説明

健康管理装置、健康管理システム、健康管理方法および健康管理プログラム

【課題】睡眠時の脈拍間隔を精度よく計測し、脈拍間隔に基づいて被験者の健康状態を管理することのできる健康管理装置を提供する。
【解決手段】被験者の睡眠中の第1の脈波を計測する第1の脈波計測手段18と、第2の脈波を計測する第2の脈波計測手段と、第1の脈波と第2の脈波の時間差である脈波伝播時間を算出する脈波伝播時間算出手段30と、第1の脈波と第2の脈波のうち少なくともいずれか一方の値に基づいて、脈拍間隔を算出する脈拍間隔算出手段31と、脈波伝播時間および脈拍間隔に基づいて、被験者の自律神経の活動状態を示す自律神経指標を算出する自律神経指標算出手段32と、自律神経指標に基づいて、健康状態を判定する健康状態判定手段35とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者の睡眠時の脈波を計測することにより被験者の健康を管理する健康管理装置、健康管理システム、健康管理方法および健康管理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、被験者の脈波の一周期のデータである脈拍間隔データと被験者の体動を示す体動データに基づいて被験者の睡眠状態を判定する睡眠状態判定装置が知られている。かかる睡眠状態判定装置は、睡眠ポリグラフと呼ばれる脳波、眼球運動、筋電、心電などの生体信号のパターンから睡眠状態を自動的に判定する大掛かりな装置に比較して、日常生活において手軽に睡眠状態を判定することができるというメリットがあり研究開発が進められている。
【0003】
かかる睡眠状態判定装置は、睡眠中の自律神経の活動である心拍の拍動間隔を脈波の脈拍間隔として捉え、脈拍間隔の変動から取得した自律神経指標に基づいて睡眠状態の判定を行っている。例えば、手の血管の血流変化である脈波は、心拍に同期して変動するために、脈波の脈拍間隔から心拍の拍動間隔を取得できる。
【0004】
例えば、脈波データの周波数スペクトル成分から求められた自律神経指標に基づいて、睡眠状態を判定する技術が知られている(例えば「特許文献1」参照)。即ち、脈波データから一連の脈拍間隔データを求め、一連の脈拍間隔データを周波数スペクトル分布に変換し、周波数スペクトル分布に変換した一連の脈拍間隔データから求めた低周波数領域(0.05〜0.15Hz付近:LF)と高周波数領域(0.15〜0.4Hz付近:HF)におけるパワースペクトルの値から自律神経指標を取得し、自律神経指標から睡眠状態の判定を行う。
【0005】
また、近年、睡眠中の血圧変動が問題となっている。例えば早朝高血圧の場合、起床前後の脳卒中の発生確率が3倍以上といわれる。またレム睡眠時は「自律神経の嵐」といわれ、自律神経バランスが大きく変動し突発的な高血圧が発生する。また睡眠時無呼吸症候群の場合、低酸素状態に伴い血圧が上昇し、さらに呼吸再開時には過呼吸に伴う交感神経亢進で血圧が急激に上昇することも知られている。
【0006】
しかし、病院などで血圧を計測する場合、「白衣性向血圧」と言われる検査の緊張感による高血圧もあり、本来の血圧を計測するのが難しいという問題がある。
【0007】
血圧を連続的に計測する技術としては、携帯型自動血圧計として例えばエー・アンド・ディー社より医療用具として販売されている。こちらは従来のカフ式の血圧計を携帯可能な大きさにし、本体に持つ時計により設定時刻に自動的にカフを動作させて血圧を計測するものである。ただしカフの締め付けはかなり違和感があり日常生活、特に睡眠時にはその妨げになる問題がある。
【0008】
【特許文献1】特開2002−291710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これに対し、近年ではカフを用いずに血圧を計測する血圧計も市販されている。例えばカシオ製の血圧計は、脈波伝播時間が血圧に反比例する関係を用いて血圧を計測する。腕時計表面と背面に電極が配置され、表面の電極の中央には光電脈波を計測するLED,フォトダイオードが配置されている。そして、電極の上に指を置くことで、心電と指先の光電脈波を同時に計測し、脈波伝播時間から血圧を求めることができる。これは指を腕時計表面に置く必要があるため、連続的に血圧を計測するのに適さない。
【0010】
また、従来の睡眠状態判定装置は、覚醒、レム睡眠、ノンレム睡眠、中途覚醒などの睡眠状態の判定を行うことはできるが、脈波データは、手の血管の血流変化である脈波を計測するものであるので、手足の動きなど体動の影響を受け易く睡眠状態の判定精度が低いという問題がある。
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、睡眠時の脈拍間隔を精度よく計測し、脈拍間隔に基づいて被験者の健康状態を管理することのできる健康管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、健康管理装置であって、被験者の睡眠中の第1の脈波を計測する第1の脈波計測手段と、前記被験者の睡眠中の脈波であって、前記被験者の心臓からの伝播時間が前記第1の脈波計測手段が計測する第1の脈波と異なる脈波である第2の脈波を計測する第2の脈波計測手段と、前記第1の脈波計測手段が計測した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測手段が計測した前記第2の脈波の時間差である脈波伝播時間を算出する脈波伝播時間算出手段と、前記第1の脈波計測手段が計測した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測手段が計測した前記第2の脈波のうち少なくともいずれか一方の値に基づいて、脈拍間隔を算出する脈拍間隔算出手段と、前記脈波伝播時間算出手段が算出した前記脈波伝播時間、および前記脈拍間隔算出手段が算出した前記脈拍間隔に基づいて、前記被験者の自律神経の活動状態を示す自律神経指標を算出する自律神経指標算出手段と、前記自律神経指標算出手段が算出した前記自律神経指標に基づいて、健康状態を判定する健康状態判定手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の他の形態は、健康管理装置であって、被験者の睡眠中の第1の脈波を計測する第1の脈波計測手段と、前記被験者の睡眠中の脈波であって、前記被験者の心臓からの伝播時間が前記第1の脈波計測手段が計測する第1の脈波と異なる脈波である第2の脈波を計測する第2の脈波計測手段と、前記第1の脈波計測手段が計測した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測手段が計測した前記第2の脈波の時間差である脈波伝播時間を算出する脈波伝播時間算出手段と、前記第1の脈波計測手段が計測した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測手段が計測した前記第2の脈波のうち少なくともいずれか一方の値に基づいて、脈拍間隔を算出する脈拍間隔算出手段と、前記脈波伝播時間算出手段が算出した前記脈波伝播時間、および前記脈拍間隔算出手段が算出した前記脈拍間隔に基づいて、前記被験者の自律神経の活動状態を示す自律神経指標を算出する自律神経指標算出手段と、前記脈波伝播時間算出手段が算出した前記脈波伝播時間に基づいて、血圧値を算出する血圧値算出手段と、前記自律神経指標算出手段が算出した前記自律神経指標と、前記血圧値算出手段が算出した前記血圧値に基づいて健康状態を判定する健康状態判定手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の他の形態は、健康管理装置であって、被験者の睡眠中の心活動の程度を計測する心活動計測手段と、前記被験者の睡眠中の第1の脈波を計測する第1の脈波計測手段と、前記心活動計測手段が計測した前記心活動の程度と、前記第1の脈波計測手段が計測した前記第1の脈波の時間差である脈波伝播時間を算出する脈波伝播時間算出手段と、前記心活動計測手段が計測した前記心活動の程度と、前記第1の脈波計測手段が計測した前記第1の脈波のうち少なくともいずれか一方の値に基づいて、脈拍間隔を算出する脈拍間隔算出手段と、前記脈波伝播時間算出手段が算出した前記脈波伝播時間、および前記脈拍間隔算出手段が算出した前記脈拍間隔に基づいて、前記被験者の自律神経の活動状態を示す自律神経指標を算出する自律神経指標算出手段と、前記自律神経指標算出手段が算出した前記自律神経指標に基づいて、健康状態を判定する健康状態判定手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明の他の形態は、健康管理装置であって、被験者の睡眠中の心活動の程度を計測する心活動計測手段と、前記被験者の睡眠中の第1の脈波を計測する第1の脈波計測手段と、前記心活動計測手段が計測した前記心活動の程度と、前記第1の脈波計測手段が計測した前記第1の脈波の時間差である脈波伝播時間を算出する脈波伝播時間算出手段と、前記心活動計測手段が計測した前記心活動の程度と、前記第1の脈波計測手段が計測した前記第1の脈波のうち少なくともいずれか一方の値に基づいて、脈拍間隔を算出する脈拍間隔算出手段と、前記脈波伝播時間算出手段が算出した前記脈波伝播時間、および前記脈拍間隔算出手段が算出した前記脈拍間隔に基づいて、前記被験者の自律神経の活動状態を示す自律神経指標を算出する自律神経指標算出手段と、前記脈波伝播時間算出手段が算出した前記脈波伝播時間に基づいて、血圧値を算出する血圧値算出手段と、前記自律神経指標算出手段が算出した前記自律神経指標と、前記血圧値算出手段が算出した前記血圧値に基づいて健康状態を判定する健康状態判定手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明の他の形態は、被験者の健康状態を管理する健康管理装置本体と、健康管理装置子機とを備えた健康管理システムであって、前記健康管理装置子機は、被験者の睡眠中の第1の脈波を計測する第1の脈波計測手段と、前記第1の脈波計測手段が計測した前記第1の脈波を前記健康管理装置本体に送信する送信手段とを有し、前記健康管理装置本体は、前記健康管理装置子機から前記第1の脈波を受信する受信手段と、前記被験者の睡眠中の脈波であって、前記被験者の心臓からの伝播時間が前記受信手段が受信した前記第1の脈波と異なる脈波である第2の脈波を計測する第2の脈波計測手段と、前記受信手段が受信した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測手段が計測した前記第2の脈波の時間差である脈波伝播時間を算出する脈波伝播時間算出手段と、前記受信手段が受信した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測手段が計測した前記第2の脈波のうち少なくともいずれか一方の値に基づいて、脈拍間隔を算出する脈拍間隔算出手段と、前記脈波伝播時間算出手段が算出した前記脈波伝播時間、および前記脈拍間隔算出手段が算出した前記脈拍間隔に基づいて、前記被験者の自律神経の活動状態を示す自律神経指標を算出する自律神経指標算出手段と、前記自律神経指標算出手段が算出した前記自律神経指標に基づいて、健康状態を判定する健康状態判定手段とを有することを特徴とする。
