説明

低曇価透明導体

本開示は、低曇価透明導体およびインク組成物、ならびにこれらの作製方法に関する。本発明の透明導体は、複数の導電性ナノ構造体を含み、この透明導体の曇価は1.5%未満であり、光透過率は90%を超え、シート抵抗は350オーム/スクエア未満である。本発明のインク組成物は、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が長さ55μm以下である複数の前記導電性ナノ構造体と、粘度調整剤と、界面活性剤と、分散流体とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本願は、米国特許法§119(e)の下で、2010年1月15日に出願された米国仮特許出願第61/295,634号の利益を主張する。この米国仮特許出願第61/295,634号の全体が参照として本明細書に援用される。
【0002】
(背景)
(技術分野)
本開示は、低曇価透明導体およびインク組成物、ならびにこれらの作製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の説明)
透明導体は、光学的に透明な導電膜である。それらは、ディスプレイ、タッチパネル、光起電装置(photovoltaic)(PV)、種々のタイプの電子ペーパー、静電シールド、加熱又は抗反射性コーティング(例えば、窓)などの領域で普及している。種々の技術は、金属ナノ構造体、(例えば、ゾル−ゲル手法による)透明導電性酸化物、導電性ポリマー、及び/又はカーボンナノチューブなどの1種類以上の導電媒体を基とする透明導体を製造する。一般に、透明導体は、さらに、導電膜が堆積又はコートされる透明基体も含む。
【0004】
最終用途に応じて、例えば、シート抵抗、光透過性及び曇価を含めて、所定の電気特性及び光学特性を有する透明導体を作り出すことができる。透明導体の製造は、電気性能と光学性能のバランスをとる必要があることが多い。ナノ構造体に基づく透明導体の場合、概して、より高い透過及びより低い曇価は、典型的には、より少ない導電性ナノ構造体に関連し、それはより高いシート抵抗(すなわち、より低い導電性)をもたらす。
【0005】
透明導体の多数の商業的応用例(例えば、タッチパネル及びディスプレイ)は、曇価レベルを2%未満に維持する必要がある。したがって、低曇価透明導体の製造は、かかる低レベルの曇価を達成する際に満足な導電率を維持することが不可能であり得るので、特に困難である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(簡単な要約)
曇価が1.5%未満、より典型的には0.5%未満である一方で、高電気伝導率(例えば、350オーム/スクエア未満)を維持する低曇価透明導体、及びその作製方法を本明細書で述べる。
【0007】
一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含む透明導体であって、透明導体の曇価が1.5%未満であり、シート抵抗が350オーム/スクエア未満である、透明導体を提供する。
【0008】
更なる一実施形態は、シート抵抗が50オーム/スクエア未満である透明導体を提供する。
【0009】
更なる一実施形態は、曇価が0.5%未満である透明導体を提供する。
【0010】
別の一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含む透明導体であって、透明導体の曇価が約0.3〜0.4%であり、シート抵抗が約170〜350オーム/スクエアである、透明導体を提供する。
【0011】
別の一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含む透明導体であって、透明導体の曇価が約0.4〜0.5%であり、シート抵抗が約120〜170オーム/スクエアである、透明導体を提供する。
【0012】
別の一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含む透明導体であって、透明導体の曇価が約0.5〜0.7%であり、シート抵抗が約80〜120オーム/スクエアである、透明導体を提供する。
【0013】
別の一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含む透明導体であって、透明導体の曇価が約0.7〜1.0%であり、シート抵抗が約50〜80オーム/スクエアである、透明導体を提供する。
【0014】
別の一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含む透明導体であって、透明導体の曇価が約1.0〜1.5%であり、シート抵抗が約30〜50オーム/スクエアである、透明導体を提供する。
【0015】
更なる実施形態は、上記膜仕様の透明導体であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が長さ55μm以下であるか、又はアスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が長さ45μm以下であるか、又はアスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が長さ約5から50μmであるか、又はアスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が長さ約5から30μmであるか、又はアスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の平均長さが約10〜22μmであるか、又はアスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の平均平方長さが約120〜400μmである、透明導体を提供する。
【0016】
更なる実施形態は、上記膜仕様の透明導体であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が直径55nm以下であるか、又はアスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が直径45nm以下であるか、又はアスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が直径約15から50nmであるか、又はアスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が直径約20から40nmであるか、又はアスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の平均直径が約26〜32nmであり、標準偏差が4〜6nmの範囲であるか、又はアスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の平均直径が約29nmであり、標準偏差が4〜5nmの範囲である、透明導体を提供する。
【0017】
更なる実施形態は、上記膜仕様の透明導体であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が長さ55μm以下であり、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が直径55nm以下であるか、又はアスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が長さ約5から50μmであり、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が直径約15から50nmであるか、又はアスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が長さ約5から30μmであり、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が直径約20から40nmであるか、又はアスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の平均長さが約10〜22μmであり、さらに、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の平均直径が約26〜32nmであり、標準偏差が4〜6nmの範囲であるか、又はアスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が長さ45μm以下であり、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が直径45nm以下である透明導体を提供する。
【0018】
更なる一実施形態は、金属塩と還元剤を含む反応溶液から金属ナノワイヤを成長させる工程を包含する方法であって、成長させる工程が、
反応溶液中の金属塩と還元剤の第1の部分を第1の時間反応させる工程、及び
反応溶液中の金属塩の0.1%w/w未満のほぼ一定の濃度を維持しながら、金属塩の第2の部分を第2の時間にわたって徐々に添加する工程
を包含する、方法を提供する。
【0019】
更なる一実施形態は、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が長さ55μm以下である複数の導電性ナノ構造体と、粘度調整剤と、界面活性剤と、分散流体とを含む、インク組成物を提供する。
【0020】
追加の実施形態は、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が長さ45μm以下であるか、又はアスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が長さ約5から50μmであるか、又はアスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が長さ約5から30μmであるか、又はアスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の平均長さが約10〜22μmであるか、又はアスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の平均平方長さが約120〜400μmである、インク組成物を提供する。
【0021】
更なる一実施形態は、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が直径55nm以下である複数の導電性ナノ構造体と、粘度調整剤と、界面活性剤と、分散流体とを含む、インク組成物を提供する。
【0022】
追加の実施形態は、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が直径45nm以下であり、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が直径約15から50nmであり、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が直径約20から40nmであり、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の平均直径が約26〜32nmであり、標準偏差が4〜6nmの範囲であり、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の平均直径が約29nmであり、標準偏差が4〜5nmの範囲である、インク組成物を提供する。
【0023】
更なる一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含むインク組成物であって、この組成物は複数の導電性ナノ構造体と、粘度調整剤と、界面活性剤と、分散流体とを含み、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が長さ55μm以下であり、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が直径55nm以下である、インク組成物を提供する。
【0024】
追加の実施形態は、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が長さ約5から50μmであり、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が直径約15から50nmであるか、又はアスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が長さ約5から30μmであり、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が長さ約20から40nmであるか、又はアスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の平均長さが約10〜22μmであり、さらに、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の平均直径が約26〜32nmであり、標準偏差が4〜6nmの範囲であるか、又はアスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が長さ45μm以下であり、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が直径45nm以下である、インク組成物を提供する。
