保護膜被覆方法および保護膜被覆装置
【課題】液状樹脂の供給量を少なくしてもウエーハの表面に均一な保護膜を形成することができる保護膜被覆方法および保護膜被覆装置を提供する。
【解決手段】レーザー加工すべきウエーハの表面10aに保護膜を形成する方法であって、スピンナーテーブル711にウエーハを保持する工程と、ウエーハの表面10aを覆う水の層100を形成する工程と、ウエーハ10の中心部に液状樹脂110を滴下する工程と、スピンナーテーブル711を回転し働く遠心力により水の層100を飛散させ、液状樹脂110を拡張してウエーハの表面10aに第1の樹脂膜を被覆する工程と、第1の樹脂膜が被覆されたウエーハ10の中心部に液状樹脂110を滴下する工程と、スピンナーテーブル711を回転し遠心力により液状樹脂110を第1の樹脂膜に沿って外周に向けて流動せしめることにより第2の樹脂膜を形成する工程とを含む。
【解決手段】レーザー加工すべきウエーハの表面10aに保護膜を形成する方法であって、スピンナーテーブル711にウエーハを保持する工程と、ウエーハの表面10aを覆う水の層100を形成する工程と、ウエーハ10の中心部に液状樹脂110を滴下する工程と、スピンナーテーブル711を回転し働く遠心力により水の層100を飛散させ、液状樹脂110を拡張してウエーハの表面10aに第1の樹脂膜を被覆する工程と、第1の樹脂膜が被覆されたウエーハ10の中心部に液状樹脂110を滴下する工程と、スピンナーテーブル711を回転し遠心力により液状樹脂110を第1の樹脂膜に沿って外周に向けて流動せしめることにより第2の樹脂膜を形成する工程とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハ等の被加工物の加工面に保護膜を被覆する保護膜被覆方法および保護膜被覆装置に関する。
【背景技術】
【0002】
当業者には周知の如く、半導体デバイス製造工程においては、シリコン等の半導体基板の表面に絶縁膜と機能膜が積層された積層体によって複数のIC、LSI等のデバイスをマトリックス状に形成した半導体ウエーハが形成される。このように形成された半導体ウエーハは上記デバイスがストリートと呼ばれる分割予定ラインによって区画されており、このストリートに沿って切断することによって個々のデバイスを製造している。また、サファイア基板等の表面に格子状に形成されたストリートによって複数の領域が区画され、この区画された領域に窒化ガリウム系化合物半導体等が積層された光デバイスが形成された光デバイスウエーハは、ストリートに沿って個々の発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイスに分割され、電気機器に広く利用されている。
【0003】
このような半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等のウエーハをストリートに沿って分割する方法として、ウエーハ等の被加工物に形成されたストリートに沿ってパルスレーザー光線を照射することによりレーザー加工溝を形成し、このレーザー加工溝に沿ってメカニカルブレーキング装置によって割断する方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
レーザー加工は切削加工に比して加工速度を速くすることができるとともに、サファイアのように硬度の高い素材からなるウエーハであっても比較的容易に加工することができる。しかしながら、ウエーハのストリートに沿ってレーザー光線を照射すると、照射された領域に熱エネルギーが集中してデブリが発生し、このデブリがデバイスの表面に付着してデバイスの品質を低下させるという新たな問題が生じる。
【0005】
上記デブリによる問題を解消するために、ウエーハの表面にポリビニールアルコール等の保護膜を被覆し、保護膜を通してウエーハにレーザー光線を照射するようにしたレーザー加工機が提案されている。このレーザー加工機に装備されている保護膜被覆装置は、スピンナーテーブルにウエーハを吸引保持し、スピンナーテーブルを回転しつつウエーハの中心部にポリビニールアルコール等の液状樹脂を供給してスピンナーコーティングする。(例えば、特許文献2参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−305420号公報
【特許文献2】特開2007−201178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記スピンナーコーティングによってウエーハの表面に保護膜を形成する方法においては、例えば直径が300mmのウエーハの表面に厚みが4μmの保護膜を形成する場合、19〜30ccのポリビニールアルコール等の液状樹脂が使用される。しかるに、直径が300mmのウエーハの表面に形成された保護膜の液状樹脂量は0.3ccであって、供給された液状樹脂の98〜99%が廃棄されており、極めて不経済であるという問題がある。
【0008】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、スピンナーコーティングによってウエーハの表面に保護膜を形成する方法において、保護膜を形成する液状樹脂の供給量を少なくしてもウエーハの表面に均一な保護膜を形成することができる保護膜被覆方法および保護膜被覆装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、レーザー加工すべきウエーハの表面に液状樹脂を被覆して保護膜を形成する保護膜形成方法であって、
スピンナーテーブルにウエーハの表面を上側にして保持するウエーハ保持工程と、
スピンナーテーブルに保持されたウエーハの表面を覆う水の層を形成する水層形成工程と、
該水の層におけるウエーハの中心部に液状樹脂を滴下する第1の液状樹脂滴下工程と、
スピンナーテーブルを回転しウエーハの回転に伴って水の層に働く遠心力により水の層を飛散させるとともに滴下された液状樹脂を拡張してウエーハの表面に第1の樹脂膜を被覆する第1の樹脂膜被覆工程と、
第1の樹脂膜が被覆されたウエーハの中心部に液状樹脂を滴下する第2の液状樹脂滴下工程と、
スピンナーテーブルを回転しウエーハの回転に伴う遠心力により液状樹脂を第1の樹脂膜に沿って外周に向けて流動せしめることにより第2の樹脂膜を形成する第2の樹脂膜被覆工程と、を含む、
ことを特徴とする保護膜形成方法が提供される。
【0010】
上記ウエーハは裏面が環状のフレームに装着された保護テープに貼着されており、上記水層形成工程においては環状のフレームの内周面と保護テープによって形成される領域が水で満たされることによりウエーハの表面を覆う水の層が形成される。
【0011】
また、本発明においては、ウエーハの表面に液状樹脂を被覆して保護膜を形成する保護膜被覆装置であって、
ウエーハを環状のフレームに装着された保護テープに貼着した状態で保持するスピンナーテーブルと、
該スピンナーテーブルを回転駆動する回転駆動手段と、
該スピンナーテーブルに保持された環状のフレームに装着されている保護テープに貼着されたウエーハに水を供給する水供給機構と、
該スピンナーテーブルに保持された環状のフレームに装着されている保護テープに貼着されたウエーハに液状樹脂を供給する液状樹脂供給機構と、
該回転駆動手段と該水供給機構と該液状樹脂供給機構を制御する制御手段と、を具備し、
該制御手段は、該水供給機構を作動して該スピンナーテーブルに保持された環状のフレームに装着されている保護テープに貼着されたウエーハに水を供給し、ウエーハの表面を覆う水の層を形成する水層形成工程と、
該水層形成工程を実施した後に、該液状樹脂供給機構を作動して該水の層におけるウエーハの中心部に液状樹脂を滴下する第1の液状樹脂滴下工程と、
該第1の液状樹脂滴下工程を実施した後に、該回転駆動手段を作動して該スピンナーテーブルを回転しウエーハの回転に伴って水の層に働く遠心力により水の層を飛散させるとともに滴下された液状樹脂を拡張してウエーハの表面に第1の樹脂膜を被覆する第1の樹脂膜被覆工程と、
該第1の樹脂膜被覆工程を実施した後に、該液状樹脂供給機構を作動して第1の樹脂膜が被覆されたウエーハの中心部に液状樹脂を滴下する第2の液状樹脂滴下工程と、
該第2の液状樹脂滴下工程を実施した後に、該回転駆動手段を作動して該スピンナーテーブルを回転しウエーハの回転に伴う遠心力により液状樹脂を第1の樹脂膜に沿って外周に向けて流動せしめることにより第2の樹脂膜を形成する第2の樹脂膜被覆工程と、を実行する、
ことを特徴とする保護膜被覆装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明による保護膜形成方法は、スピンナーテーブルに保持されたウエーハの表面を覆う水の層を形成し、該水の層におけるウエーハの中心部に液状樹脂を滴下してスピンナーテーブルを回転することによりウエーハの回転に伴って水の層に働く遠心力により水の層を飛散させるとともに滴下された液状樹脂を拡張してウエーハの表面に第1の樹脂膜を被覆するので、ウエーハの表面全体に均一な厚みの第1の樹脂膜を形成することができる。そして、第1の樹脂膜が被覆されたウエーハの中心部に液状樹脂を滴下してスピンナーテーブルを回転することによりウエーハの回転に伴う遠心力により液状樹脂を第1の樹脂膜に沿って外周に向けて流動せしめることにより第2の樹脂膜を形成するので、液状樹脂が馴染みの良い第1の樹脂膜に沿って外周に向けて流動するためで、少ない液状樹脂量で第1の樹脂膜の表面全体に均一な厚みの第2の樹脂膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に従って構成された保護膜被覆兼洗浄装置を装備したレーザー加工機の斜視図。
【図2】被加工物であるウエーハとしての半導体ウエーハの斜視図。
【図3】図1に示すレーザー加工機に装備される保護膜被覆兼洗浄装置の一部を破断して示す斜視図。
【図4】図3に示す保護膜被覆兼洗浄装置のスピンナーテーブルを被加工物搬入・搬出位置に位置付けた状態を示す説明図。
【図5】図3に示す保護膜被覆兼洗浄装置のスピンナーテーブルを作業位置に位置付けた状態を示す説明図。
【図6】図3に示す保護膜被覆兼洗浄装置を構成する制御手段のブロック構成図。
【図7】本発明による保護膜被覆方法における水層形成工程の説明図。
【図8】本発明による保護膜被覆方法における第1の液状樹脂滴下工程の説明図。
【図9】本発明による保護膜被覆方法における第1の樹脂膜被覆工程の説明図。
【図10】本発明による保護膜被覆方法における第2の液状樹脂滴下工程の説明図。
【図11】本発明による保護膜被覆方法における第2の樹脂膜被覆工程の説明図。
【図12】図1に示すレーザー加工機を用いて実施するレーザー加工工程を示す説明図。
