説明

作業機械

【課題】グリップを把持するオペレータに対して、シャフトに伝えられた熱による不快感を与えることなく、良好な操作性を確保することができる作業機械の提供。
【解決手段】本発明は、作業装置を操作する第1操作装置7が、パイロット圧を生成するパイロットバルブ14と、このパイロットバルブ14を覆う化粧カバー30と、この化粧カバー30のスリットから上方に突出し、パイロットバルブ14を操作するシャフトと、このシャフトの上側部分に設けたグリップ10と、化粧カバー30の下方に位置するシャフト部分を覆うブーツ13とを有するとともに、上端がグリップ10に連結され、下端が化粧カバー30の下方に位置し、グリップ10とブーツ13との間のシャフトの部分を覆うシャフトカバー12を有する構成にしてある。第2操作装置8も第1操作装置7と同様の構成にしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業装置を操作する操作装置を備えたホイールローダ、油圧ショベル等の作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として特許文献1に示されるものがある。特許文献1には、建設機械等に備えられる操作レバー、すなわち操作装置が開示されている。この操作装置は、作業装置を駆動させるためのパイロット圧を生成するパイロットバルブと、このパイロットバルブを操作するシャフトと、このシャフトの上側部分に設けられる把持部、すなわちグリップとを備えている。また、この操作装置は、パイロットバルブを覆うように設けられた化粧カバーと、この化粧カバーから上方に突出した上述のシャフトを覆うように設けられるブーツとを備えている。
【0003】
なお、上述した特許文献1に示される従来の操作装置は、パイロットバルブを覆う化粧カバーの上側に、シャフトを覆うブーツを設けた構成にしてあるが、従来の作業機械の中には、パイロットバルブを操作するシャフトを化粧カバーに設けたスリットから上方に露出させるように設け、化粧カバーの下側に位置するシャフトの下方部分を覆うようにブーツを設けた操作装置を有するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−122441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
操作装置のパイロットバルブに供給され、パイロット圧を生成するためのパイロット圧油は、操作装置が備えられる作業機械の駆動に伴って温度が上昇し、高温となる。このパイロット圧油の熱がパイロットバルブからシャフトに伝えられる。したがって、上述の後者従来技術、すなわちシャフトを化粧カバーの上方に露出するように設けた従来技術では、オペレータがグリップを把持する際に、あるいは把持した状態にあって、グリップ付近に位置する熱くなっているシャフトの部分にオペレータの手が接触し、その熱さのためにオペレータに不快感を抱かせることがある。
【0006】
このような事態に対応するために、化粧カバーの下側のシャフトの部分を長くし、この長くした部分の全体を覆うように高さ寸法を高くしたブーツを設け、パイロットバルブから伝えられる熱を高さ寸法を高くしたブーツにおいて吸収させ、グリップ付近のシャフトの部分に伝えられる熱を低く抑えるように構成することが考えられる。しかし、このように構成するとシャフト全体の長さ寸法が長くなり、シャフトの揺動操作に対するパイロットバルブの応答性が悪くなり、当該操作装置の操作性が劣化してしまう。
【0007】
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、化粧カバーの下側にブーツを配置したものにあって、グリップを把持するオペレータに対して、シャフトに伝えられた熱による不快感を与えることなく、良好な操作性を確保することができる作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明は、作業装置と、この作業装置が取り付けられる車体と、この車体上に設けられる運転室と、この運転室内に配置され、上記作業装置を操作する操作装置とを備え、上記操作装置は、上記作業装置を駆動させるためのパイロット圧を生成するパイロットバルブと、このパイロットバルブを覆うように設けられる化粧カバーと、この化粧カバーのスリットから上方に突出し、上記スリットの形状に応じた前後方向、または左右方向に揺動可能に設けられ、揺動に伴って上記パイロットバルブを操作するシャフトと、このシャフトの上側部分に設けられるグリップと、上記化粧カバーの下方に位置する上記シャフトの部分を覆うブーツとを有する作業機械において、上記操作装置は、上端が上記クリップ位置に至り、下端が上記化粧カバーの下方に位置し、上記グリップと上記ブーツとの間の上記シャフトの部分を覆うシャフトカバーを有することを特徴としている。
