説明

作業車両

【課題】作業車両において、灯具のボンネットに対する取付作業性を向上させる。
【解決手段】エンジンを覆うボンネット14に、灯具100を嵌めるための嵌合穴99を形成する。前記灯具100の外周側を囲う弾性材製のグロメット102を介して、前記嵌合穴99に前記灯具100を強制嵌合にて固定する。グロメット102の外周側には、断面L字状の当接部と、ボンネット14側に形成された嵌合穴99の周縁部を嵌める凹み溝部105とが形成されている。当接部は、グロメット102の外周側のうち中央穴(サイドランプ100が収まる部分)を挟んだ両側に形成されている。凹み溝部105は、グロメット102の外周側のうち両当接部の間に形成されている。グロメット102の片面側に、前記グロメットを工具にて摘むための突起部106が周方向に沿って適宜間隔で形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、農作業用のトラクタ又は土木作業用のホイルローダといった作業車両に係り、より詳しくは、エンジンを覆うボンネットに対する灯具の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、作業車両の一例であるトラクタにおいて、エンジンを覆うボンネットの前部側には、作業車両の前方や周囲を照明する灯具が配置されている。この種の灯具の一例として特許文献1には、ボンネットの内部側に固定された支持ステーに、ヘッドライトカバーとヘッドランプとからなる灯具を、ボルト及びナットにて締結支持する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−76486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記従来の構成では、灯具の取付作業に際して、ボルト及びナットの締結を行わなければならず、組付工数が増えて手間がかかるため、取付作業性の点で検討の余地があった。また、ボルト及びナットの締結にて、支持ステーひいてはボンネットに灯具を固定するため、エンジンの振動がボンネット等を介して灯具に伝達し易い傾向にあり、このような振動に起因して、早期の球切れといった不具合を招来し易いという問題もあった。
【0005】
そこで、本願発明は、上記のような問題を解消した作業車両を提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に係る作業車両は、エンジンを覆うボンネットに、灯具を嵌めるための嵌合穴が形成されており、前記灯具の外周側を囲う弾性材製のグロメットを介して、前記嵌合穴に前記灯具が強制嵌合にて固定されているというものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載した作業車両において、前記グロメットの外周側には、断面L字状の当接部と、前記嵌合穴の周縁部を嵌める凹み溝部とが形成されており、前記当接部は前記グロメットのうち前記灯具を挟んだ両側に形成される一方、前記凹み溝部は前記両当接部の間に形成されており、前記両当接部を前記嵌合穴の周縁部に当てながら、前記両凹み溝部を弾性変形させて前記嵌合穴の周縁部に強制嵌合させ、前記灯具が固定されているというものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載した作業車両において、前記グロメットの片面側に、前記グロメットを工具にて摘むための突起部が周方向に沿って適宜間隔で形成されているというものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明に係る作業車両によると、エンジンを覆うボンネットに、灯具を嵌めるための嵌合穴が形成されており、前記灯具の外周側を囲う弾性材製のグロメットを介して、前記嵌合穴に前記灯具が強制嵌合にて固定されているから、専用の支持ステーやボルト及びナットを用いることなく、前記ボンネットに前記灯具を取付けでき、組付工数を削減できる。従って、前記ボンネットに対する前記灯具の取付作業性を向上できる。また、ボルト及びナットを使わずに取付けできることに加えて、前記グロメットが弾性材製であるから、前記エンジンの振動が前記灯具に伝わるのを抑制でき、かかる振動に起因して前記灯具が故障するおそれを極めて少なくできる。
【0010】
