保管場所決定システム及び決定方法
【課題】日常的な配替え作業を必要とせず、保管場所を効率的に使用することができ、特別なノウハウや技能を不要とし、製品の保管場所における配置を自動的に作成することができる保管場所決定システム及び保管場所決定方法の提供。
【解決手段】生産計画情報を記憶する装置5と、生産を受注した際の契約の内容を記憶する装置4と、生産計画情報及び契約の内容に基づいて生産された保管対象物の保管場所における配置を決定する装置8とを備えている。
【解決手段】生産計画情報を記憶する装置5と、生産を受注した際の契約の内容を記憶する装置4と、生産計画情報及び契約の内容に基づいて生産された保管対象物の保管場所における配置を決定する装置8とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鋼製品のような対象物を保管する場所を自動的に決定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図49は、鋼製品(例えば圧延製品)の製造施設において、鋼材の受注から出荷までの手順(工程)を示している。
図49において、先ず、各需要家(或いは発注者)から注文(例えば、注文A、注文B、注文C)を受付け、生産管理部署K101で、複数の需要家から受けた注文情報を製品毎、規格毎、長さ毎にまとめる。
【0003】
同じく生産管理部署K101では、まとめられた注文の情報に基づいて、生産計画が立案される。
製鋼工場K102では、立案された生産計画に基づいて、材料(粗鋼)生産が行われる。生産された材料(粗鋼)は加熱炉K103に送られ、加熱される。加熱後の材料は生産ロット毎に、圧延工程K104に送られ、鋼製品にするべく圧延加工される。
【0004】
圧延加工された鋼材は、切断工程K105で、注文で受けた注文長さに切断される。切断された製品は、格付け工程K106に送られ、製品の格付け(正規品、不良品の振り分け)が行われ、梱包工程K107に送られて梱包(注文主に拘らずに行われる標準的な梱包)が行われる。梱包された製品は、クレーン運搬工程K108でクレーンによってストックヤード(以下、精整ヤード)と呼ぶ製品置場に仮置き(K110)する。
【0005】
ここで、生産管理部署K101の生産計画立案に基づき、製品置場計画立案(手作業)K109が行われ、この製品置場計画立案(手作業)K109はクレーン運搬工程K108に渡される。
【0006】
精整ヤード(置場)内では、仮置き(K110)された製品を契約毎(注文主毎)に割り付ける(K111)。そして契約毎(注文主別)に割り付けられた製品は、割付に応じて配替え(注文主毎にまとめる。K112)が行われ、再梱包(受注の内容に対応して、或いは発注者に対応して、所定の態様で再梱包。工程K113)されて、保管される(工程K114)。
保管された鋼製品は、出荷期日(納期)にしたがって、置場から搬出され出荷される。出荷される際に、必要に応じて、出荷される鋼製品の搬出の妨げとなる別の鋼製品を、一時的に他の個所に移動する処理、いわゆる「配替え」作業が行われる。
【0007】
上記手順では、注文内容は多品種少量生産であり、契約毎の生産ロット編成では生産効率が低いため、複数の契約の注文をまとめて生産ロットを編成している。
こうしたことにより、同一生産ロットの中には出荷日の異なる注文が混在してしまうことになる。
ところで、生産された製品を仮置きする精整ヤード(置場)は、図49では図示されていないが、限られたスペースである。そして、製品生産後の精整ヤードへの鋼製品の配置は、従来は、以下のように行なわれていた。
(1) クレーン操作要員と玉掛け作業員の2名作業で行う。
(2) 生産後の製品を搬送するためにクレーンを使用する。クレーンは製品を吊り上げるためにCフック又はワイヤーなどの治具を使用する。また、これらの治具が外せるように製品の間に例えば、マンボと呼ぶ枕木を敷く。
(3) 製品を山積みするが、配山の高さはクレーンの搬送による制約がある。また、製品の山崩れを防ぐために、配山の上下において、鋼製品の長さや本数を考慮する必要がある。
(4) 配山と配山との間のスペース確保は、Cフックなどの治具を使ったクレーン搬送に影響がないようにする必要がある(Cフックを引き出すためのスペースの確保が必要)。
(5) 精整ヤードからの搬出順番は、いわゆる「配替え」が少なくなるように考慮する必要がある。
【0008】
また、従来の方法では、製品の契約毎の割付は、契約情報の書類を製品置場まで持って行き、山積みされている製品をその都度確認して行っている(割り付けた製品に契約番号などをマーキングしている)。
そして、精整ヤードからの製品の搬出は、基本的には納期の早い順となる。この時、納期の早い製品が配山した山の下方にある場合は、上述したように、上方の製品を別の置場に移動して、必要とする製品を搬出する「配替え」が必要となってしまう。
【0009】
上述したように、従来の方法では、生産計画に基づき、精整ヤードへの製品置場計画を立案しているが、限られた精整ヤードの置場スペース、精整ヤードからの払出日、製品長さ、製品本数、積上げ高さ等、数多くの制約条件を配慮して計画立案する必要がある。
また、手作業での計画立案作業であるため、一部の制約条件と経験と勘に頼る部分が多く、最適な製品置場計画となっているか不明である。
【0010】
具体的には、以下の問題点があげられる。
(1) 製品置場計画の立案が手作業のため、多大な工数を必要とする。
(2) 精整ヤードから製品を払い出す場合、日常的に配替え作業が発生している。
(3) 生産後の精整ヤードでは、無駄なスペースが多い(置場が効果的に使われていない)。
(4) ノウハウの継承が難しい職業の一つであり、後継者の育成に膨大な時間がかかってしまう。
【0011】
その他の従来技術として、鋼材に鋼材識別情報をバーコードで示したラベルを貼り付け、鋼材入庫時の人手による照合作業を軽減し、出庫時の人手による鋼材特定作業を不要とし、また、鋼材定置場所を起重機の移動及び荷重検出等の動作に基づいて算出する技術が提案されている(特許文献1)。
しかし、係る従来技術では、置場における鋼材の位置(置場配置)を特定する具体的な手法については何等開示されていないので、上述した問題を解消するものではない。
【特許文献1】特開2002−160812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、多品種少量生産が為された保管対象物(製品)の保管場所(置場)における配置(置場計画)を自動的に演算することができて、日常的な配替え作業を必要とせず、保管場所(置場)を効率的に使用することができて、特別なノウハウや技能を用いることなく、製品(例えば鋼材)の保管場所(置場)における配置(置場計画)を作成することができる保管場所決定システム及び保管場所決定方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の保管場所決定システム(100)は、保管対象物(製品。例えば、鋼材)の多品種少量生産を実行する生産計画情報を記憶する装置(生産計画ユニット5)と、保管対象物の生産を受注した際の契約の内容(契約情報)を記憶する装置(契約情報ユニット4)と、生産計画情報及び契約の内容に基づいて生産された保管対象物の保管場所(置場YD)における配置(置場計画)を決定する装置(置場配置演算ユニット8)とを備え、保管場所(置場YD)における配置(置場計画)を決定する装置(置場配置演算ユニット8)は、保管場所(置場YD)中で新たに生産される保管対象物を配置可能な領域(空きエリアEe)を決定する機能と、生産される保管対象物のみにより新たな配山を形成するか或いは既に保管対象物が置かれている領域(M)に積上げるかを決定する機能と、既に保管対象物が置かれている領域(M)に生産される保管対象物を積上げることが可能か否かを判断する機能と、新たな配山を形成するか或いは積上げるかを決定するに際して、既に保管対象物が置かれている領域(M)に生産される保管対象物を積上げることが可能であれば、積上げることを優先的に選択する機能とを有していることを特徴としている(請求項1)。
【0014】
本発明の保管場所決定方法は、上述した本発明の保管場所決定システム(請求項1の保管場所決定システム100)を用いて保管対象物(製品。例えば、鋼材)の保管場所を決定する保管場所決定方法において、保管対象物の多品種少量生産を実行する生産計画情報を記憶する工程(S1)と、保管対象物の生産を受注した際の契約の内容(契約情報)を記憶する工程(S2)と、生産計画情報及び契約の内容に基づいて生産された保管対象物の保管場所(置場YD)における配置(置場計画)を決定する工程(S11)とを有し、保管場所(置場YD)における配置(置場計画)を決定する工程(S11)では、保管場所(置場YD)中で新たに生産される保管対象物を配置可能な領域(空きエリアEe)を決定し、生産される保管対象物のみにより新たな配山を形成するか或いは既に保管対象物が置かれている領域(M)に積上げるかを決定し、既に保管対象物が置かれている領域(M)に生産される保管対象物を積上げることが可能か否かを判断し、新たな配山を形成するか或いは積上げるかを決定するに際して、既に保管対象物が置かれている領域(M)に生産される保管対象物を積上げることが可能であれば、積上げることを優先的に選択することを特徴としている(請求項4)
【0015】
本発明の保管場所決定システムにおいて、保管場所(置場YD)における配置(置場計画)を決定する装置(置場配置演算ユニット8)は、配山を同一長さの保管対象物のみで形成する(単独配山)か或いは異なる長さの保管対象物で形成する(混載配山)かを判断する機能と、保管場所(置場YD)の一定の方向(例えば、置場YDの横方向)について単一の配山のみを配置する(単列)か或いは複数の配山を配置する(複列)かを決定する機能とを有しているのが好ましい(請求項2)。
【0016】
本発明の保管場所決定方法において、保管場所(置場YD)における配置(置場計画)を決定する工程(S11)では、配山を同一長さの保管対象物のみで形成する(単独配山)か或いは異なる長さの保管対象物で形成する(混載配山)かを判断し、保管場所(置場YD)の一定の方向(例えば、置場YDの横方向)について単一の配山のみを配置する(単列)か或いは複数の配山を配置する(複列)かを決定するのが好ましい(請求項5)。
【0017】
また本発明の保管場所決定システム(100)において、保管場所(置場YD)における配置(置場計画)を決定する装置(置場配置演算ユニット8)は、保管対象物(製品。例えば、鋼材)の多品種少量生産を実行する生産計画情報と、保管対象物の生産を受注した際の契約の内容(契約情報)とをリンクする(紐付ける)機能を有しているのが好ましい(請求項3)。
【0018】
或いは本発明の保管場所決定方法において、保管場所(置場YD)における配置(置場計画)を決定する工程(S11)では、保管対象物(製品。例えば、鋼材)の多品種少量生産を実行する生産計画情報と、保管対象物の生産を受注した際の契約の内容(契約情報)とをリンクする(紐付ける)のが好ましい(請求項6)。
【0019】
本発明において、上述した各種装置、或いは上述した各種工程を実行する手段としては、コンピューターが好ましい。
ここで、コンピューターなる文言は情報処理機能を有する機械、器具の総称であり、サーバーマシン、クライアントマシン、ワークステーション、端末、パーソナルコンピューター(以下、「PC」と略記する)、チップその他を広く包含する趣旨の文言である。
また、作業員による手作業で、各種装置や各種工程を実行する手段が発揮する機能を代用することも可能である。
【発明の効果】
【0020】
上述する構成を具備する本発明によれば、保管場所(置場D)における配置(置場計画)を決定する装置(置場配置演算ユニット8)により、生産計画情報及び契約の内容に基づいて生産された保管対象物(製品。例えば、鋼製品)の保管場所(置場YD)における配置(置場計画)を決定するので、保管対象物の生産に先立って、保管場所(置場YD)において保管対象物を効率的に配置する計画(置場計画)を自動的に決定することができる。
特に本発明によれば、新たな配山を形成するか或いは積上げるかを決定するに際して、既に保管対象物が置かれている領域(M)に生産される保管対象物を積上げることが可能であれば、積上げることを優先的に選択するので、保管場所(置場YD)における保管対象物の配置が効率的に行われる。その結果、保管場所(置場YD)において無駄なスペースが多々見受けられるという事態が解消する。
【0021】
そして本発明によれば、係る配置計画(置場計画)の作成を自動的に行うことが可能であるため、従来の手作業に比較して、保管場所(置場YD)における保管対象物の配置計画(置場計画)の作成に関する労力及び工数を、飛躍的に減少させることが可能である。
それと共に、特別な労力や、熟練技術者が存在しない場合でも、保管対象物の効率的な配置を実現することができる。
【0022】
本発明において、既に保管対象物が置かれている領域(M)に新たに生産される保管対象物を積上げることが可能か否かを判断するに際して、既に保管対象物が置かれている領域(M)の最上段に位置する保管対象物を保管場所(YD)から搬出する時期(納期)が、新たに生産される保管対象物の搬出時期(納期)よりも遅い場合だけ、新たに生産される保管対象物を積上げることが可能であると判断すれば、従来技術において保管対象物を保管場所(YD)から搬出する際に行われた配替え作業が不要になる。
その結果、保管対象物を保管場所(YD)から搬出する作業に費やされる労力が大幅に減少する。
【0023】
本発明において、保管場所(置場)における配置(置場計画)を決定する際に、保管対象物(製品。例えば鋼材)の多品種少量生産を実行する生産計画情報と、保管対象物の生産を受注した際の契約の内容(契約情報)とをリンクする(紐付ける)ように構成すれば(請求項3、請求項6)、生産した製品の本数が契約による注文に対して過不足があるか否かを、容易に判断することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図示の実施形態では、鋼製品(例えば圧延製品)の製造施設において、製品である鋼材を保管する場所を自動的に決定する態様を説明する。
図1において、全体を符号100で示す保管場所決定システムは、ホストコンピューター1と、置場配置自動計算サーバー2と、3つのクライアントC1、C2、C3とから構成されている。
本明細書において、「保管場所」(図13、図14の符号YD)或いは「精整ヤード」なる文言は、「置場」を意味している。したがって、「保管場所決定システム」なる文言は置場の配置を決定するシステムを意味しており、「保管場所決定方法」なる文言は置場の配置を決定する方法を意味している。
なお、図示の実施形態において、保管場所或いは精整ヤードYDは屋内置場として示されているが(図13、図14)、本発明の保管場所決定システム及び保管場所決定方法は、屋外の保管場所或いは置場についても同ように適用することができる。
【0025】
図1において、置場配置自動計算サーバー2は、後述する各種マスターを整備するマスターメンテナンス機能と、制約条件を整備する制約条件メンテナンス機能と、契約情報及び生産計画の整備を行う契約情報・生産計画メンテナンス機能と、置場配置自動計算機能と、計算結果のメンテナンス機能と、サーバー2とホストコンピューター1との通信を行うホストコンピューター通信機用とを有している。なお、置場配置自動計算機能は、結果確認機能をも含んでいる。
置場配置自動計算サーバー2はクライアントC1〜C3と情報的に接続されている。ここで、クライアントC1は、置場配置を立案する部門であると共に、生産管理部門である。クライアントC2は、工場部門であり、製品の格付け、契約割付の実績収集を行う。クライアントC3は、工場部門におけるクレーン部署であり、置場指示の閲覧と置場実績の登録を行う。
【0026】
図2は、置場配置自動計算サーバー2の詳細構成を示している。
図2において、置場配置自動計算サーバー2は、制約条件ユニット3と、契約情報ユニット4と、生産計画ユニット5と、置場仕様ユニット6と、製品仕様ユニット7と、置場配置演算ユニット8とを有している。
【0027】
制約条件ユニット3は制約条件マスターの内容を設定し、設定された制約条件マスターの内容を置場配置演算ユニット8に伝達(提供)する。
契約情報ユニット4はホストコンピューター1を介して伝達された複数の顧客との契約の内容を整理して(まとめて)契約情報を作成し、作成された契約情報を置場配置演算ユニット8に伝達(提供)する。
生産計画ユニット5は生産計画を計画、立案し、生産計画の内容を置場配置演算ユニット8に伝達(提供)する。
置場仕様ユニット6は置場仕様マスターの内容を設定し、設定された置場仕様マスターの内容を置場配置演算ユニット8に伝達(提供)する。
製品仕様ユニット7は製品仕様マスターの内容を設定し、設定された製品仕様マスターの内容を置場配置演算ユニット8に伝達(提供)する。
そして置場配置演算ユニット8は、伝達(提供)された上述の各種内容(情報)に基づいて置場指示情報を作成し、各クライアント(図1)に置場指示情報を伝達(提供)する。
【0028】
図3は、制約条件ユニット3の構成を示している。
図3において、制約条件ユニット3は、制約条件マスターのメンテナンスブロック31と、制約条件マスター作成ブロック32と、制約条件マスター出力ブロック33とを有している。
メンテナンスブロック31は、入力装置30を介して、配置方法、置場の配置優先情報、予約置場情報(置場計画対象外エリアの指定等)が入力されると、その入力に応答して制約条件の追加、訂正、削除を行い、制約条件マスターを入力された情報に対応した最新の内容にメンテナンスする。
【0029】
制約条件マスター作成ブロック32は、制約条件マスターを作成し、作成された制約条件マスターを登録する。
制約条件マスター出力ブロック33は、必要に応じて、置場配置演算ユニット8に当該制約条件を伝達し、置場配置演算ユニット8から制約条件マスターに関する情報を取得する。
【0030】
ここで、制約条件としては、置場の大きさ(標準的な区画割も含む)、配山最大幅、配山標準幅、配山最小幅、配山最大高さ、配山標準高さ、配山最小高さ、配山間隔、製品毎の梱包サイズ、マンボの断面サイズ、マンボの長さ、その他がある。
なお、「マンボ」とは、鋼材を積み重ねて保管する(配山する)際に、鋼材同士が直接接触しないように介装されるスペーサーである。
【0031】
図4は、契約情報ユニット4の構成を示している。
図4において、契約情報ユニット4は、契約情報のメンテナンスブロック41と、契約情報作成ブロック42と、契約情報出力ブロック43を有している。
契約情報のメンテナンスブロック41は、ホストコンピューター1(図1)を経由して置場配置自動計算サーバー2に伝達された契約の内容、例えば契約No.製品名、規格、長さ、注文本数、梱包の様態、発注者等が入力された際に、当該契約の内容について追加、訂正、削除を行い、置場配置自動計算サーバー2に伝達された契約の内容を常に最新の内容にメンテナンスする。
【0032】
契約情報作成ブロック42は、メンテナンスブロック41でメンテナンスされた内容に基づいて契約内容を決定し、決定された契約内容を登録或いは記憶する。
契約情報ブロック43は、必要に応じて、決定された契約内容を置場配置演算ユニット8に伝達(提供)し、置場配置演算ユニット8から契約内容に関する情報を取得する。
【0033】
図5は、生産計画ユニット5の構成を示している。
図5において、生産計画ユニット5は、生産計画情報のメンテナンスブロック51と、生産計画情報作成ブロック52と、生産計画情報出力ブロック53とを有している。
生産計画情報のメンテナンスブロック51は、ホストコンピューター1(図1)を介して製品名、規格、長さ、注文等の生産計画に関する情報が入力されると、生産計画について追加、訂正、削除を行い、ホストコンピューター1を経由した情報に基づいて生産計画情報を最新の内容にメンテナンスする。
【0034】
生産計画情報作成ブロック52では、メンテナンスブロック51でメンテナンスされた情報に基づいて生産計画を決定し、決定された生産計画を登録(記憶)する。
生産計画情報出力ブロック53は、必要に応じて、生産計画を置場配置演算ユニット8に伝達し、置場配置演算ユニット8から生産計画に関する情報を取得する。
【0035】
図6は、置場仕様ユニット6の構成を示している。
図6において、置場仕様ユニット6は、置場仕様マスターのメンテナンスブロック61と、置場仕様マスター作成ブロック62と、置場仕様マスター出力ブロック63とを有している。
置場仕様マスターのメンテナンスブロック61は、ホストコンピューター1(図1)を介して置場サイズ、置場利用状況が入力された際に、入力された置場サイズ、置場利用状況に対応して置場仕様マスターを追加、訂正、削除して、置場仕様マスターを常に最新の状態にメンテナンスする。
マンボサイズを置場仕様マスターの情報として取り扱う場合もあり、その場合には、マンボサイズもホストコンピューター1(図1)を介して置場仕様ユニット6に入力される。
【0036】
置場仕様マスター作成ブロック62では置場仕様マスターが作成され、作成された置場仕様マスターを登録する。
置場仕様マスター出力ブロック63は、必要に応じて、置場配置演算ユニット8に置場仕様マスターを伝達し、置場配置演算ユニット8から置場仕様マスターに関する情報を取得する。
【0037】
図7は、製品仕様ユニット7の構成を示している。
図7において、置場仕様ユニット7は、製品仕様マスターのメンテナンスブロック71と、製品仕様マスター作成ブロック72と、製品仕様マスター出力ブロック73とを有している。
製品仕様マスターのメンテナンスブロック71は、ホストコンピューター1(図1)を介して梱包の大きさ、配山の大きさ、製品間隔等が入力され、入力された情報に対応して製品仕様マスターの追加、訂正、削除を行い、製品仕様マスターを最新の状態にメンテナンスする。
【0038】
製品仕様マスター作成ブロック72は製品仕様マスターを作成し、作成された製品仕様マスターを登録する。
製品仕様マスター出力ブロック73は、必要に応じて、置場配置演算ユニット8に製品仕様マスターを伝達し、置場配置演算ユニット8から製品仕様マスターに関する情報を取得する。
【0039】
図8は、置場配置演算ユニット8の構成を示している。
図8において、置場配置演算ユニット8は、入力側インターフェースIi/Fと、制約条件記憶ブロック81と、生産計画記憶ブロック82と、契約情報記憶ブロック83と、置場の空きエリア決定ブロック84と、生産計画−契約情報紐付けブロック85と、配山決定ブロック86と、積上げ配山検証ブロック87と、製品長さ毎の配山検証ブロック88と、置場の単列・複列検証ブロック89と、置場決定処理ブロック90と、配置計画確認ブロック91と、出力側のインターフェースIo/Fとを有している。
【0040】
制約条件記憶ブロック81は、制約条件ユニット3からインターフェースIi/F経由で制約条件マスターが入力され、その制約条件マスターを記憶する。記憶された制約条件マスターは、配山決定ブロック86及び積上げ配山検証ブロック87に伝達される。
生産計画記憶ブロック82は、生産計画ユニット5からインターフェースIi/F経由で生産計画が入力され、その生産計画を記憶する。記憶された生産計画は、生産計画−契約情報紐付けブロック85に伝達される。
契約情報記憶ブロック83は、契約情報ユニット4からインターフェースIi/F経由で契約情報が入力され、入力された契約情報を記憶する。記憶された契約情報は生産計画−契約情報紐付けブロック85に伝達される。
【0041】
置場の空きエリア決定ブロック84は、インターフェースIi/F経由で、置場仕様ユニット6から置場仕様マスターが入力され、置場仕様マスターの情報を配山決定ブロック86及び積上げ配山検証ブロック87に伝達する。
生産計画−契約情報紐付けブロック85は、生産計画記憶ブロック82からの生産計画と、契約情報記憶ブロック83からの契約情報と、製品仕様マスターに基づいて、生産計画と契約情報の関連付ける作業(いわゆる「紐付け作業」或いは「リンク作業」)を行う。
ここで、製品仕様マスターは、製品仕様ユニット7からインターフェースIi/F経由で生産計画−契約情報紐付けブロック85に入力される。
紐付け作業により契約情報と関連付けられた生産計画は、配山決定ブロック86、積上げ配山検証ブロック87、製品長さ毎の配山検証ブロック88、置場の単列・複列検証ブロック89に伝達される。
【0042】
配山決定ブロック86は、制約条件マスター、置場の空きエリア情報、契約情報と関連付けられた生産計画をベースに、新規に配山するのか(新規配山)、或いは既存の配山に積上げるのか(積上げ配山)を決定し、その決定結果を、積上げ配山検証ブロック87及び製品長さ毎の配山検証ブロック88に送る。
積上げ配山検証ブロック87は、制約条件マスター、新規配山か積上げ配山かの決定結果、置場の空きエリア情報、契約情報と関連付けられた生産計画、製品仕様マスターから積上げ配山が可能であるか否かを検証する。
【0043】
製品長さ毎の配山検証ブロック88は、制約条件マスター、新規配山か積上げ配山かの決定結果、積上げ配山が可能か否かの検証結果、製品仕様マスター、契約情報と関連付けられた生産計画から、同一種類、同一長さの製品(梱包された製品)が一つの配山を形成するだけの量があるか否かを検証する。
【0044】
置場の単列・複列検証ブロック89は、置場仕様マスター、製品が一つの配山を形成するだけの量があるか否かの検証結果、契約情報と関連付けられた生産計画から、置場を単列とするか、複列とするかを検証する。
ここで、「単列」、「複列」は、例えば図42で示すように、保管対象物である鋼製品の長さにより、置場の横方向について1つの配山しか形成できない場合が「単列(或いは単列置き)」であり、複数(図42では2つ)の配山が形成できる場合が「複列(或いは複列置き)」となる。
「単列」、「複列」については、図35〜図44を参照して後述する。
【0045】
置場決定処理ブロック90は、置場の単列・複列検証ブロック89に送られた各種情報と、置場の単列・複列検証ブロック89の検証結果に基づいて、置場における鋼製品の配置(置場計画)を決定する。
配置計画確認ブロック91は、置場決定処理ブロック90で決定された鋼製品の配置(置場計画)を確認或いは検証し、最適な置場計画であるか否かを確認する。最適な置場計画である旨が確認されたならば、インターフェースIo/Fを介して各クライアントC1〜C3(図1参照)に伝達する。最適な置場計画ではないと確認した場合には、置場決定処理ブロック90において、制約条件や各種マスター及び計算条件等を変更して鋼製品の配置(置場計画)を再度演算するようにせしめる機能を有する。
【0046】
上述した各種ユニット、ブロックは、コンピューターで構成されるのが好ましい。
コンピューターなる文言は情報処理機能を有する機械、器具の総称であり、サーバーマシン、クライアントマシン、ワークステーション、端末、PC、チップその他を広く含んである。
ただし、作業員による手作業で、各種ユニット、ブロックの上述した各種機能を代用することも可能である。
【0047】
図1〜図8で示す保管場所決定システム100により、鋼製品の置場を決定する手順について、図9、図10以降を参照して説明する。
図9、図10は、例えば、鋼製品の製造施設において、図示の実施形態により、注文を受けてから鋼製品(製品)を出荷するまでの手順を示している。
以下、図9を参照して鋼製品の受注〜出荷の手順を説明する。なお、図9における符号2も、図1と同ように、置場配置自動計算サーバーを示している。
【0048】
図9において、先ず、発注者(需要家)から注文(図9では「注文A」、「注文B」、「注文C」として示している)を受けて、生産管理部署における工程K1において、生産ロットをまとめる工程K1aが行われる。工程K1aを行う生産管理部署では、複数の発注者からの注文A〜Cの注文情報を製品毎、規格毎、長さ毎に整理してまとめる。
【0049】
保管場所決定システム100は、鋼製品の保管場所すなわち置場を最適に設定して、配替え作業を不要にするため、鋼製品の生産前に事前シミュレーションを行い、置場を決定する機能を有している。すなわち、鋼製品を生産するのに先立って、予め最適な置場計画を自動立案することにより、保管された鋼製品を搬出する際に、配替え作業をしなければならない事態を防止しているのである。
生産管理部署では、工程K1aで生産ロットを整理してまとめた後に、整理された生産ロットに基づいて、鋼製品の生産計画が立案される(工程K1b)。工程K1bで立案された生産計画は、直ちに置場配置自動計算サーバー2に送られて、置場配置自動計算サーバー2において製品置場計画が自動立案される(工程K11)。
【0050】
自動立案に際しては、置場の格納効率及び生産効率など、何を優先して立案するかを選択できるように構成されている。その条件によっては、生産順の変更もここで行う。置場配置自動立案工程K11で実行される具体的な手順或いは処理に関しては、図10以下を参照して後述する。
工程K11で立案された鋼製品の置場計画(図9では符号K12で示す)は、クレーン運搬部署(運搬工程K9を実行する部署。詳細は後述)に送信される。
【0051】
工程K11で自動立案された鋼製品の置場計画K12は、生産計画において生産順にまとめられた明細単位に、製品置場において保管されるべき位置を表示している。
図示の実施形態においては、生産計画の各明細は契約と紐付いており(リンクしており)、梱包方法、製品の向け先、払出予定日が明確に表示されている。また、圧延終了後の置場状態、すなわち置場において保管される位置と、製品の種類と個数も、生産計画の各明細において表示されている。
