保温釜
【課題】より少ない距離移動で操作手段の操作を確実に検知できる保温釜を提供する。
【解決手段】本発明は、本体1と、本体1に対し自動的に開く蓋体21と、この蓋21を閉状態に保持するロック手段としてのフレーム54と、操作手段としての蓋開ボタン27とを備え、蓋開ボタン27を押動操作したときに、磁性体である磁石44に対する位置変化を検知手段であるホール素子42が検知して、フレーム54のロック機能を解除させる保温釜において、磁石44からの磁束が最大になる方向を避けた位置にホール素子42が配置されるように、ホール素子42に対して角度を付けて磁石44を設置する。
【解決手段】本発明は、本体1と、本体1に対し自動的に開く蓋体21と、この蓋21を閉状態に保持するロック手段としてのフレーム54と、操作手段としての蓋開ボタン27とを備え、蓋開ボタン27を押動操作したときに、磁性体である磁石44に対する位置変化を検知手段であるホール素子42が検知して、フレーム54のロック機能を解除させる保温釜において、磁石44からの磁束が最大になる方向を避けた位置にホール素子42が配置されるように、ホール素子42に対して角度を付けて磁石44を設置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば室内で使用する保温釜に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の保温釜として、例えば特許文献1には、本体と鍋が別体となっており、鍋の有無を鍋無し検知手段で検知するものが開示されている。
【0003】
また別な特許文献2には、操作手段を備えた保温釜が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−296059号公報
【特許文献2】特開2006−204611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術において、前記操作手段の操作を検知する手段として、磁性体の位置を決め、そこから操作手段の操作に伴い磁性体の距離を変動させるようにしている。しかし、この場合には、ある程度の磁性体の距離移動がないと、検知できなかった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み、本発明の目的は、より少ない距離移動で操作手段の操作を確実に検知できる保温釜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1における保温釜は、本体と、当該本体に対し自動的に開く蓋と、この蓋を所定状態に保持するロック手段と、操作手段とを備え、前記操作手段を操作したときに、磁性体に対する位置変化を検知手段が検知して、前記ロック手段を解除させる保温釜において、前記検知手段に対して角度を付けて前記磁性体を設置している。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、操作手段を少し操作するだけで、磁性体のより少ない距離移動で、検知手段が操作手段の操作を確実に検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施例における保温釜の断面図である。
【図2】同上、蓋閉時において、蓋開ボタンを押動操作していない状態の要部の拡大断面図である。
【図3】同上、蓋閉時において、1回目に蓋開ボタンを押動操作した状態の要部の拡大断面図である。
【図4】同上、蓋閉時において、2回目に蓋開ボタンを押動操作した状態の要部の拡大断面図である。
【図5】同上、電気的構成を示すブロック図である。
【図6】同上、時計表示を行なっている状態のLCDの正面図である。
【図7】同上、鍋無し報知を行なっている状態のLCDの正面図である。
【図8】同上、鍋無し報知を行なっている状態のLCDの正面図である。
【図9】同上、鍋無し報知を行なっている状態のLCDの正面図である。
【図10】同上、鍋無し報知を行なっている状態のLCDの正面図である。
【図11】同上、磁石からの磁束とホール素子との位置関係を示す説明図である。
【図12】従来の磁石とホール素子との位置関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明における保温釜の好ましい実施例を説明する。全体構成を模式的に示す図1において、1は本体、2は本体1の外郭を成す外枠で、外枠2の底部には、その開口を覆い本体1の底面外郭を形成する底板3が嵌合し固定されている。また、外枠2の内部には、有底筒状の鍋収容部4が配設され、この鍋収容部4に被炊飯物を収容する鍋5が着脱自在に装着される。鍋5の上部には、水平方向外側に延出したフランジ部6が形成されており、このフランジ部6の下面を外枠2の内周上端部に載置することで、鍋収容部4の内部にて鍋5が吊設状態に収容される。
【0011】
7は、鍋5の外側に設けられた加熱手段としての加熱コイルである。加熱コイル7は、鍋5の外底面部から外側面下部にかけて、鍋収容部4の外側に配置されており、この加熱コイル7に所定の高周波電流を供給することで、鍋5の外面に接合した磁性金属材料からなる発熱体(図示せず)を発熱させて、鍋5を電磁誘導加熱する構成となっている。また、鍋収容部4の開口する底部中央には、鍋温度検出手段たる鍋温度センサ8が設けられる。鍋温度センサ8は鍋5の外底面に当接しており、鍋5の温度を検出するようになっている。なお、加熱コイル7のような電磁誘導式に代わる加熱手段として、他に発熱ヒータなどの電熱式の加熱手段を用いてもよい。
【0012】
本体1の内部には、加熱コイル7に高周波電流を供給し、且つ加熱コイル7の加熱出力を調節するインバータ回路や、電源電圧を検知する電源電圧検知回路(図示せず)などを備えた加熱ユニット11が、基板13に実装されている。また、その他に本体1の内部には、本体1の前面に設けた操作パネル14に対向して制御ユニット15が設けられるとともに、電源電線巻取り機構に相当するコードリール16が、本体1の後方に位置して設けられる。
【0013】