請求項2の発明によると、請求項1に記載した作業車両において、前記グロメットの外周側には、断面L字状の当接部と、前記嵌合穴の周縁部を嵌める凹み溝部とが形成されており、前記当接部は前記グロメットのうち前記灯具を挟んだ両側に形成される一方、前記凹み溝部は前記両当接部の間に形成されており、前記両当接部を前記嵌合穴の周縁部に当てながら、前記両凹み溝部を弾性変形させて前記嵌合穴の周縁部に強制嵌合させ、前記灯具が固定されているから、前記両当接部の存在によって、前記灯具(前記グロメットを含む)の位置合せをしながら前記両凹み溝部の弾性変形を許容できる。従って、前記灯具の脱落防止のために、前記両凹み溝部の溝深さを深めに設定したとしても、前記両凹み溝部を前記嵌合穴の周縁部にスムーズに強制嵌合できる。つまり、前記両凹み溝部による前記灯具(前記グロメットを含む)の脱落防止機能を維持しながら、前記両当接部の存在によって、前記嵌合穴に対する前記灯具(前記グロメットを含む)の嵌め込み作業性を向上できるという効果を奏する。
【0011】
請求項3の発明によると、請求項1又は2に記載した作業車両において、前記グロメットの片面側に、前記グロメットを工具にて摘むための突起部が周方向に沿って適宜間隔で形成されているから、前記嵌合穴に前記灯具を嵌め込むに際して、前記突起部を例えばプライヤレンチといった工具にて掴めることになる。このため、前記嵌合穴に対する前記灯具(前記グロメットを含む)の嵌め込み作業性向上に寄与するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】トラクタの全体側面図である。
【図2】トラクタの全体平面図である。
【図3】トラクタの動力伝達系統を示すスケルトン図である。
【図4】サイドランプの取付状態を示す断面図である。
【図5】グロメットの背面図である。
【図6】図5のVI−VI視断面図である。
【図7】図5のVII―VII視拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本願発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
まず、図1及び図2を参照しながら、作業車両の一例であるトラクタ1の概略構造について説明する。図1及び図2に示すように、トラクタ1の走行機体2は、左右一対の前車輪3と左右一対の後車輪4とで支持されている。走行機体2の前部に搭載されたエンジン5にて後車輪4及び前車輪3を駆動することにより、トラクタ1は前後進走行するように構成される。走行機体2は、前バンパ6及び前車軸ケース7を有するエンジンフレーム8と、エンジン5からの動力を継断する主クラッチ9(図3参照)を内蔵したクラッチハウジング10と、エンジン5からの動力を適宜変速して両後車輪4及び両前車輪3に伝達するためのミッションケース11と、クラッチハウジング10の外側面に外向き突設された左右一対のステップフレーム13とにより構成されている。エンジンフレーム8の後端側はエンジン5の左右外側面に連結されている。エンジン5の後面側にはクラッチハウジング10の前面側が連結されている。クラッチハウジング10の後面側には、ミッションケース11の前面側が連結されている。
【0015】
エンジン5はボンネット14にて覆われている。また、クラッチハウジング10の上面には操縦コラム15が立設されている。操縦コラム15の上面側には、左右両前車輪3の舵取り角(操向角度)を変更操作するための操縦ハンドル16が配置されている。ミッションケース11の上面には操縦座席17が配置されている。左右ステップフレーム13の上面には、これらに跨る平坦なステップ床板18が配置されている。前車輪3は前車軸ケース7を介してエンジンフレーム8に取り付けられている。後車輪4は、ミッションケース11の外側面に外向き突設された後車軸ケース19を介して取り付けられている。なお、左右両後車輪4の上面側は左右一対のリヤカウル20にて覆われている。操縦座席17の後方には、エンジン5に供給される燃料を貯留する燃料タンク21と、走行機体2の転倒時にオペレータを保護するためのロプスフレーム22とが設けられている。
【0016】
ミッションケース11の後部上面には、走行機体2の後部に連結される作業機(図示省略)を昇降動させる油圧式の作業機昇降機構23が着脱可能に取り付けられている。この場合、作業機は、一対の左右ロワーリンク25及びトップリンク26からなる3点リンク機構24を介して、ミッションケース11の後部に連結される。作業機昇降機構23における左右のリフトアーム27がリフトリンク28を介して左右のロワーリンク25に連結される。作業機昇降機構23による左右のリフトアーム27の上下回動によって、作業機が昇降動するように構成されている。ミッションケース11の後側面には、作業機にPTO駆動力を伝達するためのPTO軸29が後ろ向きに突設されている。
