説明

低比重軽量発泡コンクリート及びその製造方法

【課題】 従来の軽量気泡コンクリートよりもさらに軽量でありかつ強度が高く、内部に歪みが生じにくい軽量気泡コンクリートの提供。
【解決手段】 結晶性珪酸質原料を主体とし、結晶性珪酸質原料のブレーン比表面積がそれぞれ5000〜15000cm/g、及び2000〜5000cm/gの範囲から選ばれる少なくとも二種類の異なるブレーン比表面積を有する珪酸質原料と、セメントと、石灰質原料とを含む水性スラリーに、気泡剤として金属アルミニウム粉を加えて型枠に注入し、予備硬化した後にオートクレーブ養生することによって得られる、嵩比重が0.2以上0.45未満、細孔径が0.008μm以上0.08μm未満の積算細孔容積VIと0.08μm以上0.4μm未満の積算細孔容積VIIとの比VI/VIIが1.0以上3.0以下である低比重軽量気泡コンクリート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量であって、建築材料として好適な軽量気泡コンクリート及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、従来の軽量気泡コンクリートと比較して、さらに軽量であって、建築材料として必要な強度を有し、かつ、内部に歪みが生じにくいために周辺環境変化に強い軽量気泡コンクリート、及びその軽量気泡コンクリートを優れた生産性のもとで製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
軽量気泡コンクリートは、嵩比重が0.5〜0.6と軽量でありながら、結晶性の高いトバモライト(5CaO・6SiO2 ・5H2O)を多量に含むことから、建築材料として必要な強度を有し、長期の耐候性、耐火性及び耐不朽性に優れる。また、軽量、かつ、加工性に優れるために施工が容易であり、建築物の外壁材、床材、内壁材等として広く利用されている。
【0003】
軽量気泡コンクリートは、セメント及び珪石粉を主原料とし、これに必要により生石灰粉、石膏等を加え、水を添加してスラリー状とし、大気圧下でアルミニウム粉末等の気泡剤により発泡した後、型枠で成形してオートクレーブ養生して製造される。軽量気泡コンクリートの圧縮強度は、通常、4〜5N/mm2の範囲にあり、曲げ強度は1〜1.5N/mm2の範囲にある。
【0004】
近年、建築物のさらなる軽量化への要望、現場作業時の安全性向上や作業者への負担低減の観点から、従来の軽量気泡コンクリートの特長を保持したまま、さらに比重の低い軽量気泡コンクリートが求められている。
低比重の軽量気泡コンクリートとしては、従来よりも気泡剤に起因する気泡の量を多く含有するものが一般的である。低比重化を実現する方法として、気泡を多く含有させると、気泡径が巨大化し、全容積に対する気泡剤による粗大気泡割合が大きくなり、強度の大幅な低下を招いていた。
【0005】
それらを改善する検討がなされ、特許文献1には、熱可塑性樹脂を含有させた、特許文献2には、アルカリ土類金属炭酸塩を含有させた、特許文献3には、比表面積の大きな珪石粉を用いて製造した、低比重の軽量気泡コンクリートが、それぞれ開示されている。
しかし、これらの技術をもってしても、嵩比重の低減に伴う圧縮強度の低下をまぬがれず、例えば、嵩比重0.35〜0.40では圧縮強度が1.5〜3.25N/mm2程度であり、従来の軽量気泡コンクリートと比較して強度が弱いものである。
【0006】
一方、特許文献4には、気泡の独立性を上げ、かつ、気泡を均一に分布させた低比重の軽量気泡コンクリートが開示されている。同文献においては、比重0.35で圧縮強度4.1N/mm2、比重0.4で、圧縮強度4.2N/mm2という低比重でありながら、従来の軽量気泡コンクリートの強度範囲に入る物性が得られている。
また、特許文献5には、トバモライト結晶の含有量を向上し、かつ、細孔径分布の均一化を図った低比重軽量気泡コンクリートが開示されている。同文献においては、比重0.35で圧縮強度5.2N/mm2、また比重0.4で圧縮強度6.8N/mm2という、低比重であって、従来の軽量気泡コンクリートの強度範囲に入る、もしくはそれを上回る物性が得られている。
【0007】
従来、軽量気泡コンクリートは、建築材料の宿命として、建築工事期間中の天候により雨水に晒されて湿潤したり、翌日から日照りに晒されて乾燥したり、また夏場には高湿度環境、冬場には低湿度環境と、季節や天候により周囲の多岐に渡る自然環境に晒されるのが通常である。
通常のコンクリートは、比重が2.0程度であるのに対し、軽量気泡コンクリートは比重が0.5〜0.6であるが、その軽量化は内部に多くの空隙を含有させることによって実現されている。軽量気泡コンクリートにおいては、体積分率で約80%が空隙である。そのために、通常のコンクリートと比較して、雨水に晒された際により多くの吸水が起きる。
【0008】
軽量気泡コンクリートは、その軽量性が特長であり、また耐水性にも優れているために、吸水すること自体には問題がないが、吸水する速度や、その後の乾燥する速度によっては物性が影響を受ける場合がある。吸水した場所は微小ではあるが膨張が起きる。吸水速度が速ければ、表面から中心部まで一様な含水率が早期に実現されるため、内部に含水率分布による歪みが生じない。しかし、吸水速度が遅い場合、表面付近と中心部には歪み差が生じ、場合によっては、発生した歪みに起因して亀裂等が生じることが危惧される。吸水後に、日照りに晒されて乾燥する際にも同様である。
【0009】
従来の嵩比重0.5〜0.6の軽量気泡コンクリートは、長い技術蓄積と使用実績の中で、空隙量や強度物性、周辺環境変化に対する追随性のバランスが取られ、上記のような環境変化にも耐えうることが実証されている。しかしながら、さらに嵩比重が低い、例えば、0.2以上0.45未満の軽量気泡コンクリートは、従来よりもさらに空隙量が多い。そのために、吸水する量が増えて歪みが生じやすくなり、同時に歪み発生に伴って発生する応力を担う固体部が少なく、発生する歪み量も大きくなる。そのために、嵩比重が低い軽量気泡コンクリートにおいては、従来の軽量気泡コンクリートよりも、周辺環境変化に対して早期に追随することが求められる。
【0010】
前記の特許文献に開示されている低比重の軽量気泡コンクリートは、強度が十分でないという問題があるものについても、また従来の軽量気泡コンクリートの強度範囲に入る物性が得られているものについても、周辺環境変化に対する早期追随性が十分でないという課題があった。
さらに、低比重の軽量気泡コンクリートを製造する方法については、従来の軽量気泡コンクリートの強度範囲に入る物性が得られている特許文献4や特許文献5に記載されているものにおいても、減圧下で発泡させ、その後、同じ減圧で予備硬化させるために新規な設備を必要とする、製造工程が長くなり生産性が低下する、原料数が増えるので投入時間がかかる等の問題があった。
【0011】
【特許文献1】特開昭60−33271公報
【特許文献2】特開昭62−162679公報
【特許文献3】特開2001−253758公報
【特許文献4】特開昭58−15061公報
【特許文献5】国際公開第02/066396号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、嵩比重が0.2以上0.45未満と従来の軽量気泡コンクリートよりもさらに軽量であって、建築材料として好適な強度を有し、かつ、周辺環境変化への追随性が良いために歪みを生じにくく周辺環境変化に強い軽量気泡コンクリート、及びその軽量気泡コンクリートを製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記の課題を解決するために、軽量気泡コンクリートの細孔構造に注目し、それを実現するための製造原料構成に注目して鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。
【0014】
すなわち、本発明は嵩比重が0.2以上0.45未満であり、水銀圧入法で測定される細孔のうち、細孔径が0.008μm以上0.08μm未満の範囲の積算細孔容積VIと0.08μm以上0.4μm未満の範囲の積算細孔容積VIIとの比VI/VIIが1.0以上3.0以下であることを特徴とする低比重軽量気泡コンクリートである。
また、本発明の低比重軽量気泡コンクリートにおいては、水銀圧入法で測定される細孔のうち、細孔径が0.008μm以上0.04μm未満の範囲の積算細孔容積VIIIと0.008μm以上4μm未満の範囲の積算細孔容積Vとの比VIII/Vが0.3以上0.6以下であること、細孔径が0.008μm以上0.026μm未満の範囲の積算細孔容積VIVと0.008μm以上4μm未満の範囲の積算細孔容積Vとの比VIV/Vが0.2以上0.5以下であること、細孔径が0.08μm以上0.4μm未満の範囲の積算細孔容積VIIと0.008μm以上4μm未満の範囲の積算細孔容積Vtとの比VII/Vが0.2以上0.4以下であること、細孔径が0.12μm以上0.4μm未満の範囲の積算細孔容積VVと0.008μm以上4μm未満の範囲の積算細孔容積Vとの比VV/Vが0.14以上0.3以下であること、また、本発明の低比重軽量気泡コンクリートにおいては、水銀圧入法で測定される細孔径が0.006μm以上6μm未満の細孔のうち、細孔径が0.6μm以上の積算細孔容積が12%以下であることが好ましい条件である。
尚、水銀圧入法で測定される細孔のうち、細孔径が0.006μm以上6μm未満の範囲における微分細孔分布曲線の最大値の1/4の高さにおける対数分布幅が1.2以上1.9以下であること、粉末X線回折におけるトバモライトの(220)面の回折ピーク強度が、石英の(101)面の回折ピーク強度の1/4以上であることがいずれも好ましい条件であり、これらの条件を適用することによって、一層優れた効果の取得を期待することができる。
【0015】
また、本発明の軽量気泡コンクリートの製造方法は、以下の通りである。
少なくとも珪酸質原料とセメントと石灰質原料を含む水性スラリーに、気泡剤として金属アルミニウム粉を加えて型枠に注入し、予備硬化した後にオートクレーブ養生し、嵩比重0.2以上0.45未満の低比重軽量気泡コンクリートを製造する方法において、珪酸質原料として結晶性珪酸質原料を主体とし、結晶性珪酸質原料のブレーン比表面積がそれぞれ5000〜15000cm/g、および2000〜5000cm/gの範囲から選ばれる少なくとも二種類の異なるブレーン比表面積を有する珪酸質原料を用いることを特徴とする低比重軽量気泡コンクリートの製造方法、
少なくとも珪酸質原料とセメントと石灰質原料を含む水性スラリーに、気泡剤として金属アルミニウム粉を加えて型枠に注入し、予備硬化した後にオートクレーブ養生し、嵩比重0.2以上0.45未満の低比重軽量気泡コンクリートを製造する方法において、珪酸質原料として結晶性珪酸質原料を主体とし、用いるセメントのうち、30重量%以上が水和反応性の早いセメントであることを特徴とする低比重軽量気泡コンクリートの製造方法、である。
なお、本発明の軽量気泡コンクリートの製造方法においては、型枠に注入する前のスラリー中の全固形原料中において、硫酸化合物のSO換算での含有量に対するアルミニウム化合物の酸化物換算(Al換算)での含有量が、重量比で0.92以上3以下であること、型枠に注入する前のスラリー中の全固形原料中において、硫酸化合物のSO換算での含有量に対するアルカリ化合物の酸化物換算での含有量が、重量比で0.15以上1以下であること、がいずれも好ましい条件であり、これらの条件を適用することによって、一層優れた効果の取得を期待することができる。
なお、気泡剤として用いる金属アルミニウム粉末もアルミニウム化合物源として作用するため、アルミニウム化合物の酸化物換算(Al換算)での含有量として含める。
【発明の効果】
【0016】
本発明の軽量気泡コンクリートは、嵩比重が0.2以上0.45未満と従来の軽量気泡コンクリートよりもさらに軽量でありながら、建築材料として好適な強度を有し、周辺環境変化への追随性が高いために実用的であり、建築物の軽量化や現場作業時の安全性向上、作業者への負担低減を実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の低比重軽量気泡コンクリートは、嵩比重が0.2以上0.45未満であり、水銀圧入法で測定される細孔のうち、細孔径が0.008μm以上0.08μm未満の範囲の積算細孔容積VIと0.08μm以上0.4μm未満の範囲の積算細孔容積VIIとの比VI/VIIが1.0以上3.0以下であることが大きな特徴である。
