説明

低挿入力コネクタ及び端子

【課題】ICパッケージの導電パッドを容易に挿入できるようにした低挿入力コネクタおよび端子を提供する。
【解決手段】本発明の低挿入力コネクタは、対接壁と、前記対接壁に対向した取付壁と、前記対接壁及び取付壁を貫通するように形成される複数の端子収容溝と該端子収容溝に連通するガイド溝と、を有する絶縁ハウジングと、前記絶縁ハウジングの端子収容溝内に装着され、主体部と、該主体部の両側縁からそれぞれ対称し延出するように形成される一対の弾性アームと、各弾性アームの末端にそれぞれ形成されるアーチ状の滑らかな一対のコンタクト部と、前記主体部の底部から延出し形成されるテール部と、を有する複数の端子と含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関し、特にICパッケージをプリント回路基板に電気的に接続する低挿入力コネクタ及び端子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術の特許文献1を参照すれば、ICパッケージ(図示せず)をプリント回路基板(図示せず)に電気的に接続するための従来の低挿入力コネクタである。図8を参照すると、従来の低挿入力コネクタは、絶縁ハウジングと該絶縁ハウジング内に装着される複数の端子3とを含み、各端子3は主体部31と、該主体部31の両側縁よりそれぞれ対称し延設するように形成されるアーム部32と、主体部31の末端より延出し形成するテール部34と、を含む。前記端子3のアーム部32は、主体部31の側縁にそれぞれ連接する一対の延出部321と各延出部321よりそれぞれ内側への向きに対向し折り曲がるように形成する弾性アーム322とを含む。
【特許文献1】中国実用新案公告第CN2351886Y号明細書
【0003】
従来の低挿入力コネクタの使用の際に、ICパッケージの導電パッドが端子3の一対の弾性アーム322の間に挿入され、弾性アーム322の弾性変形により、ICパッケージの導電パッドが一対の弾性アーム322の間に挟まれ、これにより弾性アーム322の末端に折り曲がるように形成されるコンタクト部33がICパッケージの導電パッドに電気的に接続している。これによって、ICパッケージが低挿入力でコネクタに組付けられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の低挿入力コネクタ及び端子の一つの欠点は、低挿入力コネクタの端子はただ弾性アーム322が弾性的に変形できるのみで、導電コンタクト自体の弾性が低下することである。もう一つの問題は、端子のコンタクト部が折り曲がるように形成することで摩擦抵抗力が増加し、ICパッケージの導電パッドを容易に挿入・抜出することができないことである。更に別の問題は、ICパッケージの導電パッドを挿入する際に、ICパッケージが正確な挿入方向から偏って斜めに挿入される場合に、ICパッケージの導電パッドが端子の弾性アームと干渉することで、端子の弾性アームが損傷される恐れがある。そこで、本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、改良した新型の低挿入力コネクタ及び端子を提供することを目的とする。
【0005】
本発明は、ICパッケージの導電パッドを容易に挿入できるようにした低挿入力コネクタおよび端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明によれば、対接壁と、前記対接壁に対向した取付壁と、前記対接壁及び取付壁を貫通するように形成される複数の端子収容溝と該端子収容溝に連通するガイド溝と、を有する絶縁ハウジングと、前記絶縁ハウジングの端子収容溝内に装着され、主体部と、該主体部の両側縁からそれぞれ対称し延出するように形成される一対の弾性アームと、各弾性アームの末端にそれぞれ形成されるアーチ状の滑らかな一対のコンタクト部と、前記主体部の底部から延出し形成されるテール部と、を有する複数の端子と含む。
【0007】
本発明の別の特徴によれば、主体部と、前記主体部の両側縁からそれぞれ対称し延出するように形成され、その末端にコンタクト部がそれぞれ形成される一対の弾性アームと、前記主体部の底部から延出し形成されるテール部と、を含む端子において、前記弾性アームは、前記主体部の両側縁からそれぞれ下向きに斜めに延出するように形成される延出アームと、該延出アームの前記主体部を遠く離れる一端からそれぞれ上向きに斜めに延出するように形成される弾性部と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
