説明

作業機用基板

【課題】アナログセンサによる検出値と制御部による検知位置との誤差の発生を回避しやすく、しかもセンサ側の短絡が発生しても制御部のシステムダウンを回避できる作業機用基板を提供する。
【解決手段】制御部41に電力供給する電源42からアナログセンサ32に電力供給する電源回路44、電源回路44における設定電圧値以上の出力電圧降下を制御部41に検出させる検出回路46、電源回路44を電力供給状態と電力供給停止状態とに切り換える切り換え回路48を備えている。制御部41は、電源回路44に設定電圧値以上の出力電圧降下が発生した状態において電源回路44を電力供給停止状態に切り換えるべく検出回路46による検出結果を基に切り換え回路48を操作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログセンサから入力した検出情報を基に制御対象装置に操作信号を出力する制御部と、前記制御部に電力供給する電源とを備えた作業機用基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば、特許文献1に、マイコンユニット10を備え、マイコンユニット10に接続された耕深設定器13とカバーセンサ14とを備え、カバーセンサ14による検出耕深と耕深設定器13による設定耕深とを基にマイコンユニット10によって操作される油圧シリンダ2を備えた制御装置が記載されている。この制御装置においては、マイコンユニット10に電力供給する内部電源E(i)と、センサ類Sおよび設定器類に電力供給する外部電源E(o)とを備えている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−134658号公報(段落〔0011〕,〔0016〕,〔0022〕,〔0023〕、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した作業機用基板による制御を行なわせるのに、上記した従来の電力供給に関する技術を採用した場合、アナログセンサに電力供給する電源と、制御部に電力供給する電源とを別々に設けることになり、アナログセンサによる検出値と制御部による検知位置との誤差が発生する場合があった。
つまり、アナログセンサ用の電源と制御部用の電源とが異なると、電源回路での電圧降下に起因して制御部の電源電圧がアナログセンサの電源電圧よりも低くなり、アナログセンサによる検出値が制御対象装置の実際の操作位置に精度よく対応したものであっても、アナログセンサによる検出結果を基に制御部によって制御対象装置の操作位置として検知される検知位置が制御対象装置の実際の操作位置と相違したものになる場合があった。
【0005】
また、アナログセンサ用の電源と制御部用の電源とを別々に設けると、電源系統数の面から経済面で不利になっていた。
【0006】
本発明の目的は、アナログセンサによる検出値と制御部による検知位置との誤差の発生を回避しやすく、かつ安価に得ることができながら、アナログセンサに至るハーネスにおける短絡など、センサ側の短絡が発生した場合でも、制御部のシステムダウンを回避することができる作業機用基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本第1発明は、アナログセンサから入力した検出情報を基に制御対象装置に操作信号を出力する制御部と、前記制御部に電力供給する電源とを備えた作業機用基板において、
前記電源から前記アナログセンサに電力供給する電源回路を備え、
前記電源回路における設定電圧値以上の出力電圧降下を前記制御部に検出させるよう前記電源回路と前記制御部の入力ポートとを連係させた検出回路を備え、
前記電源回路を電力供給状態と電力供給停止状態とに切り換えるよう前記電源回路と前記制御部の出力ポートとを連係させた切り換え回路を備え、
前記制御部を、前記電源回路に前記設定電圧値以上の出力電圧降下が無い状態において前記電源回路を電力供給状態に切り換え、前記電源回路に前記設定電圧値以上の出力電圧降下が発生した状態において前記電源回路を電力供給停止状態に切り換えるべく前記検出回路による検出結果を基に前記切り換え回路を操作するよう構成してある。
