説明

信号伝送装置とそのための制御方法、プログラム及びコンピュータ可読記録媒体

【課題】既存の伝送規格を使用して容易に伝送速度を高速化できる信号伝送装置等を提供する。
【解決手段】相手方の信号伝送装置と接続された伝送媒体を介して、異なる周波数を有する搬送波信号を用いて伝送信号を送受信する複数の伝送信号処理部4−1,4−2,…4−Nを有する信号伝送装置において、送受信切替制御部3は、入力される送信データに基づいて、相手方の信号伝送装置との接続状態と、相手方の信号伝送装置との信号品質と、相手方の信号伝送装置との送受信における送信と受信との利用比率と、送信データのデータ種別との少なくとも1つに応じて、送信データを伝送すべき少なくとも1つの伝送信号処理部を選択して、選択された伝送信号処理部を用いて送信データを相手方の信号伝送装置に伝送するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の伝送信号処理手段を有する信号伝送装置とそのための制御方法、プログラム及びコンピュータ可読記録媒体に関する。特に、本発明は、複数の伝送信号処理手段を高効率に利用して高速信号伝送を可能にする信号伝送装置とそのための制御方法、プログラム及びコンピュータ可読記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速な伝送媒体である光ファイバケーブルの普及に伴い、宅内で利用可能な、高画質な映像データを視聴するための高速信号伝送装置が要求されている。高速信号伝送を実現するためには、例えば、物理層での伝送速度やアクセス方式を高速化する方法がある。また、IEEEで規格が制定されている無線LANの通信システムでは、伝送速度を向上させるための方式としてMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)が提案されている。MIMOによれば、複数の送受信アンテナから同一周波数で異なるデータを同時に送信することによって、周波数帯域を拡大しなくても伝送速度を向上させることができる。
【0003】
しかし、MIMOでは、同一周波数を利用する故に、各送信アンテナから出力される異なるデータ同士が互いに干渉する可能性が高い。そのため、受信側で受信されたデータを推定・分離するためには高度な信号処理技術が必要であり、処理時間の増大や、回路の複雑化によるコストの増大等の問題があった。
【0004】
複雑な信号処理を行わずに伝送速度を高速化できる従来例の信号伝送装置が、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1は、1つの物理的な接続上で伝送される1つのパケットを異なる周波数の搬送波に分割して伝送することで、複雑な信号処理を行わずに高速信号伝送を実現するものである。
【0005】
【特許文献1】特開2002−199047号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来例の信号伝送装置は、1つのパケットを複数に分割して複数の異なる周波数の搬送波を利用して伝送するので、送信側でのパケットの分割、受信側でのパケットの組立等に関する新たな規則を構築する必要がある。それにより、既存の信号伝送装置を使用する場合、機器間の通信を制御する部分の変更が必要となる、という問題があった。
【0007】
本発明の目的は、上記課題を解決し、既存の伝送規格を使用して容易に伝送速度を高速化できる信号伝送装置とそのための制御方法、プログラム及びコンピュータ可読記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係る信号伝送装置は、相手方の信号伝送装置と接続された伝送媒体を介して、異なる周波数を有する搬送波信号を用いて伝送信号を送受信する複数の伝送信号処理手段と、入力される送信データに基づいて、上記相手方の信号伝送装置との接続状態と、上記相手方の信号伝送装置との信号品質と、上記相手方の信号伝送装置との送受信における送信と受信との利用比率と、上記送信データのデータ種別との少なくとも1つに応じて、上記送信データを伝送すべき少なくとも1つの伝送信号処理手段を選択して、上記選択された伝送信号処理手段を用いて上記送信データを相手方の信号伝送装置に伝送するように制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
上記信号伝送装置において、上記制御手段は、上記相手方の信号伝送装置との接続状態に応じて、上記送信データを伝送すべき少なくとも1つの伝送信号処理手段を選択し、上記相手方の信号伝送装置と接続された伝送信号処理手段を用いて上記送信データを相手方の信号伝送装置に伝送するように制御することを特徴とする。
【0010】
また、上記信号伝送装置において、上記制御手段は、上記相手方の信号伝送装置との信号品質に応じて、所定のしきい値以上の信号品質で伝送可能である少なくとも1つの伝送信号処理手段を選択し、上記相手方の信号伝送装置と接続された伝送信号処理手段を用いて上記送信データを相手方の信号伝送装置に伝送するように制御することを特徴とする。
【0011】
さらに、上記信号伝送装置において、上記制御手段は、上記相手方の信号伝送装置との送受信における送信と受信との利用比率に応じて、上記利用比率に実質的に対応するような利用比率となるように少なくとも1つの伝送信号処理手段を選択し、上記相手方の信号伝送装置と接続された伝送信号処理手段を用いて上記送信データを相手方の信号伝送装置に伝送するように制御することを特徴とする。
【0012】
またさらに、上記信号伝送装置において、上記制御手段は、上記送信データのデータ種別に応じて、上記送信データを伝送すべき少なくとも1つの伝送信号処理手段を選択し、プロトコル層でパケット順序が保証されない第1のプロトコルの送信データを送信するときに1つの伝送信号処理手段を選択する一方、プロトコル層でパケット順序が保証される第2のプロトコルの送信データを送信するときに少なくとも1つの伝送信号処理手段を選択し、上記送信データを相手方の信号伝送装置に伝送するように制御することを特徴とする。
【0013】
第2の発明に係る信号伝送装置のための制御方法は、相手方の信号伝送装置と接続された伝送媒体を介して、異なる周波数を有する搬送波信号を用いて伝送信号を送受信する複数の伝送信号処理手段を備えた信号伝送装置のための制御方法において、入力される送信データに基づいて、上記相手方の信号伝送装置との接続状態と、上記相手方の信号伝送装置との信号品質と、上記相手方の信号伝送装置との送受信における送信と受信との利用比率と、上記送信データのデータ種別との少なくとも1つに応じて、上記送信データを伝送すべき少なくとも1つの伝送信号処理手段を選択して、上記選択された伝送信号処理手段を用いて上記送信データを相手方の信号伝送装置に伝送するように制御する制御ステップを含むことを特徴とする。
