説明

低膨張性かつ高透過性のチタニア・ドープ・シリカガラス

【課題】
焼きなまし速度の変化を通じて、透過特性の改善とCTEの絶対値の調整の両方を同時に生じる、CTEの絶対値を調整する手段。
【解決手段】
1つの実施の形態では、本開示は、340nm〜840nmの波長において>90%/cm、340nm〜840nmの波長において>93%/cm、または、340nm〜840nmの波長において>95%/cmの内部透過性を有するシリカ・チタニアガラスを対象とする。別の実施の形態では、本開示は、ガラスでできた光学系部材の全般的な透過性が、340nm〜840nmの波長において>84%、340nm〜840nmの波長において>86%、または330nm〜840nmの波長において>88%である、シリカ・チタニアガラスを対象とする。さらなる実施の形態では、シリカ・チタニアガラスは、3重量ppm未満のTi+3濃度レベルを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、透過性が改善された、チタニアをドープしたシリカガラスおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
低熱膨張性のチタニアをドープした溶融シリカガラス(以後、シリカ・チタニアガラス)は、茶色がかった外観を有することが頻繁にあり(Ti+3の存在に起因)、透過性の高さとしては知られていない。しかしながら、Imprint Microlithographyなどの用途の透過性が改善された、低熱膨張性のシリカ・チタニアガラスが依然として必要とされている。
【0003】
例えば「ULE」ガラス(Corning Incorporated社製)などの膨張性が低いシリカ・チタニアガラスは、調整することができる低熱膨張挙動を有するが、熱膨張挙動は、温度に伴って、特定の製品および用途にとって望ましくない値にまで変化してしまう。例えば、EUVL(極紫外線リソグラフィ)反射光学系およびマスクは、使用の間に、最小限の歪みしか生じないことが望ましく、温度は、典型的には、20℃〜80℃またはそれ以上の範囲である。EUVLマスクおよび光学系に用いられるガラスの膨張曲線がより平らになれば、マスクおよびレンズ素子における使用中の歪みが少なくなるであろう。EUVL系の設計者には、生産工程の間に加熱される際に、リソグラフィ系を特定の性能レベルで保持するために、熱変形を注意深く予算に計上することが要求される。本開示は、改善された膨張性(平らな膨張曲線)を有し、改善された透過特性も有するシリカ・チタニアガラスを特定する。このガラスは、システム設計者にとって、より高いスループット、より良好なオーバーレイおよび解像度を有するEUVL系の製造を可能にする。
【0004】
現在、大きいシリカ・チタニアガラスのブールの製造方法は、結果的に、ブール全体のCTEの変動が3〜10ppb/°Kのガラスを生じさせる。加えて、このようなガラスのCTEの絶対値は、わずか±3〜5ppb/°Kに制御することができる。結果として、ブールのさまざまな部分から採取したガラスは、ある程度のCTE変動を有しうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、焼きなまし速度の変化を通じて、透過特性の改善とCTEの絶対値の調整の両方を同時に生じる、CTEの絶対値を調整する手段を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、340mm〜840mmの全範囲にわたり、>90%/cmの内部透過性を有するシリカ・チタニアガラスを対象とする。別の実施の形態では、内部透過性は、340mm〜840mmの全範囲にわたり、>93%/cmである。さらなる実施の形態では、内部透過性は、340nm〜840nmの波長の全範囲にわたり、>95%/cmである。
【0007】
別の実施の形態では、本開示は、310nm〜840nmの波長において、ガラスでできた光学系部材の全般的な透過性が>84%であるシリカ・チタニアガラスを対象とする。1つの実施の形態では、ガラスでできた光学系部材の全般的な透過性は、310nm〜840nmの波長において86%より大きい。さらなる実施の形態では、ガラスでできた光学系部材の全般的な透過性は、310nm〜840nmの波長において>88%より大きい。