【0025】
(図面のいくつかの見方の簡単な説明)
図面において、同一の参照番号は、類似の要素又は行為を示す。図中の要素のサイズ及び相対位置は、必ずしも一定の縮尺で描かれてはいない。例えば、種々の要素の形状、及び角度は、一定の縮尺で描かれておらず、これらの要素の一部は、図を読みやすくするために、任意に拡大され、配置されている。さらに、描かれた要素の特定の形状は、特定の要素の実際の形状に関する任意の情報を伝えるようには意図されておらず、単に図中の読み取りを容易にするために選択されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、その長さ別のナノワイヤ集団の分布プロファイルを示すヒストグラムである。
【図2】図2は、その直径別のナノワイヤ集団の分布プロファイルを示すヒストグラムである。
【図3】図3は、あるサイズ分布プロファイルに従う銀ナノワイヤを調製する2段階反応スキームのフローチャートである。
【図4】図4は、2段階反応によって調製された銀ナノワイヤの直径分布に対する精製の効果を示す。
【図5】図5は、3バッチの銀ナノワイヤの長さ分布プロファイルを対数正規分布として示す。
【図6】図6は、3バッチの銀ナノワイヤの直径分布プロファイルを正規分布、すなわちガウス分布として示す。
【図7】図7は、銀ナノワイヤで形成された導電性薄膜の曇価と抵抗の逆相関を示す。
【図8】図8は、銀ナノワイヤで形成された導電性薄膜の透過率と抵抗の正相関を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(発明の詳細な説明)
一般に、本明細書に記載の透明導体は、導電性ナノ構造体の導電性薄膜である。透明導体においては、1個以上の導電経路がナノ構造体間の連続した物理的接触によって確立されている。ナノ構造体の導電性ネットワークは、電気的パーコレーション閾値に達する十分なナノ構造体が存在する場合に形成される。したがって、電気的パーコレーション閾値は重要な値であり、その値を超える長距離の接続性を得ることができる。
【0028】
導電膜の導電率は、「膜抵抗」、「抵抗率」又は「シート抵抗」によって測定されることが多く、オーム/スクエア(又は「Ω/□」)で表される。膜抵抗は、少なくとも表面充填密度、ナノ構造体のサイズ/形状、及びナノ構造体構成要素固有の電気的性質の関数である。本明細書では、薄膜は、10Ω/□以下のシート抵抗を有する場合に導電性とみなされる。好ましくは、シート抵抗は10Ω/□、3,000Ω/□、1,000Ω/□又は350Ω/□、又は100Ω/□以下である。典型的には、金属ナノ構造体で形成された導電性ネットワークのシート抵抗は、10Ω/□から1000Ω/□、100Ω/□から750Ω/□、50Ω/□から200Ω/□、100Ω/□から500Ω/□、又は100Ω/□から250Ω/□、又は10Ω/□から200Ω/□、10Ω/□から50Ω/□、又は1Ω/□から10Ω/□の範囲である。
【0029】
光学的に、ナノ構造体に基づく透明導体は、可視領域(400〜700nm)で高い光透過率を有する。典型的には、透明導体は、光透過率が可視領域において85%を超えると光学的に透明とみなされる。より典型的には、光透過率は、90%超、又は93%超、又は95%超である。
【0030】
曇価は、光学的透明性の別の指標である。曇価は、バルクと表面の両方の粗さ効果による光散乱及び反射/屈折に起因すると一般に認識されている。低曇価透明導体は、光学的透明性が重要な性能因子の一つである、タッチスクリーン、ディスプレイなどの応用に特に望ましい。
【0031】
ナノ構造体が導電媒体を形成する透明導体の場合、ナノ構造体により起こる光散乱は不可避である。しかし、本明細書に記載のように、低曇価透明導体は、ナノ構造体のサイズ分布プロファイル及び粒子形態を制御することによって得ることができる。
【0032】
一般に、曇価をヒトの眼によって検出することができるレベルは約2%である。したがって、本開示の種々の実施形態は、曇価が1.5%未満の透明導体を対象とする。
【0033】
一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含む透明導体であって、透明導体の曇価が1.5%未満であり、シート抵抗が350オーム/スクエア未満である、透明導体を提供する。
【0034】
更なる一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含む透明導体であって、透明導体の曇価が1.5%未満であり、シート抵抗が50オーム/スクエア未満である、透明導体を提供する。
【0035】
別の一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含む透明導体であって、透明導体の曇価が0.5%未満であり、シート抵抗が350オーム/スクエア未満である、透明導体を提供する。
【0036】
別の一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含む透明導体であって、透明導体の曇価が0.3%未満であり、シート抵抗が350オーム/スクエア未満である、透明導体を提供する。
【0037】
別の一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含む透明導体であって、透明導体の曇価が約0.3〜0.4%であり、シート抵抗が約170〜350オーム/スクエアである、透明導体を提供する。
【0038】
別の一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含む透明導体であって、透明導体の曇価が約0.4〜0.5%であり、シート抵抗が約120〜170オーム/スクエアである、透明導体を提供する。
【0039】
別の一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含む透明導体であって、透明導体の曇価が約0.5〜0.7%であり、シート抵抗が約80〜120オーム/スクエアである、透明導体を提供する。
【0040】
別の一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含む透明導体であって、透明導体の曇価が約0.7〜1.0%であり、シート抵抗が約50〜80オーム/スクエアである、透明導体を提供する。
【0041】
別の一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含む透明導体であって、透明導体の曇価が約1.0〜1.5%であり、シート抵抗が約30〜50オーム/スクエアである、透明導体を提供する。
【0042】
ナノ構造体サイズ分布プロファイル
透過率、シート抵抗及び曇価を含めた上記薄膜仕様を満たすために、透明導体は、あるサイズ分布プロファイルに従うナノ構造体を含む。
【0043】
本明細書では「導電性ナノ構造体」又は「ナノ構造体」は一般に、その少なくとも1寸法(すなわち、幅)が500nm未満、より典型的には100nm又は50nm未満、さらにより典型的には20から40nmの範囲である導電性ナノサイズ構造を指す。長手方向的には、ナノ構造体は、長さが500nmを超えるか、又は1μmを超えるか、又は10μmを超える。より典型的には、ナノ構造体は長さが5から30μmの範囲である。
【0044】
ナノ構造体は、任意の形状又は幾何形態とすることができる。所与のナノ構造体の幾何形態を定義する一方法は、ナノ構造体の長さと幅(又は直径)の比を指す、その「アスペクト比」による方法である。ある実施形態においては、ナノ構造体は、等方性形状(すなわち、アスペクト比=1)である。典型的な等方性又は実質的には等方性のナノ構造体としてはナノ粒子が挙げられる。好ましい実施形態においては、ナノ構造体は異方性形状(すなわちアスペクト比≠1)である。異方性ナノ構造体は、典型的には、その長さに沿った長軸を有する。例示的な異方性ナノ構造体としてはナノワイヤ(アスペクト比が少なくとも10、より典型的には少なくとも50の固体ナノ構造体)、ナノロッド(アスペクト比が10未満の固体ナノ構造体)及びナノチューブ(中空ナノ構造体)が挙げられる。
【0045】
ナノ構造体の充填密度に加えて、そのサイズ及び形状も膜仕様を決定する因子の1つである。より具体的には、ナノ構造体の長さ、幅及びアスペクト比は、しばしば異なる程度で、最終シート抵抗(R)、透過率(T)及び曇価(H)に影響を及ぼす。例えば、ナノ構造体の長さは、典型的には、ナノ構造体の相互接続性の程度を左右し、次いで、透明導体のシート抵抗に影響を及ぼす。ナノ構造体の幅は、通常は、ナノ構造体の相互接続性に影響を及ぼさないが、透明導体の曇価にかなり影響し得る。
【0046】
現実的には、ナノ構造体の所与の集団(例えば、合成及び精製後の生成物)は、均一なサイズではなく、ある範囲のサイズ(長さ及び幅)のナノ構造体を含む。したがって、かかるナノ構造体集団によって形成される薄膜の仕様(R、T及びH)は、サイズ分布プロファイル全体にわたるナノ構造体の集団的寄与に依存する。
【0047】
サイズ分布プロファイルは、それぞれのサイズ(長さ及び幅)に従って振り分けられた、存在するナノ構造体の相対量又は頻度を規定する1セットの値を含む。
【0048】
サイズ分布プロファイルは、ヒストグラムによってグラフ表示することができる。ヒストグラムは、あるサイズ範囲の重複しない規則的間隔に従って、ナノ構造体の所与の集団を振り分け、各区間に該当するナノ構造体の頻度をプロットすることによって作成される。サイズ範囲の規則的間隔は、「値域範囲」とも称される。
【0049】
図1は、その長さ別のナノ構造体(例えば、ナノワイヤ)の集団の分布プロファイルを示すヒストグラムであり、X軸は値域範囲(5μm間隔)、Y軸は柱状に示した頻度である。長さ及び対応する頻度データを考慮して、滑らかな曲線を確率密度関数に基づいて描くこともできる。したがって、図1は、ナノ構造体の前記集団における長さ分布の形状(対数正規分布)及び広がり(平均前後の変動)を定量的にグラフによって示す。
【0050】
さらに、図1は、長さの範囲の最大及び最小長さを示す。導電率に寄与せずに光散乱の一因になる特定のナノ構造体は、サイズ分布プロファイルにおいてはるかに少ない頻度(例えば、10%未満、又はより典型的には5%未満)で存在することが認められ得る。これらのナノ構造体は、暗視野顕微鏡写真上のその外観に起因して、「明るい物体」として見られる。これらの明るい物体としては、例えば、幅が広すぎ、かつ/又は短すぎて、電気的パーコレーションプロセスに効果的に関与することができないナノ構造体(例えば、ナノ粒子、ナノロッド)が挙げられる。これらの明るい物体の一部又はすべてが低アスペクト比(10未満)を有する。
【0051】
したがって、一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含み、曇価が1.5%未満であり、シート抵抗が350オーム/スクエア未満である、低曇価透明導体であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が長さ55μm以下である、低曇価透明導体を提供する。
【0052】
更なる一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含み、曇価が1.5%未満である、低曇価透明導体であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が長さ45μm以下である、低曇価透明導体を提供する。
【0053】
更なる一実施形態は、曇価が1.5%未満である複数の導電性ナノ構造体を含む透明導体であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が長さ約5から50μmである、透明導体を提供する。
【0054】
更なる一実施形態は、曇価が1.5%未満である複数の導電性ナノ構造体を含む透明導体であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が長さ約5から30μmである、透明導体を提供する。
【0055】
長さ分布に加えて、ナノ構造体の平均長さ(<l>)及び平均平方長さ(<l>)も膜仕様を示す。特に、ナノ構造体の平均平方長さ(<l>)は、パーコレーション閾値を決定し、したがってシート抵抗に直接関連する。共同所有された同時係属中の米国特許出願第11/871,053号は、これら2つのパラメータ間の相関とナノワイヤに基づく透明導体のシート抵抗のより詳細な分析を提供する。この出願を参照としてその全体を本明細書に援用する。
【0056】
本明細書では、平均長さ(<l>)は、本明細書に記載のように、ナノ構造体の計数で除算された全測定長さの合計である。
【0057】
平均平方長さ(<l>)は、
【0058】
【数1】