【0014】
上記信号伝送装置のための制御方法において、上記制御ステップは、上記相手方の信号伝送装置との接続状態に応じて、上記送信データを伝送すべき少なくとも1つの伝送信号処理手段を選択し、上記相手方の信号伝送装置と接続された伝送信号処理手段を用いて上記送信データを相手方の信号伝送装置に伝送するように制御することを特徴とする。
【0015】
また、上記信号伝送装置のための制御方法において、上記制御ステップは、上記相手方の信号伝送装置との信号品質に応じて、所定のしきい値以上の信号品質で伝送可能である少なくとも1つの伝送信号処理手段を選択し、上記相手方の信号伝送装置と接続された伝送信号処理手段を用いて上記送信データを相手方の信号伝送装置に伝送するように制御することを特徴とする。
【0016】
さらに、上記信号伝送装置のための制御方法において、上記制御ステップは、上記相手方の信号伝送装置との送受信における送信と受信との利用比率に応じて、上記利用比率に実質的に対応するような利用比率となるように少なくとも1つの伝送信号処理手段を選択し、上記相手方の信号伝送装置と接続された伝送信号処理手段を用いて上記送信データを相手方の信号伝送装置に伝送するように制御することを特徴とする。
【0017】
またさらに、上記信号伝送装置のための制御方法において、上記制御ステップは、上記送信データのデータ種別に応じて、上記送信データを伝送すべき少なくとも1つの伝送信号処理手段を選択し、プロトコル層でパケット順序が保証されない第1のプロトコルの送信データを送信するときに1つの伝送信号処理手段を選択する一方、プロトコル層でパケット順序が保証される第2のプロトコルの送信データを送信するときに少なくとも1つの伝送信号処理手段を選択し、上記送信データを相手方の信号伝送装置に伝送するように制御することを特徴とする。
【0018】
第3の発明に係る信号伝送装置のためのプログラムは、上記信号伝送装置のための制御方法の制御ステップを含むことを特徴とする。
【0019】
第4の発明に係るコンピュータ可読記録媒体は、上記信号伝送装置のためのプログラムを記録したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
従って、本発明によれば、入力される送信データに基づいて、相手方の信号伝送装置との接続状態と、相手方の信号伝送装置との信号品質と、相手方の信号伝送装置との送受信における送信と受信との利用比率と、送信データのデータ種別との少なくとも1つに応じて、送信データを伝送すべき少なくとも1つの伝送信号処理手段を選択することによって、複数の伝送信号処理手段を高効率に利用し、既存の伝送規格を使用して容易に伝送速度を高速化できる、という有利な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下本発明の実施をするための最良の形態を具体的に示した実施形態について、図面とともに記載する。
【0022】
第1の実施形態.
図1は、本実施形態に係るパケット信号伝送装置の構成を示すブロック図である。本実施形態に係るパケット信号伝送装置は、無線データ通信システムにおけるパケット信号伝送装置である。本実施形態に係るパケット信号伝送装置は、パケット信号を、送受信アンテナを介して接続先の他のパケット信号伝送装置と無線送受信するものである。図1において、パケット信号伝送装置は、データ生成処理部1と、データ受信処理部2と、送受信切替制御部3と、複数N個の伝送信号処理部4−1,4−2,…,4−Nと、混合分配器9と、送受信アンテナ10とを有する。
【0023】
データ生成処理部1は、他のパケット信号伝送装置に無線送信するための送信データを生成する。データ受信処理部2は、接続先の他のパケット信号伝送装置から無線受信されたデータを処理する。
【0024】
送受信切替制御部3は、伝送信号処理部4−1,4−2,…,4−Nにデータを送信する前に、伝送信号処理部4−1,4−2,…,4−Nに対して、接続先の他のパケット信号伝送装置に対するセッション接続要求信号を送信する。送受信切替制御部3は、各伝送信号処理部4−1,4−2,…,4−Nからセッション接続完了信号を通知されると、データ生成処理部1から入力された送信データを、伝送信号処理部の伝送速度に応じて所定数の送信データに分割し、最大N個の伝送信号処理部に振り分けて出力する。また、送受信切替制御部3は、各伝送信号処理部から入力された受信データをデータ受信処理部2に転送する。
【0025】
送受信切替制御部3は、例えば、マイクロコンピュータである。送受信切替制御部3は、CD−ROM等のコンピュータ可読記録媒体を再生するためのドライブ装置を備え、CD−ROMに記録されたプログラムを読み込み、送受信切替制御部3の主メモリにロードし、実行することによって、データ生成処理部1と、データ受信処理部2と、伝送信号処理部4−1,4−2,…,4−Nとのデータの送受信や振り分け、及び、接続要求及び接続完了に関わるその他の信号の送受信に関する制御処理を行う。
【0026】
各伝送信号処理部4−1,4−2,…,4−Nは、メディアアクセス制御処理部(以下、MAC処理部という。)5−1,5−2,…,5−N、ベースバンド処理部(以下、BB処理部という。)6−1,6−2,…,6−N、及び、高周波処理部(以下、RF処理部という。)7−1,7−2,…,7−N、及び、伝送制御部8−1,8−2,…,8−Nをそれぞれ有する。
【0027】
各伝送制御部8−1,8−2,…,8−Nは、各MAC処理部5−1,5−2,…,5−N、各BB処理部6−1,6−2,…,6−N、各RF処理部7−1,7−2,…,7−Nの動作をそれぞれ制御する。また、各伝送制御部8−1,8−2,…,8−Nは、送受信切替制御部3から他のパケット信号伝送装置に対するセッション接続要求信号に基づいて、各MAC処理部5−1,5−2,…,5−Nに対して、他のパケット信号伝送装置とのセッション接続を確立するように指示する。各伝送制御部8−1,8−2,…,8−Nは、他のパケット信号伝送装置とのセッション接続を完了すると、送受信切替制御部3に対してセッション接続完了信号を通知する。
【0028】