【0017】
本発明の他の形態は、被験者の健康状態を管理する健康管理装置本体と、健康管理装置子機とを備えた健康管理システムであって、前記健康管理装置子機は、被験者の睡眠中の第1の脈波を計測する第1の脈波計測手段と、前記第1の脈波計測手段が計測した前記第1の脈波を前記健康管理装置本体に送信する送信手段とを有し、前記健康管理装置本体は、前記健康管理装置子機から前記第1の脈波を受信する受信手段と、前記被験者の睡眠中の脈波であって、前記被験者の心臓からの伝播時間が前記受信手段が受信した前記第1の脈波と異なる脈波である第2の脈波を計測する第2の脈波計測手段と、前記受信手段が受信した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測手段が計測した前記第2の脈波の時間差である脈波伝播時間を算出する脈波伝播時間算出手段と、前記受信手段が受信した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測手段が計測した前記第2の脈波のうち少なくともいずれか一方の値に基づいて、脈拍間隔を算出する脈拍間隔算出手段と、前記脈波伝播時間算出手段が算出した前記脈波伝播時間、および前記脈拍間隔算出手段が算出した前記脈拍間隔に基づいて、前記被験者の自律神経の活動状態を示す自律神経指標を算出する自律神経指標算出手段と、前記脈波伝播時間算出手段が算出した前記脈波伝播時間に基づいて、血圧値を算出する血圧値算出手段と、前記自律神経指標算出手段が算出した前記自律神経指標と、前記血圧値算出手段が算出した前記血圧値に基づいて健康状態を判定する健康状態判定手段とを有することを特徴とする。
【0018】
本発明の他の形態は、健康管理方法であって、被験者の睡眠中の第1の脈波を計測する第1の脈波計測ステップと、前記被験者の睡眠中の脈波であって、前記被験者の心臓からの伝播時間が前記第1の脈波計測ステップにおいて計測される第1の脈波と異なる脈波である第2の脈波を計測する第2の脈波計測ステップと、前記第1の脈波計測ステップにおいて計測した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測ステップにおいて計測した前記第2の脈波の時間差である脈波伝播時間を算出する脈波伝播時間算出ステップと、前記第1の脈波計測ステップにおいて計測した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測ステップにおいて計測した前記第2の脈波のうち少なくともいずれか一方の値に基づいて、脈拍間隔を算出する脈拍間隔算出ステップと、前記脈波伝播時間算出ステップにおいて算出した前記脈波伝播時間、および前記脈拍間隔算出ステップにおいて算出した前記脈拍間隔に基づいて、前記被験者の自律神経の活動状態を示す自律神経指標を算出する自律神経指標算出ステップと、前記自律神経指標算出ステップ算出した前記自律神経指標に基づいて、健康状態を判定する健康状態判定ステップとを有することを特徴とする。
【0019】
本発明の他の形態は、健康管理方法であって、被験者の睡眠中の第1の脈波を計測する第1の脈波計測ステップと、前記被験者の睡眠中の脈波であって、前記被験者の心臓からの伝播時間が前記第1の脈波計測ステップにおいて計測する第1の脈波と異なる脈波である第2の脈波を計測する第2の脈波計測ステップと、前記第1の脈波計測ステップにおいて計測した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測ステップにおいて計測した前記第2の脈波の時間差である脈波伝播時間を算出する脈波伝播時間算出ステップと、前記第1の脈波計測ステップにおいて計測した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測ステップにおいて計測した前記第2の脈波のうち少なくともいずれか一方の値に基づいて、脈拍間隔を算出する脈拍間隔算出ステップと、前記脈波伝播時間算出ステップにおいて算出した前記脈波伝播時間、および前記脈拍間隔算出ステップにおいて算出した前記脈拍間隔に基づいて、前記被験者の自律神経の活動状態を示す自律神経指標を算出する自律神経指標算出ステップと、前記脈波伝播時間算出ステップにおいて算出した前記脈波伝播時間に基づいて、血圧値を算出する血圧値算出ステップと、前記自律神経指標算出ステップにおいて算出した前記自律神経指標と、前記血圧値算出ステップにおいて算出した前記血圧値に基づいて健康状態を判定する健康状態判定ステップとを有することを特徴とする。
【0020】
本発明の他の形態は、健康管理処理をコンピュータに実行させる健康管理プログラムであって、被験者の睡眠中の第1の脈波を計測する第1の脈波計測ステップと、前記被験者の睡眠中の脈波であって、前記被験者の心臓からの伝播時間が前記第1の脈波計測ステップにおいて計測される第1の脈波と異なる脈波である第2の脈波を計測する第2の脈波計測ステップと、前記第1の脈波計測ステップにおいて計測した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測ステップにおいて計測した前記第2の脈波の時間差である脈波伝播時間を算出する脈波伝播時間算出ステップと、前記第1の脈波計測ステップにおいて計測した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測ステップにおいて計測した前記第2の脈波のうち少なくともいずれか一方の値に基づいて、脈拍間隔を算出する脈拍間隔算出ステップと、前記脈波伝播時間算出ステップにおいて算出した前記脈波伝播時間、および前記脈拍間隔算出ステップにおいて算出した前記脈拍間隔に基づいて、前記被験者の自律神経の活動状態を示す自律神経指標を算出する自律神経指標算出ステップと、前記自律神経指標算出ステップ算出した前記自律神経指標に基づいて、健康状態を判定する健康状態判定ステップとを有することを特徴とする。
【0021】
本発明の他の形態は、健康管理処理をコンピュータに実行させる健康管理プログラムであって、被験者の睡眠中の第1の脈波を計測する第1の脈波計測ステップと、前記被験者の睡眠中の脈波であって、前記被験者の心臓からの伝播時間が前記第1の脈波計測ステップにおいて計測する第1の脈波と異なる脈波である第2の脈波を計測する第2の脈波計測ステップと、前記第1の脈波計測ステップにおいて計測した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測ステップにおいて計測した前記第2の脈波の時間差である脈波伝播時間を算出する脈波伝播時間算出ステップと、前記第1の脈波計測ステップにおいて計測した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測ステップにおいて計測した前記第2の脈波のうち少なくともいずれか一方の値に基づいて、脈拍間隔を算出する脈拍間隔算出ステップと、前記脈波伝播時間算出ステップにおいて算出した前記脈波伝播時間、および前記脈拍間隔算出ステップにおいて算出した前記脈拍間隔に基づいて、前記被験者の自律神経の活動状態を示す自律神経指標を算出する自律神経指標算出ステップと、前記脈波伝播時間算出ステップにおいて算出した前記脈波伝播時間に基づいて、血圧値を算出する血圧値算出ステップと、前記自律神経指標算出ステップにおいて算出した前記自律神経指標と、前記血圧値算出ステップにおいて算出した前記血圧値に基づいて健康状態を判定する健康状態判定ステップとを有することを特徴とする。
【0022】
本発明の他の形態は、健康管理方法であって、被験者の睡眠中の心活動の程度を計測する心活動計測ステップと、前記被験者の睡眠中の第1の脈波を計測する第1の脈波計測ステップと、前記心活動計測ステップにおいて計測した前記心活動の程度と、前記第1の脈波計測手段が計測した前記第1の脈波の時間差である脈波伝播時間を算出する脈波伝播時間算出ステップと、前記心活動計測ステップにおいて計測した前記心活動の程度と、前記第1の脈波計測ステップにおいて計測した前記第1の脈波のうち少なくともいずれか一方の値に基づいて、脈拍間隔を算出する脈拍間隔算出ステップと、前記脈波伝播時間算出ステップにおいて算出した前記脈波伝播時間、および前記脈拍間隔算出ステップにおいて算出した前記脈拍間隔に基づいて、前記被験者の自律神経の活動状態を示す自律神経指標を算出する自律神経指標算出ステップと、前記自律神経指標算出ステップにおいて算出した前記自律神経指標に基づいて、健康状態を判定する健康状態判定ステップとを有することを特徴とする。
【0023】
本発明の他の形態は、健康管理方法であって、被験者の睡眠中の心活動の程度を計測する心活動計測ステップと、前記被験者の睡眠中の第1の脈波を計測する第1の脈波計測ステップと、前記心活動計測ステップにおいて計測した前記心活動の程度と、前記第1の脈波計測ステップにおいて計測した前記第1の脈波の時間差である脈波伝播時間を算出する脈波伝播時間算出ステップと、前記心活動計測ステップにおいて計測した前記心活動の程度と、前記第1の脈波計測ステップにおいて計測した前記第1の脈波のうち少なくともいずれか一方の値に基づいて、脈拍間隔を算出する脈拍間隔算出ステップと、前記脈波伝播時間算出ステップにおいて算出した前記脈波伝播時間、および前記脈拍間隔算出ステップにおいて算出した前記脈拍間隔に基づいて、前記被験者の自律神経の活動状態を示す自律神経指標を算出する自律神経指標算出ステップと、前記脈波伝播時間算出ステップにおいて算出した前記脈波伝播時間に基づいて、血圧値を算出する血圧値算出ステップと、前記自律神経指標算出ステップにおいて算出した前記自律神経指標と、前記血圧値算出ステップにおいて算出した前記血圧値に基づいて健康状態を判定する健康状態判定ステップとを有することを特徴とする。
【0024】
本発明の他の形態は、健康管理処理をコンピュータに実行させる健康管理処理プログラムであって、被験者の睡眠中の心活動の程度を計測する心活動計測ステップと、前記被験者の睡眠中の第1の脈波を計測する第1の脈波計測ステップと、前記心活動計測ステップにおいて計測した前記心活動の程度と、前記第1の脈波計測手段が計測した前記第1の脈波の時間差である脈波伝播時間を算出する脈波伝播時間算出ステップと、前記心活動計測ステップにおいて計測した前記心活動の程度と、前記第1の脈波計測ステップにおいて計測した前記第1の脈波のうち少なくともいずれか一方の値に基づいて、脈拍間隔を算出する脈拍間隔算出ステップと、前記脈波伝播時間算出ステップにおいて算出した前記脈波伝播時間、および前記脈拍間隔算出ステップにおいて算出した前記脈拍間隔に基づいて、前記被験者の自律神経の活動状態を示す自律神経指標を算出する自律神経指標算出ステップと、前記自律神経指標算出ステップにおいて算出した前記自律神経指標に基づいて、健康状態を判定する健康状態判定ステップとを有することを特徴とする。
