説明

低炭素溶接鋼管、システムおよびその製造方法

本発明は、低炭素溶接鋼管およびその製造方法に関する。引抜台プロセスを利用した溶接鋼管の製造は、単一のパスにおいてわずか20〜35%の縮小が達成可能であるとして、ホーローの直径を縮小するために(機械的性質、特に引張強度および降伏強さを高めるため)複数のパスが必要であることに起因して、エネルギーを多分に必要とするプロセスである。さらに、パス毎の大幅な材料ロスと、鋼管の寸法安定性および表面仕上における不満足な制御が存在する。本発明は、ホーローの誘導および/または抵抗熱処理と、引抜きプロセスを含むプロセス中で必須となる複数のパスを排除するための冷間圧延プロセスとの相乗作用的な組み合わせを提供し、これがエネルギー消費量の著しい削減をもたらす。そして、同時に、改善された寸法安定性、公差の厳密さ、肉厚変動の低減、同心度および材料浪費の大幅な削減を伴う結果物としての鋼管の品質を強化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低炭素溶接鋼管およびその製造方法に関する。特に、本発明は、冷間圧延低炭素溶接鋼管、システムおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼管は、炭素鋼または合金元素のいずれかから製造される自動車、ボイラー、繊維、建設、足場、エネルギー部門、油圧シリンダー、ガススプリングなどを含む様々な用途に使用される。0.01〜0.45の炭素百分率を伴う鋼管は、従来の低炭素鋼管として知られている。シームレス鋼管が原料を押し出すことによって製造されるのに対し、溶接鋼管は、シームにおいて溶接される成形された鋼帯から製造される。溶接鋼管は、厳格な寸法公差、表面仕上、および、降伏強度および引張強度などの機械的特性が要求されるアプリケーションにおいて使用される。
【0003】
溶接鋼管の製造方法は、一般的に、
最終的な鋼管の寸法に応じた鋼帯を切断する工程と、
鋼帯を成形する工程と、
ホーローを製造するために成形された鋼帯のシームに沿って電気抵抗溶接(ERW)を行う工程と、
応力を緩和するための熱処理工程と、
表面処理工程と、
鋼管の一部が引抜台を介して鋼管を引き抜くために使用される引抜台グリッパーのために掴みしろ/掴み領域を提供するために絞られ、その使用不可な絞られた部分はプロセス上の無駄になるところの、先付け加工と、
ホーローが鋼管の直径を所望のレベルまで縮小させるために引抜台を介して引き抜かれるところの、引抜き工程(プロセス)と、
歪み取りと、
応力を緩和するための熱処理工程(必要に応じて)とを備えている。
【0004】
ホーロー(溶接状態で形成された鋼管)からの鋼管の直径および肉厚の削減は、所望の寸法を達成することと、降伏強さ、引張強さ、延び率および鋼管の硬度などの機械的性質を高める点において必要である。引張強さおよび降伏強さは、最終的な鋼管の直径および厚さに対するホーローの削減率に比例する。引抜台を使用して、鋼管の直径および厚さの削減は、1パスにおいてわずか35%までに制限されている。
【0005】
一般的に、使用されるホーローの断面/直径は、最終的な引抜き鋼管のそれよりも40%〜50%以上であり、これにより、所望の寸法と機械的性質を達成するために引抜台を介して複数のパスを必要とする。引抜台を介した各パスのために、鋼管の熱処理と、鋼管の重量の7%台となる先付け領域を設けることが必要である。これは、熱処理中にかなりのエネルギー消費を伴って約7%の大幅な材料ロスにつながる。また、このようなプロセスは、繰り返しの鋼管歪み取りおよび表面処理が必要とされ、寸法上の安定性および公差が、より低くなることにつながる。
【0006】
シームレス鋼管は、圧力下での割れや溶接部の開口および破損に影響されやすい溶接鋼管に優先して、なるべく重大な用途において使用される。
【0007】
米国特許出願20050076975号は、低炭素合金鋼の鋼管およびその製造方法を開示する。ここでは、鋼管は、重量で、約0.06%〜約0.18%の炭素、約0.5%〜約1.5%のマンガン、約0.5%のシリコン、約0.015%までの硫黄、約0.025%までのリン、約0.50%までのニッケル、約0.1%〜約1.0%のクロム、約0.1%〜約1.0%のモリブデン、約0.01%〜約0.10%のバナジウム、約0.01%〜約0.10%のチタン、約0.05%〜約0.35%の銅、約0.010%〜約0.050%のアルミニウム、約0.05%までのニオブ、約0.15%までの残留元素、残部の鉄、および、不可避不純物により構成されている。鋼は、少なくとも約145ksiの引張強度を有し、−60℃かそれよりも低い温度において延性挙動を現す。
【0008】
日本国特許第3077576号は、重量で、0.05%以下の炭素および10〜14%のCrを含有する帯鋼を管状に成形し、常温から1000℃までの温度域になった両方の突合わせ部を以下の条件(1)および(2)によってレーザビーム溶接し、850〜1000℃の温度域に加熱し、毎秒20℃以上の冷却速度で300℃以下まで冷却し、600〜700℃の温度域に加熱し、その後、毎秒20℃以上の冷却速度で常温まで冷却することにより製造された溶接鋼管を開示する。(1)P≧15kW(2)0.4≦P(a×T)/(V×T)≦2(ここで、P:レーザビーム出力(kW)、a:定数(=0.0006)、T:溶接前の温度(℃)、V:溶接速度(m/分)、t:帯鋼の肉厚(mm))。また、溶接鋼管は、上記溶接鋼管を700〜900℃の温度域に加熱し、毎秒20℃以上の冷却速度で常温まで冷却することによって製造される。
