説明

個人認証システム

【課題】携帯型機器によって操作可能な家電機器を使用する際に、個人認証により個人向け自動設定を低コストで簡易に行うことができる個人認証システムを提供する。
【解決手段】センサ部5を制御するCPU18と、センサ部5において検出された個人識別信号PSiを送信し、個人認証信号RSiを受信する送受信部20とを有するリモートコントローラ1と、認証部6を備える家電機器3と、リモートコントローラ1からの個人識別信号PSiを家電機器3に伝送し、家電機器3からの個人認証信号RSiをリモートコントローラ1に伝送する無線伝送部2とを備え、家電機器3は、ゲーム機やHDレコーダであっても良く、映像機器であっても良い。個人認証には、家電機器3の使用者の音声認証方式、リモートコントローラ1における静電認証方式、若しくは人体通信による静電認証方式を適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は個人認証システムに関し、特にリモコン等の携帯型機器に適用可能な個人認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
リモコン等の携帯型機器によって操作可能な家電機器、ゲーム機やハードディスク(HD:Hard Disk)レコーダ、映像機器などを使用する際に、個人認証を簡易に行う方法が求められている。使用者を特定するとともに使用者の個人的なキャラクタを家電機器、ゲーム機、映像機器などのモニタ上で表示することによって、ユーザフレンドリーな機器を提供することができるからである。
【0003】
一般的に、従来の個人認証システムとしては、音声認識を利用する方法がある(例えば、特許文献1乃至特許文献3参照。)。また、静電容量検出を利用する方法がある(例えば、特許文献4参照。)。或いはまた、人体通信を利用する方法がある(例えば、特許文献5参照。)。特許文献1〜5の方法はいずれも大規模なシステムを使用するものであり、消費電力も大きい。
【0004】
更に、他の方法としては、顔認証を利用する方法、指紋認証を利用する方法がある。顔認証を利用する方法は、カメラなどを必要とし高価であり、また認証までの時間を要する。
【0005】
指紋認証を利用する方法は、装置は簡易であるが、認証までの時間を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−41319号公報
【特許文献2】特開2007−156974号公報
【特許文献3】特開2008−117338号公報
【特許文献4】特開2000−5147号公報
【特許文献5】特開2008−196217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、リモコン等の携帯型機器によって操作可能な家電機器、ゲーム機やHDレコーダ、映像機器などを使用する際に、認証を家電機器、ゲーム機やHDレコーダ、映像機器などの本体、若しくは簡易的な方法のため、リモコン等の携帯型機器内で行うことによって、個人認証により個人向け自動設定を低コストで簡易に行うことができる個人認証システムを提供することにある。
【0008】
また、
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、センサ部と、センサ部を制御する第1CPUと、センサ部において検出された個人識別信号を送信し、個人認証信号を受信する第1送受信部とを有するリモートコントローラと、認証部を備える家電機器と、リモートコントローラからの個人識別信号を家電機器に伝送し、家電機器からの個人認証信号をリモートコントローラに伝送する無線伝送部とを備える個人認証システムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の個人認証システムによれば、リモコン等の携帯型機器によって操作可能な家電機器、ゲーム機やHDレコーダ、映像機器などを使用する際に、認証を家電機器、ゲーム機やHDレコーダ、映像機器などの本体、若しくは簡易的な方法のため、リモコン等の携帯型機器内で行うことによって、個人認証により個人向け自動設定を低コストで簡易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る個人認証システムを説明する模式的ブロック構成図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る個人認証システムを説明する模式的ブロック構成図であって、対象がゲーム機やHDレコーダの例。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る個人認証システムを説明する模式的ブロック構成図であって、対象が映像機器の例。