【0025】
本発明の他の形態は、健康管理処理をコンピュータに実行させる健康管理処理プログラムであって、被験者の睡眠中の心活動の程度を計測する心活動計測ステップと、前記被験者の睡眠中の第1の脈波を計測する第1の脈波計測ステップと、前記心活動計測ステップにおいて計測した前記心活動の程度と、前記第1の脈波計測ステップにおいて計測した前記第1の脈波の時間差である脈波伝播時間を算出する脈波伝播時間算出ステップと、前記心活動計測ステップにおいて計測した前記心活動の程度と、前記第1の脈波計測ステップにおいて計測した前記第1の脈波のうち少なくともいずれか一方の値に基づいて、脈拍間隔を算出する脈拍間隔算出ステップと、前記脈波伝播時間算出ステップにおいて算出した前記脈波伝播時間、および前記脈拍間隔算出ステップにおいて算出した前記脈拍間隔に基づいて、前記被験者の自律神経の活動状態を示す自律神経指標を算出する自律神経指標算出ステップと、前記脈波伝播時間算出ステップにおいて算出した前記脈波伝播時間に基づいて、血圧値を算出する血圧値算出ステップと、前記自律神経指標算出ステップにおいて算出した前記自律神経指標と、前記血圧値算出ステップにおいて算出した前記血圧値に基づいて健康状態を判定する健康状態判定ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明にかかる健康管理装置は、安定した状態における自律神経指標に基づいて健康状態を判定することにより、判定精度を向上させることができるので、より適切に被験者の健康状態を管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本発明にかかる健康管理装置、健康管理システム、健康管理方法および健康管理プログラムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0028】
(実施の形態1)
実施の形態1にかかる健康管理装置は、脈波センサとともに心電センサを用いて血圧変動を計測する。そして、得られた血圧変動値をパラメータに追加し、睡眠状態を推定する。
【0029】
図1は、実施の形態1にかかる健康管理装置の全体構成を示す図である。同図に示すように、健康管理装置10は、入力部11と、表示部12と、記憶部13と、電源供給部14と、心電計測部15と、制御部16と、光源駆動部17と、脈波計測部18と、加速度計測部21と、心電電極23a,23bと、不関電極24と、脈波センサ25と、脈波伝播時間算出部30と、脈拍間隔算出部31と、自律神経指標算出部32と、体動判定部33と、覚醒判定部34と、睡眠状態判定部35とを備えている。
【0030】
ここで、図1に示す健康管理装置10の装着の例について説明する。図2は、図1に示す健康管理装置10の装置概観を示す図である。また、図3は健康管理装置10の装着の一例を示す図である。図2のように、本体の筐体50中央に脈波センサ25が配置されている。また、筐体50の端に2つの心電電極23a,23bおよび不関電極24が配置されている。
【0031】
また、図3に示すように、健康管理装置10は例えば被験者の胸部に装着される。このとき、心電電極23a,23bは心臓をはさむ2点の皮膚上に、不関電極24は心臓からなるべく離れた点に装着されるのが好ましい。
【0032】
図1の説明に戻ると、入力部11は、ユーザが電源をON/OFFする、または表示を切り替える要求や指示を行うスイッチである。また、表示部12は、睡眠状態判定結果を表示する表示装置であり、具体的には、LCDなどである。
【0033】
また、記憶部13は、脈波データ、心電データ、体動データなどの計測データ、脈拍間隔データなど処理後のデータ、睡眠状態を判定する閾値などのデータを記憶する記憶部であり、具体的には、フラッシュメモリなどである。電源供給部14は、健康管理装置10の電力を供給する電源であり、具体的には、バッテリである。
【0034】
制御部16は心電、脈波の計測のタイミングの制御、受信データの蓄積、処理などを行う。
【0035】
加速度計測部21は、被験者の体動を示す体動データとして加速度データを計測し、データ変換をする計測部であり、加速度センサである。加速度センサは、3軸方向の−2g〜2gの加速度を計測する加速度計であり、健康管理装置10本体に搭載されている。また、加速度計測部21は、加速度センサのアナログデータのゲイン、オフセットを調整回路で調整した後、10ビットA/D変換器でデジタル量に変換する。そして、変換後のデータを制御部16に向けて出力する。
【0036】
心電計測部15は、心電を計測するための2つの心電電極23a,23bと1つの不関電極24の間の電位差を計測し、電位差に対し、増幅、フィルタリングなどの処理を施した後、A/D変換し、制御部16に転送する電子回路から構成される。
【0037】
なお、心電計測部15は、脈波計測部18が脈波を計測するタイミングと同一のタイミングで心電を計測する。
【0038】
脈波センサ25は、光源26である青色LEDと受光部27であるフォトダイオードからなり、皮膚表面に光を照射し、毛細血管内の血流変化により変化する反射光の変動をフォトダイオードで捉える。
【0039】
脈波計測部18は、被験者の脈波データを計測し、データ変換をする。脈波計測部18は、脈波センサのフォトダイオードからの出力電流を電流電圧変換器で電圧に変換し、増幅器で電圧を増幅して、ハイパスフィルタ(カットオフ周波数:0.1Hz)とローパスフィルタ(カットオフ周波数:50Hz)を施した後、10ビットA/D変換器でデジタル量に変換する。そして、変換後のデータを制御部16に向けて出力する。
【0040】
心電計測部15および脈波計測部18は同一のタイミングにおいてそれぞれ心電計測および脈波計測を行う。
【0041】
光源駆動部17は、光源26として例えば青色LEDを使用する場合、これを駆動するための電圧供給部である。
【0042】
脈波伝播時間算出部30は、心電計測部15が計測した電位差、すなわち心電電位のピークと、脈波計測部18が計測した脈波のピークとに基づいて脈波伝播時間を算出する。
【0043】
ここで、脈波伝播時間について説明する。図4は、脈波伝播時間を説明するための図である。心電計測部15は心臓の活動電位を直接計測している。したがって、ほぼ心臓の動きについて実時間の活動を計測できる。それに対して末梢の脈波は、動脈を経由して末梢血管まで流れるため、時間遅れが生じる。この遅れ時間を脈波伝播時間という。脈波伝播時間は血流動態を反映しており、血圧と反比例の関係がある。よって脈波伝播時間の変動から血圧の変動を計測することが可能となる。
【0044】
脈拍間隔算出部31は、脈波計測部18が計測した脈波から脈波間隔を算出する。ここで、脈拍間隔とは、脈波の一周期の時間間隔である。
【0045】
具体的には、脈波計測部18が計測した脈波から一連の脈波データをサンプリングする。そして、サンプリングした一連の脈波データを時間微分して一連の脈波データの直流変動成分を得る。さらに一連の脈波データから直流変動成分を除去する。
【0046】
そして、直流変動成分を除去された一連の脈波データの処理ポイントを中心とした前後約1秒の脈波データの最大値と最小値を取得し、最大値と最小値との間の所定の値を閾値とする。閾値としては、例えば最大値、最小値の差を振幅として、最小値から振幅の9割の値を用いるのが好ましい。
【0047】
さらに、直流変動成分を除去された一連の脈波データから閾値に一致する一連の脈波データの値が現れた時刻を算出し、算出された時刻の間隔を脈拍間隔とする。
【0048】
この脈拍間隔データは不等間隔データである。周波数解析を行うためには等間隔データに変換する必要がある。そこで、不等間隔の脈拍間隔データを補間、再サンプリングし、等間隔の脈拍間隔データを生成する。例えば、3次の多項式補間法によって補間する点の前後それぞれ3点のサンプリング点を用いて等間隔の脈拍間隔データを生成する。
【0049】
自律神経指標算出部32は、睡眠状態を判定する低周波数領域(0.05〜0.15Hz付近)の指標LFと高周波数領域(0.15〜0.4Hz付近)の指標HFという二つの自律神経指標を算出する。図5は、自律神経指標算出部32の処理を説明するための図である。
【0050】
まず等間隔の脈拍間隔データを例えばFFT(Fast Fourier Transform)にて周波数スペクトル分布に変換する。次に、得られた周波数スペクトル分布より、LF,HFを得る。具体的には、複数のパワースペクトルのピーク値とピーク値を中心として前後等間隔の1点との3点の合計値の算術平均をとってLF、HFとする。自律神経指標算出部32は、さらに脈波伝播時間算出部30が算出した脈波伝播時間に基づいてLFを算出する。
【0051】
この方法により心拍変動のLFを算出した場合、体動やさらに低周波領域のゆらぎなどの影響により、LFのピーク検出精度が悪いという問題がある。そこで、本実施の形態にかかる自律神経指標算出部32は、脈波伝播時間算出部30が算出した脈波伝播時間に基づいて算出されるLFを利用し、その前後3点の平均を取得する。
【0052】
なお、本実施の形態においては、データ処理の負担を軽減する観点から、周波数解析法としてFFT法を用いたが、他の例としては、ARモデル、最大エントロピー法、ウェーブレット法などを用いても良いが、データ処理の負担の軽いFFT法を用いてもよい。
【0053】
脈波伝播時間は(式1)に示すように血圧値と逆比例の関係にある。
血圧=1/脈波伝播時間×α ・・・(式1)
ここで、αは定数である。
【0054】
計測開始時に従来の血圧計で初期血圧を計測しておく。そして、計測値と、このときの脈波伝播時間とを(式1)に代入することにより定数αを算出する。(式1)により脈波伝播時間を血圧値に変換し、さらに血圧値からLFを算出する。
【0055】
なお、他の例としては、被験者ごとの標準的な血圧値と脈波伝播時間とを対応付けるデータベースをさらに備え、データベースに保持されている血圧値および脈波伝播時間に基づいて定数αを算出してもよい。
【0056】
図6は、血圧値からLFを算出する処理を説明するための図である。図6に示すように得られた血圧値を周波数解析して得られたLFは、脈波間隔データから得られたLFと同期している。
【0057】
他の例としては、心拍変動のLFに対応するピーク周波数と、前記の血圧変動のピーク周波数の平均をLFのピーク周波数としてもよい。
【0058】
