説明

信号処理装置

【課題】車両が安定走行状態にある時、車高センサやロール角速度センサ等の車両の姿勢状態を検出するセンサの出力信号から、路面の凹凸等の影響による信号雑音を十分に除去することが可能な信号処理装置を提供する。
【解決手段】操舵角・操舵角速度測定部21が、車両1の操舵角X(t)を測定し、操舵角X(t)から操舵角速度Y(t)を算出する。そして、走行状態判定部22が、操舵角X(t)及び操舵角速度Y(t)に基づき車両1の走行状態STSを判定する。この結果、車両1が安定して走行していると判定された時、カットオフ周波数設定部23が、カットオフ周波数Fを信号雑音除去用の低周波数FLに設定し、車両1が安定して走行していないと判定された時、カットオフ周波数Fを位相遅れ防止用の高周波数FHに設定する。そして、ローパスフィルタ24が、車高センサ10L及び10Rの車高変位信号HL(t)及びHR(t)中のカットオフ周波数F以下の周波数成分(HLf(t)及びHRf(f))だけをそれぞれ通過させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は信号処理装置に関し、特に車両の姿勢状態を検出するセンサの出力信号から路面外乱等によるバネ上ロール信号雑音(ノイズ成分)を除去する信号処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記のような信号処理装置の従来例[1]及び[2]を、図4及び5を参照して以下に説明する。
【0003】
従来例[1]:図4
車両の横転防止制御技術として、図4(1)に示すように、ロール角・ロール角速度測定部100で検出したロール角θ(t)及びロール角速度ω(t)に基づき、ロールオーバ判定装置200が車両のロールオーバ発生の危険性を判定する技術が用いられている。
【0004】
上記のロール角・ロール角速度測定部100は、一般に、同図(2)に示すように構成され、まず、車両の姿勢状態を検出するセンサの一例である車高センサ10が、車両の左右両側の車高変位信号HL(t)及びHR(t)をそれぞれ出力する。
【0005】
そして、信号処理装置20は、これらの信号HL(t)及びHR(t)中の予め定めたカットオフ周波数F以下の周波数成分だけをそれぞれ通過させることにより、ノイズ成分を除去した車高変位信号HLf(t)及びHRf(t)をロール角算出部30に与える。
【0006】
これらを受けたロール角算出部30は、信号HLf(t)及びHRf(t)からロール角θ(t)を算出し、ロール角速度算出部40及び後段のロールオーバ判定装置200に与える。
【0007】
ロール角速度算出部40は、ロール角θ(t)からロール角速度ω(t)を算出し、やはり後段のロールオーバ判定装置200に与える。
【0008】
これにより、ロールオーバ判定装置200は、ノイズ成分除去後の車高変位信号HLf(t)及びHRf(t)から算出された精度の良いロール角θ(t)及びロール角速度ω(t)に基づき、的確にロールオーバ状態を判定することが可能となる。
【0009】
しかしながら、カットオフ周波数Fは固定の周波数に設定されるため、この周波数が高い場合と低い場合とで、それぞれ下記(1)及び(2)に示す問題を生じる虞れがある。
【0010】
(1)カットオフ周波数Fが高い場合:
車両が凹凸等の大きい路面を走行している場合、信号処理装置20は、路面の凹凸等の影響による車高変位信号HL(t)及びHR(t)中のノイズ成分を十分に除去できず、後段で算出されるロール角θ(t)及びロール角速度ω(t)の精度を悪くし、その結果、ロールオーバ判定装置200での誤判定を引き起こしてしまう。
【0011】
(2)カットオフ周波数Fが低い場合:
信号処理装置20は、路面の凹凸等の影響による車高変位信号HL(t)及びHR(t)中のノイズ成分を十分に除去できるが、ノイズ成分除去後の車高変位信号HLf(t)及びHRf(t)に位相遅れ(すなわち、動作遅れ)を生じさせてしまう。このため、例えば危険回避時のような急激なロール運動に対してロールオーバ判定装置200でのロールオーバー判定が遅れ、危険を回避できなくなってしまう。
【0012】
これらの問題に対処するため、以下に説明する従来例[2]が既に提案されている。
【0013】
従来例[2]:図5
図5に示すロール角・ロール角速度測定部100は、ロール角速度ω(t)を検出するロール角速度センサ50と、このロール角速度ω(t)を入力して低いカットオフ周波数でノイズ成分を除去する信号処理装置20Lと、高いカットオフ周波数でノイズ成分を除去する信号処理装置20Hと、これらの信号処理装置20L及び20Hでノイズ成分を除去したロール角速度ωf_L(t)及びωf_H(t)から、それぞれロール角θ_L(t)及びθ_H(t)を算出すると共に、ロール角速度ωf_L(t)及びωf_H(t)と算出したロール角θ_L(t)及びθ_H(t)とをそれぞれ出力するロール角算出部30_1及び30_2とで構成されている。
