説明

作業機械

【課題】コモンレール120の燃料温度が異常に上昇するのを抑制し、作業効率が低下するのを防止できるようにした作業機械を提供するものである。
【解決手段】コモンレール120付きディーゼルエンジン70を搭載し、ディーゼルエンジン70の出力によって作業部2,5,8を駆動するように構成してなる作業機械において、コモンレール120の燃料温度を検出する燃料温度センサ321と、作業部2,5,8の過負荷運転状況を警報するオーバーロード警報器327を備え、オーバーロード警報器327からオーバーロード警報が出力される作業部2,5,8の過負荷基準値を多段階に設定したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業部として脱穀装置等を備えたコンバイン、又は作業部として耕耘作業機を備えたトラクタ等の作業機械に係り、より詳しくは、吸気マニホールドと、排気マニホールドと、複数の多気筒用インジェクタと、各インジェクタに燃料を供給するコモンレールとを有するディーゼルエンジンが搭載された作業機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コモンレールを有するディーゼルエンジンが搭載された作業機械において、路上走行モード又は作業モードに、コモンレールの燃料噴射制御モードを切換える技術がある(特許文献1)。また、水温センサによってエンジンの冷却水温度を検出してコモンレールの燃料噴射時期を制御する技術も公知である(特許文献2参照)。また、エンジンの吸入空気温度を検出してコモンレールの燃料噴射圧力を制御する技術も公知である(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−8208号公報
【特許文献2】特開2008−274859号公報
【特許文献2】特開2007−321623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術では、エンジンが高負荷状態で連続的に運転された場合、又は高気温下で連続的に運転された場合、コモンレールの燃料が高温になる場合がある。コモンレールの燃料温度が上昇することによってエンジンの出力が低下する等の問題がある。また、コモンレールの燃料温度が一旦上昇した場合、適正温度以下に下がりにくい等の問題がある。
【0005】
本発明の目的は、コモンレールの燃料温度が異常に上昇するのを抑制し、作業効率が低下するのを防止できるようにした作業機械を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明の作業機械は、コモンレール付きエンジンを搭載し、前記エンジンの出力によって作業部を駆動するように構成してなる作業機械において、前記コモンレールの燃料温度を検出する燃料温度センサを備える構造であって、前記作業部の過負荷運転状況を警報するオーバーロード警報器を備え、前記オーバーロード警報器からオーバーロード警報が出力される前記作業部の過負荷基準値を多段階に設定したものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の作業機械において、前記コモンレールの燃料温度が所定以上に高温になったときに、前記コモンレールの燃料温度が所定以下のときの過負荷基準値よりも前記作業部の運転負荷が低負荷であっても、前記コモンレールの燃料温度が所定以下のときの過負荷基準値よりもさらに低負荷の過負荷基準値に基づき、オーバーロード警報を出力するように構成したものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の作業機械において、走行部を備え、前記作業部の運転負荷の変化に基づき前記走行部の車速を制御する構造であって、前記コモンレールの燃料温度が所定以上の高温になったときに、前記コモンレールの燃料温度が所定以下のときの過負荷基準値よりもさらに前記作業部の運転負荷が低負荷の過負荷基準値に基づき、前記走行部の車速制御を実行するように構成したものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の作業機械において、前記作業部を作動又は停止させる作業クラッチを備える構造であって、前記コモンレールの燃料温度が所定以上の高温になった場合、作業クラッチ入りのときには、前記コモンレールの燃料温度が所定以下のときの最高車速基準値よりもさらに遅い最高車速基準値に基づき、最高車速を制限するように構成したものである。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の作業機械において、前記エンジンが搭載された走行機体を移動させながら作動させる高負荷作業部と、前記走行機体を停止させた状態で作動させる低負荷作業部とを備える構造であって、前記走行機体の走行部の作動状況と、前記高負荷作業部の作動状況と、前記低負荷作業部の作動状況とに区分して、前記オーバーロード警報器からオーバーロード警報が出力される前記走行部又は前記各作業部の過負荷基準値を多段階に設定したものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、コモンレール付きエンジンを搭載し、前記エンジンの出力によって作業部を駆動するように構成してなる作業機械において、前記コモンレールの燃料温度を検出する燃料温度センサを備える構造であって、前記作業部の過負荷運転状況を警報するオーバーロード警報器を備え、前記オーバーロード警報器からオーバーロード警報が出力される前記作業部の過負荷基準値を多段階に設定したものであるから、前記エンジンのオーバーロードを適正に判断して、オペレータに低負荷作業を行うように警告できる。