説明

便所システム

【課題】水源を備え、該水源からの水を便器の流し水として利用できる便所システムを提供する。
【解決手段】マンホール50の蓋体40の表面に便器30が設置されている。便器30の傍にはバケツ53が置かれている。また、便器30及び便器30の利用者を覆い隠すように目隠し部材20が配置されている。目隠し部材20の内側の保持部材24にトイレットペーパが保持されている。水源10には複数の雨水貯留槽1,1,…が備えられており、ホース連結部18によって水源10の外へ排水され得る。ホース52の一端がホース連結部18に連結され、水源10からの雨水をバケツ53まで引いてくる。便器30の利用者は、便器30を利用した後、前記バケツ53に貯留されている雨水を用いて手を洗うことが出来る。手洗いに使用された雨水は、便器30の流し水として便器30内に流し込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホールの蓋体と、該蓋体の上に配置される便器を含む便所システムに関する。
【背景技術】
【0002】
大地震、大火災等の災害の発生後においては、地中に埋設された上下水道管の破損、断水による便所使用不能および、家屋、ビル等の建物の崩壊による便所の不足という問題が生じ、大勢の人々が復旧の日まで排便の苦慮に耐えないといけなくなる。従って、災害対策の一つとして、災害発生後に直ちに便所を提供する便所対策が必要不可欠である。
【0003】
このような便所対策としては、簡単に持ち運ぶのが出来る段ボール、プラスチックなどからなる簡易便所、所定場所に備蓄して置いて災害時に使用する架設便所、車両に便所設備を搭載して災害地域まで移動する車載式便所、平常時には地下に埋設されており、災害時に地上に引き上げて使用する地下埋設型便所、平常時には水洗便所として使用するが、平常時にはくみ取り式便所として使用できる既存施設転用型便所、既存のマンホールの蓋を便器に転用するマンホール便所等が提案されている(非特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、大地震発生の場合は道路の閉鎖などによる通行止めが起きる可能性が高いことから、平常時には所定場所に備蓄されており、災害発生時には災害発生地域まで運搬される必要のある前記簡易便所、架設便所及び車載式便所は、その実効性に欠ける。
【0005】
また、前記地下埋設型便所及び既存施設転用型便所は災害発生地域までの運搬を必要としないものの、人糞が一定空間に貯留される構造を有するので、復旧まで長時間が要される場合は、人糞の貯留量が限界を超える恐れがある。
【0006】
一方、前記マンホール便所の場合は、身近な設備を利用する上、マンホールと繋がる下水により人糞が流されるので、事実上、人糞の貯留量に制限がない優れた便所対策である。
【0007】
しかしながら、1995年に起きた阪神大震災の際、前記マンホール便所における問題点が明らかにされた。つまり、断水状態による下水量の激減の中で大勢の人が長い期間にかけて前記マンホール便所を使用することによって、排泄された人糞が下水に流されず、下水路底に上積みされるといった問題である。このような問題は、災害被害者を更に悪臭及び非衛生的環境に晒させる結果となった。
【非特許文献1】“婦人防火クラブリーダーマニュアル”、[online]、社団法人 日本防火協会、[平成18年11月20日検索]、インターネット<URL:http://www.n-bouka.or.jp/leader_manual/jissen/data/02_2.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、水源を備え、該水源からの水を前記便器の流し水として用いるように構成することにより、仮令、断水による下水量の激減状態での使用においても、利用者が悪臭及び非衛生的環境に晒されることなく使用できる便所システムを提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、前記水源が雨水を貯留する雨水貯留槽と、該雨水貯留槽の上側に設けられ、植物が植えられる客土層と、前記雨水貯留槽及び客土層の間に設けられ、上下に貫通する複数の通水路を有する間隔保持部材とを備えることにより、降雨時に前記客土層に浸透し、該客土層を通過した雨水を貯留して置き、火災発生時に便所の流し水として用いると共に、平常時には雨水貯留槽からの水分が蒸発、湿度差等により客土層に植えられた植物に供給されて客土層の湿度が一定に保たれ、前記水源の設置エリアの緑化を図ることができる便所システムを提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、前記雨水貯留槽は、側面に補強リブを有するように構成することにより、雨水貯留槽の上部に配置される前記客土層、該客土層に植えられる植物等の荷重に対する強度を強化することが出来る便所システムを提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、前記客土層が木材チップ100質量部と、米ぬか10〜35質量部と、窒素肥料10〜35質量部とを混合し、腐朽させてなる腐朽チップを含むように構成することにより、米ぬかが水分調整材として作用し、客土層の保水性が良好になる等腐朽チップを含む前記客土層に植えられた植物の生育環境が整い、植物の管理が容易である便所システムを提供することにある。