【0009】
日本国特開平09−164425号公報は、重量で、0.05%以下の炭素および10〜14%のCrを含有する帯鋼を管状に成形し、常温から1000℃までの温度域になった両方の突合わせ部を以下の条件(1)および(2)によってレーザビーム溶接し、850〜1000℃の温度域に加熱し、毎秒20℃以上の冷却速度で300℃以下まで冷却し、600〜700℃の温度域に加熱し、その後、毎秒20℃以上の冷却速度で常温まで冷却することにより製造された溶接鋼管を開示する。(1)P≧15kW(2)0.4≦P(a×T)/(V×T)≦2、(ここで、P:レーザビーム出力(kW)、a:定数(=0.0006)、T:溶接前の温度(℃)、V:溶接速度(m/分)、t:帯鋼の肉厚(mm))。また、溶接鋼管は、上記溶接鋼管を700〜900℃の温度域に加熱し、毎秒20℃以上の冷却速度で常温まで冷却することによって製造される。
【0010】
日本国特開平11−254030号公報は、重量で、12〜15%のCr、1.0〜5.0%のNi、0.030%以下のC+Nが管状に加工され、両方の突合わせ部はレーザビームで溶接され、次いで、730〜900℃の温度域で2〜60秒間加熱され、次に150℃以下まで冷却され、次いで、580〜770℃の温度域で1〜30秒間加熱され、次いで、常温まで冷却されることを組み入れたステンレス鋼帯を開示する。
【0011】
日本国特開平11−343519号公報は、重量で、0.05%以下のC、1.0%以下のSi、5.0%以下のMn、0.04%以下のP、0.01%以下のS、10.0〜15.0%のCr、0.1〜3.0%のMo、0.1%以下のAl、0.10%以下のTi、3.0〜0.5×Mn≦Ni≦8.0〜0.5×Mnの式を満たすNiを含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなる熱延鋼板が焼鈍熱処理されることを開示する。軟化された熱延鋼板は管状に形成され、突合わせ部は鋼管を得るために溶接される。溶接鋼管は、約10分以上に亘り850〜1250℃の温度域に保持され、その後、後熱処理が施される。この時、後熱処理は、次式に示す条件を満たす。2000×Mo+T2(20+logt2)≧T1(20+logt1):ここで、T1およびt1は、焼鈍熱処理温度および焼鈍熱処理時間、T2およびt2は、後熱処理温度および後熱処理時間である。
【0012】
日本国特開2000−126896号公報は、複数のロール成形スタンドにより低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼帯が管状に連続的に成形され、そして、成形された管状鋼の突合わせ部となる両エッジ部が加熱されレーザビーム溶接に供され、所定の距離におかれたこの両エッジ部の間隔を維持するためのフィンパスロールと、両エッジ部を加圧して突合わせするスクイズサイドロールとが設けられ、また、押上げロール装置7が最終フィンパスロール3aおよびスクイズサイドロール6との間に配置されることによる、低炭素マルテンサイト系ステンレス溶接鋼管の製造方法を開示する。両エッジ部の高さ方向のギャップGが測定され、そして、測定結果に基づいて押上げロール装置7とともに押上げ量を調整しながら突合わせ部の溶接が実行される。
【0013】
欧州特許出願公開第0217751号明細書は、完全なホーローの棒を得るために形成された鋼帯の電気溶接によって鋼管(チューブ)および鋼管(パイプ)を製造するために記載されたプロセスを開示する。ここで、鋼帯は、成形される前に予熱される。予熱温度は、好ましくは、溶接温度の近傍であり、可能ならば、電気的、たとえば電気誘導、ガス炉またはオイル炉などになりうる炉の出口で、かつ、エッジを調整する工程を遂行可能に提供された手段となりうる成形機の前での温度である。
【0014】
日本国特開平10−128413号公報は、3本のマンドレル2が、平行に配置された3本の素管1の内側にそれぞれ配置され、3対の溝付きロール5が同軸的に連結され、溝付きロールの各対は、ロールの溝6の内側面が各素管の外周面に接触させるように各素管の外周面上に配置され、3本の鋼管は同時に圧延されることを開示する。マンドレル2は、直径が徐々に圧延方向に減少し、溝の底部と溝付きロール5のロールの中心軸7との間の距離が連続的に圧延部の直径の変化にしたがって変化される圧延部3を有する。3組の溝付きロール5とマンドレル2の溝形状および寸法は、加工率分布が相互に実質的に同じであり、かつ、1組の組み合わせによって他の2組の組み合わせにより圧延される圧延管と異なる径寸法を有する圧延管が得られるように設定されている。
【0015】
日本国特開昭58−144455号公報は、1.5W2.5%のC、0.2W1.2%のSi、0.2W1.2%のMn、0.5W2.0%のCr、4W8%のV、残りのFeおよび不可避不純元素により構成され、適切な熱処理により表面層の一部に必要な硬度を得ることが可能であり、内部の靭性に富み、耐摩耗性に優れ、良好な研削性および長寿命が得られる、ピルガー圧延用ロール材を開示する。上記の組成物において、Cは、ロール材に耐摩耗性を付与しかつ鋼のマトリックスを強化するためにVの炭化物を多量に析出させる。Vは、Vのマクロ的偏析が生成しない程度に含まれており、Crは、適切な焼戻し性を得ることができる程度に含まれている。
【0016】