21は、本体1ひいては鍋5の上面開口部を覆う蓋に相当する蓋体である。この蓋体21は、蓋体21の外表面を形成する外蓋22と、蓋体21の外周下部にあって、鍋5の上面開口部に対向しない部分を形成する外蓋カバー23と、蓋体21の下面(蓋体下面)をなし、鍋5の上面開口部に対向する部分を形成する蓋下面部材24とを主な構成部品としている。また、蓋下面部材24を覆うようにして、鍋5の上面開口部を直接覆う内蓋25が、蓋下面部材24に対し着脱可能に設けられる。蓋体21は、本体1の後方に設けたヒンジスプリングを有するヒンジ部26によって、本体1と軸支される。また、ヒンジ部26と反対側にある本体1の前側には、操作手段としての蓋開ボタン27が設けられており、この蓋開ボタン27と連結したクランプ(図示せず)が、本体1の前方部に係止することで、本体1に対し蓋体21が閉じた状態になり、内蓋25の外周下面が鍋5のフランジ部6上面に当接する一方で、この蓋開ボタン27を押動操作すると、蓋体21と本体1との係合が解除され、ヒンジ部26の付勢力によって蓋体21が自動的に開く構成となっている。
【0014】
蓋体21の内部には、蓋下面部材24または内蓋25を加熱する蓋加熱手段としての蓋ヒータ28と、内蓋25の上面に当接してこの内蓋25ひいては蓋体21の温度を検出する蓋温度検出手段としての蓋温度センサ29などが設けられる。なお、蓋温度センサ29は、内蓋25の温度ではなく、蓋下面部材24の温度を検出するようにしてもよい。蓋体21の略中央部には、鍋5内の蒸気を外部に放出するための蒸気口31が、外蓋22の上面より着脱自在に設けられる。
【0015】
次に、図2〜図4を参照しながら、本実施例における蓋体21と本体1の開閉構造について、さらに詳しく説明する。蓋体21には係合部に相当するクランプ34が配置される。このクランプ34は、蓋体21の内部に設けたクランプシャフト35を中心として、外蓋カバー25に対し回転自在に軸支される。蓋体21を開閉する蓋開ボタン27は、使用者が操作できるように蓋体21の前方上面から露出状態に配設される。蓋体21の内部には、クランプ34の基端部34Aを蓋開ボタン27側に付勢するバネなどのクランプ付勢手段36が設けられ、これにより蓋開ボタン27を常時上方に押し上げる力が作用するようになっている。
【0016】
クランプ34は、蓋開ボタン27に当接する基端部34Aの他に、外蓋カバー25の下面にあるクランプ用孔37を貫通して下方に突出する垂下部34Bと、クランプ34の実質的な先端部に相当し、垂下部34Bの下端を起点として、そこから本体1の内方に延出する係合部34Cとにより構成される。クランプ34はステンレスなどの金属部品で形成し、係合部34Cは略L字状とする。そうすることで、クランプ34を合成樹脂で構成する場合と比べ、強度の強いクランプ受け38との係合を得られる。また、保温釜ひいては本体1の正面側から見て、中央から左右の略均等位置に、前記クランプ34の係合部34Cを設ける。これらの垂下部34Bや係合部34Cは、クランプ34の下側にあって左右一対に設けられる。クランプ34の回転中心となるクランプシャフト35は、垂下部34Bの上端に沿うように配置され、係合部34Cは本体1の略前後方向に遥動する。
【0017】
一方、上枠2に設けたヒンジ部28の略反対側に位置して、該上枠2の前方には係合受部に相当するクランプ受け38が配設されており、蓋体21を本体1側に閉じようとすると、クランプ付勢手段36の付勢力により、クランプ34がクランプシャフト35を中心軸として回転し、当該クランプ受け38に係合することで、本体1に対し蓋体21を閉状態に保持するようになっている。クランプ受け38はステンレスなどの金属部品で形成する。そうすることで、クランプ受け38を合成樹脂で構成する場合と比べ、強度の強いクランプ34との係合を得られる。反対に蓋体21を開く場合には、蓋開ボタン27を押動操作し、クランプ34の基端部を下方に押下げてクランプ34を逆方向に回転させ、係合部44Cを本体1の前方に変位させて、クランプ34とクランプ受け38との係合を解除する。
【0018】
なお、ここでは蓋体21側にある可動するクランプ34を係合部といい、本体1側にある固定したクランプ受け38を係合受部としているが、蓋体21に固定した係合部を設け、本体1に可動する係合受部を設けてもよい。何れにせよ、これらのクランプ34およびクランプ受け38が、本体1と蓋体21との閉状態を保持するための係合手段を構成する。
【0019】
次に、蓋開ボタン27の変位を検知する検知手段の構成について説明する。蓋開ボタン27の裏(内)側部には、LED(図示せず)やホール素子42を実装した基板43が配設される。磁気検知素子としてのホール素子42は、蓋開ボタン27が押されていない状態では、外蓋22に設けた磁性体としての磁石44に対向して配設される。ホール素子42は、蓋開ボタン27を押動操作して、クランプ34とクランプ受け38との係合を解除しようとしたときに、磁石44から離れることにより、その動作を検知して検知信号を出力する。つまり、ここでのホール素子42と磁石44は、蓋開ボタン27の変化を検知する検知手段45として設けられる。なお、本実施例の磁石44は、クランプ34を軸支する蓋体21に設けられているが、検知手段45として本来の目的を発揮すれば、その限りではない。
【0020】
基板43は、基板ホルダー47と基板カバー48により囲まれた状態で取付けられる。これらの基板ホルダー47や基板カバー48は、基板43に実装されたLEDを外部に透光させるために、好ましくは透明部材で形成される。また、基板ホルダー47を取付けた側の反対側に位置して、基板カバー48の外面には、前述した蓋開ボタン27が取付け固定される。これにより、蓋開ボタン27と基板43は、基板ホルダー47や基板カバー48を含む一体的な可動部組立体として構成され、蓋開ボタン27の押動操作と共に、ホール素子42を実装した基板43も動くことになる。
【0021】