で表すことができる。
【0059】
したがって、更なる一実施形態は、曇価が1.5%未満である複数の導電性ナノ構造体を含む透明導体であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の平均長さが約10〜22μmである、透明導体を提供する。
【0060】
種々の更なる実施形態においては、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の平均長さは、約12〜20μm、14〜18μm又は15〜17μmである。
【0061】
別の一実施形態は、曇価が1.5%未満である複数の導電性ナノ構造体を含む透明導体であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の平均平方長さが約120〜600μmである、透明導体を提供する。
【0062】
種々の更なる実施形態においては、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノワイヤの平均平方長さは、約240〜400μm又は260〜350μmである。
【0063】
図2は、その直径別のナノ構造体(例えば、ナノワイヤ)の集団の分布プロファイルを示すヒストグラムであり、X軸は値域範囲(5nm間隔)であり、Y軸は柱状の頻度である。直径及び対応する頻度データを考慮して、滑らかな曲線を確率密度関数に基づいて描くこともできる。したがって、図2は、ナノ構造の前記体集団における直径分布の形状(正規、すなわちガウス分布)及び広がり(平均前後の変動)を定量的にグラフによって示す。
【0064】
正規分布の結果として、複数のナノ構造体の分布プロファイルは、直径の平均及び標準偏差によって定義することができる。
【0065】
図2は、ナノ構造体の直径の狭い分布(すなわち、比較的小さい標準偏差)を示す。本明細書では、正規分布は、標準偏差が平均の20%未満、又はより典型的には平均の15%未満である場合に狭いとみなされる。狭い直径分布は、膜のナノ構造体の組成上の不均一性を抑制し、低曇価をもたらすと考えられる。
【0066】
したがって、一実施形態は、曇価が1.5%未満である複数の導電性ナノ構造体を含む透明導体であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が直径55nm以下である、透明導体を提供する。
【0067】
更なる一実施形態は、曇価が1.5%未満である複数の導電性ナノ構造体を含む透明導体であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が直径45nm以下である、透明導体を提供する。
【0068】
更なる一実施形態は、曇価が1.5%未満である複数の導電性ナノ構造体を含む透明導体であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が直径約15から50nmである、透明導体を提供する。
【0069】
更なる一実施形態は、曇価が1.5%未満である複数の導電性ナノ構造体を含む透明導体であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が直径約20から40nmである、透明導体を提供する。
【0070】
更なる一実施形態は、曇価が1.5%未満である複数の導電性ナノ構造体を含む透明導体であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の平均直径が約26〜32nmであり、標準偏差が4〜6nmの範囲である、透明導体を提供する。
【0071】
更なる一実施形態は、曇価が1.5%未満である複数の導電性ナノ構造体を含む透明導体であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の平均直径が約29nmであり、標準偏差が4〜5nmの範囲である、透明導体を提供する。
【0072】
更なる一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含み、曇価が1.5%未満である、低曇価透明導体であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が長さ55μm以下であり、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が直径55nm以下である、低曇価透明導体を提供する。
【0073】
更なる一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含み、曇価が1.5%未満である、低曇価透明導体であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が長さ45μm以下であり、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が直径45nm以下である、低曇価透明導体を提供する。
【0074】
更なる一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含み、曇価が1.5%未満である、低曇価透明導体であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が長さ約5から50μmであり、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が直径約15から50nmである、低曇価透明導体を提供する。
【0075】
更なる一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含み、曇価が1.5%未満である、低曇価透明導体であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が長さ約5から30μmであり、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が長さ約20から40nmである、低曇価透明導体を提供する。
【0076】
更なる一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含み、曇価が1.5%未満である、低曇価透明導体であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の平均長さが約10〜22μmであり、さらに、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の平均直径が約26〜32nmであり、標準偏差が4〜6nmの範囲である、低曇価透明導体を提供する。
【0077】
追加の実施形態は、上記低曇価透明導体のいずれかの曇価が1.0%未満、0.8%未満、又は0.6%未満、又は0.5%未満、又は0.4%未満、又は0.3%未満であることを規定する。
【0078】
追加の実施形態は、上記低曇価透明導体のいずれかにおいて、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体が、ナノワイヤ(金属ナノワイヤ(例えば、銀ナノワイヤ)を含むが、これに限定されない)及び金属ナノチューブ(例えば、銀又は金ナノチューブ)であることを規定する。
【0079】
ナノ構造体の調製
本明細書に記載のサイズ分布プロファイルに従うナノ構造体(例えば、金属ナノワイヤ)は、化学合成によって調製することができる。
【0080】
従来、金属ナノワイヤは、溶媒としても役立つ過剰量の還元剤(例えば、エチレングリコール又はプロピレングリコール)の存在下で対応する金属塩の溶液から核形成し、成長することができる。このタイプの溶液相反応においては、ナノワイヤ成長は、典型的には、半径方向と軸方向で同時に進行する。したがって、ナノワイヤが伸長するにつれ、直径も増大する。例えば、Y.Sun,B.Gates,B.Mayers,&Y.Xia,“Crystalline silver nanowires by soft solution processing”,Nanolett,(2002),2(2):165−168を参照されたい。
【0081】
本明細書に記載の低曇価透明導体の場合、ナノワイヤは、比較的小さい直径(例えば、平均直径15〜50nm)及び狭い幅分布を有することができる。これらの直径範囲では、従来の合成は、良好な導電率(例えば、350オーム/スクエア未満)を与える(平均長さを含めた)長さ分布よりもはるかに短いナノワイヤを生成する。逆に、ナノワイヤが良好な導電率に達するのに必要な長さに成長する場合、ナノワイヤの直径は、曇価を高くする(例えば、1.5%超)のに十分な大きさになることが避けられない。
【0082】
サイズ分布プロファイルに従い、それにより低曇価透明導電膜を形成するナノワイヤの集団を提供するために、2段階合成について記述する。
【0083】
2段階合成は、ナノワイヤの半径方向及び軸方向の成長を別々に促進し、その結果、ナノワイヤの直径と長さを別々に制御することができる。図3は、銀ナノワイヤの2段階調製を示すフローチャートであり、硝酸銀のプロピレングリコール溶液から核形成し、成長する。反応の追加の成分としては、ポリビニルピロリドン及び塩化テトラ−n−ブチルアンモニウム(TBAC)が挙げられる。硝酸銀を添加する量及び順序を制御することによって、ナノワイヤの成長及び最終サイズを制御することができる。