【0009】
このように構成した本発明は、化粧カバーのスリットから上方に突出しグリップに至るまでのシャフトの部分が、シャフトカバーによって覆われるので、シャフトに伝えられた熱がシャフトカバーによって遮られ、グリップを把持するオペレータの手が、熱くなっているシャフトに直接に接触することがない。したがって、シャフトに伝えられる熱の温度を低くすることを考慮してこのシャフトの長さ寸法を長く設定するようなことをしなくて済む。これにより、シャフトの揺動操作に対するパイロットバルブの優れた応答性を維持でき、良好な操作性を確保することができる。すなわち、化粧カバーの下側にブーツを配置したものにあって、グリップを把持するオペレータに対して、シャフトに伝えられた熱による不快感を与えることなく、良好な操作性を確保することができる。
【0010】
また本発明は、上記発明において、上記グリップと上記シャフトカバーを連結する連結手段を設けたことを特徴としている。
【0011】
このように構成した本発明は、連結手段を介して、シャフトカバーを脱落を生じないようにグリップに強固に保持させることができる。
【0012】
また本発明は、上記発明において、上記シャフトに雄ねじ部を形成し、上記グリップに上記シャフトの雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を形成するとともに、上記シャフトカバーは、上記化粧カバーの上記スリットの周縁部に対向する位置に形成したくびれ部と、上記化粧カバーの下方に位置し、上記シャフトに形成した上記雄ねじ部に螺合し上記グリップの取り付け位置を決めるナットを覆うように形成された拡開部とを有することを特徴としている。
【0013】
このように構成した本発明は、シャフトカバーにくびれ部を設けたことにより、化粧カバーのスリットの幅寸法を小さく抑えることができる。また、連結手段を介してグリップとシャフトカバーとを連結した際に、シャフトカバーの拡開部の下側に位置するシャフトの雄ねじ部に螺合するナットに、拡開部を当接させるようにして、シャフトに対してグリップを所定の位置に固定させることができる。
【0014】
また本発明は、上記発明において、上記グリップにスイッチを設けたことを特徴としている。
【0015】
このように構成した本発明は、グリップを把持して行われる操作装置による作業装置の操作とは別に、グリップに設けたスイッチの操作によって各種の他の制御を実行させることができる。
【0016】
また本発明は、上記発明において、上記シャフトカバーは、上記スイッチに接続されるハーネスが挿入されるハーネス穴を有することを特徴としている。
【0017】
このように構成した本発明は、ハーネスをシャフトカバーのハーネス穴からこのシャフトカバーの内部に挿入させ、さらにグリップの内部に挿入させるようにすることができる。すなわち、ハーネスの動きをシャフトカバーによって規制できるとともに、ハーネスをシャフトカバー及びグリップの外部に露出させないようにすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、操作装置が、上端がパイロットバルブを操作するシャフトの上側部分に設けられるグリップ位置に至り、下端が化粧カバーの下方に位置し、グリップと、シャフトの下方部分を覆うブーツとの間に位置するシャフトの部分を覆うシャフトカバーを有する構成にしてある。この構成によって本発明は、グリップ付近のシャフト部分に伝えられる熱の温度を低くすることを考慮して、従来考えられるシャフトの長さ寸法を長く設定するようなことをしなくて済み、化粧カバーの下側にブーツを配置したものにあって、グリップを把持するオペレータに対して、シャフトに伝えられた熱による不快感を与えることなく、良好な操作性を確保することができる。これにより本発明は、オペレータに快適な操作感触を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る作業機械の一実施形態であるホイールローダを示す側面図である。
【図2】図1に示すホイールローダの運転室の内部構成を示す斜視図である。
【図3】図2の要部拡大図である。
【図4】図2に示す操作装置の分解斜視図である。
【図5】図2に示す操作装置部分の縦断面図である。
【図6】図2に示す操作装置部分の平面図である。