51は、前記クランプ34の移動を規制する阻害手段である、この阻害手段51は、電磁力により出没可能なプランジャー52を備えたソレノイド53と、プランジャー52と共に可動するフレーム54とにより構成され、プランジャー52が図2や図3に示すような後退位置にあるときに、前記基板ホルダー47に対向して突出するフレームロック片55が、フレーム54の一端側に設けられている。フレーム54は本来、鍋5と蒸気口31との間にあって、蓋体21の密閉度即ち鍋5内の圧力を調節する調圧弁(図示せず)を、必要に応じて開閉するためのものであり、プランジャー52が後退位置にあるときには、フレーム54の他端が調圧弁から離れて、当該調圧弁が鍋5と蒸気口31との間を閉塞し、逆にプランジャー52が図4に示すような進出位置にあるときには、フレーム54の他端が調圧弁を押し付けて、鍋5と蒸気口31との間を開放する。また、調圧弁により鍋5と蒸気口31との間を閉塞し、鍋5内を密閉した状態では、例えば炊飯時に加熱コイル7により鍋5内を加熱することで、大気圧を越えた圧力に鍋5内を加圧できると共に、例えば保温時に図示しない減圧ポンプで鍋5内の空気を外部に排出することで、大気圧未満の圧力に鍋5内を減圧できる。なお、前記調圧弁を含む調圧部や、減圧ポンプを含む減圧手段の構造については、詳しい説明を省略する。
【0022】
次に制御系統について、図5を参照しながら説明する。同図において、61は加熱制御手段で、これは前記鍋温度センサ8および蓋温度センサ29からの各温度情報や、前記蓋開ボタン27に設けたホール素子42の他に、鍋5が本体1に装着されているか否かを検知する鍋無し検知手段62からの検知信号と、操作パネル14に設けた操作スイッチ63からの操作信号を受けて、炊飯時および保温時に鍋5の底部を加熱する加熱コイル7と、蓋体21を加熱する蓋ヒータ28とを各々制御すると共に、前述したソレノイド53や、操作パネル14に設けた表示器としてのLCD65や、蓋開ボタン27や操作パネル14に設けたランプとしてのLED66を各々制御するものである。
【0023】
本実施例の加熱制御手段61は、鍋温度センサ8の検出温度に基づいて主に加熱コイル7が制御されて鍋5の底部を温度管理し、蓋温度センサ29の検出温度に基づいて主に蓋ヒータ28が制御されて蓋下面部材24ひいては内蓋25を温度管理するようになっている。加熱制御手段61は、自身の記憶手段(図示せず)に記憶されたプログラムの制御シーケンス上の機能として、炊飯時に前記鍋5内の被炊飯物を炊飯加熱する炊飯制御手段67と、保温時に鍋5内のご飯を所定の保温温度に保温加熱する保温制御手段68と、操作スイッチ63からの予約炊飯開始の指令を受けて、予め記憶手段に記憶された所定時間に鍋5内の被炊飯物が炊き上がるように炊飯制御手段67を制御する予約炊飯制御手段70を備えている。なお、前記所定時間は、操作スイッチ63の例えば時間キーや分キーを操作することで、適宜変更することができる。
【0024】
72は、加熱制御手段61からの制御信号を受けて、加熱コイル7に所定の高周波電流を供給する高周波インバータ回路などを内蔵した加熱コイル駆動手段である。またこれとは別に、加熱制御手段61の出力側には、当該加熱制御手段61からの制御信号を受けて蓋ヒータ28を駆動させる蓋ヒータ駆動手段73と、ソレノイド53をオンまたはオフにするソレノイド駆動手段75と、LCD65を駆動させるLCD駆動手段76と、LED66を駆動させるLED駆動手段77が各々設けられる。そして、前記炊飯制御手段67による炊飯時、および保温制御手段68による保温時には、鍋温度センサ8と蓋温度センサ29からの各温度検出により、加熱コイル7による鍋5の底部への加熱と、蓋ヒータ29による蓋体21への加熱が行なわれるように構成する。また、前記炊飯制御手段67による炊飯が終了し、鍋5内の被調理物がご飯として炊き上がった後は、保温制御手段68による保温に自動的に移行し、鍋温度センサ8の検知温度に基づき、ご飯を所定の保温温度(約70℃〜76℃)に保温するように構成している。
【0025】
ここで、LCD65の表示形態について、図6〜図10を参照しながらその詳細を説明する。LCD65は、4つの並設された7セグメント表示部65Aと、2番目と3番目の7セグメント表示部65Aの間に配設された上下一対のコロン表示部65Bとを組み合わせて構成される。そして、通常は7セグメント表示部65Aとコロン表示部65Bを用いて、時計の時刻や予約炊飯の時刻が表示される。一例として、図6は12時34分をLCD65にて示している(塗りつぶしの部分が点灯)。
【0026】
一方、操作スイッチ63の例えば炊飯開始キーや予約炊飯開始キーを操作したときに、鍋5が本体1に装着されてないいわゆる鍋無し状態を、鍋無し検知手段62が検知した場合には、加熱制御手段61がLCD65に対して、鍋無しを報知するための表示制御信号を出力する。図7〜図10は、そうした鍋無し報知の一例を示したものであるが、ここでは7セグメント表示部65Aのみを用いて、図7→図8→図9→図10の順に繰り返し表示を行ない、鍋5が本体1に入っていないことを視覚的にアピールする。またこれと同時に、加熱制御手段61は、LED66を点滅させて、鍋無しを知らせるための表示制御信号を、当該LED66に出力する。このLED66の点滅は、例えばLCD65の表示切換と連動して、例えば図7の状態では点灯させ、それ以降は、図8の状態で消灯,図9の状態で点灯,図10の状態で消灯させてもよいし、図7〜図10の各状態で、それぞれ一乃至複数回点滅させてもよい。さらには、LCD65の表示とは別にLED66を単独で非連動に点滅させてもよい。要は、ユーザがLCD65とLED66の報知によって、容易に鍋無しが理解できる表示形態であればよい。
【0027】
なお、鍋無し検知手段62の具体例としては、例えば加熱コイル7に通電した時の回生電流レベルから、鍋5が本体に装着されているか否かを検知することができる。この場合、負荷となる鍋5が本体1に装着されていれば、加熱コイル7への回生電流が大きくなり、鍋5が本体1に装着されていなければ、加熱コイル7への回生電流が小さくなることを利用して、回生電流レベルの違いから、鍋無しを検知できる。また、こうした手法の他に、例えば鍋5の装着・非装着に伴いオン,オフする機構スイッチなどを用いてもよい。
【0028】
このように本実施例では、鍋5と、この鍋5を加熱する加熱手段としての加熱コイル7と、時刻を表示する表示器としてのLCD65とを備えた保温釜において、鍋の無いことを鍋無し検知手段62が検知すると、これをLCD65で報知すると共に、このLCD65とは別に設けた点滅手段としてのランプであるLED66で点滅させる構成になっている。こうすると、本来は時刻を表示するためのLCD65を利用して、鍋無し状態をユーザに報知すると同時に、別なLED66も点滅させて視覚的にアピールすることで、ユーザが容易に鍋無し状態を理解することができる。