【0008】
本第1発明の構成によると、制御部に電力供給する電源からアナログセンサに電力供給されるから、制御部用の電源とアナログセンサ用の電源とが共用となり、制御部の電源電圧がアナログセンサの電源電圧よりも低下することを回避しやすい。
本第1発明の構成によると、電源回路の設定電圧値以上の出力電圧降下が発生すると、この出力電圧降下が制御部に検出され、出力電圧降下を検出した制御部は、検出結果を基に切り換え回路を操作して電源回路を電力供給停止状態に切り換えるから、アナログセンサに至るハーネスなど、センサ側に短絡が発生すると、電源回路に出力電圧降下が発生することから、前記設定電圧値を適切に設定すれば、センサ側に短絡が発生しても、センサ側への電力供給が停止され、センサ側の短絡に起因した制御部のシステムダウンを回避できる。
【0009】
したがって、アナログセンサの電源電圧と制御部の電源電圧との差を無くしたり少なく済ませたりしてアナログセンサによる検出値と制御部による検知位置との誤差を無くしたり少なく済ませて高い制御精度を発揮させることができ、しかも、センサ側の短絡発生にかかわらず制御部を稼動状態に維持できる高品質の作業機用基板を得ることができる。
また、アナログセンサ用の電源と制御部用の電源とをそれぞれ設ける場合に比べて、電源を1系統準備するだけなので安価である。
【0010】
本第2発明は、前記電源回路を電力供給状態と電力供給停止状態とに切り換えるよう前記電源回路の外部供給端子と前記電源との間に設けたトランジスタを備え、前記アナログセンサの基準電圧を前記制御部に入力させるように、前記電源回路の前記トランジスタと前記外部供給端子との間を前記制御部に連係させた入力回路を備えてある。
【0011】
本第2発明の構成によると、アナログセンサの電源回路におけるトランジスタによる電圧降下により、制御部が入力するアナログセンサの基準電圧が常に制御部の電源電圧よりも低くなる状態を確保しやすく、制御部に正確なアナログセンサの基準電圧を把握させてアナログセンサによる検出値と制御部による検知位置との誤差の発生を回避しやすい。
【0012】
したがって、制御対象装置の実際の操作位置を制御部に精度よく検知させて精度よい制御を行なわせられる高品質の作業機用基板を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係る作業機用基板を装備された作業機の全体側面図である。この図に示すように、この作業機は、左右一対の操向操作及び駆動自在な前車輪1,1と左右一対の駆動自在な後車輪2,2とによって自走するよう構成され、かつ車体後部に設けた運転座席3を有した運転部4が装備された自走車と、この自走車の車体フレーム5の後部にリンク機構10を介して昇降自在に連結されたロータリ耕耘装置20とを備えている。
【0014】
この作業機は、耕耘作業を行う。
すなわち、自走車は、車体前部に設けたエンジン6と、車体フレーム5の後部を構成しているミッションケース5aの後部に設けた動力取り出し軸7とを備え、前記エンジン6の出力を前記動力取り出し軸7から回転軸8を介してロータリ耕耘装置20に伝達してロータリ耕耘装置20を駆動する。
【0015】
前記リンク機構10は、前記ミッションケース5aの上部に上下揺動自在に支持された左右一対のリフトアーム11,11と、前記ミッションケース5aの下部に上下揺動自在に支持された左右一対のロワーリンク12,12と、前記ミッションケース5aの後部にステー13を介して上下揺動自在に支持されたトップリンク14と、前記左側のリフトアーム11と前記左側のロワーリンク12とを連結しているリフトロッド15と、前記右側のリフトアーム11と前記右側のロワーリンク12とを連結しているリフトロッド15とを備えている。
【0016】
つまり、前記リンク機構10は、前記ミッションケース5aの内部に位置する昇降シリンダ16によって前記左右一対のリフトアーム11,11が上下に揺動操作されることにより、車体フレーム5に対して上下に揺動操作され、ロータリ耕耘装置20を、これの耕耘ロータ21が作業対象地に接地した下降作業状態と、前記耕耘ロータ21が作業対象地から上方に離間した上昇非作業状態とに昇降操作する。