【0012】
また、本発明の他の目的は、前記雨水貯留槽を、雨水貯留槽同士が連通可能に構成することにより、雨水貯留槽の数を調整するのみで貯留量を調整できると共に、前記水源の設置場所の面積変更にも対応できる便所システムを提供することにある。
【0013】
また、本発明の他の目的は、前記便器をマンホール内に収容可能に構成することにより、平常時には前記便器を通行者及び通行車両の邪魔になることなく安全に保管することが出来る上、災害時には前記マンホールから直ちに前記便器を取り出して使用できる便所システムを提供することにある。
【0014】
また、本発明の他の目的は、前記蓋体に着脱可能な便器配設用の治具を備え、該治具に前記便器が嵌合されるように構成することにより、前記治具に前記便器を嵌合させるだけで簡単且つ、正しく便器を設置することができる便所システムを提供することにある。
【0015】
また、本発明の他の目的は、前記便器を利用する利用者を隠す目隠し部材を備えることにより、前記便器の利用者が周りを気にすることなく、落ち着いた状態で生理的問題を解決できる便所システムを提供することにある。
【0016】
また、本発明の他の目的は、前記目隠し部材が折り畳まれ、前記マンホール内に収容可能に構成することにより、前記目隠し部材を平常時には通行者及び通行車両の邪魔になることなく安全に保管することが出来るうえ、災害時には前記マンホールから直ちに前記目隠し部材を取り出して使用できる便所システムを提供することにある。
【0017】
また、本発明の他の目的は、前記目隠し部材が数秒で自ら組み立てられるポップアップ式に構成することにより、誰でも簡単且つ、迅速に目隠し部材を設置することが出来る便所システムを提供することにある。
【0018】
また、本発明の他の目的は、前記目隠し部材にトイレットペーパを保持する保持部材を備えることにより、利用者が便器を利用する度にトイレットペーパを持参しなければいけないという負担を無くすことが出来る便所システムを提供することにある。
【0019】
また、本発明の他の目的は、前記便器、治具又は目隠し部材を収納する一又は複数の収納部材を備え、該収納部材が前記蓋体の裏側に釣止されるように構成することにより、前記便器及び治具の保管において埃等の汚れを防止しながら、保管の便宜を図ることができる便所システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明に係る便所システムは、厚み方向に貫通する穴を有するマンホールの蓋体及び該蓋体の上に配設される便器を含む便所システムにおいて、水源を備え、該水源からの水を前記便器の流し水として用いるように構成してあることを特徴とする。
【0021】
本発明にあっては、災害時、厚み方向に貫通する穴を有するマンホールの前記蓋体の上に前記便器を配設し、排便を行う。排便後は前記水源からの水を前記便器に流し、災害による断水から、下水量が激減した場合においても、下水路の底に人糞が上積みされることを防止する。
【0022】
本発明に係る便所システムは、前記水源は、雨水を貯留する雨水貯留槽と、該雨水貯留槽の上側に設けられ、植物が植えられる客土層と、前記雨水貯留槽及び客土層の間に設けられ、上下に貫通する複数の通水路を有する間隔保持部材とを備えることを特徴とする。
【0023】
本発明にあっては、前記雨水貯留槽の上に前記間隔保持部材が載置され、該間隔保持部材の上に客土層が配置されており、降雨時に前記客土層に浸透して該客土層を通過した雨水を前記雨水貯留槽に貯留する。貯留された雨水は、災害発生時には便所の流し水として利用され、平常時には雨水貯留槽からの水分が蒸発、湿度差等により客土層に植えられた植物に供給される。
【0024】
本発明に係る便所システムは、前記雨水貯留槽は、側面に補強リブを有することを特徴とする。
【0025】
本発明にあっては、前記雨水貯留槽の側面に補強リブを設け、雨水貯留槽の上部に配置される前記客土層、該客土層に植えられる植物等の荷重に対する強度を強化する。
【0026】
本発明に係る便所システムは、前記客土層は、木材チップ100質量部と、米ぬか10〜35質量部と、窒素肥料10〜35質量部とを混合し、腐朽させてなる腐朽チップを含むことを特徴とする。
【0027】
本発明にあっては、木材チップとして例えば道路の植え込み等で剪定された樹木と、水分調整材として米ぬかと、分解促進剤として窒素肥料とを用いる。水分調整材として米ぬかが用いられるので、おが屑を用いた場合の分解時に発生するフェノール系成分による植物の発芽障害及び生育障害が未然に防止される。また、分解促進剤としての窒素肥料は、低PH及び良好な発酵状態を維持させ、腐朽チップの完成期間を短縮する。
【0028】
本発明に係る便所システムは、前記水源は、一又は複数の雨水貯留槽を備えており、各雨水貯留槽は、雨水貯留槽同士が連通可能に構成されてあることを特徴とする。
【0029】
本発明にあっては、目的とする貯留量及び設置予定面積に合わせて雨水貯留槽の数を調整する。設置された各雨水貯留槽の側壁は、雨水貯留槽の上部に配置される前記客土層、該客土層に植えられる植物等の荷重に対する支持体として働く。
【0030】
本発明に係る便所システムは、前記便器は、前記マンホール内に収容可能に構成されてあることを特徴とする。
【0031】