体動判定部33は、加速度計測部21から取得した3軸方向の加速度データを時間微分して3軸方向の加速度の微係数を求め、3軸方向の加速度のそれぞれの微係数の二乗和の平方根である体動データの変動量および脈拍間隔内の体動データの変動量の平均である体動量を求める。そして、体動量の変動量が所定の閾値より大きい場合に体動と判定する。例えば、所定の閾値として体動計に使用されている微小な体動の最小値である0.01Gを用いる。
【0059】
覚醒判定部34は、体動判定部33によって判定された体動の発生頻度が所定の閾値以上である場合に覚醒状態であると判定し、体動の発生頻度が所定の閾値未満である場合は睡眠状態であると判定する。
【0060】
具体的には、覚醒判定部34は、体動判定部33から体動の有無を取得し、設定区間にける体動発生頻度を計測する。ここで、設定区間としては例えば1分間が好ましい。そして、体動発生頻度が予め定めた閾値以上である場合に覚醒状態であると判定する。一方、体動発生頻度が閾値未満である場合は睡眠状態であると判定する。例えば、閾値としては、過去の覚醒時における体動頻度から20回/分を用いるのが好ましい。
【0061】
睡眠状態判定部35は、自律神経指標算出部32が算出した自律神経指標LF,HFおよび覚醒判定部34が判定した判定結果に基づいて、睡眠状態を判定する。睡眠状態として、睡眠深度を判定する。ここで、睡眠深度とは、被験者の脳の活動状態の程度を示す指標である。本実施の形態においては、ノンレム睡眠、レム睡眠のいずれに該当するかを判定する。さらにノンレム睡眠においてはさらに浅睡眠、深睡眠のいずれに該当するかを判定する。
【0062】
なお、本実施の形態にかかる睡眠状態判定部35は、特許請求の範囲に記載の健康状態判定部に対応する。
【0063】
図7は、健康管理装置10の健康状態管理処理を示すフローチャートである。被験者は、睡眠前に本健康管理装置10を装着し、入力部11から電源および健康管理機能を起動する。このとき、加速度計測部21は、加速度の計測を開始する(ステップS100)。また、脈波計測部18は、脈波の計測を開始する(ステップS120)。また、心電計測部15は、心電の計測を開始する(ステップS140)。
【0064】
加速度計測部21が加速度の計測を開始すると、体動判定部33は、加速度計測部21から取得した3軸方向の加速度データから体動データを得る。そして、体動データの変動量が閾値より大きい場合に体動と判定する(ステップS102)。
【0065】
体動判定部33が体動ありと判定した場合に(ステップ104,Yes)、覚醒判定部34は、覚醒状態か睡眠状態かを判定する(ステップS106)。
【0066】
体動判定部33が、覚醒状態と判定した場合は(ステップS108,覚醒)、体動判定部33は、覚醒判定部34は、記憶部13に入眠時刻、覚醒時刻、一連の睡眠中の中途覚醒回数を保持させる。さらに、表示部12に入眠時刻、覚醒時刻、中途覚醒回数を表示する(ステップS110)。
【0067】
一方、脈波計測部18が脈波の計測を開始すると、脈拍間隔算出部31は脈拍間隔を算出するための動的閾値である脈拍間隔閾値を算出する(ステップS122)。次に、脈拍間隔算出部31は、直流変動成分を除去された一連の脈波データから閾値に一致する一連の脈波データの値が現れた時刻を算出し、算出された時刻の間隔を脈拍間隔として得る(ステップS124)。
【0068】
次に、脈拍間隔算出部31は、ステップS102における体動判定の結果、およびステップS106における覚醒判定の結果に基づいて、睡眠状態であって、かつ体動がない場合のみ脈拍間隔データを保存する(ステップS130)。
【0069】
次に、脈拍間隔算出部31は、一連の脈拍間隔データをFFT法などの周波数解析法によって周波数スペクトル分布に変換する(ステップS132)。
【0070】
一方、心電計測部15が心電計測を開始すると(ステップS140)、脈波伝播時間算出部30は、心電計測値およびステップS120において計測された脈波計測値に基づいて脈波伝播時間を決定する(ステップS142)。次に、脈波伝播時間算出部30は、脈波伝播時間を血圧値に換算する(ステップS144)。次に、血圧変動データを周波数解析法によって周波数スペクトル分布に変換する(ステップS146)。
【0071】
そして、自律神経指標算出部32は、ステップS132において周波数スペクトル分布に変換された一連の脈拍間隔データの複数のパワースペクトルの値からLF,HFを算出し、かつステップS146において変換された血圧変動データの複数のパワースペクトルの値からLFを算出する。そして、脈拍間隔データから算出されたHFを自律神経指標とする。また、2つのLFに基づいて自律神経指標となるLFを決定する(ステップS150)。
【0072】
次に、睡眠状態判定部35は、自律神経指標LF,HFに基づいて睡眠状態を判定し、記憶部13に保持させる(ステップS152)。そして、表示部12に睡眠状態を表示し(ステップS154)、さらに睡眠中の体動量を表示する(ステップS156)。
【0073】
図8は、ステップS152における処理を示すフローチャートである。ここで、ステップS152における睡眠状態判定処理について詳述する。
【0074】
睡眠状態判定部35は、まず自律神経指標算出部32からLF,HFを取得し、LF,HFの標準偏差の合計を算出する(ステップS201)。さらに、LF/HFの値を算出する(ステップS202)。
【0075】
次に、LF/HFの値が第1の判定閾値よりも小さいか否かを調べる(ステップS203)。その結果、LF/HFの値が第1の判定閾値よりも小さい場合は(ステップS203,Yes)、さらに、HFの値が第2の判定閾値よりも大きいか否かを調べる(ステップS205)。その結果、HFの値が第2の判定閾値よりも大きい場合は(ステップS205,Yes)、深睡眠と判定する(ステップS209)。
【0076】
一方、睡眠状態判定部35は、LF/HFの値が第1の判定閾値以上である場合は(ステップS203,No)、さらに、LF/HFの値が第3の判定閾値より大きいか否かを調べる(ステップS204)。その結果、LF/HFの値が第3の判定閾値より大きい場合は(ステップS204,Yes)、さらに、HFの値が第2の判定閾値よりも大きいか否かを調べる(ステップS205)。
【0077】
その結果、HFの値が第2の判定閾値以下である場合は(ステップS205,No)、さらに、HFの値が第4の判定閾値よりも小さいか否かを調べる(ステップS206)。その結果、HFの値が第4の判定閾値よりも小さい場合は(ステップS206,Yes)、さらに、LF、HFの標準偏差の合計が第5の判定閾値より大きいか否かを調べる(ステップS207)。その結果、LF、HFの標準偏差の合計が第5の判定閾値より大きい場合は(ステップS207,Yes)、レム睡眠と睡眠状態を判定する(ステップS208)。
【0078】
一方、睡眠状態判定部35は、LF/HFの値が第2の判定閾値以下である場合(ステ
ップS204,No)、および、HFが第4の判定閾値以上である場合(ステップS206,No)、および、LF、HFの標準偏差の合計が第5の判定閾値以下である場合は(ステップS207,No)、浅睡眠と睡眠状態を判定する(ステップS210)。
【0079】
なお、第1の判定閾値から第5の判定閾値は、例えば、被験者毎に一晩計測したLF,HF,LF/HFのそれぞれの分布の密度の高い点を2点選び、LF/HFの2点の中点を第1の判定閾値=第3の判定閾値、HFの2点の中点を第2の判定閾値=第4の判定閾値、LFの2点の中点を第5の判定閾値として設定することができる。
【0080】
また、3軸方向の加速度データを体動データとして計測することとしたので、体動を手軽で精度よく体動を測定することができる。したがって、脈波に対する体動の影響および不整脈や無呼吸状態などの脈波異常の影響を低減し、睡眠状態の判定精度を向上させることができる。
【0081】
なお、実施の形態1にかかる健康管理装置10は、ハードウェア構成として、健康管理装置10における健康状態管理処理を実行する健康状態管理プログラムなどが格納されているROMと、ROMのプログラムに従って健康管理装置10の各部を制御するCPUなどを備えている(図示せず)。
【0082】
そして、健康管理装置10における健康状態管理プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フロッピー(R)ディスク(FD)、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0083】
この場合には、睡眠時健康状態管理プログラムは、健康管理装置10において上記記録媒体から読み出して実行することにより主記憶装置上にロードされ、上記ソフトウェア構成で説明した各部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0084】
また、本実施の形態の睡眠時健康状態管理プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。
【0085】
なお、実施の形態1においては、心活動を計測する手段として、心電を計測する例について説明したが、これにかえて、体内の磁気を計測することにより心臓の電気的活動を測定する心磁図や、心臓の拍動により生じる心音を測定することとしてもよい。
【0086】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる健康管理装置10について説明する。図9は、実施の形態2にかかる健康管理装置10の睡眠時健康状態管理処理を示すフローチャートである。実施の形態2にかかる010は、ステップS146において周波数解析を行った後、血圧変動値に基づいてLF(以降、「血圧LF」と称す)を算出する(ステップS150)。そして、ステップS152においては、脈拍間隔から算出したLF,HF(以降「脈拍間隔LF,HF」と称す)及び血圧LFに基づいて睡眠状態を判定する。
【0087】
図10は、実施の形態2にかかるステップS152における処理を示すフローチャートである。
【0088】
実施の形態2においては、ステップS203において、脈拍間隔LF/HFの値が第1の判定閾値よりも小さいかまたは血圧LFが閾値7より小さく(ステップS223,Yes)、かつ脈拍間隔HFの値が第2の判定閾値よりも大きい場合に(ステップS205,Yes)、深睡眠と判定する(ステップS209)。
【0089】
また、脈拍間隔LF/HFの値が第3の判定閾値よりも大きいかまたは血圧LFが第6の判定閾値より大きく(ステップS224,Yes)、脈拍間隔HFが第2の判定閾値より小さく(ステップS205,Yes)、かつ脈拍間隔LF、HFの標準偏差の合計が第5の判定閾値より大きい場合には(ステップS207,Yes)、レム睡眠と判定する。また、深睡眠およびレム睡眠以外のときは浅睡眠と睡眠状態を判定する(ステップS210)。
【0090】
