体液から治療上有効なタンパク質であるインターロイキン−1受容体拮抗薬を産生するための方法
【課題】確実で安価かつ迅速に実施できる選択肢として、従来の薬剤製品を利用し調製できるIL-1Ra調製方法および調製手段を用意する方法を提供する。
【解決手段】注射器の内部構造は特別な材料、特にガラス、プラスチック、石英および/またはコランダム、からなり、その表面は特にエッチング剤、例えば酸または苛性アルカリ溶液、特にクロム硫酸で改質され、引き続きエッチング剤の除去と注射器の洗浄後に場合によっては注射器内部構造の表面が、特に加圧熱処理によって、滅菌される。引き続き注射器に患者の体液を充填し、インキュベートして、その際にIL-1Raが形成される。
【解決手段】注射器の内部構造は特別な材料、特にガラス、プラスチック、石英および/またはコランダム、からなり、その表面は特にエッチング剤、例えば酸または苛性アルカリ溶液、特にクロム硫酸で改質され、引き続きエッチング剤の除去と注射器の洗浄後に場合によっては注射器内部構造の表面が、特に加圧熱処理によって、滅菌される。引き続き注射器に患者の体液を充填し、インキュベートして、その際にIL-1Raが形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予防上または治療上有効なタンパク質を調製するための方法、その際に使用される手段、特に注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
エリスロポエチン、インスリンまたはインターフェロン等の治療上有効なタンパク質は以前から知られている。これらタンパク質の多くはすでに薬剤として認可されていて、頻繁に利用される。しかしこれらの薬の開発、認可に伴う費用が高いので、治療上有効なタンパク質を調製するための簡単で安価な選択肢が求められている。しかも、治療上有効なすべてのタンパク質が薬剤として認可されているのではなく、そのようなタンパク質であっても、患者に投与したいとの要望がしばしば生じる。その際、生体適合性がよいと推測される自己タンパク質、すなわち生体固有のタンパク質が特に重要である。これらのタンパク質にはインターロイキン1受容体拮抗薬、インターロイキン4、インターロイキン10、腫瘍壊死因子受容体I型またはII型が含まれる。しかも生体固有のタンパク質は、グリコシル化(糖鎖付与)等の自然な翻訳後修飾がすでに存在している利点を有する。通常入手可能な大抵の組換えタンパク質の場合には、これらが原核宿主中で生成されるので、それに該当しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
粘着性免疫グロブリンGで単球を刺激してインターロイキン1受容体拮抗薬を形成することはArend、LeungのImmunological Reviews (1994) 139, 71 - 78およびMooreらのAm. J. Respir. Cell Mol. Biol. (1992) 6, 569 - 575に述べられている。AndersenらはAutoimmunity (1995) 22, 127 - 133で、免疫グロブリンGのin vivoに観察される治療効果は、インターロイキン1受容体拮抗薬が強力に形成されることに帰すことができ、単球によるインターロイキン1受容体拮抗薬(IRAP, IL-1Ra)のin vitro形成は、ポリプロピレンに吸着される血清・血漿成分に依存して起きると述べている。治療において吸着血清・血漿成分を治療上利用して治療上興味あるタンパク質の形成を刺激することは、費用がかかるだけでなく、血清・血漿成分を汚染させていることのある感染粒子による汚染の虞も含んでいる。吸着血清・血漿成分を使用することなく治療で直接利用可能なIL-1Raを調製するための方法は、上記刊行物に述べられてはいない。
【0004】
つまり本発明の根底にある技術的課題は、確実で安価かつ迅速に実施できる選択肢として、従来の薬剤製品を利用し調製できるIL-1Ra調製方法および調製手段を用意することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこの課題を、ガラス、石英またはプラスチックからなる注射器内でIL-1Raを調製するための方法を用意し、注射器に生体、例えば人間または動物、の体液を充填してインキュベートし、IL-1Raを形成することによって解決する。
【0006】
本発明の好ましい実施形態において注射器の内部構造は特別な材料、特にガラス、プラスチック、石英および/またはコランダム、からなり、その表面は本発明の特別好ましい実施形態において、特にエッチング剤、例えば酸または苛性アルカリ溶液、特にクロム硫酸で改質され、引き続きエッチング剤の除去と注射器の洗浄後に場合によっては注射器内部構造の表面が、特に加圧熱処理によって、滅菌される。引き続き注射器に患者の体液を充填しインキュベートして、その際にIL-1Raが形成される。タンパク質濃度の増大した体液は次に再び患者に、例えば病んだ関節内に、注入することができる。しかし体液は、好ましくは、形成されるIL-1Raの純度を高めるために遠心分離され、上澄液を無菌濾過して、アリコートに区分して、後の治療のため保管される。つまり本発明の好ましい実施形態において第1工程として、注射器内部構造の表面が、特に酸または苛性アルカリ溶液等のエッチング剤、特にクロム硫酸によって改質され、次に望ましい場合には、注射器内部構造の表面が、特に加圧熱処理によって滅菌される。滅菌前および/または滅菌後、乾燥することができる。改質と場合によって行われる滅菌後、注射器は第2工程において体液、特に血液、リンパ液、唾液または尿を充填されインキュベートされる。体液は好ましくは患者から注射器で直接取り出される。注射器内部構造の、好ましくは改質された表面が体液中で特異的に、使用材料に応じて、即ち注射器の内部構造改質、特に内部構造のエッチング、滅菌、特に加圧熱処理、使用体液等の要因に応じ、異なる程度にIL-1Raの形成を誘導する。かくしてIL-1Raは、注射器内に存在する体液中で濃縮されもしくは形成される。こうして濃縮された体液は注射器内で滅菌保管し、必要に応じて患者に直接、他の措置を要することなく、または好ましくは遠心分離および/または無菌濾過後に、再び供給することができる。
【0007】
つまり本発明は人間または動物の身体の予防措置または治療措置、例えばリウマチ、関節症および/または背痛の措置を行うための方法にも関しており、人間または動物の身体から体液、例えば血液が本発明により注射器によって採取され、この体液が注射器内でインキュベートされ、その際にIL-1Raが形成または濃縮され、この注射器によって体液が同じまたは別の人間または動物の身体に再び供給される。
【0008】
形成されるIL-1Raは有利には修飾し、例えば糖鎖形成しておくことができる。本発明は、短縮形状、突然変異体またはその他の誘導体等の、IL-1Raの他の修飾体または変異体の形成も当然に扱う。
【0009】
本発明に関連して注射器の内部構造とは、注射器のうちその内部、すなわち試料受容領域内にあって被受容体液と接触しうる領域または構造のことである。特別有利には、注射器の内部構造はその内側表面、好ましくは、表面積を拡大させるための構造化を有する表面である。本発明は当然に、市販注射器の内部空洞を特別に形成することなく用いても実施することができる。その場合、内部構造は注射器シリンダの内面とこのシリンダ内にあるピストン部分である。特に好ましい実施形態において内部構造は、注射器の内側表面を拡大して一層大きな誘導表面を提供するために、注射器内部空間に入れられる粒子、球、ビーズ、ゲル、ガラスウール、コランダム、石英、砂、プラスチックまたはガラスの顆粒もしくは粉または類似物等の物品によって付加的に形成しておくことができる。内部構造を構成する材料または内部構造に含まれた材料は、注射器の残部を構成する材料とは別の材料とすることができる。例えば注射器はプラスチックで構成することができ、またその内部構造の諸部分は例えばガラス顆粒製とすることができる。
【0010】
例えば直径1〜5mmのガラスビーズ等のこのような付加的構造は、本発明の好ましい実施形態によれば、使用注射器の内部容積の50%を超えるべきではない。使用注射器は例えば10〜100mlの注射器とすることができる。
【0011】
本発明に関連して注射器内部構造の改質表面とは、エッチング剤で処理されて人間または動物の体液中でIL-1Raの形成を誘導および/または強化することのできる表面のことである。改質表面は純度がきわめて高く、すなわち不純物が殆どなくまたはまったくなく、および/または表面特性および/または表面構造が化学的/物理的に変化していることが重要である。内部構造の改質表面をもたらすために、好ましくは、苛性アルカリ溶液または酸、例えばクロム硫酸、特に20〜80%、特別好ましくは50%クロム硫酸が使用される。注射器は好ましくは5〜30分間エッチング剤、特にクロム硫酸でインキュベートされる。
【0012】
エッチング剤の除去後、好ましくは1回以上の洗浄工程と場合によっては好ましくは滅菌、例えば加圧熱処理、特に圧力1〜5バール、100℃〜150℃で20〜60分間の加圧熱処理を施すことができる。洗浄後、そして加圧熱処理の前および/または後に、場合によってはさらに1回以上の乾燥工程を60〜150℃、好ましくは80℃で30〜120分間、例えば乾燥オーブン内で行うことができる。
【0013】
本発明の特に有利な構成では、注射器、特に注射器の内部構造が、ガラス、石英ガラス、コランダム、石英、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等のプラスチックまたは類似の物質から製造されており、すなわちこれらの物質からなり、またはこれらの物質またはそれらの混合物を実質的に含有している。
【0014】
意外なことに本教示の範囲内で、ガラスからなる注射器および/またはガラス、特にガラス顆粒からなる内部構造が特別強い誘導作用を有することを示すことが判明した。
【0015】
特別好ましい実施形態では処理前に、すなわち体液の除去前に、加熱ガラス、特に100℃〜210℃、特に170℃〜200℃、好ましくは180℃に加熱されたガラスが使用され、このガラスは当然に本発明による使用前に冷却される。特別好ましい実施形態ではガラスはガラス粉またはガラス顆粒の態様とすることができる。
