説明

作業用車両における前窓のガイドレール構造

【課題】ローラガイド部とケーブルガイド部が並設された前窓用のガイドレールにおいて、コーナー部における摩擦力を小さくすると共に、前窓閉鎖時において前窓とシール材との間のシール性を確保できるようにする。
【解決手段】 ガイドレール10を、前側ガイドレール10Aと上側ガイドレール10Bとコーナーガイドレール10Cとから形成し、前側ガイドレール10Aは、ケーブルガイド部10Abがローラーガイド部10Aaの前側に位置し、上側ガイドレール10Bは、ローラガイド部10Baがケーブルガイド部10Bbの上側に位置すると共に、ローラガイド部10aの前部がキャブ前面2に向けて延長され、コーナーガイドレール10Cは、ローラガイド部10Caの外径側に、前側、上側ガイドレールのケーブルガイド部10Ab、10Bb同士を連結するケーブルガイド部10Cbが形成される構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の作業用車両における前窓のガイドレール構造の技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル等の作業用車両のキャブに設けられる前窓のなかには、キャブ前面の窓用開口部を閉じる閉位置と、キャブ天井部に収納されて窓用開口部を開く開位置とに開閉自在に構成されたものがある。さらにこのものにおいて、前窓の開閉時におけるオペレータの労力を軽減するべく、先端側が前窓の下部に連結されるアシストケーブルの基端側を、キャブ後部に配設された巻取装置に巻取るように構成したアシスト機能付きのものも提供されている。
この様なアシスト機能付きの前窓において、該前窓の開閉移動をガイドするガイドレールは、キャブ前面から天井面に亘って逆L字形状に配設されることになるが、この様なガイドレールとして、従来、前窓の上下部に取付けられた上側ローラおよび下側ローラをガイドするローラガイド部と、前述したアシストケーブルをガイドするケーブルガイド部とを並設して設けたものが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
ところで、例えば略直方体形状のキャブに、前記ローラガイド部とケーブルガイド部とが並設されたガイドレールを配設する場合、キャブ前面とキャブ天井面とのコーナー部に配されるガイドレールコーナー部分の曲率半径が大きいと、該ガイドレールコーナー部分が室内側に突出してキャブの室内スペースを狭くしたりオペレータの視界を妨げたりするため、ガイドレールコーナー部分の曲率半径をなるべく小さくすることが要求される。しかるに、ガイドレールコーナー部分においてケーブルガイド部の曲率半径が小さいと、アシストケーブルが溝内側面に押付けられながら移動するときに発生する摩擦力が大きくなって、アシストケーブルやガイドレールが早期に摩耗するという問題が発生する。
一方、前窓が閉位置に位置している状態において該前窓と窓用開口部との間隙から雨水が浸入することを防止するべく、前窓開口部の周縁部にはシール材が装着されるが、前窓を閉じるときにシール材に対して前窓を垂直に押付けることができないと、良好なシール性を確保できないという問題もある。
そこで、特許文献1のものは、ガイドレールコーナー部分のケーブルガイド部に、耐摩耗性や潤滑性を有する摺動部材を設けたり、ケーブルガイドローラを配設したりすることで、ガイドレールコーナー部分においてアシストケーブルとガイドレールとの間に発生する摩擦を軽減できるようにしている。
一方、特許文献2のものには、前窓とシール材とのシール性を確保するために、前窓をシール材に対して垂直方向に押付けるための装置が提唱されている。
【特許文献2】特開2002−327571号公報
【特許文献3】特開2000−274135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかるに、前記特許文献1のものにおいて、摺動部材を用いる場合には、該摺動部材が埋め込まれた特殊なガイドレールが必要であって、コストが高くなり汎用的でないという問題がある。また、ケーブルガイドローラを配設する場合には、コーナー部の曲率半径に相当する大きなケーブルガイドローラを採用すると、該ケーブルガイドローラが室内側に大きく突出して邪魔になるため、多数の小さなケーブルガイドローラを配する方が好ましいが、そうすると、部品点数が増えて、ケーブルガイドローラ取付けの手間もかかり、やはりコスト高になるという問題がある。
