説明

作業車の昇降操作構造

【課題】 作業装置のポジション制御での上限位置と自動上昇制御での上限位置とに差が生じて、上限位置まで上昇させた作業装置がキャビンなどに接触する虞を回避する。
【解決手段】 高さ設定レバー15の操作位置に対応する高さ位置まで作業装置7を昇降させるポジション制御と、電動アクチュエータ35の作動で上限位置まで作業装置7を自動上昇させる自動上昇制御とが可能で、高さ設定レバー15の上昇操作制限用の接当式制限手段34の操作に連動して、自動上昇制御用の上限設定器44が操作されるように機械連係し、制御装置39が、上限設定器44の出力と、その出力と作業装置7の高さ検出用の高さ位置検出手段38の出力との相関関係とから、上限位置設定手段44の出力に対応する高さ位置検出手段38の出力目標値を決定し、自動上昇制御では、その出力目標値に高さ位置検出手段の出力値が一致するまで電動アクチュエータ35の作動を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高さ設定レバーの操作に連動して、該高さ設定レバーの操作位置に対応する高さ位置まで作業装置を昇降させるポジション制御が行われるように、前記高さ設定レバーを、前記作業装置を昇降操作する油圧式操作機構の作動を制御する制御弁に、その制御弁の下降側への操作付勢に抗した片当たり操作を可能にする片当たり式連係部を備えた操作用連係機構を介して機械連係し、かつ、その操作用連係機構に、前記油圧式操作機構の動作をフィードバックするフィードバック用連係機構を機械連係し、昇降指令手段の上昇指令操作に基づいて、予め設定した上限位置まで前記作業装置を自動上昇させるとともに前記ポジション制御を不能にする自動上昇制御が行われ、かつ、前記昇降指令手段の下降指令操作に基づいて、前記高さ設定レバーで設定した高さ位置まで前記作業装置を自動下降させるとともに前記ポジション制御を可能にする自動下降制御が行われるように、前記片当たり式連係部に電動アクチュエータを機械連係するとともに、前記昇降指令手段の操作に基づいて前記電動アクチュエータの作動を制御する制御手段を備えた作業車の昇降操作構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような作業車の昇降操作構造としては、高さ設定レバーを操作案内するレバーガイドなどによる高さ設定レバーの操作限界位置をポジション制御での作業装置の上限位置とし、又、電動モータのモータアームが上昇規制用のストッパによって回動規制される規制位置を自動上昇制御での作業装置の上限位置としたものがある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−333902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
つまり、上記の従来構成では、ポジション制御と自動上昇制御とのいずれにおいても作業装置の上限位置を変更できないようになっている。
【0004】
そのため、作業環境の向上を図るために作業車にキャビンを追加装備した場合や、他の作業を行うために作業装置を付け替えた場合などにおいて、不用意に作業装置を上限位置まで上昇させると、作業装置が作業車側のキャビンなどに接触してそれらが損傷する虞がある。
【0005】
そこで、高さ設定レバーとの接当で高さ設定レバーの上昇方向での操作を制限するストッパを、高さ設定レバーを操作案内するレバーガイドなどに位置変更可能に装備して、このストッパで設定した高さ設定レバーの操作限界位置に対応する作業装置の高さ位置をポジション制御での作業装置の上限位置とし、又、作業装置の自動上昇制御での上限位置の設定変更を可能にする上限設定器と、作業装置の高さ位置を検出する高さセンサとを装備し、制御手段が、上限設定器で設定した上限位置に、高さセンサで検出される作業装置の高さ位置が一致するように電動モータの作動を制御するように構成して、その制御作動で得られた作業装置の高さ位置を自動上昇制御での作業装置の上限位置とすることで、キャビンの追加装備や作業装置の付け替えなどに対応した上限位置の設定変更を可能にすることが考えられるが、この構成では、作業装置の上限位置を設定変更する際に、ストッパの位置変更操作と上限設定器の設定変更操作との双方を行う必要があることから、上限位置の設定変更を容易にする上において改善の余地があり、又、万が一にもいずれか一方の設定変更を怠ると、怠った側の設定に基づいて作業装置を上限位置まで上昇させた際に、作業装置が作業車側のキャビンなどに接触する不都合を招く虞がある。
【0006】
本発明の目的は、キャビンの追加装備などに応じた作業装置の上限設定を容易かつ確実に行える上に、ポジション制御と自動上昇制御とにかかわらず、作業装置が上限位置への上昇操作で作業車側に接触する虞を未然に回避できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のうちの請求項1に記載の発明では、高さ設定レバーの操作に連動して、該高さ設定レバーの操作位置に対応する高さ位置まで作業装置を昇降させるポジション制御が行われるように、前記高さ設定レバーを、前記作業装置を昇降操作する油圧式操作機構の作動を制御する制御弁に、その制御弁の下降側への操作付勢に抗した片当たり操作を可能にする片当たり式連係部を備えた操作用連係機構を介して機械連係し、かつ、その操作用連係機構に、前記油圧式操作機構の動作をフィードバックするフィードバック用連係機構を機械連係し、昇降指令手段の上昇指令操作に基づいて、予め設定した上限位置まで前記作業装置を自動上昇させるとともに前記ポジション制御を不能にする自動上昇制御が行われ、かつ、前記昇降指令手段の下降指令操作に基づいて、前記高さ設定レバーで設定した高さ位置まで前記作業装置を自動下降させるとともに前記ポジション制御を可能にする自動下降制御が行われるように、前記片当たり式連係部に電動アクチュエータを機械連係するとともに、前記昇降指令手段の操作に基づいて前記電動アクチュエータの作動を制御する制御手段を備えた作業車の昇降操作構造において、前記高さ設定レバーとの接当で該高さ設定レバーの上昇方向への操作を制限する接当式制限手段を位置変更可能に装備し、前記自動上昇制御での前記上限位置の設定変更を可能にする上限位置設定手段と、前記作業装置の高さ位置を検出する高さ位置検出手段とを備え、前記接当式制限手段と前記上限位置設定手段とを、前記接当式制限手段の位置変更操作に連動して前記上限位置設定手段の設定変更操作が行われるように機械連係し、前記制御手段に、前記上限位置設定手段の出力と前記高さ位置検出手段の出力との相関関係を記憶し、前記制御手段が、前記上限位置設定手段の出力と前記相関関係とに基づいて、前記上限位置設定手段の出力に対応する前記高さ位置検出手段の出力目標値を決定し、かつ、前記自動上昇制御では、決定した前記出力目標値に前記高さ位置検出手段の出力値が一致するまで前記電動アクチュエータの作動を制御するように構成してある。
【0008】
この構成によると、接当式制限手段を位置変更操作すれば、その位置変更後の接当式制限手段の操作位置で決定された高さ設定レバーの操作限界位置に対応する作業装置の高さ位置がポジション制御での作業装置の上限位置となり、又、その接当式制限手段の位置変更操作に連動して設定変更された上限位置設定手段の操作位置(上限位置設定手段の出力値)に対応する作業装置の高さ位置(高さ位置検出手段の出力値)が自動上昇制御での作業装置の上限位置となる。
【0009】
つまり、接当式制限手段の位置変更操作を行うだけで、作業装置のポジション制御での上限位置と自動上昇制御での上限位置とを一挙に設定変更することができ、もって、作業装置のポジション制御での上限位置と自動上昇制御での上限位置とをそれぞれ個別に設定変更する場合に比較して、上限位置の設定変更操作を容易に行えるとともに、いずれか一方の上限位置を設定変更し忘れることを未然に回避できる。
【0010】
ところで、ポジション制御での作業装置の上限位置は、接当式制限手段に接当する操作限界位置まで高さ設定レバーを操作した際に得られる機械的な作業装置の上限位置であり、又、自動上昇制御での作業装置の上限位置は、昇降指令手段の操作に基づく制御手段の制御作動で電動アクチュエータが作動した際に得られる電気的な作業装置の上限位置であって、それらの上限位置に関連性はないことから、単に接当式制限手段と上限位置設定手段とを機械連係しても、それらの上限位置が一致することはない。
【0011】
逆に、接当式制限手段は、その機能上、高さ設定レバーの操作位置を示すレバーガイドなどに沿った摺動操作で位置変更操作されるものであるのに対し、上限位置設定手段には、回転操作される回転式のポテンショメータを採用することが一般的であることから、接当式制限手段と上限位置設定手段とを機械連係すると、それらの操作形態の違いから、接当式制限手段の位置変更操作に連動した上限位置設定手段の操作において、それらを連係する連係機構におけるリンクなどの動作の影響を受けることになり、これによって、接当式制限手段をレバーガイドに沿って移動させた際には、接当式制限手段の操作量と上限位置設定手段の操作量とに差が生じるだけでなく、その差が操作位置によって変化することになって、その移動操作によって得られる上限位置設定手段の出力(操作位置)が、接当式制限手段の操作位置との比例関係を示す直線ではなく曲線を描くようになることから、単に、作業装置のポジション制御での上限位置と自動上昇制御での上限位置とが一致しないだけでなく、その差が上限位置の設定によって変化することになり、その設定によっては、ポジション制御と自動上昇制御のいずれかで作業装置を上限位置まで上昇させた際に、作業装置が予想以上に上昇することになって作業車側のキャビンなどに接触する不都合を招く虞がある。
【0012】
