。
【0014】
好ましくは本発明のトイレットバーが0−約20重量%の脂肪酸セッケンを含有する。脂肪酸セッケンの好ましい量は少なくとも約1、3、4、6、8または10重量%であろう。
【0015】
より好ましくは本発明のバーは、約35−74重量%のC8−C18モノアシルイセチオネートと約0.1−35重量%のC8−C18ジアシルイセチオネートとを含有する。モノアシルイセチオネートの好ましい上限レベルは少なくとも約40、50、55または65重量%である。ジアシルイセチオネートの好ましい上限レベルは少なくとも約2、4、6または8重量%である。
【0016】
本発明のバーに存在する(1種類または複数の)ジアシルイセチオネートの全量の少なくとも約60、70、80、90または95%がマグネシウムココイルイセチオネートであり、存在する(1種類または複数の)モノアシルイセチオネートの全量の少なくとも約60、70、80、90または95%がナトリウムココイルイセチオネートであるのが有利である。押出可能な本発明のバーはC8−C18のアルカリ金属アシルイセチオネートとアルカリ土類金属アシルイセチオネートとのブレンドを好ましくは約35−90重量%の量で含有している。C8−C18のアルカリ金属アシルイセチオネートとアルカリ土類金属アシルイセチオネートとのブレンドの好ましい上限レベルは少なくとも約40、50、60または75重量%である。
【0017】
押出可能なバー中ではC8−C18のアルカリ金属アシルイセチオネートおよびアルカリ土類金属アシルイセチオネートが約40−50重量%の範囲で存在するのがより好ましい。これに比較して溶融注型可能な本発明のバーはC8−C18のアルカリ金属アシルイセチオネートとアルカリ土類金属アシルイセチオネートとのブレンドを好ましくは約30または25重量%以下の量で含有するのが好ましい。
【0018】
好ましくはバーが約0.1−10重量%のナトリウムイセチオネートと約0.1−10重量%のマグネシウムイセチオネートとを含有する。ナトリウムイセチオネートの下限は、約0.5、1、1.5および2重量%が有利であり、上限は約3、4、5または6重量%が有利であろう。マグネシウムイセチオネートの下限は、約0.5、1、1.5および2重量%が有利であり、上限は約3、4、5または6重量%が有利であろう。
【0019】
本発明のバー中の脂肪酸セッケンはC6−C22セッケン、好ましくはC8−C18セッケンのブレンドを含むのが有利である。好ましい実施態様では、本発明のバーがさらに、(1種類または複数の)C8−C22アルキルスルフェート、(1種類または複数の)C8−C22アルキルスルホスクシネート、(1種類または複数の)C8−C22アルキルスルホネート、(1種類または複数の)C8−C22脂肪酸エステルスルホネート、それらの誘導体およびブレンドから選択されたノンソープアニオン性界面活性剤を、イセチオネートを除くノンソープアニオン性界面活性剤の全量として0.1−15重量%の範囲で含む。好ましくはイセチオネートを除くノンソープアニオン性界面活性剤の全量が少なくとも約2、3、4または5重量%である。
【0020】
好ましくはバーがさらに、好ましくは酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、塩化亜鉛、ジンクココエート、それらのブレンドなどから選択された1種類または複数の亜鉛またはジルコニウムの化合物またはそれらのブレンド、好ましくはそれらの酸化物、ハロゲン化物またはセッケンを少なくとも約0.05重量%の量で含む。好ましくは、(1種類または複数の)亜鉛またはジルコニウムの化合物またはそれらのブレンド全量がバーを基準として約5、4、3、2、1、0.8、0.5または0.2重量%までの量、好ましくは約0.15、0.13または0.10重量%までの量で存在する。
【0021】
本発明のバー中の遊離水の量は約15重量%未満が有利である。好ましくは遊離水が最大値約10、8、6または5重量%まで存在できる。本文中の遊離水という用語は、バー中に存在しており水溶性材料と溶媒和できる水の量であると定義する。この能力は、不溶媒和材料、他の水和物錯体の結晶水などのような結合水の能力に対比される。結合水は遊離水と同じ程度まで水溶性材料と溶媒和することはできない。
【0022】
好ましくは本発明のバーは少なくとも約0.01重量%の疎水性皮膚緩和剤を含む。疎水性皮膚緩和剤は好ましくは、シリコーン油、グリセリド油(例えば、ホホバ、ダイズ、ヒマワリ、オリーブ、ココヤシなど)、鉱油、ワックス(例えば蜜蝋、カルナバ蝋、ラノリン)などから選択される。より好ましくは本発明のバーは、少なくとも約5、10、15、20または25重量%の遊離脂肪酸を含有している。
【0023】
好ましい実施態様では、本発明のバーのマッシュ率が約0.99−約0.3の範囲である。マッシュ率は、後述するマッシュ法で測定したときのアルカリ土類金属アシルイセチオネート非含有の対照セッケンに対する本発明セッケンのマッシュ値の比である。好ましいマッシュ率は約0.9、0.8未満、より好ましくは約0.7未満である。
【0024】
界面活性剤は本発明のトイレットバーの必須成分である。界面活性剤は、それらが溶解している水溶液の表面張力を低下させるべく作用する疎水性部分と親水性部分とをもつ化合物である。必要なモノアシルイセチオネートおよびジアシルイセチオネート以外の有用な界面活性剤は、(1種類または複数の)セッケン、アニオン性、非イオン性、両性およびカチオン性のノンソープ界面活性剤およびそれらのブレンドである。
【0025】
本発明のトイレットバーは一般式:
RC−O(O)−CH−CH−SO
または
(RC−O(O)−CH−CH−SO++
を有しているモノアシルおよびジアシル双方のC8−C18イセチオネートを含有する。
【0026】
式中のRは炭素数8−18のアルキル基であり、Mは一価または二価のカチオン、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムおよびマグネシウムまたはその他の一価または二価のカチオンである。好ましくはイセチオネートが20未満の平均ヨウ素価を有している。
【0027】
本発明に使用されるモノアシルイセチオネートおよびジアシルイセチオネートは好ましくは“DEFI”反応によって製造される。この反応では、C8−C18、好ましくはC10−C15脂肪酸(例えば、ラウリル酸およびココヤシ酸)の混合物をアルカリ金属イセチオネートと、式:
RC−O(OH)+HO−CH−CH−SO
→RC−O(O)−CH−CH−SOM(プラス残留出発材料)
または
RC−O(OH)+(HO−CH−CH−SO−−++
→(RC−O(O)−CH−CH−SOM(プラス残留出発材料)
に従って反応させる。
【0028】
反応は、約1:1から2:1の化学量論比の脂肪酸とイセチオネートとを、反応体全量の0.01−1重量%、好ましくは0.1−0.4重量%の触媒(例えば、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、イセチオン酸亜鉛、または、硫酸、p−トルエンスルホン酸、亜硫酸水素ナトリウムなどのルイス酸のいずれか)を使用し、約150℃−250℃、好ましくは約200℃−250℃の温度で約1−3時間行うのが有利である。反応の加速を助けるために比較的少量の(予め製造した)最終生成物を反応混合物の乳化剤として使用するのがしばしば有利である。反応成分はいかなる順序で添加してもよい。1つの成分を別の成分に先立って反応させることで収率の向上はあるかもしれないが、いかなる添加順序も考察できる。
【0029】
本発明のバーはアシルイセチオネート以外の1種類または複数のノンソープアニオン性界面活性剤(シンデット)を含有し得る。好ましくは(1種類または複数の)シンデットが50以下のゼイン価を有している。ゼイン価は、後述の試験方法を使用して測定し得る。(1種類または複数の)このようなノンソープアニオン性洗剤または界面活性剤は約15、20または30重量%から約40、50または60重量%の量で使用するのが有利であろう。
【0030】
使用し得るアニオン性洗浄用界面活性剤は、第一級アルカン(例えば、C8−C22)スルホネート類、第一級アルカン(例えば、C8−C22)ジスルホネート類、C8−C22アルケンスルホネート類、C8−C22ヒドロキシアルカンスルホネート類またはアルキルグリセリルエーテルスルホネート(AGS)類のような脂肪族スルホネート類、または、アルキルベンゼンスルホネートのような芳香族スルホネート類である。
【0031】
アニオン性界面活性剤はまた、アルキルスルフェート(例えば、C12−C18アルキルスルフェート)またはアルキルエーテルスルフェート(アルキルグリセリルエーテルスルフェートなど)でもよい。アルキルエーテルスルフェートは、式:
