説明

体液検査用テスト装置

本発明は、貯蔵領域(24)から廃棄領域(28)へ移送可能の、収容位置(20)で体液を送り込むことができる複数のテスト部分を有する巻上テストテープ(16)と、活性テスト部分(38)で体液の成分を検出するための測定ユニット(18)とを備える、血液または尿のような体液分析用テスト装置に関する。装置補助機能の実施のために、テストテープ(16)はテスト部分に加えてテープ前進下に機能位置へ移動可能の1つまたは複数の機能部分(40)を有することが提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくはテープカセット内でテープ前進下に貯蔵室から廃棄室へ移送可能の、収容位置で体液を送り込むことができる複数のテスト部分を有するテストテープと、活性テスト部分で体液の成分を検出するための測定ユニットとを備える、血液または尿のような体液検査用テスト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病患者に対する治療、栄養補給および生活リズムをそれぞれの必要に応じて調節できるようにするため定期的な血糖コントロールが必須である。自己管理のために同様に小型検査装置として作動する携帯装置が市場に提供されており、それらを用いて非専門家でも必要な工程を簡単かつ迅速に実行することができる。その際に毛細管血を送り込んだ後、たとえば光学的測定ユニットによって装置内部の検出を可能にするために、処分可能の試験ストリップが用意されている。しかしながら、試験ストリップのマガジン化および処理は多くの取付スペースを要求し、複雑な駆動装置が必要になる。そのために、本出願時点で未公開のヨーロッパ特許出願第02026242.4号明細書および同第02028894.0号明細書の中で、個々の試験ストリップの代わりに好適な試験化学で処理する複数のテスト部分が連続的に配設された巻上テストテープを使用することが提案されている。体液はテープ前進により活性ポジションへ運ばれたテスト部分に塗布され、かつ分析される。採血ならびに特に血糖のための公知の試験媒体および検出システムの詳細は前記印刷物に記載されており、ここにそれを引用し、かつ前記印刷物に関する内容を本出願に採用する。
【発明の開示】
【0003】
上記事項を前提として、本発明の基礎をなす課題は、従来技術において発生する欠点を回避し、かつ冒頭に挙げた形式の装置を改善かつ簡素化し、その結果、信頼できる測定操作を実現できるようにすることである。
【0004】
上記課題の解決のために、特許請求の範囲第1項に示した特徴の組合せが提案される。本発明の好ましい実施態様および改良形成は従属請求項から生じる。
【0005】
本発明は、テスト部分の連続的な位置決めのために、いずれにしても必要な補助機能用のテープ搬送を利用する思想を前提とする。それに対応して本発明により、テストテープはテスト部分に加えてテープ前進によって機能位置へ移動可能の、装置補助機能のために少なくとも1つの機能部分を有することが提案される。この方法により、それ以外は利用されないテープ部分を本来の測定以外にテープ前進時に自動的に補助機能を生ぜしめるためにテスト領域の外部で利用することができる。
【0006】
好ましい一実施態様にしたがって、機能部分(群)は前記機能位置で測定ユニットと共働する。しかしまた基本的にこの機能部分は独立した検出ユニットによって、たとえば光学式、電気式または磁気式に走査することも可能である。
【0007】
測定精度の改善のために、機能部分は測定ユニットの特に光学的較正用の、特に白、黒、灰、着色または透明の較正フィールドを有することが提案される。
【0008】
もう1つの改善は、利用しないテスト部分または機能部分で検出された測定値を目標値と比較するための比較器によって達成される。このような比較器は比較回路またはソフトウエアによって評価プロセッサ上に形成することができる。
【0009】
テープ前進時の自動洗浄のために、機能部分がテープ前進時に測定ユニットと接触する洗浄フィールドを有する場合に利点となる。
【0010】
保護機能は、機能部分が測定ユニットを保護するために形成される特に弾性拡延性の保護フィールドを有することによって達成できる。
【0011】
機能部分が温度または湿度のような環境パラメータを検出するためのセンサフィールドを有する場合も好適である。
【0012】
測定ユニットの測定経過を制御するために、機能部分が特に金属箔によって形成される制御フィールドを有する場合に有利である。
【0013】
使用者情報のために、機能部分は平文で直接読取可能の情報フィールドを有してもよい。有利な実施態様において情報フィールドはテスト部分のあいだに配設されており、まだ使用可能のテスト部分の数を表示する残存状態付番を有することを考慮している。
【0014】