【図7】図2に示す操作装置に備えられるグリップを示す図で、(a)図は正面図、(b)図は左側面図、(c)図は右側面図、(d)図は平面図、(e)図は斜視図である。
【図8】図2に示すシャフトカバーを示す図で、(a)図はシャフトカバーの斜視図、(b)図はシャフトカバーの上部円環部の平面図である。
【図9】図2に示す操作装置のパイロットバルブ部分を覆う化粧カバーを示す斜視図である。
【図10】図2に示す状態から化粧カバーを除いた状態を示す図で、(a)図は一方向から見た斜視図、(b)図は他方向から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る作業機械の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0021】
本発明の作業機械の一実施形態は、例えばホイールローダである。このホイールローダは、図1に示すように、前輪1aと後輪1bを有する車体1を備え、この車体1上に運転室2を設けてある。また、車体1の運転室2の前側位置に作業装置3を取り付けてある。この作業装置3は、車体1に上下方向の回動可能に取り付けられるアーム3aと、このアーム3aを駆動するアームシリンダ3a1と、アーム3aの先端に上下方向の回動可能に取り付けられ、土砂の掘削作業等を行うバケット3bと、このバケット3bを駆動するバケットシリンダ3b1とを備えている。
【0022】
運転室2は、図2,3に示すように、底部を形成するベースプレート4を有し、このベースプレート4上に運転シート5を搭載してある。運転シート5の横にはコンソール6を設けてあり、このコンソール6に、例えば作業装置3のアーム3aを回動操作する第1操作装置7と、バケット3aを回動操作する第2操作装置8とを保持させてある。
【0023】
第1操作装置7は、図4,5に示すように、アーム3aを駆動するためのパイロット圧、すなわちアーム3aを駆動するアームシリンダ3a1の作動を制御する図示しないアーム用方向制御弁を切り換え操作するパイロット圧を生成するパイロットバルブ14と、このパイロットバルブ14を覆うように設けられ、表面が曲面状の化粧カバー30とを備えている。また、第1操作装置7は、化粧カバー30のスリット37から上方に突出し、このスリット37の形状に応じた前後方向または左右方向、今の場合は前後方向に揺動可能に設けられ、揺動に伴ってパイロットバルブ14を操作するシャフト11を備えている。また、第1操作装置7は、シャフト11の上側部分に取り付けられるグリップ10を備えている。シャフト11には雄ねじ部を形成してあり、グリップ10の下側部分には、シャフト11の雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を形成してある。また、図5に示すように、化粧カバー30の下方に位置するシャフト11部分を覆うブーツ13を備えている。
【0024】
本実施形態における第1操作装置7は、図4,5に示すように、上端がクリップ10位置に至り、下端が化粧カバー30の下方に位置し、グリップ10とブーツ13との間のシャフト11の部分を覆うシャフトカバー12を備えている。
【0025】
第2操作装置8も第1操作装置7と同様に構成してある。すなわち、第2操作装置8は、図4,5に示すように、バケット3bを駆動するためのパイロット圧、すなわちバケット3bを駆動するバケットシリンダ3b1の作動を制御する図示しないバケット用方向制御弁を切り換え操作するパイロット圧を生成するパイロットバルブ24を備えるとともに、このパイロットバルブ24を覆うように設けられ、表面が曲面状の化粧カバー30を備えている。また、第2操作装置8は、化粧カバー30のスリット38から上方に突出し、このスリット38の形状に応じた前後方向に揺動可能に設けられ、揺動に伴ってパイロットバルブ24を操作するシャフト21を備えている。また、第2操作装置8は、シャフト21の上側部分に取り付けられるグリップ20を備えている。シャフト21には雄ねじ部を形成してあり、グリップ20の下側部分には、シャフト21の雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を形成してある。また、図5に示すように、化粧カバー30の下方に位置するシャフト21部分を覆うブーツ23を備えている。
【0026】
本実施形態における第2操作装置8も、図4,5に示すように、上端がクリップ20位置に至り、下端が化粧カバー30の下方に位置し、グリップ20とブーツ23との間のシャフト21の部分を覆うシャフトカバー22を備えている。
【0027】
上述のように、第1操作装置7と第2操作装置8の構成は同様であるので、以下にあっては主に第1操作装置7の構成について説明する。
