作業車両
【課題】作業車両において、油圧機器冷却用のオイルクーラー及びエンジン供給空気冷却用のインタクーラーをラジエータの前方で正面視において冷却ファンの周辺部に対向するように並設し、冷却効果を高める。
【解決手段】ミッションケース2の前側部から前方へ延出している前側フレーム22にエンジンEを搭載してその前側に冷却ファン15を設け、前記エンジンEの冷却ファン15の前方にラジエータ23を配設し、該ラジエータ23の前方において正面視で前記冷却ファン15の周辺部に対向するようにインタークーラー24及びオイルクーラー25を上下あるいは左右に偏位させて並列配設したことを特徴とする作業車両の構成とする。
【解決手段】ミッションケース2の前側部から前方へ延出している前側フレーム22にエンジンEを搭載してその前側に冷却ファン15を設け、前記エンジンEの冷却ファン15の前方にラジエータ23を配設し、該ラジエータ23の前方において正面視で前記冷却ファン15の周辺部に対向するようにインタークーラー24及びオイルクーラー25を上下あるいは左右に偏位させて並列配設したことを特徴とする作業車両の構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関し、特にフロント補器の配置構成に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車両のフロント補器の配置構成において、左右一対の機体フレーム上に配設されるエンジンの前方に組み付けられるフロント艤装品の取付構造であって、ラジエータ、シュラウド、バッテリ、コンデンサ、オイルクーラ等を取付プレート上に配設したものは、公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−195175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、作業車両において、油圧機器冷却用のオイルクーラ及びエンジン供給空気冷却用のインタークーラーをラジエータの前方で且つ冷却風の多量に流れる部位に並設してこれらの冷却効果を高め、また、必要に応じてオイルクーラーあるいはインタークーラーの冷却効果を他方に比較して高めるように調節しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、ミッションケース(2)の前側部から前方へ延出している前側フレーム(22)にエンジン(E)を搭載してその前側に冷却ファン(15)を設け、前記エンジン(E)の冷却ファン(15)の前方にラジエータ(23)を配設し、該ラジエータ(23)の前方において正面視で前記冷却ファン(15)の周辺部に対向するようにインタークーラー(24)及びオイルクーラー(25)を上下あるいは左右に偏位させて並列配設したことを特徴とする作業車両とする。
【0006】
請求項2の発明は、前記ラジエータ(23)の周辺部に対向し、且つ、前記インタクーラー(24)あるいはオイルクーラー(25)の一側部に対向するように導風板(32)を設け、該導風板(32)を、前記ラジエータ(23)、インタークーラー(24)あるいはオイルクーラー(25)から離間調節したり、あるいは、ラジエータ(23)、インタークーラー(24)あるいはオイルクーラー(25)に接近して調節可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の作業車両とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明は、ラジエータ(23)の前方において正面視で冷却ファン(15)の周辺部に対向するようにインタークーラー(24)及びオイルクーラー(25)を上下あるいは左右に偏位させて並列配設したので、冷却ファン(15)の周辺部の強い冷却風によりインタークーラー(24)及びオイルクーラー(25)の冷却効果を高めることができる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明の前記効果に加えて、ラジエータ(23)の周辺部に対向し、且つ、インタクーラー(24)あるいはオイルクーラー(25)の一側部に対向するように導風板(32)を設け、この導風板(32)を、例えばラジエータ(23)、インタークーラー(24)から離間調節し、インタークーラー(24)の側方を通って冷却風がラジエータ(23)に流れインタクーラー(24)の冷却効果を高めたり、あるいは、ラジエータ(23)、インタークーラー(24)に接近し調節して、ラジエータ(23)の周辺部を覆い、インタークーラー(24)の側方を覆い、オイルクーラ(25)の方へ冷却風を案内し、オイルクーラ(25)の冷却効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】トラクタの全体側面図。
【図2】トラクタ前側部の側面図。
【図3】トラクタ前側部の平面図。
【図4】ラジエータ、オイルクーラー、インタクーラーの斜視図。
【図5】トラクタの前後中間部の側面図。
【図6】燃料タンクの供給口部の斜視図。
【図7】トラクタの前後中間部の側面図、平面図。
【図8】燃料タンク上部の切断側面図、平面図、斜視図。
【図9】エンジンの右側面図。
【図10】エンジンの正面図、排気マニホールド、DPFの切断側面図。
【図11】シートの側面図、前側部の切断側面図。
【図12】ミッションケース、燃料タンクの斜視図。
【図13】トラクタ後部の側面図。
【図14】無段変速装置の切断側面図、平面図。
【図15】無段変速装置の切断側面図、平面図。
【図16】無段変速装置の切断側面図。
【図17】無段変速装置の切断側面図、平面図。
【図18】無段変速装置の切断側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいてこの発明を農業用トラクタに施した実施例について説明する。
トラクタTは、図1に示すように、車体前側部のボンネット1内にエンジン(図示省略)を設け、エンジンの回転動力をミッションケース2内の変速装置を経由して左右前輪3,3及び左右後輪4,4へ伝達している。
【0011】