RO(CHCHO)SO
を有している。
【0032】
式中のRは炭素数8−18、好ましくは炭素数12−18のアルキルまたはアルケニルであり、nは1.0よりも大きく、好ましくは3よりも大きい平均値であり、Mはナトリウム、カリウム、アンモニウムまたは置換アンモニウムのような可溶化カチオンである。ラウリルエーテル硫酸アンモニウムおよびラウリルエーテル硫酸ナトリウムが好ましい。
【0033】
アニオン性界面活性剤はまた、アルキルスルホスクシネート(モノ−およびジアルキル、例えば、C6−C22スルホスクシネートなど);アルキルおよびアシルタウレート、アルキルおよびアシルサルコシネート、スルホアセテート、C8−C22アルキルホスフェートおよびホスフェート、アルキルホスフェートエステルおよびアルコキシルアルキルホスフェートエステル、アシルラクテート、C8−C22モノアルキルスクシネートおよびマレエート、スルホアセテート、アルキルグリコシドなどでよい。
【0034】
スルホスクシネートは式:
CCHCH(SOM)COM;
を有しているモノアルキルスルホスクシネートでもよく、式:
CONHCHCHCCHCH(SOM)CO
を有しているアミド−MEAスルホスクシネートでもよい。式中のRはC8−C22の範囲のアルキルであり、Mは可溶化カチオンである。
【0035】
サルコシネートは一般に式:
CON(CH)CHCO
によって表され、式中のRはC8−C20の範囲のアルキルであり、Mは可溶化カチオンである。
【0036】
タウレートは一般に式:
CONRCHCHSO
によって表され、式中のRはC8−C20の範囲のアルキルであり、RはHまたはC−Cアルキルでよく、Mは可溶化カチオンである。
【0037】
本発明のトイレットバーは低レベルの脂肪酸セッケンおよび好ましくは10重量%以下のセッケンを含み得る。本文中では“セッケン”という用語を普遍的な意味で使用しており、すなわち、好ましくは約12−22の炭素原子、より好ましくは約12−約18の炭素原子を有している脂肪族アルカン−またはアルケンモノカルボン酸のアルカリ金属またはアルカノールアンモニウム塩を表す。これらは脂肪族炭化水素のアルカリ金属カルボキシレートと記述することもできる。本発明の目的には、ナトリウム、カリウム、モノ−、ジ−およびトリ−エタノールアンモニウムカチオンまたはそれらの組合せが適している。
【0038】
本発明の組成物には一般にナトリウムセッケンを使用するが、セッケンの約1%−約25%がカリウムセッケンでもよい。セッケンは商業許容標準に従う不飽和を含んでいてもよい。色および臭いの問題をできるだけ少なくするために過度の不飽和を回避するのが普通である。
【0039】
セッケンは古典的なケトル沸騰法によって製造してもよく、または、近代的な連続セッケン製造法によって製造してもよい。後者では、獣脂またはココヤシ油または等価材料のような天然の油脂を当業者に公知の手順を使用してアルカリ金属水酸化物でケン化する。あるいは、ラウリル酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)またはステアリン酸(C18)のような脂肪酸をアルカリ金属の水酸化物または炭酸塩で中和することによってセッケンを製造してもよい。
【0040】
1種または複数の両性界面活性剤を本発明に使用し得る。両性界面活性剤は、約1、2または3重量%から約5、6または7重量%の量で使用されるのが有利であろう。このような界面活性剤は少なくとも1つの酸基を含む。これはカルボン酸基またはスルホン酸基でよい。これらは第四級窒素を含み、従って第四級アミド酸である。これらは一般に炭素原子数7−18のアルキル基またはアルケニル基を含んでいなければならない。これらは通常は全体構造式:
−[−C(O)−NH(CH−]−N−(R)(R)X−Y
で表され、式中のRは炭素原子数7−18のアルキルまたはアルケニルであり、RおよびRの各々は独立に炭素原子数1−3のアルキル、ヒドロキシアルキルまたはカルボキシアルキルであり、nは2−4であり、mは0−1であり、Xはヒドロキシルで置換されるかまたは未置換の炭素原子数1−3のアルキレンであり、Yは−CO−または−SO−である。
【0041】
上記一般式に含まれる適当な両性界面活性剤は、式:
−N−(R)(R)CHCO
の単純ベタイン、および、式:
−CONH(CH−N−(R)(R)CHCO
のアミドベタインである。式中のnは2または3である。
【0042】
双方の式中の、R、RおよびRは前述の定義と同義である。より特定的にRは基Rの少なくとも1/2、好ましくは少なくとも3/4が10−14個の炭素原子を有するようにココヤシ油から誘導されたC12およびC14アルキル基の混合物でよい。RおよびRは好ましくはメチルである。
【0043】
別の可能性では両性洗浄剤が式:
−N−(R)(R)(CHSO
または
−CONH(CH―N―(R)(R)(CHSO
のスルホベタインであり、式中のmは2または3であるか、または、式中の−(CHSOが:
−CHC(OH)(H)CHSO
によって置換されたこれらの変種である。これらの式中のR、RおよびRは上記の定義と同義である。
【0044】
使用される双イオン性および/または両性化合物としては例えばラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウムおよびそれらのブレンドなどのようなアンホアセテートおよびジアンホアセテートも包含される。
【0045】
1種または複数の非イオン性界面活性剤も本発明のトイレットバー組成物に使用し得る。非イオン性界面活性剤が存在する場合、これは下限が約1、2または3重量%、上限が約10、15または20重量%のレベルで使用し得る。使用できる非イオン性界面活性剤は特に、疎水性基および反応性水素原子を有している化合物の反応生成物、例えば、脂肪族アルコール、酸、アミドまたはアルキルフェノールと、アルキレンオキシド特にエチレンオキシド単独とまたはエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの反応生成物である。
【0046】
非イオン性洗浄用化合物の具体例は、アルキル(C−C22)フェノールエチレンオキシド縮合物、脂肪族(C−C18)第一級または第二級、線状または分枝状アルコールとエチレンオキシドとの縮合生成物、プロピレンオキシドとエチレンジアミンとの反応生成物とエチレンオキシドとの縮合によって製造された生成物である。その他のいわゆる非イオン性洗浄用化合物は、長鎖第三級アミンオキシド、長鎖第三級ホスフィンオキシドおよびジアルキルスルホキシドなどである。
【0047】
非イオン性界面活性剤はまた、多糖アミドのような糖アミドでもよい。具体的には界面活性剤が1995年2月14日付けでAuらに許諾された米国特許第5,389,279号“Compositions Comprising Nonionic Glycolipid Surfactants”に記載されたラクトビオンアミドの1つでよい。該特許の記載内容は参照によって本発明に含まれるものとする。あるいは、1991年4月23日付けでKelkenbergに許諾された米国特許第5,009,814号“Use of N−Poly Hydroxyalkyl Fatty Acid Amides as Thickening Agents for Liquid Aqueous Surfactant Systems”に記載された糖アミドの1つでもよい。該特許の記載内容は参照によって本出願に含まれるものとする。
【0048】
本発明の組成物中の任意成分はカチオン性皮膚コンディショニング剤であり、これは例えばカチオン性セルロースまたはポリクオタニウム化合物のようなカチオン性肌触り改善剤またはポリマーである。
【0049】
(1種類または複数の)カチオン性肌触り改善剤またはポリマーは、約0.01、0.1または0.2重量%から約1、1.5または2.0重量%までの量で使用される。カチオン性セルロースはAmerchol Corp.(Edison,NJ,USA)からそれらのPolymer JR(商標)およびLR(商標)ポリマーシリーズで、トリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの塩として入手できる。これは業界名(CTFA)でポリクオタニウム10と呼ばれている。別の種類のカチオン性セルロースは、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの高分子第四級アンモニウム塩であり、これは業界名(CTFA)でポリクオタニウム24と呼ばれている。これらの材料としてはAmerchol Corp.(Edison,NJ,USA)から商品名Polymer LM−200で入手できるアルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物のような第四級アンモニウム化合物がある。