【0018】
本発明の軽量気泡コンクリートの嵩比重は、建築材料として好適な強度を得るという観点から0.2以上、好ましくは0.23以上である。また、嵩比重は、軽量性、現場作業時の安全性向上や作業者への負担低減効果の観点から0.45未満であり、好ましくは0.40以下である。ここでいう嵩比重とは、105℃で24時間乾燥させた際の嵩比重、すなわち、絶乾比重を指す。
【0019】
本発明の軽量気泡コンクリートにおいては、水銀圧入法で測定される細孔のうち、細孔径が0.008μm以上0.08μm未満の範囲の積算細孔容積VIと0.08μm以上0.4μm未満の範囲の積算細孔容積VIIとの比VI/VIIが1.0以上3.0以下であることが必要であり、好ましくは1.2以上2.8以下、より好ましくは1.4以上2.7以下である。
【0020】
ここで水銀圧入法とは、硬化体内部へ水銀を圧入させて、その時の圧力と侵入量の関係から細孔径の分布を測定するものであり、細孔の形状が円筒形であると仮定して計算されたものである。細孔径の測定可能範囲は6nmから500μmの範囲であるが、この値は、実際の細孔の直径を表すものではなく、構成物質間に存在する隙間の大きさの指標として使用され、特に、本発明の軽量気泡コンクリートの細孔構造を記述する際には有効な解析手段である。
【0021】
軽量気泡コンクリートは、外力に対し応力を担う骨格を形成する部分(以下、マトリックス、という)に、細孔径が0.006μm〜6μmの範囲の細孔を持ち、特に0.006μm〜1μm、さらには0.006μm〜0.04μmの範囲に特に多くの細孔を持つ。積算細孔容量は、細孔径に対して測定された細孔量の積分値である。例えば、細孔径が0.008μm以上0.08μm未満の範囲の積算細孔容積VIとは、0.008μm以上0.08μm未満の範囲の細孔径に対して測定された細孔量の積分値である。
【0022】
軽量気泡コンクリートを構成するトバモライト結晶等の無機物の真比重は約2.5であるが、従来の軽量気泡コンクリートの嵩比重は0.5である。これは、内部に多くの空隙を含むためである。従来の軽量気泡コンクリートでは、空隙の体積分率は約80%であり、その80%の空隙は、アルミニウム粉末等の気泡剤によって形成した気泡空隙(約50%)、セメント系材料の場合、水と固体原料が反応して生成した水和物が、水が占めていた体積を埋めていくが、埋めきれずに残った細孔と呼ばれる微細空隙(約30%)で構成される。
【0023】
嵩比重が0.2以上0.45未満という低い、従来の軽量気泡コンクリートよりもさらに軽量な低比重軽量気泡コンクリートにおいては、従来の軽量気泡コンクリートよりもさらに空隙量が多い。そのために吸水する量が増えて歪みが生じやすくなり、かつ、歪み発生に伴って発生する応力を担う固体部が少ないために、発生する歪み量も大きくなる。
このような、嵩比重が低い軽量気泡コンクリートにおいては、細孔径が0.008μm以上0.08μm未満の範囲の積算細孔容積VIと0.08μm以上0.4μm未満の範囲の積算細孔容積VIIとの比VI/VIIが1.0以上3.0以下であることによって、顕著に周辺環境への追随性が向上することが本発明によって初めて見出された。環境追随性とは、例えば、吸水速度が速いことであり、それにより軽量気泡コンクリート内部の水分分布の不均一性が生じにくくなるために、雨水に晒された時に亀裂が生じにくくなる。VI/VIIは、強度の観点から1.0以上、上記周辺環境への十分な追随性を得るという観点から3.0以下である。
【0024】
特許文献5にも記載があるように細孔径が0.008μm以上0.08μm未満の範囲の細孔割合が大きいことは、小さな細孔が比較的均一に存在することを意味し、強度のみを向上させる上では好ましい。現時点では、VI/VIIが3.0以下であると周辺環境への追随性が向上する理由は、明確ではない。細孔径が0.08μm以上0.4μm未満の範囲の細孔は強度の低下を最小限に抑えながら、水や水蒸気の流路を提供することによって周辺環境への追随性に寄与するものと推察される。
【0025】
本発明の低比重気泡コンクリートにおいて、小さな細孔が比較的均一に多く存在することで強度を向上させる観点から、水銀圧入法で測定される細孔のうち、細孔径が0.008μm以上0.04μm未満の範囲の積算細孔容積VIIIと0.008μm以上4μm未満の範囲の積算細孔容積Vとの比VIII/Vが0.3以上0.6以下であることが好ましく、より好ましくは、0.35以上0.6以下である。
【0026】
また、同様に強度を向上させる観点から水銀圧入法で測定される細孔のうち、細孔径が0.008μm以上0.026μm未満の範囲の積算細孔容積VIVと0.008μm以上4μm未満の範囲の積算細孔容積Vとの比VIV/Vが0.2以上0.5以下であることが好ましく、より好ましくは0.3以上0.5以下である。
【0027】
細孔径が0.008μm以上0.04μm未満の範囲の積算細孔容積VIIIと0.008μm以上4μm未満の範囲の積算細孔容積Vとの比VIII/Vが0.6を超える、または、細孔径が0.008μm以上0.026μm未満の範囲の積算細孔容積VIVと0.008μm以上4μm未満の範囲の積算細孔容積Vとの比VIV/Vが0.5を超えると、周辺環境への追従性に寄与する細孔径が0.08μm以上0.4μm未満の範囲の細孔割合が少なくなり、吸水速度が低くなる傾向を示し水分分布がつきやすくなり、雨水にさらされたときに亀裂が発生しやすくなる傾向を示す。また、細孔径が0.008μm以上0.04μm未満の範囲の積算細孔容積VIIIと0.008μm以上4μm未満の範囲の積算細孔容積Vとの比VIII/Vが0.3未満、または細孔径が0.008μm以上0.026μm未満の範囲の積算細孔容積VIVと0.008μm以上4μm未満の範囲の積算細孔容積Vとの比VIV/Vが0.2未満では必要とされる強度が得られない。
【0028】
本発明の低比重気泡コンクリートにおいて、現時点ではその機構は明確ではないが水や水蒸気の流路を提供するという観点から、水銀圧入法で測定される細孔のうち、細孔径が0.08μm以上0.4μm未満の範囲の積算細孔容積VIIと0.008μm以上4μm未満の範囲の積算細孔容積Vとの比VII/Vが0.2以上0.4以下であることが好ましく、より好ましくは0.25以上0.35以下である。
また、同様に細孔径が0.12μm以上0.4μm未満の範囲の積算細孔容積VVと0.008μm以上4μm未満の範囲の積算細孔容積Vとの比VV/Vが0.14以上0.3以下であることが好ましく、より好ましくは0.15以上0.25以下である。
【0029】
細孔径が0.08μm以上0.4μm未満の範囲の積算細孔容積VIIと0.008μm以上4μm未満の範囲の積算細孔容積Vとの比VII/Vが0.4を超える、または細孔径が0.12μm以上0.4μm未満の範囲の積算細孔容積VVと0.008μm以上4μm未満の範囲の積算細孔容積Vとの比VV/Vが0.3を超えると、現時点では明確ではないが、強度を担う小さな細孔の割合が小さくなる、あるいは、細孔の均一性が失われ、一定の荷重に対する応力集中が発生しやすくなり、強度が低下する傾向を示す。
【0030】
本発明の低比重軽量気泡コンクリートにおいては、局所的な応力の集中を防ぎ、強度を発現するという観点から、水銀圧入法で測定される細孔径が0.006μm〜6μmの細孔のうち、細孔径が0.6μm以上の積算細孔容積が12%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
従来の軽量気泡コンクリートよりもさらに軽量な低比重軽量気泡コンクリートにおいては空隙の体積分率がさらに高くなるため、細孔径が0.6μm以上の細孔がより残存しやすい。
【0031】
本発明の低比重軽量気泡コンクリートにおいては、水銀圧入法で測定される細孔のうち、細孔径が0.006μm〜6μmの範囲における微分細孔分布曲線の最大値の1/4の高さにおける対数分布幅(対数1/4値幅)は、周辺環境の追従性の観点から1.2以上であることが好ましく、1.3以上であることがより好ましい。対数1/4値幅の上限は、マトリックスが均一な最高分布を有して、強度を発現するという観点から、1.9以下であることが好ましく、1.8以下であることがより好ましい。
対数1/4値幅とは、マトリックス中の細孔分布の広がりを表す1つの指標であり、0.006μm〜6μmの微分細孔分布曲線における最大値の1/4の高さにおける細孔径分布の幅を対数にて表示したものである。
【0032】
その算出方法を図1に示す。図1は、水銀圧入法により測定された細孔径に対する細孔量の積算曲線を1次微分して得られる微分細孔分布曲線である。微分細孔分布曲線における最大値の1/4の高さを与える細孔径が2つである場合、大きい順にA、Aとすると、対数1/4値幅は、A、Aそれぞれの常用対数の差となる。なお、0.006μm〜6μmの範囲内にAが存在しない場合、Aは10μmとし、Aが存在しない場合は、Aは0.006μmとする。
【0033】
また、図2に示すように、細孔径が0.006μm〜6μmの範囲で、微分細孔分布曲線における最大値の1/4の高さを与える細孔径が二つより多い場合は、それらのうち最大の細孔径Aの常用対数と最小の細孔径Aの常用対数の差となる。本発明の軽量気泡コンクリートは、強度の発現と、強度の低下を最小限に抑えながら水や水蒸気の流路を確保することの双方を満足するものである。
【0034】
本発明の低比重軽量気泡コンクリートは、水銀圧入法により測定された細孔径に対する細孔量の積算曲線を1次微分して得られる微分細孔分布曲線に、細孔径が0.008μm〜0.08μmの範囲で極大値Wを持つことが多い。細孔径が0.008μm〜0.08μmの範囲で極大値を2つ以上持つ場合、より大きな値を持つ極大値をWとする。この極大値Wは、0.7cm/g以上1.3cm/g以下が好ましく、より好ましくは0.75cm/g以上1.2cm/g以下で、更に好ましくは0.8cm/g以上1.1cm/g以下ある。また、この極大値を与える細孔径Rは0.006μm以上0.015μm以下が好ましく、より好ましくは、0.007μm以上0.013μm以下であり、更に好ましくは0.0075μm以上0.012μm以下である。細孔径が0.008μm〜0.08μmの範囲に極大値Wを持ち、その極大値Wが0.7cm/g以上、またはその細孔径Rが0.015μm以下であることは、小さな細孔が比較的均一に存在することを意味し、強度のみを向上させる上では好ましい。一方、現時点では明確ではないが、極大値Wが1.2cm/gを超える、またはその細孔径Rが0.006μm以下である場合、細孔径が0.08μm〜0.4μmの範囲の細孔容量が少なくなり、水や水蒸気の流路を確保しにくくなり、周辺環境への追随性が低下しやすい傾向がある。
【0035】
本発明の低比重軽量気泡コンクリートにおいては、水銀圧入法で測定される細孔のうち、細孔径が0.006μm以上1μm未満の範囲の積算細孔容積VVIが、0.7cm3/g〜2.5cm3/gであることが好ましく、より好ましくは積算細孔容積VVIが嵩比重(d)による式(1)及び式(2)で示されるf(d)cm3/g以上f(d)cm3/g以下である。
(d)=0.15/d+0.37 (1)
(d)=0.15/d+1.75 (2)
【0036】
従来、低比重の軽量気泡コンクリートは、比重0.5〜0.6の軽量気泡コンクリートよりも気泡剤に起因する気泡量を多く含有するものが一般的である。その場合には、気泡量の増加によって強度の低下が起きることがある。強度の低下を防ぐ場合には、従来の一般的手法とは異なり、マトリックス部の細孔の量を多く含有することによって、気泡剤に起因する気泡の量を従来の比重0.5〜0.6の軽量気泡コンクリートと同程度に保持したままで、嵩比重0.2以上0.45未満という低比重の軽量気泡コンクリートを実現することが好ましい。
【0037】
