説明

作像フレーム、及びこれを備えた画像形成装置

【課題】作像フレームの重量増加、治具のコストアップ、組み立て工数の増加を防止する。
【解決手段】前,後,左,右フレーム53,54,55,56によって、長方形状の外枠を構成し、4本の補強ステーで前フレーム53と後フレーム54とを連結して補強する。この際、補強ステー60の前端部を1本の第1ねじ部材61によって前フレーム53の取付板57に固定し、後端部を1本の第2ねじ部材62によって後フレーム54の取付板65に固定する。4本のフレーム53,54,55,56と、4本の補強ステー60によって、いわゆる平行クランク機構が構成されるので、作像フレーム51は、平行四辺形に湾曲していた場合でも、本体フレーム50に装着されるとこれに倣って、長方形状となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスユニットを搭載した状態で、本体フレームに対して出し入れされる作像フレーム、及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ,複写機,ファクシミリ等の画像形成装置において、プロセスユニットとして4個の露光装置を有し、これら露光装置を簡単に取り出せるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このものは、4個の露光装置を基台に搭載し、本体フレームに対してこの基台を水平方向に出し入れできるように構成されている。基台を本体フレームから引き出すことにより、任意の露光装置を上方から簡単に着脱することができる。
【0004】
このような基台において、軽量化等を目的とした場合、図7に示すように構成した作像フレーム51Aが考えられる。すなわち、前後左右の4つのフレーム(前フレーム53,後フレーム54,左フレーム55,右フレーム56)により長方形状の外枠52を構成し、その前フレーム53と後フレーム54とを4枚の補強ステー60で連結する。各補強ステー60は、その前端側が2本のねじ部材61によって前フレーム53の取付板57に締結され、また、その後端側が同じく2本のねじ部材61によって後フレーム54の取付板65に締結される。このように、作像フレーム51Aは、補強ステー60が片側2本ずつのねじ部材61に強固に固定されているので、補強ステー60が固定された後は、不要な変形を防止することができる。
【0005】
この作像フレーム51Aにおいては、図8に示すように、前フレーム53の後面53a側に突設された前支持部64(図7参照)と後フレーム54の前面54a側に突設された後支持部67とにドラムユニット19や現像装置21等のプロセスユニットの先端及び後端を載せて下方から支持する。このように、作像フレーム51Aは、4色フルカラーにおける各色ごとに2個、合計8個のプロセスユニットを搭載した状態で、本体フレーム50に対して水平方向(例えば、前側)に出し入れすることが可能となっており、引き出した際には、8個あるうちの任意のプロセスユニットを簡単に着脱することができる。
【特許文献1】特開2003−266865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図7に示す従来技術によると、補強ステー60を固定した後は、作像フレームの不要な変形を防止することができるものの、補強ステー60が固定される前の外枠が湾曲したり歪んだりしていた場合には、補強ステー60を固定することにより、湾曲や歪みが発生したままの状態で、作像フレーム51Aが構成されてしまう。このため、ドラムユニット,現像装置等のプロセスユニットを作像フレーム51Aに搭載して、本体フレームに装着した場合、本体フレームに対するプロセスユニットの装着位置の精度が低く、例えば、4色フルカラー画像を形成した場合、色ずれが発生するという問題があった。このような不良を防止するために、例えば、補強ステー60を固定する前の外枠52の組み立て精度を高めようとすると、各フレーム自体を剛性の高い部材で形成したり、精度の高い治具を使用して、外枠52を高い精度で長方形状に組み立てたりすることが必要となり、重量増加、治具のコストアップ、組み立て工数の増加等を招くことになる。
【0007】
