体格情報測定機器
【課題】コンパクト且つ被測定者への負担が少なく、正確に体格情報を測定することができる体格情報測定機器を提供する。
【解決手段】体重計11と、体重計11に支持部材3を介して固定され、被測定者の身体を撮影する撮影部21と、撮影部21により撮影された身体の撮影画像に基づいて、身体の寸法を演算する演算部とを備えた。
【解決手段】体重計11と、体重計11に支持部材3を介して固定され、被測定者の身体を撮影する撮影部21と、撮影部21により撮影された身体の撮影画像に基づいて、身体の寸法を演算する演算部とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定者の身体を撮影する撮影部を備え、撮影された画像に基づいて身体の寸法を演算し、被測定者に身体の体格情報を提供する体格情報測定機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の体格情報測定機器としては、例えば、特許文献1に示されるように、寸法が既知の十字架形状のキャリブレーション装置を撮影し、撮影画像上におけるキャリブレーション装置の寸法と実際のキャリブレーション装置の寸法とを対応させるキャリブレーションを行うものが知られている。この体格情報測定機器においては、キャリブレーション後に被測定者の身体を撮影し、キャリブレーション装置の画像上の寸法及び実際の寸法の対応結果と、被測定者の身体の撮影画像上の寸法とに基づいて、被測定者の身体の各部の寸法が演算される。
【0003】
また、特許文献2に示されるように、体形寸法に応じて伸張する部分と伸張しないベース部とを備えたバンド状の測定補助部材を測定したい身体部位に装着して、身体を撮影する体格情報測定機器があった。測定補助部材は伸張する部分に複数の測定標識を備えてある。この体格情報測定機器は、撮影画像から演算した測定標識の位置間隔とベース部の長さとを加算して、測定補助部材を装着した身体部位の周囲長を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−49307号公報(0062段落、0063段落、及び図1)
【特許文献2】特開2004−360131号公報(0068段落〜0072段落、及び図1〜図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の体格情報測定機器では、身体の撮影の前にキャリブレーション装置を撮影してキャリブレーションを行い、さらに、キャリブレーション装置を撤去した上で、身体の撮影を行わなければならない。このように、測定前の準備に手間が掛かる上に、大掛かりな装置となる虞がある。また、被測定者はキャリブレーション装置と同じ位置に立ち、且つ、起立姿勢を保持して撮影しなければ、実際の寸法と異なる寸法が演算されてしまう。このため、撮影時の立ち位置や姿勢に相当気を使わなければならない。
【0006】
特許文献2では、測定標識が身体と同時に撮影されるため、特許文献1のごときキャリブレーションを行う必要がない。しかし、測定する毎に測定補助部材を身体部位に着脱しなければならず、被測定者への負担が大きい。
【0007】
本発明は上記実情に鑑み、コンパクト且つ被測定者への負担が少なく、正確に体格情報を測定することができる体格情報測定機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る体格情報測定機器の第1特徴構成は、体重計と、該体重計に支持部材を介して固定され、被測定者の身体を撮影する撮影部と、該撮影部により撮影された前記身体の撮影画像に基づいて、前記身体の寸法を演算する演算部とを備えた点にある。
【0009】
本構成のように、支持部材を介して撮影部を体重計に固定してあると、体重計と撮影部との相対位置関係は一定となる。また、通常、被測定者は体重計の中央に立つため、体重計と被測定者との相対位置関係も略一定である。このため、被測定者と撮影部との距離は一定となる。即ち、被測定者と撮影部とは、既知の位置関係となる。撮影部から一定距離にある被写体の実際の寸法と、撮影画像上でのその寸法との比率を製造時(初期)に設定しておけば、演算部は身体の撮影画像を基に実際の身体寸法を演算できる。即ち、キャリブレーションを行うことも、測定のための準備をすることも要さない。なお、撮影部に対して平行な姿勢の撮影画像と、垂直な姿勢の撮影画像とがあれば、身体の実際の寸法を演算することは可能である。
【0010】
このように、体重計に乗って身体の撮影をするだけで体形を正確に測定することができ、被測定者への操作負担が少ない。また、撮影部の画角を広くすれば、体重計と撮影部との距離はできるため、コンパクトにすることができる。よって、家庭等のスペースが限られた場所にも設置可能となる。さらに、体重計を備えているので、体形と体重等とから総合的な体格情報が得られる。
【0011】
本発明に係る体格情報測定機器の第2特徴構成は、前記体重計に固定され、前記被測定者が起立姿勢を保持するのを補助する支柱を備えた点にある。
【0012】
本構成のごとく、被測定者が起立姿勢を保持するのを補助する支柱を体重計に固定してあると、被測定者は体を支柱に預けることができる。即ち、被測定者は安定した姿勢を保ち易く、当然にその姿勢は安定する。また、支柱を基準とすれば、カメラに対して体の向きを平行もしくは垂直にし易い。このため、撮影の成功率が高まると共に、撮影画像の信頼性が向上し、結果、体格情報の演算の精度及び信頼性も向上する。
【0013】
本発明に係る体格情報測定機器の第3特徴構成は、前記支柱を前記撮影部と前記被測定者との間に配置した点にある。
【0014】
本構成によると、支柱が撮影部と被測定者との間に位置するため、特に正面姿勢撮影時に支柱を握る等し易い。よって、支柱が被測定者を挟んで撮影部と反対側に位置する場合と比べて、体の向きをカメラに対して平行にし易い。また、支柱が被測定者を挟んで撮影部と反対側へ備えられた場合と比較して、体格情報測定機器の構成がコンパクトとなる。
【0015】
本発明に係る体格情報測定機器の第4特徴構成は、前記体重計に固定され、前記撮影画像へ映り込む指標部を備えた点にある。
【0016】
撮影部は体重計に固定されているが、多少は動く可能性がある。撮影部が初期設定の状態から動いたり、傾いたりすると、撮影部から一定距離にある被写体の実際の寸法と撮影画像上でのその寸法との比率が、初期設定の比率ではなくなる。また、撮影画像が歪む等する虞もある。このような場合は、正確に身体寸法を測定することができない。正確な身体寸法を測定するためには、撮影部の傾きやの撮影画像の歪みを補正する必要がある。
【0017】
本構成であれば、体重計に固定された指標部が撮影画像に映り込むため、撮影画像に基づいて、例えば、指標部と撮影部との距離が演算できる。演算された距離と初期設定時のその距離とを基にすれば、撮影部と体重計との相対角度が算出でき、撮影部の傾き等を補正することができる。このため、測定結果の信頼性が向上する。
【0018】
