説明

保護化アミノチアゾールのフッ素化方法

保護化アミノチアゾールのフッ素化を含むフッ素化化合物の製造方法。式(I)の化合物はグルコキナーゼの活性化物質の製造に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフッ素化化合物の製造方法を対象とする。詳しくは、本発明は、医薬上有効な化合物、特に、II型糖尿病の処置のためのグルコキナーゼアクチベーターとして有用な化合物の製造に用いるフッ素化化合物の製造方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
国際特許出願PCT/US04/03698及びPCT/GB2005/050053(本願の優先日の後に公開)は、グルコキナーゼのモジュレーターであり、かつ、高血糖症および糖尿病、特にII型糖尿病の予防的処置または治療的処置に有用である種々のトリ(シクロ)置換アミド化合物を開示している。これらの化合物のうちあるもの、例えば、(2R)−2−(4−シクロブタンスルホニルフェニル)−N−ピラジン−2−イル−3−(テトラヒドロピラン−4−イル)プロピオンアミド、(2R)−2−(4−シクロプロパンスルホニルフェニル)−N−(5−フルオロチアゾール−2−イル)−3−(テトラヒドロピラン−4−イル)プロピオンアミド、(2R)−2−(4−シクロプロパンスルホニルフェニル)−N−(5−フルオロチアゾール−2−イル)−3−((R)−テオキソシクロペンチル)プロピオンアミドは、5−フルオロチアゾール基を有する。治療化合物の合成のための中間体として有用な、2−アミノ−5−フルオロチアゾールおよびその酸付加塩、例えば、塩酸塩の製造が必要となる。
【0003】
2−アミノ−5−フルオロチアゾールは、US4094785、US4086240、DE2724614およびUS4046768に名称だけは開示されているが、この化合物の合成方法は開示されていない。(5−フルオロチアゾール−2−イル)カルバミン酸tert−ブチルエステルの溶液にトリフルオロ酢酸を加えることによる2−アミノ−5−フルオロチアゾールトリフルオロアセテートの製造がWO2004/063179に記載されているが、このカルバミン酸エステル出発材料の製造または生成物の特性決定についての詳細は示されていない。PCT/US04/03968には、5−ブロモチアゾール−2−イルアミンヒドロブロミドからN−(5−ブロモチアゾール−2−イル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミドを経た2−アミノ−5−フルオロチアゾール塩酸塩の合成が記載されている。しかしながら、この方法はこのような化合物の商業規模での合成にとっては特に効率的なものではない。よって、2−アミノ−5−フルオロチアゾールの製造のためのさらに効率的な方法が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2−アミノ−5−フルオロチアゾールまたはその酸付加塩の製造の方法。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、式(I)
【化1】

(I)
で示される化合物又はその酸付加塩を製造する方法であって、式(II)
【化2】

(II)
(式中、Pは保護基である)
で示される化合物をフッ素化し、続いて、保護基を除去し、任意で塩を形成する方法を提供する。
【0006】
Pで示されうる保護基には、Protective Groups in Organic Chemistry, T.W. Greene and P.G.M. Wuts, (1991) Wiley-Interscience, New York, 2nd editionに記述されているような任意のアミノ保護基が含まれる。保護基には、特に、アセチル、ピバロイル、及びtert−ブトキシカルボニル(Boc)が含まれ、好ましい保護基はtert−ブトキシカルボニルである。
【0007】
本発明の第1の好ましい態様において、前記方法法で使用されるフッ素化試薬は、例えば活性N−フッ素結合を含む求電子性フッ素化試薬である。求電子性フッ素化試薬の例には、A. J. Poss et al., Speciality Chemicals Magazine, April 2003, 36-40やE. C. Taylor et al., Org. Prep. Proceed. Int., 1997, 29, 221-223の実施例に記述されるようなN−フルオロスルホンアミド及びN−フルオロスルホンイミドが含まれる。好ましいフッソ化試薬は、N−フルオロスルホンイミド、特に好ましいフッ素化試薬は、N−フルオロベンゼンスルホンイミドである。
【0008】
フッ素化は、好ましくは、低温、例えば約−50℃において行われる。
【0009】
式(II)の化合物の2価陰イオンは、好ましくは、フッ素化試薬の添加前に、オルガノリチウム又はオルガノマグネシウム試薬(例えば、グリニャール試薬)等の適切な塩基で脱保護することにより調製される。好ましい塩基は、n−、tert−、又はsec−ブチルリチウム、メチルリチウム、及びフェニルリチウム等のオルガノリチウム試薬であり、特に好ましい塩基はtert−ブチルリチウムである。塩基は、式(II)の化合物に対して、好ましくは2当量以上、特に約2当量、例えば2.2当量で使用される。
【0010】
式(II)の化合物の2価陰イオンは、例えば、約−50〜0℃の温度で数時間安定である。
【0011】
好ましい態様において、フッ素化反応は、好ましくは適切な溶媒、好ましくは、エーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサンといった非極性の非プロトン性溶媒、好ましくはテトラヒドロフラン中で行われる。
【0012】
第2の態様において、試薬は、1−クロロメチル−4−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンビス(テトラフルオロホウ酸塩)(Selectfluor;登録商標)のような求電子性芳香族置換試薬であり、G. S. LaI, J. Org. Chem., 1993, 58, 2791-2796を参照されたい。
【0013】
第2の態様において、フッ素化反応は、好ましくは適切な溶媒、例えばアセトニトリル中で行われる。
【0014】
第2の態様において、フッ素化反応は、好ましくは昇温下、例えば溶媒の還流温度で行われる。
【0015】
保護基の除去前に、本発明の方法に従って式(I)の化合物から製造されるフッ素化中間体は、更に再結晶化によって精製してよい。適切な再結晶化溶媒は、トリフルオロエタノール及びギ酸の混合物であり、例えば、混合比は約100:1v/vである。
【0016】
2−アミノ−5−フルオロチアゾールの適切な酸付加塩には、無機酸及び有機酸で形成されるものが含まれる。このような酸には、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、フッ化水素酸イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタン酸等が含まれる。特に好ましいのは、ヒドロハロゲン化物塩、特に塩酸塩である。
【0017】
2−アミノ−5−フルオロチアゾールの酸付加塩は、アミンと適切な酸との反応で調製してよい。塩酸塩は、好ましくは、アミンを、テトラヒドロフラン又はジオキサン等の適切な溶媒、好ましくはジオキサンに溶解し、HClガスを通してバブリングさせる。得られる塩酸塩は、ジエチルエーテル等の共溶媒を添加し、得られる固体をろ過することで単離してよい。
【0018】
式(II)の化合物は、当業者に公知の方法、例えば、C.Poupat,Tetrahedron,58,2002,4201−4215に記述される方法で、2−アミノチアゾールから調製してよい。
【0019】
本発明は、上述したようにして調製される式(I)の化合物又はその製薬的に許容し得る塩の、式(III)の化合物の製造のための中間体としての使用も提供する。
【化3】

