説明

余剰汚泥減溶化装置及び余剰汚泥減溶化方法

【課題】 オゾンの消費量を抑え、より効率的に余剰汚泥を減容化する装置及び余剰汚泥を減容化する方法を提供する。
【解決手段】有機性排液を生物処理するための生物処理槽および生物処理の際に生じる余剰汚泥を貯留するための汚泥貯留槽を含む有機性排液処理システムにおける余剰汚泥を減容化する余剰汚泥可溶化装置であって、前記汚泥貯留槽からの余剰汚泥を計量添加するための計量添加手段と、計量添加した余剰汚泥をオゾン処理するためのオゾン発生手段とを有するオゾン処理槽1と、前記オゾン処理槽と前記余剰汚泥を循環可能に接続された循環槽であって、オゾン処理した余剰汚泥を散気手段により圧縮空気を散気しながら前記オゾン処理槽と循環槽との間を所定時間循環させて熟成処理して前記余剰汚泥の可溶化を完了し、そして可溶化を完了した余剰汚泥を前記生物処理槽側に戻す循環槽2と、前記循環槽に接続され、前記循環槽で発生するオゾンを含む気体からオゾンを吸着するための脱オゾン層3と、から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、余剰汚泥減溶化装置及び余剰汚泥減溶化方法に関する。より詳しく述べると、生物処理を利用した有機性廃液処理システムで生じる余剰汚泥を減容化するための減溶化装置及び余剰汚泥減溶化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下水に代表される有機性排液は、例えば図5に示す通り、活性汚泥法等の生物処理により処理されている。
図5は、従来の一般的有機性廃液処理システムを示す模式図である。この有機性排液処理システムは、流量調整槽101と、流量調整槽101により搬送された有機性排液を生物処理するための第1曝気槽102、第2曝気槽103と、第2曝気槽103と接続され、第1、2曝気槽102、103により処理した有機性排液を液体成分と沈殿した汚泥とに分離するための沈殿槽104と、沈殿槽104と接続され、沈殿槽104からの汚泥を濃縮し、第1の曝気槽102に戻し、濃縮した汚泥を後段の汚泥処理槽106に送る汚泥濃縮貯留槽105と、汚泥濃縮貯留槽105で濃縮した汚泥を貯留するための汚泥貯留槽106とから主として構成されている。
【0003】
なお、生物処理槽である曝気槽の数は任意であり、また汚泥濃縮槽槽105からの分離液は、第1の曝気槽101の代わりに流量調整槽101に戻す構成としてもよい。
【0004】
第1および第2曝気槽102、103は、有機性排液を生物処理するための処理槽であり、一般に曝気(エアレーション)するための曝気装置とを有しており、好気的条件により生物処理している。
生物処理した液体(処理液)を沈殿槽104で固液分離し、分離された液体(分離液)は殺菌又は消毒された後、放流される。
固液分離された固体成分(スラリー状物)は、後段の汚泥濃縮貯留槽105に搬送されて、汚泥濃縮貯留槽105でさらに液体と固体とに分離される。
【0005】
分離された液体の大部分は、第1の曝気槽102(または流量調整槽101)に戻され再び曝気槽102、103で生物処理に供せられる。
一方、分離された汚泥(および少量の分離液を含む)は、後段の汚泥貯留槽106に搬送された後に、余剰汚泥として処理される。
【0006】
余剰汚泥は、例えば最終処分場や焼却処理施設等で処理されるかあるいはコンポスト化されて再利用されている。
【0007】
しかしながら、最終処分場での処理可能量が少なくなり、また焼却処分を行う場合にはダイオキシン対策を講じる必要がある等の課題がある。
【0008】
これに対して、特許文献1〜3は、図6に示す通り余剰汚泥をオゾン処理して可溶化する方法が記載されている。
図6は、従来の剰汚泥減容化装置を組み込んだ有機性排液処理システムを示す模式図である。
【0009】
図6に示すシステムは、図5に示す従来の有機性廃液処理システムにおいて、汚泥濃縮槽105からの汚泥の一部を抜き取り、オゾン処理により可溶化するためのオゾン処理槽206、オゾン処理した汚泥から脱オゾンするための脱オゾン槽が設けられ、オゾン処理槽で汚泥の一部をオゾン処理により可溶化した汚泥を第1の曝気槽102に戻して再び生物処理する構成を有している(汚泥返送ライン)。