【0016】
しかし内部構造は、例えば水中の懸濁液状態の石英、例えば石英粉または石英砂および/またはコランダムで構成することができ、またはこれらを含むことができる。
【0017】
特別好ましい実施形態ではこれらの物質は、場合によっては改質が行われたのち、特にエッチング後、そして場合によっては滅菌されたのち、IL-1Ra誘導特性を有する。
【0018】
本発明の他の好ましい実施形態では、改質可能かつ滅菌可能な被覆が注射器の内部構造に備えられ、引き続き改質が、もしくは場合によっては滅菌も、行われる。
【0019】
本発明は、誘導、特に表面誘導によって調製可能な自己IL-1Raを調製することができ、こうして調製された態様で、すなわち注射器内にある液の別の成分と一緒に患者に直接、すなわち例えば別容器への入れ替え等の他の操作を要することなく、再び投与できる簡単に実施可能な方法が提供される点で有利である。好ましい実施形態では、形成されたIL-1Raを投与する前に、固形成分を分離するために遠心分離および/または無菌濾過することができる。それゆえに、市販のしばしば高価な薬剤の使用は不要となる。最後に、患者の外部で行われる薬剤調製によりIL-1Raの汚染、汚れ、感染等が避けられる点で、本発明は有利であることが実証された。
【0020】
つまり本発明の特別好ましい実施形態においては、インターロイキン1受容体拮抗薬を調製するための方法であって、注射器の内部構造は特別に処理された材料、特にガラス、石英またはプラスチックからなり、注射器内部構造の表面は特にエッチング剤、特にクロム硫酸によって改質されており、場合によっては引き続き注射器内部構造の表面は、特に加圧熱処理によって、滅菌されており、注射器は体液、好ましくは血液を充填されてインキュベートされ、体液中でIL-1Raが形成されて濃縮される。特に注射器内部構造表面の特別な改質、特にエッチングと、特別な表面滅菌、特に加圧熱処理とに基づいて、本発明による注射器は、血液中に存在する単球を刺激してIL-1Raを形成させることができ、血液中でIL-1Raが濃縮される。注射器内にある血液は本発明の1実施形態においてインキュベーション後、すなわちIL-1Raの濃縮後に直接、例えば入れ替え等の他の操作を要することなく、注射器に注入された血液が採取された患者に再び供給することができる。
【0021】
本発明の特別好ましい実施形態において、細胞等の固形成分を分離するために有利には注射器内にある血液の遠心分離および/または無菌濾過をすることができる。引き続き場合によってはアリコートされる。つまり本発明は、特別に改質され滅菌され特別に加圧熱処理された内部構造表面を装備した注射器によって患者から血液が採取され、この血液が注射器内でインキュベートされ、IL-1Ra形成後に同じ患者または別の患者に注射器で再び供給できることも予定している。このような処理方式は例えば神経整形外科分野において、すなわち例えば神経に起因した背痛の場合に特別有利である。このような苦痛の治療には従来、椎間板手術、コルチゾン治療、塩類溶液等による洗浄が検討されたにすぎない。IL-1Ra、すなわち特に自己IL-1Raを本発明により用意すると、リウマチや関節症の治療も特別簡単安価かつ効率的に可能となる。
【0022】
本発明の他の実施形態では、注射器の内部構造が付加的に抗凝固剤、特にヘパリン、クエン酸塩、EDTA、CPDMまたはCPDAで被覆される。意外なことに本教示の枠内で、ヘパリンを抗凝固剤として使用すると良好な誘導を達成できることが判明した。本発明によれば、抗凝固剤を被覆としてではなく容器内で遊離状態で使用し、例えば凍結乾燥状態または液状態で注射器に入れることもできる。
【0023】
しかし本発明の特別好ましい実施形態においては、注射器内で抗凝固剤、特にヘパリンは使用されない。そのことからインキュベーションが一層向上する。
【0024】
本発明は他の好ましい実施形態において、注射器内での体液のインキュベーションが12〜72時間、好ましくは24時間にわたって好ましくは室温で、つまり20℃〜41℃、特に37℃で実施される。
【0025】
本発明は本発明の1構成において、治療上または予防上有効なタンパク質を体液中に形成後、体液を継続処理して例えば特定成分、例えば血漿または血小板を体液から分離することも予定している。本発明の好ましい実施形態においてこの分離は遠心分離または濾過によって行うことができる。
【0026】
本発明は他の実施形態において、予防上または治療上有効なタンパク質、特にインターロイキン1受容体拮抗薬をin vitro誘導するのに適した注射器を製造するための方法に関しており、この注射器は注射器内部構造を特別に処理された材料、特にプラスチックまたはガラスとする特徴を有する。特に本発明によれば、注射器内部構造の表面がエッチング剤、特に苛性アルカリ溶液または酸で、特にクロム硫酸を用いて、エッチングされる。エッチング剤の除去と注射器の洗浄後、内部構造の表面は滅菌、特に加圧熱処理することができる。好ましくはガラスから製造される注射器は、その使用前に例えば100℃〜210℃、特に170℃〜200℃に加熱することもできる。
【0027】
本発明は、このように製造された注射器、特別好ましい実施形態においてガラス、石英またはプラスチック、特にポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンまたはポリプロピレンから製造された注射器にも当然関しており、この注射器は、特にガラス、石英またはプラスチックから製造された注射器内部構造の特別な処理に特徴があり、この処理はエッチング剤の作用によって実施される。好ましくは注射器は使用前に、好ましくは100℃〜210℃、例えば170℃〜200℃に加熱される。
【0028】
本発明は、好ましくは石英、ガラスまたは合成樹脂、特にポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンからなる本発明による注射器内部構造の表面を改質して、予防上または治療上有効なタンパク質、好ましくはインターロイキン1受容体拮抗薬をin vitro誘導する際の、苛性アルカリ溶液または酸、特にクロム硫酸の使用にも関する。
【0029】
本発明は、前記方法において使用することへの、すなわち特に容器内、例えば注射器内でIL-1Raを形成するためのインキュベータとして使用することへの、表面積を拡大する装置もしくはガラス粉、ガラス顆粒、石英粉、石英砂、コランダム、小球、ビーズ、砂等の物質の使用にも関する。
【0030】
本発明のその他の有利な諸構成は従属請求項から明らかとなる。
【実施例】
【0031】
本発明は図と実施例とに基づいて詳しく説明される。
【0032】
実施例1:顆粒を有するガラス製注射器の製造と使用
図1に示す50ml注射器1は、ガラス製(Fortuna Optima、商品番号7.102.-44。以下において特記しない場合、すべての実施例でこの注射器が使用された。)であり、ピストン3とねじで弛めることのできる栓5と栓突片13(雄 Luer)とこの栓突片13上に配置されてこれを密閉する取外し可能なキャップ7と隔膜とを有する。ピストン3は目標破断個所15を有する。ピストンの取外し後に注射器を直接に遠心分離することが可能である。ガラスからなる顆粒9(Roth社のガラスビーズ、商品番号A557.1)も図示されている。顆粒粒子9の大きさは直径1〜3mmであるが、より小さな粒子、特に100μmよりも大きな粒子、例えばガラス粉も使用することができる。ピストンに目標破断個所を持たない例えばガラス製またはプラスチック製の注射器も使用することができる。
【0033】
注射器1を製造するために、新品の製造元包装注射器1の内部構造表面と新品の製造元包装顆粒9の表面を、市販のクロム硫酸調製品を注射器に入れ、注射器内壁、すなわちシリンダ内壁とピストン、従って顆粒をエッチングすることによって改質する。注射器は50%クロム硫酸(Merck、ダルムシュタット、商品番号1.02499.2500のクロム硫酸を生体用クロム超純水Ultra Pure Water No.L0040で希望する希釈度まで希釈する)を1回乃至10回、好ましくは3回、完全に吸い上げ排出することによって処理され、清浄化もしくは改質される。最後の吸い上げ後、注射器は下側を密封され、充填状態で5〜30分間クロム硫酸とインキュベートされる。引き続き注射器ピストンを取り外し、注射器シリンダの完全充填と排出とによって2回乃至10回、好ましくは4回、新鮮純水で完全洗浄する。その際、洗浄水が完全に注入排出されるよう注意しなければならない。次に注射器ピストンを50%クロム硫酸に浸漬し、蒸留水で完全に洗浄する。
【0034】
注射器内に残っていることのある残水は、注射器の迅速な乾燥を保証するために、ルエル接続口を軽くはたいて毛管現象により吸い取る。相互に分離されたピストンと注射器は、そのなかに含まれていることのあるガラスビーズも含めて、指示薬範囲付きメラークフィルム(Melag, Melafol 1502)に封入される(Melag, Melaseal)。こうして包装された注射器は乾燥箱(メラーク乾燥滅菌器)において80℃で少なくとも60分間乾燥する。乾燥された包装済み注射器は引き続き2バール、132℃で30分間加圧熱処理し(Wolf Autoclav HRM 242 II)、80℃で少なくとも60分間再度乾燥する。
【0035】
採血前に(下記参照)、後に入れられる血液の凝固を防止するためにヘパリン(Liquemin N 2500、ヘパリンナトリウム2500 I.E.)またはクエン酸塩(ACDA)が注射器に入れられる。凝固剤の使用はIL-1Ra含有血清を精製するとき有利であることを実証できる。
【0036】
注射器1は、ねじを弛めて取外し可能なキャップ7を図示しないチューブによって図示しないカニューレに接続する図示しないアダプタを利用して患者の血液を採取する形で利用される。アダプタは針を有し、栓突片13内にある隔膜にこの針を穿通する。引き続きアダプタが取り外され、隔膜が自動的に閉じたのち取外し可能なキャップ7を保持しながら37℃で24時間、全血のインキュベーションが行われる。インキュベーションは立てた状態または横にした状態で行うことができる。インキュベーションが立てた状態で行われる場合、血漿は隔膜と滅菌補助フィルタ(0.2μm)とを通して取り出される。付加的に、または選択的に、遠心分離を入れることができる。インキュベーションが横にした状態で行われる場合、血液は遠心分離され、血漿は滅菌補助フィルタ(0.2μm)を通して取り出す。遠心分離を行うことなく隔膜を通して血漿を取り出すこともできる。引き続き血漿は例えば患者の神経根または関節に注入される。