(III)
(式中、Qはアリール、5又は6員のヘテロアリール、又は4〜8員の複素環であり;
1及びR2の各々は独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、メトキシ、−N(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)、SOCH3、又はSO2CH3の1〜5個の置換基で独立して任意に置換される水素、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ビニル、エチニル、メトキシ、OCFn3-n、−N(C0-4アルキル)(C0-4アルキル)、CHO、又はC1-2アルキルであり;又はR1及びR2はともに炭素環式又は複素環を形成し;又はR1及びR2はあわせて、前記環に二重結合を介して結合する酸素原子を示してよく;
5及びR6の各々は、独立して、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CO27、CHO、COR8、C(OH)R78、C(=NOR7)R8、CONR910、SR7、SOR8、SO28、SO2NR910、CH2NR910、NR910、N(C0-4アルキル)SO28、NHCOR7、又はC1-4アルキル基、C2-4 アルケニル基、C2-4アルキニル基、C1-4アルコキシ基、アリール基又はヘテロアリール基であり、いずれの基も、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C1-2アルコキシ、−N(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)、C1-2アルキル、CFn3-n、アリール、ヘテロアリール、−COC1-2アルキル、−CON(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)、SCH3、SOCH3、SO2CH3又は−SO2N(C0-2アルキル)(C0-2アルキル) の1〜6個の独立した置換基で任意に置換され;又はR5及びR6は、ともに5〜8員の炭素環式又は複素環を形成し;
7は、水素又はC1-4アルキル、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C3-7シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又は4〜7員の複素環基であり,いかなる基も、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C1-2アルコキシ、−N(C0-2 アルキル)(C0-2アルキル)、C1-2アルキル、C3-7シクロアルキル、4〜7員の複素環、CFn3-n、アリール、ヘテロアリール、CO2H、−COC1-2アルキル、−CON(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)、SOCH3、SO2CH3又は−SO2N(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)の1〜6個の独立した置換基で任意に置換され;
8は、C1-4アルキル、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C3-7シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又は4〜7員の複素環基であり、いかなる基も、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C1-2アルコキシ、−N(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)、C1-2アルキル、C3-7シクロアルキル、4〜7員の複素環、CFn3-n、アリール、ヘテロアリール、CO2H、COC1-2アルキル,−CON(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)、SOCH3、SO2CH3又は−SO2N(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)の1〜6個の独立した置換基で任意に置換され;
9及びR10の各々は独立して、水素又はC1-4アルキル基、C3-7シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又は4−7員の複素環基であり、いかなる基も、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C1-2アルコキシ、−N(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)、C1-2アルキル、C3-7シクロアルキル、4−7員の複素環、CFn3-n、アリール、ヘテロアリール、COC1-2アルキル、−CON(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)、SOCH3、SO2CH3又は−SO2N(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)の1〜6個の独立した置換基で任意に置換され;又はR9及びR10は、ともに、C1-2アルキル、CH2OCH3、COC0-2アルキル、ヒドロキシ又はSO2CH3の1〜2の独立した置換基で任意に置換される6〜8員のヘテロ二環式系又は4〜8員の複素環を形成し;
n、1、2、又は3であり;
mは、0又は1である)
【0020】
式(III)の化合物において、アリール環及びQ含有側鎖をカルボニル炭素と結合する炭素原子は、キラル中心である。従って、この化合物は、ラセミ体、又は(R)−もしくは(S)−配置の単一鏡像異性体のいずれかであってよい。(R)−鏡像異性体が好ましい。
【0021】
式(III)の化合物は、式(I)のアミン又はその塩を、式(IV)のカルボン酸で、20℃のN,N−ジメチルホルムアミド中でカルボジイミド−1−ヒドロキシベンゾトリアゾールでポリマーを担持する等の種々の結合条件で、縮合することにより調製してよい(代表的な手順については、http://www.argotech.com/PDF/resins/ps_carbodiimide.pdfを参照。Argonaut Technologies,Inc.,Foster City,Californiaから入手できる)
【化4】

(IV)
(式中、R1、R2、R5、R6、Q及びmは、式(III)で定義した通りである)。好ましくは、縮合は、キラル中心のラセミ化を最小化できるベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム六フッ化リン酸(J.Coste et al. Tetrahedron Lett.1990,31,205−208)等の試薬を用いて行われ、これにより、例えば、エナンチオピュアな式(III)の(R)−アミドを得ることができる。
【0022】
代替的に、結合反応は、式(IV)のカルボン酸の活性化誘導体、例えば、当業者に公知の方法で調製できる保護化エステル又は酸塩化物を用いてよく、この場合に結合は、コリジンその他の適切なピリジン誘導体の存在下で行われてよい。
【0023】
式(IV)のカルボン酸は、式(V)の化合物を式(VI)の化合物と反応させることで調製してよい。
【化5】

(式中、R1、R2、R5、R6、Q及びmは、上で定義した通りであり、VはCO211又はCO2CH2Phであり、Xは、クロロ、ブロモ、ヨード又は−OSO212であり;R11はC0-4アルキルであり、R12はC1-4アルキルであり、1以上のフッ素又は任意に置換されたアリールで任意に置換される。
【0024】
ハロゲン化物及びスルホン酸エステル(V)は、商業的に入手でき、又は公知技術を用いて容易に調製できる。これらのアルキル化試薬は、2当量以上のリチウムジイソプロピルアミド等の強塩基とともにテトラヒドロフラン中で−78℃にて生成するフェニル酢酸(VI)の二価陰イオンと反応し、式(IV)を直接生成してよい(F.T.Bizzarro et al.,WO00/58293)。代替的に、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(L.Snyder et al.,J.Org.Chem.1994,59,7033−7037)等の強塩基によってテトラヒドロフラン中−78℃で生成するフェニル酢酸エステル(VI)のα−カルバニオンを、式(V)でアルキル化して、α−置換エステルを得ることもできる。これらエステルのけん化は、20℃の水性メタノール中の水酸化ナトリウムを用いて行われ、還流させて、カルボン酸(IV)に誘導する。
【0025】
式(IV)のカルボン酸は、代替的に、実施例で記述するように、対応する(E)−2−(4−シクロアルカンスルフォニルフェニル)−3−(テトラヒドロピラン−4−イル)アクリル酸のエナンチオ選択性水素化によって合成してもよい。
【0026】
本発明のこの側面によれば、式(III)の好ましい化合物には、以下の化合物が含まれる。
Qは、好ましくは、2−フリル、2−チエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1−オキソ−テトラヒドロチオピラニル又は1,1−ジオキソ−テトラヒドロチオピラニルであり;より好ましくは、4−テトラヒドロピラニル又は4−テトラヒドロチオピラニルであり;最も好ましくは4−テトラヒドロピラニルである。Qは、ヘテロアリール又は複素環基であるとき、好ましくは、炭素原子を介して−(CH2)m−基に結合する。
【0027】
Qは、ヘテロアリール基であるとき、好ましくは、−(CH2m−基の結合部位に隣接する部分に、水素以外のR1又はR2基を有しない。
【0028】
1及びR2は、好ましくは水素である。
【0029】
5及びR6は好ましくは双方とも水素ではない。
【0030】
5は、好ましくは、CF3、SOR8、SO28、SO2NR910、NHSO28又はトリアゾリルであり;より好ましくはSOR8、SO28又はSO2NR910であり;最も好ましくはSO28又はSO2NR910であり、特にSO28である。特に、R5は、SO23-4シクロアルキル、とりわけSO2シクロプロピルである。
【0031】
6は、好ましくは、水素、クロロ、フルオロ又はトリフルオロメチルであり;より好ましくは水素である。
【0032】
7及びR8は、好ましくはC1-4アルキル、C3-7シクロアルキル、ヘテロアリール又は4−7員の複素環基であり;より好ましくはC1-3アルキル、4〜6員の複素環基又はC3-5シクロアルキルであり;最も好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、シクロプロピル、シクロブチル、オキセタニル又はテトラヒドロフリル、特にメチル、エチル、n −プロピル、シクロプロピル又はシクロブチル、特にシクロプロピルである。
【0033】
5及び/又はR6はCO27又はSR7であり、R7は好ましくは水素でない。
【0034】
9及びR10は、好ましくは、独立して、C0-4アルキルであり、例えばR9及びR10の一方が水素で、他方がエチル、又は組み合わさって4〜8員の複素環を形成する。R9及びR10は、好ましくは双方とも水素ではない。
【0035】
mは好ましくは0である。
【0036】
nは、好ましくは2又は3である。
【0037】
式(III)の化合物又はその製薬的に許容し得る塩の好ましい基は、以下の式で示される。
Qは4−テトラヒドロピラニルであり;
1及びR2は水素であり;R5はSO28又はSO2NR910であり;
6は水素であり;
8はC3-5シクロアルキル基又は4〜6員の複素環基であり、更に;
9及びR10は独立してC0-4アルキルであり、但しR9及びR10は双方とも水素ではなく;
mは0である。
【0038】
式(III)の化合物又はその製薬的に許容し得る塩のより好ましい基は、以下の式で示される。
Qは4−テトラヒドロピラニルであり;
1及びR2は水素であり;
5はSO28であり;
6は水素であり;
8はC3−5シクロアルキル基であり;
mは0である。
【0039】
本発明は、上述したようにして調製される式(I)の化合物の、式(VII)の化合物又はその製薬的に許容し得る塩の製造のための中間体としての使用も提供する。
【化6】