各MAC処理部5−1,5−2,…,5−Nは、他のパケット信号伝送装置とセッション接続を確立したり、送信データをパケット単位に分割したり、受信データのパケットからデータを取り出して結合したりする処理を行う。各BB処理部6−1,6−2,…,6−Nは、送受信データに対して、ベースバンド処理を行う。各RF処理部7−1,7−2,…,7−Nは、互いに異なる周波数f,f,…,fを有する搬送波信号を、各BB処理部6−1,6−2,…,6−Nから入力された送信データに従ってそれぞれ変調し、電力増幅して送信信号として混合分配器9に出力する。また、各RF処理部7−1,7−2,…,7−Nは、混合分配器9から入力された受信信号を、高周波増幅し、周波数変換し、中間周波増幅し、復調処理して受信データとして各BB処理部6−1,6−2,…,6−Nに出力する。
【0029】
混合分配器9は、各伝送信号処理部4−1,4−2,…,4−Nから入力された複数の送信信号を周波数多重化し、多重化した送信信号を、送受信アンテナ10を介して、他のパケット信号伝送装置に無線送信する。また、混合分配器9は、他のパケット信号伝送装置から送受信アンテナ10を介して無線受信された、多重化された受信信号を、搬送波周波数毎に分配して、対応する搬送波周波数を有する伝送信号処理部4−1,4−2,…,4−Nに出力する。
【0030】
次に、本実施形態に係るパケット信号伝送装置の動作について説明する。まず、データ生成処理部1で生成された送信データを他のパケット信号伝送装置に送信する場合について説明する。なお、このとき、既にパケット信号伝送装置の各伝送信号処理部4−1,4−2,…,4−Nは、他のパケット信号伝送装置とセッション接続されているものとする。
【0031】
データ生成処理部1は、送信データを生成して、送受信切替制御部3に出力する。送受信切替制御部3は、データ生成処理部1が生成した送信データをN個の送信データに分割して、伝送信号処理部4−1,4−2,…,4−Nにそれぞれ出力する。分割された送信データの1つが伝送信号処理部4−1に入力される。MAC処理部5−1は、送信データをパケット単位で分割し、BB処理部6−1に出力する。BB処理部6−1は、入力されたパケットに対してベースバンド処理を行い、RF処理部7−1に出力する。RF処理部7−1は、周波数fの搬送波信号を、入力されたパケットデータに従って変調し、送信信号として混合分配器9に出力する。上記の処理は、他の伝送信号処理部4−2,…,4−Nについても同様である。混合分配器9は、各伝送信号処理部4−1,4−2,…,4−Nから入力されたN個の送信信号を多重化し、送受信アンテナ10を介して、他のパケット信号伝送装置に無線送信する。
【0032】
次に、他のパケット信号伝送装置から、送受信アンテナ10を介して受信信号を無線受信する場合について説明する。
【0033】
他のパケット信号伝送装置から送受信アンテナ10を介して無線受信された受信信号は、混合分配器9に入力される。混合分配器9は、多重化された受信信号を、搬送波周波数毎の信号に分配して、対応する搬送波周波数を有する伝送信号処理部に出力する。例えば、搬送波周波数がfである信号は、伝送信号処理部4−1に入力される。伝送信号処理部4−1のRF処理部7−1は、受信信号を復調して電力増幅を行い、受信データとしてBB処理部6−1に出力する。BB処理部6−1は、入力された受信データに対して、ベースバンド処理を行い、MAC処理部5−1に出力する。MAC処理部5−1は、入力された受信データのパケットデータを分解してデータを結合し、送受信切替制御部3に出力する。上記の処理は、他の伝送信号処理部4−2,…,4−Nについても同様である。送受信切替制御部3は、データ受信処理部2に受信データを伝送する。データ受信処理部2は、受信データを処理する。
【0034】
本実施形態に係るパケット信号伝送装置によれば、パケット信号伝送装置がN個の伝送信号処理部4−1,4−2,…,4−Nを有するので、1つの伝送信号処理部のみを備えるパケット信号伝送装置と比べてパケット信号伝送装置全体の伝送速度が最大でN倍になる。また、各伝送信号処理部4−1,4−2,…,4−Nへの送信データの振り分けは、送受信切替制御部3が行うため、データ生成処理部1及びデータ受信処理部2が伝送信号処理部の個数を考慮する必要は無い。
【0035】
また、本実施形態に係るパケット信号伝送装置によれば、各伝送信号処理部4−1,4−2,…,4−Nは、MAC処理部5−1,5−2,…,5−N、BB処理部6−1,6−2,…,6−N、及びRF処理部7−1,7−2,…,7−Nをそれぞれ有するので、互いに異なる周波数f,f,…,fを利用して、接続先の他のパケット信号伝送装置とそれぞれ独立してセッション接続及びデータ送受信を行うことができる。また、送受信は、パケット単位で行われるので、1つのパケットをそれ以上分割することがなく、送受信切替制御部3は、既存の伝送規格を使用して各伝送信号処理部4−1,4−2,…,4−Nとデータのやり取りができる。本実施形態に係るパケット信号伝送装置によれば、既存の伝送規格を使用して容易に伝送速度を高速化できる信号伝送装置を実現できる。
【0036】
なお、本実施形態において、送受信切替制御部3は、送信データを、伝送信号処理部4−1,4−2,…,4−Nの伝送速度に応じて所定数の送信データに分割し、複数の伝送信号処理部4−1,4−2,…,4−Nに出力する。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、各伝送信号処理部4−1,4−2,…,4−Nの送受信における送信と受信との利用比率、各伝送信号処理部4−1,4−2,…,4−Nの他のパケット信号伝送装置との接続状態等に応じて、伝送信号処理部を選択して送信データを出力してもよい。例えば、送受信切替制御部3は、伝送信号処理部4−1,4−2,…,4−Nの送受信における送信と受信との利用比率を監視して送信利用率の低い伝送信号処理部を選択して送信データを出力してもよい。あるいは、伝送信号処理部4−1,4−2,…,4−Nの他のパケット信号伝送装置との接続状態を監視して、セッション接続されている伝送信号処理部を選択してもよい。あるいは、他のパケット信号伝送装置との信号品質(例えば、ビットエラーレート等)を監視して、所定のしきい値以上の信号品質で伝送可能である伝送信号処理部を選択してもよい。
【0037】
また、本実施形態において、パケット信号伝送装置は、他のパケット信号伝送装置と、送受信アンテナ10を介して無線で接続されている。しかし、本発明はこの構成に限らず、パケット信号伝送装置と他のパケット信号伝送装置とが、有線で接続されてもよく、本実施形態と同等の効果を奏する。
【0038】
第2の実施形態.
