説明

作業車両

【課題】本発明の課題は、パワステコントローラをエンジンとミッションケースの合わせ部近傍に配置し、且つ、車両左側部のスタータセルモータとエキゾーストマニホールドとの略中間部に配置することによって、パワステコントロールとステアリングハンドル間の距離を短縮し、且つ、ステアリングシャフトのジョイント部の折れ点を少なくして操作性の向上を図る。
【解決手段】ステアリングハンドル6の操作でパワステを介して左右の前輪4,4を操向制御するパワステコントローラ16をエンジンEとミッションケース3の合わせ部近傍で車両の左側に位置するスタータセルモータ12とエキゾーストマニホールド13の上下方向中間部に配置してあることを特徴とする作業車両とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トラクタ等の作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ステアリングハンドルより延設したステアリングシャフトにパワステバルブを連設配備した構成のものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−331638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明による場合は、パワステコントローラをエンジンとミッションケースの合わせ部近傍に配置し、且つ、車両左側部のスタータセルモータとエキゾーストマニホールドとの略中間部に配置することによって、パワステコントロールとステアリングハンドル間の距離を短縮し、且つ、ステアリングシャフトのジョイント部の折れ点を少なくして操作性の向上を図ることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、ステアリングハンドル(6)の操作でパワステを介して左右の前輪(4),(4)を操向制御するパワステコントローラ(16)をエンジン(E)とミッションケース(3)の合わせ部近傍で車両の左側に位置するスタータセルモータ(12)とエキゾーストマニホールド(13)の上下方向中間部に配置してあることを特徴とする作業車両とする。
【0006】
上記構成によると、パワステコントローラ(16)とステアリングハンドル(6)を結ぶステアリングシャフトを短くでき、且つ、ジョイントの折れ点を2点で構成することができる。このことで原価が安くなり、ステアリングハンドルの操作性も向上する。
【0007】
請求項2記載の本発明は、請求項1において、前記コントローラ(16)は、平面視で前方が外向きで後方が内向きとなるよう所定角度(P)に設定してあることを特徴とする作業車両とする。
【0008】
上記構成によると、パワステコントローラ(16)とステアリングハンドル(6)を結ぶステアリングシャフト(10)のジョイント折れ点の角度を小さくすることができ、操作フィーリングが向上する。
【0009】
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2において、パワステコントローラ(16)を固定するブラケット(17)は、エンジン(E)の上部に配置するDPF(14)支持ブラケット(15)に取り付ける構成とし、且つ、コントローラ(16)のブラケット(17)とシャフトホルダ(18)を一体構成としてあることを特徴とする作業車両とする。
【0010】
上記構成によると、パワステコントローラ(16)のブラケット(17)を取り付けるための特別な支持部材を要せず、また、コントローラブラケット(17)とシャフトホルダ(18)を一体化することで、部品点数を極力少なくでき、コストの低減化を図ることができる。
【0011】
請求項4記載の本発明は、請求項1又は請求項2又は請求項3において、パワステコントローラ(16)の油圧配管取付面(19)は、前記DPF(14)に重なるように構成したことを特徴とする作業車両とする。
【0012】
上記構成によると、パワステコントローラ(16)の油圧配管取付面(19)は、前記DPF(14)に重なっているので、車両外側方への配管の飛び出し量を極力少なくすることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上要するに、請求項1記載の本発明によれば、パワステコントロールとステアリングハンドル間の距離を短縮でき、ひいてはステアリングシャフトの有効長さを短くすることができ、ジョイント部の折れ点も2点で構成することができ、構成が簡潔で安価に実施することができる。
【0014】
請求項2記載の本発明によれば、請求項1記載の効果に加えて、パワステコントローラとステアリングハンドルを結ぶジョイント部の折れ角を小さくすることができ、操作フィーリングの向上を図ることができる。
【0015】
請求項3記載の本発明によれば、請求項1又は請求項2記載の効果に加えて、部品点数を極力少なくでき、コストの低減化を図ることができる。