本発明に係る体格情報測定機器の第5特徴構成は、前記指標部を前記支柱に設けた点にある。
【0019】
本構成のように、指標部を支柱に取付ければ、指標部を体重計に取付ける部材が不要となり、部品点数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】体格情報測定機器を示す斜視図である。
【図2】体格情報測定機器を畳んだときの斜視図である。
【図3】体格情報測定機器を示す平面図である。
【図4】体格情報測定機器を示す側面図である。
【図5】体格情報測定機器を示す正面図である。
【図6】電源がONになったときのモニタを示す図である。
【図7】正面姿勢が撮影されたときのモニタを示す図である。
【図8】図7の第一ラインを調整したときのモニタを示す図である。
【図9】側面姿勢が撮影されたときのモニタを示す図である。
【図10】測定結果が表示されたモニタを示す図である。
【図11】体格情報測定機器の構成を示すブロック図である。
【図12】測定結果をパソコンに取り込んで解析した結果を示す図である。
【図13】第一別実施形態に係る体格情報測定機器を示す斜視図である。
【図14】第二別実施形態に係る体格情報測定機器を示す斜視図である。
【図15】載荷部に足型を備えた体重計を示す平面図である。
【図16】第三別実施形態に係る体格情報測定機器を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る体格情報測定機器を家庭での健康管理用の機器として利用できるよう構成した例を図面に基づいて説明する。
【0022】
体格情報測定機器は、図1〜5に示すごとく、体重計11及び支柱13を有する本体部1と、撮影部としてのカメラ21、モニタ27、及び操作部28を有するパネル部2とを備えている。被測定者Pは、先ず体重計11に乗って体重を量る。その後、体重計11に乗ったままで、測定したい身体部位を含んだ範囲をカメラ21で撮影する。被測定者Pの正面姿勢の撮影(以下、「正面撮影」と称する)と、側面姿勢の撮影(以下、「側面撮影」と称する)との二回の撮影を行う。その撮影画像に基づいて身体部位の周囲寸法が算出され、その結果がモニタ27に表示される。本実施形態においては、バスト、ウエスト、下腹部、及び、ヒップの周囲寸法、及び体重を測定対象としている。
【0023】
(本体部)
本体部1は、被測定者Pの体重を計量する体重計11と、被測定者Pが起立姿勢を保持するのを補助する支柱13とを備えている。体重計11と支柱13とは、図4に示すごとく、体重計の平面寸法よりやや大きい板材であるベース部12の表面に設置されている。ベース部12は、体重計11の前方端よりも延長してある。その延長した部分の表面に支柱13が固定されている。また、後述するアーム部も第一ヒンジ41を介してベース部12に固定されている。この固定部分を隠すべく、ベース部12の延長された部分にはカバー18が取り付けられている。ベース部12の底面の四隅には硬質ゴム等の滑り止め11dが取付けられており、体格情報測定機器を安定して床面に設置することができる。滑り止め11dは高さ方向の調節が可能であるとより良い。
【0024】
(体重計)
体重計11は、図4に示すごとく、被測定者Pが立つ載荷部11aと、載荷部11aを下方から支持し、被測定者Pの体重を測定する計量部11bと、計量部11bを支持する基部11cとを備えている。基部11cとベース部12とを連結することにより体重計11をベース部12に固定している。本実施形態においては、基部11cとベース部12とを一体形成してある。
【0025】
計量部11bは、例えばバネを備えており、被測定者Pの体重によるバネの変位量に基づいて体重が測定される。載荷部11aと基部11cとは物理的に離間しており、被測定者Pの体重以外の力は計量部11bに伝わらない。体重計11と支柱13とは、基部11c及び床に定置されるベース部12を介して固定してあるため、支柱13が振れたりしても、計量部11bによる体重の計量には殆ど影響がない。基部11cとベース部12とは別の部材であっても良い。
【0026】
体重計11の後方側面に電源スイッチ15が備えられており、電源スイッチ15をONにすれば体重計11とパネル部2との電源が入り、電源スイッチ15をOFFにすれば電源が切れる。
【0027】
図15に示すごとく、載荷部11aの表面に被測定者Pの立ち位置を示す足型61のマークを印刷、または貼り付けてあっても良い。被測定者の立ち位置が一定の位置に決まりやすく、被測定者Pとカメラ21との距離が規定値となる確率がさらに高まって、測定精度が向上する。
【0028】
(支柱)
図3、4に示すごとく、ベース部12の延長した部分の左右端部付近に、二本の支柱13が直立した姿勢で強固に固定されている。支柱13としては、断面環状形状の筒状部材を使用し、軽量化を図っている。支柱13は、成人の身長程度の高さを有する。支柱13が互いにグラつかないように、中間の数箇所には中桟18を設け、上端においては、U字形状に左右の支柱13を連結している。
【0029】
支柱13は、二段階の入れ子式に構成してあり、図2に示すごとく、不使用時には半分以下の高さに縮めることができる。ただし、伸縮する構造は入れ子式に限られるものではなく、また、伸縮不可能な構成であっても問題はない。
【0030】
左右の支柱13の外周面外側には、グリップ14を外側に向けて水平姿勢で取付けてある。被測定者Pは、図4に示すごとく、特にカメラ21に対して正面撮影時に、グリップ14を握ることにより、起立姿勢を保持することが容易である。グリップ14は、被測定者Pの肩の高さよりも高い位置に設置する。被測定者Pがグリップ14を握ると、被測定者Pの肘が胸元よりも高い位置で外方向に開く。よって、被測定者Pの脇が開き、バスト周りのラインを露出させた状態で正面撮影を行うことができる。
【0031】
正面撮影時において、支柱13と被測定者Pの脇や側腹のラインとが重なっては正確な測定ができない。図3に点線で示すカメラ21と支柱13とを結ぶ線が、被測定者Pの側部から大きく外側に外れるよう、支柱13及びカメラ21の位置を決定してある。
【0032】
グリップ14は取外し可能で、不使用時にグリップ14を取外せば、幅方向にコンパクトとなる。また、図4に示すごとく、支柱13にはグリップ14の取付孔19が高さを変えて複数箇所形成されており、グリップ14の高さを変更することができる。よって、被測定者Pの身長に応じた正確な測定が可能である。
【0033】
ただし、グリップ14は備えられていなくても良い。被測定者Pが支柱13の高い位置を握れば同等の正面撮影が可能である。
【0034】
(指標部)
図5に示すごとく、左右の支柱13の前面には、カメラ21と正対するように夫々二箇所の指標部4が高さを異ならせて備えられている。指標部4は撮影画像に身体と共に写り込む。後述するように、計四箇所の指標部4の撮影画像から、カメラ21と指標部4との相対位置及び相対角度を演算し、身体寸法の補正を行う。指標部4としては、周囲の被撮影物とのコントラストを明確にするために再帰性反射シートを用いることが望ましい。