【0029】
次に、蓋開ボタン27を押したときの動作について説明する。図11は、本実施例における前記ホール素子42と磁石44との位置関係を示している。図中、矢印Aは磁石44から発生する磁束(磁力線)の方向を示している。また、蓋開ボタン27を押していない状態のホール素子42の位置が実線で示されており、蓋開ボタン27を押す途中で、その検知信号がオンからオフに切換わるホール素子42の位置が一点鎖線で示されている。
【0030】
一方、図12は、従来例における前記ホール素子42’と、蓋体21’の外蓋22’に取付けられた磁石44’との位置関係を示している。図中、蓋開ボタン(ここでは図示せず)を押していない状態のホール素子42’の位置が実線で示されており、蓋開ボタンを押す途中で、その検知信号がオンからオフに切換わるホール素子42’の位置が一点鎖線で示されている。なお、43’がホール素子42’を実装する基板で、これらが蓋開ボタンの押動操作に伴い、クランプシャフト35’を中心として回動する点は、従来例も同じである。
【0031】
図11と図12を比較すれば明らかなように、従来は磁石44’から発生する磁束(磁力線)が最も強くなる方向で、ホール素子42’と磁石44'との位置を決めていた。こうすると、蓋開ボタンを多少押動しても、ホール素子42’は磁石44’からの磁束の影響を受けてオフに切換わらず、図12の一点鎖線に示す位置までホール素子42’が移動しないと、ホール素子42’の検知信号がオンからオフに切換わらない。したがって、この場合は蓋開ボタンを操作していない初期位置から、ホール素子42’の検知信号が切換わるまでの距離変動が大きくなり、蓋開ボタンを押したのにも拘らず、ホール素子42’がこれを検知できない虞れが生じてくる。
【0032】
一方、本実施例では、蓋開ボタン27を押していない状態で、磁石44からの磁束が最大になる方向を避けた位置に、ホール素子42が配置されるように、ホール素子42に対して傾斜した角度で磁石44を設置している。こうすると、蓋開ボタン27を操作していない初期位置から、蓋開ボタン27を多少押動するだけで、ホール素子42は磁石44からの磁束の影響を受けなくなって、ホール素子42の検知信号がオンからオフに切換わる。つまり、この場合は、ホール素子42の検知信号がオンからオフに切換わるまでの距離変動が小さくなり、蓋開ボタン27の押動操作をホール素子42が確実に検知できる。
【0033】
そして、炊飯時において、加熱コイル7を通電して鍋5内を加熱しつつ、大気圧を越えて加圧する場合や、保温時において、図示しない減圧手段により、鍋5内を大気圧未満に減圧する場合は、ソレノイド53が通電(オン)状態になって、当該ソレノイド53のプランジャー52ひいてはフレーム54が後退位置に移動する。これにより、調圧弁が鍋5と蒸気口31との間を塞ぎ、鍋5内の密閉が確保される。また、フレームロック片55が、クランプ34の基端部34Aの下方に潜り込むので、クランプ34の回動が規制され、蓋開ボタン27を押動操作しようとしても、クランプ34とクランプ受け38との係合がロックされ、蓋体21が開かないようになる。すなわち、ここでのフレーム54は、蓋体21を閉状態に保持するロック手段として機能する。
【0034】
一方、保温時において、保温制御手段68は前記ホール素子42からの検知信号を受け付ける。すなわち、図2に示すように、鍋5内を大気圧未満に減圧している状態で、使用者が蓋体21を開けようと意図して蓋開ボタン27を押動操作しようとすると、クランプ34の基端部34Aがフレームロック片55に当たって、その回動を規制されてはいるものの、蓋開ボタン27がクランプ34の弾性などにより若干下方に押し込まれ、ホール素子42がマグネット44から少し離れた位置に移動する(図3)。このとき、ホール素子42からの検知信号がオンからオフに切換わったのを保温制御手段68が受けると、ソレノイド53がオフ状態になってプランジャー52が進出し、調圧弁を押し込んで鍋5と蒸気口31との間を開放する。それと共に、クランプ34に対するフレームロック片55の回動規制も解除され、蓋開ボタン27を再度押すことで、クランプ34とクランプ受け38との係合を解除して、蓋体21を開けることができるようになる(図4)。
【0035】
以上のように、本実施例では蓋体21と、この蓋21を閉状態に保持するロック手段としてのフレーム54と、操作手段としての蓋開ボタン27とを備え、蓋開ボタン27を押動操作したときに、磁性体である磁石44に対する位置変化を検知手段であるホール素子42が検知して、フレーム54のロック機能を解除させる保温釜において、磁石44からの磁束が最大になる方向を避けた位置にホール素子42が配置されるように、ホール素子42に対して角度を付けて磁石44を設置している。
【0036】
こうすると、蓋開ボタン27を少し操作するだけで、磁石44のより少ない距離移動で、ホール素子42が蓋開ボタン27の操作を確実に検知できる。つまり、蓋開ボタン27を押していない状態では、磁石44から発生する磁束が最も強くなる方向からずれて、ホール素子42が配置されており、蓋開ボタン27を少し押し込むだけでホール素子42の検出信号が切換わる。そのため、より少ない距離移動でホール素子42が蓋開ボタン27の押動を確実に検知できる。
【0037】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えばLCD65の表示形態は、実施例中のものに限定されず、他のユーザが理解し易い表示形態を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 本体
21 蓋体(蓋)
27 蓋開ボタン(操作手段)
42 ホール素子(検知手段)
44 磁石(磁性体)
54 フレーム(ロック手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば室内で使用する保温釜に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の保温釜として、例えば特許文献1には、本体と鍋が別体となっており、鍋の有無を鍋無し検知手段で検知するものが開示されている。
【0003】