マトリックス部の細孔の量を多くする場合には、0.006μm以上1μm未満の範囲の積算細孔容積VVIが嵩比重と直接的な関係にあるために、より好ましい上記積算細孔量VVIの範囲は嵩比重によって異なる。嵩比重0.2以上0.45未満の軽量気泡コンクリートを得るために好ましい範囲は、積算細孔容積VVIが嵩比重(d)による上記式(1)及び式(2)で示されるf(d)cm3/g以上、かつ、f(d)cm3/g以下である。
したがって、例えば、0.006μm以上1μm未満範囲の積算細孔容積VVIが0.7cm3/g未満であることは、気泡を従来の軽量気泡コンクリートよりも多く含有することを意味し、目的とする強度低下の抑制効果が小さい場合がある。また、積算細孔容積VVIが2.5cm3/gを超えるということは、従来の軽量気泡コンクリートよりも少ない気泡量しか含有しないことを意味し、強度発現は十分であるが、気泡量が少ないことに起因して周辺環境への追随性、例えば乾燥速度が遅くなる傾向がある。
【0038】
本発明の軽量気泡コンクリートにおいては、周辺環境への追随性を更に向上するという観点から、水銀圧入法で測定される細孔径が10μm以上400μm未満の範囲の積算細孔容積VVIIが0.09cm3/g以上1.0cm3/g以下であることが好ましい。
細孔径が10μm以上400μm未満の範囲の積算細孔容積VVIIが上記範囲にあると、周辺環境への追随性が向上する理由は明確ではないが、この範囲に観測される細孔も、水や水蒸気の流路の提供に寄与しているものと推察される。
【0039】
本発明の低比重軽量気泡コンクリートにおいては、粉末X線回折におけるトバモライトの(220)面の回折ピーク強度が、石英の(101)面の回折ピーク強度の1/4以上であることが好ましく、1/3以上であることがより好ましく、1/2以上であることがもっとも好ましい。トバモライトの(220)面の回折ピーク強度及び石英の(101)面の回折ピーク強度は、バックグランド強度を含めた値である。
通常、軽量気泡コンクリートは、原料として好ましく使用される珪石のうち、未反応のまま残留した珪石を含有する。従来、これら残留珪石は、亀裂の進展を防ぐ等の効果があると考えられ、敢えて多くを残留させることがなされていた。しかし、嵩比重が0.2以上0.45未満の従来よりも比重の低い低比重軽量コンクリートにおいては、珪石の残留量が少ない場合に強度が向上する傾向がある。
【0040】
本発明の軽量気泡コンクリートにおいては、粉末X線回折におけるトバモライトの(002)面の回折ピークの半値幅が0.35以上0.45以下であることが好ましく、0.35以上0.43以下であることがより好ましく、0.35以上0.40以下であることがさらに好ましい。(002)面の回折ピークの半値幅は、板状トバモライト結晶の厚さ方向の秩序を表しており、半値幅が小さいほど結晶性が高い、すなわち厚さ方向の秩序性が高く、結晶の厚みが厚いことを示す。トバモライトの結晶性が高いことにより、従来の軽量気泡コンクリート同等の耐炭酸化抵抗が得られて好ましい。
【0041】
本発明の軽量気泡コンクリートは、必要に応じて撥水性物質を0.1〜3.0重量%含有させてもよい。撥水性物質とは、シロキサン化合物、アルコキシシラン化合物、脂肪酸、脂肪酸塩、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂等の樹脂エマルジョン等であり、このうち一種または二種以上の混合物を用いることもできる。
この中でも特に、シロキサン化合物、すなわち、ポリジメチルシロキサンやポリジメチルシロキサンのメチル基の一部が水素、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換されたシリコーンオイル、アルコキシシラン化合物、すなわち、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン化合物を使用することが好ましい。
撥水性物質の含有量は、撥水性を発現させる観点から0.1重量%以上が好ましく、より好ましくは0.5重量%以上である。また、撥水性物質の含有量の上限は、強度の観点から3.0重量%以下が好ましく、より好ましくは2.0重量%以下である。
【0042】
本発明の軽量気泡コンクリートは、必要に応じて補強繊維を0.05〜3vol%含有させることができる。補強繊維とは、耐アルカリガラス繊維、カーボン繊維、ステンレス繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維等の無機繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維等の有機繊維であり、このうち一種、または二種類以上の混合物として用いることができる。目的の性能を得るためには、アラミド繊維、耐アルカリガラス繊維及びカーボン繊維が好ましく、パラ系アラミド繊維がより好ましい。
補強繊維の繊維長は、通常、1〜20mmであり、好ましくは3〜10mm、より好ましくは5〜8mmである。補強繊維の含有量は、十分な補強効果を発揮させるという観点から、空隙まで含めた硬化体の体積に対して、0.05vol%以上が好ましく、より好ましくは0.1vol%以上である。また、補強繊維の含有量の上限は、混合時のファイバーホールの発生を抑制し、硬化体中へ均一な分散をするという観点から、3vol%以下が好ましく、より好ましくは2vol%以下である。
【0043】
以下に、本発明の低比重軽量気泡コンクリートの製造方法を説明する。
本発明の低比重軽量気泡コンクリートの製造方法は、少なくとも珪酸質原料とセメントと石灰質原料を含む水性スラリーに、気泡剤として金属アルミニウム粉を加えて型枠に注入し、予備硬化した後にオートクレーブ養生し、嵩比重が0.2以上0.45未満の軽量気泡コンクリートを製造することを基本構成とする。
【0044】
本発明の軽量気泡コンクリートの製造方法において、
(1)珪酸質原料として結晶性珪酸質原料を主体とし、結晶性珪酸質原料のブレーン比表面積がそれぞれ5000〜15000cm/g、および2000〜5000cm/gの範囲から選ばれる少なくとも二種類の異なるブレーン比表面積を有する珪酸質原料を用いること、もしくは
(2)珪酸質原料として結晶性珪酸質原料を主体とし、用いるセメントのうち、30重量%以上が水和反応性の早いセメントであること、
このいずれかの条件を充足することによって、従来の軽量気泡コンクリートよりもさらに軽量でありながら建築材料として好適な強度を有し、かつ、周辺環境変化への追随性が高いために非常に実用的である軽量気泡コンクリートを高い生産性で効率良く製造できることが、本発明者らにより初めて見出された。
【0045】
本発明に用いられる珪酸質原料は、例えば、結晶質の珪石、珪砂、石英及びそれらの含有率の高い岩石等、珪藻土、シリカヒューム、フライアッシュ、高炉スラグ、製紙スラッジ焼却灰または天然の粘土鉱物またはそれらの焼成物等である。
結晶性珪酸質原料を主体とするとは、用いる珪酸質原料のうち70重量%以上、好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上が、結晶質の珪石、珪砂、石英及びそれらの含有率の高い岩石であることである。予備硬化時間を早める場合等には、予備硬化時に高い反応性を持っているシリカヒューム、フライアッシュ、高炉スラグ、製紙スラッジ焼却灰に代表される非晶質珪酸原料を併用することも好ましく行われる。しかし珪藻土、シリカヒュームに代表される非晶質珪酸質原料を多く用いると、オートクレーブ中での反応性が高すぎるためにオートクレーブ昇温過程で安定な非晶質化合物を形成してトバモライトの生成を阻害、同時に生成するトバモライト結晶の結晶性を低下させ、強度の低下を招く場合があるので注意が必要である。
【0046】
結晶性の珪酸質原料の中でも、用いる結晶質珪酸質原料のうち、石英結晶成分が80重量%以上である高結晶性珪酸質原料が30重量%以上であることがより好ましく、50重量%以上であることがより好ましい。石英結晶成分が高い高結晶性珪酸質原料を多く用いると、低比重軽量気泡コンクリート中に生成するトバモライトの結晶性が高い傾向がある。
結晶質珪酸質原料中の石英結晶成分の割合は、結晶性珪酸質原料の粉末X線回折を用いて評価される。石英粉末の粉末X線回折で観測される石英の回折強度の総和に対する、結晶性珪酸質原料の粉末X線回折の石英の回折強度の総和の比率を以て石英結晶成分の割合とする。
【0047】
本発明の製造方法(1)においては、結晶性珪酸質原料が少なくとも、結晶性珪酸質原料のブレーン比表面積がそれぞれ5000〜15000cm/g、および2000〜5000cm/gの範囲から選ばれる少なくとも二種類の異なるブレーン比表面積を有する珪酸質原料を用いることが必要である。それにより、水銀圧入法で測定される細孔のうち、細孔径が0.008μm以上0.08μm未満の範囲の積算細孔容積VIと0.08μm以上0.4μm未満の範囲の積算細孔容積VIIとの比VI/VIIが1.0以上3.0以下にすることができる。これにより、本発明が目的とする周辺環境変化への追随速度が早い軽量気泡コンクリートを得ることができる。
【0048】
本発明の製造方法(1)においては、ブレーン比表面積で5000〜15000cm/g、及び2000〜5000cm/gの少なくとも二種類の異なるブレーン比表面積を有する珪酸質原料を用いていればよく、上記範囲であれば三種類以上のブレーン比表面積を有する珪酸質原料を用いても構わない。
ブレーン比表面積の異なる二種類の珪酸質原料を用いると、比VI/VIIを1.0以上3.0以下にできる理由は現時点では必ずしも明らかではないが、ブレーン比表面積で5000〜15000cm/gの微粉化された珪酸質原料を用いると細孔径が0.008μm以上0.08μm未満の範囲の細孔が形成されやすく、ブレーン比表面積が2000〜5000cm/gである比較的粗粒の珪酸質原料を用いると細孔径が0.08μm以上0.4μm未満の範囲の細孔が形成されやすい。オートクレーブ中で、トバモライトが生成し、珪酸質原料周辺に細孔が形成される際に、粗粒の珪酸質原料周辺に比較的大きな細孔が形成され、微粉化された珪酸質原料の周辺には比較的小さな細孔が形成されるものと推定される。
【0049】
従って、本発明の製造方法(1)においては、結晶性珪酸質原料のブレーン比表面積がそれぞれ5000〜15000cm/g、および2000〜5000cm/gの範囲から選ばれる少なくとも二種類の異なるブレーン比表面積を有する珪酸質原料を用いることが重要であり、ブレーン比表面積が2000〜5000cm/gである比較的粗粒の珪酸質原料のみを用いると、細孔径が0.08μm以上0.4μm未満の範囲の積算細孔容積が大きくなって比VI/VIIが小さくなり、また径の大きな細孔が多く生成して強度の低下を招く。
【0050】
一方、ブレーン比表面積で5000〜15000cm/gである比較的微粒の珪酸質原料のみを用いると、細孔径が0.008μm以上0.08μm未満の範囲の積算細孔容積が大きく成って比VI/VIIが大きくなり、周辺環境変化への追随性の低下が起きる。
ブレーン比表面積で5000〜15000cm/g、及び2000〜5000cm/gの少なくとも二種類の異なるブレーン比表面積を有する珪酸質原料の配合比は、全結晶性珪酸質原料中におけるブレーン比表面積で2000〜5000cm/gの割合として、周辺環境への追随性の観点から好ましくは10重量%以上、強度の観点から好ましくは70重量%以下であり、より好ましくは15〜60重量%、もっとも好ましくは15〜50重量%である。
【0051】
本発明の製造方法(1)において、ブレーン比表面積が2000cm/g未満の珪酸質原料を用いると、強度が低下する傾向があり、15000cm/gを超えると、オートクレーブ中での反応性が高すぎるためにオートクレーブ昇温過程で安定な非晶質化合物を形成してトバモライトの生成を阻害し、同時に生成するトバモライト結晶の結晶性を低下させる傾向がある。
【0052】
本発明の製造方法(1)に用いられるセメントは、特に限定されるものではなく、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、ビーライトセメント等の珪酸成分とカルシウム成分を主体とするものである。
本発明における石灰質原料としては、生石灰及び消石灰が挙げられる。
【0053】