【0035】
(パネル部)
パネル部2は、図7に示すごとく、被測定者Pの身体を撮影するカメラ21と、カメラ21で撮影した身体の画像を映し出すモニタ27と、モニタ27の表示画面を操作する操作部28と、スピーカ部30とを外部に備えている。パネル部2には、図11に示すごとく、ソフトウエア又はハードウエア或いはその両方で、カメラ21で撮影された撮影画像を読み込む画像取得部22、読み込んだ撮影画像を処理する画像処理部23、身体寸法の演算等の各種演算を行う演算部24、モニタ27への出力情報を制御する表示制御部26、演算で使用する各種データ等を保存するデータベース25が構築されている。
【0036】
パネル部2は、図4に示すごとく、支持部材としてのアーム部3を介してベース部12に連結固定されている。即ち、パネル部2は体重計11の基部11cに連結固定されている。支柱13とは異なる部材であるアーム部3を介してパネル部2を体重計11に固定してあるため、撮影時に被測定者Pが動いて支柱13が揺れても、カメラ21の撮影への影響は少ない。アーム部3は下部に第一ヒンジ41を備え、第一ヒンジ41を介してベース部12に対して揺動自在である。アーム部3は、図1に示す使用時の開いた状態と、図2に示す不使用時の折り畳んだ状態との二段階に揺動する。パネル部2は下部に第二ヒンジ42を備え、第二ヒンジ42を介してアーム部3の上端部に対して揺動自在である。パネル部2は複数段階の角度調節が可能で、被測定者Pはモニタ2を見やすいようにモニタ27の向きを調節できる。アーム部3は、支柱13と同様に入れ子式に構成してあり、不使用時には図2に示すごとく、コンパクトに縮めることができる。
【0037】
(カメラ)
カメラ21は、図1、4に示すごとく、第二ヒンジ42のアーム3側の部材に埋め込まれている。このため、パネル部2の角度を調節しても、カメラ21の撮影範囲は一定である。カメラ21は、鉛直方向においては、図4に一点鎖線で示すごとく、被測定者Pの膝下から頭頂付近の範囲の撮影が可能である。この範囲であれば、バスト、ウエスト、下腹部、及び、ヒップを含んだ被測定者Pの正面姿勢及び側面姿勢を撮影できる。また、水平方向においては、図3に一点鎖線で示すごとく、支柱13及び指標部4を含め、被測定者Pの身体幅以上の範囲を撮影できる。
【0038】
画角が狭い場合は、カメラ21と体重計11との距離を大きく設定しなければ上述の撮影ができず、体格情報測定機器を設置するのに広いスペースが必要となる。このため、レンズの選定は、対象とする被測定者Pの体格や対象とする設置スペースを考慮して行う。
【0039】
(モニタ)
モニタ27は、図7、9、10に示すごとく、撮影画像や測定結果を表示する。また、現在の処理状況、メッセージ等も表示する。
【0040】
(操作部)
被測定者Pによって、バスト、ウエスト、下腹部、及び、ヒップの高さは異なる。このため、被測定者Pは、本機器の最初の使用時に、自分のバスト、ウエスト、下腹部、及び、ヒップの位置を設定する必要がある。モニタ27には、撮影画像と同時に、図7に示すごとく、各測定部位の位置を示す第一ライン51から第四ライン54が映し出されている。第一ライン51はバストの位置、第二ライン52はウエストの位置、第三ライン53は下腹部の位置(腹位)、第四ライン54はヒップの位置を示す。パネルには操作部28が備えられており、操作部28を操作して第一ライン51から第四ライン54までを、図8に示すごとく、自分の体に応じた位置に上下させることができる。例えば、モニタ27がタッチパネルであれば、操作部28を別途備える必要はない。
【0041】
(スピーカ部)
スピーカ部30は、各種スイッチの操作効果音、カメラ21の撮影時のシャッター効果音、被測定者Pへのメッセージ音等を鳴らす。
【0042】
(体格情報測定機器の動作・操作)
以下に、体格情報測定機器の動作を説明する。正確な測定を行うために、被測定者Pは裸であるか、もしくは身体に密着する衣服を身につけている。被測定者Pは、電源スイッチ15をONにして機器全体の電源を入れる。このとき、モニタ27の表示は図6のごとき表示であり、全ての数値は「0.0」である。続いて、被測定者Pが体重計11に立つと、計量部11bが体重を測定し、その結果が表示制御部26に送られ、モニタ27に体重値のみが表示される。
【0043】
体重測定のみの測定で良い場合には、ここで操作を終了し、電源スイッチ15をOFFにして電源を切れば良い。
【0044】
バスト、ウエスト、腹位、及び、ヒップの周囲寸法の測定を行いたい場合は、次のステップへ進む。カメラ21による撮影は、正面撮影、側面撮影の順に行われる。正面撮影に備え、被測定者Pはグリップ14を握り、カメラ21に対して正面姿勢をとる。起立姿勢が落ち着いたところで、被測定者Pが支柱13に備えられた図示しないリモコン式のシャッタースイッチ16を押すと、正面撮影が行われる。その撮影画像は、図7に示すごとく、すぐさまモニタ27に表示される。被測定者Pはモニタ27を確認する。被測定者Pは、問題がなければ再度シャッタースイッチ16を押す。これにより正面撮影の完了が確定され、正面撮影による撮影画像が画像取得部22に送られる。正面撮影をやり直したい場合は、シャッタースイッチ16を長押しする。撮影画像がクリアされ、もう一度正面撮影を行うことができる。
【0045】
次に、側面撮影に備えて、被測定者Pは向きを変え、カメラ21に対して側面姿勢をとる。側面撮影における姿勢は指定してある。本実施形態では、カメラ21に対して左側面を見せる姿勢とする。側面撮影時は、カメラ21に対する被測定者Pの見付幅から両腕がはみ出さないように、被測定者Pは「気をつけ」の姿勢で立つ。両腕が見付幅からはみ出さなければ、片方の手で支柱13や中桟18を握る等して起立姿勢を保持しても良い。そしてシャッタースイッチ16を押すと、側面撮影が行われる。その撮影画像も、図9に示すごとく、すぐさまモニタ27に表示され、被測定者Pはモニタ27を確認し、問題がなければ再度シャッタースイッチ16を押す。これにより側面撮影の完了が確定され、側面撮影による撮影画像が画像取得部22に送られる。側面撮影をやり直したい場合は、シャッタースイッチ16を長押しする。撮影画像がクリアされ、もう一度側面撮影を行うことができる。
【0046】
シャッタースイッチ16は、手元の操作だけで良いため、被測定者Pの起立姿勢が崩れにくい。撮影画像の決定や撮影画像のクリアのための専用ボタン等をシャッタースイッチ16と共にリモコンに備えても良い。なお、シャッタースイッチ16はリモコン式でなくても良い。例えば、支柱13の被測定者Pの側に備えても良い。
【0047】