【0014】
なお、この例では、車両の姿勢状態を検出するセンサとしてロール角速度センサ50を用いているが、上記の従来例[1]で示した車高センサを用いた場合も、ロール角θ(t)及びロール角速度ω(t)の算出方法が異なるだけで以下の説明は同様に適用される。
【0015】
このロール角・ロール角速度測定部100においては、信号処理装置20L及び20Hが、それぞれ低いカットオフ周波数及び高いカットオフ周波数に基づき、同時且つ並列にロール角速度ω(t)からノイズ成分を除去する。
【0016】
これにより、ロールオーバ判定装置200は、低いカットオフ周波数でノイズ成分が除去されたロール角速度ωf_L(t)及びこれから算出されたロール角θ_L(t)と、高いカットオフ周波数でノイズ成分が除去されたロール角速度ωf_H(t)及びこれから算出されたロール角θ_H(t)との両方に基づき、ロールオーバを判定することが可能となる(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005-75041号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記の従来例[2]は、高低の両カットオフ周波数を同時に用いてノイズ成分を除去するものであり、ロールオーバ判定装置200には、図6に示すように、まず信号処理装置20Hから出力されるノイズ成分の大きいロール角速度ωf_H(t)及び精度の悪いロール角θ_H(t)が入力され、次いで信号処理装置20Lから位相遅れを伴って出力されるノイズ成分の小さいロール角速度ωf_L(t)及び精度の良いロール角θ_L(t)が入力される。
【0018】
上記の従来例[2]において、車両が急激なロール運動等の不安定走行状態にある時、ロール角速度ωf_L(t)及びωf_H(t)、並びにロール角θ_H(t)及びθ_L(t)の原信号であるセンサ出力信号の値(パワー)は路面の凹凸等の大小(すなわち、ノイズ成分の大小)に関わらず大きく、以て信号対雑音比(S/N比)が大きいため、センサ出力信号中に含まれるノイズ成分はロールオーバ判定装置200でのロールオーバ判定に影響を与えない。
【0019】
また、車両が直進走行等の安定走行状態にあってセンサ出力信号のパワーが小さい時でも、路面の凹凸等が小さい時には、センサ出力信号中に含まれるノイズ成分が小さく、以てS/N比がやはり大きいため、車両が不安定走行状態にある時と同様にロールオーバ判定には影響を与えない。
【0020】
しかしながら、車両が安定走行状態にあり且つ路面の凹凸等が大きい時には、センサ出力信号のパワーが小さく且つノイズ成分が大きい(S/N比が小さい)。従って、ロールオーバ判定装置200が、ロール角算出部30_2から先に入力されるノイズ成分のより大きいロール角速度ωf_H(t)及びロール角θ_L(t)に基づきロールオーバ判定を行った場合、車両が安定走行しているにも関わらずロールオーバ発生の危険性が有ると誤判定されてしまう虞れがあり、正しい判定結果が得られないという課題がある。
【0021】
また、ロール角算出部30_1から遅れて入力されるノイズ成分のより小さいロール角速度ωf_L(t)及びロール角θ_L(t)も併せて用いることによりロールオーバ判定を行う場合には、どちらの入力に基づいて判定を行えば良いか分からなくなってしまうという課題がある。
【0022】
従って、本発明は、車両が安定走行状態にある時、車高センサやロール角速度センサ等の車両の姿勢状態を検出するセンサの出力信号から、路面の凹凸等の影響による信号雑音を十分に除去することが可能な信号処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
[1]上記の目的を達成するため、本発明に係る信号処理装置は、車両の操舵角又は操舵角速度を測定し、一方から他方を算出する測定部と、該操舵角及び該操舵角速度に基づき該車両が安定して走行しているか否かを判定する走行状態判定部と、該車両が安定して走行していると判定された時、カットオフ周波数を信号雑音除去用の第1周波数に設定するカットオフ周波数設定部と、該車両に搭載された車両の姿勢状態を検出するセンサの出力信号中の該カットオフ周波数以下の周波数成分だけを通過させるローパスフィルタとを備えたことを特徴とする。
【0024】
すなわち、走行状態判定部は、測定部で測定又は算出された操舵角及び操舵角速度に基づき車両が安定して走行しているか否かを判定する。