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る個人認証システムを説明する図であって、(a)音声認識方式の模式的ブロック構成例、(b)リモートコントローラからなる子機1Aの匡体の鳥瞰図。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る個人認証システムを説明する図であって、(a)音声認証方式におけるリモートコントローラの詳細な模式的ブロック構成図、(b)音声認証方式におけるゲーム機やHDレコーダの詳細な模式的ブロック構成図。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る個人認証システムにおける認証部の模式的ブロック構成図。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る個人認証システムを説明する図であって、静電認証方式の説明図。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る個人認証システムを説明する図であって、静電認証方式におけるリモートコントローラの模式的ブロック構成図。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る個人認証システムにおいて、静電認証方式の具体例を説明する図であって、(a)リモートコントローラ上のボタンスイッチの配置例、(b)個人の手の模式図、(c)リモートコントローラ上のボタンスイッチに対して、個人の手の接触位置の模式図。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る個人認証システムにおいて、静電認証方式の別の具体例を説明する図。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係る個人認証システムにおいて、人体通信による静電認証方式の具体例を説明する図。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係る個人認証システムにおいて、人体通信による静電認証方式におけるリモートコントローラの模式的ブロック構成図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0013】
又、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0014】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る個人認証システムを説明する模式的ブロック構成は、図1に示すように、センサ部5と、センサ部5を制御する中央演算処理装置(CPU)18と、センサ部5において検出された個人識別信号PSiを送信し、個人認証信号RSiを受信する送受信部20とを有するリモートコントローラ1と、認証部6を備える家電機器3と、リモートコントローラ1からの個人識別信号PSiを家電機器3に伝送し、家電機器3からの個人認証信号RSiをリモートコントローラ1に伝送する無線伝送部2とを備える。
【0015】
ここで、リモートコントローラ1は、リモコン等の携帯型機器であり、通常バッテリー駆動され、低消費電力であり、かつ軽量化されることが望ましい。
【0016】
家電機器3としては、例えば、テレビジョン、クーラー、冷蔵庫、洗濯機、映像機器、ゲーム機やHDレコーダ、音楽プレーヤ、キーレスエントリーシステム、電話、ファクシミリ、電子レンジ、電子炊飯器、ドアホン、セキュリティ用監視カメラなどを適用することができる。
【0017】

無線伝送部2は、例えば、その媒質は、空気を含む気体であり、宇宙船等の特殊用途としては真空であっても良い。
【0018】
個人識別信号PSiおよび個人認証信号RSiは、無線周波数(RF)信号、赤外線短距離無線信号、若しくは2.4GHz帯高周波信号などを適用することができる。
【0019】
なお、ここで個人識別信号PSiによって特定される人数は、例えば、家族構成の人数、集合住宅であればその住民の人数程度である。従って、数人〜数百人程度である。
【0020】
第1の実施の形態に係る個人認証システムにおいては、個人認証により、個人向け自動設定を低コストで簡易に行うことができる。例えば、個人認証により、テレビやHDレコーダでは個人の趣味に合った個人向け番組表やおすすめ番組を表示することができ、また、年齢指定番組ロックを実施することもできる。ゲーム機では、個人登録したキャラクタでの遊びや、セーブデータの自動読み出しが可能となる。その他、家電機器やキーレスエントリーでは、簡易セキュリティ、座標位置調整、ナビゲーションシステム・音楽設定を実施することもできる。