【特許文献1】特開平06−206088号公報 (特許請求の範囲、段落0044、図1)
【特許文献2】特開平8−299995号公報(特許請求の範囲、図1)
【特許文献3】特開平11−277095号公報(特許請求の範囲、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1〜3の方法では、汚泥の一部を抜き取って可溶化するので余剰汚泥の減容化量に課題がある。また、使用するオゾン量は比較的多量であるので、オゾン消費量を低減したいという要求がある。
【0011】
したがって、本発明の課題は、オゾンの消費量を抑え、より効率的に余剰汚泥を減容化する装置及び余剰を減容化する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する本発明は、次の各項目に関する。
(1) 有機性排液を生物処理するための生物処理槽および生物処理の際に生じる余剰汚泥を貯留するための汚泥貯留槽を含む有機性排液処理システムにおける余剰汚泥を減容化する余剰汚泥可溶化装置であって、前記汚泥貯留槽からの余剰汚泥を計量添加するための計量添加手段と、計量添加した余剰汚泥をオゾン処理するためのオゾン発生手段とを有するオゾン処理槽と、前記オゾン処理槽と前記余剰汚泥を循環可能に接続された循環槽であって、オゾン処理した余剰汚泥を散気手段により圧縮空気を散気しながら前記オゾン処理槽と循環槽との間を所定時間循環させて熟成処理して前記余剰汚泥の可溶化を完了し、そして可溶化を完了した余剰汚泥を前記生物処理槽側に戻す循環槽と、前記循環槽に接続され、前記循環槽で発生するオゾンを含む気体からオゾンを吸着するための脱オゾン層と、から構成されることを特徴とする余剰汚泥可溶化装置。
【0013】
なお、本発明で使用する用語「熟成」とは、オゾン処理して一部可溶化した余剰汚泥の可溶化を所定のレベルまで促進する処理を意味する。また、所定レベルまで可溶化することを本発明では、可溶化の完了と言う。
【0014】
(2) 前記オゾン処理槽は、複数の部屋で区切られた多室式の処理槽であり、そして前記循環槽は、各々散気手段を有する複数の部屋で区切られた多段式の槽であり、各々前段の部屋で処理された余剰汚泥を後段の部屋で処理しながら熟成処理することを特徴とする(1)に記載の余剰汚泥可溶化装置。
【0015】
(3) 前記散気手段は、圧縮空気温度を15〜35℃の範囲に制御するための温度調整手段を有することを特徴とする(1)または(2)に記載の余剰汚泥可溶化装置。
【0016】
(4) 前記オゾン発生手段は、前記オゾン処理槽に計量添加した余剰汚泥の量に応じて、前記オゾン処理槽にオゾンを計量添加するための計量添加手段を有することを特徴とする、(1)から(3)のいずれか1項に記載の余剰汚泥可溶化装置。
【0017】
(5) 請求項1から請求項4に記載の汚泥可溶化装置により、有機性排液を生物処理槽で生物処理した際に生じる余剰汚泥を減溶化する余剰汚泥の減容化方法であって、
(a) 所定量の余剰汚泥をオゾン反応槽に搬送する余剰汚泥搬送工程と、
(b) 搬送した余剰汚泥をオゾン処理するオゾン処理工程と、
(c) 前記オゾン処理した余剰汚泥を循環槽で圧縮空気を散気しながら熟成させるのと同時に、発生したオゾンを含む気体からオゾンを分解する熟成工程と、
(d) 工程(c)からの余剰汚泥をオゾン処理槽と循環槽との間で循環させて可溶化を完了する循環工程と、
(e) 可溶化を完了した余剰汚泥を再び生物処理槽に戻して生物処理する生物処理工程と、
を含むことを特徴とする余剰汚泥の減溶化方法。
【0018】
(6) 工程(e)で可溶化した余剰汚泥を再び生物処理槽に戻した後に、工程(a)〜(e)に戻り、バッチ式に余剰汚泥を減溶化させることを特徴とする請求項5に記載の余剰汚泥の減溶化方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、既存の有機性廃液処理システムに接続して、有機性廃液処理システムから発生する余剰汚泥を少ないオゾンの消費量で充分に可溶化して有機性廃液処理システムの生物処理槽に戻すことによって、実質的に全ての余剰汚泥を減容化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の剰汚泥減容化装置を組み込んだ有機性排液処理システムを示す模式図であり、図2は、本発明の余剰汚泥減容化装置を示す模式図であり、図3は、余剰汚泥の分解の様子を示す模式図であり、そして図4は本発明の余剰汚泥減溶化を示すフローチャートである。
