説明

個人認証装置および個人認証システム

【課題】少ない学習量で特別な動作を行わない個人の認証の精度を向上させること。
【解決手段】第1検知部(SN1)と第2検知部(SN1)とを有する圧力検知部材(SN)と、第1特徴量(u1p)と第2特徴量(u2p)とを演算する特徴量演算手段(C5B)と、登録者と相関係数(rijp)とを関連付けて記憶する相関係数記憶手段(C2M1)と、相関係数(rijp)と第1特徴量(u1p)と第2特徴量(u2p)とに基づいて被検者のマハラノビス距離(D)を演算する距離演算手段(C5C)と、マハラノビス距離(D)が閾値(S)以下であるか否かを判別する閾値判別手段(C5D)と、被検者がマハラノビス距離(D)の演算に使用された相関係数(rijp)に関連付けられた登録者であると認証する登録者認証手段(C5E)と、認証表示手段(C5H,C5H′)とを備えた個人認証装置(C,NK)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人認証装置および個人認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータシステムやセキュリティシステムの普及、発展に伴って、利用者や管理者等の個人(使用者、ユーザ)を認証する個人認証技術の利用が拡大している。特に、指紋や静脈や顔面等の身体的特徴に基づいて個人を認証するバイオメトリクス(biometrics)認証については、マンション等の入退室管理や、キャッシュカードやパスポートの認証手段等に採用され、広く普及している。しかしながら、前記バイオメトリクス認証では、指紋や静脈等を読み取るために読み取りセンサに指で触れたり手をかざしたりする等の所定の動作が使用者に要求される。このため、使用者が特別な作業・動作を行うことなく認証可能な個人認証技術についての研究、開発等についても積極的に行われている。
ここで、使用者の自然な行動に基づく個人認証技術に関する技術として、例えば、下記の特許文献1、2および非特許文献1に記載の技術が知られている。
【0003】
特許文献1としての特開2007−179422号公報には、PC(パソコン、Personal Computer)(2)を使用する際に使用者が着座する椅子(1)の座部(11)内部に設けられた圧力センサ(15)が前記PC(2)に接続されており、前記圧力センサ(15)からの信号に基づいて、着座者がいるか否かを判別する技術が記載されている。また、特許文献1には、使用者が離席したと判別された場合に、前記PC(2)の利用を制限すると共に、着座者が着座した場合に、前記信号に基づいて作成された圧力分布データと、予め記憶された前記使用者の圧力分布データとが所定誤差の範囲内で一致するか否かを判別して、前記着座者が前記使用者であれば前記PC(2)の利用制限が解除される技術が記載されている。
【0004】
なお、特許文献1では、前記座部(11)の奥行き方向とそれに垂直な幅方向とを複数の領域に細分化し、どの領域にどれだけの圧力が付与されているかを示すデータにより前記圧力分布データが構成されている。
すなわち、特許文献1では、圧力センサ(15)からの圧力分布データと、予め記憶された前記個人の圧力分布データとを各領域の圧力値の数列データとして照合し、所定の誤差の範囲内で一致する場合、例えば、各領域の数値の差分値が所定誤差の範囲内の場合や、数値が不一致の領域の数が所定誤差の範囲内の場合に、前記使用者であると認証できる技術が記載されている。
【0005】
また、非特許文献1には、サポートベクターマシン(SVM:Support Vector Machine)により、椅子の座面に取り付けられた32個のセンサからの圧力値と、各圧力値の合計値との33種類の各測定データから、個人を認証する技術が記載されている。なお、非特許文献1では、前記サポートベクターマシンが19セットの試行によって各個人の特徴を学習した場合、すなわち、学習データ(訓練サンプル)が19種類であった場合、例えば、一般家族を想定した5人の学生(研究所の男子学生)が着座して安定した状態のサンプルでは98.3[%]の識別率で各個人を識別でき、小規模オフィスを想定した10人の学生(研究所の男子学生)が着座して安定した状態のサンプルでも96.6[%]の識別率で各個人を識別できたことが記載されている。
ここで、前記サポートベクターマシンとは、ニューラルネットを利用したパターン識別器であり、結合荷重(シナプス荷重)を乗算した複数の線形入力素子(ニューロン)の値の総和が予め設定された閾値を超えるか否かを示す出力値を出力する層状ニューラルネットである。
【0006】
具体的には、入力層のn個の素子の値の集合(入力値)としての入力特徴ベクトルをx(x=(x1,x2,…,xn))とし、出力層の1個の素子の値(出力値)をyとし、入力層の各素子と出力層の素子との結合荷重のベクトル(結合荷重ベクトル)をω(ω=(ω1,ω2,…,ωn))とし、結合荷重ベクトルωの転置ベクトルをωとし、閾値をhとした場合に、出力値yが以下の式(1)により示される。
y=sign(ωx−h) …式(1)
=sign(x1ω1+x2ω2+…+xnωn−h)
【0007】
なお、sign(ωx−h)は、(ωx−h)>0の場合に+1になり、(ωx−h)≦0の場合に−1になる符号関数である。すなわち、各ベクトルx,ωの内積が閾値hを超える場合に+1になり、超えない場合に−1になる2値関数である。
また、前記サポートベクターマシンは、学習データ、すなわち、一対の入力特徴ベクトルxおよび出力値yから、各データ点との距離、すなわち、入力特徴ベクトルxとの距離(マージン)が最大となる分離平面(超平面)を求めるマージン最大化という基準により、前記線形入力素子のパラメタを学習、すなわち、結合荷重ベクトルωを更新している。
【0008】
特許文献2としての特開2007−219974号公報には、床面や敷物に埋設され、来客(61)や所員(71)等の個人の靴底圧力パターンを前記個人の個人識別情報として取得する複数の靴底圧力センサ(41〜43)を有する床面センサ(40)によって、前記個人を識別する技術が記載されている。特許文献2には、前記個人識別情報を受付窓口(210)の前方の床(63)に埋設された靴底圧力センサ1(41)によって取得して個人位置認識装置(1)に受付登録すると共に、建物の管理区域内の各部屋(81〜84)の入口扉(86〜91)に面する床に埋設された靴底圧力センサ2〜n(41)によって取得した前記個人識別情報に基づいて、受付登録された各個人の移動位置を識別することにより、各個人の行動を追跡して記録する技術が記載されている。
【0009】
また、特許文献2には、各部屋の靴底圧力センサ(41〜43)によって測定された靴底の外輪郭線と所定圧力以上の接地点とに基づいて前記靴底圧力パターンを生成すると共に、前記所定圧力を調整して前記接地点の数を増減させることによって識別精度を設定する技術が記載されている。
すなわち、特許文献2では、各部屋の靴底圧力センサ(41〜43)により取得した靴底圧力パターンと、受付窓口(210)で予め記憶された各個人の靴底圧力パターンとを画像データとして照合し、前記外輪郭線と前記接地点とが一致する個人を検索して個人認証を行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−179422号公報(要約書、「0017」〜「0023」、図1、図3、図4)
【特許文献2】特開2007−219974号公報(要約書、「0024」〜「0050」、「0054」、図1〜図3)
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】M.Yamada(ヤマダマサフミ)、他4名、“Soft authentication and behavior analysis using a chair with sensors attached: hipprint authentication(座面圧力認証用のセンサが取り付けられた椅子を用いたソフトな個人認証および行動分析)”、「online」、2008年、Springer-Verlag(シュプリンガー・フェアラーク)、「2010年11月15日検索」、インターネット<URL:https://www.pervasive.jku.at/Teaching/_2009SS/SeminarausPervasiveComputing/Begleitmaterial/Related%20Work%20%28Readings%29/2008_Soft%20authentication%20and%20behavior%20analysis%20using%20a%20chair%20with%20sensors%20attached%20-%20hipprint%20authentication%20_Kudo.pdf>
【非特許文献2】“ニッタ株式会社 [ 製品情報 ] -タクタイルセンサシステム”、「online」、ニッタ株式会社、「2010年11月15日検索」、インターネット<URL:http://www.nitta.co.jp/product/mechasen/sensor/tactile_system_sensor.html>
【非特許文献3】小菅太、他3名、“官能検査を自動化するための判定技術”、「online」、2010年、富士通テン株式会社、「2010年11月15日検索」、インターネット<URL:http://www.fujitsu-ten.co.jp/gihou/jp_pdf/55/55-4.pdf>
【非特許文献4】杉原哲朗、“環境と品質のためのデータサイエンス”、「online」、「2010年11月15日検索」、インターネット<URL:http://heartland.geocities.jp/ecodata222/index.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
(従来技術の問題点)
前記特許文献1、2では、測定情報(測定された圧力分布データ)と記憶情報(記憶された圧力分布データ)とが一致(完全一致、部分一致)するか否かを判別する。このため、例えば、本人であっても、測定時における圧力センサに乗る位置や姿勢が、登録時(記憶時)と僅かに異なるだけで、測定された圧力分布データが大きく変化する可能性があり、本人を本人でないと誤認する可能性が高いという問題があった。
これに対し、前記非特許文献1では、サポートベクターマシンによって、33個の測定情報から96[%]以上の高い識別率で個人認証が実行されている。
しかしながら、前記特許文献1、2と同様に、圧力分布データ、すなわち、32個のセンサによって測定された各圧力値や合計値をサポートベクターマシンに直接的に入力して個人認証を行っており、測定された圧力分布データが学習時に比べて大きく変化した場合には、着座して安定した状態の学習データ(訓練サンプル)だけでは学習量が不十分である可能性があり、本人を本人でないと誤認する可能性があった。
【0013】
また、前記非特許文献1において、識別率をさらに高めるためには、学習データの数をさらに増やす必要があるが、サポートベクターマシン等のニューラルネットワークでは、同様の演算を複数回繰り返して学習するため、学習のための演算量が大きくなり易く、必要となる学習データの数が多くなるに連れて演算量が大きくなるという問題がある(例えば、特開2004−187562号公報「0026」、「0027」等参照)。
よって、例えば、センサの数が増えて入力層の素子数nが大きくなったり、個人認証の対象人数が増えて出力層の素子数が大きくなったりする場合、高い識別率を確保するために、必要となる学習データの数が多くなると、学習のための演算量が膨大になる可能性があった。
【0014】
本発明は、少ない学習量で特別な動作を行わない個人の認証の精度を向上させることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の個人認証装置は、
被検者が着座する椅子と、
前記椅子の座面に予め設定された第1検知領域に配置され且つ着座した前記被検者による前記第1検知領域における圧力である第1圧力値を検知する第1検知部と、前記第1検知領域からずれた領域に予め設定された第2検知領域に配置され且つ着座した前記被検者による前記第2検知領域における圧力である第2圧力値を検知する第2検知部と、を有する圧力検知部材と、
前記圧力検知部材によって検知された前記第1圧力値と前記第2圧力値とに基づいて、前記第1圧力値と前記第2圧力値との間の関連性を特定する予め設定された第1の特徴の値である第1特徴量と、前記第1圧力値と前記第2圧力値との間の関連性を特定する予め設定された第2の特徴であって、前記第1の特徴とは異なる前記第2の特徴の値である第2特徴量と、を演算する特徴量演算手段と、