また別な特許文献2には、操作手段を備えた保温釜が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−296059号公報
【特許文献2】特開2006−204611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術において、前記操作手段の操作を検知する手段として、磁性体の位置を決め、そこから操作手段の操作に伴い磁性体の距離を変動させるようにしている。しかし、この場合には、ある程度の磁性体の距離移動がないと、検知できなかった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み、本発明の目的は、より少ない距離移動で操作手段の操作を確実に検知できる保温釜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1における保温釜は、本体と、当該本体に対し自動的に開く蓋と、この蓋を所定状態に保持するロック手段と、操作手段とを備え、前記操作手段を操作したときに、磁性体に対する位置変化を検知手段が検知して、前記ロック手段を解除させる保温釜において、前記検知手段に対して角度を付けて前記磁性体を設置している。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、操作手段を少し操作するだけで、磁性体のより少ない距離移動で、検知手段が操作手段の操作を確実に検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施例における保温釜の断面図である。
【図2】同上、蓋閉時において、蓋開ボタンを押動操作していない状態の要部の拡大断面図である。
【図3】同上、蓋閉時において、1回目に蓋開ボタンを押動操作した状態の要部の拡大断面図である。
【図4】同上、蓋閉時において、2回目に蓋開ボタンを押動操作した状態の要部の拡大断面図である。
【図5】同上、電気的構成を示すブロック図である。
【図6】同上、時計表示を行なっている状態のLCDの正面図である。
【図7】同上、鍋無し報知を行なっている状態のLCDの正面図である。
【図8】同上、鍋無し報知を行なっている状態のLCDの正面図である。
【図9】同上、鍋無し報知を行なっている状態のLCDの正面図である。
【図10】同上、鍋無し報知を行なっている状態のLCDの正面図である。
【図11】同上、磁石からの磁束とホール素子との位置関係を示す説明図である。
【図12】従来の磁石とホール素子との位置関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明における保温釜の好ましい実施例を説明する。全体構成を模式的に示す図1において、1は本体、2は本体1の外郭を成す外枠で、外枠2の底部には、その開口を覆い本体1の底面外郭を形成する底板3が嵌合し固定されている。また、外枠2の内部には、有底筒状の鍋収容部4が配設され、この鍋収容部4に被炊飯物を収容する鍋5が着脱自在に装着される。鍋5の上部には、水平方向外側に延出したフランジ部6が形成されており、このフランジ部6の下面を外枠2の内周上端部に載置することで、鍋収容部4の内部にて鍋5が吊設状態に収容される。
【0011】
7は、鍋5の外側に設けられた加熱手段としての加熱コイルである。加熱コイル7は、鍋5の外底面部から外側面下部にかけて、鍋収容部4の外側に配置されており、この加熱コイル7に所定の高周波電流を供給することで、鍋5の外面に接合した磁性金属材料からなる発熱体(図示せず)を発熱させて、鍋5を電磁誘導加熱する構成となっている。また、鍋収容部4の開口する底部中央には、鍋温度検出手段たる鍋温度センサ8が設けられる。鍋温度センサ8は鍋5の外底面に当接しており、鍋5の温度を検出するようになっている。なお、加熱コイル7のような電磁誘導式に代わる加熱手段として、他に発熱ヒータなどの電熱式の加熱手段を用いてもよい。
【0012】
本体1の内部には、加熱コイル7に高周波電流を供給し、且つ加熱コイル7の加熱出力を調節するインバータ回路や、電源電圧を検知する電源電圧検知回路(図示せず)などを備えた加熱ユニット11が、基板13に実装されている。また、その他に本体1の内部には、本体1の前面に設けた操作パネル14に対向して制御ユニット15が設けられるとともに、電源電線巻取り機構に相当するコードリール16が、本体1の後方に位置して設けられる。
【0013】
21は、本体1ひいては鍋5の上面開口部を覆う蓋に相当する蓋体である。この蓋体21は、蓋体21の外表面を形成する外蓋22と、蓋体21の外周下部にあって、鍋5の上面開口部に対向しない部分を形成する外蓋カバー23と、蓋体21の下面(蓋体下面)をなし、鍋5の上面開口部に対向する部分を形成する蓋下面部材24とを主な構成部品としている。また、蓋下面部材24を覆うようにして、鍋5の上面開口部を直接覆う内蓋25が、蓋下面部材24に対し着脱可能に設けられる。蓋体21は、本体1の後方に設けたヒンジスプリングを有するヒンジ部26によって、本体1と軸支される。また、ヒンジ部26と反対側にある本体1の前側には、操作手段としての蓋開ボタン27が設けられており、この蓋開ボタン27と連結したクランプ(図示せず)が、本体1の前方部に係止することで、本体1に対し蓋体21が閉じた状態になり、内蓋25の外周下面が鍋5のフランジ部6上面に当接する一方で、この蓋開ボタン27を押動操作すると、蓋体21と本体1との係合が解除され、ヒンジ部26の付勢力によって蓋体21が自動的に開く構成となっている。
【0014】
蓋体21の内部には、蓋下面部材24または内蓋25を加熱する蓋加熱手段としての蓋ヒータ28と、内蓋25の上面に当接してこの内蓋25ひいては蓋体21の温度を検出する蓋温度検出手段としての蓋温度センサ29などが設けられる。なお、蓋温度センサ29は、内蓋25の温度ではなく、蓋下面部材24の温度を検出するようにしてもよい。蓋体21の略中央部には、鍋5内の蒸気を外部に放出するための蒸気口31が、外蓋22の上面より着脱自在に設けられる。
【0015】