正面撮影と側面撮影とが完了すれば、被測定者Pは、体重計11に備えられた演算開始スイッチ17を押す。演算開始スイッチ17は、例えば図1に示すごとく、載荷部11aの表面に備えられており、足の指で操作可能である。演算開始スイッチ17は支柱13に備えてあっても構わない。演算開始スイッチ17がONになると、画像処理部23は画像取得部22から正面姿勢と側面姿勢の画像データを取得し、各種画像処理を実行する。具体的には、画像データから、被測定者Pの正面姿勢及び側面姿勢の両方の身体ラインと、標識部とを認識する。この間、モニタ27には「処理実行中」等の文字が表示され、スピーカ部30からその旨がアナウンスされる。身体ラインと標識部とが認識されると、身体ラインのデータ及び標識部のデータは演算部24に送られる。
【0048】
認識が失敗した場合は、モニタ27には「読込エラー。もう一度撮影を行って下さい。」という文字が表示され、スピーカ部30からその旨がアナウンスされる。そして、撮影画像と画像データとがクリアされ、体重を計量した直後の状態に戻る。この場合、被測定者Pは正面撮影と側面撮影とをやり直すこととなる。
【0049】
また、画像処理部23は、撮影画像の範囲を適当なサイズにカットする。例えば、被測定者Pの頭部、膝下、支柱13等はモニタ27に表示する必要がなく、これらを除外すれば、表示画面は整然として見やすくなる。
【0050】
演算部24は、測定部24aと補正部24bとを備えている。測定部24aは、画像処理部23から送られてきたデータから、各測定部位の周囲寸法を演算する。体重計11の中心付近に立つ対象物の実際の直線寸法と、撮影画像上での対象物の直線寸法との比率が測定部24aに予め設定されている。測定部24aは、上述の比率と画像処理部23から送られてきた身体ラインのデータとから、第一ライン51から第四ライン54が示す各測定部位の実際の正面姿勢及び側面姿勢の直線寸法を演算する。
【0051】
さらに、測定部24aは、演算した直線寸法を用いて、所定の相関式等に基づいて、各測定部位の周囲寸法を算出する。相関式としては、例えば、各測定部位の正面姿勢時及び側面姿勢時の直線寸法を夫々長軸及び短軸の長さとする楕円形に各測定部位の断面を近似して、その周囲寸法を求めるものがある。勿論、周囲寸法の演算はこれに限られるものではなく、例えばデータベース25に各測定部位の直線寸法と周囲寸法との相関を示すマップを備え、このマップに基づいて各測定部位の周囲寸法を取得してもよい。
【0052】
また、測定部24aは、画像処理部23から送られてきた指標部4のデータから、各指標部4とカメラ21との離間距離を演算する。四箇所の指標部とカメラ21との夫々の離間距離からカメラ21と指標部4との相対位置関係及び相対角度を演算する。カメラ21と指標部4との相対位置及び相対角度が、初期設定と異なる場合は、測定部24aの演算結果に誤差が生じる。補正部24bは、この相対位置及び相対角度に基づいて、測定部24aが演算した各測定部位の直線寸法に補正を加える。この補正は、三箇所の標識部があれば可能である。
【0053】
演算部24による各測定部位の周囲寸法の値は表示制御部26に送られる。表示制御部26は、モニタ27の表示を「処理実行中」から、図10に示すごとき測定結果の表示に切り替える。なお、測定結果は、日付及び時間と共にデータベース25に保存される。
【0054】
複数の人間が使用できるよう、複数の被測定者Pの第一ライン51から第四ライン54のデータを保存でき、操作部28の操作等によりそれらのデータを呼び出せるよう構成してあっても良い。
【0055】
(体格情報の管理)
図11に示すごとく、パネル部2にはスロット29が備えられており、データベース25に保存されたデータを記録媒体で外部に取り出すことが出来る。そのデータをパソコンCに取り込み、専用のソフトを使用すれば、図12に示すごとく、以前の測定結果との比較等のデータ解析を行うことができる。
【0056】
本実施形態において、体重計が体脂肪計や体組成計等の機能を備えていても良い。体重計の上に被測定者が立つことにより、被測定者とカメラとが既知の位置関係となるという効果を得られることに変わりはない。この場合は、より総合的な体格情報の測定が可能となる。なお、体重測定の機能を有していない体脂肪計や体組成計であっても、体重計のごとく被測定者がその機器の上に立って体脂肪や体組成等を測定するものであれば、体重計の場合と同様の効果が得られる。
【0057】
(第一別実施形態)
支柱13は、図13に示すごとく、水平部材71と鉛直部材72とからなるTの字型の支柱13であっても良い。この場合は、水平部材71がグリップ14の代用となり、水平部材71の両端部と鉛直部材72との三箇所に指標部4を備えれば良い。この場合、正面撮影時及び側面撮影時に、支柱は身体ラインとは重ならず、測定には影響がない。支柱13は載荷部11aを貫通して基部11cに固定されている。載荷部11aと支柱13とは物理的に離間しており、測定には何の影響もない。
【0058】
(第二別実施形態)
支柱13は、図14に示すごとく、被測定者Pを挟んでパネル部2と反対側に備えてあっても良い。この場合は、被測定者Pは支柱13もしくは中桟13aに背中を沿わせ、起立姿勢を保持する。身体のラインに両腕が重ならないようにするために、両手を頭の後で抱えるか、支柱13の高い位置を握る等する。標識部4が身体の影とならないよう、指標部を支柱から外側方へ持ち出している。ただし、指標部4を支柱13に備えても良い。この場合、少し手間は掛かるものの、体重を測定する前に支柱13のみを撮影すれば良い。
【0059】
(第三別実施形態)
上述の実施形態では、支持部材としてのアーム部3と支柱13とを別の部材として夫々体重計11に固定していた。しかし、この構成に限られるものではない。支柱13が揺れたりせず、カメラ21による撮影が正常に行えるのならば、例えば、図16に示すごとく、支柱13とアーム部3とを一体的に構成しても良い。支柱13は載荷部11aを貫通して基部11cに固定されている。載荷部11aと支柱13とは物理的に離間しており、測定には何の影響もない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、被測定者の身体を撮影する撮影部を備え、撮影された画像に基づいて身体の寸法を演算し、被測定者に身体の体格情報を提供する体格情報測定機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
3 アーム部(支持部材)
4 指標部
11 体重計
13 支柱
21 カメラ(撮影部)
24 演算部
P 被測定者
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定者の身体を撮影する撮影部を備え、撮影された画像に基づいて身体の寸法を演算し、被測定者に身体の体格情報を提供する体格情報測定機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の体格情報測定機器としては、例えば、特許文献1に示されるように、寸法が既知の十字架形状のキャリブレーション装置を撮影し、撮影画像上におけるキャリブレーション装置の寸法と実際のキャリブレーション装置の寸法とを対応させるキャリブレーションを行うものが知られている。この体格情報測定機器においては、キャリブレーション後に被測定者の身体を撮影し、キャリブレーション装置の画像上の寸法及び実際の寸法の対応結果と、被測定者の身体の撮影画像上の寸法とに基づいて、被測定者の身体の各部の寸法が演算される。
