使用者の視覚障害の特徴的症状及び再生嗜好によるビジュアル・コンテンツ適応変換方法及びシステム
ネットワーク及びターミナルによらず、視覚障害のある人々に対するビジュアル品質を適応させて、向上させることが可能な方法およびシステムが開示される。意味的に定義された一組の「症状」によって、視覚障害は説明される。視覚障害の説明方法として、眼の疾患の個別の特定の名称よりもむしろ記述に基づく提案された「症状」を用いる方が柔軟性及び信頼性がある。これは、使用者が自分の経験に基づいて関連症状を特定することによって、自分の視覚障害を説明することが可能なためである。入力されたビジュアル・コンテンツはその視覚障害によって適応変換される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の視覚障害(low-vision impairment )の特徴的症状及び再生嗜好(presentation preference )によってビジュアル・コンテンツを適応させる方法及びシステムに関する。特に、本発明は、視覚障害のある使用者が利用しようとするデジタル・ビジュアル・コンテンツを、その使用者の視覚障害の特徴及び再生嗜好に適応させ、そのビジュアル・コンテンツから誤った情報を認知する限界点を克服することによって、その使用者が、同一のコンテンツから健常使用者が得ることができる情報を取得することを可能にする方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ISO/IEC(International Standard Organization/International Electrotechnical Committee) JTC1 SC29のワーキング・グループである動画専門家グループ(MPEG:Motion Picture Expert Group)は、マルチメディアのフレームワークに対する次世代標準としてMPEG−21を制定している。MPEG−21は既存のMPEGや他の標準団体等の規格を統合し、互いに異なる社会環境下に存在する広範囲なネットワークやターミナル、使用者の特性を問わずマルチメディア・コンテンツを自在に、且つ簡単に使用することができるマルチメディアの統合フレームワークの実現を目的としている。MPEG−21のパート7のデジタル・アイテム適応は、マルチメディア・コンテンツ(デジタル・アイテム)をネットワークやターミナル、使用者の特性により適応させることに関連しており、現在標準化作業が進行中である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、以下の表1に示す視覚障害の症状に基づいて視覚障害のある人にもビジュアル情報を見られるようにする方法を提案する。
【0004】
【表1】
本発明は、視覚障害のある使用者に対して、その視覚障害の症状の種類によらず、健常使用者が得ることができるレベルと同程度のビジュアル・コンテンツをネットワークやターミナルを問わずに提供することを目的とする。
【0005】
また本発明は、マルチメディア・コンテンツを使用者の再生嗜好に適応させる方法及びシステムを提供することを別の目的とする。
この目的を達成するために、本発明は、使用者の視覚障害の症状及び再生嗜好についての入力データ記述構造を定義して、その使用者の視覚障害の症状及び/または再生嗜好によってデジタル・アイテムを適応させる方法及びシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、使用者の視覚障害の症状及び再生嗜好によってビジュアル・コンテンツを適応させる方法であって、ビジュアル・コンテンツを受け入れるステップと、使用者の視覚障害の症状及び再生嗜好についての情報を受け入れて、標準化された記述構造で表現するステップと、前記情報によって選択された方法により前記受け入れられたビジュアル・コンテンツを適応させるステップと、前記適応されたビジュアル・コンテンツを使用者に表示するステップと、を備える。
【0007】
使用者の視覚障害の症状についての情報は、使用者の左右失明障害の有無を表す情報と、左右眼の視力を表す情報と、視覚障害の症状の種類の情報とのうちの少なくとも一つを含む。また、使用者の視覚障害の症状についての情報は、使用者の視覚障害の症状の程度を表現するテキストまたは数値記述子を含む。使用者の視覚障害の症状についての情報は、鮮明度低下の程度と、コントラスト低下の程度と、光過敏性の程度と、光要求の程度と、周辺視野の欠損の程度と、中央視野の欠損の程度と、半盲の程度とからなるグループより選択された少なくとも一つを含む。
【0008】
使用者の再生嗜好についての情報は、使用者のコンテンツ資源優先順位嗜好を含む。コンテンツ資源優先順位嗜好は、形式優先順位嗜好及びジャンル優先順位嗜好を有する。コンテンツ資源優先順位嗜好は、対象優先順位嗜好を有する。
【0009】
ビジュアル・コンテンツを適応させるステップは、コントラストの調節、画質の調節、明るさの調節、グレアの低減、イメージ・サイズの調節、再生優先順位、及び形式変換のうちから前記使用者情報によって選択された少なくとも一つの手法により行われる。
【0010】
また本発明は、使用者の視覚障害の症状及び再生嗜好によって、ビジュアル・コンテンツを適応させるシステムであって、ビジュアル・コンテンツを受け入れる手段と、使用者の視覚障害の症状及び再生嗜好についての情報を受け入れて、標準化された記述構造で保存する手段と、前記情報によって選択された方法により前記受け入れられたビジュアル・コンテンツを適応させる手段と、前記適応されたビジュアル・コンテンツを使用者に表示する手段と、を備える。
【0011】
本発明のさらなる目的及び利点は、添付図面と併せた以下の詳細な説明により、十分に理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図面において同一の参照符号は、同一または類似の構成要素を示すものとして用いる。
図1は、本発明によるシステム・ブロック図である。図1に示すように、このシステムは、ビジュアル・コンテンツ入力ユニット(100)と、使用者情報提供ユニット(200)と、ビジュアル・コンテンツ変換ユニット(300)と、変換ビジュアル・コンテンツ出力ユニット(400)と、を含む。使用者情報提供ユニット(200)は、使用者情報入力部(150)と、記述構造変換部(160)と、記述子保存部(170)と、からなる。
【0013】