【0021】
第1の実施の形態に係る個人認証システムを説明する模式的ブロック構成図であって、対象がゲーム機やHDレコーダの例は、図2に示すように表される。図1の家電機器3は、ゲーム機やHDレコーダ4で置換され、さらにゲーム機やHDレコーダ4に接続されたテレビジョンモニタ7を備える。
【0022】
第1の実施の形態に係る個人認証システムを説明する模式的ブロック構成図であって、対象が映像機器の例は、図3に示すように表される。図1の家電機器3は、映像機器8で置換され、さらに映像機器8に接続された映像モニタ9を備える。
【0023】
以下、家電機器3として、ゲーム機やHDレコーダ4を対象として、音声認識方式による第1の実施の形態に係る個人認証システムを説明する。
【0024】
(音声認識方式)
音声認識方式による第1の実施の形態に係る個人認証システムの模式的ブロック構成は、図4(a)に示すように、リモートコントローラ1からなる子機1Aと、ゲーム機やHDレコーダ4からなる親機4Aで表され、リモートコントローラ1からなる子機1Aの匡体70の鳥瞰図は、図4(b)に示すように表される。
【0025】
子機1Aは、図4(a)に示すように、センサ部5と、センサ部5を制御するCPU18と、CPU18に接続され、アンテナ22を有する送受信部20を備える。
【0026】
親機4Aは、図4(a)に示すように、アンテナ23を有する送受信部21と、ゲーム機やHDレコーダ4の使用者の個人認証を行う認証部6とを有する。
【0027】
センサ部5は、ゲーム機やHDレコーダ4の使用者の入力音声を検出する音声入力部62と、予め登録された音声を出力する音声出力部64と、ゲーム機やHDレコーダ4の使用者が使用する操作部60とを備える。なお、図4(b)において操作部60は、テンキーの形状を有する例が示されてる。
【0028】
センサ部5において音声入力された個人識別信号PSiは、後述するコーデック(14:図5(a))によって、例えば、適応差分パルス符号変調(ADPCM:Adaptive differential pulse code modulation)されたADPCM信号ADSに変換され、送受信部20より、ゲーム機やHDレコーダ4に対して無線伝送される。なお、コーデックには、上記のADPCMのほかにMP3などの方式がある。
【0029】
ゲーム機やHDレコーダ4の使用者の個人認証を行う認証部6において、予め登録されたゲーム機やHDレコーダ4の使用者の音声信号と、上述のADPCM信号ADSを機器内で音声データに復調したデータと比較し個人認証を行う。個人認証結果は、ゲーム機やHDレコーダ4の使用者の個人認証信号である圧縮音声信号EASとして、送受信部21からリモートコントローラ1の送受信部20に送信される。その結果、ゲーム機やHDレコーダ4の使用者の圧縮音声信号EASを後述するコーデック14において復調して、音声出力部64より出力する。
【0030】
ここで、ADPCM信号ADSは、例えば、4kHz〜32kHzのサンプリング周波数を有し、例えば、16kbps〜128kbpsの伝送速度を有する。また、圧縮音声信号EASは、例えば、4kHz〜8kHzのサンプリング周波数を有し、例えば、4ビットのチャンネルを想定すると、24×4〜24×8=64kbps〜128kbpsの伝送速度を有する。
【0031】
リモートコントローラ1の匡体70上には、図4(b)に示すように、操作部60と、音声入力部62と、音声出力部64が配置されている。
【0032】
第1の実施の形態に係る個人認証システムの音声認証方式におけるリモートコントローラ1のさらに詳細な模式的ブロック構成は、図5(a)に示すように表され、音声認証方式におけるゲーム機やHDレコーダ4のさらに詳細な模式的ブロック構成は、図5(b)に示すように表される。また、第1の実施の形態に係る個人認証システムにおける認証部6の模式的ブロック構成は、図6に示すように表される。
【0033】
図5(a)に示すように、図4(a)に対応したリモートコントローラ1のセンサ部5は、マイクロホン10と、マイクロホン10に接続されたマイク音声増幅器12と、スピーカ24と、スピーカ24に接続されたスピーカ音声増幅器26と、マイク音声増幅器12およびスピーカ音声増幅器26に接続されたコーデック14と、コーデック14に接続されたFIFO回路16とを備える。マイクロホン10に入力されたゲーム機やHDレコーダ4の使用者の入力音声をコーデック14において符号化して得られるADPCM信号ADSを送受信部20よりゲーム機やHDレコーダ4に無線送信し、送受信部20において受信したゲーム機やHDレコーダ4の使用者の圧縮音声信号EASをコーデック14において復調して、スピーカ24より出力する。