【0021】
〔余剰汚泥の可溶化装置〕
まず、図1に基づいて、本発明の余剰汚泥減容化装置の説明をする。
図1に示す通り、本発明の余剰汚泥減容化装置は、既存の有機性廃液の生物処理システム(例えば、図5に記載したシステム:図1中、点線で囲った部分)に接続して生物処理システムから生じる余剰汚泥を可溶化して生物処理側に可溶化した汚泥を戻す装置である。
【0022】
既存の有機性排液処理システムは、従来技術で記載した通り、流量調整槽101と、流量調整槽101により搬送された有機性排液を生物処理するための第1曝気槽102、第2曝気槽103と、第2曝気槽103と接続され、第1、2曝気槽102、103により処理した有機性排液を液体成分と沈殿した汚泥とに分離するための沈殿槽104と、沈殿槽104と接続され、沈殿槽104からの汚泥を濃縮し、第1の曝気槽102に戻し、濃縮した汚泥を後段の汚泥処理槽106に送る汚泥濃縮貯留槽105と、汚泥濃縮貯留槽105で濃縮した汚泥を貯留するための汚泥貯留槽106とから主として構成されている(段落0002〜0005参照)。
【0023】
本発明の余剰汚泥減容化装置は、汚泥貯留槽106と接続されたオゾン処理槽1と、オゾン処理槽1と循環可能に接続された循環槽2と、オゾン処理槽2で発生したオゾンを含有する気体からオゾンを吸着する脱オゾン槽3と、循環処理槽2で充分熟成して可溶化した汚泥を生物処理槽(流量調整槽101または第1曝気槽102、図の例では第1曝気槽102)に戻すためのラインとから主として構成されている。
【0024】
(オゾン処理槽1)
オゾン処置槽1は、汚泥貯留槽106に貯留された余剰汚泥にオゾン添加して(オゾンガスの吹き込み)、余剰汚泥とオゾンガスとを接触させ、余剰汚泥の細胞壁にオゾンの酸化力により傷を付け浸透圧で細胞壁の液を出して可溶化する槽である。そのため、オゾン処理槽1は、図2に示す通りオゾン発生器11と接続されている。
オゾン発生器11は、所定量のオゾンを発生できる装置であれば特に限定されるものではないが、一般には常温常圧の空気を原料として無声放電方式でインバータを使用して高濃度のオゾンを連続して発生する装置である。オゾン発生器にはオゾン量を調節するための調整ダイヤルとオゾン化するための空気の量を調整により行う。そして、オゾン量を調整して所定量のオゾンガスをオゾン処理槽1に添加する。
【0025】
本発明では、オゾン処理して可溶化した汚泥を、後述する循環槽2との間で所定時間循環させるので、オゾン処理槽1の容量は比較的少なくてすみまた、オゾンの消費量も少量ですむ。なお、オゾン処理槽1は、後述する循環槽2との間での汚泥の循環の際に所定量のオゾンを絶えず添加している。
また、本発明の好ましい実施形態では、オゾン処理槽1と循環槽2との間に可溶化した汚泥を循環させるために、オゾン処理槽1は複数の部屋に区切られている。
【0026】
(循環槽2)
循環槽2は、オゾン処理槽1で可溶化した汚泥とオゾン処理槽1との間で循環させて熟成させるための槽である。そして、循環槽2で熟成した汚泥を、既存のシステムの生物処理側に搬送して再び生物処理を行う。
【0027】
図2に示す通り循環槽2は、複数の部屋に区切られており、各部屋には圧縮空気を送るための散気手段21が設けられている。そして散気手段21により圧縮空気を送ることにより汚泥の可溶化を促進するとともに、汚泥中のオゾンを脱気させる機能を有している。
循環槽2は、さらにオゾン処理槽1との間を循環させるための循環ラインと、オゾンを含有する気体からオゾンを吸着する脱オゾン槽3と、可溶化を促進した(実質的に完全に可溶化した)汚泥を、生物処理槽(図1の例では第1曝気槽102)に戻すための返送ラインとを有している。
【0028】
なお、本発明の好ましい実施形態によると、散気手段21は、圧縮空気温度を15〜35℃の範囲に制御するための温度調整手段(例えば熱交換器)を有することが好ましい。このように温度調整することにより、安定した熟成処理を行うことが可能となる。
【0029】
(脱オゾン層3)
