説明

保存容器およびその報知方法

【課題】加熱から保存、そして再加熱といった一連の流れを考慮し、調理および保存の温度管理、時間管理を容易に行える保存容器を実現すること。
【解決手段】調理物またはその保存容器の温度を検知する温度検知手段2は検知温度が加熱調理判定温度を通過したことを検出してから計時手段3をスタートさせ、報知手段4は計時手段3の計時時間を加熱調理してからの経過時間として報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理物の加熱調理から保存までの温度管理、時間管理を行う保存容器(鍋を含む)およびその報知方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の保存容器およびその報知方法は、加熱調理が上手にできるように、調理具(鍋)に温度検知手段を設けて調理時の加熱温度を知らせるものがある。また、この温度を加熱調理機器に伝達して温度制御を行わせるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、保存容器に温度検出手段を設けて保存時の温度を知らせる発明がある(例えば、特許文献2参照)。また、保存中の最高温度または最低温度を記憶して知らせるものがある(例えば、特許文献3参照)。また、保存容器の蓋に調理日や保管日の日付を使用者が記録できるようにした保管容器が販売されている。
【0004】
特許文献1に記載された従来の誘導加熱調理器は、加熱調理時のみを想定したもので調理具に内容物の温度検知可能なワイヤレスプローブを備え、加熱調理の温度制御をおこなうようにしている。特許文献2に記載された保管装置は、保存時のみを想定したもので冷蔵庫などの保存装置において、保管装置本体と保存容器間で通信をおこない保存された物に関する保存期限や温度などの保存状態を把握できるようにしている。特許文献3に記載された食品用保存容器は、保存時のみを想定したもので食品保存容器に日付目盛と低温表示及び高温表示部を備えている。
【特許文献1】特開平3−25885号公報
【特許文献2】特開2001−41628号公報
【特許文献3】登録実用新案第3000625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1の誘導加熱調理器は加熱調理時の調理具内の温度管理をするものであり、前記特許文献2の保管装置、前記特許文献3の食品用保存容器、他は、冷蔵庫などに保存する物の保存時の温度管理や日付管理に関するものである。
【0006】
しかしながら、調理から食事への流れをみてみると、加熱調理するときに使う鍋類があり、食事のときに盛りつける皿類があり、冷蔵庫に保存するときに使う保存容器類がある。
【0007】
したがって、一つの料理について鍋から皿へ、皿から保存容器へと移し替えが発生し、その都度、鍋、皿、保存容器の洗いものが発生する。
【0008】
また必然的に家庭に多数の皿、保存容器が存在する。
【0009】
日本には鍋文化がある。鍋で加熱調理し、その鍋をキッチンテーブルに置いて食事をし、その鍋のままで冷蔵庫に保存する。
【0010】
このように調理機器具である鍋をそのまま食事、保存に用いることはカレーやシチュー、煮込み料理、汁物にも見られる。これは皿、保存容器の使用数を減らし、食器洗いで消費する資源を減らし地球に優しい食文化と考えることができる。
【0011】
本発明は、料理を加熱調理した後、そのまま冷凍庫または冷蔵庫で保存する場合に用いる保存容器(鍋のような調理機器具を含む)を考慮している。また、料理を冷凍・冷蔵庫で保存した後、電子レンジやコンロを使って再加熱する場合に用いる保存容器を考慮している。
【0012】
一例をあげれば、加熱調理した後、食事の際に食べきれなかった料理を保存容器に入れて冷凍・冷蔵庫に保管している。この際に、調理者(主婦など)はいつ調理した料理なのかを記憶(または記録)するが、保存物が増えるとともに大変手間のかかる作業になる。
【0013】
また、冷凍・冷蔵保存された料理は電子レンジやコンロで再加熱して食べるが、それでも食べきれなかった場合には再び保存容器に入れて保存するので、調理した日に加えて再加熱した日も記憶・記録するとなると、いつ火を通した料理なのかを把握することはほぼ困難になる。
