説明

保護被覆を持つ電気装置

本発明は、外側保護被覆(3)を持つ電気装置(1)に関する。本発明によれば、電気装置(1)と外側保護被覆(3)との間で少なくとも電気装置(1)の部分範囲に、外側保護被覆(3)より高い粘性又は弾性を持つ内側被覆(4)が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気装置特に自動車及びそのタイヤを含むその部分にある電気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
環境の影響及び/又は機械的取付けに対して保護するため、電気装置又は機能装置に、外側保護被覆特にプラスチック被覆を設けることは公知である。電気装置は、例えばリードフレーム、印刷回路版、ハイブリッド、MID、プリモールド又はキャリアのような導線保持体及び少なくとも1つの部品を含んでおり、この部品は例えば抵抗、インダクタンス、コンデンサ、ダイオード、ツエナダイオード、トランジスタ、PTC、NTC、IC又はセンサであり、例えばろう付け、導電接着、溶接、クリップ止め、導電プレス又は締付けにより互いに結合されている。
【0003】
上述の保護機能に適したプラスチック例えば熱可塑性プラスチック、熱硬化性プラスチック、コンパウンド等は、包囲材料として、導線保持体及び/又は部品と比較して著しく異なる膨張係数を持っているので、温度変化の際機械的な力が、部品、導線保持体、及び部品と導線保持体との電気的又は機械的結合個所に対して生じる。この場合引張り力、圧縮力、せん断力、曲げ力及び/又はねじり力のように異なる方向に異なる力が同時に生じる。これらの交番力は電気結合部の損傷をひき起こして、接触抵抗の増大から部品又は電気部品の別の個所への結合部の破断に至ることがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、適当な手段によって、電気装置特に結合個所の機械的負荷を減少することである。更に電気装置の適当な製造方法を提示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
外側保護被覆を持つ電気装置においてこの課題は、本発明によれば、電気装置又はその少なくとも重要な部分範囲又は部品が、完全に又は選択的に特に結合個所に、外側被覆より高い粘性又は弾性を持つ内側被覆を備えていることによって、解決される。
【0006】
これにより、外側被覆が電気装置の部品と直接機械的に接触し、従って異なる膨張係数による機械的な力が直接部品又は電気結合個所に作用することが、回避される。それどころか、空間的に部品と外側保護被覆との間にあって外側保護被覆と比較して高い粘性又は弾性を持つ内側被覆の材料が変形し、それにより摩擦接触を防止する。
【0007】
その際少なくとも1つの電気部品が、少なくとも1つの接続線を介して導線保持体に結合され、接続線に、内側被覆内に設けられるひだ又は湾曲部が設けられている。この個所で、接続線は、損傷を生じることなく、伸びるか又は縮むことができる。
【0008】
内側被覆の材料として、特に軟らかいシリコーン又はポリウレタン(PU)が設けられている。いずれにせよ被覆過程において部品又は材料自体の前損傷が生じないように、被覆材料を選ばねばならない。
【0009】
本発明による電気装置の製造方法では、電気装置の少なくとも所定の部分範囲にまず内側被覆が塗布され、続いて電気装置全体に外側保護被覆が設けられ、内側被覆が外側保護被覆より高い粘性又は弾性を持っている。
【0010】
本発明の特徴及び詳細が、添付図面に関連して実施例により、以下に説明される。個々の変形例において説明された特徴及び関連は、原則的にすべての実施例に転用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、外側保護被覆3を持つ電気装置1を概略的に示している。保護被覆3内に、通常少なくとも1つの電気部品2、導線保持体5、導線保持体5から部品2への結合個所6、及び接続線7が設けられている。電気部品2は例えば抵抗、インダクタンス、コンデンサ、ダイオード、ツエナダイオード、トランジスタ、PTC又はNTC、又はセンサである。導線保持体又は配線保持体として、特にリードフレーム、印刷回路版、ハイブリッド、MID、キャリア又はプリモールドを設けることができる。
【0012】
電気装置1は更に内側被覆4を持ち、電気装置1又はその少なくとも重要な部分範囲又は部品2が、完全に又は選択的に、本発明により外側保護被覆3より高い粘性又は男性を持つ内側被覆4を備えている。
【0013】
これにより、外側保護被覆3が電気装置1の部品2と直接機械的に接触し、従って異なる膨張係数による機械的な力が直接部品2又は電気結合個所6に作用することが、有利に回避される。それどころか、空間的に部品2と外側保護被覆3との間にあって外側保護被覆3より高い粘性又は弾性を持つ内側被覆4の材料が変形し、それにより摩擦接触を防止する。
【0014】
図1の左に示す個所9には、導線保持体5又は結合個所6は内側被覆4を備えていない。これとは異なり図1の右に示す個所10では、これが部分的にのみ行われている。