日本国特開2005−060796号公報は、質量パーセントで、0.02〜0.2%のC、1%以下のSi、1.5〜4%のMn、0.1%以下のP、0.01%以下のS、0.1%以下のAl、0.01%以下のN、0.1%以下のTi、0.1%以下のNbおよび0.01%以下のBから構成され、700℃以上の圧延終了温度および35%以下の累積縮径率とした絞り圧延が適用され、得られた鋼管は素材鋼管として使用され、所定の寸法を有する鋼管を形成するためにこの素材鋼管に冷間引抜処理が適用される溶接鋼管を開示する。そして、冷間引抜処理の後、焼鈍処理が適用される。さらに、Cu、Ni、Cr、Moおよび/またはCaおよびREMのうちの1種または2種が含有されている。
【0017】
日本国特許第3485980号は、素管として炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼、耐熱鋼または類似のものからなる鋼管に、耐腐食性または耐熱性のNi−Cr−Mo合金を肉盛溶接することにより製造されるクラッド鋼管を開示する。クラッド鋼管における圧延および引抜きの冷間加工または熱間加工が行われ、そして、さらに、再結晶温度以上での熱処理が行われる。加熱は、クラッド鋼管の外周部におけるNi−Cr−Mo合金の固溶体の熱処理として、1100℃以上の温度で所定時間の間行われる。熱処理は、再結晶を実現するために、クラッド鋼管の内周部の材質に応じて行われる。圧延および引抜きは、熱間加工では行われずに、母材の高温での強度が肉盛溶接された層状のそれとは異なるので、冷間加工または温間加工で行われ、そして、均一加工は熱間加工では達成されず、欠陥が生成される。
【0018】
日本国特開2001−303196号公報は、0.01〜0.05%未満のC、1.0%以下のSi、3.0%以下のMn、0.15%以下のP、0.015%以下のS、0.04%以下のAl、0.005〜0.02%(固溶体の状態では0.003%以上)のN、残りのFeおよび不可避不純物により構成され、必要に応じて、0.005〜0.040%のNb、0.005〜0.50%のTi、0.005〜0.020%のB、0.02〜1.5%のCu、0.02〜1.0%のNi、0.02〜1.0%のCr、0.02〜1.0%のMo、0.0020〜0.02%のCa、0.0020〜0.02%のREMから選ばれる少なくとも1種類を含む熱間圧延または冷間圧延の帯鋼が、円筒状に形成され、その結果としてのシームが電気抵抗溶接されて、外周長さの0.3〜10%の絞り率でサイジングされることを開示する。
【0019】
日本国特開2001−303195号公報は、0.01〜0.05%未満のC、1.0%以下のSi、1.0%未満のMn、0.15%以下のP、0.015%以下のS、0.01〜0.1%のAl、残りのFeおよび不可避不純物により構成され、必要に応じて、0.005〜0.040%のNb、0.005〜0.50%未満のTi、0.0005〜0.020%のB、0.02〜0.5%のCu、0.02〜1.0%のNi、0.02〜1.0%のCr、0.02〜1.0%のMo、0.0020〜0.02%のCa、0.0020〜0.02%のREMから選ばれる少なくとも1種類を含む熱間圧延または冷間圧延の帯鋼が、円筒状に形成され、その結果としてのシームが電気抵抗溶接されて、外周長さの0.3〜10%の絞り率でサイジングされることを開示する。
【0020】
日本国特開2001−303192号公報は、0.001〜0.01%未満のC、1.0%以下のSi、2.0%以下のMn、0.15%以下のP、0.015%以下のS、0.01〜0.1%のAl、0.01〜0.10%のNb、0.001〜0.010%のB、0.10%以下のTiおよび/または0.1%以下のZr、残りのFeおよび不可避不純物により構成され、必要に応じて、0.002〜0.5%のMoおよび/または0.02〜1.0%のCr、ここに、C、Nb、TiおよびZrは、(12/48)(Ti(%)/C(%))+(12/93)(Nb(%)/C(%))+(12/91)(Zr(%)/C(%))≧1.0を満たす範囲の含有量である熱間圧延または冷間圧延の帯鋼が、円筒状に形成され、その結果としてのシームが電気抵抗溶接されて、外周長さの0.3〜10%の絞り率の大きさに作られることを開示する。
【0021】
日本国特許第2618563号は、重量で、0.10〜0.20%のC、0.15〜0.50%のSi、1.3〜2.5%のMn、0.005〜0.020%のP、0.0005〜0.0060%のS、0.01〜0.08%のAl、0.02〜0.2%のTi、0.0010〜0.0030%のB、0.002〜0.005%のN、0.3〜0.7%のCr、0.3〜1.0%のMo、残りのFeおよび不可避不純物より構成され、さらに必要に応じて、0.01〜0.1%のNbを含む材料鋼板が熱間圧延されることを開示する。仕上温度は、950℃とAr変態点との間の値に制御され、コイリングは、450〜700℃にて3回行われる。その結果としての熱間圧延コイルが、抵抗溶接手段により鋼管状に形成され、そして、必要に応じて、焼きならし、焼鈍し、および、冷間引抜きが行われる。この方法によって、外直径で±0.15mm以下かつ肉厚が±0.05mm以下の寸法精度を有し、(100〜130)kgf/mmの引張強度を有する電気抵抗溶接鋼管が得られる。
【0022】
日本国特開平08−103867号公報は、素管として炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼、耐熱鋼または類似のものからなる鋼管に、耐腐食性または耐熱性のNi−Cr−Mo合金を肉盛溶接することにより製造されるクラッド鋼管を開示する。クラッド鋼管における圧延および引抜きの冷間加工または熱間加工が行われ、そして、さらに、再結晶温度以上での熱処理が行われる。加熱は、クラッド鋼管の外周部におけるNi−Cr−Mo合金の固溶体の熱処理として、1100℃以上の温度で所定時間かけて行われる。熱処理は、再結晶を実現するために、クラッド鋼管の内周部の材質に応じて行われる。圧延および引抜きは、母材の高温での強度が肉盛溶接層のそれとは異なるので熱間加工では行われずに冷間加工または温間加工で行われ、そして、均一加工は熱間加工では達成されず、欠陥が生成される。