また、前記ミッションケース2の後側上部には、作業機昇降用の油圧シリンダ(図示省略)を内装しているシリンダケース(図示省略)を設け、シリンダケースの後部にリフトアーム7,7を上下回動自在に軸架し、油圧シリンダのピストンの伸縮作動により、リフトアーム7,7を上下回動するように構成している。そして、前記ミッションケース2の後側部には、上部リンクと左右下部リンク8aとからなる三点リンク機構8を設けて、各種作業機を連結するようにしている。
【0012】
また、ボンネット1の後方には、ハンドルコラム(図示省略)を立設し、ハンドルコラムの上部にステアリングハンドル(図示省略)を軸支している。ミッションケース2の上側にはフロア(図示省略)を設け、フロア上には前進ペダル、後進ペダル、左右ブレーキペダル、クラッチペダル、アクセルペダルを設けている。
【0013】
次に、図2〜図4に基づきボンネット2内の補器やバッテリ21の配置構成について説明する。
ミッションケース2の前側部から前側フレーム22を前方へ延出し、この前側フレーム22を左右フレーム22a,22bと、左右フレーム22a、22bの前側端部を連結する左右方向の連結フレーム22cとにより構成している。この前側フレーム22にはマスト(図示省略)を立設してボンネット1を開閉自在に取り付けている。
【0014】
前側フレーム22の後側部にエンジンEを搭載し、エンジンEの前側部に冷却ファン15を設けている。前側フレーム22にはエンジンEの冷却ファン15の前方にラジエータ23を設けている。ラジエータ23の前側上部における冷却ファン15の周辺部に対向するようにインタークーラー24を設け、ラジエータ23の前側下部における冷却ファン15の周辺部に対向するようにオイルクーラー25を設け、これらの前方にエアコン用のコンデンサ26を配設している。
【0015】
前側フレーム22のコンデンサ26の前方部に凹部22dを構成し、凹部22dにバッテリ21を沈み込ませるようにしてあまり上方へ突出しないように配設している。また、前側フレーム22の連結フレーム22cの前側部に、フロントバンパ27を設けている。
【0016】
しかして、冷却ファン15が回転すると、冷却ファン15の中心部から後方へ向けて弱い冷却風が流れ、また、冷却ファン15の周辺部から強い冷却風が後方へ流れる。しかして、ラジエータ23、インタークーラー24及びオイルクーラー25には強い冷却風が流れて冷却し、次いで、エンジンEを冷却する。
【0017】
前記構成によると、前側フレーム22の前側部の凹部22dにバッテリ21を沈み込むようにして低い位置に配設したので、バッテリ21の上面を後方のインタークーラー24、オイルクーラー25、コンデンサ26等の補器や冷却ファン15よりも低くすることができ、冷却風の流れを良くし、インタークーラー24、オイルクーラー25、コンデンサ26の冷却効果を高めることができる。
【0018】
また、インタークーラー24、オイルクーラー25、コンデンサ26を正面視で冷却ファン15の回転中心部から上下左右に離れた周辺部に対向して配置することにより、強い冷却風を送り、冷却効果を高めることができる。
【0019】
また、図4に示すように、ラジエータ23取付用のフレーム部31には、インタクーラー24及びオイルクーラー25の左右一側で且つラジエータ23の左右一側前側に位置するように導風板32を設けている。この導風板32は例えば前側導風板32aと後側導風板32bをL字状に屈折して一体構成している。フレーム部31の左右一側上部に、後側導風板32bの左側先端部を上下方向の支持軸32cにより軸支し、導風板32をインタクーラー24の左右一側に近接し、且つ、ラジエータ23の前側面左右一側に接近するように配設し、導風板32の前側導風板32a,後側導風板32bの下端部をインタークーラー24の下端から下方へ少し延出し、下方のオイルクーラー25の左右一側上端部近傍に臨ませている。
【0020】
また、ラジエータ23取付用のフレーム部31の左右他側にも導風板32と同様に構成した第2導風板33を設けている。この第2導風板33を第2前側導風板33aと第2後側導風板33bにより同様にL字状に屈折して一体構成し、正面視でラジエータ23の左右他側部を上側半分にわたって第2後側導風板33bで閉鎖し、第2前側導風板33aをインタクーラー24の左右他側の上側半分に近接して配設している。しかして、第2導風板33によりインタクーラー24及びオイルクーラー25の左右他側部に冷却風を送り、冷却効果を高めることができる。
【0021】
また、導風板32は支持軸32c回りに回動調節することができる。図4に示すように、ラジエータ23の前側上部における左右一側を後側導風板32bが覆い、前側導風板32aがインタクーラー24の左右一側に接近し、その前側端部が側面視でインタクーラー24及びオイルクーラー25よりも前方へ突出するように調節することができる。このようにすると、インタクーラー24の左右一側への冷却風の流れを制限し、前側導風板32aにより下方のオイルクーラー25の左右一側部へ冷却風を送り、オイルクーラー25の冷却効果を高めることができる。
【0022】
また、導風板32を図4の状態から支持軸32cを中心として左右外側に回動調節すると、後側導風板32bがラジエータ23の左右一側前側上部から左右外側に離間移動し、前側導風板32aがインタクーラー24の左右一側から左右外側に離れるように調節される。このように調節すると、インタクーラー24の左右一側の冷却風の流れを多くしインタクーラー24の冷却効果を高め、下方のオイルクーラ25―の左右一側部の冷却風を円滑に後方のラジエータ23に送り、オイルクーラー25の冷却を弱くなる。
【0023】
次に、導風板32の自動切替制御について説明する。
インタークーラー24及びオイルクーラ25に温度センサ(図示省略)をそれぞれ設け、導風板32を調節モータ(図示省略)により回動調節可能に構成する。温度センサによりインタークーラー24及びオイルクーラー25の温度が検出されコントローラ(図示省略)に入力される。次いで、オイルクーラー25の検出温度が所定の基準温度より高くなると、コントローラの切り替え指令により導風板32を切り替え調節し、オイルクーラー25側の冷却風を多くするように切り替える。
【0024】
