説明

信号操作装置

【課題】交差点に必ず設置されている押しボタン箱にリーダライタと緊急ボタンを新たに設置することにより、通常は信号操作のために使用し、緊急時にはICカードを所持する人が緊急ボタンを押した場合に限り緊急事態を外部装置に報知するようにして、いたずらによる誤動作を低減して緊急性の確度を高めると共に、設備のコストパフォーマンスを良くすることができる信号操作装置を提供する。
【解決手段】この信号操作装置300は、緊急信号を出力する緊急ボタン32と、要求ボタン34又はICカードを近接したときに点灯するランプ33と、歩行者信号灯器の青点灯開始を要求する要求ボタン34と、リーダ又はリーダライタ100と、緊急事態を図示しない外部装置に送信する制御回路37と、緊急事態が発生したことを報知する回転灯36と、を備えて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号操作装置に関し、さらに詳しくは、緊急ボタンとICカード用リーダライタを備えた信号操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、児童に対する犯罪或いは女性に対する痴漢、ストーカー等の犯罪が多発し、日本の安全神話が崩壊しつつある。特に、無抵抗な児童に対する犯罪を防止するために、街ぐるみで通学途中の児童を監視したり、児童に防犯ブザーを持たせて危険を察知したときに周囲に報知する等の対策がとられている。しかし、常に街ぐるみで監視するには限界があり、特に、警察に全てを任せることにも人的、予算的にも困難が伴う。
そこで、防犯に対する従来技術として特許文献1には、照明灯と、緊急呼出スイッチと、監視カメラを含む緊急警報機器と、マイク、スピーカ、カメラ、モニタ表示部を有し、双方向の通話を可能としたテレビインターホンとを備えた、複数の防犯灯ポールと、防犯灯監視制御サーバと、携帯端末器とをネットワークに接続して構成されたシステムであって、防犯灯監視制御サーバは、いずれかの防犯灯ポールを介して携帯端末器から、予めユーザ登録している識別コードを伴う警報作動要求を受けたときには、対応した防犯灯ポールの緊急警報機器を作動させるようにしたネットワーク型緊急通報システムについて開示されている。
【特許文献1】特開2002−288764公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に開示されている従来技術は、緊急呼出スイッチを押すと無条件に緊急警報が行なわれるため、いたずらにより無駄な動作が頻繁に行なわれるといった問題がある。それを防止するために、登録された識別コードを持つ携帯端末器からの要求のみに対応するようにしているが、携帯端末器からサーバを呼び出さなければならず、緊急時に間に合わないといった虞がある。
また、防犯灯ポールに緊急警報のためだけに使用する緊急警報機器を取り付けるため、設備のコストパフォーマンスが必ずしも良いとはいえない。
【0004】
本発明は、かかる課題に鑑み、交差点に必ず設置されている押しボタン箱にリーダライタと緊急ボタンを新たに設置することにより、通常は信号操作のために使用し、緊急時にはICカードを所持する人が緊急ボタンを押した場合に限り緊急事態を外部装置に報知するようにして、いたずらによる誤動作を低減して緊急性の確度を高めると共に、設備のコストパフォーマンスを良くすることができる信号操作装置を提供することを目的とする。
また、他の目的は、横断開始から横断終了までの時間により、青信号時間の延長可否を判断して、信号動作の円滑化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、歩行者用信号灯器の青点灯開始を要求する要求ボタンを備えた信号操作装置であって、非接触情報記録媒体のアンテナを介して、所定の変復調方式に基づく搬送電力の送信とデータの授受を非接触にて行うリーダ又はリーダライタと、緊急事態発生時に操作されることにより緊急信号を出力する緊急ボタンと、前記リーダ又はリーダライタからの情報及び前記緊急ボタンからの緊急信号に基づいて緊急事態を外部装置に送信する制御回路と、を備え、前記制御回路は、前記リーダ又はリーダライタが前記非接触情報記録媒体に記録されたIDを読み取り、且つ前記緊急ボタンが押されたことを確認した場合、前記外部装置に対して前記ID及び緊急事態が発生した旨を送信することを特徴とする。