【0003】
また、特許文献2に示されるように、体形寸法に応じて伸張する部分と伸張しないベース部とを備えたバンド状の測定補助部材を測定したい身体部位に装着して、身体を撮影する体格情報測定機器があった。測定補助部材は伸張する部分に複数の測定標識を備えてある。この体格情報測定機器は、撮影画像から演算した測定標識の位置間隔とベース部の長さとを加算して、測定補助部材を装着した身体部位の周囲長を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−49307号公報(0062段落、0063段落、及び図1)
【特許文献2】特開2004−360131号公報(0068段落〜0072段落、及び図1〜図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の体格情報測定機器では、身体の撮影の前にキャリブレーション装置を撮影してキャリブレーションを行い、さらに、キャリブレーション装置を撤去した上で、身体の撮影を行わなければならない。このように、測定前の準備に手間が掛かる上に、大掛かりな装置となる虞がある。また、被測定者はキャリブレーション装置と同じ位置に立ち、且つ、起立姿勢を保持して撮影しなければ、実際の寸法と異なる寸法が演算されてしまう。このため、撮影時の立ち位置や姿勢に相当気を使わなければならない。
【0006】
特許文献2では、測定標識が身体と同時に撮影されるため、特許文献1のごときキャリブレーションを行う必要がない。しかし、測定する毎に測定補助部材を身体部位に着脱しなければならず、被測定者への負担が大きい。
【0007】
本発明は上記実情に鑑み、コンパクト且つ被測定者への負担が少なく、正確に体格情報を測定することができる体格情報測定機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る体格情報測定機器の第1特徴構成は、体重計と、該体重計に支持部材を介して固定され、被測定者の身体を撮影する撮影部と、該撮影部により撮影された前記身体の撮影画像に基づいて、前記身体の寸法を演算する演算部とを備えた点にある。
【0009】
本構成のように、支持部材を介して撮影部を体重計に固定してあると、体重計と撮影部との相対位置関係は一定となる。また、通常、被測定者は体重計の中央に立つため、体重計と被測定者との相対位置関係も略一定である。このため、被測定者と撮影部との距離は一定となる。即ち、被測定者と撮影部とは、既知の位置関係となる。撮影部から一定距離にある被写体の実際の寸法と、撮影画像上でのその寸法との比率を製造時(初期)に設定しておけば、演算部は身体の撮影画像を基に実際の身体寸法を演算できる。即ち、キャリブレーションを行うことも、測定のための準備をすることも要さない。なお、撮影部に対して平行な姿勢の撮影画像と、垂直な姿勢の撮影画像とがあれば、身体の実際の寸法を演算することは可能である。
【0010】
このように、体重計に乗って身体の撮影をするだけで体形を正確に測定することができ、被測定者への操作負担が少ない。また、撮影部の画角を広くすれば、体重計と撮影部との距離はできるため、コンパクトにすることができる。よって、家庭等のスペースが限られた場所にも設置可能となる。さらに、体重計を備えているので、体形と体重等とから総合的な体格情報が得られる。
【0011】
本発明に係る体格情報測定機器の第2特徴構成は、前記体重計に固定され、前記被測定者が起立姿勢を保持するのを補助する支柱を備えた点にある。
【0012】
本構成のごとく、被測定者が起立姿勢を保持するのを補助する支柱を体重計に固定してあると、被測定者は体を支柱に預けることができる。即ち、被測定者は安定した姿勢を保ち易く、当然にその姿勢は安定する。また、支柱を基準とすれば、カメラに対して体の向きを平行もしくは垂直にし易い。このため、撮影の成功率が高まると共に、撮影画像の信頼性が向上し、結果、体格情報の演算の精度及び信頼性も向上する。
【0013】
本発明に係る体格情報測定機器の第3特徴構成は、前記支柱を前記撮影部と前記被測定者との間に配置した点にある。
【0014】
本構成によると、支柱が撮影部と被測定者との間に位置するため、特に正面姿勢撮影時に支柱を握る等し易い。よって、支柱が被測定者を挟んで撮影部と反対側に位置する場合と比べて、体の向きをカメラに対して平行にし易い。また、支柱が被測定者を挟んで撮影部と反対側へ備えられた場合と比較して、体格情報測定機器の構成がコンパクトとなる。
【0015】
本発明に係る体格情報測定機器の第4特徴構成は、前記体重計に固定され、前記撮影画像へ映り込む指標部を備えた点にある。
【0016】
撮影部は体重計に固定されているが、多少は動く可能性がある。撮影部が初期設定の状態から動いたり、傾いたりすると、撮影部から一定距離にある被写体の実際の寸法と撮影画像上でのその寸法との比率が、初期設定の比率ではなくなる。また、撮影画像が歪む等する虞もある。このような場合は、正確に身体寸法を測定することができない。正確な身体寸法を測定するためには、撮影部の傾きやの撮影画像の歪みを補正する必要がある。
【0017】
本構成であれば、体重計に固定された指標部が撮影画像に映り込むため、撮影画像に基づいて、例えば、指標部と撮影部との距離が演算できる。演算された距離と初期設定時のその距離とを基にすれば、撮影部と体重計との相対角度が算出でき、撮影部の傾き等を補正することができる。このため、測定結果の信頼性が向上する。
【0018】
本発明に係る体格情報測定機器の第5特徴構成は、前記指標部を前記支柱に設けた点にある。
【0019】
本構成のように、指標部を支柱に取付ければ、指標部を体重計に取付ける部材が不要となり、部品点数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】体格情報測定機器を示す斜視図である。
【図2】体格情報測定機器を畳んだときの斜視図である。
【図3】体格情報測定機器を示す平面図である。
【図4】体格情報測定機器を示す側面図である。
【図5】体格情報測定機器を示す正面図である。
【図6】電源がONになったときのモニタを示す図である。
【図7】正面姿勢が撮影されたときのモニタを示す図である。
【図8】図7の第一ラインを調整したときのモニタを示す図である。
【図9】側面姿勢が撮影されたときのモニタを示す図である。
【図10】測定結果が表示されたモニタを示す図である。
【図11】体格情報測定機器の構成を示すブロック図である。
【図12】測定結果をパソコンに取り込んで解析した結果を示す図である。
【図13】第一別実施形態に係る体格情報測定機器を示す斜視図である。
【図14】第二別実施形態に係る体格情報測定機器を示す斜視図である。
【図15】載荷部に足型を備えた体重計を示す平面図である。