又、この不都合を未然に回避するために、接当式制限手段の操作位置と上限位置設定手段の操作位置との間で比例関係を成立させることも考えられるが、この比例関係を成立させるためには、接当式制限手段と上限位置設定手段とを機械連係する連係機構において、各部の動作の調整を可能にする調整機構などを設ける必要があることから、構造の複雑化を招くとともに、その調整作業のために組み付け性が低下することになる。
【0013】
そこで、接当式制限手段に機械連係したことで、接当式制限手段の操作位置とは比例関係を持たないものの、接当式制限手段の操作位置を検出することになる上限位置設定手段の出力と、作業装置の高さ位置を検出する高さ位置検出手段の出力との相関関係を制御手段に記憶し、制御手段が、その相対関係と上限位置設定手段の出力とに基づいて、上限位置設定手段の出力に対応する高さ位置検出手段の出力目標値を決定し、自動上昇制御では、その決定した出力目標値に高さ位置検出手段の出力値が一致するまで電動アクチュエータの作動を制御するように構成しているのであり、この構成によれば、接当式制限手段に連動した上限位置設定手段の操作に、接当式制限手段の操作を上限位置設定手段の操作に変換する連係機構の動作が影響する場合だけでなく、作業装置の昇降に連動した高さ位置検出手段の検出作動に、作業装置の昇降動作を高さ位置検出手段の検出作動(操作)に変換する連係機構の動作が影響する場合であっても、それらの影響を考慮した状態で電動アクチュエータの作動を制御することができ、その結果、接当式制限手段に高さ設定レバーを接当させた際に現出されるポジション制御での作業装置の上限位置と、上限位置設定手段の出力と高さ位置検出手段の出力とに基づいて電動アクチュエータの作動を制御する制御手段の制御作動で現出される自動上昇制御での作業装置の上限位置とを一致させることができる。
【0014】
ちなみに、上限位置設定手段の出力と高さ位置検出手段の出力との相関関係は、例えば、高さ設定レバーの操作領域でレバーガイドに沿って操作される高さ設定レバーと接当式制限手段とを、同じ方向に同じ速度で移動させた際に得られる上限位置設定手段の出力と高さ位置検出手段の出力とからサンプリングした値を取得して成立させることが考えられる。
【0015】
又、制御手段に記憶する相関関係としては、そのサンプリングした値、又は、サンプリングした値から得られる相対関係式、などが考えられ、又、記憶するサンプリング値の数量は、相関関係を成立させる際の操作で得られる上限位置設定手段の出力曲線と高さ位置検出手段の出力曲線との類似性に応じて1個〜多数個まで種々の変更が可能である。
【0016】
従って、キャビンの追加装備や作業装置の付け替えなどに応じて作業装置の上限位置を設定変更する際の操作性及び確実性を向上させることができるとともに、作業装置のポジション制御での上限位置と自動上昇制御での上限位置とに差が生じることに起因した作業装置の車体側のキャビンなどとの接触を未然に回避できる。
【0017】
本発明のうちの請求項2に記載の発明では、上記請求項1に記載の発明において、前記片当たり式連係部を、前記操作用連係機構と前記フィードバック用連係機構との連係部よりも操作方向上手側に配備し、前記高さ位置検出手段が、前記片当たり式連係部の操作位置を検出するように構成してある。
【0018】
この構成では、高さ設定レバーの操作位置に対応する高さ位置まで作業装置を昇降させるポジション制御を可能にする構造上、片当たり式連係部を、操作用連係機構とフィードバック用連係機構との連係部よりも操作方向上手側に配備すると、作業装置の高さ位置が片当たり式連係部の操作位置として反映されることになり、高さ位置検出手段は、その片当たり式連係部の操作位置を高さ位置検出手段として検出することになり、その結果、上限位置設定手段の出力と高さ位置検出手段の出力との相関関係を得る際に、油圧式操作機構などの油圧系を作動させる必要がなくなり、又、油圧式操作機構などの組み付けを行う前の段階から上限位置設定手段の出力と高さ位置検出手段の出力との相関関係を得ることも可能になる。
【0019】
従って、上限位置設定手段の出力と高さ位置検出手段の出力との相関関係を得る際の作業性の向上を図れる。
【0020】
本発明のうちの請求項3に記載の発明では、上記請求項1又は2に記載の発明において、前記高さ設定レバーの操作位置を検出するレバー位置検出手段を設けるとともに、前記制御手段に、前記上限位置設定手段の出力と前記レバー位置検出手段の出力との相関関係を記憶し、前記制御手段が、前記上限位置設定手段の出力と、前記上限位置設定手段の出力と前記レバー位置検出手段の出力との相関関係とに基づいて、前記上限位置設定手段の出力に対応する前記レバー位置検出手段の出力目標値を決定し、かつ、この出力目標値に前記レバー位置検出手段の出力値が一致した場合に前記自動下降制御を行うように構成してある。
【0021】
この構成によると、接当式制限手段に機械連係したことで接当式制限手段の操作位置を検出することになる上限位置設定手段の出力は、接当式制限手段の操作位置で決定される高さ設定レバーの操作限界位置でもあることから、上限位置設定手段の出力と、高さ設定レバーの操作位置を検出するレバー位置検出手段の出力とを比較すれば、その結果から、接当式制限手段に高さ設定レバーが接当したか否かを判別することができる。
【0022】
しかしながら、上限位置設定手段の出力は、前述したように、操作形態の異なる接当式制限手段との機械連係によって、その操作(検出動作)においては、接当式制限手段の操作を上限位置設定手段の操作(検出動作)に変換する連係機構におけるリンクなどの動作の影響を受けることになって、その操作量と接当式制限手段の操作量とに差が生じるだけでなく、その差が操作位置によって変化することになり、その接当式制限手段の位置変更操作に対する出力(検出位置)が、接当式制限手段の操作位置との比例関係を示す直線ではなく曲線を描くようになっており、そのため、その接当式制限手段の操作位置と上限位置設定手段の出力との関係を考慮せずに、単に、上限位置設定手段の出力とレバー位置検出手段の出力とを比較するだけでは、高さ設定レバーを接当式制限手段に接当させても、そのときの上限位置設定手段の出力とレバー位置検出手段の出力とからは、制御手段が、接当式制限手段に高さ設定レバーが接当したと判断しなくなることで、自動下降制御が行われなくなってポジション制御が不能のままとなる不都合や、高さ設定レバーが接当式制限手段に接当する前の段階で、そのときの上限位置設定手段の出力とレバー位置検出手段の出力とから、制御手段が、接当式制限手段に高さ設定レバーが接当したと判断することで、自動下降制御が行われてポジション制御が可能になってしまい、その後の接当式制限手段に高さ設定レバーが接当するまでの操作に連動して作業装置が不測に上昇する不都合、などを招く虞がある。
【0023】
又、これらの不都合を未然に回避するために、レバー位置検出手段の出力が上限位置設定手段の出力と同じ曲線を描くように高さ設定レバーとレバー位置検出手段とを連係することも考えられるが、そのためには、その連係機構において、各部の動作の調整を可能にする調整機構などを設ける必要があることから、構造の複雑化を招くとともに、その調整作業のために組み付け性が低下することになる。
【0024】
そこで、接当式制限手段に機械連係したことで高さ設定レバーの操作限界位置をも検出することになる上限位置設定手段の出力と、レバー位置検出手段の出力との相関関係を制御手段に記憶し、制御手段が、その相関関係と上限位置設定手段の出力とに基づいて、上限位置設定手段の出力に対応するレバー位置検出手段の出力目標値を決定し、この出力目標値にレバー位置検出手段の出力値が一致した場合に自動下降制御を行うように構成しているのであり、この構成によれば、接当式制限手段に連動した上限位置設定手段の操作に、接当式制限手段の操作を上限位置設定手段の操作に変換する連係機構の動作が影響する場合だけでなく、高さ設定レバーの操作に連動したレバー位置検出手段の検出作動に、高さ設定レバーの操作をレバー位置検出手段の検出作動に変換する連係機構の動作が影響する場合であっても、それらの影響を考慮した状態で、上限位置設定手段の出力値(レバー位置検出手段の出力目標値)にレバー位置検出手段の出力値が一致したか否か(接当式制限手段に高さ設定レバーが接当したか否か)を正確に判断することができ、その結果、高さ設定レバーを接当式制限手段に接当させても、制御手段が、接当式制限手段に高さ設定レバーが接当したと判断せずに、自動下降制御が行われなくなることで、ポジション制御が不能のままとなる不都合や、高さ設定レバーが接当式制限手段に接当する前の段階から、制御手段が、接当式制限手段に高さ設定レバーが接当したと判断して自動下降制御を行うことでポジション制御が可能になってしまい、その後の高さ設定レバーを接当式制限手段に接当させるまでの操作に連動して作業装置が不測に上昇する不都合、などの発生を未然に回避できる。
【0025】
ちなみに、上限位置設定手段の出力とレバー位置検出手段の出力との相関関係は、例えば、高さ設定レバーの操作領域でレバーガイドに沿って操作される高さ設定レバーと接当式制限手段とを、同じ方向に同じ速度で移動させた際に得られる上限位置設定手段の出力とレバー位置検出手段の出力とからサンプリングした値を取得して成立させることが考えられる。
【0026】
又、制御手段に記憶する上限位置設定手段の出力とレバー位置検出手段の出力との相関関係としては、そのサンプリングした値、又は、サンプリングした値から得られる相対関係式、などが考えられ、又、記憶するサンプリング値の数量は、相関関係を成立させる際の操作で得られる上限位置設定手段の出力曲線とレバー位置検出手段の出力曲線との類似性に応じて1個〜多数個まで種々の変更が可能である。
【0027】
要するに、自動上昇制御で作業装置を上限位置まで自動上昇させた状態において、高さ設定レバーを接当式制限手段に接当させると、上限位置設定手段の出力値に基づいて決定したレバー位置検出手段の出力目標値にレバー位置検出手段の出力値が一致することになって、接当式制限手段による操作限界位置に高さ設定レバーが到達したことを制御手段が正確に検知するようになり、この検知に基づいて制御手段が自動下降制御を行うことでポジション制御が可能となり、もって、高さ設定レバーの操作位置に対応する高さ位置に作業装置を位置させることができる。