(VII)
(式中、Vは(CH2kであり、1個のCH2基は、CH(OH)、C=O、C=NOH、C=NOCH3、CHX、CXX1、CH(OCH3)、CH(OCOCH3)、CH(C1-4アルキル)又はC(OH)(C1-4アルキルで任意に置換されてよい);
X及びX1は、独立してフルオロ及びクロロから選択され;
1及びR2は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、SR3、SOR3、SO23、SO2NR45、NHSO23又はC1-4アルキル、C2-4 アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシ又はヘテロアリール基から選択され、いかなる基も、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C1-2アルコキシ、−N(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)、C1-2アルキル、CFn3-n、アリール、ヘテロアリール、−CON(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)、SCH3、SOCH3、SO2CH3,及び−SO2N(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)から独立して選択される1〜5個の置換基で任意に置換され;
3は、C1-4アルキル基、C3-7シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又は4〜7員の複素環基であり、いかなる基も、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C1-2アルコキシ、−N(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)、C1-2アルキル、C3-7シクロアルキル、4〜7員の複素環、CFn3-n、アリール、ヘテロアリール、COC1-2アルキル、−CON(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)、SOCH3、SO2CH3,及び−SO2N(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)から独立して選択される1〜5個の置換基で任意に置換され;
4及びR5は、独立して、水素又はC1-4アルキル基、C3-7シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又は4〜7員の複素環基であり、いかなる基も、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C1-2アルコキシ、−N(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)、C1-2アルキル、C3-7シクロアルキル、4〜7員の複素環、CFn3-n,アリール、ヘテロアリール、−CON(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)、SOCH3、SO2CH3、及び−SO2N(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)から独立して選択される1〜5個の置換基で任意に置換され;もしくは、R4及びR5は、ともに、C1-2アルキル及びヒドロキシから独立して選択される1又は2個の置換基で任意に置換される4〜8員の複素環を形成し;
kは、2〜7の整数であり;
mは0又は1であり;
nは、1、2又は3である)
【0040】
式(VII)の化合物において、アリール環及びHCV側鎖をカルボニル炭素に結合する炭素原子は、キラル中心である。従って、化合物は、ラセミ体、又は(R)−又は(S)−配置の単一鏡像異性体のいずれかとして存在してよい。(R)−鏡像異性体が好ましい。
【0041】
式(VII)の化合物は、式(I)のアミン又はその塩を、式(VIII)
【化7】

(式中、V、R1、R2及びmは、式(VII)で定義した通りである)
で示されるカルボン酸又はその活性化誘導体で、式(III)の化合物の合成として前述した種々の結合条件で、縮合することにより調製してよい。
【0042】
式(VIII)のカルボン酸は、式(IX)の化合物を式(X)の化合物と反応させることで調製してよい。
【化8】