従来の技術に比べると、本発明は以下の長所がある。低挿入力コネクタの端子の弾性アームは折り曲げ加工によって、弾性アームの長さが増加されるので弾性アームの弾性が増加される。また、コンタクト部が滑らかなアーチ状を呈することにより、ICパッケージの導電パッドを容易に挿入できる。また、ICパッケージは正確な挿入方向から偏って斜めに挿入されれば、前記ガイド溝のガイド作用及び端子のコンタクト部の滑らかな接触面により、端子の一対のコンタクト部の間に容易に挿入できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図1〜図7を参照すると、本発明の低挿入力コネクタ10及び端子30の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。該低挿入力コネクタ10は、ICパッケージ(図示せず)を回路基板(図示せず)に接続するのに用いられ、絶縁ハウジング20と、該絶縁ハウジング20に装着される複数の端子30と、を含む。
【0010】
図6を参照すると、前記絶縁ハウジング20は、絶縁材料からなる矩形状となって、ICパッケージに対向する対接壁202と回路基板に対向する取付壁204と、対接壁202及び取付壁204を貫通するように形成する複数の端子収容溝206及びICパッケージの導電パッド50をガイドするためのガイド溝208と、を含む。前記ガイド溝208は、テーパ状を成す案内孔210と、該案内孔210と端子収容溝206に連通する円柱状を成す連通孔212とからなる。前記連通孔212の直径はICパッケージの導電パッド50の直径より大きいから、ICパッケージが低挿入力コネクタ10に接続する際に、導電パッド50の端子収容溝206への挿入をガイドすることができる。また、絶縁ハウジング20の取付壁204の4つの隅部には、同じ高さの支持部205(図1に示す)がそれぞれ突設し形成され、これによって、低挿入力コネクタ10を回路基板に実装する際に、低挿入力コネクタ10の傾斜することが防止できる。
【0011】
図2乃至図4を参照すると、端子30は、ばね性があり導電性がある金属シート材料から打ち抜き、折り曲げ加工によって一体的に形成されたものである。該端子30は、主体部302と、該主体部302の側縁からそれぞれ折り曲がるように延設される一対の弾性アーム304と、各弾性アーム304の頂部に形成されるコンタクト部3080と、主体部302の底壁より延出するテール部306と、を含む。前記主体部302は平板状を成し、垂直方向で延在するように形成され、その頂端及び中間部分に、それぞれ絶縁ハウジング20の端子収容溝206の内壁に干渉して係合する一対の固持部3020が形成される。前記テール部306の底部に回路基板に半田付けされるための錫ボール40が植設される。
【0012】
前記一対の弾性アーム304は、主体部302の側縁から対称し延出するように形成され、主体部302からそれぞれテール部306へ向けて即ち下向きに斜めに延出するように形成される延出アーム3040と、延出アーム3040の主体部302を遠く離れる一端からそれぞれ上向きに斜めに延出するように形成される弾性部3050と、弾性部3050の末端に形成されるコンタクト部3080と、をそれぞれ含む。一対のコンタクト部3080は、外方に向けて漸次に拡張するようにアーチ状の滑らかな接触面(参照記号なし)が形成され、且つ一対のコンタクト部3080の頂端の間の水平距離は絶縁ハウジング20の連通孔212の直径より大きい。また、図6と図7を参照して、コンタクト部3080の頂端は主体部302の頂端の上方に位置している。
【0013】
前記端子30の弾性アーム304は、折り曲げ加工によって、弾性アーム304の長さが増加されるので弾性アーム304の弾性が増加される。また、コンタクト部3080が滑らかなアーチ状を呈することにより、ICパッケージの導電パッド50を容易に挿入できる。
【0014】
図6と図7を参照すると、低挿入力コネクタ10の組付けの際に、前記端子30は、絶縁ハウジング20の端子収容溝206に下方から装着され、主体部302から延出し形成する固持部3020が端子収容溝206の内壁に干渉し係合することによって、該端子30が絶縁ハウジング20の端子収容溝206に保持される。端子収容溝206に収容した端子30のコンタクト部3080は、その先端とガイド溝208の連通孔212との間に所定の距離を持っている。
【0015】
図4乃至図7を参照すると、使用状態において、まず、端子30のテール部306に植設される錫ボール40により、低挿入力コネクタ10が回路基板に実装される。次に、導電パッド50がガイド溝208にそれぞれ対応する状態でICパッケージを絶縁ハウジング20の対接壁に置いている。最後に、ICパッケージを下向きに押圧すると、ICパッケージの導電パッド50をガイド溝208の案内孔210のガイド作用により連通孔212を経由して端子収容溝206に挿入させる。端子収容溝206で、導電パッド50がアーチ状の滑らかな接触面に沿って一対のコンタクト部3080の間に挟まれることによって、導電パッド50と端子30との間に電気的な接続を達成でき、更にICパッケージを回路基板に電気的に接続させる。
【0016】
また、ICパッケージが正確な挿入方向から偏って斜めに挿入されれば、前記ガイド溝208のガイド作用及び端子30のコンタクト部3080の滑らかな接触面により、ICパッケージが端子30の一対のコンタクト部3080の間に容易に挿入できる。