【0050】
使用できる特に好適な種類のカチオン性多糖ポリマーは、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド(Rhone−PoulencからJAGUAR商標シリーズで市販されている)のようなカチオン性グアーガム誘導体である。実例は、低置換度のカチオン基と高粘度とを有しているJAGUAR C13S、中程度の置換度および低粘度を有しているJAGUAR C15、JAGUAR C17(高置換度、高粘度)、低レベルの置換基とカチオン性第四級アンモニウム基とを含有しているヒドロキシプロピル化カチオン性グアー誘導体であるJAGUAR C16、および、低置換度を有している高透明度、中程度の粘度のグアーJAGUAR 162である。
【0051】
特に好ましいカチオン性ポリマーは、JAGUAR C13S、JAGUAR C15、JAGUAR C17およびJAGUAR C16およびJAGUAR C162、特にJAGUAR C13Sである。本発明の配合物と適合性であるならば当業界で公知の他のカチオン性肌触り改善剤も使用し得る。
【0052】
本発明に有用な他の好ましいカチオン性化合物は、第四級アンモニウムのプロピオネートおよびラクテート塩のようなアミド第四級アンモニウム化合物、絹またはコムギタンパク質の第四級アンモニウム加水分解物、などである。これらの化合物の多くは、MackineTMアミド官能アミン,MackaleneTMアミド官能第三級アミン塩、および、MackproRTMカチオン性タンパク質加水分解物としてMcIntyre Group Ltd.(University Park,IL)から得ることができる。
【0053】
加水分解タンパク質コンディショニング剤を有している本発明の好ましい実施態様では、加水分解タンパク質の平均分子量が好ましくは約2500である。好ましくは加水分解タンパク質の90%が分子量約1500から約3500の範囲である。好ましい実施態様では、MACKRPOTM WWP(すなわち、コムギ胚芽アミドジメチルアミン加水分解コムギタンパク質)が0.1%の濃度で(そのまま)バーに添加されている。この結果として、この実施態様では最終バーの配合組成中に0.035%のMACKPROTM WWP“固体分”が存在する。
【0054】
1種類または複数のカチオン性界面活性剤も本発明のトイレットバー組成物に使用し得る。カチオン性界面活性剤は約0.1、0.5または1.0重量%から約1.5、2.0または2.5重量%の範囲で使用されるのが有利である。
【0055】
カチオン性洗浄剤の実例は、アルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物のような第四級アンモニウム化合物である。
【0056】
使用し得る他の適当な界面活性剤は、1973年3月27日付けでParran Jrに許諾された米国特許第3,723,325号“Detergent Compositions Containing Particle Deposition Enhancing Agents”、および、Schwartz,Perry & Berchによる“Surface Active Agents and Detergents”(Vol.I & II)に記載されている。双方の文献の記載内容も参照によって本出願に含まれるものとする。
【0057】
さらに、本発明のトイレットバーは、以下の任意成分を0−15重量%の量で含み得る:香料、金属イオン封鎖剤例えばエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(EDTA)、EHDPまたはそれらの混合物、0.01−1%、好ましくは0.01−0.05%の量;着色剤、乳白剤、真珠光沢剤、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、TiO、EGMS(エチレングリコールモノステアレート)またはLytron621(スチレン/アクリレートコポリマー)など。これらはいずれも製品の外観または化粧品特性を強化するために役立つ。
【0058】
組成物はさらに、ジメチロールジメチルヒダントイン(Glydant XL1000)、パラベン、ソルビン酸などのような保存料を含み得る。組成物はまた、ココヤシのアシルモノ−またはジエタノールアミドを起泡増進剤として含むことができ、また、塩化ナトリウムおよび硫酸ナトリウムのような強イオン性の塩も有利に使用し得る。例えばブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)などのような抗酸化剤は約0.01%または適宜にもっと多い量で有利に使用できる。
【0059】
皮膚緩和剤のような皮膚コンディショニング剤は本発明に有利に使用される。保湿剤を含む親水性皮膚緩和剤、例えば、グリセリンおよびプロピレングリコールなどの多価アルコール;以下に挙げたポリエチレングリコールなどのようなポリオール、および、親水性植物エキスを使用し得る。保湿剤は約0.01、0.2または1.0重量%から約3、5または10重量%までの量で使用するのが有利である。保湿剤はまた、バーに水分保持能力を与える。
Polyox WSR−205 PEG 14M、
Polyox WSR−N−60K PEG 45M、または、
Polyox WSR−N−750 PEG 7M。
【0060】
本発明のトイレットバーに疎水性皮膚緩和剤を使用してもよい。疎水性皮膚緩和剤は、約5、10または15重量%から約20、25、30、35、40、45重量%の範囲で使用するのが有利であろう。“皮膚緩和剤”という用語は、皮膚の水分を増加することによって皮膚(角質層)を軟化し、皮膚の弾力性、外観および若さを改善し、皮膚の水分の減少を遅らせることによって皮膚を柔軟に維持する物質であると定義される。
【0061】
有用な疎水性皮膚緩和剤を以下に挙げる:
(a)シリコーン油およびその改良種、例えば、線状または環状のポリジメチルシロキサン;アミノ、アルキル、アルキルアリールおよびアリールシリコーン油;
(b)天然油脂を含む油脂、例えば、ホホバ、ダイズ、ヒマワリ、米ぬか、アボカド、アーモンド、オリーブ、ゴマ、タデ、トウゴマ、ココヤシ、ミンク油、カカオ脂、牛脂、豚脂、上記油の水素化によって得られた硬化油、および、合成のモノ、ジおよびトリグリセリド、例えば、ミリスチン酸グリセリドおよび2−エチルヘキサン酸グリセリド;
(c)ワックス、例えば、カルナバ蝋、鯨蝋、蜜蝋、ラノリンおよびそれらの誘導体;
(d)疎水性植物エキス;
(e)炭化水素、例えば、液体パラフィン、ペトロラタム、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、スクアレン、プリスタンおよび鉱油;
(f)高級脂肪酸、例えば、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ラノリン酸、イソステアリン酸、アラキドン酸およびポリ不飽和脂肪酸(PUFA);
(g)高級アルコール、例えば、ラウリル、セチル、ステアリル、オレイル、ベヘニル、コレステロールおよび2−ヘキシデカノールアルコール;
(h)エステル、例えば、セチルオクタノエート、ミリスチルラクテート、セチルラクテート、イソプロピルミリステート、ミリスチルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルアジペート、ブチルステアレート、デシルオレエート、コレステロールイソステアレート、グリセロールモノステアレート、グリセロールジステアレート、グリセロールトリステアレート、アルキルラクテート、アリキリシトレートおよびアルキルタータレート;
(i)精油およびそのエキス、例えば、ハッカ、ジャスミン、樟脳、白ヒノキ、苦オレンジピール、竜脳、テルペンチン、肉桂、ベルガモット、温州ミカン、ショウブ、マツ、ラベンダー、月桂樹、丁子、ヒバ、ユーカリ、レモン、スターフラワー、タイム、ペパーミント、バラ、セージ、ゴマ、ショウガ、バジル、ビャクシン、レモングラス、ローズマリー、紫檀、アボカド、ブドウ、グレープシード、ミルラ、キュウリ、クレソン、キンセンカ、ニワトコの花、ゼラニューム、シナノキの花、アマランサス、海草、沈香、チョウセンニンジン、ニンジン、ガラナ、茶の木、ホホバ、コンフリー、オートミール、ココア、ネロリ、バニラ、緑茶、ペニロイアルハッカ、アロエベラ、メントール、シネオール、オイゲノール、シトラール、シトロネル、ボルネオール、リナロール、ゲラニオール、マツヨイグサ、カンファー、チモール、スピラントール、ペネン、リモネンおよびテルペノイド油;