本発明の製造方法(2)においては、用いるセメントのうち、30重量%以上が水和反応性の早いセメントを用いることが必要であり、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。用いるセメントのうち、30重量%以上が水和反応性の早いセメントを用いることにより、珪酸質原料のブレーン比表面積によらずに、例えば、珪酸質原料としてブレーン比表面積で5000〜15000cm/gである比較的微粒の珪酸質原料のみを用いた場合においても、水銀圧入法で測定される細孔径が0.008μm以上0.08μm未満の範囲の細孔と0.08μm以上0.4μm未満の範囲の細孔が適度に形成され、それらの積算細孔容量の比VI/VIIを1.0以上3.0以下にすることができる。
【0054】
本発明の製造方法における水和反応性の早いセメントとは、軽量気泡コンクリートを製造するオートクレーブ条件下で水和反応が早いセメントであり、早強セメントや微粉化された普通ポルトランドセメント、等であるが、普通ポルトランドセメントにオートクレーブ中での水和反応を促進させる添加物を配合した場合も含む。オートクレーブ中での水和反応を促進させる添加物としては通常のセメント水和促進剤や高炉スラグ、アルミナセメント等を挙げることができる。
【0055】
軽量気泡コンクリート中の細孔は、水と固体原料が反応して生成した水和物が、水が占めていた体積を埋めていく時、埋めきれずに残った微細空隙である。水和反応性の早いセメントを用いることにより、0.08μm以上0.4μm未満の範囲の細孔が形成される理由は現時点では必ずしも明らかではないが、オートクレーブ昇温過程でセメントが早く水和することにより比較的不均一で大きな空隙を持つ予備構造が形成され、その後トバモライトが生成してその大きな空隙を埋めていく際に比較的大きな0.08μm以上0.4μm未満の範囲の細孔が残留するものと推定している。オートクレーブ昇温過程でのセメントの水和速度が遅いと、比較的均一で小さな空隙を持つ予備構造が形成されるために、トバモライト生成で埋め残された空隙も小さいものになるものと推定される。
【0056】
本発明の製造方法(2)における結晶性珪酸質原料のブレーン比表面積は特に限定されるものではないが、好ましくは強度の観点から3000cm/g以上、トバモライトの生成、結晶性の観点から15000cm/g以下、より好ましくは3500〜10000cm/g、もっとも好ましくは4000〜8000cm/gである。
本発明の製造方法(1)においても(2)においても、型枠に注入する前のスラリー中の全固形原料中において、硫酸化合物のSO換算での含有量に対するアルミニウム化合物の酸化物換算(Al換算)での含有量が、周辺環境変化への追随性、耐炭酸化抵抗の観点から、重量比で0.92以上であることが好ましく、0.93以上であることがより好ましく、0.95以上であることがもっとも好ましい。また硫酸化合物のSO換算での含有量に対するアルミニウム化合物の酸化物換算(Al換算)での含有量の上限は、強度、生産性、トバモライトの生成の観点から、3.0以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましく、2.0以下であることがもっとも好ましい。重量比が上記範囲であることにより、水銀圧入法で測定される細孔径が0.008μm以上0.08μm未満の範囲の積算細孔容積VIと0.08μm以上0.4μm未満の範囲の積算細孔容積VIIとの比VI/VIIをより適正な範囲にできる。
【0057】
現時点においては、硫酸化合物の含有量に対するアルミニウム化合物の含有量の重量比が細孔構造の形成に影響を及ぼす理由は明確ではないが、硫酸化合物は軽量気泡コンクリートを製造する際に用いられる珪酸質原料、セメント等の無機粉体を凝集させるために、オートクレーブ昇温過程で形成される予備構造が比較的均一で小さな空隙を持つ構造になりやすい、硫酸化合物原料の含有量よりも多い十分なアルミニウム化合物が含有していると、反応過程で硫酸化合物がエトリンガイトやモノサルフェートなどのアルミニウムと硫酸成分を主成分とする中間生成物に十分に変換され、その中間生成物が占めていた体積が比較的大きな細孔として残存すると推定される。
【0058】
また、硫酸化合物の含有量に対するアルミニウム化合物の含有量の重量比が生成するトバモライトの結晶性に影響を及ぼす理由も明確ではないが、硫酸化合物原料の含有量に対して十分なアルミニウム化合物が含有されていると、反応過程で硫酸化合物がエトリンガイトやモノサルフェートなどのアルミニウムと硫酸成分を主成分とする中間生成物に十分に変換され、硫酸成分と珪素成分からなる中間性生物が生成しにくくなることが、その後の結晶化過程で結晶性の良否に影響を与えると推定される。
【0059】
従来、軽量気泡コンクリートの製造においては、予備硬化時間を早める等の目的で例えば二水石膏などの硫酸化合物が配合される。また、セメントや珪酸質原料、そして気泡剤として使用される金属アルミニウムから、硫酸化合物、アルミニウム化合物が供給される。従って、軽量気泡コンクリートを製造しようとすると、自ずから硫酸化合物やアルミニウム化合物が含有されるようになる。しかし、嵩比重が0.2以上0.45未満と従来よりも嵩比重の低い軽量気泡コンクリートを製造する場合には、それら微量成分の含有量が細孔構造の形成やトバモライトの結晶性に想像をはるかに超えて大きな影響を及ぼすことを見出すに至ったものである。
【0060】
本発明の製造方法においては、含有する硫酸化合物量、アルミニウム化合物の絶対量は特に限定されるものではないが、硫酸化合物の量が少ないとトバモライトの生成が遅くなる、予備硬化時間が長くなってプロセス性が低下する等の傾向があり、多すぎると適正な細孔構造を得られにくい、高い結晶性のトバモライトを得にくい等の傾向がある。そのため、型枠に注入する前のスラリー中の全固形原料中の硫酸化合物の絶対含有量は、SO換算で好ましくは、トバモライトの生成速度、予備硬化時間等プロセス性の観点から、1.5重量%以上、適切な細孔構造、高い結晶性のトバモライトを得るという観点から、5重量%以下であることが好ましく、1.5〜4.5重量%であることがより好ましい。
【0061】
また、本発明の製造方法(1)においても(2)においても、型枠に注入する前のスラリー中の全固形原料中において、硫酸化合物のSO換算での含有量に対するアルカリ化合物の酸化物換算での含有量は、重量比で0.15以上であることが好ましく、0.16以上であることがより好ましく、0.17以上であることが最も好ましい。重量比の上限は、強度、トバモライトの生成、予備硬化速度の観点から、1以下であることが好ましく、0.7以下であることがより好ましく、0.6以下であることがもっとも好ましい。重量比が上記範囲であることにより、水銀圧入法で測定される細孔径が0.008μm以上0.08μm未満の範囲の積算細孔容積VIと0.08μm以上0.4μm未満の範囲の積算細孔容積VIIとの比VI/VIIをより適正な範囲にできる。
【0062】
なお、アルカリ化合物は、Li、Na、K、Rb、Csの化合物であり、アルカリ化合物の酸化物換算での含有量とは、各々のアルカリ元素の酸化物の総和、すなわちLiO+NaO+KO+RbO+CsOである。通常軽量気泡コンクリートに用いられる原料には、Na、Kの化合物が主体である。
現時点においては、アルカリ化合物量が細孔構造形成に影響を及ぼす理由は明確ではないが、アルカリ化合物はオートクレーブ中でトバモライトが生成する際に、珪酸質原料の溶解性を高めると考えられる。適度なアルカリ量が含有することによって、セメントや石灰から供給されるカルシウムに対して適度に早い珪素の供給が行われてトバモライト結晶の生成が早くなり、そのために比較的大きな形状のトバモライトが形成されて大きな細孔が残存しやすいものと推定される。従って、アルカリ化合物の含有量は、用いるセメントのオートクレーブ中での水和反応性との関係が深い傾向があり、水和反応性の高いセメントを用いる場合にはより重要で、より多くのアルカリ化合物を必要とする傾向がある。
【0063】
従来の軽量気泡コンクリートの製造方法においても、アルミニウム化合物、硫酸化合物、アルカリ化合物の含有量がトバモライトの生成や結晶性、場合によっては細孔構造に影響を及ぼすことが知られている。しかし、本発明により、従来の軽量気泡コンクリートよりも嵩比重が低い軽量気泡コンクリートを製造する際には、溶解しているイオンの影響を強く受けやすいために、これら化合物の含有量が想像をはるかに超えて細孔構造形成、並びにトバモライトの結晶性にとってより重要であることがはじめて示された。
【0064】
尚、アルミニウム化合物、硫酸化合物、アルカリ化合物の含有量とは、使用する珪酸質原料やセメント等に含有する量も含めて、珪酸質原料、セメント、石灰質原料、アルミニウム化合物原料、硫酸化合物原料、アルカリ化合物原料を含む全ての固体原料の総重量に対する含有量である。従って、本発明の低比重軽量気泡コンクリートの製造方法においては、使用するセメントや珪酸質原料などに含有する量を勘案して、上記範囲を充足するようにアルミニウム化合物原料、硫酸化合物原料、アルカリ化合物原料が添加される。
【0065】
本発明の低比重軽量気泡コンクリートの製造方法で用いられる硫酸化合物原料は特に限定されるものではなく、SOないしはSOを含有する化合物であれば良い。例えば、亜硫酸、硫酸、無水石膏(CaSO)、二水石膏(CaSO・2HO)、半水石膏(CaSO4・1/2H2O)、硫酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属の硫酸塩、硫酸ナトリウムなどのアルカリ金属の硫酸塩、硫酸アルミニウム(Al(SO))またはその含水物、硫酸銅や硫酸銀などの金属硫酸塩等であり、これらを単独で用いても、複数同時に用いてもよい。これら硫酸化合物原料のうち、その構成元素が通常軽量気泡コンクリートに含まれ、かつ本発明の効果を特に顕著に発現させる点で、二水石膏、硫酸アルミニウム(Al(SO)またはその含水物が好ましい。さらには二水石膏またはその含水物と硫酸アルミニウム(Al(SO)またはその含水物とを併用することが、アルミニウム化合物とのバランスを調整する上でより好ましい。
【0066】
また、本発明の低比重軽量気泡コンクリートの製造方法で用いられるアルミニウム化合物原料も特に限定されるものではなく、硫酸アルミニウムまたはその含水物、γ−アルミナ、水酸化アルミニウム、炭酸アルミニウム、硝酸アルミニウム等を用いることができるが、硫酸化合物とのバランスを取る上で硫酸アルミニウムもしくはその含水物或いは水酸化アルミニウムが好ましい。低比重軽量気泡コンクリートの気泡剤として用いる金属アルミニウム粉末もアルミニウム化合物源として作用する。
【0067】
また、本発明の低比重軽量気泡コンクリートの製造方法で用いられるアルカリ化合物原料も特に限定されるものではなく、硫酸カリウムもしくはナトリウム、水酸化カリウムもしくはナトリウム、アルミン酸カリウムもしくはナトリウム、カリ明礬、等を用いることができるが、硫酸化合物やアルミニウム化合物とのバランスを取る上でカリ明礬或いは水酸化カリウムが好ましく用いられる。
【0068】
本発明の低比重軽量気泡コンクリートを製造する際に用いられるアルミニウム化合物原料、硫酸化合物原料、アルカリ化合物原料と該コンクリート中に含有するアルミニウム化合物、硫酸化合物、アルカリ化合物の化合物形態は必ずしも同一ではない。なぜなら、軽量気泡コンクリートの製造過程でその形態が変化するからである。
【0069】
低比重軽量気泡コンクリート中の硫酸化合物は、通常トバモライトを主成分とする軽量気泡コンクリートの作製に用いられる原料ならびにオートクレーブを用いた製造法の場合に、SO、SO等の硫酸根は二水石膏(CaSO4・2HO)、半水石膏(CaSO・1/2HO)、モノサルフェート型塩(3CaO・Al・CaSO・12HO)、ハイドロキシエラサダイト等の形態をとる。
【0070】
また、低比重軽量気泡コンクリート中のアルミニウム化合物は、通常トバモライトを主成分とする軽量気泡コンクリートの製造に用いられる原料やオートクレーブを用いた製造法を考慮すると、トバモライトの珪素を一部置換してトバモライト構造の中に取り込まれたり、ハイドロガーネット等の形態をとる。さらに、低比重軽量気泡コンクリート中のアルカリ化合物は、硫酸カリウムもしくはナトリウム、珪酸ナトリウムもしくはカリウム等の形態や、トバモライト構造の電荷補償イオンとして存在すると推定される。