【0014】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、加熱から保存、そして再加熱といった一連の流れを考慮し、調理および保存の温度管理、時間管理を容易に行える保存容器およびその報知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記従来の課題を解決するために、本発明の保存容器およびその報知方法は、調理物またはその保存容器の温度を検知する温度検知手段の前記検知温度が加熱調理判定温度を通過したことを検出してから計時手段をスタートさせ、報知手段は前記計時手段の計時時間を加熱調理してからの経過時間として報知するとしたものである。
【0016】
これによって、加熱調理してからの経過時間を調理者に報知することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の保存容器およびその報知方法は、加熱調理を検知して計時するので、調理者は特別な操作をすることなく加熱調理してからの経過時間を知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
第1の発明は、調理物またはその保存容器の温度を検知する温度検知手段は検知温度が加熱調理判定温度を通過したことを検出してから計時手段をスタートさせ、報知手段は計時手段の計時時間を加熱調理してからの経過時間として報知するとすることにより、調理物またはその保存容器の温度によって加熱調理時を検知して計時するので、加熱調理してからの経過時間を報知することができる。
【0019】
第2の発明は、特に、第1の発明の報知手段を加熱調理後の調理物またはその保存容器の検知温度が冷凍・冷蔵可能温度範囲内に入ったときに冷凍・冷蔵可能を報知することにより、冷凍・冷蔵庫に入れることができる温度に入ったら(下がったら)報知するので、入れるのが早すぎて冷凍・冷蔵庫に負担をかけたり、入れるのが遅くて調理物がいたむのを防ぐことができる。
【0020】
第3の発明は、特に、第1の発明の報知手段を加熱調理後に計時時間が所定時間を過ぎても調理物またはその保存容器の検知温度が保存適温範囲内に入らない場合に保存注意を報知することにより、所定時間を過ぎても保存に適する温度になっていないことを報知するので、食中毒を防ぎ調理物を冷凍・冷蔵庫に入れ忘れることがない。
【0021】
第4の発明は、特に、第1の発明において、少なくとも計時手段と報知手段とを保存容
器の蓋または保持部に備え、蓋または保持部を保存容器本体から着脱可能とすることにより、誘導加熱調理機器や電子レンジでの加熱時に計時手段、報知手段を取り外して熱や電磁波から回避することができる。
【0022】
第5の発明は、特に、第4の発明において、蓋または保持部は複数の保存容器に着脱可能とし、計時手段および報知手段は複数の保存容器を識別して計時し報知することにより、計時手段と報知手段は、複数の保存容器の蓋または保持部(取っ手など)に備えることができ、複数の保存容器で共用し保持部のみで管理することができる。
【0023】
第6の発明は、加熱調理機器からの電磁波を検出する電磁波検知手段を備えて、前記電磁波検知手段は電磁波の有無を検出してから計時手段をスタートさせ、報知手段は前記計時手段の計時時間を加熱調理してからの経過時間として報知する保存容器とすることにより、電磁波によって加熱調理を検知して計時するので、誘導加熱調理機器や電子レンジを用いた場合の加熱調理を確実に検知して、経過時間を報知することができる。
【0024】
第7の発明は、調理物またはその保存容器の温度を検知する温度検知手段によって検知温度が加熱調理判定温度を超えたことを検出してから計時手段をスタートさせ、計時手段の計時時間を加熱調理してからの経過時間として報知手段で報知する保存容器の報知方法とすることにより、温度によって加熱調理を検知して計時するので、加熱調理してからの経過時間を報知することができる。
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0026】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における保存容器およびその報知方法の保存容器の構成を示すものである。
【0027】
図1において、保存容器1は、調理物またはその保存容器の温度を検知する温度検知手段2、時間を計測する計時手段3、検知温度が加熱調理判定温度を超えたことを検出してから計時手段3をスタートさせ、その計時時間を加熱調理してからの経過時間として報知する報知手段4(表示や音による報知)を備える。
【0028】
本実施の形態の保存容器1は、計時手段3、報知手段4を保持部(取っ手)5に内蔵し、ガスコンロや電磁誘導加熱式調理機器(IHクッキングヒータなど)やマイクロ波加熱調理機器(電子レンジなど)で加熱調理しながら温度検出可能な保存容器である。