【0017】
次に、図1及び図2を参照しながら、操縦座席17周辺における各種操作部材の配置構造について説明する。図1及び図2に示すように、操縦座席17の前方に操縦コラム15が配置されており、操縦コラム15の上面側に操向操作用の操縦ハンドル16が配置されている。操縦コラム15の上面側には操作表示盤31が設けられている。操縦コラム15の一側方には、走行機体2の進行方向を前進と後進とに切換操作するための前後進切換レバー32と、主クラッチ9を切り作動させるためのクラッチペダル33とが配置されている。操縦コラム15の他側方には、エンジン5の回転速度を調節するアクセルレバー34と、走行機体2を制動操作する左右一対のブレーキペダル35とが設けられている。操縦コラム15側から見てブレーキペダル35より更に外側には、アクセルペダル36が配置されている。アクセルペダル36は、アクセルレバー34にて設定されたエンジン5の回転速度を下限として、これ以上の範囲にて回転速度を増減速させるものである。なお、図示は省略するが、操縦コラム15の背面側には、ブレーキペダル33を踏み込み位置に保持する駐車ブレーキレバーが設けられている。
【0018】
操縦座席17の左右前部にはサイドコラム37が設けられている。一方のサイドコラム37上には、ミッションケース11内にある副変速機構53(図3参照)の変速出力を所定範囲に設定保持する副変速レバー38と、走行機体2の駆動方式を二駆と四駆とに切換操作するための駆動切換レバー39と、作業機へのPTO駆動力を変速操作するためのPTO変速レバー40とが配置されている。図2から明らかなように、駆動切換レバー39及びPTO変速レバー40は、操縦座席17の下方で且つ操縦座席17より左右外側に、前向きに突出する姿勢で配置されている。実施形態では、駆動切換レバー39とPTO変速レバー40とがレバー部材を構成している。
【0019】
他方のサイドコラム37上には、走行機体2の車速を変更操作するための主変速レバー41と、作業機の高さ位置を手動で変更調節するポジションレバー42と、作業機昇降制御のオンオフ切換や制御感度設定を行うドラフトレバー43とが配置されている。他方のサイドコラム37寄りにあるリヤカウル20には、ミッションケース17の後部上面に設けられたサブコントロールバルブ(図示省略)を切換操作するための複数のサブコントロールバルブレバー44が配置されている。ここで、サブコントロールバルブは、トラクタ1に後付けされるフロントローダといった別の作業機に作動油を供給制御するためのものである。他方のサイドコラム37の前方には、左右両後車輪4の差動駆動をオンオフするためのデフロックペダル45が配置されている。なお、実施形態の左右サイドコラム37は、それぞれ対応するリヤカウル20と一体形成されている。
【0020】
次に、図3を参照しながら、トラクタ1の動力伝達系統について説明する。前述の通り、クラッチハウジング10には動力継断用のメインクラッチ9が内蔵されている。ミッションケース11内は、エンジン5の動力を正転又は逆転方向に切り換える前後進切換機構51と、前後進切換機構51を経由した回転動力を変速する機械式の主変速機構52及び副変速機構53と、エンジン5の動力を適宜変速してPTO軸29に伝達するPTO変速機構54と、副変速機構53を経由した回転動力を左右の後車輪4に伝達する差動ギヤ機構55とが配置されている。ミッションケース11の下面側に設けられたカバーケース56内には、走行機体2の駆動方式を二駆と四駆とに切り換える二駆四駆切換機構57が配置されている。
【0021】
エンジン5から後ろ向きに突出したエンジン出力軸58には、フライホイル59が直結するように取り付けられている。フライホイル59とこれから後ろ向きに延びる主動軸60は、クラッチハウジング10内の主クラッチ9を介して連結される。また、フライホイル59と主動軸60に回転可能に被嵌された入力筒軸61とに関しても、同様に主クラッチ9を介して連結される。
【0022】
エンジン5の動力は、エンジン出力軸58から主動軸60を経由したPTO駆動系統と、エンジン出力軸58から入力筒軸61を経由した走行系統との2系統に分岐して伝達される。主動軸60に伝達された回転動力はPTO変速機構54に伝達され、PTO変速機構54にて適宜変速されたPTO駆動力がPTO軸29に伝達される。また、入力筒軸61に伝達された回転動力は、前後進切換機構51を経由したのち、主変速機構52及び副変速機構53にて適宜変速される。該変速動力が差動ギヤ機構55を介して左右の後車輪4に伝達される。主変速機構52及び副変速機構53による変速動力は、二駆四駆切換機構57及び前車軸ケース7内の差動ギヤ機構62を介して左右の前車輪3にも伝達される。