次に、図2〜図4を参照しながら、本実施例における蓋体21と本体1の開閉構造について、さらに詳しく説明する。蓋体21には係合部に相当するクランプ34が配置される。このクランプ34は、蓋体21の内部に設けたクランプシャフト35を中心として、外蓋カバー25に対し回転自在に軸支される。蓋体21を開閉する蓋開ボタン27は、使用者が操作できるように蓋体21の前方上面から露出状態に配設される。蓋体21の内部には、クランプ34の基端部34Aを蓋開ボタン27側に付勢するバネなどのクランプ付勢手段36が設けられ、これにより蓋開ボタン27を常時上方に押し上げる力が作用するようになっている。
【0016】
クランプ34は、蓋開ボタン27に当接する基端部34Aの他に、外蓋カバー25の下面にあるクランプ用孔37を貫通して下方に突出する垂下部34Bと、クランプ34の実質的な先端部に相当し、垂下部34Bの下端を起点として、そこから本体1の内方に延出する係合部34Cとにより構成される。クランプ34はステンレスなどの金属部品で形成し、係合部34Cは略L字状とする。そうすることで、クランプ34を合成樹脂で構成する場合と比べ、強度の強いクランプ受け38との係合を得られる。また、保温釜ひいては本体1の正面側から見て、中央から左右の略均等位置に、前記クランプ34の係合部34Cを設ける。これらの垂下部34Bや係合部34Cは、クランプ34の下側にあって左右一対に設けられる。クランプ34の回転中心となるクランプシャフト35は、垂下部34Bの上端に沿うように配置され、係合部34Cは本体1の略前後方向に遥動する。
【0017】
一方、上枠2に設けたヒンジ部28の略反対側に位置して、該上枠2の前方には係合受部に相当するクランプ受け38が配設されており、蓋体21を本体1側に閉じようとすると、クランプ付勢手段36の付勢力により、クランプ34がクランプシャフト35を中心軸として回転し、当該クランプ受け38に係合することで、本体1に対し蓋体21を閉状態に保持するようになっている。クランプ受け38はステンレスなどの金属部品で形成する。そうすることで、クランプ受け38を合成樹脂で構成する場合と比べ、強度の強いクランプ34との係合を得られる。反対に蓋体21を開く場合には、蓋開ボタン27を押動操作し、クランプ34の基端部を下方に押下げてクランプ34を逆方向に回転させ、係合部44Cを本体1の前方に変位させて、クランプ34とクランプ受け38との係合を解除する。
【0018】
なお、ここでは蓋体21側にある可動するクランプ34を係合部といい、本体1側にある固定したクランプ受け38を係合受部としているが、蓋体21に固定した係合部を設け、本体1に可動する係合受部を設けてもよい。何れにせよ、これらのクランプ34およびクランプ受け38が、本体1と蓋体21との閉状態を保持するための係合手段を構成する。
【0019】
次に、蓋開ボタン27の変位を検知する検知手段の構成について説明する。蓋開ボタン27の裏(内)側部には、LED(図示せず)やホール素子42を実装した基板43が配設される。磁気検知素子としてのホール素子42は、蓋開ボタン27が押されていない状態では、外蓋22に設けた磁性体としての磁石44に対向して配設される。ホール素子42は、蓋開ボタン27を押動操作して、クランプ34とクランプ受け38との係合を解除しようとしたときに、磁石44から離れることにより、その動作を検知して検知信号を出力する。つまり、ここでのホール素子42と磁石44は、蓋開ボタン27の変化を検知する検知手段45として設けられる。なお、本実施例の磁石44は、クランプ34を軸支する蓋体21に設けられているが、検知手段45として本来の目的を発揮すれば、その限りではない。
【0020】
基板43は、基板ホルダー47と基板カバー48により囲まれた状態で取付けられる。これらの基板ホルダー47や基板カバー48は、基板43に実装されたLEDを外部に透光させるために、好ましくは透明部材で形成される。また、基板ホルダー47を取付けた側の反対側に位置して、基板カバー48の外面には、前述した蓋開ボタン27が取付け固定される。これにより、蓋開ボタン27と基板43は、基板ホルダー47や基板カバー48を含む一体的な可動部組立体として構成され、蓋開ボタン27の押動操作と共に、ホール素子42を実装した基板43も動くことになる。
【0021】
51は、前記クランプ34の移動を規制する阻害手段である、この阻害手段51は、電磁力により出没可能なプランジャー52を備えたソレノイド53と、プランジャー52と共に可動するフレーム54とにより構成され、プランジャー52が図2や図3に示すような後退位置にあるときに、前記基板ホルダー47に対向して突出するフレームロック片55が、フレーム54の一端側に設けられている。フレーム54は本来、鍋5と蒸気口31との間にあって、蓋体21の密閉度即ち鍋5内の圧力を調節する調圧弁(図示せず)を、必要に応じて開閉するためのものであり、プランジャー52が後退位置にあるときには、フレーム54の他端が調圧弁から離れて、当該調圧弁が鍋5と蒸気口31との間を閉塞し、逆にプランジャー52が図4に示すような進出位置にあるときには、フレーム54の他端が調圧弁を押し付けて、鍋5と蒸気口31との間を開放する。また、調圧弁により鍋5と蒸気口31との間を閉塞し、鍋5内を密閉した状態では、例えば炊飯時に加熱コイル7により鍋5内を加熱することで、大気圧を越えた圧力に鍋5内を加圧できると共に、例えば保温時に図示しない減圧ポンプで鍋5内の空気を外部に排出することで、大気圧未満の圧力に鍋5内を減圧できる。なお、前記調圧弁を含む調圧部や、減圧ポンプを含む減圧手段の構造については、詳しい説明を省略する。
【0022】
次に制御系統について、図5を参照しながら説明する。同図において、61は加熱制御手段で、これは前記鍋温度センサ8および蓋温度センサ29からの各温度情報や、前記蓋開ボタン27に設けたホール素子42の他に、鍋5が本体1に装着されているか否かを検知する鍋無し検知手段62からの検知信号と、操作パネル14に設けた操作スイッチ63からの操作信号を受けて、炊飯時および保温時に鍋5の底部を加熱する加熱コイル7と、蓋体21を加熱する蓋ヒータ28とを各々制御すると共に、前述したソレノイド53や、操作パネル14に設けた表示器としてのLCD65や、蓋開ボタン27や操作パネル14に設けたランプとしてのLED66を各々制御するものである。
【0023】