本発明にあっては、平常時に前記便器は通行者及び通行車両の邪魔にならないように前記マンホール内に収容され、保管される。
【0032】
本発明に係る便所システムは、前記蓋体に着脱可能な便器配設用の治具を備え、該治具に前記便器が嵌合されるように構成してあることを特徴とする。
【0033】
本発明にあっては、災害が発生した場合、前記蓋体の表側に前記治具を取り付け、該治具に前記便器を嵌合させることにより便器の配設が完了される。
【0034】
本発明に係る便所システムは、前記便器を利用する利用者を隠す目隠し部材を備えてあることを特徴とする。
【0035】
本発明にあっては、利用者が前記便器を利用する際、前記目隠し部材が前記便器を利用する利用者を隠し、周りから隔離する。
【0036】
本発明に係る便所システムは、前記目隠し部材は折り畳まれ、前記マンホール内に収容可能に構成されてあることを特徴とする。
【0037】
本発明にあっては、平常時に前記目隠し部材は通行者及び通行車両の邪魔にならないように、折り畳まれて前記マンホール内に収容され、保管される。
【0038】
本発明に係る便所システムは、前記目隠し部材は自ら組み立てられるポップアップ式であることを特徴とする。
【0039】
本発明にあっては、災害発生時の前記目隠し部材の設置において、前記目隠し部材が数秒程度の短い所要時間で自ら組み立てられ、設置される。
【0040】
本発明に係る便所システムは、前記目隠し部材はトイレットペーパを保持する保持部材を備えていることを特徴とする。
【0041】
本発明にあっては、前記トイレットペーパ保持部材にトイレットペーパを保持しておき、前記便器の利用者の便宜を図る。
【0042】
本発明に係る便所システムは、前記便器、治具又は目隠し部材を収納する一又は複数の収納部材を備え、該収納部材が前記蓋体の裏側に釣止されるように構成してあることを特徴とする。
【0043】
本発明にあっては、平常時には前記便器、治具又は目隠し部材は、一又は複数の収納部材内に収納される。前記便器、治具又は目隠し部材が収納された前記収納部材は前記蓋体の裏側に釣止され、保管される。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、水源を備え、該水源からの水を前記便器の流し水として利用するので、災害が発生した場合、仮令、断水状態の中での使用においても、利用者が悪臭及び非衛生的環境に曝されることなく使用できる。
【0045】
本発明によれば、降雨時に前記客土層に浸透し、該客土層を通過した雨水を前記貯留槽に貯留して置き、火災発生時に便所の流し水として用いると共に、平常時には雨水貯留槽からの水分が蒸発、湿度差等により前記客土層に植えられた植物に供給され、前記水源の設置エリアの緑化を図ることができる。
【0046】
本発明によれば、前記雨水貯留槽は、側面に補強リブを有するように構成していることにより、雨水貯留槽の上部に配置される前記客土層、該客土層に植えられる植物等の荷重に対する強度を強化することが出来る。
【0047】
本発明によれば、前記客土層が木材チップ100質量部と、米ぬか10〜35質量部と、窒素肥料10〜35質量部とを混合し、腐朽させてなる腐朽チップを含むように構成しているので、米ぬかが水分調整材として作用し、客土層の保水性が良好になる等腐朽チップを含む前記客土層に植えられた植物の生育環境が整い、植物の管理が容易になると共に、木材チップとして剪定樹木を利用するので、剪定樹木の処理費用が削減できる。
【0048】
本発明によれば、前記雨水貯留槽が、雨水貯留槽同士の連通が可能に構成されているので、雨水貯留槽の数を調整することで貯留量の調整ができると共に、設置面積の変更に対応することが出来る。また、複数の雨水貯留槽の各側壁が雨水貯留槽の上部に配置される前記客土層、該客土層に植えられる植物等の荷重に対する支持体として働き、安定した構造を確保できる。
【0049】
本発明によれば、前記便器をマンホール内に収容可能に構成しているので、平常時には前記便器を通行者及び通行車両の邪魔にならないように保管することが出来るうえ、災害時には前記マンホールから直ちに取り出して使用することができる。
【0050】
本発明によれば、前記蓋体に着脱可能な便器配設用の治具を備え、該治具に前記便器が嵌合されるように構成しているので、前記治具に前記便器を嵌合するだけで簡単且つ、正しく前記便器の設置が出来る。
【0051】
本発明によれば、前記便器を利用する利用者を隠す目隠し部材を備えているので、前記便器の利用の際、利用者が周りを気にすることなく、落ち着いた状態で生理的問題を解決することができる。
【0052】
本発明によれば、前記目隠し部材は折り畳まれ、前記マンホール内に収容可能に構成されているので、前記目隠し部材を平常時には通行者及び通行車両の邪魔になることなく安全に保管することが出来るうえ、災害時には前記マンホールから直ちに取り出して使用することができる。
【0053】
本発明によれば、前記目隠し部材が数秒で自ら組み立てられるポップアップ式であるので、誰でも簡単且つ、迅速に目隠し部材を設置することが出来る。
【0054】
本発明によれば、前記目隠し部材にトイレットペーパを保持する保持部材を備えているので、利用者が便器を利用する度にトイレットペーパを持参する必要がなくなる。
【0055】