なお、第1の判定閾値から第7の判定閾値は、例えば、被験者毎に一晩計測したLF,HF,LF/HF、血圧LFのそれぞれの分布の密度の高い点を2点選び、LF/HFの2点の中点を第1の判定閾値=第3の判定閾値、HFの2点の中点を第2の判定閾値=第4の判定閾値、LFの2点の中点を第5の判定閾値として設定することができる。
【0091】
血圧値の変動そのものも自律神経活動を表す一つの指標である。したがって、血圧値の変動幅が大きければ交感神経優位の状態である。したがって、レム検出のパラメータに追加することで判定精度を向上させることができる。
【0092】
なお、実施の形態2にかかる健康管理装置10のこれ以外の構成および処理は、実施の形態1にかかる010の構成および処理と同様である。
【0093】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3にかかる健康管理装置10について説明する。図11は、実施の形態3にかかる健康管理装置10の全体構成を示すブロック図である。実施の形態3にかかる健康管理装置10は、実施の形態1にかかる健康管理装置10の構成に加えて、さらに血圧算出部36と、計測値集計部37と、パターン判定部38とを備えている。また、実施の形態3にかかる健康管理装置10の記憶部13は、計測値保持部131と、基準血圧保持部132とを有している。
【0094】
血圧算出部36は、脈波伝播時間算出部30が算出した脈派伝播時間に基づいて血圧を算出する。具体的には、実施の形態1において説明した(式1)により血圧値を算出する。所定時間内に計測された複数の血圧の平均値を血圧値として算出する。所定時間は例えば10秒であってもよい。定数αを決定する際には、基準血圧保持部132が保持している基準血圧を利用する。
【0095】
なお、血圧算出部36は、睡眠状態判定部35が睡眠状態の判定に利用した計測値と同一の時刻に計測された計測値に基づいて血圧値を算出する。これにより、血圧値と睡眠状態との対応関係を把握することができる。
【0096】
計測値保持部131は、睡眠状態および血圧値をそれぞれ観測時刻に対応付けて保持している。図12は、計測値保持部131のデータ構成を模式的に示している。このように、各時刻に対応付けて、当該時刻における睡眠状態、最高血圧および最低血圧を保持している。なお、睡眠状態は、睡眠状態判定部35の判定により得られた結果である。また、最高血圧および最低血圧は、後述の血圧算出部36により算出された値である。
【0097】
基準血圧保持部132は、被験者の基準血圧値を保持している。基準血圧値は、例えば入力部11または通信部(図示せず)を介して取得される。本実施の形態においては、図示しない従来のカフ式血圧計を用いて就寝前の血圧と脈波伝播時間とを同時に計測する。こうして計測した血圧値を基準血圧保持部132に保持させる。
【0098】
また他の例としては、被験者の平均的な就寝前の血圧値を基準血圧保持部132に予め登録しておいてもよい。基準血圧の値は同一の被験者であればさほど変化しない。したがって、平均的な値を基準血圧とみなすことができる。さらに、基準血圧保持部132が保持している基準血圧を脈波の振幅との相関関係を利用して補正してもよい。
【0099】
計測値集計部37は、計測値保持部131が保持している計測値を集計する。計測値集計部37は、例えば脈波等の計測終了時すなわち起床時に集計処理を行う。また、他の例としては、計測結果が得られる度に順次集計処理を行ってもよい。
【0100】
図13は、計測値集計部37による集計結果を模式的に示している。このように、計測値集計部37は、睡眠中の最高血圧の平均値および最低血圧の平均値を算出する。入眠時および起床時それぞれにおける最高血圧および最低血圧を抽出する。また、ノンレム睡眠時およびレム睡眠時それぞれにおける最高血圧および最低血圧を抽出する。また、基底血圧を計測した時刻と、このときの最高血圧および最低血圧を抽出する。
【0101】
ここで、基底血圧とは、ノンレム睡眠中における最低血圧のことである。血圧は通常睡眠を始めると交感神経の沈静化に伴い低下する。ノンレム睡眠中には血圧は特に低下する。一方、レム睡眠中は自律神経系が大きく乱れるため、血圧値もこれに伴って乱れて平均値としても上昇する。また、サーカディアンリズムにも支配されるため、ノンレム睡眠中の最低血圧は、一日の中でももっとも低い血圧となる。これを基底血圧と呼ぶ。
【0102】
基底血圧が高く、夜間も血圧が下がらないタイプをnon−dipper型高血圧といい、このタイプの被験者は、脳、心臓、腎臓などの臓器障害を持つことが多いことが知られている。したがって、基底血圧の計測結果を被験者に提示することにより、被験者の健康を管理することができる。また、基底血圧の極度の低下は低酸素脳症を引き起こす可能性もあり、さらに高齢者の痴呆との関連もあるといわれ、基底血圧の計測は重要である。
【0103】
本実施の形態においては、睡眠状態判定部35がノンレム睡眠と判定したタイミングにおける血圧値のうち最小値を基底血圧とする。なお、他の例としては、入眠から起床時までの血圧値のうち極小値を基底血圧としてもよい。これにより、血圧値が誤差を含む場合であっても、適切な基底血圧を特定することができる。
【0104】
また、早朝および起床時における最高血圧および最低血圧を抽出する。さらに、早朝における血圧上昇率および起床時における血圧上昇率を算出する。
【0105】
早朝の血圧上昇は、早朝高血圧とも呼ばれ、循環器系疾患のリスクが高まることが知られている。早朝血圧上昇率および起床血圧上昇率は、早期高血圧を表す指標として有効である。
【0106】
以上の算出方法について詳述する。まず入眠時、起床時の血圧を抽出する。覚醒が連続しその後はじめて睡眠状態の判定がありその後例えば3回(30分)以上睡眠が継続した場合に、はじめに睡眠状態と判定した時刻を入眠時と判定する。
【0107】
逆に、睡眠状態が連続し、その後はじめて覚醒が発生し、その後3回以上覚醒が継続した場合、はじめに覚醒と判定した時刻を起床時と判定する。そして、入眠時における血圧を入眠時血圧とする。また、起床時における血圧を起床時血圧とする。
【0108】
なお、本実施の形態にかかる覚醒判定部34は、特許請求の範囲に記載の起床判定手段に対応する。
【0109】
次に、睡眠時、レム時、ノンレム時のそれぞれの血圧平均値を算出する。また並行してノンレム時の血圧の最小値、およびその時刻を検出する。これを基底血圧とする。なお、他の例としては、脈拍の最小値の時刻に対応する血圧を基底血圧としてもよい。
【0110】
ここで、基底血圧について説明する。図14は、睡眠中における血圧値を、睡眠状態および自律神経の活動状態に対応付けて示している。図14に示すように、血圧値は、脈拍と同様の変化を示す。したがって、ノンレム睡眠時における血圧の最小値および脈拍の最小値の時刻に対応する血圧いずれの値からも基底血圧を特定することができる。
【0111】
さらに、計測値集計部37は、基底血圧と睡眠中における最終のノンレム睡眠中の血圧とから算出される単位時間当たりの変化量、すなわち早朝血圧上昇率を算出する。具体的には、基底血圧を計測した時刻以降に計測された血圧の回帰直線の傾きを早朝血圧上昇率としてもよい。また、基底血圧と起床時の血圧から算出される単位時間当たりの変化量、すなわち起床時血圧上昇率を算出する。同様に回帰直線の傾きを起床血圧上昇率としてもよい。
【0112】
なお、さらに基底血圧以降の血圧上昇率をさらに算出してもよい。基底血圧以降の血圧上昇率も、早朝高血圧を表す指標として有効である。
【0113】
なお、本実施の形態にかかる計測値集計部37は、特許請求の範囲に記載の健康状態判定手段に対応する。また、本実施の形態にかかる血圧変動パターン判定部38は、特許請求の範囲に記載のパターン比較手段と、健康状態判定手段とに対応する。
【0114】
再び説明を図11に戻す。パターン判定部38は、計測値集計部37による集計結果に基づいて血液変動パターンを判定する。具体的には、入眠時血圧、基底血圧、起床時血圧の値とその時刻の組み合わせである血液変動パターンを予め保持しておく。図15−1から図15−3は、血液変動パターンを模式的に示している。
【0115】
図15−1に示すAパターンは、基底血圧を最小値とし、入眠時血圧および起床時血圧がほぼ等しいパターンである。これは健康的な血圧変動である。
【0116】
図15−2に示すBパターンは、基底血圧が入眠時血圧および起床時血圧に比べてあまり下降しないパターンである。これは、脳、心臓、肝臓などに障害が発生する恐れがある血圧変動である。
【0117】
図15−3に示すCパターンは、基底血圧は入眠時血圧に比べて下降するものの、起床時血圧が高いパターンである。これば、心筋梗塞などの発症リスクが高い血圧変動である。
【0118】
パターン判定部38は、保持している血圧変動パターンと、実際に計測値集計部37によって集計された血圧とを比較し、最も近い血圧変動パターンを選択する。
【0119】
パターン判定部38はさらに各血圧変動パターンに、それぞれの血圧変動パターンに対する説明用のコメントを対応付けて保持する。
【0120】
図16は、Aパターンと判定された場合に表示部12に表示される画面例を示している。図16に示すように観測結果のグラフと、判定された血圧変動パターンと、血圧変動パターンに対応する説明用のコメントが表示される。ここで、観測結果のグラフは、入眠時血圧、基底血圧および起床時血圧をプロットしたものである。
【0121】
また、Bパターンの場合には、「基底血圧が余り下がっていません。脳、心臓、腎臓などに障害の出る恐れがあるので、病院に行くことをお奨めします。」という説明用のコメントを表示してもよい。また、Cパターンの場合には、「朝方の血圧上昇が激しいです。心筋梗塞などの発症リスクが高いですので、早めに病院にいくことをお奨めします。」という説明用のコメントを表示してもよい。
【0122】
計測値集計部37はさらに、脈波伝播時間の所定の時間内における変化率を算出する。図17は、脈波伝播時間の変化率を算出する処理を説明するための図である。所定の時刻における脈波伝播時間を基準として所定の値を閾値として決定する。具体的には、例えば、「脈波伝播時間±0.02s」を閾値とする。そして、当該時刻から所定の時間までの間に閾値を越える脈波伝播時間が検出された回数をカウントする。
【0123】
睡眠時無呼吸症候群においては、血圧変動の頻度が上昇する傾向にある。脈波伝播時間は血圧と反比例の関係にあるので、カウントされた回数に基づいて、睡眠時無呼吸症候群に関する指標を取得することができる。
【0124】
図18は、1時間ごとにカウントされた回数(血圧上昇頻度)を示すグラフである。計測値集計部37は、図18に示すグラフを表示部12に表示させる。これにより、被験者は、睡眠時無呼吸症候群に関する指標を得ることができる。
【0125】
なお、実施の形態3にかかる健康管理装置10のこれ以外の構成および処理は、実施の形態1にかかる健康管理装置10の構成および処理と同様である。
【0126】