本発明の信号操作装置には、登録された人(基本的には交通弱者と呼ばれる視覚障害者や老齢者等及び予め登録した人)が所持する非接触ICカードの情報を読みとるリーダ又はリーダライタと、非接触ICカードがリーダ又はリーダライタに近接されたときのみ有効となる緊急ボタンと、緊急時に外部装置にその情報を送信する制御回路と、を要求ボタンと共に備えている。
【0006】
請求項2は、前記制御回路は、前記緊急事態が発生したことを報知する報知手段を更に備え、前記外部装置に対して前記ID及び緊急事態が発生した旨を送信した後、該外部装置から前記IDが登録されたIDと合致する旨の情報を受信した場合、前記報知手段を駆動することを特徴とする。
また、本発明の信号操作装置には、緊急事態が発生したことを周囲に報知して、不正者に対して威嚇するための例えば、警報ランプや警報音等の報知手段を更に備えている。この報知手段は、外部装置が登録されたIDによる警報であることを確認して初めて有効となる。
請求項3は、前記制御回路は、前記リーダ又はリーダライタにより前記非接触情報記録媒体に記録されたID又は弱者ビットが読み取られた場合、前記歩行者用信号灯器の青点灯時間を所定の時間延長することを特徴とする。
非接触情報記録媒体を使用する人は基本的に交通弱者である。従って、交通弱者が非接触情報記録媒体をリーダ又はリーダライタに近接した場合、横断歩道を渡るものと判断して青信号の時間を延長するものである。
【0007】
請求項4は、前記制御回路は、前記緊急ボタンが押された場合でも、前記非接触情報記録媒体が前記リーダ又はリーダライタと交信しないときは、不正操作と判断して該操作を無効とすることを特徴とする。
いたずらによって緊急ボタンを押されることがある。もし、この動作のみで緊急事態であると送信した場合、不要な緊急事態が多発する虞がある。また、その不正者を特定することも不可能となる。そこで本発明では、緊急ボタンのみが押された場合、不正操作と判断するものである。
請求項5は、前記制御回路は、横断開始側の前記リーダ又はリーダライタにより前記非接触情報記録媒体に記録されたIDが読み取られた場合、前記歩行者用信号灯器の青点灯時間を所定の時間延長し、該青点灯時間満了前に前記IDを記録した非接触情報記録媒体が横断終了側の前記リーダ又はリーダライタと交信した場合、該青点灯時間の延長をその時点で終了することを特徴とする。
本発明は、横断開始側のリーダ又はリーダライタにより非接触情報記録媒体に記録されたIDが読み取られると自動的に青信号時間が延長される。しかし、その非接触情報記録媒体を使用する横断者が青点灯時間満了前に渡り終われば、それ以降の青信号を延長する必要がない。
【0008】
請求項6は、前記非接触情報記録媒体は、電磁誘導方式若しくは電波方式により前記リーダ又はリーダライタとの間で所定の変復調方式に基づく搬送電力の送信とデータの授受を非接触にて行なうことを特徴とする。
非接触情報記録媒体には、交信距離が数10センチ程度の電磁誘導方式と交信距離が1〜5メートルの電波方式のものがある。従って、電磁誘導方式の非接触情報記録媒体はリーダ又はリーダライタに意識的に近接して情報を読み取らせる必要がある。また、電波方式の非接触情報記録媒体はリーダ又はリーダライタに近づくだけで交信が行なわれる。
請求項7は、前記非接触情報記録媒体は、前記電磁誘導方式による非接触情報記録媒体と、該非接触情報記録媒体を収納自在とする収納部に形成されたコ字形状のアンテナと、制御ICにより構成される電波方式の非接触情報記録媒体と、を一体構成としたことを特徴とする。
2種類の非接触情報記録媒体を個別に所持すると、一方を忘れたり、或いはリーダライタに近接する場合に手間がかかる。そこで本発明では、2種類の非接触情報記録媒体を同じパスケースに収納したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、信号操作装置には、登録された人が所持する非接触ICカードの情報を読みとるリーダ又はリーダライタと、非接触ICカードがリーダ又はリーダライタに近接されたときのみ有効となる緊急ボタンと、緊急時に外部装置にその情報を送信する制御回路と、を要求ボタンと共に備えているので、信号操作のみならず、緊急ボタンのいたずらによる誤動作を低減して緊急性の確度を高めると共に、設備のコストパフォーマンスを良くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は、一般的なリーダライタの構成を示すブロック図である。