一方、特許文献2のものは、前窓をシール材に垂直に押付けるための装置として、レバー、スプリング、ストッパ、ストッパ解除体等の多数の部品が必要であって、構造が複雑でコストも高くなるという問題があり、これらに本発明が解決しようとする課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、キャブ前面の窓用開口部を閉じる閉位置とキャブ天井部に収納されて窓用開口部を開く開位置とに開閉自在な前窓を設けてなる作業用車両において、前記前窓の開閉をガイドする左右一対のガイドレールを、前窓の上下部に取付けられた上側ローラおよび下側ローラをガイドするローラガイド部と、先端側が前窓の下部に連結され基端側がキャブ後部に配設の巻取装置に連結されるアシストケーブルをガイドするケーブルガイド部とを並設して構成するにあたり、前記ガイドレールを、キャブ前面に沿うように配される前側ガイドレールと、キャブ天井面に沿うように配される上側ガイドレールと、キャブ前面とキャブ天井面とのコーナー部に配されるコーナーガイドレールとから形成すると共に、前側ガイドレールは、ケーブルガイド部が前側にローラガイド部が後側に位置し、且つ、前側ガイドレールのローラガイド部には下側ローラがガイドされる構成であり、上側ガイドレールは、ローラガイド部が上側にケーブルガイド部が下側に位置すると共に、ローラガイド部の前部がケーブルガイド部よりもキャブ前面に向けて延長され、且つ、上側ガイドレールのローラガイド部には上側ローラがガイドされる構成である一方、コーナーガイドレールは、前側ガイドレールのローラガイド部の上端に連結され、下側ローラをキャブ天井前部までガイドするR状のローラガイド部と、該ローラガイド部の外径側に設けられ、前側ガイドルールのケーブルガイド部の上端と上側ガイドレールのケーブルガイド部の前端とをR状に連結するケーブルガイド部とを有することを特徴とする作業用車両における前窓のガイドレール構造である。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明とすることにより、コーナーガイドレールは、ローラガイド部の外径側にケーブルガイド部が形成されることになり、而して、例えば直方体形状のキャブに対応できるようにコーナーガイドレールの内径側の曲率半径を小さく設計しても、ケーブルガイド部の曲率半径を大きく確保できることになって、アシストケーブルとケーブルガイド部との間に発生する摩擦力を小さくすることができ、よって、摩擦力によってアシストケーブルおよびガイドレールが早期に摩耗してしまうことを有効に防止できる。さらに、前窓が閉位置に達するときに、上側ローラが上側ガイドレールのローラガイド部の延長部分によってキャブ前面に向けてガイドされることで、前窓を、窓用開口部の周縁部に装着される雨水侵入防止用のシール部材に対して略垂直に押付けることができ、これによって、前窓とシール部材との間のシール性を確実に確保できることになる。この結果、アシストケーブルとケーブルガイド部との間に発生する摩擦力を小さくしてアシストケーブルおよびガイドレールを有効に保護できるものでありながら、前窓とシール部材との間のシール性も確保できることになり、しかも、特殊なガイドレールや別途部材を必要とせず、簡単な構造のものであるから、コスト低減に大きく貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図において、1は油圧ショベル等の作業用機械に設けられるキャブであって、本実施の形態では略直方体形状をしているが、該キャブ1の前面2には、窓用開口部2aが開設されている。また、3は前記窓用開口部2aを開閉する前窓であって、該前窓3は、上下左右の窓枠3aにガラス板等の透明板3bを組付けて構成されるものであるが、左右の窓枠3aの上下部には、左右一対の上側ローラ4、下側ローラ5がそれぞれブラケット6、7および支軸8、9を介して回転自在に取付けられている。そしてこれら上側ローラ4、下側ローラ5が後述する左右一対のガイドレール10にガイドされることによって、前窓3は、窓用開口部2aを閉じる閉位置と、キャブ1の天井部に収納されて窓用開口部2aを開く開位置とに開閉移動する構成になっている。尚、閉位置、開位置の前窓3は、図示しないロック装置によって各位置にロックされるようになっている。また、図示しないが、窓枠3には、該前窓3を開閉するときにオペレータが把持する把手が取付けられている。
【0007】