【0017】
ロータリ耕耘装置20を下降作業状態にして自走車を走行させると、ロータリ耕耘装置20は、回転駆動される耕耘ロータ21によって作業対象箇所を耕耘していく。
【0018】
前記作業機は、前記自走車に設けた本発明の実施例に係る作業機用基板30を有した制御装置Sを備え、この制御装置Sによってロータリ耕耘装置20を昇降制御してロータリ耕耘装置20による耕耘深さを自走車の前後傾斜などにかかわらず設定耕深に維持する。
【0019】
図2は、前記制御装置Sのブロック図である。この図に示すように、前記制御装置Sは、前記作業機用基板30を備える他、この作業機用基板30に連係された耕深設定器31と耕深センサ32とリフトセンサ33とを備えている。
【0020】
図2に示すように、前記作業機用基板30は、前記昇降シリンダ16の操作弁16aにおける操作部に連係されている。
【0021】
前記耕深設定器31は、前記運転部4に設けてある。この耕深設定器31は、作業機用基板30にハーネス34によって連係された回転操作自在な回転ポテンショメータによって構成してあり、回転操作されることによって電気抵抗値を変更して設定し、ロータリ耕耘装置20に維持させるべき設定耕深としての、かつアナログ信号としての設定電気抵抗値を作業機用基板30に出力する。
【0022】
前記耕深センサ32は、ロータリ耕耘装置20のロータ上方カバー22に支持されている。この耕深センサ32は、作業機用基板30にハーネス35によって連係された回転操作自在な回転ポテンショメータによって構成してある。この回転ポテンショメータの回転操作軸は、リンク機構36を介してロータ後方カバー23に連動されている。ロータ後方カバー23は、前記ロータ上方カバー22の後端部に上下揺動自在に支持されている。ロータ後方カバー23は、スプリング24によって下降付勢されており、ロータ後方カバー23の下端部は、耕耘ロータ21による耕耘後に接地した状態に維持される。
【0023】
つまり、前車輪1や後車輪2の走行地における隆起部への乗り上がりや凹入部への入り込みによって車体フレーム5が地面に対して前後傾斜したり昇降したりすると、耕耘ロータ21による耕耘深さが変化する。すると、ロータ後方カバー23が接地反力による上昇操作とスプリング24による下降操作とのためにロータ上方カバー22に対して上下揺動し、耕深センサ32がロータ後方カバー22の上下揺動によって操作される。したがって、耕深センサ32は、ロータ後方カバー23のロータ上方カバー22に対する揺動角をロータリ耕耘装置20の耕耘深さとして検出し、検出耕深としての、かつアナログ信号としての電気抵抗値を作業機用基板30に出力する。
【0024】
リフトセンサ33は、前記リフトアーム11に連動させてある。このリフトセンサ33は、作業機用基板30にハーネス37によって連係された回転ポテンショメータによって構成してあり、リフトアーム11の揺動位置を検出し、検出揺動位置としての、かつアナログ信号としての電気抵抗値を作業機用基板30に出力する。
【0025】
前記作業機用基板30は、基板絶縁体40と、この基板絶縁体40の一方の側面に設けた制御部41とを備えて構成してある。制御部41は、制御マイクロプロセッサを備えて構成してある。
【0026】
つまり、制御装置Sは、耕深センサ32による検出耕深を作業機用基板30に入力し、作業機用基板30の制御部41において、入力した検出耕深と耕深設定器31からの設定耕深とを基に、リフトアーム11の制御目標揺動位置をロータリ耕耘装置20の制御目標連結高さとして設定し、作業機用基板30から操作弁16aに操作信号を出力して昇降シリンダ16を操作することにより、リフトセンサ33による検出揺動位置が設定制御目標揺動位置になるようにリフトアーム11を揺動操作して、ロータリ耕耘装置20による耕耘深さが設定耕深になるようにリンク機構10を昇降操作する。
【0027】