そこで、本発明は、重量増加、治具のコストアップ、組み立て工数の増加を抑制することのできる作像フレーム、及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、プロセスユニットを搭載した状態で、本体フレームに対してほぼ水平方向に出し入れされる作像フレームに関する。この発明に係る作像フレームは、(1)ほぼ平行に配設された前フレームと後フレームと、前記前フレーム及び前記後フレームのそれぞれの左端部を連結する左フレームと、前記左フレームに対してほぼ平行に配設されるとともに前記前フレーム及び前記後フレームのそれぞれの右端部を連結する右フレームとを有するほぼ長方形状の外枠と、(2)前記前フレームの左右方向の中間部に連結される前端部と、前記後フレームの左右方向の中間部に連結される後端部とを有する補強ステーと、を備え、(3)前記前フレームは、前記左右方向の中間部に、軸心が上下方向を向くように螺刻された第1雌ねじ部を有し、(4)前記後フレームは、前記左右方向の中間部に、軸心が上下方向を向くように螺刻された第2雌ねじ部であって、前記第1雌ねじ部の中心と前記第2雌ねじ部の中心とを結ぶ仮想直線が前記左フレーム及び前記右フレームとほぼ平行になる前記第2雌ねじ部を有し、(5)前記補強ステーは、前記前端部の、前記第1雌ねじ部に対応する位置に穿設された第1透孔と、前記後端部の、前記第2雌ねじ部に対応する位置に穿設された第2透孔とを有し、(6)前記補強ステーは、前記第1透孔を貫通するとともに前記第1雌ねじ部に螺合された第1ねじ部材の頭部と前記前フレームとの間で前記前端部が挟持され、かつ前記第2透孔を貫通するとともに前記第2雌ねじ部に螺合された第2ねじ部材の頭部と前記後フレームとの間で前記後端部が挟持されることにより、前記本体フレームに対する出し入れの際、水平方向の変形を許容するように、前記前フレームと前記後フレームとに対して回転可能に連結されている、ことを特徴としている。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る作像フレームにおいて、(1)前記前フレームは、前記左フレームから左方に突出する左突出部の後面に形成された左位置決め面と、前記右フレームから右方の突出する右突出部の後面に形成された右位置決め面とを有し、(2)前記左フレームは、出し入れ動作に際して、前記本体フレームによって左右方向の位置が規制される左ガイド面を有し、(3)前記右フレームは、出し入れ動作に際して、前記本体フレームによって左右方向の位置が規制される右ガイド面を有し、(4)前記左位置決め面が、前記本体フレーム側の左基準面に当接され、前記右位置決め面が、前記本体フレーム側の右基準面に当接されて、前記本体フレームに対し前記前フレームが位置決めされることにより、前記左ガイド面又は前記右ガイド面が前記本体フレームに当接されて前記外枠が長方形状に矯正される、ことを特徴としている。
【0010】
請求項3に係る発明は、シートを給送するシート給紙部と、前記シート給紙部から供給されたシートに画像を形成するためのプロセスユニットを有する画像形成部と、を備えた画像形成装置に関する。この発明に係る画像形成装置は、前記プロセスユニットを搭載した状態で、本体フレームに対してほぼ水平方向に出し入れされる作像フレームを備え、前記作像フレームが、請求項1又は2に記載の作像フレームである、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、作像フレームの外枠は長方形状であることが好ましいが、例えば、製造誤差や組み立て誤差等によって、平行四辺形に歪んで(変形して)しまった場合であっても、比較的容易に(従来技術と比較して容易に)長方形に矯正することができる。すなわち、外枠は、前フレームと後フレームと左フレームと右フレームとによってほぼ長方形状に形成されている。また、前フレームの第1雌ねじ部と後フレームの第2雌ねじ部とを結ぶ仮想直線が、左フレーム及び右フレームに対してほぼ平行になるので、これらに螺合されている第1ねじ部材と第2ねじ部材とを結ぶ仮想直線も同様に平行となる。このため、例えば、枠体について、これが平行四辺形と長方形との間で変形することができる、いわゆる平行クランク機構を構成するものとすると、機構的には、補強ステーはこの変形を妨げるものでではない。さらに、補強ステーは、第1ねじ部材の頭部と前フレームとの間、及び第2ねじ部材と後フレームとの間で興じされることにより、前フレームと後フレームとに対して回転可能に連結されているので、従来の、補強ステーの両端部のそれぞれに2本のねじ部材を使用していた場合と比較して、枠体の変形が容易であるといえる。
【0012】
請求項2の発明によれば、例えば、枠体が平行四辺形に歪んでいる場合であっても、本体フレームの左基準面に前フレームの左位置決め面を当接させ、また、本体フレームの右基準面に前フレームの右位置決め面を当接させて、本体フレームに対して前フレームの位置決めをすることにより、左フレームの左ガイド面又は右フレームの右ガイド面が、本体フレームに当接して、平行四辺形が長方形に矯正される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づき詳述する。なお、各図面において、同じ符号を付した部材等は、同じ構成のものであり、これらについての重複説明は適宜省略するものとする。また、各図面においては、説明に不要な部材等は適宜、図示を省略している。