前記コモンレールの燃料温度が所定以上に高温になって前記エンジンの出力が低下するのを抑制でき、前記エンジン又は前記作業部等の作業効率の極端な低下を防止できる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、前記コモンレールの燃料温度が所定以上に高温になったときに、前記コモンレールの燃料温度が所定以下のときの過負荷基準値よりも前記作業部の運転負荷が低負荷であっても、前記コモンレールの燃料温度が所定以下のときの過負荷基準値よりもさらに低負荷の過負荷基準値に基づき、オーバーロード警報を出力するように構成したものであるから、作業速度を適正速度に減速でき、前記コモンレールの燃料温度が高温になるのを未然に阻止し、前記エンジンの出力が低下するのを簡単に防止できる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、走行部を備え、前記作業部の運転負荷の変化に基づき前記走行部の車速を制御する構造であって、前記コモンレールの燃料温度が所定以上の高温になったときに、前記コモンレールの燃料温度が所定以下のときの過負荷基準値よりもさらに前記作業部の運転負荷が低負荷の過負荷基準値に基づき、前記走行部の車速制御を実行するように構成したものであるから、作業速度を適正速度に減速でき、前記コモンレールの燃料温度が高温にるのを未然に阻止し、前記エンジンの出力が低下するのを簡単に防止できる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、前記作業部を作動又は停止させる作業クラッチを備える構造であって、前記コモンレールの燃料温度が所定以上の高温になった場合、作業クラッチ入りのときには、前記コモンレールの燃料温度が所定以下のときの最高車速基準値よりもさらに遅い最高車速基準値に基づき、最高車速を制限するように構成したものであるから、作業速度を適正範囲内に維持でき、前記コモンレールの燃料温度が高温にるのを未然に阻止し、前記エンジンの出力が低下するのを簡単に防止できる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、前記エンジンが搭載された走行機体を移動させながら作動させる高負荷作業部と、前記走行機体を停止させた状態で作動させる低負荷作業部とを備える構造であって、前記走行機体の走行部の作動状況と、前記高負荷作業部の作動状況と、前記低負荷作業部の作動状況とに区分して、前記オーバーロード警報器からオーバーロード警報が出力される前記走行部又は前記各作業部の過負荷基準値を多段階に設定したものであるから、前記走行機体の走行部の作動状況、又は前記高負荷作業部の作動状況、又は前記低負荷作業部の作動状況に適応した前記コモンレールの燃料噴射制御を実行でき、前記コモンレールの燃料温度が高温になるのを未然に阻止し、前記エンジンの出力が低下するのを簡単に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】コンバインの左側面図である。
【図2】コンバインの平面図である。
【図3】ディーゼルエンジンの吸気マニホールド設置側の側面図である。
【図4】ディーゼルエンジンの外観斜視図である。
【図5】ディーゼルエンジンの平面図である。
【図6】コモンレールシステムの平面説明図である。
【図7】ディーゼルエンジンの上側部分の断面説明図である。
【図8】走行機体の前側から見た斜視図である。
【図9】走行機体の後側から見た斜視図である。
【図10】走行機体の右側半部の背面図である。
【図11】走行機体の右側半部の背面図である。
【図12】ディーゼルエンジンの燃料系統説明図である。
【図13】コモンレールシステムの燃料噴射制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。図1は作業機械としてのコンバインの左側面図、図2はコンバインの平面図である。図1及び図2を参照しながら、コンバインの全体構造について説明する。なお、以下の説明では、走行機体1の進行方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく進行方向に向かって右側を単に右側と称する。
【0018】
本実施形態のコンバインは、左右一対の走行クローラ2にて支持された走行機体1を備えている。走行機体1の前部には、穀稈を刈り取りながら取り込む6条刈り用の刈取装置3が、単動式の昇降用油圧シリンダ4によって刈取回動支点軸4a回りに昇降調節可能に装着されている。走行機体1には、フィードチェン6を有する脱穀装置5と、脱穀後の穀粒を貯留する穀粒タンク7とが横並び状に搭載されている。本実施形態では、脱穀装置5が走行機体1の進行方向左側に、穀粒タンク7が走行機体1の進行方向右側に配置されている。走行機体1の後部に旋回可能な穀粒排出オーガ8が設けられている。穀粒タンク7の内部の穀粒が、穀粒排出オーガ8の籾投げ口9からトラックの荷台またはコンテナ等に排出されるように構成されている。刈取装置3の右側方で、穀粒タンク7の前側方には、運転キャビン10が設けられている。