図3は、前記作業機用基板30における耕深センサ連係部での回路図である。この図に示すように、前記作業機用基板30の耕深センサ連係部での回路は、前記基板絶縁体40に設けた電源42と、この電源42に一端が接続された制御部用電源回路43と、前記電源42に一端が接続された耕深センサ用の電源回路44(以下、センサ用電源回路44と呼称する。)とを備え、前記センサ用電源回路44と前記制御部41の入力ポート45とにわたって設けた検出回路46を備え、前記センサ用電源回路44と前記制御部41の出力ポート47とにわたって設けた切り換え回路48を備え、前記センサ用電源回路44と前記制御部41の基準電圧入力ポート49とにわたって設けた入力回路50を備え、前記制御部41の接地ポート51に一端が接続された接地回路52を備え、前記制御部41の耕深入力ポート53に一端が接続されたセンサ回路54を備えている。
【0028】
前記電源42は、電源ICを備えて構成してあり、自走車に設けられたバッテリで成る12Vの電源から機器の制御および駆動に必要な5VのDC電力を出力する。
【0029】
前記制御部用電源回路43は、前記電源42と、制御部41の電源ポート55とを連係させており、前記電源42が出力する5VのDC電力を制御部41に供給する。
【0030】
前記センサ用電源回路44は、これの電源42側とは反対側の端部に設けてある外部供給端子44aに前記ハーネス35を介して耕深センサ32の電源端子を連係され、前記接地回路52の制御部41側とは反対側の端部に設けてある接地電位端子52aに前記ハーネス35を介して耕深センサ32の接地端子を連係されることにより、前記電源42が出力する5VのDC電力を耕深センサ32に供給する。
【0031】
前記入力回路50は、前記センサ用電源回路44のトランジスタ57が位置する部位と前記外部供給端子44aとの間に位置する部位を制御部41の基準電圧入力ポート49に連係させており、耕深センサ32に電源42から供給される電力のアナログ基準電圧を制御部41に入力させる。
制御部41の電源電圧よりも耕深センサ32の電源電圧が高い場合、制御部41が正確な耕深センサ32の基準電圧を把握できず、耕深センサ32による検出値と制御部41による検知位置との誤差が発生しやすくなる。すなわち、耕深センサ32による検出値がロータリ耕耘装置20の実際の昇降位置に精度よく対応したものであっても、耕深センサ32による検出結果を基に制御部41によってロータリ耕耘装置20の昇降位置として検知される検知位置がロータリ耕耘装置20の実際の昇降位置と相違したものになる。しかし、入力回路50は、センサ電源回路44にトランジスタ57によって若干の電圧降下が発生する分、制御部41に供給される電源電圧(5V)よりも若干低くなった耕深センサ32のアナログ基準電圧を制御部41に取り入れさせ、制御部41に正確な耕深センサ32のアナログ基準電圧を把握させて耕深センサ32による検出値と制御部41による検知位置との誤差を発生させない。
【0032】
前記切り換え回路48は、前記センサ用電源回路44の前記トランジスタ57と制御部41の出力ポート47とにわたって設けるとともに抵抗体58を備えており、制御部41の出力ポート47からの指令によってセンサ用電源回路44を電力供給状態と電力供給停止状態とに切り換える。
【0033】
すなわち、切り換え回路48は、制御部41の出力ポート47から電力供給指令としての[ロー]信号を付与されると、前記トランジスタ57をオンに切り換えてセンサ用電源回路44に電源42と外部供給端子44aとを接続させる。
一方、切り換え回路48は、制御部41の出力ポート47から電力供給停止指令としての[ハイ]信号を付与されると、前記トランジスタ57をオフに切り換えてセンサ用電源回路44による電源42と外部供給端子44aとの接続を絶つ。
【0034】
前記検出回路46は、前記センサ用電源回路44の前記トランジスタ57よりも外部供給端子44a側に一端側が接続された第1検出回路46aを備え、この第1検出回路46aに設けた抵抗体60を備え、前記センサ用電源回路44の前記トランジスタ57よりも電源側に位置する部位と、制御部41の入力ポート45とにわたる第2検出回路部46bを備え、この第2検出回路部46bに設けたトランジスタ59を備え、前記第2検出回路部46bと前記接地回路52とにわたって設けた抵抗体61を備えている。
【0035】