(式中、V、R1、R2及びmは、上で定義した通りであり、YはCO212であり、R12は水素、C1-4アルキル又はベンジルであり;Xはクロロ、ブロモ、ヨード又は−OSO213であり、R13はC1−4アルキルであり、1個以上のフッ素又は任意に置換されたアリールで任意に置換される)
【0043】
ハロゲン化物及びスルホン酸エステル(IX)及びフェニル酢酸及びエステル(X)は、商業的に入手でき、もしくは国際特許出願WO2000/058293号、WO2001/044216号及びWO2003/095438号に記載の方法で容易に調製できる。これらのアルキル化試薬は、2当量以上のリチウムジイソプロピルアミド等の強塩基とともにテトラヒドロフラン中で−78℃にて生成するフェニル酢酸(VI)の二価陰イオンと反応し、式(IV)を直接生成してよい(F.T.Bizzarro et al.、WO 00/58293)。代替的に、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド (L. Snyder et al.、J.Org.Chem.1994,59,7033−7037)等の強塩基によってテトラヒドロフラン中−78℃で生成するフェニル酢酸エステル(VI)のα−カルバニオンを、式(V)でアルキル化して、α−置換エステルを得ることもできる。これらエステルのけん化は、20℃の水性メタノール中の水酸化ナトリウムを用いて行われ、還流させて、カルボン酸(VII)に誘導する。
【0044】
本発明のこの側面に従って調製される好ましい式(VII)の化合物には、以下の化合物が含まれる。
【0045】
−HC<及び>Vで形成される基は、オキソシクロアルキル又はヒドロキシシクロアルキル、例えば3−オキソシクロペンチル、特に(R)−3−オキソシクロペンチル、4−オキソシクロへキシル又は3−ヒドロキシシクロペンチル、特に(R)−3−オキソシクロペンチルである。
【0046】
1及びR2は、双方とも水素ではない。
【0047】
1は、CF3、SOR3、SO23、SO2NR45、NHSO23又はトリアゾリルであり;より好ましくはSOR3、SO23又はSO2NR45であり;最も好ましくはSO23又はSO2NR45、特にSO23である。とりわけ、R1はSO23-4シクロアルキル、特にSO2シクロプロピルである。
【0048】
2は水素、クロロ、フルオロ又はトリフルオロメチルであり;より好ましくは水素又はクロロである。
【0049】
3は、C1-3アルキル又はC3-4シクロアルキルであり、より好ましくはC3-4シクロアルキル、特にシクロプロピルである。
【0050】
4及びR5は、独立して、水素又はC1-4アルキルであり、例えばR4及びR5の一方が水素、他方がエチルであり、又は組み合わさって4〜8員の複素環を形成する。R4及びR5は、好ましくは双方とも水素ではない。
【0051】
mは0である。
【0052】
Vは(CH2kであり、1個のCH2基はCH(OH)又はC=Oで置換されてよい。
【0053】
kは4又は5である。
【0054】
上述した化合物、及びその調製に使用される中間体に存在する種々の官能基は、当業者に公知の官能基変換によって作成してよい。例えば、スルホニル基は、mCPBA等を用いて対応するスルファニル基を酸化することで作成してよい。
【0055】
この化合物の調製の更なる詳細は、実施例に記述する。
【0056】
上述した化合物の合成の間、中間体化合物中の、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ及びアミノ基といったレービル官能基は、保護化してよい。これら保護基は、化合物の合成の任意の段階で除去してよい。種々のレービル官能基の保護方法及び得られる保護化誘導体の切断方法に関する総合的議論は、例えばProtective Groups in Organic Chemistry、T. W. Greene and P.G.M. Wuts, (1991) Wiley−Interscieiice, New York, 2nd edition に与えられる。
【0057】
本発明は、式(III)又は(VII)の化合物又はその製薬的に許容し得る塩を含む医薬組成物も提供し、この組成物は、製薬的に許容し得る希釈剤又は担体とともに前述した方法に従って製造される。
【0058】
本発明は、グルコキナーゼの活性化が望ましい症状を予防的又は治療的に処理する方法であって、前述の方法に従って製造される式(III)又は(VII)の化合物又はその製薬的に許容し得る塩を有効量投与することを含む方法も提供する。
【0059】
本発明は、高血糖又は糖尿病、特にII型糖尿病を予防的又は治療的に処理する方法であって、前述の方法に従って製造される式(III)又は(VII)の化合物又はその製薬的に許容し得る塩を有効量投与することを含む方法も提供する。本発明のこの側面において、式(III)又は(VII)の化合物は、1以上の抗高血糖性試薬又は抗糖尿病試薬と組み合わせて投与してよい。
【0060】
本発明は、前糖尿病性高血糖又は耐糖能障害を発症するヒトにおいて、糖尿病、特にII型糖尿病を抑制する方法であって、前述の方法に従って製造される式(III)又は(VII)の化合物又はその製薬的に許容し得る塩を予防的有効量投与することを含む方法も提供する。
【0061】
この明細書中で引用した特許及び特許出願に限られないがこれらを含む全文献は、全内容が参照して本明細書に特別に又は個別に援用されるように、参照して本明細書に援用される。
【0062】
例示を目的とし且つ本発明の範囲の限定として構成されるべきでない以下の実施例を参照して、本発明を説明する。
【実施例】
【0063】
材料および方法:
カラムクロマトグラフィーはSiO2(40〜63メッシュ)で行った。LCMSデータは、6分間にわたって溶媒A(H2O中5%MeCN)および溶媒B(0.1%HCO2Hを含有するMeCN溶液)で溶出するWaters Symmetry 3.5μ C18カラム(2.1×30.0mm、流速0.8mL/分)および220nmでのUV検出を用いて得た。勾配の詳細:0.0〜1.2分:100%A;1.2〜3.8分:10%A−90%Bまで上昇;3.8〜4.4分:10%A−90%Bで保持;4.4〜5.5分:100%Bまで上昇;5.5〜6.0分:100%Aに戻す。質量スペクトルは、エレクトロスプレーイオン化源を陽(ES+)イオンモードで用いて得た。分取HPLC精製は、溶媒A(0.05%TFA、10%MeCN、90%水)と溶媒B(0.05%TFA、90%MeCN、10%水)で溶出するLunar 10μ ODS2(250×21.2mm;流速20mL/分)および215nmでのUV検出を用いて行った。勾配の詳細:0.0〜0.2分:90%A、10%B;0.2〜10.0分:10%A、90%Bまで上昇;10.0〜15.0分:10%A、90%B;15.0〜16.0分:90%A、10% Bに戻す。
【0064】
調製1: (4−シクロプロピルスルファニルフェニル)オキソ酢酸エチル
【化9】

AlCl3(104.6g、0.79mol)をCH2Cl2(1.15L)に懸濁させ、氷/塩浴中、撹拌しながら0℃に冷却した。次に、クロロオキソ酢酸エチル(84.8g、0.62mol)を10分かけて加え、この間、温度を0〜2℃の間に維持した。次いで、この混合物を0℃でさらに30分撹拌した後、硫化シクロプロピルフェニル(85.0g、0.57mol)を45分かけて加え、この間、温度を0〜8℃の間に維持した。得られた混合物を室温まで温め、さらに2時間撹拌した。その後、氷浴冷却で温度を20℃に維持しながら氷/水(275mL)を加えた。有機層を分離し、水(2×250mL)、飽和NaHCO3溶液(2×250mL)、および再び水(1×250mL)で洗浄した。次に、有機画分を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、溶媒を除去して標題化合物を得た(134g、収率94%)。NMRは上記の構造と一致していた。
【0065】
調製2:(4−シクロプロピルスルホニルフェニル)オキソ酢酸エチル
【化10】

CH2Cl2(180mL)中、製法1(49.4g、0.2mol)の撹拌溶液に、温度を15〜25℃に維持しながら、CH2Cl2(650mL)中、m−クロロペルオキシ安息香酸(92.0g、0.40mol、75%濃度として算出)の溶液を加えた。TLC(CH2Cl2:酢酸エチル1:10)は、出発材料がまだ残存していることを示した。CH2Cl2中、m−クロロペルオキシ安息香酸(3.4g)をさらに追加し、反応物を30分撹拌した。2回目のTLCも、出発材料がいくらか存在していることを示し、m−クロロペルオキシ安息香酸(3.4g)を追加し、反応物をさらに2時間撹拌した。TLCは少量の出発材料を示したので、最後のm−クロロペルオキシ安息香酸(1.0g)を追加し、反応を1時間継続した。次に、炭酸ナトリウム溶液(2M、500ml)を加え、水層を分離し、pHを9〜10に引き上げ、CH2Cl2で再抽出した。有機抽出液を合わせ、水(2×400mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、真空下で溶媒を除去した(54.1g、収率96%)。NMRは上記の構造と一致していた。
【0066】
調製3:(テトラヒドロピラン−4−イル)メタノール
【化11】

アルゴン下、ジエチルエーテル(2L)中、LiAlH4(56g、1.47mol)の懸濁液に、還流下、1.75時間かけて、ジエチルエーテル(約200mL)中、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキン酸メチル(270g、1.88mol)を加えた。添加が完了した後、さらに1時間還流を続けた。TLC(ジエチルエーテル)は少量のエステルが残存していることを示したので、LiAlH4(10g、0.26mol)を追加し、1時間還流を続けた。水(66mL)を加えた後、15%NaOH溶液(66mL)、次いでさらに水(198mL)を加えた。固体を濾過し、乾燥させて粗生成物を得、これをDCM(800ml)に再溶解させ、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、溶媒を除去して標題化合物を得た(207g、収率94%)。NMRは上記の構造と一致していた。
【0067】
調製4: メタンスルホン酸(テトラヒドロピラン−4−イル)メチルエステル
【化12】

アルゴン下、10℃より低い温度のDCM(1.3L)中、製法3(216.5g、1.87mol)とトリエチルアミン(299mL)の混合物に、DCM(200mL)中、塩化メタンスルホニル(236g、160mL)の溶液を、温度を終始5〜10℃に維持しながら2時間50分かけて加えた。水(1L)、1M HCl(500mL)、5%NaHCO3(300mL)、水(300mL)で順次洗浄し、乾燥させ(MgSO4)た後、溶媒を除去し、標題化合物を得た(328g、収率90%)。NMRは上記の構造と一致していた。
【0068】
調製5:4−ヨードメチルテトラヒドロピラン
【化13】