【0028】
その結果、自動上昇制御を行って作業装置を上限位置まで自動上昇させた後に、現在の高さ設定レバーの操作位置に対応した作業装置の高さ位置(作業高さ位置)とは異なる高さ位置(例えばメンテナンスを行い易い高さ位置など)に作業装置を位置させたい場合には、先に自動下降制御を行うための操作を行って、作業装置を現在の高さ設定レバーの操作位置に対応する高さ位置まで自動下降させ、かつ、ポジション制御を行えるようにしてから、高さ設定レバーを操作して、その操作位置に対応する高さ位置まで作業装置を昇降させるポジション制御を行う、といった操作手順を踏まなくても、高さ設定レバーの操作だけでポジション制御を行うことができて、作業装置を任意の高さ位置に位置させることができる。
【0029】
従って、作業装置を自動上昇制御で上限位置まで自動上昇させた後のメンテナンス位置などへの任意操作を容易かつ確実に行える昇降操作性に優れたものにできる。
【0030】
本発明のうちの請求項4に記載の発明では、上記請求項1又は2に記載の発明において、前記接当式制限手段に、該接当式制限手段に対する前記高さ設定レバーの接当を検出するスイッチを設けるとともに、その接当を前記スイッチが検出した場合の出力に基づいて、前記制御手段が前記自動下降制御を行うように構成してある。
【0031】
この構成によると、自動上昇制御が現出されて作業装置が上限位置に位置している状態において、高さ設定レバーを接当式制限手段に接当させると、この接当をスイッチが検出し、その検出に基づく制御手段の制御作動で自動下降制御が現出されてポジション制御の現出が可能になり、もって、高さ設定レバーの操作位置に対応する高さ位置に作業装置を位置させることができる。
【0032】
つまり、自動上昇制御を現出して作業装置を上限位置まで上昇操作した後に、現在の高さ設定レバーの操作位置に対応する作業装置の高さ位置(作業高さ位置)とは異なる高さ位置(例えばメンテナンスを行い易い高さ位置など)に作業装置を位置させたい場合には、先に自動下降制御を行うための操作を行って、作業装置を現在の高さ設定レバーの操作位置に対応する高さ位置まで自動下降させ、かつ、ポジション制御を行えるようにしてから、高さ設定レバーを操作して、その操作位置に対応する高さ位置まで作業装置を昇降させるポジション制御を行う、といった操作手順を踏まなくても、高さ設定レバーの操作だけでポジション制御を行うことができて、作業装置を任意の高さ位置に位置させることができる。
【0033】
しかも、接当式制限手段にスイッチを設けるだけの安価な構成であり、又、このスイッチは、位置変更操作される接当式制限手段と常に一体移動し、接当式制限手段に高さ設定レバーが接当する際には、接当式制限手段の位置変更にかかわらず、その接当を直接的かつ確実に検出するようになることから、上限位置設定手段の出力とレバー位置検出手段の出力とから接当式制限手段に対する高さ設定レバーの接当を判別する場合のように、上限位置設定手段の出力とレバー位置検出手段の出力との相関関係を取る必要がない。
【0034】
従って、接当式制限手段に対する高さ設定レバーの接当を判別する上で必要なコストや手間の削減を図りながら、作業装置を自動上昇制御で上限位置まで自動上昇させた後のメンテナンス位置などへの任意操作を容易かつ確実に行える昇降操作性に優れたものにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
図1及び図2には作業車の一例であるトラクタの全体側面が示されており、このトラクタは、前部に防振搭載したエンジン1からの動力を、クラッチハウジング2に内装した主クラッチ(図示せず)やミッションケース3に内装した変速装置(図示せず)などからなる伝動系を介して左右一対の前輪4及び後輪5に伝達する4輪駆動型に構成され、その後部には、ミッションケース3の後上部に装備した油圧式操作機構6の作動で昇降操作される作業装置の一例であるロータリ耕耘装置7がリンク機構8を介して連結され、そのロータリ耕耘装置7に対する動力は、ミッションケース3の後部に備えた動力取出軸9から出力する。
【0036】
そして、このトラクタは、ステアリングホイール10や運転座席11などを備えて形成される搭乗運転部12の後部に略門形の保護フレーム13を立設した仕様形態(図1参照)と、その保護フレーム13に代えて搭乗運転部12を覆うキャビン14を装備した仕様形態(図2参照)とに仕様変更可能に構成されている。
【0037】
又、運転座席11の右側方には、ロータリ耕耘装置7の高さ位置を設定する前後揺動式で摩擦保持型の高さ設定レバー15が配備され、又、ステアリングホイール10の右下方には、ロータリ耕耘装置7の予め設定した上限位置あるいは下降位置への昇降操作を指令するための上下揺動式で中立復帰型の昇降指令レバー16が配備されている。
【0038】
油圧式操作機構6は、ミッションケース3の上面後部に形成された開口(図示せず)を閉塞する蓋体に兼用されるケーシング17Aを備えた油圧式単動形の昇降シリンダ17と、この昇降シリンダ17の作動に連動して上下方向に揺動する左右一対のリフトアーム18とを備えて構成されている。
【0039】
図3に示すように、左右のリフトアーム18は、ミッションケース3に内装した制御弁19による昇降シリンダ17に対する作動油の流動制御で揺動操作され、制御弁19は、その中立状態では、3位置切り換え式の切換弁部19Aが中立位置に切り換えられて、アンロード弁部19Bが、油圧ポンプ20から切換弁部19Aへの作動油の流動を回避する排出状態に自己復帰し、かつ、逆止弁部19Cが、昇降シリンダ17から切換弁部19Aへの作動油の流動を阻止し、更に、速度調整弁部19Dが、昇降シリンダ17からの作動油の排出を停止する排出停止位置に自己復帰することで、昇降シリンダ17に対する作動油の給排を停止させて左右のリフトアーム18をそのときの揺動高さ位置に維持し、又、その上昇状態では、切換弁部19Aが上昇位置に切り換えられて、アンロード弁部19Bが、油圧ポンプ20から切換弁部19Aへの作動油の流動を許容する排出停止状態に切り換わる一方で、速度調整弁部19Dが排出停止位置に自己復帰していることで、切換弁部19Aと逆止弁部19Cとを介した油圧ポンプ20から昇降シリンダ17への作動油の供給を許容して左右のリフトアーム18を上昇揺動させ、逆に、その下降状態では、切換弁部19Aが下降位置に切り換えられて、アンロード弁部19Bが、油圧ポンプ20から切換弁部19Aへの作動油の流動を回避する排出状態に自己復帰し、かつ、逆止弁部19Cが、昇降シリンダ17から切換弁部19Aへの作動油の流動を阻止する一方で、速度調整弁部19Dが、昇降シリンダ17からの作動油の排出を許容する排出位置に切り換えられることで、昇降シリンダ17からの作動油の排出を許容して左右のリフトアーム18をその自重やロータリ耕耘装置7の重量などで下降揺動させる。
【0040】
尚、図3に示す符号19Eは、制御弁19などにおける油圧を設定値に保持するリリーフ弁部であり、又、符号21は、昇降シリンダ17から排出される作動油の流速を低下させて、ロータリ耕耘装置7などの重量で左右のリフトアーム18が下降揺動する際の下降速度を制限する下降速度調整弁である。
【0041】
図3〜8に示すように、高さ設定レバー15は、その揺動操作に連動して、その操作位置に対応する高さ位置までロータリ耕耘装置7を昇降させるポジション制御が可能となるように、制御弁19に、その制御弁19の下降側への操作付勢に抗した片当たり操作を可能にする片当たり式連係部22を備えた操作用連係機構23を介して機械連係され、又、その操作用連係機構23には、油圧式操作機構6の動作をフィードバックするフィードバック用連係機構24が機械連係されている。
【0042】
片当たり式連係部22は、高さ設定レバー15の機体前方側に前後揺動可能に配備した揺動部材からなり、操作リンク25を介して高さ設定レバー15に連係されている。揺動部材22は、昇降シリンダ17のケーシング17Aに回動可能に貫通装備した回転軸26の外端部に固着されるとともに3つの長孔22a,22b,22cが形成され、その揺動支点側に形成した長孔22aに操作リンク25の連係ピン25aが挿通係合されている。
【0043】
回転軸26は、その内端部に第1操作アーム27が一体装備され、この第1操作アーム27の遊端部が、ミッションケース3に内装した揺動リンク28の一端部に係合連係され、この揺動リンク28は、制御弁19の切換弁部19Aと速度調整弁部19Dとを操作連係する連係アーム29に天秤揺動可能に装備されるとともに、その他端部が、フィードバックリンク30を介してリフトアーム18に連係された第2操作アーム31の遊端部に係合連係されている。
【0044】
連係アーム29は、切換弁部19Aに連動連結されるとともに、切換弁部19Aの下降位置への切り換え操作に連動して速度調整弁部19Dを排出位置に切り換えるように速度調整弁部19Dに片当たり連係され、又、バネ32によって、切換弁部19Aを下降位置に切り換える方向で、かつ、速度調整弁部19Dを排出位置に切り換える方向となる機体前方側に押圧付勢され、この付勢によって、通常は揺動部材22における長孔22aの後端縁が操作リンク25の連係ピン25aに接当する状態が維持されている。
【0045】
つまり、揺動部材22、操作リンク25、回転軸26、第1操作アーム27、揺動リンク28、連係アーム29、及びバネ32、などによって操作用連係機構23が構成され、又、フィードバックリンク30及び第2操作アーム31などによってフィードバック用連係機構24が構成されている。
【0046】
