説明

作業車

【課題】運転座席に着座したままでも変速レバー及び昇降レバーの操作が容易となるものでありながら、レバー支持構造体をコンパクトに済ませることができるようにする。
【解決手段】運転座席3の横側方に位置するアームレスト20の前端部から車体前方向きに延出するレバー支持構造体30に、変速レバー12及び昇降レバー13を支持させてある。変速レバーガイド面部33をレバー支持構造体30の車体上方向き面の車体横方向での内側部位に設け、昇降レバーガイド面部34をレバー支持構造体30の車体上方向き面の車体横方向での外側部位に設けてある。昇降レバーガイド面部34の配置高さを変速レバーガイド面部33の配置高さより低く設定してある。昇降レバー13の上端が変速レバー12の上端より低い配置高さに位置する。変速レバーガイド溝35と昇降レバーガイド溝37を平行に配置してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転座席の横側方に位置するアームレストと、前記アームレストの前端部から車体前方向きに延出するレバー支持構造体とを備えた作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記した作業車として、従来、たとえば特許文献1に記載された作業車両があった。特許文献1に記載されたものでは、アームレストとしての右アームレストの基部、レバー支持構造体としての右アームレストの延出部及び分岐部を備え、右アームレストの延出部に主変速レバーが設けられ、右アームレストの分岐部に作業部ポジションレバーが設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−254534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アームレストから延出するレバー支持構造体を備え、このレバー支持構造体に走行変速操作のための変速レバー及び作業部昇降操作のための昇降レバーを設けると、運転座席に着座したままでも変速レバー及び昇降レバーに手が容易に届いて走行速度の変更や作業部の昇降が行いやすくなる。従来の技術を採用することによって変速レバー及び昇降バーをレバー支持構造体に設けた場合、レバー支持構造体が大型になりがちであった。
つまり、変速レバーを操作する際に昇降レバーが障害になりにくいように変速レバーと昇降レバーを車体横方向に離して配置する必要があり、レバー支持構造体の殊に車体横方向での大きさが大になっていた。
【0005】
本発明の目的は、運転座席に着座したままでも変速レバー及び昇降レバーに手が届きやすいとともに各レバーの操作も容易となるものでありながら、レバー支持構造体をコンパクトなものに済ませることができる作業車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明は、運転座席の横側方に位置するアームレストと、前記アームレストの前端部から車体前方向きに延出するレバー支持構造体とを備えた作業車において、
走行変速操作のための変速レバー及び作業部昇降操作のための昇降レバーを前記レバー支持構造体に前後揺動操作自在に支持させ、
前記変速レバーのための車体前後向きの変速レバーガイド溝を備える変速レバーガイド面部を、前記レバー支持構造体の車体上方向き面の車体横方向での内側部位に設け、
前記昇降レバーのための車体前後向きの昇降レバーガイド溝を備える昇降レバーガイド面部を、前記レバー支持構造体の車体上方向き面の車体横方向での外側部位に設け、
前記昇降レバーガイド面部の配置高さを前記変速レバーガイド面部の配置高さより低く設定し、
前記昇降レバーの上端が前記変速レバーの上端より低い配置高さに位置するように構成し、
前記変速レバーガイド溝と前記昇降レバーガイド溝を平行に配置してある。
【0007】
本第1発明の構成によると、変速レバー及び昇降レバーがアームレストの前端部から車体前方向きに延出するレバー支持構造体に支持されるものだから、運転座席に着座したままでも変速レバー及び昇降レバーに手が届きやすい。