【0034】
一方、ゲーム機やHDレコーダ4は、個人識別信号ADSを受信する送受信部21と、送受信部21に接続されたコーデック32と、コーデック32に接続され、ゲーム機やHDレコーダ4を制御するCPU34と、CPU34に接続されたメモリ36と、メモリ36に接続され、ゲーム機やHDレコーダ4の使用者の個人認証を行う認証部6とを備える。認証部6において、メモリ36に記憶されたゲーム機やHDレコーダ4の予め登録された使用者の音声信号と、コーデック32において復調された個人識別信号ADSとを比較し、個人認証を行う。個人認証結果は、コーデック32において圧縮され、ゲーム機やHDレコーダ4の使用者の圧縮音声信号EASとして、送受信部21からリモートコントローラ1の送受信部20に送信される。その結果、ゲーム機やHDレコーダ4の使用者の圧縮音声信号EASをコーデック32において復調して、スピーカ24より出力する。メモリ36には、外部メモリ38を外付けして使用することも可能とし、外部メモリ38には、ゲーム機やHDレコーダ4の予め登録された使用者のADPCM音声信号データ、映像信号データなどを記憶しておいても良い。
【0035】
ゲーム機やHDレコーダ4本体に登録されたゲーム機やHDレコーダ4の使用者のジェスチャーを検出する場合には、センサ部5は、図4(a)に示したように、ゲーム機やHDレコーダの使用者のジェスチャーを検出する加速度センサ部66を備えていても良い。ここでジェスチャ―とは、ゲーム機やHDレコーダ4の使用者が、リモートコントローラ1の匡体70を保持しながら特定の動作をすることを云う。ゲーム機やHDレコーダ4本体に登録されたゲーム機やHDレコーダ4の使用者のジェスチャーと、リモートコントローラ1の匡体70を保持しながら特定の動きをするジェスチャ―が一致するか否かで、登録済みか否かを判定することができる。加速度センサ部66には、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)膜やランタンドープジルコン酸チタン酸鉛(PLZT)膜等の圧電体膜を使用したジャイロセンサなどを適用することができる。
【0036】
認証部6は、図6に示すように、ゲーム機やHDレコーダ4の使用者の音声キーワードを記憶する音声キーワード登録部44を備える。ゲーム機やHDレコーダ4の使用者の音声キーワードが登録済みの場合には、登録済みデータは、登録済みデータ格納部48に記憶され、ゲーム機やHDレコーダ4の使用者の音声キーワードが未登録の場合には、未登録データは、未登録データ格納部50に記憶される。例えば、音声キーワードを登録し、リモートコントローラ1のマイクロホン10にキーワードを音声入力することで、キーワードの一致/不一致で、ゲーム機やHDレコーダ4の使用者を判定することができる。
【0037】
また、認証部6は、図6に示すように、ゲーム機やHDレコーダ4の使用者のジェスチャーを記憶するジェスチャー登録部46を備えていても良い。ゲーム機やHDレコーダ4の使用者のジェスチャーが登録済みの場合には、登録済みデータは、登録済みデータ格納部52に記憶され、ゲーム機やHDレコーダ4の使用者のジェスチャーが未登録の場合には、未登録データは、未登録データ格納部54に記憶される。例えば、ゲーム機やHDレコーダ4の使用者のジェスチャーを登録し、リモートコントローラ1を保持する個人が特定の動作をすることで、ジェスチャーの一致/不一致で、ゲーム機やHDレコーダ4の使用者を判定することができる。
【0038】
第1の実施の形態に係る個人認証システムによれば、リモコン等の携帯型機器によって操作可能な家電機器、ゲーム機やHDレコーダ、映像機器などを使用する際に、音声認証を家電機器、ゲーム機やHDレコーダ、映像機器などの本体、若しくは簡易的な方法のため、リモコン等の携帯型機器内で行うことによって、個人認証により個人向け自動設定を低コストで簡易に行うことができる。
【0039】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る個人認証システムにおいて、静電認証方式は、図7に示すように、リモートコントローラ1aの筐体70を家電機器、ゲーム機やHDレコーダ、映像機器などの使用者が手で保持する際に、筐体70上の接触位置75において、接触面積で容量計算を行い、発生する静電容量変化を検出する方式である。家電機器、ゲーム機やHDレコーダ、映像機器の本体の構成は、第1の実施の形態と同様である。また、家電機器、ゲーム機やHDレコーダ、映像機器の本体において個人認証を行う点も第1の実施の形態と同様である。なお、図7において操作部61は、携帯電話のセンタ−十字キーの形状を有する例が示されてる。