予め登録された登録者と、前記第1の特徴と前記第2の特徴との間の相関を特定する前記登録者ごとの相関係数と、を関連付けて記憶する相関係数記憶手段と、
前記相関係数記憶手段に記憶された前記相関係数と、演算された前記被検者の前記第1特徴量と前記第2特徴量と、に基づいて、前記被検者のマハラノビス距離を演算する距離演算手段と、
演算された前記被検者の前記マハラノビス距離が予め設定された閾値以下であるか否かを判別する閾値判別手段と、
前記被検者の前記マハラノビス距離が前記閾値以下であると判別された場合に、前記被検者が、前記マハラノビス距離の演算に使用された前記相関係数に関連付けられた前記登録者であると認証する登録者認証手段と、
前記被検者が認証された前記登録者であることを表示する認証表示手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の個人認証装置において、
前記登録者を登録する場合に、前記圧力検知部材によって検知された前記登録者についての前記第1圧力値および前記第2圧力値であって、平均が0且つ標準偏差が1となる前記第1特徴量と、平均が0且つ標準偏差が1となる前記第2特徴量と、の組み合わせの集合に基づく前記登録者の認証基準としての基準空間に基づいて演算された前記相関係数と、前記登録者と、を関連付けて記憶する前記相関係数記憶手段、
を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の個人認証装置において、
前記登録者の登録を更新する場合に、前記登録者が前記登録者認証手段によって認証された際に前記特徴量演算手段によって演算された前記第1特徴量および前記第2特徴量の組み合わせを含む前記基準空間に基づいて再演算された前記相関係数と、前記登録者と、を関連付けて前記相関係数記憶手段に記憶する相関係数更新手段、
を備えたことを特徴とする。
【0018】
前記技術的課題を解決するために、請求項4に記載の発明の個人認証装置は、
被検者が直立する床面と、
前記床面に予め設定された第1検知領域に配置され且つ直立した前記被検者による前記第1検知領域における足裏の圧力である第1圧力値を検知する第1検知部と、前記第1検知領域からずれた領域に予め設定された第2検知領域に配置され且つ直立した前記被検者による前記第2検知領域における足裏の圧力である第2圧力値を検知する第2検知部と、を有する圧力検知部材と、
前記圧力検知部材によって検知された前記第1圧力値と前記第2圧力値とに基づいて、前記第1圧力値と前記第2圧力値との間の関連性を特定する予め設定された第1の特徴の値である第1特徴量と、前記第1圧力値と前記第2圧力値との間の関連性を特定する予め設定された第2の特徴であって、前記第1の特徴とは異なる前記第2の特徴の値である第2特徴量と、を演算する特徴量演算手段と、
予め登録された登録者と、前記第1の特徴と前記第2の特徴との間の相関を特定する前記登録者ごとの相関係数と、を関連付けて記憶する相関係数記憶手段と、
前記相関係数記憶手段に記憶された前記相関係数と、演算された前記被検者の前記第1特徴量と前記第2特徴量と、に基づいて、前記被検者のマハラノビス距離を演算する距離演算手段と、
演算された前記被検者の前記マハラノビス距離が予め設定された閾値以下であるか否かを判別する閾値判別手段と、
前記被検者の前記マハラノビス距離が前記閾値以下であると判別された場合に、前記被検者が、前記マハラノビス距離の演算に使用された前記相関係数に関連付けられた前記登録者であると認証する登録者認証手段と、
前記被検者が認証された前記登録者であることを表示する認証表示手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0019】
前記技術的課題を解決するために、請求項5に記載の発明の個人認証システムは、
被検者が着座する椅子と、
前記椅子の座面に予め設定された第1検知領域に配置され且つ着座した前記被検者による前記第1検知領域における圧力である第1圧力値を検知する第1検知部と、前記第1検知領域からずれた領域に予め設定された第2検知領域に配置され且つ着座した前記被検者による前記第2検知領域における圧力である第2圧力値を検知する第2検知部と、を有する圧力検知部材と、
前記圧力検知部材によって検知された前記第1圧力値と前記第2圧力値とに基づいて、前記第1圧力値と前記第2圧力値との間の関連性を特定する予め設定された第1の特徴の値である第1特徴量と、前記第1圧力値と前記第2圧力値との間の関連性を特定する予め設定された第2の特徴であって、前記第1の特徴とは異なる前記第2の特徴の値である第2特徴量と、を演算する特徴量演算手段と、
予め登録された登録者と、前記第1の特徴と前記第2の特徴との間の相関を特定する前記登録者ごとの相関係数と、を関連付けて記憶する相関係数記憶手段と、
前記相関係数記憶手段に記憶された前記相関係数と、演算された前記被検者の前記第1特徴量と前記第2特徴量と、に基づいて、前記被検者のマハラノビス距離を演算する距離演算手段と、
演算された前記被検者の前記マハラノビス距離が予め設定された閾値以下であるか否かを判別する閾値判別手段と、
前記被検者の前記マハラノビス距離が前記閾値以下であると判別された場合に、前記被検者が、前記マハラノビス距離の演算に使用された前記相関係数に関連付けられた前記登録者であると認証する登録者認証手段と、
前記被検者が認証された前記登録者であることを表示する認証表示手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0020】
前記技術的課題を解決するために、請求項6に記載の発明の個人認証システムは、
被検者が直立する床面と、
前記床面に予め設定された第1検知領域に配置され且つ直立した前記被検者による前記第1検知領域における足裏の圧力である第1圧力値を検知する第1検知部と、前記第1検知領域からずれた領域に予め設定された第2検知領域に配置され且つ直立した前記被検者による前記第2検知領域における足裏の圧力である第2圧力値を検知する第2検知部と、を有する圧力検知部材と、
前記圧力検知部材によって検知された前記第1圧力値と前記第2圧力値とに基づいて、前記第1圧力値と前記第2圧力値との間の関連性を特定する予め設定された第1の特徴の値である第1特徴量と、前記第1圧力値と前記第2圧力値との間の関連性を特定する予め設定された第2の特徴であって、前記第1の特徴とは異なる前記第2の特徴の値である第2特徴量と、を演算する特徴量演算手段と、
予め登録された登録者と、前記第1の特徴と前記第2の特徴との間の相関を特定する前記登録者ごとの相関係数と、を関連付けて記憶する相関係数記憶手段と、
前記相関係数記憶手段に記憶された前記相関係数と、演算された前記被検者の前記第1特徴量と前記第2特徴量と、に基づいて、前記被検者のマハラノビス距離を演算する距離演算手段と、
演算された前記被検者の前記マハラノビス距離が予め設定された閾値以下であるか否かを判別する閾値判別手段と、
前記被検者の前記マハラノビス距離が前記閾値以下であると判別された場合に、前記被検者が、前記マハラノビス距離の演算に使用された前記相関係数に関連付けられた前記登録者であると認証する登録者認証手段と、
前記被検者が認証された前記登録者であることを表示する認証表示手段と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1、4〜6に記載の発明によれば、被検者のマハラノビス距離が閾値以下であるか否かを判別しない構成に比べ、少ない学習量で特別な動作を行わない個人の認証の精度を向上させることができる。
請求項2に記載の発明によれば、圧力検知部材によって検知された登録者についての第1圧力値および第2圧力値に基づいて相関係数を演算できる。
請求項3に記載の発明によれば、最新の第1圧力値および第2圧力値に基づいて相関係数を更新することができ、本人の経時的な身体的特徴の変化によって本人を本人でないと誤認することを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は実施例1の個人認証システムの全体説明図であり、図1Aは実施例1の自動車の右側面図、図1Bは実施例1の自動車の運転席の斜視拡大説明図である。
【図2】図2は実施例1のセンサシートの説明図であり、図2Aは実施例1のセンサシートの斜視拡大図、図2Bは実施例1のボタンセンサの拡大説明図である。
【図3】図3は実施例1の制御部の機能をブロック図(機能ブロック図)で示した説明図である。
【図4】図4は実施例1のセンサシートが出力する座面の圧力分布の一例の説明図である。
【図5】図5は実施例1のメイン画像の説明図である。
【図6】図6は実施例1の登録開始画像の説明図である。
【図7】図7は実施例1の登録開始画像の案内表示部に表示される画像の説明図であり、図7Aは実施例1の検知開始案内画像の説明図、図7Bは実施例1の検知完了案内画像の説明図である。
【図8】図8は実施例1の登録開始画像の説明図である。
【図9】図9は実施例1の認証結果を表示する画像の説明図であり、図9Aは実施例1の成功画像の説明図、図9Bは実施例1の失敗画像の説明図である。
【図10】図10は実施例1の登録処理のフローチャートである。
【図11】図11は実施例1の認証処理のフローチャートである。
【図12】図12は実施例1の登録更新処理のフローチャートであり、図11のST106のサブルーチンの説明図である。
【図13】図13は実施例1の作用説明図であり、縦軸をマハラノビス距離の常用対数とし横軸を5人の被験者ごとに等分割されたフレームとした認証結果の片対数グラフであり、図13Aは被験者Aを使用者とした場合の各被験者の認証結果のグラフであり、図13Bは被験者Bを使用者とした場合の各被験者の認証結果のグラフである。
【図14】図14は実施例2の個人認証システムの全体説明図であり、実施例1の図1Bに対応する説明図である。
【図15】図15は実施例2の入室管理装置の機能をブロック図(機能ブロック図)で示した説明図であり、実施例1の図3に対応する説明図である。
【図16】図16は実施例2の入室管理装置の認証処理のフローチャートであり、実施例1の図11に対応する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0024】
図1は実施例1の個人認証システムの説明図であり、図1Aは実施例1の自動車の右側面図、図1Bは実施例1の自動車の運転席の斜視拡大説明図である。
図2は実施例1のセンサシートの説明図であり、図2Aは実施例1のセンサシートの斜視拡大図、図2Bは実施例1のボタンセンサの拡大説明図である。
図1において、本発明の実施例1の個人認証システムSは、使用者(登録者、運転手、搭乗者、オーナー、カーシェアリングの会員・メンバー)が搭乗する自動車Vの制御部(個人認証装置、コントローラ)Cに設けられている。図1A、図1Bにおいて、実施例1の前記自動車Vには、前記使用者が着座する運転席(椅子、着座部材)CHが設けられている。前記運転席CHは、前側下部に配置された座面CH1と、前記座面CH1の後端から後斜め情報に延びる背もたれCH2とを有する。
【0025】
また、図1B、図2において、前記座面CH1上には、前記制御部Cに接続され、着座した前記使用者が座面CH1を押圧する圧力を検知するシート状のセンサシート(圧力検知部材、圧力分布検知部材)SNが敷設されている。
図2Aにおいて、実施例1の前記センサシートSNには、縦方向の一例としての前後方向に20マス(セル)、横方向の一例としての左右方向に18マス、合計360マス(20×18=360[マス])の互いに隣接する検知領域(第1検知領域、第2検知領域、…、第360検知領域)が予め設定されている。また、図2Bにおいて、前記センサシートSNの内部には、着座した使用者による前記各検知領域における圧力(第1圧力値、第2圧力値、…、第360圧力値)を検知する360個のボタン状のボタンセンサ(検知部、圧力センサ)SN1が配置されている。
【0026】
実施例1の前記各ボタンセンサSN1は、いわゆる、感圧導電性インクによって構成されており、前記使用者が押圧する圧力に反比例して電極SN2との接触抵抗の抵抗値[Ω]が設定されるようになっている。具体的には、前記使用者が着座していない無負荷時の抵抗値(数M[Ω]程度)から、圧力値[gf/cm]が大きくなるに連れて抵抗値[Ω]が小さくなるように設定されている。すなわち、圧力値[gf/cm]が大きくなるに連れて前記電極SN2を流れる(検知される、出力される)電流値[A]が大きくなるように設定されている。なお、実施例1では、前記各ボタンセンサSN1は、前記電流値[A]に応じた圧力値を256階調(0〜255)で検知することが可能である。