【0023】
日本国特開平06−010046号公報は、重量で、0.10〜0.20%のC、0.15〜0.50%のSi、1.3〜2.5%のMn、0.005〜0.020%のP、0.0005〜0.0060%のS、0.01〜0.08%のAl、0.02〜0.2%のTi、0.0010〜0.0030%のB、0.002〜0.005%のN、0.3〜0.7%のCr、0.3〜1.0%のMo、残りのFeおよび不可避不純物により構成され、さらに必要に応じて、0.01〜0.1%のNbを含む材料鋼板が熱間圧延されることを開示する。仕上温度は、950℃とAr変態点との間の値に制御され、コイリングは、450〜700℃にて3回行われる。その結果としての熱間圧延コイルが、抵抗溶接手段により鋼管状に形成され、そして、必要に応じて、焼きならし、焼鈍し、および、冷間引抜きが行われる。この方法によって、外直径で±0.15mm以下かつ肉厚が±0.05mm以下の寸法精度を有し、(100〜130)kgf/mmの引張強度を有する電気抵抗溶接鋼管が得られる。
【0024】
日本国特開平05−287371号公報は、重量で、0.15〜0.40%のC、0.05〜0.50%のSi、2.0〜3.0%のMn、0.005〜0.020%のP、0.0005〜0.0060%のS、0.01〜0.08%のAl、0.01〜0.2%のTi、0.001〜0.003%のB、0.002〜0.0050%のN、0.1〜1.0%のMo、0.1〜0.3%のV、0.1〜0.7%のCrおよび0.01〜0.20%のNbの1種以上、残りのFeおよび不可避不純物を有する電気抵抗溶接鋼管において、製管後、焼ならしが熱処理として実行される。必要に応じて、焼ならしは、さらに、冷間引抜き中および冷間引抜き後に実行される。このようにして、150kgf/mm以上の引張強度および10%以上の伸長率を有する、目的の電気抵抗溶接鋼管が得られる。
【0025】
日本国特開平04−365815号公報は、重量で、0.01%以下のC、0.05%以下のSi、0.30%以下のMn、0.025%以下のP、0.015%以下のS、0.080%以下の固体Al、0.002〜0.10%のTiおよび/またはNb、残りのFeおよび不可避不純物により構成された鋼が、(Ar3+40℃)以上の熱間圧延仕上温度および500℃以上のコイリング温度で所定の板厚まで熱間圧延されることが開示されている。その結果としての熱間圧延鋼板は冷却されて、管状に形成され、電気抵抗溶接が行われる。その結果としての鋼管は、700〜900℃で熱処理されて、冷間圧延によって仕上げされる。この方法により、引抜きにおける回数当たりの圧延面積の増加とともに引抜き回数が低減されうる。そして、製造コストは、著しく削減される。さらには、使用の拡大は作業性の増加によって期待されうる。
【0026】
日本国特開平01−108346号公報は、重量で、0.003W0.20%のC、1.0%以下のSi、0.1W0.8%のMn、0.03%以下のP、0.02%以下のS、0.005W0.025%の固体Al、0.0035%以下のN、残りのFeおよび不可避不純物により構成され、かつ、優れた冷間加工性を有する電気溶接鋼管用の鋼が、開示されている。上記の鋼を使用することにより、電縫された領域におけるAlN量が母材部のそれに等しくなる電気溶接鋼管が得られる。そして、さらに、電気溶接された鋼管が冷間引抜きされることにより、高い冷間成形性を有する冷間引抜鋼管が得られる。
【0027】
日本国特許第3030602号は、リブを伴って熱間圧延コイルシート1を用いて抵抗溶接鋼管を製造する際に、成形ラインのブレークダウンロール3aのギャップが、(地厚+リブ高さ+2mm)以上4mm以下で作られ、フィンパスロール4を伴う抵抗溶接の際のコイルエッジ部での削減量が、0.1×(地厚+リブ高さ+2mm)以上0.5×(地厚+リブ高さ)以下で作られることを開示する。サイジングロール7での削減量は、削減前の鋼管の最外周面の周長の0.3%以上1.2%以下で作られ、そして、抵抗溶接鋼管10が生成される。したがって、成形時には、リブの潰れおよび突き当てられたリブの溶接は抑制され、生産性が向上され、生産コストが削減され、さらに、鋼管としての景観性が改善される。
【0028】
日本国特開平2006−136927号公報は、圧延前に素管端部を加熱することにより端部割れを防止する方法において、素管の端部割れは、ピルガー圧延前に素管端部を加熱することによって防止される、コールドピルガー圧延方法を開示する。また、コールドピルガーでの圧延において、圧延前の素管端部の加熱装置においては、ピルガー圧延前に素管をキッカーによって素管台から払い出し、キッカーストッパーに固定した状態でキッカーが降下された後にフリーローラー上に載置し、自重によって前進して加熱ノズルに素管端部を密着させることによって、素管端部は加熱される。
【0029】
欧州特許出願公開第0217751号明細書は、予熱された鋼の鋼帯から、電気溶接鋼管(チューブおよびパイプ)を製造するためのプロセスを開示する。ここで、鋼帯は、好ましくは溶接温度の近傍を形成する前に予熱される。
【0030】
引抜台プロセスを利用した溶接鋼管の製造は、以下のような制約を受ける。