【0015】
通常少なくとも1つの部品2が、少なくとも1つの接続線7を介して導線保持体5に結合されている。本発明の展開では、接続線7になるべくひだ8又は湾曲部(図示せず)が形成されて、内側被覆4内に設けられている。この個所で、損傷することなしに、接続線7が伸びるか又は縮むことができる。
【0016】
内側被覆4の材料として、特に軟らかいシリコーン又はポリウレタン(PU)が設けられている。いずれにせよ、被覆過程において部品2又は材料自体の損傷が生じないように、被覆材料を選ばねばならない。外側被覆3の材料として、例えば熱可塑性プラスチック、熱硬化性プラスチック又は硬いコンパウンドを使用することができる。
【0017】
図2には本発明の別の実施例が概略図で示されている。ここでは結合個所6は、部品2と導線保持体5とのろう付け結合部として形成されている。図1とは異なり、結合個所6は内側被覆4内又は内側被覆4と導線保持体5との間に設けられている。
【0018】
更に特にプリモールドとして形成できる中間配線保持体11を設けることができる。その場合本発明による内側被覆4は、プリモールド11に設けられている。
【0019】
本発明による電気装置の製造方法では、電気装置1の少なくとも所定の部分範囲に、まず内側被覆4が塗布され、次に電気装置1全体が外側被覆3を設けられる。
【0020】
外側被覆3を塗布するため、製造方法として押出し被覆、被覆成形、トランスファ成形又は注型が提供される。内側被覆4は、なるべく部品2と導線保持体5への中間配線保持体11との電気結合部を形成する前又はその後に塗布される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】外側保護被覆及び本発明による内側被覆を持つ電気装置の概略図を示す。
【図2】本発明による電気装置の別の実施例の概略図を示す。
【符号の説明】
【0022】
1 電気装置
2 部品
3 外側保護被覆
4 内側被覆
5 導線保持体
6 結合個所
7 接続線
8 ひだ
9 被覆内にある導線保持体を持つ変形例
10 部分的に被覆内にある導線保持体を持つ変形例
11 中間配線保持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側保護被覆(3)を持つ電気装置(1)において、電気装置(1)と外側保護被覆(3)との間で少なくとも電気装置(1)の部分範囲に、外側保護被覆(3)より高い粘性又は弾性を持つ内側被覆(4)が設けられていることを特徴とする、電気装置(1)。
【請求項2】
少なくとも1つの電気部品(2)及び少なくとも1つの導線保持体(5)を有し、電気部品(2)が結合個所(6)において導線保持体(5)に結合されているものにおいて、内側被覆(4)が少なくとも結合個所の範囲に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の電気装置(1)。
【請求項3】
電気部品(2)が、少なくとも1つの接続線(7)を介して導線保持体(5)に結合され、接続線(7)に、内側被覆(4)内に設けられるひだ(8)が形成されていることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の電気装置(1)。
【請求項4】
内側被覆(4)の材料として、軟らかいシリコーン又はポリウレタン(PU)が設けられていることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の電気装置(1)。
【請求項5】
電気装置(1)の少なくとも所定の部分範囲にまず内側被覆(4)が塗布され、続いて電気装置(1)全体に外側保護被覆(3)が設けられ、内側被覆(4)が外側保護被覆(3)より高い粘性又は弾性を持っていることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の電気装置(1)を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−504717(P2008−504717A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520655(P2007−520655)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【国際出願番号】PCT/DE2005/001161
【国際公開番号】WO2006/000212
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(503355292)コンティ テミック マイクロエレクトロニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (79)
【氏名又は名称原語表記】Conti Temic microelectronic GmbH
【住所又は居所原語表記】Sieboldstrasse 19, D−90411 Nuernberg, Germany
【Fターム(参考)】