なお、他の例としては、図19に示すように、表示部12は、血圧変動パターンとともに、睡眠状態をさらに表示してもよい。
【0127】
また、他の例としては、図20に示すように、表示部12は、基準血圧保持部132が保持している集計値を表形式で表示してもよい。なお、この場合、適正範囲外の値は、太字で示すなど他の表示と異なる形式で表示してもよい。適正範囲は、記憶部13が保持しているものとする。
【0128】
さらに、血圧値は計測部位の姿勢、高さにより大きく変動する。そこで、この影響を補正してもよい。具体的には、計測部位の姿勢を加速度センサにて取得し、それぞれごとの補正係数を元に血圧値を算出する。
【0129】
補正係数は、姿勢ごとに予め標準的なものを用意し、記憶部13に記憶しておく。そして、姿勢判定部(図示せず)は、座位、立位、仰臥位、側臥位を加速度センサの出力を元に姿勢を判定する。そして、判定した姿勢に対応付けて記憶部13に記憶されている補正係数を取得し、脈波伝播時間から求めた血圧値に掛け合わせることで血圧値を補正する。
【0130】
さらに、計測値集計部37は、基底血圧を算出した後は、早朝血圧上昇の程度を監視し、血圧上昇率が高い場合には、本人等に通知することとしてもよい。具体的には、計測値集計部37は、単位時間当りの血圧上昇率を、当該単位時間が経過する毎に算出する。そして、この血圧上昇率が所定値以上である場合に例えばアラーム出力を行うなどにより本人に通知する。
【0131】
さらに、血圧上昇率に対する複数の閾値を設定し、最も低い閾値を越えた場合に、本人に通知し、より高い閾値を越えた場合には、家族に通知し、さらに高い閾値を越えた場合には管理会社に通知することとしてもよい。具体的には、健康管理装置10は、通信機能を備え、通信機能により閾値を越えた旨を家族の携帯端末に送信してもよい。同様に、管理会社の通信端末に送信してもよい。なお、通知の方法は、これに限定されるものではない。
【0132】
以上のように、実施の形態3にかかる健康管理装置10によれば、睡眠時のうち特に自律神経が安定したノンレム睡眠時の血圧を計測することができる。したがって、従来の血圧計のように日中の様々な外乱の影響を受けることなく、安定した血圧(基底血圧)を計測することができる。
【0133】
また、睡眠中、睡眠に伴う身体状態を計測し、これに対応して早朝血圧上昇率、起床血圧上昇率、および所定時間内における血圧変動の発生頻度などを算出することにより、危険な早朝高血圧、レム時の高血圧、無呼吸時の高血圧の予兆を捉えることができる。
【0134】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4にかかる健康管理システム100について説明する。図21は、実施の形態4にかかる健康管理システム100の装着例を示している。実施の形態4にかかる健康管理システム100は、健康管理装置本体110および健康管理装置子機120を備えている。そして、健康管理装置本体110および健康管理装置子機120は互いに異なる2箇所の脈波を計測する。
【0135】
図21に示す例においては、健康管理装置本体110は手首部に装着されている。健康管理装置子機120は肘部に装着されている。そして、この距離差に基づいて脈波伝播時間を決定する。このように、実施の形態4にかかる健康管理システム100は、異なる2箇所の脈波を計測する点で、心電と脈波を計測する実施の形態1から実施の形態3にかかる健康管理装置10と異なっている。
【0136】
このように、脈波伝播時間を算出する観点からは、脈波の伝播時間の異なる2点を計測すればよく、その位置および測定方法は実施の形態に限定されるものではない。
【0137】
図22は、実施の形態4にかかる健康管理システム100の全体構成を示すブロック図である。実施の形態4にかかる健康管理システム100の健康管理装置本体110は、入力部11と、表示部12と、記憶部13と、電源供給部14と、心電計測部15と、第1制御部111と、第1光源駆動部112と、第1脈波計測部113と、加速度計測部21と、第1光源115および第1受光部116を有する第1脈波センサ114と、第1通信部117と、脈波伝播時間算出部30と、脈拍間隔算出部31と、自律神経指標算出部32と、体動判定部33と、覚醒判定部34と、睡眠状態判定部35とを備えている。
【0138】
また、健康管理システム100の健康管理装置子機120は、第2制御部121と、第2光源駆動部122と、第2脈波計測部123と、第2光源125および第2受光部126を有する第2脈波センサ124と、第2通信部127とを備えている。
【0139】
第1光源駆動部112、第1脈波計測部113、第1光源115および第1受光部116の処理は、それぞれ実施の形態1に記載の光源駆動部17、脈波計測部18、光源26および受光部27の処理と同様である。
【0140】
第1通信部117と第2通信部127は互いに情報をやり取りする。また、健康管理装置本体110の第1制御部111は、サンプリングのタイミングを合わせるためのサンプリング制御信号を第1通信部117を介して健康管理装置子機120に送信する。
【0141】
第2光源駆動部122、第2脈波計測部123、第2光源125および第2受光部126の処理は、それぞれ実施の形態1に記載の光源駆動部17、脈波計測部18、光源26および受光部27の処理と同様である。
【0142】
第2制御部121は、第2通信部127を介してサンプリング制御信号を取得する。そして、サンプリング制御信号をトリガとして、第2光源125の駆動、A/D変換などを行う。これにより、同一のタイミングで2つの脈波を計測することができる。第2制御部121は、また第2受光部126から取得した信号を処理する。そして、処理後の信号は、第2通信部127を介して健康管理装置本体110に送信される。
【0143】
第1制御部111は、また第1通信部117を介して健康管理装置子機120から肘部の光源脈波を取得する。そして、これを同時刻に第1脈波計測部113が計測した手首の光電脈波に対応付けて第1制御部111内のメモリに保持する。そして、脈波伝播時間算出部30は、第1制御部111が保持している肘部の光源電波の信号および手首の光源電脈波の信号を取得する。そして、それぞれの信号からピーク検出を随時行い、肘の光電脈波のピーク検出後、手首の光電脈波のピーク検出までの時間差を脈波伝播時間として検出する。
【0144】
なお、実施の形態4にかかる健康管理システム100のこれ以外の構成および処理は、実施の形態1にかかる健康管理装置10の構成および処理と同様である。なお、実施の形態4において説明したように2点の脈波を測定する方法を実施の形態2または実施の形態3に適用してもよいことは言うまでもない。
【0145】
(実施の形態5)
次に、実施の形態5にかかる健康管理システム100について説明する。図23は、実施の形態5にかかる健康管理システム100の装着例を示している。実施の形態5にかかる健康管理システム100は、健康管理装置本体110および健康管理装置子機120を備えている。また、実施の形態5にかかる健康管理装置本体110は、圧力センサが検出した圧脈波を計測する。
【0146】
本実施の形態においては、健康管理装置本体110は、枕に内臓されており、頸部の圧脈波を検出する。また、健康管理装置子機120は、手首の光電脈波を検出する。そして、頸部の圧脈波と手首の光電脈波の時間差を脈波伝播時間として算出する。
【0147】
図24は、実施の形態5にかかる健康管理システム100の全体構成を示すブロック図である。健康管理システム100の健康管理装置本体110は、実施音形態4にかかる健康管理装置本体110の第1光源駆動部112および第1脈波センサ114に変えて圧力センサ118を備えている。
【0148】
第1脈波計測部113は、圧力センサ118に接続している。そして、圧力センサ118が検出した頸部の圧力変動を圧電変換し、これにフィルタなどアナログ信号処理を施す。その後AD変換し、第1制御部111に転送する。第1制御部111は、圧脈波を同時刻に検出された手首の光電脈波に対応付けて第1制御部111内のメモリに保持する。
【0149】
なお、実施の形態5にかかる健康管理システム100のこれ以外の構成および処理は、実施の形態4にかかる健康管理システム100の構成および処理と同様である。
【0150】
他の例としては、健康管理装置子機120を手首に装着する第2脈波センサ124にかえて、胸部装着用の心電電極としてもよい。また、他の例としては、手首装着用の片電極の心電計としてもよい。心電を利用する場合、心電のピークが先に現れるため、これと頸部圧脈波のピークとの時間差を脈波伝播時間とする。
【0151】
また、本実施の形態にかかる健康管理装置本体110は、枕にされ、頸部圧脈波を検出するが、これにかえて、健康管理装置本体110は、ベット内に内蔵されてもよい。この場合、圧力センサ118は、胸部圧脈波を検出する。健康管理装置本体110をまた敷布団の下または敷布団の上に配置してもよい。この場合も同様に圧力センサ118は、胸部圧脈波を検出する。この場合の健康管理装置本体110の処理は、実施の形態4にかかる健康管理装置本体110の処理と同様である。
【0152】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができる。
【0153】
そうした第1の変更例としては、実施の形態1にかかる健康管理装置10は、心電計測値および脈波計測値に基づいて脈波伝播時間を算出したが、これにかえて、実施の形態4にかかる健康管理装置10のように、異なる2点における脈波計測値に基づいて脈波伝播時間を算出してもよい。実施の形態2および実施の形態3についても同様である。
【0154】
また、第2の変更例としては、実施の形態4にかかる健康管理装置10は、異なる2点における脈波計測値に基づいて脈波伝播時間を算出したが、これにかえて、実施の形態1にかかる健康管理装置10のように、心電計測値および脈波計測値に基づいて脈波伝播時間を算出してもよい。
【0155】
この場合、健康管理装置本体110が心電を計測し、健康管理装置子機120が脈波を計測してもよい。また他の例としては、健康管理装置本体110が脈波を計測し、健康管理装置子機120が心電を計測してもよい。実施の形態5についても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】実施の形態1にかかる睡眠時健康管理装置の全体構成を示す図である。
【図2】図1に示す健康管理装置10の装置概観を示す図である。
【図3】健康管理装置10の装着の一例を示す図である。
【図4】脈波伝播時間を説明するための図である。
【図5】自律神経指標算出部32の処理を説明するための図である。
【図6】血圧値からLFを算出する処理を説明するための図である。
【図7】健康管理装置10の睡眠時健康状態管理処理を示すフローチャートである。