なお、前記感圧導電性インクについては、例えば、非特許文献2(“ニッタ株式会社 [ 製品情報 ] -タクタイルセンサシステム”)等に記載されており、公知である。
【0027】
(実施例1の制御部Cの説明)
図3は実施例1の制御部の機能をブロック図(機能ブロック図)で示した説明図である。
図3において、前記制御部Cは、外部との信号の入出力および入出力信号レベルの調節等を行うI/O(入出力インターフェース)、必要な起動処理を行うためのプログラムおよびデータ等が記憶されたROM(リードオンリーメモリ)、必要なデータ及びプログラムを一時的に記憶するためのRAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM等に記憶された起動プログラムに応じた処理を行うCPU(中央演算処理装置)ならびにクロック発振器等を有しており、前記ROM及びRAM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
前記制御部Cには、基本動作を制御する基本ソフト、いわゆる、オペレーティングシステムOS、アプリケーションプログラムとしての個人認証プログラムAP1、その他の図示しないソフトウェアが記憶されている。
【0028】
(実施例1の制御部Cに接続された信号入力要素)
図4は実施例1のセンサシートが出力する座面の圧力分布の一例の説明図である。
前記制御部Cには、次の信号出力要素SN等の出力信号が入力されている。
SN:センサシート
センサシートSNは、各ボタンセンサSN1が検知した検知領域ごとの各圧力値を出力することにより、図4に示す、着座した使用者による座面CH1の圧力分布を出力する。
(実施例1の個人認証プログラムAP1)
前記個人認証プログラムAP1は、下記の機能手段(プログラムモジュール)を有する。
【0029】
図5は実施例1のメイン画像の説明図である。
C1:メイン画像表示手段
メイン画像表示手段C1は、図5に示す、前記自動車Vの制御に関するメイン画像101を自動車VのフロントモニタFMに表示する。図5において、実施例1の前記メイン画像101は、使用者の登録を開始するための登録開始ボタン101aを有する。
C2:登録手段
登録手段(相関係数学習手段、学習手段)C2は、登録開始判別手段C2Aと、登録開始画像表示手段C2Bと、検知開始案内画像表示手段C2Cと、検知開始判別手段C2Dと、特徴量演算手段C2Eと、特徴量記憶手段C2Fと、検知完了案内画像表示手段C2Gと、検知完了判別手段C2Hと、試行回数係数手段C2Jと、試行完了判別手段C2Kと、単位空間生成手段C2Lと、相関行列演算手段C2Mと、相関行列記憶手段C2Nと、登録完了画像表示手段C2Pと、登録確認判別手段C2Qとを有し、使用者を登録する(後述する式(3)の相関行列Rを使用者ごとに学習する)。
【0030】
図6は実施例1の登録開始画像の説明図である。
C2A:登録開始判別手段
登録開始判別手段C2Aは、前記登録開始ボタン101aが選択されたか否かを判別することにより、使用者の登録を開始するか否かを判別する。
C2B:登録開始画像表示手段
登録開始画像表示手段C2Bは、図6に示す、登録の開始のための登録開始画像102をフロントモニタFMに表示する。図6において、実施例1の前記登録開始画像102は、登録のための案内を表示するための案内表示部102aを有する。
【0031】
図7は実施例1の登録開始画像の案内表示部に表示される画像の説明図であり、図7Aは実施例1の検知開始案内画像の説明図、図7Bは実施例1の検知完了案内画像の説明図である。
C2C:検知開始案内画像表示手段
検知開始案内画像表示手段C2Cは、センサシートSNによって圧力分布(図4参照)を検知する場合に、図7Aに示す、使用者に圧力分布の検知開始を案内する検知開始案内画像103を前記案内表示部102aに表示する。
C2D:検知開始判別手段
検知開始判別手段C2Dは、センサシートSNが圧力分布の検知を開始したか否かを判別する。すなわち、使用者がセンサシートSNに乗って1回分の試行(使用者の着座・離席の1セット)が開始されたか否かを判別する。実施例1の前記検知開始判別手段C2Dは、センサシートSNの各ボタンセンサSN1が各圧力値を検知してから各圧力値が変化しなくなった場合に、センサシートSNが圧力分布の検知を開始したと判別する。
【0032】
C2E:特徴量演算手段
特徴量演算手段C2Eは、センサシートSNの各ボタンセンサSN1によって検知された各圧力値に基づいて、各圧力値どうしの間の関連性を特定する予め設定された35種類の特徴(第1の特徴、第2の特徴、…、第35の特徴)の値である特徴量(第1特徴量、第2特徴量、…、第35特徴量)を演算する。
実施例1の前記特徴量演算手段C2Eでは、以下の(1)〜(35)の各特徴が予め設定されている。
【0033】
(1)左側最高圧力値(使用者の左半身の各検知領域の各圧力値の最大値)
(2)右側最高圧力値(使用者の右半身の各検知領域の各圧力値の最大値)
(3)1〜63の圧力値を有するボタンセンサ(検知領域、マス、セル)の数
(4)64〜127の圧力値を有するボタンセンサの数
(5)128〜191の圧力値を有するボタンセンサの数
(6)192〜255の圧力値を有するボタンセンサの数
(7)32〜95の圧力値を有するボタンセンサの数
(8)96〜159の圧力値を有するボタンセンサの数
(9)160〜223の圧力値を有するボタンセンサの数
(10)1以上の圧力値を有するボタンセンサの数
【0034】
(11)全体の総圧力(各圧力値の合計値)
(12)1以上の圧力値を有するボタンセンサ内における各圧力値の平均
(13)1以上の圧力値を有するボタンセンサ内における各圧力値の分散
(14)使用者の腿における1以上の圧力値を有するボタンセンサの数
(15)使用者の腿における圧力の総和(各圧力値の合計値)
(16)使用者の腿における1以上の圧力値を有するボタンセンサのみの各圧力値の平均
(17)使用者の腿における1以上の圧力値を有するボタンセンサのみの各圧力値の分散
【0035】
(18)使用者の尻における1以上の圧力値を有するボタンセンサの数
(19)使用者の尻における圧力の総和(各圧力値の合計値)
(20)使用者の尻における1以上の圧力値を有するボタンセンサのみの各圧力値の平均
(21)使用者の尻における1以上の圧力値を有するボタンセンサのみの各圧力値の分散
(22)左端から使用者の左半身の重心位置までの距離(マス単位の距離)
(23)後端から使用者の左半身の重心位置までの距離
(24)左端から使用者の右半身の重心位置までの距離
(25)後端から使用者の右半身の重心位置までの距離
(26)左右の重心位置間の距離(使用者の左半身の重心位置から右半身の重心位置までの距離)
【0036】
(27)左側最高圧力値の25%以上の圧力値を有するボタンセンサ(検知領域、マス)のみによって演算された使用者の左半身の重心位置から左端までの距離
(28)左側最高圧力値の25%以上の圧力値を有するボタンセンサのみによって演算された使用者の左半身の重心位置から後端までの距離
(29)右側最高圧力値の25%以上の圧力値を有するボタンセンサのみによって演算された使用者の右半身の重心位置から左端までの距離
(30)右側最高圧力値の25%以上の圧力値を有するボタンセンサのみによって演算された使用者の右半身の重心位置から後端までの距離
(31)左右それぞれの最高圧力値の25%以上の圧力値を有するボタンセンサのみによって演算された左右の重心位置間の距離((27),(28)の使用者の左半身の重心位置から(29),(30)の右半身の重心位置までの距離)
【0037】
(32)使用者の左半身における圧力値が0のボタンセンサに隣接している1以上の圧力値を有するボタンセンサの数
(33)使用者の右半身における圧力値が0のボタンセンサに隣接している1以上の圧力値を有するボタンセンサの数
(34)使用者の左半身における圧力値が左側最高圧力値の25%未満のボタンセンサに隣接している左側最高圧力値の25%以上の圧力値を有するボタンセンサの数
(35)使用者の右半身における圧力値が左側最高圧力値の25%未満のボタンセンサに隣接している右側最高圧力値の25%以上の圧力値を有するボタンセンサの数
【0038】
したがって、例えば、センサシートSNによって図4に示す圧力分布が出力された場合には、(1)第1特徴量が「183」、(2)第2特徴量が「225」、(3)第3特徴量が「162」、(4)第4特徴量が「7」、(5)第5特徴量が「6」、(6)第6特徴量が「1」、(7)第7特徴量が「36」、(8)第8特徴量が「9」、(9)第9特徴量が「3」、(10)第10特徴量が「176」、(11)第11特徴量が「5239」、(12)第12特徴量が「約29.767」、(13)第13特徴量が「約1243.475」、(14)第14特徴量が「122」、(15)第15特徴量が「2178」、(16)第16特徴量が「約17.852」、(17)第17特徴量が「約209.404」、(18)第18特徴量が「54」、(19)第19特徴量が「3061」、(20)第20特徴量が「約56.685」、(21)第21特徴量が「約2530.031」、(22)第22特徴量が「約4.939」、(23)第23特徴量が「約7.335」、(24)第24特徴量が「約12.989」、(25)第25特徴量が「約7.545」、(26)第26特徴量が「約8.052」、(27)第27特徴量が「約5.300」、(28)第28特徴量が「約6.411」、(29)第29特徴量が「約12.807」、(30)第30特徴量が「約6.737」、(31)第31特徴量が「約7.514」、(32)第32特徴量が「31」、(33)第33特徴量が「36」、(34)第34特徴量が「16」、(35)第35特徴量が「15」となる。
【0039】
C2F:特徴量記憶手段
特徴量記憶手段C2Fは、前記特徴量演算手段C2Eによって演算された各特徴量を記憶する。実施例1の前記特徴量記憶手段C2Fは、1回の試行ごとに演算された35種類の特徴量を1組として記憶する。実施例1の前記特徴量記憶手段C2Fでは、登録される使用者と演算された特徴量とが関連付けて記憶される。具体的には、試行を完了する回数をMN[回]とした場合に、メイン画像101の登録開始ボタン101aが選択されてから試行が完了して演算された合計MN組の各特徴量が、登録開始ボタン101aの選択順に(登録順に)「1人目の使用者」の特徴量、「2人目の使用者」の特徴量、…、としてそれぞれ記憶される。すなわち、使用者の登録順である登録番号(登録ID)をp(p=1,2,…)とした場合に、使用者の試行による「MN組の各特徴量」と、前記使用者の「登録番号p」とが関連付けられて記憶される。
【0040】
C2G:検知完了案内画像表示手段
検知完了案内画像表示手段C2Gは、前記特徴量記憶手段C2Fに各特徴量が記憶されて圧力分布を再度検知する場合に、図7Bに示す、使用者に圧力分布の検知完了を案内する検知完了案内画像104を前記案内表示部102aに表示する。
C2H:検知完了判別手段
検知完了判別手段C2Hは、センサシートSNによる圧力分布の検知を完了したか否かを判別する。すなわち、1回分の試行が完了し、次の試行のために使用者がセンサシートSNから離れたか否かを判別する。実施例1の前記検知完了判別手段C2Dは、センサシートSNの各ボタンセンサSN1が各圧力値を検知しなくなった場合、すなわち、全ての圧力値がゼロになった場合に、センサシートSNによる圧力分布の検知を完了したと判別する。
【0041】
C2J:試行回数計数手段
試行回数計数手段C2Jは、試行を繰り返して各特徴量を演算・記憶した試行回数n(n=1,2,…,MN)を計数する。
C2K:試行完了判別手段
試行完了判別手段C2Kは、前記試行回数係数手段C2Jによって計数された試行回数nが予め設定された最大値MN[回]になったか否かを判別することにより、各特徴量の演算・記憶のための試行が完了したか否かを判別する。
なお、実施例1の前記登録手段C2は、前記検知完了判別手段C2Hによって次の試行のために使用者がセンサシートSNから離れたと判別し且つ前記試行完了判別手段C2KによってMN回の試行が完了していないと判別した場合に、次の試行のために前記検知開始案内画像表示手段C2Cによって検知開始案内画像103を表示すると共に、前記検知開始判別手段C2Dによって次の試行を開始したか否かを判別する。
【0042】
C2L:単位空間生成手段