【0025】
ここで、該操舵角は、該車両の直進走行から旋回走行迄の連続的な走行状態中の一の状態を示し、該操舵角速度は、該車両の定常操舵から急操舵迄の連続的な走行状態中の一の状態を示すものであるため、両者に基づき該判定を行うことができる。
【0026】
該判定の結果、該車両が安定して走行していると判定された時、カットオフ周波数設定部は、カットオフ周波数を信号雑音除去用の第1周波数(すなわち、ノイズ成分を十分に除去できる低い周波数)に設定する。
【0027】
これにより、ローパスフィルタは、該車両が安定して走行している時、該車両の姿勢状態を検出するセンサの出力信号中から、低いカットオフ周波数を用いて路面の凹凸等の影響によるノイズ成分を十分に除去した信号を取り出すことが可能である。
【0028】
[2]また、上記[1]において、該カットオフ周波数設定部が、該車両が安定して走行していないと判定された時、該カットオフ周波数を位相遅れ防止用の該第1周波数より高い第2周波数に設定するようにしても良い。
【0029】
すなわち、該車両が安定して走行していない(不安定走行状態にある)場合には、上述した通り、該センサ出力信号とノイズ成分とのS/N比が大きく且つ後段の装置での判定処理等の緊急性が高いため、ノイズ成分の除去に掛かる処理時間を低減させ、以てノイズ成分除去後の信号に位相遅れを生じさせないことが望ましい。
【0030】
このため、該カットオフ周波数設定部は、該車両が安定して走行していないと判定された時、該カットオフ周波数を位相遅れ防止用の該第1周波数より高い第2周波数に設定する(切り替える)。
【0031】
これにより、ローパスフィルタは、該車両が不安定走行状態にある時、該センサの出力信号中から、高いカットオフ周波数を用いて迅速にノイズ成分を除去することが可能である。
【0032】
[3]また、上記[1]又は[2]において、該走行状態判定部が、該操舵角と該操舵角速度の関係を示す二次元マップを有し、該操舵角と該操舵角速度により特定される該二次元マップ上の点が、該二次元マップ上に設定した安定領域と横転危険領域とを区分けする境界線に対して該安定領域側に在る時、該車両が安定して走行していると判定し、該横転危険領域側に在る時、該車両が横転する危険性があると判定するようにしても良い。
【0033】
すなわち、該車両の走行状態を、該操舵角と該操舵角速度の関係を示す二次元マップを用いることにより簡易に判定することができる。
【0034】
[4]また、上記[1]から[3]のいずれか一つにおいて、該センサが、該車両の車高変位信号を出力する車高センサであり、該ローパスフィルタ処理部を通過した車高変位信号から、該車両のロール角を算出するロール角算出部をさらに備えるようにしても良い。
【0035】
すなわち、十分にノイズ成分が除去された車高変位信号からロール角を算出することができるため、上記の従来例[1]及び[2]で示したようなロールオーバ判定装置に正しくロールオーバ判定を行わせることが可能である。
【0036】
[5]また、上記[4]において、該ロール角から、該車両のロール角速度を算出するロール角速度算出部をさらに備えるようにしても良い。
【0037】
すなわち、上記[4]と同様、十分にノイズ成分が除去されたロール角速度を、上記の従来例[1]及び[2]で示したようなロールオーバ判定装置に与えることが可能である。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、車両が安定走行状態にある時、車高センサやロール角速度センサ等の車両の姿勢状態を検出するセンサの出力信号から、路面の凹凸等の影響による信号雑音を十分に除去することができ、以て後段の演算装置や判定装置等を正常に動作させることができる。
【0039】
また、車両が不安定走行状態にある時には、迅速に信号雑音を除去できるようにしたので、後段の演算装置や判定装置等を遅延無く動作させることができる。
【0040】
さらに、車高センサやロール角速度センサ等の出力信号の流れ及び信号雑音除去後の信号に基づく制御系統には何ら変更が生じないため、種々の装置に共通して適用することができ、以て開発コストを低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明に係る信号処理装置の実施例を、図1〜3を参照して以下に説明する。
【0042】
1.構成例:図1