工程K11で自動立案された置場計画K12は、最適であるか否かが操業上問題になる場合は、各種マスターや条件を変更して再計算される(図8で示す置場配置自動計算サーバー2における配置計画確認ブロック91)。自動立案された置場計画K12が最適であれば、置場計画K12を鋼製品の保管に携わる部署、例えばクレーン運搬部署K9に発信すると共に、図示しないデータベースで記憶しておく。
【0052】
保管場所決定システム100は、生産計画に置場指示計画を関連付けて(リンクして)、置場計画と関連付けられた生産計画を各部署へ送信する機能を有している。係る機能を有することにより、保管場所まで考慮して鋼製品を生産して、保管場所(置場)の効率的な利用が図れる。また、生産された鋼製品に不良品が存在した場合において、その不良品を填補する鋼製品を製造するため、鋼製品の生産における各工程に迅速に補填のための措置を実行させることが可能となる。それに加えて、不良品も保管場所(置場)に配置しておくべき場合が存在するからである。
図9では図示を省略しているが、置場計画と関連付けられた生産計画は、逐一、製鋼工場における材料生産工程K2〜製品搬送クレーンにおけるクレーン運搬工程K9の各工程を行う設備に配置された情報端末に、図示しない情報ネットワークを経由して配布される。
【0053】
材料生産工程K2を行う製鋼工場では、生産計画に基づいて材料すなわち粗鋼の生産が行われる。生産された材料(粗鋼)は加熱炉K3に送られ、加熱される。そして加熱後は圧延工程K4に送られ、圧延される。圧延された鋼材は、切断工程K5において鋸刃或いはシャー刃等により、必要な長さ(契約に対応)に切断される。
ここで、切断工程K5では、生産計画に基づいて、所定の切断長さと切断順番にしたがって実行される。
【0054】
ここで、切断工程K5において、圧延加工された鋼材の圧延延び長さにより、計画した長さの製品が取れないケースがあり、予定外(この場合は生産計画よりも短い製品)の長さの製品となる。この予定外の製品も置場に保管する必要があるため、予定外の製品が発生した場合においても、その情報を加味して生産計画及び置場計画を再計算が行われる。
これに加えて、切断工程K5を行う部署においては、予定製品長さ及び予定製品本数と、実績製品長さ及び実績製品本数とを対比できる形式で記録し、各工程に自動配布するように構成されている。予定の数値と実績とを対比することにより、注文された鋼製品の長さ及び本数を確保するための情報として活用するためである。
【0055】
切断工程K5の部署で切断された製品は、格付け工程K6を実行する部署に送られる。製品の格付け工程K6では、切断工程で切断した製品を検査して、正規品、不良品の振り分けを行う。そして、振り分けした製品仕様、製品長さ、格付け結果、本数を各工程に自動配布する。
正規品と不良品とを振り分ける検査は、自動制御によって機械的に行っても良いし、或いは、検査員によって行っても良い。
正規品と不良品との振り分け検査の結果は置場配置自動計算サーバー2に送られ、当該検査結果に基づいて製品置場計画自動立案工程K14が行われる。工程K14は、不良品の発生によって鋼製品の生産本数が契約で定まった注文本数よりも減少し、生産計画を変更して当該事態に対処した際に、変更された生産計画に基づいて、鋼製品の置場利用効率を最適なものとするために実行される。
工程K14により計算された置場計画(再計算結果)は符号K15で示されており、その置場計画K15はクレーン運搬部署K9に発信される。
不良品に関する情報は、材料追加工程K13を行う部署を経由して生産管理部署に送られ、生産計画立案工程K1bで用いられる。
【0056】
格付けされ、正規品と認定された製品については、注文主毎の契約に基づいて、契約割付工程K7が行われる。契約割付工程K7が完了した鋼製品は、注文主毎に異なる契約条件にて、梱包が行われる(工程K8)。梱包工程K8では、注文主毎に、かつ、製品種類及び長さ毎に梱包を行う。
工程K6で不良品が多数出た場合には、不良品も梱包する場合がある。
【0057】
製品梱包工程K8を行う際に、計画外で生産した製品や、計画していたが生産がされなかった製品が存在する。そのため、製品梱包工程K8において、梱包するべき鋼製品を受け入れたタイミングで、正規品と判定された鋼製品の実績本数に基づいて、契約引当て処理を行い、置場で保管するべき位置(置場計画)が再計算される。そして、生産された正規品と、向け先(契約引当て処理)、梱包方法、置場計画等が関連付けられる。
この時、再計算した置場計画は、各工程に自動配布される。
【0058】
ここで「契約引当て処理」とは、例えば、注文した需要家(注文主)が3社で、合計の契約本数が30本あって、この内の10本が不良品であった場合に、正規品と判断された20本の鋼製品について、優先順位(引当て優先順位)にしたがって各需要家に出荷するべき製品本数を決定する処理を指す。この場合、不良品であった10本については、優先順位の低い需要家に対して引き当てるべき鋼製品として、再度生産計画を立案して生産することになる。
【0059】
工程K6で不良品と判断された製品については、向け先の計算は行わず、置場計画のみと関連付けられる。
また、不良品を梱包する方法については、標準方法(例えば、不良品は5本ごとに梱包する等)として、予め決められている。
【0060】
梱包を終えた製品は、クレーン運搬工程K9で、置場(精整ヤード)に搬送され、保管される(工程K10)。
工程K9を実行する搬送用クレーンには、予め無線でネットワークに接続できるコンピューター(例えばPC)が設置され、そのコンピューターには切断工程K5〜梱包工程K8の操業状況閲覧機能を設け、予定外の操業が必要となる場合においても、その旨を事前に把握できるようにして、計画外(予定外)の製品であっても、効率的に置場へ搬送することを可能ならしめている。
【0061】
また、搬送用クレーンのコンピューターは、前工程の操業実績を加味した最新の置場指示情報を閲覧することができる機能を有していると共に、当該最新の置場指示情報にしたがって、鋼製品を置場における所定の位置まで搬送した実績を登録する機能を有している。
また、搬送用クレーンのコンピューターは、何等かの理由により置場計画で定められた置場とは異なる置場に搬送した場合に、その旨を実績として登録できる機能を有している。
【0062】
置場配置自動計算サーバー2は、上述した各種実績(置場実績)が搬送用クレーンのコンピューターに登録されたタイミングで、置場計画を再計算することができる。そして、再計算された置場計画を、各工程を実行する部署に自動配布することができる。
なお、置場(精整ヤード)では、鋼製品は置場計画にしたがって保管され、出荷期日がくれば置場から搬出されて出荷される(工程K10)。
【0063】
図10は、保管場所決定システム100による置場計画の自動立案制御の全体を示している。
図10において、ステップS1では、制約条件ユニット3によって、制約条件の登録を行う。具体的には、制約条件ユニット3の入力装置30のオペレーターが、発注者と締結した契約の明細や鋼製品の製造施設の稼働状況等を勘案して、配山の作成の必要な制約条件を、制約条件ユニット3の制約条件マスター作成ブロック32によって制約条件マスターに登録し、或いは、制約条件マスターを訂正する。
ここで、制約条件は固定情報として登録される。そして上述したように、制約条件としては、例えば、次に列挙するものが存在する。
(1) 置場の大きさ(標準的な区画割も含む)
(2) 配山最大幅、配山標準幅、配山最小幅
(3) 配山最大高さ、配山標準高さ、配山最小高さ
(4) 配山間隔
(5) 製品毎の梱包サイズ
(6) マンボの断面サイズ、マンボの長さ
(7) その他
【0064】
ここで、制約条件を固定情報とした場合、変動情報としては、例えば以下に列挙する内容が、図2〜図8を参照して上述した各ユニット4〜8に入力される。
変動情報
(1) 生産計画(製品名、規格、長さ、本数、切断順番)
(2) 契約情報(需要家或いは発注者、向け先、製品名、規格、長さ、本数、梱包)
(3) 契約毎の払出予定日(納期)
(4) 引当て優先順位(例えば、納期に厳しい発注者への製品を先に生産し、納期が緩やかな発注者への製品を後に生産する等の順位付け)
(5) 置場使用状況(置場の空きスペースの情報)
(6) その他
【0065】
図10のステップS2では、生産計画ユニット5において生産計画の入力が行われる。例えば、生産計画を圧延順に読み、図示しない記憶手段に一時的に記憶させておく(作業領域に退避する)。
ステップS2で記憶された生産計画は、その後のステップで再び呼び出されて処理されるが、処理に際して記憶された生産計画を呼び出す時間を短縮して、置場計画の立案に費やされる時間を短縮化するため、このステップS2において生産計画を全て読み込んで、アクセスが容易な記憶手段に一時的に記憶しておく。換言すれば、後のステップで生産計画を読み直すため、生産計画の明細を全て先読みしておくのである。
【0066】
ステップS3では、契約情報ユニット4において、契約情報が入力される。入力に際しては、ステップS2で読み込まれた生産計画に対応する契約情報を全件読み、記憶する(作業領域に退避する)。
ステップS2と同ように、後続する各種ステップで契約情報を呼び出す時間を短縮して、置場計画立案に費やされる時間を短縮するためである。
【0067】
ステップS4では、置場配置演算ユニット8において、置場の空きエリアに関する情報を取得する。より詳細には、置場使用マスターに記録されている直近の(前回の)置場計画の立案結果と、実際に置場に鋼製品が配置されている情報とを読み取り、各置場における鋼製品の保管が可能な領域(空きエリア)に関する情報を取得するのである。
ステップS4については、図11〜図17を参照して後述する。
【0068】
ステップS5では、生産計画に契約情報を関連付ける(リンクさせる)処理がなされる。係る処理について、本明細書では、「紐付ける」と表示する場合がある。
具体的には、ステップS5においては、(注文)情報と生産計画情報とを読み込んで、生産計画情報の明細毎に、対応する契約情報の内容、例えば「注文No.」、「梱包本数」、「発注者」、「納期」等を付加する。
ステップS5の「生産計画の契約紐付け」の処理については、図18〜図22を参照して後述する。
【0069】
ステップS6では、制約条件マスターを読み込む。
ステップS6で読み込まれる制約条件マスターに関しては、図11、図12を参照して後述する。
【0070】
ステップS7では、生産計画にしたがって生産される鋼製品(生産ロット)のみで新たに配山されるか(「新規配山」か)、或いは、既に鋼製品が配置されている上に当該生産ロットに係る鋼製品を積上げられるか(「積上げ」か)を判断する。
後述するように、置場(保管場所)を効率良く利用するために、可能な限り「積上げ」とするのが好ましい。
ステップS7において、既に鋼製品が配置されている上に当該生産ロットに係る鋼製品を積上げると判断されれば(ステップS7が「積上げ」)、ステップS8に進む。一方、ステップS7において、当該生産ロットのみで新たに配山すると判断されれば(ステップS7が「新規配山」)、ステップS9に進む。
【0071】
ステップS8では、積上げ配山の検証を行う。
すなわち、今回生産される生産ロットに係る鋼製品が、既に置場に置かれている鋼製品の上に配置することができるか否かを検証して、配置可能であれば配置予定を計画する。
ここで、今回生産される生産ロットに係る鋼製品が、既に置場に置かれている鋼製品の上に配置することができない条件としては、次の二つが挙げられる。
(1) 既に積上げられている鋼製品における最上段の鋼製品の納期よりも、納期が遅い鋼製品は置くことができない。
納期が遅い鋼製品を納期が早い鋼製品の上に積み重ねてしまうと、納期が早い鋼製品の納期に当該鋼製品を置場から搬出する際に、その上に積み重ねた納期の遅い鋼製品をいったん別の個所に配置する必要があり、いわゆる「配替え」を行わなければならないからである。
(2) その置場のベースとなる長さ(その置場における配置可能なサイズ)より長い製品を置くことはできない。
極端に短い製品(例えば長さ8m)の上段に、長い製品(例えば長さ23m)を積上げた場合には、荷崩れの原因となってしまう。また、上段に積上げられた長い製品の端部側が垂れ下がってしまい、鋼製品の品質低下の原因となってしまう。これ等の理由により、ベースとなる長さよりも長い製品を置くことができないのである。
【0072】
ステップS8の「積上げ配山の検証」については、図23〜図29を参照して後述する。
ステップS8の処理を終えたならステップS9に進む。
【0073】
ステップS9では、製品長さ毎の配山検証を行う。
具体的には、ステップS9では、同一種類の鋼製品を梱包した同一長さの製品梱包数が、単独で配山を一山形成するだけの量があるか否かを検証する。
当該梱包が単独で配山を形成できるだけの量があれば、当該梱包のみによって(単独で)配山を形成する。
単独で配山するだけの量がない場合には、その他の長さの梱包と共に配山を形成する(混載)。
ステップS9については、図30〜図34を参照して後述する。
【0074】
次のステップS10では、置場の単列複列の検証を行う。
ステップS10では、同一の鋼製品の製品長さを調べ、置場を有効活用するためには単列で配置するべきか、或いは複列で配置するべきかを検証する。
ステップS10の「置場の単列複列の検証」の処理方法は、図35〜図44を参照して後述する。
ステップS10を完了したならば、ステップS11に進む。
【0075】
ステップS11では、ステップS10〜ステップS10の処理により求めた情報に基づいて、置場における鋼製品の保管位置(配置)を決定する。
ステップS11の「置場決定処理」は、図45〜図48を参照して後述する。
ステップS11が完了した後に、ステップS12に進む。
【0076】
ステップS12では、ステップS11において自動立案した置場配置計画の確認を、置場配置演算ユニット8の配置計画確認ブロック91によって行う。
ステップS12で確認されるべき情報は、以下の二点である。
(1) 生産計画の明細毎に示されている当該生産ロットの置場予定。
(2) 置場毎の製品配置予定と、当該配置予定の領域に既に配置されている鋼製品の情報。
ステップS12で確認した結果、ステップS11で立案された配置計画が最適ではないと判断した場合には(ステップS12がNG)、ステップS13に進む。
一方、ステップS12で確認した結果、ステップS11で立案された配置計画が最適であると判断されれば(ステップS12がYES)、ステップS14に進む。
【0077】
ステップS13では、ステップS11で立案された配置計画が最適ではないと判断されているので、制約条件、各種マスター、生産計画等の計算条件を変更してステップS2まで戻り、ステップS2以降を繰り返す。
【0078】
ステップS14の段階では、ステップS11で立案された配置計画が最適であると判断されており、当該配置計画を生産現場の工程K1〜K10(図9)の各々に自動配布する。
自動配布の態様としては、例えば、図示しないネットワーク経由で、工程K1〜K10の各々を実行する部署に配置されたコンピューターへ送信する。
以上により、処理は完了する。
【0079】
図11は図10のステップS4の詳細を示している。
以下、図11に基づき、図12〜図17をも参照して、置場仕様マスターに記録されている前回の制御サイクルにおける置場計画の立案結果と、実際の置場における鋼製品の配置に関する情報を読み取り、各置場の空きエリア(置場空きエリア)の情報を取得する制御(置場の空きエリアに関する情報を取得する制御)について説明する。
図11のステップS21では、例えば図12で示すような制約条件マスターを読み込み、置場使用優先順位(どの置場から、鋼製品を配置するか)に関する情報と、置場配置方法・方向(置場のどの部分から鋼製品の配置を進めるか)に関する情報とを取得する(図10のステップS6参照)。
【0080】
ここで、図12で例示されている制約条件マスターは、各置場(例えば、置場1、置場2、置場3)において、
どの置場から鋼製品を配置するのか(図12の例では、置場1→置場3→置場2の順番で、鋼製品を配置)に関する情報、
新規配山にするのか或いは積上げる(既に鋼製品が配置されている個所に新たな生産ロットに係る鋼製品を積上げる)のかに関する情報、
置場配置方法・方向(置場をどこから使うか?に関する情報)、置場使用優先順位(どのような鋼製品を優先して配置するのか?に関する情報)に関する情報、
が表或いはマトリックスの形式で示される。
【0081】
図12の例では、置場配置方法・方向については、置場1では北側の領域から鋼製品を配置し始め、南側の領域に向けて鋼製品の配置が進行する。
置場2では北側の領域から鋼製品の配置を開始して、南側の領域に向けて鋼製品の配置が進行する。
置場3では南側の領域から鋼製品の配置を開始して、北側の領域に鋼製品の配置が進行する。
【0082】
図12において、置場1、置場2のように、北側の領域から鋼製品の配置を開始して、南側の領域に向けて鋼製品の配置が進行するのは、図13ではX方向アドレスが昇順することになる。
そして、図12の置場3のように、南側の領域から鋼製品の配置を開始して、北側の領域に鋼製品の配置が進行する場合には、図13ではX方向アドレスが降順することになる。
【0083】
図13には鋼製品の置場(ストックヤード)YDを上方から見た状態が図示されており(平面図)、図14は置場YDを正面から見た状態(正面図)が示されている。
図13、図14において、ハッチングで示されている領域Mは新たに鋼製品を配置することができない領域(置場利用エリア)であり、ハッチングが付けられていない領域Eeは置場空きエリア、すなわち鋼製品を新たに配置することが可能な領域である。
なお、図13、図14におけるX方向、Y方向、Z方向については、図15で概要が表現されている。
【0084】
図11のステップS22では、置場仕様マスター(図16参照)が1件ずつ読み込まれる。そして、次のステップS23においては、図16で示すような置場仕様マスターにおける全ての置場(置場1〜置場3)について、ステップS24〜S26までの処理が終了したか否かを判断する。
図16で示す置場仕様マスターは、全ての置場(置場1〜置場3)について、置場サイズ、マンボサイズ、配山の間隔、置場利用情報(鋼製品が既に配置されており、それ以上は積上げることができない領域を示す位置情報或いは座標)、各配山最上段の鋼製品の出荷日(納期)等が示されている。
【0085】
図11のステップS23で、全ての置場(置場1〜置場3)についてステップS24〜S26までの処理が終了したと判断された場合には(ステップS23がYES)、図10のステップS4における置場の空きエリア取得処理を終了する。
一方、全ての置場(置場1〜置場3)についてステップS24〜S26までの処理が終了していないのならば(ステップS23がNO)、ステップS24に進む。
【0086】
ステップS24では、置場のサイズ(大きさ)を取得する。
図17で例示する置場空きエリア情報では、置場サイズ(大きさ)は、縦、横、高さで管理されており、図17において、単位はメートルで示されている。ここで、図13〜図15で示すように、縦はX方向、横はY方向、高さはZ方向である。
【0087】
ステップS25では、図16の置場仕様マスターの置場利用情報を取得する。
ここで、図16における置場利用情報は、置場空きエリア取得のための処理(図10のステップS4)を行う時点において、鋼製品が実際に置場に配置されている状況を示す情報である。係る情報は、図16において、利用エリア1〜利用エリアnの領域に示されている。
図16における置場利用情報には、直前における置場計画立案処理で決定した内容(置場計画)が含まれている。或いは、図16における置場利用情報には、実際の操業によって、実際に鋼製品が置場に配置された際における情報(置場において鋼製品がどのように配置されているのか)が反映されている。
ここで、一つの置場には、複数の配山を形成して鋼製品が配置されている。その旨を表現するために、図16における置場利用情報では、利用エリア1〜利用エリアnが表示されている。
【0088】
図示の実施形態では、置場利用エリアの位置を表示(管理)するため、例えば図16における置場利用エリアの位置のように、図13〜図15で示すX方向、Y方向、Z方向の各アドレス(図13、図14の起点Psからの距離)により表示(管理)している。
具体的には、例えば図16において、鋼製品をそれ以上は積み上げることができない置場利用エリアは、始点及び終点のX方向アドレス、Y方向アドレス、Z方向アドレスで示されている。ここで、始点は図15における点Psであり、終点は図15における点Peである。3次元で表現される始点と終点を表示することにより、置場利用エリアの位置を3次元的に表示しているのである。
なお、図15の始点Psは、図13の起点Psと同一位置である。
【0089】
ステップS26では、ステップS25までに取得した情報、すなわち、置場のサイズ(大きさ)及び置場利用エリア(製品が既に置かれており、それ以上は配置できない領域)の情報に基づいて、鋼製品を配置可能な領域を求める。
ステップS26における処理の基本的な考え方としては、置場サイズ(置場建屋全体の大きさ)から置場利用エリア(既に製品が置かれており、それ以上は鋼製品を配置することができない領域)を減算して、置場の空きエリア(鋼製品を配置できるエリア)を求める。
ここで、置場サイズから置場利用エリアを減算して置場の空きエリアを求める際に、図13〜図15を参照して説明したX方向のアドレス、Y方向のアドレス、Z方向のアドレスを活用する。
【0090】
ステップS26における空きエリア(鋼製品が配置可能なエリア)の求め方を、手順にしたがって詳述する。鋼製品を配置可能なエリア(空きエリア)を求めるということは、図17で表示するべき情報を演算することであり、図17を完成させることを意味している。
先ず、一つの置場に対して複数の空きエリアが存在する可能性があるので、図17では空きエリアを番号(空きエリアNo.)で表現している。
そして、上述したように、空きエリアの領域を表現するには、始点と終点のX方向のアドレス、Y方向のアドレス、Z方向のアドレスを用いる(空きアドレス情報)。
【0091】
空きエリアにおいて、Z方向の途中の段まで既に鋼製品が配置されている場合(既に配置はされているが、その上方に新たに鋼製品を積上げることが可能な場合)には、最上段の製品出荷日を求める。
そして、空きアドレス情報(空きエリアの始点と終点におけるX方向のアドレス、Y方向のアドレス、Z方向のアドレス)に基づいて、空きエリアのサイズ(大きさ)を求めるのである。
【0092】
次に、図17における「配置優先順位」、すなわち、空きエリア相互の優先順位を求める。空きエリア相互の優先順位を求めるには、図12で例示する制約条件マスターの「置場仕様優先順位」及び「置場配置方法・方向」を用いる。
図12の「置場仕様優先順位」が高い置場(置場1)について、例示する。
先ず、図12の「置場配置方法・方向」にしたがって、置場1については北から、すなわち「北→南」の方向について(X方向。図13参照)、空きアドレスの始点のX方向アドレスを検索する。
X方向への検索の結果、始点のX方向アドレスが最初に見つかった空きエリアの優先順位が最も高く、以下、始点のX方向アドレスが見つかった順番を空きエリアの優先順位とする。
【0093】
複数の空きエリアにおいて、始点のX方向アドレスが同一の場合には、始点のY方向アドレスが小さい方が優先する。換言すれば、始点のX方向アドレスが同一の場合には、Y方向について始点から終点に向かって検索した場合に、始点のY方向アドレスが見つかった順番が、空きアドレスの優先順位となる。
上述した手順で空きエリアにおける優先順位(配置優先順位)を求めたならば、求められた優先順位にしたがって、置場配置計画を立案する。
【0094】
このようにして、図17で例示するような形式の置場空きエリア情報を求めたならば、置場配置演算ユニット8の図示しないデータベースに記憶する。
一つの置場について、ステップS26の処理を終えたならば、再びステップ22に戻り、ステップS22以降の処理を行う。
上述したように、ステップS22〜ステップS26のルーチンは、全ての置場(置場1〜置場3)について、図17で示すような置場空きエリア情報を作成するまで、続けられる。
【0095】
図18は、図10のステップS5(生産計画の契約紐付けの処理)の詳細を示している。
以下、図18のフローチャートに基づき、図19〜図22を参照して、契約(注文)情報と生産計画情報を読み込み、生産計画に「契約No.(注文No.)」、梱包本数、注文者、納期等の契約情報を付加する処理(生産計画の契約紐付けの処理)について説明する。
なお、梱包本数とは、鋼製品を何本ずつまとめて梱包するのかを意味しており、発注者毎に異なっている。
【0096】
図18のステップS31において、図10のステップS3でアクセスが容易な記憶手段に一時的に記憶された契約情報を、納期の遅い順に並び替える。生産された鋼製品を同一の空きエリアに積上げる場合には、納期の遅い鋼製品が下方(先に生産)に配置され、納期の早い鋼製品が上方(後に生産)に配置された方が、鋼製品搬出の際に配替えの労力が不要となるからである。
次のステップS32では、新たな項目として「引当数」を設ける。そして、契約情報の注文本数と同じ値を「引当数」に入れる。すなわち、契約情報の注文本数をコピーして「引当数」とする。
ここで、図19は生産計画を生産順に並べた情報を表を示し、図20は既にステップS31の処理を完了した状態の契約情報を示している。
【0097】
ステップS33では、図10のステップS2で記憶手段に一時的に記憶された生産計画(図19)を、生産順(図19における最左欄参照)に、1件ずつ(1行ずつ)読み込み、ステップS34において、生産計画における全てのデータ(図19における生産順1〜18の全てのデータ)について、ステップS35〜S464の処理が完了したか否かを判断する。
【0098】
ステップS34において、生産計画における全てのデータ(図19における生産順1〜18の全てのデータ)について、ステップS35〜S464の処理が完了したのであれば(ステップS34がYES)、図18で示す処理(図10のステップS5の処理)は終了する。
一方、生産計画における全てのデータ(図19における生産順1〜18の全てのデータ)について、ステップS35〜S464の処理が未だ完了していないのであれば(ステップS34がNO)、ステップS35に進む。
【0099】
ステップS35では、納期の遅い順に並び替えられた契約情報(図20)において、契約情報を「契約No.」に対応する契約情報毎に1件ずつ(1行ずつ)読み込む。図19の例では、契約No.B−1から情報から下方へ向かって順番に、契約No.A−4までの契約情報を、1件(1行)読み込むのである。そして、納期の遅い順に並び替えられた契約情報(図20)を1件ずつ(1行ずつ)読み込んだならば、ステップS36に進む。
ステップS36では、S33で読み込まれた生産計画(図19参照)と、ステップS35で読み込まれた契約情報(図20参照)とを比較して、「製品名(製品の種類)」、「規格」、「製品の長さ」(「製品名(製品の種類)」、「規格」、「製品の長さ」を「キー」と総称する)が同じであるか否かを判断する。生産計画と契約情報のキーとが同じであれば(ステップS36がYES)、ステップS37に進み、同じでなければ(ステップS36がNO)、ステップS35、S36を繰り返す。
【0100】
換言すれば、ステップS36では、ステップS33で読み込んだ生産計画と、ステップS35で読み込んだ契約情報とが対応しているか否かを判断し、以って、生産計画に対応する契約情報を探し出しているのである。長さ13mの製品aを例にして後述するように、生産計画と契約情報は「キー」が同一の製品について行わなければならず、そのために、ステップS33で長さ13mの製品aに関する生産計画明細を1行読み込んだならば、ステップS35とステップS36がNOのルーチンにより、長さ13mの製品aに関する契約情報(ステップS33で読み込まれた生産計画明細と「キー」が同一の契約情報)がピックアップされるのである。
【0101】
ステップS37では、ステップS35で読み込んだ契約情報の引当数(図20における最右欄参照)がゼロであるか否かを判断する。
当該契約情報の引当数がゼロでなければ(ステップS37がNO)、ステップS38に進む。
引当数がゼロであれば(ステップS37がYES)、その契約情報は既に生産計画との紐付けが完了しているので、ステップS38以降の処理は不要である。したがって、ステップS35に戻り、新たな契約情報を読み込む。
【0102】
ステップS38では、
「仮引当数」=「契約情報の引当数」−「生産計画の生産数」
なる式で表現される数値を「仮引当数」として求める。
ここで、「契約情報の引当数」は図19の最右欄の数値であり、「生産計画の生産数」は図18の最右欄「本数」における数値である。
ステップS38で仮引当数を求めたならば、仮引当数がゼロ以上(仮引当数≧ゼロ)であるか否かを判断する(ステップS39)。
仮引当数がゼロ以上であれば(ステップS38がYES)、ステップS40に進む。一方、仮引当数がゼロ以上でなければ(ステップS38がNO)、ステップS43に進む。
【0103】
ステップS40では、ステップS38で求めた仮引当数を、図19の最右欄で示す契約条件の引当数として設定する。
次のステップS41では、生産計画(図18)の各行に、契約情報の「契約No.」、梱包本数、納期、注文主名等の情報を付加(設定)する。
そしてステップS42では、設定した梱包本数に基づいて、図21に示す製品仕様マスターから梱包サイズ(梱包の大きさ)を求め、生産計画(図18)の各行に付加(設定)する。そして、ステップS33に戻る。
ステップS41、S42を行った結果、図18の生産計画は、図22で示すように、各種情報が紐付けられる。
【0104】
ステップS43(ステップS39がNO)では、下式にしたがって、「生産計画残数」を求める。
生産計画残数=生産計画の生産数−契約情報の引当数