【0023】
前後進切換レバー32の操作にて前後進切換クラッチ63を入力筒軸61に沿ってスライド移動させることにより、エンジン5から主変速機構52に向かう回転動力を正転方向に伝達するか逆転方向に伝達するかが選択される。主変速機構52は主変速レバー41の操作によって複数段(実施形態では4段)に切換変速するように構成されている。副変速機構53は副変速レバー38の操作によって高低2段に切換変速するように構成されている。駆動切換レバー39の操作によって、二駆四駆切換機構57を構成する前車輪推進軸64に沿って駆動切換クラッチ65をスライド移動させることにより、副変速機構53を経由した回転動力を前車輪3に伝達するか否かが選択される。更に、PTO変速レバー40の操作によって、PTO軸29に沿ってPTO変速クラッチ66をスライド移動させることにより、PTO駆動力が高低2段に切換変速される。
【0024】
次に、主として図4〜図7を参照しながら、灯具の一例であるサイドランプ100のボンネット14に対する取付構造について説明する。図1に示すように、エンジン5を覆うボンネット14の前部下側には、左右一対のサイドランプ100が配置されている。実施形態では、ボンネット14の前部下側に左右一対の嵌合穴99(図4参照)が設けられている。各嵌合穴99にサイドランプ100が嵌め込まれる。サイドランプ100は、走行機体2(ボンネット14)の進行方向左右に対して左右対称状に設けられていて、取付箇所に拘らず同じ構造になっている。そこで、一方のサイドランプ100を例として、以下に説明する。
【0025】
サイドランプ100は内部に光源を有する略円盤状のものである。サイドランプ100の外周側には、軟質弾性材製でリング状のグロメット102が被嵌されている。実施形態では、サイドランプ100の外周側には、光軸方向と交差する向きに突出するつば部101が形成されている一方、グロメット102の内周側には、半径外向きに凹んだ保持溝部103が形成されている。サイドランプ100のつば部101にグロメット102の保持溝部103を被せ付けることによって、サイドランプ100の外周側がグロメット102にて囲われることになる。サイドランプ100は、グロメット102を介してボンネット14の嵌合穴99に嵌め込み固定される。
【0026】
図5〜図7に示すように、グロメット102の外周側には、断面L字状の当接部104と、ボンネット14側に形成された嵌合穴99の周縁部を嵌める凹み溝部105とが形成されている。当接部104は、グロメット102の外周側のうち中央穴(サイドランプ100が収まる部分)を挟んだ両側に形成されている。凹み溝部105は、グロメット102の外周側のうち両当接部104の間に形成されている。すなわち、当接部104及び凹み溝部105は、グロメット102の外周側にそれぞれ2箇所ずつ設けられている。
【0027】
グロメット102の直径は、ボンネット14側の嵌合穴99の直径よりも大きくなっている。そして、グロメット102における各当接部104の底部分104aと、各凹み溝部105の底部分105aとは、嵌合穴99の周縁形状に合致した略円周形状になっている。ボンネット14側の嵌合穴99にグロメット102を介してサイドランプ100を嵌め込んだ状態では、グロメット102の各底部分104a,105aが嵌合穴99の周縁部に対峙することになる。当接部104のうち半径外向きに延びる壁部分104bは、ボンネット14の外側に位置する。従って、ボンネット14の外側から見た状態では、ボンネット14側の嵌合穴99は、サイドランプ100及びグロメット102にて塞がれることになる。
【0028】
グロメット102のうちボンネット14の内側に位置する片面側(以下、内面側と称する)には、当該グロメット102をプライヤレンチ等の工具にて摘むための突起部106が周方向に沿って適宜間隔で形成されている。また、グロメット102の内面側に形成された補強用の環状凸部107の一部は切り欠かれている。当該切り欠き部は、グロメット102の弾性変形を許容するための逃がし溝108になっている。
【0029】
以上の構成において、ボンネット14側の嵌合穴99にサイドランプ100を取り付ける場合はまず、ボンネット14の外側に、グロメット102付きのサイドランプ100を、嵌合穴99に対峙するように配置し、グロメット102の内面側をボンネット14側に向けた状態で、グロメット102付きのサイドランプ100を嵌合穴99に嵌め込む。この場合、グロメット102の突起部106をプライヤレンチ等の工具にて摘まんで、サイドランプ100をグロメット102と共に、ボンネット14の内側に引き込み、グロメット102の両当接部104を嵌合穴99の周縁部に当てながら、両凹み溝部105を弾性変形させて嵌合穴99の周縁部に強制嵌合させ、サイドランプ100を嵌合穴99に抜け不能に保持させるのである。