車体前後向きの変速レバーガイド溝を備える変速レバーガイド面部をレバー支持構造体の車体上方向き面の車体横方向での内側部位に設け、車体前後向きの昇降レバーガイド溝を備える昇降レバーガイド面部をレバー支持構造体の車体上方向き面の車体横方向での外側部位に設け、昇降レバーガイド面部の配置高さを変速レバーガイド面部の配置高さより低く設定し、昇降レバーの上端が変速レバーの上端より低い配置高さに位置するように構成し、変速レバーガイド溝と昇降レバーガイド溝を平行に配置してあるから、変速レバーと昇降レバーを車体横方向で比較的近づき合う状態で配置しても、昇降レバーを操作する場合、昇降レバーを扱う手を変速レバーよりも車体横外方側に位置させて、変速レバーによる障害を受けないで昇降レバーを操作することができる。変速レバーを操作する場合、変速レバーを扱う手が変速レバーの横外側に位置することになっても、変速レバーを扱う手を昇降レバーによる障害を受けないように昇降レバーの上方に楽に位置させながら変速レバーを操作することができる。
【0008】
従って、運転座席に着座したままであっても、変速レバー及び昇降レバーに手を容易に届かせて、さらに、変速レバーと昇降レバーのいずれを操作する場合も、操作しない方のレバーによる障害を楽に回避して、走行速度の変更や作業部の昇降を操作容易に行なうことができるものでありながら、レバー支持構造体を変速レバーと昇降レバーを車体方向で近づけて支持するよう車体横方向での大きさが小さいコンパクトなもの済ませて運転部の簡素化を図ることができる。
【0009】
本第2発明では、前記変速レバーガイド面部を前記アームレストの上面より低い配置高さに配置してある。
【0010】
変速レバーガイド面部がアームレストの上面より高い配置高さにある場合、変速レバー及び昇降レバーを操作する際、ひじをアームレストに載せたままであると、手先が上向きになる側に手首が曲がって手に負担がかかりやすい。本第2発明の構成によると、変速レバーガイド面部をアームレストの上面より低い配置高さに配置してあるから、手先が上向きなる側に手首が曲がっても、曲がりを少なく済ませるか、あるいは手先が上向きにならなくて手首が曲がらないで済ませるか、あるいは手先が下向きになる側に手首が曲がり、手に負担がかかりにくく、変速レバーを殊に前方側に揺動操作しやすい。
【0011】
従って、ひじをアームレストに載せたままでも変速レバーを前方側に操作しやすくて、アームレストを使用しやすくできる。
【0012】
本第3発明では、前記変速レバーの操作経路の車体横方向での内側に変速レバー用のガード体を設置してある。
【0013】
本第3発明の構成によると、レバー支持構造体を運転座席に近付けることにより、運転座席に着いたり運転座席から離れたりする作業者の足などの身体がレバー支持構造体に触れやすくなっても、ガード体によって身体を変速レバーに触れにくくできる。
【0014】
従って、変速レバー及び昇降レバーを車体前方側に揺動操作して変速レバー及び昇降レバーが運転座席に対して前方側に移動する場合でも、変速レバー及び昇降レバーが扱い易い箇所に位置するようにレバー支持構造体を運転座席に極力近付けて、変速レバー及び昇降レバーの操作をより行い易いものにできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】作業車の全体を示す右側面図である。
【図2】作業車の全体を示す平面図である。
【図3】操作装置を示す右側面図である。
【図4】操作装置を示す斜視図である。
【図5】操作装置を示す平面図である。
【図6】図5のVI−VI断面矢視図である。
【図7】アームレスト及びレバー支持構造体の構造を示す右側面図である。
【図8】アームレスト及びレバー支持構造体の構造を示す平面図である。
【図9】レバー支持構造体の構造を示す左側面図である。
【図10】伝動装置を示すスケルトン図である。
【図11】変速制御及び昇降制御の制御系を示すブロック図である。
【図12】別の実施構造を備えた操作装置の全体を示す平面図である。
【図13】別の実施構造を備えた操作装置を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係る作業車の全体を示す右側面図である。図2は、本発明の実施例に係る作業車の全体を示す平面図である。これらの図に示すように、本発明の実施例に係る作業車は、左右一対の操向操作及び駆動自在な前車輪1,1と左右一対の駆動自在な後車輪2,2によって自走するように構成され、かつ車体後部に設けた運転座席3を有した運転部4が備えられた自走車と、この自走車の車体後部にリンク機構5を介して連結された作業部の一例としてのロータリ耕耘装置6とを備えて構成してある。
【0017】
自走車は、車体前部に設けられたエンジン7、及び車体フレームを構成するミッションケース8の後部から後方向きに突設された動力取り出し軸9を備え、エンジン7が出力する駆動力を動力取り出し軸9から回転軸10を介してロータリ耕耘装置6に伝達する。