【図16】第三別実施形態に係る体格情報測定機器を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る体格情報測定機器を家庭での健康管理用の機器として利用できるよう構成した例を図面に基づいて説明する。
【0022】
体格情報測定機器は、図1〜5に示すごとく、体重計11及び支柱13を有する本体部1と、撮影部としてのカメラ21、モニタ27、及び操作部28を有するパネル部2とを備えている。被測定者Pは、先ず体重計11に乗って体重を量る。その後、体重計11に乗ったままで、測定したい身体部位を含んだ範囲をカメラ21で撮影する。被測定者Pの正面姿勢の撮影(以下、「正面撮影」と称する)と、側面姿勢の撮影(以下、「側面撮影」と称する)との二回の撮影を行う。その撮影画像に基づいて身体部位の周囲寸法が算出され、その結果がモニタ27に表示される。本実施形態においては、バスト、ウエスト、下腹部、及び、ヒップの周囲寸法、及び体重を測定対象としている。
【0023】
(本体部)
本体部1は、被測定者Pの体重を計量する体重計11と、被測定者Pが起立姿勢を保持するのを補助する支柱13とを備えている。体重計11と支柱13とは、図4に示すごとく、体重計の平面寸法よりやや大きい板材であるベース部12の表面に設置されている。ベース部12は、体重計11の前方端よりも延長してある。その延長した部分の表面に支柱13が固定されている。また、後述するアーム部も第一ヒンジ41を介してベース部12に固定されている。この固定部分を隠すべく、ベース部12の延長された部分にはカバー18が取り付けられている。ベース部12の底面の四隅には硬質ゴム等の滑り止め11dが取付けられており、体格情報測定機器を安定して床面に設置することができる。滑り止め11dは高さ方向の調節が可能であるとより良い。
【0024】
(体重計)
体重計11は、図4に示すごとく、被測定者Pが立つ載荷部11aと、載荷部11aを下方から支持し、被測定者Pの体重を測定する計量部11bと、計量部11bを支持する基部11cとを備えている。基部11cとベース部12とを連結することにより体重計11をベース部12に固定している。本実施形態においては、基部11cとベース部12とを一体形成してある。
【0025】
計量部11bは、例えばバネを備えており、被測定者Pの体重によるバネの変位量に基づいて体重が測定される。載荷部11aと基部11cとは物理的に離間しており、被測定者Pの体重以外の力は計量部11bに伝わらない。体重計11と支柱13とは、基部11c及び床に定置されるベース部12を介して固定してあるため、支柱13が振れたりしても、計量部11bによる体重の計量には殆ど影響がない。基部11cとベース部12とは別の部材であっても良い。
【0026】
体重計11の後方側面に電源スイッチ15が備えられており、電源スイッチ15をONにすれば体重計11とパネル部2との電源が入り、電源スイッチ15をOFFにすれば電源が切れる。
【0027】
図15に示すごとく、載荷部11aの表面に被測定者Pの立ち位置を示す足型61のマークを印刷、または貼り付けてあっても良い。被測定者の立ち位置が一定の位置に決まりやすく、被測定者Pとカメラ21との距離が規定値となる確率がさらに高まって、測定精度が向上する。
【0028】
(支柱)
図3、4に示すごとく、ベース部12の延長した部分の左右端部付近に、二本の支柱13が直立した姿勢で強固に固定されている。支柱13としては、断面環状形状の筒状部材を使用し、軽量化を図っている。支柱13は、成人の身長程度の高さを有する。支柱13が互いにグラつかないように、中間の数箇所には中桟18を設け、上端においては、U字形状に左右の支柱13を連結している。
【0029】
支柱13は、二段階の入れ子式に構成してあり、図2に示すごとく、不使用時には半分以下の高さに縮めることができる。ただし、伸縮する構造は入れ子式に限られるものではなく、また、伸縮不可能な構成であっても問題はない。
【0030】
左右の支柱13の外周面外側には、グリップ14を外側に向けて水平姿勢で取付けてある。被測定者Pは、図4に示すごとく、特にカメラ21に対して正面撮影時に、グリップ14を握ることにより、起立姿勢を保持することが容易である。グリップ14は、被測定者Pの肩の高さよりも高い位置に設置する。被測定者Pがグリップ14を握ると、被測定者Pの肘が胸元よりも高い位置で外方向に開く。よって、被測定者Pの脇が開き、バスト周りのラインを露出させた状態で正面撮影を行うことができる。
【0031】
正面撮影時において、支柱13と被測定者Pの脇や側腹のラインとが重なっては正確な測定ができない。図3に点線で示すカメラ21と支柱13とを結ぶ線が、被測定者Pの側部から大きく外側に外れるよう、支柱13及びカメラ21の位置を決定してある。
【0032】
グリップ14は取外し可能で、不使用時にグリップ14を取外せば、幅方向にコンパクトとなる。また、図4に示すごとく、支柱13にはグリップ14の取付孔19が高さを変えて複数箇所形成されており、グリップ14の高さを変更することができる。よって、被測定者Pの身長に応じた正確な測定が可能である。
【0033】
ただし、グリップ14は備えられていなくても良い。被測定者Pが支柱13の高い位置を握れば同等の正面撮影が可能である。
【0034】
(指標部)
図5に示すごとく、左右の支柱13の前面には、カメラ21と正対するように夫々二箇所の指標部4が高さを異ならせて備えられている。指標部4は撮影画像に身体と共に写り込む。後述するように、計四箇所の指標部4の撮影画像から、カメラ21と指標部4との相対位置及び相対角度を演算し、身体寸法の補正を行う。指標部4としては、周囲の被撮影物とのコントラストを明確にするために再帰性反射シートを用いることが望ましい。
【0035】
(パネル部)
パネル部2は、図7に示すごとく、被測定者Pの身体を撮影するカメラ21と、カメラ21で撮影した身体の画像を映し出すモニタ27と、モニタ27の表示画面を操作する操作部28と、スピーカ部30とを外部に備えている。パネル部2には、図11に示すごとく、ソフトウエア又はハードウエア或いはその両方で、カメラ21で撮影された撮影画像を読み込む画像取得部22、読み込んだ撮影画像を処理する画像処理部23、身体寸法の演算等の各種演算を行う演算部24、モニタ27への出力情報を制御する表示制御部26、演算で使用する各種データ等を保存するデータベース25が構築されている。
【0036】
パネル部2は、図4に示すごとく、支持部材としてのアーム部3を介してベース部12に連結固定されている。即ち、パネル部2は体重計11の基部11cに連結固定されている。支柱13とは異なる部材であるアーム部3を介してパネル部2を体重計11に固定してあるため、撮影時に被測定者Pが動いて支柱13が揺れても、カメラ21の撮影への影響は少ない。アーム部3は下部に第一ヒンジ41を備え、第一ヒンジ41を介してベース部12に対して揺動自在である。アーム部3は、図1に示す使用時の開いた状態と、図2に示す不使用時の折り畳んだ状態との二段階に揺動する。パネル部2は下部に第二ヒンジ42を備え、第二ヒンジ42を介してアーム部3の上端部に対して揺動自在である。パネル部2は複数段階の角度調節が可能で、被測定者Pはモニタ2を見やすいようにモニタ27の向きを調節できる。アーム部3は、支柱13と同様に入れ子式に構成してあり、不使用時には図2に示すごとく、コンパクトに縮めることができる。