脱オゾン層3は、循環槽2で発生したオゾンガスを含む気体を、排風機により吸い取るための吸気手段と、オゾンを吸着させるための活性炭層と、オゾンを吸着した気体を排気するための排気口から構成されている。
【0030】
〔余剰汚泥減容化装置の動作・余剰汚泥減容化〕
次に、本発明の余剰汚泥の減容化装置の動作(余剰汚泥の減容化方法)について説明する。
(オゾン処理(工程(a)、工程(b))
まず、汚泥貯留槽らの余剰汚泥を所定量、オゾン処理槽に搬送する。余剰汚泥の搬送と同時に所定量のオゾンをオゾン処理槽に吹き込む。
余剰汚泥と、オゾンとがオゾン処理槽で接触することによって余剰汚泥は、オゾンの酸化作用により可溶化し始める。
【0031】
すなわち、余剰汚泥中(有機性排液)中のSS成分は、生物に起因する有機物質である。オゾンは、有機性浮遊物を構成する細胞壁や細胞質膜を攻撃してこれらを破壊する。さらに、オゾンは、細胞壁を構成する多糖類も分解する。
【0032】
より具体的には、図3に示す通り、オゾンを添加すると、細胞壁に傷が付き分解されやすい状態となる。また、一部の糖類やたんぱく質の分解も開始される。
次いで、細胞壁の分解により浸透圧の関係から余剰汚泥は水が流入し、膨張・肥大化してくる。そして、水の流入により膨張・肥大化した余剰汚泥から内容物が流出し始める。このようにして余剰汚泥は分解されて可溶化状態となる。
【0033】
(熟成・循環工程(工程(c)、(d))
本発明では、このような可溶化状態を促進するために、オゾン処理槽と循環槽との間にオゾン処理して可溶化し始めた余剰汚泥を循環させる。
すなわち、オゾン処理した余剰汚泥の可溶化は充分とは言えず可溶化されていない部分を充分に含んでいる(一部可溶化状態)。
【0034】
そこで、本発明では、オゾン処理槽から循環槽、循環槽からオゾン処理槽へと循環させながら可溶化を促進していく。
【0035】
オゾン処理槽からの一部可溶化した余剰汚泥を循環槽で圧縮空気の吹き込み下に滞留させることによって、可溶化を促進して、オゾン槽に戻す。この循環処理を所定時間(若しくは所定回数)繰り返すことによって、余剰汚泥の有意部分を可溶化する(可溶化完了)。図2に記載のように循環槽を多段化した場合には、順次処理した汚泥をオーバーフローさせながら次の部屋へと移していく。
【0036】
また、循環槽では、温度調整された圧縮空気が常に散気されており、熟成している(可溶化が促進している状態の)余剰汚泥からオゾンを脱気して、脱オゾン層によりオゾンを吸着して排気している。
【0037】
循環時間(循環回数)は、所望の余剰汚泥の可溶化の程度、オゾンの添加量により適宜決定され特に限定されるものではない。また、本発明による可溶化の程度(可溶化完了または熟成終了)も特に限定されるものではないが、本発明の好ましい実施形態では、実質的に全ての余剰汚泥を可溶化する。
【0038】
(生物処理工程(工程(e))
このようにして所望の可溶化の程度まで可溶化した(可溶化を完了した)余剰汚泥は、生物処理槽(第1曝気層または流量調整槽)に戻され再び生物処理に供せられる。
すなわち、本発明で処理された余剰汚泥は、有意に(好ましくは実質的全て)可溶化されており、細胞壁や細胞膜を持っておらず、微生物のほとんど死滅しておりある程度の低分子化が進んだ状態、すなわちBOD源として扱える状態である。
したがって、可溶化を完了した余剰汚泥は、生物処理にて好気的に炭酸ガスと水とに分解される。
【0039】
このようにして、可溶化を完了した余剰汚泥を生物処理槽に搬送した後、再び工程(a)、(b)に戻り、次の余剰汚泥の可溶化処理を行う。
このようにバッチ式に余剰汚泥の可溶化処理を行うことによって、汚泥貯留槽に滞留している余剰汚泥を実質的全て可溶化して再び生物処理が施される。
【0040】
以上説明した通り、本発明の余剰汚泥可溶化装置及び可溶化方法によると、オゾン処理した余剰汚泥をオゾン処理槽と循環槽との間を所定時間(所定回数)循環処理するので、所望の程度(好ましくは実質的全て)余剰汚泥を可溶化することができる。しかも、オゾンの消費量も低減することが可能となる。また、オゾン処理した余剰汚泥をオゾン処理槽と循環槽との間を所定時間(所定回数)循環処理することにより、オゾン処理槽の容積を少なくすることができる。