図2は、本実施形態に係るパケット信号伝送装置の構成を示すブロック図である。本実施形態に係るパケット信号伝送装置は、イーサネット(登録商標)と同軸伝送システム間のブリッジ装置に用いられるパケット信号伝送装置である。図2において、本実施形態に係るパケット信号伝送装置は、送受信部12、送受信切替制御部3A、伝送信号処理部4A−1及び4A−2、混合分配器9A及び同軸端子13を有する。送受信部12は、イーサネット(登録商標)ケーブル11に接続される。同軸端子13は、同軸ケーブル14に接続される。イーサネット(登録商標)ケーブル11には、図示しない第1の他のパケット信号伝送装置が接続されている。同軸ケーブル14には、図示しない第2の他のパケット信号伝送装置が接続されている。
【0039】
なお、以下の実施形態において、イーサネット(登録商標)ケーブル11側から同軸ケーブル14側へデータが送信される場合を例にとって説明するが、本実施形態に係るパケット信号伝送装置は、送信側としても受信側としても適用可能である。
【0040】
送受信部12はイーサネット(登録商標)ケーブル11を介して接続されている第1の他のパケット信号伝送装置とパケットデータの送受信を行う。送受信部12は、第1の他のパケット信号伝送装置から受信されたパケットデータを送受信切替制御部3Aに出力する。また、送受信部12は、送受信切替制御部3Aから入力されたパケットデータを接続先である第1の他のパケット信号伝送装置に伝送する。
【0041】
送受信切替制御部3Aは、送受信部12から入力されたパケットデータを伝送信号処理部4A−1及び4A−2に出力する前に、伝送信号処理部4A−1及び4A−2に対して、第2の他のパケット信号伝送装置に対するセッション接続要求信号を出力する。送受信切替制御部3Aは、各伝送信号処理部4A−1及び4A−2の両方からセッション接続完了信号を通知されると、送受信部12から入力されたパケットデータを、各伝送信号処理部4A−1及び4A−2に振り分けて出力する。また、送受信切替制御部3Aは、各伝送信号処理部4A−1及び4A−2から入力されたパケットデータを送受信部12に転送する。
【0042】
また、送受信切替制御部3Aは、パケット信号伝送装置の通信状況を監視する。具体的には、パケット信号伝送装置の送受信における送信と受信との利用比率を監視する。さらに具体的には、パケット信号伝送装置が送信したパケットデータの量とパケット信号伝送装置が受信したパケットデータの量との割合を監視する。送受信切替制御部3Aは、パケット信号伝送装置の通信状況に応じて、一定時間毎に、基準とする送受信の割合を更新する。具体的には、パケット信号伝送装置が送信したパケットデータの量が多い場合には、送信の割合が高くなるように送受信の割合を更新し、パケット信号伝送装置が受信したパケットデータの量が多い場合には、受信の割合が高くなるように送受信の割合を更新して、送受信したパケットデータの量と実質的に対応するような送受信の割合とする。送受信切替制御部3Aは、送受信部12から入力されたパケットデータを、基準とする送受信の割合に応じて、各伝送信号処理部4A−1及び4A−2に振り分けて出力する。なお、伝送開始直後において、基準とする送受信の割合は50:50に初期設定されるものとする。
【0043】
送受信切替制御部3Aは、例えば、マイクロコンピュータである。送受信切替制御部3Aは、CD−ROM等のコンピュータ可読記録媒体を再生するためのドライブ装置を備え、CD−ROMに記録されたプログラムを読み込み、送受信切替制御部3Aの主メモリにロードし、実行することによって、送受信部12、及び、伝送信号処理部4A−1及び4A−2とのデータの送受信や振り分け、及び、接続要求及び接続完了に関わるその他の信号の送受信に関する処理、及び、パケット信号伝送装置の通信状況を監視する制御処理を行う。
【0044】
各伝送信号処理部4A−1及び4A−2は、MAC処理部5A−1及び5A−2、BB処理部6A−1及び6A−2、及び、RF処理部7A−1及び7A−2、伝送制御部8A−1及び8A−2をそれぞれ有する。
【0045】