【0029】
図2は、本発明の第1の実施の形態における保存容器およびその報知方法の保存容器の別の構成図を示す。
【0030】
図2において、温度検知手段2は赤外線などにより温度を検知するようにしたものである。
【0031】
温度検知手段2は、調理物や保存容器の温度を図1のように熱電対や水銀など直接検知する方式でも、図2のように赤外線などによって間接的に検知する方式でもよい。本発明は温度検知手段の検知方式によらない。
【0032】
以上のように構成された保存容器およびその報知方法について、以下その動作、作用を説明する。
【0033】
図3は、本発明の第1の実施の形態における保存容器およびその報知方法の保存容器の報知方法のフローチャートを示すものである。図4は、本発明の第1の実施の形態における保存容器およびその報知方法の保存容器の温度推移と報知点を示す図である。
【0034】
図3において、S1は温度検知手段2により調理物または保存容器1の温度を検知する。
【0035】
S2〜S3において、検知した温度が加熱調理判定温度を通過したときに、加熱調理したと判断して計時手段3をリセットスタートする。
【0036】
そして報知手段4によりその計時時間、すなわち加熱調理してからの経過時間と検知温度を報知する。報知の方法として、液晶やLEDによる表示のほかに音声案内、ブザー音でもよい。
【0037】
このリセットスタートのタイミングを図4を用いて説明する。図4の縦軸は加熱調理したときの調理物または保存容器の温度、横軸は時間を示す。
【0038】
図4において、加熱調理しているあいだ温度は上昇し、加熱調理を終えると温度は下降する。加熱調理判定温度をたとえば80℃以上とする(これに限るものではない)と、加熱中は温度上昇してこの温度を通過する(図4中のa0)。そして加熱調理を終えると温度が下降し、再び加熱調理判定温度を通過する(a1)。
【0039】
温度検知手段2が検知した温度が加熱調理判定温度を通過したときに、加熱調理したと判断して計時手段3をリセットスタートするので、図4中のa0とa1の2回のポイントで計時手段をリセットスタートする。したがって、a0からの経過時間を報知手段で報知した後、さらにa1からの経過時間を報知手段4で報知することになる。
【0040】
あるいは、温度下降しているときの加熱調理判定温度の通過a1のみを検出するようにしてもよい。
【0041】
a0で加熱調理判定し計時してもよいが、長時間の煮物料理などのときにa0とa1との時間差(数十分〜数時間)が大きくなるので、後述するように経過時間によって保存を考えたときにはa1で加熱調理判定をするほうが望ましい。
【0042】
また、a0とa1との時間差を計時して、この時間差がたとえば1分間以上でなければ十分に加熱調理されていない(熱による殺菌が十分でない)と判断してa1のときにそれを報知手段4で報知してもよい。
【0043】
以上のように、本実施の形態においては調理物またはその保存容器の温度を検知する温度検知手段は検知温度が加熱調理判定温度を通過したことを検出してから計時手段をスタートさせ、報知手段は計時手段の計時時間を加熱調理してからの経過時間として報知することにより、調理者は特別な操作をすることなく加熱調理してからの経過時間を知ることができる。
【0044】
次に、S4〜S6で温度検知手段2により調理物または保存容器の温度推移を検知し、検知した温度が冷凍・冷蔵可能温度範囲内に入ったときに、冷凍・冷蔵可能なことを報知手段4により報知する。
【0045】
冷凍・冷蔵可能温度範囲とは、熱い調理物を冷ましてこの温度範囲にあれば冷凍・冷蔵庫に入れて保存しても構わない温度範囲である。この温度範囲を超えたものを冷凍・冷蔵
庫に入れると冷凍・冷蔵庫に負荷がかかり省エネルギーによくない。
【0046】
本実施の形態では冷凍・冷蔵可能温度範囲としたが、冷凍庫の冷凍可能温度範囲と冷蔵庫の冷蔵可能温度範囲とに分けてもよい。
【0047】
図4では、冷凍・冷蔵温度可能範囲をたとえば20℃とするとbのポイントである。このときに報知手段4(表示や音)により調理者に報知するので、冷凍・冷蔵庫に入れて保存するタイミングを知らせることができる。
【0048】
次に、S7〜S10で温度検知手段2により調理物または保存容器の温度推移を検知し、計時時間が所定時間を超えたときに保存適温範囲内に入っているかどうかを判断する。保存適温範囲内でないときは保存注意を報知手段4により報知する。
【0049】