また、インタクーラー24の検出温度が所定の基準温度より高くなると、コントローラの切り替え指令により導風板32を切り替え調節し、インタクーラー24側の冷却風を多くなるように切り替える。なお、前記制御にはインタクーラー24あるいはオイルクーラー25のいずれか一方を優先して冷却する優先切替スイッチ(図示省略)を設けて切替できるようにしている。
【0025】
次に、図5に基づき燃料タンク36の給油口のロック構成について説明する。ミッション2の左右両側に燃料タンク36を設け、燃料タンク36の給油口36aをキャップ36bで閉鎖し、キャビン37の外側近傍に位置するように設けている。キャビン37の床部にはカバープレート38を軸38aで軸支し、軸38aにアーム39を取り付け、カバープレート38が給油口36aのキャップ36bを覆うようにしロックボルト40で固定し、給油口36aのキャップ36bを覆うように構成している。
【0026】
前記構成によると、オペレータがキャビン37から降りる際には、カバープレート38により燃料タンク36のキャップ36bを覆うようにしてロックすることにより、燃料の盗難を防止することができる。
【0027】
次に、図6について説明する。燃料タンク36の給油口36aには環状の取付板41の穴部41aを嵌合装着し、取付板41の一側膨出部41bに厚い角材42を介してカバープレート38の一側をボルト・ナットで固着する。また、取付板41の他側膨出部41cの取付穴とカバープレート38の穴とに南京錠43のロックアーム43aを挿入し、施錠するようにしている。前記構成によると、燃料タンク36の給油口36aの強度アップを図りながらカバープレート38を取り付け、燃料の盗難を有効に防止することができる。
【0028】
また、図7のように構成してもよい。取付板41をキャビン37から燃料タンク36の給油口36aに向けて延出し、取付板41に設けている凹部41dで燃料タンク36の給油口36aの周囲を近接して覆うようにし、取付板41に前記と同様に南京錠43を施錠し、凹部41dを閉鎖するようにする。
【0029】
また、図8のように構成してもよい。取付板41の一端を左右方向の軸41e回りに軸支し、取付板41の他側に構成した穴4fと燃料タンク36側のロック穴36fに南京錠43のロックアーム43aを挿入し施錠するように構成する。また、燃料タンク36の軸41eの外周部に係止凹部44a付きの係止板44を設け、燃料タンク36に燃料給油時の燃料供給ガン(図示省略)を載置するようにし、燃料タンク36の変形を防止するようにしている。
【0030】
また、係止板44の係止凹部44aには南京錠43のロックアーム43aを挿通する支持穴44bを設け、不使用時の南京錠43を支持するようにしている。また、取付板41を燃料タンク36の給油口36aの周囲を囲んだ状態では、燃料タンク36の上面と取付板41の下面との間に指が入らない程度の間隙41fを設け、雨水が溜らないようにしている。
【0031】
次に、9図及び図10に基づきDPF(微粒子除去装置)46の配置構成について説明する。
ディーゼル式のエンジンEの前側に冷却ファン15を設け、エンジンEの左側面に吸気部が位置し、右側面に排気部が位置するようにエンジンEを配設している。エンジンEの右側面に排気マニホールド48及びDPF46を取り付け、DPF46に排気パイプ49、テールパイプ47を接続している。キャビン37の例えば右側前フレーム37bに沿わせてテールパイプ47を立設し、テールパイプ47上部から後方へ向けて排気するようにしている。
【0032】
また、図10(B)に示すように、排気マニホールド48とDPF46とを一体的に構成し、排気マニホールド48の分散排気部48a,…からDPF46の吸着部46aに排気を分散しながら送り込み、不純物質を吸着排除した排気を消音部46bを経由して排気パイプ49に排出するようにしている。
【0033】
前記構成によると、エンジンEの排気長さを短くしながらエンジンEの側面に排気マニホールド48及びDPF49をコンパクトに配設することができる。また、排気経路が短くなり排気効率を高めDPF49の再生温度を有効に保持し、背圧低減を図りながら不純物質の吸着効果を高めることができる。
【0034】
次に、図11に基づきシート51に設けたシートスイッチ52の取付構成について説明する。
ミッションケース2上部にシート51を設けている。シートフレーム53にシート固定プレート53aを前後リンク53b,53bを介して上下動自在に支持している。このシート固定プレート53aにシート51の後側部を左右方向の軸51a回りに回動自在に軸支し、シート51にオペレータが座ると、シート51の前側部が下方に移動し、シートスイッチ52をONするようにし、オペレータがシート51から離れると、復帰バネ53cによりシート51が上方へ復帰するようにしている。
【0035】
シート固定プレート53aの前側部には上下方向のガイド穴54を設け、ガイド穴54の側方にシートスイッチ52を配設している。シート51の前側部にはブラケット55を左右方向のピン55aで支持し、ブラケット55に上下方向の作動ピン56を取り付けている。しかして、シート51が可動した際に、作動ピン58がガイド穴54の中を通り下方に移動すると、ブラケット55の下面によりシートスイッチ52の作動片52aを押し下げ、スイッチONとなる。また、オペレータがシート51から降りると、バネ57が作動ピン56を押し上げ、シートスイッチ52をOFFにする。
【0036】
前記構成によると、シート51が前後左右に傾斜しても、ブラケット55が作動ピン56及びガイド穴54に規制されて所定位置を上下動し、シートスイッチ52を確実に作動することができる。また、ブラケット55とシート取付プレート53aとの面積を大きく取り、ブラケット55に取り付けた作動ピン56をシート取付プレート53a側のガイド穴54に保持しながら上下動するので、シート51を所定位置で安定させて設置できる。
【0037】
また、ブラケット55の下面に導通体58aを設け、作動ピン56の上側部に導通体58bを設け、シート51の下動時に導通体58aと導通体58bが接触し、シート51の下動検出をするようにしてもよい。
【0038】
次に、図12に基づきサブステップ66の取付構成について説明する。