先ず、使用者の視覚障害の症状及び/または再生嗜好についての情報が使用者情報入力部(150)を介して入力される。使用者情報入力部は、通常のキーボードや専用検査装置により構成可能である。入力された使用者情報は、記述構造変換部(160)を介して標準化された記述構造に変換される。記述構造が標準化されることによって、その情報は、ネットワークやターミナルの特性によらず使用可能となる。また、ビジュアル・コンテンツを適応させるビジュアル・コンテンツ変換ユニット(300)が他の製造業者により製造されていたとしても、その使用者情報は互換性を有する。以下、標準化された記述構造で記述されている使用者情報を「標準記述子」と称する。標準記述子(180)は、記述子保存部(170)にあらかじめ保存されていて、ビジュアル・コンテンツ変換ユニット(300)による呼び出しにより読み出される。
【0014】
使用者が再生しようとするビジュアル・コンテンツは、有線または無線のネットワークからビジュアル・コンテンツ入力ユニット(100)を介して入力される。ビジュアル・コンテンツ入力ユニット(100)は、通常、ネットワーク・モデムにより構成される。入力されたビジュアル・コンテンツは、ビジュアル・コンテンツ変換ユニット(300)に伝送され、ビジュアル・コンテンツ変換ユニット(300)は、記述子保存部(170)から標準記述子の形態の使用者情報を受け入れる。ビジュアル・コンテンツ変換ユニット(300)は、使用者情報提供ユニット(200)から受け入れた使用者情報を用いてビジュアル・コンテンツ入力ユニット(100)を介して提供されたビジュアル・コンテンツを適応させる。適応されたビジュアル・コンテンツは、ビジュアル・コンテンツ出力ユニット(400)を介して使用者に出力される。ビジュアル・コンテンツ出力ユニット(400)は、通常、陰極線管や液晶表示装置のようなモニタである。
【0015】
図2は、本発明による標準記述子(180)の記述構造を示す。図2に示すように、使用者情報の標準記述子(180)は、使用者視覚障害症状記述部(210)及び/または使用者再生嗜好情報記述部(220)からなる。使用者視覚障害症状記述部(210)は、鮮明度低下の程度を表す記述子(211)と、コントラスト低下の程度を表す記述子(212)と、光過敏性の程度を表す記述子(213)と、光要求の程度を表す記述子(214)と、周辺視野の欠損の程度を表す記述子(215)と、中央視野の欠損の程度を表す記述子(216)と、半盲の程度を表す記述子(217)と、を含む。各記述子は、図3に示すような視覚障害の症状の程度を表すための記述子(230)を含む。視覚障害の症状の程度の記述子(230)は、視覚障害の症状の程度を大略的に表現するための記述子であり、症状の程度を弱、中、強の3つの等級で表現するテキスト記述子(231)及び/または視覚障害の症状の程度を0.0〜1.0の範囲で詳細に表現する数値記述子(232)からなる。
【0016】
一方、使用者再生嗜好情報記述部(220)は、一般資源優先嗜好(221)と特定資源優先嗜好(224)とを含む。一般資源優先嗜好(221)は、ビジュアル・コンテンツの型についての嗜好を表す形式優先嗜好(222)と、ビジュアル・コンテンツの内容についての嗜好を表すジャンル優先嗜好(223)と、を有する。特定資源優先嗜好(224)は、ビジュアル・コンテンツを構成している特定対象についての優先嗜好(255)を含む。
【0017】
ヒトは年を取るにつれて自然に視覚能力が低下する。しかしながら、このような変化が視覚障害をもたらすことはない。視覚障害を誘発する原因としては、白内障、緑内障、黄斑変性症のような眼科疾患や外傷後の深刻な合併症や後遺症、並びに眼の先天的な発達障害などがある。もちろん、視覚障害の殆どの部分は眼鏡、薬物、あるいは外科手術によって治療することができるが、完全に治療不能であるか、あるいは部分的な治療のみが可能な眼科疾患による視覚障害は、永久的な視覚能力の喪失をもたらす。
【0018】
本発明では、視覚障害の主要な7つの症状を視覚障害特性のための記述子に含む。鮮明度低下の症状(211)は物体が混濁して見える症状を表し、コントラスト低下の症状(212)は互いに異なる明暗間の区別能力が低下する症状を表す。光過敏の症状(213)は明るい光への拒否感が増大する症状を表し、光要求の症状(214)は、光の感度が低下し、多量の光を必要する症状を表す。また、中央視野の欠損の症状(215)は、眼の中央部分に視野を妨げる物質が形成され、対象の中心が見えなくなる症状を表し、周辺視野の欠損の症状(216)は、眼の周辺部分に視野を妨げる物質が形成され、対象の周辺部分が見えなくなる症状を表す。最後に、半盲症状(217)は視野の半分が見えない症状を表す。
【0019】
下記表2a〜表2cは、図2に示された使用者視覚障害症状記述部(210)をXML(extensible markup language)文書で記述した例である。
【0020】
【表2a】
【0021】
【表2b】
【0022】
【表2c】
【0023】
【表3a】
【0024】
【表3b】
上記表3a及び表3bは、図2に示された使用者再生嗜好情報記述部(220)をXML文書で記述した例である。
【0025】
図4は、本発明の一つの実施形態による適応方法を説明したフロー図である。ビジュアル・コンテンツ入力ユニット(100)からコンテンツが伝送されると、ビジュアル・コンテンツ変換ユニット(300)は、使用者情報提供ユニット(200)から標準記述子の形態の視覚障害特性を受け入れ(ステップ310)、使用者再生嗜好情報を受け入れる(ステップ312)。次に、ビジュアル・コンテンツ変換ユニット300は、視覚障害特性から使用者の視覚障害の症状とその症状の深刻度とについての情報を抽出して、各症状に適した適応方法を選択してビジュアル・コンテンツを適応させる。例えば、ビジュアル・コンテンツ変換ユニット300は、使用者が鮮明度低下の症状に該当するか否かを判断し(ステップ314)、鮮明度低下の症状に該当した場合は、鮮明度低下に対する適応を行い(ステップ328)、鮮明度低下の症状に該当しない場合は、次の視覚障害の症状に該当するか否かを判断する。このような方法で、ビジュアル・コンテンツ変換ユニット300は、使用者がコントラスト低下(ステップ316)、光過敏(ステップ318)、光要求(ステップ320)、周辺視野の欠損(ステップ322)、中央視野の欠損(ステップ324)、半盲(ステップ326)の症候に該当するか否かを順次判断し、その判断結果によってコントラスト低下の症状に対する適応(ステップ330)、光過敏の症状に対する適応(ステップ332)、光要求の症状に対する適応(ステップ334)、周辺視野の欠損の症状に対する適応(ステップ336)、中央視野の欠損の症状に対する適応(ステップ338)、半盲の症状に対する適応(ステップ340)を各々行う。適応されたビジュアル・コンテンツは、ビジュアル・コンテンツ出力ユニット(400)に提供され、表示される。