【0014】
<実施形態1>
図1〜図6を参照して、本発明に係る作像フレーム51及び画像形成装置3について説明する。このうち、図1は、画像形成装置3の内部構成を正面側(画像形成装置3の使用時にユーザが位置する側)から見て模式的に示す図である。図2は、本体フレーム50、及び本体フレーム50から引き出された状態の作像フレーム51を説明する、正面側左斜め上方から見た斜視図である。図3は作像フレーム51を説明する図であり、(a)は上面図、(b)は補強ステー60の単品としての上面図、(c)は(a)のA−A線矢視図である。(d)は(a)のB−B線矢視図である。図4は、平行四辺形に歪んだ作像フレーム51の上面図である。図5は、平行四辺形に歪んだ作像フレーム51を本体フレーム50に装着するようすを説明する上面図である。図6は、本体フレーム50に装着されて、平行四辺形が長方形に矯正された作像フレーム51を説明する上面図である。
【0015】
図1を参照して、本発明に係る画像形成装置3の一例を説明する。同図に示す画像形成装置3は、電子写真方式の4色フルカラーのプリンタであり、タンデム方式、中間転写方式を採用している。
【0016】
図1に示す画像形成装置3は、画像形成装置本体4内に、シート給紙部5と、画像形成部6と、定着部7と、シート再給紙部8とが設けられている。ここで、画像形成装置本体4は、図2に示す、ほぼ直方体状に形成された本体フレーム50と、その前面50a、左側面50b、右側面50cに取り付けられた外装パネル(不図示)とを備えていて、本発明に係る作像フレーム51は、後述するように、この本体フレーム50に対して出し入れ自在に装着されている。
【0017】
シート給紙部5には、複数の給紙カセット10と、各給紙カセット10に対応して配設されたピックアップローラ11と、給送ローラ12と、リタードローラ13と、レジストローラ対14とが配設されている。各給紙カセット10内には、複数枚のシートPが積層状態で収納されていて、ピックアップローラ11の矢印方向(図1中の反時計回り)の回転により給紙される。給紙されたシートPは、給送ローラ12及びリタードローラ13によって、重送が防止されつつ、停止中のレジストローラ対14のニップに先端部を当接させることで、斜行が矯正されるとともに一時停止される。一時停止されたシートPは、その後、中間転写ベルト15上のトナー像が中間転写ベルト15の矢印R15方向の回転に伴って2次転写部T2に搬送されるのと同期したレジストローラ対14の回転によって、2次転写部T2に供給される。
【0018】
画像形成部6には、同じ構成の4個の画像形成ステーション、すなわち後述する中間転写ベルト15の回転方向上流側から順に配設されたマゼンタ(M),シアン(C),イエロー(Y),ブラック(BK)の各色の画像形成ステーション16M,16C,16Y,16BKと、中間転写ユニット2とが配設されている。マゼンタの画像形成ステーション16Mを例に説明すると、感光ドラム(像担持体)17と、帯電器18と、露光装置20と、現像装置21と、クリーニング装置23とを有している。一方、中間転写ユニット2は、転写フレーム24と、この転写フレーム24によって回転可能に支持された複数のローラ、すなわち、駆動ローラ25,従動ローラ26,1次転写ローラ22,2次転写対向ローラ27,複数のテンションローラ等と、これらのローラに張架された無端状の中間転写ベルト15とを備えている。中間転写ベルト15は、駆動ローラ25の矢印方向(図1中の時計回り)の回転により、矢印R15方向に回転する。また、中間転写ユニット2全体は、画像形成装置本体4に対して、正面側から出し入れできるように構成されている。
【0019】
マゼンタの画像形成ステーション16Mにおいて、感光ドラム17は、駆動モータ(不図示)によって所定のプロセススピード(周速度)で矢印方向(図1中の反時計回り)に回転駆動され、その表面(外周面)が帯電器18によって所定の極性・電位に一様に帯電される。帯電後の感光ドラム17表面は、露光装置20によって画像情報に応じた露光がなされ、露光部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置21によってマゼンタのトナーが付着されてマゼンタのトナー像として現像される。マゼンタのトナー像は、1次転写部T1において、1次転写ローラ22により中間転写ベルト15上に1次転写される。トナー像転写後の感光ドラム17は、表面に残った転写残トナーがクリーニング装置23によって除去されて次の画像形成に供される。