本実施例の加熱制御手段61は、鍋温度センサ8の検出温度に基づいて主に加熱コイル7が制御されて鍋5の底部を温度管理し、蓋温度センサ29の検出温度に基づいて主に蓋ヒータ28が制御されて蓋下面部材24ひいては内蓋25を温度管理するようになっている。加熱制御手段61は、自身の記憶手段(図示せず)に記憶されたプログラムの制御シーケンス上の機能として、炊飯時に前記鍋5内の被炊飯物を炊飯加熱する炊飯制御手段67と、保温時に鍋5内のご飯を所定の保温温度に保温加熱する保温制御手段68と、操作スイッチ63からの予約炊飯開始の指令を受けて、予め記憶手段に記憶された所定時間に鍋5内の被炊飯物が炊き上がるように炊飯制御手段67を制御する予約炊飯制御手段70を備えている。なお、前記所定時間は、操作スイッチ63の例えば時間キーや分キーを操作することで、適宜変更することができる。
【0024】
72は、加熱制御手段61からの制御信号を受けて、加熱コイル7に所定の高周波電流を供給する高周波インバータ回路などを内蔵した加熱コイル駆動手段である。またこれとは別に、加熱制御手段61の出力側には、当該加熱制御手段61からの制御信号を受けて蓋ヒータ28を駆動させる蓋ヒータ駆動手段73と、ソレノイド53をオンまたはオフにするソレノイド駆動手段75と、LCD65を駆動させるLCD駆動手段76と、LED66を駆動させるLED駆動手段77が各々設けられる。そして、前記炊飯制御手段67による炊飯時、および保温制御手段68による保温時には、鍋温度センサ8と蓋温度センサ29からの各温度検出により、加熱コイル7による鍋5の底部への加熱と、蓋ヒータ29による蓋体21への加熱が行なわれるように構成する。また、前記炊飯制御手段67による炊飯が終了し、鍋5内の被調理物がご飯として炊き上がった後は、保温制御手段68による保温に自動的に移行し、鍋温度センサ8の検知温度に基づき、ご飯を所定の保温温度(約70℃〜76℃)に保温するように構成している。
【0025】
ここで、LCD65の表示形態について、図6〜図10を参照しながらその詳細を説明する。LCD65は、4つの並設された7セグメント表示部65Aと、2番目と3番目の7セグメント表示部65Aの間に配設された上下一対のコロン表示部65Bとを組み合わせて構成される。そして、通常は7セグメント表示部65Aとコロン表示部65Bを用いて、時計の時刻や予約炊飯の時刻が表示される。一例として、図6は12時34分をLCD65にて示している(塗りつぶしの部分が点灯)。
【0026】
一方、操作スイッチ63の例えば炊飯開始キーや予約炊飯開始キーを操作したときに、鍋5が本体1に装着されてないいわゆる鍋無し状態を、鍋無し検知手段62が検知した場合には、加熱制御手段61がLCD65に対して、鍋無しを報知するための表示制御信号を出力する。図7〜図10は、そうした鍋無し報知の一例を示したものであるが、ここでは7セグメント表示部65Aのみを用いて、図7→図8→図9→図10の順に繰り返し表示を行ない、鍋5が本体1に入っていないことを視覚的にアピールする。またこれと同時に、加熱制御手段61は、LED66を点滅させて、鍋無しを知らせるための表示制御信号を、当該LED66に出力する。このLED66の点滅は、例えばLCD65の表示切換と連動して、例えば図7の状態では点灯させ、それ以降は、図8の状態で消灯,図9の状態で点灯,図10の状態で消灯させてもよいし、図7〜図10の各状態で、それぞれ一乃至複数回点滅させてもよい。さらには、LCD65の表示とは別にLED66を単独で非連動に点滅させてもよい。要は、ユーザがLCD65とLED66の報知によって、容易に鍋無しが理解できる表示形態であればよい。
【0027】
なお、鍋無し検知手段62の具体例としては、例えば加熱コイル7に通電した時の回生電流レベルから、鍋5が本体に装着されているか否かを検知することができる。この場合、負荷となる鍋5が本体1に装着されていれば、加熱コイル7への回生電流が大きくなり、鍋5が本体1に装着されていなければ、加熱コイル7への回生電流が小さくなることを利用して、回生電流レベルの違いから、鍋無しを検知できる。また、こうした手法の他に、例えば鍋5の装着・非装着に伴いオン,オフする機構スイッチなどを用いてもよい。
【0028】
このように本実施例では、鍋5と、この鍋5を加熱する加熱手段としての加熱コイル7と、時刻を表示する表示器としてのLCD65とを備えた保温釜において、鍋の無いことを鍋無し検知手段62が検知すると、これをLCD65で報知すると共に、このLCD65とは別に設けた点滅手段としてのランプであるLED66で点滅させる構成になっている。こうすると、本来は時刻を表示するためのLCD65を利用して、鍋無し状態をユーザに報知すると同時に、別なLED66も点滅させて視覚的にアピールすることで、ユーザが容易に鍋無し状態を理解することができる。
【0029】
次に、蓋開ボタン27を押したときの動作について説明する。図11は、本実施例における前記ホール素子42と磁石44との位置関係を示している。図中、矢印Aは磁石44から発生する磁束(磁力線)の方向を示している。また、蓋開ボタン27を押していない状態のホール素子42の位置が実線で示されており、蓋開ボタン27を押す途中で、その検知信号がオンからオフに切換わるホール素子42の位置が一点鎖線で示されている。
【0030】
一方、図12は、従来例における前記ホール素子42’と、蓋体21’の外蓋22’に取付けられた磁石44’との位置関係を示している。図中、蓋開ボタン(ここでは図示せず)を押していない状態のホール素子42’の位置が実線で示されており、蓋開ボタンを押す途中で、その検知信号がオンからオフに切換わるホール素子42’の位置が一点鎖線で示されている。なお、43’がホール素子42’を実装する基板で、これらが蓋開ボタンの押動操作に伴い、クランプシャフト35’を中心として回動する点は、従来例も同じである。
【0031】
図11と図12を比較すれば明らかなように、従来は磁石44’から発生する磁束(磁力線)が最も強くなる方向で、ホール素子42’と磁石44'との位置を決めていた。こうすると、蓋開ボタンを多少押動しても、ホール素子42’は磁石44’からの磁束の影響を受けてオフに切換わらず、図12の一点鎖線に示す位置までホール素子42’が移動しないと、ホール素子42’の検知信号がオンからオフに切換わらない。したがって、この場合は蓋開ボタンを操作していない初期位置から、ホール素子42’の検知信号が切換わるまでの距離変動が大きくなり、蓋開ボタンを押したのにも拘らず、ホール素子42’がこれを検知できない虞れが生じてくる。