本発明によれば、前記便器、治具又は目隠し部材を収納する一又は複数の収納部材を備え、該収納部材が前記蓋体の裏側に釣止されるように構成しているので、前記便器及び治具の保管において埃等の汚れを防止しながら、保管の便宜を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
以下、本発明に係る便所システムをその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は本発明に係る便所システムの要部構成を示す模式図である。
【0057】
図1において、50は下水路に連結されたマンホールであり、蓋体40によって蓋をされている。蓋体40の表面には便器30が配置されており、便器30及び便器30の利用者は目隠し部材20により覆い隠される。また、マンホール50から例えば半径10m以内には水源10が設置されており、水源10には雨水が貯留されている。
【0058】
図2は本発明の便所システムに係る水源10を模式的に示す一部破断縦断面図である。水源10は地上に設置されている。
【0059】
地面又はコンクリート面上に敷設された砕石・川砂15の上に、上面が開放されている直方体形状をなす複数の雨水貯留槽1,1,…が連結管2,2,…により横に連結された状態で、載置されている。雨水貯留槽1,1,…の上には、4つの雨水貯留槽1に1つの割合で、長方形の板状の間隔保持部材5,5,…が載置されている。この実施の形態では、フォークリフトで荷物を運搬する際に荷物が載せられるパレットを間隔保持部材5,5,…として転用している。
【0060】
間隔保持部材5,5,…の上には不織布13が載置されており、間隔保持部材5,5,…、雨水貯留槽1,1,…及び不織布13は、客土層14によって覆われており、客土層14には芝12及び草花11が植えられている。雨水貯留槽1,1,…と、間隔保持部材5,5,…と、客土層14とからなる雨水貯留型緑化装置17はブロックからなる土留め部材16により囲まれ、花壇を構成している。
【0061】
客土層14は、分解されて芝12及び草花11の栄養分となると共に、雨水貯留槽1,1,…に貯留された雨水(以下、貯留水と言う)から蒸発した水分を吸着する腐朽チップ19と、主に蒸発した水分を吸着する役割をなす木炭とを有している。前記腐朽チップ19は客土層14の下側に配置され、木炭は土と混合されている。
【0062】
土留め部材16の下部の所定位置には、雨水貯留槽1,1,…の貯留水を水源10の外へ排水させる円筒状のホース連結部18を設けている。ホース連結部18の一端部は、雨水貯留槽1,1,…及び土留め部材16の間に介在する客土層14を貫いて、複数の雨水貯留槽1,1,…のうち土留め部材16側に配置された一の雨水貯留槽1の下端部の連結管取付孔3と接続されている。ホース連結部18の他端部は、平常時には栓(図示せず)を用いて塞いでいるが、災害時には後述のホース52と連結される。
【0063】
図3は、雨水貯留槽1を示す斜視図である。雨水貯留槽1,1,…はポリプロピレン製であり、例えば、縦幅592mm、横幅455mm、高さ354mmの直方体状の箱体であり、上面が開放されている。本実施の形態の場合、体積は0.095m3 であり、満水で0.592m3 /m2の雨水を貯留することが出来る。雨水貯留槽1,1,…の各側面には、雨水貯留槽1,1,…の高さより少し短い長さを有する複数の補強リブ4a,4a,…を、雨水貯留槽1,1,…の高さ方向に並設している。また、雨水貯留槽1,1,…の各側面を上下に2等分する位置には、長さが雨水貯留槽1,1,…の縦幅と等しい2つの補強リブ4b,4b及び、長さが雨水貯留槽1,1,…の横幅と等しい2つの補強リブ4c,4cが夫々設けられている。
【0064】
また、雨水貯留槽1,1,…の両短辺側の各側面の下端部中央には、連結管2が嵌め込まれる連結管取付孔3、3を夫々設けている。したがって、水源10の設置面積に応じて複数の雨水貯留槽1,1,…の数及び配置を変えることが出来る。
【0065】
図4は、間隔保持部材5を示す斜視図である。間隔保持部材5はポリプロピレン製であり、長方形の板状である。間隔保持部材5の短辺側には間隔保持部材5を長手方向に貫通する2つの四角断面状の空洞部6,6が適宜隔てて設けられている。間隔保持部材5の長辺側には間隔保持部材5を幅方向に貫通する2つの四角断面状の空洞部7,7が適宜隔てて設けられている。空洞部6,6及び空洞部7,7は、間隔保持部材5の内部にて相互連通している。
【0066】
間隔保持部材5は、空洞部6、6の上側に網目状の通気・通水路6a,6aを、下側に通気・通水路6b,6bを設けている。また、空洞部7、7の上側に網目状の通気・通水路7a,7aを、下側に通気・通水路7b,7bを設けている。したがって、空洞部6,6及び通気・通水路6a,6a,6b,6b並びに、空洞部7,7及び通気・通水路7a,7a,7b,7bを介して、間隔保持部材5の上下方向へ空気及び水分が移動する。
【0067】
次いで、客土層14に配合される腐朽チップ19の製造方法について説明する。まず、剪定材等の木材を直径4〜15mm、長さ30〜100mmのチップ状となるように切断する。切断された木材チップ100質量部に対し、水分調整剤としての米ぬかを10〜35質量部、分解促進剤としての窒素肥料を10〜35質量部の割合で混合するのが好ましく、米ぬかを15〜20質量部、窒素肥料を15〜20質量部混合することがさらに好ましい。前記窒素肥料としては石灰窒素を用いるのが好ましく、目標CN比(炭素含有量と窒素含有量の比)を30とする。一方、米ぬかの割合が10質量部未満であり、窒素肥料の割合が10質量部未満である場合は、短期間に腐朽チップ19を得ることが出来なくなる。また、米ぬかの割合が35質量部を超え、窒素肥料の割合が30質量部を超える場合は、発酵が進みすぎるので良好な保水性を有する腐朽チップ19が得られない。