【図13】図12に示すレーザー加工工程によってレーザー加工溝が形成された半導体ウエーハの要部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による保護膜被覆方法および保護膜被覆装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1には、本発明に従って構成された保護膜被覆装置を装備したレーザー加工機の斜視図が示されている。
図1に示すレーザー加工機1は、略直方体状の装置ハウジング2を具備している。この装置ハウジング2内には、被加工物としてのウエーハを保持するチャックテーブル3が矢印Xで示す加工送り方向および該加工送り方向Xと直交する割り出し送り方向Yに移動可能に配設されている。チャックテーブル3は、吸着チャック支持台31と、該吸着チャック支持台31上に装着された吸着チャック32を具備しており、該吸着チャック32の表面である載置面上に被加工物であるウエーハを図示しない吸引手段によって保持するようになっている。また、チャックテーブル3は、図示しない回転機構によって回動可能に構成されている。このように構成されたチャックテーブル3の吸着チャック支持台31には、後述する環状のフレームを固定するためのクランプ34が配設されている。なお、レーザー加工機1は、上記チャックテーブル3を加工送り方向Xに加工送りする図示しない加工送り手段、および割り出し送り方向Yに割り出し送りする図示しない割り出し送り手段を具備している。
【0016】
図示のレーザー加工機1は、上記チャックテーブル3に保持された被加工物としてのウエーハにレーザー加工を施すレーザー光線照射手段4を備えている。レーザー光線照射手段4は、レーザー光線発振手段41と、該レーザー光線発振手段41によって発振されたレーザー光線を集光する集光器42を具備している。なお、レーザー加工機1は、レーザー光線発振手段41をチャックテーブル3の上面である載置面に垂直な方向である矢印Zで示す集光点位置調整方向に移動する図示しない移動手段を具備している。
【0017】
図示のレーザー加工機1は、上記チャックテーブル3の吸着チャック32上に保持された被加工物の表面を撮像し、上記レーザー光線照射手段4の集光器42から照射されるレーザー光線によって加工すべき領域を検出する撮像手段5を具備している。この撮像手段5は、可視光線によって撮像する通常の撮像素子(CCD)の外に、被加工物に赤外線を照射する赤外線照明手段と、該赤外線照明手段によって照射された赤外線を捕らえる光学系と、該光学系によって捕らえられた赤外線に対応した電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)等で構成されており、撮像した画像信号を後述する制御手段に送る。また、図示のレーザー加工機1は、撮像手段5によって撮像された画像を表示する表示手段6を具備している。
【0018】
図示のレーザー加工機1は、被加工物であるウエーハとしての半導体ウエーハ10を収容するカセットが載置されるカセット載置部11aを備えている。カセット載置部11aには図示しない昇降手段によって上下に移動可能にカセットテーブル111が配設されており、このカセットテーブル111上にカセット11が載置される。半導体ウエーハ10は、環状のフレームFに装着された保護テープTの表面に貼着されており、保護テープTを介して環状のフレームFに支持された状態で上記カセット11に収容される。なお、半導体ウエーハ10は、図2に示すように表面10aに格子状に配列された複数の分割予定ライン101によって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等のデバイス102が形成されている。このように構成された半導体ウエーハ10は、図1に示すように環状のフレームFに装着された保護テープTに表面10a即ちストリート101およびデバイス102が形成されている面を上側にして裏面が貼着される。
【0019】
図示のレーザー加工機1は、上記カセット11に収納された加工前の半導体ウエーハ10を仮置き部12aに配設された位置合わせ手段12に搬出するとともに加工後の半導体ウエーハ10をカセット11に搬入するウエーハ搬出・搬入手段13と、位置合わせ手段12に搬出された加工前の半導体ウエーハ10を後述する保護膜被覆兼洗浄装置7に搬送するとともに保護膜被覆兼洗浄装置7によって表面に保護膜が被覆された半導体ウエーハ10を上記チャックテーブル3上に搬送する第1のウエーハ搬送手段14と、チャックテーブル3上で加工された半導体ウエーハ10を保護膜被覆兼洗浄装置7に搬送する第2のウエーハ搬送手段15を具備している。
【0020】
次に、加工前の被加工物である半導体ウエーハ10の表面(被加工面)に保護膜を被覆するとともに、加工後の半導体ウエーハ10の表面に被覆された保護膜を除去する保護膜被覆兼洗浄装置7について、図3乃至図5を参照して説明する。
図示の実施形態における保護膜被覆兼洗浄装置7は、スピンナーテーブル機構71と、該スピンナーテーブル機構71を包囲して配設された水受け手段72を具備している。スピンナーテーブル機構71は、スピンナーテーブル711と、該スピンナーテーブル711を回転駆動する回転駆動手段としての電動モータ712と、該電動モータ712を上下方向に移動可能に支持する支持手段713を具備している。スピンナーテーブル711は多孔性材料から形成された吸着チャック711aを具備しており、この吸着チャック711aが図示しない吸引手段に連通されている。従って、スピンナーテーブル711は、吸着チャック711aに被加工物であるウエーハを載置し図示しない吸引手段により負圧を作用せしめることにより吸着チャック711上にウエーハを保持する。電動モータ712は、その駆動軸712aの上端に上記スピンナーテーブル711を連結する。上記支持手段713は、複数本(図示の実施形態においては3本)の支持脚713aと、該支持脚713aをそれぞれ連結し電動モータ712に取り付けられた複数本(図示の実施形態においては3本)のエアシリンダ713bとからなっている。このように構成された支持手段713は、エアシリンダ713bを作動することにより、電動モータ712およびスピンナーテーブル711を図4に示す上方位置である被加工物搬入・搬出位置と、図5に示す下方位置である作業位置に位置付ける。
【0021】
上記水受け手段72は、洗浄水受け容器721と、該洗浄水受け容器721を支持する3本(図3には2本が示されている)の支持脚722と、上記電動モータ712の駆動軸712aに装着されたカバー部材723とを具備している。洗浄水受け容器721は、図4および図5に示すように円筒状の外側壁721aと底壁721bと内側壁721cとからなっている。底壁721bの中央部には上記電動モータ712の駆動軸712aが挿通する穴721dが設けられおり、この穴721dの周縁から上方に突出する内側壁721cが形成されている。また、図3に示すように底壁721bには排液口721eが設けられており、この排液口721eにドレンホース724が接続されている。上記カバー部材723は、円盤状に形成されており、その外周縁から下方に突出するカバー部723aを備えておる。このように構成されたカバー部材723は、電動モータ712およびスピンナーテーブル711が図5に示す作業位置に位置付けられると、カバー部723aが上記洗浄水受け容器721を構成する内側壁721cの外側に隙間をもって重合するように位置付けられる。
【0022】
図示の実施形態における保護膜被覆兼洗浄装置7は、上記スピンナーテーブル711に保持された加工前の被加工物である半導体ウエーハ10の表面(被加工面)に液状樹脂を供給する樹脂液供給機構74を具備している。樹脂液供給機構74は、スピンナーテーブル711に保持された加工前の半導体ウエーハ10の表面(被加工面)に向けて液状樹脂を供給する樹脂供給ノズル741と、該樹脂供給ノズル741を揺動せしめる正転・逆転可能な電動モータ742を備えており、樹脂供給ノズル741が樹脂液供給手段740(図4および図5参照)に接続されている。樹脂供給ノズル741は、水平に延びるノズル部741aと、該ノズル部741aから下方に延びる支持部741bとからなっており、支持部741bが上記洗浄液回収容器721を構成する底壁721bに設けられた図示しない挿通穴を挿通して配設され樹脂液供給手段740(図4および図5参照)に接続されている。なお、樹脂供給ノズル741の支持部741bが挿通する図示しない挿通穴の周縁には、支持部741bとの間をシールするシール部材(図示せず)が装着されている。
【0023】
図示の実施形態における保護膜被覆兼洗浄装置7は、上記スピンナーテーブル711に保持された加工後の被加工物である半導体ウエーハ10に水を供給するための水供給機構75を具備している。水供給機構75は、スピンナーテーブル711に保持されたウエーハに向けて水を供給する水ノズル751と、該水ノズル751を揺動せしめる正転・逆転可能な電動モータ752を備えており、該水ノズル751が水供給手段750(図4および図5参照)に接続されている。水ノズル751は、水平に延び先端部が下方に屈曲されたノズル部751aと、該ノズル部751aの基端から下方に延びる支持部751bとからなっており、支持部751bが上記洗浄液回収容器721を構成する底壁721bに設けられた図示しない挿通穴を挿通して配設され水供給手段750(図4および図5参照)に接続されている。なお、水ノズル751の支持部751bが挿通する図示しない挿通穴の周縁には、支持部751bとの間をシールするシール部材(図示せず)が装着されている。
【0024】
また、図示の実施形態における保護膜被覆兼洗浄装置7は、上記スピンナーテーブル711に保持された加工後の被加工物である半導体ウエーハ10にエアーを供給するためのエアー供給機構76を具備している。エアー供給機構76は、スピンナーテーブル711に保持された洗浄後のウエーハに向けてエアーを噴出するエアーノズル761と、該エアーノズル761を揺動せしめる正転・逆転可能な電動モータ762を備えており、該エアーノズル761がエアー供給手段760(図4および図5参照)に接続されている。エアーノズル761は、水平に延び先端部が下方に屈曲されたノズル部761aと、該ノズル部761aの基端から下方に延びる支持部761bとからなっており、支持部761bが上記洗浄液回収容器721を構成する底壁721bに設けられた図示しない挿通穴を挿通して配設されエアー供給手段760(図4および図5参照)に接続されている。なお、エアーノズル761の支持部761bが挿通する図示しない挿通穴の周縁には、支持部761bとの間をシールするシール部材(図示せず)が装着されている。
【0025】