図1に示す車両1は、車両1の左右両側に距離Lだけ隔てて設置され、それぞれ車両1の左側の車高変位信号HL(t)及び右側の車高変位信号HR(t)を出力する車高センサ10L及び10Rと、これらの車高変位信号HL(t)及びHR(t)からノイズ成分を除去する信号処理装置20と、この信号処理装置20から出力されるノイズ成分除去後の車高変位信号HLf(t)及びHRf(t)からロール角θ(t)を算出するロール角算出部30と、このロール角算出部30から出力されるロール角θ(t)からロール角速度ω(t)を算出するロール角速度算出部40とを搭載している。
【0043】
信号処理装置20は、さらに、車両1の操舵角X(t)を測定し、操舵角X(t)から操舵角速度Y(t)を算出する操舵角・操舵角速度測定部21と、これらの操舵角X(t)及び操舵角速度Y(t)に基づき車両1の走行状態STSを判定する走行状態判定部22と、この走行状態STSに応じてカットオフ周波数Fを信号雑音除去用の低周波数FL又は位相遅れ防止用の高周波数FHに設定するカットオフ周波数設定部23と、カットオフ周波数設定部23により設定されたカットオフ周波数Fに基づき、車高センサ10L及び10Rから出力される車高変位信号HL(t)及びHR(t)中のカットオフ周波数F以下の周波数成分だけをそれぞれ通過させて、ノイズ成分除去後の車高変位信号HLf(t)及びHRf(t)を発生するローパスフィルタ24とで構成されている。
【0044】
なお、本実施例では、車両1の姿勢状態を検出するセンサとして、車高センサ10L及び10Rを用いているが、図5に示したようなロール角速度センサを用いた場合も、ロール角θ(t)及びロール角速度ω(t)の算出方法が異なるだけで以下の説明は同様に適用される。
【0045】
2.動作例:図2及び3
次に、図1に示した車高センサ10、信号処理装置20、ロール角算出部30、及びロール角速度算出部40の動作を、図2及び3を参照して説明する。
【0046】
図2に示すように、まず信号処理装置20を構成する操舵角・操舵角速度測定部21が、車両1の操舵角X(t)を測定すると共に、測定した操舵角X(t)から操舵角速度Y(t)を算出し、これらの操舵角X(t)及び操舵角速度Y(t)を走行状態判定部22に与える(ステップS1)。
【0047】
これらを受けた走行状態判定部22は、操舵角X(t)及び操舵角速度Y(t)に基づき、例えば図3に示す二次元マップを用いて車両1の走行状態STSを判定する(ステップS2)。
【0048】
ここで、この二次元マップにおけるX軸は操舵角を示し、Y軸は操舵角速度を示しており、以下の式(1)で示される境界線T1により安定領域R1と横転危険領域R2とに区分けされている。
・Y=−B/A*X+B (A:X軸切片、B:Y軸切片) …式(1)
【0049】
また、安定領域R1は、車両1がより直進且つ定常操舵に近い安定した走行を行っている状態を示し、横転危険領域R2は、車両1がより旋回且つ急操舵に近い走行を行っている状態(すなわち、車両1が横転する危険性のある状態)を示している。
【0050】
今、操舵角X(t)及び操舵角速度Y(t)により特定される二次元マップ上の点が、安定領域R1側の点S1であるとすると、走行状態判定部22は、車両1が安定して走行していると判定し、これを走行状態STSとしてカットオフ周波数設定部23に与える。
【0051】
これを受けたカットオフ周波数設定部23は、カットオフ周波数Fを信号雑音除去用の低周波数FLに設定してローパスフィルタ24に与える(ステップS3)。
【0052】
一方、車両1が急激な旋回走行等を行った場合であって、操舵角X(t)及び操舵角速度Y(t)により特定される二次元マップ上の点が、点S1から横転危険領域R2側の点S2に遷移した時、走行状態判定部22は、車両1が横転する危険性があると判定し、これを走行状態STSとしてカットオフ周波数設定部23に与える。
【0053】
これを受けたカットオフ周波数設定部23は、カットオフ周波数Fを位相遅れ防止用の高周波数FHに設定してローパスフィルタ24に与える(ステップS4)。
【0054】
このように、車両1の走行状態に応じてカットオフ周波数Fの高低を切り替えることができる。
【0055】
そして、車高センサ10L及び10Rが車高変位信号HL(t)及びHR(t)をそれぞれ検出して(ステップS5)ローパスフィルタ24に与えると、ローパスフィルタ24は、これらの信号HL(t)及びHR(t)中の上記のステップS3又はS4で設定されたカットオフ周波数F以下の周波数成分だけをそれぞれ通過させることにより、ノイズ成分を除去した車高変位信号HLf(t)及びHRf(t)をロール角算出部30に与える(ステップS6)。
【0056】
これらを受けたロール角算出部30は、以下の式(2)に従ってロール角θ(t)を算出し、ロール角速度算出部40、及び後段のロールオーバ判定装置(図示せず)等に与える(ステップS7)。