各伝送制御部8A−1及び8A−2は、各MAC処理部5A−1及び5A−2、各BB処理部6A−1及び6A−2、各RF処理部7A−1及び7A−2の動作をそれぞれ制御する。また、各伝送制御部8A−1及び8A−2は、送受信切替制御部3から第2の他のパケット信号伝送装置に対するセッション接続要求信号に基づいて、各MAC処理部5A−1及び5A−2に対して、第2の他のパケット信号伝送装置とのセッション接続を確立するように指示する。各伝送制御部8A−1及び8A−2は、第2の他のパケット信号伝送装置とのセッション接続を完了すると、送受信切替制御部3に対してセッション接続完了信号を通知する。
【0046】
各MAC処理部5A−1及び5A−2は、第1及び第2の他のパケット信号伝送装置とセッション接続を確立する処理を行う。各BB処理部6A−1及び6A−2は、送受信データに対して、ベースバンド処理を行う。各RF処理部7A−1及び7A−2は、互いに異なる周波数f及びfを有する搬送波信号を、送受信部12が入力したパケットデータに従ってそれぞれ変調し、電力増幅して送信信号として混合分配器9Aに出力する。また、各RF処理部7A−1及び7A−2は、混合分配器9Aから入力された受信信号を、高周波増幅し、周波数変換し、中間周波増幅し、復調処理して受信データとして各BB処理部6A−1及び6A−2に出力する。
【0047】
混合分配器9Aは、各伝送信号処理部4−1及び4−2から入力された複数の送信信号を周波数多重化し、多重化した送信信号を、同軸端子13及び同軸ケーブル14を介して、第2の他のパケット信号伝送装置に送信する。また、混合分配器9Aは、第2の他のパケット信号伝送装置から同軸ケーブル14及び同軸端子13を介して受信された、多重化された受信信号を、搬送波周波数毎に分配して、対応する搬送波周波数を有する伝送信号処理部に出力する。
【0048】
図3は、伝送開始直後における、イーサネット(登録商標)ケーブル11から送受信部12に入力されるパケットデータD1と伝送信号処理部4A−1及び4A−2にそれぞれ出力されるパケットデータD2及びD3を示すタイムチャートである。
【0049】
伝送開始直後において、基準とする送受信の割合は、初期設定である50:50である。したがって、図3において、2つの伝送信号処理部4A−1及び4A−2のうち、伝送信号処理部4A−1を送信用として利用し、伝送信号処理部4A−2を受信用として利用することによって、基準とする送受信の割合が50:50となるようにパケットデータを振り分けている。ここで伝送信号処理部4A−1を受信用として利用し、伝送信号処理部4A−2を送信用として利用しても、各伝送信号処理部4A−1及び4A−2で所定時間毎に送信用及び受信用を切り替えて利用しても同様であることは言うまでもない。図3では、送信パケットP1〜P6は、伝送信号処理部4A−1に入力され、受信パケットR1〜R6は、伝送信号処理部4A−2に入力されている。
【0050】
図4は、一定時間経過後における、イーサネット(登録商標)ケーブル11から送受信部12に入力されるパケットデータD1と伝送信号処理部4A−1及び4A−2にそれぞれ出力されるパケットデータD2及びD3を示すタイムチャートである。
【0051】
送受信切替制御部3Aは、伝送開始から一定時間、パケット信号伝送装置の通信状況を監視した結果、基準とする送受信の割合を75:25に更新したとする。図4において、送受信切替制御部3Aは、基準とする送受信の割合に従って、送受信部12から受け取ったパケットデータを、伝送信号処理部4A−1だけでなく伝送信号処理部4A−2にも振り分けて出力する。即ち、初期設定では受信パケット用に使用されていた伝送信号処理部4A−2の一部が送信パケット用として使用される。図4では、送信パケットP7,P9,P11,P12は、伝送信号処理部4A−1に入力され、送信パケットP8,P10は、伝送信号処理部4A−2に入力されている。これにより、全体としての伝送速度は、同等数の送信パケットを送信する図3に示した場合に比べて高くなっており、伝送信号処理部の使用効率が高い。
【0052】
伝送信号処理部4A−1及び4A−2に入力された送信パケットは、それぞれのMAC処理部、BB処理部、及びRF処理部で処理され、混合分配器9Aで多重化され、同軸端子13及び同軸ケーブル14を介して接続されている第2の他のパケット信号伝送装置に送信される。
【0053】
本実施形態に係るパケット信号伝送装置によれば、送受信切替制御部3Aがパケット信号伝送装置の通信状況に応じて、送信パケットを引き渡す伝送信号処理部4A−1及び4A−2を選択する事で伝送信号処理部を高効率に利用する信号伝送装置を実現できる。
【0054】
第3の実施形態.