単一のパスにおいてわずか20〜35%の縮小が達成可能であるとして、所望の寸法に向けたホーローの直径を縮小するために複数のパスが必要である(機械的性質、特に引張強度および降伏強さを高めるため)こと。
見合った利点を得ることなく高いエネルギー消費につながるパス毎の熱処理、先付け加工および表面仕上。
パス毎における大幅な材料ロス。
鋼管の寸法安定性および表面仕上における不満足な制御。
【0031】
表面仕上、公差の厳密さ、および、相当のエネルギー集約的なプロセスによって製造されるシームレス鋼管と同等な機械的性質を伴うような低炭素溶接鋼管の製造のためのエネルギー効率の高い冷間圧延プロセスを提供する必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
本発明の主な目的は、低炭素溶接鋼管の製造のためにエネルギー効率の高い製法を提供することである。
【0033】
本発明のさらに別の目的は、従来の鋼管の製造工程中に複数のパスが適応されることを不要とすることである。
【0034】
本発明のさらに別の目的は、低炭素溶接鋼管の寸法公差、表面仕上、および、降伏強度および引張強度などの機械的性質を達成することである。
【0035】
本発明のさらに別の目的は、溶接鋼管の製造のための時間を削減することである。
【0036】
本発明の別の目的は、溶接鋼管のための熱処理方法を提供することである。
【0037】
本発明の別の目的は、冷間圧延プロセスのためのシステムを提供することである。
【0038】
本発明のさらに別の目的は、冷間圧延プロセスのためのダイスおよびマンドレルを提供することである。
【0039】
本発明のさらに別の目的は、冷間圧延プロセスのための鋼管供給機構を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0040】
このように本発明にしたがって、冷間圧延溶接鋼管の製造方法は、
所望の最終鋼管寸法どおりに鋼帯を切断する工程と、
鋼帯を成形する工程と、
鋼管および溶接ロールの近傍におけるコイルが、鋼管の内部に配置されたインピーダーによって開いたシーム上に集中するとともにこれが溶融温度へのシームに沿った発熱となりかつホーローを製造する溶接プロセスを完了するために開いたシームの溶融につながる磁界を誘導する、ホーローを製造するために前記鋼帯のシームに沿って鋼帯を高周波誘導溶接する工程と、
ホーローの熱処理工程と、
必要に応じてホーローの表面処理を行う工程と、
振動するロールスタンドに回転自在に搭載されるとともにカム型に形成されたロールの下部においてホーローは圧延方向に前方に移動され、ホーローはロールの下部において段階的に前方に移動され、回転とともにホーローの内部に配置されたマンドレル上にホーローを鍛造するためにホーローを噛み込むようにロールの外形は形成され、同時に、前記ロール間をホーローが進みながら前記ホーローはマンドレルとともに長手方向の軸周りに回転され、マンドレルはその後ロールに対してホーローを引くために戻され、そのプロセスはホーローの次のセグメントのために繰り返される、ホーローを冷間圧延する工程とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明の特徴点および利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明および好ましい態様において明らかとなる。
【図1】従来のプロセスのフローチャート(シート1)
【図2】本発明のプロセスのフローチャート(シート1)
【図3】引抜き鋼管の詳細な構造の表現(シート2)
【図4】冷間圧延鋼管の詳細な構造の表現(シート3)
【図5】面積率に対する粒度の変化(シート4)
【0042】
(用語の説明)
冷間圧延:このアプリケーションにおける冷間圧延のプロセスは、振動するロールスタンドに回転自在に搭載されるとともにカム型に形成されたロールの下部においてホーローは圧延方向に前方に移動され、ホーローはロールの下部において段階的に前方に移動され、回転とともにホーローの内部に配置されたマンドレル上にホーローを鍛造するためにホーローを噛み込むようにロールの外形は形成され、同時に、前記ロール間をホーローが進みながら前記ホーローはマンドレルとともに長手方向の軸周りに回転され、マンドレルはその後ロールに対してホーローを引くために戻され、そのプロセスはホーローの次のセグメントのために繰り返されるプロセスを意味する。
【0043】
冷間圧延溶接鋼管の製造のためのプロセスは、
所望の最終鋼管寸法どおりに鋼帯を切断する工程と、
鋼帯を成形する工程と、
鋼管および溶接ロールの近傍におけるコイルが、鋼管の内部に配置されたインピーダーによって開いたシーム上に集中するとともにこれが溶融温度へのシームに沿った発熱となりかつホーローを製造する溶接プロセスを完了するために開いたシームの溶融につながる磁界を誘導する、ホーローを製造するために前記鋼帯のシームに沿って鋼帯を高周波誘導溶接する工程と、
650〜950℃にてホーローを熱処理する工程と、
必要に応じてホーローの表面処理を行う工程と、
振動するロールスタンドに回転自在に搭載されるとともにカム型に形成されたロールの下部においてホーローは圧延方向に前方に移動され、ホーローはロールの下部において段階的に前方に移動され、回転とともにホーローの内部に配置されたマンドレル上にホーローを鍛造するためにホーローを噛み込むようにロールの外形は形成され、同時に、前記ロール間をホーローが進みながら前記ホーローはマンドレルとともに長手方向の軸周りに回転され、マンドレルはその後ロールに対してホーローを引くために戻され、そのプロセスはホーローの次のセグメントのために繰り返されるところのホーローを冷間圧延する工程とを備える。