ミッションケース2の左右両側には左右燃料タンクフレーム67,67を取り付け、左右フレーム67,67に左右燃料タンク36,36を取り付けている。そして、左右フレーム67,67の左右両側部後側には、車輪型用の後側ブラケット66a,…を取り付けている。また、左右フレーム67,67の前側部にセミクローラ型用の前側ブラケット66b,66bを取り付けている。
【0039】
しかして、トラクタTがセミクローラ型(前輪がタイヤで後輪がクローラ)の場合には、前側ブラケット66b,66bに左右サブステップ66,66を取り付け、また、車輪型の場合には、後側ブラケット66a,66aにサブステップ66,66を取り付けることにより、支持構成を簡素化しコストの低減を図りながら、車輪型あるいはセミクローラ型に対応することができる。
【0040】
次に、図13に基づきトラクタTの照明構成について説明する。ミッションケース2の後部から後側フレーム71を立設し、後側フレーム71の上部にサンバイザー72を取り付け、後側フレーム71の上部及び又はサンバイザー72の前側部にライト73,73を設け、シート51、フェンダ74やその周辺を照明するようにしている。そして、フェンダ74に設けたスイッチ(図示省略)をON操作してライト73,73を点灯させ、OFF操作し消灯するようにしている。そして、消灯する際には、タイマリレーが作動し、スイッチOFFから所定時間後に消灯するようにしている。
【0041】
しかして、夜間作業やトラクタを倉庫にしまった場合には、スイッチOFFしトラクタから降りた後もライト73,73で足元を照らすことができ安全である。なお、前記スイッチをスイッチ操作板から電波でスイッチにON/OFF信号を送り、離れた位置から操作できるようにしてもよい。
【0042】
次に、図14に基づきミッションケース2内に設けた無段変速装置76の中立位置復帰構成について説明する。
エンジンからの回転動力は、静油圧式の無段変速装置76の入力軸77を経て油圧ポンプ78に伝達され、油圧ポンプ78のトラニオン軸79の調整により油圧モータ(図示省略)が前後進切換及び無段変速され、変速動力が出力軸(図示省略)から取り出される。
【0043】
油圧ポンプ78のトラニオン軸79には、中立位置復帰用の穴80を設け、この穴80にスプリング81により突出方向へ押圧されたスチールボール82を嵌入している。また、油圧ポンプ78のケース78a側には円形の調節穴78bを設け、この調節穴78bにトラニオン軸調節用の平面視円形状の調節カバー84を嵌合支持している。
【0044】
この調節カバー84には、図14(B)に示すように、中心点84aを中心とした平面視円弧状で且つテーパ状の中立位置決め用の中立復帰溝83を設け、この中立復帰溝83は幅広で深い中立位置83pから前進側83f,後進側83rになるに従って順次幅狭で浅くなるカム面を形成している。また、調節カバー84には調節プレート85を取り付け、調節プレート85を操作することにより、調節カバー84を中心点84p回りに回動調節し、ボルト・ナットで固定できるようにしている。
【0045】
無段変速装置67の中立位置復帰装置のリンク部材を機体外部に露出するように設けた構成であると、トラクタの組立て後に無段変速装置67の中立位置調整作業を行なう必要があり、調整作業が難しく、リンク部材の摩耗やゴミ詰りにより、操作荷重の変化や動きが悪くなり、再調整が必要であった。
【0046】
しかし、前記構成によると、無段変速装置76の中立位置復帰調整部材を油圧ポンプ78のケース78a内に納めることができ、構成を簡素化しながら前記不具合を解消し、耐久性を高めることができる。
【0047】
また、調節カバー84の内側面中心点84pに凸部84aを設け、油圧ポンプ78のトラニオン軸69側に凹部79cを設け、凹凸部79c,84pを合致させて嵌合支持するようにしている。前記構成によると、調節カバー84の調整回動時の抵抗を少なくし楽に調整することができる。
【0048】
また、図15に示すように、中立位置復帰用の穴80,80を対称状に複数設けて、それぞれスプリング81とスチールボール82を組み付け、調節カバー84にも中心点84aの対称位置に複数の中立復帰溝83,83を設ける。すると、スプリング81,81の荷重を高め、トラニオン軸79の中立位置への復帰を迅速にすることができる。
【0049】
また、図16のように構成し、スプリング81の張力を調節するようにしてもよい。油圧ポンプ78のトラニオン軸79に中立復帰溝83を構成し、調節カバー84側に中立位置復帰用の穴80を設け、この穴80にスプリング81とスチールボール82を組み付ける。そして、穴80に調節ボルト86をねじ嵌合しスプリング81を下方から支持し、調節ボルト86を上下調節し、スプリング81の張力を調節する。
【0050】
また、図17に示すように、調節カバー84の下面中心部に例えば6角形の凸部88を構成し、この凸部88を目印にして中立位置を調整するようにしてもよい。
また、図18のように構成してもよい。無段変速装置76の油圧ポンプ78のケース78aに調節カバー84を介してトラニオン軸79を支持し、トラニオン軸79の支持端部79aを調節カバー84の穴部から下方へ突出し、この支持端部79aにアーム90を介してオイルダンパ91を取り付ける。前記構成によると、トラニオン軸79の振動を軽減すことができる。
【符号の説明】
【0051】
E エンジン
2 ミッションケース
15 冷却ファン
22 前側フレーム
23 ラジエータ
24 インタークーラー
25 オイルクーラー
32 導風板
33 第2導風板