図示の実施形態における保護膜形成兼洗浄装置7は、図6に示す制御手段8を具備している。この制御手段8は、制御プログラムに従って上記スピンナーテーブル機構71の電動モータ712およびエアシリンダ713b、樹脂液供給機構74の樹脂液供給手段740および電動モータ742、水供給機構75の水供給手段750および電動モータ752、エアー供給機構76のエアー供給手段760および電動モータ762等を制御する。なお、制御手段8は、レーザー加工機の各機構を作動する制御手段と兼用してもよい。
【0026】
上述した保護膜被覆兼洗浄装置7を装備したレーザー加工機1は以上のように構成されており、以下その作動について説明する。
図1に示すように環状のフレームFに保護テープTを介して支持された加工前の半導体ウエーハ10(以下、単に半導体ウエーハ10という)は、被加工面である表面10aを上側にしてカセット11の所定位置に収容されている。カセット11の所定位置に収容された加工前の半導体ウエーハ10は、図示しない昇降手段によってカセットテーブル111が上下動することにより搬出位置に位置付けられる。次に、被加工物搬出・搬入手段13が進退作動して搬出位置に位置付けられた半導体ウエーハ10を仮置き部12aに配設された位置合わせ手段12に搬出する。位置合わせ手段12に搬出された半導体ウエーハ10は、位置合わせ手段12によって所定の位置に位置合せされる。次に、位置合わせ手段12によって位置合わせされた加工前の半導体ウエーハ10は、第1のウエーハ搬送手段14の旋回動作によって保護膜被覆兼洗浄装置7を構成するスピンナーテーブル711の吸着チャック711a上に搬送され、該吸着チャック711aに吸引保持される(ウエーハ保持工程)。このとき、スピンナーテーブル711は図4に示す被加工物搬入・搬出位置に位置付けられており、樹脂供給ノズル741と水ノズル751およびエアーノズル761は図3および図4に示すようにスピンナーテーブル711の上方から離隔した待機位置に位置付けられている。
【0027】
加工前の半導体ウエーハ10が保護膜被覆兼洗浄装置7のスピンナーテーブル711上に保持するウエーハ保持工程を実施したならば、半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aに保護膜を被覆する保護膜被覆工程を実施する。この保護膜被覆工程は、先ずスピンナーテーブル711に保持された半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aを覆う水の層を形成する水層形成工程を実施する。即ち、制御手段8は、支持手段713のエアシリンダ713bを作動してスピンナーテーブル711を作業位置に位置付けるとともに、水供給機構75の電動モータ752を作動して水ノズル751のノズル部751aを図7に示すようにスピンナーテーブル711に保持された半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aの中央部上方に位置付ける。次に、制御手段8は水供給手段750を作動して、水ノズル751のノズル部751aから水を供給する。このようにして供給された水は、半導体ウエーハ10が貼着された保護テープTが装着されている環状のフレームFの上面に達すると、環状のフレームFの内周面と保護テープTによって形成される領域が水で満たされることにより、スピンナーテーブル711に保持された半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aを覆う厚さ1〜3mm程度の水の層100が形成される。
【0028】
上述した水層形成工程を実施したならば、制御手段8は水供給機構75の電動モータ752を作動して水ノズル751を待機位置に位置付ける。次に、制御手段8は、樹脂液供給機構74の電動モータ742を作動して樹脂供給ノズル741のノズル部741aを図8に示すようにスピンナーテーブル711に保持された半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aの中央部上方に位置付ける。そして、制御手段8は、樹脂液供給手段740を作動してスピンナーテーブル711に保持された半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aを覆う水の層100における半導体ウエーハ10の中心部に液状樹脂110を所定量滴下する(第1の液状樹脂滴下工程)。この第1の液状樹脂滴下工程において滴下する液状樹脂110の量は、被加工物ある半導体ウエーハ10に直径が300mmの場合には1ccでよい。なお、第1の液状樹脂滴下工程において滴下する液状樹脂110は、例えばPVA(Poly Vinyl Alcohol)、PEG(Poly Ethylene Glycol)、PEO(Poly Ethylene Oxide)等の水溶性のレジストが望ましい。
【0029】
上述したように第1の液状樹脂滴下工程を実施したならば、制御手段8は図9(a)に示すようにスピンナーテーブル機構71の電動モータ712を作動してスピンナーテーブル711を回転し半導体ウエーハ10の回転に伴って水の層100に働く遠心力により水の層を飛散させるとともに滴下された液状樹脂110を拡張することにより、図9(b)に示すように半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aに第1の樹脂膜120を被覆する第1の樹脂膜被覆工程を実施する。この第1の樹脂膜被覆工程においては、制御手段8は、スピンナーテーブル機構71の電動モータ712を作動してスピンナーテーブル711を矢印で示す方向に500rpmの回転速度で10秒間回転することによりスピンナー乾燥する。このとき、制御手段8は、エアー供給機構76の電動モータ762を作動してエアーノズル761のノズル部761aを図9(b)に示すようにスピンナーテーブル711に保持された半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aの中央部上方に位置付け、エアー供給手段760を作動して半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aに被覆された第1の樹脂膜120にエアーを供給しつつエアーノズル761のノズル部761aを所要角度範囲で揺動せしめることが望ましい。このように第1の樹脂膜被覆工程においてはスピンナーテーブル711を回転し半導体ウエーハ10の回転に伴って水の層100に働く遠心力により水の層を飛散させるとともに滴下された液状樹脂110を拡張して半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aに第1の樹脂膜120を被覆するので、半導体ウエーハ10の表面10a全体に均一な厚みの第1の樹脂膜120を形成することができる。なお、第1の樹脂膜120の厚みは、上述した実施形態においては0.1μm程度となる。
【0030】
上述した第1の樹脂膜被覆工程を実施したならば、制御手段8は第1の樹脂膜120が被覆された半導体ウエーハ10の中心部に液状樹脂を滴下する第2の液状樹脂滴下工程を実施する。即ち、制御手段8は、樹脂液供給機構74の電動モータ742を作動して樹脂供給ノズル741のノズル部741aを図10に示すようにスピンナーテーブル711に保持された半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aの中央部上方に位置付ける。そして、制御手段8は、樹脂液供給手段740を作動してスピンナーテーブル711に保持された半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aに被覆された第1の樹脂膜120の中心部に液状樹脂110を所定量滴下する。この第2の液状樹脂滴下工程において滴下する液状樹脂110の量は、被加工物ある半導体ウエーハ10に直径が300mmの場合には1ccでよい。
【0031】
上述した第2の液状樹脂滴下工程を実施したならば、制御手段8は図11(a)に示すようにスピンナーテーブル機構71の電動モータ712を作動してスピンナーテーブル711を回転し半導体ウエーハ10の回転に伴う遠心力により滴下された液状樹脂110を第1の樹脂膜120に沿って外周に向けて流動せしめることにより第2の樹脂膜130を形成する第2の樹脂膜被覆工程を実施する。この第2の樹脂膜被覆工程においては、制御手段8は、スピンナーテーブル機構71の電動モータ712を作動してスピンナーテーブル711を矢印で示す方向に500rpmの回転速度で120秒間回転することによりスピンナー乾燥する。このとき、制御手段8は、エアー供給機構76の電動モータ762を作動してエアーノズル761のノズル部761aを図11(b)に示すようにスピンナーテーブル711に保持された半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aの中央部上方に位置付け、エアー供給手段760を作動して半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aに被覆された第2の樹脂膜130にエアーを供給しつつエアーノズル761のノズル部761aを所要角度範囲で揺動せしめることが望ましい。このように第2の樹脂膜被覆工程においてはスピンナーテーブル711を回転し半導体ウエーハ10の回転に伴う遠心力により滴下された液状樹脂110を馴染みの良い第1の樹脂膜120に沿って外周に向けて流動せしめることにより第2の樹脂膜130を形成するので、第1の樹脂膜120の表面全体に均一な厚みの第2の樹脂膜130を形成することができる。なお、第2の樹脂膜130の厚みは、上述した実施形態においては4μm程度となる。
【0032】
以上のように、本発明における保護膜被覆方法によれば、第1の液状樹脂滴下工程および第2の液状樹脂滴下工程においてそれぞれ1cc(合計2cc)の液状樹脂110を滴下することにより、直径が300mmのウエーハの表面に厚みが4μm程度の第1の樹脂膜120および第2の樹脂膜130からなる保護膜を形成することができる。このように本発明における保護膜被覆方法においては、液状樹脂の使用量は従来の保護膜被覆方法によって直径が300mmのウエーハの表面に厚みが4μm程度の保護膜を形成する場合に比して1/10〜15となり、極めて経済的となる。
【0033】
上述したように半導体ウエーハ10の加工面である表面10aに第1の樹脂膜120および第2の樹脂膜130からなる保護膜を被覆する保護膜被覆工程を実施したならば、スピンナーテーブル711を図4に示す被加工物搬入・搬出位置に位置付けるとともに、スピンナーテーブル711に保持されている半導体ウエーハ10の吸引保持を解除する。そして、スピンナーテーブル711上の半導体ウエーハ10は、第2のウエーハ搬送手段15によってチャックテーブル3の吸着チャック32上に搬送され、該吸着チャック32に吸引保持される。このようにして半導体ウエーハ10を吸引保持したチャックテーブル3は、図示しない加工送り手段によってレーザー光線照射手段4に配設された撮像手段5の直下に位置付けられる。