【0018】
リンク機構5は、ミッションケース8の後部に上下揺動自在に連結された左右一対のリフトアーム5a,5aと、ミッションケース8の下部とロータリ耕耘装置6のフレームを連結する左右一対のロワーリンク5b,5bと、左右一対のリフトアーム5a,5aを左右一対のロワーリンク5b,5bに各別に連結する左右一対のリフトロッド5c,5cと、ミッションケース8とロータリ耕耘装置6のフレームを連結するトップリンク5dとを備えて構成してある。
【0019】
リンク機構5は、左右一対のリフトアーム5a,5aをミッションケース8に連結している回転支軸に連動する状態でミッションケース8の内部に設けられた油圧シリンダで成る昇降シリンダ11によって左右一対のリフトアーム5a,5aが揺動操作されることにより、ミッションケース8に対して上下に揺動操作されて、ロータリ耕耘装置6を耕耘ロータ6aが接地した下降作業状態と耕耘ロータ6aが地面から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降操作する。
【0020】
つまり、作業車は、ロータリ耕耘装置6を下降作業状態にして自走車を走行させることにより、回動駆動される耕耘ロータ6aによって圃場を耕起していく。
【0021】
エンジン7が出力する駆動力を変速して前車輪1及び後車輪2に伝達する伝動装置D(図10参照)をミッションケース8の内部に設けてある。自走車の走行速度の変速操作を行なうように伝動装置Dを変速操作し、ロータリ耕耘装置6の昇降操作を行なうように昇降シリンダ11を伸縮操作する操作装置Sを運転部4に設けてある。
【0022】
前記操作装置Sについて説明する。
図3は、操作装置Sを示す右側面図である。図4は、操作装置Sを示す斜視図である。図5は、操作装置Sを示す平面図である。図6は、図5のVI−VI断面矢視図である。これらの図に示すように、操作装置Sは、運転座席3の右横側方に配置されたアームレスト20の前端部から車体前方向きに延出させて運転座席3に右横側方に設けたレバー支持構造体30、及び、レバー支持構造体30に車体横方向に振り分け配置して支持させた変速レバー12と昇降レバー13を備えている。
【0023】
図7は、アームレスト20及びレバー支持構造体30の構造を示す右側面図である。図8は、アームレスト20及びレバー支持構造体30の構造を示す平面図である。図9は、レバー支持構造体30の構造を示す左側面図である。これらの図及び図3,4,5に示すように、アームレスト20は、運転座席3の座部の下面側に設けられた座席取付け部材3aから延出する支柱部材21の上部に支持されてアームレスト20のベース部22を構成する板金部材と、ベース部22に支持されてアームレスト20の外装部23を構成する樹脂部材と、外装部23の上面側に装着されて肘載せ面24を形成する樹脂製の板状部材とによって構成してある。外装部23は、アームレスト20の外観形状を形成している。座席取付け部材3aは、車体側の座席支持台3Aに前後方向に摺動調節自在に支持されて運転座席3の前後位置調節を可能にしている。座席取付け部材3aは、座部の前端側を枢支部3bで回動自在に支持して運転座席3の上下揺動開閉を可能にしている。
【0024】
レバー支持構造体30は、支柱部材21の上部から前方向きに延出されてレバー支持構造体30のベース部31を構成する板金部材と、ベース部31に内側部分で支持されてレバー支持構造体30の外装部32を構成する樹脂部材とによって構成してある。外装部32は、レバー支持構造体30の外観形状を形成している。レバー支持構造体30の外装部32は、外装部32の上側部分32aを構成する樹脂部材と下側部分32bを構成する樹脂部材とに二分割された分割構造になっている。外装部32の上側部分32aは、アームレスト20の外装部23に一体成形されている。
【0025】
レバー支持構造体30は、車体平面視においてアームレスト20に対して車体前方側に至るほど車体横外側に位置する状態に傾斜している。外装部32における下側部分32bは、下端側ほど車体横方向での大きさが小となる下細り形状になり、さらに、レバー支持構造体30の前端部30Fの平面視形状が先細りになっており、レバー支持構造体30のアームレスト20に対する傾斜にかかわらず、レバー支持構造体30が運転座席3の座部と後輪フェンダー2Fとの間に入り込みやすくなっている。
【0026】
外装部32の車体上方向き面で成るレバー支持構造体30の車体上方向き面の車体横方向での内側に位置する部位に、変速レバーガイド面部33を設け、レバー支持構造体30の車体上方向き面の車体横方向での外側に位置する部位に、昇降レバーガイド面部34を設けてある。