【0071】
本発明における低比重軽量気泡コンクリートの製造方法においては、セメントに対する石灰質原料の重量比は、特に限定されるものではないが、強度の観点から0.3以上、スラリー粘度、成型性の観点から1.0以下であることが本発明の効果をより発現させることができて好ましい。
軽量気泡コンクリートを構成するトバモライト結晶等の無機物の真比重は約2.5であるが、軽量気泡コンクリートの嵩比重は0.5である。これは、内部に多くの空隙を含むためである。従来の軽量気泡コンクリートでは、空隙の体積分率は約80%であり、その80%の空隙は、アルミニウム粉末等の気泡剤によって形成した気泡空隙(約50%)、セメント系材料の場合、水と固体原料が反応して生成した水和物が、水が占めていた体積を埋めていくが、埋めきれずに残った細孔と呼ばれる微細空隙(約30%)で構成される。
【0072】
一般に、嵩比重0.2〜0.45の軽量化を実現するにあたり、低比重化を実現する方法として、気泡を多く含有させると、気泡径が巨大化し、全容積に対する気泡剤による粗大気泡割合が大きくなり、強度が低下する傾向がある。本発明の製造方法においては、アルミニウム粉末の添加量を増加させて気泡の量を多くするのではなく、全容積に対する気泡空隙をおおよそ50%程度に維持したまま、目的とする嵩比重により細孔を増加させる、すなわち、使用する水の量を増加させることも好ましく行われる。
【0073】
したがって、本発明の嵩比重0.2以上0.45未満の低比重軽量気泡コンクリートの製造方法においては、型枠に注入する前のスラリー中の全固形原料に対する水の重量比は0.78以上2.66以下であることが好ましく、0.91以上1.67以下であることがより好ましい。さらに好ましくは、目的とする嵩比重により、使用する全固形原料に対する水の重量比を変更する必要がある。したがって、使用する全固形原料に対する水の重量比が、目的とする軽量気泡コンクリートの嵩比重(d)から下記式(1)を用いて求められるW以上であり、下記式(2)を用いて求められるW以下であることがより好ましい。
=0.483/d−0.296 (1)
=0.591/d−0.296 (2)
【0074】
本発明の軽量気泡コンクリートの製造法に使用される原料は、トバモライトを多く生成し、強度を十分に発揮するという観点から、CaO/SiO2 モル比が好ましくは0.4以上、より好ましくは0.5以上、最も好ましくは0.55以上となるように混合する。また、CaO/SiO2 モル比は、高結晶性のトバモライトを多く生成するという観点から、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.0以下、最も好ましくは0.8以下である。
【0075】
本発明においては、珪酸質原料、セメント、石灰質原料などの上記原料以外の原料も、勿論、必要に応じて加えることができる。これら原料として、例えば、パルプ、発泡スチレンビーズ、有機マイクロバルーン等の有機軽量骨材、パーライト、シラスバルーン等の無機軽量骨材、メチルセルロース等の界面活性剤、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール等の増粘剤、減水剤、高性能減水剤等のセメント系材料において一般に用いられる分散剤、炭酸カルシウム、ドロマイト等の炭酸塩化合物、珪酸ナトリウム等の硬化促進剤、リグニンスルホン酸、グルコン酸塩等のセメント系材料において一般に用いられる硬化遅延剤、リン酸塩等の発泡遅延剤、シロキサン化合物、アルコキシシラン化合物等の撥水性物質、耐アルカリガラス繊維、カーボン繊維、ステンレス繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維等の無機繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維等の有機繊維等が挙げられる。
【0076】
本発明の製造方法においては、
(1) 珪酸質原料として結晶性珪酸質原料を主体とし、結晶性珪酸質原料のブレーン比表面積がそれぞれ5000〜15000cm/g、および2000〜5000cm/gの範囲から選ばれる少なくとも二種類の異なるブレーン比表面積を有する珪酸質原料を用いること、もしくは、
(2) 珪酸質原料として結晶性珪酸質原料を主体とし、用いるセメントのうち、30重量%以上が水和反応性の早いセメントであること、
が満たされていれば、珪酸質原料、セメント、石灰質原料、アルミニウム化合物原料、硫酸化合物原料、アルカリ化合物原料、他の原料の投入方法、投入順序、混合時間は特に限定されるものではない。
【0077】
例えば、従来のように、それら原料を同時に投入して短時間混合し、界面活性剤、金属アルミニウム粉もしくはそのスラリーを添加して型枠に注入しても良く、原料を同時に投入して一定時間の混合後に界面活性剤、金属アルミニウム粉もしくはそのスラリーを添加して型枠に注入しても良い。
また、例えば、珪酸質原料と水と必要に応じて石灰質原料の一部、アルミニウム化合物原料、アルカリ化合物原料を混合する第一工程に引き続き、セメント、硫酸化合物原料及び残りの石灰質原料を加えてさらに混合する第二工程の後にアルミニウム粉等の気泡剤を添加して型枠に注入する方法、も用いることができる。このような方法を用いる場合においても、混合時の方法や、混合時の温度、混合時間は特に限定されるものではない。
【0078】
珪酸質原料と水と必要に応じて石灰質原料の一部、アルミニウム化合物原料、アルカリ化合物原料を混合する第一工程の混合時間は、原料スラリーの均一性の観点から、10分以上が好ましく、より好ましくは30分以上である。長すぎることによる問題は無く、安定原料として用いることも可能である。混合時の温度は、予備硬化の速度の観点から30℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましい。混合時の温度の上限は、その後の発泡、予備硬化の温度を適正にするという観点から、60℃以下が好ましく、55℃以下がより好ましい。
【0079】
第一工程終了後、セメント、硫酸化合物原料及び残りの石灰質原料を加えてさらに混合する第二工程の混合時間、温度も特に限定されない。混合時間は、原料スラリーの均一な分散という観点から30秒以上が好ましく、その後の予備硬化の速度の観点から、10分以下が好ましく、3分以下がより好ましい。混合温度は、第一工程の場合と同じ理由で、30〜60℃の範囲が好ましく、40〜55℃の範囲がより好ましい。
【0080】
第二工程終了後、必要に応じて界面活性剤または界面活性剤を水に分散させた界面活性剤スラリー、アルミニウム粉末またはアルミニウム粉末を水に分散させたアルミニウムスラリーを投入し、直後に型枠に注入する方法が好ましく行われる。
本発明の軽量気泡コンクリートの製造方法においては、従来の軽量気泡コンクリートと同様に補強鉄筋または補強金網を軽量気泡コンクリート内に埋設させるように成型することが好ましく行われる。ここで補強鉄筋とは、鉄筋を所望の形状に配列し、交叉接点を溶接加工したものをいう。補強金網とは、鉄を網状に加工したもので、例えば、ラス網等がその代表的な例である。補強鉄筋または補強金網の形状、寸法、鉄筋の太さ、金網の目の大きさ、さらに軽量コンクリート中に埋設する際の位置等、配筋の仕方については、限定されるものではなく、板の大きさ、用途等によって適宜選択されることが好ましい。
【0081】
これら補強鉄筋または補強金網は、耐久性上有効な防錆剤処理が施されていることが好ましい。防錆剤としては合成樹脂系等、公知のものを使用できる。この様に鉄筋または金網を内部に配置することにより破壊時の耐力が著しく向上する。
型枠に注入されたスラリーは、アルミニウム粉に由来して発泡、生石灰及びセメントの自己発熱により、好ましくは50〜85℃の間で1時間以上かけて予備硬化される。予備硬化は、蒸気養生室等の水分が蒸発を抑制した環境下で行うことが好ましい。得られた予備硬化体は、必要に応じて任意の形状に切断された後に、オートクレーブを用いて高温高圧養生される。切断は軽量気泡コンクリートの製造に一般に用いられるワイヤーによる切断法も使用できる。オートクレーブの条件としては160℃(ゲージ圧力:約5.3kgf/cm2)以上、220℃(ゲージ圧力:約22.6kgf/cm2)以下が好ましい。
【実施例】
【0082】
以下に実施例により本発明を具体的に説明する。
本発明に用いられる各種の測定方法は以下の通りである。
[嵩比重]
曲げ試験に用いたのと同じ寸法のオートクレーブ後の硬化体を、105℃にて24時間乾燥させた時の重量と寸法から算出する。
【0083】
[曲げ強度、圧縮強度]
JIS R 5201の曲げ強さ及び圧縮強さの測定に準じて測定する。すなわち、曲げ強度測定に用いた供試体寸法は40mm×40mm×160mmであり、スパン幅は100mmである。圧縮強度は曲げ試験で割れた半分の試料において、加圧面40mm×40mmで最大荷重を測定する。試験体の乾燥条件は、20℃、相対湿度60%の恒温恒湿槽中に、105℃の絶乾状態を基準とした含水量が、10±2%になった時点で測定試料とする。
【0084】
[水銀圧入法による各細孔径範囲の細孔量の比、対数1/4値幅の算出]
オートクレーブ後の硬化体を粉砕した後に分級して得た2〜4mm部分を、105℃にて24時間乾燥させて測定用試料とする。これら試料を、Micrometritics社製、Pore Sizer 9320を用いて細孔径分布を測定する。この時、水銀と硬化体の接触角は130度、水銀の表面張力は484dyn/cmとして計算を行う。測定された細孔径に対する細孔量の積算曲線より、0.008μm以上0.08μm未満の範囲の積算細孔容積VIを、0.08μm以上0.4μm未満の範囲の積算細孔容積VIIをそれぞれ求める。また、同様に測定された細孔径に対する細孔量の積算曲線より、細孔径が0.008μm以上0.04μm未満の範囲の積算細孔容積VIIIを、細孔径が0.008μm以上0.026μm未満の範囲の積算細孔容積VIVを、細孔径が0.12μm以上0.4μm未満の範囲の積算細孔容積VVを、0.006μm以上1μm未満の積算値からVVIを、10μm以上400μm未満の積算値からVVIIをそれぞれ求める。細孔径が0.6μm以上の積算細孔容積の割合は、細孔径が0.006μm〜6μmの範囲で測定された全細孔量を100%とした時の、細孔径が0.6μm以上の積算細孔容積の体積分率である。
測定された細孔径が0.008μm以上0.08μm未満の範囲で、細孔径に対する細孔量の積算曲線を1次微分して得られる微分細孔分布曲線に存在する極大値をWとし、細孔径が0.008μm以上0.08μm未満の範囲で極大値を2つ以上持つ場合、より大きな値を持つ極大値をWとする。また、この極大値を与える細孔径をRとする。
また、測定された細孔径0.006μm〜10μmに対する細孔量の積算曲線を1次微分して得られる微分細孔分布に存在する最大ピークの1/4の高さを与える二つの細孔径をその大きさの順にA、Aとする。対数1/4値幅は、A、Aそれぞれの常用対数の差とする(対数半値幅の算出は、前述の図1及び図2による説明も参照)。
【0085】
[吸水速度]
試験体寸法は100mmφ×100mmとし、側面より水が浸透しないように底面から1cmシールし、水を含んだ脱脂綿上に底面を設置する。随時、サンプルを取り出し、重量を測定し、吸水した水の量を試験体の底面積と経過時間の平方根で除することにより吸水速度を算出する。
試験体の乾燥条件は、20℃、相対湿度60%の恒温恒湿槽中で恒量となったものを用いる。
【0086】
[軽量気泡コンクリートの粉末X線回折]
強度測定に用いた試料を乳鉢中で粉砕した後に、理学電気(株)製RINT2000において、CuのKα線を用いて測定する。測定条件は、加速電圧40kV、加速電流200mA、受光スリット幅0.15mm、走査速度4゜/分、サンプリング0.02゜である。回折線は、グラファイトのモノクロメーターにより単色化されてカウントする。
トバモライトの(002)面の回折ピークは、7.7゜(2θ)付近に見られる回折線に対応する。(002)面の回折ピークの半値幅は、回折角6から9.5゜(2θ)付近にかけて、バックグランドを直線近似して得られた真の回折ピークの最大値の1/2の高さを与える二つの回折角(2θ)に差として算出される。図3に算出方法の模式図を示す。