図5は、本実施形態に係るパケット信号伝送装置の構成を示すブロック図である。本実施形態に係るパケット信号伝送装置は、イーサネット(登録商標)と同軸伝送システム間のブリッジ装置に用いられるパケット信号伝送装置である。図5において、送受信切替制御部3Aに代えて送受信切替制御部3Bを有する点において、図2に示した第2の実施形態に係るパケット信号伝送装置とは異なる。それ以外の点については、図2に示した第2の実施形態に係るパケット信号伝送装置と同様であり、同一符号を付した構成要素についての詳細な説明は省略する。
【0055】
第2の実施形態に係るパケット信号伝送装置の送受信切替制御部3Aは、パケット信号伝送装置の通信状況を監視したが、本実施形態に係るパケット信号伝送装置の送受信切替制御部3Bは、パケット信号伝送装置の通信状況を監視することに加えて、送信するパケットのパケット種別を監視する。パケット種別とは、例えば、UDPパケット、TCPパケット等である。ここで、UDPパケットは、プロトコル層でパケット順序が保証されないプロトコルのパケットデータであり、TCPパケットはプロトコル層でパケット順序が保証されるプロトコルのパケットデータである。
【0056】
送受信切替制御部3Bは、伝送信号処理部4A−1及び4A−2にデータを出力する前に、伝送信号処理部4A−1及び4A−2に対して、第2の他のパケット信号伝送装置に対するセッション接続要求信号を出力する。送受信切替制御部3Bは、各伝送信号処理部4A−1及び4A−2の両方からセッション接続完了信号を通知されると、送受信部12から入力された送信データを、各伝送信号処理部4A−1及び4A−2に振り分けて出力する。また、送受信切替制御部3Bは、各伝送信号処理部4A−1及び4A−2から入力された受信データを送受信部12に転送する。
【0057】
送受信切替制御部3Bは、例えば、マイクロコンピュータである。送受信切替制御部3Bは、CD−ROM等のコンピュータ可読記録媒体を再生するためのドライブ装置を備え、CD−ROMに記録されたプログラムを読み込み、送受信切替制御部3Bの主メモリにロードし、実行することによって、送受信部12、及び、伝送信号処理部4A−1及び4A−2とのデータの送受信や振り分け、及び、接続要求及び接続完了に関わるその他の信号の送受信に関する処理、パケット信号伝送装置の通信状況を監視する処理、及び、送信するパケットのパケット種別を監視する制御処理を行う。
【0058】
イーサネット(登録商標)ケーブル11から送受信部12に入力されるパケットデータは、そのヘッダ領域内にパケット種別情報を含む。そのため、送受信切替制御部3Bは、送受信部12に入力されたパケットデータのヘッダ領域内のパケット種別情報を解析することによって、送信するパケットがUDPパケットであるか、TCPパケットであるかを知ることができる。
【0059】
送受信部12に入力されたパケットデータを複数の伝送信号処理部4A−1及び4A−2に分割して送信する場合、各伝送信号処理部4A−1及び4A−2が独立して通信を行っているため、必ずしも送受信切替制御部3Bが出力するパケットの順序と第2の他のパケット信号伝送装置で受信されるパケットの順序が等しくなるとはいえない。
【0060】
例えば、第2の実施形態で詳述した図4に示したタイムチャートにおいては、送信パケットP7及びP8は、伝送信号処理部4A−1及び4A−2にそれぞれ引き渡される。そのため、送信パケットP7、送信パケットP8の順序であるべきデータが、第2の他のパケット信号伝送装置で送信パケットP8、送信パケットP7の順序で受信される可能性がある。TCPの場合は、伝送路でパケット順序が入れ替わった場合でも、プロトコル層でパケット順序を保証する機能があるが、UDPの場合はパケット順序を保証する機能がない。
【0061】
上記のようなパケット種別に依る特性の相違を考慮して、送受信切替制御部3Bは、送信パケットがTCPパケットであると判断したときは、パケット信号伝送装置の通信状況に応じて、2つの伝送信号処理部4A−1及び4A−2に振り分けて引き渡すが、送信パケットがUDPパケットであると判断したときは、パケット順序の入れ替わりを防ぐために、パケット信号伝送装置の通信状況に拘わらず常に同じ伝送信号処理部に送信パケットを引き渡す。
【0062】
図6は、イーサネット(登録商標)ケーブル11から送受信部12に入力されるパケットデータD1と伝送信号処理部4A−1及び4A−2に出力されるパケットデータD2及びD3を示すタイムチャートである。図6において、送受信切替制御部3Bは、パケット信号伝送装置の通信状況を監視した結果、伝送信号処理部の送受信の割合を75:25に設定しているとする。
【0063】
送信パケットがTCPパケットであるときは、送受信切替制御部3Bは、設定された基準となる送受信の割合(この場合、75:25である)に従って、送受信部12から受け取ったパケットデータを、伝送信号処理部4A−1だけでなく伝送信号処理部4A−2にも振り分けて出力する。図6において、TCPパケットP15は、伝送信号処理部4A−1に入力され、TCPパケットP16は、伝送信号処理部4A−2に入力される。一方、送信パケットがUDPパケットであるときは、送受信切替制御部3Bは、パケット信号伝送装置の通信状況に拘わらず、送受信部12から受け取ったパケットデータを伝送信号処理部4A−1のみに出力する。図6において、UDPパケットP17〜P20は、伝送信号処理部4A−1に引き渡される。
【0064】
本実施形態に係るパケット信号伝送装置によれば、パケット信号伝送装置の通信状況に加えて、送信するパケットのパケット種別を監視することにより、パケット種別に依る特性に応じて、最適な伝送を行うことができる信号伝送装置を実現できる。
【0065】
第4の実施形態.