【0019】
運転キャビン10内に操縦ハンドル11及び運転座席12を配置している。なお、図8乃至図11に示されるように、運転キャビン10には、オペレータが搭乗するステップ13と、操縦ハンドル11を設けたハンドルコラム14と、運転座席12の左側方のレバーコラム15に設けた主変速レバー16、及び副変速レバー17、刈取クラッチ及び脱穀クラッチ入り切り操作用作業クラッチレバー18とが、配置されている。運転座席12の下方の走行機体1には、動力源としてのディーゼルエンジン70が配置されている。
【0020】
図1及び図2、図8乃至図11に示されるように、走行機体1の下面側に左右のトラックフレーム21を配置している。トラックフレーム21には、走行クローラ2にエンジン70の動力を伝える駆動スプロケット22と、走行クローラ2のテンションを維持するテンションローラ23と、走行クローラ2の接地側を接地状態に保持する複数のトラックローラ24と、走行クローラ2の非接地側を保持する中間ローラ25とを設けている。駆動スプロケット22によって走行クローラ2の前側を支持し、テンションローラ23によって走行クローラ2の後側を支持し、トラックローラ24によって走行クローラ2の接地側を支持し、中間ローラ25によって走行クローラ2の非接地側を支持する。ディーゼルエンジン70の出力がミッションケース19に伝達され、ミッションケース19によってディーゼルエンジン70の出力が変速され、ミッションケース19の変速出力によって走行クローラ2が駆動される。
【0021】
図1及び図2に示されるように、刈取装置3の刈取回動支点軸4aに連結した刈取フレーム221の下方には、圃場の未刈り穀稈の株元を切断するバリカン式の刈刃装置222が設けられている。刈取フレーム221の前方には、圃場の未刈り穀稈を引起す6条分の穀稈引起装置223が配置されている。穀稈引起装置223とフィードチェン6の前端部(送り始端側)との間には、刈刃装置222によって刈取られた刈取り穀稈を搬送する穀稈搬送装置224が配置されている。なお、穀稈引起装置223の下部前方には、圃場の未刈り穀稈を分草する6条分の分草体225が突設されている。ディーゼルエンジン70にて走行クローラ2を駆動して圃場内を移動しながら、刈取装置3を駆動して圃場の未刈り穀稈を連続的に刈取る。
【0022】
図1及び図2に示されるように、脱穀装置5には、穀稈脱穀用の扱胴226と、扱胴226の下方に落下する脱粒物を選別する揺動選別盤227及び唐箕ファン228と、扱胴226の後部から取出される脱穀排出物を再処理する処理胴229と、揺動選別盤227の後部の排塵を排出する排塵ファン230とを備えている。なお、扱胴226の回転軸はフィードチェン6による穀稈の搬送方向(換言すると走行機体1の進行方向)に沿って延びている。刈取装置3から穀稈搬送装置224によって搬送された穀稈の株元側はフィードチェン6に受け継がれて挟持搬送される。そして、この穀稈の穂先側が脱穀装置5の扱室内に搬入されて扱胴226にて脱穀される。
【0023】
図1及び図2に示されるように、揺動選別盤227の下方側には、揺動選別盤227にて選別された穀粒(一番物)を取出す一番コンベヤ231と、枝梗付き穀粒等の二番物を取出す二番コンベヤ232とが設けられている。本実施形態の両コンベヤ231,232は、走行機体1の進行方向前側から一番コンベヤ231、二番コンベヤ232の順で、側面視において走行クローラ2の後部上方の走行機体1の上面側に横設されている。なお、揺動駆動軸240によって、略一定速度で前後及び上下方向に揺動選別盤227を往復揺動させる。その結果、扱胴226の下方に張設された受網237から漏下した脱穀物が、揺動選別盤227のフィードパン238及びチャフシーブ239によって搖動選別(比重選別)される。
【0024】
前記揺動選別盤227によって脱穀物が搖動選別されることによって、脱穀物中の穀粒が、揺動選別盤227のグレンシーブ240から下方に落下する。グレンシーブ240から落下した穀粒は、その穀粒中の粉塵が唐箕ファン228からの選別風によって除去され、一番コンベヤ231に落下する。一番コンベヤ231のうち脱穀装置5における穀粒タンク7寄りの一側壁(実施形態では右側壁)から外向きに突出した終端部には、上下方向に延びる揚穀筒233が連通接続されている。一番コンベヤ231から取出された穀粒は、揚穀筒233を介して穀粒タンク7に搬入され、穀粒タンク7に収集される。なお、穀粒タンク7の後面の傾斜に沿わせて、揚穀筒233の上端側が後方に傾斜する後傾姿勢で、穀粒タンク7の後方に揚穀筒233が立設されている。
【0025】
また、図1及び図2に示されるように、揺動選別盤227は、搖動選別(比重選別)によってチャフシーブ239から枝梗付き穀粒等の二番物を二番コンベヤ232に落下させるように構成している。チャフシーブ239の下方に落下する二番物を風選する唐箕ファン228を備える。チャフシーブ239から落下した二番物は、その穀粒中の粉塵及び藁屑が選別ファン241からの選別風によって除去され、二番コンベヤ232に落下することになる。二番コンベヤ232のうち脱穀装置5における穀粒タンク7寄りの一側壁から外向きに突出した終端部は、揚穀筒233と交差して前後方向に延びる還元筒236を介して、フィードパン238の上面側に連通接続され、二番物をフィードパン238の上面側に戻して再選別するように構成している。