アセトン(3.3L)中、製法4(328g、1.69mol)とヨウ化ナトリウム(507g、3.4mol)の混合物を4時間還流させた。TLC(ジエチルエーテル)は多量のメシル酸塩の残存を示したので、ヨウ化ナトリウム(127g、0.65mol)をさらに追加し、還流を16時間続けた。この混合物を冷却し、濾過した。得られたケークをアセトンで洗浄し、乾燥させた後、ジエチルエーテル(800mL)と水(800mL)とで分液した。水相をジエチルエーテル(200mL)で再抽出し、エーテル抽出液を合わせ、10%チオ硫酸ナトリウム溶液(300mL)で洗浄したところ、抽出液が脱色された。最後に水(300mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)た後、溶媒を除去して標題化合物を得た(365g、収率92%)。NMRは上記の構造と一致していた。
【0069】
調製6: トリフェニル(テトラヒドロピラン4−イルメチル)ホスホニウムヨージド
【化14】

アセトニトリル(1.6L)中、製法5(350g、1.55M)とトリフェニルホスフィン(406g、1.55M)の混合物を還流下で加熱した。27時間後、この混合物を冷却し、濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、風乾させて白色固体を得た(504g)。濾液と洗液を還流に戻し、750mLまで濃縮し、還流を16時間維持した後、冷却し、ジエチルエーテル(約1.2L)で希釈した。沈殿が生じ、これを30分撹拌した後に濾過し、ジエチルエーテル(2×300mL)で洗浄し、風乾させてさらなる生成物を得た(100g)。標題化合物の全体の収量(604g、80%)。RT=2.7分;m/z(ES+)=361.2.
【0070】
調製7: (E)−2−(4−シクロプロパンスルホニルフェニル)−3−(テトラヒドロピラン−4−イル)アクリル酸
【化15】

−5〜0℃の間に維持した乾燥THF(5L)中、製法62.49kg、5.10mol)の懸濁液に、リチウムヘキサメチルジシラジド溶液(1.05M、4.39kg、5.18mol)を30分かけて加えた。得られた混合物をその後15℃まで温め、2時間撹拌した後、0〜5℃の間に再冷却した。次に、THF(2.5L)中、製法2(1.25kg、4.43mol)の溶液を1時間かけて加え、この間、温度を0〜5℃の間に維持し、その後、20〜25℃の間に16時間維持した。次いで、ブライン(17%w/w、3.8L)を加え、ブライン(1.3L)を追加して層を分離した。水相をメチルt−ブチルエーテル(2×2.5L)で再抽出し、合わせた有機抽出液をブライン(2×3.8L)で洗浄した。30〜40℃の間で真空下、溶媒を除去した。残渣をメタノール(15L)に溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液(2M、4.34L)を加えた後、65〜67℃で4時間加熱した。この混合物を冷却し、35〜40℃の間で真空下、水が蒸留し始めるまで溶媒を除去した。残渣を水(15L)で希釈した。この固体酸化ホスフィンを濾別し、水(2.5L)で洗浄し、濾液を分離した。水相をメチルt−ブチルエーテル(5Lおよび3.5L)で洗浄した後、メチルt−ブチルエーテル(10L)の存在下、塩酸溶液(5M、1.9L)で酸性化した。有機相を分離し、水相をメチルt−ブチルエーテル(5L)で再抽出した。合わせた有機抽出液を飽和ブライン(2×1L)で洗浄し、真空下で溶媒を除去した。メタノール(2L)を加えた後、真空下で除去し、この工程を繰り返した。メタノールを加えて残渣を総重量4.0kgとし、周囲温度で生成物が析出するまで撹拌した。固体を濾過し、冷(約0℃)メタノール(500mL)で洗浄し、40℃で真空乾燥させ、標題化合物を得た(654g、残留溶媒を補正した後、収率41%)。NMRは上記の構造と一致していた。
【0071】
調製8: (2R)−2−(4−シクロプロパンスルホニルフェニル)−3−(テトラヒドロピラン−4−イル)プロピオン酸
(E)−2−(4−シクロプロパンスルホニルフェニル)−3−(テトラヒドロピラン−4−イル)アクリル酸(製法7、110g、0.327mol)をMeOH/トルエン5:1(1.4L)に溶解させた。40mL容のシュレンクフラスコに、MeOH(10mL)に溶解させた[Rh(nbd)2](BF4)(30.5mg、0.08mmol)およびAll−MOD−Mandyphos(90.4mg、0.08mmol)を入れ、室温で1時間撹拌した。次に、この触媒溶液を(E)−2−(4−シクロプロパンスルホニルフェニル)−3−(テトラヒドロピラン−4−イル)アクリル酸溶液に加え、2.5L容のオートクレーブに移した。オートクレーブを50バールまで加圧し、30℃まで加熱した。18時間後、圧力を解放し、溶液を3L容のフラスコに移した。この反応混合物に活性炭(3g)を加え、1時間撹拌し、活性炭を濾去した。この溶液をHyfloおよびZeta−Bondフィルターで濾過した。このようにして得られた溶液を分圧下で濃縮し、得られた固体をさらに高真空下で乾燥させて固体を得た(105g)。この固体を機械的撹拌装置、温度計および滴下漏斗を備えた1.5L容のフラスコに入れた。
酢酸イソブチル(540mL)を室温で加え、この懸濁液を、透明な溶液となるまで110℃で加熱した。110℃でヘプタン(60mL)をゆっくり加えた後、油浴を外し、この溶液をゆっくり冷却した。この反応物をさらに16時間撹拌し、標題化合物を濾別し、高真空下で乾燥させた(77.2g、収率70%、99%ee)。1H NMR (CDCl3, 300.13 MHz) δ: 7.85 (2H, アリール H, d, JHH = 6.6 Hz), 7.50 (2H, アリール H, d, JHH = 6.6 Hz), 3.95 (br d, 2H), 3.80 (t, 1H, CHCH2, JHH = 7.8 Hz), 3.35 (m, 2H), 2.45 (m, 1H), 2.10 (m, 1H), 1.75 (m, 1H), 1.60 (m, 2H), 1.50−1.20 (m, 5H), 1.05 (m, 2H).
【0072】
実施例1
a)2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−フルオロチアゾール
THF(0.2L)中、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−フルオロチアゾール2−(Tert−ブトキシカルボニルアミノ)チアゾール(10g、0.050mol)をアルゴン下、−50℃まで冷却した。ペンタン中、tBuLi溶液(1.7M溶液60mL、0.102mol、2.05当量)を30分かけて加え、温度を−40℃以下に維持した。このようにして得られた懸濁液を−50℃で30分撹拌した。Ν−フルオロベンゼンスルホンイミド(ΝFSi)溶液を調製し(22.0g、70mLのTHF中0.07mol、1.4当量)、この溶液50mL(1当量)を5分かけて加え、温度を−40℃以下に維持した。この反応物を−50℃で20分撹拌した。次に、tBuLi(10mL、0.017mol、0.35当量)とΝFSi溶液(10mL、0.4当量)を加えた。このようにして得られた溶液を−50℃で45分撹拌した後、飽和NH4Cl溶液(300mL)に加えた。有機相を分離し、水相をさらにジエチルエーテル(100mL)で洗浄した。合わせた有機画分をブライン(20mL)溶液で洗浄し、乾燥させた(Na2SO4)。溶媒を除去し、さらに固体を乾燥させて褐色の固体を得た。この粗生成物にトリフルオロエタノール(60mL)およびギ酸(0.6mL)を加えた。この懸濁液を、溶液となるまで、85℃に加熱した。その後、このフラスコを室温まで冷却し、このようにして生じた沈殿を濾別し、高真空下で乾燥させた後に標題化合物を得た(6.4g、HPLC(275nm)によれば2.3%の出発材料を含有)。2回目の結晶化(トリフルオロエタノール(22mL)およびギ酸(0.22mL)、85℃で20分)、標題化合物が灰白色固体として得られた(4.6g、HPLCによれば、1%の出発材料を含有し、純度97.5%)。1H NMR(CDCl3,300MHz) δ:6.90(1H,d,CHCF),1.60(9H,S,Boc−H)
【0073】
b)5−フルオロチアゾール−2−イルアミン塩酸塩
2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−フルオロチアゾール(4.6g、21.1mmol)をジオキサン(25mL)に溶解させた。この溶液にHClガスを4時間通じた後、ジエチルエーテル(50mL)を加えて懸濁液を得、これを濾過した。この固体を高真空下で乾燥させ、標題化合物を得た(3.03g、19.7mmol、収率93%)。1H NMR(D2O)δ:7.00(1H, d);m/z=119.0[M+ H]+
【0074】
実施例2: 2−アミノ−5−フルオロチアゾール
5−フルオロチアゾール−2−イルアミノ塩酸塩(5.50g)をEt2O(100mL)と飽和NaHC[θ]3(100mL)とで分液した。水相をさらにEt2O(100mL)で抽出した後、合わせた有機抽出液をブライン(50mL)で洗浄し、その後、乾燥させた(MgSO4)。濾過および溶媒蒸発により、遊離塩基を得た(3.83g)。
【0075】
実施例3: (2R)−2−(4−シクロプロパンスルホニルフェニル)−N−(5−フルオロチアゾール−2−イル)−3−(テトラヒドロピラン−4−イル)プロピオンアミドの調製
CH2Cl2(1.35L)とDMF(35.9mL、0.465mol、1.5当量)の混合物を−20℃まで冷却し、塩化オキサリル(39.4mL)をゆっくり加えた(0.465mol、1.5当量)。45分撹拌した後、(2R)−2−(4−シクロプロパンスルホニルフェニル)−3−(テトラヒドロピラン−4−イル)プロピオン酸(実施例1、105.0g、0.310mol、1当量)を加えた。この反応物を−20℃で1時間撹拌した。コリジン(185mL、1.395mol、4.5当量)をゆっくり加えた。この反応混合物を15分撹拌した後、5−フルオロチアゾール−2−イルアミン塩酸塩(調製1、52.7g、0.341mol、1.1当量)を−15℃で加えた。得られた懸濁液を2時間−15℃で維持し、その後、氷浴を外し、反応物を2時間かけてゆっくり室温まで温めた。この混合物を蒸発乾固させて半固体を得、これに4N HCl溶液(1.5mL)を少量ずつ加えた。この生成物を酢酸エチル(3L)で抽出し、有機画分をさらに水(IL)および飽和NaHCO3溶液(IL)で洗浄した。ある程度の真空下で溶媒を除去して標題化合物を得た(135g)。特性決定データは標題化合物の形成と一致していた。
【0076】
実施例4: 2(R)−2−(4−シクロプロパンスルホニルフェニル)−N−(5−フルオロチアゾール−2−イル)−3−((R)−3−オキソシクロペンチル)プロピオンアミドの調製
a:(4−シクロプロピルスルファニルフェニル)オキソ酢酸
【化16】

