説明

体液分析器具

【課題】混合用流路の容量を可及的に大きくしながらも体液分析器具をコンパクトに構成する。
【解決手段】体液を希釈液により希釈してなる被計測液を検出する検出部が設けられた測定用流路25と、体液及び前記希釈液を撹拌するための混合用流路24とを備えており、混合用流路24が、器具本体201の表面側に設けられた表面側流路部24aと、器具本体201の裏面側に設けられた裏面側流路部24bと、表面側流路部24a及び裏面側流路部24bを接続する接続流路部24cとを有するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液などの体液を分析する体液分析器具に関し、特にコンパクト化が可能な体液分析器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の体液分析器具としては、特許文献1に示すように、マイクロ血球カウンタ本体に着脱自在に装着されるカートリッジがある。このカートリッジは、液体試料である薄めた検体血液を流通させる測定用流路と、当該測定用流路内に設けられて前記検体血液を測定するための検出部とを備えている。
【0003】
またこのカートリッジには、特許文献1の図4に示すように、測定用流路の上流側に検体血液と希釈液を混合するための混合用流路(混合セル)が設けられている。この混合用流路は、第1基板(引用文献1の符号2a)の裏面に蛇行状に形成された凹溝を第2基板(引用文献1の符号2b)で塞ぐことによって形成されている。
【0004】
ここで、混合用流路において検体血液及び希釈液を十分に撹拌するためには、混合用流路の容積を可及的に大きくする必要があり、上記構成の混合用流路においては、例えば凹溝を長く構成すること又は凹溝を深く構成することが考えられる。
【0005】
しかしながら、凹溝を深く構成する場合には、第1基板の厚みにより凹溝の深さが制限されてしまうという問題がある。また、凹溝を長く構成する場合には、第1基板の平面サイズが大きくなってしまい、血球カウンタを大きくせざるを得ず、コンパクト化という市場ニーズに反する結果となってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−257768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決すべくなされたものであり、測定用流路及び混合用流路を有する体液分析器具において、混合用流路の容量を可及的に大きくしながらも体液分析機器をコンパクトに構成することをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係る体液分析器具は、体液を希釈液により希釈してなる被計測液を流通させるとともに、その被計測液を物理的又は化学的手段により検出する検出部が設けられた測定用流路と、前記測定用流路の上流側に設けられて、前記体液及び前記希釈液を撹拌するための混合用流路と、前記測定用流路及び前記混合用流路が形成された器具本体とを備え、前記混合用流路が、前記器具本体の第1の面側に設けられた第1面側流路部と、前記器具本体の第2の面側に設けられた第2面側流路部と、前記第1面側流路部及び前記第2面側流路部を繋げる接続流路部とを有することを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、混合用流路を第1面側流路部、第2面側流路部及び接続流路部から構成することにより、厚み方向に混合用流路を形成することができ、混合用流路の容量を可及的に大きくしながらも、体液分析器具の平面サイズをコンパクトにすることができる。また、混合用流路の容量を可及的に大きくできることから、体液と希釈液とを均一に混合できるようになり、体液の分析精度を向上させることができる。
【0010】
前記器具本体が、肉厚部と肉薄部とを備え、前記肉厚部に前記希釈液を貯留する希釈液容器を収容する容器ホルダ部が形成されるとともに、前記混合用流路が形成されており、前記肉薄部に前記測定用流路が形成されていることが望ましい。これならば、希釈液容器を収容する容器ホルダ部の側壁を有効活用にして混合用流路を形成することが可能となり、混合用流路の容積を可及的に大きくすることができる。
【0011】
肉厚部の裏面と前記肉薄部の裏面が面一となるように形成されており、前記肉薄部の裏面側に前記測定用流路が形成されており、当該測定用流路が前記肉厚部の裏面側に設けられた第2面側流路部と繋がっていることが望ましい。これならば、器具本体に対する第1面側流路部、第2面側流路部及び測定用流路の加工を簡単化することができる。
【0012】
前記容器ホルダ部が、前記希釈液容器をその中心軸が前記容器ホルダ部の平面方向に沿うように収容するものであることが望ましい。このとき希釈液容器が中心軸に長い容器であれば、体液分析機器に外接する直方体の体積を小さくすることができ、体液分析器具をコンパクトに構成することができる。
【発明の効果】
【0013】
このように構成した本発明によれば、混合用流路の容量を可及的に大きくしながらも体液分析器具をコンパクトに構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態である血球計測装置の構成を概略的に示す全体概略図である。
【図2】同実施形態のカートリッジの斜視図である。
【図3】同実施形態のカートリッジの表面側に形成された流路等を示す表面視図である