【0034】
チャックテーブル3が撮像手段5の直下に位置付けられると、撮像手段5および図示しない制御手段によって半導体ウエーハ10に所定方向に形成されているストリート101と、ストリート101に沿ってレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段4の集光器42との位置合わせを行うためのパターンマッチング等の画像処理が実行され、レーザー光線照射位置のアライメントが遂行される。また、半導体ウエーハ10に形成されている上記所定方向に対して直角に延びるストリート101に対しても、同様にレーザー光線照射位置のアライメントが遂行される。このとき、半導体ウエーハ10のストリート101が形成されている表面10aには保護膜110が形成されているが、保護膜110が透明でない場合は赤外線で撮像して表面からアライメントすることができる。
【0035】
以上のようにしてチャックテーブル3上に保持されている半導体ウエーハ10に形成されているストリート101を検出し、レーザー光線照射位置のアライメントが行われたならば、図で示すようにチャックテーブル3をレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段4の集光器42が位置するレーザー光線照射領域に移動し、所定のストリート101を集光器42の直下に位置付ける。このとき、図12の(a)で示すように半導体ウエーハ10は、ストリート101の一端(図12の(a)において左端)が集光器42の直下に位置するように位置付けられる。次に、レーザー光線照射手段4の集光器42からパルスレーザー光線を照射しつつチャックテーブル3を図12の(a)において矢印X1で示す方向に所定の加工送り速度で移動せしめる。そして、図12の(b)で示すようにストリート101の他端(図12の(b)において右端)が集光器42の直下位置に達したら、パルスレーザー光線の照射を停止するとともにチャックテーブル3即ち半導体ウエーハ10の移動を停止する。このレーザー加工溝形成工程においては、パルスレーザー光線の集光点Pをストリート101の表面付近に合わせる。
【0036】
上述したレーザー光線照射工程を実施することにより、半導体ウエーハ10のストリート101には図13に示すようにレーザー加工溝140が形成される。このとき、図13に示すようにレーザー光線の照射によりデブリ150が発生しても、このデブリ150は保護膜130によって遮断され、デバイス102およびボンディングパッド等に付着することはない。このレーザー光線照射工程においては、半導体ウエーハ10の加工面である表面10aに形成された第1の樹脂膜120および第2の樹脂膜130からなる保護膜が上述したように略均一であるため、安定したレーザー加工溝140を形成することができる。そして、上述したレーザー光線照射工程を半導体ウエーハ10の全てのストリート101に実施する。
【0037】
なお、上記レーザー光線照射工程は、例えば以下の加工条件で行われる。
レーザー光線の光源 :YVO4レーザーまたはYAGレーザー
波長 :355nm
繰り返し周波数 :50kHz
出力 :4 W
集光スポット径 :9.2μm
加工送り速度 :200mm/秒
【0038】
上述したレーザー光線照射工程を半導体ウエーハ10の全てのストリート101に沿って実施したならば、半導体ウエーハ10を保持しているチャックテーブル3は、最初に半導体ウエーハ10を吸引保持した位置に戻され、ここで半導体ウエーハ10の吸引保持を解除する。そして、半導体ウエーハ10は、第2のウエーハ搬送手段15によって保護膜被覆兼洗浄装置7を構成するスピンナーテーブル711の吸着チャック711a上に搬送され、該吸着チャック711aに吸引保持される。このとき樹脂供給ノズル741とエアーノズル751および洗浄水ノズル761は、図3および図4に示すようにスピンナーテーブル711の上方から離隔した待機位置に位置付けられている。
【0039】
加工後の半導体ウエーハ10が保護膜被覆兼洗浄装置7のスピンナーテーブル711上に保持されたならば、洗浄工程を実行する。即ち、スピンナーテーブル711を作業位置に位置付けるとともに、水供給機構75の電動モータ752を作動して水ノズル751のノズル部751aをスピンナーテーブル711上に保持された半導体ウエーハ10の中心部上方に位置付ける。そして、スピンナーテーブル711を例えば800rpmの回転速度で回転しつつ水供給手段750を作動して、ノズル部751aから水を噴出する。なお、ノズル部751aを所謂2流体ノズルで構成し0.2MPa程度の圧力の水を供給するとともに、0.3〜0.5MPa程度の圧力のエアーを供給するようにすれば、水がエアーの圧力で噴出して半導体ウエーハ10の加工面である表面10aを効果的に洗浄することができる。このとき、電動モータ752を作動して洗浄水供給ノズル751のノズル部751aから噴出された水がスピンナーテーブル711に保持された半導体ウエーハ10の中心に当たる位置から外周部に当たる位置までの所要角度範囲で揺動せしめる。この結果、半導体ウエーハ10の表面10aに被覆された第1の樹脂膜120および第2の樹脂膜130からなる保護膜が上述したように水溶性の樹脂によって形成されているので、第1の樹脂膜120および第2の樹脂膜130からなる保護膜を容易に洗い流すことができるとともに、レーザー加工時に発生したデブリ150も除去される。
【0040】
上述した洗浄工程が終了したら、乾燥工程を実行する。即ち、洗浄水供給ノズル751を待機位置に位置付け、スピンナーテーブル711を例えば3000rpmの回転速度で15秒程度回転せしめる。このとき、エアー供給機構76の電動モータ762を作動してエアーノズル761のノズル部761aをスピンナーテーブル711に保持された半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aの中央部上方に位置付け、エアー供給手段760を作動して半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aに被覆された第2の樹脂膜130にエアーを供給しつつエアーノズル761のノズル部761aを所要角度範囲で揺動せしめることが望ましい。
【0041】
上述したように加工後の半導体ウエーハ10の洗浄および乾燥が終了したら、スピンナーテーブル711の回転を停止するとともに、エアー供給手段76のエアーノズル761を待機位置に位置付ける。そして、スピンナーテーブル711を図4に示す被加工物搬入・搬出位置に位置付けるとともに、スピンナーテーブル711に保持されている半導体ウエーハ10の吸引保持を解除する。次に、スピンナーテーブル711上の加工後の半導体ウエーハ10は、第1のウエーハ搬送手段14によって仮置き部12aに配設された位置合わせ手段12に搬出する。位置合わせ手段12に搬出された加工後の半導体ウエーハ10は、被加工物搬出手段13によってカセット11の所定位置に収納される。
【0042】
以上、本発明を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲で種々の変形は可能である。例えば、上述した実施形態においては保護膜被覆装置をレーザー加工機に配設した例を示したが、保護膜被覆装置は単独の装置として構成してもよい。
【0043】
2:装置ハウジング
3:チャックテーブル
4:レーザー光線照射手段
41:レーザー光線発振手段
42:集光器
5:撮像機構
6:表示手段
7:保護膜被覆兼保護膜被覆手段
71:スピンナーテーブル機構
711:スピンナーテーブル
712:電動モータ
72:水受け手段
74:液状樹脂供給機構
740:液状樹脂供給手段
741:液状樹脂供給ノズル
75:水供給機構
750:水供給手段
751:水供給ノズル
76:エアー供給機構
760:エアー供給手段
761:エアー供給ノズル
10:半導体ウエーハ
11:カセット
12:位置合わせ手段
13:ウエーハ搬出・搬入手段
14:第1のウエーハ搬送手段
15:第2のウエーハ搬送手段
F:環状のフレーム
T:保護テープ
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハ等の被加工物の加工面に保護膜を被覆する保護膜被覆方法および保護膜被覆装置に関する。
【背景技術】
【0002】
当業者には周知の如く、半導体デバイス製造工程においては、シリコン等の半導体基板の表面に絶縁膜と機能膜が積層された積層体によって複数のIC、LSI等のデバイスをマトリックス状に形成した半導体ウエーハが形成される。このように形成された半導体ウエーハは上記デバイスがストリートと呼ばれる分割予定ラインによって区画されており、このストリートに沿って切断することによって個々のデバイスを製造している。また、サファイア基板等の表面に格子状に形成されたストリートによって複数の領域が区画され、この区画された領域に窒化ガリウム系化合物半導体等が積層された光デバイスが形成された光デバイスウエーハは、ストリートに沿って個々の発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイスに分割され、電気機器に広く利用されている。
【0003】
このような半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等のウエーハをストリートに沿って分割する方法として、ウエーハ等の被加工物に形成されたストリートに沿ってパルスレーザー光線を照射することによりレーザー加工溝を形成し、このレーザー加工溝に沿ってメカニカルブレーキング装置によって割断する方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
レーザー加工は切削加工に比して加工速度を速くすることができるとともに、サファイアのように硬度の高い素材からなるウエーハであっても比較的容易に加工することができる。しかしながら、ウエーハのストリートに沿ってレーザー光線を照射すると、照射された領域に熱エネルギーが集中してデブリが発生し、このデブリがデバイスの表面に付着してデバイスの品質を低下させるという新たな問題が生じる。
【0005】
上記デブリによる問題を解消するために、ウエーハの表面にポリビニールアルコール等の保護膜を被覆し、保護膜を通してウエーハにレーザー光線を照射するようにしたレーザー加工機が提案されている。このレーザー加工機に装備されている保護膜被覆装置は、スピンナーテーブルにウエーハを吸引保持し、スピンナーテーブルを回転しつつウエーハの中心部にポリビニールアルコール等の液状樹脂を供給してスピンナーコーティングする。(例えば、特許文献2参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−305420号公報