機能性と、特にさらなる衛生の改善は、機能部分が体液を処分するために形成される吸引フィールドを有することによって達成される。この関連性において、機能部分はたとえば湿度によって活性化可能の保存剤を含有することも考えられる。
【0015】
好ましくは、機能部分もしくは機能部分群が複数の装置補助機能の組合せ用の多機能フィールドとして形成されている。
【0016】
好ましくは、テストテープは貯蔵室内の貯蔵コイルから巻戻可能の、ガイド手段を介して収容ポジションの領域で案内可能かつ廃棄室内の巻上コイルに巻上可能である。
【0017】
好適な試験化学を適用するために、テスト部分が連続的なキャリアテープ上に部分ごとに取り込まれる試薬コーティングによって形成される場合に利点となる。
【0018】
特にさらなるハンドリングの改善は、テストテープがテープカセット内で携帯式装置のケースの中に挿入可能であることによって達成される。
【0019】
テスト装置に使用するための消費材として対応するテープカセットは同様に本発明の目的である。
【0020】
以下、本発明は図面に概略的な方法で示した実施例を利用してより詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1に示した血糖測定装置10は、装置ケース12と、その中に挿入されるテストテープ16を有するテープカセット14と、テストテープ上に投与される血液を分析するための光学測定ユニット18とを含む。測定ユニット18はテストテープ上へ標定して血液滴を塗布するための血液受容位置20の領域でガイド尖端部19と結合されている。一般的な装置原理は欧州特許出願公開第02026242.4号に詳細に記載されており、それを引用し、かつ前記印刷物に関する内容をここに採用する。
【0022】
テープカセット14は、貯蔵コイル26用の貯蔵チャンバ24と、巻上コイル30用の蓄積チャンバ28とを備えるカセットケース22を有する。コイル駆動装置32は、貯蔵コイル26から巻上コイル30へのテストテープ16の部分ごとの前進を可能にする。コイル26、30のあいだにテストテープ16の自由回転部分が偏向ローラ34とガイド尖端部19とを介して案内されている。
【0023】
図2から読み取れるように、テストテープ16は、分析目的用のテスト部分38と、装置補助機能用の付加的な機能部分40とを備える連続的なキャリアフィルム36を有する。キャリアフィルム36は約20μmの薄いポリマーフィルム、たとえばポリエステルからなる。
【0024】
テスト部分38の領域に試薬フィールドが、たとえば前製造された試験エレメントを使用して接着法またはラベリング法によって、あるいは直接的なコーティング法、特に印刷法によって取り込まれている。試薬フィールドは、投与された血液中の被分析物(グルコース)に変色によって反応するドライケミカル薬品を含有する。この反応の検出は測定ユニット18による反射蛍光測定によって行われる。この場合、測定ユニット18は光導波管として形成されたガイド尖端部19を介して、かつ透明のキャリアフィルム36を通して受容位置20にある瞬間的な活性テスト部分38に光学的に結合されている。対応するテープ前進によってテスト部分38を連続的に使用することができる。この方法により複数の自動的に進行する患者自己コントロールのためのテストを実行することができ、消耗剤を交換する必要がない。
【0025】
テープ移送時に機能部分40もその各機能位置に到達する。この場合、図1に示したように、測定ユニット18との共働を考慮することができる。機能部分38は、択一的または補完的に別の装置コンポーネントまたは使用者に対する補助機能を満たす。
【0026】
機能部分40は、図示した実施形態においてテープ回転方向にテスト部分38と交互に、かつ同じテープ側に印刷または接着することによって、あるいは別の好適な措置によりキャリアフィルム36上に取り込まれている。所望の機能に応じて、たとえばテストテープ16の始端部にのみまたは血液投与側から離間するテープ押圧側に別の配列も考えられる。
【0027】
光学的測定ユニット18を較正するために、機能部分38はその光学的性質で規定された較正フィールドによって形成できる。そのために白、黒、灰色のまたは着色したフィールドを使用することができる。較正によって使用期間中の老朽化またはその他の変化を補償することができ、その結果、均一な測定精度が保証されている。着色したフィールドは波長コントロールのために、かつ必要な場合はたとえば温度変動時のドリフト修正に利用することができる。暗色較正用に、すでに実質的に光を反射しない透明のキャリアフィルム36の領域で充分とすることができる。較正フィールドの目標値は目的に応じてチャージ仕様に装置10の中に、たとえば図示しない評価ユニットと共働する符号化もしくはメモリ媒体としての機能フィールド40を介して供給される。
【0028】