【0068】
前記木材チップの水分は50〜55%程度に調整することが好ましい。過乾燥した木材チップを用いた場合、発酵促進剤の機能低下が起こり、腐朽期間にバラツキが生じると共に、発酵不良による腐敗菌の繁殖が誘発されて発酵障害がもたらされる。一方、水分が多い場合は嫌気性細菌が増えて腐る可能性がある。
【0069】
木材チップ、米ぬか及び窒素肥料の混合物には発酵期間中に酸素を十分与える必要である一方、微生物の分解に伴う発酵熱を保持するために空気を適度に遮断する必要がある。従って、5〜7日に一度の割合で、空気を入れるために前記混合物をかき回すことが好ましい。
【0070】
発酵菌が繁殖する際には熱が生じる。この場合の温度は60〜70度程度になり、病原菌及び寄生虫の卵、雑草の種子等が死滅する。発酵菌を効率よく増殖させるためには、前記温度を保持する必要があり、必要に応じて米ぬか、窒素肥料等を追加して混合することにより、周囲から熱が奪われ、温度が下がることを防ぐ。
【0071】
熱が上昇した時点で、前記混合物をかき回すいわゆる「切り返し」を行う。これにより、酸素の供給と水分の調節とがなされて発酵分解が促進される。「切り返し」を行った後、急激な熱の上昇が観察されない場合、腐朽が完成したと判断する。
【0072】
この製造方法によれば、pHが低く、CN比が高くなり、良好な発酵状態が保持されるので、従来と比較して短期間に腐朽チップ19が得られる。また、道路の植え込み等で剪定された樹木を早急に処理して客土層14に用いることが出来るので、剪定樹木の有効利用及び処分費用の削減が図られる。
【0073】
そして、水分調整材として米ぬかを用いるので、客土層14の保水性が良好になり、客土層14の湿度が良好に保持される。また、水分調整材としておが屑を用いた場合と異なり、分解時にフェノール系成分が発生しないので、得られた腐朽チップ19を含む客土層14に植えられた植物に対して発芽障害及び生育障害が生じせず、植物が良好に成長する。従って、植物の管理が容易となる。
【0074】
本実施の形態においては、複数の雨水貯留槽1,1,…が連結して設置されおり、降雨時には、客土層14を通過した雨水が雨水貯留槽1,1,…に貯留される。貯留水の量が雨水貯留槽1,1,…の総貯留量を超えても、ホース連結部18の栓を開けて排水しない場合、自然にオーバフローされる。したがって、局地性であって短時間内に大量の雨が降る、いわゆるゲリラ性暴雨の際は、一旦雨水貯留槽1,1,…に雨水が貯留され、時間差を設けて排水又はオーバフローされることにより、河川等へ急激に雨水が流れ込み、氾濫することを防止できる等、ゲリラ性暴雨による被害を防止することも出来る。
【0075】
図5は本発明の便所システムに係る便器30を示す斜視図であり、図6は便器30の蓋33を開けた状態の縦断面図、図7は便器収容袋38に便器30が収容された状態を示す模式図、図8は平常時における便器30の保管方法を説明する説明図である。
【0076】
便器30はポリプロピレン製であり、便器本体31と、便器本体31の上側に備えられ、利用者が座る円環状の便座部32と、便器本体31に枢支され、便座部32を覆う蓋部33とを備える洋式便器である。便器30は略楕円筒形状でおり、前後方向を長直径方向とする平面視楕円状を有している。便器30を後述の治具48,48に取付けるための取付部37は、便器本体31の下端から下側へ延出されており、便器本体31より少し大径の楕円管状をなしている。取付部37の下端の縁には、長直径を中心として対称的に2対の嵌合凹部34,34,34,34が設けられている。嵌合凹部34,34,34,34は治具48,48に対応する形状を有しており、非常時には蓋体40の表面に取付けられた治具48,48に嵌合凹部34,34,34,34が嵌合され、便器30が設置される。
【0077】
便器本体31は、便座部32を支える便座受部31a、便座部32を支持する支持部31b及び排泄物をマンホール50内へ排出させるための排出路35からなる。便座受部31aの後側には枢支軸36が設けられており、便座部32は枢支軸36に枢支されている。便座受部31a、支持部31b及び排出路35は一体成形されている。
【0078】
便座受部31aは、便座部32に倣う円環状であり、便座部32の内径より少し大きい内径を有している。支持部31bは楕円筒形状を有し、上下の直径が異なっており、上部へ向けて縮径している。支持部31bの上側の直径は、便座受部31aの外径と等しい。一方、排出路35は下部へ向けて縮径するテーパ形状であり、排出路35の上側の直径は、便座受部31aの内径と等しい。排出路35の高さは、支持部31bより大きく、支持部31b及び取付部37の高さの和より小さい。便座受部31aは、支持部31b及び排出路35の上側の縁を連結しており、支持部31bの下面は排出路35の一端部により貫通されている。
【0079】