【図4】同実施形態のカートリッジの裏面側に形成された流路等を示す裏面視図である。
【図5】血液定量位置にあるカートリッジのA−A線断面図である。
【図6】血液導入位置にあるカートリッジのA−A線断面図である。
【図7】同実施形態のカートリッジのB−B線断面図である。
【図8】同実施形態の試薬容器の構成を示す断面図である。
【図9】同実施形態のアパーチャ部分を示す拡大斜視図である。
【図10】同実施形態のカートリッジの大気開放機構を示す図である。
【図11】同実施形態のスライド体を示す図である。
【図12】同実施形態に係るカートリッジ本体の分解斜視図である。
【図13】変形実施形態に係るカートリッジの部分拡大断面図である。
【図14】変形実施形態に係るカートリッジのアパーチャ部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明に係る体液分析器具を用いた体液分析装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
本実施形態に係る体液分析装置100は、図1に示すように、計測部本体10と、この計測部本体10に着脱自在に装着される体液分析器具であるカートリッジ20を備えている。計測部本体10は、カートリッジ20を装着する装着部11と、カートリッジ20に設けられたスライド体202(後述)をスライド移動等させる駆動部12と、カートリッジ20の内部に被計測液である薄めた検体血液(以下単に希釈血液という。)を流通させるための液供給部13と、カートリッジ20から信号を取り出すためのコネクタ部14と、このコネクタ部14からの電気信号を検出して希釈血液中に含まれる血球を演算する演算部15とを備えている。
【0017】
装着部11は、カートリッジ20の差し込み側端部である先端部の幅及び厚さよりも若干大きく形成され、カートリッジ20の差し込み側端部の形状に合わせて所定の奥行を有するように構成された溝状の凹部11a(図1参照)を備えている。この凹部11aにカートリッジ20が挿入された際に、カートリッジ20を把持する一部分(血液定量部22を含む。)は装着部11の外部に位置する。そして、凹部11aの奥部分には、カートリッジ20の先端部に形成された切欠部21(図2、図3等参照)に嵌合する突出部16が形成されており、この突出部16の表面上に、カートリッジ20に設けた電極27、28、221に接触して電気信号を受信するコネクタ部14の一部(導通部14a)が形成されている。
【0018】
駆動部12は、カートリッジ20のスライド体202に設けられた係止部202a(具体的に係止孔、図3等参照)に係合する係止爪と、当該係合爪をスライド方向に移動させる例えばラックアンドピニオン機構及びモータ等を用いたスライド駆動機構(不図示)を用いて構成されている。そして、駆動部12は、スライド体202を血液定量のために血液定量位置X(図5参照)及び定量された血液を試薬と混合して混合用流路24及び測定用流路25に導入するための血液導入位置Y(図6参照)との間でスライド移動させるものである。なお、後述するが、駆動部12はスライド体202に設けられた貫通針71を試薬容器3側に移動させるものでもある。
【0019】
液供給部13は、吸入ポンプ及びバルブを主体として構成されている。この吸入ポンプは、カートリッジ20を前記装着部11に装着した際に、後述する測定用流路25の終端開口部Hに接続されて、ここを負圧にし、定量された血液及び試薬を、混合用流路24及び測定用流路25内に吸引して導くものである。
【0020】
コネクタ部14は、装着部11の凹部11aの内側と電気的に導通する導通部14aを備えており、カートリッジ20の電極28に、カートリッジ装着時において接触し、前記電極28間に所定の電圧を印加し、その際に発生する電気抵抗の大きさに応じた電流量を電気信号として検出するものである。そして、この電気信号をリード線等の配線を介して演算部15に出力する。
【0021】
演算部15は、コネクタ部14から出力された電気信号をパルス信号に変換し、測定用流路25中に導入された希釈血液中の血球の数および血球の体積値として出力する電気回路(不図示)を備えている。そして、前述のように出力された血球の数および血球の体積についての信号は、ディスプレイ101等に出力される。
【0022】
次に、カートリッジ20の詳細な構成について図2〜図10を参照しつつ説明する。
【0023】
図2及び図3に示すように、カートリッジ20は原則的に1回限りの使い捨てのものであり、その挿入方向における先端側に断面略矩形状の切欠部21を備えると共に、この先端側から前記挿入方向について遠ざかる側の端部の略中央付近に、表面に開口した血液導入口22aを有する血液定量部22を備えている。また、このカートリッジ20は、前記血液定量部22により定量された血液を希釈するための試薬容器3が装着される容器ホルダ部23と、定量された血液及び試薬容器3からの試薬を混合して撹拌するための混合用流路24と、当該混合用流路24により混合して形成された希釈血液に含まれる血球の数を計測するための測定用流路25とを備えている。
【0024】
血液定量部22は、図5及び図6に示すように、血液導入口22aに連続して形成された概略直線状の上流側毛細管流路22b及びこの上流側毛細管流路22bと空間S1(後述のスライド体202のスライド通路を形成する空間)を挟んで形成された概略直線状の下流側毛細管流路22cを有するカートリッジ本体201と、空間S1内にスライド可能に設けられ、上流側毛細管流路22b及び下流側毛細管流路22cを連通するとともに、血液導入口22aから導入された血液を定量する所定の流路容量を有する定量用毛細管流路22dが形成されたスライド体202とからなる。