また、バックグランドを含めたトバモライトの(220)面の回折ピーク強度をItとし、バックグランドを含めた石英の(101)面の回折ピーク強度をIqとし、石英の(101)面の回折ピーク強度に対するトバモライトの(220)面の回折ピーク強度の比をIt/Iqを求める。
【0087】
[蛍光X線測定:SO3含有量、Al23 、KO、NaO含有量の測定]
フィリップス社製蛍光X線測定装置(PW−2400)を用いて、各原料粉末中のSO3 含有量、Al23含有量、KO、NaO含有量の定量を行った。原料粉末1重量部に対し、ホウ酸リチウム9重量部を混合してペレットを作製し、1000℃で1時間焼成してガラス状サンプルを得た。ガラス状サンプルの蛍光X線強度測定を行い、含有元素の酸化物の混合物を用いて作製した検量線を用いて、SO3含有量、Al23、KO、NaO含有量を求めた。
[ブレーン比表面積]
JIS R 5201のセメントの物理試験法における比表面積試験に準じて測定した。
【0088】
[実施例1]
50℃の水100.2重量部に、珪酸質原料として珪石A(石英結晶成分割合75重量%、ブレーン比表面積7500cm/g)24.1重量部、珪石B(石英結晶成分割合75重量%、ブレーン比表面積3800cm/g)24.1重量部、生石灰8.7重量部、アルミニウム化合物原料かつ硫酸化合物原料として硫酸ばんど(朝日化学社製:17%品)を無水和物換算で1.0重量部を加え水性スラリーを得、温度を50℃に保ちながら1時間攪拌を行った。次いで、該水性スラリーに硫酸化合物として二水石膏4.3重量部、普通ポルトランドセメント(以下、OPC)29.1重量部、生石灰8.7重量部、予め水2.15重量部に水溶性セルロースエーテル(信越化学社製:hi65SH−4000)を0.0217重量部混合して得た水性スラリーを投入し、2分間攪拌した。
続いて、予め水5.4重量部に金属アルミニウム粉末0.0849重量部を分散させた金属アルミニウムスラリーを投入し、30秒攪拌し、型枠に注入して発泡させ、予備硬化を行った。型枠注入時のスラリー温度は50℃であった。型枠へのスラリー注入の完了から、5時間後の予備硬化体の中心温度は85℃であり、硬度が10mmに達した。型枠を取り外した後、予備硬化体をオートクレーブに入れ、飽和水蒸気雰囲気下180℃で4時間、オートクレーブ養生を行った。オートクレーブから出缶後、乾燥して低比重軽量気泡コンクリートを得た。
珪石A及びB、OPC、金属アルミニウムに含有される量も含めて、型枠に注入する前のスラリー中の全固形原料中のアルミニウム化合物は酸化物換算(Al)で3.0重量%、硫酸化合物はSO換算で3.3重量%、アルカリ化合物は酸化物換算(KO+NaO)で0.52重量%であった。なお、軽量気泡コンクリートを製造するにあたり、使用した全固形原料と水の重量比は1.08であり、OPCに対する全石灰質原料の比は0.60であり、珪酸質原料、OPC及び石灰質原料は、CaO/SiOモル比で0.73とした。
得られた軽量気泡コンクリートの特性を表1に示す。
【0089】
[実施例2]
50℃の水100.2重量部に、珪酸質原料として珪石A(石英結晶成分割合75重量%、ブレーン比表面積7500cm/g)48.5重量部、生石灰8.7重量部、アルミニウム化合物原料かつ硫酸化合物原料として硫酸ばんど(朝日化学社製:17%品)を無水和物換算で1.0重量部を加え水性スラリーを得、温度を50℃に保ちながら1時間攪拌を行った。次いで、該水性スラリーに二水石膏4.3重量部、早強ポルトランドセメント28.9重量部、生石灰8.7重量部、硫酸化合物として予め水2.0重量部に水溶性セルロースエーテル(信越化学社製:hi65SH−4000)を0.0217重量部混合して得た水性スラリーを投入し、2分間攪拌した。
続いて、予め水5.0重量部に金属アルミニウム粉末0.0855重量部を分散させた金属アルミニウムスラリーを投入し、30秒攪拌し、型枠に注入して発泡させ、予備硬化を行った。型枠注入時のスラリー温度は50℃であった。型枠へのスラリー注入の完了から、5時間後の予備硬化体の中心温度は85℃であり、硬度が12mmに達した。型枠を取り外した後、予備硬化体をオートクレーブに入れ、飽和水蒸気雰囲気下180℃で4時間、オートクレーブ養生を行った。オートクレーブから出缶後、乾燥して低比重軽量気泡コンクリートを得た。
珪石A、セメント、金属アルミニウムに含有される量も含めて、型枠に注入する前のスラリー中の全固形原料中のアルミニウム化合物は酸化物換算(Al)で4.2重量%、硫酸化合物はSO換算で3.6重量%、アルカリ化合物は酸化物換算(KO+NaO)で0.5重量%であった。なお、軽量気泡コンクリートを製造するにあたり、使用した全固形原料と水の重量比は1.08であり、セメント対する全石灰質原料の比は0.60であり、珪酸質原料、セメント及び石灰質原料は、CaO/SiOモル比で0.73とした。
得られた軽量気泡コンクリートの特性を表1に示す。
【0090】
[実施例3]
50℃の水100.2重量部に、珪酸質原料として珪石A(石英結晶成分割合75重量%、ブレーン比表面積7500cm/g)49.7重量部、生石灰8.9重量部、アルミニウム化合物原料かつ硫酸化合物原料として硫酸ばんど(朝日化学社製:17%品)を無水和物換算で1.0重量部を加え水性スラリーを得、温度を50℃に保ちながら1時間攪拌を行った。次いで、該水性スラリーに硫酸化合物として二水石膏2.0重量部、早強ポルトランドセメント29.6重量部、生石灰8.9重量部、予め水2.0重量部に水溶性セルロースエーテル(信越化学社製:hi65SH−4000)を0.0217重量部混合して得た水性スラリーを投入し、2分間攪拌した。
続いて、予め水5.0重量部に金属アルミニウム粉末0.0853重量部を分散させた金属アルミニウムスラリーを投入し、30秒攪拌し、型枠に注入して発泡させ、予備硬化を行った。型枠注入時のスラリー温度は50℃であった。型枠へのスラリー注入の完了から、5時間後の予備硬化体の中心温度は85℃であり、硬度が12mmに達した。型枠を取り外した後、予備硬化体をオートクレーブに入れ、飽和水蒸気雰囲気下180℃で4時間、オートクレーブ養生を行った。オートクレーブから出缶後、乾燥して低比重軽量気泡コンクリートを得た。
珪石A、セメント、金属アルミニウムに含有される量も含めて、型枠に注入する前のスラリー中の全固形原料中のアルミニウム化合物は酸化物換算(Al)で2.9重量%、硫酸化合物はSO換算で2.5重量%、アルカリ化合物は酸化物換算(KO+NaO)で0.51重量%であった。なお、軽量気泡コンクリートを製造するにあたり、使用した全固形原料と水の重量比は1.08であり、セメントに対する全石灰質原料の比は0.60であり、珪酸質原料、セメント及び石灰質原料は、CaO/SiOモル比で0.73とした。
得られた軽量気泡コンクリートの特性を表1に示す。
【0091】
[実施例4]
50℃の水99.0重量部に、珪酸質原料として珪石A(石英結晶成分割合75重量%、ブレーン比表面積7500cm/g)49.7重量部、生石灰8.8重量部、アルミニウム化合物原料かつ硫酸化合物原料として硫酸ばんど(朝日化学社製:17%品)を無水和物換算で1.58重量部、アルミニウム化合物原料かつ硫酸化合物原料かつアルカリ化合物原料としてカリ明礬を無水和物換算で0.64重量部を加え水性スラリーを得、温度を50℃に保ちながら1時間攪拌を行った。次いで、該水性スラリーに硫酸化合物として二水石膏1.3重量部、早強ポルトランドセメント29.4重量部、生石灰8.8重量部、予め水2.0重量部に水溶性セルロースエーテル(信越化学社製:hi65SH−4000)を0.0217重量部混合して得た水性スラリーを投入し、2分間攪拌した。
続いて、予め水5.0重量部に金属アルミニウム粉末0.0854重量部を分散させた金属アルミニウムスラリーを投入し、30秒攪拌し、型枠に注入して発泡させ、予備硬化を行った。型枠注入時のスラリー温度は50℃であった。型枠へのスラリー注入の完了から、5時間後の予備硬化体の中心温度は85℃であり、硬度が11mmに達した。型枠を取り外した後、予備硬化体をオートクレーブに入れ、飽和水蒸気雰囲気下180℃で4時間、オートクレーブ養生を行った。オートクレーブから出缶後、乾燥して低比重軽量気泡コンクリートを得た。
珪石A、セメント、金属アルミニウムに含有される量も含めて、型枠に注入する前のスラリー中の全固形原料中のアルミニウム化合物は酸化物換算(Al)で3.2重量%、硫酸化合物はSO換算で3重量%、アルカリ化合物は酸化物換算(KO+NaO)で0.63重量%であった。なお、軽量気泡コンクリートを製造するにあたり、使用した全固形原料と水の重量比は1.08であり、セメントに対する全石灰質原料の比は0.60であり、珪酸質原料、セメント及び石灰質原料は、CaO/SiOモル比で0.73とした。
得られた軽量気泡コンクリートの特性を表1に示す。
【0092】
[実施例5]
50℃の水100.2重量部に、珪酸質原料として珪石C(石英結晶成分割合92重量%、ブレーン比表面積6500cm/g)24.7重量部及び珪石D(石英結晶成分割合80重量%、ブレーン比表面積6500cm/g)24.7重量部、生石灰8.9重量部、アルミニウム化合物原料かつ硫酸化合物原料として硫酸ばんど(朝日化学社製:17%品)を無水和物換算で1.0重量部を加え水性スラリーを得、温度を50℃に保ちながら1時間攪拌を行った。次いで、該水性スラリーに硫酸化合物として二水石膏2.0重量部、早強ポルトランドセメント29.6重量部、生石灰8.9重量部、予め水2.0重量部に水溶性セルロースエーテル(信越化学社製:hi65SH−4000)を0.0217重量部混合して得た水性スラリーを投入し、2分間攪拌した。
続いて、予め水5.0重量部に金属アルミニウム粉末0.0853重量部を分散させた金属アルミニウムスラリーを投入し、30秒攪拌し、型枠に注入して発泡させ、予備硬化を行った。型枠注入時のスラリー温度は50℃であった。型枠へのスラリー注入の完了から、5時間後の予備硬化体の中心温度は85℃であり、硬度が11mmに達した。型枠を取り外した後、予備硬化体をオートクレーブに入れ、飽和水蒸気雰囲気下180℃で4時間、オートクレーブ養生を行った。オートクレーブから出缶後、乾燥して低比重軽量気泡コンクリートを得た。
珪石C及びD、セメント、金属アルミニウムに含有される量も含めて、型枠に注入する前のスラリー中の全固形原料中のアルミニウム化合物は酸化物換算(Al)で3.2重量%、硫酸化合物はSO換算で2.7重量%、アルカリ化合物は酸化物換算(KO+NaO)で0.47重量%であった。なお、軽量気泡コンクリートを製造するにあたり、使用した全固形原料と水の重量比は1.08であり、セメントに対する全石灰質原料の比は0.60であり、珪酸質原料、セメント及び石灰質原料は、CaO/SiOモル比で0.73とした。
得られた軽量気泡コンクリートの特性を表1に示す。
【0093】
[実施例6]
50℃の水100.2重量部に、珪酸質原料として珪石A(石英結晶成分割合75重量%、ブレーン比表面積7500cm/g)46.8重量部、生石灰8.5重量部、アルミニウム化合物原料かつ硫酸化合物原料として硫酸ばんど(朝日化学社製:17%品)を無水和物換算で0.95重量部を加え水性スラリーを得、温度を50℃に保ちながら1時間攪拌を行った。次いで、該水性スラリーに硫酸化合物として二水石膏1.9重量部、OPC28.3重量部、セメント水和促進剤として高炉スラグを5.0重量部、生石灰8.5重量部、予め水2重量部に水溶性セルロースエーテル(信越化学社製:hi65SH−4000)を0.0217重量部混合して得た水性スラリーを投入し、2分間攪拌した。
続いて、予め水5.0重量部に金属アルミニウム粉末0.0853重量部を分散させた金属アルミニウムスラリーを投入し、30秒攪拌し、型枠に注入して発泡させ、予備硬化を行った。型枠注入時のスラリー温度は50℃であった。型枠へのスラリー注入の完了から、5時間後の予備硬化体の中心温度は85℃であり、硬度が9mmに達した。型枠を取り外した後、予備硬化体をオートクレーブに入れ、飽和水蒸気雰囲気下180℃で4時間、オートクレーブ養生を行った。オートクレーブから出缶後、乾燥して低比重軽量気泡コンクリートを得た。