(j)上記成分のいずれかの混合物など。
【0062】
好ましい皮膚緩和湿潤剤は、脂肪酸、ジ−およびトリグリセリド油、鉱油、ペトロラタム、それらの混合物から選択される。脂肪酸が最も好ましい。
【0063】
界面活性剤のクラフト点は、界面活性剤の溶解度が急激に上昇する温度(またはより正確には狭い温度範囲)であると定義される。この温度で界面活性剤の溶解度は臨界ミセル濃度に等しくなる。クラフト点は、溶解度対温度の対数すなわち1/Tのグラフの勾配の急激な変化を検出することによって決定するか、または、後述する高速推定手順を使用して迅速に推定できる。
【0064】
本発明のトイレットバーは、乾燥皮膚の除去を促進するために平均粒径50ミクロン超の皮膚剥脱粒子を含有し得る。理論に制約されないが、皮膚剥脱の程度は粒子の粒度および形態に左右される。大粒の粗粒子は一般に肌触りが極めて不快で刺激も強い。極小粒子は皮膚剥脱剤として有効に機能しない。
【0065】
当業界で使用されるこのような皮膚剥脱剤には、シリカ、タルク、カルサイト、軽石、リン酸三カルシウムのような天然鉱物;コメ、アプリコット種子、などのような種子;アーモンドおよびクルミの殻のような砕いた殻;オートミール;ポリエチレンおよびポリプロピレンのビーズ、花びら、葉のようなポリマー;マイクロクリスタリンワックスビーズ;ホホバエステルビーズなどがある。これらの皮膚剥脱剤はミクロンから数mmまでの範囲の多様な粒度および形態で提供されている。いくつかの実例を以下の表Aに挙げる。
【0066】
【表1】

【0067】
場合によっては上記に定義の皮膚コンディショニング剤以外の任意の有効物質をトイレットバーに添加してもよい。これらの有効成分は、殺菌剤、ビタミン、ニキビ防止有効物質、しわ防止、皮膚萎縮防止および皮膚修復の有効物質、皮膚バリア修復有効物質、非ステロイド系化粧用鎮静有効物質、人工日焼け剤および促進剤、皮膚明色化有効物質、日光遮蔽有効物質、皮脂刺激剤、皮脂阻害剤、抗酸化剤、プロテアーゼインヒビター、皮膚引締め剤、かゆみ防止成分、体毛増殖阻害物質、5−アルファレダクターゼインヒビター、落屑酵素増進剤、抗グリケーション(glycation)剤、またはそれらの混合物などである。
【0068】
これらの有効物質は水溶性有効物質、油溶性有効物質、医薬的に許容されるそれらの塩および混合物から選択され得る。本文中に使用した“有効物質”という用語は、皮膚および/または毛髪に有益な効果を与えるが皮膚コンディショニング効果を与えるために一般使用はされないので上記に定義のような皮膚緩和剤によって提供される身体手入れに有効な物質を意味する。本文中に使用した“安全有効量”という用語は、治療すべき状態を緩和し所望のスキンケア効果を提供すべく十分に多いが深刻な副作用を回避すべく十分に少ない有効物質の量を意味する。
【0069】
本文中に使用した“効果”という用語は、本文中に記載した有効物質の1種類または複数で特定状態を治療することに伴う治療的、予防的および/または長期的効果を意味する。(1種類または複数の)有効物質の安全有効量は、個々の有効物質、該有効物質の皮膚浸透能力、使用者の年齢、健康状態および皮膚状態、および、その他の同様の要因次第で変更されるであろう。好ましくは本発明の組成物が約0.0001−50重量%、より好ましくは約0.05−25重量%、もっと好ましくは約0.1−10重量%、最も好ましくは約0.1−5重量%の(1種類または複数の)有効物質成分を含む。
【0070】
多様な有効物質成分が本発明に有用であり、これらは例えば、ニキビ防止有効物質、しわ防止および皮膚萎縮防止有効物質、皮膚バリア修復助剤、化粧用鎮静助剤、局部麻酔薬、人工日焼け剤および促進剤、皮膚明色化有効物質、抗菌および抗真菌有効物質、日光遮蔽有効物質、皮脂刺激剤、皮脂阻害剤、抗グリケーション有効物質およびそれらの混合物などから選択される。
【0071】
ニキビ防止有効物質は皮脂毛包の慢性異常であるニキビの治療に有効である。有用なニキビ防止有効物質の非限定例は、角質溶解剤、例えば、サリチル酸(o−ヒドロキシ安息香酸)、5−オクタノイルサリチル酸および4−メトキシサリチル酸のようなサリチル酸誘導体、レゾルシノール;レチノイン酸のようなレチノイドおよびその誘導体(例えば、シスおよびトランス);イオウ含有DおよびLアミノ酸およびそれらの誘導体や塩、とくにそれらのN−アセチル誘導体、それらの混合物などである。
【0072】
抗菌および抗真菌有効物質は、細菌および真菌の繁殖および増殖を防止するために有効である。抗菌および抗真菌有効物質の非限定例は、b−ラクタム薬、キノロン薬、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、テトラサイクリン、エリスロマイシン、アミカシン、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル、3,4,4’−トリクロロカルバリニド(トリクロカルバン)、フェノキシエタノール、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)およびそれらの混合物などである。
【0073】
しわ防止、皮膚萎縮防止および皮膚修復有効物質は表皮層の補充または若返りに有効である。これらの有効物質は一般に自然な落屑プロセスの促進または維持によってこのような望ましいスキンケア効果を与える。しわ防止および皮膚萎縮防止有効物質の非限定例は、ビタミン、ミネラルおよび皮膚栄養素、例えば乳、ビタミンA、EおよびK;ビタミンアルキルエステル、例えば、ビタミンCアルキルエステル;マグネシウム、カルシウム、銅、亜鉛およびその他の金属成分;レチノイン酸とその誘導体(例えば、シスおよびトランス);レチナール;レチノール;レチニルエステル例えば酢酸レチニル、パルミチン酸レチニルおよびプロピオン酸レチニル;ビタミンB3化合物(例えばナイアシンアミドおよびニコチン酸)、アルファヒドロキシ酸、ベータヒドロキシ酸、例えば、サリチル酸およびその誘導体(例えば、5−オクタノイルサリチル酸、ヘプチルオキシ4サリチル酸および4−メトキシサリチル酸);それらの混合物などである。
【0074】
皮膚バリア修復有効物質は、表皮が天然に有している水分遮断機能の修復および補充を促進するスキンケア有効物質である。皮膚バリア修復有効物質の非限定例は、コレステロールのような脂質、セラミド、ショ糖エステルおよび欧州特許明細書No.556,957に記載されているような擬似セラミド;アスコルビン酸;ビオチン;ビオチンエステル;リン脂質;それらの混合物などである。
【0075】
非ステロイド系化粧用鎮静剤は皮膚の炎症を予防または治療するために有効である。鎮静有効物質は本発明の皮膚外観効果を強化し、従ってより均一で感じのよい色調または色彩を皮膚に与える効果を有している。化粧用鎮静剤の非限定例は、プロピオン酸誘導体;酢酸誘導体;フェナミン酸誘導体;それらの混合物などの種類を含む。これらの化粧用鎮静有効物質の多くは1991年1月15日付けでSunshineらに許諾された米国特許第4,985,459号に記載されている。該特許の記載内容全体が参照によって本発明に含まれるものとする。
【0076】
人工日焼け有効物質は皮膚のメラニンを増加させることによってまたは皮膚のメラニンが増加しているような外観を与えることによって天然日焼けの模倣を促進する。人工日焼け剤および促進剤の非限定例は、ジヒドロキシアセトン;チロシン;エチルチロシネートおよびグルコースチロシネートのようなチロシンエステル;それらの混合物などである。
【0077】
皮膚明色化有効物質は皮膚のメラニンの量を実際に減少させるかまたは他のメカニズムによって同様の効果を与える。本発明に有用な皮膚明色化有効物質の非限定例は、アロエエキス、アルファ−グリセリル−L−アスコルビン酸、アミノチロシン、乳酸アンモニウム、グリコール酸、ヒドロキノン、4−ヒドロキシアニソール、それらの混合物などである。
【0078】