【0037】
実施例2:顆粒を有するプラスチック製注射器の製造と使用
この実施例ではポリスチレン、ガラスまたはその他の改質可能および/または滅菌可能な材料からなる滅菌顆粒が使用される。顆粒の表面は市販のクロム硫酸調製品を使って実施例1に述べた回分法で改質される。引き続き顆粒は水で洗浄して残留クロム硫酸を洗い落とす。次に顆粒を圧力2バール、121℃で少なくとも20分間インキュベートして滅菌し、水で飽和させる。引き続き顆粒は80℃で20分間乾燥させられる。
【0038】
慣用の改質されていない新品の製造元包装ポリプロピレン製注射器(50ml、Becton Dickinson、ハイデルベルク、品番00137)に、改質滅菌顆粒(1、2、4または10cm3)と、ヘパリン(Liquemin、ヘパリンナトリウム2500 I.E.)またはクエン酸塩(例えばACDA)等の十分な量の抗凝固剤が充填される。
【0039】
充填された注射器は取出しカニューレおよびチューブも含めて包装され、引き続きγ線または電子線で滅菌される。
【0040】
使用者は滅菌器具一式を取り出し、患者から血液を採取する。注射器が栓突片の穴に隔膜を備えており、採取のために隔膜に取出し付属品、つまりアダプタの針を穿通する。アダプタを取り外すと隔膜は再び自動的に閉じる。採血後、注射器のピストンは目標破断個所で折り取られる。
【0041】
血液の入った注射器は37℃〜41℃で24時間インキュベートされる。
a)インキュベーションが立てた状態で行われる場合、血漿は隔膜と例えば0.2μmの滅菌補助フィルタとを通して取り出される。
b)インキュベーションが横にした状態で行われる場合、注射器の遠心分離後、血漿は例えば0.2μmの滅菌補助フィルタを通して取り出す。
【0042】
血漿の注入は例えば神経根で、特に関節内にまたは椎間板内に行われる。
【0043】
実施例3:顆粒なしの注射器の製造と使用
改質可能かつ殺菌可能な材料からなる新品の製造元包装注射器(5、10、20または50ml)が、図1に述べたようにクロム硫酸で改質され、引き続き加圧熱処理され乾燥させられる。注射器は好ましくはガラス、ポリスチレンまたは特殊に改質可能な別の材料からなる。
【0044】
改質して滅菌された注射器には、十分な量のヘパリン(Liquemin、ヘパリンナトリウム2500 I.E.)またはクエン酸塩(ACDA)が充填される。
【0045】
充填された注射器は取出し後、カニューレおよびチューブも含めてγ線または電子線で滅菌される。
【0046】
施術者は滅菌器具一式を取り出し、患者から血液を採取する。注射器が穴に、栓突片内に入れられた隔膜を備えており、採取のために隔膜に取出し付属品、つまり針を有するアダプタを穿通する。アダプタを取り外すと隔膜は再び自動的に閉じる。採血後、注射器のピストンは目標破断個所で折り取る。
【0047】
血液の入った注射器は37℃〜41℃で24時間インキュベートされる。
a)インキュベーションが(例えば試験管台内で)立てた状態で行われる場合、血漿は隔膜を通して取り出され、例えば0.2μmの滅菌補助フィルタによって濾過が行われる。
b)インキュベーションが横にした状態で行われる場合、注射器の遠心分離後、血漿は例えば隔膜を通して取り出し、その際、例えば0.2μmの滅菌補助フィルタで濾過する。
【0048】
血漿の注入は例えば神経根で、または関節内にまたは椎間板内に行われる。
【0049】
実施例4:ヘパリンを使用して注射器内でのインターロイキン1受容体拮抗薬の製造
市販されているガラス製新品の製造元包装注射器にクロム硫酸が充填され、実施例1で述べたように室温で20分間インキュベートされた。引き続き注射器は蒸留水で4回洗浄して包装し、圧力2バール、131℃で30分間加圧熱処理し、100℃で30分間乾燥した。
【0050】
改質と滅菌の終了後、注射器は一時貯蔵される。薬事法の規定を満たすヘパリン(Liquemin、ヘパリンナトリウム 2500 I.E.)が抗凝固剤として注射器に吸い上げられる。
【0051】
引き続き患者の静脈から被覆済み注射器で滅菌採血される。
【0052】
注射器は室温で12〜72時間インキュベートされる。この時間内に血漿に含まれたタンパク質、特にインターロイキン1受容体拮抗薬の強力濃縮が血漿中で起きる。インターロイキン1受容体拮抗薬の1〜50ng/mlの濃縮を確認することができた。
【0053】
引き続き被覆注射器で血液または血漿が患者に注入される。
【0054】
実施例5:ヘパリンを使用することなく注射器内でのインターロイキン1受容体拮抗薬の製造
市販ガラス製新品の製造元包装注射器にクロム硫酸を充填し、実施例1で述べたように室温で20分間インキュベートする。引き続き注射器は蒸留水で4回洗浄して包装し、圧力2バール、131℃で30分間加圧熱処理し、100℃で30分間乾燥する。
【0055】
改質と滅菌の終了後、注射器は一時貯蔵する。
【0056】
引き続き患者の静脈から注射器で滅菌採血される。
【0057】
注射器は室温で12〜72時間インキュベートされる。この時間内に血漿に含まれたタンパク質、特にインターロイキン1受容体拮抗薬の強力濃縮が血漿中で起きる。インターロイキン1受容体拮抗薬の1〜50ng/mlの濃縮を確認することができた。
【0058】
引き続き希釈血液または培養上澄液が患者に注入される。
【0059】
実施例6:顆粒を使ったポリスチレン製マイクロタイタープレート内でのIL-1Raの製造
顆粒を製造するために新品の製造元包装顆粒が回分法で市販のクロム硫酸調製品を使って改質される。すなわち、顆粒を容器(例えば250mlガラスビーカーXXX等)に入れ、これに50%クロム硫酸調製品(Merck、ダルムシュタット、商品番号1.02499.2500のクロム硫酸を生体用クロム超純水Ultra Pure Water No.L0040で希望する希釈度まで希釈する)が添加され、顆粒が処理され、その際に清浄化もしくは改質される。顆粒はクロム硫酸で5〜60分間インキュベートされる。
【0060】
引き続きクロム硫酸が除去され、球は新鮮な純水で2乃至10回洗浄される。最後洗浄の前には、純水と洗浄水とのpH値および伝導率が等しくなるようにする。
【0061】
引き続き顆粒はガラスビーカー(例えば250mlガラスビーカーXXX等)内で2バール、132℃で30分間加圧熱処理され(Wolf Autoclav HRM 242 II)、60℃〜100℃、好ましくは80℃で30分間乾燥する。また顆粒を120℃〜210℃、好ましくは180℃で30分間加熱滅菌してもよい(メラーク乾燥滅菌器)。
【0062】
採血に際しては、後に入る血液の凝固を防止するためにEDTA、クエン酸塩、CPDA、CPDMまたはヘパリンを使ったSarstedt Monovettenが利用される。
【0063】
3〜12個のガラスビーズがマイクロタイタープレート(Nunc、品番 150 687)の穴ごとに入れられ、取出し後極力速やかに1mlの血液が添加される。
【0064】
24時間のインキュベーション(37℃、5%CO2)(Hereausインキュベータ)後、血餅を1晩沈降させ、300μl血清が、固形成分を巻き上げたり吸収したりすることなく取り除かれ、IL-1Raタンパク質濃度が測定される(ELISA、R&D、ヴィースバーデン、Quantikine Human IL-1Ra)。
ガラス顆粒の技術データ
1.1 Roth
寸法 2.85〜3.3
材料 化学組成は下記参照
化学組成(%)
SiO2 68
CaO 3
BaO 6
K2O 8
Na2O 10
Al2O3 1
B2O3 2
無鉛
1.2 SiLi 5506/89-6
寸法 2.3〜2.5mm
材料 ホウケイ酸塩ガラス
処理 1. 研削法
2. 研磨法
化学組成(%)
SiO2 82
Na2O 2
Al2O3 2
B2O3 14
比重(kg/dm3) 223
モース硬さ 7
線膨張率(20〜300℃) 325
加水分解等級(DIN ISO 719) 1
酸等級(DIN 12116) 1
苛性アルカリ溶液等級(DIN ISO 695) 2
転換温度(℃) 530
1.3 SiLi 5004/99-5
寸法 2.5mm
材料 ソーダ石灰ガラス
処理 加圧法
化学組成(%)
SiO2 67
Na2O 16
CaO 7
Al2O3 5
B2O3 3
MgO 2
PbO なし
モース硬さ >=6
1.4 Worf
寸法 2〜3.5mm
材料 ソーダ石灰ガラス
処理 研磨して熱固化
化学組成(%)
SiO2 65
Na2O 16
CaO 7
Al2O3 5
B2O3 3
MgO 2
鉛含有量 なし
密度(g/dm3) 2.54
モース硬さ 6
加水分解等級 3
転換温度(℃) 530±10
1.5 Duran
寸法 2〜3.5mm
材料 ホウケイ酸塩ガラス
処理 1. 研削法
2. 研磨法
化学組成(%)
SiO2 81
Na2O+K2O 4
Al2O3 2
B2O3 13
密度(g/dm3) 2.23
線膨張率(20〜300℃) 3.25
加水分解等級(DIN ISO 719) 1
酸等級(DIN 12116) 1
苛性アルカリ溶液等級(DIN ISO 695) 2
転換温度(℃) 525
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は、本発明による注射器を略示図で示す。 図2〜図12は、本発明により使用される注射器内でさまざまな条件のもとでのIL-1Ra形成を示す。
【図2】ガラス顆粒使用時と未使用時のガラス製注射器内でのIL-1Raの産生 (方法):IL-1Raの産生:実施例1に述べたガラス製注射器を使用して、患者で測定。 ガラス球:Roth、クロム硫酸で処理し洗浄し加圧熱処理。 RLW:空試験値。取出し時(IL-1Ra産生前)のIL-1Ra濃度。 (結果):ガラス顆粒を添加するとIL-1Ra産生が高まる。