このリーダライタ100は、リーダライタ100との間でデータの授受を行ってシステム全体を制御する制御回路37(図4参照)によって制御される。リーダライタ100は、制御回路37とのデータの通信プロトコルを司る送受信装置1と、リーダライタ100全体の動作を制御する制御装置2と、制御装置2を動作させる手順を記録したファームウェアと読み取ったデータを格納するメモリ装置3と、制御装置2からのデータを搬送波に乗せて変調する変調器4と、操作コマンドを入力する入力装置5と、制御装置2により制御された情報を表示する表示装置6と、制御装置2からの交流信号である電力供給用信号と変調器4からの書き込みコマンドを電力増幅する電力増幅器7と、アンテナ9から受信した搬送波から2値化データに変換する検波復調器8と、図示しないICカードとの電力用搬送波とデータの授受をするアンテナ9とを備えて構成されている。
【0011】
次に、本構成によるリーダライタ100の動作を説明する前に、ICカード(非接触情報記録媒体)の構成を先に説明しておく。図2は、ICカードの構成を示すブロック図である。本実施形態のICカード200は、リーダライタ100からの電力用搬送波によりデータの授受をするアンテナ20と、書き込みコマンド読み出しコマンドを生成する送受信回路21と、アンテナ20からの電力用搬送波を受け、それを整流して直流電力に変換する電力生成回路22と、制御用ファームウェアとデータの記憶を司るメモリ装置23と、制御回路26からの送信コマンドに搬送波を乗せて変調する変調器24と、送受信回路21からの搬送波データから2値化データに変換する検波器25と、ICカード200の全体の動作を制御する制御回路26から構成されている。
【0012】
次に、図1と図2を併せて参照してそれぞれ単独の動作について説明する。リーダライタ100は、図示しない電源が入れられると制御装置2のイニシャル動作後、メモリ装置3に記憶されたプログラムに従い動作を開始する。まず、初期化が行われる。次に、制御装置2は、ICカード200に供給する電力供給用信号と、ポーリング信号を交互に電力増幅器7から送信する。その信号は、ループアンテナ9から電磁波として外部に放射される。次に、ICカード200がリーダライタ100に近接すると、アンテナ20が電力供給用信号を受信し、電力生成回路22によりその搬送波を整流して直流電力に変換して、全ての回路に供給する。電力を供給されて制御回路26が駆動すると、メモリ装置23に格納されたプログラムに従って、制御を開始する。
次に、制御回路26は、まず送受信回路21からコマンドを検波器25で復調して2値化信号に変換し、そのコマンドを解析する。その結果自分が呼び出されていることを認識すると、レスポンスを変調器24により変調して送受信回路21を介してアンテナ20から送信する。このレスポンスをリーダライタ100がループアンテナ9で受信して、検波復調器8で2値化コードに変換し、制御回路2により解析してICカード200が規格に合致したICカードであると認識する。それにより、以後リーダライタ100とICカード200の間でポーリングが行われる。
【0013】
図3は本発明の信号操作装置の外観構成図である。この信号操作装置300は、緊急事態発生時に操作されることにより緊急信号を出力する緊急ボタン32と、歩行者用信号灯器が青信号になるまで点灯するランプ33と、歩行者信号灯器の青点灯開始を要求する要求ボタン34と、ICカード(非接触情報記録媒体)200のアンテナを介して、所定の変復調方式に基づく搬送電力の送信とデータの授受を非接触にて行うリーダ又はリーダライタ100と、を備えて構成される。尚、緊急ボタン32の近傍には、児童でも判断が可能なように「助けてボタン」と表示され、ランプ33の表示部には「おまちください」の文字が書かれている。また、要求ボタン34は緊急ボタン32と区別するためにタッチ式ボタンが備えられ、表面に「タッチしてください」と表示してある。また、ICカード200を近接する位置が分かるようにリーダ又はリーダライタ100のアンテナの表面には「ICカードを近づけてください」の表示がなされた近接部35が構成されている。また、全体は堅牢なカバー31により覆われている。また、この信号操作装置300の内部には、リーダ又はリーダライタ100からの情報及び緊急ボタン32からの緊急信号に基づいて緊急事態を図示しない外部装置に送信する制御回路37(図4参照)が備えられている。また、信号操作装置300は各交差点の両側に夫々備えられ、信号制御機45と連動している。