また日光遮蔽有効物質も本発明に有用である。多様な日光遮蔽剤が、1992年2月11日付けでHaffeyらに許諾された米国特許第5,087,445号、1991年12月17日付けでTurnerらに許諾された米国特許第5,073,372号、1991年12月17日付けでTurnerらに許諾された米国特許第5,073,371号、および、Cosmetics Science and Technology,Segarinら、Chapter VIII,189頁以後に記載されている。これらの文献すべての記載内容全体が参照によって本発明に含まれるものとする。本発明の組成物に有用な日光遮蔽剤の非限定例は、オクチルメトキシシンナメート(パルソールMCX)、ブチルメトキシベンゾイルメタン(パルソール1789)、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート、2−エチルヘキシルN,N−ジメチル−p−アミノベンゾエート、p−アミノ安息香酸、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、オキシベンゾンおよびそれらの混合物などから選択される。
【0079】
皮脂刺激剤は皮脂腺による皮脂の産生量を増加させ得る。皮脂刺激有効物質の非限定例は、ブリオノリン酸、デヒドロエチアンドロステロン(DHEA)、オリザノール、それらの混合物などである。
【0080】
皮脂阻害剤は、皮脂腺による皮脂の産生量を減少させ得る。有用な皮脂阻害有効物質の非限定例は、アルミニウムヒドロキシクロリド、コルチコステロイド、デヒドロ酢酸およびその塩、ジクロロフェニルイミダゾールジオキソラン(Elubiolから入手可能)、それらの混合物などである。
【0081】
プロテアーゼインヒビターも本発明の有効物質として有用である。プロテアーゼインヒビターは2つのクラス、プロテイナーゼおよびペプチダーゼに大別できる。プロテイナーゼはタンパク質の特定の内部ペプチド結合に作用し、ペプチダーゼはタンパク質の末端の遊離アミノまたはカルボキシル基に隣接のペプチド結合に作用し、このようにしてタンパク質を外部から開裂する。本発明に使用するための適当なプロテアーゼインヒビターの非限定例は、セリンプロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、システインプロテアーゼおよびアスパルチルプロテアーゼのようなプロテイナーゼ、および、カルボキシペプチダーゼ、ジペプチダーゼおよびアミノペプチダーゼのようなペプチダーゼ、それらの混合物などである。
【0082】
本発明の他の有用な有効成分は皮膚引締め剤である。本発明の組成物に有用な皮膚引締め剤の非限定例は、皮膚にポリマーを結合できるモノマー、例えば、ビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸および長鎖アルキル(メタ)アクリレートから成る疎水性モノマーのターポリマー、それらの混合物などを包含する。
【0083】
本発明の有効成分はまたかゆみ止め成分を含有し得る。本発明の組成物に有用なかゆみ止め成分の適例は、ヒドロコルチゾン、メトジラジン、トリメプラジン、それらの混合物などである。
【0084】
本発明の組成物に有用な体毛増殖阻害剤の非限定例は、17ベータエストラジオール、抗脈管形成ステロイド、ウコンエキス、シクロオキシゲナーゼインヒビター、オオマツヨイグサ油、リノール酸などである。適当な5−アルファレダクターゼインヒビターはエチニルエストラジオールおよびゲニスチン、それらの混合物などである。
【0085】
本発明の組成物に有用な落屑酵素増進剤の非限定例は、アラニン、アスパラギン酸、Nメチルセリン、セリン、トリメチルグリシン、それらの混合物などである。
【0086】
本発明の組成物に有用な抗グリケーション剤の非限定例は、アマドリン(Barnet Products Distributorから入手可能)などであろう。
【0087】
(実施例)
操作実施例および比較実施例を除いて、または、他の明白な指示がある場合を除いて、材料の量を示す本文中のすべての数値は、“約”という語で修飾されていると理解されたい。
【0088】
以下の実施例は本発明の実施態様をより十分に説明する。本文中および特許請求の範囲に示したすべての部、パーセンテージおよび割合は異なる指示がなければ重量基準の値である。物理的試験方法は後述する。後述の製造方法によって以下のような本発明のトイレットバーを配合し得る。
【実施例1】
【0089】
本発明の有用なトイレットバーを以下のように調製できる。
成分 重量%
ココイルイセチオン酸ナトリウム 35.5−75%
ココイルイセチオン酸マグネシウム 0.1−35.5%
イセチオン酸ナトリウム 0.1−10%
イセチオン酸マグネシウム 0.1−5%
ココヤシ脂肪酸 5−30%
酸化亜鉛 0.05−1%
ステアリン酸 5−35%
雑成分(注1) 1−5%
注1:滑り増進剤、高分子肌触り改善剤、皮膚有効物質、可塑剤、着香料、着色料、保存料などのような1種類または複数の任意成分。
【実施例2】
【0090】
後述の方法を使用していくつかの本発明のバーを表1に従って配合し、低刺激性、マッシュ指数および磨耗率のような種々の基準を使用して表2に記載の比較バーに比較した。濃度は重量%である。
【0091】
【表2】

【0092】
加工方法
モノおよびジアシルイセチオネートを以下のように製造した。十分な量のココヤシ脂肪酸とイセチオネート(所望の一価/二価イセチオネート比)とを容器内でルイス酸触媒と合せて、エステル化を促進するために230℃よりも高い温度に加熱する。必要な変換が得られた後、加熱容器に真空を作用させて余剰および未反応の脂肪酸を完全に除去する。次に材料を凝固させるかまたはミキサーで急冷し、以下に記載のようなトイレットバー加工を開始する。
【0093】
トイレットバーを以下のように配合した。先ず、皮膚緩和剤と構造化剤とをz−ブレードミキサーに入れて90℃以上に加熱することによって溶融する。次いでアニオン性界面活性剤をミキサーに加え、材料を均質混合する。二酸化チタン、光沢剤およびクレーのような他の任意成分はこの時期にミキサーに添加する。材料の遊離水含量を約5−6%に調整する。得られた練生地状または流動液体状の材料をチルロールで混練する。混練した材料をチップミキサーに入れ、着色料、着香料および特殊成分のような残りの微量成分を添加し混合する。混合した材料を次に混練/精錬して押出す。押出したバーを打抜き、箱詰め/包装する。
【0094】
【表3】

【0095】
注型溶融バー
流動性の注型可能な本発明の組成物は、当業界で公認の技術および他の等価の技術を使用して製造できる。適当な組成物は、低クラフト点をもつ界面活性剤/皮膚緩和剤/保湿剤/溶媒など(好ましくはKP<30℃)および/または水を合計で10−30重量%、好ましくは10、12、14および15重量%よりも多い範囲で添加することによって製造できる。トイレットバーのマッシュ率をできるだけ小さい値に維持するために極度の高レベルは避けるのが好ましい。
【0096】
好ましい実施態様では、ある程度の量のステアリン酸ナトリウムまたは12ヒドロキシステアリン酸を例えばグリセリン、プロピレングリコールおよび/または脂肪アルコールのような皮膚コンディショニング緩和剤の存在下で使用することによってココイルイセチオン酸ナトリウムとココイルイセチオン酸マグネシウムとの混合物を構造化する。これらの皮膚緩和剤は高温で均質液体を得るために必要な可溶化剤として作用し、冷却されると降伏応力から判断して硬質のバーを形成する。場合によっては、好ましくは30℃未満のクラフト点を有している補助界面活性剤を所定の量で配合物に使用してもよい。
【0097】
バー形成方法
着香料、ヒマワリ種油、SCIおよびMgCl以外の残りの成分をミキサーに加える。混合物を約90℃に加熱し、ゆっくりとかき混ぜて均質液体を形成する。SCIおよびMgClをゆっくりと添加し、約100℃で溶解させる。材料が均質になった後、温度を約80℃に下げ、連続的にかき混ぜながらヒマワリ種油をゆっくりと加える。着香料の劣化を避けるために着香料を好ましくは約70℃で均質材料に加える。この均質な黄白色液体を型に流し込む。適当な冷却技術または環境条件下で型を冷却すると固形バーが得られる。
【実施例3】
【0098】
上述の溶融注型法によって製造できる種々の量のココイルイセチオン酸マグネシウムを含むシンデット洗浄用バーの適例を表3に示す。
【表4】

【実施例4】
【0099】
溶融注型経路によって製造できる種々の量のココイルイセチオン酸マグネシウムを含むシンデット洗浄用バーを表4に示す。
【0100】
【表5】

【実施例5】
【0101】
表1および2から選択したいくつかのバーをFCAT法(後述)に従って無作為ダブルブラインド試験し、5日間の処理期間中の乾燥および紅斑の目視評価および非侵襲的計器評価の組合せによってこれらのバーの相対的低刺激性を評価した。表5−7のデータをそれぞれ示す図1−3は本発明のバーの低刺激性データを比較バーに比較したものである。
【0102】