【0084】
硝酸銀溶液は、所定の総量の硝酸銀を含み、反応の2つの異なる段階で添加される2つの部分に分割される。分割は、30〜70:70〜30の範囲であり得、好ましくは50:50であり得る。
【0085】
反応の第1段階においては、全硝酸銀の第1の部分を使用する。さらに、硝酸銀の第1の部分の一部をTBACと一緒に導入する。その結果、反応混合物の初期の銀イオンの濃度は、約0.001から0.025%である。その後、硝酸銀の第1の部分の残りを添加する。反応の第1段階は、典型的には12〜16時間実施される。この段階中に、ナノワイヤは、半径方向と軸方向の両方に成長して形成される。第1段階の最後では、ナノワイヤの長さは最終の所望の長さよりも短いが、ナノワイヤの直径はその最終寸法にかなり近い。
【0086】
反応の第2段階においては、硝酸銀の第2の部分がある期間にわたって徐々に添加され、その間、反応溶液中の銀イオンの濃度はほぼ一定であり、0.1%w/w未満である。第2段階中、主なワイヤ成長は軸方向である一方、半径方向の成長は効果的に減速され、又は停止さえされる。
【0087】
2段階の総反応時間は約24時間である。反応は脱イオン(DI)水でクエンチすることができ、その時点で、すべての方向の成長が停止する。
【0088】
反応の間ずっと、反応混合物は、好ましくは、不活性雰囲気中で維持される。不活性ガスは、貴ガス(例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン又はキセノン)、又は窒素などの他の不活性ガス、又は不活性ガス混合物、又は複合ガスであってよい。典型的には、反応器は、最初に、不活性ガスで所定時間パージされる。パージは、反応の間ずっと継続される。パージに関するより詳細な説明は、参考としてその全体を本明細書に援用する、同時係属中の共同所有された米国特許出願第61/275,093号に見いだすことができる。
【0089】
したがって、一実施形態は、金属塩と還元剤を含む反応溶液から金属ナノワイヤを成長させる工程を包含する方法であって、成長させる工程が、
反応溶液中の金属塩と還元剤の第1の部分を第1の時間反応させる工程、及び
反応溶液中の金属塩の0.1%w/w未満のほぼ一定の濃度を維持しながら、金属塩の第2の部分を第2の時間にわたって徐々に添加する工程
を包含する、方法を提供する。
【0090】
更なる実施形態は、金属ナノワイヤが銀ナノワイヤであり、金属塩が硝酸銀であり、還元剤がプロピレングリコール又はエチレングリコールであることを規定する。
【0091】
更なる一実施形態は、金属塩の第1の部分と第2の部分がほぼ等量であることを規定する。
【0092】
別の一実施形態は、第1の時間中に、金属塩の第1の部分の一部がアンモニウム塩(TBAC)と一緒にまず添加され、続いて金属塩の第1の部分の残りが添加されることを規定する。一部の実施形態においては、該一部は、全金属塩の約0.6%、反応混合物中の金属イオンの約0.001から0.025%w/wである。
【0093】
ナノワイヤ(例えば、銀ナノワイヤ)を上記2段階合成に関連して記述したが、別の導電性材料のナノワイヤも同様に調製できることを理解すべきである。別の金属材料は、元素金属(例えば、遷移金属)又は金属化合物(例えば、金属酸化物)であり得る。金属材料は、2種類以上の金属を含むバイメタル材料又は金属アロイであってもよい。適切な金属としては、銀、金、銅、ニッケル、金めっきされた銀、白金及びパラジウムが挙げられるが、それだけに限定されない。
【0094】
薄膜調製
種々の実施形態においては、本明細書に記載の透明導体は、「インク組成物」とも称されるナノ構造体の分散系から成形された薄膜である。
【0095】
金属ナノワイヤを堆積させるための典型的なインク組成物は、重量で、界面活性剤0.0025%から0.1%(例えば、好ましい範囲は、Zonyl(登録商標)FSO−100の場合0.0025%から0.05%であり、又は0.005%から0.025%のTriton X−100)、粘度調整剤0.02%から4%(例えば、好ましい範囲は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の場合0.02%から0.5%)、0.01から1.5%の金属ナノワイヤ、及び94.5%から99.0%の(他の構成要素を分散又は懸濁させる)流体を含む。
【0096】
種々の実施形態においては、銀ナノワイヤのインク組成物は、0.1%から0.2%の銀ナノワイヤ、0.2から0.4%の高純度HPMC、及び0.005%から0.025%のTriton X−100を含む。HPMCを精製する方法は、参考としてその全体を本明細書に援用する、同時係属中の共同所有された米国特許出願第61/175,745号に記載されている。
【0097】
適切な界面活性剤の代表例としては、ZONYL(登録商標)FSN、ZONYL(登録商標)FSO、ZONYL(登録商標)FSA、ZONYL(登録商標)FSH(DuPont Chemicals、Wilmington、DE)を含めたZONYL(登録商標)界面活性剤、およびNOVEC(商標)(3M、St.Paul、MN)などのフッ素系界面活性剤が挙げられる。別の例示的な界面活性剤としては、アルキルフェノールエトキシラート系非イオン界面活性剤が挙げられる。好ましい界面活性剤としては、例えば、TRITON(商標)(x100、x114、x45)などのオクチルフェノールエトキシラート、及びTERGITOL(商標)(Dow Chemical Company、Midland MI)などのノニルフェノールエトキシラートが挙げられる。更なる例示的な非イオン界面活性剤としては、DYNOL(登録商標)(604、607)(Air Products and Chemicals,Inc.、Allentown、PA)などのアセチレン系界面活性剤、及びn−ドデシルβ−D−マルトシドが挙げられる。
【0098】
適切な粘度調整剤の例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、キサンタンガム、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。適切な流体の例としては、水及びイソプロパノールが挙げられる。
【0099】
したがって、一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含むインク組成物であって、導電性ナノ構造体の99%超が長さ55μm以下である、インク組成物を提供する。
【0100】
更なる一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含むインク組成物であって、導電性ナノ構造体の99%超が長さ45μm以下である、インク組成物を提供する。
【0101】
更なる一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含むインク組成物であって、導電性ナノ構造体の95%超が長さ約5から50μmである、インク組成物を提供する。
【0102】
更なる一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含むインク組成物であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が長さ約5から30μmである、インク組成物を提供する。
【0103】
更なる一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含むインク組成物であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の平均長さが約10〜22μmである、インク組成物を提供する。
【0104】
別の一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含むインク組成物であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の平均平方長さが約120〜400μmである、インク組成物を提供する。
【0105】
別の一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含むインク組成物であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が直径55nm以下である、インク組成物を提供する。
【0106】
更なる一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含むインク組成物であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が直径45nm以下である、インク組成物を提供する。
【0107】
更なる一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含むインク組成物であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が直径約15から50nmである、インク組成物を提供する。
【0108】