【0020】
同様にして、シアン,イエロー,ブラックの画像形成ステーション16C,16Y,16BKにおいて各感光ドラム17上に形成されたシアン,イエロー,ブラックのトナー像は、それぞれの1次転写部において、1次転写ローラ22により中間転写ベルト15上のマゼンタのトナー像に順次に重ねられて1次転写される。こうして中間転写ベルト15上で重ね合わされた4色のトナー像は、中間転写ベルト15の回転によって2次転写部T2に搬送される。これと同期して、レジストローラ14対が回転することでシートPが2次転写部T2に供給される。中間転写ベルト15上の4色のトナー像は、2次転写ローラ28によってシートP上に一括で2次転写される。2次転写後の中間転写ベルト15は、ベルトクリーナ30によって表面に残った転写残トナーが除去される。一方、トナー像転写後のシートPは、搬送ベルト31によって定着部7に搬送される。
【0021】
定着部7には、定着ローラ32と、これに圧接されて定着ニップ部Nを構成する加圧ローラ33とを有する定着装置34が配設されている。定着装置34に搬送されたシートPは、定着ニップ部Nを通過する際に、加熱・加圧されて、表面にトナー像が定着される。トナー像定着後のシートPは、排紙ローラ対35によって排紙トレイ36上に排出される。これにより、1枚のシートPの片面に対する4色フルカラーの画像形成が終了する。
【0022】
なお、裏面にも画像形成を行う場合には、シート再給紙部8に配設されたフラッパ37,38、反転パス40等によって表裏反転されたシートPは、再給紙パス41等を介して、再度、画像形成部6に供給され、上述と同様にして、裏面にトナー像が転写され、その後、定着部7でトナー像が定着された後、排紙トレイ36上に排出される。以上で、画像形成装置3についての説明を終了する。
【0023】
図1に示す画像形成装置本体4は、図2に示すように、外観形状が全体としてほぼ直方体状の本体フレーム50と、この本体フレーム50の前面(正面)50a、左側面50b、右側面50cに取り付けられた合成樹脂製の外装パネル(不図示)とを備えている。本体フレーム50は、例えば、板状の鋼板や、鋼板を屈曲させて形成した角パイプ等を前後左右上下に適宜に組み合わせて溶接したり、ねじ止めしたりして構成されている。上述の給紙カセット10、中間転写ユニット2、ドラムユニット19、現像装置(現像ユニット)21等は、この本体フレーム50に装着されることになる。本発明に係る作像フレームは51、この本体フレーム50に対して装着されていて、水平方向(本実施形態では前側)に出し入れすることができるようになっている。
【0024】
図3を参照して、作像フレーム51について説明する。図3(a)に示すように、外枠52は、いずれも比較的細い、前フレーム53、後フレーム54、左フレーム55、右フレーム56によって、ほぼ長方形状に形成されている。ここで比較的細いとは、これら4本のフレームを溶接又はねじ止めすることで外枠52を構成した際に、湾曲や歪みが発生するおそれがあり、また、この湾曲や歪みが、作像フレーム51を本体フレーム50に装着した際に、解消することができる程度をいう。また、ほぼ長方形状とは、長方形であることが望ましいが、各フレームの長さ寸法の加工誤差、組み立て誤差によってわずかに歪んで、例えば平行四辺形になるような場合を含むという意味である。
【0025】
前フレーム53は、鉄板に絞りや曲げを施して長板状に形成したものであり、その長手方向を左右方向に向けて配置されている。前フレーム53の中間部における後面53a側(内面側)には、後方に向けて突設された4枚の取付板57が、左右方向にほぼ等間隔で配置されている。ここで、前フレーム53の中間部とは、前フレーム53における後述の左フレーム55が連結される近傍を左端部といい、右フレーム56が連結される近傍を右端部としたときに、これらを除く中央側全体をいう。各取付板57は、長方形の板状に形成されていて、右端側には、軸心を上下方向に向けた状態で第1雌ねじ部58(図3(a)中において、右端に位置する取付板57、又は図3(c)参照。)が螺刻されている。取付板57は、その上面に、後述する補強ステー60の前端部60aが後述の第1ねじ部材61によって固定されている。前フレーム53の後面53a側における、各取付板57の左側には、前支持部64が後方に向けて突設されている。図3(d)に示すように、前支持部64には、「U」字形の溝64aが形成されていて、プロセスユニットとしての現像装置21は、その前端側をこの溝64aに係合させることで、下方から支持されるとともに、左右方向の位置決めがなされる。
【0026】