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関し、特にフロント補器の配置構成に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車両のフロント補器の配置構成において、左右一対の機体フレーム上に配設されるエンジンの前方に組み付けられるフロント艤装品の取付構造であって、ラジエータ、シュラウド、バッテリ、コンデンサ、オイルクーラ等を取付プレート上に配設したものは、公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−195175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、作業車両において、油圧機器冷却用のオイルクーラ及びエンジン供給空気冷却用のインタークーラーをラジエータの前方で且つ冷却風の多量に流れる部位に並設してこれらの冷却効果を高め、また、必要に応じてオイルクーラーあるいはインタークーラーの冷却効果を他方に比較して高めるように調節しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、ミッションケース(2)の前側部から前方へ延出している前側フレーム(22)にエンジン(E)を搭載してその前側に冷却ファン(15)を設け、前記エンジン(E)の冷却ファン(15)の前方にラジエータ(23)を配設し、該ラジエータ(23)の前方において正面視で前記冷却ファン(15)の周辺部に対向するようにインタークーラー(24)及びオイルクーラー(25)を上下あるいは左右に偏位させて並列配設したことを特徴とする作業車両とする。
【0006】
請求項2の発明は、前記ラジエータ(23)の周辺部に対向し、且つ、前記インタクーラー(24)あるいはオイルクーラー(25)の一側部に対向するように導風板(32)を設け、該導風板(32)を、前記ラジエータ(23)、インタークーラー(24)あるいはオイルクーラー(25)から離間調節したり、あるいは、ラジエータ(23)、インタークーラー(24)あるいはオイルクーラー(25)に接近して調節可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の作業車両とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明は、ラジエータ(23)の前方において正面視で冷却ファン(15)の周辺部に対向するようにインタークーラー(24)及びオイルクーラー(25)を上下あるいは左右に偏位させて並列配設したので、冷却ファン(15)の周辺部の強い冷却風によりインタークーラー(24)及びオイルクーラー(25)の冷却効果を高めることができる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明の前記効果に加えて、ラジエータ(23)の周辺部に対向し、且つ、インタクーラー(24)あるいはオイルクーラー(25)の一側部に対向するように導風板(32)を設け、この導風板(32)を、例えばラジエータ(23)、インタークーラー(24)から離間調節し、インタークーラー(24)の側方を通って冷却風がラジエータ(23)に流れインタクーラー(24)の冷却効果を高めたり、あるいは、ラジエータ(23)、インタークーラー(24)に接近し調節して、ラジエータ(23)の周辺部を覆い、インタークーラー(24)の側方を覆い、オイルクーラ(25)の方へ冷却風を案内し、オイルクーラ(25)の冷却効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】トラクタの全体側面図。
【図2】トラクタ前側部の側面図。
【図3】トラクタ前側部の平面図。
【図4】ラジエータ、オイルクーラー、インタクーラーの斜視図。
【図5】トラクタの前後中間部の側面図。
【図6】燃料タンクの供給口部の斜視図。
【図7】トラクタの前後中間部の側面図、平面図。
【図8】燃料タンク上部の切断側面図、平面図、斜視図。
【図9】エンジンの右側面図。
【図10】エンジンの正面図、排気マニホールド、DPFの切断側面図。
【図11】シートの側面図、前側部の切断側面図。
【図12】ミッションケース、燃料タンクの斜視図。
【図13】トラクタ後部の側面図。
【図14】無段変速装置の切断側面図、平面図。
【図15】無段変速装置の切断側面図、平面図。
【図16】無段変速装置の切断側面図。
【図17】無段変速装置の切断側面図、平面図。
【図18】無段変速装置の切断側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいてこの発明を農業用トラクタに施した実施例について説明する。
トラクタTは、図1に示すように、車体前側部のボンネット1内にエンジン(図示省略)を設け、エンジンの回転動力をミッションケース2内の変速装置を経由して左右前輪3,3及び左右後輪4,4へ伝達している。
【0011】
また、前記ミッションケース2の後側上部には、作業機昇降用の油圧シリンダ(図示省略)を内装しているシリンダケース(図示省略)を設け、シリンダケースの後部にリフトアーム7,7を上下回動自在に軸架し、油圧シリンダのピストンの伸縮作動により、リフトアーム7,7を上下回動するように構成している。そして、前記ミッションケース2の後側部には、上部リンクと左右下部リンク8aとからなる三点リンク機構8を設けて、各種作業機を連結するようにしている。
【0012】
また、ボンネット1の後方には、ハンドルコラム(図示省略)を立設し、ハンドルコラムの上部にステアリングハンドル(図示省略)を軸支している。ミッションケース2の上側にはフロア(図示省略)を設け、フロア上には前進ペダル、後進ペダル、左右ブレーキペダル、クラッチペダル、アクセルペダルを設けている。
【0013】
次に、図2〜図4に基づきボンネット2内の補器やバッテリ21の配置構成について説明する。
ミッションケース2の前側部から前側フレーム22を前方へ延出し、この前側フレーム22を左右フレーム22a,22bと、左右フレーム22a、22bの前側端部を連結する左右方向の連結フレーム22cとにより構成している。この前側フレーム22にはマスト(図示省略)を立設してボンネット1を開閉自在に取り付けている。
【0014】
前側フレーム22の後側部にエンジンEを搭載し、エンジンEの前側部に冷却ファン15を設けている。前側フレーム22にはエンジンEの冷却ファン15の前方にラジエータ23を設けている。ラジエータ23の前側上部における冷却ファン15の周辺部に対向するようにインタークーラー24を設け、ラジエータ23の前側下部における冷却ファン15の周辺部に対向するようにオイルクーラー25を設け、これらの前方にエアコン用のコンデンサ26を配設している。
【0015】
前側フレーム22のコンデンサ26の前方部に凹部22dを構成し、凹部22dにバッテリ21を沈み込ませるようにしてあまり上方へ突出しないように配設している。また、前側フレーム22の連結フレーム22cの前側部に、フロントバンパ27を設けている。