ここで生産計画残数は、ある生産計画明細における生産数或いは本数において、契約情報と紐付けられている分と契約情報と紐付けられていない分とが存在する場合において、契約情報と紐付けられていない分(生産数或いは本数)を意味している。換言すれば、ある生産計画明細における鋼製品の生産数或いは本数の内で、契約情報と紐付けられていない分の鋼製品の生産数或いは本数である。
ステップS44では、図22の中央付近の欄で示す生産計画の本数として、図19の最右欄で示す契約情報の引当数を設定する。
次のステップS45では、契約情報の「契約No.」、梱包本数、納期、注文主名等の情報を、生産計画(図18)の各行に付加する。
ステップS46では、設定した梱包本数に基づいて、図21の製品仕様マスターから梱包サイズ(梱包の大きさ)を求める。
【0105】
次のステップS451では、図22の生産計画において、その制御サイクルにおいてステップS33で読み込まれている(紐付け処理が行われている)明細(行)の直下に、新たな明細(行)を追加する。
追加された新たな明細(行)においては、製品名、規格、長さ、本数については、ステップS33で読み込まれている生産計画の明細(行)と同じ内容を設定する。
【0106】
ステップS452では、その時点で生産計画と紐付けられている契約情報ステップS35で読み込まれた契約情報の引当数にゼロを設定する。
ステップS453では、納期の遅い順に並び替えられた契約情報(図20)において、契約情報を「契約No.」に対応する契約情報毎に1件ずつ(1行ずつ)読み込み、ステップS454に進む。
ステップS454では、S33で読み込まれた生産計画(図19)と、ステップS453で読み込まれた契約情報(図20参照)とを比較して、「キー」が同じであるか否かを判断する。「キー」が同じであれば(ステップS454がYES)ステップS455に進み、「キー」が異なっていれば(ステップS454がNO)ステップS453に戻り、新たな契約情報を1件読み込む。ステップS453、S454により、以後の処理は、S33で読み込まれた生産計画(図19)と同一キーの契約情報について行われる。
【0107】
ステップS455では、ステップS453で読み込んだ契約情報の引当数(図20における最右欄参照)がゼロであるか否かを判断する。当該契約情報の引当数がゼロでなければ(ステップS455がNO)、ステップS456に進む。
引当数がゼロであれば(ステップS455がYES)、その契約情報は既に生産計画との紐付けが完了しており、ステップS456以降の処理は不要であるため、ステップS453に戻り、新たな契約情報を読み込む。
【0108】
ステップS456では、
「仮引当数」=「契約情報の引当数」−「生産計画の残数」
なる式で表現される数値を「仮引当数」として求める。
ステップS456で仮引当数を求めたならば、仮引当数がゼロ以上(仮引当数≧ゼロ)であるか否かを判断し(ステップS457)、仮引当数がゼロ以上であれば(ステップS457がYES)、ステップS458に進む。一方、仮引当数がゼロ以上でなければ(ステップS457がNO)、ステップS461に進む。
【0109】
ステップS458では、ステップS456で求めた仮引当数を、ステップS453で読まれた契約情報の引当数として設定する。
次のステップS459では、生産計画(図19)の各行に、契約情報の「契約No.」、梱包本数、納期、注文主名等の情報を付加(設定)する。
そしてステップS460では、設定した梱包本数に基づいて、図21に示す製品仕様マスターから梱包サイズ(梱包の大きさ)を求め、生産計画(図19)の各行に付加(設定)する。そして、ステップS33に戻る。
ステップS459、S460を行った結果、図19の生産計画は、図22で示すように、各種情報が紐付けられる。
【0110】
一方、ステップS461(ステップS457がNO)では、ステップS453で読まれた契約情報の引当数として、ステップS33で読まれた生産計画の本数を設定する。
次のステップS462では、契約情報の「契約No.」、梱包本数、納期、注文主名等の情報を、生産計画(図19)の各行に付加する。
ステップS463では、設定した梱包本数に基づいて、図21の製品仕様マスターから梱包サイズ(梱包の大きさ)を求める。
ステップS464では、図22で示す生産計画において新たな明細行を追加する。そして、ステップS452に戻る。
【0111】
上述した処理(図18〜図22で説明した処理)により、生産計画は、図22で示すように、各種情報が紐付けされた内容となる。
換言すれば、図22の紐付き後の生産計画(表)は、図19〜図21の情報が関連付けられて記憶される。
【0112】
図19〜図22における長さ13mの製品であって、製品名「a」、規格は「NA」である製品に関する生産計画と契約情報を例示しつつ、上述した処理について、より詳細に説明する。
係る製品については、図19における生産順が8〜11の生産計画明細(図19の行)と、図20の契約No.B−3及び契約No.A−3に係る契約情報(図20の行)とが該当する。
【0113】
ステップS33により、先ず図19の生産計画から、生産順8の生産計画明細が読み込まれる。
ステップS35では、図20の最も上の行における契約No.B−1から順に読み込まれるが、ステップS33で読み込まれた生産順8の生産計画明細と同一キーの製品(長さ13m、製品名「a」、規格は「NA」である製品)に係る契約以外であるとステップS36ではNOと判断される。そして、ステップS35、ステップS36により、生産順8の生産計画明細と同一キーの製品であって、納期が最も遅い契約情報である契約No.B−3の情報が読み込まれる。
図19の生産順8における本数は3本であり、図20の契約No.B−3における引当数は5本である。
したがって、ステップS38で求められる仮引当数は 5−3=2本 であり、
2≧ゼロ であるためステップS39では「YES」と判定されて、ステップS40に進む。
【0114】
ステップS40では、契約No.B−3の引当数が5本から仮引当数の2本に変更される。
ステップS41では、生産順8における生産計画明細(行)に契約No.B−3における情報が付加される。また、ステップS42では、図21の製品仕様マスターから製品aに関する梱包サイズの情報が抽出されて、生産順8における生産計画明細(行)に付加される。そして、ステップS33に戻る。
【0115】
ステップS33では、図19における生産順9の生産計画明細が読み込まれる。
ステップS35では、図20の最も上の行における契約No.B−1から順に読み込まれるが、ステップS36により、生産順8の生産計画明細と同一キーの製品であって、納期が最も遅い契約情報である契約No.B−3の情報が読み込まれる。
ここで、前サイクルのステップS40において、契約No.B−3の引当数は2本となっており、ゼロではないので、ステップS37ではNOと判定されてステップS38に進む。
ステップS38において、契約No.B−3の引当数は2本であり、生産順9の本数は4本であるので、仮引当数は 2−4=−2 となり、 −2≦ゼロ であるためステップS39はNOとなり、ステップS43に進む。
【0116】
ステップS43では、上述した式「生産計画残数=生産計画の生産数−契約情報の引当数」にしたがって、生産計画残数を求める。
ステップS38に関して述べたように、生産順9の生産計画明細における本数(生産数)は4本であり、契約No.B−3の引当数は2本であるので、生産計画残数は2本(=4−2)となる。
ステップS44では、図22の生産順9における生産計画の本数として、契約No.B−3の引当数である2本を設定する。
ステップS45では、生産順9における生産計画明細(行)に契約No.B−3における情報が付加される。ステップS46では、図21の製品仕様マスターから製品aに関する梱包サイズの情報が抽出されて、生産順9における生産計画明細(行)に付加される。
ステップS44〜S46の処理により、図19の生産順9における生産計画明細(行)は、図22の生産順9における生産計画明細(行)のようになる。
【0117】
ステップS451では図22の生産順9の明細(行)の直下に、新たな明細(行)、すなわち「生産順9.1」の生産計画明細(行)を追加する。
生産順9.1の生産計画明細(行)は、図19の生産計画で示されている項目(製品名、規格、長さ、本数)については、図22における生産順9の明細(行)と同一の数字が設定される。
ただし、生産順9.1の生産計画明細(行)においては、ステップS459で後述するように、契約No.A−3に対応付けられる。そのため、生産順9.1の生産計画明細(行)においては、図22における「契約No.」の欄には「A−3」と表示され、契約情報と紐付けられたその他の項目(梱包本数、注文者、納期等)についても、契約No.A−3の契約情報の内容が設定される。
【0118】
ステップS452では、ステップS35で読み込まれた契約No.B−3の引当数をゼロに設定する。
そして、ステップS453で、図20の最も上の行における契約No.B−1から順に契約情報が読み込まれる。ここでステップS454により、ステップS33で読み込まれた生産順9の生産計画明細と同一キーの製品であって、納期が最も遅い契約情報である契約No.B−3が選択されるが、契約No.B−3はステップS452で引当数がゼロとなっているので、ステップS455でYESと判定される。そして、生産順9の生産計画明細と同一キーの製品であって、契約No.B−3の次に納期が早い契約情報である契約No.A−3が読み込まれる。
契約No.A−3の引当数は「10(本)」であるので、ステップS455ではNOと判定され、ステップS457に進む。
【0119】
ステップS457では、下式により仮引当数が求められる。
仮引当数=契約情報の引当数−生産計画の残数
この例では、上述したように契約No.A−3の引当数は「10(本)」であり、ステップS43で生産計画の残数は2本であるので、仮引当数は8本である。
「8≧0」であるので、ステップS457はYESと判定され、ステップS458に進む。
ステップS458では、契約No.A−3の引当数は、仮引当数の「8本(=10−2)」となる。
ステップS459では、ステップS451で追加された生産順9.1の生産計画明細(行)に、契約No.A−3の「契約No.」、「梱包本数」、「納期」、「注文者」等を設定する。
ステップS460では、図21の製品仕様マスターから製品aに関する梱包サイズの情報が抽出されて、生産順9.1における生産計画明細(行)に付加される。そして、ステップS33に戻る。
【0120】
ステップS33では新たな生産計画明細として、図19における生産順がNo.10の生産計画明細が読み込まれる。
このサイクルの直前のサイクルにおいてステップS35で読み取られた契約No.B−3の契約情報は、ステップS452で引当数がゼロに設定されているので、ステップS35〜S37では、は、No.10の生産計画明細とキーが同一であり、引当数がゼロではない契約情報として、契約No.B−3よりも納期が早い契約No.A−3の契約情報を選択する。
ステップS38に際して、契約No.A−3の引当数は直前の制御サイクルにおけるステップS458で8本(=10−2)であり、No.10の生産計画明細の生産数は4本であるので、仮引当数は「4(=8−4)」となる。
したがって、ステップS39はYESとなり、ステップS40に進む。
ステップS40では契約No.A−3の引当数が仮引当数の4本となり、ステップS41ではNo.10の生産計画明細に契約No.A−3の内容が付加され、ステップS42でNo.10の生産計画明細に梱包サイズが付加されて、ステップS33に戻る。
【0121】
ステップS33では生産順がNo.11の生産計画明細が読み込まれ、ステップS35〜S37では契約No.A−3の契約情報が選択され、ステップS38、S39、S40〜S42が繰り返される。
この制御サイクルのステップS38では、契約No.A−3の引当数は直前の制御サイクルにおけるステップS40で4本(=8−4)であり、No.11の生産計画明細の生産数は4本であるので、仮引当数は「ゼロ(=4−4)」となる。
そして、ステップS38で契約No.A−3の引当数はゼロとなり、以って、図20で示す契約情報であって、製品名a、規格NA、長さ13mのキーを有する契約情報は、同一キーの生産計画(生産順がNo.9〜No.11)と全て紐付けられたことになる。
【0122】
契約情報と生産契約とを紐付けることにより、生産した製品の本数が契約による注文に対して過不足があるか否かを、容易に判断することができる、というメリットがある。
ここで、生産計画において、図22で示すような状態のものが既に存在するのであれば、図示の実施形態における図18〜図22までの処理(図10のステップS5の処理、或いは生産計画の契約紐付けの処理)は不要である。
【0123】
図23は、図10のステップS8(積上げ配山の検証)の詳細を示している。
以下、図23に基づき、図24〜図29を参照して、生産計画により生産される鋼製品が空きエリア(置場空きエリア)に積上げることができるか否かを検証して、積上げる(配置する)ことが可能であれば配置予定を計画する処理、すなわち「積上げ配山の検証」について説明する。
【0124】
図23のステップS51において、制約条件マスター(図24参照)を読み、制約条件を取得する。ここで、概略1ヶ月先までの生産予定等の事情により、予め置場を確保しておきたい場合は、制約条件として、予約置場情報を登録しておく(制約条件マスターに追加する)ことが望ましい。
図24の制約条件マスターは、図12の制約条件マスターに比較すると、置場予約情報の項目が追加されている。そして、係る置場予約が複数存在する場合を考慮して、図24では、置場予約をn項目だけ追加可能である(図24の「予約n」)。
【0125】
次のステップS52では、積上げが可能な置場を抽出する。
図11〜図17で説明した置場の空きエリア(置場空きエリア)を取得する処理によって、図25に示す空きエリア情報が得られているので、ステップS52では係る空きエリア情報を読み込む。そして、読み込まれた空きエリア情報から、空きエリアの最上段に配置された鋼製品の出荷日(図25の「最上段の製品出荷日」)が表示されている空きエリア情報を抽出する。
図26は、図25の空きエリア情報から、ステップS52で抽出した空きエリア情報、すなわち積上げが可能な空きエリア情報が示されている。
【0126】
ここで、既に鋼製品が配置されている領域の上方に、さらに鋼製品を配置する(空きエリアとして使用する)ことができるか否かを判断するに際しては、「最上段の製品出荷日」と「これから配置しようとする製品の出荷日」とを比較し、「最上段の製品出荷日」の方が「上積みする製品の出荷日」よりも後の場合は上積みをしない。
出荷日が早い製品を常に上方へ載置しておくことにより、鋼製品の配替え作業、すなわち上積みされている製品を別の置場に移して下方の鋼製品を取り出す作業が不要になるからである。
【0127】
図25においては、前回の制御サイクルで、当該空きエリアに新たに鋼製品が積上げ可能である場合に、最上段に配置された鋼製品の中で最も早い出荷日が、「最上段の製品出荷日」として登録されている。
上述したように、鋼製品搬出の際に配替え作業を不要にするために、出荷日の早い鋼製品が、それよりも出荷日が遅い鋼製品の上方に配置されるので、各エリアにおける最上段に配置された鋼製品は、そのエリアにおいて最も出荷日が早い鋼製品となるからである。
なお、図25において、積上げできないエリアについては、「最上段の製品出荷日」の欄は空白となっている。
【0128】
ステップS53では、生産計画を並び替える。例えば、「納期の降順(納期が遅い順)」に並び替え、或いは、「圧延順の昇順(圧延が早い順)」に並び替えることができる。
図18〜図22までの処理(生産計画の契約紐付け)が行われた後の生産計画を、ステップS53において納期の降順に並べ替えた状態が、図27で示されている。
【0129】
ステップS54では、ステップS53で並び替えられた生産計画(例えば、図27で示す)における生産計画明細を1件(図27における1行)を読む。
ステップS55では、生産計画の全ての明細(全ての行)について、ステップS56〜S60の検証を終了したか否かを判断する。
生産計画の全ての明細(全ての行)について、ステップS56〜S60の検証を終了していれば(ステップS55がYES)、図23〜図29の処理、すなわち図10のステップS8(積上げ配山の検証方法)を終了する。
生産計画の全ての明細(全ての行)について、ステップS56〜S60の検証を終了していなければ(ステップS55がNO)、ステップS56に進む。
【0130】
ステップS56では、ステップS52で抽出された積上げ可能な置場空きエリア情報(図26)を読み、次のステップS57では、全ての置場空きエリア情報の読み込みが終了したか否かを判断する。
全ての置場空きエリア情報の読み込みが終了していれば(ステップS57がYES)、ステップS54で読み込まれた生産計画明細に対応する置場空きエリアが設定された(或いは積上げられないことが判明した)と判断されるので、新たな生産計画明細に対応する置場空きエリア情報を紐付けるべくステップS54に戻り、ステップS54以降を繰り返す。
一方、全ての置場空きエリア情報の読み込みが終了していなければ(ステップS57がNO)、ステップS58に進む。
【0131】
ステップS58では、読み込んだ生産計画明細(生産計画の行)における製品名に対応する製品仕様マスター(図28)を読み、梱包サイズ(梱包後の断面・縦横の大きさ)に関する情報を取得する。
ステップS59では、ステップS54で読み込まれた生産計画(製品計画明細、或いは製品計画の行)に係る鋼製品が積上げ可能であるか否かの検証を行う。
【0132】
ステップS59において、鋼製品が積上げ可能であるか否かの検証を行うに際して、積上げが可能であるための条件としては、次の3つがある。
条件1: 置場空きエリアにおける最上段の製品出荷日と、ステップS54で読み込まれた生産計画(製品計画明細、或いは製品計画の行)における納期とを比較して、ステップS54で読み込まれた生産計画の納期の方が早い。
条件2: 置場空きエリアにおける横方向(図13におけるY方向)の配置可能サイズが、ステップS54で読み込まれた生産計画(製品計画明細、或いは製品計画の行)における鋼製品の長さよりも大きい(長い)。
条件3: 置場空きエリアにおいて、ステップS54で読み込まれた生産計画における梱包数が積上げ可能である。
【0133】
ここで、上記した「積上げが可能であるための条件」における条件3を検討するに際しては、以下の3つの計算式が用いられる。
計算式1
(置場空きエリアの配置可能サイズ・縦)÷(生産計画の梱包サイズ・横)=商(切捨て)
ここで、「生産計画の梱包サイズ」とは、ステップS54で読み込まれた生産計画における梱包のサイズである。「縦」、「横」については、後述する。
計算式1の「商」は、1段における梱包数を示す。
計算式2
(置場空きエリアの配置可能サイズ・高さ)÷(生産計画の梱包サイズ・縦)=商(切捨て)
計算式2の「商」は、置場空きエリアの配置可能サイズに何段の梱包(ステップS54で読み込まれた生産計画に係る梱包)を積上げることが可能か、という段数を示す。
計算式3
1段における梱包数×段数=配置可能梱包数
計算式3で求めた「配置可能梱包数」は、検証の対象となっている置場空きエリアに積上げることができる梱包(ステップS54で読み込まれた生産計画に係る梱包)の数を示している。
【0134】
計算式3で求めた配置可能梱包数が、ステップS54で読み込まれた生産計画(生産計画明細、或いは生産計画の行)で予定されている鋼製品の梱包数よりも多ければ、当該生産計画で予定されている鋼製品を、検証の対象となっている置場空きエリアに積上げ可能である。
換言すれば、 配置可能梱包数≧生産計画の梱包数 なる不等式を充足する場合に、積上げ可能と判断される。
【0135】
ここで、計算式1、計算式2において、「置場空きエリア情報の配置可能サイズ・横」は、製品の長さ方向に対応し、図13におけるY方向である。
「置場空きエリア情報の配置可能サイズ・縦」は、製品梱包荷姿の断面の幅方向に対応し、図13におけるX方向である。
「生産計画の梱包サイズ・横」は、製品梱包荷姿の断面の幅を意味し、図13におけるX方向と対応する。
「置場空きエリア情報の配置可能サイズ・高さ」は図14におけるZ方向である。そして、「生産計画の梱包サイズ・縦」は、製品梱包荷姿の断面の高さを意味し、図14におけるZ方向と対応する。
【0136】
次のステップS60では、ステップS59までの処理において、ステップS54で読み込まれた生産計画(生産計画明細、或いは生産計画の行)に係る鋼製品が、ある置場空きエリアに積上げることが可能であると判断された場合には、当該置場エリアは鋼製品が配置されることにより狭くなることが確定するので、図25で示す置場空きエリア情報を、当該生産計画に係る鋼製品を積上げた直後の配置可能サイズ及び空きアドレスを示す内容に更新する。
また、ステップS54で読み込まれた生産計画(生産計画明細、或いは生産計画の行)に、積上げ可能と判断された置場空きエリアの配置可能サイズ及び空きアドレスに係る情報(積上げ情報)を付加する。図29は、置場空きエリアの配置可能サイズ及び空きアドレスに係る情報(決定置場情報)を付加した生産計画を示している。
【0137】
図29において、積上げできない場合については、決定置場情報は空欄となる。
なお、上述した「配置可能サイズ」は、図29においては、決定置場情報の欄に付加処理された値として示されている。
ステップS60を終えた後、ステップS56まで戻り、ステップS56以降を繰り返す。
そして、置場空きエリア情報について検証が終了し(ステップS57がYES)、生産計画の全ての明細(行)について、置場空きエリアに積上げることができるか否かについての検証が終了したならば(ステップS55がYES)、図10のステップS8(積上げ配山の検証)は終了する。
【0138】
図30は、図10のステップS9(製品長さ毎の配山検証)の詳細を示している。
以下、図30に基づき、図31〜図34を参照して、同一種類、かつ、同一長さの鋼製品が一つの配山(ひと山)を形成することができるか否か、すなわち「製品長さ毎の配山の検証」について説明する。
【0139】
図30のステップS61では、生産計画を、製品名、長さの昇順(小さい順に)に並べ替えている。
ここで、ステップS61でいう生産計画とは、例えば図31で示すような引当て済みの生産計画データ、すなわち、図10のステップS5で契約情報と紐付けられ、かつ、決定置場情報(図10のステップS8)等の置場における配置に関する情報が付加されている生産計画である。
ステップS61では、例えば図31の生産計画を、図32で示すように、製品名、長さの昇順に並べ替えている。なお、図32では、例えば12mの鋼製品について集計した結果が示されているが、係る処理は、次のステップS62で行われる。
【0140】
ステップS62では、並べ替えた生産計画を読み、製品毎、長さ毎の梱包数を集計する。この時、梱包サイズの縦(高さ。Z方向)は集計基(集計された生産計画の明細、或いは集計された生産計画における各行)における梱包サイズの縦(高さ。Z方向)の最大値を設定する。
なお、梱包サイズの横(幅)については、集計されて梱包数が増加しても変わらない。
【0141】
ステップS62では、図31で示すように契約情報と決定置場情報とが既に付加された生産計画を対象としているが、図31の生産計画の明細(行)であって、同一種類(同一製品)、かつ、同一長さの鋼製品を集計するが、同一種類、かつ、同一長さの鋼製品であっても、契約により梱包本数(何本の鋼製品を一つの梱包とするのかという数値、或いは梱包の大きさを示す数値)が異なる可能性がある。
鋼製品がひと山を形成することができるか否かの検証については、梱包のサイズが重要なファクターであり、「梱包サイズの縦(高さ或いはZ方向の値)」の代表値として、集計された生産計画の明細(集計基)の中で、最も大きな数値を採用した。
ただし、最大値に代えて、集計された生産計画の明細(集計基)の中で、最も梱包本数の多い梱包の「梱包サイズの縦(高さ)」を採用することも可能である。
【0142】
図30〜図34で説明する「製品長さ毎の配山の検証」において、積上げ配山検証処理(図23〜図29で説明した処理)で既に置場が決まっている生産計画の明細(行)は、ステップS63〜S71で説明する処理の対象外とする。
例えば、図31の圧延順5で示す生産計画明細(行)については、既に置場が決定しており、ステップS63〜S71で説明する処理の対象外となるため、図32では表示されていない。
【0143】
ステップS63では、梱包数を集計した生産計画(図32)の明細を1件ずつ(1行ずつ)読み、ステップS84では、生産計画(図32)の全ての明細(全行)について、ステップS65〜S71の検証が終了したか否かを判断する。
生産計画(図32)の全ての明細(全行)について、ステップS65〜S71の検証が終了したならば(ステップS64がYES)、図10のステップS9(製品長さ毎の配山検証)を終了する。
一方、生産計画(図32)の全ての明細(全行)について、ステップS65〜S71の検証が未だ終了していないのならば(ステップS64がNO)、ステップS65に進む。
【0144】
ステップS65では、該当する製品マスター(図28)を読み、配山の大きさに関する情報を取得する。
次のステップS66では、配山の高さ方向に何段積めるか(配山段数)を求める。配山段数は、以下の計算式で求まる。
「製品仕様マスターの配山高さ標準」÷「生産計画の梱包サイズ縦」
ここで、「製品仕様マスターの配山高さ標準」は、例えば図28における「配山高さ」の「標準」の欄に示す数値であり、「生産計画の梱包サイズ縦」は、例えば図32における「梱包サイズ」の「縦」の欄に示す数値である。
上述した式の「商」の数値の小数点以下を切り捨て、配山段数を決定する。
【0145】
ステップS67では、ステップS66で求めた配山段数に基づいて、配山の列数を求める。配山の列数は、以下の計算式で求まる。
「生産計画の梱包数」÷「ステップS66で求めた配山段数」
生産計画の梱包数は、例えば図32における「梱包数」の欄に示す数値である。
上記式の「商」の数値の小数点以下を切り上げて、配山の列数(配山列数)を決定する。
【0146】
ステップS68では、ステップS67で求めた配山列数に基づいて、配山の幅(長さ)を求める。配山の幅(長さ)は、以下の計算式で求まる。
「生産計画の梱包サイズ横」×「ステップS67で求めた配山列段数」
「生産計画の梱包サイズ横」は、例えば図32における「梱包サイズ」の「横」の欄に示す数値である。
【0147】
ステップS69では、ステップS68で求めた配山幅(長さ)の値を、図28で示す製品仕様マスターにおける「配山幅」の「標準」の欄で示す数値と比較して、当該数値未満であるか否かを判断する。
ステップS68で求めた配山幅(長さ)の値が、図28の製品仕様マスターにおける「配山幅」の「標準」における値未満であれば(ステップS69がYES)、ステップS70に進む。
一方、ステップS68で求めた配山幅(長さ)の値が、図28の製品仕様マスターにおける「配山幅」の「標準」における値以上であれば(ステップS69がNO)、ステップS71に進む。
【0148】
ステップS70では、ステップS68で求めた配山幅(長さ)の値が、図28の製品仕様マスターにおける「配山幅」の「標準」における値よりも小さかった(満たなかった)ため、単独で一つの配山を形成することはできないと判断して、長さが異なる鋼製品と配山する。
すなわち、一つの配山に複数の長さの製品を混載して、いわゆる「混載配山」を行う旨を決定する。
【0149】
ステップS70では、以下の二点を記憶する。
(1) 該当の製品(ステップS63で読み込まれた生産計画明細による生産ロットに係る鋼製品)は、長さが異なる鋼製品(同一種類の鋼製品)と混載して配山する。
(2) 配山の列数及び配山の段数。
ステップS70が終了したなら、ステップS63まで戻り、再びステップS63以降を繰り返す。
【0150】
ステップS71では、ステップS68で求めた配山幅(長さ)の値が、図28の製品仕様マスターにおける「配山幅」の「標準」における値以上であるため、該当長さの製品(ステップS63で読み込まれた生産計画明細による生産ロットに係る鋼製品)は単独で配山する。すなわち、いわゆる「単独配山」を行う旨を決定する。
この時、以下の二点を記憶する。
(1)製品、長さ毎に単独配山する。
(2)配山の列数及び配山の段数。
ステップS71が終了したなら、ステップS63まで戻り、再びステップS63以降を繰り返す。
【0151】
図33は、図30の「製品長さ毎の配山検証処理」後の生産計画の状態を示している。図33において配山方法の欄(図33の表の中央部)が、図10のステップS9(製品長さ毎の配山検証)により決定されて記入される。
図33の「圧延順」5の明細(行)は、ステップS62で説明した「既に置場が決まっている生産計画の明細(行)」である。
ステップS64において、例えば図32で示すような生産計画における全ての明細(行)について、「配山方法」の欄に記入するべき事項(混載配山か単独配山か、配山の列数、配山の段数)が決定すれば、同一種類、かつ、同一長さの鋼製品が一つの配山(ひと山)を形成することができるか否かの検証が終了したと判断して、図10のステップS9(製品長さ毎の配山検証)を終了する。
【0152】
図34は、図30〜図33で説明した処理によって、同一種類、かつ、同一長さの鋼製品を、混載配山するか、或いは単独配山とするかの判断するのを例示している。
図34の例では、8m製品の配山幅(長さ)が製品仕様マスターで定められた配山幅の標準を超えているため、単独配山と判断される。
8m製品以外については、いずれも、図30〜図33で説明した処理によって求められた配山幅(長さ)が製品仕様マスターで定められた配山幅の標準未満であるため、混載配山と判断される。
【0153】