便器30は便器収容袋38(図7中、一点鎖線で表示)に収容され、保管される。便器収容袋38は便器30の体積より大きい収容体積を有する例えば布製の便器収容部38a及び、便器収容部38aを持ち運ぶための紐部38b,38bからなる。上述のように便器収容部38aの収容体積は便器30の体積より大きく、便器30は蓋部33を閉めた状態でそのまま便器収容部38a内に収容される。
【0080】
便器収容袋38内には、便器30以外に折り畳み式のバケツ53、トイレットペーパ54,54、10mm以上の長さのホース52、生理用品55,55…等が一緒に収納される。前記バケツ53は湿気に強い牛革からなり、保管時には体積が小さくなる折り畳み式である。
【0081】
便器30、バケツ53、トイレットペーパ54,54などが収容された便器収容袋38は、平常時には蓋体40の裏面に釣止され、マンホール50内に保管される。平常時に治具48,48は蓋体40の裏面に螺子にて固定されて保管されるが、治具48,48に便器収容袋38の紐部38b,38bが夫々掛けられた状態で治具48,48を蓋体40の裏面に固定することにより、便器収容袋38は蓋体40の裏面に釣止される。(図10参照)
【0082】
図9は本発明の便所システムに係る蓋体40の表面を示す斜視図であり、図10は便器収容袋38が蓋体40の裏面に釣止された状態における蓋体40の裏面を示す斜視図、図11は中蓋板42が外された状態を説明する説明図である。
【0083】
本発明に係る蓋体40はその自体公知のものであって、例えば直径646mmの円盤状をなしている。蓋体40は、蓋体40の直径より少し小さい直径の孔を有し、一辺の長さが690mmの正方形である受枠41により、表面が地面と面一になるように保持されている。蓋体40は前記孔に嵌め込まれ、周縁部が受枠41により支持されている。
【0084】
蓋体40は、長さ441mmであって幅236mmの長方形をなす、便器30からの排泄物を排出する排出口43を中央部に備えており、排出口43に対応する形状の中蓋板42により排出口43は蓋されている。排出口43の夫々の頂点部分には、中蓋板42を螺子止めするための貫通孔44,44,…を有する鍔部45,45,…が設けられている。中蓋板42の頂点部分であって、貫通孔44,44,…に対応する位置には、後述の雄螺子46,46,…が貫通する貫通孔(図示せず)を有している。平常時の場合は、中蓋板42の夫々の頂点部分の貫通孔及び排出口43の貫通孔44,44,…を貫通した4つの雄螺子46,46,…が雌螺子により螺合され、蓋体40の表面及び中蓋板42の表面が面一になるように固定されている。雄螺子46,46,…は例えば、六角穴付きボタンボルトからなる。排泄物は排出口43を介してマンホール50と繋がる下水路へ落ちる。
【0085】
蓋体40の中心及び中蓋板42の両短辺の中心を通る長手方向中心線並びに、蓋体40の中心及び中蓋板42の両長辺の中心を通る幅方向中心線により4分割された蓋体40の周縁側であって中蓋板42の長辺の近傍には、蓋体40を厚み方向に貫通する治具48,48を固定するための4つの治具固定孔(図示せず)が設けられている。該4つの治具固定孔は、前記長手方向中心線に対して対称的に設けられている。便器30を設置するための2つの治具48,48は治具固定孔を貫通する4つの雄螺子47,47,…及び雌螺子が螺合されることによって、蓋体40の表面又は裏面に固定される。治具48,48は平常時には蓋体40の裏面に取り付けられるが、災害時には蓋体40の表面に取り付けられ、治具48,48の上に便器30の嵌合凹部34,34,34,34が嵌合される。
【0086】
治具48,48は四角柱状を有し、排出口43の幅より長く、蓋体40の直径より短い長さを有している。2つの治具48,48は、排出口43の長手方向の両端側に、排出口43の幅方向に架設される。各治具48,48は長手方向の両端部に、各治具48,48を幅方向に貫通する貫通孔を有しており、前記貫通孔及び蓋体40の厚みの和より長い2つの雄螺子47,47が前記貫通孔及び治具固定孔を貫通して雌螺子と螺合されることにより蓋体40の表面又は裏面に夫々取り付けられる。この際、上述のように、各治具48,48の雄螺子47,47,…の間に、便器収容袋38の紐部38b,38bを夫々掛けた状態で治具48,48が蓋体40の裏面に固定されることにより、便器収容袋38は蓋体40の裏面に釣止される。
【0087】
図12は治具48,48を用いて蓋体40の表面に便器30を設置し、蓋33を開けた状態の平面図であり、図13は側面図である。
【0088】
2つの治具48,48は、上述のように蓋体40の表面にて、排出口43の長手方向の両端側に、相互平行の状態で排出口43の幅方向に架設されている。便器30の嵌合凹部34,34,34,34は夫々治具48,48と嵌合されており、便器30は治具48,48に跨る状態で架設されている。この際、排出路35の下端は排出口43の真上に位置するよう合わされており、便器30の下端は蓋体40の上面と接している。一方、排出路35の下端の直径は排出口43の幅より小さいので、排出口43内に排出路35の下端が収まるようになる。従って、排泄物が蓋体40の表面を汚すことなく、排出口43を介してマンホール50内に排出される。
【0089】
図14は本発明の便所システムに係る目隠し部材20が組み立てられた場合において布材21の一部を省略した状態を示す斜視図であり、図15は目隠し部材20が収容される収容袋25の斜視図、図16は平常時における目隠し部材20の保管方法を説明する説明図である。