更なる一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含むインク組成物であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が直径約20から40nmである、インク組成物を提供する。
【0109】
更なる一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含むインク組成物であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の平均直径が約26〜32nmであり、標準偏差が4〜6nmの範囲である、インク組成物を提供する。
【0110】
更なる一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含むインク組成物であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の平均直径が約29nmであり、標準偏差が4〜5nmの範囲である、インク組成物を提供する。
【0111】
更なる一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含むインク組成物であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が長さ55μm以下であり、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が直径55nm以下である、インク組成物を提供する。
【0112】
更なる一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含むインク組成物であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が長さ45μm以下であり、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が直径45nm以下である、インク組成物を提供する。
【0113】
更なる一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含むインク組成物であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が長さ約5から50μmであり、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が直径約15から50nmである、インク組成物を提供する。
【0114】
更なる一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含むインク組成物であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が長さ約5から30μmであり、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が長さ約20から40nmである、インク組成物を提供する。
【0115】
更なる一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含むインク組成物であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の平均長さが約10〜22μmであり、さらに、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の平均直径が約26〜32nmであり、標準偏差が4〜6nmの範囲である、インク組成物を提供する。
【0116】
更なる実施形態は、上記実施形態の各々において、ナノ構造体が金属ナノワイヤ(例えば、銀ナノワイヤ)であることを規定する。
【0117】
インク組成物は、基体上に形成される最終導電膜の充填密度の指標である、全ナノ構造体(例えば、ナノワイヤ)の所望の濃度に基づいて調製することができる。
【0118】
基体は、その上にナノワイヤが堆積する任意の材料であり得る。基体は、剛直でも柔軟でもよい。好ましくは、基体も光学的に透明であり、すなわち、材料の光透過率は可視領域(400nm〜700nm)で少なくとも80%である。
【0119】
剛直基体の例としては、ガラス、ポリカーボネート、アクリルなどが挙げられる。特に、アルカリを含まないガラス(例えば、ホウケイ酸塩)、低アルカリガラス、ゼロ膨張ガラス−セラミックなどの特殊ガラスを使用することができる。特殊ガラスは、特に、液晶ディスプレイ(LCD)を含めた薄いパネルディスプレイシステムに適している。
【0120】
柔軟な基体の例としては、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエステルナフタラート及びポリカーボネート)、ポリオレフィン(例えば、直鎖状、分枝状及び環式ポリオレフィン)、ポリビニル(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアセタール、ポリスチレン、ポリアクリラートなど)、セルロースエステルベース(例えば、三酢酸セルロース、酢酸セルロース)、ポリエーテルスルホンなどのポリスルホン、ポリイミド、シリコーン及び他の従来の高分子膜が挙げられるが、それだけに限定されない。
【0121】
インク組成物は、例えば、同時係属中の米国特許出願第11/504,822号に記載の方法によって、基体上に堆積させることができる。
【0122】
スピンコーティングは、均一膜を基体上に堆積させる典型的な技術である。充填量、回転速度及び時間を制御することによって、種々の厚さの薄膜を形成することができる。懸濁流体の粘度および剪断挙動、ならびにナノワイヤ間の相互作用が、堆積したナノワイヤの分布及び相互接続性に影響を及ぼし得ることが理解される。
【0123】
例えば、本明細書に記載のインク組成物は、ガラス基体上に400〜2000rpmの速度で60秒間、加速度1000rpm/sでスピンコートすることができる。薄膜は、さらに、50℃90秒及び140℃90秒の焼付けを含めて、ある後処理に供することができる。加熱を伴うか又は非加熱の圧力処理を更に利用して、最終膜仕様を調節することができる。
【0124】
当業者には理解されるように、他の堆積技術、例えば、狭い流路によって計量された沈降流動、ダイ流動、傾斜上の流動、スリットコーティング、グラビアコーティング、マイクログラビアコーティング、ビーズコーティング、浸漬コーティング、スロットダイコーティングなどを使用することができる。印刷技術を使用して、パターンを用いても用いなくても、インク組成物を基体に直接印刷することもできる。例えば、インクジェット、フレキソ印刷及びスクリーン印刷を使用することができる。
【0125】
ナノワイヤサイズ測定
ナノ構造体(例えば、ナノワイヤ)の長さ及び幅並びにその数は、顕微鏡法と(例えば、Clemex Technologies Inc(Quebec、Canada)から入手可能な)ソフトウェア支援画像解析の組合せによって測定し、数えることができる。測定及び計数に用いる技術にかかわらず、光学系、カメラ、及び画像解析ソフトウェアを含めた顕微鏡システムは、National Institute Standards and Technology(NIST)の追跡可能な標準を使用して規則的間隔で検証及び/又は較正すべきである。
【0126】
高分解能デジタルカメラを備えた光学顕微鏡(例えば、Olympus BX51)、Clemex stage、及びClemex Analysisソフトウェアを使用して、ナノワイヤの拡大像を測定することができる。
【0127】
顕微鏡の照明は、背景に対してナノ構造体のコントラストを強調するように各ナノ構造体が明瞭に照射され、その結果、画像解析ソフトウェアがナノ構造体を正確に認識及び測定することができるように調節すべきである。例えば、顕微鏡は、暗視野に設定することができ、モニター上の画像に500倍の拡大で焦点を合わせる。モニター上の各フレームは、膜上の258μm×193μmの領域を表すように設定することができる。
【0128】
ワイヤ密度は、ワイヤの大多数が互いに分離し、重ならないようにすべきである。1フレーム当たり25本以下(又はより典型的には40本以下)のワイヤが存在すると、重なりを管理又は最小化することができる。重なったワイヤの発生率を低下させるために、ナノワイヤの初期希釈分散系を更に希釈することができる。ワイヤの密度が低すぎる場合(1フレーム当たり5本未満)、出発ナノワイヤ分散系のナノワイヤ濃度を増加させるべきである。画像の縁に接触した、又は画像の縁で切られたナノワイヤは、画像解析ソフトウェアを使用して測定から自動的に除外される。さらに、明るい物体、例えば、アスペクト比10未満のナノ構造体は、測定及び計数から除外される。
【0129】
例えば、ナノワイヤの集団の長さを測定するために、イソプロパノール中の金属ナノワイヤの初期希釈分散系(約0.001wt%金属)を2インチ×2インチの清浄ガラス片に1000rpmで30秒間スピンコートすることができる。膜はその後乾燥される。
【0130】
ナノワイヤの長さは、Clemexソフトウェアを用いて特別なルーチン又はプログラムを開始することによって測定することができる。
【0131】
【数2−1】