そして、上記の構成から、高さ設定レバー15を機体後方に向けて揺動させると、その揺動に連動して、揺動部材22が、操作リンク25の連係ピン25aによって、バネ32の付勢に抗する機体後方側に牽引操作されるとともに、第1操作アーム27による第2操作アーム31の遊端部を支点にした揺動リンク28の機体後方側への揺動操作が行われて連係アーム29が機体後方側に変位し、この変位に連動して、切換弁部19Aが中立位置から上昇位置に切り換わる一方で速度調整弁部19Dが排出停止位置に維持されることで、制御弁19の上昇状態が現出されて左右のリフトアーム18が上昇揺動を開始し、かつ、この上昇揺動に連動して、第2操作アーム31による第1操作アーム27の遊端部を支点にした揺動リンク28の機体前方側への揺動操作が行われる。
【0047】
つまり、高さ設定レバー15を機体後方に向けて揺動操作している間は、常に、第1操作アーム27による揺動リンク28の機体後方側への揺動操作が、第2操作アーム31による揺動リンク28の機体前方側への揺動操作に先行して行われて、連係アーム29を中立位置から機体後方側の上昇位置に変位させた状態が維持されることで、切換弁部19Aを上昇位置に切り換える一方で速度調整弁部19Dを排出停止位置に維持した制御弁19の上昇状態が現出保持されて、左右のリフトアーム18の上昇揺動が継続される。
【0048】
その後、その高さ設定レバー15を任意の操作位置にて揺動停止させると、その停止操作に連動して揺動部材22が揺動停止して、前述した第1操作アーム27による揺動リンク28の機体後方側への揺動操作が停止される一方で、前述した第2操作アーム31による揺動リンク28の機体前方側への揺動操作が継続されることで、連係アーム29が機体前方側の中立位置に変位し、この変位に連動して、切換弁部19Aが上昇位置から中立位置に切り換わることで、制御弁19の中立状態が現出されて左右のリフトアーム18が上昇揺動を停止し、かつ、この揺動停止に連動して、前述した第2操作アーム31による揺動リンク28の機体前方側への揺動操作が停止されて連係アーム29が中立位置に維持されることで、制御弁19の中立状態が現出保持されて左右のリフトアーム18の揺動停止状態が継続される。
【0049】
逆に、高さ設定レバー15を機体前方に向けて揺動させると、その揺動に連動して、操作リンク25の連係ピン25aが機体前方側に移動し、その移動に連動して、バネ32の付勢によって、揺動部材22が、その長孔22aの後端縁が操作リンク25の連係ピン25aに接当する状態を維持するように機体前方側に追従揺動するとともに、第1操作アーム27による第2操作アーム31の遊端部を支点にした揺動リンク28の機体前方側への揺動操作が行われて連係アーム29が機体前方側に変位し、この変位に連動して、切換弁部19Aが中立位置から下降位置に切り換わるとともに速度調整弁部19Dが排出停止位置から排出位置に切り換わることで、制御弁19の下降状態が現出されて左右のリフトアーム18が下降揺動を開始し、かつ、この下降揺動に連動して、第2操作アーム31による第1操作アーム27の遊端部を支点にした揺動リンク28の機体後方側への揺動操作が行われる。
【0050】
つまり、高さ設定レバー15を機体前方に向けて揺動操作している間は、常に、第1操作アーム27による揺動リンク28の機体前方側への揺動操作が、第2操作アーム31による揺動リンク28の機体後方側への揺動操作に先行して行われて、連係アーム29を中立位置から機体前方側の下降位置に変位させた状態が維持されることで、切換弁部19Aを下降位置に切り換えるとともに速度調整弁部19Dを排出位置に切り換えた制御弁19の下降状態が現出保持されて、左右のリフトアーム18の下降揺動が継続される。
【0051】
その後、その高さ設定レバー15を任意の操作位置にて揺動停止させると、その停止操作に連動して揺動部材22が揺動停止して、前述した第1操作アーム27による揺動リンク28の機体前方側への揺動操作が停止される一方で、前述した第2操作アーム31による揺動リンク28の機体後方側への揺動操作が継続されることで、連係アーム29が機体後方側の中立位置に変位し、この変位に連動して、切換弁部19Aが下降位置から中立位置に切り換わるとともに速度調整弁部19Dが排出停止位置に切り換わることで、制御弁19の中立状態が現出されて左右のリフトアーム18が下降揺動を停止し、かつ、この揺動停止に連動して、前述した第2操作アーム31による揺動リンク28の機体後方側への揺動操作が停止されて連係アーム29が中立位置に維持されることで、制御弁19の中立状態が現出保持されて左右のリフトアーム18の揺動停止状態が継続される。
【0052】
要するに、高さ設定レバー15を任意の操作位置まで人為操作すると、その高さ設定レバー15の操作位置に応じた揺動高さ位置まで左右のリフトアーム18が昇降揺動することになり、ロータリ耕耘装置7が高さ設定レバー15の操作位置に対応する高さ位置まで昇降するようになることから、ロータリ耕耘装置7を作業開始時などにおいて運転者が望む耕耘高さ位置に位置させる位置合わせ作業などを容易かつ適切に行える。
【0053】
ところで、高さ設定レバー15を最前の操作位置に揺動操作した場合に対応する左右のリフトアーム18の揺動高さ位置は、ロータリ耕耘装置7が耕耘作業する接地高さよりも下方の機械的な下限位置に設定されており、これによって、例えば、耕耘作業時において高さ設定レバー15を最前の操作位置に設定した場合には、その下限位置まで左右のリフトアーム18が下降しないために、制御弁19の下降状態が現出保持されて、左右のリフトアーム18がその自重やロータリ耕耘装置7の重量などによって下降する状態に維持されることになり、結果、作業地からの接地反力に応じてロータリ耕耘装置7が自動昇降するいわゆるフローティング状態を現出できる。
【0054】
図4〜8に示すように、高さ設定レバー15を操作案内するレバーガイド33には、高さ設定レバー15との接当で、高さ設定レバー15の機体後方側への揺動操作を制限する接当式制限手段としてのストッパ34が装備され、このストッパ34は、レバーガイド33のガイド溝33aにおける高さ設定レバー15の機体後方側に上方から挿通されるノブ付きボルト34Aと、そのノブ付きボルト34Aに螺合される溶接ナット34Bを備えた受具34Cによって、ガイド溝33aにおける高さ設定レバー15よりも機体後方側の操作領域において、その固定位置を任意に位置変更できるように構成されている。
【0055】
つまり、ノブ付きボルト34Aを操作するだけの簡単な操作で、ストッパ34による高さ設定レバー15の機体後方側での操作限界位置、すなわち、高さ設定レバー15の操作上限位置を任意の位置に設定変更することができ、その操作上限位置で決定される左右のリフトアーム18の揺動上限位置を容易に設定変更できることから、例えば、搭乗運転部12に保護フレーム13を立設した仕様形態(図1参照)とキャビン14を装備した仕様形態(図2参照)との仕様変更などに応じて変更されるロータリ耕耘装置7の上限位置に対応した左右のリフトアーム18の揺動上限位置の設定変更などに容易に対処できる。
【0056】
図4〜9に示すように、揺動部材22は、その機体後上方側に配備した電動アクチュエータの一例である電動式で減速機付きの昇降モータ35の作動で前後方向に揺動駆動される操作アーム36に連係ロッド37を介して連係され、その連係ロッド37は、その一端部37aが揺動部材22の長孔22bに挿通係合されており、この連係構成から、昇降モータ35の作動による揺動部材22の前後揺動操作が可能となり、その前後揺動操作に連動した制御弁19の作動切り換えによる左右のリフトアーム18の揺動操作が可能となっている。
【0057】
又、揺動部材22の機体前上方側には、揺動部材22の揺動位置をロータリ耕耘装置7の高さ位置として検出する高さ位置検出手段の一例である回転式のポテンショメータからなる高さセンサ38が配備され、高さセンサ38は、その検出アーム38Aの遊端部に備えた連係ピン38aが揺動部材22の長孔22cに挿通係合されることで揺動部材22に連係されている。そして、高さセンサ38は、その検出値を制御手段の一例であるマイクロコンピュータからなる制御装置39に出力する。
【0058】
尚、揺動部材22は、操作用連係機構23とフィードバック用連係機構24との連係部となる揺動リンク28よりも操作方向上手側に配備されることで、その揺動位置がロータリ耕耘装置7の高さ位置を反映するようになっている。
【0059】
制御装置39には、高さセンサ38の検出値以外に、昇降指令レバー16の上方への揺動操作を検出するリミットスイッチからなる上昇スイッチ40の検出情報、昇降指令レバー16の下方への揺動操作を検出するリミットスイッチからなる下降スイッチ41の検出情報、ステアリングホイール10の左下方に配備した前後進切換レバー42(図1及び図2参照)の後進位置への操作を検出するリミットスイッチからなる後進スイッチ43の検出情報、及び、ロータリ耕耘装置7の上限位置に対応する揺動部材22の揺動限界位置の設定変更を可能にする上限位置設定手段の一例である回転式のポテンショメータからなる上限設定器44の設定値、などが入力され、制御装置39は、それらの値や情報に基づいて昇降モータ35の作動を制御する。
【0060】
制御装置39による昇降モータ35の作動制御について詳述すると、制御装置39は、昇降指令レバー16の上方への揺動操作を上昇スイッチ40が検出した場合や、前後進切換レバー42の後進位置への操作を後進スイッチ43が検出した場合には、操作アーム36が機体後方側に揺動駆動されるように昇降モータ35の正転作動を開始させる。すると、この作動開始に伴って、連係ロッド37の一端部37aが揺動部材22の長孔22bに沿って機体後方側に移動し、この移動で長孔22bの後端縁に接当するのに伴って、揺動部材22がバネ32の付勢に抗して機体後方側に牽引操作されることになり、この牽引操作によって、前述した高さ設定レバー15を機体後方側に揺動操作した場合と同様に、制御弁19の上昇状態が現出されて左右のリフトアーム18が上昇揺動を開始するとともに、制御弁19の上昇状態が現出保持されて、左右のリフトアーム18の上昇揺動が継続される。
【0061】