請求項4記載の本発明によれば、請求項1又は請求項2又は請求項3記載の効果に加えて、油圧配管を1車両外側方への配管の飛び出し量を極力少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】トラクタの側面図
【図2】エンジン、ミッション及びパワステ機構等を示す側面図
【図3】同上要部の背面図
【図4】エンジン部、ギヤポンプ、パワステコントローラ等を具備する要部の斜視図
【図5】同上要部の側面図
【図6】トラクタの車体部要部の平面図
【図7】同上要部の側面図
【図8】エンジンフード(ボンネット)の斜視図と各部品の斜視図
【図9】フローチャート
【図10】メータパネルの平面図
【図11】モニタパネルの平面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、トラクタを示すものであり、この走行車体1前部のボンネット2内部にエンジンEを搭載し、このエンジンEの回転動力をミッションケース3内の変速装置に伝え、この変速装置で減速された回転動力を前輪4及び後輪5とに伝えるようにしている。エンジンEの後方に前輪4,4を操舵するステアリングハンドル6が装備され、更に、その後方には運転席7が設置され、また、ステアリングハンドル6や運転席7はキャビン8によって覆われている。
【0018】
車体1の後部側には、リフトアーム9によって昇降するロータリ作業機Rが配備されている。
エンジンEの左側には、スタータセルモータ12やエキゾーストマニホールド13等が設置されている。エンジンEのDPF(煤除去装置)14はミッションケースから突設する支持ブラケット15に装着支持されている。
【0019】
ステアリングハンドル6の操作でパワステ(パワーステアリング)を介して左右の前輪4,4を操向制御するパワステコントローラ16は、前記エンジンEとミッションケース3の合わせ部近傍で車両左側のスタータセルモータ12とエキゾーストマニホールド13との略中間部に配置されている。
【0020】
また、パワステコントローラ16は、平面視で前方が外向きで後方が内向きとなるよう所定角度に設定することで、パワステコントローラ16とステアリングハンドル6を結ぶステアリングシャフト10のジョイント部10a,10bの折れ角が小さくなるようにしている。
【0021】
パワステコントローラ16を固定支持するコントローラブラケット17は、DPF支持ブラケット15に取り付けた構成としている。コントローラブラケット17とシャフトホルダ18とは一部品とからなるように一体化した構成としている。
【0022】
また、パワステコントローラ16の油圧配管取付面19は、背面視で斜め下向きの傾斜面(略45度)となるよう構成され、下からの油圧配管20の結合が容易に行えるようにしている。
【0023】
また、パワステコントローラ(16)の油圧配管取付面(19)は、前記DPF(14)に重なっているので、車両外側方への配管の飛び出し量を極力少なくすることができる。
【0024】
なお、図4及び図5例は、エンジンEの左側面にギヤポンプ21、分配器22が配置された構成において、それらの後方位置にパワステコントローラ16を配備することで、油圧機器をエンジンに対してコンパクトに配置することができる。
【0025】
図6及び図7に示す実施例について説明すると、フロアの下方に左右タンク24L,24Rを配置構成するトラクタにおいて、ローダのフロント部27とリヤマウント部28とを結ぶアンダフレーム26の取付位置を従来の取付位置Aから下側の取付位置Bに取り付けるように構成することによって、左右タンクの連結ホース25の配置空間が確保できるように構成している。また、アンダフレーム26がタンク24L,24Rによりも下側を通るように構成することで、アンダフレームによるタンク形状の規制が無くなり、タンク容量を大幅に確保することができる。
【0026】
図8(図8−1〜図8−9)例に示すトラクタのエンジンフード(ボンネット)について説明する。
図8に示すエンジンフード2に、図8−6のグリル35、図8−7の上部ネット36、図8−8のヘッドランプ37、図8−9の下部ネット38の各部品を組付けることによって構成される。また、このエンジンフード2は、図8−1のアッパフード30、図8−2のサイドフレーム31、図8−3のフロントフード32、図8−4の後部フレーム33、図8−5の前部フレーム34の各部品を溶接することで構成される。
【0027】
左右のサイドフード31とヘッドランプ37の形状合わせ部において、サイドフード31を一段落とし込み、ヘッドランプ37のレンズをオーバーラップさせることで、部品形状のバラツキによる見栄えの悪化を回避することができる。
【0028】
また、アッパフード30とフロントフード32の溶接において、折り曲げフランジ部を利用してスポット溶接にて行うようにすることで、フード表面にスポット痕が残らないようにしている。また、スポット溶接を行ったフランジ部を上部ネット36やヘッドランプ37の取り付けに使用することができて強度上有利となる。