【0008】
別の実施の形態では、シリカ・チタニアガラスは、3重量ppm未満のTi+3濃度レベル[Ti3+]を有する。
【0009】
追加の実施の形態では、シリカ・チタニアガラスは、2×1017分子/cm3未満の水素濃度レベル[H2]を有する。別の実施の形態では、水素濃度レベル[H2]は2×1016分子/cm3未満である。さらなる実施の形態では、水素濃度レベル[H2]は2×1015分子/cm3未満である。
【0010】
本開示は、透過性を改善し、CTEを所望のレベルまで調整し、ガラスの熱膨張性を調整するため、空気中、300℃〜1200℃の温度で、不活性ガスまたは他のH2を含有しない環境で1日〜100日間、溶融シリカ・チタニアガラスを熱処理(アニーリング)する方法を対象とする。本明細書に記載するように、アニーリングは、空気、酸素、N2、またはアルゴン、またはそれらの混合物からなる群より選択される環境下で行い、透過特性、本明細書に記載の[H2]および/または[Ti3+]レベルを有するシリカ・チタニアガラスの生産に用いられる。
【0011】
本明細書に記載のシリカ・チタニアガラスは、放射によって生じる透過性の損失および寸法変化に対し耐久性である。ガラスは、600重量ppmより大きい[OH]、本明細書に記載の低い[H2]レベル、本明細書に記載の低い[Ti3+]レベル、および高い内部透過性の値と共に、900℃未満の仮想温度(TF)を有する。1つの実施の形態では、600ppmより大きい[OH]、本明細書に記載の低い[H2]レベル、本明細書に記載の低い[Ti3+]レベル、および高い内部透過性の値と共に、890℃未満のTFを有する。別の実施の形態では、600ppmより大きい[OH]、本明細書に記載の低い[H2]レベル、本明細書に記載の低い[Ti3+]レベル、および高い内部透過性の値と共に、880℃未満のTFを有する。これらの特性を有するシリカ・チタニアガラスは、7重量%〜10重量%のチタニア含有量TiO2を有する。1つの実施の形態では、チタニア含有量TiO2は、7.5重量%〜8.5重量%の範囲である。シリカ・チタニアガラスは、低レベルの粗さを有するインプリントマスクの作製を可能にする、浅い溝を有する。1つの実施の形態では、本開示のシリカ・チタニアガラスは、1.5ppb/°K2未満の20℃における膨張率勾配を有する。さらなる実施の形態では、20℃における膨張率勾配は1.4ppb/°K2未満である。別の実施の形態では、20℃における膨張率勾配は1.2ppb/°K2未満である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】TiO2濃度が公称上7.6重量%であり、膨張率が焼きなましサイクルを介してガラスの構造を変化させることによって調整された、シリカ・チタニアガラスの温度に対する膨張率のグラフ;膨張率の曲線は図3に例証されるCTEのシフト量によって垂直にシフトしている。
【図2】シリカ・チタニアガラスのゼロ・クロスオーバー温度Tzcを、ガラスの仮想温度TFを変化させることによって、シフトさせることができることを例証するグラフ。
【図3】異なるアニーリング手順では、アニーリングし、0.87℃/時間の速度で冷却した、公称上7.6重量%のTiO2を有するチタニアをドープした溶融シリカガラスのTzcが変化するであろうことを例証するグラフ。
【図4】熱処理の影響および公称7.3重量%シリカ・チタニアガラスのサンプルにおける内部透過性の改善を示すグラフ。
【図5】TFがほぼ直線的に低下するにつれて、勾配がいかに改善されるかを示す、膨張性プロットの20℃における勾配に対するTFの影響を例証するグラフ。