【0017】
総じて、本発明の多数の特徴及び長所など、その構造及び機能が共に前述の記載により掲げられている。また前記の説明は、本発明に基づきなしうる細部の修正或は変更など、いずれも本発明の請求範囲に属するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る低挿入力コネクタの斜視図である。
【図2】本発明に係る低挿入力コネクタの端子の斜視図である。
【図3】図2に示す低挿入力コネクタの端子の正面図である。
【図4】図2に示す低挿入力コネクタの端子の側面図である。
【図5】図1に示す低挿入力コネクタのA箇所の拡大図である。
【図6】本発明に係る低挿入力コネクタの端子が絶縁ハウジングに装着された後の断面図である。
【図7】本発明に係る低挿入力コネクタの端子が絶縁ハウジングに装着された後のほかの角度から見る断面図である。
【図8】従来例に係る低挿入力コネクタの端子の斜視図である。
【符号の説明】
【0019】
10 低挿入力コネクタ
20 絶縁ハウジング
30 端子
40 錫ボール
50 導電パッド
202 対接壁
204 取付壁
206 端子収容溝
208 ガイド溝
210 案内孔
212 連通孔
302 主体部
304 弾性アーム
306 テール部
3020 固持部
3040 延出アーム
3050 弾性部
3080 コンタクト部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対接壁と、前記対接壁に対向した取付壁と、前記対接壁及び取付壁を貫通するように形成される複数の端子収容溝と該端子収容溝に連通するガイド溝と、を有する絶縁ハウジングと、
前記絶縁ハウジングの端子収容溝内に装着され、主体部と、該主体部の両側縁からそれぞれ対称し延出するように形成される一対の弾性アームと、各弾性アームの末端にそれぞれ形成されるアーチ状の滑らかな一対のコンタクト部と、前記主体部の底部から延出し形成されるテール部と、を有する複数の端子と、
を含むことを特徴とする低挿入力コネクタ。
【請求項2】
前記ガイド溝は、案内孔と、前記端子収容溝と案内孔を連通するための連通孔と、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の低挿入力コネクタ。
【請求項3】
前記連通孔は、円柱状の孔であり、その直径が前記一対のコンタクト部の頂端の間の水平距離より小さいことを特徴とする、請求項2に記載の低挿入力コネクタ。
【請求項4】
前記端子の弾性アームは、前記主体部の両側縁からそれぞれ下向きに斜めに延出するように形成される延出アームと、延出アームの前記主体部を遠く離れる一端からそれぞれ上向きに斜めに延出するように形成される弾性部と、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の低挿入力コネクタ。
【請求項5】
前記端子のコンタクト部は、前記弾性部から外方に向けて漸次に拡張するように形成されることを特徴とする、請求項4に記載の低挿入力コネクタ。
【請求項6】
前記コンタクト部の頂端は、前記主体部の頂端の上方に位置していることを特徴とする、請求項4または5に記載の低挿入力コネクタ。
【請求項7】
前記主体部の側縁には、少なくとも一対の固持部が形成されることを特徴とする、請求項4から請求項6までのいずれか1項に記載の低挿入力コネクタ。
【請求項8】
主体部と、
前記主体部の両側縁からそれぞれ対称し延出するように形成され、その末端にコンタクト部がそれぞれ形成される一対の弾性アームと、
前記主体部の底部から延出し形成されるテール部と、
を含む端子において、
前記弾性アームは、前記主体部の両側縁からそれぞれ下向きに斜めに延出するように形成される延出アームと、該延出アームの前記主体部を遠く離れる一端からそれぞれ上向きに斜めに延出するように形成される弾性部と、を含むことを特徴とする端子。
【請求項9】
前記コンタクト部は、滑らかなアーチ状を呈することを特徴とする、請求項8に記載の端子。
【請求項10】
前記コンタクト部は、前記弾性部から外方に向けて漸次に拡張するように形成されることを特徴とする、請求項8に記載の端子。
【請求項11】
前記コンタクト部の頂端は、前記主体部の頂端の上方に位置していることを特徴とする、請求項8に記載の端子。
【請求項12】
前記主体部の側縁には、少なくとも一対の固持部が形成されることを特徴とする、請求項8から請求項11までのいずれか1項に記載の端子。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−339141(P2006−339141A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−136859(P2006−136859)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】