【0016】
しかして、冷却ファン15が回転すると、冷却ファン15の中心部から後方へ向けて弱い冷却風が流れ、また、冷却ファン15の周辺部から強い冷却風が後方へ流れる。しかして、ラジエータ23、インタークーラー24及びオイルクーラー25には強い冷却風が流れて冷却し、次いで、エンジンEを冷却する。
【0017】
前記構成によると、前側フレーム22の前側部の凹部22dにバッテリ21を沈み込むようにして低い位置に配設したので、バッテリ21の上面を後方のインタークーラー24、オイルクーラー25、コンデンサ26等の補器や冷却ファン15よりも低くすることができ、冷却風の流れを良くし、インタークーラー24、オイルクーラー25、コンデンサ26の冷却効果を高めることができる。
【0018】
また、インタークーラー24、オイルクーラー25、コンデンサ26を正面視で冷却ファン15の回転中心部から上下左右に離れた周辺部に対向して配置することにより、強い冷却風を送り、冷却効果を高めることができる。
【0019】
また、図4に示すように、ラジエータ23取付用のフレーム部31には、インタクーラー24及びオイルクーラー25の左右一側で且つラジエータ23の左右一側前側に位置するように導風板32を設けている。この導風板32は例えば前側導風板32aと後側導風板32bをL字状に屈折して一体構成している。フレーム部31の左右一側上部に、後側導風板32bの左側先端部を上下方向の支持軸32cにより軸支し、導風板32をインタクーラー24の左右一側に近接し、且つ、ラジエータ23の前側面左右一側に接近するように配設し、導風板32の前側導風板32a,後側導風板32bの下端部をインタークーラー24の下端から下方へ少し延出し、下方のオイルクーラー25の左右一側上端部近傍に臨ませている。
【0020】
また、ラジエータ23取付用のフレーム部31の左右他側にも導風板32と同様に構成した第2導風板33を設けている。この第2導風板33を第2前側導風板33aと第2後側導風板33bにより同様にL字状に屈折して一体構成し、正面視でラジエータ23の左右他側部を上側半分にわたって第2後側導風板33bで閉鎖し、第2前側導風板33aをインタクーラー24の左右他側の上側半分に近接して配設している。しかして、第2導風板33によりインタクーラー24及びオイルクーラー25の左右他側部に冷却風を送り、冷却効果を高めることができる。
【0021】
また、導風板32は支持軸32c回りに回動調節することができる。図4に示すように、ラジエータ23の前側上部における左右一側を後側導風板32bが覆い、前側導風板32aがインタクーラー24の左右一側に接近し、その前側端部が側面視でインタクーラー24及びオイルクーラー25よりも前方へ突出するように調節することができる。このようにすると、インタクーラー24の左右一側への冷却風の流れを制限し、前側導風板32aにより下方のオイルクーラー25の左右一側部へ冷却風を送り、オイルクーラー25の冷却効果を高めることができる。
【0022】
また、導風板32を図4の状態から支持軸32cを中心として左右外側に回動調節すると、後側導風板32bがラジエータ23の左右一側前側上部から左右外側に離間移動し、前側導風板32aがインタクーラー24の左右一側から左右外側に離れるように調節される。このように調節すると、インタクーラー24の左右一側の冷却風の流れを多くしインタクーラー24の冷却効果を高め、下方のオイルクーラ25―の左右一側部の冷却風を円滑に後方のラジエータ23に送り、オイルクーラー25の冷却を弱くなる。
【0023】
次に、導風板32の自動切替制御について説明する。
インタークーラー24及びオイルクーラ25に温度センサ(図示省略)をそれぞれ設け、導風板32を調節モータ(図示省略)により回動調節可能に構成する。温度センサによりインタークーラー24及びオイルクーラー25の温度が検出されコントローラ(図示省略)に入力される。次いで、オイルクーラー25の検出温度が所定の基準温度より高くなると、コントローラの切り替え指令により導風板32を切り替え調節し、オイルクーラー25側の冷却風を多くするように切り替える。
【0024】
また、インタクーラー24の検出温度が所定の基準温度より高くなると、コントローラの切り替え指令により導風板32を切り替え調節し、インタクーラー24側の冷却風を多くなるように切り替える。なお、前記制御にはインタクーラー24あるいはオイルクーラー25のいずれか一方を優先して冷却する優先切替スイッチ(図示省略)を設けて切替できるようにしている。
【0025】
次に、図5に基づき燃料タンク36の給油口のロック構成について説明する。ミッション2の左右両側に燃料タンク36を設け、燃料タンク36の給油口36aをキャップ36bで閉鎖し、キャビン37の外側近傍に位置するように設けている。キャビン37の床部にはカバープレート38を軸38aで軸支し、軸38aにアーム39を取り付け、カバープレート38が給油口36aのキャップ36bを覆うようにしロックボルト40で固定し、給油口36aのキャップ36bを覆うように構成している。
【0026】
前記構成によると、オペレータがキャビン37から降りる際には、カバープレート38により燃料タンク36のキャップ36bを覆うようにしてロックすることにより、燃料の盗難を防止することができる。
【0027】
次に、図6について説明する。燃料タンク36の給油口36aには環状の取付板41の穴部41aを嵌合装着し、取付板41の一側膨出部41bに厚い角材42を介してカバープレート38の一側をボルト・ナットで固着する。また、取付板41の他側膨出部41cの取付穴とカバープレート38の穴とに南京錠43のロックアーム43aを挿入し、施錠するようにしている。前記構成によると、燃料タンク36の給油口36aの強度アップを図りながらカバープレート38を取り付け、燃料の盗難を有効に防止することができる。
【0028】
また、図7のように構成してもよい。取付板41をキャビン37から燃料タンク36の給油口36aに向けて延出し、取付板41に設けている凹部41dで燃料タンク36の給油口36aの周囲を近接して覆うようにし、取付板41に前記と同様に南京錠43を施錠し、凹部41dを閉鎖するようにする。
【0029】