単位空間生成手段(基準空間生成手段、特徴量基準化手段)C2Lは、前記試行完了判別手段C2Kによって各特徴量の演算・記憶のための試行が完了したと判別された場合に、使用者の認証基準としての単位空間(基準空間)を生成する。実施例1の前記単位空間生成手段C2Lは、前記特徴量記憶手段C2Fに記憶されたMN組の特徴量(MN個の第1特徴量、MN個の第2特徴量、…、MN個の第35特徴量)の組み合わせに基づいて、単位空間を生成する。具体的には、MN個の第1特徴量、MN個の第2特徴量、…、MN個の第35特徴量を、平均が0且つ標準偏差が1となるようにそれぞれ正規化(基準化、規準化、平均0・標準偏差1となる線形変換)することにより、単位空間を生成する。
【0043】
すなわち、実施例1では、1回の試行によって演算された第1特徴量から第35特徴量までの組み見合わせを35次元ベクトルとした場合に、MN個の35次元ベクトルの集合が構成する35次元ベクトル空間(各特徴量の平均を成分とする原点が中心となる部分空間)が単位空間として生成される。なお、前記単位空間は、各ベクトル成分の値が全てゼロ、すなわち、(0,0,…,0)の場合が原点となり、各ベクトル成分を確率変数とした場合のMN個の値(正規化された第1特徴量、正規化された第2特徴量、…、正規化された第35特徴量)が出力される確率の分布(確率分布)が正規分布となっている。
【0044】
C2M:相関行列演算手段
相関行列演算手段(相関係数行列演算手段)C2Mは、前記単位空間生成手段C2Lによって生成された前記単位空間に基づいて、異なる2種類の特徴どうしの相関を特定する相関係数を使用者ごとに演算する相関係数演算手段C2M1を有し、前記相関係数の行列である相関行列(相関係数行列)Rを演算する。実施例1の前記相関係数演算手段C2M1では、1からMNまでの任意の自然数をi,jとし、MN個の第i特徴量(一方の特徴量)をx,x,…,xMNとし、MN個の第j特徴量(他方の特徴量)をy,y,…,yMNとし、第i特徴量と第j特徴量との相関係数をrijとした場合に、前記相関係数rijが以下の式(2)によって演算される。
ij=(x+x+…+xMNMN
/{(x+x+…+xMN1/2
×(y+y+…+yMN1/2} …式(2)
【0045】
よって、実施例1の前記相関行列演算手段C2Mは、前記式(2)によって演算された第1特徴量と第1特徴量との相関係数r(1)(1)(r(1)(1)=1)、第1特徴量と第2特徴量との相関係数をr(1)(2)(−1≦r(1)(3)≦1)、…、第34特徴量と第35特徴量との相関係数r(34)(35)(−1≦r(34)(35)≦1)、第35特徴量と第35特徴量との相関係数をr(35)(35)(r(35)(35)=1)を各成分とする以下の数1の式(3)の35行35列の行列を相関行列Rとして演算する。
【数1】

…式(3)
【0046】
C2N:相関行列記憶手段
相関行列記憶手段C2Nは、使用者ごとの相関係数r(1)(1),r(1)(2),…,r(34)(35),r(35)(35)と使用者とを関連付けて記憶する相関係数記憶手段C2N1を有し、使用者ごとの相関行列Rと使用者とを関連付けて記憶する。実施例1の前記相関行列記憶手段C2Nは、前記相関行列演算手段C2Mによって演算された相関行列Rと、使用者とを関連付けて記憶する。具体的には、「登録番号p」の使用者、すなわち、p人目の使用者について演算された相関行列RをRとした場合に、演算された「相関行列R」と、前記使用者の「登録番号p」とが関連付けられて記憶される。
【0047】
図8は実施例1の登録開始画像の説明図である。
C2P:登録完了画像表示手段
登録完了画像表示手段C2Pは、前記試行完了判別手段C2Kによって各特徴量の演算・記憶のための試行が完了したと判別された場合に、図8に示す、登録が完了したことを通知するための登録完了画像105をフロントモニタFMに表示する。図8において、実施例1の前記登録完了画像105は、使用者に登録を確認させるための登録確認ボタン105aを有する。
C2Q:登録確認判別手段
登録確認判別手段C2Qは、前記登録確認ボタン105aが選択されたか否かを判別することにより、使用者が登録を確認したか否かを判別する。なお、実施例1の前記登録手段C2では、使用者が登録を確認した場合に、登録完了画像105を非表示にする。このため、フロントモニタFMにはメイン画像101が再表示される。
【0048】
C3:ロック判別手段
ロック判別手段(離隔判別手段、離席判別手段)C3は、前記検知完了判別手段C2Hと同様に、センサシートSNの各ボタンセンサSN1の全ての圧力値を検知しなくなったか否か(ゼロになったか否か)、すなわち、使用者が運転席CHの座面CH1から離席したか否かを判別することにより、自動車Vの図示しないエンジンの始動を不能な状態にする。すなわち、エンジンスタートのロックを実行するか否かを判別する。
C4:エンジンスタートロック手段
エンジンスタートロック手段C4は、使用者が運転席CHから離席したと判別された場合に、自動車Vのエンジンの始動を不能な状態にする(エンジンスタートをロックする)。実施例1の前記エンジンスタートロック手段C4は、例えば、燃料の噴射が行われないように前記エンジンを制御することにより、エンジンスタートをロックする。
【0049】
C5:認証手段
認証手段C5は、着座判別手段C5Aと、特徴量演算手段C5Bと、距離演算手段C5Cと、閾値判別手段C5Dと、使用者認証手段C5Eと、人数計数手段C5Fと、人数判別手段C5Gと、認証表示手段C5Hと、認証確認判別手段C5Jとを有し、運転席CHに着座した披験者(被検体、披検者、被験体、着座者、第三者)が登録済の使用者であるか否かを認証する。実施例1の前記認証手段C5は、登録済の使用者がMP人存在する場合には、1人目の使用者からMP人目の使用者まで「登録番号p」の順番に認証してゆき、p人目(p=1,2,…,MP)の使用者本人であると認証された場合に、残りの(MP−p)人の使用者の認証を行わずに終了する。
【0050】
C5A:着座判別手段
着座判別手段C5Aは、前記検知開始判別手段C2Dと同様に、センサシートSNが圧力分布の検知を開始したか否か、すなわち、披験者が運転席CHの座面CH1に着座したか否かを判別する。
C5B:特徴量演算手段
特徴量演算手段C5Bは、前記特徴量演算手段C2Eと同様に、センサシートSNの各ボタンセンサSN1によって検知された各圧力値に基づいて、35種類の特徴量(第1特徴量、第2特徴量、…、第35特徴量)を演算する。
【0051】
C5C:距離演算手段
距離演算手段C5Cは、前記相関行列記憶手段C2Nに記憶された使用者ごとの相関行列Rと、前記特徴量演算手段C5Bによって演算された披験者の各特徴量とに基づいて、披験者のマハラノビス距離を演算する。ここで、前記マハラノビス距離とは、多変数間の相関に基づく前記多変数の値の総合指標(尺度、統計上の距離)であり、分類(文字認識、音声認識、画像認識等)や、予測(利益予測、地震予知、強度予測等)や、診断(病気診断、火災報知、工業用検査、故障診断等)等に利用されている。特に、前記マハラノビス距離の概念を導入したパターン認識技術としてのMTシステム(MT法:Mahalanobis Taguchi Method)が品質工学における主要分野として位置付けられており、製品の企画・設計・製造・品質管理等の幅広い分野で活用されている。なお、マハラノビス距離やMTシステムについては、例えば、例えば、非特許文献3(“官能検査を自動化するための判定技術”)や非特許文献4(“環境と品質のためのデータサイエンス”)等に記載されており、公知である。
【0052】
実施例1の前記距離演算手段C5Cは、まず、前記特徴量記憶手段C2Fに記憶されたp人目の使用者の各特徴量に基づいて、演算された披験者の各特徴量を基準化する。具体的には、1から35までの任意の自然数をiとし、p人目の使用者の第i特徴量(MN個の第i特徴量)の平均をμip(μip=μ1p,μ2p,…,μ35p)とし、標準偏差をσip(σip=σ1p,σ2p,…,σ35p)とし、演算された披験者の各特徴量をv(v=v,v,…,v35)とし、基準化された披験者の各特徴量をuip(uip=u1p,u2p,…,u35p)とした場合に、基準化された披験者の各特徴量uipが以下の式(4)によって演算される。
ip=(v−μip)/σip …式(4)
【0053】
そして、基準化された披験者の各特徴量uipの35次元ベクトルを35行1列で示した行列である特徴量行列をUとし、前記特徴量行列Uの転置行列(1行35列)をUとし、p人目の使用者の相関係数rijをrijpとし、p人目の使用者の相関行列Rの逆行列をR−1とし、p人目の使用者の認証基準としての披験者のマハラノビス距離をDとした場合に、前記マハラノビス距離Dの2乗(D)は以下の式(5)および数2の式(6)によって演算される。
=U(R−1)U …式(5)
【0054】
【数2】


…式(6)
よって、実施例1の前記距離演算手段C5Cでは、前記式(6)に示す行列式によって演算された値Dの平方根によって前記マハラノビス距離Dを演算する((D1/2=D)。
【0055】
C5D:閾値判別手段
閾値判別手段C5Dは、前記距離演算手段C5Cによって演算された披験者のマハラノビス距離Dが予め設定された閾値S以下であるか否かを判別する。実施例1の前記閾値判別手段C5Dでは、前記閾値Sが「200」に予め設定されている。
C5E:使用者認証手段
使用者認証手段(登録者認証手段)C5Eは、披験者のマハラノビス距離Dが閾値S以下であると判別された場合に、披験者が、前記マハラノビス距離Dの演算に使用された相関行列Rに関連付けられたp人目の使用者であると認証する。
【0056】
C5F:人数計数手段
人数計数手段(認証人数計数手段)C5Fは、披験者が登録済の使用者であるか否かを認証した人数pを計数する。
C5G:人数判別手段
人数判別手段(認証人数判別手段)C5Gは、前記人数計数手段C5Fによって計数された人数pが予め設定された最大値MP[人]になったか否かを判別することにより、披験者が登録済のMP人全ての使用者でないことが認証されたか否かを判別する(認証が完了したか否かを判別する)。
C5H:認証表示手段
認証表示手段C5Hは、成功画像表示手段C5H1と、失敗画像表示手段C5H2とを有し、認証結果(認証が成功した旨、認証が失敗した旨)を表示する。
【0057】
図9は実施例1の認証結果を表示する画像の説明図であり、図9Aは実施例1の成功画像の説明図、図9Bは実施例1の失敗画像の説明図である。
C5H1:成功画像表示手段
成功画像表示手段C5H1は、前記使用者認証手段C5Eによって披験者がp人目の使用者であると認証された場合に、図9Aに示す、披験者が認証されたp人目の使用者であるため認証が成功したことを示す成功画像201をフロントモニタFMに表示する。図9Aにおいて、実施例1の前記成功画像201は、披験者に認証が成功したことを確認させるための成功確認ボタン201aを有する。
C5H2:失敗画像表示手段
失敗画像表示手段C5H2は、前記人数判別手段C5Gによって認証が完了したと判別された場合に、図9Bに示す、披験者が登録済のMP人全ての使用者でないため認証が失敗したことを示す失敗画像202をフロントモニタFMに表示する。図9Bにおいて、実施例1の前記失敗画像202は、披験者に認証が失敗したことを確認させるための失敗確認ボタン202aを有する。
【0058】
C5J:認証確認判別手段
認証確認判別手段C5Jは、成功確認判別手段C5J1と、失敗確認判別手段C5J2とを有し、披験者に認証結果を確認したか否かを判別する。
C5J1:成功確認判別手段
成功確認判別手段C5J1は、前記成功確認ボタン201aが選択されたか否かを判別することにより、披験者、すなわち、p人目の使用者が認証の成功を確認したか否かを判別する。
C5J2:失敗確認判別手段
失敗確認判別手段C5J2は、前記失敗確認ボタン202aが選択されたか否かを判別することにより、披験者が認証の失敗を確認したか否かを判別する。
C6:エンジンスタートロック解除手段
エンジンスタートロック解除手段C6は、前記使用者認証手段C5Eによって披験者がp人目の使用者であると認証された場合に、自動車Vのエンジンスタートのロックを解除する。
【0059】
C7:登録更新手段
登録更新手段(相関係数再学習手段、再学習手段)C7は、特徴量更新手段C7Aと、単位空間再生成手段C7Bと、相関行列再演算手段C7Cと、相関行列更新手段C7Dとを有し、使用者の登録を更新する(相関行列Rを使用者ごとに再学習する)。
C7A:特徴量更新手段