EtOH(200mL)中、(4−シクロプロピルスルファニルフェニル)オキソ酢酸エチル(40.62g、162.5mmol)の溶液に、2M NaOH水溶液(163mL)を加え、この撹拌混合物を60℃で2時間加熱した。冷却後、この混合物を150mLまで濃縮し、エーテル(2×100mL)で洗浄した。次に、十分な濃HClを加えてpHを1に調整し、得られた沈殿をEtOAc(2×300mL)に抽出した。合わせた有機相を水(3×100mL)、ブライン(200mL)で洗浄し、乾燥させた(MgSO4)。溶媒を除去し、標題化合物を得た。m/z(ES-)=221.0[M−H+-
【0077】
b:(4−シクロプロピルスルファニル)酢酸
【化17】

ヒドラジン水和物(14.19g、283.5mmol)を−50℃に冷却し、(4−シクロプロピルスルファニルフェニル)オキソ酢酸(12.6g、56.7mmol)を一度に加えた。激しく撹拌したこのスラリーをまず室温まで温め、その後、80℃で5分間加温した。固体KOH(8.76g、156.5mmol)を4等分して加え、得られた溶液を100℃で20時間加熱した。室温まで冷却し、水(25mL)を加え、水相をEt2O(20mL)で洗浄した。このエーテル相をそれ自体水(2×15mL)で洗浄し、合わせた水相に十分な濃HClを加えてpHを1に調整した。次に、得られた沈殿をEtOAc(2×300mL)に抽出し、合わせた有機相を水(3×100mL)、ブライン(200mL)で洗浄した後、乾燥させた(MgSO4)。溶媒を蒸発させ、標題化合物を得た。m/z(ES-)=207.1[M−H+-
【0078】
c:2−(4−シクロプロピルスルファニルフェニル)−N−(2(R)−ヒドロキシ−l(R)−メチル−2−フェニルエチル)−N−メチルアセトアミド
【化18】

無水アセトン(148mL)を(4−シクロプロピルスルファニルフェニル)−酢酸(16.41g、78.8mmol)およびK2CO3(32.67g、236.4mmol)に加えてスラリーを形成し、これを撹拌しながら−10℃に冷却した。無希釈の塩化トリメチルアセチル(10.2mL、82.74mmol)を滴下導入し、添加中に温度が−10℃を超えないようにした。この反応混合物を−10℃で20分撹拌し、20分0℃まで温めた後、−15℃まで冷却し、固体(1(R),2(R))−(−)−シュードエフェドリン(19.53g、118.2mmol)を一度に加えた。10分後、この反応混合物はそれをもたらしたところで、撹拌を1.5時間続けた。水(100mL)を加え、この混合物をEtOAc(500mL)で抽出した。有機相を水(2×100mL)で洗浄し、合わせた水層をEtOAc(2×250mL)で逆抽出した。次に、合わせた有機層をブライン(100mL)で洗浄し、乾燥させた(MgSO4)。溶媒を除去し、固体残渣をEtOAc−IHから結晶化させ、標題化合物を得た。m/z(ES+)=356.1[M+H]+
【0079】
d:2(R)−(4−シクロプロピルスルファニルフェニル)−3−(3(R)−オキソシクロペンチル)プロピオン酸
【化19】