【図6】直接法によってシリカ・チタニアガラスを製造するための装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示では、シリカ・チタニアガラスの構造、例えば、限定はしないが、「ULE」ガラスは、ガラスのアニーリング・サイクルを変えることによって変化させることができることが見出された。シリカ・チタニアガラスのアニーリング・スケジュールの変更が、シリカ・チタニアガラスの仮想温度(TF)を著しく変化させる結果を生じうることが分かった。本開示は、より遅いアニーリング・サイクルがシリカ・チタニアガラスの膨張性を改善する手段であることを特定し、加えて、目標値に見合うようにガラスのCTEを調整する手段としても特定する。米国特許出願公開第2006/0179879号明細書は、チタニアをドープしたシリカガラスにおける膨張性の調整方法として、ドーピングおよびアニーリングを開示するが、本開示は、米国特許出願公開第2006/0179879号明細書を凌ぎ、改善された膨張性、改善された透過性、ガラス中の少ない[Ti3+]イオン、および5℃未満までの制御可能なCTEクロスオーバーなど、多くの改善を有するガラス;および、これらの改善を達成する方法を特定する。
【0014】
図1は、アニーリング・サイクルを調整することによってTF値を調整したガラスを示している。図1は、公称上7.6重量%のTiO2の所定のガラス組成物について、温度に伴う膨張性の変化を比較している。プロットは、得られたそれぞれ異なるTFについての勾配の変化を比較するために用いられる。クロスオーバー温度Tzc(膨張率が0ppm/℃における温度)をこの図について20℃に調整した。図1は、以前の標準的なシリカ・チタニアガラス(番号54で表示)に対して膨張性の改善を実証しており、改善について表1にまとめた。
【表1】

【0015】
膨張率のパーセント改善は、ガラスに生じる温度変化に依存している。標準的なアニーリング10を用いてアニーリングしたULEガラス対照と比較して、所定のTFについて、0〜36%の改善が確認されている。表1および図1に示した結果に基づいて、TFがさらに低下するにつれて、膨張性におけるさらなる改善が予想できる。しかしながら、難点は、より低いTFでは、ますます長いアニーリング時間を必要とすることである。図1に例証するガラスの膨張曲線は、図3に示すCTE量によって垂直にシフトし、ここで、番号10は本明細書に記載の標準的なアニーリング・サイクルを表し;番号11、13および15は、本明細書に記載される、より長いアニーリング時間を表し、番号12、14および16は、より短いアニーリング時間を表している。したがって、図1の番号58は、標準的なサイクルより長い時間でアニーリングしたガラスを表し、番号50は、標準的なアニーリング・サイクルより短い時間でアニーリングしたガラスを表している。
【0016】
2010年8月16日出願の米国特許出願第12/856728号明細書は、例えば、限定はしないがULEガラスなどのシリカ・チタニアガラスにおけるCTEゼロ・クロスオーバー温度を得ることができる方法について開示しており、その方法は、さらに、調節可能なゼロ・クロスオーバー温度を有するガラスを特定している。本明細書の図2は、TFの所定のシフトについてのCTEのシフト間の正確な関係を例証している。アニーリング・スケジュールを変化させることによって、TFのシフトの大きい同調が可能になる。例えば、本明細書の図3は、あるガラスに対するガラス(10)のCTEを±5ppb/℃変化させるために、本明細書に記載のアニーリング・スケジュールをいかに調節したか、および、それによって、およそ990℃〜850℃の臨界温度条件を通して、公称上、0.87℃/時間の速度で冷却されることを例証している。図3の番号10で表すガラスを生産するために用いられるアニーリングの工程条件は、次の通りである:
(1)温度を、50℃/時間の速度で25℃から990℃まで上昇させる;
(2)その温度を990℃で100時間保持する;
(3)100時間保持後、その温度を、0.87/時間の速度で990℃から850℃まで低下させる;
(4)その温度を、25℃/時間の速度で850℃から25℃まで低下させる。
【0017】
図3において、番号12〜14は、表1にまとめた、アニーリング条件を表し、これを、前述の条件にしたがってアニーリングしたガラス10と比較する。標準的な条件では、開始から終了までの総アニーリング時間は、220〜250時間の近似の範囲である。
【表2】

【0018】