特徴量更新手段C7Aは、前記使用者認証手段C5Eによって披験者がp人目の使用者であると認証された場合に、前記特徴量演算手段C5Bによって演算された各特徴量の記憶を更新する。実施例1の前記特徴量更新手段C7Aは、前記特徴量記憶手段C2Fに最も長く記憶されていたp人目の使用者の特徴量の1組、すなわち、MN組の特徴量を記憶順に第1組目の特徴量、第2組目の特徴量、…、第MN組目の第35特徴量とした場合の前記第1組目の特徴量に替えて、前記特徴量演算手段C5Bによって演算された各特徴量を記憶することにより、前記特徴量記憶手段C2Fに記憶された各特徴量を更新する。
【0060】
C7B:単位空間再生成手段
単位空間再生成手段(基準空間再生成手段)C7Bは、前記単位空間生成手段C2Lと同様に、前記特徴量更新手段C7Aによって更新されたMN組の特徴量(MN個の第1特徴量、MN個の第2特徴量、…、MN個の第35特徴量)の組み合わせに基づいて、p人目の使用者の単位空間を再生成する。
C7C:相関行列再演算手段
相関行列再演算手段(相関係数行列再演算手段)C7Cは、前記相関行列演算手段C2Mと同様に、前記単位空間再生成手段C7Bによって再生成された前記単位空間に基づいて、前記相関行列Rを再演算する。
C7D:相関行列更新手段
相関行列更新手段(相関係数更新手段)C7Dは、前記相関行列記憶手段C2Nに記憶されたp人目の使用者の相関行列Rに替えて、前記相関行列再演算手段C7Cによって演算された相関行列Rを記憶することにより、前記相関行列記憶手段C2Nに記憶された相関行列Rを更新する。
【0061】
(実施例1のフローチャートの説明)
次に、実施例1の前記制御部Cの各プログラムの処理の流れをフローチャートを使用して説明する。なお、メイン画像101(図5参照)を表示する処理については、自動車Vがエンジンスタートした場合にメイン画像101をフロントモニタFMに表示するだけであり、エンジンスタートをロックする処理については、圧力検知センサSNが使用者の離席を検知した場合にエンジンスタートをロックするだけであるため、図示および詳細な説明を省略する。
【0062】
(実施例1の制御部Cの登録処理の説明)
図10は実施例1の登録処理のフローチャートである。
図10のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、前記制御部CのROM等に記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は前記制御部Cの他の各種処理と並行してマルチタスクで実行される。
【0063】
図10に示すフローチャートは、前記制御部Cの前記個人認証プログラムAP1が起動した場合に開始される。
図10のST1において、メイン画像101から登録開始ボタン101aが選択されたか否かを判別することにより、使用者の登録を開始するか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST2に移り、ノー(N)の場合はST1を繰り返す。
ST2において、以下の(1),(2)の処理を実行し、ST3に移る。
(1)登録開始画像102(図6参照)をフロントモニタFMに表示する。
(2)試行回数nに1をセットする(n=1)
ST3において、検知開始案内画像103(図7A参照)を案内表示部102aに表示する。そして、ST4に移る。
【0064】
ST4において、センサシートSNの各ボタンセンサSN1が各圧力値を検知してから各圧力値が変化しなくなったか否かを判別することにより、使用者が運転席CHに着座したか否かを判別する。すなわち、360マスの検知領域のいずれかから圧力検知センサSNの各ボタンセンサSN1が圧力値を検知(圧力分布を出力)したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST5に移り、ノー(N)の場合はST4を繰り返す。
ST5において、360個の各ボタンセンサSN1の各圧力値から35種類の特徴量を演算して記憶する。そして、ST6に移る。
ST6において、試行回数nが最大値MN[回]以上であるか否かを判別する(n≧MN)。ノー(N)の場合はST7に移り、イエス(Y)の場合はST9に移る。
ST7において、以下の(1),(2)の処理を実行し、ST8に移る。
(1)検知完了案内画像104(図7B参照)を案内表示部102aに表示する。
(2)試行回数nに+1を加算する(n=n+1)。
【0065】
ST8において、センサシートSNの各ボタンセンサSN1が各圧力値を検知しなくなったか否かを判別することにより、使用者が運転席CHから離席したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST3に戻り、ノー(N)の場合はST8を繰り返す。
ST9において、以下の(1)〜(4)の処理を実行し、ST10に移る。
(1)各特徴量を平均0、標準偏差1に正規化することにより、使用者の単位空間を生成する。
(2)生成された単位空間から式(2)によって演算された相関係数rijを各成分とする数1の式(3)の35行35列の相関行列Rを演算する。
(3)使用者と演算された相関行列Rとを関連付けて記憶する。
(4)登録完了画像105(図8参照)をフロントモニタFMに表示する。
【0066】
ST10において、登録確認ボタン105aが選択されたか否かを判別することにより、使用者が登録を確認したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST11に移り、ノー(N)の場合はST10を繰り返す。
ST11において、登録完了画像105を非表示にすることにより、メイン画像101をフロントモニタFMに再表示する。そして、ST1に戻る。
【0067】
(実施例1の制御部Cの認証処理の説明)
図11は実施例1の認証処理のフローチャートである。
図11のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、前記制御部CのROM等に記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は前記制御部Cの他の各種処理と並行してマルチタスクで実行される。
【0068】
図11に示すフローチャートは、前記制御部Cの前記個人認証プログラムAP1が起動した場合に開始される。
図11のST101において、センサシートSNの各ボタンセンサSN1が各圧力値を検知してから各圧力値が変化しなくなったか否かを判別することにより、披験者が運転席CHに着座したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST102に移り、ノー(N)の場合はST101を繰り返す。
ST102において、以下の(1),(2)の処理を実行し、ST103に移る。
(1)360個の各ボタンセンサSN1の各圧力値から35種類の特徴量を演算する。
(2)人数pに1をセットする(p=1)。
【0069】
ST103において、式(4)〜(6)によって、演算された特徴量に基づく特徴量行列U,U(35行1列、1行35列)と、p人目の使用者の相関行列R(35行35列)とに基づいて、p人目の使用者の認証基準としての披験者のマハラノビス距離Dを演算する。そして、ST104に移る。
ST104において、マハラノビス距離Dが閾値S(S=200)以下であるか否かを判別する(D≦200)。イエス(Y)の場合はST105に移り、ノー(N)の場合はST108に移る。
ST105において、以下の(1),(2)の処理を実行し、ST106に移る。
(1)成功画像201(図9A参照)をフロントモニタFMに表示する。
(2)エンジンスタートのロックを解除する。
【0070】
ST106において、後述する図12に示す登録更新処理を実行する。そして、ST107に移る。
ST107において、成功確認ボタン201aが選択されたか否かを判別することにより、披験者、すなわち、p人目の使用者が認証の成功を確認したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST112に移り、ノー(N)の場合はST107を繰り返す。
ST108において、人数pが最大値MP[人]以上であるか否かを判別する(p≧MP)。ノー(N)の場合はST109に移り、イエス(Y)の場合はST110に移る。
【0071】
ST109において、人数pに+1を加算する(p=p+1)。そして、ST103に戻る。
ST110において、失敗画像202(図9B参照)をフロントモニタFMに表示する。そして、ST111に移る。
ST111において、失敗確認ボタン202aが選択されたか否かを判別することにより、披験者が認証の失敗を確認したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST112に移り、ノー(N)の場合はST111を繰り返す。
ST112において、各画像201,202を非表示にする。そして、ST101に戻る。
【0072】
(実施例1の制御部Cの登録更新処理のフローチャートの説明)
図12は実施例1の登録更新処理のフローチャートであり、図11のST106のサブルーチンの説明図である。
図12のST201において、記憶順が最先の第1組目の各特徴量を図11のST102において演算された各特徴量に更新する。
ST202において、各特徴量を平均0、標準偏差1に正規化することにより、使用者の単位空間を再生成する。そして、ST203に移る。
ST203において、以下の(1),(2)の処理を実行し、前記登録更新処理を終了して図11のST106に戻る。
(1)再生成された単位空間から式(2)によって演算された相関係数rijpを各成分とする数1の式(3)の35行35列の相関行列Rを再演算する。
(2)p人目の使用者と再演算された相関行列Rとを関連付けて記憶更新する。
【0073】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の前記個人認証システムSでは、前記登録処理(図10のST1〜ST11参照)によって、自動車Vの各使用者の相関行列R〜RMPが登録された状態で、披験者が運転席CHに着座すると、披験者が各使用者のいずれかであるかを認証する前記認証処理(図11のST101〜ST112参照)が実行される。
【0074】
実施例1の前記認証処理では、披験者が運転席CHの座面CH1に着座し、センサシートSNの各ボタンセンサSN1が各圧力値を検知してから各圧力値が変化しなくなった後、360個の各ボタンセンサSN1の各圧力値から35種類の特徴量が演算される。そして、演算された特徴量に基づく特徴量行列Uと、予め記憶された各使用者の相関行列Rとに基づいて演算された披験者のマハラノビス距離D(式(4)〜(6)参照)が閾値S(S=200)以下であれば、披験者が使用者であると認証される。
したがって、実施例1の前記個人認証システムSは、品質工学におけるMTシステムを利用して個人認証を行うことができる。
【0075】
ここで、前記特許文献1では、圧力センサの信号に基づく圧力分布データ(測定情報)と、予め記憶された使用者の圧力分布データ(記憶情報、登録情報)とが所定誤差の範囲内で一致するか否かを判別する。このため、例えば、着座した姿勢が登録時と異なる場合、本人の圧力分布データでも前記所定誤差の範囲内で一致しない可能性があった。また、例えば、「体重」や「座面の面積」や「座面の形状」等の身体的特徴が本人に近い他人の圧力分布データが前記所定誤差の範囲内で一致する可能性があった。
【0076】
また、前記特許文献2では、靴底圧力センサの信号に基づく靴底の外輪郭線および接地点、すなわち、靴底圧力パターン(測定情報)と、予め記憶された使用者の靴底圧力パターン(記憶情報、登録情報)とが一致するか否かを判別する。このため、前記特許文献1と同様に、例えば、靴底圧力センサ上に乗った姿勢が登録時と異なる場合に、本人の靴底圧力パターンでも一致しない可能性があった。また、例えば、「体重」や「靴のサイズ」や「靴底の面積」等の身体的特徴が本人に近い他人の靴底圧力パターンが一致する可能性があった。
この結果、前記特許文献1、2のように、圧力センサの測定情報(圧力分布データ、靴底圧力パターン)をそのまま入力パラメタとして個人認証を行った場合、本人を本人でないと誤認したり、他人を本人であると誤認したりする可能性が高いという問題があった。
【0077】
これに対して、実施例1では、各ボタンセンサSN1が検知した各圧力値どうしの関連性を特定する各特徴量、すなわち、個人の身体的特徴の値を入力パラメタとしている。また、実施例1では、異なる2つの特徴量どうしの相関を特定する予め記憶された相関係数rijp(記憶情報、登録情報)、すなわち、各身体的特徴どうしの相関の個人差に基づく値からマハラノビス距離Dを演算して個人認証を行っている。
【0078】