図7は、本実施形態に係るパケット信号伝送装置の構成を示すブロック図である。本実施形態に係るパケット信号伝送装置は、イーサネット(登録商標)と同軸伝送システム間のブリッジ装置に用いられるパケット信号伝送装置である。図7において、送受信切替制御部3Bに代えて送受信切替制御部3Cを有する点において、図5に示した第3の実施形態に係るパケット信号伝送装置とは異なる。それ以外の点については、図5に示した第3の実施形態に係るパケット信号伝送装置と同様であり、同一符号を付した構成要素についての詳細な説明は省略する。
【0066】
第3の実施形態に係るパケット信号伝送装置の送受信切替制御部3Bは、パケット信号伝送装置の通信状況及びパケット種別の監視を行ったが、本実施形態に係るパケット信号伝送装置の送受信切替制御部3Cは、パケット信号伝送装置の通信状況及びパケット種別を監視することに加えて、各伝送信号処理部4A−1及び4A−2と第2の他のパケット信号伝送装置との物理的な接続状態を監視する。
【0067】
送受信切替制御部3Cは、伝送信号処理部4A−1及び4A−2にデータを出力する前に、伝送信号処理部4A−1及び4A−2に対して、第2の他のパケット信号伝送装置に対するセッション接続要求信号を出力する。送受信切替制御部3Cは、各伝送信号処理部4A−1及び4A−2の少なくとも一方からセッション接続完了信号を通知されると、送受信部12から入力されたパケットデータを、各伝送信号処理部4A−1及び4A−2に振り分けて出力する。また、送受信切替制御部3Cは、各伝送信号処理部4A−1及び4A−2から入力された受信データを送受信部12に転送する。送受信切替制御部3Cは、伝送信号処理部4A−1及び4A−2の両方から接続完了信号を通知された後も、一定時間毎に伝送信号処理部4A−1及び4A−2に第2の他のパケット信号伝送装置との接続状態を問い合わせて、接続状態を監視し続ける。
【0068】
送受信切替制御部3Cは、伝送信号処理部4A−1及び4A−2のうち、第2の他のパケット信号伝送装置とセッション接続されている伝送信号処理部にのみパケットデータを出力し、第2の他のパケット信号伝送装置とセッション接続できない、あるいは、何らかの影響によって途中で接続が切断された伝送信号処理部に対してはパケットデータを出力しない。
【0069】
送受信切替制御部3Cは、例えば、マイクロコンピュータである。送受信切替制御部3Cは、CD−ROM等のコンピュータ可読記録媒体を再生するためのドライブ装置を備え、CD−ROMに記録されたプログラムを読み込み、送受信切替制御部3Cの主メモリにロードし、実行することによって、送受信部12、及び、伝送信号処理部4A−1及び4A−2とのデータの送受信や振り分け、及び、接続要求及び接続完了に関わるその他の信号の送受信に関する処理、パケット信号伝送装置の通信状況を監視する処理、送信するパケットデータのパケット種別を監視する処理、及び、伝送信号処理部4A−1及び4A−2の第2の他のパケット信号伝送装置との接続状態を監視する制御処理を行う。
【0070】
図8は、イーサネット(登録商標)ケーブル11から送受信部12に入力されるパケットデータD1と伝送信号処理部4A−1及び4A−2にそれぞれ出力されるパケットデータD2及びD3を示すタイムチャートである。図8において、伝送信号処理部4A−1は第2の他のパケット信号伝送装置とセッション接続されているが、伝送信号処理部4A−2は第2の他のパケット信号伝送装置とセッション接続されていないものとする。
【0071】
図8に示されるように、送受信切替制御部3Cは、伝送信号処理部4A−1及び4A−2の他のパケット信号伝送装置との接続状態を監視しているので、送受信部12に入力された送信パケットを伝送信号処理部4A−1にのみ出力し、伝送信号処理部4A−2には出力しない。
【0072】
このとき、送受信切替制御部3Cは、伝送信号処理部4A−2を使用できないので、パケット信号伝送装置の通信状況に応じて、伝送信号処理部4A−1において受信パケット用の領域を確保する。図8において、送信パケットP19及びP20と送信パケットP21及びP22との間に、受信パケット用領域が2つ分確保されている。
【0073】
本実施形態に係るパケット信号伝送装置によれば、パケット信号伝送装置の通信状況及び送信するパケットのパケット種別に加えて、伝送信号処理部4A−1及び4A−2と第2の他のパケット信号伝送装置との接続状態を監視することにより、いずれかの伝送信号処理部4A−1又は4A−2が第2の他のパケット信号伝送装置と接続されない場合でも最適な伝送を行うことができる信号伝送装置を実現できる。
【0074】
なお、本実施形態に係るパケット信号伝送装置において、送受信切替制御部3Cは、伝送信号処理部4A−1及び4A−2と第2の他のパケット信号伝送装置との接続状態を監視した。しかし、本発明はこの構成に限らず、伝送信号処理部4A−1及び4A−2の第2の他のパケット信号伝送装置との接続状態に代えて、伝送信号処理部4A−1及び4A−2の第2の他のパケット信号伝送装置との信号品質(例えば、ビットエラーレート等)を監視して、所定のしきい値以上の信号品質で伝送可能である伝送信号処理部を選択してもよい。あるいは、第2の他のパケット信号伝送装置との接続状態と、第2の他のパケット信号伝送装置との信号品質とを両方監視してもよい。
【0075】
また、第2、第3、及び第4の実施形態に係るパケット信号伝送装置において、2つの伝送信号処理部4A−1及び4A−2が設けられた。しかし、本発明はこの構成に限らず、複数N個の伝送信号処理部を備えていてもよい。伝送信号処理部の数が多い程、最大伝送速度を高くすることができ、いずれかの伝送信号処理部が使用できない場合でもパケット信号伝送装置全体に与える影響が小さくて済む。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明に係る信号伝送装置とそのための制御方法、プログラム及びコンピュータ可読記録媒体は、同軸ケーブルを利用した伝送システムや、IEEEで規格を制定している無線LANシステム等、複数の異なる周波数チャネルを有している伝送システムにおいて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るパケット信号伝送装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係るパケット信号伝送装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るパケット信号伝送装置における、伝送開始直後における、送受信部12に入力されるパケットデータ、及び、伝送信号処理部4A−1及び4A−2にそれぞれ入力されたパケットデータを示すタイムチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るパケット信号伝送装置における、一定時間経過後における、送受信部12に入力されたパケットデータ、及び、伝送信号処理部入力にそれぞれ入力されたパケットデータを示すタイムチャートである。