【0037】
(カメラ)
カメラ21は、図1、4に示すごとく、第二ヒンジ42のアーム3側の部材に埋め込まれている。このため、パネル部2の角度を調節しても、カメラ21の撮影範囲は一定である。カメラ21は、鉛直方向においては、図4に一点鎖線で示すごとく、被測定者Pの膝下から頭頂付近の範囲の撮影が可能である。この範囲であれば、バスト、ウエスト、下腹部、及び、ヒップを含んだ被測定者Pの正面姿勢及び側面姿勢を撮影できる。また、水平方向においては、図3に一点鎖線で示すごとく、支柱13及び指標部4を含め、被測定者Pの身体幅以上の範囲を撮影できる。
【0038】
画角が狭い場合は、カメラ21と体重計11との距離を大きく設定しなければ上述の撮影ができず、体格情報測定機器を設置するのに広いスペースが必要となる。このため、レンズの選定は、対象とする被測定者Pの体格や対象とする設置スペースを考慮して行う。
【0039】
(モニタ)
モニタ27は、図7、9、10に示すごとく、撮影画像や測定結果を表示する。また、現在の処理状況、メッセージ等も表示する。
【0040】
(操作部)
被測定者Pによって、バスト、ウエスト、下腹部、及び、ヒップの高さは異なる。このため、被測定者Pは、本機器の最初の使用時に、自分のバスト、ウエスト、下腹部、及び、ヒップの位置を設定する必要がある。モニタ27には、撮影画像と同時に、図7に示すごとく、各測定部位の位置を示す第一ライン51から第四ライン54が映し出されている。第一ライン51はバストの位置、第二ライン52はウエストの位置、第三ライン53は下腹部の位置(腹位)、第四ライン54はヒップの位置を示す。パネルには操作部28が備えられており、操作部28を操作して第一ライン51から第四ライン54までを、図8に示すごとく、自分の体に応じた位置に上下させることができる。例えば、モニタ27がタッチパネルであれば、操作部28を別途備える必要はない。
【0041】
(スピーカ部)
スピーカ部30は、各種スイッチの操作効果音、カメラ21の撮影時のシャッター効果音、被測定者Pへのメッセージ音等を鳴らす。
【0042】
(体格情報測定機器の動作・操作)
以下に、体格情報測定機器の動作を説明する。正確な測定を行うために、被測定者Pは裸であるか、もしくは身体に密着する衣服を身につけている。被測定者Pは、電源スイッチ15をONにして機器全体の電源を入れる。このとき、モニタ27の表示は図6のごとき表示であり、全ての数値は「0.0」である。続いて、被測定者Pが体重計11に立つと、計量部11bが体重を測定し、その結果が表示制御部26に送られ、モニタ27に体重値のみが表示される。
【0043】
体重測定のみの測定で良い場合には、ここで操作を終了し、電源スイッチ15をOFFにして電源を切れば良い。
【0044】
バスト、ウエスト、腹位、及び、ヒップの周囲寸法の測定を行いたい場合は、次のステップへ進む。カメラ21による撮影は、正面撮影、側面撮影の順に行われる。正面撮影に備え、被測定者Pはグリップ14を握り、カメラ21に対して正面姿勢をとる。起立姿勢が落ち着いたところで、被測定者Pが支柱13に備えられた図示しないリモコン式のシャッタースイッチ16を押すと、正面撮影が行われる。その撮影画像は、図7に示すごとく、すぐさまモニタ27に表示される。被測定者Pはモニタ27を確認する。被測定者Pは、問題がなければ再度シャッタースイッチ16を押す。これにより正面撮影の完了が確定され、正面撮影による撮影画像が画像取得部22に送られる。正面撮影をやり直したい場合は、シャッタースイッチ16を長押しする。撮影画像がクリアされ、もう一度正面撮影を行うことができる。
【0045】
次に、側面撮影に備えて、被測定者Pは向きを変え、カメラ21に対して側面姿勢をとる。側面撮影における姿勢は指定してある。本実施形態では、カメラ21に対して左側面を見せる姿勢とする。側面撮影時は、カメラ21に対する被測定者Pの見付幅から両腕がはみ出さないように、被測定者Pは「気をつけ」の姿勢で立つ。両腕が見付幅からはみ出さなければ、片方の手で支柱13や中桟18を握る等して起立姿勢を保持しても良い。そしてシャッタースイッチ16を押すと、側面撮影が行われる。その撮影画像も、図9に示すごとく、すぐさまモニタ27に表示され、被測定者Pはモニタ27を確認し、問題がなければ再度シャッタースイッチ16を押す。これにより側面撮影の完了が確定され、側面撮影による撮影画像が画像取得部22に送られる。側面撮影をやり直したい場合は、シャッタースイッチ16を長押しする。撮影画像がクリアされ、もう一度側面撮影を行うことができる。
【0046】
シャッタースイッチ16は、手元の操作だけで良いため、被測定者Pの起立姿勢が崩れにくい。撮影画像の決定や撮影画像のクリアのための専用ボタン等をシャッタースイッチ16と共にリモコンに備えても良い。なお、シャッタースイッチ16はリモコン式でなくても良い。例えば、支柱13の被測定者Pの側に備えても良い。
【0047】
正面撮影と側面撮影とが完了すれば、被測定者Pは、体重計11に備えられた演算開始スイッチ17を押す。演算開始スイッチ17は、例えば図1に示すごとく、載荷部11aの表面に備えられており、足の指で操作可能である。演算開始スイッチ17は支柱13に備えてあっても構わない。演算開始スイッチ17がONになると、画像処理部23は画像取得部22から正面姿勢と側面姿勢の画像データを取得し、各種画像処理を実行する。具体的には、画像データから、被測定者Pの正面姿勢及び側面姿勢の両方の身体ラインと、標識部とを認識する。この間、モニタ27には「処理実行中」等の文字が表示され、スピーカ部30からその旨がアナウンスされる。身体ラインと標識部とが認識されると、身体ラインのデータ及び標識部のデータは演算部24に送られる。
【0048】
認識が失敗した場合は、モニタ27には「読込エラー。もう一度撮影を行って下さい。」という文字が表示され、スピーカ部30からその旨がアナウンスされる。そして、撮影画像と画像データとがクリアされ、体重を計量した直後の状態に戻る。この場合、被測定者Pは正面撮影と側面撮影とをやり直すこととなる。
【0049】
また、画像処理部23は、撮影画像の範囲を適当なサイズにカットする。例えば、被測定者Pの頭部、膝下、支柱13等はモニタ27に表示する必要がなく、これらを除外すれば、表示画面は整然として見やすくなる。
【0050】
演算部24は、測定部24aと補正部24bとを備えている。測定部24aは、画像処理部23から送られてきたデータから、各測定部位の周囲寸法を演算する。体重計11の中心付近に立つ対象物の実際の直線寸法と、撮影画像上での対象物の直線寸法との比率が測定部24aに予め設定されている。測定部24aは、上述の比率と画像処理部23から送られてきた身体ラインのデータとから、第一ライン51から第四ライン54が示す各測定部位の実際の正面姿勢及び側面姿勢の直線寸法を演算する。