図34で例示された判断結果は、図33における「配山方法」の欄に記載された内容と一致する。
ここで、図34における「配山高さ・標準」で示す方向は、図14のZ方向を示している。図34における「配山幅・標準」の方向は、図13のX方向を示している。そして、図34における紙面と垂直な方向は、図13のY方向を示している。
【0154】
図35は、図10のステップS10(置場の単列複列検証)の詳細を示している。
以下、図35に基づき、図36〜図44を参照して、同一種類、かつ、同一長さの鋼製品を、置場において単列で配置するべきか或いは複列で配置するべきかの検証(すなわち「置場の単列複列検証」)について説明する。
ここで「単列」、「複列」は、例えば図42において、鋼製品の長さにより、置場の横方向(図13のY方向)について1つの配山しか形成できない場合が「単列(或いは単列置き)」であり、複数(図42では2つ)の配山が形成できる場合が「複列(或いは複列置き)」となる。
【0155】
図35のステップS81では、検証の対象となる置場(配置対象置場)の置場仕様マスター(図16)を読み込み、置場における縦方向(図13のX方向)のサイズ(大きさ)の情報と、横方向(図13のY方向)のサイズの情報と、配山の最大列数(配置対象置場において、例えば横方向或いはY方向について、配山を何列形成することができるかを示す数値)の情報とを取得する。
ステップS82では、配置対象置場の配山最大列数が1であるか否かを判断する。配山最大列数が1でなければ(ステップS82がNO)、ステップS83に進み、配山最大列数が1であれば(ステップS82がYES)、ステップS87に進む。
【0156】
ステップS83〜S86は、配山最大列数が1ではないので、複列であると判断される場合の処理である。
ステップS83では、配山検証が終わった生産計画(図36)から、混載配山とする鋼製品のデータを抜き出す。
図37は、抜き出した鋼製品のデータをまとめて、表として作成したものである。
なお、積上げ配山検証処理(図23〜図29で説明した処理)で既に置場が決まっている生産計画の明細(行)(例えば、図29の圧延順5の生産計画明細)は、ステップS83〜S89で説明する処理の対象外とする。
【0157】
ステップS84では、製品の種類及び長さ毎に、複列を構成する組合せを求める。
ここで、鋼製品を複列に配置する条件として、以下の計算式を満足させることが必要である。
長さ1+長さ2+・・・長さn≦置場サイズ・横
ここで、「置場サイズ・横」とは、置場の横方向(図13のY方向)のサイズを意味している。そして、「長さ1+長さ2+・・・長さn」における符号「n」は、置場仕様マスターの配山の最大列数である。
例えば、最大列数が2(n=2)では、上記計算式は
長さ1+長さ2≦置場サイズ・横 となる。
【0158】
上記計算式(長さ1+長さ2+・・・長さn≦置場サイズ・横)を充足しない長さの製品は、複列置きにせず、単列置きとする。
図38は、最大列数が2つの場合(n=2)において、複列の組合せを抽出した結果を、製品の長さで示している。図39は、単列の製品の場合であって、図38のような複列の組合せに入らなかった鋼製品(長さで表示)を示している。
図示の実施形態において、置場サイズ・横(図13のY方向サイズ)は23mである。したがって、図示の実施形態における上記式は、
長さ1+長さ2≦23m となる。
【0159】
ステップS85では、図40で示すように、複列で配置する場合における最適な組合せ(図40では鋼製品の長さの組合せとして例示)を求める。
最適な組合せを求めるに際しては、先ず、ステップS84で求めた組合せ(例えば、図38で示す組合せ)において、長さ1、長さ2、・・・長さnを並び替えのキーとして降順(長いもの→短いものの順)に並び替える。すなわち、並び替えのキーとして、長さの降順を用いる。
例えば、最大列数が2の場合において、並び替えのキー(長さの降順)は、
長さ1(組合せにおける長い方の長さ)→長さ2(組合せにおける短い方の長さ) の順となる。
【0160】
ステップS84の条件(図示では、「長さ1+長さ2≦23m」という条件)を満足する組合せを、ステップS85の並べ替えキー(長さの降順)で並べ替えた結果を、図40で示す。
ステップS84の条件(図示では、「長さ1+長さ2≦23m」という条件)を満足する組合せで、合計の長さが最も長い組合せは、長さ1が15m、長さ2が7mの場合であり(合計の長さ=15+7=22m)、係る組合せが図40では最初に(図40では最上方に)示されている。そして、並び替え(降順)後のデータ(図40で示す組合せ)の最初にあるデータ(長さ1が15m、長さ2が7mの組合せ)が、最適な複列組合せとして採用される。(ベース長さの決定)。
図41は、単列の製品の場合であって、図40のような複列の組合せに入らなかった鋼製品について示している。
【0161】
ステップS86では、配山方法を決定する。
ステップS86においては、ステップS85で求めた最適な複列組合せ(図示の例では、長さ1が15m、長さ2が7mの組合せ)から、以下の(1)〜(4)の要領にしたがって、配山方法を決定する。
(1) 長さ1≧配山「1」>長さ2
(2) 長さ2≧配山「2」>長さ3
(3) 長さn≧配山「n」
(4) 単列置きの長さの製品
上記(1)〜(4)の要領は、図示の例のように最大列数が2(n=2)の場合は、以下の要領(1´)〜(3´)で行われる。
(1´) 長さ1≧配山「1」>長さ2
(2´) 長さ2≧配山「2」
(3´) 単列置きの長さの製品
【0162】
図示の実施形態における数値を例示して、ステップS86を説明する。
先ず、ステップS85で求めた複列最適組合せは、長さ1が15m、長さ2が7mであり、その合計の長さは、15m+7m=22m(≦限界値である置場サイズ・横は23m)。
この組合せにおいて、ベース長さは15mとなる(ベース長さの決定)。
ステップS85で並べ替えた例(図40)を参照すれば、対象となる鋼製品(混載配山を形成する鋼製品)における長さは、6m、7m、12m、15m、20mである。
【0163】
ステップS86の要領に当てはめて、図42の配山「イ」、「ロ」、「ハ」を例にして、配山の決定について説明する。ここで、図42は、配山「イ」、「ロ」、「ハ」の置場での配置を示している。
図42の配山「イ」はステップS86における要領の配山「1」に対応し、図42の配山「ロ」はステップS86における要領の配山「2」に対応し、図42の配山「ハ」はステップS86における要領の配山「3」に対応する。
図42における置場サイズ(大きさ)・縦は図13のX方向を、置場サイズ(大きさ)・横は図13のY方向を示す。
【0164】
ステップS86における要領(1´)の 長さ1≧配山「イ」>長さ2 は、
15m≧配山「イ」>7m
となり、係る条件を満たす配山「イ」は、長さ15mと長さ12mの複列置きとなる。係る配山「イ」では、ベース長さは15mである。
ステップS86における要領(2´)の 長さ2≧配山「ロ」 は、
7m≧配山「ロ」
となり、係る条件を満たす配山「ロ」は長さ7mと長さ6mの複列置きとなる。係る配山「ロ」では、ベース長さは7mである。
そして、残りの20mの鋼製品は、単列置きとしては、配山「ハ」を構成する。係る配山「ハ」のベース長さは、20mである。
ステップS86で配山方法を決定したならば、ステップS88に進む。
【0165】
ステップS87(ステップS82のYES)では、置場仕様マスターの配山最大列数が1列の場合(n=1)の処理である。
ステップS87では、図30〜図34で説明した処理(図10のステップS9の「製品長さ毎の配山検証」)で求めた配山方法と、混載配山か単独配山かにしたがって、仮配山を求める。
ステップS87においては、混載配山も単独配山も、共に一つの仮配山とする。換言すれば、混載配山を一つの仮配山とすると共に、単独配山も一つの仮配山とする。
ステップS87において仮配山を求めたならば、ステップS88に進む。
なお、「仮配山」なる文言は、図35〜図44で説明する処理で決定した配山を意味している。配山が正式に決定するのは、図45〜図48で後述する処理(図10のステップS11)が完了した後であり、図35〜図44で説明する処理では配山が正式に決定したとは言い得ないため、図35〜図44で示す処理の説明においては、係る処理で決定した配山を「仮配山」と記載している。
【0166】
ステップS88では、配山の1段目の列数を決定する。具体的には、ステップS86、S87で求めた配山或いは仮配山が同一の製品が、置場仕様マスター(図16)における「置場サイズ」の「高さ」の欄に示されている高さ寸法を基準とした場合、1段目に何列並べることができるのかについて、以下の手順(1)〜(4)にしたがって求める。
手順(1) 仮配山情報・配山が同じ製品(配山或いは仮配山が同一の製品)の梱包数を合計する。
手順(2) 仮配山情報・配山が同じ製品の梱包において、「梱包サイズ・縦」の最大値を求める。
梱包本数が異なる場合においても、「梱包サイズ・縦」(梱包の高さ)が異なるが、最も高さ寸法が大きい梱包を採用する。
【0167】
手順(3) 置場に何段の梱包が配置できるか(段数)を、次の計算式で求める。
「置場仕様マスター(図16)における「置場サイズ」の「高さ」の欄に示されている高さ寸法」÷「要領(2)で求めた梱包サイズ・縦+マンボサイズ・高さ」=「段数(小数点以下は切り捨て)」
「マンボサイズ・高さ」の情報についても、置場仕様マスター(図16)から取得する。
手順(4) 1段の列数を次の計算式で求める。
「手順(1)で求めた梱包数合計(仮配山情報・配山が同じ製品の梱包数合計)」÷「手順(3)で求めた段数」
=「1段の列数(少数点以下切り上げ)」
【0168】
ステップS89では、ステップS88で求めた配山方法を、生産計画に仮配山情報として付加する。
そして、仮配山情報を付加した生産計画を、置場配置演算ユニット8の図示しないデータベースに記憶する。
これにより、図10のステップS10の処理(置場の単列複列検証)を終了する。
【0169】
換言すれば、図35〜図44で説明する図10のステップS10の処理(置場の単列複列検証)は、仮配山情報として、混載の可否、配山(仮配山)、一段の列数、ベース長さを、解として求める処理である。
ここで、混載の可否とは、違う長さの製品により混載をするのか、同一の長さのみで配山するのかを決定することである。
配山とは、生産計画により生産された鋼製品により、どの配山を形成するのかを示している。
一段の列数は、配山の1段目或いは配山の最下層に、梱包を何列並べることができるのかを示している。
ベース長さは、対象となる配山に配置することが可能な製品の最大長さである。
【0170】
図43、図44は、ステップS89で仮配山情報を付加された生産計画を示している。
図43は、配山最大列が2の場合(n=2)を示している。また、図44は、配山最大列が1の場合(n=1)を示している。
図43、図44における中央部の「仮配山情報」の欄の内容が、本処理(図35〜図42を参照して説明したルーチン)で求められている。
【0171】
図43において、圧延順3の長さ20mの配山方法は、前処理である「製品長さ毎の配山検証(図30〜図34の処理)」で混載配山と決定していたが、「置場の単列複列検証(図35〜図44で説明した処理)」により、単独配山に変更している。
図43、図44における圧延順8の8mの配山方法は、前処理である「製品長さ毎の配山検証(図30〜図34の処理)」で単独配山と決定しているため、仮配山「二」として単独配山に設定する。なお、図42では、配山「二」は図示されていない。
図43、図44で示す例では、長さ11mの鋼製品については、既に置場が決定しているものとする。そのため図43、図44では、長さ11mの鋼製品については、「仮配山情報」が空白となっている。
【0172】
図45は、図10のステップS11(置場決定)の詳細を示している。
以下、図45に基づき、図46〜図48を参照して、鋼製品の置場を正式に決定する処理(図10のステップS11における「置場の決定」)について説明する。
【0173】
図45において、ステップS91では、制約条件マスター(図24参照)を全件読み、各置場の制約条件を取得する。
ステップS92では、置場仕様マスター(図16参照)を全件読み、各置場の仕様を取得する。
ステップS93では、置場空きエリア情報(図17参照)を全件読み、各置場の空きエリア情報を取得する。
ステップS94では、「仮配山情報」が付加された生産計画(図43、図44)の明細(行)を、圧延順に1件(1行)読む。
ステップS95では、ステップS94で読み込まれた生産計画明細(行)に対応する製品仕様マスター(図28)を読む。
【0174】
ステップS96では、全ての生産計画明細(生産計画の全行)について、ステップS97〜S107の検証が終了したか否かを判断する。
全ての生産計画明細(生産計画の全行)について、ステップS97〜S107の検証が終了した場合は(ステップS96がYES)、ステップ108まで進む。
一方、全ての生産計画明細(生産計画の全行)について、ステップS97〜S107の検証が未だ終了していない場合には(ステップS96がNO)、ステップS97に進む。
【0175】
ステップS97では、ステップS94で読み込まれた生産計画明細(生産計画の行)は、既に仮配山の置場が正式に決定しているものであるか否かを判断する。
ここで、「仮配山の置場が正式に決定している」とは、図23〜図29の処理(図10のステップS8の「積上げ配山の検証」)で置場が決定していることを意味している。図43、図44の生産計画で示すと、圧延順4の11mの生産計画明細が、「仮配山の置場が正式に決定している」に該当する。
仮配山の置場が正式に決定している場合には(ステップS97がYES)、ステップS99まで進む。
仮配山の置場が正式に決定していない場合には(ステップS97がNO)、ステップS98に進む。
【0176】
ステップS98では、ステップS93で読み込んだ置場空きエリア情報の中から、仮配山のベース長さが配置可能な置場を検索して、確保する。ここで言う「仮配山のベース長さが配置可能」とは、ステップS94で読み込まれた生産計画明細における「仮配山情報」(図43、図44)の欄に示すベース長さを有している仮配山を、設置することができる旨を意味している。
ここで、ステップS98で置場空きエリア情報の中から検索する場合は、積上げとなる空きエリアは対象外とする。ステップS97に関連して説明したように、図23〜図29の処理(図10のステップS8の「積上げ配山の検証」)で置場が決定している生産計画明細(例えば、図43、図44における圧延順4の11mの生産計画明細)であれば、ステップS98をバイパスして(ステップS97がYES)、ステップS99に進むからである。換言すれば、ステップS98は、正式に置場決定していない生産計画明細(生産計画明細の行)が対象であり、図43、図44の圧延順4の生産計画明細以外が対象となる。
【0177】
ステップS98において、仮配山を設置することができる置場空きエリアが確保できた場合には、生産計画明細の「決定置場情報」の欄における「置場」、「始点」、「終点」に、確保された置場空きエリアの情報を設定する(記憶する)。
置場が確保できない場合は、後の処理において警告できるように、図示しない記憶装置に記憶する。
ステップS99では、Work梱包カウンターを「ゼロ」に設定する。
ステップS100では、Work梱包カウンターの数値を1だけ増加する(Work梱包カウンター=Work梱包カウンター+1)。
【0178】
ここで、「Work梱包カウンター」及び後述する「Work列数カウンター」は、図45〜図48における処理(図10のステップS11における「置場の決定」)を遺漏なく実行するために設けられた制御上のパラメータであり、実際の圧延工程等で用いられる概念ではない。
【0179】
ステップS101では、Work梱包カウンターの数値がステップS94で読まれた生産計画明細における梱包数を超えたか否かを判断する。
Work梱包カウンターの数値が、ステップS94で読まれた生産計画明細における梱包数を超えた場合は(ステップS101がYES)、当該生産計画明細の生産ロットに係る鋼製品の梱包を載置する置場空きエリアが決定したと判断し、ステップS94まで戻り、生産計画の次の明細(次の行)を読み、ステップS94以降を繰り返す。
Work梱包カウンターの数値が、ステップS94で読まれた生産計画明細における梱包数以下の場合は(ステップS101がNO)、ステップS102に進み、Work列数カウンターの数値を1だけ増加する(Work列数カウンター=Work列数カウンター+1)。
【0180】
ステップS103では、Work列数カウンターの数値が、ステップS94で読まれた生産計画明細における「1段の列数」を超えているか否かを判断する。
Work列数カウンターの数値が、ステップS94で読まれた生産計画明細における「1段の列数」を超えていれば(ステップS103がYES)、ステップS104に進む。
一方、Work列数カウンターの数値が、ステップS94で読まれた生産計画明細における「1段の列数」以下であれば(ステップS103がNO)、ステップS106まで進む。
【0181】
ステップS104では、Work列数カウンターの数値が、ステップS94で読まれた生産計画明細における「1段の列数」を超えているので、配山における1段の最大列数まで到達しており、その段の次の段(上方の段)に梱包を配置する必要がある(1段の配置が完了した)と判断して、配山の次の段に梱包を積上げる。
配山の次の段に梱包を積上げる場合、当該「次の段」の高さ方向のアドレスは、それまで梱包を配置していた「段」の高さ方向アドレスに、「製品仕様マスター(図28)における「梱包サイズ」の「縦」の欄における数値」と、「置場仕様マスター(図16)における「マンボサイズ」の「縦」の欄における数値」とを加算して求めることができる。当該「次の段」の高さ方向のアドレスは、それまでに記憶された「段」の高さ方向のアドレスに加算されて、記憶される。
【0182】
ステップS104で梱包を次の段に積上げることになり、当該次の段では梱包は未だに列を形成していないので、次のステップS105では、Work列数カウンターをゼロに設定する。
ステップS105の後、ステップS106に進む。
Work列数カウンターの数値が、ステップS94で読まれた生産計画明細における「1段の列数」以下の場合(ステップS103がNO)、当該「段」においては、未だに梱包を配置することが可能である。この場合には、ステップS105をバイパスして、ステップS106まで進む。
【0183】
ステップS106では、1梱包の製品配置を行う。そして、1梱包を加えた場合における横方向(図13で現すX方向)のアドレスを求める。
係るアドレスは、直前の制御サイクルにおけるX方向のアドレスに、製品仕様マスター(図28)における「梱包サイズ」の「横」の欄における数値と、製品仕様マスター(図28)における「製品間隔」の欄における数値とを加算して求めることができる。
換言すれば、製品仕様マスター(図28)における「梱包サイズ」の「横」の欄における数値と、製品仕様マスター(図28)における「製品間隔」の欄における数値は、直前の制御サイクルで記憶された横方向(図13で現すX方向)のアドレスに加算されて、記憶される。
【0184】
ステップS107では、ステップS104〜ステップS106で求めた置場位置に関する情報を、図46に示すように「決定置場情報」として生産計画に付加する。
そしてステップS100まで戻り、ステップS100以降を繰り返す。そして、最終的に、生産計画の全ての梱包について置場位置を決定する(ステップS96がYES)。
【0185】
ステップS108では、図45で説明した処理で作成した情報を、見やすい形式に編集する。見やすい形式に編集するに際しては、生産計画については、図47で示すように、製品の種類及び長さで分類して、予定置場を表示する。
また、置場情報については、図48で示すように、置場毎に置場として使用する予定(図48では、「製品名」、「長さ」、「本数」、「製品/梱包」、「梱包数」、「納期」で示す欄)、既存製品置場(図48の「置場」の欄)の情報を編集して出力する。
さらに、置場仕様マスターについては、置場予定を置場利用情報(図16参照)に記憶する。
ステップS108を完了して、図45〜図48で示す処理(図10のステップS11の「置場の決定」)は全て終了する。
【0186】
図示の実施形態によれば、保管場所である置場YDにおける配置(置場計画)を決定する置場配置演算ユニット8により、生産計画情報及び契約の内容に基づいて生産された保管対象物(鋼製品)の置場YDにおける配置(置場計画)を決定するので、保管対象物の生産に先立って、置場YDにおいて保管対象物を効率的に配置する計画(置場計画)を自動的に決定することができる。
特に図示の実施形態によれば、新たな配山を形成するか或いは積上げるかを決定するに際して、既に鋼製品が配置されている領域(図13、図14の符号M)に新たに生産される鋼製品が積上げ可能であれば、新たに配山を形成することによりも、積上げることを優先的に選択するので、置場YDにおける保管対象物の配置が効率的に行われる。その結果、置場YDにおいて無駄なスペースが多々見受けられるという事態が解消する。
【0187】
そして図示の実施形態によれば、係る配置計画(置場計画)の作成を自動的に行うことが可能であるため、従来の手作業に比較して、置場YDにおける鋼製品の配置計画(置場計画)の作成に関する労力及び工数を、飛躍的に減少させることができる。
それと共に、特別な労力や、熟練技術者が存在しない場合でも、鋼製品の効率的な配置を実現することができる。
【0188】
図示の実施形態において、既に鋼製品が配置されている領域Mに、新たに生産される鋼製品を積上げることが可能か否かを判断するに際して、既に鋼製品が置かれている領域Mの最上段に位置する鋼製品の納期が、新たに生産される鋼製品の納期よりも遅い場合だけ、新たに生産される鋼製品を積上げ可能としている。そのため、鋼製品の納期において、その情報に配置されている他の鋼製品を一時的に他の領域に配置する作業(配替え作業)が不要になる。
その結果、鋼製品を置場YDから搬出する作業に費やされる労力が、飛躍的に減少する。
【0189】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
【図面の簡単な説明】
【0190】
【図1】本発明の実施形態の概要を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態における置場自動計算サーバーのブロック図。
【図3】本発明の実施形態における制約条件ユニットのブロック図。
【図4】本発明の実施形態における契約情報ユニットのブロック図。
【図5】本発明の実施形態における生産計画ユニットのブロック図。
【図6】本発明の実施形態における置場仕様ユニットのブロック図。
【図7】本発明の実施形態における製品仕様ユニットのブロック図。
【図8】本発明の実施形態における置場配置演算ユニットのブロック図。
【図9】本発明の実施形態を適用した製鋼所における受注〜出荷の工程図。
【図10】本発明の実施形態における制御を示すフローチャート。
【図11】図10のステップS4のフローチャート。
【図12】本発明の実施形態における制約マスターを示す図。
【図13】本発明の実施形態における置場の考え方を説明する上面図。
【図14】図13に対応する置場の側面図。
【図15】本発明の実施形態における置場利用エリアの管理を説明する図。
【図16】本発明の実施形態における置場仕様マスターを示す図。
【図17】本発明の実施形態における置場空きエリア情報を示す図。
【図18】図10におけるステップS5のフローチャート。
【図19】本発明の実施形態における生産計画を示す図。
【図20】本発明の実施形態における契約情報を示す図。
【図21】本発明の実施形態における製品仕様マスターを示す図。
【図22】本発明の実施形態における紐付け後の生産計画を示す図。
【図23】図10におけるステップS8のフローチャート。
【図24】本発明の実施形態における制約条件マスターを示す図。
【図25】本発明の実施形態における置場空きエリア情報を示す図。
【図26】本発明の実施形態における積上げが可能な置場空きエリア情報を示す図。
【図27】本発明の実施形態における紐付け後の生産計画を示す図。
【図28】本発明の実施形態における製品仕様マスターであって、配山の標準及び製品間隔を記入した製品仕様マスターを示す図。
【図29】本発明の実施形態における積上げ計画を付加した生産計画の状態を示す図。
【図30】図10におけるステップS9のフローチャート。
【図31】本発明の実施形態における引当済生産計画を示す図。
【図32】本発明の実施形態において、製品名・長さの昇順に並び替え、梱包数を集計した生産計画を示す図。
【図33】本発明の実施形態における製品長さ毎の配山検証処理後の生産計画を示す図。
【図34】本発明の実施形態における製品、長さ単位の配山を混載又は単独とするか否かの判断例を示す図。
【図35】図10におけるステップS10のフローチャート。
【図36】本発明の実施形態における製品長さ毎の配山検証処理後で契約引当済の生産計画を示す図。
【図37】本発明の実施形態における生産計画から混載する長さのデータを抜き出した表を示す図。
【図38】本発明の実施形態における複列の組合せ抽出結果であって、最大列数が2の場合の表を示す図。
【図39】図38の組合せに入らなかった単列置きの製品を示す図。
【図40】本発明の実施形態における複列の組合せ並び替え(降順)後の複列の組合せに係る表を示す図。
【図41】図40の組合せに入らなかった単列置きの製品を示す図。
【図42】本発明の実施形態における置場への配山イメージを示した配置図。
【図43】本発明の実施形態において、置場仕様マスターの配山最大列数が2の場合における演算処理後の仮置場記憶した生産計画を示す図。
【図44】本発明の実施形態において、置場仕様マスターの配山最大列数が1の場合における演算処理後の仮置場記憶した生産計画を示す図。
【図45】図10におけるステップS11のフローチャート。
【図46】本発明の実施形態における置場決定後の生産計画を示す図。
【図47】本発明の実施形態における製品長さ別に予定置場を編集した生産計画を示す図。
【図48】本発明の実施形態における置場毎に予定置場、既存製品置場を編集した置場情報を示す図。
【図49】従来技術における製鋼所の受注〜出荷の流れを示す工程図。
【符号の説明】
【0191】
1・・・ホストコンピューター
2・・・置場配置自動計算サーバー
3・・・制約条件ユニット
4・・・契約情報ユニット
5・・・生産計画ユニット
6・・・置場仕様ユニット
7・・・製品仕様ユニット
8・・・置場配置演算ユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鋼製品のような対象物を保管する場所を自動的に決定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図49は、鋼製品(例えば圧延製品)の製造施設において、鋼材の受注から出荷までの手順(工程)を示している。
図49において、先ず、各需要家(或いは発注者)から注文(例えば、注文A、注文B、注文C)を受付け、生産管理部署K101で、複数の需要家から受けた注文情報を製品毎、規格毎、長さ毎にまとめる。
【0003】
同じく生産管理部署K101では、まとめられた注文の情報に基づいて、生産計画が立案される。
製鋼工場K102では、立案された生産計画に基づいて、材料(粗鋼)生産が行われる。生産された材料(粗鋼)は加熱炉K103に送られ、加熱される。加熱後の材料は生産ロット毎に、圧延工程K104に送られ、鋼製品にするべく圧延加工される。
【0004】
圧延加工された鋼材は、切断工程K105で、注文で受けた注文長さに切断される。切断された製品は、格付け工程K106に送られ、製品の格付け(正規品、不良品の振り分け)が行われ、梱包工程K107に送られて梱包(注文主に拘らずに行われる標準的な梱包)が行われる。梱包された製品は、クレーン運搬工程K108でクレーンによってストックヤード(以下、精整ヤード)と呼ぶ製品置場に仮置き(K110)する。
【0005】
ここで、生産管理部署K101の生産計画立案に基づき、製品置場計画立案(手作業)K109が行われ、この製品置場計画立案(手作業)K109はクレーン運搬工程K108に渡される。
【0006】
精整ヤード(置場)内では、仮置き(K110)された製品を契約毎(注文主毎)に割り付ける(K111)。そして契約毎(注文主別)に割り付けられた製品は、割付に応じて配替え(注文主毎にまとめる。K112)が行われ、再梱包(受注の内容に対応して、或いは発注者に対応して、所定の態様で再梱包。工程K113)されて、保管される(工程K114)。
保管された鋼製品は、出荷期日(納期)にしたがって、置場から搬出され出荷される。出荷される際に、必要に応じて、出荷される鋼製品の搬出の妨げとなる別の鋼製品を、一時的に他の個所に移動する処理、いわゆる「配替え」作業が行われる。
【0007】
上記手順では、注文内容は多品種少量生産であり、契約毎の生産ロット編成では生産効率が低いため、複数の契約の注文をまとめて生産ロットを編成している。
こうしたことにより、同一生産ロットの中には出荷日の異なる注文が混在してしまうことになる。
ところで、生産された製品を仮置きする精整ヤード(置場)は、図49では図示されていないが、限られたスペースである。そして、製品生産後の精整ヤードへの鋼製品の配置は、従来は、以下のように行なわれていた。
(1) クレーン操作要員と玉掛け作業員の2名作業で行う。
(2) 生産後の製品を搬送するためにクレーンを使用する。クレーンは製品を吊り上げるためにCフック又はワイヤーなどの治具を使用する。また、これらの治具が外せるように製品の間に例えば、マンボと呼ぶ枕木を敷く。
(3) 製品を山積みするが、配山の高さはクレーンの搬送による制約がある。また、製品の山崩れを防ぐために、配山の上下において、鋼製品の長さや本数を考慮する必要がある。