【0040】
第2の実施の形態に係る個人認証システムにおいて、静電認証方式におけるリモートコントローラ1aの模式的ブロック構成は、図8に示すように、センサ部5aと、センサ部5aを制御するCPU18と、センサ部5aにおいて検出された個人識別信号を送信し、個人認証信号を受信する送受信部20とを有する。
【0041】
センサ部5aは、家電機器の使用者を識別する可変静電容量90と、可変静電容量90に接続された容量電圧変換部92と、容量電圧変換部92に接続されたA/Dコンバータ94と、A/Dコンバータ94に接続されたレジスタ96と、レジスタ96に接続された座標位置計算部98とを備える。レジスタ96は、可変静電容量90の値を座標位置計算部98において計算する際の一時メモリとして機能する。可変静電容量90の値を座標位置計算部98において計算して得られた個人識別信号を、送受信部20より家電機器に送信し、家電機器の使用者の個人認証信号を送受信部20において受信する。
【0042】
静電認証方式における可変静電容量90の値は、例えば、図9(a)〜図9(c)に示すように、リモートコントローラ1aの筐体70上に配置されたボタンスイッチ74に対して、家電機器の使用者の個人の手80の接触位置75を、座標位置計算部98において計算して得ることができる。
【0043】
別の例としては、静電認証方式における可変静電容量90の値は、例えば、リモートコントローラ1a上に配置されたXY2次元マトリックス配線に対して、家電機器の使用者の個人の手80の接触位置をXYマトリックス配線をX方向、Y方向にスキャンし、XY交差部76を、座標位置計算部98において計算して得ることもできる。
【0044】
第2の実施の形態に係る個人認証システムによれば、リモコン等の携帯型機器によって操作可能な家電機器、ゲーム機やHDレコーダ、映像機器などを使用する際に、静電認証を家電機器、ゲーム機やHDレコーダ、映像機器などの本体、若しくは簡易的な方法のため、リモコン等の携帯型機器内で行うことによって、個人認証により個人向け自動設定を低コストで簡易に行うことができる。
【0045】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係る個人認証システムにおいて、人体通信による静電認証方式の具体例を図11に示す。また、第3の実施の形態に係る個人認証システムにおいて、人体通信による静電認証方式におけるリモートコントローラ1bの模式的ブロック構成を図12に示す。
【0046】
第3の実施の形態に係る個人認証システムにおいて、人体通信による静電認証方式は、図11に示すように、家電機器、ゲーム機やHDレコーダ、映像機器などの使用者の装着するパルス発生器82の出力パルスを使用者の人体86を伝送経路84として人体通信により伝送し、その結果、リモートコントローラ1bの筐体70において発生する人体通信パルス100を検出する方式である。人体通信パルス100は、家電機器、ゲーム機やHDレコーダ、映像機器などの使用者の装着するパルス発生器82の出力パルスを使用者の人体通信により得られることから、個人識別信号として使用することができる。パルス発生器82の出力パルスを単一パルス、ダブルパルスなどと可変にすることによって、個人識別信号を発生することもできる。或いは、パルス発生器82の出力パルスの番号を識別することによっても個人識別信号を発生することもできる。
【0047】
第3の実施の形態に係る個人認証システムにおいても、家電機器、ゲーム機やHDレコーダ、映像機器の本体の構成は、第1の実施の形態と同様である。また、家電機器、ゲーム機やHDレコーダ、映像機器の本体において個人認証を行う点も第1の実施の形態と同様である。
【0048】
第3の実施の形態に係る個人認証システムにおいて、人体通信による静電認証方式におけるリモートコントローラ1bの模式的ブロック構成は、図12に示すように、センサ部5bと、センサ部5bを制御するCPU18と、センサ部5bにおいて検出された個人識別信号を送信し、個人認証信号を受信する送受信部20とを有する。人体通信パルス100は、リモートコントローラ1bの入力端子Aに入力される。
【0049】
センサ部5bは、家電機器の使用者を識別する人体通信パルス100を入力するA/Dコンバータ94と、A/Dコンバータ94に接続されたレジスタ96とを備え、人体通信パルス100により得られた個人識別信号を、送受信部20より家電機器に送信し、例えば、家電機器の使用者の個人認証信号を送受信部20において受信する。
【0050】
なお、第3の実施の形態に係る個人認証システムにおいて、リモートコントローラ内で個人を特定しても良い。