【0132】
【数2−2】

【0133】
【数2−3】

プログラムが144フレームを通過すると長さが自動的に測定される。測定終了後、Clemexソフトウェアは、(平均長さ、標準偏差、平均平方長さ、及び値域ごとにまとめられた長さ分布を含めて)重要なデータすべてを含む統計学的報告書を作成する。結果を受け取るためには、総ワイヤ計数は800〜6000ワイヤとすべきである。ワイヤ計数がこの範囲外である場合、初期ナノワイヤ分散系を希釈調節して試験を繰り返さなければならない。本明細書で考察したように、明るい物体、例えば、アスペクト比10未満のナノ構造体は、計数から除外される。
【0134】
ナノワイヤの幅は、走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される。
【0135】
試料を調製するために、メタノール中の希釈ナノワイヤ分散系を数滴(約0.05wt%金属)、清浄アルミニウムSEM試料ステージに添加する。メタノールを乾燥させ、更なる量のメタノールで試料を数回リンスして、ナノワイヤから有機残渣を除去する。試料を乾燥後、SEM機器(例えば、NISTの追跡可能な標準を使用して規則的間隔で検証及び/又は較正されたHitachi S−4700SEM)に挿入する。
【0136】
SEMビーム加速電圧を約10.0kVに設定する。典型的には、60Kから80Kの8枚以上のSEM写真を撮影する。少なくとも150本のワイヤの測定のために十分な写真を撮影すべきである(典型的には6〜10枚の写真)。
【0137】
正確な測定及び分析のために、ナノワイヤは、薄層中で互いに分離し、有機残渣を含まないべきである。さらに、画像は、十分焦点を合わせるべきである。
【0138】
SEM画像が得られた後、特別な分析ルーチンでプログラムされたClemex Image Analysisソフトウェアに写真をアップロードする。
【0139】
【数3−1】