・θ(t)=arcsin{(HLf(t)−HRf(t))/L} …式(2)
但し、Lは車高センサ10L及び10R同士間の距離。
【0057】
そして、ロール角θ(t)を受けたロール角速度算出部40は、以下の式(3)に従ってロール角速度ω(t)を算出し、後段のロールオーバ判定装置等に与える(ステップS8)。
・ω(t)=(θ(t)−θ(t−Δt))/Δt …式(3)
【0058】
なお、上記実施例によって本発明は限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づき、当業者によって種々の変更が可能なことは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る信号処理装置の実施例を示したブロック図である。
【図2】本発明に係る信号処理装置の実施例の動作例を示したフローチャート図である。
【図3】本発明に係る車両の信号処理装置に用いる二次元マップの一例を示したグラフ図である。
【図4】信号処理装置の従来例[1]を示したブロック図である。
【図5】信号処理装置の従来例[2]を示したブロック図である。
【図6】従来例[2]の動作例を示したシーケンス図である。
【符号の説明】
【0060】
1 車両
10, 10L, 10R 車高センサ
20, 20L, 20H 信号処理装置
21 操舵角・操舵角速度測定部
22 走行状態判定部
23 カットオフ周波数設定部
24 ローパスフィルタ
30, 30_1, 30_2 ロール角算出部
40 ロール角速度算出部
50 ロール角速度センサ
100 ロール角・ロール角速度測定部
200 ロールオーバ判定装置
HL(t), HR(t) 車高変位信号
HLf(t), HRf(t) ノイズ成分除去後の車高変位信号
X(t) 操舵角
Y(t) 操舵角速度
STS 走行状態
F カットオフ周波数
FH 高周波数
FL 低周波数
θ(t), θ_L(t), θ_H(t) ロール角
ω(t) ロール角速度
ωf_L(t), ωf_H(t) ノイズ成分除去後のロール角速度
R1 安定領域
R2 横転危険領域
S1, S2 二次元マップ上の点
T1 境界線
A X軸切片
B Y軸切片
図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の操舵角又は操舵角速度を測定し、一方から他方を算出する測定部と、
該操舵角及び該操舵角速度に基づき該車両が安定して走行しているか否かを判定する走行状態判定部と、
該車両が安定して走行していると判定された時、カットオフ周波数を信号雑音除去用の第1周波数に設定するカットオフ周波数設定部と、
該車両に搭載された車両の姿勢状態を検出するセンサの出力信号中の該カットオフ周波数以下の周波数成分だけを通過させるローパスフィルタと、
を備えたことを特徴とする信号処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
該カットオフ周波数設定部が、該車両が安定して走行していないと判定された時、該カットオフ周波数を位相遅れ防止用の該第1周波数より高い第2周波数に設定することを特徴とした信号処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
該走行状態判定部が、該操舵角と該操舵角速度の関係を示す二次元マップを有し、該操舵角と該操舵角速度により特定される該二次元マップ上の点が、該二次元マップ上に設定した安定領域と横転危険領域とを区分けする境界線に対して該安定領域側に在る時、該車両が安定して走行していると判定し、該横転危険領域側に在る時、該車両が横転する危険性があると判定することを特徴とした信号処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つにおいて、
該センサが、該車両の車高変位信号を出力する車高センサであり、
該ローパスフィルタを通過した車高変位信号から、該車両のロール角を算出するロール角算出部をさらに備えたことを特徴とする信号処理装置。
【請求項5】
請求項4において、
該ロール角から、該車両のロール角速度を算出するロール角速度算出部をさらに備えたことを特徴とする信号処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−62755(P2008−62755A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−241777(P2006−241777)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】