このため、例えば、センサシートSN上に着座した本人の姿勢が登録時と異なる場合でも、姿勢の違いによる圧力分布の変化に応じた各特徴量の変化に基づいて相関係数rijpが演算されているため、本人の相関係数rijpから演算された本人のマハラノビス距離Dの値が小さくなる。また、例えば、「体重」や「座面の面積」や「座面の形状」等の身体的特徴が本人に近い他人の場合でも、「骨盤の骨格」等の他の身体的特徴によって圧力分布には個人差があり、且つ、「体重」の変化と「座面の面積」の変化との相関等にも個人差があるため、本人の相関係数rijpから演算された他人のマハラノビス距離Dの値が大きくなる。
この結果、実施例1の前記個人認証システムSは、前記特許文献1、2の構成に比べ、測定時の圧力分布が登録時から変化した場合でも、本人を本人と認識し且つ他人を本人でないと認識する個人認証の精度を高くすることができる。
【0079】
また、前記非特許文献1では、圧力センサの信号に基づく圧力分布データ(測定情報)と、サポートベクターマシンの予め記憶された結合荷重(記憶情報、登録情報)とに基づいて演算された出力値によって個人認証を行っている。すなわち、前記特許文献1、2と同様に、圧力センサの測定情報(圧力分布データ、靴底圧力パターン)をそのまま入力パラメタとして個人認証を行っている。この結果、学習データ(訓練サンプル)が十分でなければ、着座した姿勢の違いによって本人の圧力分布データが変化して本人でないと誤認したり、「体重」や「座面の面積」や「座面の形状」等の身体的特徴が本人に近い他人の圧力分布データで本人であると誤認したりする可能性があった。
【0080】
これに対し、実施例1では、各身体的特徴どうしの相関の個人差に基づく値として相関係数rijpが演算されており、学習データ(訓練サンプル)が十分でなくても、本人と他人との相関係数rijpの値の個人差が得られ易くなっている。よって、実施例1では、少ない学習量でも、本人の相関係数rijpから演算された本人のマハラノビス距離Dの値が小さくなり易く且つ他人のマハラノビス距離Dの値が大きくなり易くなっている。この結果、実施例1の前記個人認証システムSは、前記非特許文献1の構成に比べ、少ない学習量でも本人を本人と認識し且つ他人を本人でないと認識する個人認証の精度を高くすることができる。
【0081】
(実験例)
ここで、MTシステムを用いた実施例1の前記個人認証システムSが、前記認証処理を実行することにより、高い識別率を得られるかを調べるために、5人の被験者(披験者且つ使用者)に対して、運転席CHの背もたれCH2に寄り掛かって足を自然に下ろした状態で着座・離席を繰り返す実験を行った。
(実験条件)
実験例では、前記登録処理については、5人の被験者(A,B,C,D,E)に対して、運転席CHの座面CH1への着座・離席を、それぞれ2回(2セット)試行させて各被験者の特徴量や相関行列Rを順番に登録させている(MP=5,MN=2)。また、各被験者に対しては、座面CH1への着座・離席を、それぞれ2回(2セット)実行させ、1セット中に、1秒間当たり30フレームで10秒間、合計300フレームの圧力分布をセンサシートSNに出力させて前記特徴量や前記相関行列Rを登録した。すなわち、各被験者の2セットの着座・離席によって5人分の各特徴量をそれぞれ600組づつ演算し(2×300=600[個])、5人分の相関行列を演算(記憶)させた。
【0082】
また、前記認証処理については、ST104〜ST107,ST110〜ST112の各処理を省略し、ST101〜ST103,ST108,ST109の各処理のみを実行した。すなわち、前記実験例では、閾値Sによる判別(個人認証)やその結果を表示する処理を実行せずに、5人全員のマハラノビス距離D(D,D,D,D,D)を演算(記憶)させた。また、各被験者に対しては、座面CH1への着座・離席を、それぞれ1回(1セット)実行させ、1セット中に、1秒間当たり30フレームで10秒間、合計300フレームの圧力分布をセンサシートSNに出力させて前記マハラノビス距離Dを演算した。すなわち、各被験者の1セットの着座・離席によって5種類の各マハラノビス距離D〜Dをそれぞれ300個演算(記憶)させた。
なお、前記実験例では、前記センサシートSNとして、ニッタ株式会社製の「コンフォ・ライト(Conform-Light)」を使用した。
【0083】
(実験結果)
図13は実施例1の作用説明図であり、縦軸をマハラノビス距離の常用対数とし横軸を5人の被験者ごとに等分割されたフレームとした認証結果の片対数グラフであり、図13Aは被験者Aを使用者とした場合の各被験者の認証結果のグラフであり、図13Bは被験者Bを使用者とした場合の各被験者の認証結果のグラフである。
前記実験例では、図13Aに示すように、使用者を被験者Aとした場合、すなわち、被験者Aの相関行列Rでマハラノビス距離Dが演算された場合、被験者A本人については、マハラノビス距離Dが全て200以下となっていることがわかる(D≦S)。すなわち、本人拒否率が0[%](本人許容率が100[%])となっていることがわかる。また、その他の被験者B〜Eについては、マハラノビス距離Dが全て200を越えていることもわかる(D>S)。すなわち、他人許容率が0[%](他人拒否率が100[%])となっていることがわかる。
【0084】
また、図13Bに示すように、使用者を被験者Bとして被験者Bの相関行列Rでマハラノビス距離Dが演算された場合についても、使用者を被験者Aとした場合と同様に、本人拒否率が0[%](本人許容率が100[%])且つ他人許容率が0[%](他人拒否率が100[%])となっていることがわかる。なお、使用者を被験者C〜Eとした場合についても、使用者を被験者A、Bとした場合と同様に、本人拒否率が0[%](本人許容率が100[%])且つ他人許容率が0[%](他人拒否率が100[%])となっていることが確認された。
この結果、実施例1の前記個人認証システムSは、着座ごとのセンサシートSNに乗る位置や姿勢の僅かな違いや、着座中におけるセンサシートSNに姿勢等の僅かな変化によって、本人を本人でないと誤認したり、他人を本人であるとの誤認したりすることなく個人認証を実行することが可能となることが確認された。
また、実施例1の前記個人認証システムSは、運転席CHの座面CH1への着座・離席の試行を2セットだけ実行するだけで、高い識別率で個人認証を実行することが可能となることが確認された。
【0085】
また、前記構成を備えた実施例1の前記個人認証システムSでは、前記認証処理によって、披験者がp人目の使用者であると認証された場合に、前記登録更新処理によって、登録情報としての相関行列R等を更新する前記登録更新処理(図12のST201〜ST203参照)が実行される。
この結果、実施例1の前記個人認証システムSは、使用者の最新の圧力分布に基づく特徴量が反映された相関行列Rによって、披験者が使用者であるか否かを認証することができる。よって、使用者の身体的特徴(体重等)が登録時から経時的に変化した場合でも、前記登録更新処理を繰り返すことによって本人を本人でないと誤認することを低減することができる。
【実施例2】
【0086】
次に、本発明の実施例2の説明をするが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例2は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
【0087】
図14は実施例2の個人認証システムの全体説明図であり、実施例1の図1Bに対応する説明図である。
図14において、本発明の実施例2の個人認証システムS′は、使用者(被検者、登録者、入室者、入室が許可された者、部屋の管理者や責任者)が入室する管理室の自動ドアADの入室管理装置(個人認証装置)NKに設けられている。実施例2の前記自動ドアADは、左右方向にスライド可能な片引き戸AD1と、右方にスライドした前記片引き戸AD1を収容する戸袋AD2とを有する。すなわち、実施例2の前記片引き戸AD1は、前記管理室の入り口を塞ぐ閉塞位置と、前記戸袋AD2に収容されて前記入り口を開放する開放位置との間をスライド移動可能に構成されている。
この結果、実施例2では、使用者が前記閉塞位置に配置された前記片引き戸AD1の前方に一旦直立するのが自然な行動となっている。
【0088】
また、前記自動ドアADの前方の床面(廊下)FLには、実施例2のセンサシートSNが前記閉塞位置の前方に敷設されている。実施例2の前記センサシートSNは、直立した使用者の足裏の圧力分布を出力する。なお、実施例2の前記センサシートSNは、実施例1の前記センサシートSNに比べ、無線で前記入室管理装置NKに接続可能に構成されている点が異なるだけで、圧力分布を出力する構成については前記センサシートSNと同様に構成されている。
また、実施例2の入室管理装置NKは、いわゆる、コンピュータ装置により構成されており、図示しない制御部等により構成されている。
【0089】
(実施例2の入室管理装置NKの制御部の説明)
図15は実施例2の入室管理装置の機能をブロック図(機能ブロック図)で示した説明図であり、実施例1の図3に対応する説明図である。
図15において、実施例2の前記入室管理装置(個人認証装置)NKの制御部は、実施例1の前記メイン画像表示手段C1と、前記登録手段C2と、前記登録更新手段C7とを有する。また、前記制御部は、前記ロック判別手段C3と、前記エンジンスタートロック手段C4と、前記認証手段C5と、前記エンジンスタートロック解除手段C6とに替えて、ロック判別手段C3′と、自動ドアロック手段C4′と、認証手段C5′と、自動ドアロック解除手段C6′とを有する。さらに、前記制御部には、自動ドア制御手段C8が新たに追加されている。
なお、実施例2のメイン画像表示手段C1は、自動ドアADの制御に関するメイン画像101(図5参照)を入室管理装置NKのフロントモニタFMに表示する。また、実施例2の登録手段C2の特徴量演算手段C2Eでは、実施例1の(1)〜(35)に替えて、以下の(1′)〜(35′)の各特徴が予め設定されている。
【0090】
(1′)使用者の両足裏の面積
(2′)1以上の圧力値を有するボタンセンサ内における各圧力値の平均
(3′)1以上の圧力値を有するボタンセンサ内における各圧力値の分散
(4′)1〜50の圧力値を有するボタンセンサ内における各圧力値の分散
(5′)51〜100の圧力値を有するボタンセンサ内における各圧力値の分散
(6′)101〜150の圧力値を有するボタンセンサ内における各圧力値の分散
(7′)151〜200の圧力値を有するボタンセンサ内における各圧力値の分散
(8′)201〜255の圧力値を有するボタンセンサ内における各圧力値の分散
(9′)1以上の圧力値を有するボタンセンサの数
(10′)1〜50の圧力値を有するボタンセンサの数
【0091】
(11′)51〜100の圧力値を有するボタンセンサの数
(12′)101〜150の圧力値を有するボタンセンサの数
(13′)151〜200の圧力値を有するボタンセンサの数
(14′)201〜255の圧力値を有するボタンセンサの数
(15′)使用者の両足裏の伸張度
(16′)使用者の両足裏の円形度
(17′)使用者の両足裏の最大圧力の面積
(18′)全体の総圧力(各圧力値の合計値)
(19′)使用者の両足裏の周囲長
【0092】
(20′)使用者の両足裏の爪先の面積
(21′)使用者の両足裏の爪先における1以上の圧力値を有するボタンセンサのみの各圧力値の平均
(22′)使用者の両足裏の爪先における1以上の圧力値を有するボタンセンサのみの各圧力値の分散
(23′)使用者の両足裏の土踏まずの面積
(24′)使用者の両足裏の土踏まずにおける1以上の圧力値を有するボタンセンサのみの各圧力値の平均
(25′)使用者の両足裏の土踏まずにおける1以上の圧力値を有するボタンセンサのみの各圧力値の分散
【0093】
(26′)使用者の両足裏の踵の面積
(27′)使用者の両足裏の踵における1以上の圧力値を有するボタンセンサのみの各圧力値の平均
(28′)使用者の両足裏の踵における1以上の圧力値を有するボタンセンサのみの各圧力値の分散
(29′)面積中心と荷重中心間の距離
(30′)全体の最大圧力(各圧力値の最大値)
(31′)1〜50の圧力値を有するボタンセンサ内における2次モーメント
(32′)51〜100の圧力値を有するボタンセンサ内における2次モーメント
(33′)101〜150の圧力値を有するボタンセンサ内における2次モーメント
(34′)151〜200の圧力値を有するボタンセンサ内における2次モーメント
(35′)201〜255の圧力値を有するボタンセンサ内における2次モーメント
【0094】
C3′:ロック判別手段