(4) 配山と配山との間のスペース確保は、Cフックなどの治具を使ったクレーン搬送に影響がないようにする必要がある(Cフックを引き出すためのスペースの確保が必要)。
(5) 精整ヤードからの搬出順番は、いわゆる「配替え」が少なくなるように考慮する必要がある。
【0008】
また、従来の方法では、製品の契約毎の割付は、契約情報の書類を製品置場まで持って行き、山積みされている製品をその都度確認して行っている(割り付けた製品に契約番号などをマーキングしている)。
そして、精整ヤードからの製品の搬出は、基本的には納期の早い順となる。この時、納期の早い製品が配山した山の下方にある場合は、上述したように、上方の製品を別の置場に移動して、必要とする製品を搬出する「配替え」が必要となってしまう。
【0009】
上述したように、従来の方法では、生産計画に基づき、精整ヤードへの製品置場計画を立案しているが、限られた精整ヤードの置場スペース、精整ヤードからの払出日、製品長さ、製品本数、積上げ高さ等、数多くの制約条件を配慮して計画立案する必要がある。
また、手作業での計画立案作業であるため、一部の制約条件と経験と勘に頼る部分が多く、最適な製品置場計画となっているか不明である。
【0010】
具体的には、以下の問題点があげられる。
(1) 製品置場計画の立案が手作業のため、多大な工数を必要とする。
(2) 精整ヤードから製品を払い出す場合、日常的に配替え作業が発生している。
(3) 生産後の精整ヤードでは、無駄なスペースが多い(置場が効果的に使われていない)。
(4) ノウハウの継承が難しい職業の一つであり、後継者の育成に膨大な時間がかかってしまう。
【0011】
その他の従来技術として、鋼材に鋼材識別情報をバーコードで示したラベルを貼り付け、鋼材入庫時の人手による照合作業を軽減し、出庫時の人手による鋼材特定作業を不要とし、また、鋼材定置場所を起重機の移動及び荷重検出等の動作に基づいて算出する技術が提案されている(特許文献1)。
しかし、係る従来技術では、置場における鋼材の位置(置場配置)を特定する具体的な手法については何等開示されていないので、上述した問題を解消するものではない。
【特許文献1】特開2002−160812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、多品種少量生産が為された保管対象物(製品)の保管場所(置場)における配置(置場計画)を自動的に演算することができて、日常的な配替え作業を必要とせず、保管場所(置場)を効率的に使用することができて、特別なノウハウや技能を用いることなく、製品(例えば鋼材)の保管場所(置場)における配置(置場計画)を作成することができる保管場所決定システム及び保管場所決定方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の保管場所決定システム(100)は、保管対象物(製品。例えば、鋼材)の多品種少量生産を実行する生産計画情報を記憶する装置(生産計画ユニット5)と、保管対象物の生産を受注した際の契約の内容(契約情報)を記憶する装置(契約情報ユニット4)と、生産計画情報及び契約の内容に基づいて生産された保管対象物の保管場所(置場YD)における配置(置場計画)を決定する装置(置場配置演算ユニット8)とを備え、保管場所(置場YD)における配置(置場計画)を決定する装置(置場配置演算ユニット8)は、保管場所(置場YD)中で新たに生産される保管対象物を配置可能な領域(空きエリアEe)を決定する機能と、生産される保管対象物のみにより新たな配山を形成するか或いは既に保管対象物が置かれている領域(M)に積上げるかを決定する機能と、既に保管対象物が置かれている領域(M)に生産される保管対象物を積上げることが可能か否かを判断する機能と、新たな配山を形成するか或いは積上げるかを決定するに際して、既に保管対象物が置かれている領域(M)に生産される保管対象物を積上げることが可能であれば、積上げることを優先的に選択する機能とを有していることを特徴としている(請求項1)。
【0014】
本発明の保管場所決定方法は、上述した本発明の保管場所決定システム(請求項1の保管場所決定システム100)を用いて保管対象物(製品。例えば、鋼材)の保管場所を決定する保管場所決定方法において、保管対象物の多品種少量生産を実行する生産計画情報を記憶する工程(S1)と、保管対象物の生産を受注した際の契約の内容(契約情報)を記憶する工程(S2)と、生産計画情報及び契約の内容に基づいて生産された保管対象物の保管場所(置場YD)における配置(置場計画)を決定する工程(S11)とを有し、保管場所(置場YD)における配置(置場計画)を決定する工程(S11)では、保管場所(置場YD)中で新たに生産される保管対象物を配置可能な領域(空きエリアEe)を決定し、生産される保管対象物のみにより新たな配山を形成するか或いは既に保管対象物が置かれている領域(M)に積上げるかを決定し、既に保管対象物が置かれている領域(M)に生産される保管対象物を積上げることが可能か否かを判断し、新たな配山を形成するか或いは積上げるかを決定するに際して、既に保管対象物が置かれている領域(M)に生産される保管対象物を積上げることが可能であれば、積上げることを優先的に選択することを特徴としている(請求項4)
【0015】
本発明の保管場所決定システムにおいて、保管場所(置場YD)における配置(置場計画)を決定する装置(置場配置演算ユニット8)は、配山を同一長さの保管対象物のみで形成する(単独配山)か或いは異なる長さの保管対象物で形成する(混載配山)かを判断する機能と、保管場所(置場YD)の一定の方向(例えば、置場YDの横方向)について単一の配山のみを配置する(単列)か或いは複数の配山を配置する(複列)かを決定する機能とを有しているのが好ましい(請求項2)。
【0016】
本発明の保管場所決定方法において、保管場所(置場YD)における配置(置場計画)を決定する工程(S11)では、配山を同一長さの保管対象物のみで形成する(単独配山)か或いは異なる長さの保管対象物で形成する(混載配山)かを判断し、保管場所(置場YD)の一定の方向(例えば、置場YDの横方向)について単一の配山のみを配置する(単列)か或いは複数の配山を配置する(複列)かを決定するのが好ましい(請求項5)。
【0017】
また本発明の保管場所決定システム(100)において、保管場所(置場YD)における配置(置場計画)を決定する装置(置場配置演算ユニット8)は、保管対象物(製品。例えば、鋼材)の多品種少量生産を実行する生産計画情報と、保管対象物の生産を受注した際の契約の内容(契約情報)とをリンクする(紐付ける)機能を有しているのが好ましい(請求項3)。
【0018】
或いは本発明の保管場所決定方法において、保管場所(置場YD)における配置(置場計画)を決定する工程(S11)では、保管対象物(製品。例えば、鋼材)の多品種少量生産を実行する生産計画情報と、保管対象物の生産を受注した際の契約の内容(契約情報)とをリンクする(紐付ける)のが好ましい(請求項6)。
【0019】
本発明において、上述した各種装置、或いは上述した各種工程を実行する手段としては、コンピューターが好ましい。
ここで、コンピューターなる文言は情報処理機能を有する機械、器具の総称であり、サーバーマシン、クライアントマシン、ワークステーション、端末、パーソナルコンピューター(以下、「PC」と略記する)、チップその他を広く包含する趣旨の文言である。
また、作業員による手作業で、各種装置や各種工程を実行する手段が発揮する機能を代用することも可能である。
【発明の効果】
【0020】
上述する構成を具備する本発明によれば、保管場所(置場D)における配置(置場計画)を決定する装置(置場配置演算ユニット8)により、生産計画情報及び契約の内容に基づいて生産された保管対象物(製品。例えば、鋼製品)の保管場所(置場YD)における配置(置場計画)を決定するので、保管対象物の生産に先立って、保管場所(置場YD)において保管対象物を効率的に配置する計画(置場計画)を自動的に決定することができる。
特に本発明によれば、新たな配山を形成するか或いは積上げるかを決定するに際して、既に保管対象物が置かれている領域(M)に生産される保管対象物を積上げることが可能であれば、積上げることを優先的に選択するので、保管場所(置場YD)における保管対象物の配置が効率的に行われる。その結果、保管場所(置場YD)において無駄なスペースが多々見受けられるという事態が解消する。
【0021】
そして本発明によれば、係る配置計画(置場計画)の作成を自動的に行うことが可能であるため、従来の手作業に比較して、保管場所(置場YD)における保管対象物の配置計画(置場計画)の作成に関する労力及び工数を、飛躍的に減少させることが可能である。
それと共に、特別な労力や、熟練技術者が存在しない場合でも、保管対象物の効率的な配置を実現することができる。
【0022】
本発明において、既に保管対象物が置かれている領域(M)に新たに生産される保管対象物を積上げることが可能か否かを判断するに際して、既に保管対象物が置かれている領域(M)の最上段に位置する保管対象物を保管場所(YD)から搬出する時期(納期)が、新たに生産される保管対象物の搬出時期(納期)よりも遅い場合だけ、新たに生産される保管対象物を積上げることが可能であると判断すれば、従来技術において保管対象物を保管場所(YD)から搬出する際に行われた配替え作業が不要になる。
その結果、保管対象物を保管場所(YD)から搬出する作業に費やされる労力が大幅に減少する。
【0023】
本発明において、保管場所(置場)における配置(置場計画)を決定する際に、保管対象物(製品。例えば鋼材)の多品種少量生産を実行する生産計画情報と、保管対象物の生産を受注した際の契約の内容(契約情報)とをリンクする(紐付ける)ように構成すれば(請求項3、請求項6)、生産した製品の本数が契約による注文に対して過不足があるか否かを、容易に判断することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図示の実施形態では、鋼製品(例えば圧延製品)の製造施設において、製品である鋼材を保管する場所を自動的に決定する態様を説明する。
図1において、全体を符号100で示す保管場所決定システムは、ホストコンピューター1と、置場配置自動計算サーバー2と、3つのクライアントC1、C2、C3とから構成されている。
本明細書において、「保管場所」(図13、図14の符号YD)或いは「精整ヤード」なる文言は、「置場」を意味している。したがって、「保管場所決定システム」なる文言は置場の配置を決定するシステムを意味しており、「保管場所決定方法」なる文言は置場の配置を決定する方法を意味している。
なお、図示の実施形態において、保管場所或いは精整ヤードYDは屋内置場として示されているが(図13、図14)、本発明の保管場所決定システム及び保管場所決定方法は、屋外の保管場所或いは置場についても同ように適用することができる。
【0025】
図1において、置場配置自動計算サーバー2は、後述する各種マスターを整備するマスターメンテナンス機能と、制約条件を整備する制約条件メンテナンス機能と、契約情報及び生産計画の整備を行う契約情報・生産計画メンテナンス機能と、置場配置自動計算機能と、計算結果のメンテナンス機能と、サーバー2とホストコンピューター1との通信を行うホストコンピューター通信機用とを有している。なお、置場配置自動計算機能は、結果確認機能をも含んでいる。
置場配置自動計算サーバー2はクライアントC1〜C3と情報的に接続されている。ここで、クライアントC1は、置場配置を立案する部門であると共に、生産管理部門である。クライアントC2は、工場部門であり、製品の格付け、契約割付の実績収集を行う。クライアントC3は、工場部門におけるクレーン部署であり、置場指示の閲覧と置場実績の登録を行う。
【0026】
図2は、置場配置自動計算サーバー2の詳細構成を示している。
図2において、置場配置自動計算サーバー2は、制約条件ユニット3と、契約情報ユニット4と、生産計画ユニット5と、置場仕様ユニット6と、製品仕様ユニット7と、置場配置演算ユニット8とを有している。
【0027】
制約条件ユニット3は制約条件マスターの内容を設定し、設定された制約条件マスターの内容を置場配置演算ユニット8に伝達(提供)する。
契約情報ユニット4はホストコンピューター1を介して伝達された複数の顧客との契約の内容を整理して(まとめて)契約情報を作成し、作成された契約情報を置場配置演算ユニット8に伝達(提供)する。
生産計画ユニット5は生産計画を計画、立案し、生産計画の内容を置場配置演算ユニット8に伝達(提供)する。
置場仕様ユニット6は置場仕様マスターの内容を設定し、設定された置場仕様マスターの内容を置場配置演算ユニット8に伝達(提供)する。
製品仕様ユニット7は製品仕様マスターの内容を設定し、設定された製品仕様マスターの内容を置場配置演算ユニット8に伝達(提供)する。
そして置場配置演算ユニット8は、伝達(提供)された上述の各種内容(情報)に基づいて置場指示情報を作成し、各クライアント(図1)に置場指示情報を伝達(提供)する。
【0028】
図3は、制約条件ユニット3の構成を示している。
図3において、制約条件ユニット3は、制約条件マスターのメンテナンスブロック31と、制約条件マスター作成ブロック32と、制約条件マスター出力ブロック33とを有している。
メンテナンスブロック31は、入力装置30を介して、配置方法、置場の配置優先情報、予約置場情報(置場計画対象外エリアの指定等)が入力されると、その入力に応答して制約条件の追加、訂正、削除を行い、制約条件マスターを入力された情報に対応した最新の内容にメンテナンスする。
【0029】
制約条件マスター作成ブロック32は、制約条件マスターを作成し、作成された制約条件マスターを登録する。
制約条件マスター出力ブロック33は、必要に応じて、置場配置演算ユニット8に当該制約条件を伝達し、置場配置演算ユニット8から制約条件マスターに関する情報を取得する。
【0030】
ここで、制約条件としては、置場の大きさ(標準的な区画割も含む)、配山最大幅、配山標準幅、配山最小幅、配山最大高さ、配山標準高さ、配山最小高さ、配山間隔、製品毎の梱包サイズ、マンボの断面サイズ、マンボの長さ、その他がある。
なお、「マンボ」とは、鋼材を積み重ねて保管する(配山する)際に、鋼材同士が直接接触しないように介装されるスペーサーである。
【0031】
図4は、契約情報ユニット4の構成を示している。
図4において、契約情報ユニット4は、契約情報のメンテナンスブロック41と、契約情報作成ブロック42と、契約情報出力ブロック43を有している。
契約情報のメンテナンスブロック41は、ホストコンピューター1(図1)を経由して置場配置自動計算サーバー2に伝達された契約の内容、例えば契約No.製品名、規格、長さ、注文本数、梱包の様態、発注者等が入力された際に、当該契約の内容について追加、訂正、削除を行い、置場配置自動計算サーバー2に伝達された契約の内容を常に最新の内容にメンテナンスする。
【0032】
契約情報作成ブロック42は、メンテナンスブロック41でメンテナンスされた内容に基づいて契約内容を決定し、決定された契約内容を登録或いは記憶する。
契約情報ブロック43は、必要に応じて、決定された契約内容を置場配置演算ユニット8に伝達(提供)し、置場配置演算ユニット8から契約内容に関する情報を取得する。
【0033】
図5は、生産計画ユニット5の構成を示している。
図5において、生産計画ユニット5は、生産計画情報のメンテナンスブロック51と、生産計画情報作成ブロック52と、生産計画情報出力ブロック53とを有している。
生産計画情報のメンテナンスブロック51は、ホストコンピューター1(図1)を介して製品名、規格、長さ、注文等の生産計画に関する情報が入力されると、生産計画について追加、訂正、削除を行い、ホストコンピューター1を経由した情報に基づいて生産計画情報を最新の内容にメンテナンスする。
【0034】
生産計画情報作成ブロック52では、メンテナンスブロック51でメンテナンスされた情報に基づいて生産計画を決定し、決定された生産計画を登録(記憶)する。
生産計画情報出力ブロック53は、必要に応じて、生産計画を置場配置演算ユニット8に伝達し、置場配置演算ユニット8から生産計画に関する情報を取得する。
【0035】
図6は、置場仕様ユニット6の構成を示している。
図6において、置場仕様ユニット6は、置場仕様マスターのメンテナンスブロック61と、置場仕様マスター作成ブロック62と、置場仕様マスター出力ブロック63とを有している。
置場仕様マスターのメンテナンスブロック61は、ホストコンピューター1(図1)を介して置場サイズ、置場利用状況が入力された際に、入力された置場サイズ、置場利用状況に対応して置場仕様マスターを追加、訂正、削除して、置場仕様マスターを常に最新の状態にメンテナンスする。
マンボサイズを置場仕様マスターの情報として取り扱う場合もあり、その場合には、マンボサイズもホストコンピューター1(図1)を介して置場仕様ユニット6に入力される。
【0036】
置場仕様マスター作成ブロック62では置場仕様マスターが作成され、作成された置場仕様マスターを登録する。
置場仕様マスター出力ブロック63は、必要に応じて、置場配置演算ユニット8に置場仕様マスターを伝達し、置場配置演算ユニット8から置場仕様マスターに関する情報を取得する。
【0037】
図7は、製品仕様ユニット7の構成を示している。
図7において、置場仕様ユニット7は、製品仕様マスターのメンテナンスブロック71と、製品仕様マスター作成ブロック72と、製品仕様マスター出力ブロック73とを有している。
製品仕様マスターのメンテナンスブロック71は、ホストコンピューター1(図1)を介して梱包の大きさ、配山の大きさ、製品間隔等が入力され、入力された情報に対応して製品仕様マスターの追加、訂正、削除を行い、製品仕様マスターを最新の状態にメンテナンスする。
【0038】
製品仕様マスター作成ブロック72は製品仕様マスターを作成し、作成された製品仕様マスターを登録する。
製品仕様マスター出力ブロック73は、必要に応じて、置場配置演算ユニット8に製品仕様マスターを伝達し、置場配置演算ユニット8から製品仕様マスターに関する情報を取得する。
【0039】
図8は、置場配置演算ユニット8の構成を示している。
図8において、置場配置演算ユニット8は、入力側インターフェースIi/Fと、制約条件記憶ブロック81と、生産計画記憶ブロック82と、契約情報記憶ブロック83と、置場の空きエリア決定ブロック84と、生産計画−契約情報紐付けブロック85と、配山決定ブロック86と、積上げ配山検証ブロック87と、製品長さ毎の配山検証ブロック88と、置場の単列・複列検証ブロック89と、置場決定処理ブロック90と、配置計画確認ブロック91と、出力側のインターフェースIo/Fとを有している。
【0040】
制約条件記憶ブロック81は、制約条件ユニット3からインターフェースIi/F経由で制約条件マスターが入力され、その制約条件マスターを記憶する。記憶された制約条件マスターは、配山決定ブロック86及び積上げ配山検証ブロック87に伝達される。
生産計画記憶ブロック82は、生産計画ユニット5からインターフェースIi/F経由で生産計画が入力され、その生産計画を記憶する。記憶された生産計画は、生産計画−契約情報紐付けブロック85に伝達される。
契約情報記憶ブロック83は、契約情報ユニット4からインターフェースIi/F経由で契約情報が入力され、入力された契約情報を記憶する。記憶された契約情報は生産計画−契約情報紐付けブロック85に伝達される。
【0041】
置場の空きエリア決定ブロック84は、インターフェースIi/F経由で、置場仕様ユニット6から置場仕様マスターが入力され、置場仕様マスターの情報を配山決定ブロック86及び積上げ配山検証ブロック87に伝達する。
生産計画−契約情報紐付けブロック85は、生産計画記憶ブロック82からの生産計画と、契約情報記憶ブロック83からの契約情報と、製品仕様マスターに基づいて、生産計画と契約情報の関連付ける作業(いわゆる「紐付け作業」或いは「リンク作業」)を行う。
ここで、製品仕様マスターは、製品仕様ユニット7からインターフェースIi/F経由で生産計画−契約情報紐付けブロック85に入力される。
紐付け作業により契約情報と関連付けられた生産計画は、配山決定ブロック86、積上げ配山検証ブロック87、製品長さ毎の配山検証ブロック88、置場の単列・複列検証ブロック89に伝達される。
【0042】
配山決定ブロック86は、制約条件マスター、置場の空きエリア情報、契約情報と関連付けられた生産計画をベースに、新規に配山するのか(新規配山)、或いは既存の配山に積上げるのか(積上げ配山)を決定し、その決定結果を、積上げ配山検証ブロック87及び製品長さ毎の配山検証ブロック88に送る。
積上げ配山検証ブロック87は、制約条件マスター、新規配山か積上げ配山かの決定結果、置場の空きエリア情報、契約情報と関連付けられた生産計画、製品仕様マスターから積上げ配山が可能であるか否かを検証する。
【0043】
製品長さ毎の配山検証ブロック88は、制約条件マスター、新規配山か積上げ配山かの決定結果、積上げ配山が可能か否かの検証結果、製品仕様マスター、契約情報と関連付けられた生産計画から、同一種類、同一長さの製品(梱包された製品)が一つの配山を形成するだけの量があるか否かを検証する。
【0044】
置場の単列・複列検証ブロック89は、置場仕様マスター、製品が一つの配山を形成するだけの量があるか否かの検証結果、契約情報と関連付けられた生産計画から、置場を単列とするか、複列とするかを検証する。
ここで、「単列」、「複列」は、例えば図42で示すように、保管対象物である鋼製品の長さにより、置場の横方向について1つの配山しか形成できない場合が「単列(或いは単列置き)」であり、複数(図42では2つ)の配山が形成できる場合が「複列(或いは複列置き)」となる。
「単列」、「複列」については、図35〜図44を参照して後述する。
【0045】
置場決定処理ブロック90は、置場の単列・複列検証ブロック89に送られた各種情報と、置場の単列・複列検証ブロック89の検証結果に基づいて、置場における鋼製品の配置(置場計画)を決定する。
配置計画確認ブロック91は、置場決定処理ブロック90で決定された鋼製品の配置(置場計画)を確認或いは検証し、最適な置場計画であるか否かを確認する。最適な置場計画である旨が確認されたならば、インターフェースIo/Fを介して各クライアントC1〜C3(図1参照)に伝達する。最適な置場計画ではないと確認した場合には、置場決定処理ブロック90において、制約条件や各種マスター及び計算条件等を変更して鋼製品の配置(置場計画)を再度演算するようにせしめる機能を有する。
【0046】
上述した各種ユニット、ブロックは、コンピューターで構成されるのが好ましい。
コンピューターなる文言は情報処理機能を有する機械、器具の総称であり、サーバーマシン、クライアントマシン、ワークステーション、端末、PC、チップその他を広く含んである。
ただし、作業員による手作業で、各種ユニット、ブロックの上述した各種機能を代用することも可能である。
【0047】
図1〜図8で示す保管場所決定システム100により、鋼製品の置場を決定する手順について、図9、図10以降を参照して説明する。
図9、図10は、例えば、鋼製品の製造施設において、図示の実施形態により、注文を受けてから鋼製品(製品)を出荷するまでの手順を示している。
以下、図9を参照して鋼製品の受注〜出荷の手順を説明する。なお、図9における符号2も、図1と同ように、置場配置自動計算サーバーを示している。
【0048】
図9において、先ず、発注者(需要家)から注文(図9では「注文A」、「注文B」、「注文C」として示している)を受けて、生産管理部署における工程K1において、生産ロットをまとめる工程K1aが行われる。工程K1aを行う生産管理部署では、複数の発注者からの注文A〜Cの注文情報を製品毎、規格毎、長さ毎に整理してまとめる。
【0049】
保管場所決定システム100は、鋼製品の保管場所すなわち置場を最適に設定して、配替え作業を不要にするため、鋼製品の生産前に事前シミュレーションを行い、置場を決定する機能を有している。すなわち、鋼製品を生産するのに先立って、予め最適な置場計画を自動立案することにより、保管された鋼製品を搬出する際に、配替え作業をしなければならない事態を防止しているのである。
生産管理部署では、工程K1aで生産ロットを整理してまとめた後に、整理された生産ロットに基づいて、鋼製品の生産計画が立案される(工程K1b)。工程K1bで立案された生産計画は、直ちに置場配置自動計算サーバー2に送られて、置場配置自動計算サーバー2において製品置場計画が自動立案される(工程K11)。
【0050】
自動立案に際しては、置場の格納効率及び生産効率など、何を優先して立案するかを選択できるように構成されている。その条件によっては、生産順の変更もここで行う。置場配置自動立案工程K11で実行される具体的な手順或いは処理に関しては、図10以下を参照して後述する。
工程K11で立案された鋼製品の置場計画(図9では符号K12で示す)は、クレーン運搬部署(運搬工程K9を実行する部署。詳細は後述)に送信される。
【0051】
工程K11で自動立案された鋼製品の置場計画K12は、生産計画において生産順にまとめられた明細単位に、製品置場において保管されるべき位置を表示している。
図示の実施形態においては、生産計画の各明細は契約と紐付いており(リンクしており)、梱包方法、製品の向け先、払出予定日が明確に表示されている。また、圧延終了後の置場状態、すなわち置場において保管される位置と、製品の種類と個数も、生産計画の各明細において表示されている。
工程K11で自動立案された置場計画K12は、最適であるか否かが操業上問題になる場合は、各種マスターや条件を変更して再計算される(図8で示す置場配置自動計算サーバー2における配置計画確認ブロック91)。自動立案された置場計画K12が最適であれば、置場計画K12を鋼製品の保管に携わる部署、例えばクレーン運搬部署K9に発信すると共に、図示しないデータベースで記憶しておく。
【0052】
保管場所決定システム100は、生産計画に置場指示計画を関連付けて(リンクして)、置場計画と関連付けられた生産計画を各部署へ送信する機能を有している。係る機能を有することにより、保管場所まで考慮して鋼製品を生産して、保管場所(置場)の効率的な利用が図れる。また、生産された鋼製品に不良品が存在した場合において、その不良品を填補する鋼製品を製造するため、鋼製品の生産における各工程に迅速に補填のための措置を実行させることが可能となる。それに加えて、不良品も保管場所(置場)に配置しておくべき場合が存在するからである。
図9では図示を省略しているが、置場計画と関連付けられた生産計画は、逐一、製鋼工場における材料生産工程K2〜製品搬送クレーンにおけるクレーン運搬工程K9の各工程を行う設備に配置された情報端末に、図示しない情報ネットワークを経由して配布される。
【0053】
材料生産工程K2を行う製鋼工場では、生産計画に基づいて材料すなわち粗鋼の生産が行われる。生産された材料(粗鋼)は加熱炉K3に送られ、加熱される。そして加熱後は圧延工程K4に送られ、圧延される。圧延された鋼材は、切断工程K5において鋸刃或いはシャー刃等により、必要な長さ(契約に対応)に切断される。
ここで、切断工程K5では、生産計画に基づいて、所定の切断長さと切断順番にしたがって実行される。
【0054】
ここで、切断工程K5において、圧延加工された鋼材の圧延延び長さにより、計画した長さの製品が取れないケースがあり、予定外(この場合は生産計画よりも短い製品)の長さの製品となる。この予定外の製品も置場に保管する必要があるため、予定外の製品が発生した場合においても、その情報を加味して生産計画及び置場計画を再計算が行われる。
これに加えて、切断工程K5を行う部署においては、予定製品長さ及び予定製品本数と、実績製品長さ及び実績製品本数とを対比できる形式で記録し、各工程に自動配布するように構成されている。予定の数値と実績とを対比することにより、注文された鋼製品の長さ及び本数を確保するための情報として活用するためである。
【0055】
切断工程K5の部署で切断された製品は、格付け工程K6を実行する部署に送られる。製品の格付け工程K6では、切断工程で切断した製品を検査して、正規品、不良品の振り分けを行う。そして、振り分けした製品仕様、製品長さ、格付け結果、本数を各工程に自動配布する。
正規品と不良品とを振り分ける検査は、自動制御によって機械的に行っても良いし、或いは、検査員によって行っても良い。
正規品と不良品との振り分け検査の結果は置場配置自動計算サーバー2に送られ、当該検査結果に基づいて製品置場計画自動立案工程K14が行われる。工程K14は、不良品の発生によって鋼製品の生産本数が契約で定まった注文本数よりも減少し、生産計画を変更して当該事態に対処した際に、変更された生産計画に基づいて、鋼製品の置場利用効率を最適なものとするために実行される。
工程K14により計算された置場計画(再計算結果)は符号K15で示されており、その置場計画K15はクレーン運搬部署K9に発信される。
不良品に関する情報は、材料追加工程K13を行う部署を経由して生産管理部署に送られ、生産計画立案工程K1bで用いられる。
【0056】
格付けされ、正規品と認定された製品については、注文主毎の契約に基づいて、契約割付工程K7が行われる。契約割付工程K7が完了した鋼製品は、注文主毎に異なる契約条件にて、梱包が行われる(工程K8)。梱包工程K8では、注文主毎に、かつ、製品種類及び長さ毎に梱包を行う。
工程K6で不良品が多数出た場合には、不良品も梱包する場合がある。
【0057】