測定ユニット18の較正は、比較器42を介して装置内に記録された目標値または特性フィールドとの比較によって行われる。測定ユニット18の調節は利用しないテスト部分38で非常に正確な空値のコントロールも可能にする。それによって変色またはその他の非有用性を暗示する変化を非常に敏感に検出できる。
【0029】
洗浄機能は、フェルトまたは紙のような軟らかい材料からなる機能フィールド40が測定ユニット18に対向するキャリアテープ36の裏側に取り付けることによって達成できる。テープ前進時に前記洗浄フィールドは測定窓を介して摺動し、それによって自動的に汚れや塵埃を除去し、補助的な装置または使用者介入が不要になる。
【0030】
静止状態で測定ユニット18の光学系は薄い透明のキャリアテープ36によってまったく保護されない。その場合の救済策を講ずるために、静止位置に環境の影響に対して良好な遮蔽を達成する保護フィールドとして好適な機能部分40を光学系の前におくことができる。たとえばそのために弾力性の平物部材が好適である。このような保護フィールドはより確実に管理することができ、その結果、ガイド尖端部19からの側面の脱落を防止することができる。
【0031】
機能部分40のその他の適用は、温度依存性に変色フィールドを現在の温度または貯蔵中の温度用のセンサとして利用し、必要な場合は温度超過を表示することである。感湿性の機能フィールドは同様に不都合な条件に対しても警告を出すことができる。
【0032】
キャリアテープ36上の機能部分40としての金属箔および装置10内の近接スイッチは、スタートまたはストップ信号をトリガし、または装置フラップを制御することができる。様々な抵抗をもつ金属箔を電気的に「読み取る」ことができる。磁化可能の箔片を読み取りかつ書き込むこともできる。
【0033】
さらに、機能部分は使用者によって直接読み取り可能の、たとえばまだ使用できるテスト部分38の数などの情報を含むことも可能である。それによって使用者は装置10から取り出したカセット14でも残存状態付番を検出できる。最後のテスト部分38に対する着色した警告フィールドは間もなくテープが終了することに使用者の注意を促すことができる。
【0034】
別の補助機能は、吸引能力のある機能フィールド40が血液サンプル過剰分を吸収することであり、その結果、前記過剰分は廃棄チャンバ28内で衛生的に乾燥することができる。保存剤を有する機能フィールドは必要に応じて廃棄チャンバ28内の衛生状態をさらに改善することができる。
【0035】
機能部分40は複数の補助機能も同時に引き受けることができる。たとえば多少厚い白色の紙フィールドを較正、洗浄および保護のために使用できる。前記フィールドの始端部は測定後に洗浄する。中央部分は非使用中に光学系の前にあり、この光学系を保護する。中央部分で患者のために進行中のテスト回数が可視的に印刷されている。終端部は新たに測定する前に光学系の較正に利用される。廃棄チャンバ28内で血液過剰分が吸収され、衛生状態が改善される。
【0036】
要約して以下を堅持する:本発明は、貯蔵領域24から廃棄領域28へ移送可能の、収容位置20で体液を送り込むことができる複数のテスト部分を有する巻上テストテープ16と、活性テスト部分38で体液の成分を検出するための測定ユニット18とを備える、血液または尿のような体液検査用テスト装置に関する。装置補助機能の形成のために、テストテープ16はテスト部分に加えてテープ前進下に機能位置へ移動可能の1つまたは複数の機能部分40を有することが提案される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】糖尿病患者用のテストテープを有する携帯式血糖測定装置の簡略化した断面図である。
【図2】テスト部分と付加的な機能部分とを有するテストテープの部分透視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくはテープカセット(14)内でテープ前進下に貯蔵室(24)から廃棄室(28)へ移送可能の、収容位置(20)で体液を送り込むことができる複数のテスト部分を有するテストテープ(16)と、活性テスト部分(38)で体液の成分を検出するための測定ユニット(18)とを備える、血液または尿のような体液検査用のテスト装置であって、
テストテープ(16)が前記テスト部分に加えてテープ前進によって機能位置へ移動可能の装置補助機能用の少なくとも1つの機能部分(40)を有することを特徴とするテスト装置。
【請求項2】
機能部分(40)が前記機能位置で測定ユニット(18)と共働することを特徴とする請求項1記載のテスト装置。
【請求項3】
機能部分(40)が測定ユニット(18)の較正用の較正フィールドを有することを特徴とする請求項1または2記載のテスト装置。
【請求項4】