【0090】
目隠し部材20は、例えば高さが1900mmであり、一側に底面を有し、他側が開放された円筒形状をなす。目隠し部材20は上下の直径が異なって上部へ向けて減径しており、下端の直径は蓋体40より大きい直径を有している。
【0091】
また、目隠し部材20は、弾性反発力を有する線状のバネ材からなる複数の支柱部材23,23,…が布材21に縫いつけているように止着されている。複数の支柱部材23,23,…の内、2つは円状であり、他は楕円状を有している。円状の支柱部材23,23は夫々異なる直径を有しており、夫々は目隠し部材20の上下の縁を構成している。2つの内、直径の大きい支柱部材23が下側に配置され、直径の小さい支柱部材23は上側に配置されている。楕円状の支柱部材23,23,…は、長径が地面と略垂直になる状態で円状の支柱部材23,23の周縁を支持するように構成されている。
【0092】
目隠し部材20の円筒形状は、複数の支柱部材23,23,…により維持されており、外力を加えて支柱部材23,23,…を変形させながら折り畳むことにより、目隠し部材20を後述の収容袋25に収容することができる。一方、目隠し部材20を組み立てる際には、支柱部材23,23,…の弾性反発力により、数秒程度の所要時間で自ら組み立てられるので、一人でも間単に組み立てることができる。
【0093】
目隠し部材20は、円周面の一部に出入口22を設けており、円周面の内側にはトイレットペーパ54を保持するための保持部材24を設けている。
【0094】
平常時、目隠し部材20は収容袋25に収容され、マンホール50内に保管されている。収容袋25は、目隠し部材20を収容する収容部26と、収容袋25をマンホール50内に釣止するための紐部27,27とからなる。
【0095】
収容部26は、円筒形状をなしており、円周面に目隠し部材20を収容するための収容口が設けられている。前記収容口にはファスナー28を設け、収容部26に収容された目隠し部材20が収容口を介して脱落されることを防止している。
【0096】
紐部27,27は収容部26の両端面に着脱可能に設けられている。つまり、紐部27,27の両端部及び、収容部26の両端面の縁側の所定位置には面ファスナー29、29が設けられており、紐部27,27を収容部26から着脱可能にしている。したがって、平常時、目隠し部材20を収容した収容袋25をマンホール50内に保管する場合、紐部27,27の一端部又は両端部を収容部26から分離し、マンホール50の壁面に設けられている固定梯子51に収容袋25を釣止することが出来る。
【0097】
図17は本発明に係る便所システムの災害発生時における構成を示す構成図である。以下、災害発生時における本発明に係る便所システムの設置方法について説明する。
【0098】
まず、マンホール50の蓋体40を受枠41から取り出し、蓋体40の裏面に釣止されている便器収容袋38及び、マンホール50の固定梯子51に釣止されている収容袋25を引き上げる。蓋体40の雄螺子46,46,…を外して中蓋板42を取り外す。次いで、雄螺子47,47,…を外して蓋体40の裏面に取付けられている治具48,48を取り外す。取り外された治具48,48を、雄螺子47,47,…を用いて蓋体40の表面に取付ける。水源10の客土層14の中、客土層14と土留め部材16との間等の所定の場所には、雄螺子46,46,…又は雄螺子47,47,…を外すための工具の保管場所を設けておくことが望ましい。
【0099】
便器収容袋38から、便器30、バケツ53、ホース52及びトイレットペーパ54を取り出す。便器30の取付部37の嵌合凹部34,34,34,34を治具48,48に合わせて嵌合させて便器30を配置し、前記トイレットペーパ54は保持部材24に保持させる。前記バケツ53は、組み立てて便器30の側に置いておく。
【0100】
次いで、収容袋25から目隠し部材20を取り出し、組み立てる。便器30及び、便器30を利用する利用者を覆い隠すように、組み立てられた目隠し部材20を配置する。
【0101】
ホース52の一端部をホース連結部18に連結することにより、水源10の雨水貯留槽1,1,…に貯留されている雨水を目隠し部材20内のバケツ53まで引いてくる。水源10は地上に設置されているので、貯留されている雨水を汲み上げる必要がなく、貯留された雨水は自重によりホース52を介してバケツ53へ流れていく。ホース52の他端部には例えば、ピンチコック(PinchCock),ホースクリップ等を設け、雨水の流れの断続を行う。
【0102】
便器30の利用者は、便器30を利用した後、前記バケツ53に貯留されている雨水を用いて手を洗うことが出来る。手洗いに使用された雨水は、便器30の流し水として便器30の排出路35に流し込まれる。前記雨水は排出路35及び排出口43を介してマンホール50と繋がっている下水路60に落ちる。この際、雨水は、排出路35の内側にくっ付いている排泄物を落す。また、雨水は、高所から落下する力で下水路60の底の排泄物を細かくして流れ易い状態にすると共に、自ら水の流れを形成して排泄物を下水路60に沿って流す。従って、災害発生の際、断水により下水量が激減した中で便所を使用する場合においても、下水路60の底に排泄物が上積もることを防ぐ。
【0103】