製品梱包工程K8を行う際に、計画外で生産した製品や、計画していたが生産がされなかった製品が存在する。そのため、製品梱包工程K8において、梱包するべき鋼製品を受け入れたタイミングで、正規品と判定された鋼製品の実績本数に基づいて、契約引当て処理を行い、置場で保管するべき位置(置場計画)が再計算される。そして、生産された正規品と、向け先(契約引当て処理)、梱包方法、置場計画等が関連付けられる。
この時、再計算した置場計画は、各工程に自動配布される。
【0058】
ここで「契約引当て処理」とは、例えば、注文した需要家(注文主)が3社で、合計の契約本数が30本あって、この内の10本が不良品であった場合に、正規品と判断された20本の鋼製品について、優先順位(引当て優先順位)にしたがって各需要家に出荷するべき製品本数を決定する処理を指す。この場合、不良品であった10本については、優先順位の低い需要家に対して引き当てるべき鋼製品として、再度生産計画を立案して生産することになる。
【0059】
工程K6で不良品と判断された製品については、向け先の計算は行わず、置場計画のみと関連付けられる。
また、不良品を梱包する方法については、標準方法(例えば、不良品は5本ごとに梱包する等)として、予め決められている。
【0060】
梱包を終えた製品は、クレーン運搬工程K9で、置場(精整ヤード)に搬送され、保管される(工程K10)。
工程K9を実行する搬送用クレーンには、予め無線でネットワークに接続できるコンピューター(例えばPC)が設置され、そのコンピューターには切断工程K5〜梱包工程K8の操業状況閲覧機能を設け、予定外の操業が必要となる場合においても、その旨を事前に把握できるようにして、計画外(予定外)の製品であっても、効率的に置場へ搬送することを可能ならしめている。
【0061】
また、搬送用クレーンのコンピューターは、前工程の操業実績を加味した最新の置場指示情報を閲覧することができる機能を有していると共に、当該最新の置場指示情報にしたがって、鋼製品を置場における所定の位置まで搬送した実績を登録する機能を有している。
また、搬送用クレーンのコンピューターは、何等かの理由により置場計画で定められた置場とは異なる置場に搬送した場合に、その旨を実績として登録できる機能を有している。
【0062】
置場配置自動計算サーバー2は、上述した各種実績(置場実績)が搬送用クレーンのコンピューターに登録されたタイミングで、置場計画を再計算することができる。そして、再計算された置場計画を、各工程を実行する部署に自動配布することができる。
なお、置場(精整ヤード)では、鋼製品は置場計画にしたがって保管され、出荷期日がくれば置場から搬出されて出荷される(工程K10)。
【0063】
図10は、保管場所決定システム100による置場計画の自動立案制御の全体を示している。
図10において、ステップS1では、制約条件ユニット3によって、制約条件の登録を行う。具体的には、制約条件ユニット3の入力装置30のオペレーターが、発注者と締結した契約の明細や鋼製品の製造施設の稼働状況等を勘案して、配山の作成の必要な制約条件を、制約条件ユニット3の制約条件マスター作成ブロック32によって制約条件マスターに登録し、或いは、制約条件マスターを訂正する。
ここで、制約条件は固定情報として登録される。そして上述したように、制約条件としては、例えば、次に列挙するものが存在する。
(1) 置場の大きさ(標準的な区画割も含む)
(2) 配山最大幅、配山標準幅、配山最小幅
(3) 配山最大高さ、配山標準高さ、配山最小高さ
(4) 配山間隔
(5) 製品毎の梱包サイズ
(6) マンボの断面サイズ、マンボの長さ
(7) その他
【0064】
ここで、制約条件を固定情報とした場合、変動情報としては、例えば以下に列挙する内容が、図2〜図8を参照して上述した各ユニット4〜8に入力される。
変動情報
(1) 生産計画(製品名、規格、長さ、本数、切断順番)
(2) 契約情報(需要家或いは発注者、向け先、製品名、規格、長さ、本数、梱包)
(3) 契約毎の払出予定日(納期)
(4) 引当て優先順位(例えば、納期に厳しい発注者への製品を先に生産し、納期が緩やかな発注者への製品を後に生産する等の順位付け)
(5) 置場使用状況(置場の空きスペースの情報)
(6) その他
【0065】
図10のステップS2では、生産計画ユニット5において生産計画の入力が行われる。例えば、生産計画を圧延順に読み、図示しない記憶手段に一時的に記憶させておく(作業領域に退避する)。
ステップS2で記憶された生産計画は、その後のステップで再び呼び出されて処理されるが、処理に際して記憶された生産計画を呼び出す時間を短縮して、置場計画の立案に費やされる時間を短縮化するため、このステップS2において生産計画を全て読み込んで、アクセスが容易な記憶手段に一時的に記憶しておく。換言すれば、後のステップで生産計画を読み直すため、生産計画の明細を全て先読みしておくのである。
【0066】
ステップS3では、契約情報ユニット4において、契約情報が入力される。入力に際しては、ステップS2で読み込まれた生産計画に対応する契約情報を全件読み、記憶する(作業領域に退避する)。
ステップS2と同ように、後続する各種ステップで契約情報を呼び出す時間を短縮して、置場計画立案に費やされる時間を短縮するためである。
【0067】
ステップS4では、置場配置演算ユニット8において、置場の空きエリアに関する情報を取得する。より詳細には、置場使用マスターに記録されている直近の(前回の)置場計画の立案結果と、実際に置場に鋼製品が配置されている情報とを読み取り、各置場における鋼製品の保管が可能な領域(空きエリア)に関する情報を取得するのである。
ステップS4については、図11〜図17を参照して後述する。
【0068】
ステップS5では、生産計画に契約情報を関連付ける(リンクさせる)処理がなされる。係る処理について、本明細書では、「紐付ける」と表示する場合がある。
具体的には、ステップS5においては、(注文)情報と生産計画情報とを読み込んで、生産計画情報の明細毎に、対応する契約情報の内容、例えば「注文No.」、「梱包本数」、「発注者」、「納期」等を付加する。
ステップS5の「生産計画の契約紐付け」の処理については、図18〜図22を参照して後述する。
【0069】
ステップS6では、制約条件マスターを読み込む。
ステップS6で読み込まれる制約条件マスターに関しては、図11、図12を参照して後述する。
【0070】
ステップS7では、生産計画にしたがって生産される鋼製品(生産ロット)のみで新たに配山されるか(「新規配山」か)、或いは、既に鋼製品が配置されている上に当該生産ロットに係る鋼製品を積上げられるか(「積上げ」か)を判断する。
後述するように、置場(保管場所)を効率良く利用するために、可能な限り「積上げ」とするのが好ましい。
ステップS7において、既に鋼製品が配置されている上に当該生産ロットに係る鋼製品を積上げると判断されれば(ステップS7が「積上げ」)、ステップS8に進む。一方、ステップS7において、当該生産ロットのみで新たに配山すると判断されれば(ステップS7が「新規配山」)、ステップS9に進む。
【0071】
ステップS8では、積上げ配山の検証を行う。
すなわち、今回生産される生産ロットに係る鋼製品が、既に置場に置かれている鋼製品の上に配置することができるか否かを検証して、配置可能であれば配置予定を計画する。
ここで、今回生産される生産ロットに係る鋼製品が、既に置場に置かれている鋼製品の上に配置することができない条件としては、次の二つが挙げられる。
(1) 既に積上げられている鋼製品における最上段の鋼製品の納期よりも、納期が遅い鋼製品は置くことができない。
納期が遅い鋼製品を納期が早い鋼製品の上に積み重ねてしまうと、納期が早い鋼製品の納期に当該鋼製品を置場から搬出する際に、その上に積み重ねた納期の遅い鋼製品をいったん別の個所に配置する必要があり、いわゆる「配替え」を行わなければならないからである。
(2) その置場のベースとなる長さ(その置場における配置可能なサイズ)より長い製品を置くことはできない。
極端に短い製品(例えば長さ8m)の上段に、長い製品(例えば長さ23m)を積上げた場合には、荷崩れの原因となってしまう。また、上段に積上げられた長い製品の端部側が垂れ下がってしまい、鋼製品の品質低下の原因となってしまう。これ等の理由により、ベースとなる長さよりも長い製品を置くことができないのである。
【0072】
ステップS8の「積上げ配山の検証」については、図23〜図29を参照して後述する。
ステップS8の処理を終えたならステップS9に進む。
【0073】
ステップS9では、製品長さ毎の配山検証を行う。
具体的には、ステップS9では、同一種類の鋼製品を梱包した同一長さの製品梱包数が、単独で配山を一山形成するだけの量があるか否かを検証する。
当該梱包が単独で配山を形成できるだけの量があれば、当該梱包のみによって(単独で)配山を形成する。
単独で配山するだけの量がない場合には、その他の長さの梱包と共に配山を形成する(混載)。
ステップS9については、図30〜図34を参照して後述する。
【0074】
次のステップS10では、置場の単列複列の検証を行う。
ステップS10では、同一の鋼製品の製品長さを調べ、置場を有効活用するためには単列で配置するべきか、或いは複列で配置するべきかを検証する。
ステップS10の「置場の単列複列の検証」の処理方法は、図35〜図44を参照して後述する。
ステップS10を完了したならば、ステップS11に進む。
【0075】
ステップS11では、ステップS10〜ステップS10の処理により求めた情報に基づいて、置場における鋼製品の保管位置(配置)を決定する。
ステップS11の「置場決定処理」は、図45〜図48を参照して後述する。
ステップS11が完了した後に、ステップS12に進む。
【0076】
ステップS12では、ステップS11において自動立案した置場配置計画の確認を、置場配置演算ユニット8の配置計画確認ブロック91によって行う。
ステップS12で確認されるべき情報は、以下の二点である。
(1) 生産計画の明細毎に示されている当該生産ロットの置場予定。
(2) 置場毎の製品配置予定と、当該配置予定の領域に既に配置されている鋼製品の情報。
ステップS12で確認した結果、ステップS11で立案された配置計画が最適ではないと判断した場合には(ステップS12がNG)、ステップS13に進む。
一方、ステップS12で確認した結果、ステップS11で立案された配置計画が最適であると判断されれば(ステップS12がYES)、ステップS14に進む。
【0077】
ステップS13では、ステップS11で立案された配置計画が最適ではないと判断されているので、制約条件、各種マスター、生産計画等の計算条件を変更してステップS2まで戻り、ステップS2以降を繰り返す。
【0078】
ステップS14の段階では、ステップS11で立案された配置計画が最適であると判断されており、当該配置計画を生産現場の工程K1〜K10(図9)の各々に自動配布する。
自動配布の態様としては、例えば、図示しないネットワーク経由で、工程K1〜K10の各々を実行する部署に配置されたコンピューターへ送信する。
以上により、処理は完了する。
【0079】
図11は図10のステップS4の詳細を示している。
以下、図11に基づき、図12〜図17をも参照して、置場仕様マスターに記録されている前回の制御サイクルにおける置場計画の立案結果と、実際の置場における鋼製品の配置に関する情報を読み取り、各置場の空きエリア(置場空きエリア)の情報を取得する制御(置場の空きエリアに関する情報を取得する制御)について説明する。
図11のステップS21では、例えば図12で示すような制約条件マスターを読み込み、置場使用優先順位(どの置場から、鋼製品を配置するか)に関する情報と、置場配置方法・方向(置場のどの部分から鋼製品の配置を進めるか)に関する情報とを取得する(図10のステップS6参照)。
【0080】
ここで、図12で例示されている制約条件マスターは、各置場(例えば、置場1、置場2、置場3)において、
どの置場から鋼製品を配置するのか(図12の例では、置場1→置場3→置場2の順番で、鋼製品を配置)に関する情報、
新規配山にするのか或いは積上げる(既に鋼製品が配置されている個所に新たな生産ロットに係る鋼製品を積上げる)のかに関する情報、
置場配置方法・方向(置場をどこから使うか?に関する情報)、置場使用優先順位(どのような鋼製品を優先して配置するのか?に関する情報)に関する情報、
が表或いはマトリックスの形式で示される。
【0081】
図12の例では、置場配置方法・方向については、置場1では北側の領域から鋼製品を配置し始め、南側の領域に向けて鋼製品の配置が進行する。
置場2では北側の領域から鋼製品の配置を開始して、南側の領域に向けて鋼製品の配置が進行する。
置場3では南側の領域から鋼製品の配置を開始して、北側の領域に鋼製品の配置が進行する。
【0082】
図12において、置場1、置場2のように、北側の領域から鋼製品の配置を開始して、南側の領域に向けて鋼製品の配置が進行するのは、図13ではX方向アドレスが昇順することになる。
そして、図12の置場3のように、南側の領域から鋼製品の配置を開始して、北側の領域に鋼製品の配置が進行する場合には、図13ではX方向アドレスが降順することになる。
【0083】
図13には鋼製品の置場(ストックヤード)YDを上方から見た状態が図示されており(平面図)、図14は置場YDを正面から見た状態(正面図)が示されている。
図13、図14において、ハッチングで示されている領域Mは新たに鋼製品を配置することができない領域(置場利用エリア)であり、ハッチングが付けられていない領域Eeは置場空きエリア、すなわち鋼製品を新たに配置することが可能な領域である。
なお、図13、図14におけるX方向、Y方向、Z方向については、図15で概要が表現されている。
【0084】
図11のステップS22では、置場仕様マスター(図16参照)が1件ずつ読み込まれる。そして、次のステップS23においては、図16で示すような置場仕様マスターにおける全ての置場(置場1〜置場3)について、ステップS24〜S26までの処理が終了したか否かを判断する。
図16で示す置場仕様マスターは、全ての置場(置場1〜置場3)について、置場サイズ、マンボサイズ、配山の間隔、置場利用情報(鋼製品が既に配置されており、それ以上は積上げることができない領域を示す位置情報或いは座標)、各配山最上段の鋼製品の出荷日(納期)等が示されている。
【0085】
図11のステップS23で、全ての置場(置場1〜置場3)についてステップS24〜S26までの処理が終了したと判断された場合には(ステップS23がYES)、図10のステップS4における置場の空きエリア取得処理を終了する。
一方、全ての置場(置場1〜置場3)についてステップS24〜S26までの処理が終了していないのならば(ステップS23がNO)、ステップS24に進む。
【0086】
ステップS24では、置場のサイズ(大きさ)を取得する。
図17で例示する置場空きエリア情報では、置場サイズ(大きさ)は、縦、横、高さで管理されており、図17において、単位はメートルで示されている。ここで、図13〜図15で示すように、縦はX方向、横はY方向、高さはZ方向である。
【0087】
ステップS25では、図16の置場仕様マスターの置場利用情報を取得する。
ここで、図16における置場利用情報は、置場空きエリア取得のための処理(図10のステップS4)を行う時点において、鋼製品が実際に置場に配置されている状況を示す情報である。係る情報は、図16において、利用エリア1〜利用エリアnの領域に示されている。
図16における置場利用情報には、直前における置場計画立案処理で決定した内容(置場計画)が含まれている。或いは、図16における置場利用情報には、実際の操業によって、実際に鋼製品が置場に配置された際における情報(置場において鋼製品がどのように配置されているのか)が反映されている。
ここで、一つの置場には、複数の配山を形成して鋼製品が配置されている。その旨を表現するために、図16における置場利用情報では、利用エリア1〜利用エリアnが表示されている。
【0088】
図示の実施形態では、置場利用エリアの位置を表示(管理)するため、例えば図16における置場利用エリアの位置のように、図13〜図15で示すX方向、Y方向、Z方向の各アドレス(図13、図14の起点Psからの距離)により表示(管理)している。
具体的には、例えば図16において、鋼製品をそれ以上は積み上げることができない置場利用エリアは、始点及び終点のX方向アドレス、Y方向アドレス、Z方向アドレスで示されている。ここで、始点は図15における点Psであり、終点は図15における点Peである。3次元で表現される始点と終点を表示することにより、置場利用エリアの位置を3次元的に表示しているのである。
なお、図15の始点Psは、図13の起点Psと同一位置である。
【0089】
ステップS26では、ステップS25までに取得した情報、すなわち、置場のサイズ(大きさ)及び置場利用エリア(製品が既に置かれており、それ以上は配置できない領域)の情報に基づいて、鋼製品を配置可能な領域を求める。
ステップS26における処理の基本的な考え方としては、置場サイズ(置場建屋全体の大きさ)から置場利用エリア(既に製品が置かれており、それ以上は鋼製品を配置することができない領域)を減算して、置場の空きエリア(鋼製品を配置できるエリア)を求める。
ここで、置場サイズから置場利用エリアを減算して置場の空きエリアを求める際に、図13〜図15を参照して説明したX方向のアドレス、Y方向のアドレス、Z方向のアドレスを活用する。
【0090】
ステップS26における空きエリア(鋼製品が配置可能なエリア)の求め方を、手順にしたがって詳述する。鋼製品を配置可能なエリア(空きエリア)を求めるということは、図17で表示するべき情報を演算することであり、図17を完成させることを意味している。
先ず、一つの置場に対して複数の空きエリアが存在する可能性があるので、図17では空きエリアを番号(空きエリアNo.)で表現している。
そして、上述したように、空きエリアの領域を表現するには、始点と終点のX方向のアドレス、Y方向のアドレス、Z方向のアドレスを用いる(空きアドレス情報)。
【0091】
空きエリアにおいて、Z方向の途中の段まで既に鋼製品が配置されている場合(既に配置はされているが、その上方に新たに鋼製品を積上げることが可能な場合)には、最上段の製品出荷日を求める。
そして、空きアドレス情報(空きエリアの始点と終点におけるX方向のアドレス、Y方向のアドレス、Z方向のアドレス)に基づいて、空きエリアのサイズ(大きさ)を求めるのである。
【0092】
次に、図17における「配置優先順位」、すなわち、空きエリア相互の優先順位を求める。空きエリア相互の優先順位を求めるには、図12で例示する制約条件マスターの「置場仕様優先順位」及び「置場配置方法・方向」を用いる。
図12の「置場仕様優先順位」が高い置場(置場1)について、例示する。
先ず、図12の「置場配置方法・方向」にしたがって、置場1については北から、すなわち「北→南」の方向について(X方向。図13参照)、空きアドレスの始点のX方向アドレスを検索する。
X方向への検索の結果、始点のX方向アドレスが最初に見つかった空きエリアの優先順位が最も高く、以下、始点のX方向アドレスが見つかった順番を空きエリアの優先順位とする。
【0093】
複数の空きエリアにおいて、始点のX方向アドレスが同一の場合には、始点のY方向アドレスが小さい方が優先する。換言すれば、始点のX方向アドレスが同一の場合には、Y方向について始点から終点に向かって検索した場合に、始点のY方向アドレスが見つかった順番が、空きアドレスの優先順位となる。
上述した手順で空きエリアにおける優先順位(配置優先順位)を求めたならば、求められた優先順位にしたがって、置場配置計画を立案する。
【0094】
このようにして、図17で例示するような形式の置場空きエリア情報を求めたならば、置場配置演算ユニット8の図示しないデータベースに記憶する。
一つの置場について、ステップS26の処理を終えたならば、再びステップ22に戻り、ステップS22以降の処理を行う。
上述したように、ステップS22〜ステップS26のルーチンは、全ての置場(置場1〜置場3)について、図17で示すような置場空きエリア情報を作成するまで、続けられる。
【0095】
図18は、図10のステップS5(生産計画の契約紐付けの処理)の詳細を示している。
以下、図18のフローチャートに基づき、図19〜図22を参照して、契約(注文)情報と生産計画情報を読み込み、生産計画に「契約No.(注文No.)」、梱包本数、注文者、納期等の契約情報を付加する処理(生産計画の契約紐付けの処理)について説明する。
なお、梱包本数とは、鋼製品を何本ずつまとめて梱包するのかを意味しており、発注者毎に異なっている。
【0096】
図18のステップS31において、図10のステップS3でアクセスが容易な記憶手段に一時的に記憶された契約情報を、納期の遅い順に並び替える。生産された鋼製品を同一の空きエリアに積上げる場合には、納期の遅い鋼製品が下方(先に生産)に配置され、納期の早い鋼製品が上方(後に生産)に配置された方が、鋼製品搬出の際に配替えの労力が不要となるからである。
次のステップS32では、新たな項目として「引当数」を設ける。そして、契約情報の注文本数と同じ値を「引当数」に入れる。すなわち、契約情報の注文本数をコピーして「引当数」とする。
ここで、図19は生産計画を生産順に並べた情報を表を示し、図20は既にステップS31の処理を完了した状態の契約情報を示している。
【0097】
ステップS33では、図10のステップS2で記憶手段に一時的に記憶された生産計画(図19)を、生産順(図19における最左欄参照)に、1件ずつ(1行ずつ)読み込み、ステップS34において、生産計画における全てのデータ(図19における生産順1〜18の全てのデータ)について、ステップS35〜S464の処理が完了したか否かを判断する。
【0098】
ステップS34において、生産計画における全てのデータ(図19における生産順1〜18の全てのデータ)について、ステップS35〜S464の処理が完了したのであれば(ステップS34がYES)、図18で示す処理(図10のステップS5の処理)は終了する。
一方、生産計画における全てのデータ(図19における生産順1〜18の全てのデータ)について、ステップS35〜S464の処理が未だ完了していないのであれば(ステップS34がNO)、ステップS35に進む。
【0099】
ステップS35では、納期の遅い順に並び替えられた契約情報(図20)において、契約情報を「契約No.」に対応する契約情報毎に1件ずつ(1行ずつ)読み込む。図19の例では、契約No.B−1から情報から下方へ向かって順番に、契約No.A−4までの契約情報を、1件(1行)読み込むのである。そして、納期の遅い順に並び替えられた契約情報(図20)を1件ずつ(1行ずつ)読み込んだならば、ステップS36に進む。
ステップS36では、S33で読み込まれた生産計画(図19参照)と、ステップS35で読み込まれた契約情報(図20参照)とを比較して、「製品名(製品の種類)」、「規格」、「製品の長さ」(「製品名(製品の種類)」、「規格」、「製品の長さ」を「キー」と総称する)が同じであるか否かを判断する。生産計画と契約情報のキーとが同じであれば(ステップS36がYES)、ステップS37に進み、同じでなければ(ステップS36がNO)、ステップS35、S36を繰り返す。
【0100】
換言すれば、ステップS36では、ステップS33で読み込んだ生産計画と、ステップS35で読み込んだ契約情報とが対応しているか否かを判断し、以って、生産計画に対応する契約情報を探し出しているのである。長さ13mの製品aを例にして後述するように、生産計画と契約情報は「キー」が同一の製品について行わなければならず、そのために、ステップS33で長さ13mの製品aに関する生産計画明細を1行読み込んだならば、ステップS35とステップS36がNOのルーチンにより、長さ13mの製品aに関する契約情報(ステップS33で読み込まれた生産計画明細と「キー」が同一の契約情報)がピックアップされるのである。
【0101】
ステップS37では、ステップS35で読み込んだ契約情報の引当数(図20における最右欄参照)がゼロであるか否かを判断する。
当該契約情報の引当数がゼロでなければ(ステップS37がNO)、ステップS38に進む。
引当数がゼロであれば(ステップS37がYES)、その契約情報は既に生産計画との紐付けが完了しているので、ステップS38以降の処理は不要である。したがって、ステップS35に戻り、新たな契約情報を読み込む。
【0102】
ステップS38では、
「仮引当数」=「契約情報の引当数」−「生産計画の生産数」
なる式で表現される数値を「仮引当数」として求める。
ここで、「契約情報の引当数」は図19の最右欄の数値であり、「生産計画の生産数」は図18の最右欄「本数」における数値である。
ステップS38で仮引当数を求めたならば、仮引当数がゼロ以上(仮引当数≧ゼロ)であるか否かを判断する(ステップS39)。
仮引当数がゼロ以上であれば(ステップS38がYES)、ステップS40に進む。一方、仮引当数がゼロ以上でなければ(ステップS38がNO)、ステップS43に進む。
【0103】
ステップS40では、ステップS38で求めた仮引当数を、図19の最右欄で示す契約条件の引当数として設定する。
次のステップS41では、生産計画(図18)の各行に、契約情報の「契約No.」、梱包本数、納期、注文主名等の情報を付加(設定)する。
そしてステップS42では、設定した梱包本数に基づいて、図21に示す製品仕様マスターから梱包サイズ(梱包の大きさ)を求め、生産計画(図18)の各行に付加(設定)する。そして、ステップS33に戻る。
ステップS41、S42を行った結果、図18の生産計画は、図22で示すように、各種情報が紐付けられる。
【0104】
ステップS43(ステップS39がNO)では、下式にしたがって、「生産計画残数」を求める。
生産計画残数=生産計画の生産数−契約情報の引当数
ここで生産計画残数は、ある生産計画明細における生産数或いは本数において、契約情報と紐付けられている分と契約情報と紐付けられていない分とが存在する場合において、契約情報と紐付けられていない分(生産数或いは本数)を意味している。換言すれば、ある生産計画明細における鋼製品の生産数或いは本数の内で、契約情報と紐付けられていない分の鋼製品の生産数或いは本数である。
ステップS44では、図22の中央付近の欄で示す生産計画の本数として、図19の最右欄で示す契約情報の引当数を設定する。
次のステップS45では、契約情報の「契約No.」、梱包本数、納期、注文主名等の情報を、生産計画(図18)の各行に付加する。
ステップS46では、設定した梱包本数に基づいて、図21の製品仕様マスターから梱包サイズ(梱包の大きさ)を求める。
【0105】
次のステップS451では、図22の生産計画において、その制御サイクルにおいてステップS33で読み込まれている(紐付け処理が行われている)明細(行)の直下に、新たな明細(行)を追加する。
追加された新たな明細(行)においては、製品名、規格、長さ、本数については、ステップS33で読み込まれている生産計画の明細(行)と同じ内容を設定する。
【0106】
ステップS452では、その時点で生産計画と紐付けられている契約情報ステップS35で読み込まれた契約情報の引当数にゼロを設定する。
ステップS453では、納期の遅い順に並び替えられた契約情報(図20)において、契約情報を「契約No.」に対応する契約情報毎に1件ずつ(1行ずつ)読み込み、ステップS454に進む。
ステップS454では、S33で読み込まれた生産計画(図19)と、ステップS453で読み込まれた契約情報(図20参照)とを比較して、「キー」が同じであるか否かを判断する。「キー」が同じであれば(ステップS454がYES)ステップS455に進み、「キー」が異なっていれば(ステップS454がNO)ステップS453に戻り、新たな契約情報を1件読み込む。ステップS453、S454により、以後の処理は、S33で読み込まれた生産計画(図19)と同一キーの契約情報について行われる。
【0107】
ステップS455では、ステップS453で読み込んだ契約情報の引当数(図20における最右欄参照)がゼロであるか否かを判断する。当該契約情報の引当数がゼロでなければ(ステップS455がNO)、ステップS456に進む。
引当数がゼロであれば(ステップS455がYES)、その契約情報は既に生産計画との紐付けが完了しており、ステップS456以降の処理は不要であるため、ステップS453に戻り、新たな契約情報を読み込む。
【0108】
ステップS456では、
「仮引当数」=「契約情報の引当数」−「生産計画の残数」
なる式で表現される数値を「仮引当数」として求める。
ステップS456で仮引当数を求めたならば、仮引当数がゼロ以上(仮引当数≧ゼロ)であるか否かを判断し(ステップS457)、仮引当数がゼロ以上であれば(ステップS457がYES)、ステップS458に進む。一方、仮引当数がゼロ以上でなければ(ステップS457がNO)、ステップS461に進む。
【0109】
ステップS458では、ステップS456で求めた仮引当数を、ステップS453で読まれた契約情報の引当数として設定する。
次のステップS459では、生産計画(図19)の各行に、契約情報の「契約No.」、梱包本数、納期、注文主名等の情報を付加(設定)する。
そしてステップS460では、設定した梱包本数に基づいて、図21に示す製品仕様マスターから梱包サイズ(梱包の大きさ)を求め、生産計画(図19)の各行に付加(設定)する。そして、ステップS33に戻る。
ステップS459、S460を行った結果、図19の生産計画は、図22で示すように、各種情報が紐付けられる。
【0110】
一方、ステップS461(ステップS457がNO)では、ステップS453で読まれた契約情報の引当数として、ステップS33で読まれた生産計画の本数を設定する。
次のステップS462では、契約情報の「契約No.」、梱包本数、納期、注文主名等の情報を、生産計画(図19)の各行に付加する。