そして、昇降モータ35の正転作動後は、高さセンサ38の検出に基づいて揺動部材22(ロータリ耕耘装置7)が上限設定器44で設定した揺動限界位置(ロータリ耕耘装置7の上限位置)に到達したか否かを判別し、揺動部材22が揺動限界位置に到達したと判断するのに伴って昇降モータ35の正転作動を停止させる。すると、この作動停止に伴って揺動部材22が揺動停止することになり、この揺動停止によって、前述した高さ設定レバー15を揺動停止させた場合と同様に、制御弁19の中立状態が現出されて左右のリフトアーム18が上昇揺動を停止し、この揺動停止に連動して、制御弁19の中立状態が現出保持されて左右のリフトアーム18の揺動停止状態が継続される。
【0062】
一方、昇降指令レバー16の下方への揺動操作を下降スイッチ41が検出した場合には、操作アーム36が機体前方側に揺動駆動されるように昇降モータ35の逆転作動を開始させるとともに、その作動で操作アーム36が機体前方側の規制ピン45に接当したか否かを判別するために、その接当に要する予め設定した作動時間が経過したか否かを判別する。すると、この作動開始に伴って、連係ロッド37の一端部37aが機体前方側に移動し、その移動に連動して、バネ32の付勢によって、揺動部材22が、その長孔22bの後端縁が連係ロッド37の一端部37aに接当する状態を維持するように機体前方側に追従揺動することになり、この追従揺動によって、前述した高さ設定レバー15を機体前方側に揺動操作した場合と同様に、制御弁19の下降状態が現出されて左右のリフトアーム18が下降揺動を開始するとともに、制御弁19の下降状態が現出保持されて、左右のリフトアーム18の下降揺動が継続される。
【0063】
そして、この昇降モータ35の逆転作動による左右のリフトアーム18の下降揺動において、揺動部材22における長孔22aの後端縁が操作リンク25の連係ピン25aに接当すると、高さ設定レバー15の摩擦保持力で揺動部材22の機体前方側への揺動が阻止されて揺動部材22が揺動停止するとともに、その揺動停止に連動した連係アーム29の中立位置への変位で制御弁19の中立状態が現出されて、左右のリフトアーム18が高さ設定レバー15で設定した設定高さ位置で下降揺動を停止し、この揺動停止に連動して、制御弁19の中立状態が現出保持されて左右のリフトアーム18の揺動停止状態が継続されるのであるが、このリフトアーム18の揺動停止に関係なく、制御装置39は、予め設定した作動時間が経過したか否かに基づいて昇降モータ35の作動を制御し、その作動時間が経過していなければ昇降モータ35の逆転作動を継続し、その作動時間が経過するのに伴って昇降モータ35の逆転作動を停止させる。すると、この作動制御によって、連係ロッド37の一端部37aが揺動部材22の長孔22bに沿って機体前方側に移動して長孔22bの後端縁から離間し、操作アーム36が規制ピン45に接当することになって、高さ設定レバー15の揺動操作に連動した揺動部材22の揺動を許容する。
【0064】
つまり、上述した制御装置39の制御作動によって、昇降モータ35の作動で左右のリフトアーム18を予め設定した揺動上限位置まで自動上昇させる自動上昇制御や、高さ設定レバー15で設定した設定高さ位置まで自動下降させる自動下降制御を行うことができるのであり、これによって、一工程の耕耘作業を終えて畦際で車体を方向転換させる場合には、昇降指令レバー16を上方に揺動操作するだけで、ロータリ耕耘装置7を予め設定した上限位置まで簡単に上昇させることができ、これによって、畦際での方向転換中は、その方向転換操作に運転者が専念できるようにしながら、その方向転換中にロータリ耕耘装置7が畦に接触する虞を回避でき、そして、その方向転換後に、昇降指令レバー16を下方に揺動操作すれば、ロータリ耕耘装置7を高さ設定レバー15の操作位置に応じた作業高さ位置まで簡単に下降させることができる。
【0065】
又、畦際で車体をスイッチターンさせる場合などのように車体を後進させる必要が生じた場合には、その後進状態を現出するための前後進切換レバー42の後進位置への操作に伴って、ロータリ耕耘装置7を予め設定した上限位置まで自動上昇させることができ、これによって、ロータリ耕耘装置7を接地させた状態で車体を後進させることに起因したロータリ耕耘装置7の損傷や、ロータリ耕耘装置7を低位上昇させた状態で車体を後進させることに起因したロータリ耕耘装置7の畦との接触など未然に回避でき、その後、前後進切換レバー42の後進位置への操作を解除して、昇降指令レバー16を下方に揺動操作すれば、ロータリ耕耘装置7を高さ設定レバー15の操作位置に応じた作業高さ位置まで下降させることができる。
【0066】
そして、昇降指令レバー16の下方への揺動操作でロータリ耕耘装置7を高さ設定レバー15の操作位置に応じた作業高さ位置まで下降させた状態では、高さ設定レバー15の揺動操作に基づく揺動部材22の揺動が許容されていることで、高さ設定レバー15の操作位置に応じた高さ位置にロータリ耕耘装置7を昇降させるポジション制御を行える。
【0067】
尚、上記の構成において、昇降指令レバー16と上昇スイッチ40、又は、後進スイッチ43によって、ロータリ耕耘装置7を上限位置まで自動上昇させるとともにポジション制御を不能にする自動上昇制御の実行を制御装置39に指令する上昇指令用の昇降指令手段46が構成され、又、昇降指令レバー16と下降スイッチ41によって、ロータリ耕耘装置7を高さ設定レバー15で設定した設定高さ位置まで自動下降させるとともにポジション制御を可能にする自動下降制御の実行を制御装置39に指令する下降指令用の昇降指令手段46が構成されている。
【0068】
図4〜8に示すように、上限設定器44は、その操作軸44aが連動リンク47及び連係ロッド48を介してストッパ34の受具34Cに連係されており、これによって、高さ設定レバー15の操作で現出されるポジション制御での左右のリフトアーム18の揺動上限位置を設定するストッパ34の位置変更操作に連動して、自動上昇制御での左右のリフトアーム18の揺動上限位置を設定する上限設定器44の設定値が、ストッパ34の設定位置に応じた値に設定変更されることになる。
【0069】
つまり、ストッパ34による左右のリフトアーム18の揺動上限位置の設定操作と、上限設定器44による左右のリフトアーム18の揺動上限位置の設定操作とをそれぞれ独立して行うように構成した場合に生じる虞のある一方の操作忘れを回避でき、これによって、例えば、搭乗運転部12に保護フレーム13を立設した仕様形態(図1参照)から、キャビン14を装備した仕様形態(図2参照)に仕様変更する上で、その仕様変更に応じた左右のリフトアーム18の揺動上限位置を設定変更する際に、ストッパ34又は上限設定器44による設定変更操作を忘れることに起因したロータリ耕耘装置7の上昇操作時におけるキャビン14へのロータリ耕耘装置7の接触を未然に回避できる。
【0070】
図4〜9に示すように、高さ設定レバー15は、その操作位置がレバー位置検出手段の一例である回転式のポテンショメータからなるレバーセンサ49によって検出され、その検出値は制御装置39に入力され、制御装置39は、前述した自動上昇制御で左右のリフトアーム18が揺動上限位置に到達していると、そのレバーセンサ49で検出される高さ設定レバー15の操作位置と、上限設定器44の設定値から検知するストッパ34の設定位置とに基づいて、高さ設定レバー15がストッパ34に接当する操作上限位置に到達したか否かを判別し、高さ設定レバー15が操作上限位置に到達したと判断した場合(レバーセンサ49の検出値が上限設定器44の設定値に対応した場合)に、昇降指令レバー16を下方に揺動操作した場合と同様に、予め設定した作動時間だけ昇降モータ35を逆転作動させる自動下降制御を現出して、操作アーム36を規制ピン45に接当させる。
【0071】
つまり、自動上昇操作で左右のリフトアーム18が揺動上限位置に到達している場合には、高さ設定レバー15をストッパ34に接当する操作上限位置まで揺動操作することで、自動下降制御が行われて昇降モータ35による揺動部材22の操作規制が解除されることから、高さ設定レバー15の操作によるポジション制御が可能となり、ロータリ耕耘装置7を、高さ設定レバー15の操作位置に応じた高さ位置に位置させることができる。
【0072】
ちなみに、自動下降制御において昇降モータ35を逆転作動させる作動時間は、昇降モータ35の逆転作動で操作アーム36を規制ピン45に接当させるのに要する最大時間(例えば1秒)に対して、その操作の確実性を得るために、その最大時間よりも長い時間(例えば1.5秒)に設定してある。
【0073】
又、昇降モータ35の逆転作動で操作アーム36を規制ピン45に接当させた場合に、その逆転作動で操作アーム36を規制ピン45に押し当てる力が大きくなり過ぎて、昇降モータ35の正転作動で操作アーム36を規制ピン45から解放する力よりも大きくなると、操作アーム36を規制ピン45から解放することができなくなる虞があることから、昇降モータ35を逆転作動させる作動時間での下げ出力には、昇降モータ35の逆転作動で操作アーム36を規制ピン45に押し当てる力を、昇降モータ35の正転作動で操作アーム36を規制ピン45から解放する力よりも小さくするための一定の出力制限を設けてあり、これによって、操作アーム36を規制ピン45から解放できなくなる虞を未然に回避してある。
【0074】
尚、昇降モータ35の逆転作動で操作アーム36を規制ピン45に接当させるのに要する時間は、自動上昇制御での左右のリフトアーム18の揺動上限位置を設定する上限設定器44の設定値に応じて異なることから、その点を考慮して、自動下降制御において昇降モータ35を逆転作動させる作動時間を、上限設定器44の設定値に応じて変更するようにしてもよい。
【0075】
又、昇降指令レバー16の下方への揺動操作に基づいて昇降モータ35を予め設定した作動時間だけ逆転作動させる構成に代えて、操作アーム36の規制ピン45への接当を検出するスイッチ、又は、規制ピン45を設けずに規制ピン45との接当位置に相当する揺動位置への操作アーム36の到達を検出するスイッチ、などを設けて、昇降指令レバー16の下方への揺動操作に基づいて、そのスイッチが検出作動するまで昇降モータ35を逆転作動させるように構成してもよい。