本開示は、結果的に、光透過性が改善されたガラスも生じる。Carson and Mauer, “Optical Attenuation in Titania−Silica Glasses,” J. Non−Crystalline Solids, Vol. 11 (1973), pages 368-380は、光吸収体として[Ti3+]を特定し、光透過性を改善する手段として、さらに[Ti3+]のH2除去を特定している。H2の除去工程は、拡散工程である。本開示は、アニーリングが、任意の起源(例えば、アニーリング雰囲気における水蒸気など)に由来する低い水素含量(H2として)を有する雰囲気下で行われる場合、より長いアニーリング時間は透過性の改善に有益であることを例証している。1つの実施の形態では、H2含有量は10%未満である。別の実施の形態では、H2含有量は1%未満である。別の実施の形態では、H2含有量は0.01%未満である。例えば、図4は、330nm〜840nmの波長範囲において約5%のガラスの内部透過性の改善を示し、ここで、[H2]は、1%未満のH2Oを含む乾燥窒素流雰囲気下、ガラスを950℃で400時間熱処理することによって、5.6×1017分子/cm3から0.1×1017分子/cm3未満に低減した。この特定のガラスのアニーリング条件は以下の通りであった:
(1)温度を、50℃/時間の速度で25℃から950℃まで上昇させる;
(2)その温度を950℃で400時間、窒素流下で保持する;
(3)400時間保持後、その温度を、3℃/時間の速度で950℃から850℃まで低下させる;
(4)その温度を、25℃/時間の速度で850℃から25℃まで低下させる。
【0019】
正確な保持時間は、アニーリングされているガラス片の大きさに依存する。上記条件を、約150cmの直径および約20cmの厚さを有する大きいガラスブールについて使用した。例えば、直径16cm厚さ4cmの物品をなど、より小さいガラス物品では、アニーリング保持時間を100時間以下に低減することができる。このガラスの仮想温度TFは、前述の段落に記載する方法に従って調節することができる。
【0020】
図5は、異なる仮想温度(TF)を有するガラスの膨張性の20℃における勾配のグラフである。図5に示すデータは、勾配とガラスのTFの間に本質的な直線関係を示す。加えて、データは、TFが低下するにつれて膨張性が改善されることを明確に示唆しており、改善が、実際にほぼ直線を示すことを示唆している。その結果、勾配または改善の程度は、例えば、本明細書に開示されるより遅いアニーリング速度など、どのようなTFが得られたかにかかわらず、ガラスの仮想温度によって予想できる。さらなるOH種のガラスへの添加、またはFなどの他のドーパントの内包物もまた、TFを変化させ、したがって膨張性も変化させうる。
【0021】
上記論述は、一定速度のアニーリング・サイクルにおける冷却速度の変化によって所望のTFを達成するという観点から構成されているが、本開示は、異なるタイプのアニーリング・サイクルを用いて処理したガラスにも同様に適用される。例えば、所望のTFを短時間で達成する目的で、変速サイクルを使用して差し支えない。加えて、アニーリング・サイクルのある時点で等温保持を使用することも望ましい場合がある。等温保持は、ガラスのOH含有量などの要因の影響を受けうることから、TFのさらに均一な分布を得るため、および、ガラスの構造緩和動力学の変化に対するTFの一貫性を確実にするため、アニーリング・サイクルの終わりの方で行うことが好ましいであろう。アニーリング・スケジュールは、最終的な等温保持を含める(または等温保持からなる)ことができ、これは、シリカ・チタニアガラスの膨張特性を予想通りに調整することを目的として、さらに容易に成し遂げることができることから、製造業の観点から有利でありうる。
【0022】
図6は、シリカ−チタニア・スートを製造し、堆積し、容器内で固化するための装置を例証しており、ここで、破線矢印110は、本開示に従った、水蒸気を含む気体雰囲気の導入を示している。この装置を使用して、スートは、(a)1つの工程において収集および固化される(直接法)か、または(b)第1の工程で収集し、第2の工程で固化されうる。図6に例証する装置は、一般に、0.2メートル〜2メートルまたはそれより大きい直径、および10〜30cmの厚さを有するブールを形成するために用いられる。直接法の一例として、シリカ前駆体48の起源46およびチタニア前駆体60の起源58が提供される。