【0026】
視覚障害の症状を補償するためのビジュアル・コンテンツ適応手法としては、コントラストの調節、画質の調節、明るさの調節、グレアの低減、イメージ・サイズの調節、再生優先順位、及び形式変換などがある。先ず、コントラストの調節は、使用者の障害のレベルに応じて、ビジュアル・コンテンツのコントラストを向上させる。視覚障害が極めて深刻な場合には、黒色・白色の画像変換により、コントラストを極度に向上させることができる。画質の調節は、使用者の視覚障害の症状に応じて、ビジュアル・コンテンツの高周波領域を強調することによって、画像/ビデオのエッジ(edge)の可視性(visibility)を向上させる。明るさの調節は、使用者の視覚障害の症状に応じて、コンテンツの明るさを調節する。明るさの調節は、2つの要素から構成される。一方は、光過敏の症状(213)に適応するために明るさを減少させるものであり、他方は、光要求の症状(214)に適応するために明るさを増加させるものである。
【0027】
グレアの低減は、ビジュアル・コンテンツのグレア効果により使用者がビジュアル・コンテンツの内容を見づらい場合に使用される。この手法として、ホモモロフィック・フィルタと称される特定の手法を利用することが可能である。この手法によって、ビジュアル・コンテンツの低強度領域の画質(鮮明度)は向上され、高強度領域の照射は低減される。イメージ・サイズの調節は、ビジュアル・コンテンツの画像サイズを変更し、イメージ・サイズの縮小、拡大、及び特定の縦横比のサイズ変更を行う。この手法は、周辺視野の欠損の症状(215)、中央視野の欠損の症状(216)、及び半盲症状(217)に対して効果的に適用される。
【0028】
再生優先順位は、使用者の視覚能力及び使用者の興味に応じて、特定のコンテンツ対象の質を向上させ、一部の重要性の低い対象は原型のまま、あるいは、低品質で提供する。例えば、視覚障害のある使用者がテキスト・コンテンツに興味がある場合、イメージ・コンテンツは捨てるか、あるいは低画質で提供し、テキスト(テキスト・イメージを含む)やオーディオ・コンテンツ(使用者に聴覚障害がなければ)はより優先して高品質で提供される。各コンテンツ対象に対する適応レベルは、その優先順位に依存している。特に、優先順位が高いコンテンツ対象であるほど、向上し、より多くの資源が割り当てられるため、高品質となる。
【0029】
形式変換は、コンテンツの意味(semantics )を変更することなく、そのコンテンツの形式を、視覚障害のある使用者にとって適切な他の形式に変換する手法である。例えば、ほぼ盲人に近いが、聴力には全く問題がない使用者の場合、ビジュアル・コンテンツを同一の情報を記述するオーディオ・コンテンツに変換することが可能である。
【0030】
下記の表4は、本発明による視覚障害の症状に対する適応手法の優先順位を表している。本発明の適応手法として、コントラストの調整(CC)、画質の調節(SC)、明るさの調節(BC)、グレアの低減(GR)、イメージ・サイズの調節(AIS)、再生優先順位(PP)、及び形式変換(MC)が使用される。表4において、「**」印が付いた手法は、「*」印が付いた手法よりも高い優先順位で採択されて利用される手法であることを示す。また、「○」印は、あらゆる症状に対して利用可能な適応手法であることを示す。すなわち、再生優先順位及び形式変換は、あらゆる視覚障害の症状に対して適用可能な手法である。
【0031】
【表4】
鮮明度低下の症状(211)の場合、コントラストの調節、画質の調節、明るさの調節、及びイメージ・サイズの調節が適用可能であり、特に、コントラストの調節、画質の調節、及びイメージ・サイズの調節が優先的に行われる。コントラスト低下の症状(212)の場合、コントラストの調節、画質の調節、明るさの調節、及びイメージ・サイズの調節の手法が利用可能であり、コントラストの調節及びイメージ・サイズの調節が他の手法に比べて優先的に行われる。
【0032】
光過敏の症状(213)の場合、コントラストの調節、画質の調節、明るさの調節、グレアの低減、及びイメージ・サイズの調節が適用可能であり、明るさの調節及びグレアの低減が他の手法に比べて優先的に行われる。光要求の症状(214)の場合、コントラストの調節、画質の調節、明るさの調節、グレアの低減、及びイメージ・サイズの調節の手法が利用可能であり、明るさの調節及びグレアの低減が他の手法に比べて優先的に行われる。
【0033】
周辺視野の欠損の症状(215)の場合、コントラストの調節、画質の調節、明るさの調節、及びイメージ・サイズの調節の手法が適用可能であり、イメージ・サイズの調節が他の手法に比べて優先的に行われる。中央視野の欠損の症状(216)の場合、コントラストの調節、画質の調節、明るさの調節、及びイメージ・サイズの調節が適用可能であり、イメージ・サイズの調節が他の手法に比べて優先的に行われる。最後に、半盲の症候(217)の場合、コントラストの調節、画質の調節、明るさの調節、及びイメージ・サイズの調節が利用可能であり、イメージ・サイズの調節手法が他の方法に比べて優先的に行われる。
【0034】
前述の実施形態は、本発明を説明するためのものあり、本出願の権利範囲を限定しようとするものではない。当業者は、本発明の範囲及び技術思想から逸脱することなく、前述の実施形態についての多様な変形や変更が可能であることに注目しなければならない。本出願の権利範囲は原則的に後述する特許請求の範囲により定められる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
前述のような本発明により、障害のある使用者であっても別途の装備なく、ビジュアル・コンテンツから健常使用者とほぼ同等な意味情報の伝達を受けることによって、視覚障害のある使用者も自由に、且つ簡単にマルチメディア・コンテンツを利用可能となる。本発明は、国際標準であるMPEG−7及びMPEG−21のデジタル・アイテム適応にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明によるシステムのブロック図。
【図2】本発明による使用者情報記述構造を示す図。
【図3】視覚障害の症状の程度の記述構造を示す図。