【特許文献2】特開2007−201178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記スピンナーコーティングによってウエーハの表面に保護膜を形成する方法においては、例えば直径が300mmのウエーハの表面に厚みが4μmの保護膜を形成する場合、19〜30ccのポリビニールアルコール等の液状樹脂が使用される。しかるに、直径が300mmのウエーハの表面に形成された保護膜の液状樹脂量は0.3ccであって、供給された液状樹脂の98〜99%が廃棄されており、極めて不経済であるという問題がある。
【0008】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、スピンナーコーティングによってウエーハの表面に保護膜を形成する方法において、保護膜を形成する液状樹脂の供給量を少なくしてもウエーハの表面に均一な保護膜を形成することができる保護膜被覆方法および保護膜被覆装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、レーザー加工すべきウエーハの表面に液状樹脂を被覆して保護膜を形成する保護膜形成方法であって、
スピンナーテーブルにウエーハの表面を上側にして保持するウエーハ保持工程と、
スピンナーテーブルに保持されたウエーハの表面を覆う水の層を形成する水層形成工程と、
該水の層におけるウエーハの中心部に液状樹脂を滴下する第1の液状樹脂滴下工程と、
スピンナーテーブルを回転しウエーハの回転に伴って水の層に働く遠心力により水の層を飛散させるとともに滴下された液状樹脂を拡張してウエーハの表面に第1の樹脂膜を被覆する第1の樹脂膜被覆工程と、
第1の樹脂膜が被覆されたウエーハの中心部に液状樹脂を滴下する第2の液状樹脂滴下工程と、
スピンナーテーブルを回転しウエーハの回転に伴う遠心力により液状樹脂を第1の樹脂膜に沿って外周に向けて流動せしめることにより第2の樹脂膜を形成する第2の樹脂膜被覆工程と、を含む、
ことを特徴とする保護膜形成方法が提供される。
【0010】
上記ウエーハは裏面が環状のフレームに装着された保護テープに貼着されており、上記水層形成工程においては環状のフレームの内周面と保護テープによって形成される領域が水で満たされることによりウエーハの表面を覆う水の層が形成される。
【0011】
また、本発明においては、ウエーハの表面に液状樹脂を被覆して保護膜を形成する保護膜被覆装置であって、
ウエーハを環状のフレームに装着された保護テープに貼着した状態で保持するスピンナーテーブルと、
該スピンナーテーブルを回転駆動する回転駆動手段と、
該スピンナーテーブルに保持された環状のフレームに装着されている保護テープに貼着されたウエーハに水を供給する水供給機構と、
該スピンナーテーブルに保持された環状のフレームに装着されている保護テープに貼着されたウエーハに液状樹脂を供給する液状樹脂供給機構と、
該回転駆動手段と該水供給機構と該液状樹脂供給機構を制御する制御手段と、を具備し、
該制御手段は、該水供給機構を作動して該スピンナーテーブルに保持された環状のフレームに装着されている保護テープに貼着されたウエーハに水を供給し、ウエーハの表面を覆う水の層を形成する水層形成工程と、
該水層形成工程を実施した後に、該液状樹脂供給機構を作動して該水の層におけるウエーハの中心部に液状樹脂を滴下する第1の液状樹脂滴下工程と、
該第1の液状樹脂滴下工程を実施した後に、該回転駆動手段を作動して該スピンナーテーブルを回転しウエーハの回転に伴って水の層に働く遠心力により水の層を飛散させるとともに滴下された液状樹脂を拡張してウエーハの表面に第1の樹脂膜を被覆する第1の樹脂膜被覆工程と、
該第1の樹脂膜被覆工程を実施した後に、該液状樹脂供給機構を作動して第1の樹脂膜が被覆されたウエーハの中心部に液状樹脂を滴下する第2の液状樹脂滴下工程と、
該第2の液状樹脂滴下工程を実施した後に、該回転駆動手段を作動して該スピンナーテーブルを回転しウエーハの回転に伴う遠心力により液状樹脂を第1の樹脂膜に沿って外周に向けて流動せしめることにより第2の樹脂膜を形成する第2の樹脂膜被覆工程と、を実行する、
ことを特徴とする保護膜被覆装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明による保護膜形成方法は、スピンナーテーブルに保持されたウエーハの表面を覆う水の層を形成し、該水の層におけるウエーハの中心部に液状樹脂を滴下してスピンナーテーブルを回転することによりウエーハの回転に伴って水の層に働く遠心力により水の層を飛散させるとともに滴下された液状樹脂を拡張してウエーハの表面に第1の樹脂膜を被覆するので、ウエーハの表面全体に均一な厚みの第1の樹脂膜を形成することができる。そして、第1の樹脂膜が被覆されたウエーハの中心部に液状樹脂を滴下してスピンナーテーブルを回転することによりウエーハの回転に伴う遠心力により液状樹脂を第1の樹脂膜に沿って外周に向けて流動せしめることにより第2の樹脂膜を形成するので、液状樹脂が馴染みの良い第1の樹脂膜に沿って外周に向けて流動するためで、少ない液状樹脂量で第1の樹脂膜の表面全体に均一な厚みの第2の樹脂膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に従って構成された保護膜被覆兼洗浄装置を装備したレーザー加工機の斜視図。
【図2】被加工物であるウエーハとしての半導体ウエーハの斜視図。
【図3】図1に示すレーザー加工機に装備される保護膜被覆兼洗浄装置の一部を破断して示す斜視図。
【図4】図3に示す保護膜被覆兼洗浄装置のスピンナーテーブルを被加工物搬入・搬出位置に位置付けた状態を示す説明図。
【図5】図3に示す保護膜被覆兼洗浄装置のスピンナーテーブルを作業位置に位置付けた状態を示す説明図。
【図6】図3に示す保護膜被覆兼洗浄装置を構成する制御手段のブロック構成図。
【図7】本発明による保護膜被覆方法における水層形成工程の説明図。
【図8】本発明による保護膜被覆方法における第1の液状樹脂滴下工程の説明図。
【図9】本発明による保護膜被覆方法における第1の樹脂膜被覆工程の説明図。
【図10】本発明による保護膜被覆方法における第2の液状樹脂滴下工程の説明図。
【図11】本発明による保護膜被覆方法における第2の樹脂膜被覆工程の説明図。
【図12】図1に示すレーザー加工機を用いて実施するレーザー加工工程を示す説明図。
【図13】図12に示すレーザー加工工程によってレーザー加工溝が形成された半導体ウエーハの要部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による保護膜被覆方法および保護膜被覆装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1には、本発明に従って構成された保護膜被覆装置を装備したレーザー加工機の斜視図が示されている。
図1に示すレーザー加工機1は、略直方体状の装置ハウジング2を具備している。この装置ハウジング2内には、被加工物としてのウエーハを保持するチャックテーブル3が矢印Xで示す加工送り方向および該加工送り方向Xと直交する割り出し送り方向Yに移動可能に配設されている。チャックテーブル3は、吸着チャック支持台31と、該吸着チャック支持台31上に装着された吸着チャック32を具備しており、該吸着チャック32の表面である載置面上に被加工物であるウエーハを図示しない吸引手段によって保持するようになっている。また、チャックテーブル3は、図示しない回転機構によって回動可能に構成されている。このように構成されたチャックテーブル3の吸着チャック支持台31には、後述する環状のフレームを固定するためのクランプ34が配設されている。なお、レーザー加工機1は、上記チャックテーブル3を加工送り方向Xに加工送りする図示しない加工送り手段、および割り出し送り方向Yに割り出し送りする図示しない割り出し送り手段を具備している。
【0016】
図示のレーザー加工機1は、上記チャックテーブル3に保持された被加工物としてのウエーハにレーザー加工を施すレーザー光線照射手段4を備えている。レーザー光線照射手段4は、レーザー光線発振手段41と、該レーザー光線発振手段41によって発振されたレーザー光線を集光する集光器42を具備している。なお、レーザー加工機1は、レーザー光線発振手段41をチャックテーブル3の上面である載置面に垂直な方向である矢印Zで示す集光点位置調整方向に移動する図示しない移動手段を具備している。
【0017】
図示のレーザー加工機1は、上記チャックテーブル3の吸着チャック32上に保持された被加工物の表面を撮像し、上記レーザー光線照射手段4の集光器42から照射されるレーザー光線によって加工すべき領域を検出する撮像手段5を具備している。この撮像手段5は、可視光線によって撮像する通常の撮像素子(CCD)の外に、被加工物に赤外線を照射する赤外線照明手段と、該赤外線照明手段によって照射された赤外線を捕らえる光学系と、該光学系によって捕らえられた赤外線に対応した電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)等で構成されており、撮像した画像信号を後述する制御手段に送る。また、図示のレーザー加工機1は、撮像手段5によって撮像された画像を表示する表示手段6を具備している。
【0018】
図示のレーザー加工機1は、被加工物であるウエーハとしての半導体ウエーハ10を収容するカセットが載置されるカセット載置部11aを備えている。カセット載置部11aには図示しない昇降手段によって上下に移動可能にカセットテーブル111が配設されており、このカセットテーブル111上にカセット11が載置される。半導体ウエーハ10は、環状のフレームFに装着された保護テープTの表面に貼着されており、保護テープTを介して環状のフレームFに支持された状態で上記カセット11に収容される。なお、半導体ウエーハ10は、図2に示すように表面10aに格子状に配列された複数の分割予定ライン101によって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等のデバイス102が形成されている。このように構成された半導体ウエーハ10は、図1に示すように環状のフレームFに装着された保護テープTに表面10a即ちストリート101およびデバイス102が形成されている面を上側にして裏面が貼着される。
【0019】