図3に示すように、前フレーム53は、後述する左フレーム55との連結部分から左方に突出する左突出部53b、及び同様に後述する右フレーム56との連結部分よりも右方に突出する右突出部53cを有している。これら左突出部53b,右突出部53cの後面側には、左位置決め面53d,右位置決め面53eが形成されている。左位置決め面53dは、前後方向に対して直交する方向の平面状に形成されていて、この左位置決め面53dからは、後方に向けて左位置決めピン53fが突設されている。一方、右位置決め面53eは、前後方向に対して直交する方向の平面状に形成されていて、この右位置決め面53eからは、後方に向けて右位置決めピン53gが突設されている。図5に示すように、本体フレーム50側には、左位置決め面53dに対応する位置に左基準面50dが形成され、また、左位置決めピン53fに対応して、この左位置決めピン53fが係脱可能な、左右方向に長い長孔(不図示)が設けられている。一方、本体フレーム50側の、右位置決め面53eに対応する位置には右基準面50eが設けられ、また、右位置決めピン53gに対応して、この右位置決めピン53gよりもわずかに直径が大きい丸孔(不図示)が設けられている。
【0027】
作像フレーム51は、本体フレーム50から引き出された状態から本体フレーム50に押し入れられる際に、右位置決め面53eを右基準面50eに当接させて、右位置決めピン53gを位置決め用の丸孔に係合させ、また、左位置決め面53dを左基準面50dに当接させて、左位置決めピン53gを位置決め用の長孔に係合させることで、前フレーム53が本体フレーム50に対して、前後左右上下に位置決めされる。すなわち、前フレーム53は、本体フレーム50側の丸孔に右位置決めピン53gを係合させることで、右端側が上下左右前後に位置決めされ、さらに、本体フレーム50側の長孔に左位置決めピン53fが係合されることで、左端側が上下方向に位置決めされ、これにより前フレーム53全体として、本体フレーム50に対して上下左右前後に位置決めされる。
【0028】
後フレーム54は、前フレーム53と同様、鉄板に絞りや曲げを施して長板状に形成したものであり、その長手方向を左右方向に向けた姿勢で、上述の前フレーム53の後方において前フレーム53に平行に配置されている。後フレーム54の中間部における前面54a側(内面側)には、前方に向けて突設された4枚の取付板65が、左右方向にほぼ等間隔で配置されている。各取付板65は、上述の前フレーム53の取付板57と対応する位置に配置されている。各取付板65は、長方形の板状に形成されていて、右端側には、軸心を上下方向に向けた状態で第2雌ねじ部66が螺刻されている。ここで、上述の前フレーム53側の取付板57に螺刻された第1雌ねじ部58の軸心と、後フレーム54側の取付板65に螺刻された第2雌ねじ部66の軸心とを結ぶ直線を仮想直線Lとすると、この仮想直線Lが左フレーム55及び右フレーム56とほぼ平行になるように上述の第1雌ねじ部58及び第2雌ねじ部66の位置が設定されている。取付板65は、その上面に、後述する補強ステー60の後端部60bが後述の第2ねじ部材62によって固定されている。後フレーム54の前面54a側における、各取付板65の左側には、後支持部67が前方に向けて突設されている。後支持部67は、上述の前支持部64とほぼ同形に形成され、前支持部64に対応する位置に配置されていて、プロセスユニットとしての現像装置21の後端側を、前支持部64の溝64aと同様の溝(不図示)によって下方から支持するとともに、左右方向の位置決めを行っている。
【0029】
前フレーム53及び後フレーム54は、左フレーム55及び右フレーム56によって連結されている。左フレーム55及び右フレーム56は、上述の前フレーム53,後フレーム54と同様、鉄板に絞りや曲げを施して長板状に形成したものである。左フレーム55は、その前端が前フレーム53の左端に連結され、また、その後端が後フレーム54の左端に連結されている。一方、右フレーム56は、その前端が前フレーム53の右端に連結され、また、その後端が後フレーム54の右端に連結されている。上述の各フレームは、溶接又はねじ止めによって連結去れて、ほぼ長方形状の外枠52を構成している。
【0030】
図3(a)に示すように、前フレーム53と後フレーム54との間には、前後方向に長い板状の4本の補強ステー60が掛け渡されるように配設されている。4本の補強ステー60は、左フレーム55及び右フレーム56に対してほぼ平行に配設されていて、左右方向にほぼ等間隔で整列されている。図3(b)に示すように、各補強ステー60の前端部60aには、第1透孔68が穿設され、また、後端部60bには、第2透孔70後が穿設されている。第1透孔68は、上述の前フレーム53の取付板57の第1雌ねじ部58に対応する位置に穿設されており、一方、第2透孔70は、上述の後フレーム54の取付板65の第2雌ねじ部66に対応する位置に穿設されている。なお、第1透孔68及び第2透孔70は、組み立て性等を考慮して、後述する第1ねじ部材61及び第2ねじ部材62の直径よりも少し大きい直径に形成されている。これにより、第1透孔68及び第2透孔70と、第1ねじ部材61及び第2ねじ部材62との間には、適宜な間隙、いわゆるガタが設けられている。