【図4】本発明の一つの実施形態による適応方法を説明するフロー図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の視覚障害(low-vision impairment )の特徴的症状及び再生嗜好(presentation preference )によってビジュアル・コンテンツを適応させる方法及びシステムに関する。特に、本発明は、視覚障害のある使用者が利用しようとするデジタル・ビジュアル・コンテンツを、その使用者の視覚障害の特徴及び再生嗜好に適応させ、そのビジュアル・コンテンツから誤った情報を認知する限界点を克服することによって、その使用者が、同一のコンテンツから健常使用者が得ることができる情報を取得することを可能にする方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ISO/IEC(International Standard Organization/International Electrotechnical Committee) JTC1 SC29のワーキング・グループである動画専門家グループ(MPEG:Motion Picture Expert Group)は、マルチメディアのフレームワークに対する次世代標準としてMPEG−21を制定している。MPEG−21は既存のMPEGや他の標準団体等の規格を統合し、互いに異なる社会環境下に存在する広範囲なネットワークやターミナル、使用者の特性を問わずマルチメディア・コンテンツを自在に、且つ簡単に使用することができるマルチメディアの統合フレームワークの実現を目的としている。MPEG−21のパート7のデジタル・アイテム適応は、マルチメディア・コンテンツ(デジタル・アイテム)をネットワークやターミナル、使用者の特性により適応させることに関連しており、現在標準化作業が進行中である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、以下の表1に示す視覚障害の症状に基づいて視覚障害のある人にもビジュアル情報を見られるようにする方法を提案する。
【0004】
【表1】
本発明は、視覚障害のある使用者に対して、その視覚障害の症状の種類によらず、健常使用者が得ることができるレベルと同程度のビジュアル・コンテンツをネットワークやターミナルを問わずに提供することを目的とする。
【0005】
また本発明は、マルチメディア・コンテンツを使用者の再生嗜好に適応させる方法及びシステムを提供することを別の目的とする。
この目的を達成するために、本発明は、使用者の視覚障害の症状及び再生嗜好についての入力データ記述構造を定義して、その使用者の視覚障害の症状及び/または再生嗜好によってデジタル・アイテムを適応させる方法及びシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、使用者の視覚障害の症状及び再生嗜好によってビジュアル・コンテンツを適応させる方法であって、ビジュアル・コンテンツを受け入れるステップと、使用者の視覚障害の症状及び再生嗜好についての情報を受け入れて、標準化された記述構造で表現するステップと、前記情報によって選択された方法により前記受け入れられたビジュアル・コンテンツを適応させるステップと、前記適応されたビジュアル・コンテンツを使用者に表示するステップと、を備える。
【0007】
使用者の視覚障害の症状についての情報は、使用者の左右失明障害の有無を表す情報と、左右眼の視力を表す情報と、視覚障害の症状の種類の情報とのうちの少なくとも一つを含む。また、使用者の視覚障害の症状についての情報は、使用者の視覚障害の症状の程度を表現するテキストまたは数値記述子を含む。使用者の視覚障害の症状についての情報は、鮮明度低下の程度と、コントラスト低下の程度と、光過敏性の程度と、光要求の程度と、周辺視野の欠損の程度と、中央視野の欠損の程度と、半盲の程度とからなるグループより選択された少なくとも一つを含む。
【0008】
使用者の再生嗜好についての情報は、使用者のコンテンツ資源優先順位嗜好を含む。コンテンツ資源優先順位嗜好は、形式優先順位嗜好及びジャンル優先順位嗜好を有する。コンテンツ資源優先順位嗜好は、対象優先順位嗜好を有する。
【0009】
ビジュアル・コンテンツを適応させるステップは、コントラストの調節、画質の調節、明るさの調節、グレアの低減、イメージ・サイズの調節、再生優先順位、及び形式変換のうちから前記使用者情報によって選択された少なくとも一つの手法により行われる。
【0010】
また本発明は、使用者の視覚障害の症状及び再生嗜好によって、ビジュアル・コンテンツを適応させるシステムであって、ビジュアル・コンテンツを受け入れる手段と、使用者の視覚障害の症状及び再生嗜好についての情報を受け入れて、標準化された記述構造で保存する手段と、前記情報によって選択された方法により前記受け入れられたビジュアル・コンテンツを適応させる手段と、前記適応されたビジュアル・コンテンツを使用者に表示する手段と、を備える。
【0011】
本発明のさらなる目的及び利点は、添付図面と併せた以下の詳細な説明により、十分に理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図面において同一の参照符号は、同一または類似の構成要素を示すものとして用いる。
図1は、本発明によるシステム・ブロック図である。図1に示すように、このシステムは、ビジュアル・コンテンツ入力ユニット(100)と、使用者情報提供ユニット(200)と、ビジュアル・コンテンツ変換ユニット(300)と、変換ビジュアル・コンテンツ出力ユニット(400)と、を含む。使用者情報提供ユニット(200)は、使用者情報入力部(150)と、記述構造変換部(160)と、記述子保存部(170)と、からなる。
【0013】
先ず、使用者の視覚障害の症状及び/または再生嗜好についての情報が使用者情報入力部(150)を介して入力される。使用者情報入力部は、通常のキーボードや専用検査装置により構成可能である。入力された使用者情報は、記述構造変換部(160)を介して標準化された記述構造に変換される。記述構造が標準化されることによって、その情報は、ネットワークやターミナルの特性によらず使用可能となる。また、ビジュアル・コンテンツを適応させるビジュアル・コンテンツ変換ユニット(300)が他の製造業者により製造されていたとしても、その使用者情報は互換性を有する。以下、標準化された記述構造で記述されている使用者情報を「標準記述子」と称する。標準記述子(180)は、記述子保存部(170)にあらかじめ保存されていて、ビジュアル・コンテンツ変換ユニット(300)による呼び出しにより読み出される。