【0027】
レバー支持構造体30の昇降レバーガイド面部34を設けてある車体上方向き面には、昇降レバーガイド面部34に対して車体前方側に位置する前側上向き面部34F、前側上向き面部34Fと昇降レバーガイド面部34を分離させる凹入部34a、昇降レバーガイド面部34に対して車体後方側に位置する後側上向き面部34R、後側上向き面部34Rと昇降レバーガイド面部34を分離させる凹入部34bを設けてある。前側上向き面部34Fは、昇降レバーガイド面部34の最上箇所とほぼ同じ配置高さに位置する平坦面に形成してある。後側上向き面部34Rは、前方側に至るほど除々に低くなる前下がり状態の緩傾斜面に形成してある。
【0028】
変速レバー12は、変速レバーガイド面部33に備えてある車体前後向きの変速レバーガイド溝35を挿通するよう配置した状態で、レバー支持構造体30のベース部31の下端側に位置する支持部31aに支軸36aを介して軸芯P1まわりに揺動自在に枢支されている。変速レバー12は、ベース部31に支持された変速用ポテンショメータ40の回転操作軸に、変速レバー12に設けた長孔形の連動孔12aを備えた連動機構41を介して連動されている。
【0029】
変速レバー12と変速用ポテンショメータ40を連動させる連動機構41は、変速レバー12の連動孔12aを備える他、変速用ポテンショメータ40の回転操作軸に一体回転自在に連動された揺動自在な操作アーム42と、変速レバー12の連動孔12aに摺動自在に係入する状態で操作アーム42に設けた連動ピン43とを備えて構成してある。操作アーム42は、ベース部31にステーを取り付けて設けた支持部36に枢支されている。操作アーム42の揺動軸芯P3は、変速レバー12の揺動軸芯P1に対して変速レバー12の操作部12bが位置する側に偏倚させてあり、変速レバー12の揺動角を増幅して変速用ポテンショメータ40の回転操作軸に伝達され、変速ポテンショメータ40は変速レバー12の操作を精度よく感知する。
【0030】
昇降レバー13は、昇降レバーガイド面部34に変速レバーガイド溝35と平行に配置して備えてある車体前後向きの昇降レバーガイド溝37を挿通するよう配置した状態で、レバー支持構造体30のベース部31に支軸38を介して軸芯P2まわりに揺動自在に枢支されている。昇降レバー13は、ベース部31にステーを取付けて設けた支持部39に支持された昇降用ポテンショメータ45の回転操作軸45aに、昇降レバー13の基部から一体揺動自在に延出する揺動アーム46を備えた連動機構47を介して連動されている。
【0031】
昇降レバー13と昇降用ポテンショメータ45を連動させる連動機構47は、前記揺動アーム46を備える他、昇降用ポテンショメータ45の回転操作軸45aから一体揺動自在に延出する操作アーム48と、揺動アーム46に設けた長孔形の連動孔46aに摺動自在に係入する状態で操作アーム48に設けた連動ピン49とを備えて構成してある。
【0032】
図5に示すように、変速レバーガイド溝35と昇降レバーガイド溝37は、昇降レバーガイド溝37の前端が変速レバーガイド溝35の前端に対して後方に離れて位置し、昇降レバーガイド溝37の後端が変速レバーガイド溝35の後端にして後方に離れて位置する状態で平行になっている。変速レバーガイド溝35及び昇降レバーガイド溝37は、アームレスト20に対して前方側に至るほど車体横外側に位置する状態で傾斜している。
【0033】
操作装置Sは、変速レバー12が軸芯P1まわりに変速レバーガイド溝35に沿わせて車体前後方向に揺動操作されると、変速レバー12によって連動機構41を介して操作される変速用ポテンショメータ40により、変速レバー12の操作位置を検出するとともにこの検出結果を図11に示す制御装置50に変速指令として出力して制御装置50が備える走行変速制御手段51を作動させ、自走車の走行速度が変速レバー12の操作位置に対応した走行速度になるように、走行変速制御手段51による伝動装置Dの変速制御を行なわせる。
【0034】
操作装置Sは、昇降レバー13が軸芯P2まわりに昇降レバーガイド溝37に沿わせて車体前後方向に揺動操作されると、昇降レバー13によって連動機構47を介して操作される昇降用ポテンショメータ45により、昇降レバー13の操作位置を検出するとともにこの検出結果を図10に示す制御装置50に昇降指令として出力して制御装置50が備えるポジション制御手段52を作動させ、ロータリ耕耘装置6の連結高さが昇降レバー13の操作位置に対応した連結高さになるように、ポジション制御手段52による昇降シリンダ11の伸縮制御を行なわせる。