【0140】
【数3−2】

幅を測定するために、画像中のナノワイヤすべての輪郭をまず自動的に強調する。使用者は、各画像の相対グレー閾値を手作業で調節して、ナノワイヤが分析前に正確に強調されるのを確実にすることができる。使用者は、測定すべき個々のワイヤを選択し、標識することもできる。次いで、Clemexソフトウェア(又は別の適切なソフトウェアツール)は、全分析データを収集し、(平均直径及び標準偏差、平均平方直径、並びに値域ごとにまとめられた直径分布を含めて)重要なデータすべてを含む統計学的報告書を作成する。
【0141】
本明細書に記載の種々の実施形態を以下の非限定的例によって更に説明する。
【実施例】
【0142】
(実施例1)
銀ナノワイヤの多段階合成
あるサイズ分布プロファイルに従う銀ナノワイヤを2段階プロセスで合成した。
【0143】
硝酸銀(AgNO)6グラムをプロピレングリコール37グラムに混合して(14%w/w)、AgNO溶液をまず調製した。
【0144】
プロピレングリコール445グラム及びポリビニルピロリドン7.2グラムを反応器に添加し、次いで90℃に加熱した。反応器中の混合物を90℃で安定化させた後、反応器の上部空間の雰囲気を窒素で少なくとも5分間パージした後、硝酸銀を添加する。
【0145】
反応の第1段階においては、全硝酸銀の半分を使用した。したがって、加熱された反応器に硝酸銀溶液0.6%及びプロピレングリコール中の塩化テトラ−n−ブチルアンモニウム水和物1.18グラム(10%溶液)を順次添加し、続いて硝酸銀溶液49.4%を添加した。反応を12〜16時間実施した。
【0146】
反応の第2段階においては、軸方向の成長が支配的である一方、半径方向の成長は効果的に抑止された。ほぼ一定の濃度の銀イオンを(8時間にわたって)維持しながら硝酸銀溶液の残りの50%を徐々に添加した。反応を最高で合計24時間実施し、その間窒素パージを継続した。反応終了時、反応混合物を脱イオン(DI)水100グラムでクエンチした。
【0147】
反応は、周囲光中で(標準)、又は生成した銀ナノワイヤの光誘発性分解を最小化する暗所で、実施することができる。
【0148】
(実施例2)
銀ナノワイヤの精製
実施例1の粗生成物は、粗製液体(例えば、反応溶媒、DI水、反応副生物)、及び生成したナノワイヤを含んだ。少量のナノ粒子及びナノロッドも存在した。
【0149】
粗生成物を閉鎖沈降容器に収集し、4から20日間沈降させた。沈降後、粗生成物は上清と沈降物に分離した。沈降物は銀ナノワイヤを主に含み、粗製液体、ナノロッド及びナノ粒子は上清中に残った。
【0150】
上清を除去し、沈降物をDI水に再懸濁させ、揺動テーブル上で揺り動かして混合を促進した。最終再懸濁のために、ピペット操作を繰り返した。
【0151】
図4に直径分布に対する精製の効果を示す。粗製ナノワイヤと精製ナノワイヤのどちらも実質的に正規分布に従う。精製プロセスは、直径15nm以下のほぼすべてのナノワイヤを除去した。さらに、精製ナノワイヤは、直径の平均値前後の広がり又は変動がより小さい。
【0152】
(実施例3)
長さ分布の測定
3バッチの銀ナノワイヤを実施例1及び2によって調製し、精製した。ナノワイヤ試料を各バッチから無作為に収集した。各試料のナノワイヤ長さを、本明細書に記載のように、光学顕微鏡及びClemexソフトウェアを使用して測定し、分析した。表1は、3バッチで調製されたナノワイヤのサイズ分布を示す。
【0153】
【表1】

さらに、図5は、3バッチの銀ナノワイヤのサイズ分布プロファイルを対数正規分布として示す。再現性のあるサイズ分布プロファイルが、本明細書に記載の合成及び精製プロセスに従って調製されたナノワイヤにおいて得られたことが実証された。
【0154】
長さの統計を表2に要約する。
【0155】
【表2】

(実施例4)
直径分布の測定
ナノワイヤ試料を各バッチから無作為に収集して、その直径分布を測定した。各試料のナノワイヤ幅を、本明細書に記載のように、SEM及びClemexソフトウェアを使用して測定し、分析した。表3は、3つの異なるバッチで調製されたナノワイヤの直径分布を示す。
【0156】
【表3】

さらに、図6は、3バッチの銀ナノワイヤの直径分布プロファイルを正規分布、すなわちガウス分布として示す。再現性のある直径分布プロファイルが、本明細書に記載の合成及び精製プロセスに従って調製されたナノワイヤにおいて得られたことが実証された。
【0157】
標準偏差を含めた直径の統計を表4に要約する。
【0158】
【表4】

(実施例5)
透明導体の調製
実施例1及び2によって調製された銀ナノワイヤの各バッチから、重量で、0.1〜0.2%銀ナノワイヤ、0.2〜0.4%高純度HPMC、及び0.005〜0.025%Triton X−100のDI水溶液を含むようにインク組成物を製剤化した。次いで、インク組成物をガラス基体にスピンコートして薄膜を形成した。より具体的には、試料を速度400から2000rpmで60秒、加速度1000rpm/sでスピンコートした。続いて、膜を50℃で90秒、続いて140℃で90秒焼付けした。
【0159】
充填量、回転速度及び時間を調節することによって、各バッチのインク組成物に基づく一連の薄膜を調製した。
【0160】
(実施例6)
透明導体仕様
各バッチの薄膜の抵抗、透過率及び曇価データを表5〜7に要約する。裸ガラスの曇価及び透過率(0.04%H及び透過率93.4%)を減算しなかった。
【0161】
【表5】