【図3】抗凝固剤使用時と未使用時のガラス製注射器内でのIL-1Raの産生 (方法):IL-1Raの産生:実施例1に述べたガラス製注射器を使用して、患者で測定。 ガラス球:Roth、クロム硫酸で処理し洗浄し加圧熱処理。 CPDM:クエン酸塩・リン酸塩・デキストロース・マンニット CPDA:クエン酸塩・リン酸塩・デキストロース・アデニン (結果):さまざまな抗凝固剤を添加するとIL-1Ra産生の効率がさまざまな程度に影響を受ける。
【図4】抗凝固剤使用時と未使用時のマイクロタイタープレート内でのIL-1Raの産生 (方法):IL-1Raの産生:実施例6に述べたマイクロタイタープレートを使用。患者で測定。 ガラス球:Duran、クロム硫酸で処理し洗浄し加圧熱処理。1mlの全血に12個の球が添加された。 RLW:空試験値。取出し時(IL-1Ra産生前)のIL-1Ra濃度。 (結果):さまざまな抗凝固剤を添加するとIL-1Ra産生の効率がさまざまな程度に影響を受ける。
【図5】患者集団内でガラス顆粒使用時にガラス製、プラスチック製注射器内でのIL-1Ra産生 (方法):IL-1Raの産生:実施例1、2に述べたガラス製注射器を使用。整形外科患者集団内で測定。 ガラス球:Roth、クロム硫酸で処理し洗浄し加圧熱処理。 (結果):ガラス製注射器内でもプラスチック製注射器内でもIL-1Raを産生することができるが、ガラス製注射器内でのIL-1Ra産生の効率が著しく高い。
【図6】患者集団内でガラス顆粒使用時、未使用時にガラス製注射器内でのIL-1Ra産生 (方法):IL-1Raの産生:実施例1に述べたガラス製注射器を使用。整形外科患者集団内で測定。 ガラス球:Roth、クロム硫酸で処理し洗浄し加圧熱処理。 (結果):ガラス顆粒使用時にも未使用時にもIL-1Raはガラス製注射器内で産生することができるが、しかしガラス顆粒使用時IL-1Ra産生の効率が著しく高い。
【図7】患者集団内でガラス顆粒使用時、未使用時、そしてヘパリン使用時、未使用時にガラス製注射器内でのIL-1Ra産生 (方法):IL-1Raの産生:実施例1に述べたガラス製注射器を使用。整形外科患者集団内で測定。 (ガラス球):Roth、クロム硫酸で処理し洗浄し加圧熱処理。 (結果):ガラス顆粒使用時にも未使用時にも、そしてヘパリン使用時にも未使用時にもIL-1Raはガラス製注射器内で産生することができるが、しかしガラス顆粒使用時かつヘパリン未使用時IL-1Ra産生の効率が著しく高い。
【図8】患者集団内でガラス顆粒使用時にガラス製注射器を使用してタンパク質を産生 (方法):タンパク質の産生:実施例1に述べたガラス製注射器を使用。整形外科患者集団内で測定。 ガラス球:Roth、クロム硫酸で処理し洗浄し加圧熱処理。 TNFa:腫瘍壊死因子α IL-6:インターロイキン6 ELISA:IL-1、TNFa、IL-6濃度はR&DのKombo-Kitを利用して測定された。 (結果):上記方法によってIL-1Raが特異的に産生される。TNF-α、IL-6産生は検出することができなかった。1L-1βも産生される。IL-1Ra:IL-1β比は、産生されるIL-1Raの臨床治療効果に対する期待値は100以上とされるが(W.P. Arendら, 1998, Annu. Rev. Immo.16m 27 - 55)、自己産生IL-1Raは平均して148であるので治療上貴重である。
【図9】さまざまな量のガラス顆粒とさまざまな血液濃度とでマイクロタイタープレートを使用してIL-1Ra産生 (方法):IL-1Raの産生:実施例6に述べたマイクロタイタープレートを使用。ただし相違点として1mlのヘパリン化全血が添加されるのでなく、ヘパリン化全血は最終量が1mlとなるまでの量が添加された。 (ガラス球):Duran、クロム硫酸で処理し洗浄し加圧熱処理。 3、9、12:添加球数3、9または12個。 1x、2x、4x:RPMI 1640で1回、2回もしくは4回希釈されたヘパリン化全血。 RLW:空試験値。取出し時(IL-1Ra産生前)の希釈血液中IL-1Ra濃度。 (結果):各血液希釈時に、ガラス顆粒量を増やすとIL-1Ra産生が高まる。IL-1Ra産生の極大は球数と血液量との比、もしくはガラス表面積と血液細胞数との比によって決まる。
【図10】さまざまな量のガラス顆粒と2種類のガラス顆粒とでマイクロタイタープレートを使用してIL-1Ra産生 (方法):IL-1Raの産生:実施例6に述べたマイクロタイタープレートを使用。 ガラス球:DuranまたはWorf、クロム硫酸で処理し洗浄し加圧熱処理。 3、9、12:添加球数3、9または12個。 RLW:空試験値。取出し時(IL-1Ra産生前)のIL-1Ra濃度。 (結果):ソーダ石灰ガラス(Worfの例)でもホウケイ酸塩ガラス(Duranの例)でも球数もしくはガラス表面積を増やすとIL-1Ra産生が高まる。
【図11】マイクロタイタープレートを使用した、コランダム、石英、およびガラス顆粒の存在下におけるIL-1Ra産生 (方法):IL-1Raの産生:実施例6に述べたマイクロタイタープレート(Nunc、品番 150 687)を使用。 ガラス球:Duran、クロム硫酸で処理し洗浄し加圧熱処理。 RLW:空試験値。取出し時(IL-1Ra産生前)のIL-1Ra濃度。 コランダム:αAl2O3、懸濁液;石英:石英砂、220mg/ml;ガラスパウダー:0.2mg/ml (結果):前記ガラス顆粒の成分(ガラス顆粒の技術データ参照)である酸化シリケートまたは酸化アルミニウムをコランダムもしくは石英砂の態様で添加すると、IL-1Ra産生が高まる。
【図12】さまざまな容器材料のもとでIL-1Ra産生 (方法):IL-1Ra産生:実施例6に述べたマイクロタイタープレートを使用。 ガラス球:Duran、クロム硫酸で処理し洗浄し加圧熱処理。 RLW:空試験値。取出し時(IL-1Ra産生前)のIL-1Ra濃度。 PS:ポリスチレン、マイクロタイタープレート(Nunc社、品番:150687)。 PP:ポリプロピレン、反応容器(Sarsted社、品番:62/554.502)。 ガラス:市販の反応容器、加圧熱処理。 (結果):ガラス製容器内でもプラスチック製容器内でもIL−1Raは産生できるが、しかしガラス製容器内でのIL-1Ra産生の効率が著しく高い。 図13と図14は、使用されたエッチング剤が注射器の洗浄によって完全に除去されることを示す。
【図13】ガラス顆粒のクロム硫酸処理後における洗浄水のpH (方法):ガラス球:列記されたすべての球がクロム硫酸で処理され、各洗浄工程後にpH計でpHが測定された。純水(Biochrom 純水、品番:L 0040)で洗浄された。pH=6.0〜6.5。 (結果):クロム硫酸処理後、前記すべての球で残留酸をすべて洗浄除去できた。
【図14】ガラス顆粒のクロム硫酸処理後における洗浄水の伝導率 (方法):ガラス球:列記されたすべての球がクロム硫酸で処理され、引き続き、各洗浄工程後に伝導率計で洗浄水の伝導率が測定された。純水(Biochrom 純水、品番:L 0040)で洗浄された。伝導率=0μS。 (結果):クロム硫酸処理と洗浄後、前記すべての球で洗い落としは確認できなかった。従って、可能な発熱作用的洗い落としによってIL-1Ra誘導は排除することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、予防上または治療上有効なタンパク質を調製するための方法、その際に使用される手段、特に注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
エリスロポエチン、インスリンまたはインターフェロン等の治療上有効なタンパク質は以前から知られている。これらタンパク質の多くはすでに薬剤として認可されていて、頻繁に利用される。しかしこれらの薬の開発、認可に伴う費用が高いので、治療上有効なタンパク質を調製するための簡単で安価な選択肢が求められている。しかも、治療上有効なすべてのタンパク質が薬剤として認可されているのではなく、そのようなタンパク質であっても、患者に投与したいとの要望がしばしば生じる。その際、生体適合性がよいと推測される自己タンパク質、すなわち生体固有のタンパク質が特に重要である。これらのタンパク質にはインターロイキン1受容体拮抗薬、インターロイキン4、インターロイキン10、腫瘍壊死因子受容体I型またはII型が含まれる。しかも生体固有のタンパク質は、グリコシル化(糖鎖付与)等の自然な翻訳後修飾がすでに存在している利点を有する。通常入手可能な大抵の組換えタンパク質の場合には、これらが原核宿主中で生成されるので、それに該当しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
粘着性免疫グロブリンGで単球を刺激してインターロイキン1受容体拮抗薬を形成することはArend、LeungのImmunological Reviews (1994) 139, 71 - 78およびMooreらのAm. J. Respir. Cell Mol. Biol. (1992) 6, 569 - 575に述べられている。AndersenらはAutoimmunity (1995) 22, 127 - 133で、免疫グロブリンGのin vivoに観察される治療効果は、インターロイキン1受容体拮抗薬が強力に形成されることに帰すことができ、単球によるインターロイキン1受容体拮抗薬(IRAP, IL-1Ra)のin vitro形成は、ポリプロピレンに吸着される血清・血漿成分に依存して起きると述べている。治療において吸着血清・血漿成分を治療上利用して治療上興味あるタンパク質の形成を刺激することは、費用がかかるだけでなく、血清・血漿成分を汚染させていることのある感染粒子による汚染の虞も含んでいる。吸着血清・血漿成分を使用することなく治療で直接利用可能なIL-1Raを調製するための方法は、上記刊行物に述べられてはいない。
【0004】
つまり本発明の根底にある技術的課題は、確実で安価かつ迅速に実施できる選択肢として、従来の薬剤製品を利用し調製できるIL-1Ra調製方法および調製手段を用意することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこの課題を、ガラス、石英またはプラスチックからなる注射器内でIL-1Raを調製するための方法を用意し、注射器に生体、例えば人間または動物、の体液を充填してインキュベートし、IL-1Raを形成することによって解決する。
【0006】