図示のレーザー加工機1は、上記カセット11に収納された加工前の半導体ウエーハ10を仮置き部12aに配設された位置合わせ手段12に搬出するとともに加工後の半導体ウエーハ10をカセット11に搬入するウエーハ搬出・搬入手段13と、位置合わせ手段12に搬出された加工前の半導体ウエーハ10を後述する保護膜被覆兼洗浄装置7に搬送するとともに保護膜被覆兼洗浄装置7によって表面に保護膜が被覆された半導体ウエーハ10を上記チャックテーブル3上に搬送する第1のウエーハ搬送手段14と、チャックテーブル3上で加工された半導体ウエーハ10を保護膜被覆兼洗浄装置7に搬送する第2のウエーハ搬送手段15を具備している。
【0020】
次に、加工前の被加工物である半導体ウエーハ10の表面(被加工面)に保護膜を被覆するとともに、加工後の半導体ウエーハ10の表面に被覆された保護膜を除去する保護膜被覆兼洗浄装置7について、図3乃至図5を参照して説明する。
図示の実施形態における保護膜被覆兼洗浄装置7は、スピンナーテーブル機構71と、該スピンナーテーブル機構71を包囲して配設された水受け手段72を具備している。スピンナーテーブル機構71は、スピンナーテーブル711と、該スピンナーテーブル711を回転駆動する回転駆動手段としての電動モータ712と、該電動モータ712を上下方向に移動可能に支持する支持手段713を具備している。スピンナーテーブル711は多孔性材料から形成された吸着チャック711aを具備しており、この吸着チャック711aが図示しない吸引手段に連通されている。従って、スピンナーテーブル711は、吸着チャック711aに被加工物であるウエーハを載置し図示しない吸引手段により負圧を作用せしめることにより吸着チャック711上にウエーハを保持する。電動モータ712は、その駆動軸712aの上端に上記スピンナーテーブル711を連結する。上記支持手段713は、複数本(図示の実施形態においては3本)の支持脚713aと、該支持脚713aをそれぞれ連結し電動モータ712に取り付けられた複数本(図示の実施形態においては3本)のエアシリンダ713bとからなっている。このように構成された支持手段713は、エアシリンダ713bを作動することにより、電動モータ712およびスピンナーテーブル711を図4に示す上方位置である被加工物搬入・搬出位置と、図5に示す下方位置である作業位置に位置付ける。
【0021】
上記水受け手段72は、洗浄水受け容器721と、該洗浄水受け容器721を支持する3本(図3には2本が示されている)の支持脚722と、上記電動モータ712の駆動軸712aに装着されたカバー部材723とを具備している。洗浄水受け容器721は、図4および図5に示すように円筒状の外側壁721aと底壁721bと内側壁721cとからなっている。底壁721bの中央部には上記電動モータ712の駆動軸712aが挿通する穴721dが設けられおり、この穴721dの周縁から上方に突出する内側壁721cが形成されている。また、図3に示すように底壁721bには排液口721eが設けられており、この排液口721eにドレンホース724が接続されている。上記カバー部材723は、円盤状に形成されており、その外周縁から下方に突出するカバー部723aを備えておる。このように構成されたカバー部材723は、電動モータ712およびスピンナーテーブル711が図5に示す作業位置に位置付けられると、カバー部723aが上記洗浄水受け容器721を構成する内側壁721cの外側に隙間をもって重合するように位置付けられる。
【0022】
図示の実施形態における保護膜被覆兼洗浄装置7は、上記スピンナーテーブル711に保持された加工前の被加工物である半導体ウエーハ10の表面(被加工面)に液状樹脂を供給する樹脂液供給機構74を具備している。樹脂液供給機構74は、スピンナーテーブル711に保持された加工前の半導体ウエーハ10の表面(被加工面)に向けて液状樹脂を供給する樹脂供給ノズル741と、該樹脂供給ノズル741を揺動せしめる正転・逆転可能な電動モータ742を備えており、樹脂供給ノズル741が樹脂液供給手段740(図4および図5参照)に接続されている。樹脂供給ノズル741は、水平に延びるノズル部741aと、該ノズル部741aから下方に延びる支持部741bとからなっており、支持部741bが上記洗浄液回収容器721を構成する底壁721bに設けられた図示しない挿通穴を挿通して配設され樹脂液供給手段740(図4および図5参照)に接続されている。なお、樹脂供給ノズル741の支持部741bが挿通する図示しない挿通穴の周縁には、支持部741bとの間をシールするシール部材(図示せず)が装着されている。
【0023】
図示の実施形態における保護膜被覆兼洗浄装置7は、上記スピンナーテーブル711に保持された加工後の被加工物である半導体ウエーハ10に水を供給するための水供給機構75を具備している。水供給機構75は、スピンナーテーブル711に保持されたウエーハに向けて水を供給する水ノズル751と、該水ノズル751を揺動せしめる正転・逆転可能な電動モータ752を備えており、該水ノズル751が水供給手段750(図4および図5参照)に接続されている。水ノズル751は、水平に延び先端部が下方に屈曲されたノズル部751aと、該ノズル部751aの基端から下方に延びる支持部751bとからなっており、支持部751bが上記洗浄液回収容器721を構成する底壁721bに設けられた図示しない挿通穴を挿通して配設され水供給手段750(図4および図5参照)に接続されている。なお、水ノズル751の支持部751bが挿通する図示しない挿通穴の周縁には、支持部751bとの間をシールするシール部材(図示せず)が装着されている。
【0024】
また、図示の実施形態における保護膜被覆兼洗浄装置7は、上記スピンナーテーブル711に保持された加工後の被加工物である半導体ウエーハ10にエアーを供給するためのエアー供給機構76を具備している。エアー供給機構76は、スピンナーテーブル711に保持された洗浄後のウエーハに向けてエアーを噴出するエアーノズル761と、該エアーノズル761を揺動せしめる正転・逆転可能な電動モータ762を備えており、該エアーノズル761がエアー供給手段760(図4および図5参照)に接続されている。エアーノズル761は、水平に延び先端部が下方に屈曲されたノズル部761aと、該ノズル部761aの基端から下方に延びる支持部761bとからなっており、支持部761bが上記洗浄液回収容器721を構成する底壁721bに設けられた図示しない挿通穴を挿通して配設されエアー供給手段760(図4および図5参照)に接続されている。なお、エアーノズル761の支持部761bが挿通する図示しない挿通穴の周縁には、支持部761bとの間をシールするシール部材(図示せず)が装着されている。
【0025】
図示の実施形態における保護膜形成兼洗浄装置7は、図6に示す制御手段8を具備している。この制御手段8は、制御プログラムに従って上記スピンナーテーブル機構71の電動モータ712およびエアシリンダ713b、樹脂液供給機構74の樹脂液供給手段740および電動モータ742、水供給機構75の水供給手段750および電動モータ752、エアー供給機構76のエアー供給手段760および電動モータ762等を制御する。なお、制御手段8は、レーザー加工機の各機構を作動する制御手段と兼用してもよい。
【0026】
上述した保護膜被覆兼洗浄装置7を装備したレーザー加工機1は以上のように構成されており、以下その作動について説明する。
図1に示すように環状のフレームFに保護テープTを介して支持された加工前の半導体ウエーハ10(以下、単に半導体ウエーハ10という)は、被加工面である表面10aを上側にしてカセット11の所定位置に収容されている。カセット11の所定位置に収容された加工前の半導体ウエーハ10は、図示しない昇降手段によってカセットテーブル111が上下動することにより搬出位置に位置付けられる。次に、被加工物搬出・搬入手段13が進退作動して搬出位置に位置付けられた半導体ウエーハ10を仮置き部12aに配設された位置合わせ手段12に搬出する。位置合わせ手段12に搬出された半導体ウエーハ10は、位置合わせ手段12によって所定の位置に位置合せされる。次に、位置合わせ手段12によって位置合わせされた加工前の半導体ウエーハ10は、第1のウエーハ搬送手段14の旋回動作によって保護膜被覆兼洗浄装置7を構成するスピンナーテーブル711の吸着チャック711a上に搬送され、該吸着チャック711aに吸引保持される(ウエーハ保持工程)。このとき、スピンナーテーブル711は図4に示す被加工物搬入・搬出位置に位置付けられており、樹脂供給ノズル741と水ノズル751およびエアーノズル761は図3および図4に示すようにスピンナーテーブル711の上方から離隔した待機位置に位置付けられている。
【0027】
加工前の半導体ウエーハ10が保護膜被覆兼洗浄装置7のスピンナーテーブル711上に保持するウエーハ保持工程を実施したならば、半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aに保護膜を被覆する保護膜被覆工程を実施する。この保護膜被覆工程は、先ずスピンナーテーブル711に保持された半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aを覆う水の層を形成する水層形成工程を実施する。即ち、制御手段8は、支持手段713のエアシリンダ713bを作動してスピンナーテーブル711を作業位置に位置付けるとともに、水供給機構75の電動モータ752を作動して水ノズル751のノズル部751aを図7に示すようにスピンナーテーブル711に保持された半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aの中央部上方に位置付ける。次に、制御手段8は水供給手段750を作動して、水ノズル751のノズル部751aから水を供給する。このようにして供給された水は、半導体ウエーハ10が貼着された保護テープTが装着されている環状のフレームFの上面に達すると、環状のフレームFの内周面と保護テープTによって形成される領域が水で満たされることにより、スピンナーテーブル711に保持された半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aを覆う厚さ1〜3mm程度の水の層100が形成される。
【0028】
上述した水層形成工程を実施したならば、制御手段8は水供給機構75の電動モータ752を作動して水ノズル751を待機位置に位置付ける。次に、制御手段8は、樹脂液供給機構74の電動モータ742を作動して樹脂供給ノズル741のノズル部741aを図8に示すようにスピンナーテーブル711に保持された半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aの中央部上方に位置付ける。そして、制御手段8は、樹脂液供給手段740を作動してスピンナーテーブル711に保持された半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aを覆う水の層100における半導体ウエーハ10の中心部に液状樹脂110を所定量滴下する(第1の液状樹脂滴下工程)。この第1の液状樹脂滴下工程において滴下する液状樹脂110の量は、被加工物ある半導体ウエーハ10に直径が300mmの場合には1ccでよい。なお、第1の液状樹脂滴下工程において滴下する液状樹脂110は、例えばPVA(Poly Vinyl Alcohol)、PEG(Poly Ethylene Glycol)、PEO(Poly Ethylene Oxide)等の水溶性のレジストが望ましい。