シリカ前駆体48およびチタニア前駆体60は、典型的には、シロキサン、アルコキシド、および四塩化物である。特に一般に用いられるシリカ前駆体の1つにOMCTSがある。特に一般に用いられるチタニア前駆体の1つにTi(OPri)4がある。起源46、58は、噴霧器、蒸発槽、または前駆体48、60を蒸気の状態に転換するのに適した他の装置であって差し支えない。窒素などの搬送ガス50は、起源46の基部またはその近くに導入される。搬送ガス50は、シリカ前駆体48の蒸気を同伴し、分配システム54を通過して混合マニホルド56に達する。搬送ガスのバイパス流は、蒸気質のシリカ前駆体流れの飽和を回避するために52において導入される。例えば窒素などの不活性ガス62の流れは、蒸気の飽和を回避するために、蒸気質のチタニア前駆体と接触した状態にすることができる。例えば窒素などの不活性の搬送ガス64は、チタニア前駆体60の蒸気を同伴し、分配システム66を通じて混合マニホルド56まで蒸気を運び、ここで、それらはシリカ前駆体48の蒸気と混合される。あるいは、チタニア前駆体60およびシリカ前駆体48は、液体の状態で混合マニホルド56に送達されてもよい。混合マニホルド56における混合物は、加熱されたヒュームライン68を通過して、炉クラウン72上に取り付けられたバーナー70に達する。この図では、2つのバーナー70が示されている。しかしながら、3つ以上のバーナーを使用して、より良好な熱制御および、堆積空洞74全体にわたる材料の分布を可能にすることもできる。加熱炉76は、回転および振動能力を有していて差し支えなく、クラウン72を支持する静止壁78を含みうる。格納容器80は、静止壁78内に配置される。格納容器80は、回転のために支持され、振動台84への取り付けを通じて振動する、基部82を備える。格納容器80は、振動台84上に取り付けられた気流壁86に取り囲まれる。動作制御用シール88は、静止壁78と格納容器80の間に形成される。堆積空洞74は、静止壁78の上部に形成された複数のドラフトポート94によって通気される。ドラフトポート94は、周囲圧力に関して堆積空洞74内に陰圧を生じるダクトによって、適切な排気システム(図示せず)に接続される。燃料93および酸素95は予混合チャンバ97内で予混合され、その後、ヒュームライン99を通じてバーナー70に移される。バーナー70は燃料/酸素混合物に着火して、堆積空洞74を加熱する炎を生じる。バーナー70に注入された蒸気質の反応物質は、バーナー70で反応し、火炎加水分解または熱分解を介してチタニアがドープされたシリカ粒子を形成し、そこから出る。スートは下方に向かい、102に示す平面100上に堆積する。平面100は、格納容器80のライナー104を清潔なカレット106で満たすことによって提供されうるが、ガラス板などの平面を提供する他の手段も使用して差し支えない。スートが堆積するにつれて、シリカの均質性の指数を改善するために、格納容器80、したがって平面100も基部82を通じて回転させ、振動させる。スート堆積の間、加熱炉76は、周囲空気でドラフトされる。堆積空洞74の温度はモニタされ、格納容器80の垂直位置を調整することによって、所望の処理温度で保持される。直接法では、温度は、シリカ−チタニア粒子が形成され、実質的に同時にガラスへと固化するように、固化温度で維持される。このような時間は、一般に3秒未満、典型的には2秒未満である。本開示に従い、ガラスにおける高い[OH]濃度が望ましい場合、水蒸気の分圧は、破線矢印110によって例証される図6の加熱炉の一部の上部に、選択量の水蒸気を含む気体を注入することによって装置内で維持することができる。ガラスは、固化された後、本明細書に記載のアニーリング・サイクルに従って同一の加熱炉内でアニーリングすることができ、あるいは、ガラスを、加熱炉から取り出し、その後にアニーリングすることもできる。
【0023】
典型的な実施の形態について、例証の目的で記載してきたが、上述の説明は、本開示の範囲を限定すると見なされるべきではない。したがって、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更、適合、および代替が、当業者によって想起されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