耕深センサ32や前記ハーネス35に短絡が無い場合、前記外部供給端子44aと前記接地電位端子52aとの短絡が無く、センサ用電源回路44にトランジスタ57による電圧降下が発生しても、この電圧降下よりも大きい電圧降下が発生しない。これに対し、前記ハーネス35や耕深センサ32に短絡が発生した場合、前記外部供給端子44aと前記接地電位端子52aとの短絡が発生し、センサ用電源回路44にトランジスタ57による電圧降下よりも大きい降下量の電圧降下が発生する。この時、制御部41が電圧降下を検知して電力供給を停止するまでは制御部41を継続動作させるための制御部用電圧を維持しなければならない。そのためには、トランジスタ57は適切な特性のトランジスタを選択して、ベース電流(トランジスタ57から出力ポート47へ流れる電流)は抵抗体58によって適度に小さくして、通常時にはトランジスタ57におけるコレクタ・エミッタ間電圧が小さくて電圧降下が少ないセンサ用電圧を確保し、短絡時にはトランジスタ57におけるコレクタ・エミッタ間電圧が大きくなって耕深センサ32に流れる電流は制限され、結果として制御部用電圧を確保するように設計する。
【0036】
前記検出回路46は、センサ用電源回路44に出力電圧降下が発生しても、外部供給端子44aと接地電位端子52aとの短絡に起因するものとして設定した設定電圧値よりも小さい電圧値の出力電圧降下であれば、前記トランジスタ59がオフに切り換え操作されて制御部41の前記入力ポート45に[ロー]信号を付与し、センサ用電源回路44に前記設定電圧値以上の出力電圧降下が発生すれば、前記トランジスタ59がオンに切り換え操作されて制御部41の前記入力ポート45に[ハイ]信号を付与する。
【0037】
つまり、前記検出回路46は、検出情報としての[ロー]信号や[ハイ]信号を制御部41の入力ポート45に付与することにより、耕深センサ32やハーネス35に短絡が無いことに対応した検出や、耕深センサ32やハーネス35に短絡が発生したことに対応した検出を制御部41に行なわせる。
【0038】
すなわち、制御部41は、入力ポート45によって[ロー]信号を入力すると、この入力信号を基に、センサ用電源回路44に前記設定電圧値以上の電圧降下が無いと検出する。この場合、制御部41は、前記出力ポート47から電力供給指令としての[ロー]信号を切り換え回路48に出力し、この切り換え回路48にセンサ用電源回路44を電力供給状態に操作させる。
【0039】
制御部41は、入力ポート45によって[ハイ]信号を入力すると、この入力信号を基に、センサ用電源回路44に前記設定電圧値以上の電圧降下が発生したと検出する。この場合、制御部41は、前記出力ポート47から電力供給停止指令としての[ハイ]信号を切り換え回路48に出力し、この切り換え回路48によってセンサ用電源回路44を電力供給停止状態に切り換えさせる。
【0040】
前記センサ回路54は、これの制御部41側とは反対側の端部にハーネス62を介して耕深センサ32の出力部を連係されることにより、耕深センサ32からのアナログ信号としての電気抵抗値で成る検出耕深を入力し、この検出耕深をデジタル信号で成る検出耕深に変換して制御部41に入力させる。
【0041】
つまり、制御部41は、制御部用電源回路43によって電源42からの電力を供給されて稼動状態になり、耕深センサ32は、センサ用電源回路44によって電源42からの電力を供給されて作動状態になる。稼動状態になった制御部41は、入力回路50によって耕深センサ32のアナログ基準電圧を入力し、センサ回路54によって耕深センサ32によるアナログ信号で成る検出耕深をデジタル信号で成る検出耕深に変換して入力し、検出耕深と基準電圧とを基にロータリ耕耘装置20の耕耘深さを検知し、この検知耕耘深さと、耕深設定器31による設定耕深とを基にリフトアーム11の制御目標揺動位置をロータリ耕耘装置20の制御目標連結高さとして設定し、設定制御目標揺動位置に対応した操作信号を操作バルブ16aに出力して昇降シリンダ16によってリフトアーム11を制御目標揺動位置に揺動操作させることにより、ロータリ耕耘装置20を制御目標連結高さに操作する。
【0042】