そのため、既存の有機性排液処理システムに容易に組み込むことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の剰汚泥減容化装置を組み込んだ有機性排液処理システムを示す模式図。
【図2】本発明の剰汚泥減容化装置を示す模式図。
【図3】余剰汚泥の分解の様子を示す模式図。
【図4】本発明の余剰汚泥減溶化を示すフローチャート。
【図5】従来の一般的有機性廃液処理システムを示す模式図。
【図6】従来の剰汚泥減容化装置を組み込んだ有機性排液処理システムを示す模式図。
【符号の説明】
【0042】
101 流量調整槽
102、103 曝気槽
104 沈殿槽
105 汚泥濃縮貯留槽
106 汚泥貯留槽
1 オゾン処理槽
2 循環槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性排液を生物処理するための生物処理槽および生物処理の際に生じる余剰汚泥を貯留するための汚泥貯留槽を含む有機性排液処理システムにおける余剰汚泥を減容化する余剰汚泥可溶化装置であって、
前記汚泥貯留槽からの余剰汚泥を計量添加するための計量添加手段と、計量添加した余剰汚泥をオゾン処理するためのオゾン発生手段とを有するオゾン処理槽と、
前記オゾン処理槽と前記余剰汚泥を循環可能に接続された循環槽であって、オゾン処理した余剰汚泥を散気手段により圧縮空気を散気しながら前記オゾン処理槽と循環槽との間を所定時間循環させて熟成処理して前記余剰汚泥の可溶化を完了し、そして可溶化を完了した余剰汚泥を前記生物処理槽側に戻す循環槽と、
前記循環槽に接続され、前記循環槽で発生するオゾンを含む気体からオゾンを吸着するための脱オゾン層と、
から構成されることを特徴とする余剰汚泥可溶化装置。
【請求項2】
前記オゾン処理槽は、複数の部屋で区切られた多室式の処理槽であり、そして前記循環槽は、各々散気手段を有する複数の部屋で区切られた多段式の槽であり、各々前段の部屋で処理された余剰汚泥を後段の部屋で処理しながら熟成処理することを特徴とする請求項1に記載の余剰汚泥可溶化装置。
【請求項3】
前記散気手段は、圧縮空気温度を15〜35℃の範囲に制御するための温度調整手段を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の余剰汚泥可溶化装置。
【請求項4】
前記オゾン発生手段は、前記オゾン処理槽に計量添加した余剰汚泥の量に応じて、前記オゾン処理槽にオゾンを計量添加するための計量添加手段を有することを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の余剰汚泥可溶化装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4に記載の汚泥可溶化装置により、有機性排液を生物処理槽で生物処理した際に生じる余剰汚泥を減溶化する余剰汚泥の減容化方法であって、
(a) 所定量の余剰汚泥をオゾン反応槽に搬送する余剰汚泥搬送工程と、
(b) 搬送した余剰汚泥をオゾン処理するオゾン処理工程と、
(c) 前記オゾン処理した余剰汚泥を循環槽で圧縮空気を散気しながら熟成させるのと同時に、発生したオゾンを含む気体からオゾンを分解する熟成工程と、
(d) 工程(c)からの余剰汚泥をオゾン処理槽と循環槽との間で循環させて可溶化を完了する循環工程と、
(e) 可溶化を完了した余剰汚泥を再び生物処理槽に戻して生物処理する生物処理工程と、
を含むことを特徴とする余剰汚泥の減溶化方法。
【請求項6】
工程(e)で可溶化した余剰汚泥を再び生物処理槽に戻した後に、工程(a)〜(e)に戻り、バッチ式に余剰汚泥を減溶化させることを特徴とする請求項5に記載の余剰汚泥の減溶化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−36571(P2008−36571A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−216628(P2006−216628)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(592263115)富士工機株式会社 (8)
【Fターム(参考)】