【0025】
この構成において、スライド体202は、挿入方向側先端部に形成された係止部202aに駆動部12の係止爪が係合されて、当該駆動部12により、定量用毛細管流路22dが上流側毛細管流路22b及び下流側毛細管流路22cに連通する血液定量位置X(図5)と、定量用毛細管流路22dが後述する表面側接続流路部24c1及び裏面側接続流路部24c2を連通する血液導入位置Y(図6)との間でスライド移動する。なお、定量用毛細管流路22d、表面側接続流路部24c1及び裏面側接続流路部24c2が連通した状態で、それらにより表面側流路部24a及び裏面側流路部24bを接続する接続流路部24cが形成される(図6参照)。
【0026】
ここで、定量用毛細管流路22dが血液で満たされたことを検出するために、図4に示すように、下流側毛細管流路22cの下流側に血液の到達の有無を検出するための液体センサ221が設けられている。この液体センサ221は、電極により構成されており、下流側毛細管流路22cの下流側開口の全部又は一部を塞ぐように設けられた液接触部221aと、この液接触部221aから引き出されたリード線(不図示)と、このリード線を介して液接触部221aに電気的に導通するように切欠部21下方のカートリッジ表面に表出させた信号取出部221bとから構成されている。
【0027】
容器ホルダ部23は、分析用液体容器たる試薬容器3が着脱可能に装着されるものである。具体的に容器ホルダ部23は、図5、図6及び図7に示すように、カートリッジ本体201の肉厚部201Aに設けられて試薬容器3を横方向(挿入方向に直交する方向)から挿入して収容する容器収容部231と、当該容器収容部231の底壁から延出して設けられ、容器収容部231に収容された試薬容器3のシール部32を貫通する試薬導出針232とを備えている。試薬導出針232は、その内部流路が容器収容部231の表面側(つまり、カートリッジ本体201の肉厚部201Aの表面側)に形成された混合用流路24(表面側流路部24a)に連通している。
【0028】
ここで試薬容器3は、所定量の分析用液体たる試薬が収容されるものであり、図8に示すように、当該試薬を外部に導出可能にする開口部31aが底壁に形成された容器本体31と、その開口部31aを封止するシール部32と、このシール部32の外側に設けられた概略円筒状をなすガイド部33とを備えている。
【0029】
容器本体31は概略回転体形状をなし、径方向寸法よりも軸方向寸法の方が大きく、底壁が漏斗形状をなすものである。そして、開口部31aは、底壁の略中央部に形成されている。また、ガイド部33は、シール部32の周囲を覆うように設けられており、シール部32に試薬導出針232を挿通するための案内をするとともに、試薬導出針232がシール部32を挿通する際に試薬導出針232の外側周面と略液密に接触するものである。本実施形態の試薬容器3は、例えばポリプロプレン等の樹脂製であり、容器本体31、シール部32及びガイド部33が一体成型により形成されている。試薬容器3の上部は開口しており、この開口から試薬を収容した後にアルミフィルム等の封止部材である封止フィルム34により密閉されている。このように構成された試薬容器3は、前記容器収容部231内に、その軸方向が挿入方向と平面方向において直交する方向に沿うように収容される。
【0030】
混合用流路24は、カートリッジ本体201の肉厚部201Aの第1の面である表面側及び第2の面である裏面側に形成されて、スライド体202の定量用毛細管流路22dにより定量された血液と、試薬容器3からの試薬とを混合して撹拌するものである。具体的に混合用流路24は、図3〜図7に示すように、容器ホルダ部23の容器収容部231の側壁表面側に形成された第1面側流路部である表面側流路部24aと、当該容器収容部231の側壁裏面側に形成された第2面側流路部である裏面側流路部24bと、容器収容部231の側壁厚み方向に形成されて表面側流路部24a及び裏面側流路部24bを繋げる接続流路部24cとからなる。
【0031】
表面側流路部24aは、特に図3に示すように、容器収容部231の側壁表面側において挿入方向と平面方向において直交する方向に形成されている。また、表面側流路部24aは、その上流側開口が試薬導出針232の内部流路に連通するとともに、その下流側開口が接続流路部24cの上流側開口に連通している。
【0032】
裏面側流路部24bは、特に図4に示すように、表面側流路部24aと同様に、容器収容部231の側壁裏面側において挿入方向と平面方向において直交する方向に形成されている。また、裏面側流路部24bは、その上流側開口が接続流路部24cの下流側開口に連通するとともに、その下流側開口が測定用流路25の上流側開口に連通している。さらに、このように構成された表面側流路部24aの下流側開口及び裏面側流路部24bの上流側開口は、平面視において実質的に重なるように形成されている。
【0033】
接続流路部24cは、図5や図6等に示すように、その上流側開口が表面側流路部24aの下流側開口に連通するとともに、その下流側開口が裏面側流路部24bの上流側開口に連通して、表面側流路部24a及び裏面側流路部24bを厚み方向に接続するものである。
【0034】