【0051】
さらに、測定部24aは、演算した直線寸法を用いて、所定の相関式等に基づいて、各測定部位の周囲寸法を算出する。相関式としては、例えば、各測定部位の正面姿勢時及び側面姿勢時の直線寸法を夫々長軸及び短軸の長さとする楕円形に各測定部位の断面を近似して、その周囲寸法を求めるものがある。勿論、周囲寸法の演算はこれに限られるものではなく、例えばデータベース25に各測定部位の直線寸法と周囲寸法との相関を示すマップを備え、このマップに基づいて各測定部位の周囲寸法を取得してもよい。
【0052】
また、測定部24aは、画像処理部23から送られてきた指標部4のデータから、各指標部4とカメラ21との離間距離を演算する。四箇所の指標部とカメラ21との夫々の離間距離からカメラ21と指標部4との相対位置関係及び相対角度を演算する。カメラ21と指標部4との相対位置及び相対角度が、初期設定と異なる場合は、測定部24aの演算結果に誤差が生じる。補正部24bは、この相対位置及び相対角度に基づいて、測定部24aが演算した各測定部位の直線寸法に補正を加える。この補正は、三箇所の標識部があれば可能である。
【0053】
演算部24による各測定部位の周囲寸法の値は表示制御部26に送られる。表示制御部26は、モニタ27の表示を「処理実行中」から、図10に示すごとき測定結果の表示に切り替える。なお、測定結果は、日付及び時間と共にデータベース25に保存される。
【0054】
複数の人間が使用できるよう、複数の被測定者Pの第一ライン51から第四ライン54のデータを保存でき、操作部28の操作等によりそれらのデータを呼び出せるよう構成してあっても良い。
【0055】
(体格情報の管理)
図11に示すごとく、パネル部2にはスロット29が備えられており、データベース25に保存されたデータを記録媒体で外部に取り出すことが出来る。そのデータをパソコンCに取り込み、専用のソフトを使用すれば、図12に示すごとく、以前の測定結果との比較等のデータ解析を行うことができる。
【0056】
本実施形態において、体重計が体脂肪計や体組成計等の機能を備えていても良い。体重計の上に被測定者が立つことにより、被測定者とカメラとが既知の位置関係となるという効果を得られることに変わりはない。この場合は、より総合的な体格情報の測定が可能となる。なお、体重測定の機能を有していない体脂肪計や体組成計であっても、体重計のごとく被測定者がその機器の上に立って体脂肪や体組成等を測定するものであれば、体重計の場合と同様の効果が得られる。
【0057】
(第一別実施形態)
支柱13は、図13に示すごとく、水平部材71と鉛直部材72とからなるTの字型の支柱13であっても良い。この場合は、水平部材71がグリップ14の代用となり、水平部材71の両端部と鉛直部材72との三箇所に指標部4を備えれば良い。この場合、正面撮影時及び側面撮影時に、支柱は身体ラインとは重ならず、測定には影響がない。支柱13は載荷部11aを貫通して基部11cに固定されている。載荷部11aと支柱13とは物理的に離間しており、測定には何の影響もない。
【0058】
(第二別実施形態)
支柱13は、図14に示すごとく、被測定者Pを挟んでパネル部2と反対側に備えてあっても良い。この場合は、被測定者Pは支柱13もしくは中桟13aに背中を沿わせ、起立姿勢を保持する。身体のラインに両腕が重ならないようにするために、両手を頭の後で抱えるか、支柱13の高い位置を握る等する。標識部4が身体の影とならないよう、指標部を支柱から外側方へ持ち出している。ただし、指標部4を支柱13に備えても良い。この場合、少し手間は掛かるものの、体重を測定する前に支柱13のみを撮影すれば良い。
【0059】
(第三別実施形態)
上述の実施形態では、支持部材としてのアーム部3と支柱13とを別の部材として夫々体重計11に固定していた。しかし、この構成に限られるものではない。支柱13が揺れたりせず、カメラ21による撮影が正常に行えるのならば、例えば、図16に示すごとく、支柱13とアーム部3とを一体的に構成しても良い。支柱13は載荷部11aを貫通して基部11cに固定されている。載荷部11aと支柱13とは物理的に離間しており、測定には何の影響もない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、被測定者の身体を撮影する撮影部を備え、撮影された画像に基づいて身体の寸法を演算し、被測定者に身体の体格情報を提供する体格情報測定機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
3 アーム部(支持部材)
4 指標部
11 体重計
13 支柱
21 カメラ(撮影部)
24 演算部
P 被測定者
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体重計と、
該体重計に支持部材を介して固定され、被測定者の身体を撮影する撮影部と、
該撮影部により撮影された前記身体の撮影画像に基づいて、前記身体の寸法を演算する演算部とを備えた体格情報測定機器。
【請求項2】
前記体重計に固定され、前記被測定者が起立姿勢を保持するのを補助する支柱を備えた請求項1に記載の体格情報測定機器。
【請求項3】
前記支柱を前記撮影部と前記被測定者との間に配置した請求項2に記載の体格情報測定機器。
【請求項4】
前記体重計に固定され、前記撮影画像へ映り込む指標部を備えた請求項1から3の何れか一項に記載の体格情報測定機器。
【請求項5】
前記指標部を前記支柱に設けた請求項4に記載の体格情報測定機器。
【請求項1】
体重計と、
該体重計に支持部材を介して固定され、被測定者の身体を撮影する撮影部と、
該撮影部により撮影された前記身体の撮影画像に基づいて、前記身体の寸法を演算する演算部とを備えた体格情報測定機器。
【請求項2】
前記体重計に固定され、前記被測定者が起立姿勢を保持するのを補助する支柱を備えた請求項1に記載の体格情報測定機器。
【請求項3】
前記支柱を前記撮影部と前記被測定者との間に配置した請求項2に記載の体格情報測定機器。
【請求項4】
前記体重計に固定され、前記撮影画像へ映り込む指標部を備えた請求項1から3の何れか一項に記載の体格情報測定機器。
【請求項5】
前記指標部を前記支柱に設けた請求項4に記載の体格情報測定機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−184073(P2010−184073A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31440(P2009−31440)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
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