【0031】
各補強ステー60は、第1ねじ部材61及び第2ねじ部材62によって前フレーム53の中間部及び後フレーム54の中間部に取り付けられている。第1ねじ部材61は、補強ステー60の前端部60aの第1透孔68を貫通して、前フレーム53の取付板57の第1雌ねじ部58に螺合されている。図3(c)に示すように、補強ステー60の前端部60aは、第1ねじ部材61を締め付けることにより、第1ねじ部材61の頭部61aと取付板57との間で挟持される。同様に、補強ステー60の後端部60bは、第2ねじ部材62を締め付けることにより、第2ねじ部材62の頭部62aと取付板65との間で挟持される。ここで、上述の第1ねじ部材61及び第2ねじ部材62の締め付けトルクは、所定の範囲内に設定されているものとする。所定の範囲内とは、この範囲内で第1ねじ部材61及び第2ねじ部材62が締め付けられたときには、作像フレーム51全体として、ほぼ長方形状を保持し、かつ補強ステー60の前端部60a及び後端部60bが取付板57,65に対して上述のガタに相当する分だけ前後左右方向には移動することはないが、取付板57,65に対する補強ステー60の微小角度の回転は許容する程度をいう。ここで、微小角度とは、後述する外枠52の形状を、平行四辺形から長方形に矯正する際に必要となる回転角度(例えば、0.23度程度:外枠50の左右方向の内寸法が500mmの長方形に対して、これと直交する前後方向のずれが2mm程度の平行四辺形)をいう。
【0032】
上述の構成の作像フレーム51において、外枠52は、前フレーム53と後フレーム54と左フレーム55と右フレーム56とによってほぼ長方形状に形成されている。ここで、ほぼ長方形状とは、理想的には長方形が好ましいが、各フレームの長さ寸法のばらつきや組み立て誤差によっては必ずしも長方形状にならないことがあるという程度の意味である。本発明においては、軽量化等を目的として、上述のように、各フレームを比較的細い部材によって形成しているため、外枠52が歪んで、平行四辺形になることが予め想定される。そして、この平行四変形になった作像フレーム50を、本体フレーム50に装着した際に、作像フレーム50が長方形状に矯正されるようにしている。
【0033】
上述の枠体52は、各フレームによって、いわゆる平行クランク機構を構成しており、さらに、4本の補強ステー60によって分割された5つの長方形(平行四辺形)も平行クランク機構を構成している。なお、原理的には、各フレームの厚さ方向の中心線、及び第1ねじ部材61の中心と第2ねじ部材62の中心を結ぶ直線が、平行クランク機構のリンクに相当する。さらに、厳密には、第1ねじ部材61の中心及び第2ねじ部材62の中心が、前フレーム53の中心線及び後フレーム54の中心線上に乗る必要があるが、図3(a)に示すように、第1ねじ部材61の中心が前フレーム53よりも少し後方にずれており、また第2ねじ部材62の中心が後フレーム54の中心線の少し前方にずれている場合であっても、実質上、これらのずれは、補強ステー60の前後方向の長さに対してほとんど無視することができるため、ずれによる影響はほとんどない。
【0034】
図5に示すように、作像フレーム51は、本体フレーム50に配設された2重レール71に支持された状態で、本体フレーム50の前面50a側からほぼ水平方向に出し入れされる。2重レール71は、本体フレーム50の左端側及び右端側に配設されて本体フレーム50に固定された固定レール71aと、この固定レール71aによって前後方向にスライド可能に支持された可動レール71bとを備えていて、作像フレーム51は、左フレーム55及び右フレーム56が可動レール71bによって前後方向にスライド可能に支持されている。
【0035】
ここで、図4,図5に示すように、作像フレーム51はその全体が湾曲して平行四辺形になってしまった場合、つまり、前フレーム53に着目すると、右端側に対して左端側が前方に位置するように傾斜してしまった場合を考える。なお、作像フレーム51の出し入れは、主に、ドラムユニット19や現像装置21等のプロセスユニットのメンテナンスを目的に行われるものであり、通常、ユーザではなくサービスマンによって行われる。したがって、例えば、ユーザが行う、補給用のトナーを収納したトナー容器の交換等と比較して、その出し入れの頻度は、格段に少ないものである。このように頻度が少ないため、後述するように、作像フレーム51を出し入れするごとに、平行四辺形の作像フレーム51を長方形状に矯正した場合であっても、補強ステー60を固定している第1ねじ部材61及び第2ねじ部材62が弛んでしまうおそれはない。