ロック判別手段(離隔判別手段)C3′は、自動ドアADのロックを実行するか否かを判別する。実施例2の前記ロック判別手段C3′は、自動ドアADの片引き戸AD1が閉塞位置に配置され、且つ、センサシートSNの各ボタンセンサSN1が各圧力値を検知していない場合に、自動ドアADのロックを実行すると判別する。
C4′:自動ドアロック手段
自動ドアロック手段C4′は、自動ドアADのロックを実行すると判別された場合に、自動ドアADの片引き戸AD1をスライド移動不能な状態にする。すなわち、自動ドアADの開閉をロックする。
【0095】
C5′:認証手段
認証手段C5′は、実施例1の前記認証手段C5に比べ、前記着座判別手段C5Aと前記認証表示手段C5Hと前記認証確認判別手段C5Jとに替えて、直立判別手段C5A′と認証表示手段C5H′と認証確認判別手段C5J′とを有する。前記認証手段C5′は、センサシートSN上に直立した披験者(被検体、披検者、被験体、直立者、第三者)が登録済の使用者であるか否かを認証する。なお、実施例2の前記特徴量演算手段C5Bは、前記特徴量演算手段C2Eと同様に、(1′)〜(35′)の被験者の各特徴量を演算する。
C5A′:直立判別手段
直立判別手段C5Aは、前記検知開始判別手段C2Dと同様に、センサシートSNが圧力分布の検知を開始したか否か、すなわち、披験者が床面FLのセンサシートSNに乗って直立しているか否かを判別する。
【0096】
C5H′:認証表示手段
認証表示手段C5H′は、認証結果(認証が成功した旨、認証が失敗した旨)を表示する。実施例2の前記認証表示手段C5H′は、前記使用者認証手段C5Eによって披験者がp人目の使用者であると認証された場合、認証が成功した旨を示す成功通知音を鳴らすと共に、前記使用者認証手段C5Eによって披験者がp人目の使用者であると認証された場合、認証が失敗した旨を示す失敗通知音を鳴らすことにより、認証結果を表示する。
C5J′:認証確認判別手段
認証確認判別手段C5J′は、披験者に認証結果を確認したか否かを判別する。実施例2の前記認証確認判別手段C5J′は、センサシートSNの各ボタンセンサSN1が各圧力値を検知しなくなったか否かを判別することにより、披験者が認証の失敗を確認したか否かを判別する。
【0097】
C6′:自動ドアロック解除手段
自動ドアロック解除手段C6′は、前記使用者認証手段C5Eによって被験者がp人目の使用者であると認証された場合に、自動ドアADの開閉のロックを解除する。
C8:自動ドア制御手段
自動ドア制御手段C8は、前記自動ドアロック解除手段C6′によって自動ドアADのロックが解除された場合に、自動ドアADの片引き戸AD1の閉塞位置と開放位置との間のスライド移動を制御する。
【0098】
(実施例2のフローチャートの説明)
次に、実施例2の前記入室管理装置NKの各プログラムの処理の流れをフローチャートを使用して説明する。なお、実施例2の登録処理については、実施例1の前記登録処理(図10参照)の「運転席CHに着座」を「センサシートSN上に直立」とし、「運転席CHから離席」を「センサシートSNから離間」とするだけで、同様の説明となるため、図示および詳細な説明を省略する。また、実施例2の登録更新処理については、実施例1の前記登録更新処理(図12参照)と同様であるため、図示および詳細な説明を省略する。
【0099】
(実施例2の入室管理装置NKの認証処理の説明)
図16は実施例2の入室管理装置の認証処理のフローチャートであり、実施例1の図11に対応する説明図である。
図16において、実施例2の認証処理は、実施例1の認証処理(図11参照)のST101,ST105,ST110,ST111に替えて、ST101′,ST105′,ST110′,ST111′が実行され、実施例1のST107,ST112が省略されている。また、前記認証処理は、ST106の実行後にST101′に戻る以外は、ST102〜ST104,ST108,109については、実施例1と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0100】
図16のST101′において、センサシートSNの各ボタンセンサSN1が各圧力値を検知してから各圧力値が変化しなくなったか否かを判別することにより、披験者がセンサシートSN上に直立したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST102に移り、ノー(N)の場合はST101′を繰り返す。
ST105′において、以下の(1)〜(3)の処理を実行し、ST106に移る。
(1)成功通知音を鳴らす。
(2)自動ドアADの開閉のロックを解除する。
(3)自動ドアADを開閉する。
ST110′において、失敗通知音を鳴らす。そして、ST101′に戻る。
ST111′において、被験者がセンサシートSNから離れたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST101′に戻り、ノー(N)の場合はST110′に戻る。
【0101】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2の前記個人認証システムS′は、前記登録処理(図10のST1〜ST13参照)によって、MP人の使用者の相関行列R〜RMPが登録された状態で、披験者がセンサシートSN上に直立すると、披験者がMP人の使用者であるかを認証する前記認証処理(図16のST101′〜ST111′参照)が実行される。
【0102】
実施例2の前記認証処理では、実施例1の前記認証処理と同様に、披験者が床面FL上のセンサシートSNに乗って直立し、演算された披験者のマハラノビス距離Dが閾値S(S=200)以下であれば、披験者が使用者であると認証される。
したがって、実施例2の前記個人認証システムS′は、実施例1の前記個人認証システムSと同様に、MTシステムを用いて個人認証を行うことができる。
【0103】
また、実施例2の前記個人認証システムS′についても、実施例1と同様に、前記認証処理を実行することにより、高い識別率を得られるかを実験した。具体的には、前記個人認証システムS′を工場等で利用することを想定し、20人の被験者(披験者且つ使用者)に対して、同種の内履きの一例としての静電靴を履いた状態でセンサシートSN上で直立・離間を繰り返す実験を行った。この結果、20人の被験者全員について、本人拒否率0[%](本人許容率100[%])且つ他人許容率0[%](他人拒否率100[%])となることが確認された。
その他、実施例2の前記個人認証システムS′は、実施例1の前記個人認証システムSと同様の作用効果を奏する。
【0104】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H016)を下記に例示する。
(H01)前記実施例の前記センサシートSNには、縦20マス、横18マス(セル)、合計360マス(20×18=360[マス])の検知領域に360個のボタンセンサSN1が配置されているが、これに限定されず、ボタンセンサSN1の数を2個以上359個以下や361個以上に増減することも可能である。この場合、例えば、ボタンセンサSN1の数を2個とすると、マハラノビス距離Dを演算するための特徴量が演算不能となったり、不正確な特徴量が演算されたりする可能性があるため、個人認証システムS,S′が要求する各特徴の内容やその種類の数や本人拒否率[%]や他人許容率[%]に応じてボタンセンサSN1の数を減少させる必要がある。
【0105】
(H02)前記実施例では、センサシートSNを座面CH1や床面FLに敷設したが、これに限定されず、例えば、座面CH1や床面FLに埋設することも可能である。この場合、ボタンセンサ(感圧導電性インク)SN1と電極SN2とが接触し難くなり、圧力値を検知し難くなる可能性があるため、埋設しても圧力分布が検知し易いその他の圧力検知部材を適用することも可能である。
(H03)前記実施例1では、使用者および被験者が着座する運転席CHの座面CH1にのみセンサシートSNを敷設したが、これに限定されず、例えば、運転席CHの背もたれCH2や肘掛けやシートベルト等にも配置して圧力分布を出力することも可能である。また、個人認証を精度良く実行するために座面CH1にセンサシートSNを敷設することが好ましいが、例えば、座面CH1のセンサシートSNを省略し、背もたれCH2や肘掛けやシートベルト等にのみセンサシートを配置して各圧力分布を出力することも可能である。
【0106】
(H04)前記実施例では、各ボタンセンサSN1によって検知された各圧力値に基づいて35種類の特徴量を演算したが、これに限定されず、例えば、個人認証システムS,S′が要求する本人拒否率[%]や他人許容率[%]に応じて特徴量の種類を2種類以上34種類以下に減少させることも可能である。なお、前記実施例1において、3種類の特徴量のみが演算されて1行3列の特徴量行列Uと3行3列の相関行列Rとによってマハラノビス距離Dが演算された場合には(図11のST103参照)、約6割の本人許容率[%]となり、5種類の特徴量のみが演算されて1行5列の特徴量行列Uと5行5列の相関行列Rとによってマハラノビス距離Dが演算された場合には、7割以上の本人許容率[%]となることが実験等によって確認されている。また、特徴量の種類を36種類以上に増加させることも可能である。なお、前記実施例1において、36種類以上とする場合、例えば、以下の(36)〜(43)の特徴を追加することも可能である。
(36)使用者の左半身における圧力値が0のボタンセンサに隣接している左側最高圧力値の50%以上の圧力値を有するボタンセンサの数
(37)使用者の右半身における圧力値が0のボタンセンサに隣接している右側最高圧力値の50%以上の圧力値を有するボタンセンサの数
(38)後端から使用者の尻の中央(割れ目の後端)までの距離
(39)後端から使用者の股(割れ目の前端)までの距離
(40)左端から使用者の左脚の右端までの距離
(41)左端から使用者の右脚の左端までの距離
(42)左側最高圧力値の75%以上の圧力値を有するボタンセンサの上下左右に隣接するボタンセンサの数(検知領域を囲むのマス単位の周囲長)
(43)右側最高圧力値の75%以上の圧力値を有するボタンセンサの上下左右に隣接するボタンセンサの数
【0107】
(H05)前記実施例では、使用者の登録情報として、「登録番号p」と「MN組の各特徴量」と「相関行列R(相関計数rijp)」とを関連付けて記憶したが、前記登録情報としてはこれに限定されず、例えば、前記使用者の氏名や顔写真等の個人情報を関連付けて記憶することも可能である。
(H06)前記実施例では、35種類の各特徴量を平均が0且つ標準偏差が1となるようにそれぞれ正規化して相関行列Rを演算したが、正規化をせずに相関行列Rを演算することも可能である。この場合、演算された被験者の特徴量を使用者の平均μipおよび標準偏差σipによって基準化せずにマハラノビス距離Dが演算される。すなわち、式(4)を省略して式(5),(6)のみでマハラノビス距離Dが演算される。
(H07)前記実施例では、前記登録更新処理(図12参照)によってp人目の使用者が認証された場合に、p人目の使用者の相関行列Rを更新したが、これに限定されず、例えば、複数回の認証当たり1回だけ更新をするようにしたり、前回認証から予め設定された更新期間(例えば、3日、1週間、1ヶ月等)が経過していた場合にのみ更新したりすることも可能である。
(H08)前記実施例のように、前記登録更新処理(図12参照)によって認証されたp人目の使用者の相関行列Rを更新することが好ましいが、これを省略することも可能である。
【0108】
(H09)前記実施例の35種類の各特徴については、これに限定されず、他の特徴と置き換えることも可能であり、例えば、前記実施例1では、(1)〜(35)の各特徴と(36)〜(45)の各特徴とを置き換えることも可能である。この場合、(1),(2),(11),(16),(32),(33)の各特徴については、個人認証の精度向上に寄与する割合が特に大きいと考えられるため、置き換えずに残しておくことが好ましい。
(H010)前記実施例では、被験者のマハラノビス距離Dに対する各使用者の閾値Sを200に設定したが、これに限定されず、個人認証システムS,S′が要求する本人拒否率[%]や他人許容率[%]に応じて設定変更することも可能である。
【0109】
(H011)前記実施例1では、成功画像201(図9A参照)や失敗画像202(図9B参照)の確認ボタン201a,202aによって認証結果を確認させているが、例えば、確認ボタン201a,202aを省略することも可能である。この場合、例えば、各画像201,202を一定時間(例えば、5秒間)だけ表示した後に自動的に非表示とすることも可能である。