【0014】
図4は本発明の信号操作装置の機能ブロック図である。同じ構成要素には図3と同じ参照番号を付して説明する。また、信号操作装置300には、緊急事態が発生したことを報知する回転灯(報知手段)36が備えられ、制御回路37から有線により警察署38内のサーバ(外部装置)に接続されている。また、制御回路37は、信号灯器46の動作と連動するために、信号制御機45と接続されている。尚、制御回路37は、本実施形態では信号操作装置300内に備えられているが、信号制御機45に含ませるように構成しても構わない。また、信号操作装置300と警察署38間をモバイル通信のような無線により接続しても構わない。
【0015】
次に信号操作装置300の概略動作について説明する。この説明では、ICカード100を所持する人が、緊急事態に遭遇した場合を想定して説明する。交通弱者又は予め登録した登録者が所持するICカード200が、近接部35に近接されると、図1と図2で説明した手順によりリーダ又はリーダライタ100と交信を開始し、ICカード200に記録されているIDを読み取る。その状態で、緊急ボタン32が押されると、制御回路37は緊急事態が発生したと判断して緊急信号とIDをケーブル39を介して警察署38に送信する。警察署内のサーバには予め登録したIDが記憶されているので、受信したIDが登録されているか否かを検索する。その結果、登録されているとケーブル39を介して制御回路37にその旨を知らせる。制御回路37がその信号を受信すると、登録されたIDによる緊急事態であると判断して回転灯36を回転して、周囲の人に報知する。尚、回転灯36の回転と同時にブザー等により音で報知するようにしても良い。尚、ICカード200は交信距離が短い電磁誘導方式について説明したが、交信距離が長い電波方式を使用することにより、ICカードの所持者が信号操作装置300に近づいただけでICカード200を近接部35に近接したのと同じ動作を行なうため、ICカードの所持者は緊急ボタン32を押す動作だけで緊急信号を警察署38に送信することができる。
【0016】
図5は交信距離が短い電磁誘導方式と交信距離が長い電波方式のICカードを収納するパスケースの構成図である。この図では、例えばICカード200は電磁誘導方式により動作するものであり、そのICカード200を収納する収納部43の周囲にコ字形状のアンテナ41と、制御IC42により構成される電波方式のICカード40を備える。これにより、何れの方式のリーダ又はリーダライタとの交信が可能となる。
【0017】
図6は本発明の第1の実施形態に係る信号操作装置の動作について説明するフローチャートである。図4を参照して説明する。ステップS1により要求ボタン34が押されると(S1でYESのルート)、制御回路37は信号制御機45に対してその信号を送信する。信号制御機45は信号を受信すると青信号を要求する(S2)。次にICカード200とリーダライタ100が交信を開始したか否かをチェックし(S3)、交信が開始されると(S3でYESのルート)、緊急ボタン32が押されたか否かをチェックして(S4)、緊急ボタン32が押されなければ(S4でNOのルート)、ステップS5に進んでICカード200に「弱者ビット」が記録されているかを判断し(S5)、「弱者ビット」がONであると、制御回路37は信号制御機45に対して青信号延長を送信し(S6)、信号制御機45は信号を受信すると青信号を要求する(S7)。一方、ステップS5で「弱者ビット」がOFFであると、制御回路37は信号制御機45に対して青信号を要求する(S8)。
【0018】
また、ステップS4で緊急ボタン32が押されると(S4でYESのルート)、ICカード200に記録されているIDと共に、緊急情報がケーブル39を介して警察署38のシステムに送信される(S9)。警察署内のサーバには予め登録したIDが記憶されているので、受信したIDが登録されているか否かを検索する(S10)。その結果、登録されていると(S10でYESのルート)、ケーブル39を介して制御回路37にその旨を知らせる。制御回路37がその信号を受信すると、登録されたIDによる緊急事態であると判断して回転灯36を回転して(S11)、警察官が出動し、予め登録された近所の住民に通報する(S12)。尚、ステップS10でIDが登録されていなければ(S10でNOのルート)、そのまま終了する。