本発明の好ましい実施形態において注射器の内部構造は特別な材料、特にガラス、プラスチック、石英および/またはコランダム、からなり、その表面は本発明の特別好ましい実施形態において、特にエッチング剤、例えば酸または苛性アルカリ溶液、特にクロム硫酸で改質され、引き続きエッチング剤の除去と注射器の洗浄後に場合によっては注射器内部構造の表面が、特に加圧熱処理によって、滅菌される。引き続き注射器に患者の体液を充填しインキュベートして、その際にIL-1Raが形成される。タンパク質濃度の増大した体液は次に再び患者に、例えば病んだ関節内に、注入することができる。しかし体液は、好ましくは、形成されるIL-1Raの純度を高めるために遠心分離され、上澄液を無菌濾過して、アリコートに区分して、後の治療のため保管される。つまり本発明の好ましい実施形態において第1工程として、注射器内部構造の表面が、特に酸または苛性アルカリ溶液等のエッチング剤、特にクロム硫酸によって改質され、次に望ましい場合には、注射器内部構造の表面が、特に加圧熱処理によって滅菌される。滅菌前および/または滅菌後、乾燥することができる。改質と場合によって行われる滅菌後、注射器は第2工程において体液、特に血液、リンパ液、唾液または尿を充填されインキュベートされる。体液は好ましくは患者から注射器で直接取り出される。注射器内部構造の、好ましくは改質された表面が体液中で特異的に、使用材料に応じて、即ち注射器の内部構造改質、特に内部構造のエッチング、滅菌、特に加圧熱処理、使用体液等の要因に応じ、異なる程度にIL-1Raの形成を誘導する。かくしてIL-1Raは、注射器内に存在する体液中で濃縮されもしくは形成される。こうして濃縮された体液は注射器内で滅菌保管し、必要に応じて患者に直接、他の措置を要することなく、または好ましくは遠心分離および/または無菌濾過後に、再び供給することができる。
【0007】
つまり本発明は人間または動物の身体の予防措置または治療措置、例えばリウマチ、関節症および/または背痛の措置を行うための方法にも関しており、人間または動物の身体から体液、例えば血液が本発明により注射器によって採取され、この体液が注射器内でインキュベートされ、その際にIL-1Raが形成または濃縮され、この注射器によって体液が同じまたは別の人間または動物の身体に再び供給される。
【0008】
形成されるIL-1Raは有利には修飾し、例えば糖鎖形成しておくことができる。本発明は、短縮形状、突然変異体またはその他の誘導体等の、IL-1Raの他の修飾体または変異体の形成も当然に扱う。
【0009】
本発明に関連して注射器の内部構造とは、注射器のうちその内部、すなわち試料受容領域内にあって被受容体液と接触しうる領域または構造のことである。特別有利には、注射器の内部構造はその内側表面、好ましくは、表面積を拡大させるための構造化を有する表面である。本発明は当然に、市販注射器の内部空洞を特別に形成することなく用いても実施することができる。その場合、内部構造は注射器シリンダの内面とこのシリンダ内にあるピストン部分である。特に好ましい実施形態において内部構造は、注射器の内側表面を拡大して一層大きな誘導表面を提供するために、注射器内部空間に入れられる粒子、球、ビーズ、ゲル、ガラスウール、コランダム、石英、砂、プラスチックまたはガラスの顆粒もしくは粉または類似物等の物品によって付加的に形成しておくことができる。内部構造を構成する材料または内部構造に含まれた材料は、注射器の残部を構成する材料とは別の材料とすることができる。例えば注射器はプラスチックで構成することができ、またその内部構造の諸部分は例えばガラス顆粒製とすることができる。
【0010】
例えば直径1〜5mmのガラスビーズ等のこのような付加的構造は、本発明の好ましい実施形態によれば、使用注射器の内部容積の50%を超えるべきではない。使用注射器は例えば10〜100mlの注射器とすることができる。
【0011】
本発明に関連して注射器内部構造の改質表面とは、エッチング剤で処理されて人間または動物の体液中でIL-1Raの形成を誘導および/または強化することのできる表面のことである。改質表面は純度がきわめて高く、すなわち不純物が殆どなくまたはまったくなく、および/または表面特性および/または表面構造が化学的/物理的に変化していることが重要である。内部構造の改質表面をもたらすために、好ましくは、苛性アルカリ溶液または酸、例えばクロム硫酸、特に20〜80%、特別好ましくは50%クロム硫酸が使用される。注射器は好ましくは5〜30分間エッチング剤、特にクロム硫酸でインキュベートされる。
【0012】
エッチング剤の除去後、好ましくは1回以上の洗浄工程と場合によっては好ましくは滅菌、例えば加圧熱処理、特に圧力1〜5バール、100℃〜150℃で20〜60分間の加圧熱処理を施すことができる。洗浄後、そして加圧熱処理の前および/または後に、場合によってはさらに1回以上の乾燥工程を60〜150℃、好ましくは80℃で30〜120分間、例えば乾燥オーブン内で行うことができる。
【0013】
本発明の特に有利な構成では、注射器、特に注射器の内部構造が、ガラス、石英ガラス、コランダム、石英、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等のプラスチックまたは類似の物質から製造されており、すなわちこれらの物質からなり、またはこれらの物質またはそれらの混合物を実質的に含有している。
【0014】
意外なことに本教示の範囲内で、ガラスからなる注射器および/またはガラス、特にガラス顆粒からなる内部構造が特別強い誘導作用を有することを示すことが判明した。
【0015】
特別好ましい実施形態では処理前に、すなわち体液の除去前に、加熱ガラス、特に100℃〜210℃、特に170℃〜200℃、好ましくは180℃に加熱されたガラスが使用され、このガラスは当然に本発明による使用前に冷却される。特別好ましい実施形態ではガラスはガラス粉またはガラス顆粒の態様とすることができる。
【0016】
しかし内部構造は、例えば水中の懸濁液状態の石英、例えば石英粉または石英砂および/またはコランダムで構成することができ、またはこれらを含むことができる。
【0017】
特別好ましい実施形態ではこれらの物質は、場合によっては改質が行われたのち、特にエッチング後、そして場合によっては滅菌されたのち、IL-1Ra誘導特性を有する。
【0018】
本発明の他の好ましい実施形態では、改質可能かつ滅菌可能な被覆が注射器の内部構造に備えられ、引き続き改質が、もしくは場合によっては滅菌も、行われる。
【0019】
本発明は、誘導、特に表面誘導によって調製可能な自己IL-1Raを調製することができ、こうして調製された態様で、すなわち注射器内にある液の別の成分と一緒に患者に直接、すなわち例えば別容器への入れ替え等の他の操作を要することなく、再び投与できる簡単に実施可能な方法が提供される点で有利である。好ましい実施形態では、形成されたIL-1Raを投与する前に、固形成分を分離するために遠心分離および/または無菌濾過することができる。それゆえに、市販のしばしば高価な薬剤の使用は不要となる。最後に、患者の外部で行われる薬剤調製によりIL-1Raの汚染、汚れ、感染等が避けられる点で、本発明は有利であることが実証された。
【0020】
つまり本発明の特別好ましい実施形態においては、インターロイキン1受容体拮抗薬を調製するための方法であって、注射器の内部構造は特別に処理された材料、特にガラス、石英またはプラスチックからなり、注射器内部構造の表面は特にエッチング剤、特にクロム硫酸によって改質されており、場合によっては引き続き注射器内部構造の表面は、特に加圧熱処理によって、滅菌されており、注射器は体液、好ましくは血液を充填されてインキュベートされ、体液中でIL-1Raが形成されて濃縮される。特に注射器内部構造表面の特別な改質、特にエッチングと、特別な表面滅菌、特に加圧熱処理とに基づいて、本発明による注射器は、血液中に存在する単球を刺激してIL-1Raを形成させることができ、血液中でIL-1Raが濃縮される。注射器内にある血液は本発明の1実施形態においてインキュベーション後、すなわちIL-1Raの濃縮後に直接、例えば入れ替え等の他の操作を要することなく、注射器に注入された血液が採取された患者に再び供給することができる。
【0021】
本発明の特別好ましい実施形態において、細胞等の固形成分を分離するために有利には注射器内にある血液の遠心分離および/または無菌濾過をすることができる。引き続き場合によってはアリコートされる。つまり本発明は、特別に改質され滅菌され特別に加圧熱処理された内部構造表面を装備した注射器によって患者から血液が採取され、この血液が注射器内でインキュベートされ、IL-1Ra形成後に同じ患者または別の患者に注射器で再び供給できることも予定している。このような処理方式は例えば神経整形外科分野において、すなわち例えば神経に起因した背痛の場合に特別有利である。このような苦痛の治療には従来、椎間板手術、コルチゾン治療、塩類溶液等による洗浄が検討されたにすぎない。IL-1Ra、すなわち特に自己IL-1Raを本発明により用意すると、リウマチや関節症の治療も特別簡単安価かつ効率的に可能となる。
【0022】
本発明の他の実施形態では、注射器の内部構造が付加的に抗凝固剤、特にヘパリン、クエン酸塩、EDTA、CPDMまたはCPDAで被覆される。意外なことに本教示の枠内で、ヘパリンを抗凝固剤として使用すると良好な誘導を達成できることが判明した。本発明によれば、抗凝固剤を被覆としてではなく容器内で遊離状態で使用し、例えば凍結乾燥状態または液状態で注射器に入れることもできる。
【0023】
しかし本発明の特別好ましい実施形態においては、注射器内で抗凝固剤、特にヘパリンは使用されない。そのことからインキュベーションが一層向上する。
【0024】
本発明は他の好ましい実施形態において、注射器内での体液のインキュベーションが12〜72時間、好ましくは24時間にわたって好ましくは室温で、つまり20℃〜41℃、特に37℃で実施される。
【0025】
本発明は本発明の1構成において、治療上または予防上有効なタンパク質を体液中に形成後、体液を継続処理して例えば特定成分、例えば血漿または血小板を体液から分離することも予定している。本発明の好ましい実施形態においてこの分離は遠心分離または濾過によって行うことができる。
【0026】