【0014】
使用者が再生しようとするビジュアル・コンテンツは、有線または無線のネットワークからビジュアル・コンテンツ入力ユニット(100)を介して入力される。ビジュアル・コンテンツ入力ユニット(100)は、通常、ネットワーク・モデムにより構成される。入力されたビジュアル・コンテンツは、ビジュアル・コンテンツ変換ユニット(300)に伝送され、ビジュアル・コンテンツ変換ユニット(300)は、記述子保存部(170)から標準記述子の形態の使用者情報を受け入れる。ビジュアル・コンテンツ変換ユニット(300)は、使用者情報提供ユニット(200)から受け入れた使用者情報を用いてビジュアル・コンテンツ入力ユニット(100)を介して提供されたビジュアル・コンテンツを適応させる。適応されたビジュアル・コンテンツは、ビジュアル・コンテンツ出力ユニット(400)を介して使用者に出力される。ビジュアル・コンテンツ出力ユニット(400)は、通常、陰極線管や液晶表示装置のようなモニタである。
【0015】
図2は、本発明による標準記述子(180)の記述構造を示す。図2に示すように、使用者情報の標準記述子(180)は、使用者視覚障害症状記述部(210)及び/または使用者再生嗜好情報記述部(220)からなる。使用者視覚障害症状記述部(210)は、鮮明度低下の程度を表す記述子(211)と、コントラスト低下の程度を表す記述子(212)と、光過敏性の程度を表す記述子(213)と、光要求の程度を表す記述子(214)と、周辺視野の欠損の程度を表す記述子(215)と、中央視野の欠損の程度を表す記述子(216)と、半盲の程度を表す記述子(217)と、を含む。各記述子は、図3に示すような視覚障害の症状の程度を表すための記述子(230)を含む。視覚障害の症状の程度の記述子(230)は、視覚障害の症状の程度を大略的に表現するための記述子であり、症状の程度を弱、中、強の3つの等級で表現するテキスト記述子(231)及び/または視覚障害の症状の程度を0.0〜1.0の範囲で詳細に表現する数値記述子(232)からなる。
【0016】
一方、使用者再生嗜好情報記述部(220)は、一般資源優先嗜好(221)と特定資源優先嗜好(224)とを含む。一般資源優先嗜好(221)は、ビジュアル・コンテンツの型についての嗜好を表す形式優先嗜好(222)と、ビジュアル・コンテンツの内容についての嗜好を表すジャンル優先嗜好(223)と、を有する。特定資源優先嗜好(224)は、ビジュアル・コンテンツを構成している特定対象についての優先嗜好(255)を含む。
【0017】
ヒトは年を取るにつれて自然に視覚能力が低下する。しかしながら、このような変化が視覚障害をもたらすことはない。視覚障害を誘発する原因としては、白内障、緑内障、黄斑変性症のような眼科疾患や外傷後の深刻な合併症や後遺症、並びに眼の先天的な発達障害などがある。もちろん、視覚障害の殆どの部分は眼鏡、薬物、あるいは外科手術によって治療することができるが、完全に治療不能であるか、あるいは部分的な治療のみが可能な眼科疾患による視覚障害は、永久的な視覚能力の喪失をもたらす。
【0018】
本発明では、視覚障害の主要な7つの症状を視覚障害特性のための記述子に含む。鮮明度低下の症状(211)は物体が混濁して見える症状を表し、コントラスト低下の症状(212)は互いに異なる明暗間の区別能力が低下する症状を表す。光過敏の症状(213)は明るい光への拒否感が増大する症状を表し、光要求の症状(214)は、光の感度が低下し、多量の光を必要する症状を表す。また、中央視野の欠損の症状(215)は、眼の中央部分に視野を妨げる物質が形成され、対象の中心が見えなくなる症状を表し、周辺視野の欠損の症状(216)は、眼の周辺部分に視野を妨げる物質が形成され、対象の周辺部分が見えなくなる症状を表す。最後に、半盲症状(217)は視野の半分が見えない症状を表す。
【0019】
下記表2a〜表2cは、図2に示された使用者視覚障害症状記述部(210)をXML(extensible markup language)文書で記述した例である。
【0020】
【表2a】
【0021】
【表2b】
【0022】
【表2c】
【0023】
【表3a】
【0024】
【表3b】
上記表3a及び表3bは、図2に示された使用者再生嗜好情報記述部(220)をXML文書で記述した例である。
【0025】
図4は、本発明の一つの実施形態による適応方法を説明したフロー図である。ビジュアル・コンテンツ入力ユニット(100)からコンテンツが伝送されると、ビジュアル・コンテンツ変換ユニット(300)は、使用者情報提供ユニット(200)から標準記述子の形態の視覚障害特性を受け入れ(ステップ310)、使用者再生嗜好情報を受け入れる(ステップ312)。次に、ビジュアル・コンテンツ変換ユニット300は、視覚障害特性から使用者の視覚障害の症状とその症状の深刻度とについての情報を抽出して、各症状に適した適応方法を選択してビジュアル・コンテンツを適応させる。例えば、ビジュアル・コンテンツ変換ユニット300は、使用者が鮮明度低下の症状に該当するか否かを判断し(ステップ314)、鮮明度低下の症状に該当した場合は、鮮明度低下に対する適応を行い(ステップ328)、鮮明度低下の症状に該当しない場合は、次の視覚障害の症状に該当するか否かを判断する。このような方法で、ビジュアル・コンテンツ変換ユニット300は、使用者がコントラスト低下(ステップ316)、光過敏(ステップ318)、光要求(ステップ320)、周辺視野の欠損(ステップ322)、中央視野の欠損(ステップ324)、半盲(ステップ326)の症候に該当するか否かを順次判断し、その判断結果によってコントラスト低下の症状に対する適応(ステップ330)、光過敏の症状に対する適応(ステップ332)、光要求の症状に対する適応(ステップ334)、周辺視野の欠損の症状に対する適応(ステップ336)、中央視野の欠損の症状に対する適応(ステップ338)、半盲の症状に対する適応(ステップ340)を各々行う。適応されたビジュアル・コンテンツは、ビジュアル・コンテンツ出力ユニット(400)に提供され、表示される。
【0026】
