説明

保護用シート状物を固定するための両面接着テープ

【課題】
基体の上に保護用シート状物を貼り付けるのに適しそして従来技術の知られた欠点を有していない接着テープの提供。
【解決手段】
輸送時保護及び/又は組立時保護の目的のために自動車塗膜のような基体上に大きなシート状物を固定するための両面接着テープにおいて、該両面テープが10g/m2 より多い塗布量及び少なくとも0.2N/cmの接着力を有する接着剤Aよりなる第一の接着剤面Aと50℃より高い融点の接着剤Bよりなる第二の接着剤面Bとよりなり、接着剤A又はBの少なくとも一方が粘着性であり、かつ、可逆的接着に適することを特徴とする、上記両面接着テープ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は保護用シート状物を固定するための両面接着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
表面、特に自動車工業におけるそれはますますしばしば保護されている。特に完成車を保護する関係では、革新的なシステムがますます開発されている。例えばワックス保護、輸送時保護用フィルム及び完全保護用又は部分保護用カバーがある。これらは以下のものに対して保護を提供するものである:
− 機械的損傷(引っ掻き)
− あらゆる種類の工業ダスト及び汚れ
− 飛翔する錆及び火花
− 油煤及び高架線路(レール)の摩耗ダスト
− 動物分泌物、トリの糞、樹液及び花粉
− 気候及び他の環境的作用。
【0003】
ワックス保護は環境衛生の観点から不利であり、必ず厳しい法令で規制されている。保護カバーの場合には固定することが困難である。汚れや水の侵入に対して自動車を保護することが重要である。この場合、ある場合には傷つきやすい基体に貼り付けられる接着テープが利用される。これら接着テープへの要求は非常に広範囲に亙っている。
【0004】
その有利な製品は自ら剥がれたり或いは破けたりせずそして自動車表面及び取り付けた部品に損傷を生じさせないものである。160km/時のまでの速度で搬送する場合でも耐えることが望まれている。
【0005】
これらの材料は−40℃及び+80℃で24時間の後に十分な機械的強度を有していなければならず、更に−20℃〜+50℃の温度に耐えなければならず、自動車から負荷をかけることなく剥離できなければならない。
【0006】
あらゆる天候条件のもとでこれらは塗膜表面(一成分及び二成分クリヤラッカー)、トリム部品又はシール又はつや出し剤と相互作用を生じてはならない。
【0007】
ある場合には、特別な自動車のために保護手段の少なくとも一部は少なくとも40g/m・日)の水蒸気透過性を有する材料を装備しているべきである。
【0008】
シーリング及び/又は固定の目的のためには接着テープが有利であるが、それらは縫い合わされているか又は溶着されていなければならない。縫い合わせる場合には縫い目孔が生じ、それを通って汚れや水が保護手段の下に達し得る。縫い目孔の結果として引き裂ける程の安定性が失われる材料も不利である。例えばこれには薄いフィルムをベースとする接着テープを挙げることができる。
【0009】
更にこの方法には多大な時間がかかり、かつ、装置が必要とされる。位置を決めるときに、失敗する可能性もある。縫い合わせの結果として残る貼り付け面積が減少する。すなわち、この減少は例えば接着材料の30%までになり得る。
【0010】
溶着する場合には、非常に特別な材料しか適さない。例えばセルロース又は木綿をベースとする繊維製シート状物、例えばフリース又は織物は溶着しない。同様にシート状物の表面が変形され、そして接着面積がこの加工作業の結果として著しく減少する。溶着場所次第で、つなぎ場所の所に予め決まっている破断場所をもたらし得る。この破断場所はもはや要求に対応できず、不利にも剥がれる。追加的にこの溶着操作は多大な時間を必要としそして作製装置を必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、基体の上に保護用シート状物を貼り付けるのに適しそして従来技術の知られた欠点を有していない接着テープを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は請求項1に記載したような両面接着テープによって解決される。一つの別の態様は併合出願された請求項10の対象である。従属形式の請求項は本発明の対象の有利な実施態様及びそれの用途に関する。
【0013】