【図5】本発明の第3の実施形態に係るパケット信号伝送装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係るパケット信号伝送装置における、送受信部12に(登録商標)から入力されたパケットデータ、及び、伝送信号処理部4A−1及び4A−2にそれぞれ入力されたパケットデータを示すタイムチャートである。
【図7】本発明の第4の実施形態に係るパケット信号伝送装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第4の実施形態に係るパケット信号伝送装置における、送受信部12に入力されたパケットデータ、及び、伝送信号処理部4A−1及び4A−2にそれぞれ入力されたパケットデータを示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0078】
1…データ生成処理部、
2…データ受信処理部、
3,3A,3B,3C…送受信切替制御部、
4−1〜4−N,4A−1,4A−2…伝送信号処理部、
5−1〜5−N,5A−1,5A−2…メディアアクセスコントロール(MAC)処理部、
6−1〜6−N,6A−1,6A−2…ベースバンド(BB)処理部、
7−1〜7−N,7A−1,7A−2…高周波(RF)処理部、
8−1〜8−N,8A−1,8A−2…伝送制御部、
9,9A…混合分配器、
10…送受信アンテナ、
11…イーサネット(登録商標)ケーブル、
12…送受信部、
13…同軸端子、
14…同軸ケーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手方の信号伝送装置と接続された伝送媒体を介して、異なる周波数を有する搬送波信号を用いて伝送信号を送受信する複数の伝送信号処理手段と、
入力される送信データに基づいて、上記相手方の信号伝送装置との接続状態と、上記相手方の信号伝送装置との信号品質と、上記相手方の信号伝送装置との送受信における送信と受信との利用比率と、上記送信データのデータ種別との少なくとも1つに応じて、上記送信データを伝送すべき少なくとも1つの伝送信号処理手段を選択して、上記選択された伝送信号処理手段を用いて上記送信データを相手方の信号伝送装置に伝送するように制御する制御手段とを備えたことを特徴とする信号伝送装置。
【請求項2】
上記制御手段は、上記相手方の信号伝送装置との接続状態に応じて、上記送信データを伝送すべき少なくとも1つの伝送信号処理手段を選択し、上記相手方の信号伝送装置と接続された伝送信号処理手段を用いて上記送信データを相手方の信号伝送装置に伝送するように制御することを特徴とする請求項1記載の信号伝送装置。
【請求項3】
上記制御手段は、上記相手方の信号伝送装置との信号品質に応じて、所定のしきい値以上の信号品質で伝送可能である少なくとも1つの伝送信号処理手段を選択し、上記相手方の信号伝送装置と接続された伝送信号処理手段を用いて上記送信データを相手方の信号伝送装置に伝送するように制御することを特徴とする請求項1記載の信号伝送装置。
【請求項4】
上記制御手段は、上記相手方の信号伝送装置との送受信における送信と受信との利用比率に応じて、上記利用比率に実質的に対応するような利用比率となるように少なくとも1つの伝送信号処理手段を選択し、上記相手方の信号伝送装置と接続された伝送信号処理手段を用いて上記送信データを相手方の信号伝送装置に伝送するように制御することを特徴とする請求項1記載の信号伝送装置。
【請求項5】
上記制御手段は、上記送信データのデータ種別に応じて、上記送信データを伝送すべき少なくとも1つの伝送信号処理手段を選択し、プロトコル層でパケット順序が保証されない第1のプロトコルの送信データを送信するときに1つの伝送信号処理手段を選択する一方、プロトコル層でパケット順序が保証される第2のプロトコルの送信データを送信するときに少なくとも1つの伝送信号処理手段を選択し、上記送信データを相手方の信号伝送装置に伝送するように制御することを特徴とする請求項1記載の信号伝送装置。
【請求項6】
相手方の信号伝送装置と接続された伝送媒体を介して、異なる周波数を有する搬送波信号を用いて伝送信号を送受信する複数の伝送信号処理手段を備えた信号伝送装置のための制御方法において、
入力される送信データに基づいて、上記相手方の信号伝送装置との接続状態と、上記相手方の信号伝送装置との信号品質と、上記相手方の信号伝送装置との送受信における送信と受信との利用比率と、上記送信データのデータ種別との少なくとも1つに応じて、上記送信データを伝送すべき少なくとも1つの伝送信号処理手段を選択して、上記選択された伝送信号処理手段を用いて上記送信データを相手方の信号伝送装置に伝送するように制御する制御ステップを含むことを特徴とする信号伝送装置のための制御方法。
【請求項7】
上記制御ステップは、上記相手方の信号伝送装置との接続状態に応じて、上記送信データを伝送すべき少なくとも1つの伝送信号処理手段を選択し、上記相手方の信号伝送装置と接続された伝送信号処理手段を用いて上記送信データを相手方の信号伝送装置に伝送するように制御することを特徴とする請求項6記載の信号伝送装置のための制御方法。
【請求項8】
上記制御ステップは、上記相手方の信号伝送装置との信号品質に応じて、所定のしきい値以上の信号品質で伝送可能である少なくとも1つの伝送信号処理手段を選択し、上記相手方の信号伝送装置と接続された伝送信号処理手段を用いて上記送信データを相手方の信号伝送装置に伝送するように制御することを特徴とする請求項6記載の信号伝送装置のための制御方法。
【請求項9】
上記制御ステップは、上記相手方の信号伝送装置との送受信における送信と受信との利用比率に応じて、上記利用比率に実質的に対応するような利用比率となるように少なくとも1つの伝送信号処理手段を選択し、上記相手方の信号伝送装置と接続された伝送信号処理手段を用いて上記送信データを相手方の信号伝送装置に伝送するように制御することを特徴とする請求項6記載の信号伝送装置のための制御方法。
【請求項10】
上記制御ステップは、上記送信データのデータ種別に応じて、上記送信データを伝送すべき少なくとも1つの伝送信号処理手段を選択し、プロトコル層でパケット順序が保証されない第1のプロトコルの送信データを送信するときに1つの伝送信号処理手段を選択する一方、プロトコル層でパケット順序が保証される第2のプロトコルの送信データを送信するときに少なくとも1つの伝送信号処理手段を選択し、上記送信データを相手方の信号伝送装置に伝送するように制御することを特徴とする請求項6記載の信号伝送装置のための制御方法。
【請求項11】
請求項6乃至10のうちのいずれか1つに記載の信号伝送装置のための制御方法の制御ステップを含むことを特徴とする信号伝送装置のためのプログラム。
【請求項12】
請求項11記載の信号伝送装置のためのプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ可読記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−180923(P2007−180923A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−377200(P2005−377200)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】