【0162】
【表6】

【0163】
【表7】

膜はすべて曇価が1.5%未満であり、高い透過率及び導電率を維持した。特に、曇価0.4%未満及び抵抗350オーム/sq未満の膜が得られた。
【0164】
さらに、図7は、薄膜の曇価と抵抗の逆相関を示す。抵抗が増加するにつれ(すなわち、より少数のナノワイヤが存在すると)、散乱の低下に起因して曇価が低下することが認められ得る。
【0165】
図8は、薄膜の透過率と抵抗の正相関を示す。抵抗が増加するにつれ(すなわち、より少数のナノワイヤが存在すると)、透過率が増加することが認められ得る。
【0166】
(実施例7)
透明導体の光学的及び電気的性質の評価
本明細書に記載の方法によって調製された透明導電膜を評価して、その光学的及び電気的性質を確定した。
【0167】
光透過率データは、ASTM D1003の方法によって得られた。曇価をBYK Gardner Haze−gard Plusを用いて測定した。シート抵抗をFluke 175 True RMS Multimeter又は非接触抵抗計Delcomモデル717Bコンダクタンスモニターを使用して測定した。より典型的な装置は、(例えば、Keithley Instrumentsによる)抵抗測定用4点プローブシステムである。
【0168】
裸基体の曇価及び透過率(例えば、ガラスの場合、曇価0.04%及び透過率93.4%)は、典型的には測定値に含まれた。
【0169】
ナノワイヤの相互接続性、及び基体の面積率は、光学又は走査型電子顕微鏡下で観察することもできる。
【0170】
本明細書で参照され、かつ/又は出願データシートに列挙された、上記米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願及び非特許刊行物のすべてを参考としてその全体を本明細書に援用する。
【0171】
上記のことから、本発明の特定の実施形態を説明のために本明細書に記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに種々の改変を成し得ることが理解されるであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲による以外は限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導電性ナノ構造体を含む透明導体であって、前記透明導体の曇価が1.5%未満であり、光透過率が90%を超え、シート抵抗が350オーム/スクエア未満である、透明導体。
【請求項2】
前記シート抵抗が50オーム/スクエア未満である、請求項1に記載の透明導体。
【請求項3】
前記曇価が0.5%未満である、請求項1に記載の透明導体。
【請求項4】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の99%超が長さ55μm以下である、請求項1から3のいずれかに記載の透明導体。
【請求項5】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の99%超が長さ45μm以下である、請求項1から3のいずれかに記載の透明導体。
【請求項6】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の95%超が長さ約5から50μmである、請求項1から3のいずれかに記載の透明導体。
【請求項7】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の95%超が長さ約5から30μmである、請求項1から3のいずれかに記載の透明導体。
【請求項8】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の平均長さが約10〜22μmである、請求項1から3のいずれかに記載の透明導体。
【請求項9】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の平均平方長さが約120〜400μmである、請求項1から3のいずれかに記載の透明導体。
【請求項10】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の99%超が直径55nm以下である、請求項1から3のいずれかに記載の透明導体。
【請求項11】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の99%超が直径45nm以下である、請求項1から3のいずれかに記載の透明導体。
【請求項12】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の95%超が直径約15から50nmである、請求項1から3のいずれかに記載の透明導体。
【請求項13】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の95%超が直径約20から40nmである、請求項1から3のいずれかに記載の透明導体。
【請求項14】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の平均直径が約26〜32nmであり、標準偏差が4〜6nmの範囲である、請求項1から3のいずれかに記載の透明導体。
【請求項15】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の平均直径が約29nmであり、標準偏差が4〜5nmの範囲である、請求項1から3のいずれかに記載の透明導体。
【請求項16】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の99%超が長さ55μm以下であり、アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の99%超が直径55nm以下である、請求項1から3のいずれかに記載の透明導体。
【請求項17】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の95%超が長さ約5から50μmであり、アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の95%超が直径約15から50nmである、請求項1から3のいずれかに記載の透明導体。
【請求項18】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の95%超が長さ約5から30μmであり、アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の95%超が直径約20から40nmである、請求項1から3のいずれかに記載の透明導体。
【請求項19】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の平均長さが約10〜22μmであり、アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の平均直径が約26〜32nmであり、標準偏差が4〜6nmの範囲である、請求項1から3のいずれかに記載の透明導体。
【請求項20】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の99%超が長さ45μm以下であり、アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の99%超が直径45nm以下である、請求項1から3のいずれかに記載の透明導体。
【請求項21】
金属塩と還元剤を含む反応溶液から金属ナノワイヤを成長させる工程を包含する方法であって、前記成長させる工程が、
前記反応溶液中の前記金属塩と前記還元剤の第1の部分を第1の時間反応させる工程、及び
前記反応溶液中の前記金属塩の0.1%w/w未満のほぼ一定の濃度を維持しながら、前記金属塩の第2の部分を第2の時間にわたって徐々に添加する工程
を包含する、方法。
【請求項22】
前記金属ナノワイヤが銀ナノワイヤであり、前記金属塩が硝酸銀であり、前記還元剤がプロピレングリコール又はエチレングリコールである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記反応溶液中の前記金属塩と前記還元剤の第1の半分を前記第1の時間反応させる工程が、
前記金属塩の前記第1の部分の一部をアンモニウム塩と一緒に添加する工程、及び
前記金属塩の前記第1の部分の残りを添加する工程
を包含する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が長さ55μm以下である、複数の前記導電性ナノ構造体と、
粘度調整剤と、
界面活性剤と、
分散流体と
を含む、インク組成物。
【請求項25】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の99%超が長さ45μm以下である、請求項24に記載のインク組成物。
【請求項26】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の95%超が長さ約5から50μmである、請求項24に記載のインク組成物。
【請求項27】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の95%超が長さ約5から30μmである、請求項26に記載のインク組成物。
【請求項28】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の平均長さが約10〜22μmである、請求項24に記載のインク組成物。
【請求項29】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の平均平方長さが約120〜400μmである、請求項24に記載のインク組成物。
【請求項30】
アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の99%超が直径55nm以下である、複数の前記導電性ナノ構造体と、
粘度調整剤と、
界面活性剤と、
分散流体と
を含む、インク組成物。
【請求項31】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の99%超が直径45nm以下である、請求項30に記載のインク組成物。
【請求項32】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の95%超が直径約15から50nmである、請求項30に記載のインク組成物。
【請求項33】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の95%超が直径約20から40nmである、請求項30に記載のインク組成物。
【請求項34】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の平均直径が約26〜32nmであり、標準偏差が4〜6nmの範囲である、請求項30に記載のインク組成物。
【請求項35】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の平均直径が約29nmであり、標準偏差が4〜5nmの範囲である、請求項30に記載のインク組成物。
【請求項36】
複数の導電性ナノ構造体と、
粘度調整剤と、
界面活性剤と、
分散流体と
を含むインク組成物であって、
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の99%超が長さ55μm以下であり、アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の99%超が直径55nm以下である、インク組成物。
【請求項37】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の95%超が長さ約5から50μmであり、アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の95%超が直径約15から50nmである、請求項36に記載のインク組成物。
【請求項38】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の95%超が長さ約5から30μmであり、アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の95%超が長さ約20から40nmである、請求項36に記載のインク組成物。
【請求項39】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の平均長さが約10〜22μmであり、アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の平均直径が約26〜32nmであり、標準偏差が4〜6nmの範囲である、請求項36に記載のインク組成物。
【請求項40】
アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の99%超が長さ45μm以下であり、アスペクト比が少なくとも10である前記導電性ナノ構造体の99%超が直径45nm以下である、請求項36に記載のインク組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−517603(P2013−517603A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549113(P2012−549113)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【国際出願番号】PCT/US2011/021303
【国際公開番号】WO2011/088323
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(510230746)カンブリオス テクノロジーズ コーポレイション (9)
【Fターム(参考)】