従って本発明は、輸送時保護及び/又は組立時保護の目的のために自動車塗膜のような基体上に大きなシート状物を固定するための両面接着テープにおいて、該両面接着テープが10g/mより多い塗布量及び少なくとも0.2N/cmの接着力を有する接着剤Aよりなる第一の接着剤面Aと50℃より高い融点の接着剤Bよりなる第二の接着剤面Bとよりなり、接着剤A又はBの少なくとも一方が粘着性であり、かつ、可逆的接着に適することを特徴とする、上記両面接着テープに関する。
【0014】
更に本発明は、輸送時保護及び/又は組立時保護の目的のために自動車塗膜のような基体上に大きなシート状物を固定するための両面接着テープにおいて、該両面接着テープがイソブチルゴム又はそれの誘導体又はそれのブレンドを含有する接着剤Aよりなる第一の接着剤面Aとアクリル酸及びそれの誘導体、特にそれのエステル及びエーテルの重合で得られるポリマーをベースとする接着剤Bよりなる第二の接着剤面Bよりなることを特徴とする、上記両面接着テープに関する。
【0015】
接着剤Bを有する接着テープの面が大きなシート状物を使用する際に使用されそしてそれを固定するのに役立つ。
【0016】
一般に本発明の対象物は二つの接着層を有する接着テープよりなる。有利な一つの実施態様においては、この接着テープは支持体材料によって支持されている。支持体は天然又は合成材料又はそれらの組合せ又は混合物をベースとする織製物、編製物、スクリム、フリース、フィルム、紙及びそれらの複合体及び組合せ製品であってもよい。
【0017】
従って、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン又はポリエチレン単独又はガラス繊維又は炭素繊維のような鉱物繊維との組合せよりなるポリマーフィルム、フリース又は織製物又はセルロース又は木綿繊維を有する織製物、スクリム又は編製物、更に金属起源の織製物、スクリム又は編製物が有利に使用される。特別な用途のためには混紡製品、例えば混紡繊維フィラメント、糸又は撚り糸も使用することができる。これらは、支持体材料を光学的又は機械的な特徴及び性質を付与するために部分的に着色されていても又は他の方法で仕上げ処理されていてもよい。
【0018】
別の実施態様においては、繊維は天然起源のもの、例えば木綿、絹、亜麻又はビスコースステープルも使用することができる。
【0019】
本発明の対象の他の実施態様の場合には、フリースを、表面をマスキングするための支持体材料として使用する。この場合には、フリースの繊維よりなる網目によって形成されるステッチの形成によって強化される。その際にフリース上のステッチの数は少なくとも3個/cm、特に5〜50個/cmであるのが有利である。
【0020】
本発明の対象の最大抗張力は少なくとも10N/cm、殊に15〜450N/cm、特に20〜250N/cmである。この場合、該抗張力は本発明の対象の幅をベースとする。
【0021】
接着テープの伸び率は一般に1500%より少ない。フィルムをベースとする支持体材料の場合には、10〜1000%、殊に15〜800%、特に15〜500%であり。フリースをベースとする支持体材料の場合には10〜400%、殊に15〜300%、特に15〜250%である。織製物は5〜50%、殊に5〜25%の伸張性を有している。
【0022】
別の一つの有利な実施態様においては本発明の対象は配向方向に対して垂直に及び/又はステッチの方向に手で引き裂くことができる。この手での引裂は、本発明の製品自体を巻いてロール状とする場合にしばしば使用される。
【0023】
他の一つの実施態様においては、この引裂性は必要ない。この場合、大きなシート状物に接合するための打抜き製品が適する。
【0024】
接着テープは紫外線を吸収する物質を含有しているのが有利である。
【0025】
接着面は分類するためにA及びBで記載する。
【0026】
接着剤の粘着性被覆は直接塗布によっても及び転写塗布によっても可能である。転写塗布の場合には、離型紙、離型フィルム、ロール又はベルトのような補助支持体に最初に塗布しそして次いで本来の支持体を転写塗布する。更に接着剤を該支持体に部分的に転写することも可能である。例えばパターン印刷、スクリーン印刷、熱フレキソ印刷又はグラビア印刷によって部分的に転写することが可能である。しかしながら全面塗布も可能である。スピニング又は噴霧塗布も製品に特別な性質を付与し得る。
【0027】
本発明の対象は接着剤ライナーで片面又は両面にラインを引いてもよい。