【0076】
レバーセンサ49は、その操作軸49aが高さ設定レバー15の揺動支点と同心上に位置するように配備され、かつ、その検出アーム49Aが、高さ設定レバー15に固着した連結リンク15Aに連結されている。
【0077】
ところで、ポジション制御でのロータリ耕耘装置7の上限位置は、ストッパ34に接当する操作限界位置まで高さ設定レバー15を操作した際に得られる機械的なロータリ耕耘装置7の上限位置であり、又、自動上昇制御でのロータリ耕耘装置7の上限位置は、昇降指令レバー16の上方への操作に基づく制御装置39の制御作動で昇降モータ35が作動した際に得られる電気的なロータリ耕耘装置7の上限位置であって、それらの上限位置に関連性はないことから、単にストッパ34と上限設定器44とを機械連係しても、それらの上限位置が一致することはない。
【0078】
逆に、前述したように、レバーガイド33に沿って変位操作されるストッパ34と、回転式のポテンショメータからなる上限設定器44とを、連動リンク47及び連係ロッド48を介して機械連係すると、ストッパ34の位置変更操作に連動した上限設定器44の設定変更操作に、ストッパ34の操作に連動して腰折れリンク状に屈伸する連動リンク47及び連係ロッド48の動作が影響することになり、これによって、ストッパ34の操作量と上限設定器44の操作量とに差が生じるだけでなく、その差が操作位置によって変化することになって、ストッパ34をレバーガイド33に沿って移動させた際に得られる上限設定器44の出力(操作位置)が、ストッパ34の操作位置との比例関係を示す直線ではなく曲線を描くようになることから、単にロータリ耕耘装置7のポジション制御での上限位置と自動上昇制御での上限位置とが一致しないだけでなく、その差が上限位置の設定によって変化することになり、結果、その設定によっては、ポジション制御と自動上昇制御のいずれかでロータリ耕耘装置7を上限位置まで上昇させた際に、ロータリ耕耘装置7が予想以上に上昇することになって、トラクタ側のキャビン14などに接触する不都合を招く虞がある。
【0079】
しかも、上限設定器44の出力と比較される高さセンサ38の出力は、前述した揺動部材22と高さセンサ38との連係構造から、揺動部材22を揺動させた際には、揺動部材22の揺動に連動して、連係ピン38aを長孔22cに沿って変位させながら揺動するようになる検出アーム38Aの動作の影響を受けて、揺動部材22の操作位置との比例関係を示す直線ではなく曲線を描くようになり、又、この出力曲線は、揺動部材22と高さセンサ38との連係構造が、ストッパ34と上限設定器44との連係構造とは異なるために、上限設定器44の出力曲線とは相違することになり、そのため、ロータリ耕耘装置7のポジション制御での上限位置と自動上昇制御での上限位置との差が、上限位置の設定によってより大きく変化することになり、結果、ポジション制御と自動上昇制御のいずれかでロータリ耕耘装置7を上限位置まで上昇させた際に、ロータリ耕耘装置7が予想以上に上昇してトラクタ側のキャビン14などに接触する不都合を招き易くなる。
【0080】
つまり、上記の構成では、操作形態の異なるストッパ34と上限設定器44とを機械連係し、又、その連係構造が、揺動部材22と高さセンサ38とを連係する連係構造とは異なるために、ストッパ34と上限設定器44とを機械連係しない場合に得られていた上限設定器44の出力と高さセンサ38の出力との間での一定の関係が崩れることになり、これを放置することで、ロータリ耕耘装置7が予想以上に上昇してトラクタ側のキャビン14などに接触する虞が生じることになる。
【0081】
又、この不都合を未然に回避するために、ストッパ34と上限設定器44との連係構造と、揺動部材22と高さセンサ38との連係構造とを同じに構成することも考えられるが、揺動部材22及び高さセンサ38が配備されるミッションケース3の右側部は、操作用連係機構23や昇降モータ35などが集中配備される込み入った箇所であることから、ストッパ34と上限設定器44とを機械連係する連係構造と同じ構成の連係構造を装備するための空間を確保するためには、操作用連係機構23の構成や昇降モータ35の配置などを変更する大掛かりな改良を要することになる。
【0082】
そして、その大掛かりな改良を回避するために、ストッパ34の操作位置と上限設定器44の操作位置との間で比例関係を成立させることや、異なる連係構造を採用しながら上限設定器44の出力と高さセンサ38の出力との間で比例関係を成立させることが考えられるが、前者の比例関係を成立させるためには、ストッパ34と上限設定器44とを機械連係する連係構造において、各部の動作の調整を可能にする調整機構などを設ける必要があり、又、後者の比例関係を成立させるためには、ストッパ34と上限設定器44とを機械連係する連係構造や、高さセンサ38と揺動部材22とを機械連係する連係構造において、各部の動作の調整を可能にする調整機構などを設ける必要があることから、構造の複雑化を招くとともに、その調整作業のために組み付け性が低下することになる。
【0083】
そこで、ストッパ34に機械連係したことでストッパ34の操作位置を検出することになる上限設定器44の出力と、揺動部材22の揺動位置をロータリ耕耘装置7の高さ位置として検出する高さセンサ38の出力との相関関係を制御装置39に記憶し、制御装置39が、その相対関係と上限設定器44の出力とに基づいて、上限設定器44の出力に対応する高さセンサ38の出力目標値を決定し、自動上昇制御では、その決定した出力目標値に高さセンサ38の出力値が一致するまで昇降モータ35の作動を制御するように構成してある。
【0084】
この構成によると、ストッパ34の位置変更操作に連動した上限設定器44の操作に、ストッパ34の操作を上限設定器44の操作に変換する連動リンク47や連係ロッド48の動作が影響することになって、ストッパ34をレバーガイド33に沿って移動させた際に得られる上限設定器44の出力(操作位置)が、ストッパ34の操作位置との比例関係を示す直線ではなく曲線を描くようになり、又、揺動部材22の揺動位置をロータリ耕耘装置7の高さ位置として検出する高さセンサ38の検出作動に、揺動部材22の揺動を高さセンサ38の検出作動に変換する検出アーム38Aの動作が影響することになって、ロータリ耕耘装置7の昇降に伴って揺動部材22が揺動した際に得られる高さセンサ38の出力が、揺動部材22の操作位置との比例関係を示す直線ではなく曲線を描くようになっても、それらの影響を考慮した状態で昇降モータ35の作動を制御することができ、その結果、ストッパ34に高さ設定レバー15を接当させた際に現出されるポジション制御でのロータリ耕耘装置7の上限位置と、上限設定器44の出力と高さセンサ38の出力とに基づいて昇降モータ35の作動を制御する制御装置39の制御作動で現出される自動上昇制御でのロータリ耕耘装置7の上限位置とを一致させることができる。
【0085】
その結果、キャビン14の追加装備やロータリ耕耘装置7の他の作業装置7の付け替えなどに応じて作業装置7の上限位置を設定変更する際の操作性及び確実性を向上させることができるとともに、作業装置7のポジション制御での上限位置と自動上昇制御での上限位置とに差が生じることに起因した作業装置7の車体側のキャビン14などとの接触を未然に回避できる。
【0086】
ところで、ストッパ34に機械連係したことでストッパ34の操作位置を検出することになる上限設定器44の出力は、ストッパ34の操作位置で決定される高さ設定レバー15の操作限界位置でもあることから、上限設定器44の出力と、高さ設定レバー15の操作位置を検出するレバーセンサ49の出力とを比較すれば、その結果から、ストッパ34に高さ設定レバー15が接当したか否かを判別することができる。
【0087】
しかしながら、上限設定器44の出力は、前述したように、操作形態の異なるストッパ34との機械連係によって、その操作(検出動作)においては、ストッパ34の操作を上限設定器44の操作(検出動作)に変換する連動リンク47や連係ロッド48の動作が影響することになって、その操作量とストッパ34の操作量とに差が生じるだけでなく、その差が操作位置によって変化することになり、そのストッパ34の位置変更操作に対する出力(検出位置)が、ストッパ34の操作位置との比例関係を示す直線ではなく曲線を描くようになっており、そのため、そのストッパ34の操作位置と上限設定器44の出力との関係を考慮せずに、単に、上限設定器44の出力とレバーセンサ49の出力とを比較するだけでは、高さ設定レバー15をストッパ34に接当させても、そのときの上限設定器44の出力とレバーセンサ49の出力とからは、制御装置39が、ストッパ34に高さ設定レバー15が接当したと判断しなくなることで、自動下降制御が行われなくなってポジション制御が不能のままとなる不都合や、高さ設定レバー15がストッパ34に接当する前の段階で、そのときの上限設定器44の出力とレバーセンサ49の出力とから、制御装置39が、ストッパ34に高さ設定レバー15が接当したと判断することで、自動下降制御が行われてポジション制御が可能になってしまい、その後のストッパ34に高さ設定レバー15が接当するまでの操作に連動してロータリ耕耘装置7が不測に上昇する不都合などを招く虞がある。
【0088】
又、これらの不都合を未然に回避するために、レバーセンサ49の出力が上限設定器44の出力と同じ曲線を描くように高さ設定レバー15とレバーセンサ49とを連係することも考えられるが、そのためには、その連係構造において、各部の動作の調整を可能にする調整機構などを設ける必要があることから、構造の複雑化を招くとともに、その調整作業のために組み付け性が低下することになる。
【0089】