【0044】
前記プロセスの態様のうちの1つにおいて、鋼管の直径および鋼管の肉厚の同時的な減少がある。
【0045】
態様のうちの1つにおいて、熱処理工程は、誘導炉を用いて行われ、前記ホーローは、毎分2〜10mで前記炉を通過される。
【0046】
低炭素冷間材料は、0.04〜0.05%のC、0.41〜1.7%のMn、0.01〜0.25%のSi、0.004〜0.011%のS、0.007〜0.019%のP、0.025〜0.05%のAl、および、必要に応じて0.01〜0.03%のNbにより構成された鋼から選択される。
【0047】
SAE 1020、SAE 1026、SAE 1541、SAE 1010、SAE 1012、SAE 1018、SAE 1006、SAE 1018、SAE 1527、SAE 1010(修正された)、IS 1079 Gr.D、IS 7048 Gr.3、IS 7048 Gr.D、DIN 17100 St.52.3であり、しかしこれに限定されない等級が、上記の組成物に含まれる。
【0048】
シームにおいて巻かれた鋼帯の溶接は、誘導コイルおよびインピーダーにより構成された高周波誘導溶接機を用いて行われる。ここにおいて、誘導コイルは、誘導コイルによって発生された磁場に起因して金属中に電流を誘導し、これが鋼帯のエッジにおける熱の発生をもたらし、これが両エッジが互いに溶融することにつながる。溶接鋼管は、溶接領域/熱影響領域と母材との硬度の違いが実質的に低減されるように鋼管の長さに亘って均一に誘導焼鈍され、これが応力の大幅な削減につながる。
【0049】
前記プロセスによって生成された冷間圧延鋼管は、通常、溶接時に微細な粒度と、冷間圧延された微細構造における均一性とを示す。
【0050】
本発明の冷間圧延鋼管は、一般的に次の点を示す。
1.より高い塑性仕事量およびより多くの焼き入れを示すところの高いGAM(粒子の平均配向不整)およびKAM(核の平均配向不整)。
2.より深刻な塑性変形を示すところの(引抜き鋼管の)約1/2の粒度。
3.厚さ(すなわち、上部、中央および下部)に沿った微細構造の発達(すなわち、粒度および配向不整)がより均質となること。
より広いピークを示すXRD(X線回折)スペクトル線変化図に示されるところの、より蓄積された冷間加工のエネルギー。
4.粒子配向における厚みに亘るばらつきの最大値は、14%以下であること。
5.粒子の平均配向不整(GAM)における厚みに亘るばらつきの最大値は、8%以下であること。
6.核平均配向不整(KAM)における厚みに亘るばらつきの最大値は、8%以下であること。
7.粒度における厚みに亘るばらつきの最大値は、14%以下であること。
【0051】
本発明の冷間圧延鋼管の上記した微細構造特性を示す本発明のプロセスを使用して製造された鋼管は、鋼管の機械的性質の向上につながる。これは、より多くの降伏強さにつながる本発明の冷間圧延鋼管の微細な粒度に起因している。本発明の冷間圧延鋼管の微細構造における厚さの変化を通じての実質的な低さは、強化された破壊/疲労特性につながる。
【0052】
鋼帯成形の操作における態様の1つにおいて、パスからパスまでの距離は実質的に減少され、はね返り部の減少につながる。
【0053】
別の態様では、熱処理は、AC電源および誘導コイルにより構成される誘導手段によって行われ、ホーローは前記コイルの中に配置され、電源は、コイル中に交流を送り、これがホーローにおいてホーローを均一に加熱することをもたらす渦電流を誘導する磁場の発生につながる。
【0054】
本発明の別の態様では、マンドレルは、マンドレルにおいて開いた状態の潤滑剤のための内部通路と、前記表面において潤滑を容易にする鋼管内直径の界面とを伴って提供される。
【0055】
別の態様では、マンドレルは、テーパー形状を伴って提供される。
【0056】
態様の一つにおいて、鋼帯を成形する工程と、部分的に成形された鋼帯のはね返りの傾向を実質的に低減させるために鋼帯をさらに溶接するシステムが提供される。
【0057】
別の態様では、ホーローは、冷間圧延のプロセス中にその内部表面とマンドレルとの間の潤滑を容易とするための表面処理がされている。
【0058】
別の態様では、鋼管の供給増加量および回転角度の制御が鋼管の寸法に応じて連携されたシステムが提供される。別の態様では、ロールの回転のプロセスと鋼管の供給とを組にしてかつ調整する駆動システムが提供される。
【0059】
本発明は、ホーローの誘導および/または抵抗熱処理と、引抜きプロセスを含むプロセス中で必須となる複数のパスを排除するための冷間圧延プロセスとの相乗作用的な組み合わせを提供し、これがエネルギー消費量の著しい削減をもたらす。そして、同時に、改善された寸法安定性、公差の厳密さ、肉厚変動の低減、同心度および材料浪費の大幅な削減を伴う結果物としての鋼管の品質を強化する。
【0060】
本発明は、ここに、非限定的な例とともに説明される。
【発明を実施するための形態】
【0061】
(実施例)
プロセスのエネルギー効率の定量化
【0062】