表5−7のデータは、ベースラインおよび処理後の9時点で得られた目視スコア、ベースラインおよび2−5日目(Skiconコンダクタンスおよび角質計キャパシタンスの読取値)および5日目のTEWL読取値として得られた計器読取値である。統計分析に使用したデータは各バーサンプルのベースラインからの差であった。
【0103】
処理内統計分析および処理間統計分析の双方を行った。処理内分析の場合は、それぞれのベースラインに比較した各時点の各バーの性能を対応のあるt検定を使用して評価した。仮説(H:d=φ)検定法はp=0.05レベルで行った。処理間分析の場合は、分散分析(ANOVA)法を使用してベースラインからの変化の大きさをバー間で比較した。被験者およびアーム(被験者に入れ子になる)を変量効果とし、サイトおよび処理を固定効果とした。サイトおよび処理の交互作用の項もモデルに含ませた。article効果の有意差検定の場合は、選択した対間の比較を行うために最小二乗平均値分析を行った。すべての仮説検定法はp=0.05レベルで行った。
【0104】
【表6】

【0105】
【表7】

【0106】
【表8】

【実施例6】
【0107】
表1および2から選択したいくつかのバーについて後述の方法を使用してマッシュ率を測定した。結果を表8に要約する。これらの結果は、本発明の低刺激性バーのマッシュ特性が、マッシュになり易い低刺激性の比較アシルイセチオネートバーよりも伝統的なセッケンバーに近い傾向にあることを示す。
【0108】
【表9】

【実施例7】
【0109】
表1および2から選択したいくつかのバーについて後述の方法を使用して磨耗率を測定した。結果を表10に要約する。これらの結果は、本発明の低刺激性バーの磨耗率特性が低刺激性の比較アシルイセチオネートバーよりも伝統的なセッケンバーに近い傾向にあることを示す。
【0110】
【表10】

【0111】
試験方法の説明
試験方法
a)マッシュテスト
バーを7cm×4cm×2cmの寸法に削り、バー中央の中間点(3.5cmにマーク)まで線を刻む。バーの重量を計測する。バーの半分(3.5cm)を温度25℃の脱イオン水中に2時間吊り下げる。この時間の経過後、バーを水中から出し、バーを30秒間吊り下げて余剰の水を除去し、次いでバーを計量する。これは、バー、マッシュおよび吸収した水の重量である。
【0112】
計量後、バーからマッシュを静かに掻き取る。マッシュ化していないバー材料を過剰に掻き取らないようにこの作業は慎重に行う。マッシュを捨て、バーを12時間乾燥する。最終乾燥バーを計量し、表面積50cmあたりの乾燥バーの初期重量と最終重量との差を計算する。これがマッシュの量(g)である。浸漬バーと出発乾燥バーとの重量の差は吸収した水の量である。マッシュ率は、低刺激性の対照イセチオネートバーまたは本明細書に前出の式Eのマッシュ/50cmに対する所与のバーのマッシュ/50cmの比によって定義される。例えば、本発明のバー(式A)のマッシュが6.2gマッシュ/50cmであり式Eのマッシュが10.1gマッシュ/50cmであるならば、マッシュ率は0.61である。
【0113】
b)磨耗率試験法
被験バーを計量する。8リットル容のバケツを据え付け、40.5℃の水を流し続ける。バーを浸漬させ、両手で20回ころがす。繰り返す。バーを再度浸漬させ、付着している泡を除去し、皿に載せて空気中、25℃および約50%RHで乾燥する。この操作を2時間毎に8時間にわたって繰り返す。皿に載せて25℃、約50%RHで12時間乾燥し、8時間の操作を再び繰り返す。
【0114】
浸漬と浸漬との間のバーを皿に載せているときに10gの脱イオン水を皿に添加する(これは8時間の操作中行う、すなわち、最初の2時間の浸漬後に10gの水を皿に添加する、4時間後にまた10gを添加し合計で20gを皿に添加する。6時間後さらに10gを加えて合計30gの水を皿に入れ、このようにして8時間継続した後で12時間乾燥する)。12時間後のバーの重量を記録し、磨耗率をバーの減量%として計算する。
【0115】
c)クラフト点測定
界面活性剤または他のサンプルの10重量%水溶液を調製する。サンプルを完全に溶解させるために必要ならばシステムを加熱する。透明な溶液をガラス試験管に移す。界面活性剤またはサンプルの溶液を均一に冷却するために十分な量の水を満たした撹拌器付きビーカーに試験管を入れる。溶液の撹拌を継続しながら冷却し、温度を連続的に記録する。溶液が濁り始める結晶化開始温度を観測する。この温度をクラフト点とする。結晶化温度が室温よりも低い場合には、試験管を室温よりも低温に冷却するためにビーカーに氷を加えて、周囲温度よりも低いクラフト点を測定する。
【0116】
D)チーズカッターデバイスによる降伏応力の計算方法
降伏応力の概数はチーズカッター法によって測定できる。測定の原理は、一定の力で材料に侵入するワイヤは、応力によってワイヤにかかる力が重量に釣り合ったときに静止するという原理である。力の釣り合いは次式で表される:
ワイヤ駆動重量=材料の応力によってワイヤにかかる力
mg=KyslD
ここに、m=ワイヤ駆動質量(計算に使用した実際の質量はデバイスに載せた材料とサンプルに追加重量を加えるアームの重量との和である)
g=重力定数、9.8m/秒
ys=降伏応力
l=1分後のワイヤのセッケン内侵入長さ(mm)
D=ワイヤの直径(mm)
K=幾何定数。
【0117】
最終式は:
ys=(3/8)mg/(lD)
である。
【0118】
手順
セッケンを四角形に切り、降伏応力デバイスに載せる。アームを持ちながら降伏応力デバイスにおもり(mass)を載せる。400gが適当なおもりであるが、極めて軟質の材料はもっと軽くすることが必要であろう。ワイヤがセッケンにすれすれに触れるまでアームを静かに下ろし、アームを離す。1分後にアームの下降運動を停止させ、ワイヤをセッケンに水平に押し込んでサンプルをV形に切る。デバイスから材料を取り出し、サンプルの切れ目の長さを測定する。ワイヤはゆっくりした速度でセッケンを切り続けるであろうが、1分間でワイヤが形成した切れ目の長さを最終値とする。試験の進行中にセッケンの温度を測定する。
【0119】
サンプル計算
降伏応力デバイスに400グラムの分銅を使用し22mmのスライスで1分後にワイヤがセッケンを裁断した長さを測定する。ワイヤの直径を0.6mmとすると、降伏応力の概数は:
(3/8)(400+56)[g]9.8[m/秒]10−3[kg/g]/22[mm]0.6[mm]10−6[m/mm
=1.3105Paまたは130kPa
である。
【0120】
場合によっては、バーに接触するワイヤに応力を作用させるために分銅の代りにInstron試験装置(Instron Co.,Boston,MA)を使用してもよい。
【0121】
e)低刺激性試験
i)本発明のトイレットバーの低刺激性は、以下のような前腕管理塗布試験((FCAT)臨床試験法によって評価した。
【0122】
この管理洗浄試験は、Ertelら,によって記載された試験方法(“A forearm controlled application technique for estimating the relative mildness of personal cleansing products”,J.Soc.Cosmet.Chem.46,67(1995))に類似している。
【0123】
被験者は試験のコンディショニング段階を試験機関に報告する。この段階は、指定された市販の汎用身体洗浄剤を製品塗布段階開始の4日前まで自宅で使用する段階である。製品塗布段階の1日目に被験者の適格性を判断するために目視評価を行う。被験者は、乾燥度スコア>1.0および紅斑スコア>0.5であり、製品塗布段階に使用する試験部位またはその近傍に切り傷や擦り傷があってはならない。製品塗布段階への参加資格が認められた被験者には次に、洗浄試験期間中に塗布する皮膚洗浄用試験配合物以外のコンディショニング製品および他のスキンケア製品を前腕内側に決して使用しないように指示される。
【0124】
有資格被験者は次に、皮膚に無害なペンを使用して直径3.0cmの(円形)評価部位を各前腕にマークする(合計8部位)。紅斑および乾燥度の目視評価は各試験期間の最初の洗浄直前に行い、また、最終日(5日)の午後に再度行う。
【0125】
バー製品による洗浄手順
1.両腕を同時に洗浄する。肘に最も近い部位から始めて手首に近い部位で終わるまで試験部位を順々に処理する。
【0126】
2.左右両腕の前腕内側の肘に最も近い部位を湯(約35℃)で濡らす。
【0127】
3.被験者は濡らした試験バーで輪を描くように濡れMasslinnタオルを6秒間こする。これで0.2−0.5gの製品がタオルに移る。
【0128】
4.指示された製品で部位を10秒間洗い、次いで90秒間の泡保持段階をおく。