【0028】
更に別の加工段階、例えば積層、打抜き、印刷、中和、活性化、架橋、スリッチング、パンチング、エンボス加工及び従来技術に見られる他の技術もある。
【0029】
被覆するために、高い接着力を有する粘着剤が特に有利である。接着剤としては天然及び合成ゴム及び他の合成ポリマー、例えばアクリレート、メタクリレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリビニル誘導体、ポリエステル又はシリコーンをベースとし、適当な添加物、例えば可塑剤、安定剤及び他の助剤、例えば必要な場合には充填剤を含有する粘着剤を使用するのが有利である。
【0030】
特に熱可塑性ホットメルト接着剤も有利な性質を有しており、製造技術的理由から有利である。
【0031】
ブロックコポリマーをベースとする特に有利なホットメルト接着剤は、その多面的な変更可能性のために注目に値する。すなわち、粘着性付与剤、可塑剤及びポリマー分子の大きさ及び使用成分の分子量分布の選択によって粘着剤のガラス転位温度を意図的に下げることによって、基体への機能的に有利な接合が人間の運動器官の臨界点でも保証される。
【0032】
ホットメルト接着剤の高い剪断強度はポリマーの高い凝集性によって達成される。この効果的な粘着性は使用される粘着剤及び可塑剤による産物である。
【0033】
特に強い接着性の系にとって、ホットメルト接着剤は好ましくはブロックコポリマー、特に有利にはA−B−、A−B−A−ブロックコポリマー又はそれらの混合物をベースとしている。硬質相Aは第一にポリスチレン又はそれの誘導体であり、軟質相Bはエチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン又はそれらの混合物を含有しており、この場合特に有利なのはイソプレン又はそれのブレンドである。
【0034】
有利な一つの実施態様において、はホットメルト接着剤は以下に記載の組成を有している:
10〜90重量%のブロックコポリマー;
5〜80重量%の粘着性付与剤、例えば油、ワックス、樹脂及び/又はそれらのブレンド、特に樹脂と油類との混合物;
60重量%より少ない可塑剤;
15重量%より少ない添加物
5重量%より少ない安定剤。
【0035】
粘着性付与剤として役立つ脂肪族又は芳香族油類、ワックス及び樹脂は炭化水素油類、炭化水素ワックス及び炭化水素樹脂であり、この場合油類、例えばパラフィン炭化水素油、又はワックス、例えばパラフィン炭化水素ワックスであり、それらのコンシステンシーによって膜への接合に有利に作用する。可塑剤としては中鎖又は長鎖の脂肪酸及び/又はそのエステルが使用される。これらの添加物は接着性及び安定性を調整するのに役立つ。場合によっては他の安定剤及び別の助剤を使用してもよい。
【0036】
本発明の接着テープはスチールに対して少なくとも0.5N/cm(被覆幅)の接着力、殊に1.0N/cm〜25N/cm、特に1.5〜22N/cmの接着力を有している。他の基体へは別の接着力を達成することができる。接着剤Bの融点は50℃より高く、殊に60℃〜300℃の間、特に70〜150℃である。
【0037】
接着面Bの塗布量は好ましくは12g/mより多いのが有利である。有利な実施態様においては15〜120g/m、特に有利には17〜80g/mである。
【0038】
本発明の接着剤は接着面Aにスチールに対して少なくとも0.2N/cm(塗布幅)の接着力、殊に0.5N/cm〜10N/cm、特に0.5〜7N/cmの接着力を有している。同様に他の基体へは別の接着力を達成することができる。接着剤Aの塗布量は好ましくは10g/mより多いのが有利である。有利な実施態様においては12〜120g/m、特に有利には17〜80g/mである。
【0039】
接着剤は更に有利には反応性でもよい。
【0040】
更に本発明の対象物が500g/mより少ない面積重量を有するのが有利であることが分かっている。平面接合のためには、好ましくは20〜400g/m、特に好ましくは30〜300g/m使用するのが有利である。
【0041】
本発明の接着テープは輸送及び/又は組立の際の保護の目的のために基体上に大きなシート状物を固定するのに特に有利に使用でき、その際に該シート状物は1平方メートルより大きい寸法を有している。
【0042】
シート状物としては中でも、三次元形状を有していてもよい完全保護カバー及び部分保護カバーを意味する。基体面積は1平方メートルより大きく、好ましくは2平方メートルより大きく、特に好ましくは12平方メートルまでである。