視覚障害の症状を補償するためのビジュアル・コンテンツ適応手法としては、コントラストの調節、画質の調節、明るさの調節、グレアの低減、イメージ・サイズの調節、再生優先順位、及び形式変換などがある。先ず、コントラストの調節は、使用者の障害のレベルに応じて、ビジュアル・コンテンツのコントラストを向上させる。視覚障害が極めて深刻な場合には、黒色・白色の画像変換により、コントラストを極度に向上させることができる。画質の調節は、使用者の視覚障害の症状に応じて、ビジュアル・コンテンツの高周波領域を強調することによって、画像/ビデオのエッジ(edge)の可視性(visibility)を向上させる。明るさの調節は、使用者の視覚障害の症状に応じて、コンテンツの明るさを調節する。明るさの調節は、2つの要素から構成される。一方は、光過敏の症状(213)に適応するために明るさを減少させるものであり、他方は、光要求の症状(214)に適応するために明るさを増加させるものである。
【0027】
グレアの低減は、ビジュアル・コンテンツのグレア効果により使用者がビジュアル・コンテンツの内容を見づらい場合に使用される。この手法として、ホモモロフィック・フィルタと称される特定の手法を利用することが可能である。この手法によって、ビジュアル・コンテンツの低強度領域の画質(鮮明度)は向上され、高強度領域の照射は低減される。イメージ・サイズの調節は、ビジュアル・コンテンツの画像サイズを変更し、イメージ・サイズの縮小、拡大、及び特定の縦横比のサイズ変更を行う。この手法は、周辺視野の欠損の症状(215)、中央視野の欠損の症状(216)、及び半盲症状(217)に対して効果的に適用される。
【0028】
再生優先順位は、使用者の視覚能力及び使用者の興味に応じて、特定のコンテンツ対象の質を向上させ、一部の重要性の低い対象は原型のまま、あるいは、低品質で提供する。例えば、視覚障害のある使用者がテキスト・コンテンツに興味がある場合、イメージ・コンテンツは捨てるか、あるいは低画質で提供し、テキスト(テキスト・イメージを含む)やオーディオ・コンテンツ(使用者に聴覚障害がなければ)はより優先して高品質で提供される。各コンテンツ対象に対する適応レベルは、その優先順位に依存している。特に、優先順位が高いコンテンツ対象であるほど、向上し、より多くの資源が割り当てられるため、高品質となる。
【0029】
形式変換は、コンテンツの意味(semantics )を変更することなく、そのコンテンツの形式を、視覚障害のある使用者にとって適切な他の形式に変換する手法である。例えば、ほぼ盲人に近いが、聴力には全く問題がない使用者の場合、ビジュアル・コンテンツを同一の情報を記述するオーディオ・コンテンツに変換することが可能である。
【0030】
下記の表4は、本発明による視覚障害の症状に対する適応手法の優先順位を表している。本発明の適応手法として、コントラストの調整(CC)、画質の調節(SC)、明るさの調節(BC)、グレアの低減(GR)、イメージ・サイズの調節(AIS)、再生優先順位(PP)、及び形式変換(MC)が使用される。表4において、「**」印が付いた手法は、「*」印が付いた手法よりも高い優先順位で採択されて利用される手法であることを示す。また、「○」印は、あらゆる症状に対して利用可能な適応手法であることを示す。すなわち、再生優先順位及び形式変換は、あらゆる視覚障害の症状に対して適用可能な手法である。
【0031】
【表4】
鮮明度低下の症状(211)の場合、コントラストの調節、画質の調節、明るさの調節、及びイメージ・サイズの調節が適用可能であり、特に、コントラストの調節、画質の調節、及びイメージ・サイズの調節が優先的に行われる。コントラスト低下の症状(212)の場合、コントラストの調節、画質の調節、明るさの調節、及びイメージ・サイズの調節の手法が利用可能であり、コントラストの調節及びイメージ・サイズの調節が他の手法に比べて優先的に行われる。
【0032】
光過敏の症状(213)の場合、コントラストの調節、画質の調節、明るさの調節、グレアの低減、及びイメージ・サイズの調節が適用可能であり、明るさの調節及びグレアの低減が他の手法に比べて優先的に行われる。光要求の症状(214)の場合、コントラストの調節、画質の調節、明るさの調節、グレアの低減、及びイメージ・サイズの調節の手法が利用可能であり、明るさの調節及びグレアの低減が他の手法に比べて優先的に行われる。
【0033】
周辺視野の欠損の症状(215)の場合、コントラストの調節、画質の調節、明るさの調節、及びイメージ・サイズの調節の手法が適用可能であり、イメージ・サイズの調節が他の手法に比べて優先的に行われる。中央視野の欠損の症状(216)の場合、コントラストの調節、画質の調節、明るさの調節、及びイメージ・サイズの調節が適用可能であり、イメージ・サイズの調節が他の手法に比べて優先的に行われる。最後に、半盲の症候(217)の場合、コントラストの調節、画質の調節、明るさの調節、及びイメージ・サイズの調節が利用可能であり、イメージ・サイズの調節手法が他の方法に比べて優先的に行われる。
【0034】
前述の実施形態は、本発明を説明するためのものあり、本出願の権利範囲を限定しようとするものではない。当業者は、本発明の範囲及び技術思想から逸脱することなく、前述の実施形態についての多様な変形や変更が可能であることに注目しなければならない。本出願の権利範囲は原則的に後述する特許請求の範囲により定められる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
前述のような本発明により、障害のある使用者であっても別途の装備なく、ビジュアル・コンテンツから健常使用者とほぼ同等な意味情報の伝達を受けることによって、視覚障害のある使用者も自由に、且つ簡単にマルチメディア・コンテンツを利用可能となる。本発明は、国際標準であるMPEG−7及びMPEG−21のデジタル・アイテム適応にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明によるシステムのブロック図。
【図2】本発明による使用者情報記述構造を示す図。
【図3】視覚障害の症状の程度の記述構造を示す図。
【図4】本発明の一つの実施形態による適応方法を説明するフロー図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の視覚障害の症状及び再生嗜好によってビジュル・コンテンツを適応させる方法であって、
ビジュアル・コンテンツを受け入れるステップと、
使用者の視覚障害の症状及び再生嗜好についての情報を受け入れて、標準化された記述構造で表現するステップと、
前記情報によって選択された方法により、前記受け入れられたビジュアル・コンテンツを適応させるステップと、
前記適応されたビジュアル・コンテンツを使用者に表示するステップと、
を備える、ビジュアル・コンテンツを適応させる方法。
【請求項2】