珪石A、OPC、高炉スラグ、金属アルミニウムに含有される量も含めて、型枠に注入する前のスラリー中の全固形原料中のアルミニウム化合物は酸化物換算(Al)で3.7重量%、硫酸化合物はSO換算で2.2重量%、アルカリ化合物は酸化物換算(KO+NaO)で0.52重量%であった。なお、軽量気泡コンクリートを製造するにあたり、使用した全固形原料と水の重量比は1.08であり、OPCに対する全石灰質原料の比は0.60であり、珪酸質原料、OPC、高炉スラグ及び石灰質原料は、CaO/SiOモル比で0.73とした。
得られた軽量気泡コンクリートの特性を表1に示す。
【0094】
[実施例7]
45℃の水106重量部に、珪酸質原料として珪石E(石英結晶成分割合89重量%、ブレーン比表面積5000cm/g)49.3重量部、生石灰7.2重量部、アルミニウム化合物原料としてγ―アルミ(住友化学製:BK−112)を0.47重量部、アルミニウム化合物原料、硫酸化合物、アルカリ化合物としてカリ明礬を1.17重量部加え水性スラリーを得、温度を45℃に保ちながら30分攪拌を行った。次いで、該水性スラリーに二水石膏2.6重量部、早強ポルトランドセメント29.4重量部、生石灰10.4重量部、予め水2.0重量部に界面活性剤(東邦化学工業株式会社製:ソルボンT−80)を0.011重量部混合して得た水性スラリーを投入し、2分間攪拌した。
続いて、予め水2.0重量部に金属アルミニウム粉末0.089重量部を分散させた金属アルミニウムスラリーを投入し、30秒攪拌し、型枠に注入して発泡させ、予備硬化を行った。型枠注入時のスラリー温度は50℃であった。型枠へのスラリー注入の完了から、4時間後の予備硬化体の中心温度は85℃であり、硬度が12mmに達した。型枠を取り外した後、予備硬化体をオートクレーブに入れ、飽和水蒸気雰囲気下180℃で4時間、オートクレーブ養生を行った。オートクレーブから出缶後、乾燥して低比重軽量気泡コンクリートを得た。
珪石E、セメント、金属アルミニウムに含有される量も含めて、型枠に注入する前のスラリー中の全固形原料中のアルミニウム化合物は酸化物換算(Al)で3.35重量%、硫酸化合物はSO換算で2.63重量%、アルカリ化合物は酸化物換算(KO+NaO)で0.55重量%であった。なお、軽量気泡コンクリートを製造するにあたり、使用した全固形原料と水の重量比は1.08であり、セメント対する全石灰質原料の比は0.60であり、珪酸質原料、セメント及び石灰質原料は、CaO/SiOモル比で0.73とした。
得られた軽量気泡コンクリートの特性を表1に示す。
【0095】
[実施例8]
45℃の水92.1重量部に、珪酸質原料として珪石E(石英結晶成分割合89重量%、ブレーン比表面積5000cm/g)46.6重量部、生石灰2.5重量部、アルミニウム化合物原料として水酸化アルミ(住友化学製:C−308)を0.44重量部加え水性スラリーを得、温度を45℃に保ちながら30分攪拌を行った。次いで、該水性スラリーに二水石膏2重量部、早強ポルトランドセメント36.4重量部、生石灰12重量部、予め水2.0重量部に界面活性剤(東邦化学工業株式会社製:ソルボンT−80)を0.0095重量部混合して得た水性スラリーを投入し、2分間攪拌した。
続いて、予め水1.0重量部に金属アルミニウム粉末0.096重量部を分散させた金属アルミニウムスラリーを投入し、30秒攪拌し、型枠に注入して発泡させ、予備硬化を行った。型枠注入時のスラリー温度は45℃であった。型枠へのスラリー注入の完了から、3時間後の予備硬化体の中心温度は85℃であり、硬度が12mmに達した。型枠を取り外した後、予備硬化体をオートクレーブに入れ、飽和水蒸気雰囲気下180℃で4時間、オートクレーブ養生を行った。オートクレーブから出缶後、乾燥して低比重軽量気泡コンクリートを得た。
珪石E、セメント、金属アルミニウムに含有される量も含めて、型枠に注入する前のスラリー中の全固形原料中のアルミニウム化合物は酸化物換算(Al)で3.37重量%、硫酸化合物はSO換算で2.15重量%、アルカリ化合物は酸化物換算(KO+NaO)で0.46重量%であった。なお、軽量気泡コンクリートを製造するにあたり、使用した全固形原料と水の重量比は0.95であり、セメント対する全石灰質原料の比は0.4であり、珪酸質原料、セメント及び石灰質原料は、CaO/SiOモル比で0.78とした。
【0096】
[実施例9]
45℃の水92.1重量部に、珪酸質原料として珪石A(石英結晶成分割合75重量%、ブレーン比表面積7500cm/g)23.2重量部、珪石E(石英結晶成分割合89重量%、ブレーン比表面積5000cm/g)23.2重量部、生石灰2.5重量部、アルミニウム化合物原料として水酸化アルミ(住友化学製:C−308)を0.58重量部加え水性スラリーを得、温度を45℃に保ちながら30分攪拌を行った。次いで、該水性スラリーに二水石膏2.2重量部、早強ポルトランドセメント36.3重量部、生石灰12重量部、予め水2.0重量部に界面活性剤(東邦化学工業株式会社製:ソルボンT−80)を0.0095重量部混合して得た水性スラリーを投入し、2分間攪拌した。
続いて、予め水1.0重量部に金属アルミニウム粉末0.096重量部を分散させた金属アルミニウムスラリーを投入し、30秒攪拌し、型枠に注入して発泡させ、予備硬化を行った。型枠注入時のスラリー温度は45℃であった。型枠へのスラリー注入の完了から、3時間後の予備硬化体の中心温度は85℃であり、硬度が13mmに達した。型枠を取り外した後、予備硬化体をオートクレーブに入れ、飽和水蒸気雰囲気下180℃で4時間、オートクレーブ養生を行った。オートクレーブから出缶後、乾燥して低比重軽量気泡コンクリートを得た。
珪石E、セメント、金属アルミニウムに含有される量も含めて、型枠に注入する前のスラリー中の全固形原料中のアルミニウム化合物は酸化物換算(Al)で3.37重量%、硫酸化合物はSO換算で2.15重量%、アルカリ化合物は酸化物換算(KO+NaO)で0.50重量%であった。なお、軽量気泡コンクリートを製造するにあたり、使用した全固形原料と水の重量比は0.95であり、セメント対する全石灰質原料の比は0.4であり、珪酸質原料、セメント及び石灰質原料は、CaO/SiOモル比で0.78とした。
【0097】
[実施例10]
45℃の水92.1重量部に、珪酸質原料として珪石E(石英結晶成分割合89重量%、ブレーン比表面積5000cm/g)46.4重量部、生石灰2.5重量部、アルミニウム化合物原料として水酸化アルミ(住友化学製:C−308)を0.68重量部、アルカリ化合物原料として水酸化カリウムを0.15重量部加え水性スラリーを得、温度を45℃に保ちながら30分攪拌を行った。次いで、該水性スラリーに二水石膏2重量部、早強ポルトランドセメント36.2重量部、生石灰12重量部、予め水2.0重量部に界面活性剤(東邦化学工業株式会社製:ソルボンT−80)を0.0095重量部混合して得た水性スラリーを投入し、2分間攪拌した。
続いて、予め水1.0重量部に金属アルミニウム粉末0.096重量部を分散させた金属アルミニウムスラリーを投入し、30秒攪拌し、型枠に注入して発泡させ、予備硬化を行った。型枠注入時のスラリー温度は45℃であった。型枠へのスラリー注入の完了から、3時間後の予備硬化体の中心温度は85℃であり、硬度が13mmに達した。型枠を取り外した後、予備硬化体をオートクレーブに入れ、飽和水蒸気雰囲気下180℃で4時間、オートクレーブ養生を行った。オートクレーブから出缶後、乾燥して低比重軽量気泡コンクリートを得た。
珪石E、セメント、金属アルミニウムに含有される量も含めて、型枠に注入する前のスラリー中の全固形原料中のアルミニウム化合物は酸化物換算(Al)で3.52重量%、硫酸化合物はSO換算で2.14重量%、アルカリ化合物は酸化物換算(KO+NaO)で0.58重量%であった。なお、軽量気泡コンクリートを製造するにあたり、使用した全固形原料と水の重量比は0.95であり、セメント対する全石灰質原料の比は0.4であり、珪酸質原料、セメント及び石灰質原料は、CaO/SiOモル比で0.78とした。
【0098】
[実施例11]
45℃の水92.1重量部に、珪酸質原料として珪石E(石英結晶成分割合89重量%、ブレーン比表面積5000cm/g)46.3重量部、生石灰2.4重量部、アルミニウム化合物原料として水酸化アルミ(住友化学製:C−308)を0.47重量部、アルミニウム化合物原料、硫酸化合物原料、アルカリ化合物原料としてカリ明礬12水和物を1.27重量部加え水性スラリーを得、温度を45℃に保ちながら30分攪拌を行った。次いで、該水性スラリーに二水石膏2重量部、早強ポルトランドセメント36.1重量部、生石灰12重量部、予め水2.0重量部に界面活性剤(東邦化学工業株式会社製:ソルボンT−80)を0.0095重量部混合して得た水性スラリーを投入し、2分間攪拌した。
続いて、予め水1.0重量部に金属アルミニウム粉末0.098重量部を分散させた金属アルミニウムスラリーを投入し、30秒攪拌し、型枠に注入して発泡させ、予備硬化を行った。型枠注入時のスラリー温度は45℃であった。型枠へのスラリー注入の完了から、3時間後の予備硬化体の中心温度は85℃であり、硬度が14mmに達した。型枠を取り外した後、予備硬化体をオートクレーブに入れ、飽和水蒸気雰囲気下180℃で4時間、オートクレーブ養生を行った。オートクレーブから出缶後、乾燥して低比重軽量気泡コンクリートを得た。
珪石E、セメント、金属アルミニウムに含有される量も含めて、型枠に注入する前のスラリー中の全固形原料中のアルミニウム化合物は酸化物換算(Al)で3.51重量%、硫酸化合物はSO換算で2.56重量%、アルカリ化合物は酸化物換算(KO+NaO)で0.58重量%であった。なお、軽量気泡コンクリートを製造するにあたり、使用した全固形原料と水の重量比は0.95であり、セメント対する全石灰質原料の比は0.4であり、珪酸質原料、セメント及び石灰質原料は、CaO/SiOモル比で0.78とした。
【0099】
[実施例12]
45℃の水92.1重量部に、珪酸質原料として珪石E(石英結晶成分割合89重量%、ブレーン比表面積5000cm/g)46.0重量部、生石灰2.3重量部、アルミニウム化合物原料かつ硫酸化合物原料として硫酸ばんど(朝日化学社製:17%品)を無水和物換算で1.04重量部、アルミニウム化合物原料、硫酸化合物原料、アルカリ化合物原料としてカリ明礬12水和物を1.3重量部加え水性スラリーを得、温度を45℃に保ちながら30分攪拌を行った。次いで、該水性スラリーに二水石膏2重量部、早強ポルトランドセメント35.9重量部、生石灰12重量部、予め水2.0重量部に界面活性剤(東邦化学工業株式会社製:ソルボンT−80)を0.0095重量部混合して得た水性スラリーを投入し、2分間攪拌した。
続いて、予め水1.0重量部に金属アルミニウム粉末0.098重量部を分散させた金属アルミニウムスラリーを投入し、30秒攪拌し、型枠に注入して発泡させ、予備硬化を行った。型枠注入時のスラリー温度は45℃であった。型枠へのスラリー注入の完了から、3時間後の予備硬化体の中心温度は85℃であり、硬度が14mmに達した。型枠を取り外した後、予備硬化体をオートクレーブに入れ、飽和水蒸気雰囲気下180℃で4時間、オートクレーブ養生を行った。オートクレーブから出缶後、乾燥して低比重軽量気泡コンクリートを得た。
珪石E、セメント、金属アルミニウムに含有される量も含めて、型枠に注入する前のスラリー中の全固形原料中のアルミニウム化合物は酸化物換算(Al)で3.49重量%、硫酸化合物はSO換算で3.29重量%、アルカリ化合物は酸化物換算(KO+NaO)で0.58重量%であった。なお、軽量気泡コンクリートを製造するにあたり、使用した全固形原料と水の重量比は0.95であり、セメント対する全石灰質原料の比は0.4であり、珪酸質原料、セメント及び石灰質原料は、CaO/SiOモル比で0.78とした。
【0100】
[実施例13]
45℃の水92.1重量部に、珪酸質原料として珪石E(石英結晶成分割合89重量%、ブレーン比表面積5000cm/g)46.2重量部、生石灰2.4重量部、アルミニウム化合物原料かつ硫酸化合物原料として硫酸ばんど(朝日化学社製:17%品)を無水和物換算で1.0重量部、硫酸化合物原料、アルカリ化合物原料として硫酸カリウムを0.23重量部加え水性スラリーを得、温度を45℃に保ちながら30分攪拌を行った。次いで、該水性スラリーに二水石膏2重量部、早強ポルトランドセメント36.1重量部、生石灰12重量部、予め水2.0重量部に界面活性剤(東邦化学工業株式会社製:ソルボンT−80)を0.0095重量部混合して得た水性スラリーを投入し、2分間攪拌した。