【0029】
上述したように第1の液状樹脂滴下工程を実施したならば、制御手段8は図9(a)に示すようにスピンナーテーブル機構71の電動モータ712を作動してスピンナーテーブル711を回転し半導体ウエーハ10の回転に伴って水の層100に働く遠心力により水の層を飛散させるとともに滴下された液状樹脂110を拡張することにより、図9(b)に示すように半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aに第1の樹脂膜120を被覆する第1の樹脂膜被覆工程を実施する。この第1の樹脂膜被覆工程においては、制御手段8は、スピンナーテーブル機構71の電動モータ712を作動してスピンナーテーブル711を矢印で示す方向に500rpmの回転速度で10秒間回転することによりスピンナー乾燥する。このとき、制御手段8は、エアー供給機構76の電動モータ762を作動してエアーノズル761のノズル部761aを図9(b)に示すようにスピンナーテーブル711に保持された半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aの中央部上方に位置付け、エアー供給手段760を作動して半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aに被覆された第1の樹脂膜120にエアーを供給しつつエアーノズル761のノズル部761aを所要角度範囲で揺動せしめることが望ましい。このように第1の樹脂膜被覆工程においてはスピンナーテーブル711を回転し半導体ウエーハ10の回転に伴って水の層100に働く遠心力により水の層を飛散させるとともに滴下された液状樹脂110を拡張して半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aに第1の樹脂膜120を被覆するので、半導体ウエーハ10の表面10a全体に均一な厚みの第1の樹脂膜120を形成することができる。なお、第1の樹脂膜120の厚みは、上述した実施形態においては0.1μm程度となる。
【0030】
上述した第1の樹脂膜被覆工程を実施したならば、制御手段8は第1の樹脂膜120が被覆された半導体ウエーハ10の中心部に液状樹脂を滴下する第2の液状樹脂滴下工程を実施する。即ち、制御手段8は、樹脂液供給機構74の電動モータ742を作動して樹脂供給ノズル741のノズル部741aを図10に示すようにスピンナーテーブル711に保持された半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aの中央部上方に位置付ける。そして、制御手段8は、樹脂液供給手段740を作動してスピンナーテーブル711に保持された半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aに被覆された第1の樹脂膜120の中心部に液状樹脂110を所定量滴下する。この第2の液状樹脂滴下工程において滴下する液状樹脂110の量は、被加工物ある半導体ウエーハ10に直径が300mmの場合には1ccでよい。
【0031】
上述した第2の液状樹脂滴下工程を実施したならば、制御手段8は図11(a)に示すようにスピンナーテーブル機構71の電動モータ712を作動してスピンナーテーブル711を回転し半導体ウエーハ10の回転に伴う遠心力により滴下された液状樹脂110を第1の樹脂膜120に沿って外周に向けて流動せしめることにより第2の樹脂膜130を形成する第2の樹脂膜被覆工程を実施する。この第2の樹脂膜被覆工程においては、制御手段8は、スピンナーテーブル機構71の電動モータ712を作動してスピンナーテーブル711を矢印で示す方向に500rpmの回転速度で120秒間回転することによりスピンナー乾燥する。このとき、制御手段8は、エアー供給機構76の電動モータ762を作動してエアーノズル761のノズル部761aを図11(b)に示すようにスピンナーテーブル711に保持された半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aの中央部上方に位置付け、エアー供給手段760を作動して半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aに被覆された第2の樹脂膜130にエアーを供給しつつエアーノズル761のノズル部761aを所要角度範囲で揺動せしめることが望ましい。このように第2の樹脂膜被覆工程においてはスピンナーテーブル711を回転し半導体ウエーハ10の回転に伴う遠心力により滴下された液状樹脂110を馴染みの良い第1の樹脂膜120に沿って外周に向けて流動せしめることにより第2の樹脂膜130を形成するので、第1の樹脂膜120の表面全体に均一な厚みの第2の樹脂膜130を形成することができる。なお、第2の樹脂膜130の厚みは、上述した実施形態においては4μm程度となる。
【0032】
以上のように、本発明における保護膜被覆方法によれば、第1の液状樹脂滴下工程および第2の液状樹脂滴下工程においてそれぞれ1cc(合計2cc)の液状樹脂110を滴下することにより、直径が300mmのウエーハの表面に厚みが4μm程度の第1の樹脂膜120および第2の樹脂膜130からなる保護膜を形成することができる。このように本発明における保護膜被覆方法においては、液状樹脂の使用量は従来の保護膜被覆方法によって直径が300mmのウエーハの表面に厚みが4μm程度の保護膜を形成する場合に比して1/10〜15となり、極めて経済的となる。
【0033】
上述したように半導体ウエーハ10の加工面である表面10aに第1の樹脂膜120および第2の樹脂膜130からなる保護膜を被覆する保護膜被覆工程を実施したならば、スピンナーテーブル711を図4に示す被加工物搬入・搬出位置に位置付けるとともに、スピンナーテーブル711に保持されている半導体ウエーハ10の吸引保持を解除する。そして、スピンナーテーブル711上の半導体ウエーハ10は、第2のウエーハ搬送手段15によってチャックテーブル3の吸着チャック32上に搬送され、該吸着チャック32に吸引保持される。このようにして半導体ウエーハ10を吸引保持したチャックテーブル3は、図示しない加工送り手段によってレーザー光線照射手段4に配設された撮像手段5の直下に位置付けられる。
【0034】
チャックテーブル3が撮像手段5の直下に位置付けられると、撮像手段5および図示しない制御手段によって半導体ウエーハ10に所定方向に形成されているストリート101と、ストリート101に沿ってレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段4の集光器42との位置合わせを行うためのパターンマッチング等の画像処理が実行され、レーザー光線照射位置のアライメントが遂行される。また、半導体ウエーハ10に形成されている上記所定方向に対して直角に延びるストリート101に対しても、同様にレーザー光線照射位置のアライメントが遂行される。このとき、半導体ウエーハ10のストリート101が形成されている表面10aには保護膜110が形成されているが、保護膜110が透明でない場合は赤外線で撮像して表面からアライメントすることができる。
【0035】
以上のようにしてチャックテーブル3上に保持されている半導体ウエーハ10に形成されているストリート101を検出し、レーザー光線照射位置のアライメントが行われたならば、図で示すようにチャックテーブル3をレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段4の集光器42が位置するレーザー光線照射領域に移動し、所定のストリート101を集光器42の直下に位置付ける。このとき、図12の(a)で示すように半導体ウエーハ10は、ストリート101の一端(図12の(a)において左端)が集光器42の直下に位置するように位置付けられる。次に、レーザー光線照射手段4の集光器42からパルスレーザー光線を照射しつつチャックテーブル3を図12の(a)において矢印X1で示す方向に所定の加工送り速度で移動せしめる。そして、図12の(b)で示すようにストリート101の他端(図12の(b)において右端)が集光器42の直下位置に達したら、パルスレーザー光線の照射を停止するとともにチャックテーブル3即ち半導体ウエーハ10の移動を停止する。このレーザー加工溝形成工程においては、パルスレーザー光線の集光点Pをストリート101の表面付近に合わせる。
【0036】
上述したレーザー光線照射工程を実施することにより、半導体ウエーハ10のストリート101には図13に示すようにレーザー加工溝140が形成される。このとき、図13に示すようにレーザー光線の照射によりデブリ150が発生しても、このデブリ150は保護膜130によって遮断され、デバイス102およびボンディングパッド等に付着することはない。このレーザー光線照射工程においては、半導体ウエーハ10の加工面である表面10aに形成された第1の樹脂膜120および第2の樹脂膜130からなる保護膜が上述したように略均一であるため、安定したレーザー加工溝140を形成することができる。そして、上述したレーザー光線照射工程を半導体ウエーハ10の全てのストリート101に実施する。
【0037】
なお、上記レーザー光線照射工程は、例えば以下の加工条件で行われる。
レーザー光線の光源 :YVO4レーザーまたはYAGレーザー
波長 :355nm
繰り返し周波数 :50kHz
出力 :4 W
集光スポット径 :9.2μm
加工送り速度 :200mm/秒
【0038】
上述したレーザー光線照射工程を半導体ウエーハ10の全てのストリート101に沿って実施したならば、半導体ウエーハ10を保持しているチャックテーブル3は、最初に半導体ウエーハ10を吸引保持した位置に戻され、ここで半導体ウエーハ10の吸引保持を解除する。そして、半導体ウエーハ10は、第2のウエーハ搬送手段15によって保護膜被覆兼洗浄装置7を構成するスピンナーテーブル711の吸着チャック711a上に搬送され、該吸着チャック711aに吸引保持される。このとき樹脂供給ノズル741とエアーノズル751および洗浄水ノズル761は、図3および図4に示すようにスピンナーテーブル711の上方から離隔した待機位置に位置付けられている。
【0039】