前記使用者の視覚障害の症状についての情報は、使用者の左右失明障害の有無を表す情報と、使用者の左右眼の視力を表す情報と、使用者の視覚障害の症状の種類を表す情報とのうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載のビジュアル・コンテンツを適応させる方法。
【請求項3】
前記使用者の視覚障害の症状についての情報は、使用者の視覚障害の症状の程度を表現するテキストまたは数値記述子を含む、請求項1に記載のビジュアル・コンテンツを適応させる方法。
【請求項4】
前記使用者の視覚障害の症状についての情報は、使用者の鮮明度低下の程度と、コントラスト低下の程度と、光過敏性の程度と、光要求の程度と、周辺視野の欠損の程度と、中央視野の欠損の程度と、半盲の程度とからなるグループより選択された少なくとも一つを含む、請求項1に記載のビジュアル・コンテンツを適応させる方法。
【請求項5】
前記使用者の再生嗜好についての情報は、使用者のコンテンツ資源優先順位嗜好を含む、請求項1に記載のビジュアル・コンテンツを適応させる方法。
【請求項6】
前記コンテンツ資源優先順位嗜好は、形式優先順位嗜好及びジャンル優先順位嗜好を有する、請求項5に記載のビジュアル・コンテンツを適応させる方法。
【請求項7】
前記コンテンツ資源優先順位嗜好は、対象優先順位嗜好を有する、請求項5に記載のビジュアル・コンテンツを適応させる方法。
【請求項8】
前記ビジュアル・コンテンツを適応させるステップは、コントラストの調節と、画質の調節と、明るさの調節と、グレアの低減と、イメージ・サイズの調節と、再生優先順位と、形式変換とから前記使用者情報によって選択された少なくとも一つの手法によって行われる、請求項1に記載のビジュアル・コンテンツを適応させる方法。
【請求項9】
使用者の視覚障害の症状によってビジュアル・コンテンツを適応させる方法であって、
ビジュアル・コンテンツを受け入れるステップと、
使用者の視覚障害の症状についての情報を受け入れて、標準化された記述構造で表現するステップと、
標準化された記述構造を有する前記使用者情報によって、前記受け入れられたビジュアル・コンテンツを適応させるステップと、
前記適応されたビジュアル・コンテンツを使用者に表示するステップと、
を備える、ビジュアル・コンテンツを適応させる方法。
【請求項10】
前記使用者の視覚障害の症状についての情報は、鮮明度低下の程度と、コントラスト低下の程度と、光過敏性の程度と、光要求の程度と、周辺視野の欠損の程度と、中央視野の欠損の程度、半盲の程度とからなるグループより選択された少なくとも一つを含む、請求項9に記載のビジュアル・コンテンツを適応させる方法。
【請求項11】
使用者の再生嗜好によってビジュアル・コンテンツを適応させる方法であって、
ビジュアル・コンテンツの受け入れるステップと、
使用者の再生嗜好についての情報を受け入れて、標準化された記述構造で表現するステップと、
標準化された記述構造を有する前記使用者情報によって、前記受け入れられたビジュアル・コンテンツを適応させるステップと、
前記適応されたビジュアル・コンテンツを使用者に表示するステップと、
を備える、ビジュアル・コンテンツを適応させる方法。
【請求項12】
前記使用者の再生嗜好についての情報は、使用者のコンテンツ資源優先順位嗜好を含む、請求項11に記載のビジュアル・コンテンツを適応させる方法。
【請求項13】
前記コンテンツ資源優先順位嗜好は、形式優先順位嗜好及びジャンル優先順位嗜好を有する、請求項12に記載のビジュアル・コンテンツを適応させる方法。
【請求項14】
使用者の視覚障害の症状及び再生嗜好によってビジュアル・コンテンツを適応させるシステムであって、
ビジュアル・コンテンツを受け入れる手段と、
使用者の視覚障害の症状及び再生嗜好についての情報を受け入れて、標準化された記述構造で保存する手段と、
前記情報によって選択された方法により前記受け入れられたビジュアル・コンテンツを適応させる手段と、
前記適応されたビジュアル・コンテンツを使用者に表示する手段と、
を備える、ビジュアル・コンテンツを適応させるシステム。
【請求項15】
前記使用者の視覚障害の症状についての情報は、鮮明度低下の程度と、コントラスト低下の程度と、光過敏性の程度と、光要求の程度と、周辺視野の欠損の程度と、中央視野の欠損の程度と、半盲の程度とからなるグループより選択された少なくとも一つを含む、請求項14に記載のビジュアル・コンテンツを適応させるシステム。
【請求項16】
前記使用者の再生嗜好についての情報は、使用者のコンテンツ資源優先順位嗜好を含む、請求項14に記載のビジュアル・コンテンツを適応させるシステム。
【請求項17】
前記ビジュアル・コンテンツを適応させる手段は、コントラストの調節と、画質の調節と、明るさの調節と、グレアの低減と、イメージ・サイズの調節と、再生優先順位と、形式変換とから前記使用者情報によって選択された少なくとも一つの手法を行う、請求項14に記載のビジュアル・コンテンツを適応させるシステム。
【請求項1】
使用者の視覚障害の症状及び再生嗜好によってビジュル・コンテンツを適応させる方法であって、
ビジュアル・コンテンツを受け入れるステップと、
使用者の視覚障害の症状及び再生嗜好についての情報を受け入れて、標準化された記述構造で表現するステップと、
前記情報によって選択された方法により、前記受け入れられたビジュアル・コンテンツを適応させるステップと、
前記適応されたビジュアル・コンテンツを使用者に表示するステップと、
を備える、ビジュアル・コンテンツを適応させる方法。
【請求項2】
前記使用者の視覚障害の症状についての情報は、使用者の左右失明障害の有無を表す情報と、使用者の左右眼の視力を表す情報と、使用者の視覚障害の症状の種類を表す情報とのうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載のビジュアル・コンテンツを適応させる方法。
【請求項3】
前記使用者の視覚障害の症状についての情報は、使用者の視覚障害の症状の程度を表現するテキストまたは数値記述子を含む、請求項1に記載のビジュアル・コンテンツを適応させる方法。
【請求項4】
前記使用者の視覚障害の症状についての情報は、使用者の鮮明度低下の程度と、コントラスト低下の程度と、光過敏性の程度と、光要求の程度と、周辺視野の欠損の程度と、中央視野の欠損の程度と、半盲の程度とからなるグループより選択された少なくとも一つを含む、請求項1に記載のビジュアル・コンテンツを適応させる方法。
【請求項5】
前記使用者の再生嗜好についての情報は、使用者のコンテンツ資源優先順位嗜好を含む、請求項1に記載のビジュアル・コンテンツを適応させる方法。
【請求項6】