【0051】
第3の実施の形態に係る個人認証システムによれば、リモコン等の携帯型機器によって操作可能な家電機器、ゲーム機やHDレコーダ、映像機器などを使用する際に、人体通信による静電認証を家電機器、ゲーム機やHDレコーダ、映像機器などの本体、若しくは簡易的な方法のため、リモコン等の携帯型機器内で行うことによって、個人認証により個人向け自動設定を低コストで簡易に行うことができる。
【0052】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1〜第3の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0053】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の個人認証システムは、家電機器、映像機器、ゲーム機やHDレコーダ、車のキーレスエントリーシステムなどの個人認証システムとして幅広い分野に適用可能である。この発明により、テレビやHDレコーダでは個人の趣味に合った番組表やおすすめ番組を表示することができる。ゲームでは、個人登録したキャラクタでの遊びや、セーブデータの詠み出しが可能となる。その他、家電機器やキーレスエントリーでは、簡易セキュリティ、座標位置調整、ナビゲーションシステム・音楽設定等に応用が可能である。
【符号の説明】
【0055】
1、 1a、1b…リモートコントローラ
1A…子機
2…無線伝送部
3…家電機器
4…ゲーム機やHDレコーダ
4A…親機
5、5a、5b…センサ部
6…認証部
7…テレビジョンモニタ(TV)
8…映像機器
9…映像モニタ
10…マイクロホン
12…マイク音声増幅器(MICAMP)
14、32…コーデック
16…FIFO回路
18、34…中央演算処理装置(CPU)
20、21…送受信部
22、23…アンテナ
24…スピーカ
26…スピーカ音声増幅器(SPAMP)
36…メモリ
38…外部メモリ
44…音声キーワード登録部
46…ジェスチャー登録部
48、52…登録済データ格納部
50、54…未登録データ格納部
60…操作部
62…音声入力部
64…音声出力部
66…加速度センサ部
70…匡体
74…ボタンスイッチ
75…接触位置
76…XY交差部
80…手
82…パルス発生器
84…伝送経路
86…人体
90…可変静電容量
92…容量電圧変換部
94…A/Dコンバータ
96…レジスタ
98…座標位置計算部
100…人体通信パルス
PSi…個人識別信号
RSi…個人認証信号
ADS…ADPCM信号(個人識別信号)
EAS…圧縮音声信号(個人認証信号)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ部と、前記センサ部を制御する第1CPUと、前記センサ部において検出された個人識別信号を送信し、個人認証信号を受信する第1送受信部とを有するリモートコントローラと、
認証部を備える家電機器と、
前記リモートコントローラからの前記個人識別信号を前記家電機器に伝送し、前記家電機器からの前記個人認証信号を前記リモートコントローラに伝送する無線伝送部と
を備えることを特徴とする個人認証システム。
【請求項2】
前記家電機器は、ゲーム機やHDレコーダであり、前記ゲーム機やHDレコーダに接続されたテレビジョンモニタを備えることを特徴とする請求項1に記載の個人認証システム。
【請求項3】
前記家電機器は、映像機器であり、前記映像機器に接続された映像モニタを備えることを特徴とする請求項1に記載の個人認証システム。
【請求項4】
前記センサ部は、前記家電機器の使用者の入力音声を検出する音声入力部を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の個人認証システム。
【請求項5】
前記センサ部は、前記家電機器の使用者のジェスチャーを検出する加速度センサ部を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の個人認証システム。
【請求項6】
前記個人識別信号は、前記家電機器の使用者の入力音声のADPCM信号であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の個人認証システム。
【請求項7】
前記個人認証信号は、前記家電機器の使用者の圧縮音声信号であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の個人認証システム。
【請求項8】