【0026】
一方、フィードチェン6の後端側(送り終端側)には、排藁チェン234が配置されている。フィードチェン6の後端側から排藁チェン234に受け継がれた排藁(穀粒が脱粒された稈)は、長い状態で走行機体1の後方に排出されるか、又は脱穀装置5の後方側に設けた排藁カッタ235にて適宜長さに短く切断されたのち、走行機体1の後方下方に排出される。
【0027】
次に、図1及び図2、図3乃至図7を参照しながら、ディーゼルエンジン70の構造について説明する。図1及び図2に示す如く、ディーゼルエンジン70の排気機構はテールパイプ33等を有する。ディーゼルエンジン70の排気マニホールド71に、図示しないフロントパイプや消音器等を介して、テールパイプ33を連結している。ディーゼルエンジン70の排気ガスは、排気マニホールド71を介してテールパイプ33に移動し、テールパイプ33の排気口から外部に排出される。
【0028】
また、図3はディーゼルエンジン70の吸気マニホールド設置側の側面図、図4はディーゼルエンジン70の外観斜視図、図5はディーゼルエンジン70の平面図、図6はコモンレールシステム117の平面説明図、図7はコモンレールシステム117の断面説明図、図12はディーゼルエンジンの燃料系統説明図である。なお、以下の説明では、走行機体1に対して後向きになるディーゼルエンジン70の吸気マニホールド73設置側を単にディーゼルエンジン70の後側と称し、同じく走行機体1に対して前向きになるディーゼルエンジン70の排気マニホールド71設置側を単にディーゼルエンジン70の前側と称する。
【0029】
図3乃至図7に示す如く、ディーゼルエンジン70のシリンダヘッド72の左側面に排気マニホールド71が配置されている。シリンダヘッド72の右側面には吸気マニホールド73が配置されている。シリンダヘッド72は、エンジン出力軸74(クランク軸)とピストン(図示省略)が内蔵されたシリンダブロック75に上載されている。シリンダブロック75の前面と後面からエンジン出力軸74の前端と後端を突出させている。シリンダブロック75の前面側には冷却ファン76が設けられている。エンジン出力軸74の前端側からVベルト77を介して冷却ファン76に回転力を伝達するように構成している。
【0030】
図3に示す如く、シリンダブロック75の後面側にフライホイール79を設ける。エンジン出力軸74の後端側にフライホイール79を軸支させている。走行部(高負荷作業部)としての走行クローラ2、高負荷作業部としての刈取装置3や脱穀装置5、低負荷作業部としての穀粒排出オーガ8等の駆動部に、フライホイール79を介してディーゼルエンジン70の動力を取り出すように構成している。
【0031】
また、シリンダブロック75の下面にはオイルパン81が配置されている。シリンダブロック75の左右側面とフライホイールハウジング78の左右側面とには、機関脚取付部82がそれぞれ設けられている。各機関脚取付部82には、防振ゴムを有する機関脚体83がボルト締結されている。ディーゼルエンジン70は、各機関脚体83を介して、走行機体1に一体形成されたエンジン支持シャーシ84に防振支持される。
【0032】
図3乃至図5に示すように、吸気マニホールド73の入口側には、EGR装置(排気ガス再循環装置)91を介して図示しないエアクリーナが連結される。エアクリーナ88にて除塵・浄化された外気は、EGR装置91を介して、吸気マニホールド73に送られ、そして、ディーゼルエンジン70の各気筒に供給される。
【0033】
図3及び図4などに示すように、EGR装置91は、ディーゼルエンジン70の再循環排気ガス(排気マニホールド71からのEGRガス)と新気(エアクリーナからの外部空気)とを混合させて吸気マニホールド73に供給するEGR本体ケース(コレクタ)92と、排気マニホールド71にEGRクーラ94を介して接続する再循環排気ガス管95と、再循環排気ガス管95にEGR本体ケース92を連通させるEGRバルブ96とを有する。
【0034】
上記の構成により、エアクリーナ(図示省略)からEGR本体ケース92内に外部空気を供給する一方、排気マニホールド71からEGRバルブ96を介してEGR本体ケース92内にEGRガス(排気マニホールド71から排出される排気ガスの一部)を供給する。エアクリーナ(図示省略)からの外部空気と、排気マニホールド71からのEGRガスとが、EGR本体ケース92内で混合された後、EGR本体ケース92内の混合ガスが吸気マニホールド73に供給される。即ち、ディーゼルエンジン70から排気マニホールド71に排出された排気ガスの一部が、吸気マニホールド73からディーゼルエンジン70に還流されることによって、高負荷運転時の最高燃焼温度が下がり、ディーゼルエンジン70からのNOx(窒素酸化物)の排出量が低減される。
【0035】
図3乃至図5に示す如く、シリンダヘッド72の右側面には、ターボ過給機100が取付けられている。ターボ過給機100は、タービンホィール(図示省略)を内蔵したタービンケース101と、ブロアホィール(図示省略)を内蔵したコンプレッサケース102とを有する。