【0129】
5.各試験部位で上記手順(1−4)を繰り返す。次にこれらの部位を(例えば、35℃の湯で)15秒間すすぎ、タオルで叩いて乾かす。
【0130】
6.終了後、全手順を繰り返す(2回の洗浄/試験期間)。
【0131】
評価方法
製品塗布段階の開始前およびその後の各洗浄試験期間の直前に乾燥度と紅斑を評価するためのベースライン目視評価を行う。最終目視評価は最終日の午後に行う。
【0132】
表Bの0−6段階スケールを使用して試験部位の乾燥度および紅斑を評価する。製品の選定が評価者に判らないように、目視評価は製品塗布場所から離れた別の場所で行う。
【0133】
【表11】

【0134】
試験の初日(ベースライン)および最終日に計器読取を行う。被験製品の低刺激性は1/(試験終了時の乾燥度の平均変化)として計算する。目視評価に加えて、前出の参考文献に記載されている蒸発計および皮膚コンダクタンス計を使用して処理部位の計器評価を行う。
【0135】
計器評価
計器測定値はいずれも30分間の環境順応期間後に採取する。室内の湿度および温度のデータを記録し最終リポートに含ませる。計器測定値は製品塗布の0、1、2、4、6、8および24時間後という時点のいくつかまたは全部で採取する。このプロトコルに使用できる計器は、Derma Labモデル#CR 200001−140、EP1またはEP2プローブの付いたServoMed蒸発計、角質計CM820、MT−8Cプローブの付いたSkicon皮膚湿度計、および、潤い検査器である。室温20−25℃、相対湿度30%−40%に維持する。湿潤度は目視乾燥度または皮膚水分のベースラインからの平均変化であると定義する。
【0136】
経皮減水試験(TEWL)
Derm Labモデル#CR 200001−140を使用し、Murahataらによって概説されている手順(“The use of transepidermal water loss to measure and predict the irritation response to surfactants”,Int.J.Cos.Science 8,225(1986))と同様の手順に従って経皮減水量を定量した。TEWLは、角質層バリア機能の保全および洗浄剤の相対効果に関する定量的測定値を提供する。
【0137】
計器の動作原理はフィックの法則に基づく。
(1/A)(dm/dt)=−D(dp/dx)
ここに、
A=表面積(m
m=運ばれた水の重量(g)
t=時間(時)
D=水の拡散係数に関する定数0.0877g−1−1(mmHg)−1
p=空気中の水蒸気分圧(mmHg)
x=皮膚表面からセンサまでの距離(m)。
【0138】
蒸発速度dm/dtは分圧勾配dp/dxに比例する。蒸発速度は異なる既知の距離だけ皮膚から離れた2点の分圧を測定することによって測定できる。これらの点は皮膚表面から15−20mmの範囲内にある。
【0139】
一般的な臨床要件を以下に挙げる:
1.パネリスト全員は測定前に最低15分間は温度および湿度を調節した試験室で平衡状態を保つ。
【0140】
2.処理前および処理後の測定値を皮膚のほぼ同じ場所で採取できるように試験部位を計測またはマークする。
【0141】
3.センサが試験部位に垂直になるように最小圧力を使用してプローブを取り付ける。プローブの校正は、計器と共に供給された校正セット(No.2110)で行う。計器プローブおよび校正フラスコの周囲の均一な温度分布を確保するためにキットを熱絶縁ボックスに収容する必要がある。
【0142】
5.校正に使用した3種類の塩溶液は、LiCl、[MgNO3]2およびK2SO4である。予め計量した高純度の塩をキット計器で供給する。溶液濃度は、21℃でそれぞれRHがA11.2%、A54.2%およびA97%となるような濃度である。
【0143】
計器は一般に以下のように使用する:
1.正常試験の場合は1−100g/m2時の範囲に設定したセレクタスイッチで計器の読取を行う。
【0144】
2.プローブから保護キャップを外し、テフロンカプセルが評価部位に垂直に接するように測定ヘッドを配置して、プローブヘッドにかかる圧力が最小になるようにする。ゼロ点からの偏差を最小にするためにプローブヘッドを付属のゴム絶縁ストッパで保持しなければならない。
【0145】
3.評価前の被験者の平衡時間は温度/湿度調節室で15分である。
【0146】
4.データ採取の前に最低30秒間は試験部位でプローブを安定させる。風が吹いているとき、また、バリアの損傷が大きいときは、安定化時間を延長することを勧告する。
【0147】
5.安定化時間の後データを15秒間採取する。
【0148】
皮膚水分試験
角質計CM802PC(Courage & Khazaha,Kohl,Germany)は化粧品業界で広く使用されているデバイスである。この計器は皮膚表面に接触させた電極を介して皮膚キャパシタンスの高周波交流電圧電気測定値を安全に採取できる。測定されたパラメーターが皮膚水分によって変化することが知見されている。しかしながらこれらのパラメーターはまた、体表温度、汗腺の活動および使用製品の組成のような多くの他の要因によって変化する。角質計は好ましい条件下の角質上層の含水量の方向変化を示すことができるだけであり、この場合でも、定量的解釈は誤解を生むことがあり得る。
【0149】
広く使用されている代替計器はSkicon皮膚コンダクタンス計である(I.B.S.Co Ltd.Shizuoka−ken,Japan)。
【0150】
どちらの計器でもパネリストには以下の要件が求められる:
1.被験者は腕を露出した状態で最低15分間は温度および相対湿度を一定に維持した室内条件で平衡状態を維持しなければならない。
【0151】
2.話し合ったり動き回ったりするような身体的および生理的気晴らしはできるだけ少なくしなければならない。
【0152】
3.測定前の少なくとも1時間は熱い飲み物やカフェイン含有製品を全く摂取してはならない。
【0153】
4.パネリストは測定前の少なくとも30分間は喫煙してはならない。
【0154】
操作手順
1.外側ケーシングによる皮膚表面の凹みが最小になるようにプローブを軽く触れさせる。測定表面はバネ荷重され、従ってブラックシリンダーが外側ケーシング内部に完全に隠れるようにプローブに十分な圧力が作用しなければならない。
【0155】
2.プローブを皮膚表面に垂直に保持しなければならない。
【0156】
3.操作員は測定部位の体毛にプローブを接触させないようにする。
【0157】
4.計器のシグナルビーパーが鳴るまで(約1秒間)プローブを皮膚に接触させて維持する必要があり、次いで皮膚からはなす。プローブ表面が清浄であることがわかれば直ちに以後の測定を行うことができる。
【0158】
5.試験区域の別々の点で最低3つの個別測定値を採取し、これらの平均をこの部位の平均水分とする。
【0159】
6.読取操作間のプローブの清浄化には乾いたティッシュペーパーを使用しなければならない。
【0160】
f)湿潤剤付着試験
サンプルバーに配合した任意の湿潤剤(例えば、皮膚コンディショニング剤)の付着は以下の手順を使用して定量し得る。
【0161】
試験の2日前までに湿潤剤非含有製品で被験者の皮膚(腕/脚)を予めコンディショニングする。製品塗布の前に皮膚に存在していた湿潤剤(例えば、脂肪酸)のレベルを評価するためにベースライン抽出を行う。皮膚(腕または脚)に製品の一回の管理塗布を行う。洗浄工程は、バーを皮膚に30秒間擦り込み、泡を90秒間維持し、30秒間すすぎ(例えば温度35℃を使用)、次いでタオルでやさしく叩いて乾かす段階から成る。その後、適当な溶媒((IPA)/メタノール、1:1)で部位を抽出する。抽出は以下の手順で行う。
【0162】
ガラスコップ(3cm径)を皮膚にかぶせる。3mlの溶媒をこれに入れ、ガラス棒で2分間静かに撹拌する。溶媒をピペットで取り出す。合計で6mlの抽出物を集めるまで新しい3mlの溶媒を用いてこの段階を繰り返す。抽出物のステアリン酸/パルミチン酸含量をLC/MSまたはGC/MSなどを使用して分析する。
【0163】
g)皮膚研磨試験
サンプルバー中に任意の皮膚剥脱剤が存在するとき、感知できるバーの皮膚研磨は以下の手順を使用して測定し得る。皮膚研磨は、消費者が0−9段階の評価スケールで格付けした研磨応答であると定義する(0は研磨なし、10はプーフ(すなわち、細いブラスチックフィラメントから成るシャワー器具)による研磨、Gordonらの米国特許第5,650,384号参照)。
【0164】