具体的に接続流路部24cは、表面側流路部24aの下流側開口に連通する表面側接続流路部24c1と、当該表面側接続流路部24c1と前記空間S1(スライド体202のスライド通路を形成する空間)を挟んで形成された裏面側流路部24bの上流側開口に連通する裏面側接続流路部24c2と、空間S1内にスライド可能に設けられたスライド体202の定量用毛細管流路22dとから構成される。表面側接続流路部24c1は、一端が表面側流路部24aに連通するとともに他端が空間S1に開口する。また、裏面側接続流路部24c2は、一端が空間S1に開口するとともに他端が裏面側流路部24bに連通する。
【0035】
つまり、スライド体202が血液定量位置Xにある場合には、接続流路部24cが形成されないので、表面側流路部24a及び裏面側流路部24bは連通せず(図5参照)、スライド体202が血液導入位置Yにある場合には、接続流路部24cが形成されて、表面側流路部24a及び裏面側流路部24bが連通する(図6参照)。このようにスライド体202が血液導入位置Yとなると、接続流路部24cが形成されるとともに、混合用流路24内に定量された血液が導入されることになる。この状態において、液供給部13の吸引により、試薬容器3に挿入された試薬導出針232の内部流路から表面側流路部24a、接続流路部24c及び裏面側流路部24bに試薬が導入される。そして、液供給部13のポンプの吸引、吐出動作により混合用流路24内において定量された血液と試薬とが混合されて希釈血液が生成される。
【0036】
測定用流路25は、図4〜図7に示すように、カートリッジ本体201の肉厚部201Aの挿入側の側面に連設された測定流路形成部である平板状肉薄部201Bの裏面側に形成されている。この平板状肉薄部201Bは、その裏面がカートリッジ本体201の肉厚部201Aの裏面と面一となるように形成されている。そして測定用流路25は、図4に示すように、混合用流路24(具体的には混合用流路24の裏面側流路部24b)の下流側出口に連通するように形成されており、その下流側出口から挿入方向に向かってカートリッジ本体201の平板状肉薄部201Bの裏面側に全体的に形成されている。この測定用流路25は、その上流側において流路25の対向する内壁が1mm程度の隙間を構成するように近接され、この隙間部分によってアパーチャ部26が形成されている。なお、アパーチャ部26を形成するための隙間の大きさは、計測対象である細胞(本実施形態においては血球)のサイズによって適宜定めることができる。
【0037】
そして、測定用流路25は、特に図9に示すように、このアパーチャ部26が形成された位置から下流に向かって2分岐する。そして、アパーチャ部26近傍の測定用流路25のうち、アパーチャ部26よりも上流側の流路25aでは、アパーチャ部26に向かって対向する内壁間距離を徐々に狭めるように構成され、下流側の流路25b、25cでは、アパーチャ部26から対向する内壁間距離を徐々に拡大するように構成されている。その他の部位ではほぼ同じ流路幅である。このように測定用流路25を形成することによって、アパーチャ部26を通過する希釈血液の流れが乱れることがなく、希釈血液中に含まれる血球が順序よくアパーチャ部26を通過することになる。
【0038】
なお、アパーチャ部26の上流側には、希釈血液中に含まれる所定サイズ(例えば50μm以上)の埃や塵などの異物を取り除くためのフィルタ部Fが形成されている。このフィルタ部Fは、互いに所定間隔で配置された複数の柱部により形成されている。これにより、異物がアパーチャ部26には達することはないので、血液分析の測定精度を向上させることができる。
【0039】
アパーチャ部26より下流側の流路25b、25cについて述べておくと、これら流路25b、25cは、分岐した位置からそれぞれカートリッジ本体201の挿入方向を横切るように形成された直線状流路と当該直線状流路を折り曲げる折り曲げ流路とからなる蛇行状に形成される。(図4、図9参照)。このように測定用流路25は、複数回に分けてカートリッジ本体201の挿入方向についての端部側で折れ曲がるように構成され、カートリッジ本体201の略全面に亘って形成されている。これによって、カートリッジ本体201内部の限られた領域の中で、測定用流路25をできるだけ長く確保している。また、測定用流路25の最終端部は、カートリッジ本体201の表面(下面)に開口した開口部Hに連通しており、混合用流路24の下流側出口(開口)から導入された希釈血液は、測定用流路25内に含まれる空気を開口部Hから押し出すようにして測定用流路25内を進むように構成している。
【0040】
そして、図4に示すように、測定用流路25の分岐部分のアパーチャ部26より下流側の、アパーチャ部26を通過した希釈血液と接触する位置に、アパーチャ部26を挟むように検出部たる一対の電極27(以下、第1の電極27とも言う)が配置されている。なお、この電極27は、測定用流路25の内壁に面するように形成された液接触部27aと、この液接触部27aから引き出されたリード線(不図示)と、このリード線を介して液接触部27aに電気的に導通するように切欠部21上方のカートリッジ表面に表出させた信号取出部27bとから構成されている。
【0041】
また、前記第1の電極27における液接触部27aの下流側には、第2の電極28を設けている。第2の電極28は、液接触部27aからの流路容量が予め定めた一定容量となる下流側(具体的には測定用流路25の終端から所定距離上流側)に設けた液検出部28aと、この液検出部28aから引き出されたリード線(不図示)と、このリード線の終端に連続し、前記信号取出部27bの側方に設けた検出信号出力部28bとから構成されており、希釈血液が液検出部28aに到達したことを検出する液面センサとして作用する。