本発明は他の実施形態において、予防上または治療上有効なタンパク質、特にインターロイキン1受容体拮抗薬をin vitro誘導するのに適した注射器を製造するための方法に関しており、この注射器は注射器内部構造を特別に処理された材料、特にプラスチックまたはガラスとする特徴を有する。特に本発明によれば、注射器内部構造の表面がエッチング剤、特に苛性アルカリ溶液または酸で、特にクロム硫酸を用いて、エッチングされる。エッチング剤の除去と注射器の洗浄後、内部構造の表面は滅菌、特に加圧熱処理することができる。好ましくはガラスから製造される注射器は、その使用前に例えば100℃〜210℃、特に170℃〜200℃に加熱することもできる。
【0027】
本発明は、このように製造された注射器、特別好ましい実施形態においてガラス、石英またはプラスチック、特にポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンまたはポリプロピレンから製造された注射器にも当然関しており、この注射器は、特にガラス、石英またはプラスチックから製造された注射器内部構造の特別な処理に特徴があり、この処理はエッチング剤の作用によって実施される。好ましくは注射器は使用前に、好ましくは100℃〜210℃、例えば170℃〜200℃に加熱される。
【0028】
本発明は、好ましくは石英、ガラスまたは合成樹脂、特にポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンからなる本発明による注射器内部構造の表面を改質して、予防上または治療上有効なタンパク質、好ましくはインターロイキン1受容体拮抗薬をin vitro誘導する際の、苛性アルカリ溶液または酸、特にクロム硫酸の使用にも関する。
【0029】
本発明は、前記方法において使用することへの、すなわち特に容器内、例えば注射器内でIL-1Raを形成するためのインキュベータとして使用することへの、表面積を拡大する装置もしくはガラス粉、ガラス顆粒、石英粉、石英砂、コランダム、小球、ビーズ、砂等の物質の使用にも関する。
【0030】
本発明のその他の有利な諸構成は従属請求項から明らかとなる。
【実施例】
【0031】
本発明は図と実施例とに基づいて詳しく説明される。
【0032】
実施例1:顆粒を有するガラス製注射器の製造と使用
図1に示す50ml注射器1は、ガラス製(Fortuna Optima、商品番号7.102.-44。以下において特記しない場合、すべての実施例でこの注射器が使用された。)であり、ピストン3とねじで弛めることのできる栓5と栓突片13(雄 Luer)とこの栓突片13上に配置されてこれを密閉する取外し可能なキャップ7と隔膜とを有する。ピストン3は目標破断個所15を有する。ピストンの取外し後に注射器を直接に遠心分離することが可能である。ガラスからなる顆粒9(Roth社のガラスビーズ、商品番号A557.1)も図示されている。顆粒粒子9の大きさは直径1〜3mmであるが、より小さな粒子、特に100μmよりも大きな粒子、例えばガラス粉も使用することができる。ピストンに目標破断個所を持たない例えばガラス製またはプラスチック製の注射器も使用することができる。
【0033】
注射器1を製造するために、新品の製造元包装注射器1の内部構造表面と新品の製造元包装顆粒9の表面を、市販のクロム硫酸調製品を注射器に入れ、注射器内壁、すなわちシリンダ内壁とピストン、従って顆粒をエッチングすることによって改質する。注射器は50%クロム硫酸(Merck、ダルムシュタット、商品番号1.02499.2500のクロム硫酸を生体用クロム超純水Ultra Pure Water No.L0040で希望する希釈度まで希釈する)を1回乃至10回、好ましくは3回、完全に吸い上げ排出することによって処理され、清浄化もしくは改質される。最後の吸い上げ後、注射器は下側を密封され、充填状態で5〜30分間クロム硫酸とインキュベートされる。引き続き注射器ピストンを取り外し、注射器シリンダの完全充填と排出とによって2回乃至10回、好ましくは4回、新鮮純水で完全洗浄する。その際、洗浄水が完全に注入排出されるよう注意しなければならない。次に注射器ピストンを50%クロム硫酸に浸漬し、蒸留水で完全に洗浄する。
【0034】
注射器内に残っていることのある残水は、注射器の迅速な乾燥を保証するために、ルエル接続口を軽くはたいて毛管現象により吸い取る。相互に分離されたピストンと注射器は、そのなかに含まれていることのあるガラスビーズも含めて、指示薬範囲付きメラークフィルム(Melag, Melafol 1502)に封入される(Melag, Melaseal)。こうして包装された注射器は乾燥箱(メラーク乾燥滅菌器)において80℃で少なくとも60分間乾燥する。乾燥された包装済み注射器は引き続き2バール、132℃で30分間加圧熱処理し(Wolf Autoclav HRM 242 II)、80℃で少なくとも60分間再度乾燥する。
【0035】
採血前に(下記参照)、後に入れられる血液の凝固を防止するためにヘパリン(Liquemin N 2500、ヘパリンナトリウム2500 I.E.)またはクエン酸塩(ACDA)が注射器に入れられる。凝固剤の使用はIL-1Ra含有血清を精製するとき有利であることを実証できる。
【0036】
注射器1は、ねじを弛めて取外し可能なキャップ7を図示しないチューブによって図示しないカニューレに接続する図示しないアダプタを利用して患者の血液を採取する形で利用される。アダプタは針を有し、栓突片13内にある隔膜にこの針を穿通する。引き続きアダプタが取り外され、隔膜が自動的に閉じたのち取外し可能なキャップ7を保持しながら37℃で24時間、全血のインキュベーションが行われる。インキュベーションは立てた状態または横にした状態で行うことができる。インキュベーションが立てた状態で行われる場合、血漿は隔膜と滅菌補助フィルタ(0.2μm)とを通して取り出される。付加的に、または選択的に、遠心分離を入れることができる。インキュベーションが横にした状態で行われる場合、血液は遠心分離され、血漿は滅菌補助フィルタ(0.2μm)を通して取り出す。遠心分離を行うことなく隔膜を通して血漿を取り出すこともできる。引き続き血漿は例えば患者の神経根または関節に注入される。
【0037】
実施例2:顆粒を有するプラスチック製注射器の製造と使用
この実施例ではポリスチレン、ガラスまたはその他の改質可能および/または滅菌可能な材料からなる滅菌顆粒が使用される。顆粒の表面は市販のクロム硫酸調製品を使って実施例1に述べた回分法で改質される。引き続き顆粒は水で洗浄して残留クロム硫酸を洗い落とす。次に顆粒を圧力2バール、121℃で少なくとも20分間インキュベートして滅菌し、水で飽和させる。引き続き顆粒は80℃で20分間乾燥させられる。
【0038】
慣用の改質されていない新品の製造元包装ポリプロピレン製注射器(50ml、Becton Dickinson、ハイデルベルク、品番00137)に、改質滅菌顆粒(1、2、4または10cm3)と、ヘパリン(Liquemin、ヘパリンナトリウム2500 I.E.)またはクエン酸塩(例えばACDA)等の十分な量の抗凝固剤が充填される。
【0039】
充填された注射器は取出しカニューレおよびチューブも含めて包装され、引き続きγ線または電子線で滅菌される。
【0040】
使用者は滅菌器具一式を取り出し、患者から血液を採取する。注射器が栓突片の穴に隔膜を備えており、採取のために隔膜に取出し付属品、つまりアダプタの針を穿通する。アダプタを取り外すと隔膜は再び自動的に閉じる。採血後、注射器のピストンは目標破断個所で折り取られる。
【0041】
血液の入った注射器は37℃〜41℃で24時間インキュベートされる。
a)インキュベーションが立てた状態で行われる場合、血漿は隔膜と例えば0.2μmの滅菌補助フィルタとを通して取り出される。
b)インキュベーションが横にした状態で行われる場合、注射器の遠心分離後、血漿は例えば0.2μmの滅菌補助フィルタを通して取り出す。
【0042】
血漿の注入は例えば神経根で、特に関節内にまたは椎間板内に行われる。
【0043】
実施例3:顆粒なしの注射器の製造と使用
改質可能かつ殺菌可能な材料からなる新品の製造元包装注射器(5、10、20または50ml)が、図1に述べたようにクロム硫酸で改質され、引き続き加圧熱処理され乾燥させられる。注射器は好ましくはガラス、ポリスチレンまたは特殊に改質可能な別の材料からなる。
【0044】
改質して滅菌された注射器には、十分な量のヘパリン(Liquemin、ヘパリンナトリウム2500 I.E.)またはクエン酸塩(ACDA)が充填される。
【0045】
充填された注射器は取出し後、カニューレおよびチューブも含めてγ線または電子線で滅菌される。
【0046】
施術者は滅菌器具一式を取り出し、患者から血液を採取する。注射器が穴に、栓突片内に入れられた隔膜を備えており、採取のために隔膜に取出し付属品、つまり針を有するアダプタを穿通する。アダプタを取り外すと隔膜は再び自動的に閉じる。採血後、注射器のピストンは目標破断個所で折り取る。
【0047】
血液の入った注射器は37℃〜41℃で24時間インキュベートされる。
a)インキュベーションが(例えば試験管台内で)立てた状態で行われる場合、血漿は隔膜を通して取り出され、例えば0.2μmの滅菌補助フィルタによって濾過が行われる。
b)インキュベーションが横にした状態で行われる場合、注射器の遠心分離後、血漿は例えば隔膜を通して取り出し、その際、例えば0.2μmの滅菌補助フィルタで濾過する。
【0048】
血漿の注入は例えば神経根で、または関節内にまたは椎間板内に行われる。
【0049】
実施例4:ヘパリンを使用して注射器内でのインターロイキン1受容体拮抗薬の製造
市販されているガラス製新品の製造元包装注射器にクロム硫酸が充填され、実施例1で述べたように室温で20分間インキュベートされた。引き続き注射器は蒸留水で4回洗浄して包装し、圧力2バール、131℃で30分間加圧熱処理し、100℃で30分間乾燥した。
【0050】
改質と滅菌の終了後、注射器は一時貯蔵される。薬事法の規定を満たすヘパリン(Liquemin、ヘパリンナトリウム 2500 I.E.)が抗凝固剤として注射器に吸い上げられる。
【0051】
引き続き患者の静脈から被覆済み注射器で滅菌採血される。
【0052】
注射器は室温で12〜72時間インキュベートされる。この時間内に血漿に含まれたタンパク質、特にインターロイキン1受容体拮抗薬の強力濃縮が血漿中で起きる。インターロイキン1受容体拮抗薬の1〜50ng/mlの濃縮を確認することができた。