一方、ステップS3でICカード200と交信せず(S3でNOのルート)、緊急ボタン32が押された場合(S13でYESのルート)、いたずらと判断して操作を無効とする(S14)。
【0019】
図7は本発明の第2の実施形態に係る信号操作装置の動作について説明するフローチャートである。図4を参照して説明する。本ICカードを所持した人がリーダ又はリーダライタ100にICカード200を近接すると交信を開始する(S21)。制御回路37は信号制御機45に信号延長の信号を送り、ステップS23に進んで信号制御機45はその信号を受信すると青信号の時間を延長する(S23)。そしてONの時間になると(S24でYESのルート)、青信号を点灯する(S25)。そして、青信号の時間満了前に(S26でNOのルート)、横断終了側のリーダ又はリーダライタ100が同じIDのICカードと交信したか否かをチェックして(S29)、ステップS29でリーダ又はリーダライタ100が同じIDのICカードと交信すると(S29でYESのルート)、青信号の延長時間をその時点で終了して(S30)、ステップS26に戻る。ステップS26で青信号の時間が終了すると(S26でYESのルート)青信号を点滅後、消灯する(S27)。これにより、無駄な延長時間をカットして交通の円滑化を図ることができる。
【0020】
以上の通り本発明によれば、信号操作装置300には、登録された人が所持するICカード200の情報を読みとるリーダ又はリーダライタ100と、ICカード200がリーダ又はリーダライタ100に近接されたときのみ有効となる緊急ボタン32と、緊急時に警察署38にその情報を送信する制御回路37と、を要求ボタン34と共に備えているので、信号操作のみならず、緊急ボタン32のいたずらによる誤動作を低減して緊急性の確度を高めると共に、設備のコストパフォーマンスを良くすることができる。
また、制御回路37は、緊急事態が発生したことを報知する回転灯36を更に備え、警察署38に対して緊急事態が発生した旨及びIDを送信後、警察署38からIDが登録されたIDであることを受信した場合、回転灯36を駆動するので、登録されていないIDに対する不要な緊急動作を未然に防止することができる。
【0021】
また、制御回路37は、リーダ又はリーダライタ100によりICカード200に記録されたIDが読み取られ、歩行者用信号灯器の青点灯時間を所定の時間延長するので、交通弱者に対して横断時間を長くして横断時の安全性を高めることができる。
また、制御回路37は、ICカード200がリーダ又はリーダライタ100と交信しないときに、緊急ボタン32が押された場合、不正操作と判断してこの操作を無効とするので、いたずらにより緊急ボタン32が押されても緊急動作を行なうことを防止することができる。
また、制御回路37は、横断開始側のリーダ又はリーダライタ100によりICカード200に記録されたIDが読み取られた場合、歩行者用信号灯器の青点灯時間を所定の時間延長し、この青点灯時間満了前にIDを記録したICカード200が横断終了側のリーダ又はリーダライタ100と交信した場合、青点灯時間の延長をその時点で終了するので、不要な青信号の延長を短縮することができ、交通を円滑に制御することができる。
【0022】
また、ICカード200は、電磁誘導方式若しくは電波方式によりリーダ又はリーダライタ100との間で所定の変復調方式に基づく搬送電力の送信とデータの授受を非接触にて行なうので、交通弱者がリーダ又はリーダライタ100にICカード200を近接するのを忘れても、青信号時間を延長して安全な横断を確保することができる。
また、ICカードは、電磁誘導方式によるICカード200と、このICカード200を収納自在とする収納部43に形成されたコ字形状のアンテナ41と、制御IC42により構成される電波方式のICカードと、を一体構成としたので、何れの方式によるリーダライタとも交信が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】一般的なリーダライタの構成を示すブロック図である。
【図2】ICカードの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の信号操作装置の外観構成図である。
【図4】本発明の信号操作装置の機能ブロック図である。