【0042】
つまり、液接触部27aと接触した後に測定用流路25中を進む希釈血液が、この液検出部28aに接触すると電気信号が発生し、この電気信号は液検出部28aから引き出されたリード線を介して検出信号出力部28bに送られ、これによって希釈血液が測定用流路25内の所定の到達位置に到達したことが計測部本体10に伝わる。このように、希釈血液が測定用流路25内の前記所定位置に到達したことが検出された際に、液供給部13による希釈血液の供給を停止することで、希釈血液が流路終端の開口部Hに到達して溢れることを防止できるようにしてある。
【0043】
なお、第1の電極27の信号取出部27bと、第2の電極28の検出信号出力部28bとは、前述したように並んで配置されており、カートリッジ20を計測部本体10に装着した際に、この信号取出部27bおよび検出信号出力部28bが、コネクタ部14の導通部14aに電気的に接触するように構成されている。
【0044】
そして本実施形態のカートリッジ20は、図3に示すように、容器ホルダ部23に収容された試薬容器3の封止フィルム34を貫通して当該試薬容器3を大気開放する大気開放機構7を有している。
【0045】
この大気開放機構7は、容器ホルダ部23に保持された試薬容器3の封止フィルム34を貫通する貫通部材たる貫通針71と、貫通針71を封止フィルム34の面方向に直交する方向に移動させる第1移動機構72と、前記貫通針71を前記封止フィルム34の面方向に移動させる第2移動機構73とを有する。
【0046】
貫通針71は、保持体であるスライド体202の挿入方向先端側において、試薬容器3側を向くように設けられている。スライド体202は、図10に示すように、前記空間S1(スライド通路)を形成するカートリッジ本体201の側壁内面に接触してスライドする被ガイド部202mと、当該被ガイド部202mから挿入方向に延び設けられ、被ガイド部202mよりも肉薄である延出部202nとからなる。この延出部202nの試薬容器3側に貫通針71が設けられており、その貫通針71よりも先端側に前記係止部202aが形成されている。
【0047】
第1移動機構72は、図11に示すように、貫通針71を封止フィルム34の面外方向上方である孔あけ位置P、及び当該孔あけ位置Pから封止フィルム34の面外方向に直交する方向(つまり挿入方向、封止フィルム34の面方向)に離間した退避位置Qの間で移動可能とするものである。なお、退避位置Qは、貫通針71が封止フィルム34の面外方向上方には無い位置であり、本実施形態では血液定量位置Xである。
【0048】
具体的に第1移動機構72は、スライド体202の被ガイド部202mと、カートリッジ本体201に設けられたガイド部であるスライド通路とからなる。この第1移動機構72によりスライド体202は挿入方向に沿って試薬容器3に対して進退移動する。つまり試薬容器3の封止フィルム34の面外方向は、封止フィルム34の外面が向く方向であり、封止フィルム34の面方向に直交する方向である。
【0049】
このように構成された第1移動機構72によりスライド体202は、前述した駆動部12により駆動される。つまり、駆動部12の係止爪をスライド体202の係止部202aに係止させて、スライド体202を退避位置Qから孔あけ位置Pに移動させる(図11参照)。
【0050】
スライド体202には、定量用毛細管流路22dと貫通針71が設けられることになる。ここで、定量用毛細管流路22dが血液定量位置X(上流側毛細管流路22b、定量用毛細管流路22d及び下流側毛細管流路22cが連通する位置)となるスライド体202の位置と、貫通針71が退避位置Qとなるスライド体202の位置とは同一である。また、定量用毛細管流路22dが血液導入位置Y(定量用毛細管流路22dが測定用流路25と連通する位置)となるスライド体202の位置と、貫通針71が孔あけ位置Pとなるスライド体202の位置とは同一である。
【0051】
第2移動機構73は、図11に示すように、第1移動機構72により孔あけ位置Pとされた貫通針71を、封止フィルム34に向かって移動させて貫通針71が封止フィルム34を貫通する貫通位置Rに移動可能とするものである。なお、貫通位置Rとは貫通針71が封止フィルム34を挿通し、試薬容器3が大気開放される位置である。
【0052】
具体的に第2移動機構73は、前記スライド体202において被ガイド部202mと貫通針71との間に設けられた撓み部からなる。ここで本実施形態の撓み部は、延出部202nの弾性変形による撓みを利用している。
【0053】
このように構成された第2移動機構73によりスライド体202は、前述した駆動部12により駆動される。つまり、駆動部12の係止爪をスライド体202の係止部202aに係止させて、当該係止爪を試薬容器3側に移動させることによって、スライド体202の延出部202nを試薬容器3側に押し込むことにより、貫通針71を孔あけ位置Pから貫通位置Rに移動させる(図11参照)。
【0054】
このように構成した大気開放機構により、貫通孔71による封止フィルム34の貫通動作を、封止フィルム34の面方向に直交する方向に沿って退避位置Qから孔あけ位置Pに移動し、その後貫通位置Rに移動するようにできる。これにより、貫通動作前においては貫通孔71が退避位置Qにあることから、貫通動作前において貫通針71が不意に封止フィルム34に接触することを防止できる。したがって、貫通針71により封止フィルム34が不意に破れて試薬が漏れることを防止することができる。