【0053】
引き続き被覆注射器で血液または血漿が患者に注入される。
【0054】
実施例5:ヘパリンを使用することなく注射器内でのインターロイキン1受容体拮抗薬の製造
市販ガラス製新品の製造元包装注射器にクロム硫酸を充填し、実施例1で述べたように室温で20分間インキュベートする。引き続き注射器は蒸留水で4回洗浄して包装し、圧力2バール、131℃で30分間加圧熱処理し、100℃で30分間乾燥する。
【0055】
改質と滅菌の終了後、注射器は一時貯蔵する。
【0056】
引き続き患者の静脈から注射器で滅菌採血される。
【0057】
注射器は室温で12〜72時間インキュベートされる。この時間内に血漿に含まれたタンパク質、特にインターロイキン1受容体拮抗薬の強力濃縮が血漿中で起きる。インターロイキン1受容体拮抗薬の1〜50ng/mlの濃縮を確認することができた。
【0058】
引き続き希釈血液または培養上澄液が患者に注入される。
【0059】
実施例6:顆粒を使ったポリスチレン製マイクロタイタープレート内でのIL-1Raの製造
顆粒を製造するために新品の製造元包装顆粒が回分法で市販のクロム硫酸調製品を使って改質される。すなわち、顆粒を容器(例えば250mlガラスビーカーXXX等)に入れ、これに50%クロム硫酸調製品(Merck、ダルムシュタット、商品番号1.02499.2500のクロム硫酸を生体用クロム超純水Ultra Pure Water No.L0040で希望する希釈度まで希釈する)が添加され、顆粒が処理され、その際に清浄化もしくは改質される。顆粒はクロム硫酸で5〜60分間インキュベートされる。
【0060】
引き続きクロム硫酸が除去され、球は新鮮な純水で2乃至10回洗浄される。最後洗浄の前には、純水と洗浄水とのpH値および伝導率が等しくなるようにする。
【0061】
引き続き顆粒はガラスビーカー(例えば250mlガラスビーカーXXX等)内で2バール、132℃で30分間加圧熱処理され(Wolf Autoclav HRM 242 II)、60℃〜100℃、好ましくは80℃で30分間乾燥する。また顆粒を120℃〜210℃、好ましくは180℃で30分間加熱滅菌してもよい(メラーク乾燥滅菌器)。
【0062】
採血に際しては、後に入る血液の凝固を防止するためにEDTA、クエン酸塩、CPDA、CPDMまたはヘパリンを使ったSarstedt Monovettenが利用される。
【0063】
3〜12個のガラスビーズがマイクロタイタープレート(Nunc、品番 150 687)の穴ごとに入れられ、取出し後極力速やかに1mlの血液が添加される。
【0064】
24時間のインキュベーション(37℃、5%CO2)(Hereausインキュベータ)後、血餅を1晩沈降させ、300μl血清が、固形成分を巻き上げたり吸収したりすることなく取り除かれ、IL-1Raタンパク質濃度が測定される(ELISA、R&D、ヴィースバーデン、Quantikine Human IL-1Ra)。
ガラス顆粒の技術データ
1.1 Roth
寸法 2.85〜3.3
材料 化学組成は下記参照
化学組成(%)
SiO2 68
CaO 3
BaO 6
K2O 8
Na2O 10
Al2O3 1
B2O3 2
無鉛
1.2 SiLi 5506/89-6
寸法 2.3〜2.5mm
材料 ホウケイ酸塩ガラス
処理 1. 研削法
2. 研磨法
化学組成(%)
SiO2 82
Na2O 2
Al2O3 2
B2O3 14
比重(kg/dm3) 223
モース硬さ 7
線膨張率(20〜300℃) 325
加水分解等級(DIN ISO 719) 1
酸等級(DIN 12116) 1
苛性アルカリ溶液等級(DIN ISO 695) 2
転換温度(℃) 530
1.3 SiLi 5004/99-5
寸法 2.5mm
材料 ソーダ石灰ガラス
処理 加圧法
化学組成(%)
SiO2 67
Na2O 16
CaO 7
Al2O3 5
B2O3 3
MgO 2
PbO なし
モース硬さ >=6
1.4 Worf
寸法 2〜3.5mm
材料 ソーダ石灰ガラス
処理 研磨して熱固化
化学組成(%)
SiO2 65
Na2O 16
CaO 7
Al2O3 5
B2O3 3
MgO 2
鉛含有量 なし
密度(g/dm3) 2.54
モース硬さ 6
加水分解等級 3
転換温度(℃) 530±10
1.5 Duran
寸法 2〜3.5mm
材料 ホウケイ酸塩ガラス
処理 1. 研削法
2. 研磨法
化学組成(%)
SiO2 81
Na2O+K2O 4
Al2O3 2
B2O3 13
密度(g/dm3) 2.23
線膨張率(20〜300℃) 3.25
加水分解等級(DIN ISO 719) 1
酸等級(DIN 12116) 1
苛性アルカリ溶液等級(DIN ISO 695) 2
転換温度(℃) 525
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は、本発明による注射器を略示図で示す。 図2〜図12は、本発明により使用される注射器内でさまざまな条件のもとでのIL-1Ra形成を示す。
【図2】ガラス顆粒使用時と未使用時のガラス製注射器内でのIL-1Raの産生 (方法):IL-1Raの産生:実施例1に述べたガラス製注射器を使用して、患者で測定。 ガラス球:Roth、クロム硫酸で処理し洗浄し加圧熱処理。 RLW:空試験値。取出し時(IL-1Ra産生前)のIL-1Ra濃度。 (結果):ガラス顆粒を添加するとIL-1Ra産生が高まる。
【図3】抗凝固剤使用時と未使用時のガラス製注射器内でのIL-1Raの産生 (方法):IL-1Raの産生:実施例1に述べたガラス製注射器を使用して、患者で測定。 ガラス球:Roth、クロム硫酸で処理し洗浄し加圧熱処理。 CPDM:クエン酸塩・リン酸塩・デキストロース・マンニット CPDA:クエン酸塩・リン酸塩・デキストロース・アデニン (結果):さまざまな抗凝固剤を添加するとIL-1Ra産生の効率がさまざまな程度に影響を受ける。
【図4】抗凝固剤使用時と未使用時のマイクロタイタープレート内でのIL-1Raの産生 (方法):IL-1Raの産生:実施例6に述べたマイクロタイタープレートを使用。患者で測定。 ガラス球:Duran、クロム硫酸で処理し洗浄し加圧熱処理。1mlの全血に12個の球が添加された。 RLW:空試験値。取出し時(IL-1Ra産生前)のIL-1Ra濃度。 (結果):さまざまな抗凝固剤を添加するとIL-1Ra産生の効率がさまざまな程度に影響を受ける。
【図5】患者集団内でガラス顆粒使用時にガラス製、プラスチック製注射器内でのIL-1Ra産生 (方法):IL-1Raの産生:実施例1、2に述べたガラス製注射器を使用。整形外科患者集団内で測定。 ガラス球:Roth、クロム硫酸で処理し洗浄し加圧熱処理。 (結果):ガラス製注射器内でもプラスチック製注射器内でもIL-1Raを産生することができるが、ガラス製注射器内でのIL-1Ra産生の効率が著しく高い。
【図6】患者集団内でガラス顆粒使用時、未使用時にガラス製注射器内でのIL-1Ra産生 (方法):IL-1Raの産生:実施例1に述べたガラス製注射器を使用。整形外科患者集団内で測定。 ガラス球:Roth、クロム硫酸で処理し洗浄し加圧熱処理。 (結果):ガラス顆粒使用時にも未使用時にもIL-1Raはガラス製注射器内で産生することができるが、しかしガラス顆粒使用時IL-1Ra産生の効率が著しく高い。
【図7】患者集団内でガラス顆粒使用時、未使用時、そしてヘパリン使用時、未使用時にガラス製注射器内でのIL-1Ra産生 (方法):IL-1Raの産生:実施例1に述べたガラス製注射器を使用。整形外科患者集団内で測定。 (ガラス球):Roth、クロム硫酸で処理し洗浄し加圧熱処理。 (結果):ガラス顆粒使用時にも未使用時にも、そしてヘパリン使用時にも未使用時にもIL-1Raはガラス製注射器内で産生することができるが、しかしガラス顆粒使用時かつヘパリン未使用時IL-1Ra産生の効率が著しく高い。
【図8】患者集団内でガラス顆粒使用時にガラス製注射器を使用してタンパク質を産生 (方法):タンパク質の産生:実施例1に述べたガラス製注射器を使用。整形外科患者集団内で測定。 ガラス球:Roth、クロム硫酸で処理し洗浄し加圧熱処理。 TNFa:腫瘍壊死因子α IL-6:インターロイキン6 ELISA:IL-1、TNFa、IL-6濃度はR&DのKombo-Kitを利用して測定された。 (結果):上記方法によってIL-1Raが特異的に産生される。TNF-α、IL-6産生は検出することができなかった。1L-1βも産生される。IL-1Ra:IL-1β比は、産生されるIL-1Raの臨床治療効果に対する期待値は100以上とされるが(W.P. Arendら, 1998, Annu. Rev. Immo.16m 27 - 55)、自己産生IL-1Raは平均して148であるので治療上貴重である。
【図9】さまざまな量のガラス顆粒とさまざまな血液濃度とでマイクロタイタープレートを使用してIL-1Ra産生 (方法):IL-1Raの産生:実施例6に述べたマイクロタイタープレートを使用。ただし相違点として1mlのヘパリン化全血が添加されるのでなく、ヘパリン化全血は最終量が1mlとなるまでの量が添加された。 (ガラス球):Duran、クロム硫酸で処理し洗浄し加圧熱処理。 3、9、12:添加球数3、9または12個。 1x、2x、4x:RPMI 1640で1回、2回もしくは4回希釈されたヘパリン化全血。 RLW:空試験値。取出し時(IL-1Ra産生前)の希釈血液中IL-1Ra濃度。 (結果):各血液希釈時に、ガラス顆粒量を増やすとIL-1Ra産生が高まる。IL-1Ra産生の極大は球数と血液量との比、もしくはガラス表面積と血液細胞数との比によって決まる。
【図10】さまざまな量のガラス顆粒と2種類のガラス顆粒とでマイクロタイタープレートを使用してIL-1Ra産生 (方法):IL-1Raの産生:実施例6に述べたマイクロタイタープレートを使用。 ガラス球:DuranまたはWorf、クロム硫酸で処理し洗浄し加圧熱処理。 3、9、12:添加球数3、9または12個。 RLW:空試験値。取出し時(IL-1Ra産生前)のIL-1Ra濃度。 (結果):ソーダ石灰ガラス(Worfの例)でもホウケイ酸塩ガラス(Duranの例)でも球数もしくはガラス表面積を増やすとIL-1Ra産生が高まる。