【0032】
一方、本実施例では、蓋開ボタン27を押していない状態で、磁石44からの磁束が最大になる方向を避けた位置に、ホール素子42が配置されるように、ホール素子42に対して傾斜した角度で磁石44を設置している。こうすると、蓋開ボタン27を操作していない初期位置から、蓋開ボタン27を多少押動するだけで、ホール素子42は磁石44からの磁束の影響を受けなくなって、ホール素子42の検知信号がオンからオフに切換わる。つまり、この場合は、ホール素子42の検知信号がオンからオフに切換わるまでの距離変動が小さくなり、蓋開ボタン27の押動操作をホール素子42が確実に検知できる。
【0033】
そして、炊飯時において、加熱コイル7を通電して鍋5内を加熱しつつ、大気圧を越えて加圧する場合や、保温時において、図示しない減圧手段により、鍋5内を大気圧未満に減圧する場合は、ソレノイド53が通電(オン)状態になって、当該ソレノイド53のプランジャー52ひいてはフレーム54が後退位置に移動する。これにより、調圧弁が鍋5と蒸気口31との間を塞ぎ、鍋5内の密閉が確保される。また、フレームロック片55が、クランプ34の基端部34Aの下方に潜り込むので、クランプ34の回動が規制され、蓋開ボタン27を押動操作しようとしても、クランプ34とクランプ受け38との係合がロックされ、蓋体21が開かないようになる。すなわち、ここでのフレーム54は、蓋体21を閉状態に保持するロック手段として機能する。
【0034】
一方、保温時において、保温制御手段68は前記ホール素子42からの検知信号を受け付ける。すなわち、図2に示すように、鍋5内を大気圧未満に減圧している状態で、使用者が蓋体21を開けようと意図して蓋開ボタン27を押動操作しようとすると、クランプ34の基端部34Aがフレームロック片55に当たって、その回動を規制されてはいるものの、蓋開ボタン27がクランプ34の弾性などにより若干下方に押し込まれ、ホール素子42がマグネット44から少し離れた位置に移動する(図3)。このとき、ホール素子42からの検知信号がオンからオフに切換わったのを保温制御手段68が受けると、ソレノイド53がオフ状態になってプランジャー52が進出し、調圧弁を押し込んで鍋5と蒸気口31との間を開放する。それと共に、クランプ34に対するフレームロック片55の回動規制も解除され、蓋開ボタン27を再度押すことで、クランプ34とクランプ受け38との係合を解除して、蓋体21を開けることができるようになる(図4)。
【0035】
以上のように、本実施例では蓋体21と、この蓋21を閉状態に保持するロック手段としてのフレーム54と、操作手段としての蓋開ボタン27とを備え、蓋開ボタン27を押動操作したときに、磁性体である磁石44に対する位置変化を検知手段であるホール素子42が検知して、フレーム54のロック機能を解除させる保温釜において、磁石44からの磁束が最大になる方向を避けた位置にホール素子42が配置されるように、ホール素子42に対して角度を付けて磁石44を設置している。
【0036】
こうすると、蓋開ボタン27を少し操作するだけで、磁石44のより少ない距離移動で、ホール素子42が蓋開ボタン27の操作を確実に検知できる。つまり、蓋開ボタン27を押していない状態では、磁石44から発生する磁束が最も強くなる方向からずれて、ホール素子42が配置されており、蓋開ボタン27を少し押し込むだけでホール素子42の検出信号が切換わる。そのため、より少ない距離移動でホール素子42が蓋開ボタン27の押動を確実に検知できる。
【0037】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えばLCD65の表示形態は、実施例中のものに限定されず、他のユーザが理解し易い表示形態を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 本体
21 蓋体(蓋)
27 蓋開ボタン(操作手段)
42 ホール素子(検知手段)
44 磁石(磁性体)
54 フレーム(ロック手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、当該本体に対し自動的に開く蓋と、この蓋を所定状態に保持するロック手段と、操作手段とを備え、前記操作手段を操作したときに、磁性体に対する位置変化を検知手段が検知して、前記ロック手段を解除させる保温釜において、前記検知手段に対して角度を付けて前記磁性体を設置したことを特徴とする保温釜。
【請求項1】
本体と、当該本体に対し自動的に開く蓋と、この蓋を所定状態に保持するロック手段と、操作手段とを備え、前記操作手段を操作したときに、磁性体に対する位置変化を検知手段が検知して、前記ロック手段を解除させる保温釜において、前記検知手段に対して角度を付けて前記磁性体を設置したことを特徴とする保温釜。
【図1】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2009−285491(P2009−285491A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208182(P2009−208182)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【分割の表示】特願2007−111656(P2007−111656)の分割
【原出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【出願人】(390010168)東芝ホームテクノ株式会社 (292)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【分割の表示】特願2007−111656(P2007−111656)の分割
【原出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【出願人】(390010168)東芝ホームテクノ株式会社 (292)
【Fターム(参考)】
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