機能部分(40)が光学測定ユニット(18)用に白、黒、灰、着色または透明の較正フィールドを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のテスト装置。
【請求項5】
利用しないテスト部分(38)または機能部分(40)で検出された測定値を目標値と比較するための比較器(42)を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のテスト装置。
【請求項6】
機能部分(40)がテープ前進時に測定ユニット(18)と接触する洗浄フィールドを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のテスト装置。
【請求項7】
機能部分(40)が測定ユニット(18)の保護のために形成される、特に弾性拡延性の保護フィールドを有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のテスト装置。
【請求項8】
機能部分(40)が温度または湿度のような環境パラメータを検出するためのセンサフィールドを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のテスト装置。
【請求項9】
機能部分(40)が測定ユニット(18)の測定操作を制御するための、特に金属箔によって形成される制御フィールドを有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のテスト装置。
【請求項10】
機能部分(40)が使用者によって読取可能の情報フィールドを有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のテスト装置。
【請求項11】
情報フィールドがテスト部分(38)のあいだに配設されており、かつまだ使用可能のテスト部分(38)の数を表示する残存状態付番を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のテスト装置。
【請求項12】
機能部分(40)が体液を処分するために形成される吸引フィールドを有することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のテスト装置。
【請求項13】
機能部分(40)が少なくとも1種の保存剤を含有することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のテスト装置。
【請求項14】
機能部分(40)を複数の装置補助機能の組合せ用の多機能フィールドとして形成したことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のテスト装置。
【請求項15】
テストテープ(16)が貯蔵室(24)内の貯蔵コイル(26)から巻戻可能であって、収容位置(20)の領域のガイド手段(19)によってガイドされ、廃棄室(28)内の巻上コイル(30)に巻上可能であることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のテスト装置。
【請求項16】
テスト部分(38)が連続的なキャリアテープ(36)上に部分ごとに取り込まれる試薬フィールド、特に試薬コーティングによって形成されることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載のテスト装置。
【請求項17】
テストテープ(16)がテープカセット(14)内で携帯式装置(10)のケース(12)の中に挿入可能であることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載のテスト装置。
【請求項18】
テープ前進下に貯蔵室(24)から廃棄室(28)へ移送可能の、収容位置(20)で体液を送り込むことができる複数のテスト部分(38)を有するテストテープ(16)を備える上記請求項のいずれか一項記載のテスト装置(10)のためのテープカセットであって、
テストテープ(16)が前記テスト部分(38)に加えてテープ前進によって機能位置へ移動可能の補助機能のための少なくとも1つの機能部分(40)を有することを特徴とするテープカセット。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−506077(P2007−506077A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526579(P2006−526579)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010289
【国際公開番号】WO2005/032372
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】