【図11】マイクロタイタープレートを使用した、コランダム、石英、およびガラス顆粒の存在下におけるIL-1Ra産生 (方法):IL-1Raの産生:実施例6に述べたマイクロタイタープレート(Nunc、品番 150 687)を使用。 ガラス球:Duran、クロム硫酸で処理し洗浄し加圧熱処理。 RLW:空試験値。取出し時(IL-1Ra産生前)のIL-1Ra濃度。 コランダム:αAl2O3、懸濁液;石英:石英砂、220mg/ml;ガラスパウダー:0.2mg/ml (結果):前記ガラス顆粒の成分(ガラス顆粒の技術データ参照)である酸化シリケートまたは酸化アルミニウムをコランダムもしくは石英砂の態様で添加すると、IL-1Ra産生が高まる。
【図12】さまざまな容器材料のもとでIL-1Ra産生 (方法):IL-1Ra産生:実施例6に述べたマイクロタイタープレートを使用。 ガラス球:Duran、クロム硫酸で処理し洗浄し加圧熱処理。 RLW:空試験値。取出し時(IL-1Ra産生前)のIL-1Ra濃度。 PS:ポリスチレン、マイクロタイタープレート(Nunc社、品番:150687)。 PP:ポリプロピレン、反応容器(Sarsted社、品番:62/554.502)。 ガラス:市販の反応容器、加圧熱処理。 (結果):ガラス製容器内でもプラスチック製容器内でもIL−1Raは産生できるが、しかしガラス製容器内でのIL-1Ra産生の効率が著しく高い。 図13と図14は、使用されたエッチング剤が注射器の洗浄によって完全に除去されることを示す。
【図13】ガラス顆粒のクロム硫酸処理後における洗浄水のpH (方法):ガラス球:列記されたすべての球がクロム硫酸で処理され、各洗浄工程後にpH計でpHが測定された。純水(Biochrom 純水、品番:L 0040)で洗浄された。pH=6.0〜6.5。 (結果):クロム硫酸処理後、前記すべての球で残留酸をすべて洗浄除去できた。
【図14】ガラス顆粒のクロム硫酸処理後における洗浄水の伝導率 (方法):ガラス球:列記されたすべての球がクロム硫酸で処理され、引き続き、各洗浄工程後に伝導率計で洗浄水の伝導率が測定された。純水(Biochrom 純水、品番:L 0040)で洗浄された。伝導率=0μS。 (結果):クロム硫酸処理と洗浄後、前記すべての球で洗い落としは確認できなかった。従って、可能な発熱作用的洗い落としによってIL-1Ra誘導は排除することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射器内でIL-1Raを調製するための方法であって、前記注射器がガラス、プラスチック、コランダムおよび/または石英からなるか、またはこれらを含み、前記注射器がエッチング剤によって改質された内部構造を有するか未改質の内部構造を有し、前記注射器に生体の体液を充填しインキュベートして、前記体液中にIL-1Raを形成する方法。
【請求項2】
プラスチックがポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンまたはポリプロピレンである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
注射器の内部構造がその内側表面において、特に表面積を増大する成形部によって形成される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
内部構造が、注射器内に存在するガラス、プラスチック、コランダムおよび/または石英からなるビーズ、球、ゲル、ウール、粉、顆粒または粒子によって形成される、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
内部構造がポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンからなりまたはこれを含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
エッチング剤がアルカリ液または酸、特にクロム硫酸である、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
体液が血液である、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
IL-1Raのin vitro 誘導に適した注射器を製造するための方法であって、ここで前記注射器がガラス、プラスチック、コランダムおよび/または石英からなるか、またはこれらを含み、注射器にエッチング剤を充填しインキュベートした後、エッチング剤を除去する、前記方法。
【請求項9】
前記注射器の内部構造がポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、コランダム、石英またはガラスからなるか、またはこれらを含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
エッチング剤がアルカリ液または酸、特にクロム硫酸である、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
エッチング剤の除去後に注射器の内部構造が洗浄され、場合によっては殺菌される、請求項8〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
注射器、特に請求項8〜11のいずれか1項に従って製造される注射器において、注射器の内部構造がプラスチック、特にポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンまたはポリプロピレン、コランダム、石英またはガラスからなり、またはこれらを含み、かつ内部構造の改質表面を生成するためにエッチング剤で処理されたことを特徴とする注射器。
【請求項1】
注射器内でIL-1Raを調製するための方法であって、前記注射器がガラス、プラスチック、コランダムおよび/または石英からなるか、またはこれらを含み、前記注射器がエッチング剤によって改質された内部構造を有するか未改質の内部構造を有し、前記注射器に生体の体液を充填しインキュベートして、前記体液中にIL-1Raを形成する方法。
【請求項2】
プラスチックがポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンまたはポリプロピレンである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
注射器の内部構造がその内側表面において、特に表面積を増大する成形部によって形成される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
内部構造が、注射器内に存在するガラス、プラスチック、コランダムおよび/または石英からなるビーズ、球、ゲル、ウール、粉、顆粒または粒子によって形成される、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
内部構造がポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンからなりまたはこれを含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
エッチング剤がアルカリ液または酸、特にクロム硫酸である、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
体液が血液である、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
IL-1Raのin vitro 誘導に適した注射器を製造するための方法であって、ここで前記注射器がガラス、プラスチック、コランダムおよび/または石英からなるか、またはこれらを含み、注射器にエッチング剤を充填しインキュベートした後、エッチング剤を除去する、前記方法。
【請求項9】
前記注射器の内部構造がポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、コランダム、石英またはガラスからなるか、またはこれらを含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
エッチング剤がアルカリ液または酸、特にクロム硫酸である、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
エッチング剤の除去後に注射器の内部構造が洗浄され、場合によっては殺菌される、請求項8〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
注射器、特に請求項8〜11のいずれか1項に従って製造される注射器において、注射器の内部構造がプラスチック、特にポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンまたはポリプロピレン、コランダム、石英またはガラスからなり、またはこれらを含み、かつ内部構造の改質表面を生成するためにエッチング剤で処理されたことを特徴とする注射器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−244875(P2007−244875A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−67548(P2007−67548)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【分割の表示】特願2000−597319(P2000−597319)の分割
【原出願日】平成12年1月31日(2000.1.31)
【出願人】(500069334)オルソゲン アーゲー (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【分割の表示】特願2000−597319(P2000−597319)の分割
【原出願日】平成12年1月31日(2000.1.31)
【出願人】(500069334)オルソゲン アーゲー (3)
【Fターム(参考)】
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