LHMDS(THF中1M溶液62mL、162mmol)を無水THF(161mL)で希釈し、撹拌しながら−20℃に冷却した。無水THF(245mL)中、2−(4−シクロプロピルスルファニルフェニル)−N−(2(R)−ヒドロキシ−1(R)−メチル−2−フェニルエチル)−N−メチルアセトアミド(30g、84.4mmol)の溶液を、カニューレを通じて10分かけて加え、添加中、反応温度が−15℃を超えないように維持した。この反応物を30分かけて−7℃まで温めた後、−12℃に冷却し、無水THF(111mL)とDMPU(18.9mL)の混合物中、7(S)−ヨードメチル−2(S),3(S)−ジフェニル−1,4−ジオキサスピロ[4,4]ノナン(27g、64.2mmol)を、カニューレを通じて10分かけて加え、反応温度が終始−7℃を超えないように維持した。この反応物を2℃まで温め、4.5時間撹拌した後、トルエン(770mL)と20%NH4Cl水溶液(550mL)の混合物中に注いだ。激しく撹拌した後、有機層を分離し、20%NH4Cl水溶液(550mL)およびブライン(100mL)で洗浄した。水相を合わせ、EtOAc(500mL)で抽出し、分離した後にこれをブライン(100mL)で洗浄した。合わせた有機相を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させ、得られた油状物をフラッシュクロマトグラフィー(IH−EtOAc9:1〜1:1へ漸増)により精製することで、2(R)−(4−シクロプロピルスルファニルフェニル)−3−(2(S),3(S)−ジフェニル−1,4−ジオキサスピロ[4.4]ノン−7(R)−イル)−N−(2(R)−ヒドロキシ−1(R)−メチル−2−フェニルエチル)−N−メチルプロピオンアミドを得た:m/z(ES+)=648.3[M+H]+。1,4−ジオキサン(62mL)中、このアミド(30.7g、47.38mmol)の撹拌溶液を4.5MH2SO4水溶液(61.5mL)で希釈し、得られた混合物を穏やかな還流下で18時間加熱した。氷上で冷却した後、水(162mL)を加え、混合物をEtOAc(250mL)で抽出した。水層を分離し、EtOAc(2×150mL)でさらに抽出し、合わせた有機相を最終洗液が中性pHとなるように水(3×200mL)で洗浄し、ブライン(100mL)で洗浄した。乾燥(MgSO4)および濾過した後、溶媒を除去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2、次いでCH2Cl2−THF5:1〜3:1まで変化)により精製し、標題化合物を得た。m/z(ES+)=305.1[M+H]+
【0080】
e:2(R)−(4−シクロプロパンスルホニルフェニル)−3−(3(R)−オキソシクロペンチル)プロピオン酸
【化20】

CH2Cl2(250mL)中、2(R)−(4−シクロプロピルスルファニルフェニル)−3−(3(S)−オキソシクロペンチル)プロピオン酸(5.0g、16.43mmol)の撹拌溶液を氷上で1℃まで冷却し、温度を3℃を超えないように維持しながら、70%mCPBA(8.099g、32.85mmol)を少量ずつ加えた。6時間後、溶媒を除去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2中1%のACOH、次いでTHF)により精製し、標題化合物を得た。m/z(ES+)=337.1[M+H]+。
【0081】
f:2(R)−2−(4−シクロプロパンスルホニルフェニル)−N−(5−フルオロチアゾール−2−yI)−3−((R)−3−オキソシクロペンチル)プロピオンアミド
無水CH2Cl2(38mL)中、2(R)−(4−シクロプロパンスルホニルフェニル)−3−(3(R)−オキソシクロペンチル)プロピオン酸(893mg、2.65mmol)の溶液を0℃に冷却し、無水CH2Cl2(2mL)中、塩化オキサリル(0.408g、3.21mmol)の溶液を、添加中温度を0℃に維持しながら滴下した。乾燥DMF(0.08mL)を加え、この反応混合物を2.5時間撹拌した。無水CH2Cl2(6mL)中、2−アミノ−5−フルオロチアゾール遊離塩基(実施例2、345mg、2.92mmol)の溶液、次いでピリジン(0.53mL、5.31mmol)をゆっくり導入し、この混合物を0℃で2時間、次いで室温で一晩撹拌した。この溶液をCH2Cl2(150mL)で希釈し、5%w/vクエン酸水溶液(2×30mL)、飽和NaHCO3水溶液(2×30mL)、水(50mL)およびブライン(50mL)で洗浄した。有機相を乾燥させ(MgSO4)、蒸発させ、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(IH−EtOAc3:2)により精製し、標題化合物を得た。特性決定データは標題化合物の形成と一致していた。
【0082】
実施例5
a)2−アセトアミド−5−フルオロチアゾール
無水MeCN(20mL)中、2−アセトアミドチアゾール(215mg、1.51mmol)をSelectfluor(R)(714mg、2.02mmol)の撹拌溶液に加えた。この混合物を還流下で16.5時間加熱した後、減圧下で溶媒を蒸発除去した。残渣をEtOAc(60mL)とH2O(30mL)とで分液した。水相をEtOAc(30mL)でさらに抽出した後、合わせた有機抽出物をH2O(30mL)および飽和NaHCO3水溶液(30mL)で洗浄し、その後、乾燥させた(MgSO4)。濾過、溶媒蒸発、およびフラッシュクロマトグラフィー(イソヘキサン−EtOAc 4:1〜1:1)を行い、標題化合物を白色固体として得た(117mg、48%)。RT=2.40分;m/z=161.0[M+H]+
【0083】
b)5−フルオロチアゾール−2−イルアミン塩酸塩
2−アセトアミド−5−フルオロチアゾール(6.3g、39.4mmol)と2M HCl(150mL)の撹拌混合物を70〜75℃で16時間温めた。この反応物を蒸発乾固させた後、PhMeを加え、その後、残留する水を蒸発除去した。残渣をTHF(50mL)とともに撹拌した後、回収し、乾燥させ、標題化合物を得た。δH(D2O): 7.00 (1H, d), m/z = 119.0 [M+ H]+

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物又はその酸付加塩を製造する方法であって、式(II)の化合物をフッ素化し、続いて、保護基を除去し、任意で塩を形成する方法。
【化1】

(I)
【化2】

(II)
(式中、Pは保護基である)
【請求項2】
前記保護基が、アセチル、ピバロイル、又はtert−ブトキシカルボニル(Boc)である請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記保護基が、tert−ブトキシカルボニル(Boc)である請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
フッ素化試薬が求電子性フッ素化試薬である請求項1から3いずれか記載の方法。
【請求項5】
前記フッ素化試薬が活性化N−フッ素結合を含む請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記フッ素化試薬がN−フルオロスルホンイミドである請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記フッ素化試薬がN−フルオロベンゼンスルホンイミドである請求項6記載の方法。
【請求項8】
式(II)の化合物がオルガノリチウム試薬を用いて脱保護される、請求項1から7いずれか記載の方法。
【請求項9】
式(II)の化合物は、約2当量のtert−ブチルリチウムを用いて脱保護される請求項8記載の方法。
【請求項10】
極性の非プロトン性溶媒の中で行われる請求項1から9いずれか記載の方法。
【請求項11】
前記溶媒がテトラヒドロフランである請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記フッ素化試薬が、1−クロロメチル−4−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンビス(テトラフルオロホウ酸塩)である請求項1から3いずれか記載の方法。
【請求項13】
前記式(I)の化合物の塩は、塩酸塩である請求項1から12いずれか記載の方法。
【請求項14】
式(III)
【化3】