一方、11はアシストケーブルであって、該アシストケーブル11の先端側は、前記下側ローラ5を支持する支軸9に揺動自在に軸承されるリンク12を介して、前窓3の下部に連結されている。一方、アシストケーブル11の基端側は、前記ガイドレール10にガイドされる状態でキャブ1の天井後部まで至り、該天井後部に配設された巻取装置13に連結されていると共に、該巻取装置13には、アシストケーブル11を常に巻取り側に付勢する巻取りバネ(図示せず)が内装されている。そして、該巻取りバネの付勢力がアシストケーブル11を介して前窓3に作用することによって、オペレータが前窓3を開閉するときの労力を軽減できる構成になっている。尚、アシストケーブル11を巻取る巻取装置13としては、本実施の形態では前述したようにバネ式が採用されているが、これに限定されることなく、モータで駆動する電動駆動式のものであっても良い。
【0008】
前記ガイドレール10は、キャブ1の骨組構造体をなす左右のフレーム14に直接或いはプレート15を介して固定されていて、前記上側ローラ4および下側ローラ5をガイドすると共に、アシストケーブル11をガイドするものであるが、該ガイドレール10は、キャブ1の前面2に沿うように配される上下方向を向く前側ガイドレール10Aと、キャブ1の天井面16に沿うように配される前後方向を向く上側ガイドレール10Bと、キャブ1の前面2と天井面16とのコーナー部に配されるR状のコーナーガイドレール10Cとから形成されている。
【0009】
これら前側ガイドレール10A、上側ガイドレール10B、コーナーガイドレール10Cは、何れも、下側ローラ5或いは上側ローラ4をガイドする断面コ字形状のローラガイド部10Aa、10Ba、10Caと、アシストケーブル11をガイドする断面コ字形状のケーブルガイド部10Ab、10Bb、10Cbとが並設する状態で形成されているが、前側ガイドレール10Aは、ケーブルガイド部10Abが前側にローラガイド部10Aaが後側に位置する状態で配されると共に、前側ガイドレール10Aのローラガイド部10Aaには、下側ローラ5がガイドされる構成になっている。
【0010】
また、上側ガイドレール10Bは、ローラガイド部10Baが上側にケーブルガイド部10Bbが下側に位置する状態で配されると共に、上側ガイドレール10Bのローラガイド部10Baには、上側ローラ4がガイドされる構成になっている。さらに、上側ガイドレール10Bのローラガイド部10Baの前部は、ケーブルガイド部10Bbの前端よりもキャブ前面2に向けて直線状に延長されており、該延長部分10BaEによって、上側ローラ4を、キャブ前面2に向けて直線状にガイドすることができるようになっている。そして、該上側ローラ4がキャブ前面2に向けて直線状にガイドされることで、窓用開口部2aの周縁部に装着された雨水侵入防止用のシール部材17に対して前窓3を略垂直に押付けることができるようになっている。
【0011】
一方、コーナーガイドレール10Cは、前側ガイドレール10Aのローラガイド部10Aaの上端に連結されるR状のローラガイド部10Caが形成されており、該ローラガイド部10Caによって、下側ローラ5を、キャブ1の天井前部までガイドすることができるようになっている。また、コーナーガイドレール10Cのケーブルガイド部10Cbは、前記ローラガイド部10Caの外径側に形成されているが、該ケーブルガイド部10Cbは、前側ガイドルール10Aのケーブルガイド部10Abの上端と、上側ガイドレール10Bのケーブルガイド部10Bbの前端とをR状に連結するように形成されている。
【0012】
ここで、前述したように、前側ガイドルール10Aのケーブルガイド部10Abはローラガイド部10Aaの前側に、また、上側ガイドレール10Bのケーブルガイド部10Bbはローラガイド部10Baの下側に位置していると共に、コーナーガイドレール10Cのケーブルガイド部10Cbは、前側ガイドルール10Aのケーブルガイド部10Abの上端と、上側ガイドレール10Bのケーブルガイド部10Bbの前端とをR状に連結するように形成されている。そして、コーナーガイドレール10Cのケーブルガイド部10Cbは、ローラガイド部10Caの外径側に位置しているから、略直方体形状のキャブ1に対応できるようにコーナーガイドレール10Cの内径側の曲率半径を小さく設計しても、ケーブルガイド部10Cbの曲率半径を大きくすることができる。さらに、上側ガイドレール10Bのローラガイド部10Baはケーブルガイド部10Bbの上側に位置しているから、該ケーブルガイド部10Bbに邪魔されることなく、前述したように、上側ガイドレール10Bのローラガイド部10Baの前部を、ケーブルガイド部10Bbの前端よりもキャブ前面2に向けて直線状に延長させることができる。
【0013】
そして、前窓3が閉位置に位置している状態では、図3に示すごとく、上側ローラ4は、上側ガイドレール10Bのローラガイド部10Baの前端部に位置する一方、下側ローラ5は、前側ガイドレール10Aのローラガイド部10Aaの下端部に位置している。また、アシストケーブル11は、前側ガイドレール10Aのケーブルガイド部10Ab、コーナーガイドレール10Cのケーブルガイド部10Cb、上側ガイドレール10Bのケーブルガイド部10Bbを通って、前窓3の下部からキャブ1の天井後部に配設の巻取装置13に至るように配線される。