また、図8のように構成してもよい。取付板41の一端を左右方向の軸41e回りに軸支し、取付板41の他側に構成した穴4fと燃料タンク36側のロック穴36fに南京錠43のロックアーム43aを挿入し施錠するように構成する。また、燃料タンク36の軸41eの外周部に係止凹部44a付きの係止板44を設け、燃料タンク36に燃料給油時の燃料供給ガン(図示省略)を載置するようにし、燃料タンク36の変形を防止するようにしている。
【0030】
また、係止板44の係止凹部44aには南京錠43のロックアーム43aを挿通する支持穴44bを設け、不使用時の南京錠43を支持するようにしている。また、取付板41を燃料タンク36の給油口36aの周囲を囲んだ状態では、燃料タンク36の上面と取付板41の下面との間に指が入らない程度の間隙41fを設け、雨水が溜らないようにしている。
【0031】
次に、9図及び図10に基づきDPF(微粒子除去装置)46の配置構成について説明する。
ディーゼル式のエンジンEの前側に冷却ファン15を設け、エンジンEの左側面に吸気部が位置し、右側面に排気部が位置するようにエンジンEを配設している。エンジンEの右側面に排気マニホールド48及びDPF46を取り付け、DPF46に排気パイプ49、テールパイプ47を接続している。キャビン37の例えば右側前フレーム37bに沿わせてテールパイプ47を立設し、テールパイプ47上部から後方へ向けて排気するようにしている。
【0032】
また、図10(B)に示すように、排気マニホールド48とDPF46とを一体的に構成し、排気マニホールド48の分散排気部48a,…からDPF46の吸着部46aに排気を分散しながら送り込み、不純物質を吸着排除した排気を消音部46bを経由して排気パイプ49に排出するようにしている。
【0033】
前記構成によると、エンジンEの排気長さを短くしながらエンジンEの側面に排気マニホールド48及びDPF49をコンパクトに配設することができる。また、排気経路が短くなり排気効率を高めDPF49の再生温度を有効に保持し、背圧低減を図りながら不純物質の吸着効果を高めることができる。
【0034】
次に、図11に基づきシート51に設けたシートスイッチ52の取付構成について説明する。
ミッションケース2上部にシート51を設けている。シートフレーム53にシート固定プレート53aを前後リンク53b,53bを介して上下動自在に支持している。このシート固定プレート53aにシート51の後側部を左右方向の軸51a回りに回動自在に軸支し、シート51にオペレータが座ると、シート51の前側部が下方に移動し、シートスイッチ52をONするようにし、オペレータがシート51から離れると、復帰バネ53cによりシート51が上方へ復帰するようにしている。
【0035】
シート固定プレート53aの前側部には上下方向のガイド穴54を設け、ガイド穴54の側方にシートスイッチ52を配設している。シート51の前側部にはブラケット55を左右方向のピン55aで支持し、ブラケット55に上下方向の作動ピン56を取り付けている。しかして、シート51が可動した際に、作動ピン58がガイド穴54の中を通り下方に移動すると、ブラケット55の下面によりシートスイッチ52の作動片52aを押し下げ、スイッチONとなる。また、オペレータがシート51から降りると、バネ57が作動ピン56を押し上げ、シートスイッチ52をOFFにする。
【0036】
前記構成によると、シート51が前後左右に傾斜しても、ブラケット55が作動ピン56及びガイド穴54に規制されて所定位置を上下動し、シートスイッチ52を確実に作動することができる。また、ブラケット55とシート取付プレート53aとの面積を大きく取り、ブラケット55に取り付けた作動ピン56をシート取付プレート53a側のガイド穴54に保持しながら上下動するので、シート51を所定位置で安定させて設置できる。
【0037】
また、ブラケット55の下面に導通体58aを設け、作動ピン56の上側部に導通体58bを設け、シート51の下動時に導通体58aと導通体58bが接触し、シート51の下動検出をするようにしてもよい。
【0038】
次に、図12に基づきサブステップ66の取付構成について説明する。
ミッションケース2の左右両側には左右燃料タンクフレーム67,67を取り付け、左右フレーム67,67に左右燃料タンク36,36を取り付けている。そして、左右フレーム67,67の左右両側部後側には、車輪型用の後側ブラケット66a,…を取り付けている。また、左右フレーム67,67の前側部にセミクローラ型用の前側ブラケット66b,66bを取り付けている。
【0039】
しかして、トラクタTがセミクローラ型(前輪がタイヤで後輪がクローラ)の場合には、前側ブラケット66b,66bに左右サブステップ66,66を取り付け、また、車輪型の場合には、後側ブラケット66a,66aにサブステップ66,66を取り付けることにより、支持構成を簡素化しコストの低減を図りながら、車輪型あるいはセミクローラ型に対応することができる。
【0040】
次に、図13に基づきトラクタTの照明構成について説明する。ミッションケース2の後部から後側フレーム71を立設し、後側フレーム71の上部にサンバイザー72を取り付け、後側フレーム71の上部及び又はサンバイザー72の前側部にライト73,73を設け、シート51、フェンダ74やその周辺を照明するようにしている。そして、フェンダ74に設けたスイッチ(図示省略)をON操作してライト73,73を点灯させ、OFF操作し消灯するようにしている。そして、消灯する際には、タイマリレーが作動し、スイッチOFFから所定時間後に消灯するようにしている。
【0041】
しかして、夜間作業やトラクタを倉庫にしまった場合には、スイッチOFFしトラクタから降りた後もライト73,73で足元を照らすことができ安全である。なお、前記スイッチをスイッチ操作板から電波でスイッチにON/OFF信号を送り、離れた位置から操作できるようにしてもよい。
【0042】
次に、図14に基づきミッションケース2内に設けた無段変速装置76の中立位置復帰構成について説明する。
エンジンからの回転動力は、静油圧式の無段変速装置76の入力軸77を経て油圧ポンプ78に伝達され、油圧ポンプ78のトラニオン軸79の調整により油圧モータ(図示省略)が前後進切換及び無段変速され、変速動力が出力軸(図示省略)から取り出される。