【0036】
図5に示すように、平行四辺形に湾曲した作像フレーム51は、その左フレーム55及び右フレーム56が可動レール71bに保持された状態で、本体フレーム50から引き出されている。この状態で、サービスマンが前フレーム53の中央の把手(不図示)を握って作像フレーム51を後方に向けて本体フレーム50に押し入れる。作像フレーム51は、可動レール71aにガイドされながら後方にスライドし、同時に可動レール71aは、固定レール71aにガイドされながら、作像フレーム51よりも遅い速度(例えば1/2の速度)で後方に移動する。まず、前フレーム53の右突出部53cの右位置決め面53eが本体フレーム50の前側の右基準面50eに当接され、右位置決めピン53gが左右方向に本体フレーム50の右基準面50eの丸孔に係合される。これにより、前フレーム53の右端側の上下左右前後の位置決めがなされる。この状態から、サービスマンが、把手を持ってさらに作像フレーム51を後方に押し入れる。すると、次に、図6に示すように、前フレーム53の左突出部53bの左位置決め面53dが本体フレーム50の前面の左基準面50dに当接し、左位置決めピン53fが左基準面50dの間が孔に係合される。これにより、前フレーム53の左端側の上下方向の位置決めがなされ、上述の右端側と相まって、前フレーム53全体の、本体フレーム50に対する位置決めがなされる。
【0037】
上述の前フレーム53の左端側が位置決めされる際、左端側は、既に位置決めされている右端側を基準に回転することになるが、このとき、作像フレーム51の右フレーム56が可動レール71bに当接して押されることになり、作像フレーム51に対して、平行四辺形を長方形に矯正するような力が作用する。上述のように、外枠52は、4本の補強ステー60も含めて、平行クランク機構を構成しており、また、補強ステー60を前フレーム53及び後フレーム54に固定している第1ねじ部材61及び第2ねじ部材62の締め付けトルクが、所定の範囲内に設定されているので、作像フレーム51は比較的容易に平行四辺形から長方形に矯正される。その後、本体フレーム50に対し、前フレーム53をねじ(不図示)によって固定したり、クランプ機構(不図示)によって固定したりすることで、本体フレーム50に対する作像フレーム51の装着が終了する。装着状態の作像フレーム51は、外枠52が長方形状に矯正されているので、作像フレーム51に搭載されているプロセスユニットは、その前端が前フレーム53の後面53aに規制されて高い精度で位置決めされることになる。
【0038】
このように、本発明によると、作像フレーム51を比較的容易に変形できるように構成し、本体フレーム50に装着された後に、本体フレーム50に倣って、作像フレーム51が高い精度に変形(矯正)されるようにしたので、作像フレーム51の重量を低減し、組み立て時の高価な治具を不要とし、さらに組み立て工数の低減を図ることとができる。
【0039】
以上では、作像フレーム51に補強ステー60が4本装着された場合を例に説明したが、本発明は、補強ステー60は、少なくとも1本あれば十分であり、この場合も原理的には、上述の4本の場合と同様の効果を奏することができる。
【0040】
なお、以上の説明において、説明の便宜上、画像形成装置本体4や作像フレーム51等について前後方向及び左右方向を上述のように設定したが、本発明は、上述における前後方向と左右方向とを入れ替えた場合であっても、成立するのはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、プロセスユニットを搭載した状態で、本体フレームに出し入れされる作像フレームに適用した場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、一般に,比較的軽量な板状の部材によって長方形状の枠体を構成する一般的な場合に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】画像形成装置の内部構成を正面側(画像形成装置の使用時にユーザが位置する側)から見て模式的に示す図である。
【図2】本体フレーム、及び本体フレームから引き出された状態の作像フレームを説明する、正面側左斜め上方から見た斜視図である。
【図3】作像フレーム51を説明する図であり、(a)は上面図、(b)は補強ステーの単品としての上面図、(c)は(a)のA−A線矢視図、(d)は(a)のB−B線矢視図である。