保存適温範囲とは、食中毒菌が増殖しないことを考慮した保存に適した温度である(たとえば10℃以下)。所定時間(たとえば2時間)を過ぎてもこの温度範囲に入っていない場合は、常温で調理物を保存しようとしている、冷蔵庫に入れ忘れている等が考えられるのでこれを報知する。
【0050】
ここで本実施の形態では、所定時間を加熱調理判定を起点にして計時することで、調理後に食事して後片付けのタイミングをはかることができる。
【0051】
図4では、所定時間を2時間とした。カレーやシチュー、煮込み料理や汁物を加熱後2時間して食べるということは考えにくいが、所定時間は初期設定のほかに調理者がカスタマイズ設定するようにしてもよい。
【0052】
所定時間後の調理物または容器の温度が図4中のcであるとき、10℃以上であるので報知手段4(表示や音)により調理者に報知して、冷凍・冷蔵庫に入れて保存する必要があることを知らせる。
【0053】
図4bのポイントで冷凍・冷蔵庫に入れて保存するタイミングを知らせた後、冷凍・冷蔵庫に保存した場合は図4の破線のように温度が急に下降するので、所定時間のときに保存適温範囲に入っている。
【0054】
冷凍・冷蔵庫に保存中も経過時間を報知手段4で表示するので、調理者は保存している調理物がいつ(たとえば何日前に)調理したかを知ることができる(S11)。
【0055】
また、冷凍・冷蔵庫に保存した調理物を食べるために再加熱した場合は、検知温度が再び加熱調理判定温度を超えたら経過時間をリセットスタートする。つまり、再加熱調理は図4を繰り返すことになり、火を通してから経過時間を報知手段4で報知することができる。
【0056】
あるいは、計時手段3と報知手段4は、ストップウオッチのスプリットタイム計測のように、最初の加熱調理判定a1(またはa0)を起点にして、2回目以降の加熱調理判定毎にそのスプリットタイムを記録して報知することも可能である。このようにすれば、その保存容器の調理物がいつ調理されて、何回再加熱をしたか、それはいつであったかが調理者にわかる。
【0057】
なお、報知手段4による経過時間は加熱調理判定した日時であっても構わない。
【0058】
上記の実施の形態では、保存容器を調理に利用して加熱調理可能な保存容器で説明した
が、通常の保存容器でも本発明は実施可能である。
【0059】
ほかの鍋などで加熱調理した後、保存容器1に調理物を移した時点で温度検知手段2の検知温度は上昇する。加熱調理判定温度を80℃より低くして、たとえば40℃程度にすれば食事後に残った調理物を保存容器1に移したときでも加熱調理判定温度を通過したことを検出してから計時手段3をスタートさせ、経過時間を報知することができる。
【0060】
この場合に図4のa1(温度下降時の通過点)よりもa0(温度上昇時の通過点)を採用すれば保存容器に移してからの経過時間に近い時間を報知することができる。
【0061】
以上をふまえて、加熱調理判定温度が比較的高い保存容器にはa1を採用し、比較的低い(加熱調理できない)保存容器にはa0を採用してもよい。
【0062】
さて、温度検知部2、計時手段3、報知手段4を備えた保持部5であるが、保存容器1から脱着可能としてもよい。
【0063】
脱着可能とする利点として、冷凍・冷蔵庫で保存するときに保持部5を取り外すことで収納しやすくなり庫内を広く使えるほか、電子レンジで再加熱するときに保持部が邪魔にならない、また、電子レンジによってマイクロ波加熱するときに各手段を取り外して電磁波から回避することができる。
【0064】
このとき、加熱中の調理温度を検出するのであれば温度検知手段2は保存容器1側に残し、計時手段3と報知手段4を保持部5に備えて着脱可能とする。再加熱中の調理温度を検出しなくても電子レンジから取り出すときに保持部5を装着するのでそのときに温度検知して加熱調理判定するのであれば温度検知手段2も保持部5に備えて着脱可能とすればよい。これはガスコンロや電磁誘導加熱式調理機器で加熱する場合でも同じである。
【0065】
着脱可能とする利点として、そのほかに、保持部5を複数の保存容器で共用することができる。たとえば図5のように、一つの保持部5で保存容器1a〜1cに用いることができる。
【0066】
実際に、保存容器を冷凍・冷蔵庫に保存するときや電子レンジで再加熱するときは保持部を取り外し、ガスコンロや電磁誘導加熱式調理機器で同時に加熱調理を行うときの加熱口数は限られているので、一家庭に必要な保持部は1〜2個と考えられる。
【0067】
そして、保持部5は複数の保存容器を識別して計時し報知することで、複数の保存容器1a〜1cの在庫管理が可能となる。
【0068】