【0055】
また、スライド体202は、退避位置Qにおいて、封止フィルム34の面方向上方に位置して、当該封止フィルム34を外部から保護するカバー部を有する。本実施形態では、延出部202nのうち貫通針71よりも先端側(係止部202aが設けられた部分)がカバー部として機能する。これにより、貫通針71が退避位置Qにある状態において、貫通針71以外の外部からの接触により封止フィルム34が破れてしまうことを防止することができる。
【0056】
次に、カートリッジ本体201の内部構成の詳細について、図12を参照しつつ説明する。カートリッジ本体201は、図12に示すように、肉厚部401の表面及び裏面に有底溝41、42が形成されるとともに肉薄部402の裏面に有底溝43が形成された例えばPMMA製の基材40と、その基材40の表面及び裏面上に第1、第2接着シート50、52を介して貼り合わされるPET製のカバー部材たる第1、第2フィルム60、62とから構成されている。
【0057】
基材40の肉厚部401の表面には混合用流路24の表面側流路部24aを形成する第1有底溝41が形成されており、肉厚部401の裏面には混合用流路24の裏面側流路部24bを形成する第2有底溝42が形成されている。また、第1有底溝41の下流側端部には接続流路部24cの表面側接続流路部24c1が形成されており、第2有底溝42の上流側端部には接続流路部24cの裏面側接続流路部24c2が形成されている。また、肉厚部401の内部には容器ホルダ部23が形成されており、当該容器ホルダ部23の試薬導出針232の内部流路と第1有底溝41の上流側端部とを接続する流路が形成されている。さらに肉厚部401の内部に形成された空間S1にスライド体202が挿入される。
【0058】
また、基材40の肉薄部402の裏面には測定用流路25を形成する第3有底溝43が形成されている。そして、この第3有底溝43の始点は第2有底溝の終端と連続している。また、前述した通り、アパーチャ部26が形成される位置の上流側付近においては、第3有底溝43の幅が徐々に狭められており、アパーチャ部26が形成される位置の下流側付近においては、第3有底溝43の幅が徐々に拡大されている。このような有底溝41〜43及びフィルタ部Fの柱部は、基材表面より、例えばマイクロマシニング加工やホットエンボス加工、光造型などの任意の加工方法によって形成される。
【0059】
また第1フィルム60は、基材40の肉厚部401の表面形状と略一致する形状に形成されており、基材40の肉厚部表面に貼り合わされた際に、第1有底溝41の開口部を覆うことで混合用流路24の表面側流路部24aを構成する。また、第2フィルム62は、基材の肉厚部401及び肉薄部402の表面形状と略一致する形状に形成されており、基材40の裏面に貼り合わされた際に、第2有底溝42及び第3有底溝43の開口部を覆うことで混合用流路24の裏面側流路部24b及び測定用流路25を構成する。なお、第2フィルム62には、第3有底溝43の終端に相当する位置に貫通孔62aが形成されている。また、第2フィルム62には、基材40の切欠部21に対応する位置において切欠きが設けられておらず、基材40および第2フィルム62を接合した際に、フィルム62の一部が切欠部21上方を覆うように構成される。なお、この切欠部21上方を覆うエリアは、第1の電極27の一部である信号取出部27c、第2の電極28の一部である検出信号出力部28b及び液体センサ221の一部である信号取り出し部221bが形成される。
【0060】
また、第2フィルム62の表面の所定位置に微小量塗布された導電性金属としての銀(Ag)に、薄い炭素被膜(C)を施すことで前述の第1の電極27および第2の電極28が形成されている。これらの電極を各々構成する液接触部27aおよび液検出部28aは、前述のように、測定用流路25中を流れる希釈血液と接触することで電気的に導通し、さらに、液接触部27aおよび液検出部28aは、リード線を介して各々信号取出部27bおよび検出信号出力部28bに電気的に接続されている。なお、液体センサ221も同様に形成される。また、第1の電極等は、例えばスクリーン印刷やスパッタリング等の手法によって形成される。
【0061】
また、基材40の肉厚部表面と第1フィルム60とを接合するための第1接着シート50は、基材40の肉厚部表面全体を覆う、薄膜状の固形接着剤50で構成されている。一方、基材40の裏面と第2フィルム62とを接合するための第2接着シート52は、第2フィルム62の液接触部28a、液検出部29a及び液接触部221aが形成された場所に対応する部分を除いて、基材40の裏面全体を覆う、薄膜状の固形接着剤で構成されている。この固形接着剤は、常温では固体であるが、所定温度程度以上に加熱すると溶融して粘着性が生じる性質を有している。そして、基材40と第1、第2フィルム60、62との間に固形接着剤50、52を挟み込み、その状態で加熱することで基材40と第1、第2フィルム62とを接合するようにしている。
【0062】
<計測手順について>
次に、このような体液分析装置100を用いて、希釈血液中の血球数および血球のサイズを計測する手順を、以下に説明する。
【0063】