【図4】平行四辺形に歪んだ作像フレームの上面図である。
【図5】平行四辺形に歪んだ作像フレームを本体フレームに装着するようすを説明する上面図である。
【図6】本体フレームに装着されて、平行四辺形が長方形に矯正された作像フレームを説明する上面図である。
【図7】従来の作像フレームを説明する上面図である。
【図8】本体フレームから出し入れされる作像フレームに、プロセスユニットを着脱するようすを説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
3……画像形成装置、5……シート給紙部、6……画像形成部、19……ドラムユニット(プロセスユニット)、21……現像装置(プロセスユニット)、50……本体フレーム、51……作像フレーム、52……外枠、53……前フレーム、53b……左突出部、53c……右突出部、53d……左位置決め面、53e……右位置決め面、54……後フレーム、55……左フレーム、56……右フレーム、58……第1雌ねじ部、60……補強ステー、60a……前端部、60b……後端部、61……第1ねじ部材、62……第2ねじ部材、66……第2雌ねじ部、68……第1透孔、70……第2透孔、L……仮想直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスユニットを搭載した状態で、本体フレームに対してほぼ水平方向に出し入れされる作像フレームにおいて、
ほぼ平行に配設された前フレームと後フレームと、前記前フレーム及び前記後フレームのそれぞれの左端部を連結する左フレームと、前記左フレームに対してほぼ平行に配設されるとともに前記前フレーム及び前記後フレームのそれぞれの右端部を連結する右フレームとを有するほぼ長方形状の外枠と、
前記前フレームの左右方向の中間部に連結される前端部と、前記後フレームの左右方向の中間部に連結される後端部とを有する補強ステーと、を備え、
前記前フレームは、前記左右方向の中間部に、軸心が上下方向を向くように螺刻された第1雌ねじ部を有し、
前記後フレームは、前記左右方向の中間部に、軸心が上下方向を向くように螺刻された第2雌ねじ部であって、前記第1雌ねじ部の中心と前記第2雌ねじ部の中心とを結ぶ仮想直線が前記左フレーム及び前記右フレームとほぼ平行になる前記第2雌ねじ部を有し、
前記補強ステーは、前記前端部の、前記第1雌ねじ部に対応する位置に穿設された第1透孔と、前記後端部の、前記第2雌ねじ部に対応する位置に穿設された第2透孔とを有し、
前記補強ステーは、前記第1透孔を貫通するとともに前記第1雌ねじ部に螺合された第1ねじ部材の頭部と前記前フレームとの間で前記前端部が挟持され、かつ前記第2透孔を貫通するとともに前記第2雌ねじ部に螺合された第2ねじ部材の頭部と前記後フレームとの間で前記後端部が挟持されることにより、前記本体フレームに対する出し入れの際、水平方向の変形を許容するように、前記前フレームと前記後フレームとに対して回転可能に連結されている、
ことを特徴とする作像フレーム。
【請求項2】
前記前フレームは、前記左フレームから左方に突出する左突出部の後面に形成された左位置決め面と、前記右フレームから右方の突出する右突出部の後面に形成された右位置決め面とを有し、
前記左フレームは、出し入れ動作に際して、前記本体フレームによって左右方向の位置が規制される左ガイド面を有し、
前記右フレームは、出し入れ動作に際して、前記本体フレームによって左右方向の位置が規制される右ガイド面を有し、
前記左位置決め面が、前記本体フレーム側の左基準面に当接され、前記右位置決め面が、前記本体フレーム側の右基準面に当接されて、前記本体フレームに対し前記前フレームが位置決めされることにより、前記左ガイド面又は前記右ガイド面が前記本体フレームに当接されて前記外枠が長方形状に矯正される、
ことを特徴とする請求項1に記載の作像フレーム。
【請求項3】
シートを給送するシート給紙部と、前記シート給紙部から供給されたシートに画像を形成するためのプロセスユニットを有する画像形成部と、を備えた画像形成装置において、
前記プロセスユニットを搭載した状態で、本体フレームに対してほぼ水平方向に出し入れされる作像フレームを備え、
前記作像フレームが、請求項1又は2に記載の作像フレームである、
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−204933(P2009−204933A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−47649(P2008−47649)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】