実験は、新規なプロセスにおいて消費されるエネルギーが、鋼管製造の従来の引抜きプロセスと比較されることにより行われた。図1および図2は、それぞれのプロセスの工程図を表わす。鋼管は、同一の原材料の在庫から、本発明のプロセスと従来の引抜きプロセスとを用いて製造された。従来の鋼管の引抜きプロセスの各段階においてエネルギー消費量が測定された。本発明のプロセスにおいて消費された総エネルギーが測定された。本発明のプロセスは、単一パスプロセスであることに留意する必要がある。従来の鋼管引抜きプロセスにおいて消費されたものと比較した本発明のプロセスから正味のエネルギー節約分にたどり着くために、kWh/kgで示される比エネルギー消費量が、両方のプロセスから計算された。
【0063】
実験の詳細は、次のとおりである。
実験は、引抜きプロセスおよび本発明の冷間圧延プロセスを用いて、外径28.58mmおよび肉厚3.1mm(サイズ28.58mm×3.1mm)の鋼管を製造するために実施された。
鋼帯の切断および鋼帯の成形は、一般的なプロセスとして行われた。
さらに、成形された鋼帯は、外径50.80mmおよび肉厚4.5mm(サイズ50.80mm×4.5mm)のホーローを得るようにシーム溶接された。
鋼帯の切断、鋼帯の成形およびホーローを作製するための溶接プロセスは、冷間引抜きのための一般的なプロセスのみならず本発明の冷間圧延プロセスとした。
エネルギー消費比較のための合理的説明の根拠は、鋼管の重量(鋼管の本数ではない)であるので、各々が1.8トンである2回分(1つが冷間引抜きであり、1つが本発明の冷間圧延プロセス)のものが、ホーローの製作の後に個別に処理された(図1および図2参照)。
【0064】
引抜きプロセスの詳細は、次のとおりである。
引抜きプロセスにおいて、サイズ50.80mm×4.5mmからサイズ36mm×3.8mmへの縮小を達成するために、鋼管を3回引き抜くことが必要である(これは、1つのパスで達成される縮小には限界があるため)。
第1パスにおいて、ホーローは、44.45mm×4mmまで縮小される。
第2パスにおいて、鋼管は、さらに36×3.6mmのサイズまで縮小される。
最終的に、第3パスにおいて、鋼管は、28.58mm×3.1mmのサイズまで縮小される。
第1パスにおいて、引抜きプロセスにおいてホーローを引く間ホーローの保持および把持のための端部を設けるために、ノッチング加工が行われた。
ホーローの直径は、引抜きプロセスにおいて部分的に縮小された。
鋼管は、その後、鋼管歪み取りシステムにおいて歪み取りが行われた。
引き抜かれた鋼管は、その後、950℃の誘導炉中で熱処理された。
鋼管は、その後、表面処理が行われた。
これは、第1パスの前記プロセスにおける総エネルギー消費量が936.9kWhとして測定されるところの第1パスに匹敵する。
鋼管のサイズをさらに縮小するために、最初に述べられたプロセスが繰り返されるところの第2パスが使用された。
第2パスにおける熱処理は、800℃にて行われた。
第2パスでのエネルギー消費量は、470.95kWhとして測定された。
鋼管のサイズをさらに縮小するために、上述されたプロセスの繰り返しとともに第3パスが行われた。
鋼管は、950℃にて熱処理された。
第3パスでのエネルギー消費量は、657.82kWhとして測定された。
【0065】
本発明の冷間圧延プロセスにおけるエネルギー消費量が測定され、詳細は次のとおりであった。
鋼管は、シーム溶接プロセスの後に、950℃の温度にて熱処理された。
誘導加熱プロセスにおける鋼管の速度は、毎分6mであった。
さらに、鋼管は、ピルガープロセスにおいてサイズ36mm×3.8mmの最終的な寸法まで冷間圧延された。
総エネルギー消費量は、100.2kWhとして測定された。
【0066】
エネルギー消費量は、比エネルギー消費量を得るために、処理された鋼管の重量を基準に正規化された。本発明の冷間圧延プロセスは、従来の冷間引抜きプロセスのために1.26kWh/kgであることと比較して、製造された最終的な鋼管のために0.22kWh/kgを消費することが明らかとなり、本発明のプロセスは、従来の引抜きプロセスのものと比較して82.1%少ないエネルギーを消費したことが実証された。
【0067】
従来の冷間引抜きプロセスと本発明の冷間圧延プロセスとを用いて製造された鋼管に対する微細構造解析が行われた。
【0068】
両方のプロセスを用いて製造された鋼管のために、上部、中間部および下部のIPFのみならず相および画像品質マップが取得された。ここにおいて、スキャンは、FEG EBSD(電子後方散乱回折)を用いて実施された。結果は、図3〜図5に示される。
本発明のピルガーされた試料の粒度は、鋼管引抜き試料の粒度のおおよそ半分であり、より多く塑性変形することを示した。
ピルガーされた試料は、鋼管引抜き材料よりも、厚みに亘って(すなわち、上部、中間部および下部)微細構造の発達(すなわち、粒度および配向不整)がより均質であることを示した。
【0069】
したがって、本発明のピルガーされた試料における微細な粒度は、降伏強さをより得ることにつながる。鋼管引抜き材料よりもピルガーされた微細構造(厚みに亘って、すなわち、異なるセクション間)における明らかな均一性は、より良い破壊/疲労特性につながる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の最終鋼管寸法どおりに鋼帯を切断する工程と、
鋼帯を成形する工程と、
鋼管および溶接ロールの近傍におけるコイルが、鋼管の内部に配置されたインピーダーによって開いたシーム上に集中するとともに溶融温度へのシームに沿った発熱となりかつホーローを製造する溶接プロセスを完了するために開いたシームの溶融につながる磁界を誘導する、ホーローを製造するために前記鋼帯のシームに沿って鋼帯を高周波誘導溶接する工程と、
前記ホーローの熱処理工程と、
必要に応じて前記ホーローの表面処理を行う工程と、