前記センサ部は、マイクロホンと、前記マイクロホンに接続されたマイク音声増幅器と、スピーカと、前記スピーカに接続されたスピーカ音声増幅器と、前記マイク音声増幅器および前記スピーカ音声増幅器に接続された第1コーデックとを備え、前記マイクロホンに入力された前記家電機器の使用者の入力音声を前記第1コーデックにおいて符号化して前記第1送受信部より前記家電機器に送信し、前記第1送受信部において受信した前記家電機器の使用者の圧縮音声信号を前記第1コーデックにおいて復調して、前記スピーカより出力することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の個人認証システム。
【請求項9】
前記家電機器は、前記個人識別信号を受信する第2送受信部と、前記第2送受信部に接続された第2コーデックと、前記第2コーデックに接続され、前記家電機器を制御する第2CPUと、前記第2CPUに接続されたメモリと、前記メモリに接続され、前記家電機器の使用者の個人認証を行う認証部とを備え、前記認証部において、前記メモリに記憶された前記家電機器の使用者の音声信号と、前記第2コーデックにおいて復調された前記個人識別信号を比較することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の個人認証システム。
【請求項10】
前記認証部は、前記家電機器の使用者の音声キーワードを記憶する音声キーワード登録部を備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の個人認証システム。
【請求項11】
前記認証部は、前記家電機器の使用者のジェスチャーを記憶するジェスチャー登録部を備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の個人認証システム。
【請求項12】
前記センサ部は、前記家電機器の使用者の個人識別用の可変静電容量と、前記可変静電容量に接続された容量電圧変換部と、前記容量電圧変換部に接続されたA/Dコンバータと、前記A/Dコンバータに接続されたレジスタと、前記レジスタに接続された座標位置計算部とを備え、前記可変静電容量の値を前記座標位置計算部において計算して得られた個人識別信号を、前記第1送受信部より前記家電機器に送信し、前記家電機器の使用者の圧縮音声信号を前記第1送受信部において受信することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の個人認証システム。
【請求項13】
前記可変静電容量の値は、前記リモートコントローラ上に配置されたボタンスイッチに対して、前記家電機器の使用者の個人の手の接触位置を、前記座標位置計算部において計算して得られることを特徴とする請求項12に記載の個人認証システム。
【請求項14】
前記可変静電容量の値は、前記リモートコントローラ上に配置された2次元マトリックス配線に対して、前記家電機器の使用者の個人の手の接触位置を、前記座標位置計算部において計算して得られることを特徴とする請求項12に記載の個人認証システム。
【請求項15】
前記センサ部は、前記家電機器の使用者を識別する人体通信パルスと、前記人体通信パルスを入力するA/Dコンバータと、前記A/Dコンバータに接続されたレジスタとを備え、前記人体通信パルスにより得られた個人識別信号を、前記第1送受信部より前記家電機器に送信し、前記家電機器の使用者の圧縮音声信号を記第1送受信部において受信することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の個人認証システム。
【請求項16】
前記人体通信パルスは、前記家電機器の使用者の装着するパルス発生器の出力パルスを前記使用者の人体通信により得られることを特徴とする請求項15に記載の個人認証システム。
【請求項17】
前記無線伝送部の媒質は、空気を含む気体若しくは真空であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の個人認証システム。
【請求項18】
前記個人識別信号および前記個人認証信号は、無線周波数信号、赤外線短距離無線信号、若しくは2.4GHz帯高周波信号のいずれかであることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の個人認証システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−211296(P2010−211296A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53828(P2009−53828)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】