まず、カートリッジ本体201の容器ホルダ部23内に試薬容器3を入れる。このとき、容器ホルダ部23の試薬導出針232はシール部32を挿通していない状態である。また、カートリッジ本体201に対するスライド体202の位置は、血液定量位置Xである。この状態で、カートリッジ20を計測部本体10に装着する。その後、試薬容器3が容器ホルダ部23に装着されて、試薬導出針232がシール部32を挿通する。なお、このとき、カートリッジ本体201の表面に形成された信号取出部27c、検出信号出力部28cおよび信号取出部221cは、コネクタ部14の導通部14aと接触し、この導通部14aよりカートリッジ本体201の液体センサ221、第1の電極27および第2の電極28に対して所定の電圧を印加するように、微量な電流を供給する。
【0064】
その後、計測部本体10の外部に出ているカートリッジ本体201の血液導入口22aに血液を付着させる。そうすると上流側毛細管流路22b、定量用毛細管流路22d及び下流側毛細管流路22cの毛細管現象により付着された血液が内部に導入される。このとき下流側毛細管流路22cの下流側開口に設けられた液体センサ221からの検出信号を取得して、計測部本体10は下流側毛細管流路22cに血液が到達したかを判断する。下流側毛細管流路22cに血液が到達したと判断した場合に、計測部本体10は、スライド体202を血液定量位置Xから血液導入位置Yにスライドさせる。このとき、定量用毛細管流路22dの外部にある血液は、上流側毛細管流路22bを形成する形成壁部及び下流側毛細管流路22cを形成する形成壁部により擦り切られて、定量用毛細管流路22dに保持されている血液のみが血液導入位置Yに移動することになる。
【0065】
またこのとき、計測部本体10は、スライド体202の延出部202nを試薬容器3側に押し込むことで、貫通針71により試薬容器3の封止フィルム34を貫通させて、試薬容器3を大気開放させる。
【0066】
スライド体202を血液導入位置Yに移動した後、液供給部13が作動して、混合用流路24内が負圧になり、当該混合用流路24内に試薬容器3から試薬が吸引される。その後、液供給部13は、ポンプを吸引動作及び吐出動作することにより、混合用流路24内及び/又は試薬容器3内で血液及び試薬を混合する。混合後、液供給部13により希釈血液が測定用流路25内に吸引される。
【0067】
測定用流路25内に供給された希釈血液が、アパーチャ部26を通過して分岐し、一対の液接触部27aそれぞれに到達すると、コネクタ部14は、信号取出部27cを介して、これら液接触部27a間の電気抵抗値を電気信号として検出する。この電気信号は、アパーチャ部26を通過する希釈血液中の血球の数および体積(径)に基づいて変化する電気抵抗値に比例したパルス信号となっており、コネクタ部14はこの電気信号から所定時間の間(例えば第1の電極27の液接触部27aに到達した時点から第2の電極28の液検出部28aに到達するまでの間)にアパーチャ部26を通過した希釈血液中の血球の数および体積を算出し、ディスプレイ101等に出力する。
【0068】
また、測定用流路25内に供給された希釈血液が、第1の電極の液接触部27aが設けられた位置を通過し、さらに、第2の電極の液検出部28aが設けられた位置まで到達すると、検出信号出力部28bを介して、第2の電極28間の電気抵抗値を電気信号として検出する。この電気信号がコネクタ部14において検出されると、演算を停止するとともに、切り替えバルブを作動させて、開口部Hを、液供給部13から切り替え、大気に連通させる。このことにより開口部Hを大気圧に戻し、希釈血液の吸引を停止する。
【0069】
このように、希釈血液中の血球の数を計測し終わると、カートリッジ20を装着部11より取り外し、希釈血液を収容した状態のカートリッジ20を焼却等の所定の処理によって廃棄する。
【0070】
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態に係る体液分析装置100によれば、混合用流路24を表面側流路部24a、裏面側流路部24b及び接続流路部24cから構成することにより、カートリッジ本体201の厚み方向に混合用流路24を形成することができ、混合用流路24の容量を可及的に大きくしながらも、カートリッジ20の平面サイズをコンパクトにすることができる。特に本実施形態では、カートリッジ本体201の肉厚部201Aである容器ホルダ部23の側壁に、当該側壁の厚み方向に表面側流路部24a及び裏面側流路部24bを形成しているので、混合用流路24の容積を可及的に大きくすることができる。また、混合用流路24の容量を可及的に大きくできることから、体液と希釈液とを均一に混合できるようになり、体液の分析精度を向上させることができる。
【0071】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0072】
例えば、前記実施形態では接続流路部が表面側接続流路部、定量用毛細管流路及び裏面側接続流路部から構成し、接続流路部を用いて定量された血液を混合用流路に導入するように構成しているがこれに限られない。つまり、接続流路部を用いて定量された血液を導入しないように構成し、接続流路部を表面側流路部及び裏面側流路部の接続にのみ用いるようにしても良い。
【0073】
また、前記実施形態の混合用流路が容器ホルダ部の表面側及び裏面側にのみ形成されるものであったが、混合用流路をカートリッジ本体の肉薄部にわたって形成しても良い。具体的には裏面側流路部をカートリッジ本体の肉薄部にわたって形成しても良い。一方で、測定用流路をカートリッジ本体の肉厚部にわたって形成しても良い。