この試験は50名の素人の消費者で行う。かれらに試験製品による研磨を0−9段階の評価スケールで格付けするように依頼する。0の値を与えた皮膚剥脱剤非含有のバーおよび9の値を与えたプーフに対する応答に基づいてデータを正規化する。バーを濡らし、試験製品を前腕の肘に10−15回前後に擦り込んで塗布する。
【0165】
h)pH試験法
サンプルバーのpHは以下の手順で試験するとよい。
【0166】
10%スラリーを得るために10グラムのバー配合物を90gの水とブレンドして水性スラリーを調製する。次に慣用のpH計を使用し25℃のスラリーのpHを測定する。
【0167】
i)ゼイン試験法
以下に記載のゼイン溶解度法で測定すると、本発明のトイレットバーは好ましくは約50、40、30以下、最も好ましくは約25以下のゼイン溶解度を有している。ゼインスコアが低いほど製品が低刺激性であると考えられる。この方法では、以下のような洗浄基剤溶液中でゼイン(トウモロコシデンプン)の溶解度を測定する。
【0168】
0.3gの洗浄基剤と29.7gの室温(25℃)の水とを十分に混合する。これに約1.5gのゼインを加えて1時間かき混ぜる。次に混合物を3000rpmで30分間遠心する。遠心後、ペレットを抽出し、水洗し、水分が実質的に完全に蒸発するまで真空オーブンで24時間乾燥する。乾燥ペレットの重量を測定し、溶解ゼイン%を以下の等式を使用して計算する:
溶解ゼイン%=100(1−乾燥ペレット重量/1.5)。
【0169】
%ゼインはさらに以下の参考文献に記載されている:
E.Gotte,“Skin Compatibility of tensides measured by their capacity for dissolving zein protein”,Proc.IV International Congress of Surface Active Substances,Brussels,1964,pp83−90。
【0170】
i)パッチ試験法
製品の低刺激性を評価するために48時間連続または14日間累積の傷害パッチテストを使用し得る。48時間パッチテストでは、製品の5−15%溶液/スラリーを標準コットンパッドで被験者の上腕/背に塗布する。パッチ除去後の24時間まで炎症応答を記録する。14日間累積テストでは、製品の5−15%溶液/スラリーを24時間毎に14日間繰り返して塗布する。パッチ除去後の24時間まで炎症応答を記録する。
【0171】
試験製品の低刺激性を1/(最終パッチ除去後の24時間の平均紅斑)として評価する。
【0172】
k)伸び応力試験法
例えば、500ニュートン圧縮荷重セルを備えており、また、好ましくは2、4または11mm径の鋭い縁をもつディスクで終結するプローブの付いた針入度計を備えているInstron Tensile Testerモデル3211によって一定の変形率の伸び力を測定する。測定中、プローブを一定の速度でサンプル内に下ろし、力を連続的に記録する。伸び率Eはプローブの速度およびディスクの直径から以下の公式で計算する:
E=4V/d
ここに、Vはプローブの速度をmm/秒で表し、dはプローブの直径をmmで表す。
【0173】
伸び応力Σは、35℃で測定した力およびディスクの直径から以下の公式で計算する:
【0174】
【化1】

ここに、Fはプローブに作用した力をKpaで表し、dはプローブの直径をmmで表す。
【0175】
本発明をその実施態様に関して説明してきたが、本発明の多くの別の形態および変形は当業者に明らかであると思われる。本発明の厳密な要旨および範囲を逸脱しないこのような明らかな形態および変形の全てが特許請求の範囲および明細書に包含されると解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】表5に記載のトイレットバーのTEWL(経皮減水量)読取値(ベースラインからの平均変化)を示す棒グラフである。
【図2】表6に記載のトイレットバーのSkicon(コンダクタンス)読取値(ベースラインからの平均変化)を示す折れ線グラフである。
【図3】表7に記載のトイレットバーの角質計(キャパシタンス)読取値(ベースラインからの平均変化)を示す折れ線グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)0−30重量%の脂肪酸セッケン、好ましくは0−20重量%の脂肪酸セッケンと、
(b)15−75重量%のC8−C18ジアシル−/モノアシル−イセチオネートブレンドと、
を含み、ジアシルイセチオネート対モノアシルイセチオネートの比が1:100−1:1の範囲であり、
(c)バーが、25℃、50%RHで20KPa−400KPaの範囲の降伏応力値を有しているトイレットバー。
【請求項2】
さらに、0.1−15重量%のアルカリ金属イセチオネート塩とアルカリ土類金属イセチオネート塩とのブレンドを含み、アルカリ土類金属イセチオネート対アルカリ金属イセチオネートのブレンド比が1:100−1:1の範囲である請求項1に記載のトイレットバー。
【請求項3】
(1種類または複数の)ジアシルイセチオネート対イオンが、マグネシウム、カルシウムまたはそれらのブレンドから選択され、(1種類または複数の)モノアシルイセチオネート対イオンが、ナトリウム、カリウムまたはそれらのブレンドから選択される請求項1または2に記載のトイレットバー。
【請求項4】
モノアシルイセチオネートとジアシルイセチオネートとの全量がバー全体の75重量%超にならないという条件付きで、25−74重量%のC8−C18モノアシルイセチオネートと0.1−35重量%のジアシルイセチオネートとを含有する請求項1から3のいずれか一項に記載のトイレットバー。
【請求項5】
(1種類または複数の)ジアシルイセチオネートの存在量の少なくとも60重量%がマグネシウムココイルイセチオネートであり、(1種類または複数の)モノアシルイセチオネートの存在量の少なくとも60重量%がナトリウムココイルイセチオネートである請求項1から4のいずれか一項に記載のトイレットバー。
【請求項6】
C8−C18のアルカリ金属イセチオネートとアルカリ土類金属イセチオネートとのブレンドを35−55重量%の量で含有する請求項1から5のいずれか一項に記載のトイレットバー。
【請求項7】
0.1−10重量%のナトリウムイセチオネートと0.1−10重量%のマグネシウムイセチオネートとを含有する請求項1から6のいずれか一項に記載のトイレットバー。
【請求項8】
脂肪酸セッケンがC6−C22セッケンのブレンドを含む請求項1から7のいずれか一項に記載のトイレットバー。
【請求項9】
さらに、(1種類または複数の)C8−C22アルキルスルフェート、(1種類または複数の)C8−C22アルキルスルホスクシネート、(1種類または複数の)C8−C22アルキルスルホネート、(1種類または複数の)C8−C22脂肪酸エステルスルホネート、それらの誘導体およびブレンドから選択された少なくとも1種類のノンソープアニオン性界面活性剤を、イセチオネートを除く(1種類または複数の)ノンソープアニオン性界面活性剤の全量として0.1−15重量%の範囲で含む請求項1から8のいずれか一項に記載のトイレットバー。
【請求項10】
さらに、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、塩化亜鉛またはジンクココエートから選択された1種類または複数の化合物を少なくとも0.05重量%の量で含む請求項1から9のいずれか一項に記載のトイレットバー。
【請求項11】
遊離水の量が15重量%未満であり、好ましくは3重量%超である請求項1から10のいずれか一項に記載のトイレットバー。
【請求項12】
さらに、少なくとも0.01重量%の疎水性皮膚緩和剤を含む請求項1から11のいずれか一項に記載のトイレットバー。
【請求項13】
さらに、10−40重量%のC8−C18の(1種類または複数の)全脂肪酸を含む請求項1から12のいずれか一項に記載のトイレットバー。
【請求項14】
マッシュ率が0.99−0.3の範囲である請求項1から13のいずれか一項に記載のトイレットバー。
【請求項15】
バーの含水量が3−15重量%である請求項1から14のいずれか一項に記載のトイレットバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−518063(P2008−518063A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538290(P2007−538290)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010871
【国際公開番号】WO2006/045420
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】