【図5】交信距離が短い電磁誘導方式と交信距離が長い電波方式のICカードを収納するパスケースの構成図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る信号操作装置の動作について説明するフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る信号操作装置の動作について説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0024】
32 緊急ボタン、33 ランプ、34 要求ボタン、35 近接部、36 回転灯、37 制御回路、38 警察署、45 信号制御機、46 信号灯器、100 リーダ又はリーダライタ、200 ICカード、300 信号操作装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行者用信号灯器の青点灯開始を要求する要求ボタンを備えた信号操作装置であって、
非接触情報記録媒体のアンテナを介して、所定の変復調方式に基づく搬送電力の送信とデータの授受を非接触にて行うリーダ又はリーダライタと、緊急事態発生時に操作されることにより緊急信号を出力する緊急ボタンと、前記リーダ又はリーダライタからの情報及び前記緊急ボタンからの緊急信号に基づいて緊急事態を外部装置に送信する制御回路と、を備え、
前記制御回路は、前記リーダ又はリーダライタが前記非接触情報記録媒体に記録されたIDを読み取り、且つ前記緊急ボタンが押されたことを確認した場合、前記外部装置に対して前記ID及び緊急事態が発生した旨を送信することを特徴とする信号操作装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記緊急事態が発生したことを報知する報知手段を更に備え、前記外部装置に対して前記ID及び緊急事態が発生した旨を送信した後、該外部装置から前記IDが登録されたIDと合致する旨の情報を受信した場合、前記報知手段を駆動することを特徴とする請求項1に記載の信号操作装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記リーダ又はリーダライタにより前記非接触情報記録媒体に記録されたID又は弱者ビットが読み取られた場合、前記歩行者用信号灯器の青点灯時間を所定の時間延長することを特徴とする請求項1又は2に記載の信号操作装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記緊急ボタンが押された場合でも、前記非接触情報記録媒体が前記リーダ又はリーダライタと交信しないときは、不正操作と判断して該操作を無効とすることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の信号操作装置。
【請求項5】
前記制御回路は、横断開始側の前記リーダ又はリーダライタにより前記非接触情報記録媒体に記録されたIDが読み取られた場合、前記歩行者用信号灯器の青点灯時間を所定の時間延長し、該青点灯時間満了前に前記IDを記録した非接触情報記録媒体が横断終了側の前記リーダ又はリーダライタと交信した場合、該青点灯時間の延長をその時点で終了することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の信号操作装置。
【請求項6】
前記非接触情報記録媒体は、電磁誘導方式若しくは電波方式により前記リーダ又はリーダライタとの間で所定の変復調方式に基づく搬送電力の送信とデータの授受を非接触にて行なうことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の信号操作装置。
【請求項7】
前記非接触情報記録媒体は、前記電磁誘導方式による非接触情報記録媒体と、該非接触情報記録媒体を収納自在とする収納部に形成されたコ字形状のアンテナと、制御ICにより構成される電波方式の非接触情報記録媒体と、を一体構成としたことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の信号操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−233767(P2007−233767A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−55578(P2006−55578)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】