すなわち、冷凍庫や冷蔵庫に保存している複数の保存容器について、保持部によって各保存容器の経過時間を報知手段で確認することで、調理者は冷凍・冷蔵庫のそれぞれの扉を開閉して保存容器の中身を見て、それがいつ調理したものであるかを調べる必要がなくなる。また保持部を共用するので複数の保存容器を所有するときは安価になる。
【0069】
保持部が複数の保存容器を識別する方法として、たとえば、個別の識別符号を持った無線タグを各保存容器に備え、保持部に備える無線タグリーダで各無線タグの識別符号を読み取る方法がある。無線タグには温度センサ付きの無線タグがあり、本発明の温度検知手段を温度センサ付きの無線タグを用いれば温度検知とあわせて保存容器の識別を行うことは困難ではない。
【0070】
また、無線タグの代わりにバーコードシールを各保存容器に貼って、保持部に備えるバ
ーコードリーダでそれを読み取る方法や、保持部の着脱機構に保存容器の識別機能を持たせる方法でもよい。
【0071】
(実施の形態2)
図6は、本発明の第2の実施の形態における保存容器およびその報知方法の保存容器の構成図を示すものである。
【0072】
実施の形態1の図1と比較すると、図1では温度検知手段2、計時手段3、報知手段4は保存容器1の保持部5に備えていたが、図6では保持部を小さくして温度検知手段2、計時手段3、報知手段4を保存容器1の蓋6に備えるものである。
【0073】
温度検知手段2は、図6のように直接検知式にして蓋6と一緒に保存容器本体1から着脱可能とした構成としている。
【0074】
図7は、本発明の第2の実施の形態における保存容器およびその報知方法の保存容器の別の構成図を示す。図7に示すように温度検知手段2は赤外線など間接検知式にしてもよい。
【0075】
以上のように構成された保存容器およびその報知方法について、以下その動作、作用を説明する。
【0076】
図3の第1の実施の形態における保存容器およびその報知方法の保存容器の報知方法のフローチャート、図4の第1の実施の形態における保存容器およびその報知方法の保存容器の温度推移と報知点を示す図と同様に以下の動作を行う。
【0077】
1)調理物またはその保存容器の温度を検知する温度検知手段2は検知温度が加熱調理判定温度を通過したことを検出してから計時手段3をスタートさせ、報知手段4は計時手段3の計時時間を加熱調理してからの経過時間として報知する。加熱調理してからの経過時間を報知することができる。
【0078】
2)加熱調理後の調理物またはその保存容器の検知温度が冷凍・冷蔵可能温度範囲内に入ったときに冷凍・冷蔵可能を報知する。保存容器を入れるのが早すぎて冷凍・冷蔵庫に負担をかけたり、入れるのが遅くて調理物がいたむのを防ぐことができる。
【0079】
3)加熱調理後に計時時間が所定時間を過ぎても調理物またはその保存容器の検知温度が保存適温範囲内に入らない場合に保存注意を報知する。所定時間を過ぎても保存に適する温度になっていないことを報知するので、食中毒を防いだり、調理物を冷凍・冷蔵庫に入れ忘れることがない。
【0080】
4)実施の形態1と同様に、保存容器1の蓋6を保存容器本体から着脱可能とし、電子レンジでの加熱時に温度検知手段2、計時手段3、報知手段4を取り外して熱や電磁波から回避することができる。電子レンジの加熱時に蓋が必要な場合は食品包装用ラップフィルムをする。
【0081】
そして、蓋6は複数の保存容器に着脱可能なので、温度検知手段2、計時手段3および報知手段4は複数の保存容器を識別して計時し報知し一括管理することができる。
【0082】
(実施の形態3)
図8は、本発明の第3の実施の形態における保存容器およびその報知方法の保存容器の構成図を示すものである。
【0083】
実施の形態1の図1と比較すると、図1の温度検知手段2の代わりに、電磁波検知手段8を備えている。
【0084】
電磁波検知手段8は、たとえば検出したい電磁波の波長にあわせたアンテナと、そのアンテナ・コイルに流れる電流を検出するセンサから構成される。
【0085】
以上のように構成された保存容器およびその報知方法について、以下その動作、作用を説明する。
【0086】
電磁誘導加熱調理機器(IHクッキングヒータ)やマイクロ波加熱調理機器(電子レンジ)で加熱調理するときの電磁波の有無を検出してから計時手段3をスタートさせ、報知手段4は計時手段3の計時時間を加熱調理してからの経過時間として報知する。
【0087】
この構成はガスコンロには有効でないが、オール電化住宅などでIHクッキングヒータと電子レンジを使用する場合には、電磁波の有無、すなわち加熱調理機器の動作を間接的に検知することができるので、温度検知による加熱調理判定以上に正確に短時間で判定することができる。