【0043】
油圧ポンプ78のトラニオン軸79には、中立位置復帰用の穴80を設け、この穴80にスプリング81により突出方向へ押圧されたスチールボール82を嵌入している。また、油圧ポンプ78のケース78a側には円形の調節穴78bを設け、この調節穴78bにトラニオン軸調節用の平面視円形状の調節カバー84を嵌合支持している。
【0044】
この調節カバー84には、図14(B)に示すように、中心点84aを中心とした平面視円弧状で且つテーパ状の中立位置決め用の中立復帰溝83を設け、この中立復帰溝83は幅広で深い中立位置83pから前進側83f,後進側83rになるに従って順次幅狭で浅くなるカム面を形成している。また、調節カバー84には調節プレート85を取り付け、調節プレート85を操作することにより、調節カバー84を中心点84p回りに回動調節し、ボルト・ナットで固定できるようにしている。
【0045】
無段変速装置67の中立位置復帰装置のリンク部材を機体外部に露出するように設けた構成であると、トラクタの組立て後に無段変速装置67の中立位置調整作業を行なう必要があり、調整作業が難しく、リンク部材の摩耗やゴミ詰りにより、操作荷重の変化や動きが悪くなり、再調整が必要であった。
【0046】
しかし、前記構成によると、無段変速装置76の中立位置復帰調整部材を油圧ポンプ78のケース78a内に納めることができ、構成を簡素化しながら前記不具合を解消し、耐久性を高めることができる。
【0047】
また、調節カバー84の内側面中心点84pに凸部84aを設け、油圧ポンプ78のトラニオン軸69側に凹部79cを設け、凹凸部79c,84pを合致させて嵌合支持するようにしている。前記構成によると、調節カバー84の調整回動時の抵抗を少なくし楽に調整することができる。
【0048】
また、図15に示すように、中立位置復帰用の穴80,80を対称状に複数設けて、それぞれスプリング81とスチールボール82を組み付け、調節カバー84にも中心点84aの対称位置に複数の中立復帰溝83,83を設ける。すると、スプリング81,81の荷重を高め、トラニオン軸79の中立位置への復帰を迅速にすることができる。
【0049】
また、図16のように構成し、スプリング81の張力を調節するようにしてもよい。油圧ポンプ78のトラニオン軸79に中立復帰溝83を構成し、調節カバー84側に中立位置復帰用の穴80を設け、この穴80にスプリング81とスチールボール82を組み付ける。そして、穴80に調節ボルト86をねじ嵌合しスプリング81を下方から支持し、調節ボルト86を上下調節し、スプリング81の張力を調節する。
【0050】
また、図17に示すように、調節カバー84の下面中心部に例えば6角形の凸部88を構成し、この凸部88を目印にして中立位置を調整するようにしてもよい。
また、図18のように構成してもよい。無段変速装置76の油圧ポンプ78のケース78aに調節カバー84を介してトラニオン軸79を支持し、トラニオン軸79の支持端部79aを調節カバー84の穴部から下方へ突出し、この支持端部79aにアーム90を介してオイルダンパ91を取り付ける。前記構成によると、トラニオン軸79の振動を軽減すことができる。
【符号の説明】
【0051】
E エンジン
2 ミッションケース
15 冷却ファン
22 前側フレーム
23 ラジエータ
24 インタークーラー
25 オイルクーラー
32 導風板
33 第2導風板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミッションケース(2)の前側部から前方へ延出している前側フレーム(22)にエンジン(E)を搭載してその前側に冷却ファン(15)を設け、前記エンジン(E)の冷却ファン(15)の前方にラジエータ(23)を配設し、該ラジエータ(23)の前方において正面視で前記冷却ファン(15)の周辺部に対向するようにインタークーラー(24)及びオイルクーラー(25)を上下あるいは左右に偏位させて並列配設したことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記ラジエータ(23)の周辺部に対向し、且つ、前記インタクーラー(24)あるいはオイルクーラー(25)の一側部に対向するように導風板(32)を設け、該導風板(32)を、前記ラジエータ(23)、インタークーラー(24)あるいはオイルクーラー(25)から離間調節したり、あるいは、ラジエータ(23)、インタークーラー(24)あるいはオイルクーラー(25)に接近して調節可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項1】
ミッションケース(2)の前側部から前方へ延出している前側フレーム(22)にエンジン(E)を搭載してその前側に冷却ファン(15)を設け、前記エンジン(E)の冷却ファン(15)の前方にラジエータ(23)を配設し、該ラジエータ(23)の前方において正面視で前記冷却ファン(15)の周辺部に対向するようにインタークーラー(24)及びオイルクーラー(25)を上下あるいは左右に偏位させて並列配設したことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記ラジエータ(23)の周辺部に対向し、且つ、前記インタクーラー(24)あるいはオイルクーラー(25)の一側部に対向するように導風板(32)を設け、該導風板(32)を、前記ラジエータ(23)、インタークーラー(24)あるいはオイルクーラー(25)から離間調節したり、あるいは、ラジエータ(23)、インタークーラー(24)あるいはオイルクーラー(25)に接近して調節可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−156898(P2011−156898A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18124(P2010−18124)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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