【0074】
また、前記実施形態では、混合用流路の第1面側流路部及び第2面側流路部が表面側流路部及び裏面側流路部であったが、その他の側面を第1の面又は第2の面として、当該側面に第1面側流路部又は第2面側流路部を形成しても良い。
【0075】
さらに、前記実施形態では混合用流路をカートリッジ本体の表面側及び裏面側に形成するように構成しているが、測定用流路をカートリッジ本体の表面側及び裏面側に形成しても良い。
【0076】
具体的にこのカートリッジ20は、図12に示すように、測定用流路25が、カートリッジ本体201の表面側に設けられた表面側流路部25aと、カートリッジ本体201の裏面側に設けられた裏面側流路部25bと、前記表面側流路部25a及び前記裏面側流路部25bを連通する接続流路部25cとを備えている。そして、前記接続流路部25cにアパーチャ部26が形成されるとともに、このアパーチャ部26の両側流路部である表面側流路部25a及び裏面側流路部25bにそれぞれ電極27aが設けられている。このように構成されたカートリッジ20において、希釈血液が表面側流路部25a又は裏面側流路部25bの一方からアパーチャ部26を経て、表面側流路部25a又は裏面側流路部25bの他方に流動するときに、その希釈血液が前記アパーチャ部27を通過する際に生じるインピーダンス変化を前記両電極27aによって検出する。
【0077】
ここで接続流路部25cにおけるアパーチャ部26の形成方法としては、接続流路部25cの流路断面のサイズをアパーチャ部26を形成する隙間(例えば45μm×40μmの矩形)として、接続流路部25c自体をアパーチャ部26としても良いし(図12参照)、接続流路部25cの上流側又は下流側に所定サイズ(例えば45μm×40μmの矩形)の貫通孔を有するアパーチャ形成部材261を配置することにより構成しても良い。アパーチャ形成部材261によりアパーチャ部26を形成する場合には、例えばPETシートに貫通孔を形成するようにしても良いし(図13(a)参照)、シリコン基板に例えば異方性エッチングを施すことにより貫通孔を形成するようにしても良い(図13(b)参照)。なお、シリコン基板の貫通孔のサイズを約45μm角とするためにはシリコン基板の厚みを約50μmとする。また、シリコン基板に貫通孔を形成して構成されるアパーチャ部26において、アパーチャ部下流における希釈血液のよどみを防止するためにエッチングされたシリコン基板を貼り合わせることによりアパーチャ部を形成しても良い(図13(c)参照)。
【0078】
また、前記実施形態の第2移動機構は、延出部の弾性変形を利用した撓み部により構成しているが、その他、被ガイド部と貫通針との間にヒンジ部を設けるように構成しても良い。
【0079】
その上、前記実施形態では、体液分析器具として血球カウンタに用いられるカートリッジについて説明したが、その他、尿検査における例えばたんぱく質分析又は唾液検査等に用いられるカートリッジとしても良い。
【0080】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0081】
100 ・・・体液分析装置
20 ・・・カートリッジ(体液分析機器)
201 ・・・カートリッジ本体(器具本体)
201A・・・肉厚部
201B・・・肉薄部
23 ・・・容器ホルダ部
24 ・・・混合用流路
24a ・・・表面側流路部(第1面側流路部)
24b ・・・裏面側流路部(第2面側流路部)
24c ・・・接続流路部
25 ・・・測定用流路
26 ・・・アパーチャ部
27 ・・・検出部
3 ・・・試薬容器(希釈液容器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液を希釈液により希釈してなる被計測液を流通させるとともに、その被計測液を物理的又は化学的手段により検出する検出部が設けられた測定用流路と、
前記測定用流路の上流側に設けられて、前記体液及び前記希釈液を撹拌するための混合用流路と、
前記測定用流路及び前記混合用流路が形成された器具本体とを備え、
前記混合用流路が、前記器具本体の第1の面側に設けられた第1面側流路部と、
前記器具本体の第2の面側に設けられた第2面側流路部と、
前記第1面側流路部及び前記第2面側流路部を繋げる接続流路部とを有する体液分析器具。
【請求項2】
前記器具本体が、肉厚部と肉薄部とを備え、
前記肉厚部に前記希釈液を貯留する希釈液容器を収容する容器ホルダ部が形成されるとともに、前記混合用流路が形成されており、
前記肉薄部に前記測定用流路が形成されている請求項1記載の体液分析機器。
【請求項3】
前記肉厚部の裏面と前記肉薄部の裏面が面一となるように形成されており、
前記肉薄部の裏面側に前記測定用流路が形成されており、当該測定用流路が前記肉厚部の裏面側に設けられた第2面側流路部と繋がっている請求項2記載の体液分析器具。
【請求項4】
前記容器ホルダ部が、前記希釈液容器をその中心軸が前記器具本体の平面方向に沿うように収容するものである請求項2又は3記載の体液分析器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−42424(P2012−42424A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186252(P2010−186252)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【Fターム(参考)】