ステップS463では、設定した梱包本数に基づいて、図21の製品仕様マスターから梱包サイズ(梱包の大きさ)を求める。
ステップS464では、図22で示す生産計画において新たな明細行を追加する。そして、ステップS452に戻る。
【0111】
上述した処理(図18〜図22で説明した処理)により、生産計画は、図22で示すように、各種情報が紐付けされた内容となる。
換言すれば、図22の紐付き後の生産計画(表)は、図19〜図21の情報が関連付けられて記憶される。
【0112】
図19〜図22における長さ13mの製品であって、製品名「a」、規格は「NA」である製品に関する生産計画と契約情報を例示しつつ、上述した処理について、より詳細に説明する。
係る製品については、図19における生産順が8〜11の生産計画明細(図19の行)と、図20の契約No.B−3及び契約No.A−3に係る契約情報(図20の行)とが該当する。
【0113】
ステップS33により、先ず図19の生産計画から、生産順8の生産計画明細が読み込まれる。
ステップS35では、図20の最も上の行における契約No.B−1から順に読み込まれるが、ステップS33で読み込まれた生産順8の生産計画明細と同一キーの製品(長さ13m、製品名「a」、規格は「NA」である製品)に係る契約以外であるとステップS36ではNOと判断される。そして、ステップS35、ステップS36により、生産順8の生産計画明細と同一キーの製品であって、納期が最も遅い契約情報である契約No.B−3の情報が読み込まれる。
図19の生産順8における本数は3本であり、図20の契約No.B−3における引当数は5本である。
したがって、ステップS38で求められる仮引当数は 5−3=2本 であり、
2≧ゼロ であるためステップS39では「YES」と判定されて、ステップS40に進む。
【0114】
ステップS40では、契約No.B−3の引当数が5本から仮引当数の2本に変更される。
ステップS41では、生産順8における生産計画明細(行)に契約No.B−3における情報が付加される。また、ステップS42では、図21の製品仕様マスターから製品aに関する梱包サイズの情報が抽出されて、生産順8における生産計画明細(行)に付加される。そして、ステップS33に戻る。
【0115】
ステップS33では、図19における生産順9の生産計画明細が読み込まれる。
ステップS35では、図20の最も上の行における契約No.B−1から順に読み込まれるが、ステップS36により、生産順8の生産計画明細と同一キーの製品であって、納期が最も遅い契約情報である契約No.B−3の情報が読み込まれる。
ここで、前サイクルのステップS40において、契約No.B−3の引当数は2本となっており、ゼロではないので、ステップS37ではNOと判定されてステップS38に進む。
ステップS38において、契約No.B−3の引当数は2本であり、生産順9の本数は4本であるので、仮引当数は 2−4=−2 となり、 −2≦ゼロ であるためステップS39はNOとなり、ステップS43に進む。
【0116】
ステップS43では、上述した式「生産計画残数=生産計画の生産数−契約情報の引当数」にしたがって、生産計画残数を求める。
ステップS38に関して述べたように、生産順9の生産計画明細における本数(生産数)は4本であり、契約No.B−3の引当数は2本であるので、生産計画残数は2本(=4−2)となる。
ステップS44では、図22の生産順9における生産計画の本数として、契約No.B−3の引当数である2本を設定する。
ステップS45では、生産順9における生産計画明細(行)に契約No.B−3における情報が付加される。ステップS46では、図21の製品仕様マスターから製品aに関する梱包サイズの情報が抽出されて、生産順9における生産計画明細(行)に付加される。
ステップS44〜S46の処理により、図19の生産順9における生産計画明細(行)は、図22の生産順9における生産計画明細(行)のようになる。
【0117】
ステップS451では図22の生産順9の明細(行)の直下に、新たな明細(行)、すなわち「生産順9.1」の生産計画明細(行)を追加する。
生産順9.1の生産計画明細(行)は、図19の生産計画で示されている項目(製品名、規格、長さ、本数)については、図22における生産順9の明細(行)と同一の数字が設定される。
ただし、生産順9.1の生産計画明細(行)においては、ステップS459で後述するように、契約No.A−3に対応付けられる。そのため、生産順9.1の生産計画明細(行)においては、図22における「契約No.」の欄には「A−3」と表示され、契約情報と紐付けられたその他の項目(梱包本数、注文者、納期等)についても、契約No.A−3の契約情報の内容が設定される。
【0118】
ステップS452では、ステップS35で読み込まれた契約No.B−3の引当数をゼロに設定する。
そして、ステップS453で、図20の最も上の行における契約No.B−1から順に契約情報が読み込まれる。ここでステップS454により、ステップS33で読み込まれた生産順9の生産計画明細と同一キーの製品であって、納期が最も遅い契約情報である契約No.B−3が選択されるが、契約No.B−3はステップS452で引当数がゼロとなっているので、ステップS455でYESと判定される。そして、生産順9の生産計画明細と同一キーの製品であって、契約No.B−3の次に納期が早い契約情報である契約No.A−3が読み込まれる。
契約No.A−3の引当数は「10(本)」であるので、ステップS455ではNOと判定され、ステップS457に進む。
【0119】
ステップS457では、下式により仮引当数が求められる。
仮引当数=契約情報の引当数−生産計画の残数
この例では、上述したように契約No.A−3の引当数は「10(本)」であり、ステップS43で生産計画の残数は2本であるので、仮引当数は8本である。
「8≧0」であるので、ステップS457はYESと判定され、ステップS458に進む。
ステップS458では、契約No.A−3の引当数は、仮引当数の「8本(=10−2)」となる。
ステップS459では、ステップS451で追加された生産順9.1の生産計画明細(行)に、契約No.A−3の「契約No.」、「梱包本数」、「納期」、「注文者」等を設定する。
ステップS460では、図21の製品仕様マスターから製品aに関する梱包サイズの情報が抽出されて、生産順9.1における生産計画明細(行)に付加される。そして、ステップS33に戻る。
【0120】
ステップS33では新たな生産計画明細として、図19における生産順がNo.10の生産計画明細が読み込まれる。
このサイクルの直前のサイクルにおいてステップS35で読み取られた契約No.B−3の契約情報は、ステップS452で引当数がゼロに設定されているので、ステップS35〜S37では、は、No.10の生産計画明細とキーが同一であり、引当数がゼロではない契約情報として、契約No.B−3よりも納期が早い契約No.A−3の契約情報を選択する。
ステップS38に際して、契約No.A−3の引当数は直前の制御サイクルにおけるステップS458で8本(=10−2)であり、No.10の生産計画明細の生産数は4本であるので、仮引当数は「4(=8−4)」となる。
したがって、ステップS39はYESとなり、ステップS40に進む。
ステップS40では契約No.A−3の引当数が仮引当数の4本となり、ステップS41ではNo.10の生産計画明細に契約No.A−3の内容が付加され、ステップS42でNo.10の生産計画明細に梱包サイズが付加されて、ステップS33に戻る。
【0121】
ステップS33では生産順がNo.11の生産計画明細が読み込まれ、ステップS35〜S37では契約No.A−3の契約情報が選択され、ステップS38、S39、S40〜S42が繰り返される。
この制御サイクルのステップS38では、契約No.A−3の引当数は直前の制御サイクルにおけるステップS40で4本(=8−4)であり、No.11の生産計画明細の生産数は4本であるので、仮引当数は「ゼロ(=4−4)」となる。
そして、ステップS38で契約No.A−3の引当数はゼロとなり、以って、図20で示す契約情報であって、製品名a、規格NA、長さ13mのキーを有する契約情報は、同一キーの生産計画(生産順がNo.9〜No.11)と全て紐付けられたことになる。
【0122】
契約情報と生産契約とを紐付けることにより、生産した製品の本数が契約による注文に対して過不足があるか否かを、容易に判断することができる、というメリットがある。
ここで、生産計画において、図22で示すような状態のものが既に存在するのであれば、図示の実施形態における図18〜図22までの処理(図10のステップS5の処理、或いは生産計画の契約紐付けの処理)は不要である。
【0123】
図23は、図10のステップS8(積上げ配山の検証)の詳細を示している。
以下、図23に基づき、図24〜図29を参照して、生産計画により生産される鋼製品が空きエリア(置場空きエリア)に積上げることができるか否かを検証して、積上げる(配置する)ことが可能であれば配置予定を計画する処理、すなわち「積上げ配山の検証」について説明する。
【0124】
図23のステップS51において、制約条件マスター(図24参照)を読み、制約条件を取得する。ここで、概略1ヶ月先までの生産予定等の事情により、予め置場を確保しておきたい場合は、制約条件として、予約置場情報を登録しておく(制約条件マスターに追加する)ことが望ましい。
図24の制約条件マスターは、図12の制約条件マスターに比較すると、置場予約情報の項目が追加されている。そして、係る置場予約が複数存在する場合を考慮して、図24では、置場予約をn項目だけ追加可能である(図24の「予約n」)。
【0125】
次のステップS52では、積上げが可能な置場を抽出する。
図11〜図17で説明した置場の空きエリア(置場空きエリア)を取得する処理によって、図25に示す空きエリア情報が得られているので、ステップS52では係る空きエリア情報を読み込む。そして、読み込まれた空きエリア情報から、空きエリアの最上段に配置された鋼製品の出荷日(図25の「最上段の製品出荷日」)が表示されている空きエリア情報を抽出する。
図26は、図25の空きエリア情報から、ステップS52で抽出した空きエリア情報、すなわち積上げが可能な空きエリア情報が示されている。
【0126】
ここで、既に鋼製品が配置されている領域の上方に、さらに鋼製品を配置する(空きエリアとして使用する)ことができるか否かを判断するに際しては、「最上段の製品出荷日」と「これから配置しようとする製品の出荷日」とを比較し、「最上段の製品出荷日」の方が「上積みする製品の出荷日」よりも後の場合は上積みをしない。
出荷日が早い製品を常に上方へ載置しておくことにより、鋼製品の配替え作業、すなわち上積みされている製品を別の置場に移して下方の鋼製品を取り出す作業が不要になるからである。
【0127】
図25においては、前回の制御サイクルで、当該空きエリアに新たに鋼製品が積上げ可能である場合に、最上段に配置された鋼製品の中で最も早い出荷日が、「最上段の製品出荷日」として登録されている。
上述したように、鋼製品搬出の際に配替え作業を不要にするために、出荷日の早い鋼製品が、それよりも出荷日が遅い鋼製品の上方に配置されるので、各エリアにおける最上段に配置された鋼製品は、そのエリアにおいて最も出荷日が早い鋼製品となるからである。
なお、図25において、積上げできないエリアについては、「最上段の製品出荷日」の欄は空白となっている。
【0128】
ステップS53では、生産計画を並び替える。例えば、「納期の降順(納期が遅い順)」に並び替え、或いは、「圧延順の昇順(圧延が早い順)」に並び替えることができる。
図18〜図22までの処理(生産計画の契約紐付け)が行われた後の生産計画を、ステップS53において納期の降順に並べ替えた状態が、図27で示されている。
【0129】
ステップS54では、ステップS53で並び替えられた生産計画(例えば、図27で示す)における生産計画明細を1件(図27における1行)を読む。
ステップS55では、生産計画の全ての明細(全ての行)について、ステップS56〜S60の検証を終了したか否かを判断する。
生産計画の全ての明細(全ての行)について、ステップS56〜S60の検証を終了していれば(ステップS55がYES)、図23〜図29の処理、すなわち図10のステップS8(積上げ配山の検証方法)を終了する。
生産計画の全ての明細(全ての行)について、ステップS56〜S60の検証を終了していなければ(ステップS55がNO)、ステップS56に進む。
【0130】
ステップS56では、ステップS52で抽出された積上げ可能な置場空きエリア情報(図26)を読み、次のステップS57では、全ての置場空きエリア情報の読み込みが終了したか否かを判断する。
全ての置場空きエリア情報の読み込みが終了していれば(ステップS57がYES)、ステップS54で読み込まれた生産計画明細に対応する置場空きエリアが設定された(或いは積上げられないことが判明した)と判断されるので、新たな生産計画明細に対応する置場空きエリア情報を紐付けるべくステップS54に戻り、ステップS54以降を繰り返す。
一方、全ての置場空きエリア情報の読み込みが終了していなければ(ステップS57がNO)、ステップS58に進む。
【0131】
ステップS58では、読み込んだ生産計画明細(生産計画の行)における製品名に対応する製品仕様マスター(図28)を読み、梱包サイズ(梱包後の断面・縦横の大きさ)に関する情報を取得する。
ステップS59では、ステップS54で読み込まれた生産計画(製品計画明細、或いは製品計画の行)に係る鋼製品が積上げ可能であるか否かの検証を行う。
【0132】
ステップS59において、鋼製品が積上げ可能であるか否かの検証を行うに際して、積上げが可能であるための条件としては、次の3つがある。
条件1: 置場空きエリアにおける最上段の製品出荷日と、ステップS54で読み込まれた生産計画(製品計画明細、或いは製品計画の行)における納期とを比較して、ステップS54で読み込まれた生産計画の納期の方が早い。
条件2: 置場空きエリアにおける横方向(図13におけるY方向)の配置可能サイズが、ステップS54で読み込まれた生産計画(製品計画明細、或いは製品計画の行)における鋼製品の長さよりも大きい(長い)。
条件3: 置場空きエリアにおいて、ステップS54で読み込まれた生産計画における梱包数が積上げ可能である。
【0133】
ここで、上記した「積上げが可能であるための条件」における条件3を検討するに際しては、以下の3つの計算式が用いられる。
計算式1
(置場空きエリアの配置可能サイズ・縦)÷(生産計画の梱包サイズ・横)=商(切捨て)
ここで、「生産計画の梱包サイズ」とは、ステップS54で読み込まれた生産計画における梱包のサイズである。「縦」、「横」については、後述する。
計算式1の「商」は、1段における梱包数を示す。
計算式2
(置場空きエリアの配置可能サイズ・高さ)÷(生産計画の梱包サイズ・縦)=商(切捨て)
計算式2の「商」は、置場空きエリアの配置可能サイズに何段の梱包(ステップS54で読み込まれた生産計画に係る梱包)を積上げることが可能か、という段数を示す。
計算式3
1段における梱包数×段数=配置可能梱包数
計算式3で求めた「配置可能梱包数」は、検証の対象となっている置場空きエリアに積上げることができる梱包(ステップS54で読み込まれた生産計画に係る梱包)の数を示している。
【0134】
計算式3で求めた配置可能梱包数が、ステップS54で読み込まれた生産計画(生産計画明細、或いは生産計画の行)で予定されている鋼製品の梱包数よりも多ければ、当該生産計画で予定されている鋼製品を、検証の対象となっている置場空きエリアに積上げ可能である。
換言すれば、 配置可能梱包数≧生産計画の梱包数 なる不等式を充足する場合に、積上げ可能と判断される。
【0135】
ここで、計算式1、計算式2において、「置場空きエリア情報の配置可能サイズ・横」は、製品の長さ方向に対応し、図13におけるY方向である。
「置場空きエリア情報の配置可能サイズ・縦」は、製品梱包荷姿の断面の幅方向に対応し、図13におけるX方向である。
「生産計画の梱包サイズ・横」は、製品梱包荷姿の断面の幅を意味し、図13におけるX方向と対応する。
「置場空きエリア情報の配置可能サイズ・高さ」は図14におけるZ方向である。そして、「生産計画の梱包サイズ・縦」は、製品梱包荷姿の断面の高さを意味し、図14におけるZ方向と対応する。
【0136】
次のステップS60では、ステップS59までの処理において、ステップS54で読み込まれた生産計画(生産計画明細、或いは生産計画の行)に係る鋼製品が、ある置場空きエリアに積上げることが可能であると判断された場合には、当該置場エリアは鋼製品が配置されることにより狭くなることが確定するので、図25で示す置場空きエリア情報を、当該生産計画に係る鋼製品を積上げた直後の配置可能サイズ及び空きアドレスを示す内容に更新する。
また、ステップS54で読み込まれた生産計画(生産計画明細、或いは生産計画の行)に、積上げ可能と判断された置場空きエリアの配置可能サイズ及び空きアドレスに係る情報(積上げ情報)を付加する。図29は、置場空きエリアの配置可能サイズ及び空きアドレスに係る情報(決定置場情報)を付加した生産計画を示している。
【0137】
図29において、積上げできない場合については、決定置場情報は空欄となる。
なお、上述した「配置可能サイズ」は、図29においては、決定置場情報の欄に付加処理された値として示されている。
ステップS60を終えた後、ステップS56まで戻り、ステップS56以降を繰り返す。
そして、置場空きエリア情報について検証が終了し(ステップS57がYES)、生産計画の全ての明細(行)について、置場空きエリアに積上げることができるか否かについての検証が終了したならば(ステップS55がYES)、図10のステップS8(積上げ配山の検証)は終了する。
【0138】
図30は、図10のステップS9(製品長さ毎の配山検証)の詳細を示している。
以下、図30に基づき、図31〜図34を参照して、同一種類、かつ、同一長さの鋼製品が一つの配山(ひと山)を形成することができるか否か、すなわち「製品長さ毎の配山の検証」について説明する。
【0139】
図30のステップS61では、生産計画を、製品名、長さの昇順(小さい順に)に並べ替えている。
ここで、ステップS61でいう生産計画とは、例えば図31で示すような引当て済みの生産計画データ、すなわち、図10のステップS5で契約情報と紐付けられ、かつ、決定置場情報(図10のステップS8)等の置場における配置に関する情報が付加されている生産計画である。
ステップS61では、例えば図31の生産計画を、図32で示すように、製品名、長さの昇順に並べ替えている。なお、図32では、例えば12mの鋼製品について集計した結果が示されているが、係る処理は、次のステップS62で行われる。
【0140】
ステップS62では、並べ替えた生産計画を読み、製品毎、長さ毎の梱包数を集計する。この時、梱包サイズの縦(高さ。Z方向)は集計基(集計された生産計画の明細、或いは集計された生産計画における各行)における梱包サイズの縦(高さ。Z方向)の最大値を設定する。
なお、梱包サイズの横(幅)については、集計されて梱包数が増加しても変わらない。
【0141】
ステップS62では、図31で示すように契約情報と決定置場情報とが既に付加された生産計画を対象としているが、図31の生産計画の明細(行)であって、同一種類(同一製品)、かつ、同一長さの鋼製品を集計するが、同一種類、かつ、同一長さの鋼製品であっても、契約により梱包本数(何本の鋼製品を一つの梱包とするのかという数値、或いは梱包の大きさを示す数値)が異なる可能性がある。
鋼製品がひと山を形成することができるか否かの検証については、梱包のサイズが重要なファクターであり、「梱包サイズの縦(高さ或いはZ方向の値)」の代表値として、集計された生産計画の明細(集計基)の中で、最も大きな数値を採用した。
ただし、最大値に代えて、集計された生産計画の明細(集計基)の中で、最も梱包本数の多い梱包の「梱包サイズの縦(高さ)」を採用することも可能である。
【0142】
図30〜図34で説明する「製品長さ毎の配山の検証」において、積上げ配山検証処理(図23〜図29で説明した処理)で既に置場が決まっている生産計画の明細(行)は、ステップS63〜S71で説明する処理の対象外とする。
例えば、図31の圧延順5で示す生産計画明細(行)については、既に置場が決定しており、ステップS63〜S71で説明する処理の対象外となるため、図32では表示されていない。
【0143】
ステップS63では、梱包数を集計した生産計画(図32)の明細を1件ずつ(1行ずつ)読み、ステップS84では、生産計画(図32)の全ての明細(全行)について、ステップS65〜S71の検証が終了したか否かを判断する。
生産計画(図32)の全ての明細(全行)について、ステップS65〜S71の検証が終了したならば(ステップS64がYES)、図10のステップS9(製品長さ毎の配山検証)を終了する。
一方、生産計画(図32)の全ての明細(全行)について、ステップS65〜S71の検証が未だ終了していないのならば(ステップS64がNO)、ステップS65に進む。
【0144】
ステップS65では、該当する製品マスター(図28)を読み、配山の大きさに関する情報を取得する。
次のステップS66では、配山の高さ方向に何段積めるか(配山段数)を求める。配山段数は、以下の計算式で求まる。
「製品仕様マスターの配山高さ標準」÷「生産計画の梱包サイズ縦」
ここで、「製品仕様マスターの配山高さ標準」は、例えば図28における「配山高さ」の「標準」の欄に示す数値であり、「生産計画の梱包サイズ縦」は、例えば図32における「梱包サイズ」の「縦」の欄に示す数値である。
上述した式の「商」の数値の小数点以下を切り捨て、配山段数を決定する。
【0145】
ステップS67では、ステップS66で求めた配山段数に基づいて、配山の列数を求める。配山の列数は、以下の計算式で求まる。
「生産計画の梱包数」÷「ステップS66で求めた配山段数」
生産計画の梱包数は、例えば図32における「梱包数」の欄に示す数値である。
上記式の「商」の数値の小数点以下を切り上げて、配山の列数(配山列数)を決定する。
【0146】
ステップS68では、ステップS67で求めた配山列数に基づいて、配山の幅(長さ)を求める。配山の幅(長さ)は、以下の計算式で求まる。
「生産計画の梱包サイズ横」×「ステップS67で求めた配山列段数」
「生産計画の梱包サイズ横」は、例えば図32における「梱包サイズ」の「横」の欄に示す数値である。
【0147】
ステップS69では、ステップS68で求めた配山幅(長さ)の値を、図28で示す製品仕様マスターにおける「配山幅」の「標準」の欄で示す数値と比較して、当該数値未満であるか否かを判断する。
ステップS68で求めた配山幅(長さ)の値が、図28の製品仕様マスターにおける「配山幅」の「標準」における値未満であれば(ステップS69がYES)、ステップS70に進む。
一方、ステップS68で求めた配山幅(長さ)の値が、図28の製品仕様マスターにおける「配山幅」の「標準」における値以上であれば(ステップS69がNO)、ステップS71に進む。
【0148】
ステップS70では、ステップS68で求めた配山幅(長さ)の値が、図28の製品仕様マスターにおける「配山幅」の「標準」における値よりも小さかった(満たなかった)ため、単独で一つの配山を形成することはできないと判断して、長さが異なる鋼製品と配山する。
すなわち、一つの配山に複数の長さの製品を混載して、いわゆる「混載配山」を行う旨を決定する。
【0149】
ステップS70では、以下の二点を記憶する。
(1) 該当の製品(ステップS63で読み込まれた生産計画明細による生産ロットに係る鋼製品)は、長さが異なる鋼製品(同一種類の鋼製品)と混載して配山する。
(2) 配山の列数及び配山の段数。
ステップS70が終了したなら、ステップS63まで戻り、再びステップS63以降を繰り返す。
【0150】
ステップS71では、ステップS68で求めた配山幅(長さ)の値が、図28の製品仕様マスターにおける「配山幅」の「標準」における値以上であるため、該当長さの製品(ステップS63で読み込まれた生産計画明細による生産ロットに係る鋼製品)は単独で配山する。すなわち、いわゆる「単独配山」を行う旨を決定する。
この時、以下の二点を記憶する。
(1)製品、長さ毎に単独配山する。
(2)配山の列数及び配山の段数。
ステップS71が終了したなら、ステップS63まで戻り、再びステップS63以降を繰り返す。
【0151】
図33は、図30の「製品長さ毎の配山検証処理」後の生産計画の状態を示している。図33において配山方法の欄(図33の表の中央部)が、図10のステップS9(製品長さ毎の配山検証)により決定されて記入される。
図33の「圧延順」5の明細(行)は、ステップS62で説明した「既に置場が決まっている生産計画の明細(行)」である。
ステップS64において、例えば図32で示すような生産計画における全ての明細(行)について、「配山方法」の欄に記入するべき事項(混載配山か単独配山か、配山の列数、配山の段数)が決定すれば、同一種類、かつ、同一長さの鋼製品が一つの配山(ひと山)を形成することができるか否かの検証が終了したと判断して、図10のステップS9(製品長さ毎の配山検証)を終了する。
【0152】
図34は、図30〜図33で説明した処理によって、同一種類、かつ、同一長さの鋼製品を、混載配山するか、或いは単独配山とするかの判断するのを例示している。
図34の例では、8m製品の配山幅(長さ)が製品仕様マスターで定められた配山幅の標準を超えているため、単独配山と判断される。
8m製品以外については、いずれも、図30〜図33で説明した処理によって求められた配山幅(長さ)が製品仕様マスターで定められた配山幅の標準未満であるため、混載配山と判断される。
【0153】
図34で例示された判断結果は、図33における「配山方法」の欄に記載された内容と一致する。
ここで、図34における「配山高さ・標準」で示す方向は、図14のZ方向を示している。図34における「配山幅・標準」の方向は、図13のX方向を示している。そして、図34における紙面と垂直な方向は、図13のY方向を示している。
【0154】
図35は、図10のステップS10(置場の単列複列検証)の詳細を示している。
以下、図35に基づき、図36〜図44を参照して、同一種類、かつ、同一長さの鋼製品を、置場において単列で配置するべきか或いは複列で配置するべきかの検証(すなわち「置場の単列複列検証」)について説明する。
ここで「単列」、「複列」は、例えば図42において、鋼製品の長さにより、置場の横方向(図13のY方向)について1つの配山しか形成できない場合が「単列(或いは単列置き)」であり、複数(図42では2つ)の配山が形成できる場合が「複列(或いは複列置き)」となる。
【0155】
図35のステップS81では、検証の対象となる置場(配置対象置場)の置場仕様マスター(図16)を読み込み、置場における縦方向(図13のX方向)のサイズ(大きさ)の情報と、横方向(図13のY方向)のサイズの情報と、配山の最大列数(配置対象置場において、例えば横方向或いはY方向について、配山を何列形成することができるかを示す数値)の情報とを取得する。
ステップS82では、配置対象置場の配山最大列数が1であるか否かを判断する。配山最大列数が1でなければ(ステップS82がNO)、ステップS83に進み、配山最大列数が1であれば(ステップS82がYES)、ステップS87に進む。
【0156】
ステップS83〜S86は、配山最大列数が1ではないので、複列であると判断される場合の処理である。
ステップS83では、配山検証が終わった生産計画(図36)から、混載配山とする鋼製品のデータを抜き出す。
図37は、抜き出した鋼製品のデータをまとめて、表として作成したものである。
なお、積上げ配山検証処理(図23〜図29で説明した処理)で既に置場が決まっている生産計画の明細(行)(例えば、図29の圧延順5の生産計画明細)は、ステップS83〜S89で説明する処理の対象外とする。
【0157】
ステップS84では、製品の種類及び長さ毎に、複列を構成する組合せを求める。
ここで、鋼製品を複列に配置する条件として、以下の計算式を満足させることが必要である。
長さ1+長さ2+・・・長さn≦置場サイズ・横
ここで、「置場サイズ・横」とは、置場の横方向(図13のY方向)のサイズを意味している。そして、「長さ1+長さ2+・・・長さn」における符号「n」は、置場仕様マスターの配山の最大列数である。
例えば、最大列数が2(n=2)では、上記計算式は
長さ1+長さ2≦置場サイズ・横 となる。
【0158】
上記計算式(長さ1+長さ2+・・・長さn≦置場サイズ・横)を充足しない長さの製品は、複列置きにせず、単列置きとする。
図38は、最大列数が2つの場合(n=2)において、複列の組合せを抽出した結果を、製品の長さで示している。図39は、単列の製品の場合であって、図38のような複列の組合せに入らなかった鋼製品(長さで表示)を示している。
図示の実施形態において、置場サイズ・横(図13のY方向サイズ)は23mである。したがって、図示の実施形態における上記式は、
長さ1+長さ2≦23m となる。
【0159】
ステップS85では、図40で示すように、複列で配置する場合における最適な組合せ(図40では鋼製品の長さの組合せとして例示)を求める。
最適な組合せを求めるに際しては、先ず、ステップS84で求めた組合せ(例えば、図38で示す組合せ)において、長さ1、長さ2、・・・長さnを並び替えのキーとして降順(長いもの→短いものの順)に並び替える。すなわち、並び替えのキーとして、長さの降順を用いる。
例えば、最大列数が2の場合において、並び替えのキー(長さの降順)は、
長さ1(組合せにおける長い方の長さ)→長さ2(組合せにおける短い方の長さ) の順となる。
【0160】