【0088】
また、図示しないが、温度検知手段2と電磁波検知手段8と両方を保存容器に備えて、それぞれの検知結果のAND演算またはOR演算して加熱調理判定を行わせるとより精度が高められる。
【0089】
なお、本実施の形態では報知手段は液晶表示やLED表示、ブザー音や音声報知で説明したが、この報知手段に通信システムを用いてもよい。
【0090】
すなわち、保存容器の保持部(または蓋)の報知手段に送信手段を備え、報知信号を無線通信で送信する。この報知信号を受信する受信手段を加熱調理機器本体や冷凍・冷蔵庫に組み込んだり、キッチンに設置する情報報知装置(たとえばパソコンやリモコン)に組み込んでも良い。
【0091】
このようにすることで、報知手段の構成の一部を保存容器から離して加熱調理の熱や電磁波から回避することができるし、保存容器の保持部や蓋に報知手段を設けるのと比べて制約(表示部の大きさや操作スイッチの設置スペースや回路の消費電力)が小さくなる。調理者は各保存容器の経過時間を確認することがより容易になる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上のように、本発明にかかる保存容器およびその報知方法は、保存容器に限らず、加熱調理に用いる鍋やフライパンやヤカン、調理物を盛りつける皿やコップなど調理機器具に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施の形態1における保存容器およびその報知方法の保存容器の構成図
【図2】本発明の実施の形態1における保存容器およびその報知方法の保存容器の別の構成図
【図3】本発明の実施の形態1における保存容器およびその報知方法の保存容器の報知方法のフローチャート
【図4】本発明の実施の形態1における保存容器およびその報知方法の保存容器の温度推移と報知点を示す図
【図5】本発明の実施の形態1における保存容器およびその報知方法の複数の保存容器の構成図
【図6】本発明の実施の形態2における保存容器およびその報知方法の保存容器の構成図
【図7】本発明の実施の形態2における保存容器およびその報知方法の保存容器の別の構成図
【図8】本発明の実施の形態3における保存容器およびその報知方法の保存容器の構成図
【符号の説明】
【0094】
1 保存容器
2 温度検知手段
3 計時手段
4 報知手段
5 保持部
6 蓋
7 電磁波検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理物またはその保存容器の温度を検知する温度検知手段は前記検知温度が加熱調理判定温度を通過したことを検出してから計時手段をスタートさせ、報知手段は前記計時手段の計時時間を加熱調理してからの経過時間として報知する保存容器。
【請求項2】
前記報知手段は、加熱調理後の前記調理物またはその保存容器の検知温度が冷凍・冷蔵可能温度範囲内に入ったときに冷凍・冷蔵可能を報知する請求項1に記載の保存容器。
【請求項3】
前記報知手段は、加熱調理後に前記計時時間が所定時間を過ぎても前記調理物またはその保存容器の検知温度が保存適温範囲内に入らない場合に保存注意を報知する請求項1に記載の保存容器。
【請求項4】
少なくとも前記計時手段と前記報知手段とを前記保存容器の蓋または保持部に備え、前記蓋または保持部を前記保存容器本体から着脱可能とした請求項1に記載の保存容器。
【請求項5】
前記蓋または保持部は複数の保存容器に着脱可能とし、前記計時手段および前記報知手段は前記複数の保存容器を識別して計時し報知する請求項4に記載の保存容器。
【請求項6】
加熱調理機器からの電磁波を検出する電磁波検知手段を備えて、前記電磁波検知手段は電磁波の有無を検出してから計時手段をスタートさせ、報知手段は前記計時手段の計時時間を加熱調理してからの経過時間として報知する保存容器。
【請求項7】
調理物またはその保存容器の温度を検知する温度検知手段によって前記検知温度が加熱調理判定温度を超えたことを検出してから計時手段をスタートさせ、前記計時手段の計時時間を加熱調理してからの経過時間として報知手段で報知する保存容器の報知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−214042(P2010−214042A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67436(P2009−67436)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】