7〜10重量%のチタニアおよび90〜93重量%のシリカからなるシリカ・チタニアガラスであって、
前記ガラスが、340nm〜840nmの波長範囲における90%を超える内部透過性、600重量ppmを超える[OH]と共に、900℃未満の仮想温度を有し、
前記ガラスが2×1017未満の水素分子/cm3を有する、
シリカ・チタニアガラス。
【請求項2】
前記ガラスが、6〜8重量%のチタニアおよび92〜94重量%のシリカからなることを特徴とする請求項1記載のシリカ・チタニアガラス。
【請求項3】
前記ガラスが、20℃における1.5ppb/°K2未満の膨張率勾配を有することを特徴とする請求項1記載のシリカ・チタニアガラス。
【請求項4】
前記ガラスが、20℃における1.5ppb/°K2未満の膨張率勾配を有することを特徴とする請求項2記載のシリカ・チタニアガラス。
【請求項5】
前記ガラスが、20℃における1.2ppb/°K2未満の膨張率勾配を有することを特徴とする請求項1記載のシリカ・チタニアガラス。
【請求項6】
前記ガラスが、20℃における1.2ppb/°K未満の膨張率勾配を有することを特徴とする請求項2記載のシリカ・チタニアガラス。
【請求項7】
前記シリカ・チタニアガラスが、3重量ppm未満のTi+3濃度レベル[Ti3+]を有することを特徴とする請求項1記載のシリカ・チタニアガラス。
【請求項8】
前記シリカ・チタニアガラスが、3重量ppm未満のTi+3濃度レベル[Ti3+]を有することを特徴とする請求項2記載のシリカ・チタニアガラス。
【請求項9】
前記ガラスが、330nm〜840nmの波長範囲において95%よりも大きい内部透過率を有することを特徴とする請求項1記載のシリカ・チタニアガラス。
【請求項10】
前記ガラスが、330nm〜840nmの波長範囲において95%よりも大きい内部透過率を有することを特徴とする請求項2記載のシリカ・チタニアガラス。
【請求項11】
前記ガラスが、310nm〜840nmの波長範囲において、84%よりも高い光学系部材の全般的な透過性を有することを特徴とする請求項1記載のシリカ・チタニアガラス。
【請求項12】
前記ガラスが、310nm〜840nmの波長範囲において、88%よりも高い光学系部材の全般的な透過性を有することを特徴とする請求項1記載のシリカ・チタニアガラス。
【請求項13】
前記ガラスが、340nm〜840nmの波長範囲において、86%よりも高い光学系部材の全般的な透過性を有することを特徴とする請求項2記載のシリカ・チタニアガラス。
【請求項14】
前記ガラスが、340nm〜840nmの波長範囲において、88%よりも高い光学系部材の全般的な透過性を有することを特徴とする請求項2記載のシリカ・チタニアガラス。
【請求項15】
前記ガラスが、600重量ppmより大きい[OH]と組み合わせて、890℃未満の仮想温度を有することを特徴とする請求項2記載のシリカ・チタニアガラス。
【請求項16】
前記ガラスが、600重量ppmより大きい[OH]と組み合わせて、880℃未満の仮想温度を有することを特徴とする請求項2記載のシリカ・チタニアガラス。

【図1】
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【図4】
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【図6】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−46407(P2012−46407A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−39769(P2011−39769)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【復代理人】
【識別番号】100116540
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 香
【復代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
【Fターム(参考)】