【図8】ステップS152における処理を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態2にかかる健康管理装置10の睡眠時健康状態管理処理を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態2にかかるステップS152における処理を示すフローチャートである。
【図11】実施の形態3にかかる健康管理装置10の全体構成を示すブロック図である。
【図12】計測値保持部131のデータ構成を模式的に示す図である。
【図13】計測値集計部37による集計結果を模式的に示す図である。
【図14】睡眠中における血圧値を、睡眠状態および自律神経の活動状態に対応付けて示す図である。
【図15−1】Aの血液変動パターンを模式的に示す図である。
【図15−2】Bの血液変動パターンを模式的に示す図である。
【図15−3】Cの血液変動パターンを模式的に示す図である。
【図16】Aパターンと判定された場合に表示部12に表示される画面例を示す図である。
【図17】脈波伝播時間の変化率を算出する処理を説明するための図である。
【図18】1時間ごとにカウントされた回数(血圧上昇頻度)を示すグラフ示す図である。
【図19】表示部12が血圧変動パターンとともに、睡眠状態を表示する例を示す図である。
【図20】表示部12が基準血圧保持部132が保持している集計値を表形式で表示する例を示す図である。
【図21】実施の形態4にかかる健康管理システム100の装着例を示す図である。
【図22】実施の形態4にかかる健康管理システム100の全体構成を示すブロック図である。
【図23】実施の形態5にかかる健康管理システム100の装着例を示す図である。
【図24】実施の形態5にかかる健康管理システム100の全体構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0157】
10 睡眠状態判定装置
11 入力部
12 表示部
13 記憶部
14 電源供給部
15 心電計測部
16 制御部
17 光源駆動部
18 脈波計測部
21 加速度計測部
23a,23b 心電電極
24 不関電極
25 脈波センサ
26 光源
27 受光部
30 脈波伝播時間算出部
31 脈拍間隔算出部
32 自律神経指標算出部
33 体動判定部
34 覚醒判定部
35 睡眠状態判定部
36 血圧算出部
37 計測値集計部
38 パターン判定部
50 筐体
100 健康管理システム
110 健康管理装置本体
111 第1制御部
112 第1光源駆動部
113 第1脈波計測部
114 第1脈波センサ
115 第1光源
116 第1受光部
117 第1通信部
118 圧力センサ
120 健康管理装置子機
121 第2制御部
122 第2光源駆動部
123 第2脈波計測部
124 第2脈波センサ
125第2光源
126 第2受光部
127 第2通信部
131 計測値保持部
132 基準血圧保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の睡眠中の第1の脈波を計測する第1の脈波計測手段と、
前記被験者の睡眠中の脈波であって、前記被験者の心臓からの伝播時間が前記第1の脈波計測手段が計測する第1の脈波と異なる脈波である第2の脈波を計測する第2の脈波計測手段と、
前記第1の脈波計測手段が計測した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測手段が計測した前記第2の脈波の時間差である脈波伝播時間を算出する脈波伝播時間算出手段と、
前記第1の脈波計測手段が計測した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測手段が計測した前記第2の脈波のうち少なくともいずれか一方の値に基づいて、脈拍間隔を算出する脈拍間隔算出手段と、
前記脈波伝播時間算出手段が算出した前記脈波伝播時間、および前記脈拍間隔算出手段が算出した前記脈拍間隔に基づいて、前記被験者の自律神経の活動状態を示す自律神経指標を算出する自律神経指標算出手段と、
前記自律神経指標算出手段が算出した前記自律神経指標に基づいて、健康状態を判定する健康状態判定手段と
を備えたことを特徴とする健康管理装置。
【請求項2】
前記健康状態判定手段が判定した前記健康状態を出力する健康状態出力手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の健康管理装置。
【請求項3】
前記健康状態判定手段は、前記自律神経指標に基づいて、健康状態として睡眠状態を判定することを特徴とする請求項1に記載の健康管理装置。
【請求項4】
前記睡眠状態判定手段は、前記自律神経指標に基づいて、レム睡眠かノンレム睡眠かを判定することを特徴とする請求項1に記載の健康管理装置。
【請求項5】
前記自律神経指標算出手段は、前記脈波伝播時間算出手段が算出した前記脈波伝播時間に基づいて、低周波数領域側の前記自律神経指標を算出することを特徴とする請求項1に記載の健康管理装置。
【請求項6】
被験者の睡眠中の第1の脈波を計測する第1の脈波計測手段と、
前記被験者の睡眠中の脈波であって、前記被験者の心臓からの伝播時間が前記第1の脈波計測手段が計測する第1の脈波と異なる脈波である第2の脈波を計測する第2の脈波計測手段と、
前記第1の脈波計測手段が計測した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測手段が計測した前記第2の脈波の時間差である脈波伝播時間を算出する脈波伝播時間算出手段と、
前記第1の脈波計測手段が計測した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測手段が計測した前記第2の脈波のうち少なくともいずれか一方の値に基づいて、脈拍間隔を算出する脈拍間隔算出手段と、
前記脈波伝播時間算出手段が算出した前記脈波伝播時間、および前記脈拍間隔算出手段が算出した前記脈拍間隔に基づいて、前記被験者の自律神経の活動状態を示す自律神経指標を算出する自律神経指標算出手段と、
前記脈波伝播時間算出手段が算出した前記脈波伝播時間に基づいて、血圧値を算出する血圧値算出手段と、
前記自律神経指標算出手段が算出した前記自律神経指標と、前記血圧値算出手段が算出した前記血圧値に基づいて健康状態を判定する健康状態判定手段と
を備えたことを特徴とする健康管理装置。
【請求項7】
睡眠中の血圧値の時間変化を示す血圧変動パターンを保持する血圧変動パターン保持手段と、
前記血圧値算出手段が算出した睡眠中の前記血圧値の時間変化と、前記血圧変動パターン保持手段が保持している前記血圧変動パターンとを比較するパターン比較手段と
をさらに備え、
前記健康状態判定手段は、さらに前記パターン比較手段による比較結果に基づいて前記被験者の健康状態を判定することを特徴とする請求項6に記載の健康管理装置。
【請求項8】
前記自律神経指標算出手段が算出した前記自律神経指標に基づいて、レム睡眠かノンレム睡眠かを判定する睡眠状態判定手段をさらに備え、
前記パターン比較手段は、前記血圧値算出手段が算出した睡眠中の血圧値のうち、前記睡眠状態判定手段がレム睡眠であると判定したタイミングにおける血圧値の時間変化と、前記血圧変動パターン保持手段が保持している前記血圧変動パターンとを比較することを特徴とする請求項7に記載の健康管理装置。
【請求項9】
前記血圧値算出手段が算出した前記血圧値の時間変化における極小値を基底血圧として決定する基底血圧決定手段をさらに備え、
前記健康状態判定手段は、さらに前記基底血圧決定手段が決定した前記基底血圧に基づいて、前記健康状態を判定することを特徴とする請求項6に記載の健康管理装置。
【請求項10】
前記自律神経指標算出手段が算出した前記自律神経指標に基づいて、レム睡眠かノンレム睡眠かを判定する睡眠状態判定手段と、
前記睡眠状態判定手段がレム睡眠であると判定したタイミングにおける前記血圧値の最小値を基底血圧として決定する基底血圧決定手段と
をさらに備え、
前記健康状態判定手段は、さらに前記基底血圧決定手段が決定した前記基底血圧に基づいて、前記健康状態を判定することを特徴とする請求項6に記載の健康管理装置。
【請求項11】
前記自律神経指標算出手段が算出した前記自律神経指標に基づいて、被験者が起床したことを判定する起床判定手段と、
前記基底血圧決定手段が決定した前記基底血圧から前記起床判定手段が起床と判定したときの前記血圧値までの血圧上昇率を算出する起床時血圧上昇率算出手段と
をさらに備え、
前記健康状態判定手段は、前記起床時血圧上昇率算出手段が算出した前記血圧上昇率に基づいて、前記被験者の健康状態を判定することを特徴とする請求項9または10に記載の健康管理装置。
【請求項12】
前記自律神経指標算出手段が算出した前記自律神経指標に基づいて、レム睡眠かノンレム睡眠かを判定する睡眠状態判定手段と、
前記基底血圧決定手段が決定した前記基底血圧から前記睡眠状態判定手段が睡眠中最後にノンレム睡眠であると判定したときの血圧値までの血圧上昇率を算出する早朝血圧上昇率算出手段と
をさらに備え、
前記健康状態判定手段は、前記早朝血圧上昇率算出手段が算出した前記血圧上昇率に基づいて、前記被験者の健康状態を判定することを特徴とすることを特徴とする請求項9から11のいずれか一項に記載の健康管理装置。
【請求項13】
前記脈波伝播時間算出手段が算出した前記脈波伝播時間の予め定めた時間内における変動を測定する脈波伝播時間変動測定手段をさらに備え、
前記健康状態判定手段は、さらに前記脈波伝播時間変動測定手段による測定結果に基づいて健康状態を判定することを特徴とする請求項6に記載の健康管理装置。
【請求項14】
前記被験者の体重による圧力を検出する圧力センサをさらに備え、
前記第1の脈波計測手段は、前記圧力センサが検出する圧力に基づいて前記第1の脈波を計測することを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の健康管理装置。
【請求項15】
被験者の睡眠中の心活動の程度を計測する心活動計測手段と、
前記被験者の睡眠中の第1の脈波を計測する第1の脈波計測手段と、
前記心活動計測手段が計測した前記心活動の程度と、前記第1の脈波計測手段が計測した前記第1の脈波の時間差である脈波伝播時間を算出する脈波伝播時間算出手段と、
前記心活動計測手段が計測した前記心活動の程度と、前記第1の脈波計測手段が計測した前記第1の脈波のうち少なくともいずれか一方の値に基づいて、脈拍間隔を算出する脈拍間隔算出手段と、
前記脈波伝播時間算出手段が算出した前記脈波伝播時間、および前記脈拍間隔算出手段が算出した前記脈拍間隔に基づいて、前記被験者の自律神経の活動状態を示す自律神経指標を算出する自律神経指標算出手段と、
前記自律神経指標算出手段が算出した前記自律神経指標に基づいて、健康状態を判定する健康状態判定手段と
を備えたことを特徴とする健康管理装置。
【請求項16】