前記コンテンツ資源優先順位嗜好は、形式優先順位嗜好及びジャンル優先順位嗜好を有する、請求項5に記載のビジュアル・コンテンツを適応させる方法。
【請求項7】
前記コンテンツ資源優先順位嗜好は、対象優先順位嗜好を有する、請求項5に記載のビジュアル・コンテンツを適応させる方法。
【請求項8】
前記ビジュアル・コンテンツを適応させるステップは、コントラストの調節と、画質の調節と、明るさの調節と、グレアの低減と、イメージ・サイズの調節と、再生優先順位と、形式変換とから前記使用者情報によって選択された少なくとも一つの手法によって行われる、請求項1に記載のビジュアル・コンテンツを適応させる方法。
【請求項9】
使用者の視覚障害の症状によってビジュアル・コンテンツを適応させる方法であって、
ビジュアル・コンテンツを受け入れるステップと、
使用者の視覚障害の症状についての情報を受け入れて、標準化された記述構造で表現するステップと、
標準化された記述構造を有する前記使用者情報によって、前記受け入れられたビジュアル・コンテンツを適応させるステップと、
前記適応されたビジュアル・コンテンツを使用者に表示するステップと、
を備える、ビジュアル・コンテンツを適応させる方法。
【請求項10】
前記使用者の視覚障害の症状についての情報は、鮮明度低下の程度と、コントラスト低下の程度と、光過敏性の程度と、光要求の程度と、周辺視野の欠損の程度と、中央視野の欠損の程度、半盲の程度とからなるグループより選択された少なくとも一つを含む、請求項9に記載のビジュアル・コンテンツを適応させる方法。
【請求項11】
使用者の再生嗜好によってビジュアル・コンテンツを適応させる方法であって、
ビジュアル・コンテンツの受け入れるステップと、
使用者の再生嗜好についての情報を受け入れて、標準化された記述構造で表現するステップと、
標準化された記述構造を有する前記使用者情報によって、前記受け入れられたビジュアル・コンテンツを適応させるステップと、
前記適応されたビジュアル・コンテンツを使用者に表示するステップと、
を備える、ビジュアル・コンテンツを適応させる方法。
【請求項12】
前記使用者の再生嗜好についての情報は、使用者のコンテンツ資源優先順位嗜好を含む、請求項11に記載のビジュアル・コンテンツを適応させる方法。
【請求項13】
前記コンテンツ資源優先順位嗜好は、形式優先順位嗜好及びジャンル優先順位嗜好を有する、請求項12に記載のビジュアル・コンテンツを適応させる方法。
【請求項14】
使用者の視覚障害の症状及び再生嗜好によってビジュアル・コンテンツを適応させるシステムであって、
ビジュアル・コンテンツを受け入れる手段と、
使用者の視覚障害の症状及び再生嗜好についての情報を受け入れて、標準化された記述構造で保存する手段と、
前記情報によって選択された方法により前記受け入れられたビジュアル・コンテンツを適応させる手段と、
前記適応されたビジュアル・コンテンツを使用者に表示する手段と、
を備える、ビジュアル・コンテンツを適応させるシステム。
【請求項15】
前記使用者の視覚障害の症状についての情報は、鮮明度低下の程度と、コントラスト低下の程度と、光過敏性の程度と、光要求の程度と、周辺視野の欠損の程度と、中央視野の欠損の程度と、半盲の程度とからなるグループより選択された少なくとも一つを含む、請求項14に記載のビジュアル・コンテンツを適応させるシステム。
【請求項16】
前記使用者の再生嗜好についての情報は、使用者のコンテンツ資源優先順位嗜好を含む、請求項14に記載のビジュアル・コンテンツを適応させるシステム。
【請求項17】
前記ビジュアル・コンテンツを適応させる手段は、コントラストの調節と、画質の調節と、明るさの調節と、グレアの低減と、イメージ・サイズの調節と、再生優先順位と、形式変換とから前記使用者情報によって選択された少なくとも一つの手法を行う、請求項14に記載のビジュアル・コンテンツを適応させるシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公表番号】特表2006−509223(P2006−509223A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−545039(P2004−545039)
【出願日】平成15年10月15日(2003.10.15)
【国際出願番号】PCT/KR2003/002135
【国際公開番号】WO2004/036447
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(596099882)エレクトロニクス アンド テレコミュニケーションズ リサーチ インスチチュート (179)
【氏名又は名称原語表記】ELECTRONICS AND TELECOMMUNICATIONS RESEARCH INSTITUTE
【出願人】(505144452)ハイケムテック インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】HICHEMTECH,INC.
【出願人】(505144463)リサーチ アンド インダストリアル コーポレーション グループ (10)
【氏名又は名称原語表記】RESEARCH AND INDUSTRIAL COOPERATION GROUP
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年10月15日(2003.10.15)
【国際出願番号】PCT/KR2003/002135
【国際公開番号】WO2004/036447
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(596099882)エレクトロニクス アンド テレコミュニケーションズ リサーチ インスチチュート (179)
【氏名又は名称原語表記】ELECTRONICS AND TELECOMMUNICATIONS RESEARCH INSTITUTE
【出願人】(505144452)ハイケムテック インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】HICHEMTECH,INC.
【出願人】(505144463)リサーチ アンド インダストリアル コーポレーション グループ (10)
【氏名又は名称原語表記】RESEARCH AND INDUSTRIAL COOPERATION GROUP
【Fターム(参考)】
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