(H012)前記実施例では、認証失敗時に失敗画像202を表示したり、失敗通知音を鳴らしたりしたが、これに限定されず、例えば、防犯のため、警報(サイレン等)を鳴したり、警察や警備会社や警備室等に通報したりすることも可能である。
【0110】
(H013)前記実施例1では、運転席CHの座面CH1に着座したのが使用者以外の他人であると判別された場合に、自動車Vの機能を完全に制限したが、これに限定されず、自動車Vの機能の一部の機能を制限することも可能である。例えば、他人であると判別された場合に、エンジンが低速でしか作動しないように制御することも可能である。この場合、地震等で自動車Vを放置しなければならない状況で救援員等の他人が所定の位置まで運転したり、ホテルに乗りつけた際に係員にキーを渡して駐車場まで運転させたりすることが可能となる。また、前記実施例1の個人認証システムSの自動車Vへの適用範囲は自動車Vの機能の制限にも限定されず、例えば、使用者が予め登録したシートポジションやステアリングポジションに変更したり、室内空調を設定したり、音楽CD等やカーラジオを再生したりすること、いわゆる、カスタマイズに適用することも可能である。また、例えば、事故の状況をドライブレコーダ等で確認する際に運転手がどの使用者であったかを確認できるようにすることも可能である。
【0111】
(H014)前記実施例では、自動車Vのエンジンスタートのロックを解除したり、管理室の入室を管理したりするために、前記個人認証システムS,S′を利用したが、前記個人認証システムS,S′を用途についてはこれに限定されず、例えば、前記実施例1のように椅子を用いた個人認証については、会社や家庭のパーソナルコンピュータ(PC)の自動ログイン、会社での勤怠管理、家庭での在宅管理、病院や老人ホーム等での患者や老人の現在位置の把握、店舗(座席のある飲食店、理髪店・美容室等)での会員や常連等の顧客管理、入学試験や資格試験の替え玉受験防止等に利用することも可能である。
(H015)前記実施例では、前記登録処理(図10のST1〜ST11参照)において、MNセットの着座・離席の試行によって演算されたMN組の各特徴量から相関行列Rを演算したが、これに限定されず、例えば、2以上のフレーム数をf[フレーム]とした場合に(f≧2)、MNセットの試行によって、1セット中に出力されたfフレームの圧力分布から、演算された合計(MN×f)組の各特徴量によって相関行列Rを演算することも可能である。この場合、例えば、MN=2,f=300とすると、実験例と同様に、2セットの試行によって演算された600組の各特徴量から相関行列Rを演算することが可能となる。
【0112】
(H016)前記実施例では、前記認証処理(図11のST101〜ST112参照)において、1セットの着座・離席によって出力された1個の圧力分布から各使用者について1個のマハラノビスDを演算したが、これに限定されず、例えば、1セット中に出力されたfフレームの圧力分布から各使用者についてf個のマハラノビスDを演算することも可能である。この場合、例えば、f=300とすると、実験例と同様に、1セットの試行によって演算された300個の各マハラノビスDを演算することが可能となり、300個全てのマハラノビスDが閾値S以下となった場合に、p人目の使用者であると認証したり、1個以上のマハラノビスDが閾値S以下となった場合に、p人目の使用者であると認証したりすることも可能である。
【符号の説明】
【0113】
C,NK…個人認証装置、C2E,C5B…特徴量演算手段、C2M1…相関係数記憶手段、C5C…距離演算手段、C5D…閾値判別手段、C5E…登録者認証手段、C5H,C5H′…認証表示手段、C7D…相関係数更新手段、CH…椅子、CH1…座面、D…マハラノビス距離、FL…床面、rijp…相関係数、S…個人認証システム、S…閾値、SN…圧力検知部材、SN1…第1検知部、第2検知部、u1p…第1特徴量、u2p…第2特徴量。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者が着座する椅子と、
前記椅子の座面に予め設定された第1検知領域に配置され且つ着座した前記被検者による前記第1検知領域における圧力である第1圧力値を検知する第1検知部と、前記第1検知領域からずれた領域に予め設定された第2検知領域に配置され且つ着座した前記被検者による前記第2検知領域における圧力である第2圧力値を検知する第2検知部と、を有する圧力検知部材と、
前記圧力検知部材によって検知された前記第1圧力値と前記第2圧力値とに基づいて、前記第1圧力値と前記第2圧力値との間の関連性を特定する予め設定された第1の特徴の値である第1特徴量と、前記第1圧力値と前記第2圧力値との間の関連性を特定する予め設定された第2の特徴であって、前記第1の特徴とは異なる前記第2の特徴の値である第2特徴量と、を演算する特徴量演算手段と、
予め登録された登録者と、前記第1の特徴と前記第2の特徴との間の相関を特定する前記登録者ごとの相関係数と、を関連付けて記憶する相関係数記憶手段と、
前記相関係数記憶手段に記憶された前記相関係数と、演算された前記被検者の前記第1特徴量と前記第2特徴量と、に基づいて、前記被検者のマハラノビス距離を演算する距離演算手段と、
演算された前記被検者の前記マハラノビス距離が予め設定された閾値以下であるか否かを判別する閾値判別手段と、
前記被検者の前記マハラノビス距離が前記閾値以下であると判別された場合に、前記被検者が、前記マハラノビス距離の演算に使用された前記相関係数に関連付けられた前記登録者であると認証する登録者認証手段と、
前記被検者が認証された前記登録者であることを表示する認証表示手段と、
を備えたことを特徴とする個人認証装置。
【請求項2】
前記登録者を登録する場合に、前記圧力検知部材によって検知された前記登録者についての前記第1圧力値および前記第2圧力値であって、平均が0且つ標準偏差が1となる前記第1特徴量と、平均が0且つ標準偏差が1となる前記第2特徴量と、の組み合わせの集合に基づく前記登録者の認証基準としての基準空間に基づいて演算された前記相関係数と、前記登録者と、を関連付けて記憶する前記相関係数記憶手段、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の個人認証装置。
【請求項3】
前記登録者の登録を更新する場合に、前記登録者が前記登録者認証手段によって認証された際に前記特徴量演算手段によって演算された前記第1特徴量および前記第2特徴量の組み合わせを含む前記基準空間に基づいて再演算された前記相関係数と、前記登録者と、を関連付けて前記相関係数記憶手段に記憶する相関係数更新手段、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の個人認証装置。
【請求項4】
被検者が直立する床面と、
前記床面に予め設定された第1検知領域に配置され且つ直立した前記被検者による前記第1検知領域における足裏の圧力である第1圧力値を検知する第1検知部と、前記第1検知領域からずれた領域に予め設定された第2検知領域に配置され且つ直立した前記被検者による前記第2検知領域における足裏の圧力である第2圧力値を検知する第2検知部と、を有する圧力検知部材と、
前記圧力検知部材によって検知された前記第1圧力値と前記第2圧力値とに基づいて、前記第1圧力値と前記第2圧力値との間の関連性を特定する予め設定された第1の特徴の値である第1特徴量と、前記第1圧力値と前記第2圧力値との間の関連性を特定する予め設定された第2の特徴であって、前記第1の特徴とは異なる前記第2の特徴の値である第2特徴量と、を演算する特徴量演算手段と、
予め登録された登録者と、前記第1の特徴と前記第2の特徴との間の相関を特定する前記登録者ごとの相関係数と、を関連付けて記憶する相関係数記憶手段と、
前記相関係数記憶手段に記憶された前記相関係数と、演算された前記被検者の前記第1特徴量と前記第2特徴量と、に基づいて、前記被検者のマハラノビス距離を演算する距離演算手段と、
演算された前記被検者の前記マハラノビス距離が予め設定された閾値以下であるか否かを判別する閾値判別手段と、
前記被検者の前記マハラノビス距離が前記閾値以下であると判別された場合に、前記被検者が、前記マハラノビス距離の演算に使用された前記相関係数に関連付けられた前記登録者であると認証する登録者認証手段と、
前記被検者が認証された前記登録者であることを表示する認証表示手段と、
を備えたことを特徴とする個人認証装置。
【請求項5】
被検者が着座する椅子と、
前記椅子の座面に予め設定された第1検知領域に配置され且つ着座した前記被検者による前記第1検知領域における圧力である第1圧力値を検知する第1検知部と、前記第1検知領域からずれた領域に予め設定された第2検知領域に配置され且つ着座した前記被検者による前記第2検知領域における圧力である第2圧力値を検知する第2検知部と、を有する圧力検知部材と、
前記圧力検知部材によって検知された前記第1圧力値と前記第2圧力値とに基づいて、前記第1圧力値と前記第2圧力値との間の関連性を特定する予め設定された第1の特徴の値である第1特徴量と、前記第1圧力値と前記第2圧力値との間の関連性を特定する予め設定された第2の特徴であって、前記第1の特徴とは異なる前記第2の特徴の値である第2特徴量と、を演算する特徴量演算手段と、
予め登録された登録者と、前記第1の特徴と前記第2の特徴との間の相関を特定する前記登録者ごとの相関係数と、を関連付けて記憶する相関係数記憶手段と、
前記相関係数記憶手段に記憶された前記相関係数と、演算された前記被検者の前記第1特徴量と前記第2特徴量と、に基づいて、前記被検者のマハラノビス距離を演算する距離演算手段と、
演算された前記被検者の前記マハラノビス距離が予め設定された閾値以下であるか否かを判別する閾値判別手段と、
前記被検者の前記マハラノビス距離が前記閾値以下であると判別された場合に、前記被検者が、前記マハラノビス距離の演算に使用された前記相関係数に関連付けられた前記登録者であると認証する登録者認証手段と、
前記被検者が認証された前記登録者であることを表示する認証表示手段と、
を備えたことを特徴とする個人認証システム。
【請求項6】
被検者が直立する床面と、
前記床面に予め設定された第1検知領域に配置され且つ直立した前記被検者による前記第1検知領域における足裏の圧力である第1圧力値を検知する第1検知部と、前記第1検知領域からずれた領域に予め設定された第2検知領域に配置され且つ直立した前記被検者による前記第2検知領域における足裏の圧力である第2圧力値を検知する第2検知部と、を有する圧力検知部材と、
前記圧力検知部材によって検知された前記第1圧力値と前記第2圧力値とに基づいて、前記第1圧力値と前記第2圧力値との間の関連性を特定する予め設定された第1の特徴の値である第1特徴量と、前記第1圧力値と前記第2圧力値との間の関連性を特定する予め設定された第2の特徴であって、前記第1の特徴とは異なる前記第2の特徴の値である第2特徴量と、を演算する特徴量演算手段と、
予め登録された登録者と、前記第1の特徴と前記第2の特徴との間の相関を特定する前記登録者ごとの相関係数と、を関連付けて記憶する相関係数記憶手段と、
前記相関係数記憶手段に記憶された前記相関係数と、演算された前記被検者の前記第1特徴量と前記第2特徴量と、に基づいて、前記被検者のマハラノビス距離を演算する距離演算手段と、
演算された前記被検者の前記マハラノビス距離が予め設定された閾値以下であるか否かを判別する閾値判別手段と、
前記被検者の前記マハラノビス距離が前記閾値以下であると判別された場合に、前記被検者が、前記マハラノビス距離の演算に使用された前記相関係数に関連付けられた前記登録者であると認証する登録者認証手段と、
前記被検者が認証された前記登録者であることを表示する認証表示手段と、
を備えたことを特徴とする個人認証システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−133683(P2012−133683A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286747(P2010−286747)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成22年6月25日 社団法人電子情報通信学会 バイオメトリックシステムセキュリティ研究会主催 社団法人日本自動認識システム協会 バイオメトリックセキュリティコンソーシアム共催の「バイオメトリックシステムセキュリティ研究会(第22回研究発表会予稿集)」において文書をもって発表
【出願人】(305027401)公立大学法人首都大学東京 (385)
【Fターム(参考)】