【0035】
図3,4に示すように、変速レバーガイド面部33の車体横方向視での形状を、変速レバー12の上端部に樹脂ブロックを取付けて形成してある操作部12bの操作経路に沿うように車体上方向きに突の湾曲形状にしてある。図6に示すように、変速レバー12の操作部12bの車体前後方向視での形状を下縁が車体横方向に傾斜した形状にし、変速レバーガイド面部33を、車体横方向での内側に至るほど低い配置高さに位置するように車体横方向に傾斜した形状、すなわち操作部12bの下縁の移動経路に沿った傾斜形状に形成してある。
【0036】
昇降レバーガイド面部34の車体横方向視での形状を、昇降レバー13の上端部に樹脂ブロックを取付けて形成してある操作部13bの操作経路に沿うように車体上方向きに突の湾曲形状にしてある。
【0037】
図3に示す一点鎖線Aは、変速レバーガイド面部33の最上箇所での配置高さを示し、図3に示す一点鎖線Bは、昇降レバーガイド面部34の最上箇所での配置高さを示している。図3に示すように、昇降レバーガイド面部34を、昇降レバーガイド面部34の全体にわたって変速レバーガイド面部33より低い配置高さに配置してある。昇降レバー13の操作部13bでの上端13cが変速レバー12の操作部12bでの上端12cより低い配置高さに位置するように昇降レバー13と変速レバー12の間に配置高さの差を設けてある。これにより、変速レバー12を操作する際、変速レバー12に添える手を昇降レバー13の上方に楽に位置させて昇降レバー13による障害を受けにくくできる。
【0038】
変速レバーガイド面部33を、アームレスト20の肘載せ面24で成る上面より少し低い配置高さに配置してある。レバー支持構造体30の変速レバーガイド面部33とアームレスト20の間に位置する部位に、車体上方向きに開口し、底部がアームレスト20の肘載せ面24で成る上面及び変速レバーガイド面部33より低い配置高さに位置する凹入部30aを設けてある。
【0039】
運転座席3に対して着座したり離れたりする作業者の身体の変速レバー12に対する接触を防止する変速レバー用のガード体30bを、変速レバー12の操作部12bでの操作経路Rの車体横方向での内側に設置してある。ガード体30bは、両端部がレバー支持構造体30のベース部31に連結されるように、中間部が変速レバー12の操作部12bでの操作経路Rに沿うように形成した屈曲杆によって構成してある。
【0040】
図10は、伝動装置Dを示すスケルトン図である。この図に示すように、伝動装置Dは、エンジン7の出力軸7aに主クラッチ機構50及び分配機構56を介して油圧ポンプ57Pのポンプ軸57aが連動される静油圧式無段変速機構57と、エンジン7の出力軸7aに主クラッチ機構50、分配機構56及び動力導入ギヤ58を介してキャリヤが連動され、静油圧式無段変速機構57を構成する油圧モータ57Mのモータ軸57bにサンギヤが連動される遊星伝動機構59と、遊星伝動機構59のリングギヤに入力軸60aが連動された前後進切換え機構60と、前後進切換え機構60の出力軸60bに入力軸61aが連動された副変速機構61と、副変速機構61の出力軸61bにギヤ連動機構62を介して入力軸63aが連動された前輪変速機構63とを備えている。
【0041】
伝動装置Dは、エンジン7からの駆動力によって駆動される静油圧式無段変速機構57からの出力とエンジン7からの駆動力とを遊星伝動機構59によって合成し、遊星伝動機構59が出力する駆動力を、前後進切換え機構60を介して副変速装置61に伝達して副変速装置61から後輪差動機構64及び前輪変速機構63に伝達する。前輪変速機構63は、等速クラッチ63bと増速クラッチ63cが切換え操作されることにより、等速伝動状態と増速伝動状態に変速される。前輪変速機構63は、等速伝動状態に変速されると、左右一対の前車輪1,1の平均周速度と左右一対の後車輪2,2の平均周速度が等しくなる状態で前車輪1が駆動されるように前輪差動機構65に伝動する。前輪変速機構63は、増速伝動状態に変速されると、左右一対の前車輪1,1の平均周速度が左右一対の後車輪2,2の平均周速度より高速になる状態で前車輪1が駆動されるように前輪差動機構65に伝動する。
【0042】