【0036】
タービンケース101の排気ガス取入れ管105に排気マニホールド71が接続されている。タービンケース101の排気ガス排出管103には、マフラー106(又はディーゼルパティキュレートフィルタ等)を介してテールパイプ107が接続される。即ち、ディーゼルエンジン70の各気筒から排気マニホールド71に排出された排気ガスは、ターボ過給機100等を経由して、テールパイプ107から外部に放出される。
【0037】
一方、コンプレッサケース102の給気取入れ側に給気管104を介してエアクリーナ(図示省略)の給気排出側が接続される。コンプレッサケース102の給気排出側に過給管108を介して吸気マニホールド73が接続される。即ち、エアクリーナによって除塵された外気は、コンプレッサケース102から過給管108を介してディーゼルエンジン70の各気筒に供給される。
【0038】
次に、図3乃至図7、図12を参照して、コモンレールシステム117とディーゼルエンジン70の燃料系統構造を説明する。図3、図6、図11に示す如く、ディーゼルエンジン70に設けられた四気筒分の各インジェクタ115に、燃料ポンプ116とコモンレールシステム117とを介して、燃料タンク118が接続されている。各インジェクタ115は、電磁開閉制御型の燃料噴射バルブ119を有する。コモンレールシステム117は、円筒状のコモンレール120を有する。
【0039】
図3、図6、図12に示す如く、燃料ポンプ116の吸入側には、燃料フィルタ121及び低圧管122を介して燃料タンク118が接続される。燃料タンク118内の燃料が燃料フィルタ121及び低圧管122を介して燃料ポンプ116に吸込まれる。一方、燃料ポンプ116の吐出側には、高圧管123を介してコモンレール120が接続される。円筒状のコモンレール120の長手方向の中間に高圧管コネクタ124を設け、高圧管コネクタ124に高圧管123の端部が高圧管コネクタナット125の螺着にて連結されている。
【0040】
また、コモンレール120には、4本の燃料噴射管126を介して四気筒分の各インジェクタ115がそれぞれ接続されている。円筒状のコモンレール120の長手方向に四気筒分の燃料噴射管コネクタ127を設け、燃料噴射管コネクタ127に燃料噴射管126の端部が燃料噴射管コネクタナット128の螺着にて連結されている。
【0041】
上記の構成により、燃料タンク118の燃料が燃料ポンプ116によってコモンレール120に圧送され、高圧の燃料がコモンレール120に蓄えられる。各燃料噴射バルブ119がそれぞれ開閉制御されることによって、コモンレール120内の高圧の燃料が各インジェクタ115からディーゼルエンジン70の各気筒に噴射される。即ち、各燃料噴射バルブ119を電子制御することによって、各インジェクタ115から供給される燃料の噴射圧力、噴射時期、噴射期間(噴射量)を高精度にコントロールできる。したがって、ディーゼルエンジン70から排出される窒素酸化物(NOx)を低減できる。ディーゼルエンジン70の騒音振動を低減できる。
【0042】
なお、燃料タンク118にポンプ燃料戻り管129を介して燃料ポンプ116を接続する。円筒状のコモンレール120の長手方向の端部に、コモンレール120内の燃料の圧力を制限する圧力調整バルブ付き戻り管コネクタ130を介して、コモンレール燃料戻り管131を接続する。即ち、燃料ポンプ116の余剰燃料とコモンレール120の余剰燃料が、ポンプ燃料戻り管129とコモンレール燃料戻り管131を介して、燃料タンク118に回収される。
【0043】
さらに、図3及び図7に示す如く、エンジンブロック75の一側方に設けたオイルクーラハウジング132に締結台133を一体的に形成する。また、コモンレール120に締結ボス134を一体的に形成する。レール取付ボルト135によって締結台133に締結ボス134が固着されている。エンジンブロック75の一側方にオイルクーラハウジング132を介してコモンレール120が着脱可能に締結されている。即ち、エンジンブロック75の一側方にコモンレール120が設けられている。吸気マニホールド73の斜め下方の角隅部に近接させてコモンレール120が配置されている。
【0044】
図3及び図7に示す如く、吸気マニホールド73の斜め下方にコモンレール120を並設している。コモンレール120の上面側に配置された燃料噴射管コネクタ127が斜め上方外向きになる姿勢に、コモンレール120を傾倒させるように構成している。したがって、吸気マニホールド73によってコモンレール120の上面側の一部がカバーされるから、ディーゼルエンジン70等の組立分解作業中に、コモンレール120に向けて上方から工具等を落としても、吸気マニホールド73によってコモンレール120の衝突等による損傷を低減できる。また、燃料噴射管コネクタ127に燃料噴射管126を接続させる燃料噴射管コネクタナット128の螺着操作等が簡単に実行できる。燃料噴射管126の配管等の組立分解作業性を向上できる。
【0045】