被験者の睡眠中の心活動の程度を計測する心活動計測手段と、
前記被験者の睡眠中の第1の脈波を計測する第1の脈波計測手段と、
前記心活動計測手段が計測した前記心活動の程度と、前記第1の脈波計測手段が計測した前記第1の脈波の時間差である脈波伝播時間を算出する脈波伝播時間算出手段と、
前記心活動計測手段が計測した前記心活動の程度と、前記第1の脈波計測手段が計測した前記第1の脈波のうち少なくともいずれか一方の値に基づいて、脈拍間隔を算出する脈拍間隔算出手段と、
前記脈波伝播時間算出手段が算出した前記脈波伝播時間、および前記脈拍間隔算出手段が算出した前記脈拍間隔に基づいて、前記被験者の自律神経の活動状態を示す自律神経指標を算出する自律神経指標算出手段と、
前記脈波伝播時間算出手段が算出した前記脈波伝播時間に基づいて、血圧値を算出する血圧値算出手段と、
前記自律神経指標算出手段が算出した前記自律神経指標と、前記血圧値算出手段が算出した前記血圧値に基づいて健康状態を判定する健康状態判定手段と
を備えたことを特徴とする健康管理装置。
【請求項17】
被験者の健康状態を管理する健康管理装置本体と、健康管理装置子機とを備えた健康管理システムであって、
前記健康管理装置子機は、
被験者の睡眠中の第1の脈波を計測する第1の脈波計測手段と、
前記第1の脈波計測手段が計測した前記第1の脈波を前記健康管理装置本体に送信する送信手段と
を有し、
前記健康管理装置本体は、
前記健康管理装置子機から前記第1の脈波を受信する受信手段と、
前記被験者の睡眠中の脈波であって、前記被験者の心臓からの伝播時間が前記受信手段が受信した前記第1の脈波と異なる脈波である第2の脈波を計測する第2の脈波計測手段と、
前記受信手段が受信した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測手段が計測した前記第2の脈波の時間差である脈波伝播時間を算出する脈波伝播時間算出手段と、
前記受信手段が受信した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測手段が計測した前記第2の脈波のうち少なくともいずれか一方の値に基づいて、脈拍間隔を算出する脈拍間隔算出手段と、
前記脈波伝播時間算出手段が算出した前記脈波伝播時間、および前記脈拍間隔算出手段が算出した前記脈拍間隔に基づいて、前記被験者の自律神経の活動状態を示す自律神経指標を算出する自律神経指標算出手段と、
前記自律神経指標算出手段が算出した前記自律神経指標に基づいて、健康状態を判定する健康状態判定手段と
を有することを特徴とする健康管理システム。
【請求項18】
被験者の健康状態を管理する健康管理装置本体と、健康管理装置子機とを備えた健康管理システムであって、
前記健康管理装置子機は、
被験者の睡眠中の第1の脈波を計測する第1の脈波計測手段と、
前記第1の脈波計測手段が計測した前記第1の脈波を前記健康管理装置本体に送信する送信手段と
を有し、
前記健康管理装置本体は、
前記健康管理装置子機から前記第1の脈波を受信する受信手段と、
前記被験者の睡眠中の脈波であって、前記被験者の心臓からの伝播時間が前記受信手段が受信した前記第1の脈波と異なる脈波である第2の脈波を計測する第2の脈波計測手段と、
前記受信手段が受信した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測手段が計測した前記第2の脈波の時間差である脈波伝播時間を算出する脈波伝播時間算出手段と、
前記受信手段が受信した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測手段が計測した前記第2の脈波のうち少なくともいずれか一方の値に基づいて、脈拍間隔を算出する脈拍間隔算出手段と、
前記脈波伝播時間算出手段が算出した前記脈波伝播時間、および前記脈拍間隔算出手段が算出した前記脈拍間隔に基づいて、前記被験者の自律神経の活動状態を示す自律神経指標を算出する自律神経指標算出手段と、
前記脈波伝播時間算出手段が算出した前記脈波伝播時間に基づいて、血圧値を算出する血圧値算出手段と、前記自律神経指標算出手段が算出した前記自律神経指標と、前記血圧値算出手段が算出した前記血圧値に基づいて健康状態を判定する健康状態判定手段と
を有することを特徴とする健康管理システム。
【請求項19】
被験者の睡眠中の第1の脈波を計測する第1の脈波計測ステップと、
前記被験者の睡眠中の脈波であって、前記被験者の心臓からの伝播時間が前記第1の脈波計測ステップにおいて計測される第1の脈波と異なる脈波である第2の脈波を計測する第2の脈波計測ステップと、
前記第1の脈波計測ステップにおいて計測した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測ステップにおいて計測した前記第2の脈波の時間差である脈波伝播時間を算出する脈波伝播時間算出ステップと、
前記第1の脈波計測ステップにおいて計測した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測ステップにおいて計測した前記第2の脈波のうち少なくともいずれか一方の値に基づいて、脈拍間隔を算出する脈拍間隔算出ステップと、
前記脈波伝播時間算出ステップにおいて算出した前記脈波伝播時間、および前記脈拍間隔算出ステップにおいて算出した前記脈拍間隔に基づいて、前記被験者の自律神経の活動状態を示す自律神経指標を算出する自律神経指標算出ステップと、
前記自律神経指標算出ステップ算出した前記自律神経指標に基づいて、健康状態を判定する健康状態判定ステップと
を有することを特徴とする健康管理方法。
【請求項20】
被験者の睡眠中の第1の脈波を計測する第1の脈波計測ステップと、
前記被験者の睡眠中の脈波であって、前記被験者の心臓からの伝播時間が前記第1の脈波計測ステップにおいて計測する第1の脈波と異なる脈波である第2の脈波を計測する第2の脈波計測ステップと、
前記第1の脈波計測ステップにおいて計測した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測ステップにおいて計測した前記第2の脈波の時間差である脈波伝播時間を算出する脈波伝播時間算出ステップと、
前記第1の脈波計測ステップにおいて計測した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測ステップにおいて計測した前記第2の脈波のうち少なくともいずれか一方の値に基づいて、脈拍間隔を算出する脈拍間隔算出ステップと、
前記脈波伝播時間算出ステップにおいて算出した前記脈波伝播時間、および前記脈拍間隔算出ステップにおいて算出した前記脈拍間隔に基づいて、前記被験者の自律神経の活動状態を示す自律神経指標を算出する自律神経指標算出ステップと、
前記脈波伝播時間算出ステップにおいて算出した前記脈波伝播時間に基づいて、血圧値を算出する血圧値算出ステップと、
前記自律神経指標算出ステップにおいて算出した前記自律神経指標と、前記血圧値算出ステップにおいて算出した前記血圧値に基づいて健康状態を判定する健康状態判定ステップと
を有することを特徴とする健康管理方法。
【請求項21】
健康管理処理をコンピュータに実行させる健康管理プログラムであって、
被験者の睡眠中の第1の脈波を計測する第1の脈波計測ステップと、
前記被験者の睡眠中の脈波であって、前記被験者の心臓からの伝播時間が前記第1の脈波計測ステップにおいて計測される第1の脈波と異なる脈波である第2の脈波を計測する第2の脈波計測ステップと、
前記第1の脈波計測ステップにおいて計測した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測ステップにおいて計測した前記第2の脈波の時間差である脈波伝播時間を算出する脈波伝播時間算出ステップと、
前記第1の脈波計測ステップにおいて計測した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測ステップにおいて計測した前記第2の脈波のうち少なくともいずれか一方の値に基づいて、脈拍間隔を算出する脈拍間隔算出ステップと、
前記脈波伝播時間算出ステップにおいて算出した前記脈波伝播時間、および前記脈拍間隔算出ステップにおいて算出した前記脈拍間隔に基づいて、前記被験者の自律神経の活動状態を示す自律神経指標を算出する自律神経指標算出ステップと、
前記自律神経指標算出ステップ算出した前記自律神経指標に基づいて、健康状態を判定する健康状態判定ステップと
を有することを特徴とする健康管理プログラム。
【請求項22】
健康管理処理をコンピュータに実行させる健康管理プログラムであって、
被験者の睡眠中の第1の脈波を計測する第1の脈波計測ステップと、
前記被験者の睡眠中の脈波であって、前記被験者の心臓からの伝播時間が前記第1の脈波計測ステップにおいて計測する第1の脈波と異なる脈波である第2の脈波を計測する第2の脈波計測ステップと、
前記第1の脈波計測ステップにおいて計測した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測ステップにおいて計測した前記第2の脈波の時間差である脈波伝播時間を算出する脈波伝播時間算出ステップと、
前記第1の脈波計測ステップにおいて計測した前記第1の脈波と、前記第2の脈波計測ステップにおいて計測した前記第2の脈波のうち少なくともいずれか一方の値に基づいて、脈拍間隔を算出する脈拍間隔算出ステップと、
前記脈波伝播時間算出ステップにおいて算出した前記脈波伝播時間、および前記脈拍間隔算出ステップにおいて算出した前記脈拍間隔に基づいて、前記被験者の自律神経の活動状態を示す自律神経指標を算出する自律神経指標算出ステップと、
前記脈波伝播時間算出ステップにおいて算出した前記脈波伝播時間に基づいて、血圧値を算出する血圧値算出ステップと、
前記自律神経指標算出ステップにおいて算出した前記自律神経指標と、前記血圧値算出ステップにおいて算出した前記血圧値に基づいて健康状態を判定する健康状態判定ステップと
を有することを特徴とする健康管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15−1】
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【図15−2】
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【図15−3】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2006−212218(P2006−212218A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−28184(P2005−28184)
【出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】