ステップS84の条件(図示では、「長さ1+長さ2≦23m」という条件)を満足する組合せを、ステップS85の並べ替えキー(長さの降順)で並べ替えた結果を、図40で示す。
ステップS84の条件(図示では、「長さ1+長さ2≦23m」という条件)を満足する組合せで、合計の長さが最も長い組合せは、長さ1が15m、長さ2が7mの場合であり(合計の長さ=15+7=22m)、係る組合せが図40では最初に(図40では最上方に)示されている。そして、並び替え(降順)後のデータ(図40で示す組合せ)の最初にあるデータ(長さ1が15m、長さ2が7mの組合せ)が、最適な複列組合せとして採用される。(ベース長さの決定)。
図41は、単列の製品の場合であって、図40のような複列の組合せに入らなかった鋼製品について示している。
【0161】
ステップS86では、配山方法を決定する。
ステップS86においては、ステップS85で求めた最適な複列組合せ(図示の例では、長さ1が15m、長さ2が7mの組合せ)から、以下の(1)〜(4)の要領にしたがって、配山方法を決定する。
(1) 長さ1≧配山「1」>長さ2
(2) 長さ2≧配山「2」>長さ3
(3) 長さn≧配山「n」
(4) 単列置きの長さの製品
上記(1)〜(4)の要領は、図示の例のように最大列数が2(n=2)の場合は、以下の要領(1´)〜(3´)で行われる。
(1´) 長さ1≧配山「1」>長さ2
(2´) 長さ2≧配山「2」
(3´) 単列置きの長さの製品
【0162】
図示の実施形態における数値を例示して、ステップS86を説明する。
先ず、ステップS85で求めた複列最適組合せは、長さ1が15m、長さ2が7mであり、その合計の長さは、15m+7m=22m(≦限界値である置場サイズ・横は23m)。
この組合せにおいて、ベース長さは15mとなる(ベース長さの決定)。
ステップS85で並べ替えた例(図40)を参照すれば、対象となる鋼製品(混載配山を形成する鋼製品)における長さは、6m、7m、12m、15m、20mである。
【0163】
ステップS86の要領に当てはめて、図42の配山「イ」、「ロ」、「ハ」を例にして、配山の決定について説明する。ここで、図42は、配山「イ」、「ロ」、「ハ」の置場での配置を示している。
図42の配山「イ」はステップS86における要領の配山「1」に対応し、図42の配山「ロ」はステップS86における要領の配山「2」に対応し、図42の配山「ハ」はステップS86における要領の配山「3」に対応する。
図42における置場サイズ(大きさ)・縦は図13のX方向を、置場サイズ(大きさ)・横は図13のY方向を示す。
【0164】
ステップS86における要領(1´)の 長さ1≧配山「イ」>長さ2 は、
15m≧配山「イ」>7m
となり、係る条件を満たす配山「イ」は、長さ15mと長さ12mの複列置きとなる。係る配山「イ」では、ベース長さは15mである。
ステップS86における要領(2´)の 長さ2≧配山「ロ」 は、
7m≧配山「ロ」
となり、係る条件を満たす配山「ロ」は長さ7mと長さ6mの複列置きとなる。係る配山「ロ」では、ベース長さは7mである。
そして、残りの20mの鋼製品は、単列置きとしては、配山「ハ」を構成する。係る配山「ハ」のベース長さは、20mである。
ステップS86で配山方法を決定したならば、ステップS88に進む。
【0165】
ステップS87(ステップS82のYES)では、置場仕様マスターの配山最大列数が1列の場合(n=1)の処理である。
ステップS87では、図30〜図34で説明した処理(図10のステップS9の「製品長さ毎の配山検証」)で求めた配山方法と、混載配山か単独配山かにしたがって、仮配山を求める。
ステップS87においては、混載配山も単独配山も、共に一つの仮配山とする。換言すれば、混載配山を一つの仮配山とすると共に、単独配山も一つの仮配山とする。
ステップS87において仮配山を求めたならば、ステップS88に進む。
なお、「仮配山」なる文言は、図35〜図44で説明する処理で決定した配山を意味している。配山が正式に決定するのは、図45〜図48で後述する処理(図10のステップS11)が完了した後であり、図35〜図44で説明する処理では配山が正式に決定したとは言い得ないため、図35〜図44で示す処理の説明においては、係る処理で決定した配山を「仮配山」と記載している。
【0166】
ステップS88では、配山の1段目の列数を決定する。具体的には、ステップS86、S87で求めた配山或いは仮配山が同一の製品が、置場仕様マスター(図16)における「置場サイズ」の「高さ」の欄に示されている高さ寸法を基準とした場合、1段目に何列並べることができるのかについて、以下の手順(1)〜(4)にしたがって求める。
手順(1) 仮配山情報・配山が同じ製品(配山或いは仮配山が同一の製品)の梱包数を合計する。
手順(2) 仮配山情報・配山が同じ製品の梱包において、「梱包サイズ・縦」の最大値を求める。
梱包本数が異なる場合においても、「梱包サイズ・縦」(梱包の高さ)が異なるが、最も高さ寸法が大きい梱包を採用する。
【0167】
手順(3) 置場に何段の梱包が配置できるか(段数)を、次の計算式で求める。
「置場仕様マスター(図16)における「置場サイズ」の「高さ」の欄に示されている高さ寸法」÷「要領(2)で求めた梱包サイズ・縦+マンボサイズ・高さ」=「段数(小数点以下は切り捨て)」
「マンボサイズ・高さ」の情報についても、置場仕様マスター(図16)から取得する。
手順(4) 1段の列数を次の計算式で求める。
「手順(1)で求めた梱包数合計(仮配山情報・配山が同じ製品の梱包数合計)」÷「手順(3)で求めた段数」
=「1段の列数(少数点以下切り上げ)」
【0168】
ステップS89では、ステップS88で求めた配山方法を、生産計画に仮配山情報として付加する。
そして、仮配山情報を付加した生産計画を、置場配置演算ユニット8の図示しないデータベースに記憶する。
これにより、図10のステップS10の処理(置場の単列複列検証)を終了する。
【0169】
換言すれば、図35〜図44で説明する図10のステップS10の処理(置場の単列複列検証)は、仮配山情報として、混載の可否、配山(仮配山)、一段の列数、ベース長さを、解として求める処理である。
ここで、混載の可否とは、違う長さの製品により混載をするのか、同一の長さのみで配山するのかを決定することである。
配山とは、生産計画により生産された鋼製品により、どの配山を形成するのかを示している。
一段の列数は、配山の1段目或いは配山の最下層に、梱包を何列並べることができるのかを示している。
ベース長さは、対象となる配山に配置することが可能な製品の最大長さである。
【0170】
図43、図44は、ステップS89で仮配山情報を付加された生産計画を示している。
図43は、配山最大列が2の場合(n=2)を示している。また、図44は、配山最大列が1の場合(n=1)を示している。
図43、図44における中央部の「仮配山情報」の欄の内容が、本処理(図35〜図42を参照して説明したルーチン)で求められている。
【0171】
図43において、圧延順3の長さ20mの配山方法は、前処理である「製品長さ毎の配山検証(図30〜図34の処理)」で混載配山と決定していたが、「置場の単列複列検証(図35〜図44で説明した処理)」により、単独配山に変更している。
図43、図44における圧延順8の8mの配山方法は、前処理である「製品長さ毎の配山検証(図30〜図34の処理)」で単独配山と決定しているため、仮配山「二」として単独配山に設定する。なお、図42では、配山「二」は図示されていない。
図43、図44で示す例では、長さ11mの鋼製品については、既に置場が決定しているものとする。そのため図43、図44では、長さ11mの鋼製品については、「仮配山情報」が空白となっている。
【0172】
図45は、図10のステップS11(置場決定)の詳細を示している。
以下、図45に基づき、図46〜図48を参照して、鋼製品の置場を正式に決定する処理(図10のステップS11における「置場の決定」)について説明する。
【0173】
図45において、ステップS91では、制約条件マスター(図24参照)を全件読み、各置場の制約条件を取得する。
ステップS92では、置場仕様マスター(図16参照)を全件読み、各置場の仕様を取得する。
ステップS93では、置場空きエリア情報(図17参照)を全件読み、各置場の空きエリア情報を取得する。
ステップS94では、「仮配山情報」が付加された生産計画(図43、図44)の明細(行)を、圧延順に1件(1行)読む。
ステップS95では、ステップS94で読み込まれた生産計画明細(行)に対応する製品仕様マスター(図28)を読む。
【0174】
ステップS96では、全ての生産計画明細(生産計画の全行)について、ステップS97〜S107の検証が終了したか否かを判断する。
全ての生産計画明細(生産計画の全行)について、ステップS97〜S107の検証が終了した場合は(ステップS96がYES)、ステップ108まで進む。
一方、全ての生産計画明細(生産計画の全行)について、ステップS97〜S107の検証が未だ終了していない場合には(ステップS96がNO)、ステップS97に進む。
【0175】
ステップS97では、ステップS94で読み込まれた生産計画明細(生産計画の行)は、既に仮配山の置場が正式に決定しているものであるか否かを判断する。
ここで、「仮配山の置場が正式に決定している」とは、図23〜図29の処理(図10のステップS8の「積上げ配山の検証」)で置場が決定していることを意味している。図43、図44の生産計画で示すと、圧延順4の11mの生産計画明細が、「仮配山の置場が正式に決定している」に該当する。
仮配山の置場が正式に決定している場合には(ステップS97がYES)、ステップS99まで進む。
仮配山の置場が正式に決定していない場合には(ステップS97がNO)、ステップS98に進む。
【0176】
ステップS98では、ステップS93で読み込んだ置場空きエリア情報の中から、仮配山のベース長さが配置可能な置場を検索して、確保する。ここで言う「仮配山のベース長さが配置可能」とは、ステップS94で読み込まれた生産計画明細における「仮配山情報」(図43、図44)の欄に示すベース長さを有している仮配山を、設置することができる旨を意味している。
ここで、ステップS98で置場空きエリア情報の中から検索する場合は、積上げとなる空きエリアは対象外とする。ステップS97に関連して説明したように、図23〜図29の処理(図10のステップS8の「積上げ配山の検証」)で置場が決定している生産計画明細(例えば、図43、図44における圧延順4の11mの生産計画明細)であれば、ステップS98をバイパスして(ステップS97がYES)、ステップS99に進むからである。換言すれば、ステップS98は、正式に置場決定していない生産計画明細(生産計画明細の行)が対象であり、図43、図44の圧延順4の生産計画明細以外が対象となる。
【0177】
ステップS98において、仮配山を設置することができる置場空きエリアが確保できた場合には、生産計画明細の「決定置場情報」の欄における「置場」、「始点」、「終点」に、確保された置場空きエリアの情報を設定する(記憶する)。
置場が確保できない場合は、後の処理において警告できるように、図示しない記憶装置に記憶する。
ステップS99では、Work梱包カウンターを「ゼロ」に設定する。
ステップS100では、Work梱包カウンターの数値を1だけ増加する(Work梱包カウンター=Work梱包カウンター+1)。
【0178】
ここで、「Work梱包カウンター」及び後述する「Work列数カウンター」は、図45〜図48における処理(図10のステップS11における「置場の決定」)を遺漏なく実行するために設けられた制御上のパラメータであり、実際の圧延工程等で用いられる概念ではない。
【0179】
ステップS101では、Work梱包カウンターの数値がステップS94で読まれた生産計画明細における梱包数を超えたか否かを判断する。
Work梱包カウンターの数値が、ステップS94で読まれた生産計画明細における梱包数を超えた場合は(ステップS101がYES)、当該生産計画明細の生産ロットに係る鋼製品の梱包を載置する置場空きエリアが決定したと判断し、ステップS94まで戻り、生産計画の次の明細(次の行)を読み、ステップS94以降を繰り返す。
Work梱包カウンターの数値が、ステップS94で読まれた生産計画明細における梱包数以下の場合は(ステップS101がNO)、ステップS102に進み、Work列数カウンターの数値を1だけ増加する(Work列数カウンター=Work列数カウンター+1)。
【0180】
ステップS103では、Work列数カウンターの数値が、ステップS94で読まれた生産計画明細における「1段の列数」を超えているか否かを判断する。
Work列数カウンターの数値が、ステップS94で読まれた生産計画明細における「1段の列数」を超えていれば(ステップS103がYES)、ステップS104に進む。
一方、Work列数カウンターの数値が、ステップS94で読まれた生産計画明細における「1段の列数」以下であれば(ステップS103がNO)、ステップS106まで進む。
【0181】
ステップS104では、Work列数カウンターの数値が、ステップS94で読まれた生産計画明細における「1段の列数」を超えているので、配山における1段の最大列数まで到達しており、その段の次の段(上方の段)に梱包を配置する必要がある(1段の配置が完了した)と判断して、配山の次の段に梱包を積上げる。
配山の次の段に梱包を積上げる場合、当該「次の段」の高さ方向のアドレスは、それまで梱包を配置していた「段」の高さ方向アドレスに、「製品仕様マスター(図28)における「梱包サイズ」の「縦」の欄における数値」と、「置場仕様マスター(図16)における「マンボサイズ」の「縦」の欄における数値」とを加算して求めることができる。当該「次の段」の高さ方向のアドレスは、それまでに記憶された「段」の高さ方向のアドレスに加算されて、記憶される。
【0182】
ステップS104で梱包を次の段に積上げることになり、当該次の段では梱包は未だに列を形成していないので、次のステップS105では、Work列数カウンターをゼロに設定する。
ステップS105の後、ステップS106に進む。
Work列数カウンターの数値が、ステップS94で読まれた生産計画明細における「1段の列数」以下の場合(ステップS103がNO)、当該「段」においては、未だに梱包を配置することが可能である。この場合には、ステップS105をバイパスして、ステップS106まで進む。
【0183】
ステップS106では、1梱包の製品配置を行う。そして、1梱包を加えた場合における横方向(図13で現すX方向)のアドレスを求める。
係るアドレスは、直前の制御サイクルにおけるX方向のアドレスに、製品仕様マスター(図28)における「梱包サイズ」の「横」の欄における数値と、製品仕様マスター(図28)における「製品間隔」の欄における数値とを加算して求めることができる。
換言すれば、製品仕様マスター(図28)における「梱包サイズ」の「横」の欄における数値と、製品仕様マスター(図28)における「製品間隔」の欄における数値は、直前の制御サイクルで記憶された横方向(図13で現すX方向)のアドレスに加算されて、記憶される。
【0184】
ステップS107では、ステップS104〜ステップS106で求めた置場位置に関する情報を、図46に示すように「決定置場情報」として生産計画に付加する。
そしてステップS100まで戻り、ステップS100以降を繰り返す。そして、最終的に、生産計画の全ての梱包について置場位置を決定する(ステップS96がYES)。
【0185】
ステップS108では、図45で説明した処理で作成した情報を、見やすい形式に編集する。見やすい形式に編集するに際しては、生産計画については、図47で示すように、製品の種類及び長さで分類して、予定置場を表示する。
また、置場情報については、図48で示すように、置場毎に置場として使用する予定(図48では、「製品名」、「長さ」、「本数」、「製品/梱包」、「梱包数」、「納期」で示す欄)、既存製品置場(図48の「置場」の欄)の情報を編集して出力する。
さらに、置場仕様マスターについては、置場予定を置場利用情報(図16参照)に記憶する。
ステップS108を完了して、図45〜図48で示す処理(図10のステップS11の「置場の決定」)は全て終了する。
【0186】
図示の実施形態によれば、保管場所である置場YDにおける配置(置場計画)を決定する置場配置演算ユニット8により、生産計画情報及び契約の内容に基づいて生産された保管対象物(鋼製品)の置場YDにおける配置(置場計画)を決定するので、保管対象物の生産に先立って、置場YDにおいて保管対象物を効率的に配置する計画(置場計画)を自動的に決定することができる。
特に図示の実施形態によれば、新たな配山を形成するか或いは積上げるかを決定するに際して、既に鋼製品が配置されている領域(図13、図14の符号M)に新たに生産される鋼製品が積上げ可能であれば、新たに配山を形成することによりも、積上げることを優先的に選択するので、置場YDにおける保管対象物の配置が効率的に行われる。その結果、置場YDにおいて無駄なスペースが多々見受けられるという事態が解消する。
【0187】
そして図示の実施形態によれば、係る配置計画(置場計画)の作成を自動的に行うことが可能であるため、従来の手作業に比較して、置場YDにおける鋼製品の配置計画(置場計画)の作成に関する労力及び工数を、飛躍的に減少させることができる。
それと共に、特別な労力や、熟練技術者が存在しない場合でも、鋼製品の効率的な配置を実現することができる。
【0188】
図示の実施形態において、既に鋼製品が配置されている領域Mに、新たに生産される鋼製品を積上げることが可能か否かを判断するに際して、既に鋼製品が置かれている領域Mの最上段に位置する鋼製品の納期が、新たに生産される鋼製品の納期よりも遅い場合だけ、新たに生産される鋼製品を積上げ可能としている。そのため、鋼製品の納期において、その情報に配置されている他の鋼製品を一時的に他の領域に配置する作業(配替え作業)が不要になる。
その結果、鋼製品を置場YDから搬出する作業に費やされる労力が、飛躍的に減少する。
【0189】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
【図面の簡単な説明】
【0190】
【図1】本発明の実施形態の概要を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態における置場自動計算サーバーのブロック図。
【図3】本発明の実施形態における制約条件ユニットのブロック図。
【図4】本発明の実施形態における契約情報ユニットのブロック図。
【図5】本発明の実施形態における生産計画ユニットのブロック図。
【図6】本発明の実施形態における置場仕様ユニットのブロック図。
【図7】本発明の実施形態における製品仕様ユニットのブロック図。
【図8】本発明の実施形態における置場配置演算ユニットのブロック図。
【図9】本発明の実施形態を適用した製鋼所における受注〜出荷の工程図。
【図10】本発明の実施形態における制御を示すフローチャート。
【図11】図10のステップS4のフローチャート。
【図12】本発明の実施形態における制約マスターを示す図。
【図13】本発明の実施形態における置場の考え方を説明する上面図。
【図14】図13に対応する置場の側面図。
【図15】本発明の実施形態における置場利用エリアの管理を説明する図。
【図16】本発明の実施形態における置場仕様マスターを示す図。
【図17】本発明の実施形態における置場空きエリア情報を示す図。
【図18】図10におけるステップS5のフローチャート。
【図19】本発明の実施形態における生産計画を示す図。
【図20】本発明の実施形態における契約情報を示す図。
【図21】本発明の実施形態における製品仕様マスターを示す図。
【図22】本発明の実施形態における紐付け後の生産計画を示す図。
【図23】図10におけるステップS8のフローチャート。
【図24】本発明の実施形態における制約条件マスターを示す図。
【図25】本発明の実施形態における置場空きエリア情報を示す図。
【図26】本発明の実施形態における積上げが可能な置場空きエリア情報を示す図。
【図27】本発明の実施形態における紐付け後の生産計画を示す図。
【図28】本発明の実施形態における製品仕様マスターであって、配山の標準及び製品間隔を記入した製品仕様マスターを示す図。
【図29】本発明の実施形態における積上げ計画を付加した生産計画の状態を示す図。
【図30】図10におけるステップS9のフローチャート。
【図31】本発明の実施形態における引当済生産計画を示す図。
【図32】本発明の実施形態において、製品名・長さの昇順に並び替え、梱包数を集計した生産計画を示す図。
【図33】本発明の実施形態における製品長さ毎の配山検証処理後の生産計画を示す図。
【図34】本発明の実施形態における製品、長さ単位の配山を混載又は単独とするか否かの判断例を示す図。
【図35】図10におけるステップS10のフローチャート。
【図36】本発明の実施形態における製品長さ毎の配山検証処理後で契約引当済の生産計画を示す図。
【図37】本発明の実施形態における生産計画から混載する長さのデータを抜き出した表を示す図。
【図38】本発明の実施形態における複列の組合せ抽出結果であって、最大列数が2の場合の表を示す図。
【図39】図38の組合せに入らなかった単列置きの製品を示す図。
【図40】本発明の実施形態における複列の組合せ並び替え(降順)後の複列の組合せに係る表を示す図。
【図41】図40の組合せに入らなかった単列置きの製品を示す図。
【図42】本発明の実施形態における置場への配山イメージを示した配置図。
【図43】本発明の実施形態において、置場仕様マスターの配山最大列数が2の場合における演算処理後の仮置場記憶した生産計画を示す図。
【図44】本発明の実施形態において、置場仕様マスターの配山最大列数が1の場合における演算処理後の仮置場記憶した生産計画を示す図。
【図45】図10におけるステップS11のフローチャート。
【図46】本発明の実施形態における置場決定後の生産計画を示す図。
【図47】本発明の実施形態における製品長さ別に予定置場を編集した生産計画を示す図。
【図48】本発明の実施形態における置場毎に予定置場、既存製品置場を編集した置場情報を示す図。
【図49】従来技術における製鋼所の受注〜出荷の流れを示す工程図。
【符号の説明】
【0191】
1・・・ホストコンピューター
2・・・置場配置自動計算サーバー
3・・・制約条件ユニット
4・・・契約情報ユニット
5・・・生産計画ユニット
6・・・置場仕様ユニット
7・・・製品仕様ユニット
8・・・置場配置演算ユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保管対象物の多品種少量生産を実行する生産計画情報を記憶する装置(5)と、保管対象物の生産を受注した際の契約の内容を記憶する装置(4)と、生産計画情報及び契約の内容に基づいて生産された保管対象物の保管場所(YD)における配置を決定する装置(8)とを備え、保管場所(YD)における配置を決定する装置(8)は、保管場所(YD)中で新たに生産される保管対象物を配置可能な領域(Ee)を決定する機能と、生産される保管対象物のみにより新たな配山を形成するか或いは既に保管対象物が置かれている領域(M)に積上げるかを決定する機能と、既に保管対象物が置かれている領域(M)に生産される保管対象物を積上げることが可能か否かを判断する機能と、新たな配山を形成するか或いは積上げるかを決定するに際して、既に保管対象物が置かれている領域(M)に生産される保管対象物を積上げることが可能であれば、積上げることを優先的に選択する機能とを有していることを特徴とする保管場所決定システム。
【請求項2】
保管場所(YD)における配置を決定する装置(8)は、配山を同一長さの保管対象物のみで形成するか或いは異なる長さの保管対象物で形成するかを判断する機能と、保管場所(YD)の一定の方向について単一の配山のみを配置するか或いは複数の配山を配置するかを決定する機能とを有している請求項1の保管場所決定システム。
【請求項3】
保管場所(YD)における配置を決定する装置(8)は、保管対象物の多品種少量生産を実行する生産計画情報と、保管対象物の生産を受注した際の契約の内容とをリンクする機能を有している請求項1、2のいずれかの保管場所決定システム。
【請求項4】
保管対象物の多品種少量生産を実行する生産計画情報を記憶する工程(S1)と、保管対象物の生産を受注した際の契約の内容を記憶する工程(S2)と、生産計画情報及び契約の内容に基づいて生産された保管対象物の保管場所(YD)における配置を決定する工程(S11)とを有し、保管場所(YD)における配置を決定する工程(S11)では、保管場所(YD)中で新たに生産される保管対象物を配置可能な領域(Ee)を決定し、生産される保管対象物のみにより新たな配山を形成するか或いは既に保管対象物が置かれている領域(M)に積上げるかを決定し、既に保管対象物が置かれている領域(M)に生産される保管対象物を積上げることが可能か否かを判断し、新たな配山を形成するか或いは積上げるかを決定するに際して、既に保管対象物が置かれている領域(M)に生産される保管対象物を積上げることが可能であれば、積上げることを優先的に選択することを特徴とする保管場所決定方法。
【請求項5】
保管場所(YD)における配置を決定する工程(S11)では、配山を同一長さの保管対象物のみで形成するか或いは異なる長さの保管対象物で形成するかを判断し、保管場所(YD)の一定の方向について単一の配山のみを配置するか或いは複数の配山を配置するかを決定する請求項4の保管場所決定方法。
【請求項6】
保管場所(YD)における配置を決定する工程(S11)では、保管対象物の多品種少量生産を実行する生産計画情報と、保管対象物の生産を受注した際の契約の内容とをリンクする請求項4、5のいずれかの保管場所決定方法。
【請求項1】
保管対象物の多品種少量生産を実行する生産計画情報を記憶する装置(5)と、保管対象物の生産を受注した際の契約の内容を記憶する装置(4)と、生産計画情報及び契約の内容に基づいて生産された保管対象物の保管場所(YD)における配置を決定する装置(8)とを備え、保管場所(YD)における配置を決定する装置(8)は、保管場所(YD)中で新たに生産される保管対象物を配置可能な領域(Ee)を決定する機能と、生産される保管対象物のみにより新たな配山を形成するか或いは既に保管対象物が置かれている領域(M)に積上げるかを決定する機能と、既に保管対象物が置かれている領域(M)に生産される保管対象物を積上げることが可能か否かを判断する機能と、新たな配山を形成するか或いは積上げるかを決定するに際して、既に保管対象物が置かれている領域(M)に生産される保管対象物を積上げることが可能であれば、積上げることを優先的に選択する機能とを有していることを特徴とする保管場所決定システム。
【請求項2】
保管場所(YD)における配置を決定する装置(8)は、配山を同一長さの保管対象物のみで形成するか或いは異なる長さの保管対象物で形成するかを判断する機能と、保管場所(YD)の一定の方向について単一の配山のみを配置するか或いは複数の配山を配置するかを決定する機能とを有している請求項1の保管場所決定システム。
【請求項3】
保管場所(YD)における配置を決定する装置(8)は、保管対象物の多品種少量生産を実行する生産計画情報と、保管対象物の生産を受注した際の契約の内容とをリンクする機能を有している請求項1、2のいずれかの保管場所決定システム。
【請求項4】
保管対象物の多品種少量生産を実行する生産計画情報を記憶する工程(S1)と、保管対象物の生産を受注した際の契約の内容を記憶する工程(S2)と、生産計画情報及び契約の内容に基づいて生産された保管対象物の保管場所(YD)における配置を決定する工程(S11)とを有し、保管場所(YD)における配置を決定する工程(S11)では、保管場所(YD)中で新たに生産される保管対象物を配置可能な領域(Ee)を決定し、生産される保管対象物のみにより新たな配山を形成するか或いは既に保管対象物が置かれている領域(M)に積上げるかを決定し、既に保管対象物が置かれている領域(M)に生産される保管対象物を積上げることが可能か否かを判断し、新たな配山を形成するか或いは積上げるかを決定するに際して、既に保管対象物が置かれている領域(M)に生産される保管対象物を積上げることが可能であれば、積上げることを優先的に選択することを特徴とする保管場所決定方法。
【請求項5】
保管場所(YD)における配置を決定する工程(S11)では、配山を同一長さの保管対象物のみで形成するか或いは異なる長さの保管対象物で形成するかを判断し、保管場所(YD)の一定の方向について単一の配山のみを配置するか或いは複数の配山を配置するかを決定する請求項4の保管場所決定方法。
【請求項6】
保管場所(YD)における配置を決定する工程(S11)では、保管対象物の多品種少量生産を実行する生産計画情報と、保管対象物の生産を受注した際の契約の内容とをリンクする請求項4、5のいずれかの保管場所決定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【公開番号】特開2009−220927(P2009−220927A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65492(P2008−65492)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000110251)トピー工業株式会社 (255)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000110251)トピー工業株式会社 (255)
【Fターム(参考)】
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