さらに、図12に示す如く、ポンプ燃料戻り管129又はコモンレール燃料戻り管131を接続させる電磁切換型バイパスバルブ136と、ポンプ燃料戻り管129又はコモンレール燃料戻り管131から戻る燃料を燃料タンク118に戻す燃料戻り本管137と、ポンプ燃料戻り管129又はコモンレール燃料戻り管131から戻る燃料が放熱部138を介して燃料タンク118に戻される燃料戻りバイパス管139とを備える。ポンプ燃料戻り管129又はコモンレール燃料戻り管131に、燃料戻り本管137又は燃料戻りバイパス管139が電磁切換型バイパスバルブ136を介して接続されている。
【0046】
即ち、電磁切換型バイパスバルブ136を切換えることによって、ポンプ燃料戻り管129又はコモンレール燃料戻り管131を、燃料戻り本管137又は燃料戻りバイパス管139のいずれか一方を介して、燃料タンク118に連通させる。ポンプ燃料戻り管129又はコモンレール燃料戻り管131から戻る燃料が、燃料戻り本管137又は燃料戻りバイパス管139のいずれか一方を介して、燃料タンク118に戻るように構成している。また、図1及び図2に示す如く、放熱部138は、唐箕ファン228又は選別ファン241の選別風供給部に配置している。唐箕ファン228又は選別ファン241の選別風によって放熱部138が冷却される。唐箕ファン228又は選別ファン241の選別風が放熱部138の放熱によって加温されるように構成している。
【0047】
図8乃至図11に示す如く、ディーゼルエンジン70は、運転座席12の下方のエンジンルーム20内に配置されている。ディーゼルエンジン70の冷却ファン76に対向させてラジエータ85を設けている。エンジンルームフレーム211にエンジンルーム背面板212を複数のボルト213にて締結する。エンジンルーム背面板212にメンテナンス窓214を開設する。メンテナンス窓214に蓋板215を複数のボルト216にて締結する。穀粒排出オーガ7のうち縦排出オーガ回りにグレンタンク7の前側を機体外側方に移動させ、エンジンルーム背面板212の後方を開放させることによって、エンジンルーム背面板212の後方から、蓋板215を着脱操作し、ディーゼルエンジン70のメンテナンス作業を行えるように構成している。
【0048】
即ち、メンテナンス窓214に燃料フィルタ121を介してコモンレール120を対向配置させる。その結果、エンジンルーム20内のディーゼルエンジン70の付属部品うち、コモンレール120や燃料フィルタ121やオイルフィルタ140、又はラジエータ85等が、保守点検者によってメンテナンス窓214から目視可能に配置される。したがって、蓋板21を取外すことによって、メンテナンス窓214を介して燃料フィルタ121の交換等を実行できるように構成している。
【0049】
次に、図12及び図13を参照して、コモンレール120の燃料噴射制御について説明する。図12に示す如く、ディーゼルエンジン70の各気筒の燃料噴射バルブ119を作動させる燃料噴射コントローラ311を備える。燃料噴射コントローラ311は、マイクロコンピュータによって形成されている。燃料噴射コントローラ311の入力側には、コモンレール120内の燃料圧力を検出するレール圧センサ312と、燃料ポンプ116を回転又は停止させる電磁クラッチ313と、ディーゼルエンジン70の回転数(エンジン出力軸74のクランク型カムシャフト位置)を検出するエンジン回転センサ314と、インジェクタ115の燃料噴射回数(1行程の燃料噴射期間中の燃料噴射回数)を検出及び設定する噴射設定器315と、アクセルレバー又はアクセルペダル等のアクセル操作具(図示省略)の操作位置を検出するアクセルセンサ316と、ターボ過給機100の圧力を検出するターボ昇圧センサ317と、吸気マニホールド73の吸気温度を検出する吸気温度センサ318と、ディーゼルエンジン70の冷却水の温度を検出する冷却水温度センサ319とが接続されている。
【0050】
また、燃料噴射コントローラ311の出力側には、4気筒分の各燃料噴射バルブ119の電磁ソレノイドがそれぞれ接続されている。即ち、コモンレール120に蓄えた高圧燃料が、燃料噴射圧力又は燃料噴射時期又は燃料噴射期間を制御しながら、1行程中に複数回に分けて燃料噴射バルブ119から噴射され、窒素酸化物の発生を抑え、且つすす又は二酸化炭素等の発生も低減した完全燃焼を実行でき、燃費を向上できるように構成している。
【0051】
さらに、図12に示す如く、燃料噴射コントローラ311の入力側には、コモンレール120に供給される燃料の温度を検出する燃料温度センサ321と、燃料温度センサ321が検出する燃料温度の基準値を初期設定する燃料温度設定器322と、ディーゼルエンジン70の出力負荷を検出するトルクセンサ型作業負荷センサ323と、トルクセンサ型負荷センサ323が検出する出力負荷の基準値を初期設定する作業負荷設定器324と、穀粒排出オーガ8の穀粒排出動作を検出する低負荷モードスイッチ325と、走行クローラ2の駆動(走行変速操作)又は脱穀装置5の駆動(作業クラッチ入り)を検出する高負荷モードスイッチ326と、作業クラッチレバー18の入りを検出する作業センサ329がそれぞれ接続されている。
【0052】