【0043】
有利には、保護すべき対象物、特に自動車形状に近い三次元形状であってもよい。
【0044】
特に有利な一つの実施態様においては、最初に大きいシート状物に接着面Bを固定しそして後の時点で接着面Aを保護すべき基体に貼り付ける。これはシーリングの目的及び/又は固定の目的のために行い、その際実施形態は異なる。
【0045】
シート状物に貼り付ける接着剤は好ましくは、破ることなくもはや除くことができない永久接合を生じさせる。保護すべき対象物に面する接着剤は接合すべき基体から残りなく剥離できるのが更に有利である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送時保護及び/又は組立時保護の目的のために自動車塗膜のような基体上に大きなシート状物を固定するための両面接着テープにおいて、該両面接着テープが10g/mより多い塗布量及び少なくとも0.2N/cmの接着力を有する接着剤Aよりなる第一の接着剤面Aと50℃より高い融点の接着剤Bよりなる第二の接着剤面Bとよりなり、接着剤A又はBの少なくとも一方が粘着性であり、かつ、可逆的接着に適することを特徴とする、上記両面接着テープ。
【請求項2】
接着剤Aが接着剤Bと相違する、請求項1の接着テープ。
【請求項3】
接着剤Aがアクリレート、天然又は合成ゴム、好ましくはブロックコポリマーをベースとするゴム、特にスチレン含有ポリマー又はイソブチルゴム、又はビニル含有ポリマー、特にエチルビニルアセテート、又はそれの誘導体又はそれらのブレンドよりなる群から選択されるポリマーを含有する、請求項1又は2に記載の接着テープ。
【請求項4】
支持体がポリオレフィン又はそれの配合物、ポリエステルをベースとするフィルム支持体又はそれの積層体、好ましくは7〜100μmの厚さを持つそれらである請求項1〜3のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項5】
接着テープが横方向に引き裂くことができるか又はミシン目が入れられている請求項1〜4のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項6】
接着剤A又はBの少なくとも一方が溶剤不使用の方法で被覆されている請求項1〜5のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項7】
接着テープの面積重量が300g/mより少なく、好ましくは接着剤Aの接着剤塗布量が12〜80g/mでありそして接着剤Bの接着剤塗布量が15〜80g/mである、請求項1〜6のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一つに記載の接着テープを、輸送又は組立の際の保護のために基体上にシート状物を貼り付けるため使用する方法であって、該シート状物が1平方メートルより大きい寸法を有する、上記方法。
【請求項9】
接着テープでのシート状物の貼り付けを、接着剤Bがシート状物に面するように行う、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
輸送時保護及び/又は組立時保護の目的のために自動車塗膜のような基体上に大きなシート状物を固定するための両面接着テープにおいて、該両面接着テープがイソブチルゴム又はそれの誘導体又はそれのブレンドを含有する接着剤Aよりなる第一の接着剤面Aとアクリル酸及びそれの誘導体、特にそれのエステル及びエーテルの重合で得られるポリマーをベースとする接着剤Bよりなる第二の接着剤面Bとよりなることを特徴とする、上記両面接着テープ。
【請求項11】
支持体が織物、特に40〜300μmの厚さを有する織物である、請求項10に記載の接着テープ。
【請求項12】
輸送又は組立の際の保護のために基体上にシート状物を貼り付けるために請求項10又は11の接着テープを用いる方法において、該シート状物が1平方メートルより大きい寸法を有する、上記方法。

【公開番号】特開2009−68013(P2009−68013A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−236235(P2008−236235)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【出願人】(507249591)テーザ・アクチエンゲゼルシャフト (52)
【Fターム(参考)】