続いて、予め水1.0重量部に金属アルミニウム粉末0.096重量部を分散させた金属アルミニウムスラリーを投入し、30秒攪拌し、型枠に注入して発泡させ、予備硬化を行った。型枠注入時のスラリー温度は45℃であった。型枠へのスラリー注入の完了から、3時間後の予備硬化体の中心温度は85℃であり、硬度が14mmに達した。型枠を取り外した後、予備硬化体をオートクレーブに入れ、飽和水蒸気雰囲気下180℃で4時間、オートクレーブ養生を行った。オートクレーブから出缶後、乾燥して低比重軽量気泡コンクリートを得た。
珪石E、セメント、金属アルミニウムに含有される量も含めて、型枠に注入する前のスラリー中の全固形原料中のアルミニウム化合物は酸化物換算(Al)で3.36重量%、硫酸化合物はSO換算で2.94重量%、アルカリ化合物は酸化物換算(KO+NaO)で0.58重量%であった。なお、軽量気泡コンクリートを製造するにあたり、使用した全固形原料と水の重量比は0.95であり、セメント対する全石灰質原料の比は0.4であり、珪酸質原料、セメント及び石灰質原料は、CaO/SiOモル比で0.78とした。
【0101】
[比較例1]
珪酸質原料として珪石A(石英結晶成分割合75重量%、ブレーン比表面積7500cm/g)48.1重量部を用いた以外は実施例1と同様に成型した。
珪石A、OPC、金属アルミニウムに含有される量も含めて、型枠に注入する前のスラリー中の全固形原料中のアルミニウム化合物は酸化物換算(Al)で3.0重量%、硫酸化合物はSO換算で3.3重量%、アルカリ化合物は酸化物換算(KO+NaO)で0.52重量%であった。なお、軽量気泡コンクリートを製造するにあたり、使用した全固形原料と水の重量比は1.08であり、OPCに対する全石灰質原料の比は0.60であり、珪酸質原料、OPC及び石灰質原料は、CaO/SiOモル比で0.73とした。
得られた軽量気泡コンクリートの特性を表1に示す。
【0102】
[比較例2]
50℃の水112.3重量部に、珪酸質原料として珪石E(石英結晶成分80重量%、ブレーン比表面積2900cm/g)48重量部、生石灰2.3重量部、アルミニウム化合物原料かつ硫酸化合物原料として硫酸ばんど(朝日化学社製:17%品)を無水和物換算で2.0重量部を加え水性スラリーを得、温度を50℃に保ちながら1時間攪拌を行った。次いで、該水性スラリーに硫酸化合物として二水石膏3重量部、OPC39.2重量部、生石灰5.5重量部、予め水2.0重量部に水溶性セルロースエーテル(信越化学社製:hi65SH−4000)を0.0245重量部混合して得た水性スラリーを投入し、2分間攪拌した。
続いて、予め水5.0重量部に金属アルミニウム粉末0.0752重量部を分散させた金属アルミニウムスラリーを投入し、30秒攪拌し、型枠に注入して発泡させ、予備硬化を行った。型枠注入時のスラリー温度は50℃であった。型枠へのスラリー注入の完了から、5時間後の予備硬化体の中心温度は85℃であり、硬度が9mmに達した。型枠を取り外した後、予備硬化体をオートクレーブに入れ、飽和水蒸気雰囲気下180℃で4時間、オートクレーブ養生を行った。オートクレーブから出缶後、乾燥して低比重軽量気泡コンクリートを得た。
珪石E、OPC、金属アルミニウムに含有される量も含めて、型枠に注入する前のスラリー中の全固形原料中のアルミニウム化合物は酸化物換算(Al)で3.8重量%、硫酸化合物はSO換算で3.9重量%、アルカリ化合物は酸化物換算(KO+NaO)で0.4重量%であった。なお、軽量気泡コンクリートを製造するにあたり、使用した全固形原料と水の重量比は1.22であり、OPCに対する全石灰質原料の比は0.20であり、珪酸質原料、OPC及び石灰質原料は、CaO/SiOモル比で0.65とした。
得られた軽量気泡コンクリートの特性を表1に示す。
【0103】
[比較例3]
50℃の水100.2重量部に、珪酸質原料として珪石A(石英結晶成分割合75重量%、ブレーン比表面積7500cm/g)46.2重量部、生石灰8.4重量部、アルミニウム化合物原料かつ硫酸化合物原料として硫酸ばんど(朝日化学社製:17%品)を無水和物換算で1.0重量部を加え水性スラリーを得、温度を50℃に保ちながら1時間攪拌を行った。次いで、該水性スラリーに硫酸化合物として二水石膏8.0重量部、OPC28.0重量部、生石灰8.4重量部、予め水2.0重量部に水溶性セルロースエーテル(信越化学社製:hi65SH−4000)を0.0217重量部混合して得た水性スラリーを投入し、2分間攪拌した。
続いて、予め水5.0重量部に金属アルミニウム粉末0.0856重量部を分散させた金属アルミニウムスラリーを投入し、30秒攪拌し、型枠に注入して発泡させ、予備硬化を行った。型枠注入時のスラリー温度は50℃であった。型枠へのスラリー注入の完了から、5時間後の予備硬化体の中心温度は85℃であり、硬度が8mmに達した。型枠を取り外した後、予備硬化体をオートクレーブに入れ、飽和水蒸気雰囲気下180℃で4時間、オートクレーブ養生を行った。オートクレーブから出缶後、乾燥して低比重軽量気泡コンクリートを得た。
珪石A、OPC、金属アルミニウムに含有される量も含めて、型枠に注入する前のスラリー中の全固形原料中のアルミニウム化合物は酸化物換算(Al)で2.9重量%、硫酸化合物はSO換算で5重量%、アルカリ化合物は酸化物換算(KO+NaO)で0.5重量%であった。なお、軽量気泡コンクリートを製造するにあたり、使用した全固形原料と水の重量比は1.08であり、OPCに対する全石灰質原料の比は0.60であり、珪酸質原料、OPC及び石灰質原料は、CaO/SiOモル比で0.73とした。
得られた軽量気泡コンクリートの特性を表1に示す。
【0104】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、特に軽量でかつ建築材料として必要な強度を有し、周辺環境変化への追随性が高いために、長期の耐候性、耐火性、耐不朽性に優れる建築材料を提供できる。そのため、建築物の軽量化を実現する、また現場作業時の安全性向上や作業者への負担低減を実現する、建築物の外壁材、床材、内壁材として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】水銀圧入法で測定された軽量気泡コンクリートの細孔径が0.006μm〜6μmの微分細孔分布、及び対数1/4幅の算出方法を示す分布図である。
【図2】細孔径が0.006μm〜6μmの範囲で、微分細孔分布曲線における最大値の1/4の高さを与える細孔径が二つより多い場合における、対数1/4幅の算出方法を示す分布図である。
【図3】粉末X線回折におけるトバモライト(002)面の回折ピークの半値幅の算出方法を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
嵩比重が0.2以上0.45未満であり、水銀圧入法で測定される細孔のうち、細孔径が0.008μm以上0.08μm未満の範囲の積算細孔容積VIと0.08μm以上0.4μm未満の範囲の積算細孔容積VIIとの比VI/VIIが1.0以上3.0以下であることを特徴とする低比重軽量気泡コンクリート。
【請求項2】
水銀圧入法で測定される細孔のうち、細孔径が0.008μm以上0.04μm未満の範囲の積算細孔容積VIIIと0.008μm以上4μm未満の範囲の積算細孔容積Vとの比VIII/Vが0.3以上0.6以下であることを特徴とする請求項1に記載の低比重軽量気泡コンクリート。
【請求項3】
水銀圧入法で測定される細孔のうち、細孔径が0.008μm以上0.026μm未満の範囲の積算細孔容積VIVと0.008μm以上4μm未満の範囲の積算細孔容積Vとの比VIV/Vが0.2以上0.5以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の低比重軽量気泡コンクリート。
【請求項4】
水銀圧入法で測定される細孔のうち、細孔径が0.08μm以上0.4μm未満の範囲の積算細孔容積VIIと0.008μm以上4μm未満の範囲の積算細孔容積Vとの比VII/Vが0.2以上0.4以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の低比重軽量気泡コンクリート。
【請求項5】
水銀圧入法で測定される細孔のうち、細孔径が0.12μm以上0.4μm未満の範囲の積算細孔容積VVと0.008μm以上4μm未満の範囲の積算細孔容積Vとの比VV/Vが0.14以上0.3以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の低比重軽量気泡コンクリート。
【請求項6】
水銀圧入法で測定される細孔径が0.006μm以上6μm未満の細孔のうち、細孔径が0.6μm以上の積算細孔容積が12%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の低比重軽量気泡コンクリート。
【請求項7】
水銀圧入法で測定される細孔のうち、細孔径が0.006μm以上6μm未満の範囲における微分細孔分布曲線の最大値の1/4の高さにおける対数分布幅が1.2以上1.9以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の低比重軽量気泡コンクリート。
【請求項8】
粉末X線回折におけるトバモライトの(220)面の回折ピーク強度が、石英の(101)面の回折ピーク強度の1/4以上であることを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載の低比重軽量気泡コンクリート。
【請求項9】
少なくとも珪酸質原料とセメントと石灰質原料を含む水性スラリーに、気泡剤として金属アルミニウム粉を加えて型枠に注入し、予備硬化した後にオートクレーブ養生し、嵩比重0.2以上0.45未満の低比重軽量気泡コンクリートを製造する方法において、珪酸質原料として結晶性珪酸質原料を主体とし、結晶性珪酸質原料のブレーン比表面積がそれぞれ5000〜15000cm/g、および2000〜5000cm/gの範囲から選ばれる少なくとも二種類の異なるブレーン比表面積を有する珪酸質原料を用いることを特徴とする低比重軽量気泡コンクリートの製造方法。
【請求項10】
少なくとも珪酸質原料とセメントと石灰質原料を含む水性スラリーに、気泡剤として金属アルミニウム粉を加えて型枠に注入し、予備硬化した後にオートクレーブ養生し、嵩比重0.2以上0.45未満の低比重軽量気泡コンクリートを製造する方法において、珪酸質原料として結晶性珪酸質原料を主体とし、用いるセメントのうち、30重量%以上が水和反応性の早いセメントであることを特徴とする低比重軽量気泡コンクリートの製造方法。
【請求項11】
型枠に注入する前のスラリー中の全固形原料中において、硫酸化合物のSO換算での含有量に対するアルミニウム化合物の酸化物換算(Al換算)での含有量が、重量比で0.92以上3以下であることを特徴とする請求項9または10に記載の低比重軽量気泡コンクリートの製造方法。
【請求項12】
型枠に注入する前のスラリー中の全固形原料中において、硫酸化合物のSO換算での含有量に対するアルカリ化合物の酸化物換算での含有量が、重量比で0.15以上1以下であることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の低比重軽量気泡コンクリートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−31270(P2007−31270A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−172049(P2006−172049)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(390018717)旭化成建材株式会社 (249)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【Fターム(参考)】