【0028】
図7に示すように、第1操作装置7のグリップ10は、例えば頂部に警報音を発生させる第1スイッチ40を備え、一方の側部に高速走行と低速走行とを切り換える第2スイッチ41を備えている。また、下方部分に環状の溝10aを形成してある。
【0029】
図8に示すように、第1操作装置7のシャフトカバー12は、例えば弾性及び耐熱性を有し、熱遮断機能を有する合成樹脂から成り、上側に上部円環部12aを有し、下側に上部円環部12aよりも径の大きい下部拡開部12bを有し、上部円環部12aと下部拡開部12bとの間に位置する中央部分にくびれ部12cを有している。図8の(b)図に示すように、シャフトカバー12の上部円環部12a内には、上述したグリップ10に形成した溝部10aに嵌入される環状の突起部12a1を形成してある。このシャフトカバー12の突起部12a1とグリップ10の溝部10aとによって、グリップ10とシャフトカバー12を連結する連結手段が構成されている。
【0030】
また、シャフトカバー12の上部円環部12a内には、シャフト11が挿入されるシャフト穴12a2と、グリップ10に設けた第1,第2スイッチ40,41に接続されるハーネス31が挿入されるハーネス穴12a3を形成してある。図6は化粧カバー30を除いて示してあり、第1操作装置7のグリップ10の第1,第2スイッチ40,41に接続されるハーネス31を示してある。また、この図6には、第2操作装置8のグリップ20に設けた第1,第2スイッチ50,51に接続されるハーネス32も示してある。なお、図6にあっては、第2操作装置8のグリップ20は、頂部の一部を除いて示してある。
【0031】
また、図8の(a)図に示すシャフトカバー12のくびれ部12cは、図9に示す化粧カバー30のスリット37の周縁部37bに対向する位置に形成されている。ここで第1操作装置7のグリップ10及びシャフト11は、パイロットバルブ14に対して円弧状の軌跡を描くように操作される。これに伴って、化粧カバー30の表面は、上述した円弧状の軌跡を考慮した曲面状に形成してある。また、化粧カバー30のスリット37部分に位置するシャフトカバー12のくびれ部12cの下部形状を、上述した円弧状の軌跡を考慮した円弧形状に形成してある。このように、くびれ部12cを円弧形状に形成したことにより、第1操作装置7が操作されてもシャフトカバー12が化粧カバー30に干渉することがなく、第1操作装置7とともに円滑に化粧カバー30のスリット37上を移動することができる。
【0032】
また、図8の(a)図に示すシャフトカバー12の下部拡開部12bは、上述のようにシャフト11に形成した雄ねじ部に螺合しグリップ10の取り付け位置を決める図示しないナットを覆うように設けてある。図5に示すように、シャフトカバー12を取り付けた状態では、図示しないナットの上面にシャフトカバー12の下部拡開部12bが当接するようになっている。図8の(a)図に示すように、シャフトカバー12の下部拡開部12bにもハーネス31が挿入されるハーネス穴12b1を設けてある。
【0033】
図10は、化粧カバー30を除いてあるが、この図10の(b)図に、第2操作装置8のグリップ20に設けた第1,第2スイッチ50,51に接続されるハーネス32が、シャフトカバー22の下部拡開部に設けたハーネス穴からシャフトカバー22内に挿入される状態が示されている。なお、この図10においては、第1操作装置7のシャフトカバー11は除いてある。
【0034】
図9に示すように、化粧カバー30は、第1操作装置7のシャフト11及びシャフトカバー12が挿入される上述のスリット37、第2操作装置8のシャフト21及びシャフトカバー22が挿入されるスリット38の他に、スリット39を備えている。図示しないがスリット39にも、例えば別の操作装置が挿入されるようになっている。これらのスリット37,38,39のそれぞれの中央位置には、径大部37a等を形成してある。これらの径大部37a等のそれぞれは、操作装置7等のニュートラル位置に対応して設けてあるとともに、操作装置7等の組み付けに際して活用されるものである。
【0035】
例えば第1操作装置7を組み付けるには、化粧カバー30を除いた状態で、図5に示すパイロットバルブ14に図4に示すシャフト11を取り付け、このシャフト11の下方部分を覆うようにブーツ13を取り付ける。次に、シャフト11にグリップ10の位置決めのための図示しないナットを所定の位置となるように螺合させる。
【0036】