【0014】
前記閉位置の前窓3を開くと、上側ローラ4は、上側ガイドレール10Bのローラガイド部10Baにガイドされて後方に移動する一方、下側ローラ5は、前側ガイドレール10Aのローラガイド部10Aaにガイドされて上方に移動し、さらにコーナーガイドレール10Cのローラガイド部10Caに至る。該前窓3の開側への移動は、アシストケーブル11が巻取装置13に内装の巻取りバネにより巻取り側に付勢されていることで、オペレータの労力が軽減される。
【0015】
さらに、前記前窓3が開位置に達した状態では、図4に示すごとく、上側ローラ4は、上側ガイドレール10Bのローラガイド部10Baの後端部に位置する一方、下側ローラ5は、コーナーガイドレール10Cのローラガイド部10Caの後端部に位置するようになっている。
【0016】
一方、開位置の前窓3を閉じる場合には、上側ローラ4は、上側ガイドレール10Bのローラガイド部10Baにガイドされて前方に移動する一方、下側ローラ5は、コーナーガイドレール10Cのローラガイド部10Caおよび前側ガイドレール10Aのローラガイド部10Aaにガイドされて下方に移動するが、この場合、上側ガイドレール10Bのローラガイド部10Baの前部は、ケーブルガイド部10Bbの前端よりもキャブ前面2に向けて直線状に延長されているから、該延長部分10BaEによって上側ローラ4がキャブ前面2に向けて直線状にガイドされることで、前窓3は、閉位置に達するときに、窓用開口部2aの周縁部に装着された雨水侵入防止用のシール部材17に対して略垂直に押付けられることになる。該前窓3の閉側への移動は、アシストケーブル11が巻取装置13に内装の巻取りバネにより巻取り側に付勢されていることで、前窓3の自重による降下速度が減速され、これによりオペレータの労力を軽減できるようになっている。
【0017】
叙述の如く構成された本形態において、ガイドレール10は、前窓3の上下部に取付けられた上側ローラ4および下側ローラ5と、前窓3の開閉に要する労力を軽減するべく前窓3の下部に連結されるアシストケーブル11とをガイドすることになるが、該ガイドレール10は、キャブ前面2に沿うように配される前側ガイドレール10Aと、キャブ天井面16に沿うように配される上側ガイドレール10Bと、キャブ前面2とキャブ天井面16とのコーナー部に配されるコーナーガイドレール10Cとから形成されており、そして、前側ガイドレール10Aは、ケーブルガイド部10Abが前側にローラガイド部10Aaが後側に位置し、且つ、前側ガイドレール10Aのローラガイド部10Aaには下側ローラ5がガイドされる構成であり、また、上側ガイドレール10Bは、ローラガイド部10Baが上側にケーブルガイド部10Bbが下側に位置すると共に、ローラガイド部10Baの前部がケーブルガイド部10Bbよりもキャブ前面2に向けて直線状に延長され、且つ、上側ガイドレール10Bのローラガイド部10Baには上側ローラ4がガイドされる構成であり、さらに、コーナーガイドレール10Cは、前側ガイドレール10Aのローラガイド部10Aaの上端に連結されて下側ローラ5をキャブ天井前部までガイドするR状のローラガイド部10Caと、該ローラガイド部10Caの外径側に形成され、前側ガイドルール10Aのケーブルガイド部10Abの上端と上側ガイドレール10Bのケーブルガイド部10Bbの前端とをR状に連結するケーブルガイド部10Cbとを有している。
【0018】
そして、アシストケーブル11は、前側ガイドレール10Aのケーブルガイド部10Ab、コーナーガイドレール10Cのケーブルガイド部10Cb、上側ガイドレール10Bのケーブルガイド部10Bbを通って、前窓3の下部からキャブ1の天井後部に配設の巻取装置13に至るように配線されると共に、前窓3の開閉時には、その張力によって、コーナーガイドレール10Cのケーブルガイド部10Cbの溝内側面に押付けられながら移動することになるが、この場合に、コーナーガイドレール10Cは、ローラガイド部10Caの外径側にケーブルガイド部10Cbが形成されているから、例えば直方体形状のキャブ1に対応できるようにコーナーガイドレール10Cの内径側、つまりローラガイド部10Caの曲率半径を小さく設計しても、ケーブルガイド部10Cbの曲率半径を大きく確保できることになって、アシストケーブル11とケーブルガイド部10Cbとの間に発生する摩擦力を小さくすることができ、よって、摩擦力によってアシストケーブル11およびガイドレール10が早期に摩耗してしまうことを有効に防止できる。