耕深センサ32やこれのハーネス35の短絡が無い場合、制御部41は、入力ポート45によって入力した検出回路46による検出情報としての[ロー]信号を基にセンサ用電源回路44における設定電圧値以上の出力電圧降下が無いと検出し、この検出結果を基に電力供給指令としての[ロー]信号を出力ポート47から切り換え回路48に出力し、この切り換え回路48によってセンサ用電源回路44を電力供給状態に切り換えさせる。
【0043】
耕深センサ32やこれのハーネス35の短絡が発生した場合、制御部41は、検出回路46による検出情報としての[ハイ]信号を入力ポート45によって入力してこの入力信号を基に、センサ用電源回路44に設定電圧以上の出力電圧降下が発生したと検出し、この検出結果を基に電力供給停止指令としての[ハイ]信号を出力ポート47から切り換え回路48に出力し、この切り換え回路48によってセンサ用電源回路44を電力停止状態に切り換えさせて耕深センサ側への電力供給を停止させ、電源42から制御部41への電力供給を維持させて制御部41を稼動状態に維持する。
【0044】
前記作業機用基板30の耕深設定器31が連係された部位での回路、および前記作業機用基板30のリフトセンサ33が連係された部位での回路は、耕深センサ連係部での回路と同じ構成を備えている。図3に示す耕深センサ32を耕深設定器31あるいはリフトセンサ33とみなすことにより、図3に示す回路図は、作業機用基板30における耕深設定器連係部あるいはリフトセンサ連係部での回路図となる。
【0045】
上記した実施例の作業機基板30に替え、ロータリ耕耘装置20のローリング制御やポジション制御を行なう構成を備えた作業機用基板、あるいは建設機械に装備される作業機用基板の場合にも、本発明を適用できる。したがって、耕深センサ32、耕深設定器31、リフトセンサ33などを総称してアナログセンサ32と呼称し、昇降シリンダ16を制御対象装置16と呼称する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】作業機の全体側面図
【図2】耕深制御装置のブロック図
【図3】作業機用基板における耕深センサ連係部での回路図
【符号の説明】
【0047】
16 制御対象装置
32 アナログセンサ
41 制御部
42 電源
44 電源回路
44a 外部供給端子
45 入力ポート
46 検出回路
47 出力ポート
48 切り換え回路
50 入力回路
57 トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログセンサから入力した検出情報を基に制御対象装置に操作信号を出力する制御部と、前記制御部に電力供給する電源とを備えた作業機用基板であって、
前記電源から前記アナログセンサに電力供給する電源回路を備え、
前記電源回路における設定電圧値以上の出力電圧降下を前記制御部に検出させるよう前記電源回路と前記制御部の入力ポートとを連係させた検出回路を備え、
前記電源回路を電力供給状態と電力供給停止状態とに切り換えるよう前記電源回路と前記制御部の出力ポートとを連係させた切り換え回路を備え、
前記制御部を、前記電源回路に前記設定電圧値以上の出力電圧降下が無い状態において前記電源回路を電力供給状態に切り換え、前記電源回路に前記設定電圧値以上の出力電圧降下が発生した状態において前記電源回路を電力供給停止状態に切り換えるべく前記検出回路による検出結果を基に前記切り換え回路を操作するよう構成してある作業機用基板。
【請求項2】
前記電源回路を電力供給状態と電力供給停止状態とに切り換えるよう前記電源回路の外部供給端子と前記電源との間に設けたトランジスタを備え、前記アナログセンサの基準電圧を前記制御部に入力させるように、前記電源回路の前記トランジスタと前記外部供給端子との間を前記制御部に連係させた入力回路を備えてある請求項1記載の作業機用基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−68738(P2010−68738A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238356(P2008−238356)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】