(III)
(式中、Qはアリール、5又は6員のヘテロアリール、又は4〜8員の複素環であり;
1及びR2の各々は独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、メトキシ、−N(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)、SOCH3、又はSO2CH3の1〜5個の置換基で独立して任意に置換される水素、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ビニル、エチニル、メトキシ、OCFn3-n、−N(C0-4アルキル)(C0-4アルキル)、CHO、又はC1-2アルキルであり;又はR1及びR2はともに炭素環式又は複素環を形成し;又はR1及びR2はあわせて、前記環に二重結合を介して結合する酸素原子を示してよく;
5及びR6の各々は、独立して、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CO27、CHO、COR8、C(OH)R78、C(=NOR7)R8、CONR910、SR7、SOR8、SO28、SO2NR910、CH2NR910、NR910、N(C0-4アルキル)SO28、NHCOR7、又はC1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C1-4アルコキシ基、アリール基又はヘテロアリール基であり、いずれの基も、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C1-2アルコキシ、−N(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)、C1-2アルキル、CFn3-n、アリール、ヘテロアリール、−COC1-2アルキル、−CON(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)、SCH3、SOCH3、SO2CH3又は−SO2N(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)の1〜6個の独立した置換基で任意に置換され;又はR5及びR6は、ともに5〜8員の炭素環式又は複素環を形成し;
7は、水素又はC1-4アルキル、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C3-7シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又は4〜7員の複素環基であり,いかなる基も、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C1-2アルコキシ、−N(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)、C1-2アルキル、C3-7シクロアルキル、4〜7員の複素環、CFn3-n、アリール、ヘテロアリール、CO2H、−COC1-2アルキル、−CON(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)、SOCH3、SO2CH3又は−SO2N(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)の1〜6個の独立した置換基で任意に置換され;
8は、C1-4アルキル、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C3-7シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又は4〜7員の複素環基であり、いかなる基も、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C1-2アルコキシ、−N(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)、C1-2アルキル、C3-7シクロアルキル、4〜7員の複素環、CFn3-n、アリール、ヘテロアリール、CO2H、COC1-2アルキル,−CON(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)、SOCH3、SO2CH3又は−SO2N(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)の1〜6個の独立した置換基で任意に置換され;
9及びR10の各々は独立して、水素又はC1-4アルキル基、C3-7シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又は4−7員の複素環基であり、いかなる基も、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C1-2アルコキシ、−N(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)、C1-2アルキル、C3-7シクロアルキル、4−7員の複素環、CFn3-n、アリール、ヘテロアリール、COC1-2アルキル、−CON(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)、SOCH3、SO2CH3又は−SO2N(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)の1〜6個の独立した置換基で任意に置換され;又はR9及びR10は、ともに、C1-2アルキル、CH2OCH3、COC0-2アルキル、ヒドロキシ又はSO2CH3の1〜2の独立した置換基で任意に置換される6〜8員のヘテロ二環式系又は4〜8員の複素環を形成し;
n、1、2、又は3であり;
mは、0又は1である)
で示される化合物又はその製薬的に許容し得る塩を製造する方法であって、請求項1から13いずれか記載の方法に従って製造される式(I)の化合物又はその塩を、式(IV)
【化4】

(IV)
(式中、R1、R2、R5、R6、Q及びmは、前記と同意義である)
で示されるカルボン酸又はその活性化誘導体と縮合させることを含む方法。
【請求項15】
式(III)の化合物において、アリール環及びQ含有側鎖とカルボニル炭素とを結合させている炭素原子が(R)−配置である請求項14記載の方法。
【請求項16】
Qは、4−テトラヒドロピラニルであり、
1およびR2は水素であり、
5は、SO28又はSO2NR910であり、
6は、水素であり、
8は、C3-5シクロアルキル、4〜6員の複素環基、であり、更に、
9及びR10は、独立して、C0-4アルキルであり、但し、R9及びR10は双方とも水素ではなく、
mは0である請求項14または15記載の方法。
【請求項17】
式(III)の化合物においてR5は、SO2シクロプロピルである請求項14から16いずれか記載の方法。
【請求項18】
式(VII)
【化5】

(VII)
(式中、Vは(CH2kであり、1個のCH2基は、CH(OH)、C=O、C=NOH、C=NOCH3、CHX、CXX1、CH(OCH3)、CH(OCOCH3)、CH(C1-4アルキル)又はC(OH)(C1-4アルキル)で任意に置換されてよく;
X及びX1は、独立してフルオロ及びクロロから選択され;
1及びR2は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、SR3、SOR3、SO23、SO2NR45、NHSO23又はC1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシ又はヘテロアリール基から選択され、いかなる基も、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C1-2アルコキシ、−N(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)、C1-2アルキル、CFn3-n、アリール、ヘテロアリール、−CON(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)、SCH3、SOCH3、SO2CH3,及び−SO2N(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)から独立して選択される1〜5個の置換基で任意に置換され;
3は、C1-4アルキル基、C3-7シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又は4〜7員の複素環基であり、いかなる基も、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C1-2アルコキシ、−N(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)、C1-2アルキル、C3-7シクロアルキル、4〜7員の複素環、CFn3-n、アリール、ヘテロアリール、COC1-2アルキル、−CON(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)、SOCH3、SO2CH3,及び−SO2N(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)から独立して選択される1〜5個の置換基で任意に置換され;
4及びR5は、独立して、水素又はC1-4アルキル基、C3-7シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又は4〜7員の複素環基であり、いかなる基も、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C1-2アルコキシ、−N(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)、C1-2アルキル、C3-7シクロアルキル、4〜7員の複素環、CFn3-n,アリール、ヘテロアリール、−CON(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)、SOCH3、SO2CH3、及び−SO2N(C0-2アルキル)(C0-2アルキル)から独立して選択される1〜5個の置換基で任意に置換され;もしくは、R4及びR5は、ともに、C1-2アルキル及びヒドロキシから独立して選択される1又は2個の置換基で任意に置換される4〜8員の複素環を形成し;
kは、2〜7の整数であり;
mは0又は1であり;
nは、1、2又は3である)
で示される化合物又はその製薬的に許容し得る塩を製造する方法であって、
請求項1から10いずれか記載の方法に従って製造される式(I)の化合物又はその塩を、式(VIII)
【化6】

(式中、V、R1、R2及びmは、式(VII)で定義した通りである)
で示されるカルボン酸又はその活性化誘導体と縮合させることを含む方法。
【請求項19】
式(VII)の化合物において、−HC<及び>Vで形成される基がオキソシクロアルキル又はヒドロキシシクロアルキルである請求項18記載の方法。
【請求項20】
式(VII)の化合物において、R1及びR2は双方とも水素ではない請求項18又は19記載の方法。
【請求項21】
式(VII)の化合物において、R1は、SO23-4シクロアルキルである請求項20記載の方法。
【請求項22】
式(VII)の化合物において、R4及びR5は、独立して、水素又はC1-4アルキルである請求項18から21いずれか記載の方法。
【請求項23】
式(VII)の化合物において、mは0である請求項18から22いずれか記載の方法。
【請求項24】
式(VII)の化合物において、kは4又は5である請求項18から23いずれか記載の方法。
【請求項25】
請求項14から24いずれか記載の方法に従って製造される式(III)又は(VII)の化合物又はその製薬的に許容し得る塩を、製薬的に許容し得る希釈剤又は担体とともに含有する医薬組成物。
【請求項26】
グルコキナーゼの活性化が望ましい症状を予防的又は治療的に処理する方法であって、請求項14から24いずれか記載の方法に従って製造される式(III)又は(VII)の化合物又はその製薬的に許容し得る塩を有効量投与する手順を含む方法。
【請求項27】
高血糖又は糖尿病を予防的又は治療的に処理する方法であって、請求項14から24いずれか記載の方法に従って製造される式(III)又は(VII)の化合物又はその製薬的に許容し得る塩を有効量投与することを含む方法。
【請求項28】
前糖尿病性高血糖又は耐糖能障害を発症するヒトにおいて、糖尿病を抑制する方法であって、請求項14から24いずれか記載の方法に従って製造される式(III)又は(VII)の化合物又はその製薬的に許容し得る塩を予防的有効量投与することを含む方法。

【公表番号】特表2008−509896(P2008−509896A)
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525359(P2007−525359)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【国際出願番号】PCT/GB2005/003170
【国際公開番号】WO2006/016174
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(504326837)プロシディオン・リミテッド (53)
【氏名又は名称原語表記】Prosidion Limited
【Fターム(参考)】