【0019】
さらにこのものにおいて、上側ガイドレール10Bは、ローラガイド部10Baの前部がケーブルガイド部10Bbよりもキャブ前面2に向けて直線状に延長されているが、この場合、上側ガイドレール10Bは、ローラガイド部10Baがケーブルガイド部10Bbの上側に設けられているから、ケーブルガイド部10Bbに邪魔されることなくローラガイド部10Baをキャブ前面2に向けて直線状に延長させることができる。そして、上記ローラガイド部10Baの延長部分10BaEによって上側ローラ4がキャブ前面2に向けて直線状にガイドされることで、前窓3は、閉位置に達するときに、窓用開口部2aの周縁部に装着された雨水侵入防止用のシール部材17に対して略垂直に押付けられることになり、よって、前窓3とシール部材17との間のシール性を確実に確保できると共に、シール部材17が前窓3に擦られて早期に損傷してしまうような不具合をなくすことができる。
【0020】
この結果、コーナーガイドレール10Cのケーブルガイド部10Cbの曲率半径を大きくしてアシストケーブル11とケーブルガイド部10Cbとの間に発生する摩擦力を小さくできるものでありながら、前窓3とシール部材17との間のシール性も確保できることになり、しかもこのものは、簡単な構造のものであって、特殊なガイドレールや別途部材を必要としないから、コスト低減に大きく貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】キャブの側面図である。
【図2】ガイドレールを示す図である。
【図3】前窓が閉位置に位置している状態を示す図である。
【図4】前窓が開位置に位置している状態を示す図である。
【図5】(A)は図3のX−X断面図、(B)は図4のX−X断面図である。
【図6】図3のY部拡大図である。
【図7】図6のX矢視図である。
【図8】(A)は図3のZ部拡大図、(B)は(A)のX矢視図である。
【符号の説明】
【0022】
1 キャブ
3 前窓
4 上側ローラ
5 下側ローラ
10 ガイドレール
10A 前側ガイドレール
10Aa ローラガイド部
10Ab ケーブルガイド部
10B 上側ガイドレール
10Ba ローラガイド部
10BaE 延長部分
10Bb ケーブルガイド部
10C コーナーガイドレール
10Ca ローラガイド部
10Cb ケーブルガイド部
11 アシストケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャブ前面の窓用開口部を閉じる閉位置とキャブ天井部に収納されて窓用開口部を開く開位置とに開閉自在な前窓を設けてなる作業用車両において、前記前窓の開閉をガイドする左右一対のガイドレールを、前窓の上下部に取付けられた上側ローラおよび下側ローラをガイドするローラガイド部と、先端側が前窓の下部に連結され基端側がキャブ後部に配設の巻取装置に連結されるアシストケーブルをガイドするケーブルガイド部とを並設して構成するにあたり、
前記ガイドレールを、キャブ前面に沿うように配される前側ガイドレールと、キャブ天井面に沿うように配される上側ガイドレールと、キャブ前面とキャブ天井面とのコーナー部に配されるコーナーガイドレールとから形成すると共に、
前側ガイドレールは、ケーブルガイド部が前側にローラガイド部が後側に位置し、且つ、前側ガイドレールのローラガイド部には下側ローラがガイドされる構成であり、
上側ガイドレールは、ローラガイド部が上側にケーブルガイド部が下側に位置すると共に、ローラガイド部の前部がケーブルガイド部よりもキャブ前面に向けて延長され、且つ、上側ガイドレールのローラガイド部には上側ローラがガイドされる構成である一方、
コーナーガイドレールは、前側ガイドレールのローラガイド部の上端に連結され、下側ローラをキャブ天井前部までガイドするR状のローラガイド部と、該ローラガイド部の外径側に設けられ、前側ガイドルールのケーブルガイド部の上端と上側ガイドレールのケーブルガイド部の前端とをR状に連結するケーブルガイド部とを有することを特徴とする作業用車両における前窓のガイドレール構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−173228(P2009−173228A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−15983(P2008−15983)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(000190297)キャタピラージャパン株式会社 (1,189)
【出願人】(390001579)プレス工業株式会社 (173)
【Fターム(参考)】