次に、シャフト11にシャフトカバー12を、そのシャフト穴12a2を介して挿入し、シャフトカバー12の下部拡開部12bが上述の図示しないナットを覆うようにしてこのシャフトカバー12を取り付ける。次に、化粧カバー30のスリット37の径大部37aからシャフト11及びシャフトカバー12の上部円環部12aを突出させるようにして化粧カバー30を取り付ける。
【0037】
次に、シャフト11にグリップ10を螺合させグリップ10を回転下降させ、このグリップ10の下端によってシャフトカバー12をその弾性力に抗して撓めるように押圧し、グリップ10の溝部10aにシャフトカバー12の上部円環部12aの突起部12a1を嵌入させる。これにより、グリップ10はシャフトカバー12を介してシャフト11に位置決め固定され、第1操作装置7の基本的な組み付けは完了する。
【0038】
第2操作装置8の組み付けも同様にして行われる。第1操作装置7のグリップ10の第1,第2スイッチ40,41に接続されるハーネス31は、シャフトカバー12のハーネス穴12b1,12a3を利用して行われる。第2操作装置8のグリップ20の第1,第2スイッチ50,51に接続されるハーネス32も、同様にシャフトカバー22に形成したハーネス穴を利用して行われる。
【0039】
このように組み付けられた例えば第1操作装置7のグリップ10を把持して、前後方向に揺動させると、パイロットバルブ14で生成されたパイロット圧が図示しないアーム用方向制御弁の制御室に供給されて、この図示しないアーム用方向制御弁が切り換えられる。これにより、図示しない油圧ポンプから吐出される圧油が、図示しないアーム用方向制御弁を介して図1に示すアームシリンダ3a1に供給され、このアームシリンダ3a1が作動してアーム3aが上下方向に回動する。また、第2操作装置8のグリップ20を把持して、前後方向に揺動させると、パイロットバルブ24で生成されたパイロット圧が図示しないバケット用方向制御弁の制御室に供給されて、この図示しないバケット用方向制御弁が切り換えられる。これにより、図示しない油圧ポンプから吐出される圧油が、図示しないバケット用方向制御弁を介して図1に示すバケットシリンダ3b1に供給され、このバケットシリンダ3b1が作動してバケット3bが上下方向に回動する。このようなアーム3a及びバケット3bの動作によって、また、前輪1a、後輪1bを駆動して車体1を走行させることによって、土砂の掘削作業等が実施される。
【0040】
このように構成した本実施形態によれば、例えば第1操作装置7について言えば、化粧カバー30から上方に突出し、グリップ10に至るまでのシャフト11の部分がシャフトカバー12によって覆われるので、パイロット圧油の昇温に伴ってパイロットバルブ14を介してシャフト11に伝えられた熱がシャフトカバー12によって遮られる。したがって、運転シート5に座り、第1操作装置7のグリップ10を把持するオペレータの手が、熱くなっているシャフト11に直接に接触することがない。したがって、シャフト11に伝えられる熱の温度を低くすることを考慮してこのシャフト11の長さ寸法を長く設定するようなことをしなくて済む。これにより、シャフト11の揺動操作に対するパイロットバルブ14の優れた応答性を維持でき、良好な操作性を確保することができる。すなわち、化粧カバー30の下側にブーツ13を配置したものにあって、グリップ10を把持するオペレータに対して、シャフト11に伝えられた熱による不快感を与えることなく、良好な操作性を確保することができ、オペレータに快適な操作感触を与えることができる。
【0041】
また、連結手段を介して、すなわちグリップ10の溝部10aとシャフトカバー12の上部円環部12aの突起部12a1との連結を介して、シャフトカバー12を脱落を生じないようにグリップ10に強固に保持させることができ、信頼性の高い第1操作装置7を実現できる。
【0042】
また、シャフトカバー12にくびれ部12cを設けたことにより、化粧カバー30のスリット37の幅寸法を小さく抑えることができる。これによりシャフトカバ−30の大型化を阻止できる。また、グリップ10とシャフトカバー12とを、溝部10aと突起部12a1を介して連結した際に、上述したようにシャフトカバー12の下部拡開部12bの下側に位置するシャフト11の雄ねじ部に螺合する図示しないナットに、下部拡開部12aを当接させるようにして、シャフト11に対してグリップ10を所定の位置に固定させることができ、グリップ10の取り付け時の位置決め精度を高めることができる。
【0043】
また、グリップ10に第1,第2スイッチ40,41を設けたことから、グリップ10を把持して行われる第1操作装置7による作業装置3のアーム3aの操作とは別に、グリップ10に設けた第1,第2スイッチ40,41を操作することによって、警報音の発生、高速走行と低速走行との切り換え制御等の各種の他の制御を実行させることができ、このホイールローダの制御機能を高めることができる。