そこで、ストッパ34に機械連係したことで高さ設定レバー15の操作限界位置をも検出することになる上限設定器44の出力と、レバーセンサ49の出力との相関関係を制御装置39に記憶し、制御装置39が、その相関関係と上限設定器44の出力とに基づいて、上限設定器44の出力に対応するレバーセンサ49の出力目標値を決定し、この出力目標値にレバーセンサ49の出力値が一致した場合に自動下降制御を行うように構成しているのであり、この構成によれば、ストッパ34に連動した上限設定器44の操作に、ストッパ34の操作を上限設定器44の操作に変換する連係構造の動作が影響する場合だけでなく、高さ設定レバー15の操作に連動したレバーセンサ49の検出作動に、高さ設定レバー15の操作をレバーセンサ49の検出作動に変換する連係機構の動作が影響する場合であっても、それらの影響を考慮した状態で、上限設定器44の出力値(レバーセンサ49の出力目標値)にレバーセンサ49の出力値が一致したか否か(ストッパ34に高さ設定レバー15が接当したか否か)を正確に判断することができ、その結果、高さ設定レバー15をストッパ34に接当させても、制御装置39が、ストッパ34に高さ設定レバー15が接当したと判断せずに、自動下降制御が行われなくなることで、ポジション制御が不能のままとなる不都合や、高さ設定レバー15がストッパ34に接当する前の段階から、制御装置39が、ストッパ34に高さ設定レバー15が接当したと判断して自動下降制御を行うことでポジション制御が可能になってしまい、その後の高さ設定レバー15をストッパ34に接当させるまでの操作に連動して作業装置が不測に上昇する不都合、などの発生を未然に回避できる。
【0090】
その結果、自動上昇制御を行ってロータリ耕耘装置7を上限位置まで自動上昇させた後に、現在の高さ設定レバー15の操作位置に対応したロータリ耕耘装置7の高さ位置(作業高さ位置)とは異なる高さ位置(例えばメンテナンスを行い易い高さ位置など)にロータリ耕耘装置7を位置させたい場合には、先に自動下降制御を行うための操作を行って、ロータリ耕耘装置7を現在の高さ設定レバー15の操作位置に対応する高さ位置まで自動下降させ、かつ、ポジション制御を行えるようにしてから、高さ設定レバー15を操作して、その操作位置に対応する高さ位置までロータリ耕耘装置7を昇降させるポジション制御を行う、といった操作手順を踏まなくても、高さ設定レバー15の操作だけでポジション制御を行うことができて、ロータリ耕耘装置7を任意の高さ位置に位置させることができる。
【0091】
ところで、上限設定器44の出力と高さセンサ38の出力との相関関係は、例えば、高さ設定レバー15の操作領域で操作される高さ設定レバー15とストッパ34とを、高さ設定レバー15の操作領域において同じ方向に同じ速度で移動させた際に得られる上限設定器44と高さセンサ38の出力からサンプリングした値を取得して成立させることが考えられる。
【0092】
又、上限設定器44の出力とレバーセンサ49の出力との相関関係は、例えば、高さ設定レバー15と、その操作領域で操作されるストッパ34とを、高さ設定レバー15の操作領域において同じ方向に同じ速度で移動させた際に得られる上限設定器44とレバーセンサ49の出力からサンプリングした値を取得して成立させることが考えられる。
【0093】
つまり、高さ設定レバー15とストッパ34とを、高さ設定レバー15の操作領域において同じ方向に同じ速度で移動させた際に得られる上限設定器44と高さセンサ38とレバーセンサ49の各出力から、上限設定器44の出力と高さセンサ38の出力との相関関係と、上限設定器44の出力とレバーセンサ49の出力との相関関係とを同時に成立させることができる。
【0094】
具体的には、制御装置39の制御モードを通常モードから調整モードに切り換えた状態において、高さ設定レバー15に、ノブ付きボルト34Aを緩めて位置変更操作を可能にした状態のストッパ34を接当させ、その接当状態を維持しながら、高さ設定レバー15を、レバーガイド33のガイド溝33aに沿って、その最前位置(下降方向の終端位置)から最後位置(上昇方向の終端位置)まで一挙に揺動させると、制御装置39が、その操作に伴って変化する高さセンサ38の出力値と上限設定器44の出力値とレバーセンサ49の出力値のそれぞれを所定時間ごとにサンプリングして不揮発性メモリ(図示せず)に記憶し、高さセンサ38の出力と上限設定器44の出力との相関関係、及び、上限設定器44の出力とレバーセンサ49の出力との相関関係を成立させるように構成されている。
【0095】
その結果、それぞれの連係構造において調整機構などを設けて煩雑な調節作業を行わなくても、高さ設定レバー15によるポジション制御でのロータリ耕耘装置7の上限位置と、昇降モータ35の作動による自動上昇制御でのロータリ耕耘装置7の上限位置とで、ロータリ耕耘装置7の高さ位置が大きく異なる不都合が生じることを回避でき、その不都合が生じることによって招く虞のあるロータリ耕耘装置7のキャビン14などとの接触を阻止することができ、又、上限設定器44の出力に基づくストッパ34の設定位置と、レバーセンサ49の出力に基づく高さ設定レバー15の操作上限位置とが一致しなくなることに起因した、自動上昇制御によるロータリ耕耘装置7の上限位置への自動上昇後に、高さ設定レバー15の操作上限位置への操作でポジション制御を可能にする際にロータリ耕耘装置7が上昇する、あるいは、高さ設定レバー15を操作上限位置まで操作してもポジション制御を可能にすることができない、といった不都合の発生を回避できる。
【0096】
ちなみに、制御装置39に記憶する高さセンサ38の出力と上限設定器44の出力との相関関係、及び、上限設定器44の出力とレバーセンサ49の出力との相関関係としては、そのサンプリングした値、又は、サンプリングした値から得られる相対関係式、などが考えられ、又、不揮発性メモリに記憶するサンプリング値の数量は、相関関係を成立させる際の上記の操作で得られる高さセンサ38の出力(出力線)と上限設定器44の出力(出力線)との類似性、及び、上限設定器44の出力(出力線)とレバーセンサ49の出力(出力線)との類似性に応じて1個〜多数個まで種々の変更が可能である。
【0097】
例えば、相関関係を成立させる際の上記の操作で得られる高さセンサ38の出力線と上限設定器44の出力線とが同じ形状でレベルだけが異なるというように類似性が高い場合には、そのレベルを一致させるのに必要な一つのサンプリングデータを制御装置39の不揮発性メモリに記憶させることで、高さセンサ38の出力と上限設定器44の出力との相関関係を成立させることが可能であり、又、高さセンサ38の出力線と上限設定器44の出力線とが相似形である、あるいは、上限設定器44の出力線とレバーセンサ49の出力線とに一定の関係が成り立つというように類似性が比較的に高い場合には、複数のサンプリングデータから得られる相対関係式を制御装置39の不揮発性メモリに記憶させることで、高さセンサ38の出力と上限設定器44の出力との相関関係、及び、上限設定器44の出力とレバーセンサ49の出力との相関関係を成立させることが可能であり、そして、高さセンサ38の出力線と上限設定器44の出力線、あるいは、上限設定器44の出力線とレバーセンサ49の出出力線とが全く相違するというように類似性が低い場合には、細かくサンプリングして得た複数のサンプリングデータを制御装置39の不揮発性メモリに記憶させることで、高さセンサ38の出力と上限設定器44の出力との相関関係、及び、上限設定器44の出力とレバーセンサ49の出力との相関関係を成立させることが可能である。
【0098】
図9に示すように、制御装置39には、搭乗運転部12に装備したバックアップスイッチ51、駆動切換スイッチ52、及びローリングスイッチ53などからの指令情報が入力され、制御装置39は、バックアップスイッチ51からの指令情報に基づいて、後進スイッチ43の検出に基づいてロータリ耕耘装置7を上限設定器44で設定した上限位置まで自動上昇させる状態と自動上昇させない状態とに切り換わり、又、駆動切換スイッチ52からの指令情報に基づいて、ミッションケース3に内装した前輪用クラッチ(図示せず)を切り換え操作して、走行駆動状態を、左右の前輪4と左右の後輪5とを駆動する4輪駆動状態と、左右の後輪5のみを駆動する2輪駆動状態とに切り換え、更に、ローリングスイッチ53からの指令情報に基づいて、トラクタ1の左右傾斜角度を検出する傾斜センサ(図示せず)の検出などに基づいて、ロータリ耕耘装置7が水平姿勢に維持されるように油圧式のローリングシリンダ(図示せず)の作動を制御する状態と、ロータリ耕耘装置7が予め設定された左右傾斜姿勢に維持されるようにローリングシリンダの作動を制御する状態とに切り換わるように構成されている。
【0099】
又、制御装置39は、バックアップスイッチ51とローリングスイッチ53とが同時操作された際の指令情報に基づいて、実行する制御モードを通常モードと調整モードとに切り換え、その指令情報によって実行する制御モードを調整モードに切り換えた状態では、上昇スイッチ40によって昇降指令レバー16の上方への揺動操作が検出されると、その検出が継続されている間、すなわち、昇降指令レバー16の上方への揺動操作が継続されている間だけ昇降モータ35を正転作動させ、又、下降スイッチ41によって昇降指令レバー16の下方への揺動操作が検出されると、その検出が継続されている間、すなわち、昇降指令レバー16の下方への揺動操作が継続されている間だけ昇降モータ35を逆転作動させるように構成されている。
【0100】
つまり、バックアップスイッチ51及びローリングスイッチ53によってモード切換手段54が構成され、このモード切換手段54の操作で制御装置39の制御モードを調整モードに切り換えた状態での昇降指令レバー16の上下揺動操作によって、昇降モータ35をインチング作動させることができ、これによって、昇降モータ35を揺動部材22などに連係させる際の微妙な位置ずれを、昇降モータ35をバッテリに直結させるなどの手間を要することなく簡単に調整でき、もって、昇降操作系の組み付け作業性を向上させることができる。又、昇降指令レバー16の上下揺動操作にかかわらず左右のリフトアーム18が昇降揺動しなくなった場合には、調整モードに切り換えた状態で、上昇スイッチ40が昇降指令レバー16の上方への揺動操作を検出している間、及び、下降スイッチ41が昇降指令レバー16の下方への揺動操作が検出している間、電流が流れているか否かを確認することで、昇降モータ35以降の昇降モータ35や油圧系の故障か制御装置39の故障かなどの原因究明が行い易くなる。