振動するロールスタンドに回転自在に搭載されるとともにカム型に形成されたロールの下部においてホーローは圧延方向に前方に移動され、ホーローはロールの下部において段階的に前方に移動され、回転とともにホーローの内部に配置されたマンドレル上にホーローを鍛造するためにホーローを噛み込むようにロールの外形は形成され、同時に、前記ロール間をホーローが進みながら前記ホーローはマンドレルとともに長手方向の軸周りに回転され、マンドレルはその後ロールに対してホーローを引くために戻され、そのプロセスはホーローの次のセグメントのために繰り返される、前記ホーローを冷間圧延する工程とを備える、冷間圧延低炭素溶接鋼管の製造方法。
【請求項2】
請求項1の冷間圧延低炭素溶接鋼管の製造方法であって、前記ホーローは、650〜950℃の温度域において加熱される。
【請求項3】
請求項1の冷間圧延低炭素溶接鋼管の製造方法であって、前記鋼帯を成形する工程において、パスからパスまでの距離は実質的に減少され、はね返り部の減少につながる。
【請求項4】
請求項1の冷間圧延低炭素溶接鋼管の製造方法であって、成形された鋼帯は、部分的に成形された鋼帯のはね返りの傾向を実質的に低減させるためにさらに溶接される。
【請求項5】
請求項1の冷間圧延低炭素溶接鋼管の製造方法であって、熱処理は、AC電源および誘導コイルにより構成される誘導手段によって行われ、ホーローは前記コイルの中に配置され、電源は、コイル中に交流を送り、ホーローにおいてホーローを均一に加熱することをもたらす渦電流を誘導する磁場の発生につながる。
【請求項6】
請求項1の冷間圧延低炭素溶接鋼管の製造方法であって、シームにおいて巻かれた鋼帯の溶接は、誘導コイルおよびインピーダーにより構成される高周波誘導溶接機を用いて行われ、誘導コイルは、誘導コイルによって発生された磁場に起因して金属中に電流を誘導し、鋼帯のエッジにおける熱の発生をもたらし、両エッジが互いに溶融することにつながる。
【請求項7】
請求項1の冷間圧延低炭素溶接鋼管の製造方法であって、熱処理は、配向不整にならず、前記ホーローの緻密になった粒子をもたらす相変態焼鈍である。
【請求項8】
請求項1の冷間圧延低炭素溶接鋼管の製造方法であって、熱処理は、誘導炉中で行われ、前記ホーローは、毎分2〜10mの範囲内の速度で前記炉を通過される。
【請求項9】
請求項1の冷間圧延低炭素溶接鋼管の製造方法であって、前記ホーローの熱処理は、抵抗加熱を用いて行われる。
【請求項10】
請求項1の冷間圧延低炭素溶接鋼管の製造方法であって、鋼管は、冷間圧延後に必要に応じて熱処理される。
【請求項11】
請求項1の冷間圧延低炭素溶接鋼管の製造方法であって、前記鋼管は、単一パスにおいて前記ホーローから製造される。
【請求項12】
請求項1の冷間圧延低炭素溶接鋼管の製造方法であって、低炭素冷間材料は、0.04〜0.05%のC、0.41〜1.7%のMn、0.01〜0.25%のSi、0.004〜0.011%のS、0.007〜0.019%のP、0.025〜0.05%のAl、および、必要に応じて0.01〜0.03%のNbから構成された鋼から選択される。
【請求項13】
請求項1の冷間圧延低炭素溶接鋼管の製造方法であって、前記鋼は、SAE 1020、SAE 1026、SAE 1541、SAE 1010、SAE 1012、SAE 1018、SAE 1006、SAE 1018、SAE 1527、SAE 1010(修正された)、IS 1079 Gr.D、IS 7048 Gr.3、IS 7048 Gr.D、DIN 17100 St.52.3から選択される。
【請求項14】
請求項1の冷間圧延低炭素溶接鋼管の製造方法であって、マンドレルは、マンドレルにおいて開いた状態の潤滑剤のための内部通路と、前記表面において潤滑を容易にする鋼管内直径の界面とを伴って提供される。
【請求項15】
請求項1の冷間圧延低炭素溶接鋼管の製造方法であって、ホーローは、冷間圧延のプロセス中にその内部表面とマンドレルとの間の潤滑を容易とするための表面処理がされている。
【請求項16】
請求項1の冷間圧延低炭素溶接鋼管の製造方法であって、マンドレルは、テーパー形状を伴って提供される。
【請求項17】
請求項1の冷間圧延低炭素溶接鋼管の製造方法であって、鋼管の供給増加量および回転角度の制御は、前記鋼管の寸法に応じて連携されている。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−524661(P2012−524661A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506648(P2012−506648)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【国際出願番号】PCT/IN2010/000255
【国際公開番号】WO2010/122581
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(511254376)アリハント ドメスティック アプライアンシーズ リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】ARIHANT DOMESTIC APPLIANCES LIMITED
【住所又は居所原語表記】Gat No. 1261, Village Sanaswadi, Pune − Nagar Road, Taluka − Shirur, District Pune, PIN 412 208, Maharashtra, India
【Fターム(参考)】