図11に示すように、静油圧式無段変速機構57における油圧ポンプ57Pの斜板角変更を行なうように静油圧式無段変速機構57に備えてある変速操作部57c、及びエンジン7の出力回転数を検出するようにエンジン7に備えられたエンジン回転センサ66が制御装置50に連係されている。静油圧式無段変速機構57は、変速用ポテンショメータ40及びエンジン回転センサ66による検出情報を基に作動する変速制御手段51によって変速制御される。
【0043】
つまり、伝動装置Dは、エンジン7が一定速度での駆動力を出力するようにアクセルセットされた状態で、静油圧式無段変速機構57が逆回転伝動状態の最高速位置から正回転伝動状態の最高速位置に向けて変速制御されることにより、自走車の前進車速及び後進車速を零速度から無段階に増速し、静油圧式無段変速機構57が正回転伝動状態の最高速位置に至ることにより、自走車の前進車速及び後進車速を最高速度にする。
【0044】
〔別実施形態〕
図12は、別の実施構造を備えた操作装置Sの全体を示す平面図である。図13は、別の実施構造を備えた操作装置Sを示す右側面図である。これらの図に示すように、別の実施構造を備えた操作装置Sでは、変速レバーガイド溝35と昇降レバーガイド溝37は、変速レバーガイド溝35の後端の車体前後方向での位置と昇降レバーガイド溝37の後端の車体前後方向での位置がほぼ一致する状態で平行になっている。
【0045】
別の実施構造を備えた操作装置Sでは、変速レバーガイド面部33及び昇降レバーガイド面部34を、アームレスト20の上面24より高い配置高さにしている。
【0046】
〔別実施例〕
(1)上記した実施例では、変速レバーガイド面部33及び昇降レバーガイド面部34の車体横方向視での形状を車体上方向きに突の湾曲形状にした例を示したが、変速レバーガイド面部33及び昇降レバーガイド面部34の車体横方向視での形状を平坦形状にして実施してもよい。
【0047】
(2)上記した実施例では、アームレスト20及びレバー支持構造体30を運転座席3の右横側方に配置した例を示したが、運転座席3の左横側方に配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、車体後部にロータリ耕耘装置が連結された作業車の他、車体後部に各種の作業装置が連結される作業車あるいは、車体の前部や前後輪間に草刈装置などの各種の作業装置が昇降自在に連結される作業車にも利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
3 運転座席
12 変速レバー
12c 変速レバーの上端
13 昇降レバー
13c 昇降レバーの上端
20 アームレスト
24 アームレストの上面
30 レバー支持構造体
30b ガード体
33 変速レバーガイド面部
34 昇降レバーガイド面部
35 変速レバーガイド溝
37 昇降レバーガイド溝
R 変速レバーの操作経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転座席の横側方に位置するアームレストと、前記アームレストの前端部から車体前方向きに延出するレバー支持構造体とを備えた作業車であって、
走行変速操作のための変速レバー及び作業部昇降操作のための昇降レバーを前記レバー支持構造体に前後揺動操作自在に支持させ、
前記変速レバーのための車体前後向きの変速レバーガイド溝を備える変速レバーガイド面部を、前記レバー支持構造体の車体上方向き面の車体横方向での内側部位に設け、
前記昇降レバーのための車体前後向きの昇降レバーガイド溝を備える昇降レバーガイド面部を、前記レバー支持構造体の車体上方向き面の車体横方向での外側部位に設け、
前記昇降レバーガイド面部の配置高さを前記変速レバーガイド面部の配置高さより低く設定し、
前記昇降レバーの上端が前記変速レバーの上端より低い配置高さに位置するように構成し、
前記変速レバーガイド溝と前記昇降レバーガイド溝を平行に配置してある作業車。
【請求項2】
前記変速レバーガイド面部を前記アームレストの上面より低い配置高さに配置してある請求項1記載の作業車。
【請求項3】
前記変速レバーの操作経路の車体横方向での内側に変速レバー用のガード体を設置してある請求項1又は2記載の作業車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−71736(P2012−71736A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218905(P2010−218905)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】