【0029】
図8−5の前部フレーム34のグリル取付部35aに図8−6のグリル35を固定するためのブラケット形状を一体構成としている。
図8−5の前部フレーム34の上部ネット取付部36aに上部ネット36(図8−7)を固定するためのブラケット形状を一体構成としている。
【0030】
図8−5の前部フレーム34のヘッドランプ取付部37aにヘッドランプ37(図8−8)を固定するためのブラケット形状を一体構成としている。
図8−5の前部フレーム34の下部ネット取付部38aに下部ネット38(図8−9)を固定するためのブラケット形状を一体構成としている。
【0031】
なお、図8−5の前部フレーム34には、上記以外にホーン取付部やフードロック用フック取付部が設けられている。
オペレータが運転席に着座すると、これを感知するシートスイッチを備え、水温、ミッションオイル温もモニタリングできるよう構成されたトラクタにおいて、暖機運転中、オペレータが着座しておらないときで、且つ、水温及びオイル温が設定温度を超えると、それを報知するブザーを鳴らして、エンジンを停止する(図9のフローチャート参照)。このような省エネ手段をトラクタに備えることで、かけっぱなしによるエンジンの消費燃料を抑制することができる。
【0032】
更に、上記構成のトラクタにおいて、再び、水温及び油温が設定温度を下回った際には警告ブザーを断続して一定時間鳴らし、暖機効果がなくなることを防ぐためオペレータに知らせるようにしておくと良い(図9参照)。
【0033】
図10に示すメータパネル40の液晶表示画面には、外部から取り込んだ画像を表示できるようにしている。例えば、図例のように孫の画像を表示する。なお、画像取り込み用にはUSB端子等を設ければよい。
【0034】
また、液晶表示画面に外部から取り込んだ画像を表示できるようにしたときに、同じく外部から取り込んだ音声を一定の間隔でスピーカより出力するように構成することもできる。例えば、孫の画像を表示し、孫の声を登録しておくと、定期的にその音声を出力することができる。
【0035】
図11に示す実施例では、トラクタのモニタパネル41に表示するコンテンツとしてトラクタの使用履歴を表示し、営農方針の決定に役立てるようにしている。
また、トラクタに搭載したデジカメで圃場の様子を写真に撮り、モニターで過去ログと一緒に表示できるようにする。
【0036】
かかるモニタパネルによると、トラクタの使用履歴を表示するとともに、その時に撮影した圃場の様子をモニタパネルに表示することで、営農方針の決定に役立てることができる。なお、撮影はトラクタの座席に座ったまま、モニタを見て行うことができる。
【符号の説明】
【0037】
E エンジン
3 ミッションケース
4 前輪
6 ステアリングハンドル
10 ステアリングシャフト
10a ジョイント
10b ジョイント
12 スタータセルモータ
13 エキゾーストマニホールド
14 DPF
15 DPF支持ブラケット
16 パワステコントローラ
17 コントローラブラケット
18 シャフトホルダ
19 油圧配管取付面
20 油圧配管
21 ブラケット
22 バッテリ
23 バッテリ支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングハンドル(6)の操作でパワステを介して左右の前輪(4),(4)を操向制御するパワステコントローラ(16)をエンジン(E)とミッションケース(3)の合わせ部近傍で車両の左側に位置するスタータセルモータ(12)とエキゾーストマニホールド(13)の上下方向中間部に配置してあることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記コントローラ(16)は、平面視で前方が外向きで後方が内向きとなるよう所定角度(P)に設定してあることを特徴とする請求項1記載の作業車両。
【請求項3】
パワステコントローラ(16)を固定するブラケット(17)は、エンジン(E)の上部に配置するDPF(14)支持ブラケット(15)に取り付ける構成とし、且つ、コントローラ(16)のブラケット(17)とシャフトホルダ(18)を一体構成としてあることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の作業車両。
【請求項4】
パワステコントローラ(16)の油圧配管取付面(19)は、前記DPF(14)に重なるように構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−6567(P2013−6567A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142009(P2011−142009)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】