【0101】
尚、モード切換手段54の構成としては、通常は同時操作されないものの組み合わせであれば上記の構成に限定されるものではなく、例えば、バックアップスイッチ51と駆動切換スイッチ52との組み合わせや、駆動切換スイッチ52とローリングスイッチ53との組み合わせ、あるいは、バックアップスイッチ51とキースイッチ(図示せず)との組み合わせ、などであってもよい。そして、制御装置39の制御モードを調整モードに切り換えた場合には、搭乗運転部12に備えた液晶パネル又は表示灯などの表示手段(図示せず)によって調整モードの実行を報知するようになっている。
【0102】
又、高さセンサ38や上限設定器44の故障などで、上限設定器44で設定した上限位置までロータリ耕耘装置7を自動上昇させる自動上昇制御を行えなくなった場合には、故障時の高さセンサ38や上限設定器44の出力などに基づいて、上昇スイッチ40の検出に基づく制御装置39の制御作動が、上昇スイッチ40が昇降指令レバー16の上方への揺動操作を検出している間だけ、昇降モータ35を正転作動させて左右のリフトアーム18を上昇揺動させる制御作動に自動的に切り換わるように構成してもよい。
【0103】
更に、通常モード又は調整モードにおいて、通常は行わない例えばバックアップスイッチ51と駆動切換スイッチ52との同時操作が行われると、その操作が継続されている間だけ、昇降モータ35を正転作動させて左右のリフトアーム18を上昇揺動させ、又、通常は行わない例えば駆動切換スイッチ52とローリングスイッチ53との同時操作が行われると、その操作が継続されている間だけ、昇降モータ35を逆転作動させて左右のリフトアーム18を下降揺動させる状態に、昇降モータ35に対する制御装置39の制御作動が切り換わるように構成して、上昇スイッチ40又は下降スイッチ41の操作で昇降モータ35が作動しなくなった場合の原因究明を行い易くするとともに、下降スイッチ41及び上限設定器44又はレバーセンサ49の故障に伴う昇降モータ35の逆転不能に起因した揺動部材22に対する連係ロッド37の干渉で左右のリフトアーム18の下降操作が全く行えなくなることを回避できるようにしてもよい。
【0104】
〔別実施形態〕
以下、本発明の別実施形態を列記する。
〔1〕作業車としては、作業装置7の一例である苗植付装置を昇降操作可能に連結装備した乗用型田植機や、作業装置7の一例である播種装置を昇降操作可能に連結装備した乗用型播種機、などであってもよい。
【0105】
〔2〕作業装置7としては、畦塗り装置や代掻き装置あるいは薬剤散布装置などであってもよい。
【0106】
〔3〕制御弁19の構成としては種々の変更が可能であり、例えば、切換弁部19A、アンロード弁部19B、逆止弁部19C、速度調整弁部19D、及びリリーフ弁部19Eが独立形成されたものであってもよい。
【0107】
〔4〕油圧式操作機構6としては、リンク機構8を上下方向に揺動操作するように装備された油圧式単動形の昇降シリンダ17で構成されるものであってもよく、又、昇降シリンダ17の代わりに油圧式の昇降モータなどを備えて構成されるものであってもよい。
【0108】
〔5〕昇降指令手段46としては、昇降指令レバー16と多接点スイッチとから構成されるものや、押しボタン式の上昇スイッチと押しボタン式の下降スイッチとから構成されるもの、あるいは、上昇指令用の昇降指令手段46として、前後進切換装置における後進状態の現出を検出するスイッチなどを備えるものあってもよい。
【0109】
〔6〕電動アクチュエータ35として電動式の昇降シリンダなどを採用するようにしてもよい。
【0110】
〔7〕図10に示すように、接当式制限手段34の受具34Cに、この接当式制限手段34に対する高さ設定レバー15の接当を検出するスイッチ55を設けるとともに、その接当をスイッチ55が検出した場合に、制御装置39が、電動アクチュエータ35の作動を制御して自動下降制御を行うように構成してもよい。尚、スイッチ55としては、リミットスイッチや圧力スイッチあるいは近接スイッチなどを採用することが可能である。
【0111】
〔8〕高さ設定レバー15としては、レバーガイド33におけるガイド溝33aの一側縁に整列形成した多数の係合ノッチとの係合で任意の操作位置に位置保持される係合保持式に構成されたものであってもよい。
【0112】
〔9〕片当たり式連係部22を、操作用連係機構23とフィードバック用連係機構24との連係部となる揺動リンク28よりも操作方向下手側に配備してもよい。
【0113】
〔10〕高さ位置検出手段38としては、例えば、昇降モータ35の作動で前後方向に揺動駆動される操作アーム36の揺動位置をロータリ耕耘装置7の高さ位置として検出するものであってもよく、又、左右のリフトアーム18の揺動位置をロータリ耕耘装置7の高さ位置として検出するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】保護フレーム仕様のトラクタの全体側面図
【図2】キャビン仕様のトラクタの全体側面図
【図3】昇降操作構造の油圧構成を示す図
【図4】昇降操作構造の連係構成を示す要部の側面図
【図5】高さ設定レバーを任意の操作位置に設定した状態を示す要部の側面図
【図6】高さ設定レバーを接当式制限手段に接当させた状態を示す要部の側面図
【図7】高さ設定レバーと接当式制限手段との接当操作状態を示す要部の側面図
【図8】接当式制限手段の構成を示す要部の正面図
【図9】制御構成を示すブロック図
【図10】別実施形態での昇降操作構造の構成を示す要部の側面図
【符号の説明】
【0115】
6 油圧式操作機構
7 作業装置
15 高さ設定レバー
19 制御弁
22 片当たり式連係部
23 操作用連係機構
24 フィードバック用連係機構
28 連係部
34 接当式制限手段
35 電動アクチュエータ
38 高さ位置検出手段
39 制御装置
44 上限設定器
46 昇降指令手段
49 レバーセンサ
55 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さ設定レバーの操作に連動して、該高さ設定レバーの操作位置に対応する高さ位置まで作業装置を昇降させるポジション制御が行われるように、前記高さ設定レバーを、前記作業装置を昇降操作する油圧式操作機構の作動を制御する制御弁に、その制御弁の下降側への操作付勢に抗した片当たり操作を可能にする片当たり式連係部を備えた操作用連係機構を介して機械連係し、かつ、その操作用連係機構に、前記油圧式操作機構の動作をフィードバックするフィードバック用連係機構を機械連係し、
昇降指令手段の上昇指令操作に基づいて、予め設定した上限位置まで前記作業装置を自動上昇させるとともに前記ポジション制御を不能にする自動上昇制御が行われ、かつ、前記昇降指令手段の下降指令操作に基づいて、前記高さ設定レバーで設定した高さ位置まで前記作業装置を自動下降させるとともに前記ポジション制御を可能にする自動下降制御が行われるように、前記片当たり式連係部に電動アクチュエータを機械連係するとともに、前記昇降指令手段の操作に基づいて前記電動アクチュエータの作動を制御する制御手段を備えた作業車の昇降操作構造であって、
前記高さ設定レバーとの接当で該高さ設定レバーの上昇方向への操作を制限する接当式制限手段を位置変更可能に装備し、
前記自動上昇制御での前記上限位置の設定変更を可能にする上限位置設定手段と、前記作業装置の高さ位置を検出する高さ位置検出手段とを備え、
前記接当式制限手段と前記上限位置設定手段とを、前記接当式制限手段の位置変更操作に連動して前記上限位置設定手段の設定変更操作が行われるように機械連係し、
前記制御手段に、前記上限位置設定手段の出力と前記高さ位置検出手段の出力との相関関係を記憶し、
前記制御手段が、前記上限位置設定手段の出力と前記相関関係とに基づいて、前記上限位置設定手段の出力に対応する前記高さ位置検出手段の出力目標値を決定し、かつ、前記自動上昇制御では、決定した前記出力目標値に前記高さ位置検出手段の出力値が一致するまで前記電動アクチュエータの作動を制御するように構成してある作業車の昇降操作構造。
【請求項2】
前記片当たり式連係部を、前記操作用連係機構と前記フィードバック用連係機構との連係部よりも操作方向上手側に配備し、前記高さ位置検出手段が、前記片当たり式連係部の操作位置を検出するように構成してある請求項1に記載の作業車の昇降操作構造。
【請求項3】
前記高さ設定レバーの操作位置を検出するレバー位置検出手段を設けるとともに、前記制御手段に、前記上限位置設定手段の出力と前記レバー位置検出手段の出力との相関関係を記憶し、
前記制御手段が、前記上限位置設定手段の出力と、前記上限位置設定手段の出力と前記レバー位置検出手段の出力との相関関係とに基づいて、前記上限位置設定手段の出力に対応する前記レバー位置検出手段の出力目標値を決定し、かつ、この出力目標値に前記レバー位置検出手段の出力値が一致した場合に前記自動下降制御を行うように構成してある請求項1又は2に記載の作業車の昇降操作構造。
【請求項4】
前記接当式制限手段に、該接当式制限手段に対する前記高さ設定レバーの接当を検出するスイッチを設けるとともに、その接当を前記スイッチが検出した場合の出力に基づいて、前記制御手段が前記自動下降制御を行うように構成してある請求項1又は2に記載の作業車の昇降操作構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−304656(P2006−304656A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−129953(P2005−129953)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】