本実施の形態においては水源10からの雨水を一旦バケツ53に貯留し、手洗い用水として使用した後に便器30の流し水として使用する場合について説明したが、これに限るものでない。例えば、ホース52の他端部が、便器本体31を貫通して排出路35に連通されるように構成することによって、水源10からの雨水を直接便器30の流し水として使用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明に係る便所システムの要部構成を示す模式図である。
【図2】本発明の便所システムに係る水源を模式的に示す一部破断縦断面図である。
【図3】本発明の便所システムに係る雨水貯留槽を示す斜視図である。
【図4】本発明の便所システムに係る間隔保持部材を示す斜視図である。
【図5】本発明の便所システムに係る便器を示す斜視図である。
【図6】便器の蓋を開けた状態の縦断面図である。
【図7】便器収容袋に便器が収容された状態を示す模式図である。
【図8】平常時における便器の保管方法を説明する説明図である。
【図9】本発明の便所システムに係る蓋体の表面を示す斜視図である。
【図10】便器収容袋が蓋体の裏面に釣止された状態における蓋体の裏面を示す斜視図である。
【図11】中蓋板が外された状態を説明する説明図である。
【図12】本発明の便所システムに係る治具を用いて蓋体の表面に便器を設置し、蓋を開けた状態の平面図である。
【図13】治具を用いて蓋体の表面に便器を設置し、蓋を開けた状態の側面図である。
【図14】本発明の便所システムに係る目隠し部材が組み立てられた場合において布材の一部を省略した状態を示す斜視図である。
【図15】目隠し部材が収容される収容袋の斜視図である。
【図16】平常時における目隠し部材の保管方法を説明する説明図である。
【図17】本発明に係る便所システムの災害発生時における構成を示す構成図である。
【符号の説明】
【0105】
1 雨水貯留槽
4a,4b,4c 補強リブ
5 間隔保持部材
6a,6b,7a,7b 通気・通水路
10 水源
14 客土層
19 腐朽チップ
20 目隠し部材
24 保持部材
25 収容袋
30 便器
38 便器収容袋
40 蓋体
43 排出口
48 治具
50 マンホール
54 トイレットペーパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向に貫通する穴を有するマンホールの蓋体及び該蓋体の上に配設される便器を含む便所システムにおいて、
水源を備え、
該水源からの水を前記便器の流し水として用いるように構成してあることを特徴とする便所システム。
【請求項2】
前記水源は、
雨水を貯留する雨水貯留槽と、
該雨水貯留槽の上側に設けられ、植物が植えられる客土層と、
前記雨水貯留槽及び客土層の間に設けられ、上下に貫通する複数の通水路を有する間隔保持部材と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の便所システム。
【請求項3】
前記雨水貯留槽は、側面に補強リブを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の便所システム。
【請求項4】
前記客土層は、木材チップ100質量部と、米ぬか10〜35質量部と、窒素肥料10〜35質量部とを混合し、腐朽させてなる腐朽チップを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の便所システム。
【請求項5】
前記水源は、一又は複数の雨水貯留槽を備えており、
各雨水貯留槽は、雨水貯留槽同士が連通可能に構成されてあることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の便所システム。
【請求項6】
前記便器は、前記マンホール内に収容可能に構成されてあることを特徴とする請求項1に記載の便所システム。
【請求項7】
前記蓋体に着脱可能な便器配設用の治具を備え、
該治具に前記便器が嵌合されるように構成してあることを特徴とする請求項1又は請求項6に記載の便所システム。
【請求項8】
前記便器を利用する利用者を隠す目隠し部材を備えてあることを特徴とする請求項1に記載の便所システム。
【請求項9】
前記目隠し部材は折り畳まれ、前記マンホール内に収容可能に構成されてあることを特徴とする請求項1又は請求項8に記載の便所システム。
【請求項10】
前記目隠し部材は自ら組み立てられるポップアップ式であることを特徴とする請求項1、請求項8又は請求項9のいずれか一つに記載の便所システム。
【請求項11】
前記目隠し部材はトイレットペーパを保持する保持部材を備えていることを特徴とする請求項1、請求項8、請求項9又は請求項10のいずれか一つに記載の便所システム。
【請求項12】
前記便器、治具又は目隠し部材を収納する一又は複数の収納部材を備え、
該収納部材が前記蓋体の裏側に釣止されるように構成してあることを特徴とする請求項1、請求項6又は請求項8のいずれか一つに記載の便所システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−169544(P2008−169544A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−791(P2007−791)
【出願日】平成19年1月5日(2007.1.5)
【出願人】(506393477)
【出願人】(000205627)大阪府 (238)
【Fターム(参考)】