【0044】
また、グリップ10の第1,第2スイッチ40,41に接続されるハーネス31を、シャフトカバー12のハーネス穴12b1,12a3からシャフトカバー12の内部に挿入させ、さらにグリップ10の内部に挿入させることができる。すなわち、ハーネス31をシャフトカバー12及びグリップ10の外部に露出させないようにすることができる。これにより、シャフト11の揺動操作に伴うハーネス31の動きをシャフトカバー12によって規制できるとともに、化粧カバー30より上方にハーネス31が露出せず、第1操作装置7の優れた美観を保つことができる。
【0045】
なお上記では、第1操作装置7に係る作用効果を説明したが、第2操作装置8を第1操作装置7と同様の構成にしてあることから、第2操作装置8も第1操作装置7と同様の作用効果が得られる。
【符号の説明】
【0046】
1 車体
1a 前輪
1b 後輪
2 運転室
3 作業装置
3a アーム
3b バケット
4 ベースプレート
5 運転シート
6 コンソール
7 第1操作装置
8 第2操作装置
10 グリップ
10a 溝部(連結手段)
11 シャフト
12 シャフトカバー
12a 上部円環部
12a1 突起部(連結手段)
12a2 シャフト穴
12a3 ハーネス穴
12b 下部拡開部
12b1 ハーネス穴
12c くびれ部
13 ブーツ
14 パイロットバルブ
20 グリップ
21 シャフト
22 シャフトカバー
23 ブーツ
24 パイロットバルブ
30 化粧カバー
31 ハーネス
32 ハーネス
37 スリット
37a 径大部
37b 周縁部
38 スリット
39 スリット
40 第1スイッチ
41 第2スイッチ
50 第1スイッチ
51 第2スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業装置と、この作業装置が取り付けられる車体と、この車体上に設けられる運転室と、この運転室内に配置され、上記作業装置を操作する操作装置とを備え、
上記操作装置は、上記作業装置を駆動させるためのパイロット圧を生成するパイロットバルブと、このパイロットバルブを覆うように設けられる化粧カバーと、この化粧カバーのスリットから上方に突出し、上記スリットの形状に応じた前後方向、または左右方向に揺動可能に設けられ、揺動に伴って上記パイロットバルブを操作するシャフトと、このシャフトの上側部分に設けられるグリップと、上記化粧カバーの下方に位置する上記シャフトの部分を覆うブーツとを有する作業機械において、
上記操作装置は、上端が上記クリップ位置に至り、下端が上記化粧カバーの下方に位置し、上記グリップと上記ブーツとの間の上記シャフトの部分を覆うシャフトカバーを有することを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械において、
上記グリップと上記シャフトカバーを連結する連結手段を設けたことを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項2に記載の作業機械において、
上記シャフトに雄ねじ部を形成し、上記グリップに上記シャフトの雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を形成するとともに、
上記シャフトカバーは、上記化粧カバーの上記スリットの周縁部に対向する位置に形成したくびれ部と、上記化粧カバーの下方に位置し、上記シャフトに形成した上記雄ねじ部に螺合し上記グリップの取り付け位置を決めるナットを覆うように形成された拡開部とを有することを特徴とする作業機械。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の作業機械において、
上記グリップにスイッチを設けたことを特徴とする作業機械。
【請求項5】
請求項4に記載の作業機械において、
上記シャフトカバーは、上記スイッチに接続されるハーネスが挿入されるハーネス穴を有することを特徴とする作業機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−164280(P2012−164280A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26174(P2011−26174)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】