また、燃料噴射コントローラ311の出力側には、ブザー又はランプ等のオーバーロード警報器327と、走行クローラ2の駆動速度を無段階に変更させる走行変速機328とが接続されている。即ち、高負荷モード作業中、燃料温度が所定以上のとき、又はディーゼルエンジン70の出力負荷が所定以上のときに、オペレータにオーバーロード警報し、且つ走行機体1の最高移動速度(最高車速)が制限されるように構成している。なお、走行変速機328は、油圧ポンプ及び油圧モータを有する油圧無段変速機によって形成されるもので、燃料噴射コントローラ311の変速出力に基づき、図示しない電動変速モータによって前記油圧ポンプのトラニオンアームを作動させて、前記油圧モータの出力回転数を変更するように構成され、ミッションケース19に組付けられている。
【0053】
上記の構成により、図13に示す如く、ディーゼルエンジン70を始動させることによって、作業負荷設定器324の作業負荷設定値と燃料温度設定器322の燃料温度設定値とが入力される(ステップ1)。低負荷モードスイッチ325がオンになって低負荷作業が行われている場合(ステップ2yes)、ディーゼルエンジン70の各気筒のインジェクタ115の燃料噴射バルブ119を開作動させる低負荷モードのインジェクタ制御が実行される(ステップ3)。例えば、収穫作業中、穀粒タンク7内に穀粒が充填された場合、低負荷作業部としての穀粒排出オーガ8を走行機体1の側方に向けて旋回させ、トラックの荷台またはコンテナ等に籾投げ口9を対向させる。そして、穀粒排出オーガ8を作動させて、トラックの荷台またはコンテナ等に穀粒排出オーガ8の籾投げ口9から穀粒タンク7内の穀粒を排出させる。低負荷作業としての穀粒タンク7内の穀粒排出作業中、低負荷モードスイッチ325がオンになり、ディーゼルエンジン70を比較的低回転で作動させ、ディーゼルエンジン70の燃費を向上できる。
【0054】
一方、低負荷モードスイッチ325がオフで(ステップ2no)、高負荷モードスイッチ326がオンになって高負荷作業が行われている場合(ステップ4yes)、燃料温度センサ321によって検出される燃料温度が燃料温度設定器322の燃料温度設定値以上に上がったとき、又は作業負荷センサ323によって検出される作業負荷(走行クローラ2の走行負荷、脱穀装置5の脱穀負荷)が作業負荷設定器324の作業負荷設定値以上に大きくなったとき(ステップ5yes)、オーバーロード警報器327が作動してオペレータに報知する(ステップ6)と同時に、燃料温度が燃料温度設定器322の燃料温度設定値以下(又は作業負荷が作業負荷設定器324の作業負荷設定値以下)のときよりも低負荷で移動速度を減速させる低負荷基準値に基づき、走行変速機328を減速させる車速制御を実行し(ステップ7)、燃料温度を下降(作業負荷を低下)させる。
【0055】
図1、図12、図13に示す如く、コモンレール120付きディーゼルエンジン70を搭載し、ディーゼルエンジン70の出力によって作業部としての走行クローラ2又は脱穀装置5又は穀粒排出オーガ8を駆動するように構成している。コモンレール120の燃料温度を検出する燃料温度センサ321と、走行クローラ2又は脱穀装置5又は穀粒排出オーガ8の過負荷運転状況を警報するオーバーロード警報器327を備え、オーバーロード警報器327からオーバーロード警報が出力される走行クローラ2又は脱穀装置5又は穀粒排出オーガ8の作業負荷基準値(過負荷基準値)を、低負荷モード又は高負荷モードのように多段階に設定している。したがって、ディーゼルエンジン70のオーバーロードを適正に判断して、オペレータに低負荷作業を行うように警告できる。コモンレール120の燃料温度が所定以上に高温になってディーゼルエンジン70の出力が低下するのを抑制でき、ディーゼルエンジン70又は走行クローラ2又は脱穀装置5又は穀粒排出オーガ8等の作業効率の極端な低下を防止できる。
【0056】
図12、図13に示す如く、コモンレール120の燃料温度が所定以上に高温になったときに、コモンレール120の燃料温度が所定以下のときの作業負荷基準値(過負荷基準値)よりも、走行クローラ2又は脱穀装置5又は穀粒排出オーガ8の運転負荷が低負荷であっても、コモンレール120の燃料温度が所定以下のときの作業負荷基準値(過負荷基準値)よりもさらに低負荷の作業負荷基準値(過負荷基準値)に基づき、前記オーバーロード警報を出力するように構成している。したがって、走行クローラ2又は脱穀装置5等の作業速度を適正速度に減速でき、コモンレール120の燃料温度が高温になるのを未然に阻止し、ディーゼルエンジン70の出力が低下するのを簡単に防止できる。
【0057】
一方、走行変速機328を減速させる車速制御が実行されるときには、作業センサ329によって作業クラッチレバー18の入りが検出されると(ステップ8yes)、燃料温度が燃料温度設定器322の燃料温度設定値以下(又は作業負荷が作業負荷設定器324の作業負荷設定値以下)のときよりも低速の変速範囲で、走行変速機328が変速作動するように、最高車速(最高移動速度)を制限した状態下で(ステップ9)、ディーゼルエンジン70の各気筒のインジェクタ115の燃料噴射バルブ119を開作動させる高負荷モードのインジェクタ制御が実行される(ステップ10)。なお、高負荷モードのインジェクタ制御は、低負荷モードのインジェクタ制御よりも1行程の燃料噴射回数を多くし、1行程の燃料噴射量が多くなる。即ち、高負荷モードのインジェクタ制御は、低負荷モードのインジェクタ制御よりも、ディーゼルエンジン70の回転数(出力トルク)が高くなる。
【0058】