【0030】
上記の記載並びに図4〜図7から明らかなように、エンジン5を覆うボンネット14に、灯具100を嵌めるための嵌合穴99が形成されており、前記灯具100の外周側を囲う弾性材製のグロメット102を介して、前記嵌合穴99に前記灯具100が強制嵌合にて固定されているから、専用の支持ステーやボルト及びナットを用いることなく、前記ボンネット14に前記灯具100を取付けでき、組付工数を削減できる。従って、前記ボンネット14に対する前記灯具100の取付作業性を向上できる。また、ボルト及びナットを使わずに取付けできることに加えて、前記グロメット102が弾性材製であるから、前記エンジン5の振動が前記灯具100に伝わるのを抑制でき、かかる振動に起因して前記灯具100が故障するおそれを極めて少なくできる。
【0031】
上記の記載並びに図4〜図7から明らかなように、前記グロメット102の外周側には、断面L字状の当接部104と、前記嵌合穴99の周縁部を嵌める凹み溝部105とが形成されており、前記当接部104は前記グロメット102のうち前記灯具100を挟んだ両側に形成される一方、前記凹み溝部105は前記両当接部104の間に形成されており、前記両当接部104を前記嵌合穴99の周縁部に当てながら、前記両凹み溝部105を弾性変形させて前記嵌合穴99の周縁部に強制嵌合させ、前記灯具100が固定されているから、前記両当接部104の存在によって、前記灯具100(前記グロメット102を含む)の位置合せをしながら前記両凹み溝部105の弾性変形を許容できる。従って、前記灯具100の脱落防止のために、前記両凹み溝部105の溝深さを深めに設定したとしても、前記両凹み溝部105を前記嵌合穴99の周縁部にスムーズに強制嵌合できる。すなわち、前記両凹み溝部105による前記灯具100(前記グロメット102を含む)の脱落防止機能を維持しながら、前記両当接部104の存在によって、前記嵌合穴99に対する前記灯具100(前記グロメット102を含む)の嵌め込み作業性を向上できるという効果を奏する。
【0032】
上記の記載並びに図4〜図7から明らかなように、前記グロメット102の片面側に、前記グロメット102を工具にて摘むための突起部106が周方向に沿って適宜間隔で形成されているから、前記嵌合穴99に前記灯具100を嵌め込むに際して、前記突起部106を例えばプライヤレンチといった工具にて掴めることになる。このため、前記嵌合穴99に対する前記灯具100(前記グロメット102を含む)の嵌め込み作業性向上に寄与するという効果を奏する。
【0033】
本願発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 トラクタ
2 走行機体
5 エンジン
14 ボンネット
100 サイドランプ
102 グロメット
104 当接部
104a 底部分
104b 壁部分
105 凹み溝部
105a 底部分
106 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを覆うボンネットに、灯具を嵌めるための嵌合穴が形成されており、前記灯具の外周側を囲う弾性材製のグロメットを介して、前記嵌合穴に前記灯具が強制嵌合にて固定されている、
作業車両。
【請求項2】
前記グロメットの外周側には、断面L字状の当接部と、前記嵌合穴の周縁部を嵌める凹み溝部とが形成されており、前記当接部は前記グロメットのうち前記灯具を挟んだ両側に形成される一方、前記凹み溝部は前記両当接部の間に形成されており、
前記両当接部を前記嵌合穴の周縁部に当てながら、前記両凹み溝部を弾性変形させて前記嵌合穴の周縁部に強制嵌合させ、前記灯具が固定されている、
請求項1に記載した作業車両。
【請求項3】
前記グロメットの片面側に、前記グロメットを工具にて摘むための突起部が周方向に沿って適宜間隔で形成されている、
請求項1又は2に記載した作業車両。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−61872(P2012−61872A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205300(P2010−205300)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】