加工後の半導体ウエーハ10が保護膜被覆兼洗浄装置7のスピンナーテーブル711上に保持されたならば、洗浄工程を実行する。即ち、スピンナーテーブル711を作業位置に位置付けるとともに、水供給機構75の電動モータ752を作動して水ノズル751のノズル部751aをスピンナーテーブル711上に保持された半導体ウエーハ10の中心部上方に位置付ける。そして、スピンナーテーブル711を例えば800rpmの回転速度で回転しつつ水供給手段750を作動して、ノズル部751aから水を噴出する。なお、ノズル部751aを所謂2流体ノズルで構成し0.2MPa程度の圧力の水を供給するとともに、0.3〜0.5MPa程度の圧力のエアーを供給するようにすれば、水がエアーの圧力で噴出して半導体ウエーハ10の加工面である表面10aを効果的に洗浄することができる。このとき、電動モータ752を作動して洗浄水供給ノズル751のノズル部751aから噴出された水がスピンナーテーブル711に保持された半導体ウエーハ10の中心に当たる位置から外周部に当たる位置までの所要角度範囲で揺動せしめる。この結果、半導体ウエーハ10の表面10aに被覆された第1の樹脂膜120および第2の樹脂膜130からなる保護膜が上述したように水溶性の樹脂によって形成されているので、第1の樹脂膜120および第2の樹脂膜130からなる保護膜を容易に洗い流すことができるとともに、レーザー加工時に発生したデブリ150も除去される。
【0040】
上述した洗浄工程が終了したら、乾燥工程を実行する。即ち、洗浄水供給ノズル751を待機位置に位置付け、スピンナーテーブル711を例えば3000rpmの回転速度で15秒程度回転せしめる。このとき、エアー供給機構76の電動モータ762を作動してエアーノズル761のノズル部761aをスピンナーテーブル711に保持された半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aの中央部上方に位置付け、エアー供給手段760を作動して半導体ウエーハ10の被加工面である表面10aに被覆された第2の樹脂膜130にエアーを供給しつつエアーノズル761のノズル部761aを所要角度範囲で揺動せしめることが望ましい。
【0041】
上述したように加工後の半導体ウエーハ10の洗浄および乾燥が終了したら、スピンナーテーブル711の回転を停止するとともに、エアー供給手段76のエアーノズル761を待機位置に位置付ける。そして、スピンナーテーブル711を図4に示す被加工物搬入・搬出位置に位置付けるとともに、スピンナーテーブル711に保持されている半導体ウエーハ10の吸引保持を解除する。次に、スピンナーテーブル711上の加工後の半導体ウエーハ10は、第1のウエーハ搬送手段14によって仮置き部12aに配設された位置合わせ手段12に搬出する。位置合わせ手段12に搬出された加工後の半導体ウエーハ10は、被加工物搬出手段13によってカセット11の所定位置に収納される。
【0042】
以上、本発明を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲で種々の変形は可能である。例えば、上述した実施形態においては保護膜被覆装置をレーザー加工機に配設した例を示したが、保護膜被覆装置は単独の装置として構成してもよい。
【0043】
2:装置ハウジング
3:チャックテーブル
4:レーザー光線照射手段
41:レーザー光線発振手段
42:集光器
5:撮像機構
6:表示手段
7:保護膜被覆兼保護膜被覆手段
71:スピンナーテーブル機構
711:スピンナーテーブル
712:電動モータ
72:水受け手段
74:液状樹脂供給機構
740:液状樹脂供給手段
741:液状樹脂供給ノズル
75:水供給機構
750:水供給手段
751:水供給ノズル
76:エアー供給機構
760:エアー供給手段
761:エアー供給ノズル
10:半導体ウエーハ
11:カセット
12:位置合わせ手段
13:ウエーハ搬出・搬入手段
14:第1のウエーハ搬送手段
15:第2のウエーハ搬送手段
F:環状のフレーム
T:保護テープ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー加工すべきウエーハの表面に液状樹脂を被覆して保護膜を形成する保護膜形成方法であって、
スピンナーテーブルにウエーハの表面を上側にして保持するウエーハ保持工程と、
スピンナーテーブルに保持されたウエーハの表面を覆う水の層を形成する水層形成工程と、
該水の層におけるウエーハの中心部に液状樹脂を滴下する第1の液状樹脂滴下工程と、
スピンナーテーブルを回転しウエーハの回転に伴って水の層に働く遠心力により水の層を飛散させるとともに滴下された液状樹脂を拡張してウエーハの表面に第1の樹脂膜を被覆する第1の樹脂膜被覆工程と、
第1の樹脂膜が被覆されたウエーハの中心部に液状樹脂を滴下する第2の液状樹脂滴下工程と、
スピンナーテーブルを回転しウエーハの回転に伴う遠心力により液状樹脂を第1の樹脂膜に沿って外周に向けて流動せしめることにより第2の樹脂膜を形成する第2の樹脂膜被覆工程と、を含む、
ことを特徴とする保護膜形成方法。
【請求項2】
ウエーハは裏面が環状のフレームに装着された保護テープに貼着されており、該水層形成工程においては環状のフレームの内周面と保護テープによって形成される領域が水で満たされることによりウエーハの表面を覆う水の層が形成される、請求項1記載の保護膜形成方法。
【請求項3】
ウエーハの表面に液状樹脂を被覆して保護膜を形成する保護膜被覆装置であって、
ウエーハを環状のフレームに装着された保護テープに貼着した状態で保持するスピンナーテーブルと、
該スピンナーテーブルを回転駆動する回転駆動手段と、
該スピンナーテーブルに保持された環状のフレームに装着されている保護テープに貼着されたウエーハに水を供給する水供給機構と、
該スピンナーテーブルに保持された環状のフレームに装着されている保護テープに貼着されたウエーハに液状樹脂を供給する液状樹脂供給機構と、
該回転駆動手段と該水供給機構と該液状樹脂供給機構を制御する制御手段と、を具備し、
該制御手段は、該水供給機構を作動して該スピンナーテーブルに保持された環状のフレームに装着されている保護テープに貼着されたウエーハに水を供給し、ウエーハの表面を覆う水の層を形成する水層形成工程と、
該水層形成工程を実施した後に、該液状樹脂供給機構を作動して該水の層におけるウエーハの中心部に液状樹脂を滴下する第1の液状樹脂滴下工程と、
該第1の液状樹脂滴下工程を実施した後に、該回転駆動手段を作動して該スピンナーテーブルを回転しウエーハの回転に伴って水の層に働く遠心力により水の層を飛散させるとともに滴下された液状樹脂を拡張してウエーハの表面に第1の樹脂膜を被覆する第1の樹脂膜被覆工程と、
該第1の樹脂膜被覆工程を実施した後に、該液状樹脂供給機構を作動して第1の樹脂膜が被覆されたウエーハの中心部に液状樹脂を滴下する第2の液状樹脂滴下工程と、
該第2の液状樹脂滴下工程を実施した後に、該回転駆動手段を作動して該スピンナーテーブルを回転しウエーハの回転に伴う遠心力により液状樹脂を第1の樹脂膜に沿って外周に向けて流動せしめることにより第2の樹脂膜を形成する第2の樹脂膜被覆工程と、を実行する、
ことを特徴とする保護膜被覆装置。
【請求項1】
レーザー加工すべきウエーハの表面に液状樹脂を被覆して保護膜を形成する保護膜形成方法であって、
スピンナーテーブルにウエーハの表面を上側にして保持するウエーハ保持工程と、
スピンナーテーブルに保持されたウエーハの表面を覆う水の層を形成する水層形成工程と、
該水の層におけるウエーハの中心部に液状樹脂を滴下する第1の液状樹脂滴下工程と、
スピンナーテーブルを回転しウエーハの回転に伴って水の層に働く遠心力により水の層を飛散させるとともに滴下された液状樹脂を拡張してウエーハの表面に第1の樹脂膜を被覆する第1の樹脂膜被覆工程と、
第1の樹脂膜が被覆されたウエーハの中心部に液状樹脂を滴下する第2の液状樹脂滴下工程と、
スピンナーテーブルを回転しウエーハの回転に伴う遠心力により液状樹脂を第1の樹脂膜に沿って外周に向けて流動せしめることにより第2の樹脂膜を形成する第2の樹脂膜被覆工程と、を含む、
ことを特徴とする保護膜形成方法。
【請求項2】
ウエーハは裏面が環状のフレームに装着された保護テープに貼着されており、該水層形成工程においては環状のフレームの内周面と保護テープによって形成される領域が水で満たされることによりウエーハの表面を覆う水の層が形成される、請求項1記載の保護膜形成方法。
【請求項3】
ウエーハの表面に液状樹脂を被覆して保護膜を形成する保護膜被覆装置であって、
ウエーハを環状のフレームに装着された保護テープに貼着した状態で保持するスピンナーテーブルと、
該スピンナーテーブルを回転駆動する回転駆動手段と、
該スピンナーテーブルに保持された環状のフレームに装着されている保護テープに貼着されたウエーハに水を供給する水供給機構と、
該スピンナーテーブルに保持された環状のフレームに装着されている保護テープに貼着されたウエーハに液状樹脂を供給する液状樹脂供給機構と、
該回転駆動手段と該水供給機構と該液状樹脂供給機構を制御する制御手段と、を具備し、
該制御手段は、該水供給機構を作動して該スピンナーテーブルに保持された環状のフレームに装着されている保護テープに貼着されたウエーハに水を供給し、ウエーハの表面を覆う水の層を形成する水層形成工程と、
該水層形成工程を実施した後に、該液状樹脂供給機構を作動して該水の層におけるウエーハの中心部に液状樹脂を滴下する第1の液状樹脂滴下工程と、
該第1の液状樹脂滴下工程を実施した後に、該回転駆動手段を作動して該スピンナーテーブルを回転しウエーハの回転に伴って水の層に働く遠心力により水の層を飛散させるとともに滴下された液状樹脂を拡張してウエーハの表面に第1の樹脂膜を被覆する第1の樹脂膜被覆工程と、
該第1の樹脂膜被覆工程を実施した後に、該液状樹脂供給機構を作動して第1の樹脂膜が被覆されたウエーハの中心部に液状樹脂を滴下する第2の液状樹脂滴下工程と、
該第2の液状樹脂滴下工程を実施した後に、該回転駆動手段を作動して該スピンナーテーブルを回転しウエーハの回転に伴う遠心力により液状樹脂を第1の樹脂膜に沿って外周に向けて流動せしめることにより第2の樹脂膜を形成する第2の樹脂膜被覆工程と、を実行する、
ことを特徴とする保護膜被覆装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−60833(P2011−60833A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205980(P2009−205980)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】
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