図12、図13に示す如く、走行部としての走行クローラ2を備え、脱穀装置5等の運転負荷の変化に基づき走行クローラ2の車速を制御する。コモンレール120の燃料温度が所定以上の高温になったときに、コモンレール120の燃料温度が所定以下のときの作業負荷基準値(過負荷基準値)よりもさらに脱穀装置5等の運転負荷が低負荷の作業負荷基準値(過負荷基準値)に基づき、走行クローラ2の車速制御を実行するように構成している。したがって、走行クローラ2の車速(作業速度)を適正速度に減速でき、コモンレール120の燃料温度が高温になるのを未然に阻止し、ディーゼルエンジン70の出力が低下するのを簡単に防止できる。
【0059】
図12、図13に示す如く、脱穀装置5等を作動又は停止させる作業クラッチレバー19を備え、コモンレール120の燃料温度が所定以上の高温になった場合、作業クラッチ入りのときには、コモンレール120の燃料温度が所定以下のときの最高車速基準値よりもさらに遅い最高車速基準値(低速の変速範囲)に基づき、最高車速を制限するように構成している。したがって、走行クローラ2の車速(作業速度)を適正範囲内に維持でき、コモンレール120の燃料温度が高温になるのを未然に阻止し、ディーゼルエンジン70の出力が低下するのを簡単に防止できる。
【0060】
図12、図13に示す如く、ディーゼルエンジン70が搭載された走行機体1を移動させながら作動させる高負荷作業部としての走行クローラ2又は脱穀装置5等と、走行機体1を停止させた状態で作動させる低負荷作業部としての穀粒排出オーガ8等とを備える。走行クローラ2の作動状況と、脱穀装置5等の作動状況と、穀粒排出オーガ8等の作動状況とに区分して、オーバーロード警報器327からオーバーロード警報が出力される走行クローラ2又は脱穀装置5等の作業負荷基準値(過負荷基準値)を、低負荷モード又は高負荷モードのように多段階に設定している。したがって、走行クローラ2の作動状況、又は脱穀装置5等の作動状況、又は穀粒排出オーガ8等の作動状況に適応したコモンレール120の燃料噴射制御を実行できる。コモンレール120の燃料温度が高温になるのを未然に阻止し、ディーゼルエンジン70の出力が低下するのを簡単に防止できる。
【符号の説明】
【0061】
1 走行機体
2 走行クローラ(高負荷作業部、走行部)
5 脱穀装置(高負荷作業部)
8 穀粒排出オーガ(低負荷作業部)
18 作業クラッチレバー
70ディーゼルエンジン
120コモンレール
321燃料温度センサ
327オーバーロード警報器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コモンレール付きエンジンを搭載し、前記エンジンの出力によって作業部を駆動するように構成してなる作業機械において、
前記コモンレールの燃料温度を検出する燃料温度センサを備える構造であって、前記作業部の過負荷運転状況を警報するオーバーロード警報器を備え、前記オーバーロード警報器からオーバーロード警報が出力される前記作業部の過負荷基準値を多段階に設定したことを特徴とする作業機械。
【請求項2】
前記コモンレールの燃料温度が所定以上に高温になったときに、前記コモンレールの燃料温度が所定以下のときの過負荷基準値よりも前記作業部の運転負荷が低負荷であっても、前記コモンレールの燃料温度が所定以下のときの過負荷基準値よりもさらに低負荷の過負荷基準値に基づき、オーバーロード警報を出力するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
走行部を備え、前記作業部の運転負荷の変化に基づき前記走行部の車速を制御する構造であって、前記コモンレールの燃料温度が所定以上の高温になったときに、前記コモンレールの燃料温度が所定以下のときの過負荷基準値よりもさらに前記作業部の運転負荷が低負荷の過負荷基準値に基づき、前記走行部の車速制御を実行するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の作業機械。
【請求項4】
前記作業部を作動又は停止させる作業クラッチを備える構造であって、前記コモンレールの燃料温度が所定以上の高温になった場合、作業クラッチ入りのときには、前記コモンレールの燃料温度が所定以下のときの最高車速基準値よりもさらに遅い最高車速基準値に基づき、最高車速を制限するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の作業機械。
【請求項5】
前記エンジンが搭載された走行機体を移動させながら作動させる高負荷作業部と、前記走行機体を停止させた状態で作動させる低負荷作業部とを備える構造であって、前記走行機体の走行部の作動状況と、前記高負荷作業部の作動状況と、前記低負荷作業部の作動状況とに区分して、前記オーバーロード警報器からオーバーロード警報が出力される前記走行部又は前記各作業部の過負荷基準値を多段階に設定したことを特徴とする請求項1に記載の作業機械。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−166860(P2010−166860A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12609(P2009−12609)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】